JP5817189B2 - テトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents
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Description
テトラヒドロフランなどの環状エーテルの工業的な製法としては、従来より様々な製法が知られているが、中でもジヒドロキシ化合物の脱水環化により製造されることが多い。このジヒドロキシ化合物の脱水環化反応用の触媒としては、高い転化率と選択性の観点から酸触媒が有効であることが知られており、例えば、特開平10−77277号公報には、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールを、コバルトを含有する触媒、有機スルホン酸及び高沸点アミンの存在下で、脱水素及び脱水してジヒドロフランなどのα,β−環状不飽和エーテルを製造する方法が記載されている。また、特表2006−503050号公報には、ヘテロポリ酸触媒上で1,4−ブタンジオールを含有する反応混合物の反応によってTHFを連続的に製造する方法が記載されている。
比較的安価で且つ高温条件でも使用可能な酸触媒としてパラトルエンスルホン酸などのスルホン酸を酸触媒として使用することが考えられるが、スルホン酸は水による反応阻害効果があり、水存在下でテトラヒドロフラン生成速度が低下することが判明した。更に、反応を長時間行うと反応器内の液粘度が上昇し、固形の副生物の析出が発生することも判明した。
オールからTHFを製造する方法において、反応速度の低下、固形副生物の生成量を低減し、安定的に高い生産性が得られる工業的に有利なTHFの製造方法を提供することを目的とする。
旨とする。
[1]原料の1,4−ブタンジオールを反応槽に供給し、スルホン酸の存在下で脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを生成する際に、該反応槽内のテトラヒドロフラン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器出口から得られる凝縮液の一部を該反応槽の気相部に供給しながら、残りの凝縮液を反応槽外に抜き出すことを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。
[2]前記反応槽の気相部に供給する凝縮液の流量と前記反応槽外に抜き出す凝縮液の流量の比が0.01以上10.00以下であることを特徴とする[1]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[3]前記反応槽内の液相部の温度が80〜250℃であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[4]前記反応槽中のスルホン酸の濃度が0.01〜20.0重量%の範囲であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[5]前記1,4−ブタンジオールと共にスルホン酸を反応槽に供給することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[6]前記スルホン酸が有機スルホン酸であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[7]前記有機スルホン酸がパラトルエンスルホン酸であることを特徴とする[6]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
本発明で使用する原料の1,4−ブタンジオール(以下、「1,4BG」と略記することがある)は、公知の方法により得ることができる。例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得た1,4BGを使用することができる。或いは無水マレイン酸の水素化により得た1,4BG、レッペ法によりアセチレンから誘導した1,4BG、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4BG、発酵法により得た1,4BGなどが使用可能である。これら公知技術で製造した1,4−ブタンジオールが含む各種副生物、例えば2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランなどを本発明で使用する原料の1,4BGに含有していても差し支えない。
在させ1,4BGを反応部に供給し、反応による生成する揮発されたTHFと一部の水蒸気が反応部の気相部に含まれ、残りの水や副生物は反応部の液相部に含まれる。
である。これらは混合物として用いても差し支えなく、また炭素骨格内にスルホン酸以外の官能基を有していても差し支えない。特に好ましくはパラトルエンスルホン酸である。
以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法を用いて行った。テトラヒドロフランの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、面積百分率により算出した。尚、100重量%から水分濃度を差し引いた値を算出し、その値から残る成分の割合(重量%)をガスクロマトグラフィーの各成分の面積百分率により計算した。
SUS316L製の500L反応槽を有し、且つ槽上部に理論段として4段の不規則充填物を充填した塔を有し、その塔頂部に熱交換器であるコンデンサで生成するガスを冷却する設備を使用した。冷却用の冷媒には水を使用し、反応槽の加熱はジャケット式、熱媒(オイル)を用いて行った。原料の1,4BGを400L、パラトルエンスルホン酸800g(0.2重量%)を仕込み、熱媒を使用して反応槽内の液相部の内温度を145℃まで加熱し、内液温度が145℃に安定した後、反応で生成するTHFと水を含むガスをコンデンサで凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽外にある貯槽に抜き出すとともに、その一部を反応槽の上部の冷却器下に液として再導入して還流を行った。冷却器部位の内温度は87℃であった。
を含む凝縮液を60kg/hrで得て、そのうち15kg/hrを反応槽の気相部に供給し、残りを反応槽外の貯槽に抜き出した(還流比:0.3)。また、液相量を360Lとなるよう調整し、その後、液相量を一定に保持するために原料1,4−ブタンジオールを60kg/hrで連続的に反応槽に供給した。反応槽の液相部からの抜き出し量は0.0kg/hrとして排出しなかった。液相部容量に対する原料1,4BGの流量比は6倍であった(滞留時間として考えると6hr)。その際、パラトルエンスルホン酸を0.72g/hrの量となるように原料1,4BGに溶解し、あわせて連続的に添加した。この際、反応槽の液相部の水分濃度は2.5重量%であった。
反応開始から185時間を経過した時点で原料1,4BGの供給を停止した。その後も加熱は継続し、反応を継続してTHF、及び副生水を留出させた。液相部を100Lまで4倍に濃縮した後、加熱を停止し、反応槽内の残液を110kg排出した。本残液中に固形物は見られなかった。その後、反応槽を開放し内部点検を行ったが、固形物の析出は確認されなかった。THFの収率は98.7モル%であった。
SUS316L製の1Lオートクレーブに、原料の1,4−ブタンジオール400g、パラトルエンスルホン酸800mg(0.2重量%)を仕込み、電気炉を使用して内温度を150℃まで加熱した。内液温度が150℃に安定した後、6時間加熱を継続した。その間、気相部からの生成ガス排出は実施しなかった。加熱終了後、液相を採取し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、テトラヒドロフランが40.7重量%、1,4−ブタンジオール38.3重量%、水分濃度が12.4重量%であった。テトラヒドロフラン収率は51.2モル%であった。
<比較例2>
ガラス製の1L容量の3つ口フラスコを用い、原料の1,4BGを400cc、パラトルエンスルホン酸0.8g(0.2重量%)を仕込み、熱媒(オイルバス)を使用して反応槽内の液相部の内温度を150℃まで加熱し、内液温度が150℃に安定した後、反応で生成するTHFと水を含むガスをコンデンサで凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽フラスコ外にある貯槽に抜き出した。この際、凝縮液は反応槽フラスコに還流は行わなかった。
反応開始から109時間を経過した時点で原料1,4BGの供給を停止した。その後も加熱は継続し、反応を継続してTHF、及び副生水を留出させた。液相部を100ccまで4倍に濃縮した後、加熱を停止し、反応槽内の残液を100g排出した。本残液中に固形物は見られなかったが、反応槽フラスコ内部の壁に黒色固形物が1.1mg析出していることを確認した。THFの収率は95.4モル%であった。
Claims (7)
- 原料の1,4−ブタンジオールを反応槽に供給し、スルホン酸の存在下で脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを生成する際に、該反応槽内のテトラヒドロフラン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器出口から得られる凝縮液の一部を該反応槽の気相部に供給しながら、残りの凝縮液を反応槽外に抜き出すことを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記反応槽の気相部に供給する凝縮液の流量と前記反応槽外に抜き出す凝縮液の流量の比が0.01以上10.00以下であることを特徴とする請求項1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記反応槽内の液相部の温度が80〜250℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記反応槽中のスルホン酸の濃度が0.01〜20.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記1,4−ブタンジオールと共にスルホン酸を反応槽に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記スルホン酸が有機スルホン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
- 前記有機スルホン酸がパラトルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項6に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
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