JP6013500B2 - 合成石英ガラスを製造する方法及び光ファイバーを製造する方法 - Google Patents

合成石英ガラスを製造する方法及び光ファイバーを製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、
(a)主要な成分としてオクタメチルシクロテトラシロキサンD4を含有する、液体SiO原料を供給する工程と、
(b)SiO原料を原料蒸気に気化させる工程と、
(c)原料蒸気をSiO粒子に変化させる工程と、
(d)多孔質SiOスート体を形成しながら、堆積表面にSiO粒子を堆積させる工程と、
(e)合成石英ガラスを形成しながら、SiOスート体をガラス化する工程と
を含む合成石英ガラスを製造する方法に関する。
商業用途の合成石英ガラスの製造のため、CVD法(化学気相堆積)では、加水分解及び/又は酸化によってシリコン含有出発物質からSiO粒子が製造され、この粒子はキャリアに堆積される。ここで、外付け堆積法と内付け堆積法とを区別することができる。外付け堆積法において、SiO粒子は回転キャリアの外側に付着する。ここで言及される例は、いわゆるOVD(outside vapor phase deposition,外付け気相堆積)法、VAD(vapor phase axial deposition,気相軸付け堆積)法、又はPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition,プラズマ化学気相堆積)法である。最も良く知られる内付け堆積法の例は、SiO粒子が外部から加熱されたチューブの内壁に堆積されるMCVD(modified chemical vapor deposition,改良化学気相堆積)法である。
SiO粒子は、キャリア表面の領域において、十分に高い温度で直接ガラス化される(「直接ガラス化」)。その一例はUS 5,043,002に記載されている「ボウル製造」である。ここで、SiO粒子は、上方から回転モールド内に向かう堆積用バーナーによって堆積され、直接ガラス化される。その結果、石英ガラス体(「ボウル」)がモールド内の下側から上側まで形成される。
対照的に、いわゆる「スート法」では、SiO粒子の堆積の間、温度が低いため、多孔質スート層が得られる。この多孔質スート層は、別の工程において透明な石英ガラスに焼結される。その一例は、DE 10 2007 024 725 A1で公知であるOVD法である。ここで、堆積用バーナーは、水素及び酸素の形態の燃焼ガス並びにその堆積用バーナーのバーナー炎中でSiO粒子に変化するシリコン含有出発物質を供給される。堆積用バーナーが縦軸周りに回転するキャリアに沿って可逆的に移動する間、前述のSiO粒子は、SiOブランクの形態で一層ずつ堆積される。
より高い生産性を目的とするスート法の改変例では、単一の堆積用バーナーの代わりに複数の堆積用バーナーが用いられる。この複数のバーナーは、スート堆積のために、バーナーの連結列において回転キャリアに沿って可逆的に往復移動する。このプロセスにおいて、各バーナー炎はキャリア全長の一部をさっと通るに過ぎない。これによって、バーナー移動の折り返し点でSiOスート構造の不均質性が生じ得る。
つまり、直接ガラス化とスート法の両方は、高密度かつ透明な高純度の合成石英ガラスを生産する。
層構造の形成は、SiO粒子の層状堆積のため、前述の製造方法に固有のものである。これらは、隣り合う層の屈折率の差を示唆する、いわゆる脈理として認めることができる。一般に、同心状層構造を有する円筒形SiOブランクと軸状層構造を有するそれらとを区別することができる。OVD法では、層構造は、例えば、SiO粒子が縦軸周りに回転するキャリアの円筒の外側表面に一層ずつ堆積されることにより、ブランクの縦軸に対して同心円状に実質的に延びる螺旋状の層と共に作られる。対照的に、軸堆積によってSiO固体円筒がディスク型回転キャリア上の円筒の縦軸方向に形成されるVAD法では、一般に、円筒の縦軸に対して垂直方向に延びる軸方向に連続した層と共に螺旋層構造が得られる。
マイクロリソグラフィーに使用され又は通信工学における光学部品に使用される合成石英ガラスの場合、屈折率の均質性が高度に要求される。そのため、石英ガラス円筒中の層の除去のために、複数の工程を有する変形処理が提案されてきた。例えば、DE 42 04 406 A1及びEP 673 888 A1では、軟化させた石英ガラス塊の多次元的圧縮及び伸長により、脈理を有する石英ガラス体を均質化するツールフリー方法が記載されている。これらの方法は効果的ではあるが、時間がかかり、コストがかかる。
従来、四塩化ケイ素(SiCl)がシリコン含有原料として有用であることが判明している。SiCl及びその他の塩素含有物質は、100℃より低い緩やかな温度で既に高蒸気圧を示す。その結果、不純物が液相に残り、高純度のスート体を作製することが容易となる。一方で、SiCl及びその他の塩素含有原料の反応の間に、排ガスの洗浄及び廃棄の点で高いコストがかかる塩酸が形成される。
そのため、石英ガラスの製造のために多くの無塩素原料が試行されてきた。モノシラン、アルコキシシラン及びシロキサンがその例として言及されるべきである。無塩素原料の特に興味深いグループは、ポリアルキルシロキサン(「シロキサン」とも略される)によって形成される。これらは、例えばEP 463 045 A1から公知である。シロキサンの物質グループは、開鎖及び閉鎖ポリアルキルシロキサンに細分することができる。ポリアルキルシロキサンは一般総和式Si(R)2Pを有する。式中、Pは2以上の整数である。残基「R」はアルキル基、最も単純な場合メチル基である。
ポリアルキルシロキサンは、合成石英ガラスの作製におけるそれらの使用の経済性に寄与する、重量比あたりの特に高いシリコン含量によって特徴付けられる。今のところ、高純度で大量に入手できるため、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が好ましく使用される。この物質は、ゼネラルエレクトリック社によって導入された表記により「D4」としても示される。ここで、「D」は[(CHSi]−O−基を示す。
しかしながら、相対的に高い沸騰温度及びヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)等のその他のポリアルキルシロキサンとの化学的類似性のため、D4の精製は、時間がかかり、高価な蒸留プロセスを必要とする。
US 5,879,649 Aは、このような石英ガラスの製造用の原料としてのポリアルキルシロキサンの精製に関する。この刊行物は、沸騰温度が250℃より高い不純物の量を14重量ppm未満、好ましくは2重量ppm未満に制限するために炭素フィルター及び分子ふるいを用いる2段階蒸留処理を提案している。典型的に、これらの高沸点不純物は、500g/モルより大きい平均分子量を有する成分である。このような高沸点不純物の凝集体がガス供給システムにおいて詰まりを引き起こし、また、「ゲル形成」をもたらし、それによって石英ガラス中に欠陥が生じることが報告されている。ここで、この欠陥のメカニズムは、未分解又は不完全に分解された高沸点凝集体の堆積が、ガスの放出に伴い順次分解され、石英ガラスに気泡を生じさせるものと考えられる。
この提案された2段階精製方法は、複雑かつ高価であり、また、最適化されたプロセス制御の場合でさえ、特には石英ガラスの密度が増加した薄い層の形態で、材料の不均質性が生じることが明らかとなっている。
これに代わって、DE 103 02 914 A1は、短波UV放射に対して望ましい損傷挙動を有する合成石英ガラスの製造のため、SiClの混合物及び例えばシロキサン等の複数のケイ素原子を含むオリゴマーシリコン含有化合物の混合物が原料として用いられることを提案している。
シリコン含有原料は、液体状で例えば堆積用バーナー等の消費器に供給されることができる。しかしながら、一般に、液体原料は気化器によってガス状又は蒸気状に変化させられ、連続的なガス気流として消費器に供給される。
多くの気化器が知られている。公知の気化器は、その中で、液体原料が保持され、加熱器によって気化温度の付近の温度まで加熱される容器(いわゆる「バブラー」)を含む。キャリアガスは加熱された液体を通り、原料の気化と共にこのプロセスに取り込まれ、加圧下で、パイプシステムを介して反応帯に供給される。このキャリアガスは例えば酸素である。直接ガラス化により合成石英ガラスを製造するための、このような媒体の堆積用バーナーへの供給は、例えば、EP 908 418 A1に記載されている。
原料の気化速度は、液相におけるキャリアガスの温度及び滞留時間に実質的に依存する。両パラメーターは液柱の高さによって、及び、キャリアガスの供給速度と流速によって影響される。例えば、液柱におけるキャリアガスの気泡の大きさは、気泡が液体中を上昇する速度に影響を与え、またそのため、原料の装填に及び気化速度に影響を与える。液体量の変化もまた伝熱に大きな影響を与える。これらの複雑な相互作用は液体材料を絶えず供給してバブラー中の液面を低下させないことで、簡単に制御することができる。
しかしながら、液面が一定であっても、相対的に高い沸点の不純物が「液だめ」の形成と共に、徐々に液相中に溜まることがある。その結果、堆積用バーナーに到達する原料の組成は時間によって変化する。
いくつかの消費器が同時に原料を供給される必要があるスート堆積法では、例えば、複数のバーナーの集合によるスート堆積の場合に、追加の問題が生じる。ここで、変則的なスート堆積及び層形成を避けるために、各堆積用バーナーが量及び質の点で同じスート形成特性を有することが特に重要である。個別の堆積用バーナーのガス供給における差は、これらのバーナーが、例えばDE 195 01 733 A1に記載されているような「分流器」を介して共通の供給タンクから供給されることで、最小限に抑えることができる。しかしながら、これは媒体供給の複雑な構造を必要とする。
例えばUS 5,356,451 A1で記載されているような別のタイプの気化器は、上述の「液だめ形成」を回避する。この気化器では、原料用の液体リザーバが気化室の内部に配置される。このリザーバは気化室の縦側に沿って延びており、絶えず満たされている。液面が予め決められたオーバーフローの高さを上回った場合、液体は、U字状チャネルを介して貯留室から長辺側に傾斜面に向かって流出し、そこに薄い膜を形成する。気化室は、斜面上の液体膜が、傾斜面の下方末端に到達する前に、完全に気化されるように加熱される。これによって、全不純物を含む液体全体は、より高い沸点で気化することが保証される。
いわゆる垂直型気化器の態様はDE 24 35 704 A1から公知である。この文献中では、気化される液体は、加熱され、垂直に立っている回転対称性容器に供給され、6mm未満の直径を有する液滴の形成を伴って容器の内壁に対して放射状に噴霧されること、及び、これらの液滴は、その場所で堆積されることが提案されている。気化されなかった液体が容器の下方に集まる一方で(この液体はそこで連続的又は断続的に除去されることができる)、蒸気状生成物は上方へ移動される。
この公知の方法は、気化の間、付加的な蒸留処理のように作用し、ここで低揮発性の成分は液だめを介して除去される。これによってより高い純度の原料の気化部分がもたらされる。しかしながら、生成量と処理能力は比較的低い。
技術的課題
一般に、SiOスート体の構造は十分に気体透過性であり、均一な気相処理又は焼結を容易にする。密度が増加した層の領域では、これは限られた程度でのみ可能である。その理由は、これらの層が、乾燥又は焼結処理において不均一な処理結果をもたらし得る拡散障壁を示すからである。これらの問題は、特には大型のSiOスート体が有する、長い拡散経路のために生じる。層領域は、特に、水酸基の及び場合により塩素の局所的な含量の増加を伴うことがある。
スート体の材料におけるこれらの不均質性は、そこから作られる石英ガラス体において、例えば、水酸基若しくは塩素の濃度又は粘度の軸方向の、径方向の、又は方位角による変動の形態で現れ、最終生成物に、高エネルギーUV光による放射に対する好ましくない損傷挙動等の、好ましくない特性をもたらす。
本発明の目的は、高い材料均質性を有するSiOスート体、特に300mmより大きい外径を有する大型の円筒形スート体を製造する方法を提供することである。
この目的は、前述の方法から出発して、本発明により以下のように達成される。すなわち、液体原料は、重量分率がmD3である、ヘキサメチルシクロトリシロキサンD3及びその直鎖同族体と、重量分率がmD6である、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンD6及びその直鎖同族体と、重量分率がmD7+である、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサンD7及び/又はヘキサデカメチルシクロオクタシロキサンD8及びそれらの直鎖同族体とを含む付加的成分を含有し、mD3/mD6の重量比は0.05〜90の範囲内であり、前記重量分率mD7+は少なくとも20重量ppmである。
可能な限り高純度である、単一の決められたシリコン化合物から構成された原料を用いる公知の方法とは対照的に、本発明は、異なるポリアルキルシロキサンの混合物として存在するSiO原料を提案する。オクタメチルシクロテトラシロキサンは、ここで及び以下においてD4と略して呼ばれる。それに応じて、その他のポリアルキルシロキサンはD3、D5、D6、D7及びD8と呼ばれる。D4は混合物の主要な成分を構成する。D4に加えて、混合物は化学的に類似したポリアルキルシロキサン、すなわちD4より分子量が小さいもの(D3を含む)及びD4より分子量が大きいもの(D6及びD7を含む)を含有する。従って、用語「付加的成分」のもとに要約される原料の付加的な構成要素は、D4の相対分子量(約297g/mol)及びD4の沸騰温度(約175℃)に対して上方及び下方の両方に差がある分子量及び沸騰温度を有する。
付加的成分に富んだ液体SiO原料はガス状で反応帯に供給され、このプロセスにおいて、SiOへの酸化及び/又は加水分解及び/又は熱分解によってSiOへ分解される。この反応帯は、例えばバーナー炎又はプラズマである。反応帯において、ポリアルキルシロキサン分子は、段階的にSiOへ酸化的に分解される。これによって、気相から別のSiO−又はSiO分子が付着されるSiO一次粒子が生じる。この付着プロセスは、凝集又は集合したSiO粒子が反応可能な未分解分子がもはや存在しない領域に入ったら直ちに、反応帯を通って堆積表面に向かう途中で終了する。
これらの分離、酸化及び付着プロセス(以下に用語「粒子形成プロセス」のもとに要約される)は、ポリアルキルシロキサン分子の分子量及び大きさに依存し、異なる反応速度及び異なる温度で起こる。
本発明の方法において、SiO原料は、D4よりも相対分子量が小さい少なくとも一つの付加的成分と、D4よりも相対分子量が大きい少なくとも一つの付加的成分とを含有する。ポリアルキルシロキサンの加水分解的な又は熱分解的な分解の間に、酸化攻撃の活性エネルギー又は分離に必要な熱エネルギーは、分子量の増加と共に増大すると仮定される。結果として、単分散のSiO原料によるものよりも広範囲の粒径分布を有する、異なる大きさの凝集体及び集合体が反応帯に形成される。
この粒径分布の広幅化について考えられる説明は、異なる気相反応速度により、気相から更なるSiO分子が付着することでその表面上で更なる成長が起こり得るSiO一次粒子の形成に関して、異なる反応速度が更に得られることである。別の考えられる説明は、それぞれのポリアルキルシロキサン分子のケイ素原子の数及び配置が、SiO一次粒子の径を予め決定し、これによって、それから進化するSiO粒子の径及び反応帯におけるその濃度も決定することである。
いずれにせよ、本発明による方法における付加的成分は、純粋なD4の使用と比較して、進化するSiO粒子の径がより広範囲になるように粒子形成プロセスを変更し、それはスート体構造の変化を伴う。
この製造プロセスに従って、スート体は一定の層構造を示し、この層は密度又は化学組成において局所的な変化を有する領域を示す。通常、スート体は、石英ガラスの密度に対して、25〜32%の密度を有する。これらのスート体は、3%〜4%の密度の相対的な変動を示す。これらの密度の変動は、スート体から石英ガラス体へのガラス化の間に現れ、水酸基又は塩素の濃度の径方向の、方位角による及び軸方向の変動を生じさせ、これらは、石英ガラス円筒及びそれから製造される石英ガラスファイバーに望ましくない特性をもたらし得る。
本発明によるSiO原料の使用は、驚くほど高い均質性を備えた、特に、均一かつ層構造の弱い特性を備えたSiOスート体を生産することが明らかとなっている。
この効果は、形成され、堆積するSiO粒子の粒径分布の広幅化が、単分散のSiO粒子より均質なSiOスートの堆積をもたらす、あるいは、スート体製造の間又はガラス化の間、SiOスートのより均一な高密度化を容易にするという事実に起因し得る。
この効果を達成するために、以下の境界条件を満たす必要がある。
(a)反応帯に到達する原料は、D4の参照分子量の両側で分子量を有する付加的成分、理想的にはD3及びD6及びD7又はそれらの開鎖同族体を含有しなくてはならない。
付加的成分D3及びD6は、D4に対して類似の分子量及び化学的類似性を備えた分子であり、反応帯及び粒子形成プロセスにおいて、粒径分布の軽い平坦化を伴う、緩やかな変化をもたらす。
(b)可能な限り均一なD4の両側における付加的成分の分布。この条件は、D3及びD6の重量分率の比mD3/mD6の比が0.05〜90の範囲内であれば、十分に満たされる。
前述の範囲外のD3及びD6の重量分率で、偶然に混合されたポリアルキルシロキサン混合物は、スート体の均質性に関して乏しい結果を生む。
(c)D6より高温でも沸騰するポリアルキルシロキサンの最低限度の量であり、理想的には重量分率mD7+が合計で少なくとも20重量ppmである、D7又はより長鎖のポリアルキルシロキサンD8(以下で用語mD7はD7の重量分率を示すために、また、以下において用語mD7+はD7及びD8の重量分率の合計を示すために使用される。)。
大気圧下でのD7の沸点は約276℃であり、従って、D4の沸点(約175℃)より明らかに高い。それぞれの沸騰温度の大きな差のため、付加的成分D7は少量で既に粒子形成プロセスに多大な影響を与える。しかしながら、20ppm未満の重量分率mD7+では、大きな作用は検出することができない。重量分率mD7+に関して、D7の量は、相当するD8の量によって置き換えることができる。しかしながら、D4と比較して大きい分子量のために、D8及びその直鎖同族体は、低濃度で既に反応帯及び粒子形成プロセスに顕著な変化をもたらす。そのため、D8の重量分率は、原料において20重量ppmより大きくないことが好ましい。
本発明による方法は、スート体における公知の密度の変動を低減させるという点で特徴付けられる。この密度の変動の低減は石英ガラスの品質に直接影響を及ぼすため、より高品質でより均質性の高い石英ガラスが、再現性のある方式で得られ、これは材料廃棄を減らす。
本発明による方法の支援により、現在の標準を越える、特に高い材料均質性を示すSiOスート体及び石英ガラス体を得ることが可能である。本発明の利点は、製造されたSiO粒子の径において、つまり粒径分布の広幅化において、微小なスケールで起こるより強い変動が、SiOスート体中の巨視的に測定された密度の変動の幅の縮小をもたらすという点で説明することができる。
本発明の範囲内で、用語「重量分率」は、液体SiO原料の全質量に対する、各付加的成分の質量から得られる相対値を表す。従って、付加的成分D3及びD6の二つの重量分率の重量比mD3/mD6は、二つの相対重量分率の除法によって決定することができる無次元値である。
本発明の範囲内で、用語ポリアルキルシロキサンは直鎖(分岐構造も含む)及び環状分子構造の両方を含む。しかしながら、SiO原料のポリアルキルシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)からなる群から選択された、少なくとも3つのポリメチルシクロシロキサンを含むことが好ましい。表記D3、D4、D6はゼネラルエレクトリック社によって導入された表記に由来する。ここで、「D」は[(CHSi]−O−基を示す。主要な成分は、そのたびごとの原料の総重量に対して、少なくとも70重量%、特に少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも94重量%の割合を有するD4である。
液体原料は、個別の成分を混合することによって、又は成分の混合物を混ぜることによって、又は蒸留塔からの早期除去あるいは蒸留の早期終了によって、その他オクタメチルシクロテトラシロキサンの精製において標準的であるように製造することができる。従って、本発明による方法において、オクタメチルシクロテトラシロキサンの精製は省略することができ、これに代わって、より純度が低く、従ってより安価なD4品質を使用することができる。原料のポリアルキルシロキサンの密度の類似性は、分離を防止する。
本方法の好ましい構成において、比mD3/mD6は0.1〜40の範囲内である。
この比較的小さい質量比の範囲における、主にD4から構成されるSiO原料へのD3及びD6の付加は、特に、石英ガラス塊の密度における不均質性の大幅な減少を達成することが明らかとなった。
これに関して、重量分率mD7+が30重量ppm〜100重量ppmの範囲内であるとき、有利であることも判明した。
D6、D7及びD8とは別に、デカメチルシクロペンタシロキサンD5及びその直鎖同族体は、D4より分子量の大きいポリアルキルシロキサンを示す。しかしながら、粒子形成プロセスにおける粒径の広幅化、及び、それに付随するSiOスート体構造の均等化に関するD5の効果は、D6又はD7のそれよりも小さく、ただしそれは補足的に寄与する。
付加的成分が粒子形成プロセスにおける粒径の広幅化及びSiOスート構造における均等化について最適な作用を生むことを可能とするために、前述の成分の最低限度の量が有利である。従って、重量分率mD3とmD6の合計が、200重量ppm〜20000重量ppmの範囲内、好ましくは500重量ppm〜15000重量ppmの範囲内である場合に有利であることが判明した。
驚くべきことに、SiOスート法における堆積の間、SiO粒子の径の広幅化をもたらし、またそれによるスート体の均質性の促進をもたらすSiO原料を供給するためには、付加的成分D3及びD6がSiO原料の大半を占める必要はなく、混合物で十分であることが明らかとなった。特に良い結果は、上限が全重量の10%を越えない範囲で達成される。一方で、少量の付加的成分D3及びD6は、スート体における密度の変化が、SiO原料蒸気の異なる粒径によってカバーされるという作用を既に有し、そのため、全体的により均質なスート体又は石英ガラス体が得られる。しかしながら、付加的成分D3及びD6の重量分率が0.5重量%未満であるとき、この効果はもはや顕著ではない。
ポリアルキルシロキサンD3における分解に必要な活性エネルギーは、D4のそれよりも低い。これは、D3環は、安定したD4環より高い張力を有するため、より迅速かつ容易に開環し得るという事実によるものと考えられる。更に、ポリシクロシロキサンD6及びD5の分解もまた、それぞれの環分子の熱分離を誘発するためにD4より高い活性エネルギーを必要とすることが判明している。しかしながら、全体的に、D4及びD3のエネルギー差はD4及びD6の差よりも大きいことが明らかとなっている。
この理由により、及び、D3が重合反応に大きな傾向を示すことから、付加的成分D3の量が付加的成分D6のそれより小さい場合、有利であることが判明した。従って、本発明による方法の有利な構成変形は、mD3が200重量ppm〜15000重量ppmの範囲内であり、mD6が50重量ppm〜2000重量ppmの範囲内である点で特徴づけられる。
この付加的成分の前述の量的割合において、0.4%未満のスート体中の密度の変動を達成することが可能である。
液体原料の気相への転移の間、液体の組成は分解、重合又は蒸留により変化し得る。これは、特に、公知の気化システムでそうであるように、気化される液体を高温面に接触させるときに起こる。高温面は、有機原料において、分解又は重合のような予期できない変化を引き起こし得る。これによって、処理制御において特定の変化性及び非再現性が生じ、粒子形成プロセスにおける欠陥及びスート構造における不均質性がもたらされ得る。これは、今回の場合のように、化学的に極めて類似した成分の正確な組成が、粒子形成プロセスにおいて重要である場合に、特に認められる。更に、公知の気化器システムは、超微細液滴が放出された蒸気流に同伴されるという危険性を孕んでおり、これは、スート体において材料の不均質性を引き起こし得る。
このような作用を避けるために、あるいは可能な限り小さく抑えるために、気化プロセスが
・SiO原料を加熱する工程と、
・加熱されたSiO原料を膨張室に導入し、その結果、該SiO原料の少なくとも第1の部分が圧低下により気化される工程と、
・SiO原料を加熱された希釈剤で混合し、その結果、該SiO原料の少なくとも第2の部分が露点の低下により気化される工程と
を含む気化方法を用いることが好ましい。
この2段階気化処理において、液体SiO原料は、膨張室で、固体、特に金属面と全く接触せずに完全に気化される微細液体に粒子化される。従って、重量比mD3/mD6及びmD7+を含む、液体SiO原料に供給された組成物をガス状SiO原料に変化させることが可能である。その結果、液体SiO原料及び以下で「原料蒸気」と略して呼ばれるSiO原料蒸気において、付加的成分の一致した割合が得られる。
従って、この手順は二つの主要な条件を満たす。一方で、供給された液体SiO原料は可能な限り完全に(すなわち、少なくとも99重量%で)気相に変化させられる。もう一方で、気化プロセスは、成分の組成配分を維持しながらSiO原料が気化するように、構成される。特に、付加的成分の質量比は、液相において、更に気相においても、実質的に一致する。
本発明の範囲内で、重量比を維持しながら、一致的に気化が起こるという内容は、液相及び気相におけるmD3/mD6の比に関係する。従って、比
τ=(G_liquid−G_vapor)/G_liquid
は、±500ppm以下、好ましくは±100ppm以下であるべきである。式中G_liquidは液体SiO原料における重量比mD3/mD6であり、G_vaporは気体SiO原料における重量比mD3/mD6である。
原料を気化するために希釈剤が用いられる。この希釈剤は膨張室を流れるキャリアガスであることが有利である。そのため、希釈ガスという用語とキャリアガスという用語は、以下において同意語として用いられる。膨張室における液体SiO原料の分圧は、希釈剤を供給することによって低下し、これによって、その露点が下がる。そのため、SiO原料のSiO原料蒸気への完全な転移を確保するために、事情により可能なSiOスート体の予備加熱は強くなくても良い。
理想的には、液体原料は気相に完全に変化させられる。しかしながら、気化プロセスに入った液体SiO原料の気化の度合いは、少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.9995重量%であっても良い。これは、2段階気化処理、すなわち圧低下による気化と露点の低下による気化の組み合わせによって達成することができる。液体として気化器に導入されたSiO原料のうち、好ましくは20ppm未満、好ましくは10ppm未満、特に好ましくは5ppm未満である極めて小さい画分のみは気化しない。個別の試行において、気化されないSiO原料の画分は、2.5ppm未満にまで減少させることができる。
ここで、「露点」は凝結する液体と蒸発する液体との平衡状態が得られる温度である。
この手順の有利な構成において、加熱されたSiO原料の膨張室への導入は、SiO原料が液体状で微細液滴に粒子化される注入段階を含み、この液滴の平均直径は5μm未満、好ましくは2μm未満であることが意図される。
液体原料は、圧低下による膨張により均等に気化され得る、小さい液滴の霧に変化させられる。この微細液滴は、液体原料が気化器の高熱面に接触する前に、迅速かつ効率的、そして何より完全に気化されることを可能とする大表面を供給する。それによって分解、重合及び蒸留による組成の変化は相当程度に回避される。その結果、消費器に供給される原料の決められた組成と再現性のある粒子形成プロセスが確保される。
一方で、均質なスート形成のために最適化された原料の組成を供給し、他方で、気化の間、その組成を維持し、反応帯へ供給する、本発明による組み合わせによって、高い材料均質性及び放射耐性によって特徴付けられる石英ガラスが、焼結又はガラス化によって得られるスート体がもたらされる。
液体の小さい液滴への分割を補助するために、超音波型噴霧器が原則として適している。この場合、超音波の作用により均一かつ微細なSiO原料の粒子化が引き起こされる。本発明の範囲内で、超音波は16kHz〜1.6GHzの周波数を有する音を示す。超音波型噴霧器において、液体は加圧及び加熱なしで粒子化する。例えば、液体で湿った圧電セラミックは、高周波交流電圧によって振動を生じさせることができる。結果として、超音波が液体中に形成される。この超音波の最大強度は特定の液面まで到達し、該超音波はいわゆる超音波幹を形成する。小さい液滴又はエアロゾルはこの超音波幹から分離し、所望の適用に使用することができる。超音波噴霧器の利点は、可変的な体積流の均一な粒子化、体積流の範囲全体に対してほぼ一定な液滴径の範囲、及び、液滴自体の速度の小ささにあり、これによって噴射における優れた制御性が生じる。従って、狭い液滴径の分布は、気化結果の均一性に良い影響を与える超音波噴霧器によって、再現性のある方式で、達成することができる。
一つの代替手段として、液体原料の気相への変化は、分圧の低下という結果と共に、もっぱらキャリアガスの使用によって起こる。ここで、それ相当に十分な量の希釈剤/キャリアガスが膨張室を流れなければならず、それによって、液体SiO原料の気化が確保される。
3つ目の、特に好ましい代替手段として、液体原料は、圧低下及び分圧の低下の両方を用いることによって気化される。この変更例は、大型の石英ガラス円筒(例えば、直径が250mmより大きい円筒)を得るために大量の液体原料を気化する場合に、特に有利であることが判明した。必要とされる大量の原料を、緩やかかつ均一な方式で、液相から気相に変化させるために、少なくとも一部の成分のために過剰に加熱されたSiO原料を膨張室に導入し、そこで、圧低下及び希釈剤の使用によって、気相に転移させる場合に、有利であることが判明した。圧低下及び露点の低下によるこの気化プロセスの組み合わせは、SiO原料が液体状で気化器に導入されることを可能にし、極めて小さい量のみは気化しない。
液体SiO原料は、気化される個別の量がそれぞれ小さく、大表面を有している場合に、より容易かつ均一に気相に転移させることができる。これは、SiO原料の液体が微細液滴に粒子化されることで、最適に達成させることができる。液滴がより微細になるほど、気化プロセスはより効果的かつ完全かつ迅速になる。粒子化された液滴は、次いで、圧低下及び/又は加熱された希釈剤/キャリアガスとの混合を介して気相に転移させることができる。
微細液滴の高温キャリアガスへの接触は、150℃〜230℃の範囲の温度で保たれた膨張室で行われる場合に有利であることが判明した。150℃未満の温度では、液滴は完全に気化されず、その結果、液体が反応帯に取り込まれ、これが粒子形成プロセスにおける不均質性及び、気泡等のスート体構造における欠陥を引き起こす一定の危険性がある。230℃より高い温度では、そうでなければ起こらない、再現性がなく、望ましくない反応生成物を伴うエネルギー的に抑制された反応、特に分解及び重合反応が起こりやすくなる。
液滴径の範囲は多くのパラメーターに依存する。これは特に、液体のレオロジー特性及び噴霧ノズルの形状とは別に、圧差によって実質的に決定された、噴霧ノズルからの液体の流出速度である。流出する液体ジェットは、圧差が1.2〜1.8バールの範囲内で、乱流のために特に狭い液滴径分布で、微細液滴に分解する。
好ましくは、窒素、アルゴン又はヘリウムを含有するキャリアガスが使用される。
これらはポリアルキルシロキサンに関して不活性な挙動を示すガスであり、そのため、特に圧下及び上昇させた温度で、液体とキャリアガス間の酸化、重合又は分解反応、及びそれによる原料の組成における再現性のない変化が回避される。
本発明による方法の更なる構成の変形例は、SiO原料が膨張室に導入されたときに、SiO原料の組成が濃度検出器によって測定されるという点で特徴付けられる。
この構成の範囲内で、組成、すなわち、例えばD3、D6及びD7の比は、膨張室で直接モニタリングされる。ここで、供給されたSiO原料は濃度検出器、例えばガスクロマトグラファーによって分析される。このような濃度検出器を備えた解析装置は膨張室の出口に配置されることもでき、SiO原料蒸気の組成を決定することができる。一つ又は両方の検出器は品質管理システムの一部であっても良く、加えられた物質及び蒸気がモニタリングされる計算システムに組成の測定量を送っても良い。このような組成及びSiO原料の重量分率の持続的なモニタリングは、本発明による方法がいつでも使用されることができ、それによって、密度の変動の分散δInvが0.023%のみであるスート体を形成することができることを保証する。そのため、非常に均質性の高い石英ガラスを、このような構造のスート体からガラス化によって製造することができる。
液体原料は、各成分D3、D4、D5、D6及びD7を混合することによって、又は、成分の混合物を混ぜることによって、製造することができる。好ましくは、工程(a)によるSiO原料の供給は、
D3、D4、D5、D6及びそれらの直鎖同族体が少なくとも99重量%を占める、ポリアルキルシロキサンの第1混合物を供給する工程と、
D7が少なくとも5000重量ppm、好ましくは少なくとも10000重量ppm、特に好ましくは少なくとも20000重量ppmの量を占める、ポリアルキルシロキサンの第2混合物を供給する工程と、
工程(b)による気化の前又はその間に、重量分率mD7+が全混合物において少なくとも20重量ppmとなる混合比で、ポリアルキルシロキサンの第1及び第2混合物から混合体を生成する工程と
を含む。
第1混合物としてのポリアルキルシロキサン混合物は、D4を基として、及び、所望する比及び量のD4とD6を有するように、例えば、標準的な蒸留プロセスがD4の精製に用いられることで、得ることができる。この蒸留プロセスは、D4が精製されるまで稼働することができるが、付加的成分が混合物から除去され、必要であればこれらは第2混合物によって再び加えられなくてはならないため、(またコストの理由からも)必須ではない。第1混合物は、全混合物において、例えば95重量%より多い割合の量を占める。しかしながら、一般に、このような混合物におけるmD7+の量は非常に小さい。
第2混合物は、主に、D7(及び/又はD8)の所定量を設定し、比mD3/mD6を修正することができる。多量のD7及びより長鎖の分子を有するポリアルキルシロキサン混合物は、例えば、従来の多段式分留装置によって最終蒸留工程の前に除去することができる中間留分中に存在する。このような中間留分中の重量分率mD7+は、好ましくは少なくとも5000重量ppmである。第2混合物の必要な混合量は、重量分率mD7+に本質的に依存し、第1混合物の混合量と比較して小さい。いずれにせよ、高価なD4の精製又は高純度D4の使用は省略することができる。
第1混合物及び第2混合物の混合は、原料の液相で起こる。これに代わって、まず第1混合物及び第2混合物が気化され、その混合プロセスは、工程(c)の前又はその間にその蒸気流を組み合わせることによって起こる。原料の異なる成分に別々の気化器を使用することにより、気化温度及び気化速度のような気化パラメーターは、気化される成分に個別に適合されることができ、また、最適化されることができる。
好ましい方法の変形例では、原料蒸気をバーナー列に配置された複数の堆積用バーナーに供給し、該堆積用バーナーを堆積表面に沿って連結的かつ可逆的に動かすことにより、工程()に従ってSiO粒子を堆積表面に堆積させることが意図される。
SiOスート体を製造する公知の方法において、堆積用バーナーは、スート体表面の一部に沿って往復移動する。個別の堆積用バーナーの形状又はバーナーへの媒体供給の違いにより、この手順は、スート体において、特に、隣り合う堆積用バーナーの重複領域においても密度の変動を特に生じさせる傾向がある。スート密度の均質性は、特に、バーナー移動の折り返し点の領域において、向上させることができ、これは、粒子形成プロセスにおける粒径分布の広幅化によるスート密度差を、許容するよりむしろ曖昧にする、本発明による方法の特性に帰着させることができることが明らかとなった。
従って、本発明による方法は、光ファイバーの製造に使用される石英ガラスを製造するために特に良く適している。スート体における密度の変動の小ささは、電気通信用の光ファイバーに特に適した高品質の石英ガラスの製造を容易にする。
実施の形態
以下で態様及び図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
SiOスート体を製造する本発明による方法を実施するための装置を概略図で示す。 原料の組成に依存するスート体の層密度に関する図を示す。 本発明により、原料を使用して異なるポリアルキルシロキサンから製造されたスートチューブの、そのスートチューブの縦軸方向から見たCT画像である。 比較のために、先行技術に基づき純粋なオクタメチルシクロテトラシロキサンを原料として用いて製造されたSiOスートチューブのCT画像を示す。 本発明による石英ガラス製造システムの多様な要素を示す概略図である。 気化室の概略図である。 D3分子の構造式を示す。 D7分子の構造式を示す。
図1に示される装置は、SiOスート体200を製造するために供される。一列に配置された複数の火炎加水分解バーナー140は、酸化アルミニウムからなるキャリアチューブ160に沿って配列され、スート堆積のために、バーナーの連結列において回転するキャリアチューブ160に沿って可逆的に往復移動する。各バーナー炎143は、キャリアチューブ160の全長の一部をさっと通るに過ぎない。火炎加水分解バーナー140は、キャリアチューブ160の縦軸161と平行に、縦軸161に対して固定された二つの折り返し点の間を往復移動する連結バーナーブロック141上に配置される。このバーナーブロックは、方向指示矢印142によって説明されるように、その垂直方向において移動可能である。バーナー140は石英ガラスから構成される。これらの中心間の距離は15cmである。
各火炎加水分解バーナー140に帰属するバーナー炎143は、本発明の意味における反応帯を構成する。火炎加水分解バーナー140は、SiO粒子の形成のため、原料としてSiO原料蒸気を、及び、バーナーガスとして酸素及び水素をそれぞれ供給される。このSiO原料蒸気107は、表1で参照されるような組成を有する気化されたポリアルキルシロキサンの混合物を含有する。付加的成分に富んだ液体SiO原料105は、気化され、ガス状で反応帯に供給され、そこで酸化及び/又は加水分解及び/又は熱分解によってSiO粒子に分解される。
SiO粒子は、ナノメーター範囲の粒径を有するSiO一次粒子の凝集体又は集合体の形態で存在する。SiO粒子は、縦軸161周りに回転するキャリアチューブ160の円筒の外側表面に堆積し、その結果、外径350mmのスート体200が一層ずつ形成される。堆積プロセスの間、スート体表面上の温度は約1200℃となる。
ポリアルキルシロキサン混合物を有するSiO原料蒸気107は、液体混合用の貯留容器110と、液体ポンプ122と、液体用の流量計123と、窒素のキャリアガス流152の供給を制御するためのMFC(ass low ontroller,マスフローコントローラー)124と、噴霧器128を備えた加熱可能な二重壁気化室125とを含む気化システム120によって製造される。貯留容器110、ポンプ122及び噴霧器128はフレキシブルな金属ラインによって互いに連結することができる。貯留容器110は170℃の温度に加熱され、加熱された液体は、流量計123による正確な量で、ポンプ122によって噴霧器128に供給される。SiO原料105及び/又はSiO原料蒸気107の組成をモニタリングするために、流量計123及び噴霧器128の間の連結ラインに濃度検出器を配置しても良い。
噴霧器128(噴霧ノズルとも呼ばれる)は、超音波型噴霧器である。この噴霧器は、MFC124による1.5バール〜5バールの圧下で、窒素キャリアガス流と気化される液体を同時に供給される。このプロセスにおいて、液体は、最大直径が1μmであり、平均直径(d50値)が0.7μmである小さい液滴径分布を有する微細液滴に粒子化され、直接気化室125に噴霧される。
気化室125は195℃の内部温度を有する。その結果、微細液滴は直ちに気化され、蒸気流は、据え付けの分流器に供給され、この分流器によって断熱性のフレキシブルな媒体供給ライン経由で個別の堆積用バーナー140に分割される。燃焼ガスである、酸素及び水素用の供給ライン、並びに、原料の流れ及び燃焼ガスの流れの間のバーナー炎143中で使用され、早期混合を防止する補助ガス(酸素)用の供給ラインもまた分流器で終わっている。従って、燃焼ガス及びSiO原料蒸気107はバーナー炎143の高温領域でのみ混合される。
堆積プロセスの終了後、コンピューター断層撮影(CT)解析にかけられる多孔質SiO体(スートチューブ)が得られる。このスートチューブ200は、その長さ全体に亘ってX線で照射される。これによって得られた画像は、スートチューブ200の軸方向及び径方向の層構造の強度及び均質性における量的及び質的な説明を可能にする。
Figure 0006013500
表1におけるポリアルキルシロキサンの全濃度は重量ppmで示されており、その他の分率はそのたびごとのD4及び化学的に類似したD5並びに回避不可能な不純物を含む。
パラメーター「S」は、CT測定によって検出された層構造の均質性及び強度の質的尺度である。品質評価の記号は以下の通りである。
「++」 非常に良い
「+」 良い
「0」 許容可能
「−」 悪い
「−−」 非常に悪い
表1は、試験において検査された液体SiO原料の異なる組成と、それに対応するスートチューブにおいて決定された品質結果を表したものである。
液体SiO原料はポリアルキルシロキサン混合物から製造された。第1出発混合物は、主に極微量のD3及びD5のみを含有し、D6をほぼ含有せず、D7及びD8は全く含有していない商用の高純度のD4である。
第2出発混合物もまた商用のD4であるが、純度の低いものである。この出発混合物は実質的にD3、D4、D5及び少量のD6とD7を含有する。この混合物は、原料中の大部分を占める。
第3のポリアルキルシロキサン混合物もまた、ポリアルキルシロキサンの蒸留物である。ここで、出発液体は、従来の多段式分留装置によって最終蒸留工程の前に除去される中間留分である。このポリアルキルシロキサン混合物は、本質的に、D5(50〜85重量%)、D6(10〜40重量%)及びD7(0.5〜5重量%)から構成される。
これらの出発混合物は、原料が所望の分率の付加的成分を有するような混合比で、全混合物の形成と共に、液相で混合される。第3出発混合物の全混合物に対する分率は、0.1重量%〜3重量%である。
これまでの説明から明らかであるように、重量比mD3/mD6が0.01〜100の範囲内、好ましくは0.10〜10の範囲内であるD3及びD6の混合物は、同時に重量分率D7が少なくとも20ppmである場合、均質なスート体をもたらす。これらの重量比を超過した場合又はこれらの重量比に満たない場合、不均質性の数が増加し、従って、合成石英ガラスの品質が落ちる。例えば、表1の品質結果は、原料が、D4は別として、適した量的割合のポリアルキルシロキサンD3、D6及びD7を含有する混合物の形態で用いられた場合、層形成が少ない均一な層構造を有する石英ガラスを経済的に得ることができることを示している。
更に、石英ガラス体の最適な均質性を達成するために、成分の重量分率mD3とmD6の合計は、好ましくは200〜20000重量ppmの範囲内であり、重量分率mD7+は、少なくとも20ppm、好ましくは少なくとも50重量ppmであることが明らかとなった。重量分率の選択された範囲及び/又は選択された合計からの逸脱は、そのたびごとに石英ガラスの均質性を低下させる。特に顕著なものは、比mD3/mD6が0.1〜40の範囲内であり、分率mD7+がそれぞれ20重量ppm、25重量ppmであるサンプルであった。
先行技術及び/又は本発明による方法で製造されたスート体は、石英ガラスの密度の25〜32%の密度を有することができる。得られる密度は特に、堆積表面からのバーナーの距離、設定温度、ガスの化学量論比及び堆積用バーナーの形状に依存する。スート体中の異なる密度曲線、例えば、スート体において径方向に線形の、上昇的な又は下降的な密度曲線は、これらの要素を変更することによって得ることができる。密度分布を分析するために、公知の方法で、約700の測定点におけるスート体の局所密度が決定された。最終的に、CT法によって、スート体の全長について、約50の断面画像が作成された。各画像は、スート体の縦軸を横断した断面を示す。径方向の密度曲線を決定するために、ほぼ等距離な14の測定点が、50の各CT断面画像に記録される。この方法によって、それぞれの径方向の密度曲線を、スート体に亘る断面領域に沿って、決定することができる。また、密度プロファイルは、スート体の縦軸に沿って決定することができる。
これまで説明されてきたように、異なる分子の大きさ及び反応性を有する付加的成分を備えたSiO原料の使用は、粒径分布の広幅化をもたらすことができると考えられる。異なる分子の大きさを図示するために、図7は分子D3の構造式を、図8は分子D7の構造式を示す。
分子レベルで、異なる大きさのSiOの凝集体及び集合体が形成され、その大きさの分布は、より広範囲にわたる。実際のスート粒子の粒径分布は、純粋なD4から形成されたSiOスート粒子の粒径分布よりも広範囲である。より広範囲な粒径分布は、間隙が均一に充填されるため、より均一な充填を形成することを可能にする。これによって、SiOスート体中の密度の変動が(巨視的な面で)より小さくなる。従って、700の測定点の範囲内で決定された密度は、微小なスケールにおけるより広範囲な粒径分布の、巨視的な結果を反映する。
密度の平均値Mは、中心軸からの幾何学的距離ではなく、スート体の縦軸に沿って変動する幾何学的位置を有する50の測定点全体の平均から得られる。平均的なスート体の場合、50の断面図が、コンピューター断層撮影法によってスート体に亘って作成される。その結果、密度の平均値は、そのたびごとの50の密度測定量の平均から得られる。一般に、密度の平均値は、幅σを決定することができるように、それぞれ標準的な方法で分布される。径方向の密度プロファイルを決定するため、50の各断面図において、14の測定点が決定される。ここで、スート体の中心点からのこれらの測定点の径方向の距離は増加している。従って、平均値Mの幅σの分散δは、14の点の統計を含む。
一定の密度分布を持つ又は持つであろうスート体において、50の全測定量についてのスート体の密度の平均値M及び密度の平均値の幅σを、得られた測定データに基づいて決定することができる。そのため、値σは、スート体の縦軸方向に沿った堆積表面からの所定の距離で、密度がどの程度強く変動するかを示す。更に、径方向のプロファイルを記録するために決定された14の測定点に基づき、幅σの分散δを計算することも可能である。
先行技術と本発明によって行われた測定を比較するために、いくつかのスート体を測定した。バーナーからの距離、バーナー温度及び燃焼ガスの化学量論比等の境界条件はスート体の各密度に大きな影響を与えるため、これらを可能な限り一定に保って試験を行った。スート体はそのたびごとに、線形な密度プロファイルを有し、石英ガラスの密度の25%〜32%間の密度に達するように製造された。公知の方法又は材料が使用された場合、スート体の密度の幅σ及び分散δについて以下の測定値が得られた。
σStdT=0.4%
δStdT=0.025%
これらの値はそれぞれ石英ガラスの密度に対する相対密度で示される。
そうでなければD4によって主に構成されるSiO原料に対する付加的成分D3、D6及びD7の追加は、粒径分布の広幅化をもたらす。この粒径分布の広幅化はスート体における密度の変動それ自体をより小さくする効果を有する。驚くべきことに、密度の変動の差が縮小されたことが更に明らかとなった。平均して、スート体の密度の幅σ及び分散δについて以下の値が得られた。
σInv=0.37%
δInv=0.023%
この例においても、これらの値はそれぞれ石英ガラスの密度に対する相対密度で示される。本発明による方法の使用は、測定された密度変動を最大9%まで縮小する。驚くべきことに、幅の変動も最大8%まで縮小される。この平均密度の変動の幅の変動の縮小は、先行技術で知られるよりも遙かに均質な石英ガラスを生じさせる。
表1に示された測定結果は、図2の図にも反映されている。縦軸には、CT測定から決定される、単位長さ(cm)あたりのスート体中の層の数「A」がプロットされている。横軸には、0.1〜1000の範囲内で比mD3/mD6が対数プロットされている。
合計重量(mD3+mD6)は、これらの測定において変動し、重量分率mD7+も変動する。その結果、組成と生成物の品質との間に存在し得る相関関係は、別の効果によってカバーされる可能性がある。しかしながら、SiOスート品質に関して、相対的に明白な最適条件を得る傾向を、比mD3/mD6がおおよそ5〜10の範囲内で、全体的及び質的に決定することができる。この傾向は、比の値がより小さく又はより大きくなると急速に減退する。
本発明による利点は、制限された組成の範囲内でのみ得ることができる。この効果は、権利の請求範囲を超えて重量比が変動すると消え去る。
図3及び図4は、X線コンピューター断層撮影法によって作成された層の画像を示す。円筒型石英ガラス体に亘る断面図は、そのたびごとに見ることができる。ここで、断面図は石英ガラスの縦軸を横断する方向に作成される。これまで説明されたように、非晶質のSiO粒子は、堆積表面上に堆積される。この堆積表面は、前述の図3及び図4において、灰色で示される石英ガラス体の中心に位置する白いリングとして認めることができる。SiO粒子は、ロッド型堆積表面の回転のもとに、一層ずつ堆積される。
図3のCT画像は、表1のサンプル番号5によるSiO原料105を用いて製造されたSiOスートチューブを示す。この画像技術において、相対的に高密度の領域は、明るい表面領域として示される。密度が内側から外側に均一的に減少していることは明らかである。径方向の層はほとんど視認できない。これと比較して、図4のCT画像は、商用のSiO原料を用いて、先行技術によって製造されたスートチューブを示す。径方向に延びた層は、明度の差によって検出することが出来る。図4によるサンプルにおけるより小さい内径は、SiOスートチューブを製造する堆積プロセスにおいて、より小さい外径を有するキャリアを使用したことによる。密度の変動は、石英ガラスの断面を視覚化するためにX線放射を用いることで、特に容易かつ明瞭に検出することができる。公知の方法によって製造された石英ガラスが、複数の同心円状に構成された密度の変動のリングを有することは明らかである。石英ガラスが光ファイバーに使用される場合、このような種類の密度の変動は不利になり得る。
対照的に、図3は密度の変動を示唆する同心リングがもはや存在しないことを明らかに示す。コンピューター断層撮影によって作られた画像の光学的制御は、非常に均一な均質性を示す石英ガラス体が、所定量及び重量比の付加的成分D3、D6及びD7を含有するポリアルキルシロキサン混合物を用いることで製造されることを既に明示している。石英ガラスの均一な均質性は、スート体におけるSiO粒子の均質な分布から直接得られる。SiOスート体から合成石英ガラスへの転移は、熱エネルギーの供給のもとに起こる。本方法のガラス化と呼ばれる工程の範囲内で、SiOスート体中に存在する欠陥又は密度の変動は、石英ガラス自体に現れる。付加的成分を有するポリアルキルシロキサンの使用は、これまで説明してきたように、粒径分布の広幅化をもたらす。従って、スート体における密度の変動の分散を、δInv=0.023%のみに減少させることができる。このような均質なSiOスート体は、ガラス化によって、極めて均質な石英ガラス体に更に変化させることができる。
図5は、本発明による方法を用いた石英ガラスの製造のためのシステム100を示す。この目的のために、システム100は貯留タンク110を含む。この貯留タンクから液体SiO原料105はポンプ(不図示)によって予備加熱装置115に送られる。公知の方法の補助により、液体SiO原料105は、予備加熱装置115中で上昇させた温度に予め加熱される。液体SiO原料105は、予備加熱装置115を通った後、気化器120の膨張室125に送られる。後でより詳細に説明されるように、液体SiO原料105のガス状SiO原料蒸気107への転移は、膨張室125で起こる。このSiO原料蒸気107は、ライン130経由でバーナー140に流れ、そこでSiO原料蒸気からSiO粒子への熱分解又は加水分解変化が起こる。
予備加熱装置115は、入口116と出口117を有する。SiO原料105は、入口116を通って、予備加熱装置115に供給される。SiO原料105は、予備加熱装置115内で加熱される。これは、予備加熱装置115の壁中の電気発熱体又は熱油システムを用いて行われる。高温領域を避けながら、液体SiO原料105を均一な方式で加熱するために、予備加熱装置115が熱油チャネルに囲まれたフローチャネルを含む場合、有利であることが判明している。それによって、実現可能な液体から液体への伝熱は、液体SiO原料105の均一な加熱を達成する。このタイプの均一な加熱は、D3、D6及びD7分子の温度誘導性の化学変化が存在しないことを保証する。加熱された液体SiO原料105は、供給ライン145を通って、予備加熱装置115から膨張室125に放出される。
膨張室125は、SiO原料蒸気の自由膨張のための内容積を決定する。このような液体SiO原料のガス状原料蒸気への気化を達成するために、液体SiO原料の温度は、予備加熱装置115において、膨張室の作動圧下でのSiO原料の沸点より高く上昇させられる。予備加熱装置115の好ましい作動温度は約220℃である。大気圧下でのD4の沸点は、約175℃である。液体SiO原料が220℃で沸騰する状況を避けるために、予備加熱装置115において約100kPaの背圧が必要とされる。これによって、液体反応物は、予備加熱装置115中で過冷却された(圧縮された)液体として保たれる。
図6で図示されるように、液体SiO原料は、予備加熱装置115から、供給ライン145を通って、膨張室125の内部に流れる。予備加熱装置115は液体SiO原料105を適当な程度に加熱し、その結果、膨張室125の内容積に入るときに圧を下げながら、ほぼ完全に気化する。膨張室125の作動圧下で、予備加熱装置115が液体SiO原料の温度をSiO原料の沸点より高く上げていた場合にのみ、このような即時の気化が起こる。従って、直ちに気化されるSiO原料105の量は、予備加熱装置115における液体SiO原料へ供給される加熱量に依存する。
SiO原料の高沸点部分においても特に均一かつ完全な気化を達成するために、加熱されたガス状希釈剤が付加的に気化室に導入される場合が有利である。SiO原料は複数のポリアルキルシロキサン、特にD3、D4、D6及びD7を含む。これらのポリアルキルシロキサンは、表2で認められるように、それぞれ異なる沸騰温度及び異なる蒸気圧を有する。
Figure 0006013500
付加成分の重量比を維持するために、SiO原料が完全かつ一致的に気化することが重要である。これは、熱の供給量及び希釈剤の供給量が、非常に高い沸騰温度を有するD7が気化できるほど大きいことを要求する。予備加熱装置115において、SiO原料を加熱するために、熱がそのSiO原料に供給される。しかしながら、特に高沸点ポリアルキルシロキサン、D7、D8又はD9では、約250℃の温度で、ゲルが形成される可能性がある。これらの高沸点物質のゲル形成を防ぐために、気化処理中に希釈剤152、好ましくは所望する気化温度に加熱したガス状希釈剤を供給する場合が有利である。この目的のために、ガス状希釈剤152は、相当する媒体ライン150を通って、貯留容器151から膨張室125に流れる。
特に、窒素は希釈剤152として有利であることが判明した。所望するのであれば、別の希釈剤、例えばアルゴン又はヘリウムを使用することもできる。これらはポリアルキルシロキサンに対して不活性な挙動を示す気体であるため、特に、加圧下及び上昇させた温度における、液体とキャリアガス間での酸化、重合又は分解反応、及びそれによる、原料の組成における再現性のない変化が回避される。膨張室125中の液体SiO原料の分圧は、希釈剤の供給によって低下し、それによって、その露点が下がる。結果として、SiO原料は、予備加熱装置115において、高温で加熱される必要がない。それどころか、SiO原料からSiO原料蒸気への完全な変化を確保するためには、150℃〜230℃の温度で十分である。SiO原料の気化は、SiO原料が液体状で微細液滴に粒子化される注入段階と、この微細液滴が、壁とは接触せずに、高温キャリアガスとの接触によって迅速かつ効率的に気化される気化段階を含むことがここでの目的である。
図6は、本発明による気化を図示する。加熱されたSiO原料105は、供給ライン145を通って、膨張室125に供給される。膨張室125内部の供給ライン145の末端において、供給ライン145はノズル型噴霧ノズル128を含む。液体SiO原料105は、噴霧ノズル128の補助により、平均直径(d50値)が1μm未満、好ましくは0.5μm〜20nmの間である微細液体に粒子化される。噴霧ノズル128から出たときに起こる圧低下により、液体原料の大部分は気相に転移される。更に、約200℃〜約230℃に予め加熱された窒素流は、媒体ライン150を通って、膨張室125に入る。窒素流は、液体SiO原料105の温度に実質的に相当する、すなわち±10℃の温度を有することが有利である。本発明によると、窒素流は、高度の混合及び適切な伝熱を確保するために、液体SiO原料105の噴霧方向と反対に流れる。圧低下及びガス状窒素による気化の二つの気化原理の組み合わせにより、液体SiO原料105は、ガス状SiO原料蒸気107に完全に変化させられる。液体SiO原料105の一部が気化室125の壁に堆積すること及び/又はそこで熱的に気化されることは意図されていない。ガス状SiO原料蒸気107は、ライン130を通って、バーナー140に流出する。バーナー140において、SiO原料蒸気107は熱分解、酸化又は加水分解により、SiO粒子148(SiO又はスート若しくはSiOスートとも呼ばれる)に変化させられる。
液滴の径の範囲は多くのパラメーターに依存する。液体のレオロジー特性及び噴霧ノズル128の形状は別として、これらは特に、噴霧ノズルからの液体の流出速度であり、この速度は圧差によって実質的に決定される。この圧差の範囲内で、液体流出ジェットは、乱流により狭い液滴径分布で微細液滴に分解させる。
別の変形方法において、SiO原料の流れの形成は、D3、D4、D5及びD6を含有するポリアルキルシロキサンの混合物を気化することによって、第1ガス流を生成する工程と、D3、D4、D5、D6及びD7を実質的に含有するポリアルキルシロキサンの第2混合物を気化することによって、第2ガス流を生成する工程と、工程(C)の前又はその間に、これらのガス流を組み合わせる工程とを含むことが意図される。気化温度及び気化速度のような気化パラメーターは、原料の異なる成分に別々の気化器を使用することで、気化される成分に個別に適合されることができ、また、最適化されることができる。
100 システム
105 SiO原料
107 SiO原料蒸気

110 貯留タンク/貯留容器
115 予備加熱装置
116 入口
117 出口

120 気化器/気化器システム
122 液体ポンプ
123 フローメーター
124 MFC(ass low ontroller、マスフローコントローラー)
125 膨張室/気化室
126 ライン
128 噴霧ノズル

130 ライン

140 バーナー/火炎加水分解バーナー
141 バーナーブロック
142 140の動き
143 バーナー炎
145 供給ライン
148 SiOスート

150 媒体ライン
151 貯留容器
152 希釈剤

160 堆積表面/キャリアチューブ
161 160の縦軸

200 スート体

Claims (12)

  1. (a)主要な成分としてオクタメチルシクロテトラシロキサンD4を含有する、液体SiO原料(105)を供給する工程と、
    (b)前記SiO原料(105)を原料蒸気(107)に気化させる工程と、
    (c)前記原料蒸気をSiO粒子(148)に変化させる工程と、
    (d)多孔質SiOスート体(200)を形成しながら、堆積表面(160)に前記SiO粒子(148)を堆積させる工程と、
    (e)合成石英ガラスを形成しながら、前記SiOスート体(200)をガラス化する工程と
    を含む合成石英ガラスを製造する方法であって、
    前記液体原料(105)は、重量分率がmD3である、ヘキサメチルシクロトリシロキサンD3及びその直鎖同族体と、重量分率がmD6である、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンD6及びその直鎖同族体と、重量分率がmD7+である、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサンD7及び/又はヘキサデカメチルシクロオクタシロキサンD8及びそれらの直鎖同族体とを含む付加的成分を含有し、mD3が200重量ppm以上であり、mD6が50重量ppm以上であり、mD3/mD6の重量比が0.05〜90の範囲内であり、前記重量分率mD7+が少なくとも20重量ppmであることを特徴とする方法。
  2. 前記mD3/mD6の比が、0.1〜40の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記重量分率mD7+が、30〜100重量ppmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記重量分率mD3とmD6の合計が、500〜15000重量ppmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. mD3が15000重量ppm以下であり、mD6が2000重量ppm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記気化は、
    前記液体SiO原料(105)を加熱する工程と、
    前記加熱されたSiO原料(105)を膨張室(125)に導入し、その結果、該SiO原料(105)の少なくとも第1の部分が圧低下により気化される工程と、
    前記SiO原料(105)を加熱された希釈剤(152)で混合し、その結果、該SiO原料(105)の少なくとも第2の部分が露点の低下により気化される工程と
    を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記加熱されたSiO原料(105)を前記膨張室(125)に導入する工程は、前記SiO原料(105)が液体状で微細液滴に粒子化される注入段階を含み、該液滴の平均直径は5μm未満であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記微細液滴の前記高温キャリアガス(152)への接触は、150℃〜230℃の範囲の温度で保たれた膨張室(125)で行われることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の方法。
  9. 前記SiO原料(105)を前記膨張室(125)に導入する間、濃度検出器によって前記SiO原料の組成を測定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程(a)による液体SiO原料(105)の供給は、
    D3、D4、D5、D6及びそれらの直鎖同族体が少なくとも99重量%を占める、ポリアルキルシロキサンの第1混合物を供給する工程と、
    D7が少なくとも5000重量ppmの量を占めるポリアルキルシロキサンの第2混合物を供給する工程と、
    工程(b)による気化の前又はその間に、重量分率mD7+が全混合物において少なくとも20重量ppmとなる混合比で、ポリアルキルシロキサンの前記第1及び第2混合物から混合体を生成する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記原料蒸気(107)をバーナー列(141)に配置された複数の堆積用バーナー(140)に供給し、該堆積用バーナーを前記堆積表面(160)に沿って連結的かつ可逆的に動かすことにより、工程(d)に従って前記SiO粒子を前記堆積表面(160)に堆積させることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 請求項1から請求項11の少なくとも1項の方法により合成石英ガラスを製造し、該製造された合成石英ガラスを用いて光ファイバーを製造することを特徴とする光ファイバーを製造する方法。
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