しかしながら、上記特許文献1のような疑似的な大役処理では、突然特典が付与されるという有利性はあるが、これとは反対に、当選したのに、当該当選による賞球がないため、疑似大役の動作(大入賞口の短い時間の開閉動作)が開始された時点で、遊技意欲を減退させることになる。
本発明は上記事実を考慮し、見掛け上、通常遊技状態から突然特典を付与する場合に必要な極めて短い時間かつ極めて少ない回数の所定の入賞口の開閉によって、遊技意欲が減退することなく、期待感を持続させることができる遊技機を得ることが目的である。
本発明は、始動口への遊技球の入賞を契機に、所定の確率で特別図柄抽選が実行され、前記特別図柄抽選の結果を図柄変動パターン演出によって報知すると共に、前記特別図柄抽選の結果が当たりの場合に、所定の入賞口を開放して、短期間で多くの賞球を可能とする大役処理を実行する大役処理実行制御手段を備えた遊技機であって、前記大役処理実行制御手段が、1回の大役処理において、前記所定の入賞口の開放時間と開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行する最大限大役処理手段と、1回の大役処理において、前記所定の入賞口の開放時間と開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行する最小限大役処理手段と、1回の大役処理において、前記最小限大役処理手段による前記所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ前記初期動作に続く1回の大役の継続動作として、前記最大限大役処理手段による前記所定の入賞口の開閉動作回数の内、前記初期動作に相当する動作回数分を除く動作回数と同等の開閉動作を実行する複合大役処理手段と、前記特別図柄抽選の結果に基づいて、前記最大限大役処理手段、前記最小限大役処理手段、及び前記複合大役処理手段による前記所定の入賞口の開閉動作の実行後に、以後の通常遊技状態の下での前記特別図柄抽選が、通常よりも早期に当たりとなるように前記所定の確率を通常の当選確率よりも高確率とする確変特典を付与するか否かを選択する確変特典付与選択手段と、前記特別図柄抽選の結果に応じた遊技情報をホールコンピュータへ出力する端子と、前記最大限大役処理手段、前記最小限大役処理手段、前記複合大役処理手段を含む複数の大役処理手段により実行される複数の大役処理の遊技仕様と、前記確変特典を付与するか否かとを組み合わせて遊技仕様を設定する設定手段と、を有し、前記設定手段による大役処理の遊技仕様と確変特典を付与するか否かとの組み合わせにおける全ての設定において、実行される遊技仕様が前記確変特典が付与される遊技仕様の場合に、前記複合大役処理手段による前記所定の入賞口の開閉動作の実行後には、常に前記確変特典が付与される設定で遊技を実行させることを特徴としている。
本発明において、前記特別図柄抽選の結果に基づいて、前記最大限大役処理手段、前記最小限大役処理手段、及び前記複合大役処理手段による前記所定の入賞口の開閉動作の実行後に、前記特別図柄抽選の結果を報知する時間を短縮する時短特典を付与するか否かを選択する時短特典付与選択手段をさらに有することを特徴としている。
前記時短特典付与選択手段が、前記始動口への遊技球の入賞を緩和する始動口入賞緩和手段における、緩和するか否かの選択を含むことを特徴としている。
本発明によれば、所定の入賞口の開放時間及び開閉動作回数を異ならせることで、大役処理の実行の際の賞球数が変わるため、遊技仕様のバリエーションとすることができる。
また、特典を付与するか否かによって、早期に特別図柄抽選に当選するか否かが決まるため、上記複数の大役処理の遊技仕様と、特典の有無とを組み合わせることで、大役処理となった時点でどのような遊技仕様となるかがわかり難くすることができる。
例えば、大役処理として、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作で所定の入賞口を開閉動作させ、かつ特典を必ず付与するような遊技仕様を設定した場合、ほとんど賞球はないが、以後の特別図柄抽選の当選の確率が高くなる。
このような遊技仕様では、初期の開閉動作で賞球がないことがわかってしまうため、別の遊技仕様として、初期の段階だけ上記の開閉動作とするが、これに続いて、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作で所定の入賞口を開閉動作させる。
これにより、初期動作だけでは、その後、どのような展開になっていくかわからなくなり、期待感を持って遊技を進行させることができる。
大役処理の遊技仕様として、例えば、3パターンを設定する。すなわち、第1の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行すると共に、所定の入賞口の開閉動作の実行後に、以後の通常遊技状態の下での前記特別図柄抽選が、通常よりも早期に当たりとなり得る特典を付与するものである。
第2の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されるものである。
第3の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
これにより、第1乃至第3の大役処理の初期動作が全て同一であるため、大役処理が開始されても、大役による賞球の期待感を持続することができ、その後は変化に富んだ遊技仕様に発展していくため、趣向性の高い遊技仕様とすることができる。
大役処理の遊技仕様として、例えば、4パターンを設定する。すなわち、第1の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行すると共に、所定の入賞口の開閉動作の実行後に、以後の通常遊技状態の下での前記特別図柄抽選が、通常よりも早期に当たりとなり得る特典を付与するものである。
第2の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されるものである。
第3の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
第4の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
これにより、第1乃至第4の大役処理の初期動作が全て同一であるため、大役処理が開始されても、大役による賞球の期待感を持続することができ、その後は変化に富んだ遊技仕様に発展していくため、趣向性の高い遊技仕様とすることができる。
大役処理の遊技仕様として、例えば、6パターンを設定する。すなわち、第1の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行すると共に、所定の入賞口の開閉動作の実行後に、以後の通常遊技状態の下での前記特別図柄抽選が、通常よりも早期に当たりとなり得る特典を付与するものである。
第2の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されるものである。
第3の大役遊技仕様が、最小限大役処理手段による所定の入賞口の開閉動作と同等の開閉動作を初期動作とし、かつ当該初期動作に続いて前記所定の入賞口の開放時間、開閉回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
第4の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最小限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
第5の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されるものである。
第6の大役遊技仕様が、所定の入賞口の少なくとも開放時間及び開閉動作回数に関して、予め設定された制限範囲における最大限の開閉動作を実行し、特典が付与されないものである。
この内、第5及び第6の大役遊技仕様は、現在の遊技機で設定されている遊技仕様である。
一方、第1乃至第4の大役処理の初期動作が全て同一であるため、大役処理が開始されても、大役による賞球の期待感を持続することができ、その後は変化に富んだ遊技仕様に発展していくため、趣向性の高い遊技仕様とすることができる。
ここで、第1乃至第4の大役遊技仕様の際の図柄変動パターン演出による特別図柄抽選の結果を報知する図柄と、第5及び第6の大役遊技仕様の際の図柄変動パターン演出による特別図柄抽選の結果を報知する図柄とを変えることで、遊技者に明確に区分けして当選した大役遊技仕様を報知することができる。
例えば、3列の数字図柄を用いた変動パターン演出の場合、第5及び第6の大役遊技仕様に当選した場合には、従前通り同一の図柄が揃い、かつ奇数の場合は第5の大役遊技仕様とし、偶数の場合は第6の大役遊技仕様とする。
一方、第1乃至第4の大役遊技仕様に当選した場合には、「123」や「654」等の連続した数字や、別途数字とは異なる図柄が揃ったときとする。
このような図柄変動パターン演出との組合せを行うことで、結果的に特別図柄抽選の当選の機会を増やすことが可能となる。
特典としては、特別図柄抽選による当選確率を高くする確率変動(確変)と、特別図柄抽選の結果を報知する時間を短縮する時短とがあり、本発明は、これらの少なくとも何れか一方の特典が設定されている遊技機に対して、非常に有効な手段である。
大役遊技仕様の違いによる遊技者への総賞球払出数が減った分を積極的に始動口入賞緩和手段による始動口への入賞のし易さに置き換える。
すなわち、賞球減と始動口入賞緩和とは相対的なものであり、入賞がし易くなった分、特別図柄抽選回数が増えると共に始動口への入賞に応じた賞球を獲得できるため、遊技者は、継続的に趣向性を維持することができる。
以上説明した如く本発明では、見掛け上、通常遊技状態から突然特典を付与する場合に必要な極めて短い時間かつ極めて少ない回数の所定の入賞口の開閉によって、遊技意欲が減退することなく、期待感を持続させることができるという優れた効果を有する。
(全体構成)
図1には、本実施の形態に係るパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は額縁状の枠体12に収容されている。パチンコ機10の前面には、ガラス枠14が設けられている。
ガラス枠14には、複数の表示灯16やスピーカ18が設けられている。また、ガラス枠14の中央は窓部となっており、この窓部には紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行とされた一対のガラス20(二重構造)が装着されている。さらに、図1のガラス枠14の右辺部には施錠装置(シリンダ)22が設けられている。
ガラス枠20の下方位置には、球皿部24を備えた一体皿26が配設されている。この一体皿の球皿部24には、貯球タンク(図示省略)と連通し、この貯球タンク内のパチンコ球を球皿部24へ流出させる連通口23が設けられている。
この貯球タンクには、パチンコ機10の上端に設けられた貯留部(図示省略)に貯留されたパチンコ球が払い出されるようになっている。この払い出しには、遊技者にパチンコ球を貸し出すとき(球貸)と、遊技の進行に応じて遊技者に付与するとき(賞球)と、の2種類がある。
一体皿26は、その一側部(図1の左辺部)が枠体12に対して開閉可能に取付けられている。一体皿26の前面には、左側下部に灰皿28が配置され、右側下部には発射装置166(図3参照)から発射する打球の飛距離を調整するための発射ハンドル30が設けられている。
また内枠14の窓部には、遊技盤載置台に載せて交換可能とされた遊技盤32が窓部に対応して設置されている。
図2に示される如く、遊技盤32は、外バンド36及び内バンド38によって囲まれた略円形状の遊技領域が形成されている。
遊技領域には、図示しない釘や風車の他、センター役物42、当該センター役物42に設けられた表示部43、並びに大入賞口(変動入賞装置)44等の役物、特別図柄抽選の契機となる始動口として適用された始動入賞装置46や通過装置48、一般入賞装置49等の遊技部品が取り付けられており、最下位置にアウト口54が配置されている。なお、センター役物42の上端部には、普通図柄表示装置42Aが設けられている。
通過装置48(図2の向かって左側の通過装置48のみの場合もある)は、前記普通図柄表示装置42Aの始動トリガとなっており(普通図柄始動口)、通過装置48をパチンコ球が通過すると普通図柄抽選(普図抽選)が実行され、当たりの場合、普通図柄表示装置42Aの表示が当りを表示し、電動チューリップ47が開放し、始動入賞装置46への入賞の確率が物理的に高まるようになっている。
また、表示部43の上部には、保留ランプ100が設けられており、本実施の形態では、最大4個の保留が可能であるため、この数に対応した4個の保留ランプ100が設けられている。
保留とは、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに始動入賞装置46に入賞した場合に、この入賞により実行された特別図柄抽選の結果の報知を待機することを言う。なお、大役処理中に始動入賞装置46に入賞した場合も、表示部43が大役処理演出の動画パターンを再生しているため、保留の対象となる。但し、保留する数には限度があり(本実施の形態では4個)、これ以上の始動入賞装置46への入賞は保留の対象とはならない。
(制御系の構成)
図3は、パチンコ機10を制御するための制御系の概略が示されている。制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
この主制御部150には、始動入賞装置46に設けられた始動入賞センサ168、普通図柄始動口である通過装置48や、入賞装置49に設けられた通過/入賞センサ172並びに大入賞口44に入賞したパチンコ球を検出する大入賞口センサ173が接続されている。なお、大入賞口44には、大入賞口の開閉動作を継続するためのVゾーンが設けられており、このVゾーンにもVゾーンセンサ177が設けられており、主制御部150に接続されている。このVゾーンセンサ177は、省略して大入賞口センサ173のみにするものでもよい。
さらに、主制御部150には、始動入賞装置46に設けられた電動チューリップ47(図2参照)を開閉させるためのソレノイド174、大入賞口44を開閉させるためのソレノイド175が接続されている。
また、主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報が出力されるようになっている。
ここで、パチンコ球が始動入賞装置46に入賞すると、これを始動入賞センサ106で検出することで特別図柄抽選が実行されるようになっており、当選した場合は、通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態が移行されるようになっている。
一方、この主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とが接続されている。
演出制御部152には、図柄・音声制御部156を介してスピーカ18、センター役物42の表示部(LCD)43、普通図柄表示装置42A、並びに保留ランプ100が接続されている。また、演出制御部152は、パチンコ機10のガラス枠14に取り付けられた複数の表示灯16の点灯・消灯を制御する。なお、表示部43では、前記特別図柄抽選の結果を報知するための図柄変動パターン演出画像を表示すると共に、スピーカ18からは当該図柄変動パターン演出時のBGMが出力されるようになっている。すなわち、遊技者は、視覚及び聴覚を通じて、特別図柄抽選の結果を含む演出を楽しむことができる。なお、普通図柄表示装置42A、保留ランプ100は表示部43にて表示するものでもよい。なお、図柄変動パターンには、特別図柄変動パターン及び演出図柄変動パターンがあり、双方共に特別図柄抽選の結果を報知するものであるが、特別図柄変動パターンは予め定められた変動及び停止を行い特別図柄抽選の結果を所定時間経過後に正式に報知する性質のものであるのに対し、演出図柄変動パターンは当該特別図柄抽選の結果を報知するまでの過程に演出を加味し、当選/落選かに一喜一憂させながら報知する性質のものである。
従って、実際には、演出図柄変動パターンを主として表示部43のほぼ全域に表示し、特別図柄変動パターンは、その表示部43の一部(例えば、左下隅)に形式的に表示するようにしている。
また、前述したように、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに始動入賞装置46に入賞した場合、並びに大役処理中に始動入賞装置46に入賞した場合、保留ランプ100の表示がその分、点灯数が増えていく(最大4個)。
一方、前回の演出図柄変動パターン演出が終了する、或いは大役処理が終了すると、表示部43では、保留分の特別図柄抽選結果の報知を行うべく、新たな図柄変動パターン演出が開始される。これに伴い、保留ランプ100が1個消灯し、保留分の消化を遊技者に報知する。
また、払出制御部154には、払出装置160、貸出装置162、発射制御部164が接続されており、発射制御部164は、発射装置166を制御して、遊技者によるハンドル30の操作に応じてパチンコ球を打ち出す。
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータへ送出するようになっている。
前記表示部43では、見掛け上帯状に複数の演出図柄(ここでは、説明を簡略化するために0〜9までの10種類の数字を演出図柄とする)が設けられた演出図柄群を3列同時に表示し、それぞれ独立して演出図柄の変動演出を行う。
この変動終了時に、全ての図柄列が同一、すなわち000、111、222、333、444、555、666、777、888、999のような「ゾロ目」となった場合を当たり図柄とし、遊技者に報知する。
上記図柄変動パターンによる報知後、当たりとなると、大入賞口44が所定時間(予め設定された制限範囲(0.5秒〜29秒))開放し、所定回数開閉動作して(1回の開閉を1ラウンドとし、予め設定された制限範囲(2〜15)ラウンド継続)、遊技球の入賞率を高める、遊技者に有利な状態とする(大役処理)。なお、この大入賞口44の開放時間、開閉回数の詳細については後述する。
また、上記大役処理の終了後、特別図柄抽選の当選確率を通常の遊技状態に対して高める特典を付与する場合がある。この特典の付与は、当選時に1/2の確率で抽選がなされているが、遊技者には当たりの報知のみとしている。
ここで、本実施の形態では、上記開放時間と、開閉動作回数の組合せによって、3種類の大役処理パターン(最小限大役遊技、複合大役遊技(1)、複合大役遊技(2))を設定している(表1参照)。
上記表1に示される如く、最小限大役遊技では、大入賞口44の開閉回数が2回であり、しかもその開放時間が0.5秒であるため、大入賞口44への入賞はほとんど期待できず、早期に大役処理が終了することになる。しかし、この大役終了後は、確変となるため、次の大役までの期間が短くなるという利点がある。
次に、複合大役遊技(1)では、大入賞口44の開閉回数が合計15回であり、しかもそのほとんどの開放時間が29秒であるため、大入賞口44への入賞がきたいできる。さらに、大役終了後は確変となる。
最後に、複合大役遊技(2)では、大入賞口44の開閉回数が合計15回であり、しかもそのほとんどの開放時間が29秒であるため、大入賞口44への入賞がきたいできる。但し、大役終了後は確変にはならない。
このように、それぞれの大役遊技による有利度合いに違いがあるため、遊技者は大役後に、何れの大役遊技仕様での大役処理となるかの期待感を持つことが可能となっている。
また、本実施の形態では、複合大役遊技(1)及び複合大役遊技(2)の初期(1〜2回)は、最小限大役遊技と同等の開閉動作をするように設定してあるため、大役処理が開始された時点においては、遊技者は何れの大役遊技が開始されたかを判断することができない仕様となっている。
図4は、本実施の形態における主制御基板150での大役遊技処理の仕様設定のための機能を示すブロック図である。
始動口46に設けられた入賞センサ168は、入賞確認部250に接続されており、始動口46への入賞の有無を確認する。
始動口46に入賞があったことを確認すると、入賞確認部250から乱数取得部252に確認信号が送出される。
乱数取得部252では、確認信号を受信することで、乱数カウンタ254から乱数値を取得し、この取得した乱数値を保留更新処理部256へ送出する。
保留更新処理部256には、保留メモリ258及び保留ランプ100が接続されており、必要に応じて最新に取得した乱数値を保留メモリ258に記憶したり、保留メモリ258から最先に記憶した乱数値を読み出したり、或いは保留メモリ258内の最先に記憶した乱数値と入れ替えたり、等の更新処理を実行する。
また、保留更新処理部256は、保留メモリ258内の保留数に応じて保留ランプ100を制御し、保留数を保留ランプ100の点灯数で遊技者に報知する。
なお、保留更新処理部256による乱数値の更新は、前記入賞確認時の他、後述する命令信号生成部262で設定される図柄変動パターン演出時間(変動パターン終了時に保留の更新処理)に基づいて実行される。すなわち、保留更新処理部256では、命令信号生成部262からの信号に基づき、取得した最先の乱数値を抽選部264に送出する。
抽選部264には、当たり値メモリ266が接続されている。抽選部264は、取得した乱数値と、当たり値とが比較され、当/外の判定を実行する。判定結果は、命令信号生成部262並びに大役遊技仕様設定部268へ送出されるようになっている。
本実施の形態では、非確変で1/250〜1/360の通常の抽選確率で抽選が実行され、確変では、1/50という通常遊技状態と比較して甘めの抽選確率で抽選が実行される。
命令信号生成部262では、演出制御部152へ送出するためのコマンド(命令信号)を生成すると共に、計時によって図柄変動パターン終了時に前記保留更新処理部356へ図柄変動パターン終了を示す信号を送出する。
また、命令信号生成部262では、特別図柄抽選結果並びにこの特別図柄抽選結果に続いて実行される変動パターン種抽選の結果に基づいて、命令信号出力部270を介して演出制御部152へ命令信号を送出する。
一方、大役遊技仕様設定部268には、大役遊技仕様データメモリ272が接続されており、特別図柄抽選の(当選)結果に基づいて、当該当選の種類に基づいて、前記表1に示される大役遊技仕様の1つが選択され、読み出されるようになっている。
大役遊技仕様設定部268で読み出された大役遊技仕様データは、大役遊技実行制御部274へ送出され、当該大役遊技仕様データに基づいて大役遊技が実行される。
また、大役遊技実行制御部274では、特典、すなわち、確変有りか無しかを示す確変判別信号を確率設定部276へ送出するようになっており、この確変設定部276では、確変判別信号に基づいて抽選部264での乱数値の比較対照である当たり値を選択し、当たり確率を変更する。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
まず、図5のフローチャートに従い、主制御部150における遊技の流れを説明する。
遊技者がハンドル30を把持し、発射のための操作を行なうと、このハンドル操作量(回転量)に応じた強度で、パチンコ球が打ち出される。
パチンコ球が打ち出されると、外バンド36及び内バンド38に案内されて盤面32の釘や風車等に当接しながら、予測し得ない移動をしながら落下していく。ここで、始動入賞装置46にパチンコ球が入賞すると(ステップ200の肯定判定)、それが有効か否かを判断し(ステップ202)、有効でありかつ保留の必要がない場合(ステップ202で肯定判定、かつステップ204で否定判定)、所定の確率下で特別図柄抽選が開始される(ステップ206)。例えば、乱数カウンタ254から乱数を取得する。なお、大役判定は、前記取得した乱数値と予め設定した当たり値との照合をすることで、当たり/外れを判定するものである。
なお、始動入賞がなくても、保留がある場合(ステップ208の肯定判定)にも特別図柄抽選は実行される。また、保留が必要の場合には(ステップ204の肯定判定)、保留が満タンでないことを条件に(ステップ210の否定判定)、保留数が加算される(ステップ212)。
一方、普通図柄始動口としての通過装置48にパチンコ球が入賞すると、所定の確率下で普図抽選が開始される。
普図抽選の結果が当たりの場合は、電動チューリップ47を所定回数、所定期間開放し、始動入賞装置46への入賞の確率を高めることができる。なお、通常遊技中の電動チューリップ47の動作は、開閉回数が1回、開放時間が0.5秒程度である。また、特別遊技中の電動チューリップ47の動作は、開閉回数が2回、開放時間が2秒程度である。
前記特別図柄抽選後、その判定が実施され(ステップ214)、判定結果に基づいて、特別図柄変動パターンの抽選が実行され(ステップ216)、次いで特別図柄変動パターンの変動時間に準じた演出図柄変動パターンが選定されて(ステップ218)、演出制御部152へコマンドが送出される(ステップ220)。
主制御部150では、特別図柄変動パターンの変動時間を計時しており、この変動時間が終了すると(ステップ222の肯定判定)、当該特別図柄変動パターンに対応する抽選結果が当たりの場合に(ステップ224の肯定判定)、大役処理の実行が開始される(ステップ226)。
ここで、本実施の形態では、大役処理のパターンとして、3種類準備されており(最小限大役処理、複合大役処理(1)、複合大役処理(2))、前記特別図柄抽選によって、何れの仕様かは決定している。従って、大役遊技仕様設定部268では、大役遊技仕様データメモリ272から、決定している大役遊技仕様データを読み出し、大役処理実行制御部274へ送出することで、大役処理が実行される。
図6のそれぞれの大役処理の流れを示すタイミングチャートであり、何れの大役処理においても、最初の2回の大入賞口44の開放時間は、0.5秒となっており、大役処理が開始された直後は、遊技者は、何れの大役処理かを判断することができない。
従って、大役の賞球を期待せず、確率変動のみを設定することが目的の最小限大役処理が選択されていた場合であっても、遊技者が賞球がないことにより期待感の減退がない。
また、上記2回の短時間開放(0.5秒の開放)が終了すると、最小限大役処理では、確変が開始されるため、次以降の特別図柄抽選の当選確率が高くなり、早期に当選することになるため、遊技者は納得して遊技を継続する。
一方、複合大役処理(1)においては、大入賞口44の入賞(すなわち、賞球)があり、さらに確変になるため、遊技者は優越感と期待感とを持って遊技の進行を継続する。
また、複合大役処理(2)は、最小限大役処理と、複合大役処理(1)との中間的な
有利性であり、大入賞口の入賞(すなわち、賞球)があることで満足することができる。
以上説明したように本実施の形態では、非確変状態の通常遊技から、確変状態へ移行するために必須である大役処理として、最小限大役遊技仕様を設定した。最小限大役処理仕様での大役処理は、大入賞口44への入賞がほとんどなく、かつ早期に終了するため、見掛け上、突然に確変に移行したのと同等の遊技の流れを形成することができる。
しかし、この最小限大役遊技仕様の実行が、遊技者の目に入ると、当たりとなった時点で、遊技意欲が減退する場合がある。そこで、従来の確変/非確変大役に代え、複合大役処理(1)及び複合大役処理(2)を設定した。この複合大役処理(1)及び(2)は、最初の2回の大入賞口44の開放時間が最小限大役処理と同等の動作となっているため、最小大役処理が終了するまで、遊技者は何れの大役遊技仕様で動作しているかが不明となり、遊技意欲の減退を防止することができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、大役処理仕様として3種類のパターンを設定し、特別図柄抽選により当選した場合に、この3種類の大役処理仕様の何れかを選択するようにしたが、表2に示される如く、4種類としてもよい。
この変形例1では、本実施の形態に係る表1の最小限大役遊技(特典有り)と同等の最小限大役遊技(1)に対して、特典無しの最小限大役遊技(2)を追加している。この場合、図4に示される大役遊技仕様データメモリに記憶されるデータが、最小限大役遊技仕様データ(1)、最小限大役遊技仕様データ(2)、複合大役遊技仕様データ(1)、複合大役遊技仕様データ(2)となる。
図7に示される如く、初期の2回の大入賞口44の開閉動作は、全て0.5秒の開放時間で一定である。
ここで、表1においては、最小限大役遊技仕様の場合、必ず当該最小限大役遊技の終了後に確変になっていたが、この変形例1では、大入賞口44への入賞も期待できず、かつ確変にもならない(すなわち、全く遊技者にとって有利性のない)遊技仕様(最小限大役遊技仕様(2))を設定してあるため、長期の遊技スパンでは、出球率を安定させることができ、かつ短い遊技スパンでは、遊技者に有利な状態と不利状態となり、遊技の進行にメリハリをつけることができる。
(変形例2)
上記実施の形態及び変形例1では、大入賞口44の初期の2回について、開放時間を0.5秒とすることで、最小限大役遊技仕様をわかりにくくする構成とした。これに対して、変形例2では、表3に示される如く、表2に対して、従来通りの大役遊技仕様、すなわち、15回全てを最大限開放する最大限大役遊技(1)及び最大限大役遊技(2)を追加したものである(図8参照)。
この場合、図4に示される大役遊技仕様データメモリに記憶されるデータが、最小限大役遊技仕様データ(1)、最小限大役遊技仕様データ(2)、複合大役遊技仕様データ(1)、複合大役遊技仕様データ(2)、最大限大役遊技仕様データ(1)、最大限大役遊技仕様データ(2)となる。
表3に示される如く、追加した最大限大役遊技(1)と最大限大役遊技(2)は、従来どおり、表示部43に表示される図柄変動パターン演出後の停止図柄列が「ゾロ目」となったときに当選を報知する。これにより、遊技者は大入賞口44への入賞による賞球という遊技者有利性を確保することができる。
一方、その他の大役遊技の場合には、図柄変動パターン演出後の停止図柄列が「チャンス目」となったときに当選を報知する。
なお、表3において、ゾロ目とは「111」、「222」・・・「000」のように同一図柄が揃うことを言う。また、チャンス目とは、前記ゾロ目のような配列ではないが、3列の図柄に何らかの関係がある配列を言い、例えば「123」、「654」のような連続する図柄や、「101」、「454」のようなゾロ目に近い配列等が挙げられる。
これにより、遊技者は、表示部43の図柄変動パターン演出を見て、最大限大役遊技か否かを判別でき、その後、「ゾロ目」で揃った場合には、いままで通りの遊技仕様で遊技が進行する。また、「チャンス目」で揃った場合には、前記変形例1のような期待感等を持って遊技が進行する。
なお、本実施の形態、並びに変形例1、変形例2では、特典として「確変」を例に挙げて説明したが、「時短」等の他の特典であってもよい。