以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
以下の実施の形態においては、画像形成装置がMFPである場合について説明する。なお、画像形成装置はMFPである場合の他、ファクシミリ装置、複写機、またはプリンターなどであってもよい。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の概略的な構成を示す断面図である。
図1を参照して、MFP100(画像形成装置の一例)は、折り曲げられた用紙に対して印刷を行うことが可能である。MFP100の最大通紙幅は、A4サイズの用紙の短辺の幅(210mm)であり、MFP100は、A3サイズの用紙を折り曲げ印刷可能である。
なお、ここでは、折り曲げ印刷で片面印刷(広げた状態で見た場合の用紙の一方の面への印刷)を行う場合について説明するが、MFP100は折り曲げ印刷で両面印刷(広げた状態で見た場合の用紙の両面への印刷)を行ってもよい。
MFP100は、画像形成部1と、給紙カセット2と、給紙トレイ3と、定着部4と、排紙ローラー5と、排紙トレイ6などを主に備えている。給紙カセット2または給紙トレイ3から排紙トレイ6へ向かって用紙搬送経路16aが設けられている。用紙搬送経路16aの上流側では、給紙カセット2からの用紙搬送経路16aと、給紙トレイ3からの用紙搬送経路16aとが合流しており、この合流地点から下流側へ向かう用紙搬送経路16aにおいて、画像形成部1、定着部4、および排紙ローラー5がこの順で配置されている。
画像形成部1は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成される。画像形成部1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナー像を形成する作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kと、作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kの各々で形成されたトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11上のトナー像を用紙に転写する2次転写ローラー12などで構成される。作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kの各々は、トナー像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムを一様に帯電させる帯電チャージャと、感光体ドラムの表面にレーザー光を照射することにより、静電潜像を形成する露光部と、静電潜像を現像する現像器などを含んでいる。
給紙カセット2は、最大通紙幅以下の幅を有する用紙(たとえばA4サイズの用紙)が収納される。給紙トレイ3は、MFP100内部へ用紙を給紙するための給紙部100aに連結されており、手差しの用紙が配置されるトレイである。給紙トレイ3には、最大通紙幅を超える幅を有する用紙(ここではA3サイズの用紙)が配置される。
折り曲げ印刷を行う場合には、用紙を積載する用紙積載部として給紙カセット2および給紙トレイ3のいずれを用いてもよいが、常に給紙トレイ3を用いることが好ましい。用紙積載部として常に給紙トレイ3を用いることで、MFP100の機械的寸法(給紙カセット2の寸法)や、給紙ローラーおよび分離ローラーなどの給紙機構などを、最大通紙幅よりも大きな幅を有する用紙のサイズに合わせて変更することなく、最大通紙幅よりも大きな幅を有する用紙をMFP100にセットすることができる。
定着部4は、加熱ローラー13と加圧ローラー14とを含んでいる。定着部4は、加熱ローラー13と加圧ローラー14とで挟みながら用紙を搬送し、用紙を搬送する際に加熱ローラー13と加圧ローラー14とによって用紙に対して加熱および加圧を行うことにより、用紙に付着したトナーを熱に溶融させて用紙に定着させる。
なお、MFP100の前面側には、MFP100の状態や印字設定の変更、指示を表示するための操作パネル107が配置されていてもよい。
MFP100は、給紙カセット2または給紙トレイ3から用紙を給紙し、矢印T1で示す用紙搬送方向に用紙搬送経路16aに沿って用紙を搬送する。MFP100は、用紙搬送経路16aを搬送中の用紙に対して、画像形成部1によってトナー画像を転写し、定着部4によってトナー像を熱定着する。これにより、用紙に画像が形成される。画像形成後の用紙は、排紙ローラー5によって排紙トレイ6へ排出される。
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の内部構成を示すブロック図である。
図2を参照して、MFP100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶部104と、印刷処理部105と、画像処理部106と、操作パネル107と、スキャナー部108と、ネットワーク接続部109と、用紙折り部110と、用紙幅計測部111などを備えている。CPU101には、ROM102、RAM103、記憶部104、印刷処理部105、画像処理部106、操作パネル107、スキャナー部108、ネットワーク接続部109、用紙折り部110、および用紙幅計測部111の各々がバスを介して接続されている。
CPU101は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、および印刷ジョブなどの各種ジョブについて、MFP100全体の制御を行う。またCPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムを実行する。CPU101は、所定の処理を行うことにより、ROM102、RAM103からのデータの読み込みや、ROM102、RAM103へのデータの書き込みを行う。
ROM102は、たとえばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM102には、MFP100の動作を行うための各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。ROM102は、書換え不可能なものであってもよい。
RAM103は、CPU101のメインメモリである。RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
記憶部104は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)よりなっており、装置の設置情報、またはMFP100の動作に関わる各種データなどを記憶する。
印刷処理部105は、画像処理部106にて処理された画像データに基づいて用紙などへの印刷処理を行う。
画像処理部106は、印刷データに対するRIP(Raster image processing)処理や、データを外部へ送信する際にそのデータの形式を変換する変換処理などを行う。また画像処理部106は、折り曲げ印刷の際に画像の分割を行う。
操作パネル107は、テンキーやスタートキーなどからなるキー入力部と、タッチパネルディスプレイなどからなる表示部とを含んでおり、MFP100での各種ジョブの実行などの各種入力操作をユーザーから受け付ける。また操作パネル107は、MFP100に関する各種設定項目やメッセージなどをユーザーに対して表示する。
スキャナー部108は、原稿画像の読み取りを行う。
ネットワーク接続部109は、CPU101からの指示に従って、TCP/IPなどの通信プロトコルによって、外部機器(図示無し)との通信を行う。
用紙折り部110は、印刷を行う画像に基づいて、用紙の折り曲げ位置を決定する。また用紙折り部110は、MFP100が自動折り装置を備えている場合に、決定した位置で用紙を折る。
用紙幅計測部111は、給紙トレイ3にセットされた用紙の幅を計測する。
MFP100は、操作パネル107などを通じて折り曲げ印刷の実行指示をユーザーから受け付けると、用紙に形成する画像に基づいて折り曲げ位置を決定し、その折り曲げ位置で、用紙に形成する画像を第1の画像と第2の画像とに分割する。MFP100は、操作パネル107上に折り曲げ位置の指示を表示し、指示した位置で折り曲げた用紙を、給紙トレイ3にセットすることをユーザーに対して要求する。MFP100は、給紙トレイ3から用紙をMFP100内に給紙し、折り曲げられた用紙の表面に第1の画像を形成し、裏面に第2の画像を形成する。
次に、用紙の折り曲げ方法および給紙トレイ3への用紙のセット方法について説明する。
図3は、A3サイズの用紙とA4サイズの用紙とを模式的に示す図である。
図3(a)を参照して、A3サイズの矩形状の用紙SH1の短辺L1の長さは297mmであり、長辺L2の長さは420mmである。A4サイズの矩形状の用紙SH2の短辺L101の長さは210mmであり、長辺L102の長さは297mmである。ここでのMFP100の最大通紙幅は、用紙SH2の短辺L101の長さ(210mm)に等しい。用紙SH1は、MFP100の最大通紙幅よりも長い短辺L1および長辺L2を有しているので、そのまま(広げた状態)ではMFP100内へ通紙させることはできない。
用紙SH1をMFP100内へ通紙可能とするために、(b)に示すように、折り曲げ位置PT1で用紙SH1の上下の短辺L1が予め折り曲げられる。折り曲げられた状態で、2つの長辺L2は互いに平行であることが好ましい。折り曲げられた用紙SH1の短辺の長さは、広げられた状態の用紙SH1の短辺L1の長さよりも小さくなる。
なお、上述のように用紙の折り曲げ位置が用紙の短辺上に決定され、用紙の短辺が折り曲げられる場合の他、用紙の折り曲げ位置が用紙の長辺上に決定され、用紙の長辺が折り曲げられてもよい。
図4および図5は、本発明の第1の実施の形態において、給紙トレイ3へ用紙がセットされた状態を模式的に示す図である。
図4を参照して、給紙トレイ3は、2つのサイド規制板9と、配置台15とを含んでいる。サイド規制板9の各々は、矢印T1で示す用紙搬送方向に対して平行に延在するように、配置台15上に配置されている。サイド規制板9のうち一方のサイド規制板9aは、用紙搬送方向に対して垂直な方向に移動可能である。サイド規制板9同士の間隔は、折り曲げられた用紙SH1の短辺の長さ(幅)Gに合わせてユーザーによって調節される。
1回目の印刷の際、用紙SH1は、用紙の折り曲げ稜線の方向および表裏方向が所定の方向となるように、ユーザーによって配置台15上に配置される。用紙SH1は、たとえば矢印T1で示す用紙搬送方向に向かって左側に折り曲げ位置PT1の稜線が位置し、かつ、折り曲げられた用紙SH1の2つの部分SH1aおよびSH1bのうち、一方の部分SH1aが下になるようにセットされる。この場合、一方の短辺L1aが、矢印T1で示す用紙搬送方向に沿った最上流側に位置する。
給紙トレイ3は、配置台15上の所定の位置に表示された指示目盛8をさらに含んでいてもよい。指示目盛8は、折り曲げ印刷を行う場合のサイド規制板9aの位置を示す印であり、用紙SH1の折り曲げ位置PT1の目安(用紙幅の目安)となるものである。ユーザーは、サイド規制板9aを指示目盛8に合わせた状態で、サイド規制板9同士の間隔に用紙幅を合わせて用紙SH1を折り曲げることで、折り曲げ位置PT1で用紙SH1を容易に折り曲げることができる。
MFP100は、折り曲げられた用紙SH1がセットされ、用紙の給紙を開始する指示(プリント可能指示)を受け付けると、折り曲げられた用紙SH1を装置内に通紙し、折り曲げられた用紙SH1に第1の画像を形成し、用紙SH1を排紙トレイ6へ排出する。
図5を参照して、2回目の印刷の際、用紙SH1は、ユーザーによって排紙トレイ6から取り出され、用紙の折り曲げ稜線の方向および表裏方向が所定の方向となるように、ユーザーによって配置台15上に配置される。用紙SH1は、たとえば矢印T1で示す用紙搬送方向に向かって右側に折り曲げ位置PT1の稜線が位置し、かつ、折り曲げられた用紙SH1の2つの部分SH1aおよびSH1bのうち、他方の部分SH1bが下になるようにセットされる。この場合、他方の短辺L1bが、矢印T1で示す用紙搬送方向に沿った最上流側に位置する。
MFP100は、折り曲げられた用紙SH1がセットされ、用紙の給紙を開始する指示(プリント可能指示)を受け付けると、折り曲げられた用紙SH1をMFP100内に通紙し、折り曲げられた用紙SH1に第2の画像を形成し、用紙SH1を排紙トレイ6へ排出する。
なお、給紙トレイ3への用紙SH1のセット方法は任意であり、たとえば1回目の印刷の際に他方の部分SH1bを下にした状態で給紙トレイ3に用紙SH1が配置されてもよい。
また、用紙の折り曲げ位置のばらつきにより印刷される画像の位置がずれることを防止するために、MFP100は、折り曲げられた用紙SH1が給紙トレイ3に配置された時に、折り曲げられた用紙の実際の幅(実際の折り曲げ位置)を確認した上で、画像の分割位置や印刷位置を補正することが好ましい。折り曲げられた用紙の実際の幅は、サイド規制板9aの位置に基づいて用紙幅計測部111が自動的に検出することが好ましいが、ユーザーが操作パネル107を通じてユーザーからの入力を受け付けてもよい。ユーザーからの入力を受け付ける場合には、ユーザーが用紙の幅を目視により容易に確認できるようにするために、配置台15上に目盛りが表示されることが好ましい。もちろん画像処理部106は、用紙の実際の折り曲げ位置に基づかずに、印刷する用紙のサイズのみに基づいて画像の分割位置を決定してもよい。
さらに、MFP100は、折り曲げ印刷の実行指示を受け付けた場合、用紙の折り曲げ位置や給紙トレイ3への用紙のセット方法などの操作ガイダンスをたとえば操作パネル107に表示することにより、ユーザーに通知してもよい。このような通知を行うことにより、ユーザーはスムーズに作業を行うことができる。
続いて、用紙の折り曲げ位置の決定方法について説明する。
図6は、従来の折り曲げ印刷を模式的に示す図である。なお以降の図面では、印刷を行う画像が、「ABCDEFGHIJ」という文字が2段に分けて描かれた画像である場合について示している。
図6(a)を参照して、従来の折り曲げ印刷では、長辺L2のちょうど中央の位置が用紙SH1の折り曲げ位置PT101とされ、折り曲げ位置PT101で第1の画像IM101と第2の画像IM102とに画像が分割される。第1の画像IM101と第2の画像IM102との各々は、用紙SH1を開いた場合に繋がって1つの画像となるように、折り目側(第1の画像IM101の右側および第2の画像IM102の左側)の余白が無いように、縁無しの設定がなされる。このとき、折り曲げ位置PT101上に存在する文字、画像、グラフなどは、2つに分割され、折り曲げられた用紙SH1の別々の面に印刷される。
1回目の印刷の際、用紙SH1は、(b)に示すように、一方の長辺L2aを基準として位置合わせが行われる。第1の画像IM101は、折り曲げられた用紙SH1の一方の部分SH1a(折り曲げられた用紙SH1の表面)に印刷される。2回目の印刷の際、用紙SH1は、(c)に示すように、用紙SH1の他方の長辺L2bを基準として位置合わせが行われる。第2の画像IM102は、折り曲げられた用紙SH1の他方の部分SH1b(折り曲げられた用紙SH1の裏面)に印刷される。
図7は、従来の折り曲げ印刷を行った場合に生じる、画像のずれを模式的に示す図である。
図7を参照して、折り曲げ印刷において、画像IM101の位置と画像IM102の位置とがばらつく要因としては、用紙の長さのばらつきに加えて、用紙の公差、印字位置のばらつき、または倍率ばらつきなどの様々な要因がある。このため、画像IM101の位置と画像IM102の位置とを完全に合わせることは困難である。典型的には、画像IM101と画像IM102との間には、折り曲げ位置PT101上において、用紙搬送方向に沿って長さdのずれが生じる。その結果、折り曲げ位置PT101上に存在していた文字、画像、グラフなどは見にくく(読みにくく)なる。
図8は、本発明の第1の実施の形態における折り曲げ印刷の一例を示す図である。
図8を参照して、MFP100は、(a)に示すように、文字が存在する位置に基づいて折り曲げ位置PT1を決定する。具体的には、MFP100は、画像が入力された時点で、画像の縦横のラインの中で文字(文字情報)の無い位置を探し、その位置を折り曲げ位置PT1とする。折り曲げ位置PT1は、折り曲げられた用紙SH1の幅がMFP100の最大通紙幅以下となるような位置であればどこでもよく、後述のように用紙の長辺上であってもよい。また、後述のように折り曲げ位置が複数箇所決定されてもよい。そしてMFP100は、折り曲げ位置PT1で第1の画像IM1と第2の画像IM2とに画像を分割する。ここでは、折り曲げ位置PT1は用紙SH1の短辺L1上に決定される。画像IM1は図8(a)中上側の画像であり、「ABCDE」という1段目に記載された文字を含んでいる。画像IM2は図8(a)中下側の画像であり、「FGHIJK」という2段目に記載された文字を含んでいる。
なお、折り曲げ位置PT1は、文字情報の少ない箇所であればよく、これにより、文字がずれて読みにくくなることを最小限にすることができる。
1回目の印刷の際、用紙SH1は、(b)に示すように、ユーザーによって折り曲げ位置PT1で山折りされる。折り曲げられた用紙SH1の短辺は、MFP100の最大通紙幅よりも短くなる。用紙SH1は、一方の短辺L1aを基準として位置合わせが行われ、第1の画像IM1は、折り曲げられた用紙SH1の一方の部分SH1a(折り曲げられた用紙SH1の表面)に印刷される。2回目の印刷の際、用紙SH1は、(c)に示すように、他方の短辺L1bを基準として位置合わせが行われる。第2の画像IM2は、折り曲げられた用紙SH1の他方の部分SH1b(折り曲げられた用紙SH1の裏面)に印刷される。
図9は、図8に示す方法で折り曲げ印刷を行った場合に生じる、画像のずれを模式的に示す図である。
図9を参照して、従来の場合と同様に、画像IM1と画像IM2との間には、折り曲げ位置PT1上において、用紙搬送方向に沿って長さdのずれが生じる。しかし、文字の無い位置を折り曲げ位置PT1としているので、画像IM1と画像IM2とが多少ずれてもそのずれは目立ちにくくなり、全ての文字を正しく読み取ることができる。その結果、文字の情報が損なわれることを抑止することができる。
用紙の折り曲げ位置は、図8および図9に示すように1箇所である場合の他、複数箇所であってもよい。次に、用紙の折り曲げ位置が用紙の長辺上の2箇所である場合について図10および図11を用いて説明する。
図10は、本発明の第1の実施の形態における折り曲げ印刷の他の例を模式的に示す図である。
図10を参照して、MFP100は、(a)に示すように、画像が入力された時点で、画像の縦横のラインの中で文字(文字情報)の無い2つの位置をそれぞれ折り曲げ位置PT1およびPT2とする。そしてMFP100は、折り曲げ位置PT1およびPT2で、第1の画像IM1と第2の画像IM2とに画像を分割する。ここでは、折り曲げ位置PT1およびPT2は用紙SH1の長辺L2上に決定される。画像IM1は図10(a)中中央部の画像であり、「CDE」という1段目に記載された文字と、「HIJK」という2段目に記載された文字とを含んでいる。画像IM2は図10(a)中両端の画像であり、「AB」という1段目に記載された文字と、「FG」という2段目に記載された文字とを含んでいる。
1回目の印刷の際、用紙SH1は、(b)に示すように、ユーザーによって折り曲げ位置PT1およびPT2の各々で山折りされる。折り曲げられた用紙SH1の長辺は、MFP100の最大通紙幅よりも短くなる。折り曲げられた用紙SH1の部分SH1aと部分SH1cとは(つまり印字面は)、互いに重ならない。用紙SH1は、一方の長辺L2aを基準として位置合わせが行われ、第1の画像IM1は、折り曲げられた用紙SH1の中央の部分SH1b(折り曲げられた用紙SH1の表面)に印刷される。2回目の印刷の際、用紙SH1は、(c)に示すように、他方の短辺L2bを基準として位置合わせが行われる。第2の画像IM2は、折り曲げられた用紙SH1の両端の部分SH1aおよび部分SH1c(折り曲げられた用紙SH1の裏面)に印刷される。
図11は、図10に示す方法で折り曲げ印刷を行った場合に生じる、画像のずれを模式的に示す図である。
図11を参照して、画像IM1と画像IM2との間には、折り曲げ位置PT1上および折り曲げ位置PT2上において、用紙搬送方向に沿って長さdのずれが生じる。しかし、文字の無い位置を折り曲げ位置PT1およびPT2としているので、画像IM1と画像IM2とが多少ずれてもそのずれは目立ちにくくなり、全ての文字を正しく読み取ることができる。その結果、文字の情報が損なわれることを抑止することができる。
さらにMFP100は、画像における文字が存在する位置に基づいて折り曲げ位置を決定する代わりに、画像における濃度変化に基づいて折り曲げ位置を決定してもよい。この場合、MFP100は、画像の中で濃度変化が少ない位置を折り曲げ位置とすることが好ましい。濃度変化が少ない位置を折り曲げ位置とすることにより、用紙の縦横のラインの全てに画像があった場合にも、分割した2つの画像がずれた場合に、そのずれが段差となって見えるのを回避することができ、画像の劣化を抑止することができる。MFP100は、画像における文字が存在する位置および濃度変化の両方に基づいて折り曲げ位置を決定してもよい。
続いて、MFP100の動作を示すフローチャートについて説明する。
図12は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図12を参照して、MFP100のCPU101は、たとえば操作パネル107などを通じて印刷の実行指示を受け付けると、折り曲げ印刷モードが設定されているか否かを判別する(S1)。
ステップS1において、折り曲げ印刷モードが設定されていると判別した場合(S1でYES)、CPU101は、印刷を行う画像(広げた状態の用紙の一方の面に形成する画像)を取得する(S3)。ステップS3において、CPU101は、たとえばスキャナー部108が読み取った画像を取得してもよいし、PC(Personal Computer)などの外部機器から受信した画像や記憶部104に記憶されている画像を取得してもよい。
次にCPU101は、取得した画像から文字の位置または濃度変化の情報を取得し(S5)、その情報に基づいて用紙の折り曲げ位置を決定する(S7)。次にCPU101は、用紙の折り曲げ位置を操作パネル107に表示し(S9)、1回目の印刷の際の、用紙の給紙トレイ3へのセット手順を操作パネル107に表示する(S11)。ユーザーは、操作パネル107の表示に従って用紙を折り曲げ、折り曲げた用紙を給紙トレイ3にセットし、操作パネル107などを通じて用紙の給紙を開始する指示を行う。
CPU101は、用紙の給紙を開始する指示を受け付けると、折り曲げ位置で画像を第1の画像と第2の画像とに分割し(S13)、折り曲げられた用紙に対して1回目の印刷を実行する(S15)。
ステップS15に続いて、CPU101は、2回目の印刷の際の、用紙の給紙トレイ3へのセット手順を操作パネル107に表示する(S17)。ユーザーは、操作パネル107の表示に従って折り曲げた用紙を給紙トレイ3にセットし、操作パネル107などを通じて用紙の給紙を開始する指示を行う。
CPU101は、用紙の給紙を開始する指示を受け付けると、折り曲げられた用紙に対して2回目の印刷を実行し(S19)、処理を終了する。
ステップS1において、折り曲げ印刷モードが設定されていないと判別した場合(S1でNO)、CPU101は、通常の印刷を実行し(S31)、処理を終了する。
最大通紙幅より大きい幅を有する用紙を折り曲げてMFP内に通紙し、2回に分けて印刷する場合、1回目と2回目で折り目の画像を完全に合わせることは難しい。そこで、本実施の形態によれば、画像の中でずれても目立ちにくい箇所や文字情報の少ない箇所を折り曲げ位置として決定し、その位置で画像を分割するので、画像がずれた場合の外見上の悪影響を最小限にすることができ、ずれを目立ち難くすることができる。その結果、所望の画像品質を得ることができる。また、折り曲げ位置に画像が存在しないように、用紙に対する画像の位置をずらす場合に比べて、画像の折り曲げ位置として選択することのできる範囲が広いので、最適な折り曲げ位置を選ぶことができる。
近年、OA(Office Automation)機器やドキュメント関連機器における最適マネジメントを提案するサービスであるOPS(オプティマイズド・プリント・サービシズ)という概念が進んでいる。このような時流の中で、A4機の重要性が高くなっている。しかし、A4機には、単にコストが低いことのみならず、新たな魅力あるスペックを持つことが求められている。本実施の形態によれば、A4機を使用しているユーザーが、たまにA3サイズの用紙の印刷を行いたい場合に、A3サイズの用紙の印刷ができるようにすることにより、A4機の新たな付加価値とすることができる。
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、MFPが自動折り装置を備えている場合について説明する。
図13は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100の概略的な構成を示す断面図である。
図13を参照して、本実施の形態のMFP100は、給紙トレイの代わりに給紙部100aに連結された自動折り装置21をさらに備えている。自動折り装置21の内部にはA3サイズの複数枚の用紙SH1が収納されている。
自動折り装置21は、CPU101の制御により、複数枚の用紙SH1の中から1枚ずつ用紙SH1を取り出し、決定された折り曲げ位置で折り曲げる折り曲げ処理を行った後、矢印T1で示す用紙搬送方向に沿って給紙部100aからMFP100内部へ用紙SH1を給送する。
図14は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図14を参照して、本フローチャートは、ステップS7の処理とステップS13の処理との間にステップS41の処理を行う点で、図12に示す第1の実施の形態のフローチャートと異なっている。
ステップS7において用紙の折り曲げ位置を決定した後で、CPU101は、自動折り装置21に収納されている複数枚の用紙の中から1枚の用紙を取り出して、自動折り装置21を用いて、折り曲げ位置でその用紙を折り曲げる処理を行う(S41)。その後CPU101は、ステップS13の処理へ進み、折り曲げ位置で画像を分割する(S13)。
なお、上述以外のMFP100の動作、MFP100の構成、2回目の印刷の際の用紙のセット方法、ならびに画像の分割方法などについては、第1の実施の形態と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーが用紙を折り曲げる必要がなくなり、ユーザーの手間を省くことができる。
なお、上述のように、決定された折り曲げ位置で自動折り装置21によって用紙が折り曲げられる場合の他、ユーザーの入力に基づく折り曲げ位置で自動折り装置21によって折り曲げられた用紙が、予め自動折り装置21にセットされていてもよい。この場合、折り曲げ印刷の実行の指示を受け付けると、MFP100は自動折り装置21から折り曲げられた用紙を給紙する。
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、MFP100が両面印刷機能を有しており、かつ自動折り装置を搭載した排紙フィニッシャーを備えている場合について説明する。
図15は、本発明の第3の実施の形態におけるMFP100の概略的な構成を示す断面図である。
図15を参照して、MFP100は、両面搬送経路16bを構成する複数のローラー17と、用紙を反転させる反転ローラー18と、排紙フィニッシャー20とをさらに備えている。両面搬送経路16bは、用紙搬送経路16aの図15中右側に設けられている。用紙搬送経路16aの最下流側には、排紙ローラー5が設けられている用紙搬送経路16aから分岐した分岐路が設けられており、この分岐路には反転排紙口19が設けられている。反転ローラー18は、反転排紙口19付近に設けられている。排紙フィニッシャー20は反転排紙口19に連結されており、自動折り装置を搭載している。
排紙フィニッシャー20の内部には複数枚の用紙SH1が収納されている。排紙フィニッシャー20は、CPU101の制御により、複数枚の用紙SH1の中から1枚ずつ用紙SH1を取り出し、決定された折り曲げ位置で折り曲げる折り曲げ処理を行った後、折り曲げられた用紙SH1を反転排紙口19から両面搬送経路16bへ給紙する。用紙SH1は、矢印T2で示す反転用紙搬送方向に沿って両面搬送経路16bを搬送され、用紙搬送経路16aに給送される。用紙SH1は、矢印T1で示す用紙搬送方向に沿って用紙搬送経路16aを搬送され、用紙搬送経路16aを搬送中の用紙SH1には、画像形成部1によってトナー画像を転写され、定着部4によってトナー像が熱定着される。これにより用紙SH1には第1の画像が印刷される。印刷後の用紙SH1は、反転排紙口19へ搬送され、反転ローラー18によってスイッチバックされ、矢印T2で示す反転用紙搬送方向に沿って両面搬送経路16bを搬送される。そして用紙SH1は、両面搬送経路16bを経て再び用紙搬送経路16aに給送され、第2の画像が印刷される。第2の画像を印刷後の用紙は、排紙ローラー5によって排紙フィニッシャー20内の排紙トレイ6に排出される。
なお、自動折り装置は、排紙フィニッシャーに搭載されている場合の他、図3の場合のように給紙トレイの代わりに給紙口に設けられていてもよいし、スキャナー部108に搭載されていてもよい。自動折り装置がスキャナー部108に搭載されている場合には、ユーザーはスキャナー部108に通紙することにより、用紙を折り曲げることができる。
図16は、本発明の第3の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図16を参照して、本フローチャートは、ステップS15の処理とステップS19の処理との間にステップS51の処理を行う点で、図14に示す第2の実施の形態のフローチャートと異なっている。
ステップS15において1回目の印刷を実行した後で、CPU101は、両面搬送経路16bに用紙を搬送することにより、用紙を反転させる(S51)。その後CPU101は、ステップS19の処理へ進み、2回目の印刷を実行する(S19)。
なお、上述以外のMFP100の動作、MFP100の構成、および画像の分割方法などについては、第2の実施の形態と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。加えて、両面印刷機能を有しているので、2回目の印刷の際にユーザーが用紙をセットする必要がなくなり、ユーザーの手間を省くことができる。
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、MFPがユーザーの入力に基づいて折り曲げ位置を決定する場合について説明する。
図17は、本発明の第4の実施の形態において、操作パネル107に表示される画面を模式的に示す図である。
図17を参照して、操作パネル107は、各種情報を表示し、表示したソフトウェアキーのタッチ操作を受け付けるタッチパネル151と、印刷の実行指示や、用紙の給紙を開始する指示を受け付けるスタートキー155と、数字の入力を行うテンキー157などを含んでいる。
MFP100は、操作パネル107などを通じて折り曲げ印刷の実行指示をユーザーから受け付けた場合に、印刷する画像を取得し、用紙の折り曲げ位置の入力を要求する。MFP100は、具体的には、たとえば「折り曲げ位置を選んで下さい」などの、折り曲げ位置の入力を要求するメッセージとともに、取得した画像のプレビュー画像をタッチパネル151に表示する。またMFP100は、プレビュー画像とともに、直線LNと、直線LNを移動させるため矢印キー153および154とをタッチパネル151に表示する。ユーザーは、矢印キー153または154を押下することにより、直線LNを所望の折り曲げ位置まで移動させ、スタートキー155を押下する。MFP100は、スタートキー155が押下されると、その時の直線LNの位置を用紙の折り曲げ位置として決定し、その折り曲げ位置で画像を分割し、用紙に印刷する。
なお、MFP100は、テンキー157から直線LNの入力を受け付けてもよい。この場合、MFP100は、たとえば用紙の一方の短辺または長辺から所望の直線LNの位置までの距離(たとえば一方の短辺から5mmなど)の数値入力を受け付けてもよい。
図18は、本発明の第4の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図18を参照して、本フローチャートは、ステップS3の処理とステップS7の処理との間にステップS61の処理を行う点で、図12に示す第1の実施の形態のフローチャートと異なっている。
ステップS3において印刷を行う画像を取得した後で、CPU101は、用紙の折り曲げ位置(直線LNの位置)の入力を受け付ける(S61)。入力を受け付けた後で、CPU101は、その入力に基づいて用紙の折り曲げ位置を決定する(S7)。
なお、上述以外のMFP100の動作およびMFP100の構成などについては、第1の実施の形態と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーの入力した位置で画像が分割されて印刷されるので、所望の画像品質を得ることができる。
[その他]
画像形成装置の最大通紙幅、または画像形成装置が印刷を行う用紙のサイズは任意であり、上述のもの以外であってもよい。第1および第2の画像を印刷する順序は任意であり、1回目の印刷で第2の画像を印刷し、2回目の印刷で第1の画像を形成してもよい。
画像形成装置は、印刷する画像およびユーザーの入力のうち少なくともいずれか一方に基づいて折り曲げ位置を決定すればよい。印刷する画像に基づいて折り曲げ位置を決定する方法としては、文字が存在する位置や、画像における濃度変化に基づいて折り曲げ位置を決定する方法の他、画像における明度や彩度などに基づいて折り曲げ位置を決定してもよい。
上述の実施の形態は適宜組み合わせることができる。たとえば、第2の実施の形態と第4の実施の形態とを組み合わせて、MFPがユーザーの入力に基づいて折り曲げ位置を決定する構成を、MFPが用紙折り装置を備えた構成に適用してもよい。また、第3の実施の形態と第4の実施の形態とを組み合わせて、MFPがユーザーの入力に基づいて折り曲げ位置を決定する構成を、MFPが両面印刷機能を有する構成に適用してもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。