JP6008790B2 - 導電膜積層体、タッチパネル、配線基板、電子機器、透明両面粘着シート - Google Patents

導電膜積層体、タッチパネル、配線基板、電子機器、透明両面粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、導電膜積層体、タッチパネル、配線基板、電子機器、および透明両面粘着シートに関する。
従来より、絶縁基板表面上に金属配線が配置された配線基板が電子部材、半導体素子に広く用いられている。金属配線を構成する金属としては導電性が高い銀、銅がよく用いられるが、これら金属はイオンマイグレーションが発生しやすいという問題があり、とりわけ銀はこの問題が顕著に表れる。
このような金属のイオンマイグレーションを防止する方法として、ポリマー層に金属イオン吸着化合物を導入する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2008−192850号公報
一方、近年、半導体集積回路やチップ部品等の小型化により、金属配線の微細化が進んでいる。そのため、配線基板中の金属配線の幅および間隔はより狭小化しており、イオンマイグレーションによる回路の断線がさらに生じやすくなっている。このような状況の下、配線基板中の銀を含む金属配線間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されている。
本発明者は、特許文献1で開示される含チオール化合物などの金属イオンと有機金属塩を形成する化合物が導入されたポリマー層を、銀含有金属配線上に設け、その絶縁信頼性について検討を行った。その結果、金属配線間においては配線間抵抗の顕著な低下が確認され、そのイオンマイグレーション抑制効果は昨今要求されるレベルを満たしておらず、さらなる改良が必要であった。
特に、近年では、電子部品の小型化に伴い、金属配線の集積度をより高め、金属配線がある配線領域の面積を狭めようとする要望が強い。このような状況下では、スクリーン印刷のようなプロセスによる配線設計ではこの集積化に追随することが困難となり、ナノ粒子インクのような印刷工程、または、スパッタ、イオンプレーティング、真空蒸着のような成膜工程が選択されざるを得ない。ところが、このような高い集積度を得る工程では均質な厚い膜を得ることが困難、または、産業上到底許容ではない時間を要するため、配線厚みが薄くなってしまう。その結果、イオンマイグレーションが発生するような環境においては、配線間の短絡による電気信頼性欠落よりも配線内の抵抗上昇や断線状態が生じやすくなり、問題となっていた。
本発明は、上記実情に鑑みて、銀を含む金属配線からの銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性を向上させることができる配線基板を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、銀を含む導電膜からの銀のイオンマイグレーションが抑制され、導電膜間の絶縁信頼性を向上させることができ、透明両面粘着シートを含む導電膜積層体を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行ったところ、特許文献1で開示される含チオール化合物などの金属イオン吸着化合物のポリマー層における分散性が影響していることを見出した。より具体的には、特許文献1で開示される含チオール化合物などの金属イオン吸着化合物は、その構造に起因して分散性が低い。そのため、該金属イオン吸着化合物をポリマー層(樹脂層)中に導入しようとしても、ポリマー層中で該化合物を均一に分散させることが困難であり、金属イオン(特に銀イオン)のマイグレーションを抑制する効果が得られない。また、多量の該金属イオン吸着化合物をポリマー層中に導入しようとすると、金属イオン吸着化合物がポリマー層中で析出し、ポリマーの劣化を引き起こし、電気信頼性の劣化を引き起こす。さらには、金属イオンの拡散の助長を促し、配線破壊を引き起こすなどの問題が生じる虞がある。
本発明者らは、上記知見に基づき、特定の官能基を有し、金属イオンに対する還元能を有する化合物を使用すると共に、所定量の銀量を含む導電膜(または金属配線)を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 透明基板と、透明基板上に配置された銀を含む導電膜と、導電膜上に貼り合わされた透明両面粘着シートとを備える導電膜積層体であって、
導電膜の単位面積当たりに含まれる銀量が50μg/mm2以下であり、
透明両面粘着シートが、透明樹脂、並びに、後述する式(1)〜式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、導電膜積層体。
(2) 化合物が、後述する式(4)〜(6)で表される化合物からなる群から選択される、(1)に記載の導電膜積層体。
(3) 化合物が、後述する式(5)〜(6)で表される化合物からなる群から選択される、(1)または(2)に記載の導電膜積層体。
(4) 化合物の総質量Aと透明樹脂の総質量Cとの質量比(A/C)が、0.0001〜0.1である、(1)〜(3)のいずれかに記載の導電膜積層体。
(5) 導電膜が、銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の導電膜積層体。
(6) 透明樹脂が、アクリル系粘着剤を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の導電膜積層体。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の導電膜積層体を含むタッチパネル。
(8) 絶縁基板と、絶縁基板上に配置された銀を含む金属配線と、金属配線上に配置された銀イオン拡散抑制層とを備える配線基板であって、
金属配線の単位面積当たりに含まれる銀量が50μg/mm2以下であり、
銀イオン拡散抑制層が、絶縁樹脂、並びに、後述する式(1)〜式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、配線基板。
(9) 化合物が、後述する式(4)〜(6)で表される化合物からなる群から選択される、(8)に記載の配線基板。
(10) 化合物が、後述する式(5)〜(6)で表される化合物からなる群から選択される、(8)または(9)に記載の配線基板。
(11) 化合物の総質量Aと絶縁樹脂の総質量Bとの質量比(A/B)が、0.0001〜0.1である、(8)〜(11)のいずれかに記載の配線基板。
(12) (8)〜(11)のいずれかに記載の配線基板を備える電子機器。
(13) 透明樹脂、並びに、後述する式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する透明両面粘着シート。
本発明によれば、銀を含む金属配線からの銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性を向上させることができる配線基板を提供することができる。
さらに、本発明によれば、銀を含む導電膜からの銀のイオンマイグレーションが抑制され、導電膜間の絶縁信頼性を向上させることができる、透明両面粘着シートを含む導電膜積層体を提供することができる。
本発明の配線基板の好適実施態様の模式的断面図である。 本発明の配線基板の他の好適実施態様の模式的断面図である。 本発明の絶縁層付き配線基板の好適実施態様の模式的断面図である。 本発明の導電膜積層体の一実施態様の模式的断面図である。 本発明の導電膜積層体の他の実施態様の模式的断面図である。 (A)はタッチパネル部材の一端側の一部平面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿った模式的断面図である。
以下に、本発明の配線基板および導電膜積層体の好適態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明においては、金属イオンに対する還元能を有する化合物(以後、還元性化合物とも称する)と、還元性化合物が分散する樹脂との相溶性を制御すると共に、導電膜(または金属配線)中の銀量を制御することにより、所望の効果が得られることを見出している。より具体的には、所定の還元性化合物を使用することにより、樹脂中での還元性化合物の分散性を向上させ樹脂の劣化を抑制できること、および、導電膜(または金属配線)中の銀量を所定値以下にすることにより所定の還元性化合物の還元特性がより向上することを見出している。特に、化合物が樹脂中で良好に分散しているため、還元銀が局在化しにくく、結果として可視域に吸収を持ち難く、着色やヘイズの悪化も抑制することができる。
また、導電膜(または金属配線)に銀ナノ粒子または銀ナノワイヤが含まれる場合、銀量を制御することにより、導電膜中での銀成分の比表面積が大きくなり、還元性化合物による改善効果がより向上する。
以下では、まず、配線基板について詳述する。導電膜積層体に関しては、後段で詳述する。
<配線基板>
次に、本発明の配線基板の好適態様について、図面を参照して詳述する。
図1は、配線基板の一実施態様の模式的断面図を示し、配線基板10は、絶縁基板12および絶縁基板12上に配置された金属配線14を備える金属配線付き絶縁基板16と、金属配線14を覆う銀イオン拡散抑制層18とを備える。
以下に、各部材(絶縁基板12、金属配線14、銀イオン拡散抑制層18)について詳述する。
[絶縁基板]
絶縁基板は、絶縁性であり、金属配線を支持できるものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、有機基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。
また、絶縁基板は、有機基板、セラミック基板、およびガラス基板からなる群から選ばれる少なくとも2つの基板が積層した構造であってもよい。
有機基板の材料としては樹脂が挙げられ、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらを混合した樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。
なお、有機基板の材料としては、ガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、芳香族ポリアミド織布や、これらに上記樹脂を含浸させた材料なども使用できる。
[金属配線]
金属配線は、主に銀を含む。銀は銀合金の形態で含まれていてもよく、金属配線が銀合金を含む場合、銀以外の含有される金属としては、例えば、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロムなどが挙げられる。なお、金属配線中に、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダーなどの樹脂成分や感光性化合物などが含まれていてもよく、更に必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。
また、金属配線は、銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有することが好ましい。なお、金属ナノワイヤについては、後段で詳述する。
金属配線の単位面積当たりに含まれる銀量は、50μg/mm2以下である。銀量を上記範囲にすることにより、金属配線の膜厚および幅を小さくすることが可能となり、高密度集積化の要望に対応することができる。銀量が多すぎると、金属配線間で短絡が生じやすくなる。なかでも、銀量は30μg/mm2以下であることが好ましく、15μg/mm2以下であることがより好ましい。下限に関しては特に制限されないが、金属配線の導電特性がより優れる点で、0.001μg/mm2以上であることが好ましく、0.005μg/mm2以上であることがより好ましい。
なお、金属配線中に含まれる銀量が少ない場合にイオンマイグレーションが起こると、金属配線を形成していた銀が溶出することによって、金属配線の断線が生じやすくなる。しかし、本発明においては、所定の化合物を含む銀イオン拡散抑制層で金属配線を覆うことにより、銀のイオンマイグレーションを抑制し、金属配線の断線を抑制することができる。
銀量の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、金属配線の断面SEM写真を観察して元素分析することにより銀量を測定することができる。また、金属配線を硝酸などの強酸と接触させて、金属配線中の銀を溶解させ、溶解した量から銀量を測定することもできる。また、銀ナノワイヤや銀ナノ粒子を含む分散液を使用して金属配線を作製する場合は、金属配線を作製する際に使用した分散液の量から、金属配線中における銀量を計算により求めることもできる。
また、金属配線の単位面積当たりとは、金属配線の絶縁基板との接触部分の単位面積当たりを意味する。つまり、金属配線と絶縁基板との接触部分の面積のみを基準に銀量の計算を行う。言い換えると、金属配線と接触していない絶縁基板表面(例えば、金属配線間に位置する、金属配線と接触していない絶縁基板表面)の面積は、上記金属配線の単位面積当たりの計算には考慮にいれない。従って、金属配線の単位面積当たりに含まれる銀量とは、金属配線と絶縁基板との接触部分における単位面積あたり(mm2)に含まれる銀量を意味する。
金属配線の幅は特に制限されないが、配線基板の高集積化部および引き出し配線部(リード配線部)における電気信頼性を確保する点から、0.1〜10000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
金属配線間の間隔は特に制限されないが、配線基板の高集積化の点から、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
また、金属配線の形状は特に制限されず、任意の形状であってもよい。例えば、直線状、曲線状、矩形状、円状などが挙げられる。また、複数の金属配線が所望のパターン(例えば、ストライプ状)に配置されていてもよい。
金属配線の厚みは特に制限されないが、配線基板の高集積化の点から、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜30μmがより好ましく、0.01〜20μmがさらに好ましい。
図1においては、金属配線14は、絶縁基板12の片面だけに設けられているが、両面に設けられていてもよい。つまり、金属配線付き絶縁基板16は、片面基板であっても、両面基板であってもよい。金属配線14が絶縁基板12の両面にある場合、銀イオン拡散触性層18も両面に設けてもよい。
また、図1では、金属配線14が一層の配線構造を例にあげたが、もちろんこれに限定されない。例えば、図2に示すように、複数の金属配線14a、14bと絶縁基板12a、12bとを交互に積層した金属配線付き絶縁基板16a(多層配線基板)を使用することにより、多層配線構造の配線基板100としてもよい。
また、絶縁基板中にスルーホールが形成されていてもよい。絶縁基板の両面に金属配線が設けられる場合は、該スルーホール内に金属(例えば、銀または銀合金)が充填されることにより、両面の金属配線が導通されていてもよい。
[銀イオン拡散抑制層]
銀イオン拡散抑制層は、金属配線付き絶縁基板の金属配線側の表面に配置され、金属配線表面を覆い、金属配線間の銀のイオンマイグレーションを抑制するための層である。
なお、銀イオン拡散抑制層中には、銀イオンまたは金属銀が実質的に含まれていないことが好ましい。銀イオン拡散抑制層に過剰の銀イオンまたは金属銀が含まれていると、銀イオンマイグレーション抑制効果が低下する場合がある。
なお、銀イオンまたは金属銀が実質的に含まれないとは、銀イオン拡散抑制層中における銀イオンまたは金属銀の含有量が、1μmol/l以下であることを指し、0.1μmol/l以下であることがより好ましく、最も好ましくは0mol/lである。
銀イオン拡散抑制層の厚みは特に制限されないが、銀イオン拡散抑制層のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、5〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
銀イオン拡散抑制層には、絶縁樹脂、並びに、式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物が含有される。
以下、絶縁樹脂、および、化合物に関して詳述する。
(絶縁樹脂)
銀イオン拡散抑制層に絶縁樹脂が含まれることにより、絶縁樹脂が金属配線を覆い、金属配線間に配置されることにより、金属配線間の絶縁性が担保される。
使用される絶縁樹脂としては、公知の絶縁性の樹脂を使用することができ、銀イオン拡散抑制層の層形成がより容易である点より、硬化性絶縁樹脂(例えば、熱硬化性絶縁樹脂および光硬化性絶縁樹脂)を硬化させた樹脂を使用することが好ましい。
熱硬化性絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂、またこれらの変性樹脂などが挙げられる。
光硬化性絶縁樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、またはこれらの変性樹脂などが挙げられる。
その他の絶縁樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリ乳酸、フッ素含有樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂も挙げられる。
なかでも、後述する化合物との相溶性がより優れる点で、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、必要に応じて、絶縁樹脂をガラス織布、ガラス不織布、アラミド不織布などの心材に含浸させて使用してもよい。具体的には、ガラス布エポキシ樹脂、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂、アラミド不織布−エポキシ樹脂、アラミド不織布−ポリイミド樹脂などを使用してもよい。
さらに、絶縁樹脂が硬化性樹脂の場合、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを併用してもよい。
なお、絶縁樹脂として、2種以上の絶縁樹脂を混合して使用してもよい。
(化合物)
銀イオン拡散抑制層に、式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物(以後、単に還元性化合物とも称する)が含まれることにより、銀のイオンマイグレーションがより抑制される。
この還元性化合物は、銀イオンを還元する役割を果たす。つまり、金属配線から銀イオンが溶出しても、還元性化合物により銀イオンは銀に還元されて、イオンマイグレーションが抑制される。また、この還元性化合物であれば、銀イオン拡散抑制層中での分散性に優れており、還元銀の局在化が抑制され、結果として銀イオン拡散抑制層の黄色化(可視光領域での吸収)を抑制することができる。
なお、銀イオン拡散抑制層中には、式(1)〜式(3)で表される化合物が2種以上含まれていてもよい。
式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはこれらを組み合わせた基が好ましい。
炭化水素基中に含まれるヘテロ原子の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。なかでも、銀のイオンマイグレーション抑制能が優れる点で、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、−C(=Y3)Y4−、−SOt−、−SO2N(Rc)−、ハロゲン原子、またはこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
1〜Y4は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。tは、1〜3の整数を表す。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、本発明の効果がより優れる点で、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基が好ましい。
炭化水素基中の炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、1〜40が好ましく、4〜20がより好ましい。なお、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基またはこれらを組み合わせた基に含まれる炭素原子の数の範囲も、上記範囲であることが好ましい。
式(1)中、Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、Zは水素原子が好ましい。
アシル基またはRzOC(=O)基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましい。
なお、式(1)中、R1〜R5の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。つまり、R1〜R5の少なくとも一つは、炭素原子を含む基(上記脂肪族炭化水素基、上記芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基など)である。
炭素原子の合計数が該範囲であれば、銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性が向上する。なお、該効果がより優れる点で、合計数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、合成がより容易であり、絶縁樹脂への分散性がより優れる点から、合計数は50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
なお、化合物中において、R1〜R5の一つのみが炭素原子を含む基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基など)の場合は、該基中の炭素原子の数が4以上であればよい。
また、化合物中において、R1〜R5のうち複数の基が炭素原子を含む基(例えば、アルキル基、アルコキシ基など)の場合は、各基中に含まれる炭素原子の数の合計が4以上であればよい。例えば、R1およびR2がアルキル基で、R3〜R5が水素原子の場合、R1のアルキル基中に含まれる炭素原子の数とR2のアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が4以上であればよい。
また、R1〜R5は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環の種類は特に制限されないが、例えば、5〜6員環構造を挙げることができる。
1〜R5には、必要に応じて、公知の置換基がさらに含まれていてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
式(2)中、R6〜R8は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。
脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはこれらを組み合わせた基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。
式(2)中、R6〜R8の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。炭素原子の合計数が該範囲であれば、銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性が向上する。なお、該効果がより優れる点で、合計数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、合成がより容易であり、絶縁樹脂への分散性がより優れる点から、合計数は50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
なお、上記合計とは、例えば、R6〜R8がすべてアルキル基の場合、R6のアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R7のアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R8のアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が6以上であればよい。
なお、R6〜R8には、必要に応じて、公知の置換基がさらに含まれていてもよい。置換基の例としては、上述したR1〜R5に置換される置換基と同義である。
なお、R6〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。
式(3)中、R9〜R12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでもよいアリール基、または、これらを組み合わせた基を表す。
アルキル基またはアリール基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。
なお、アルキル基またはアリール基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。含有されるヘテロ原子の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。なかでも、銀のイオンマイグレーション抑制能が優れる点で、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、−C(=X3)X4−、−SOn−、−SO2N(Rc)−、ハロゲン原子、またはこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
上記Ra、Rb、Rcは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
nは1〜3の整数を表す。
式(3)中、R9〜R12の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。炭素原子の合計数が該範囲であれば、銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性が向上する。なお、該効果がより優れる点で、合計数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、合成がより容易であり、絶縁樹脂への分散性がより優れる点から、合計数は50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
なお、上記合計とは、例えば、R9〜R12がすべてアルキル基の場合、R9のアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R10のアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R11のアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R12のアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が6以上であればよい。
なお、R9〜R12は互いに結合して環を形成してもよい。
(好適態様)
上述した式(1)〜(3)で表される化合物のなかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、式(4)で表される化合物が好適に挙げられる。
式(4)中、Z、R1、R2、R3の定義は、式(1)中の各基の定義と同義である。
式(4)中、R14およびR15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
上記炭化水素基としては、本発明の効果がより優れる点で、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでもよい芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基が好ましい。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、3級炭素原子あるいは4級炭素原子を含むアルキル基であることが好ましい。
なお、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基中の炭素原子の数は後述する要件を満たしていれば特に制限されないが、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。また、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基またはこれらを組み合わせた基に含まれる炭素原子の数の範囲も、上記範囲であることが好ましい。
特に、R14が炭素原子数1〜5個のアルキル基で、R15が炭素原子数10〜20個のアルキル基であることが好ましい。
1、R2、R14およびR15のうち少なくとも一つに含まれる炭素原子の数が1〜40である。炭素原子の数が上記範囲内であれば、絶縁樹脂への溶解性が向上して、銀イオン拡散抑制層中における化合物の分散性が向上し、結果として銀のイオンマイグレーション抑制能が向上する。なかでも、炭素原子の数は8〜40が好ましく、10〜30がより好ましい。
また、R1、R2、R14およびR15の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。炭素原子の合計数が該範囲であれば、銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線間の絶縁信頼性が向上する。なお、該効果がより優れる点で、合計数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、合成がより容易であり、絶縁樹脂への分散性がより優れる点から、合計数は50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
また、上述した式(1)〜(3)で表される化合物のなかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、式(5)で表される化合物、または、式(6)で表される化合物が最も好ましい。
式(5)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
炭化水素基の好適例としては、例えば、−O−Raが挙げられる。Raは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。−O−Raが複数ある場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
炭化水素基の炭素数としては、絶縁樹脂との相溶性により優れる点で、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。
炭化水素基としては、より具体的には、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
また、R31〜R38の各基の分子量の合計は24以上である。なかでも、35以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。上記各基の分子量の合計とは、R31〜R38それぞれの基の分子量を計算し、それらを合計した値を意図する。
また、R31〜R38は、任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。
なお、ヘテロ原子の定義は、上記で説明した、R1〜R5で表されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基中のヘテロ原子の定義と同義である。
31〜R36で表されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、本発明の効果がより優れる点で、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、酸素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基)、および、これらを組み合わせた基からなる群から選択される、炭素数1〜20の基が好ましい。
なお、R37およびR38は、それぞれ独立に、−CH2−R40基、水酸基、または酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基は、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。R40は、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。
また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または、環状のいずれであってもよい。
39は、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。2価の脂肪族炭化水素基に含まれる炭素原子の数は、1〜10が好ましい。例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソノニリデン基、またはシクロヘキシリデン基などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ヘテロ原子の定義は、上記で説明した、R1〜R5で表されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基中のヘテロ原子の定義と同義である。
式(6)中、R41〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
41〜R44で表される炭化水素基の好適範囲は、上述したR31〜R38で表される炭化水素基の好適範囲と同義である。
また、R41〜R44の各基の分子量の合計は40以上である。なかでも、50以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
また、R41〜R44は、任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。
なお、ヘテロ原子の定義は、上記で説明した、R1〜R5で表されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基中のヘテロ原子の定義と同義である。
41〜R44で表されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、本発明の効果がより優れる点で、酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、酸素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基)、およびこれらを組み合わせた基からなる群から選択される、炭素数1〜20の基が好ましい。
また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または、環状のいずれであってもよい。
Lは、ヘテロ原子を有していてもよい2価若しくは3価の炭化水素基、−S−、または、これらを組み合わせた基を表す。
Lで表される炭化水素基としては、本発明の効果がより優れる点で、酸素原子を有していてもよい2価若しくは3価の脂肪族炭化水素基、または、酸素原子を有していてもよい2価若しくは3価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、脂肪族炭化水素基は1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい、また芳香族炭化水素基は6〜40が好ましく、6〜20がより好ましい。
また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または、環状のいずれであってもよい。
nは、2または3の整数を表す。
式(1)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(4)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(5)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(6)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(2)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(3)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
銀イオン拡散抑制層中における上記絶縁樹脂と上記還元性化合物との質量関係は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、還元性化合物の総質量Aと絶縁樹脂の総質量Bとの質量比(A/B)は、0.20以下が好ましく、0.10以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、薄い銀イオン拡散抑制層でも所定も効果が得られる点で、0.0001以上が好ましく、0.0005以上が好ましい。
なお、総質量Aは2種以上の還元性化合物が含まれる場合、それらの合計質量を表す。総質量Bは、2種以上の絶縁樹脂が含まれる場合、それらの合計質量を表す。
[配線基板]
上記絶縁基板、金属配線、および、銀イオン拡散抑制層を有する配線基板は、種々の用途および構造に対して使用することができる。例えば、プラズマディスプレイパネル用パネル基板、太陽電池電極用基板、メンブレン配線板、タッチパネル電極用基板などが挙げられる。
また、本発明の配線基板は、電子機器に含まれることが好ましい。電子機器とは、タッチパネルもしくはメンブレンスイッチやそれらを搭載したテレビ・モバイル通信機器・パーソナルコンピューター・ゲーム機器・車載表示機器・ネット通信機器、照明・表示用LED、太陽電池制御に関する電子配線機器、RFIDなどの無線通信デバイス、あるいは半導体配線基板や有機TFT配線基板で駆動制御された機器類を指す。
(配線基板の製造方法)
まず、絶縁基板上への金属配線の形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。代表的には、エッチング処理を利用したサブトラクティブ法や、電解めっきを利用したセミアディティブ法や、銀ペースト(例えば、銀ナノ粒子または銀ナノワイヤ含有ペースト)を用いて金属配線を作製する方法、特開2009−188360号に開示される感光材料を用いる方法、真空蒸着法、スパッタ成膜法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
なお、銀ペーストは、所定の粒子径の銀粒子を樹脂バインダーなどの適当な溶媒に分散させて得られる導電性の糊状物質(ペースト)であり、試料の取り付けや導電処理などに用いられている。市販品としては、例えば、ペルトロンK−3424LB(商品名、ペルノックス株式会社製)などが挙げられる。
配線基板の製造方法は特に制限されず、例えば、上記絶縁樹脂、上記還元性化合物および溶媒を含む銀イオン拡散抑制層形成用組成物を金属配線付き絶縁基板上に塗布して、溶媒を除去して、銀イオン拡散抑制層を形成する方法がある。また、上記絶縁樹脂および上記化合物を含む銀イオン拡散抑制層用フィルムを直接金属配線付き絶縁基板上に積層する方法も挙げられる。
銀イオン拡散抑制層の厚みの調整が容易である点より、上記塗布による方法が好ましい。
なお、銀イオン拡散抑制層形成用組成物を金属配線付き絶縁基板上へ塗布する方法は特に制限されず、ディスペンス法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、バーコード法、スピンコーター法、インクジェット法、ディップ浸漬法など、公知の方法を採用することができる。銀イオン拡散抑制層の付着量の制御がよりしやすい点で、ディスペンス法、スクリーン印刷法、スピンコーター法、インクジェット法が好ましい。
また、組成物中に含まれる絶縁樹脂が硬化性樹脂の場合は、組成物を塗布した後、必要に応じて、加熱処理または露光処理を施してもよい。
加熱処理を実施する場合は、その加熱温度は使用される熱硬化性樹脂に応じて適宜最適な温度が選択されるが、通常、100〜300℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。また、加熱時間は、生産性の点から、0.2〜10時間が好ましく、0.5〜5時間がより好ましい。
さらに、露光処理を実施する場合は、露光に使用される光は使用される光硬化性樹脂に応じて適宜最適な波長の光が選択される。例えば、紫外線、可視光などが挙げられる。露光時間は、生産性の点から、0.2〜10時間が好ましく、0.5〜5時間がより好ましい。
[絶縁層付き配線基板]
必要に応じて、上記で得られた配線基板の銀イオン拡散抑制層側の表面にさらに絶縁層を設けてもよい。銀イオン拡散抑制層上にさらに絶縁層を設けることにより、絶縁層上に配線をさらに配線を設けて多層配線基板とすることができる。
より具体的には、絶縁層付き配線基板200は、図3に示すように、銀イオン拡散抑制層18上に絶縁層20が配置されている。
以下では、使用される材料(絶縁層)について説明し、その後製造方法の手順について説明する。
(絶縁層)
絶縁層の材料としては、公知の絶縁性の材料を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、アクリレート樹脂など挙げられる。
また、絶縁層として、いわゆる光学用透明粘着シート(OCA)を使用してもよい。OCAは市販品を用いてもよく、例えば、3M(株)製8171CLシリーズ、8146シリーズなどが挙げられる。
また、絶縁層として、いわゆるソルダーレジスト層を使用してもよい。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200Gなどが挙げられる。
なかでも、絶縁層は、エポキシ基または(メタ)アクリレート基を有する樹脂を含むことが好ましい。該樹脂は上述した銀イオン拡散抑制層と結合しやすく、結果として絶縁層の密着性が向上し、結果として銀のイオンマグレーション抑制効果がより向上する。
該樹脂は絶縁層の主成分であることが好ましい。主成分とは、該樹脂の合計が絶縁層全量に対して、50質量%以上であることを意図し、60質量%以上であることが好ましい。なお、上限としては、100質量%である。
エポキシ基を有する樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を用いることができる。
(メタ)アクリレート基を有する樹脂としては、公知の樹脂を使用することができる。例えば、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂等を用いることができる。
(製造の手順)
配線基板上への絶縁層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、絶縁層のフィルムを直接配線基板上にラミネートする方法や、絶縁層を構成する成分を含む絶縁層形成用組成物を配線基板上に塗布する方法や、配線基板を該絶縁層形成用組成物に浸漬する方法などが挙げられる。
なお、上記絶縁層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒を含む絶縁層形成用組成物を使用する場合は、該組成物を配線基板上に配置した後、必要に応じて溶媒を除去するために加熱処理を施してもよい。
また、絶縁層を配線基板上に設けた後、必要に応じて、絶縁層に対してエネルギー付与(例えば、露光または加熱処理)を施してもよい。
形成される絶縁層の層厚は特に制限されず、金属配線間の絶縁信頼性の観点からは、5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。
また、得られた絶縁層付き配線基板中の絶縁層をドリル加工やレーザー加工により一部除去して、半導体チップを実装して、回路板として使用してもよい。
例えば、絶縁層としてソルダーレジストを使用する場合は、所定のパターン状のマスクを絶縁層上に配置し、エネルギーを付与して硬化させ、エネルギー未付与領域の絶縁層を除去して金属配線を露出させる。次に、露出した金属配線の表面を公知の方法で洗浄(例えば、硫酸、ソフトエッチング剤、アルカリ、界面活性剤を使用して洗浄)した後、半導体チップを金属配線表面上に実装する。
また、得られた絶縁層上にさらに金属配線を設けてもよい。金属配線を形成する方法は特に制限されず、公知の方法(めっき処理、スパッタリング処理など)を使用することができる。
本発明においては、得られた絶縁層付き配線基板中の最外層に配置される絶縁層上にさらに金属配線を設けた基板を新たな金属配線付き絶縁基板(内層基板)として使用し、新たに絶縁層および金属配線を幾層にも積層することができる。
<導電膜積層体>
次に、本発明の導電膜積層体の好適態様について、図面を参照して詳述する。
図4は、導電膜積層体の一実施態様の模式的断面図を示し、導電膜積層体300は、透明基板302と、透明基板302上に配置された銀または銀合金を含む導電膜304と、導電膜304上に貼り合わされた透明両面粘着シート306とを備える。
以下に、各部材(透明基板302、導電膜304、透明両面粘着シート306)について詳述する。
[透明基板]
透明基板は、後述する導電膜および透明両面粘着シートを支持し、可視光に対して透明な基板であれば特にその種類は制限されない。
透明基板の材料としては、例えば、ガラスの他、高分子樹脂が用いられる。高分子樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、ポリイミド等が挙げられる。
透明基板の形状は特に制限されず、板状、フィルム状などが挙げられる。
透明基板の厚みは特に制限されず、導電膜積層体をタッチパネルに応用する場合、厚みは0.01〜3.0mmであることが好ましく、0.05〜1.5mmであることがより好ましい。
透明基板は、可視光域において高い透明性を有していることが好ましく、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
なお、透明基板は、下塗り層などのその他の機能層を有していてもよい。その他の機能層としては、例えば、マット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層などが挙げられる。これらは単層でもよく、複数を積層してもよい。
[導電膜]
導電膜は、上記透明基板上に配置され、主に銀を含む。該導電膜は、タッチパネル用途に応用する際は、タッチパネルの透明電極または周辺配線(リード配線)として利用できる。なお、導電膜中に、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダーなどの樹脂成分や感光性化合物などが含まれていてもよく、更に必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。
銀は銀合金の態様で含まれていてもよく、導電膜に銀合金が含まれる場合、銀以外の含有される金属としては、例えば、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロムなどが挙げられる。
導電膜のパターン形状は特に制限されず、図4に示すように、透明基板表面上の一部に配線状(パターン状導電膜)に設けられていてもよく(言い換えれば、導電性細線として設けられていてもよく)、または、全面に設けられていてもよい。なお、パターン形状としては、ストライプ状など任意のパターンをとりうる。
導電膜の単位面積当たりに含まれる銀量は、50μg/mm2以下である。銀量を上記範囲にすることにより、導電膜の膜厚および幅を小さくすることが可能となり、高密度集積化の要望に対応することができる。銀量が多すぎると、導電膜間で短絡が生じやすくなる。なかでも、銀量は30μg/mm2以下であることが好ましく、15μg/mm2以下であることがより好ましい。下限に関しては特に制限されないが、導電膜の導電特性がより優れる点で0.001μg/mm2以上が好ましく、0.005μg/mm2以上がより好ましい。
なお、導電膜に含まれる銀量が少ない場合にイオンマイグレーションが起こると、導電膜を形成していた銀が溶出してしまい、導電膜の断線が生じやすくなる。しかし、本発明においては、所定の化合物を含む透明両面粘着シートを導電膜に貼り合わせることにより、銀のイオンマイグレーションを抑制し、導電膜の断線を抑制することができる。
銀量の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、導電膜の断面SEM写真を観察して元素分析することにより銀量を測定することができる。また、導電膜を硝酸などの強酸と接触させて、導電膜中の銀を溶解させて、溶解した量から銀量を測定することもできる。また、銀ナノワイヤや銀ナノ粒子を含む分散液を使用して導電膜を作製する場合は、導電膜を作製する際に使用した分散液の量から、導電膜中における銀量を計算により求めることもできる。
また、導電膜の単位面積当たりとは、導電膜の透明基板との接触部分の単位面積当たりを意味する。つまり、導電膜と透明基板との接触部分の面積のみを基準に銀量の計算を行う。言い換えると、導電膜がパターン状の場合、導電膜と接触していない透明基板表面(例えば、導電膜間に位置する、導電膜と接触していない透明基板表面)の面積は、上記導電膜の単位面積当たりの計算には考慮にいれない。従って、導電膜の単位面積当たりに含まれる銀量とは、導電膜と透明基板との接触部分における単位面積あたり(mm2)に含まれる銀量を意味する。
導電膜の厚みは特に制限されないが、導電膜積層体のタッチパネルへの応用の点からは、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。
導電膜をタッチパネルの透明電極として適用する際には、可視光域において高い透明性を有していることが好ましく、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
導電膜がパターン形状(導電性細線)の場合、導電膜の幅は特に制限されないが、導電膜積層体のタッチパネルへの応用の点からは、0.1〜100000μmが好ましく、1〜20000μmがより好ましく、1〜10000μmがさらに好ましく、10〜300μmが特に好ましい。
導電膜がパターン形状(導電線細線)の場合、導電膜間の間隔は特に制限されないが、導電膜積層体のタッチパネルへの応用の点から、最も狭い部位において0.1〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、視認性の観点から0.1〜20μmが特に好ましい。
導電膜の形成方法は特に制限されず、蒸着法、スパッタリング法などの物理的成膜法、またはCVD法などの化学的気相法、銀ナノ粒子や銀ナノワイヤを含有した銀ペーストを塗布して形成する方法、特開2009−188360号に開示される銀塩を利用した方法などが挙げられる。
なお、導電膜をタッチパネル等の透明電極として適用する際には、導電膜は、銀または銀合金からなる金属ナノワイヤ(以後、単に金属ナノワイヤとも称する)を含有することが好ましい。この金属ナノワイヤを使用することにより、低温で導電膜を成膜することができ、高透過率で低抵抗な透明電極を提供できる。
(金属ナノワイヤ)
金属ナノワイヤは、銀または銀合金から構成される。銀合金の種類は、上述の通りである。
金属ナノワイヤとは、導電性を有し、且つ長軸方向長さが直径(短軸方向長さ)に比べて十分に長い形状を持つものをいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
金属ナノワイヤの材料は、導電性に優れる点で、銀、または、銀と他の金属との合金が特に好ましい。
銀との合金で使用する他の金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム、錫、ビスマス、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属ナノワイヤの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、5〜50nmが好ましく、5〜25nmがより好ましく、さらに5〜20nmが特に好ましい。
平均短軸長さが5nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがある。一方、平均短軸長が50nm超であると、金属ナノワイヤの散乱が大きくなり、導電膜のヘイズ値が大きくなることがある。特に、平均短軸長さを25nm以下にすることより、金属ナノワイヤの散乱は低減でき、導電膜のヘイズ値は大幅に改良(低減)される。ヘイズが小さい導電膜を用いたタッチパネルは、導電膜のパターン見え(骨見え)が解消でき、タッチパネルの視認性が向上する。
金属ナノワイヤの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤを観察し、その平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長さを求める。なお、金属ナノワイヤの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとする。
金属ナノワイヤの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、5μm以上であることが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
平均長軸長さが、5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
金属ナノワイヤの平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤを観察し、その平均値から金属ナノワイヤの平均長軸長さを求める。なお、金属ナノワイヤが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、および、曲率から算出される値を長軸長さとする。
金属ナノワイヤの製造方法は特に制限はなく、いかなる方法で作製してもよいが、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、導電膜の経時安定性の観点から好ましい。
また、金属ナノワイヤの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報、特表2009−505358号公報などに記載の方法を用いることができる。
金属ナノワイヤのアスペクト比としては目的に応じて適宜選択することができるが、10以上であれば特に制限なく、50以上がより好ましく、100以上がさらに好ましく、5000以上がさらに好ましく、10,000から100,000が特に好ましい。アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
金属ナノワイヤのアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、金属ナノワイヤの平均長軸長さと平均短軸長さとを各々別に測定することによって、金属ナノワイヤ全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、金属ナノワイヤがチューブ状の場合には、アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
(銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有する導電膜)
銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有する導電膜の形成方法は特に制限されないが、上記金属ナノワイヤと共に、マトリクス成分として、(1)バインダーおよび光重合性組成物を少なくとも含有する感光性組成物、(2)ゾルゲル硬化物、または(3)高分子を少なくとも含有する組成物、を少なくとも含有する組成物を用いることが好ましい。
なお、マトリクス成分(導電膜に含まれる金属ナノワイヤおよび溶剤を除いた全ての成分)の質量と、金属ナノワイヤの質量との質量比は、0.5〜15(より好ましくは1.0〜12、特に好ましくは2.0〜10)であることが好ましい。質量比が0.5未満であると、バインダー成分が少なく、金属ナノワイヤの基板表面に対する密着性が弱く、膜強度が弱くなる場合があり、質量比が15を超えると、導電膜の表面抵抗値が上昇してしまうことがある。
以下に、マトリクス成分として使用される材料について詳述する。
(バインダー)
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
バインダーの製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶媒の種類などの重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどがあり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
上記以外にも、線状有機高分子重合体としては、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基およびアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートまたはアリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、CH2=CR89〔ただし、R8は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R9は炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表す。〕などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
バインダーの含有量は、前述の金属ナノワイヤを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、5〜90質量%が好ましく、10〜85質量%がより好ましく、20〜80質量%が更に好ましい。上記範囲であると、現像性と金属ナノワイヤの導電性の両立が図れる。
(光重合性組成物)
光重合性組成物は、露光により画像を形成する機能を導電膜に付与するか、またはそのきっかけを与える組成物を意味する。(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含む。
(a)付加重合性不飽和化合物
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体若しくはオリゴマー、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(a)の含有量は、前述の金属ナノワイヤを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、2.6〜37.5質量%であることが好ましく、5.0〜20.0質量%であることがより好ましい。
(b)光重合開始剤
成分(b)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物、または、その他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線または放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ−またはトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジン、1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線または放射線の照射により酸ラジカルを発生する基または化合物を樹脂の主鎖または側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
上記トリアジン系化合物としては、例えば、特開2011−018636号公報、特開2011−254046号公報に記載されている化合物を使用することができる。
本発明においては、光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である観点から特に好ましい。
光酸発生剤として、1,2−ナフトキノンジアジド基を有する化合物を用いると高感度で現像性が良好である。
光酸発生剤の中で下記の化合物でDが独立して水素原子または1,2−ナフトキノンジアジド基であるものが高感度である観点から好ましい。
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収しまたは光増感されて、分解反応または水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば、特開2008−268884号公報に記載されているようなトリアジン系化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、またはアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
光ラジカル発生剤としては、例えば、特開2011−018636号公報、特開2011−254046号公報に記載されている光ラジカル発生剤を使用することができる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その含有量は、金属ナノワイヤを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。このような数値範囲において、後述の導電性領域と非導電性領域とを含むパターンを導電膜に形成する場合に、良好な感度とパターン形成性が得られる。
上記成分以外のその他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(連鎖移動剤)
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、フリーラジカル、酸、または熱により化学結合を形成し、導電膜を硬化させる化合物で、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アジド系化合物、メタクリロイル基若しくはアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点で、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、オキセタン樹脂は、1種単独でまたはエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特に、エポキシ樹脂との併用で用いた場合には、反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤを含む光重合性組成物の固形分の総質量を100質量部としたとき、1〜250質量部が好ましく、3〜200質量部がより好ましい。
(分散剤)
分散剤は、光重合性組成物中における前述の金属ナノワイヤが凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、金属ナノワイヤを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属ナノワイヤに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、金属ナノワイヤの製造に用いたもの以外をさらに別に添加する場合、当該高分子分散剤も、また、バインダーに包含され、その含有量は、前述のバインダーの含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量としては、バインダー100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤの凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
(溶媒)
溶媒は、前述の金属ナノワイヤと、光重合性組成物とを含む組成物を基材表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
(金属腐食防止剤)
金属ナノワイヤの金属腐食防止剤を含有させておくことが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電材料の経時による導電性および透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、または粉末で添加するか、導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、金属ナノワイヤに対して0.5〜10質量%含有させることが好ましい。
その他マトリクスとしては、前述の金属ナノワイヤの製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリクスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
透明導電膜の形成には、金属ナノワイヤとともに、マトリクス成分としてゾルゲル硬化物を少なくとも含有する組成物を用いることもできる。
以下に、ゾルゲル硬化物について詳述する。
(ゾルゲル硬化物)
上記ゾルゲル硬化物は、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解および重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるものである。
特定アルコキシド化合物は、下記一般式(X)で示される化合物であることが、入手が容易である点で好ましい。
1(OR20a21 4-a (X)
(一般式(X)中、M1はSi、TiおよびZrから選択される元素を示し、R20、R21はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
一般式(X)におけるR20およびR21の各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基またはアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基またはアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、一般式(X)で示される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
一般式(X)で示される化合物の具体例としては、例えば、特開2010−064474号公報などに記載されている。
本発明においてゾルゲル硬化物を導電膜のマトリクスとして用いる場合、前述の金属ナノワイヤに対する特定アルコキシド化合物の比率、即ち、特定アルコキシド化合物/金属ナノワイヤの質量比が0.25/1〜30/1の範囲で使用されることが好ましい。上記質量比が0.25/1よりも小さい場合には、透明性が劣ると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性および耐屈曲性のうちの少なくとも一つが劣った導電膜となり、他方、上記質量比が30/1よりも大きい場合には、導電性および耐屈曲性の劣る導電膜となる。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜20/1の範囲、更に好ましくは1/1〜15/1、最も好ましくは2/1〜8/1の範囲が高い導電性と高い透明性(全光透過率及びヘイズ)を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる導電材料を安定的に得ることができるので、好ましい。
また、導電膜の形成には、金属ナノワイヤとともに、マトリクス成分として高分子を少なくとも含有する組成物を用いることもできる。
以下に、使用される高分子について詳述する。
高分子としては合成高分子や天然高分子が含まれ、合成高分子としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル、ポリビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メタクリル酸樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、合成ゴムやこれらのラテックス等が挙げられる。天然高分子としては、セルロース系樹脂や天然ゴムなどが挙げられる。
必要により、導電膜上には保護コート材からなる保護層を設けてもよい。
保護層を形成する保護コート材に関しては、例えば、特開2011−167848号公報に記載されるものが適応できる。
保護コート材は、架橋剤、重合開始剤、安定剤(例えば、酸化防止剤および製品寿命長期化のための紫外線安定剤、および保存期間改善のための重合防止剤)、界面活性剤、および同様な効果を有するものを含んでもよい。また、保護コート材は、金属ナノワイヤの腐食を防止する腐食防止剤をさらに含んでもよい。
保護層を形成する方法としては公知のウェットコート方法であれば特に制限はない。具体的には、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなどが挙げられる。
保護層用塗料によって透明導電膜を含浸しつつ保護層を形成するとき、塗布、乾燥後の保護層の膜厚は、塗布前の導電膜に対して薄すぎると耐擦過性、耐摩耗性、耐候性等の保護層としての機能が低下し、厚すぎると導体としての接触抵抗が増加する。
保護層用塗料の塗布は導電膜の膜厚が50〜150nmの範囲で形成されているときは、塗布、乾燥後の膜厚が30〜150nmであることが好ましく、導電膜の膜厚を考慮して表面抵抗率、ヘイズ等が所定の値を実現出来るよう調整することができる。なかでも、40〜175nmがより好ましく、50〜150nmが特に好ましい。保護層用塗料の乾燥後の膜厚は、透明導電膜の膜厚にもよるが、30nm以上の膜厚であると保護層による保護機能がより良好に働く傾向にあり、150nm以下の膜厚であるとより良好な導電性能が確保できる傾向にある。
導電膜は、用途に応じて、所望の形状にパターニングしてもよい。
導電膜をパターニングする方法は特に制限されず、例えば、導電膜に対し、露光し、現像するものである。より具体的には、パターン露光する工程と、現像工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
導電膜のマトリックスが非感光性のものである場合には、下記の(1)〜(2)の方法によりパターンニングされることが好ましい。
(1)導電膜上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層に所望のパターン露光および現像を行って、当該パターン状のレジストを形成したのちに(エッチングマスク材)、導電膜をエッチング可能なエッチング液で処理するウェットプロセスか、または反応性イオンエッチングのようなドライプロセスにより、レジストで保護されていない領域の導電膜をエッチングして断線または消失させるパターニング方法。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
(2)導電膜上の所望の領域に、光硬化性樹脂をインクジェット方式やスクリーン印刷方式によりパターン上に設け、この光硬化性樹脂層に所望の露光を行って、当該パターン状のレジスト(エッチングマスク材)を形成したのちに、導電膜をエッチング可能なエッチング液中に浸漬するか、またはエッチング液をシャワリングして、レジストで保護されていない領域の導電膜を断線または消失させるパターニング方法。
上記(1)または(2)の方法による場合には、パターニングが終了した後に、導電膜上のレジストは常法により除去することが、好ましい。
エッチングマスク材を付与する方法には特に制限がなく、例えば塗布法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。
塗布法としては特に制限はなく、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
印刷法としては、例えば、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、などが挙げられる。なお、この工程で形成されるレジスト層はポジ型レジスト層でもよく、ネガ型レジスト層でもよい。ポジ型レジスト層の場合には、パターン状の露光領域が可溶化され、未露光領域(未溶解化領域)にパターン状のレジスト層が形成され、ネガ型レジスト層の場合には、露光領域が硬化されたレジスト層となり、溶解液の付与により、未露光部、即ち未硬化部のレジスト層が除去され、パターン状のレジスト層が形成される。
上記(1)の方法に使用されるレジスト層形成用材料の種類は特に制限されず、ネガ型、ポジ型、ドライフィルムタイプなどのいずれも用いることができる。
レジスト層の形成には、市販のアルカリ可溶性フォトレジストを適宜選択して用いることができる。例えば、富士フイルム製カラーモザイクシリーズ、FILSシリーズ、FIOSシリーズ、FMESシリーズ、FTENSシリーズ、FIESシリーズ、半導体プロセス用各ポジ型、ネガ型フォトレジストシリーズ、富士薬品製フジレジストシリーズ、中でも、FRシリーズ、FPPRシリーズ、FMRシリーズ、FDERシリーズなどを好ましく用いることができ、また、AZエレクトロニックマテリアルズ製フォトレジストシリーズ、中でも、RFPシリーズ、TFPシリーズ、SZPシリーズ、HKTシリーズ、SFP、シリーズ、SRシリーズ、SOPシリーズ、SZCシリーズ、CTPシリーズ、ANRシリーズ、P4000シリーズ、TPM606、40XT、nXTシリーズなどが好ましく挙げられ、JSR社製の各フォトレジストなども、高解像度タイプから、低解像度タイプまで広く用いることが可能である。
ドライフィルムレジストとしては、日立化成工業製、プリント配線板用感光性フィルム、旭化成イーマテリアルズ製感光性ドライフィルムSUNFORTシリーズ、デュポンMRCドライフィルム製FXGシリーズ、FXRシリーズ、FX900シリーズ、JSF100シリーズ、SA100シリーズ、LDIシリーズ、FRAシリーズ、CMシリーズ、富士フイルム製トランサー各シリーズ等が挙げられ、これらを適宜使用することができる。
これらレジスト層形成材料は、導電膜において形成されるパターンの解像度などに応じて、適宜、選択すればよい。
レジスト層の形成において、ドライフィルム型のレジスト層形成材料を用いる場合、予め作製されたドライフィルムレジストの感光性レジスト層を、形成された導電膜の表面に転写すればよい。
露光工程は、光重合開始剤を含むエッチングマスク材を用いて酸素濃度が5%以下で露光を行う。
また、導電膜は、転写材料を利用して、転写により、目的とする基板上にパターニング形成してもよい。
また、特開2011−167848号公報の[0147]〜[0148]に記載されているように、導電膜上に除去剤(エッチング液)をスクリーン印刷でパターン塗布することにより、導電膜のパターニングも可能である。
[透明両面粘着シート]
透明両面粘着シートは、透明であり、表面および裏面が粘着性を示すシートである。該シートは、一方の粘着性を示す面が上記導電膜に貼り付けられるように、導電膜上に積層する。言い換えると、透明両面粘着シートは、透明基板とその上に配置される導電膜とを有する導電膜付き透明基板の導電膜側に貼り付けられる。
より具体的には、図4中、透明両面粘着シート306の表面306cおよび裏面306dが粘着性を示し、表面306cが導電膜304に貼り付けられるように透明両面粘着シート306が導電膜304上に配置される。
透明両面粘着シートは粘着剤層を少なくとも有していればよく、基材の両面に粘着剤層が配置された基材を有するタイプ(基材付き透明両面粘着シート)であってもよいし、粘着剤層のみからなり基材を有しないタイプ(基材レス透明両面粘着シート)であってもよい。なかでも、透明両面粘着シートを用いた製品の薄膜化の観点からは、基材レス透明両面粘着シートが好ましい。
透明両面粘着シートには、上述した還元性化合物が含まれる。含有される還元性化合物の好適態様は、上述の通りである。
なお、透明両面粘着シートが基材付き透明両面粘着シートの場合、還元性化合物は基材中、または、粘着剤層中のどちらに含有されていてもよく、基材と粘着剤層の両方に含まれていてもよい。
また、上述した還元性化合物が両面粘着シートの粘着剤層に含まれる場合、粘着剤中における還元性化合物の分散性がより優れることから、高温高湿環境下に導電膜積層体が放置された場合であっても、粘着剤層の粘着力の低下が見られない。
透明両面粘着シート中における還元性化合物の含有量は特に制限されないが、還元性化合物の総質量Aと透明樹脂の総質量Cとの質量比(A/C)は、還元性化合物の透明樹脂内部での析出がより抑制されシートの透明性がより優れると共に、シート表面近傍での還元性化合物の析出がより抑制され、シートと被着体との密着性がより向上し、電気信頼性がより向上する点から、0.20以下が好ましく、0.10以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、薄い透明両面粘着シートでも所定も効果が得られる点で、0.0001以上が好ましく、0.0005以上が好ましい。
なお、総質量Aは2種以上の還元性化合物が含まれる場合、それらの合計質量を表す。総質量Cは、2種以上の透明樹脂が含まれる場合、それらの合計質量を表す。
透明両面粘着シートの厚みは特に制限されず、導電膜積層体のタッチパネルへの応用の点から、5〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
透明両面粘着シートの厚みを20μm以上とすることで貼り付ける基板の段差や凹凸をカバーできるという効果が得られ、100μm以下とすることで透明両面粘着シートの透過率を充分に確保できるという効果が得られる。
透明両面粘着シートが基材付き透明両面粘着シートである場合、粘着剤層は基材の両面に設けられる。使用される基材の種類は特に制限されないが、透明基材を使用することが好ましい。透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。
透明両面粘着シートの粘着剤層の材料は特に限定されず、公知の材料を使用することができる。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの各種の透明樹脂粘着剤を使用できるが、透明性がより優れると共に上記還元性化合物との相溶性がより優れる点で、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度が好ましく、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を例示できる。
また、透明両面粘着シートは、60℃、90%RH条件下に100時間静置直後の全光線透過率が80%以上(より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上)、ヘイズが1.0%以下(より好ましくは0.7%以下)であることが好ましい。
また、透明両面粘着シートの吸水率は、60℃、90%RH条件下に100時間静値後において、2.0%以下(より好ましくは1.25%以下、さらに好ましくは1.0%以下)であることが好ましい。
吸水率の測定方法は、特開2012−11637号公報記載の方法に準じる。
上記透明両面粘着シートは、公知の方法によって製造することができる。例えば、基材レス透明両面粘着シートの場合には、セパレータ(剥離ライナー)上に還元性化合物を含む粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布して粘着剤組成物の塗布層を設けた後、該塗布層を乾燥、必要に応じて硬化して、粘着剤層を形成することにより、透明両面粘着シートを作製しうる。
また、基材付き透明両面粘着シートの場合には、還元性化合物を含む粘着剤組成物を、基材表面に直接塗布、乾燥することにより粘着剤層を設けてもよいし(直写法)、上記と同様にセパレータ上に還元性化合物を含む粘着剤層を形成した後、基材と転写する(貼り合わせる)ことにより基材上に粘着剤層を設けてもよい(転写法)。
また、他の製造方法としては、例えば、還元性化合物を含む基材表面に、粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を設け、基材付き透明両面粘着シートを製造する方法も挙げられる。
なお、図4においては、透明基板302の一方の表面上に導電膜304および透明両面粘着シート306が設けられているが、該態様には限定されない。
例えば、図5に示す導電膜積層体400のように、透明基板302の両面上に導電膜304a、304bおよび透明両面粘着シート306a、306bが設けられていてもよい。また、導電膜304aと304bのように、両者のパターン形状は異なっていてもよい。なお、導電膜304aと304bとは共に細線状であり、両者は直交するように配置される。
<導電膜積層体>
本発明の導電膜積層体は、上記のように、透明基板と、透明基板上に配置された銀を含む導電膜と、導電膜上に貼り合わされた透明両面粘着シートとを備える。
なお、必要に応じて、上記透明両面粘着シートの露出した粘着性を示す表面上にさらに別の部材(例えば、後述する保護基板)を貼り合せてもよい。
導電膜積層体は、導電膜間のイオンマイグレーションをより抑制できる点から、例えば、タッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機または無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、表示素子、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネルのリード配線部が特に好ましい。以下に、タッチパネルのリード配線部の態様について詳述する。
[好適態様]
上述した導電膜積層体をタッチパネルに使用した場合、導電膜間でのイオンマイグレーションがより抑制されることから過酷な環境下に長期間に渡って放置された後であってもその性能が維持される。
近年、タッチパネルの小型の情報端末機器への適用がすすみ、広い入力エリアを確保するため、額縁部分の幅を狭くすること(狭額縁化)が求められている。通常、タッチパネルの額縁部分にはリード配線(周辺配線)が配置されており、挟額縁化を達成するためには、リード配線の幅およびリード配線間の距離をより狭小化する必要がある。一方、このような狭小化を実施すると、リード配線の断線や、リード配線間の短絡が進行しやすくなる。
それに対して、上記導電膜積層体をリード配線部に適用した場合(つまり、導電膜積層体の導電膜をリード配線として適用した場合)、還元性化合物を含む透明両面粘着シートの機能によって、リード配線(金属配線)の断線や、リード配線間の短絡がより抑制される。
以下、図面を参照して、より詳細に説明する。
図6(A)は、タッチパネル部材の一部平面概略図であり、図6(B)はA−A線での模式的断面図である。図6(A)に示す、タッチパネル部材500は、タッチパネル用導電膜積層体600と、タッチパネル用導電膜積層体600の所定の位置に接合されるフレキシブル回路30とを備えて構成される。
タッチパネル用導電膜積層体600には、透明基板32の一方の面側に透明電極層34(例えば、ITO層、銀含有層)と、透明両面粘着シート42とが設けられている。なお、透明電極層34は、透明基板32上に整列する複数のダイヤ形状を一方方向に直線状に連結するパターンで形成されている。透明電極層34には、電気的に接続される複数のリード配線36が設けられている。リード配線36の末端には、図示しない導電体が設けられており、フレキシブル回路30中の図示しない端子と電気的に接続している。
透明基板32には、透明電極層34が設けられている領域においてタッチパネル使用者が視認可能で、タッチ位置を検出することができる感知部(センサ部)として機能するアクティブエリア38が構成されており、一方、その外側は、非アクティブエリア40となっている。タッチパネルの額縁部分は、非アクティブエリア40に該当する。通常、非アクティブエリア40には、上記のようにリード配線36やフレキシブル回路30が存在する。このリード配線36上に、リード配線36を覆うように透明両面粘着シート42を配置することにより、リード配線36の断線およびリード配線36間の短絡をより抑制することができる。
つまり、導電膜積層体の好適態様の一つは、透明基板と、透明基板上に配置され、センサとして機能する電極パターン部と、透明基板上で電極パターン部の電極と一端が接続し、他端が外部の制御回路に接続される端子と接続する、銀を含有するリード配線からなる端子配線部と、少なくともリード配線上に配置された上記透明両面粘着シートとを有するタッチパネル用導電膜積層体が挙げられる。なお、リード配線の単位面積当たりに含まれる銀量が50μg/mm2以下であり、透明両面粘着シートには、上述した透明樹脂、および、還元性化合物が含まれる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(透明両面粘着シートの製造)
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート91.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5質量部、アクリル酸8.0質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して質量平均分子量80万のアクリル共重合体(1)を得た。
次に、上記アクリル共重合体(1)(98質量部)と、上記トコフェロール(2質量部)とを酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤組成物を得た。
上記粘着剤組成物100重量部にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL−45、固形分45%)を0.7重量部添加し15分攪拌後、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ50μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工して、75℃で5分間乾燥した。得られた粘着シートと、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせた。その後23℃で5日間熟成し厚さ25μmの透明両面粘着シート(基材レス粘着シート)S−1を得た。該粘着シートの全光線透過率は90.8%、ヘイズは0.6%、吸水率は1.24%であった。全光線透過率、ヘイズおよび吸水率の測定方法は、特開2012−11637号公報記載の方法に準じる。より具体的には、後段の記載の方法で測定を実施した。
なお、透明両面粘着シート中におけるトコフェロールの含有量は、透明両面粘着シート全質量に対して、2質量%であった。
(透明両面粘着シートの全光線透過率およびヘイズ測定)
得られた透明両面粘着シートS−1を60℃、90%RH条件下に100時間放置した後、PETフィルム、ガラスの順で貼り合わせて試験サンプルを調整した。(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、調整サンプルの全光線透過率およびヘイズ(%)を測定した。
(透明両面粘着シートの吸水率測定)
100mm×100mmの両面粘着シートを、60℃、90%RH条件下に100時間放置した後、直ちに透明両面粘着シートの片面の剥離フィルムを剥がして、予め秤量してある150mm×150mmのステンレスメッシュ(#250)に貼り合わせ、さらにもう一方の剥離フィルムを剥がして秤量する(この重量から該ステンレスメッシュの重量を除いた重量をW1とする)。これを105℃条件下で2時間乾燥した後、秤量を行う(この重量から該ステンレスメッシュの重量を除いた重量をW2とする)。両面粘着シートの吸水率は下記の式で算出した。
両面粘着シートの吸水率(%)=(W1−W2)/W2×100
<実施例2>
銅張積層板(日立化成社製 MCL−E−679F、基板:ガラスエポキシ基板)を用いて、スクリーン印刷法により、L/S=200μm/200μmの銀配線を備える金属配線付き絶縁基板Aを製造した。金属配線付き絶縁基板Aは、以下の方法により作製した。
銅張積層板の銅箔をエッチング処理により剥離した後、スクリーン印刷装置を用いて導電性銀ペースト(藤倉化成製 FA−451)を、メタルマスクを通して基板上にパターニングした。
その後、150℃の条件にて30分間加熱処理を行い、銀配線を硬化させ、銀配線のパターンがL/S=200μm/200μmの櫛型銀配線基板(金属配線付き絶縁基板A)を得た。
スクリーン印刷を用いて形成された銀配線断面は、下辺(配線と基板が接触する辺に相当)が上辺よりもやや長い台形状であった。配線部の中心近傍の平均厚みは16μmであり、用いた導電性銀ペースト中の銀成分量は70wt%であり、銀配線と絶縁基板との接触部分における銀配線自体の単位面積当たりに含まれる銀量は、銀の比重10.5g/cm3として、約24.2μg/mm2と算出された。なお、上記単位面積当たりに含まれる銀量を計算する際には、銀配線と絶縁基板とが接触している部分の面積を基準に計算し、銀配線と接触していない絶縁基板表面(例えば、銀配線と接触していない銀配線間の絶縁基板表面)の面積は考慮しない。
なお、銀量は、金属配線の断面SEM写真の元素分析の結果からも算出した。なお、SEM観察より観察される全ての銀粒子の円相当形面積総計と配線の断面積率から算出された銀量は、使用した導電性銀ペーストの使用量からの算出した銀量の値とおおよそ同じであった。
(配線基板の製造)
得られた金属配線付き絶縁基板A上に、銀イオン拡散抑制層に該当する透明両面粘着シートS−1の一方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す一方の表面を積層面として貼り合せて、さらに透明両面粘着シートS−1の他方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す他方の表面上にPETフィルム(膜厚:50μm)を貼り合せて配線基板を得た。その後、得られた配線基板を45℃、0.5MPaの条件下で20分オートクレーブ処理を行った。これにより配線基板T−1を得た。
得られた配線基板T−1に関して、以下の寿命測定を行った。
(評価方法1(寿命延長効果測定))
得られた配線基板を用いて、湿度90%、温度60度、電圧10Vの条件で寿命測定(使用装置:エスペック(株)社製、EHS−221MD)を行った。
評価方法としては、まず、トコフェロールを使用せずに上記実施例1の手順に従って透明両面粘着シートS−0を製造した。この透明両面粘着シートS−0には、トコフェロールが含まれていない。その後、金属配線付き絶縁基板A上に、透明両面粘着シートS−0の一方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す一方の表面を積層面として貼り合せて、さらに透明両面粘着シートの他方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す他方の表面上にPETフィルム(膜厚:50μm)を貼り合せて比較配線基板を得た。得られた比較配線基板を用いて、上記条件で寿命測定を行い、銀配線間の抵抗値が1×105Ωを下回るまでの時間Xを測定した。
次に、配線基板T−1に対して上記条件で寿命測定を行い、銀配線間の抵抗値が1×105Ωを下回るまでの時間Yを測定した。
得られた時間Xおよび時間Yを用いて寿命の改善効果(Y/X)を計算した。結果を表1に示す。
<実施例3>
特開2009―188360号の段落[0108]〜[0120]に記載の手法によりL/S=50μm/50μmの銀配線を備える金属配線付き絶縁基板Bを製造した。なお、金属配線の単位面積あたりに含まれる銀量は8.7μg/mm2であった。
金属配線付き絶縁基板Aの代わりに金属配線付き絶縁基板Bを使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板T−2を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例4>
(導電膜付き透明基板の製造)
透明基板に該当するPET基板(厚み125μm)からなる透明基板を用意し、以下の手順に従って、櫛形電極パターン(L/S=200μm/200μm)の銀を含む導電膜を透明基板上に作製した。導電膜の単位面積あたりに含まれる銀量は、当該配線基板を硝酸に浸漬して溶解させたことにより得られた硝酸銀水溶液を、ICP−MSを用いて濃度を測定し、算出することができ、0.014μg/mm2であった。なお、PET基板は絶縁基板にも該当する。
(銀ナノワイヤの水分散物の作製)
―銀ナノワイヤ分散液(1)の調製―
プロピレングリコール370gに硝酸銀粉末60gを溶解させ、硝酸銀溶液101を調製した。プロピレングリコール4.45kgにポリビニルピロリドン(分子量55,000)72.0gを添加し、窒素ガスを容器の気相部分に通気しながら、90℃に昇温した。この液を反応溶液101とした。窒素ガスの通気を保持したまま、激しく攪拌している反応溶液101へ硝酸銀溶液101を2.50g添加して、加熱攪拌を1分間行った。さらに、この溶液へテトラブチルアンモニウムクロリド11.8gをプロピレングリコール100gに溶解させた溶液を添加し、反応溶液102とした。
90℃に保ち、攪拌速度500rpmで攪拌している反応溶液102へ、硝酸銀溶液101を添加速度50cc/分で200g添加した。攪拌速度を100rpmに落とし、窒素ガスの通気を止めて、加熱攪拌を15時間行った。90℃に保ち、攪拌速度100rpmで攪拌しているこの液へ、硝酸銀溶液101を添加速度0.5cc/分にて220g添加し、添加終了後から2時間、加熱攪拌を続けた。攪拌を500rpmに変更し、蒸留水1.0kgを添加した後に、25℃まで冷却して仕込液101を作製した。
分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、限外濾過を次の通り実施した。蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の仕込液101への添加と仕込液101の濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。濃縮を行い、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤ分散液(1)を得た。
得られた銀ナノワイヤ分散液(1)の銀ナノワイヤについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長を測定した。
その結果、平均短軸長28.5nm、平均長軸長15.2μmであった。以後、「銀ナノワイヤ分散液(1)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤ分散液を示す。
(導電膜の作製)
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。得られたゾルゲル液の重量平均分子量(Mw)をGPC(ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは4,400であった。ゾルゲル溶液2.24部と上記調整された銀ナノワイヤ分散液(1)17.76部を混合し、さらに蒸留水と1−プロパノールで希釈して銀ナノワイヤ塗布液(1)を得た。得られた塗布液の溶剤比率は蒸留水:1−プロパノール=60:40であった。PET基板(厚み125μm)上にバーコート法で銀量が0.015g/m2、全固形分塗布量が0.120g/m2となるように銀ナノワイヤ塗布液(1)を塗布したのち、120℃で1分間乾燥して、銀ナノワイヤを含有する導電膜1を形成した。
<アルコキシド化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 11.0部
・蒸留水 4.0部
(導電膜のパターニング)
導電膜1にフォトレジスト(TMSMR−8900LB:東京応化製)をスピンコートで塗布し、90℃で60秒間焼成した。次に、フォトマスクを用いてパターン露光(露光量:12mW/cm2、20秒)し、現像液(NMD-W:東京応化性)にて現像し、水洗、乾燥させた後に、120℃で60秒間焼成し、導電膜1上にパターニングされたフォトレジストを形成した。
次に、銀エッチング液(SEA−2:関東化学製)に30秒浸漬後、水洗、乾燥させて、銀ナノワイヤをエッチングして、導電膜1に非導電部を形成した。その後、中性剥離液(PK−SFR8120:パーカーコーポーレーション製)を用いてフォトレジストを剥離し、その後、水洗、乾燥をさせて、櫛形電極パターン(L/S=200μm/200μm)にパターニングされた導電膜1を作製した。
(導電膜積層体の製造)
次に、得られた導電膜付き透明基板上に、実施例2と同様にして、透明両面粘着シートS−1を貼り合せて、導電膜積層体(配線基板にも該当)T−3を得た。
(評価方法2(寿命延長効果測定))
得られた導電膜積層体を用いて、湿度85%、温度85度、圧力1.0atm、電圧100Vの条件で寿命測定(使用装置:エスペック(株)社製、EHS−221MD)を行った。
評価方法としては、まず、トコフェロールを使用せずに上記実施例1の手順に従って透明両面粘着シートS−0を製造した。その後、導電膜付き透明基板上に、透明両面粘着シートS−0の一方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す一方の表面を積層面として貼り合せて、さらに透明両面粘着シートの他方の片面上の剥離フィルムを剥がして、粘着性を示す他方の表面上にPETフィルム(膜厚:50μm)を貼り合せて比較導電膜積層体を得た。得られた比較導電膜積層体を用いて、上記条件で寿命測定を行い、導電膜間の抵抗値が10%上昇するまでの時間Xを測定した。
次に、導電膜積層体(配線基板にも該当)T−3を用いて上記条件で寿命測定を行い、導電膜間の抵抗値が10%上昇するまでの時間Yを測定した。
得られた時間Xおよび時間Yを用いて寿命の改善効果(Y/X)を計算した。
実施例4で得られた配線基板の結果を、表1に示す。
<実施例5>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−1を使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板T−4を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例6>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−2を使用した以外は、実施例1および2と同様手順に従って、配線基板T−5を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例7>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−3を使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板T−6を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例8>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−4を使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板T−7を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例9>
銀量を24.2μg/mm2から0.011μg/mm2に変更した以外は、実施例1および5と同様の手順に従って、配線基板T−8を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例10>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−5に使用した以外は、実施例1および2と同様手順に従って、配線基板T−9を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例11>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−6に使用した以外は、実施例1および2と同様手順に従って、配線基板T−9を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例12>
トコフェロールの代わりに以下の化合物A−7に使用した以外は、実施例1および2と同様手順に従って、配線基板T−10を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例1>
トコフェロールを用いなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、透明両面粘着シートS−0を作製した。
透明両面粘着シートS−1の代わりに透明両面粘着シートS−0を使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板R−1を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例2の方法に従って、銀配線の単位面積当たりに含まれる銀量は76.1μg/mm2となるように、金属配線の厚みを調整して、L/S=200μm/200μmの金属配線付き絶縁基板Cを得た。
金属配線付き絶縁基板Aの代わりに金属配線付き絶縁基板Cを使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板R−2を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例3>
トコフェロールの代わりにアスコルビン酸に使用した以外は、実施例1および2と同様の手順に従って、配線基板R−3を作製し、上記評価方法1の評価を実施した。結果を表1に示す。
また、「剥離」とは評価中の加温過程においてシートが配線を被覆する能力を失い、湿熱で短絡したことを示す。
また、実施例4は上記評価方法2で評価した結果であり、他の実施例および比較例は上記評価方法1で評価した結果である。
上記表1に示すように、所定の化合物を使用した実施例2〜12においては、優れた寿命延命効果が示され、絶縁特性の向上が確認された。
特に、実施例2、5〜8、10〜12の比較から分かるように、式(5)で表される化合物または式(6)で表される化合物を使用した実施例5、6、10、および11において、より優れた効果が発現することが確認された。
一方、銀量が多い比較例2、および、所定の化合物を使用していない比較例3においては、絶縁特性の大きな向上は確認されなかった。
10,100 配線基板
12,12a,12b 絶縁基板
14,14a,14b 金属配線
16 金属配線付き絶縁基板
18 銀イオン拡散抑制層
20 絶縁層
30 フレキシブル回路
34 透明電極層
36 リード配線
38 アクティブエリア
40 非アクティブエリア
200 絶縁層付き配線基板
300,400,600 導電膜積層体
32,302 透明基板
304,304a,304b 導電膜
42,306,306a,306b 透明両面粘着シート
500 タッチパネル部材

Claims (13)

  1. 透明基板と、前記透明基板上に配置された銀を含む導電膜と、前記導電膜上に貼り合わされた透明両面粘着シートとを備える導電膜積層体であって、
    前記導電膜の単位面積当たりに含まれる銀量が50μg/mm2以下であり、
    前記透明両面粘着シートが、透明樹脂、並びに、式(1)〜式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、導電膜積層体。
    (式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。ただし、R1〜R5の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。なお、R1〜R5は互いに結合して環を形成してもよい。
    式(2)中、R6〜R8は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。ただし、R6〜R8の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。
    式(3)中、R9〜R12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでもよいアリール基、または、これらを組み合わせた基を表す。ただし、R9〜R12の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。)
  2. 前記化合物が、式(4)〜式(6)で表される化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の導電膜積層体。
    (式(4)中、R1〜R3およびR14〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。ただし、R1、R2、R14およびR15のうち少なくとも一つに含まれる炭素原子の数が1〜40であり、R1、R2、R14およびR15の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。)
    (式(5)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R31〜R38の各基の分子量の合計は24以上である。R39は、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。R31〜R38はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
    式(6)中、R41〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R41〜R44の各基の分子量の合計は40以上である。また、R41〜R44は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
    Lは、ヘテロ原子を含んでもよい2価〜3価の炭化水素基、−S−、またはこれらを組みあわせた基を表す。
    nは、2または3の整数を表す。)
  3. 前記化合物が、前記式(5)で表される化合物および前記式(6)で表される化合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の導電膜積層体。
  4. 前記化合物の総質量Aと前記透明樹脂の総質量Cとの質量比(A/C)が、0.0001〜0.1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜積層体。
  5. 前記導電膜が、銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電膜積層体。
  6. 前記透明樹脂が、アクリル系粘着剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電膜積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電膜積層体を含むタッチパネル。
  8. 絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置された銀を含む金属配線と、前記金属配線上に配置された銀イオン拡散抑制層とを備える配線基板であって、
    前記金属配線の単位面積当たりに含まれる銀量が50μg/mm2以下であり、
    前記銀イオン拡散抑制層が、絶縁樹脂、並びに、式(1)〜式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、配線基板。
    (式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。ただし、R1〜R5の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。なお、R1〜R5は互いに結合して環を形成してもよい。
    式(2)中、R6〜R8は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。ただし、R6〜R8の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。
    式(3)中、R9〜R12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでもよいアリール基、または、これらを組み合わせた基を表す。ただし、R9〜R12の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。)
  9. 前記化合物が、式(4)〜式(6)で表される化合物からなる群から選択される、請求項8に記載の配線基板。
    (式(4)中、R1〜R3およびR1415は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。ただし、R1、R2、R14およびR15のうち少なくとも一つに含まれる炭素原子の数が1〜40であり、R1、R2、R14およびR15の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。)
    (式(5)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R31〜R38の各基の分子量の合計は24以上である。R39は、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。R31〜R38はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
    式(6)中、R41〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R41〜R44の各基の分子量の合計は40以上である。また、R41〜R44は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
    Lは、ヘテロ原子を含んでもよい2価〜3価の炭化水素基、−S−、またはこれらを組みあわせた基を表す。
    nは、2または3の整数を表す。)
  10. 前記化合物が、前記式(5)で表される化合物および前記式(6)で表される化合物からなる群から選択される、請求項8または9に記載の配線基板。
  11. 前記化合物の総質量Aと前記絶縁樹脂の総質量Bとの質量比(A/B)が、0.0001〜0.1である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の配線基板。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の配線基板を備える電子機器。
  13. 透明樹脂、並びに、式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、透明両面粘着シート。
    (式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または、−Y 1 −、−N(R a )−、−CON(R b )−、−C(=Y 3 )Y 4 −、−SO t −、−SO 2 N(R c )−、ハロゲン原子、若しくはこれらを組み合わせた基を有していてもよい炭化水素基を表す。Zは、水素原子、アシル基、またはRzOC(=O)基を表す。Rzは、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。ただし、R1〜R5の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は4以上である。なお、R1〜R5は互いに結合して環を形成してもよい。 1 〜Y 4 は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。tは、1〜3の整数を表す。R a 、R b 、R c は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
    式(2)中、R6〜R8は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。ただし、R6〜R8の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。
    式(3)中、R9〜R12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでもよいアリール基、または、これらを組み合わせた基を表す。ただし、R9〜R12の各基中に含まれる炭素原子の数の合計は6以上である。)
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