JP6008299B2 - 光干渉計、情報取得装置、及び情報取得方法 - Google Patents

光干渉計、情報取得装置、及び情報取得方法 Download PDF

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Description

本発明は、光干渉計、情報取得装置、及び情報取得方法に関する。
従来、レーザ光を試料に照射したとき発生するラマン散乱光を検出することで画像を得るラマン顕微鏡が知られている。ラマン顕微鏡では、試料のラマン散乱スペクトルから、試料に含まれる分子を同定すると共に、当該分子の二次元分布を観察することができる。
例えば、特開2011−158413号公報には、標本中の分子の特定の分子振動の周波数に等しい周波数差を有する2つの異なる周波数を有するパルスレーザ光を導光する2つの光路と、2つの光路を導光されてきたパルスレーザ光を合波する合波手段と、前記2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路を導光されるパルスレーザ光の周波数分散量を変調する周波数変調手段と、前記2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路を導光されるパルスレーザ光の振幅を変調するパルスレーザ光振幅変調手段と、前記合波手段により合波された前記2つのパルスレーザ光を標本中に集光し、標本中の分子の特定の分子振動から発生した誘導ラマン散乱を前記パルスレーザ変調部の変調に同期して検出する変調信号検出手段と、を有することを特徴とするレーザ顕微鏡装置が開示されている。
しかしながら、ラマン顕微鏡で得られる顕微画像は「二次元画像」であり、試料の深さ方向における分子の分布は、焦点深さ方向を変えても、レーザ光の光路すべてからの信号が重畳されるため、厳密に観察することができない。
本発明の目的は、誘導ラマン散乱過程を利用して散乱光の位相情報と共に分子の種類を識別する分子識別情報を得ることができる、光干渉計、情報取得装置、及び情報取得方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、誘導ラマン散乱過程を利用して得られた散乱光の位相情報と分子識別情報とに基づいて、位相干渉像に分子識別機能が付加された対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得することができる、情報取得装置及び情報取得方法を提供することにある。
本発明の第1の態様は、可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、振幅変調された第2の光を第2の照射光として、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と前記参照光との干渉光を検出する検出手段と、を有する光干渉計である。
本発明の第2の態様は、可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、前記参照光の周波数を変調する周波数変調手段と、前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、振幅変調された第2の光を第2の照射光として、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と周波数変調された参照光との干渉光を検出する検出手段と、を有する光干渉計である。
本発明の第3の態様は、可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、前記第1の照射光の周波数を変調する周波数変調手段と、前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、振幅変調された第2の光を第2の照射光とし、前記周波数変調された第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と前記参照光との干渉光を検出する検出手段と、を有する光干渉計である。
本発明の第4の態様は、前記第1の照射光を励起光とし、前記第2の照射光をストークス光とした場合に、前記振幅変調に応じて誘導ラマンロスが生じた励起光を信号光とする、第1の態様から第3の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第5の態様は、前記第1の照射光をストークス光とし、前記第2の照射光を励起光とした場合に、前記振幅変調に応じて誘導ラマンゲインが生じたストークス光を信号光とする、第1の態様から第3の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第6の態様は、前記光源が、前記第1の光を射出する第1のレーザ、前記第2の光を射出する第2のレーザ、及び前記第1のレーザの発振と前記第2のレーザの発振とを同期させる同期回路を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第7の態様は、前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を波長変換して前記第1の光及び前記第2の光を生成する波長変換装置と、を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第8の態様は、前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する波長変換装置と、前記波長変換装置の光出射側に配置され且つ前記波長が異なる2つの可干渉光の少なくとも一方を波長変換する少なくとも1つの波長変換素子と、を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第9の態様は、前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を2光波に分岐する分岐手段と、分岐された一方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置と、分岐された他方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第2の波長変換装置と、第1の波長変換装置及び第2の波長変換装置で生成された4つの可干渉光の中から2つの可干渉光を選択する選択手段と、を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第10の態様は、前記光源が、第1のレーザ、第2のレーザ、前記第1のレーザの発振と前記第2のレーザの発振とを同期させる同期回路、前記第1のレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置、前記第1の波長変換装置で生成された2つの可干渉光の中から1つの可干渉光を選択する第1の選択手段と、前記第2のレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第2の波長変換装置、前記第2の波長変換装置で生成された2つの可干渉光の中から1つの可干渉光を選択する第2の選択手段と、を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第11の態様は、前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を2光波に分岐する分岐手段と、分岐された一方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置と、分岐された他方の光波及び第1の波長変換装置で生成された2つの可干渉光からなる3つの可干渉光の中から2つの可干渉光を選択する選択手段と、を有する、第1の態様から第5の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第12の態様は、前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第2の光の強度変化を計測する計測手段を更に備えた、第1の態様から第11の態様までの何れかの光干渉計である。
本発明の第13の態様は、可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、振幅変調された第2の光を第2の照射光として、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と前記参照光との干渉光を検出する検出手段と、前記調整された光路長、前記標的分子の固有振動数、及び前記検出手段で検出された干渉光に基づいて、前記信号光と前記参照光の位相差で表される位相情報と分子の種類を識別する分子識別情報とを取得する第1の情報取得手段と、を有する情報取得装置である。
本発明の第14の態様は、前記計測位置を相対移動させて前記対象物を走査する走査手段と、前記走査手段により対象物を走査して複数の計測位置で取得された前記位相情報と前記分子識別情報とに基づいて、位相干渉像に分子識別機能が付加された前記対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得する第2の情報取得手段と、を更に備えた第13の態様の情報取得装置である。
本発明の第15の態様は、可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を用い、前記第2の光の振幅を変調して第2の照射光とし、前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割し、前記参照光の光路長を調整し、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光として、当該信号光と前記参照光との干渉光を検出し、前記調整された光路長、前記標的分子の固有振動数、及び前記検出手段で検出された干渉光に基づいて、前記信号光と前記参照光の位相差で表される位相情報と分子の種類を識別する分子識別情報とを取得する、を有する情報取得方法である。
本発明の第16の態様は、前記計測位置を相対移動させて前記対象物を走査し、複数の計測位置で取得された前記位相情報と前記分子識別情報とに基づいて、前記位相干渉像に分子識別機能が付加された前記対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得する、第15の態様の情報取得方法である。
本発明によれば、誘導ラマン散乱過程を利用して散乱光の位相情報と共に分子の種類を識別する分子識別情報を得ることができる。また、本発明によれば、誘導ラマン散乱過程を利用して得られた散乱光の位相情報と分子識別情報とに基づいて、位相干渉像に分子識別機能が付加された対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得することができる。
誘導ラマン散乱過程における照射光と散乱光とを示す模式図である。 誘導ラマン散乱に用いる励起光とストークス光とを示す模式図である。 誘導ラマン散乱過程を誘導ラマンロス効果または誘導ラマン散乱ラマンゲイン効果で検出する原理を説明する模式図である。 誘導ラマン散乱の観察方向が前方である例を示す模式図である。 誘導ラマン散乱の観察方向が斜め方向である例を示す模式図である。 誘導ラマン散乱の観察方向が斜め方向である例を示す模式図である。 誘導ラマン散乱の観察方向が横方向である例を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。 図4に示す光干渉計の動作を示す概念図である。 光干渉画像法により対象物の所定深さにおける位相干渉像が取得される原理を説明する説明図である。 信号光と参照光との位相差を示す模式図である。 図4に示す光干渉計の共鳴時の時間領域での出力信号を示す模式図である。 図4に示す光干渉計の共鳴時の周波数領域での出力信号を示す模式図である。 図4に示す光干渉計の非共鳴時の時間領域での出力信号を示す模式図である。 図4に示す光干渉計の非共鳴時の周波数領域での出力信号を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。 図8に示す光干渉計の動作を示す概念図である。 光源の第1の変形例を示す概略図である。 光源の第2の変形例を示す概略図である。 図11Aに示す光源の変形例を示す概略図である。 光源の第3の変形例を示す概略図である。 光源の第5の変形例を示す概略図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。 振幅変調前のストークス光の時間領域での光強度の変化を示すグラフである。 振幅変調後のストークス光の時間領域での光強度の変化を示すグラフである。 周波数変調前の参照光の周波数領域での光強度の変化を示すグラフである。 周波数変調後の参照光の周波数領域での光強度の変化を示すグラフである。 誘導ラマン散乱信号の検出結果を示すグラフである。 干渉信号の観測結果(共鳴時)を示すグラフである。 干渉信号の観測結果(非共鳴時)を示すグラフである。 光源の第4の変形例を示す概略図である。 図22に示す光源の変形例を示す概略図である。 図22に示す光源の他の変形例を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<誘導ラマン散乱光>
まず、誘導ラマン散乱について簡単に説明する。
図1は誘導ラマン散乱(SRS:Stimulated Raman Scattering)過程における照射光と散乱光とを示す模式図である。図2Aは誘導ラマン散乱に用いる励起光とストークス光とを示す模式図である。図2Aでは、ストークス光が振幅変調されている場合を図示するが、後述する通り、励起光が振幅変調されていてもよい。図2Bは誘導ラマン散乱過程を誘導ラマンロス効果または誘導ラマン散乱ラマンゲイン効果で検出する原理を説明する模式図である。
図1に示すように、誘導ラマン散乱では、試料Sに対して振動数ωの励起光と振動数ωのストークス光とを同時に照射する。ストークス光の振動数ωは、励起光の振動数ωより小さい。励起光とストークス光の振動数の差(ω−ω)が、標的分子のもつ固有振動数Ωに一致した場合には、励起光とストークス光とが重なり合った電場の下で誘導過程により励起光の光散乱が誘起される。
図2Bに示すように、光散乱が誘起された結果として、ストークス光に「誘導ラマンゲイン(SRG)」と称される強度ゲインΔIが発生する。また、励起光に「誘導ラマンロス(SRL)」と称される強度ロスΔIが発生する。以下では、誘導ラマンゲインが生じたストークス光を「SRG光」と称し、誘導ラマンロスが生じた励起光を「SRL光」と称する。一定条件下で試料Sに励起光とストークス光とが入射すると、試料SからはSRG光とSRL光とが出射する。誘導ラマン散乱過程は、励起光とストークス光との位相が揃った、即ち、コヒーレントな状態で起こるので、SRG光及びSRL光も位相の揃ったコヒーレント光となり、励起光及びストークス光の位相情報が保持される。
誘導ラマン散乱過程では、通常、上記のSRG光またはSRL光の強度変化を信号として検出する。振動数ωの値を振動数ωの値に対して変化させることで、分子の固有振動数Ωに応じて分子の種類が識別される。なお、本実施の形態では、干渉によりSRG光またはSRL光の位相情報も検出するが、これについては後述する。
また、誘導ラマン散乱過程は、振動数差(ω−ω)が分子の固有振動数Ωに一致した場合にのみ起こる。この現象を「共鳴」と称する。換言すれば、振動数差(ω−ω)に一致する固有振動数Ωの分子が存在しない場合には、共鳴による誘導ラマン散乱過程は起こらない。従って、検出信号に非共鳴バックグラウンドと呼ばれる背景雑音が発生しないという利点を有する。
ここで、共鳴時と非共鳴時との相違を図1に戻って説明する。非共鳴時には、試料Sを透過または試料Sで反射・散乱された励起光及びストークス光のみが観察される。一方、共鳴時には、出射したSRG光及びSRL光が、非共鳴時に観察された光に加えて観察される。なお、非共鳴時の散乱はレイリー散乱である。この通り、共鳴時と非共鳴時とで異なる光が観察される。
他のラマン散乱としては、自発ラマン散乱、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS:Coherent Anti-Stokes Raman Scattering)等が知られている。自発ラマン散乱では、コヒーレントな散乱光は得られない。また、CARSは誘導ラマン散乱に比べて検出信号の強度が大きいが、非共鳴バックグラウンド信号も大きく信号対バックグラウンド比(S/B)が低い。非共鳴バックグラウンドが発生しない誘導ラマン散乱は、S/Bが極めて高くCARSに比べて、分子の種類の識別能に優れている。
励起光及びストークス光としては、一般には、ピコ秒、フェムト秒等とパルス幅が短く、且つ高周波数で繰り返し発振されるパルスレーザ光が使用されている。但し、本実施の形態では、励起光及びストークス光の各々は、原理的に誘導ラマン散乱過程を生じさせる光であればよく、パルスレーザ光に限定される訳ではない。例えば、励起光又はストークス光として、スーパールミネセントダイオード (SLD:Super Luminescent Diode)等から射出された光を用いてもよい。また、励起光及びストークス光として、連続発振されるレーザ光(CW光)を用いてもよい。また、本実施の形態では、励起光及びストークス光のうち誘導ラマン散乱の発生に関係しない光、また参照光のうち位相干渉像を取得する際に干渉させる部分以外の光は非コヒーレント状態でもよい。
励起光及びストークス光は、振動数差(ω−ω)が特定の値となればよく、励起光及びストークス光の波長帯域は任意である。励起光及びストークス光の波長帯域は、用途に応じて決定すればよい。例えば、生体用途には、安全性が高く、生体深部への到達度が高い近赤外光が用いられる。一般に、近赤外光とは、波長800nm〜2500nmの光である。生体用途には、水の吸収が無い波長範囲の近赤外光が用いられる。例えば、後述する光断層画像法(OCT)で1375nm以下の近赤外光を用いた例がある。
しかしながら、誘導ラマン散乱では、通常、励起光及びストークス光の波長帯域は800nm以下の可視域が用いられることが多い。波長帯域が制限される理由は、励起光の波長が長くなると、励起光の波長の4乗に比例して散乱光の強度が低下するためである。なお、本実施の形態に係る光干渉計で使用可能な波長帯域については後述する。
なお、図1では、SRG光及びSRL光が、試料Sに対して励起光及びストークス光の入射方向とは反対の方向に出射する「後方散乱」を図示しているが、SRG光及びSRL光は種々の方向で観測される。照射光由来のSRG光(誘導ラマンゲインが生じたストークス光)やSRL光(誘導ラマンロスが生じた励起光)は、当該SRG光又はSRL光が透過、反射、散乱又は屈折されて出射する方向で観測する。
図3A、図3B、図3C及び図3Dは当該SRG光又はSRL光の観察方向の他の例を示す模式図である。図3Aに示すように、励起光及びストークス光の入射方向と同じ方向に出射する「前方散乱光」や透過光を観測してもよい。例えば、照射光を透過する試料の場合は、前方散乱光を観測し、照射光を透過しない試料の場合は後方散乱光を観測する。また、図3B及び図3Cに示すように、励起光及びストークス光の入射方向に対し試料Sの内部構造等に起因して反射、散乱又は屈折されて斜め方向に出射する光を観測してもよい。或いは、図3Dに示すように、試料Sから横方向に出射する光を観測してもよい。
また、図1では、励起光及びストークス光が試料Sに対して同軸で入射する例を示しているが、同軸入射に限定される訳ではない。励起光とストークス光とが試料Sの所望の位置で重なり合えばよく、励起光及びストークス光を試料Sに対して反対側から入射させてもよい。また、励起光の光軸とストークス光の光軸とが試料S内で交差するように入射させてもよい。このような非同軸の入射光学系を「off-axis光学系」と称する。なお、off-axis光学系については後述する。
<光干渉計−第1の実施の形態−>
次に、誘導ラマン散乱過程を利用した光干渉計について説明する。
(光干渉計の構成例)
まず、光干渉計の構成について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。図4に示すように、光干渉計10は、振動数の異なる2種類のレーザ光を射出する光源20を備えている。光源20は、励起光として使用される振動数ωのレーザ光を射出するレーザ22、ストークス光として使用される振動数ωのレーザ光を射出するレーザ24、及びレーザ22の発振とレーザ24の発振とを同期させる同期回路26を備えている。本実施の形態では、レーザ22及びレーザ24として、ピコ秒、フェムト秒等とパルス幅が短く、且つ高周波数で繰り返し発振可能なパルスレーザを用いる例について説明する。
レーザ22の光出射側には、反射面30Aを有するビームスプリッタ30が配置されている。ビームスプリッタ30には、レーザ22から射出された振動数ωのレーザ光が入射する。ビームスプリッタ30は、反射面30Aにより一部の入射光を透過し且つ残りの入射光を反射する。ここでは、ビームスプリッタ30を透過した光を「励起光」、反射した光を「参照光」としている。なお、ビームスプリッタ30の用途として、この分岐方法に限定するものではなく、透過した光を「参照光」、反射した光を「励起光」とすることも可能である。
ビームスプリッタ30の光透過側、即ち「励起光」の光路上には、選択反射ミラー32と、反射面34Aを有するビームスプリッタ34とが、ビームスプリッタ30側からこの順で配置されている。選択反射ミラー32は、振動数ωのレーザ光を透過し且つ振動数ωのレーザ光を反射する。なお、選択反射ミラー32として、振動数ωのレーザ光を反射し且つ振動数ωのレーザ光を透過する性状のものを用いてもよい。選択反射ミラー32としては、一般に、ダイクロイックミラー等が用いられる。ビームスプリッタ34は、反射面34Aの一方の側(図4の左側及び上側)から入射した光の一部又は全部を透過し且つ反射面34Aの他方の側(図4の右側及び下側)から入射した光の一部又は全部を反射する。ビームスプリッタ34としては、一般に、ハーフミラー(半透鏡)、ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ等が用いられる。
ビームスプリッタ30の光反射側、即ち「参照光」の光路上には、反射ミラー36、周波数変調素子38、光学遅延装置40、及び反射ミラー46が、ビームスプリッタ30側からこの順に配置されている。周波数変調素子38は、入射した光の周波数を変調する変調素子である。周波数変調素子38としては、音響光学偏向素子(AOD:Acousto-Optic Deflector)等の音響光学素子(AO又はAOM:Acousto-Optic Modulator)、ポッケルスセル等の電気光学変調素子(EOM:Electro-Optic Modulator)等が用いられる。
光学遅延装置40は、一対の反射ミラー42、44と、一対の反射ミラー42、44を矢印A方向に移動させるピエゾ素子等のミラー駆動部(図示せず)とを備えている。一対の反射ミラー42、44は、周波数変調素子38から入射した参照光の光路を折り返して、参照光を反射ミラー46に照射する。一対の反射ミラー42、44が移動することで、参照光の光路長が調整される。
参照光の光路長(即ち、信号パルス光と参照パルス光の時間的な重なりのタイミング、さらには信号パルス光に対する参照パルス光の位相差)が調整されて、後述する信号光と参照光との位相差が設定される。なお図示されていないが、参照光のパルス幅を適当な光学素子により短くすることにより、信号光と時間的に重なる部分をより短くすることで、測定個所をより限定して空間分解能を上げることもできる。これについては後述する。
一方、レーザ24の光出射側には、即ち「ストークス光」の光路上には、振幅変調素子50、反射ミラー52、選択反射ミラー32、及びビームスプリッタ34が、レーザ24側からこの順に配置されている。レーザ24から射出された振動数ωのレーザ光(ストークス光)は、振幅変調素子50に入射する。振幅変調素子50は、入射した光の振幅を変調する変調素子である。振幅変調素子50としては、AOD等の音響光学素子、ポッケルスセル等の電気光学変調素子等が用いられる。
ビームスプリッタ34は、選択反射ミラー32から入射した「励起光」及び「ストークス光」の一部又は全部と、反射ミラー46から入射した「参照光」の一部又は全部とを透過する。なお、計測対象物である試料Sは、ビームスプリッタ34の励起光出射側に配置される。ビームスプリッタ34の参照光出射側には、ダイクロイックミラー等の選択反射ミラー54と、光検出器60とが、ビームスプリッタ34側からこの順で配置されている。光検出器60は、信号光及び参照光に感度を有し、測定する周波数帯域に対し充分な応答特性をもつ光検出器であれば特に制限はない。光検出器60としては、フォトダイオード(PD:Photo Diode)、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)等の受光素子が用いられる。
光検出器60には、高速サンプリング装置等の信号処理装置64が電気的に接続されている。信号処理装置64は、解析装置62に電気的に接続されている。解析装置62としては、一般に、ロックインアンプ、FFTアナライザ等が用いられる。また、解析装置62は、振幅変調素子50と電気的に接続されている。更に、解析装置62は、「画像情報の取得処理」等、得られた情報に基づいて各種の情報処理を行う情報処理装置66に電気的に接続されている。ここで「電気的に接続」とは、電気信号の授受が可能であることを意味している。
なお、ロックインアンプとは、増幅(アンプ)機能と特定信号検出(ロックイン)機能を併せ持った増幅器である。また、FFTアナライザとは、入力された信号波形をディジタル的(離散的)にサンプリングし、サンプリングデータを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を用いてフーリエ変換して、フーリエ変換の結果を表示する計測器である。
また、情報処理装置66は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。即ち、情報処理装置66は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。
また、図示はしていないが、光干渉計10には、計測対象物である試料Sを走査する走査機構が設けられている。光干渉計10では、この走査機構により計測位置を相対移動させて試料Sを走査し、複数の計測位置での計測結果を取得する。
(光干渉計の概略動作)
次に、上記の光干渉計の動作について簡単に説明する。
光干渉計10では、レーザ22とレーザ24とが同期されて発振し、レーザ22から振動数ωのレーザ光が射出され、レーザ24から振動数ωのレーザ光が射出される。レーザ22から射出された振動数ωのレーザ光は、ビームスプリッタ30に入射し、ビームスプリッタ30により「参照光」と「励起光」とに分割される。
ビームスプリッタ30の反射面30Aを透過した振動数ωのレーザ光(励起光)は、選択反射ミラー32を透過し、ビームスプリッタ34の反射面34Aを透過して、試料Sに照射される。一方、レーザ24から射出された振動数ωのレーザ光(ストークス光)は、振幅変調素子50により振幅が変調される。振幅変調されたストークス光は、反射ミラー52で光路が折り曲げられ、選択反射ミラー32で反射されて、ビームスプリッタ34に入射する。振幅変調されたストークス光は、ビームスプリッタ34の反射面34Aを透過して、試料Sに照射される。本実施の形態では、励起光とストークス光は、選択反射ミラー32及びビームスプリッタ34により同軸で試料Sに照射される。
試料Sに励起光及びストークス光が照射されると、試料SからはSRG光及びSRL光が出射する。図4では、励起光及びストークス光を実線で図示し、SRG光及びSRL光を点線で図示している。なお、図4ではSRL光だけを図示している。SRG光及びSRL光は、ストークス光と同様に振幅変調されている。SRG光とSRL光とは、ビームスプリッタ34の反射面34Aで反射されて、選択反射ミラー54に入射する。選択反射ミラー54は、振動数ωのSRG光を透過し且つ振動数ωのSRL光を反射する。振幅変調されたSRL光が、選択反射ミラー54で反射されて、信号光として光検出器60に照射される。
一方、ビームスプリッタ30の反射面30Aで反射された振動数ωのレーザ光(参照光)は、反射ミラー36で光路が折り曲げられて、周波数変調素子38に入射する。周波数変調素子38に入射した参照光は、周波数が変調され(即ち、周波数がシフトされ)、光学遅延装置40により光路長が調整され、反射ミラー46により光路が折り曲げられて、ビームスプリッタ34に入射する。周波数変調され且つ信号光との時間的重なりや位相差が調整された参照光が、ビームスプリッタ34の反射面34Aを透過し、選択反射ミラー54で反射されて、光検出器60に照射される。
本実施の形態では、振幅変調されたSRL光(信号光)と、周波数変調され且つ信号光に対する位相差が調整された参照光とが、光ヘテロダイン干渉する。なお、光ヘテロダイン干渉については後述する。これら信号光と参照光との干渉光が、光検出器60で検出される。光検出器60の検出信号は、信号処理装置64に入力される。信号処理装置64は、入力された信号に対し、増幅や波長フィルタリング等の処理を行い、処理された信号を解析装置62に出力する。
解析装置62は、振幅変調素子50の変調周波数を特定し、信号処理装置64から入力された信号から、特定された周波数で変調された信号を選択検出する。解析装置62は、選択検出された信号を光干渉計の出力信号として出力する。なお、出力信号については後述する。また、情報処理装置66は、後述する通り、誘導ラマン散乱光(SRL光もしくはSRG光)に基づく標的分子の種類及び分布情報をもつ位相干渉像を作画し、従来の形状のみの位相干渉像に分子識別機能が付加された対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得する。
ここで、光干渉計10の動作を更に概念的に説明する。
図5は図4に示す光干渉計の動作を示す概念図である。図5に示すように、本実施の形態では、レーザ22から射出された振動数ωのレーザ光(励起光)を、参照光と試料Sに照射する励起光とに分割する。参照光は、周波数変調素子38により周波数変調される。また、レーザ24から射出された振動数ωのレーザ光(ストークス光)から、振幅変調素子50により振幅変調されたストークス光を生成する。試料Sに励起光と振幅変調されたストークス光とを照射することで、ストークス光と同様に振幅変調されたSRG光及びSRL光が得られる。
本実施の形態では、誘導ラマンロスが生じた励起光であるSRL光を信号光として選択する。SRL光は、参照光と同じレーザ22で生成された振動数ωのレーザ光から分割された光であり、参照光と可干渉である。従って、振幅変調されたSRL光(信号光)と、周波数変調された参照光と、を光ヘテロダイン干渉させる。同一の光源から射出された光を信号光と参照光にしているので、これらの干渉光の位相ゆらぎが低減される。なお、干渉に使用しない振幅変調されたSRG光からも、誘導ラマンゲインΔIを得ることができる。誘導ラマンゲインΔIは、固有振動数Ωで共鳴している分子の個数に比例して増加する。このため、SRG光を観測して得られた誘導ラマンゲインΔIを、分子定量情報として用いてもよい。
(光ヘテロダイン干渉)
ここで、光ヘテロダイン干渉による信号強度の増幅原理について説明する。
誘導ラマン散乱過程で得られるSRG光の強度変化及びSRL光の強度変化はいずれも微弱である。光ヘテロダイン干渉させることで、信号光として使用されるSRL光の強度変化が増幅されることになる。
信号光の電場の最大振幅を「Es0」、周波数を「F」、位相を「θ(x)」とする。また、参照光の電場の最大振幅を「Er0」、変調後の周波数を「F+f」、位相を「θ(x)」とする。信号光と参照光の電場強度E及びEは下記式で表される。
また、光ヘテロダイン干渉後の干渉光の強度Iは、下記式で表される。
上記式の第3項から以下の3つのことが分かる。
まず、光ヘテロダイン干渉により、周波数fを有するうなり信号が新たに発生することが分かる。例えば、参照光を周波数変調して、信号光の周波数Fを1000Hz、参照光の周波数(F+f)を1005Hzに設定すると、周波数5Hzのうなり信号が発生する。上記うなり信号を同期検波器等で選別検出することにより、高いS/Bで計測を行うことができる。
また、信号光の最大電場振幅Es0が小さくても、参照光の最大電場振幅Er0を大きくすることで、周波数fのうなり信号として観測される干渉光の強度は参照光の電場振幅倍に増幅される。例えば、最大電場振幅Er0を信号光の最大電場振幅Es0の1万倍大きく設定することにより、信号光の誘導ラマンロスまたは誘導ラマンゲインの僅かな振幅の変化を、原理的には1万倍以上に増幅できる。
更に、信号光と参照光との位相差(θ(x)−θ(x))が位相情報として記録される。これにより、信号発生源の分子の位置情報が精度よく記録されることになる。なお、位置情報の記録については次に説明する。
ここで、本実施の形態に係る光干渉計で使用可能な波長帯域について説明する。
上述した通り、誘導ラマン散乱では、励起光の波長が長くなると散乱光の強度が低下するため、励起光及びストークス光の波長帯域が制限される。しかしながら、本実施の形態では、光ヘテロダイン干渉により干渉光の強度は参照光の電場振幅倍に増幅されるので、励起光及びストークス光の波長帯域の制限が緩和される。例えば、励起光及びストークス光の波長帯域を、1000nm以上とすることも可能である。励起光の波長を長くすることで、深さ方向での計測範囲が拡大する。
(光干渉画像法)
従来の光断層画像法(OCT:Optical Coherence Tomography)などの光干渉画像法では、反射光若しくはレイリー散乱光と参照光との干渉により位相情報を記録する。これに対して、本実施の形態では、誘導ラマン散乱で得られたSRG光又はSRL光と参照光との干渉により位相情報を記録する。本実施の形態では、標的分子の固有振動数に応じてストークス光の周波数を変えて(即ち、分子の種類毎に)干渉による信号を取得して、位相情報を記録することができる。
例えば、励起光の波長を固定した場合、ストークス光の波長を高速で掃引することにより、種々の波長の誘導ラマン散乱効果を高速で検出してもよい。また、測定波長範囲の波長を一度に含む光を用いて、種々の波長の誘導ラマン散乱効果を一度に検出してもよい。このとき、ストークス光の波長を固定して、励起光の波長を高速で掃引する、もしくは、測定波長範囲の波長を一度に含む光を励起光として用いても良い。両者の方式について、さらに参照光の波長も高速で掃引、もしくは測定波長範囲の波長を一度に含む参照光を用いることで、種々の波長の誘導ラマン散乱効果の検出を、深さ方向について一度で行う方式としてもよい。
上記波長掃引方式としては、波長掃引型OCT(SS−OCT,Swept Source OCT)や、スペクトラルドメインOCT(SD−OCT, Spectral-Domain OCT)など、従来の光干渉画像法で使用される方式と同様の方式を用いることができる。
なお、位相情報の記録原理は、従来の光干渉画像法と同じである。
図6Aは光干渉画像法により対象物の所定深さにおける位相干渉像が取得される原理を説明する説明図である。図6Bは信号光と参照光との位相差を示す模式図である。図6Aに示すように、内部に積層構造を有する試料からの反射により信号光を得る場合には、深部からの反射光ほど深さに比例した時間及び位相遅れを生じる。光干渉画像法では、図6Bに示すように、参照光の光路長を変化させて(即ち、光路長を掃引して)、信号光と参照光の時間的重なりを調整すると共に位相差を調整する。本実施の形態では、光学遅延装置40により、信号光と参照光の時間的重なりを調整すると共に位相差を調整することができる。
上記の位相干渉像の取得原理は、タイムドメインOCT(TD−OCT,time-domain OCT)の信号取得原理と同様である。なお、位相干渉像の取得に際しては、信号光及び参照光に対して波長掃引方式である上述したSS−OCT方式またはSD−OCT方式を組み合わせることにより、光路長の掃引なしで深さ方向の位相干渉像を構築することができる。
なお、参照光のパルス時間幅や、位相が保たれている時間幅を短くすることで、信号光と可干渉な時間的重なりを限定することで、深さ方向の計測分解能を高めることもできる。図6Aでは、信号光と参照光とが時間的に重なる様子を模式的に示している。
信号光と参照光の時間的重なりの中で、さらにそれらの位相差がゼロの場合に、信号光と参照光とが最も強め合う。従って、所定深さからの反射光(信号光)と参照光とを時間的に重ね合わせ、さらにそれらの位相差をゼロにすることで、所定深さからの反射光が最も増幅される。これにより、位相差計測の精度で、試料の深さ方向の位相干渉像を取得することができる。一般に従来の位相差計測の精度は0.1°以上に達しており、例えば、波長1000nmの光で1nm程度の凹凸を見極めることが原理的に可能となる。
(出力信号の特徴)
次に、光干渉計の出力信号について説明する。
図7A、図7B、図7C及び図7Dの各々は、図4に示す光干渉計の出力信号を示す模式図である。図7Aに示すように、振幅変調されたSRL光(信号光)と、周波数fで周波数変調された参照光とを光ヘテロダイン干渉させると、分子との共鳴によりSRL光が得られている場合には、時間領域で見ると振幅変調された干渉信号(インターフェログラム)が検出される。
図7Bに示すように、振幅変調された干渉信号を周波数領域で見ると、うなり周波数fの両側にSRL光由来のサイドバンドが出現する。例えば、うなり周波数fを30MHzとし、振幅変調の変調周波数を3MHzとした場合には、うなり周波数fから±3MHzの位置、即ち、27MHzと33MHzとにサイドバンドが現れる。一方、標的分子が所定の計測位置に存在せず、共鳴が起きない場合には、図7Cに示すように、干渉信号の振幅は一定となる。この場合には、図7Dに示すように、周波数領域で見ると、うなり周波数fのバンドだけが計測され、サイドバンドは計測されない。
振幅変調された信号光の電場振幅を「E´」、その最大電場振幅を「Es0´」に変更すると、光ヘテロダイン干渉後の干渉光の強度Iは、下記式に書き直される。
信号光の最大電場振幅「Es0´」は振幅変調により変動する。上記式から分かるように、分子との共鳴によりSRL光が得られている場合には、うなり信号の振幅も周期的に変調される。例えば、1600cm−1に固有振動数を有する分子の分布を計測する場合には、励起光とストークス光との振動数差(ω−ω)を1600cm−1に設定して、うなり信号の振幅の周期的変調の有無を観測する。うなり信号の振幅の周期的変調が観測されれば、計測位置に標的分子が存在し、標的分子との共鳴によりSRL光が得られている。一方、うなり信号の振幅の周期的変調が観測されなければ、計測位置に標的分子は存在しない。
上記の通り、本実施の形態では、計測位置を相対移動させて対象物を走査する。計測位置に標的分子が存在する場合と存在しない場合は、光干渉信号の振幅変調の有無、ないしはフーリエ変換されたスペクトルのサイドバンドの有無で判別される。標的分子が存在する場合、その振幅強度は、固有振動数を与える振動モードのラマン散乱断面積ならびに標的分子の濃度に比例する。ストークス光の振動数を掃引することで、また対象物を走査することで、複数の計測位置での分子識別情報(標的分子の種類や量)及びそれらの空間分布を表す情報が取得される。
これら分子識別情報と信号光と参照光の位相差情報とに基づいて、標的分子の種類及びその空間分布情報をもつ位相干渉像が取得されると共に、位相干渉像に分子識別機能が付加された対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報が取得される。これらの情報処理は、図4に示す情報処理装置66により行われる。
なお、振動数ωの励起光だけを試料Sに空間的に走査しながら照射して、予め対象物の反射光若しくはレイリー散乱光と、参照光の位相干渉像を取得すると、対象物の形状のみの情報が得られる。一方、誘導ラマン散乱光と参照光との分子識別的な位相干渉像を合成、比較すれば、対象物の形状に対する標的分子の空間分布や存在量などの解析が行える。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る光干渉計について説明する。
図8は本発明の第2の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。第2の実施の形態に係る光干渉計10Aは、励起光とストークス光を逆転させるように構成した以外は、第1の実施の形態と同じ構成であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
光干渉計10Aでは、レーザ22とレーザ24の配置が逆になり、レーザ24から射出された振動数ωのレーザ光が、ビームスプリッタ30に入射し、ビームスプリッタ30により「参照光」と「ストークス光」とに分割される。また、レーザ22から射出された振動数ωのレーザ光が、振幅変調素子50に入射し、振幅変調素子50により振幅が変調される。
図9は図8に示す光干渉計の動作を示す概念図である。
図9に示すように、本実施の形態では、レーザ24から射出された振動数ωのレーザ光(ストークス光)を、参照光と試料Sに照射するストークス光とに分割する。参照光は、周波数変調素子38により周波数変調される。また、レーザ22から射出された振動数ωのレーザ光(励起光)から、振幅変調された励起光を生成する。試料Sに振幅変調された励起光とストークス光とを照射することで、励起光と同様に振幅変調されたSRG光及びSRL光が得られる。
ここで、誘導ラマンゲインが生じたストークス光であるSRG光を信号光として選択する。SRG光は、参照光と同じレーザ24で生成された振動数ωのレーザ光から分割された光であり、参照光と可干渉である。従って、振幅変調されたSRG光(信号光)と、周波数変調された参照光と、を光ヘテロダイン干渉させる。これにより、干渉光の位相ゆらぎが低減される。なお、第1の実施の形態と同様、干渉に使用しない振幅変調されたSRL光を分子定量に使用してもよい。
<光源の変形例>
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、2台のレーザと2台のレーザの発振を同期させる同期回路を備える光源を用いる例について説明したが、光源の構成はこれに限定される訳ではない。誘導ラマン散乱過程に必要な、振動数ωの励起光と振動数ωのストークス光とを射出できる光源であれば特に制限はない。以下に、光源の変形例を例示する。
図10は光源の第1の変形例を示す概略図である。図10に示すように、第1の変形例に係る光源20Aは、励起用レーザ70と、励起用レーザ70から入射された光の波長を変換して2色の光を射出する波長変換装置72とを備えている。
波長変換装置72としては、非線形光学効果により波長変換したレーザ光を発生させる光パラメトリック発振器(OPO:Optical Parametric Oscillator)等が用いられる。波長変換装置72としてOPOを用いた場合、波長変換装置72は、励起用レーザ70から入射された1色の光から振動数の異なる2色の光を生成して射出する。2色の光は、シグナル光及びアイドラー光と称される。一般にアイドラー光はシグナル光より波長が長い。
この場合、シグナル光を振動数ωの励起光とし、アイドラー光を振動数ωのストークス光として使用すればよい。この構成によれば、1台のレーザで発振させるので、振動数ωの光と振動数ωの光とは同期しており、同期回路は不要となる。以下、波長変換装置としてOPOを用いた場合の事例で説明する。
図11Aは光源の第2の変形例を示す概略図である。図11Bは図11Aに示す光源の変形例を示す概略図である。図11Aに示すように、第2の変形例に係る光源20Bは、励起用レーザ70と、励起用レーザ70から入射された光の波長を変換して2色の光(シグナル光とアイドラー光)を射出する波長変換装置72と、2色の光の一方の光の光路に挿入された波長変換素子74pと、を備えている。この例では、アイドラー光の光路に波長変換素子74pが挿入されている。波長変換素子74pを用いる以外は、第1の変形例に係る光源20Aと同じ構成である。
波長変換素子74pとしては、第二高調波、第三高調波の生成に使用される非線形光学結晶等が用いられる。波長変換素子74pを透過したアイドラー光の波長は、波長変換素子74pにより、波長変換装置72を出射したときの波長に対して1/2、1/3等、整数分の1倍の波長に変換される。ここで、波長変換素子74pで波長変換されたアイドラー光の波長がシグナル光よりも短い場合は、波長変換素子74pを透過したアイドラー光を振動数ωの励起光とし、シグナル光を振動数ωのストークス光として使用すればよい。この構成によれば、1台のレーザで発振させるので、振動数ωの光と振動数ωの光とは同期しており、同期回路は不要となる。また、より低振動数まで計測が可能になる。なお、図11Bに示すように、シグナル光とアイドラー光の各々の光路に、波長変換素子74s、74pを挿入してもよい。
図12は光源の第3の変形例を示す概略図である。図12に示すように、第3の変形例に係る光源20Dは、励起用レーザ70、選択反射ミラー71A、第1の波長変換装置72A、反射ミラー71B、第2の波長変換装置72B、及び選択手段76を備えている。励起用レーザ70から射出されたレーザ光は、選択反射ミラー71Aに入射する。選択反射ミラー71Aは、入射したレーザ光の一部を反射し且つ残部を透過する。
選択反射ミラー71Aを透過したレーザ光は、反射ミラー71Bで反射されて第1の波長変換装置72Aに入射される。第1の波長変換装置72Aからは、波長変換された2色の光(シグナル光とアイドラー光)が射出される。選択反射ミラー71Aで反射されたレーザ光は、第2の波長変換装置72Bに入射される。第2の波長変換装置72Bからは、波長変換された2色の光(シグナル光とアイドラー光)が射出される。
選択手段76は、第1の波長変換装置72A及び第2の波長変換装置72Bから射出された最大で4色の光の中から、励起光及びストークス光として使用される2色の光を選択する。選択手段76としては、2色の光を選択的に透過する光学フィルタ等が用いられる。この場合は、選択手段76で選択された2つの光のうち、波長の短い方の光を振動数ωの励起光とし、他方の光を振動数ωのストークス光として使用すればよい。この構成によれば、1台のレーザで発振させるので、振動数ωの光と振動数ωの光とは同期しており、同期回路は不要となる。また、1台の波長変換装置を用いる場合に比べて、2台の独立した波長変換装置を用いているので振動数差(ω−ω)の設定可能範囲が一般に広範となる。
図22は光源の第4の変形例を示す概略図である。図22に示すように、第4の変形例に係る光源20Fは、励起用レーザ70、選択反射ミラー71A、波長変換装置72、及び反射ミラー71Bを備えている。
励起用レーザ70から射出されたレーザ光は、選択反射ミラー71Aに入射する。選択反射ミラー71Aは、入射したレーザ光の一部を反射し且つ残部を透過する。選択反射ミラー71Aで反射されたレーザ光は、波長変換装置72に入射される。波長変換装置72からは、波長変換された2色の光(シグナル光とアイドラー光)が射出される。一方、選択反射ミラー71Aを透過したレーザ光は、反射ミラー71Bによりシグナル光及びアイドラー光と同じ方向に反射される。
この場合、反射ミラー71Bで反射された光を振動数ωの励起光とし、シグナル光またはアイドラー光を振動数ωのストークス光として使用すればよい。この構成によれば、1台のレーザで発振させるので、振動数ωの光と振動数ωの光とは同期しており、同期回路は不要となる。また、波長変換装置由来の強度や位相変化の影響を受けていない励起光を得ることができる。
また、波長変換装置72から射出される2色の光の一方の光路に、入射光の波長を変換する波長変換素子74を挿入してもよい。図23に示す例では、光源20Gは波長変換素子74を有している。波長変換素子74はシグナル光の光路に挿入されている。これ以外は図22に示す光源20Fと同じ構成であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。この場合は、反射ミラー71Bで反射された光、波長変換されたシグナル光、アイドラー光の3色の光が得られる。
一方、図24に示す例では、光源20Hは波長変換素子74を有している。波長変換素子74はアイドラー光の光路に挿入されている。これ以外は図22に示す光源20Fと同じ構成であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。この場合は、反射ミラー71Bで反射された光、シグナル光、波長変換されたアイドラー光の3色の光が得られる。
図23及び図24に示す例では、図示しない選択手段により、3色の光の中から励起光及びストークス光として使用される2色の光が選択される。選択された2つの光のうち、波長の短い方の光を振動数ωの励起光とし、他方の光を振動数ωのストークス光として使用すればよい。図23及び図24に示す例でも、振動数ωの光と振動数ωの光とは同期しており、同期回路は不要となる。また、波長変換装置由来の強度や位相変化の影響を受けていない励起光を得ることができる。
図13は光源の第5の変形例を示す概略図である。図13に示すように、第5の変形例に係る光源20Eは、第1のレーザ80と、第2のレーザ82と、第1のレーザ80と第2のレーザ82の発振を同期させる同期回路84と、第1のレーザ80から入射された光の波長を変換して2色の光(シグナル光とアイドラー光)を射出する第1の波長変換装置86と、第2のレーザ82から入射された光の波長を変換して2色の光(シグナル光とアイドラー光)を射出する第2の波長変換装置90と、第1の波長変換装置86から射出された2色の光の中から1色の光を選択する選択手段88と、第2の波長変換装置90から射出された2色の光の中から1色の光を選択する選択手段92と、を備えている。
この場合は、選択手段88で選択された光と、選択手段92で選択された光のうち、波長の短い方の光を振動数ωの励起光とし、残りを振動数ωのストークス光として使用すればよい。この構成によれば、振動数差(ω−ω)の設定可能範囲が一般に広範となり、かつ2つの光の時間関係の制御が容易になる。
上記の第3の変形例(図12参照)及び第5の変形例(図13参照)では、2台の波長変換装置を用いて振動数ωと振動数ωの2色の光を得ている。1台の波長変換装置のみを用いて振動数ωと振動数ωの2色の光を同時に得るためには、波長変換装置内の結晶温度を振動数差(ω−ω)が得られる一定温度に制御する必要がある。結晶温度が変動すると、発振波長に揺らぎが発生する。振動数差(ω−ω)が固定できなければ、共鳴による誘導ラマン散乱過程は維持できない。
これに対し、2台の波長変換装置を用いた場合には、波長変換装置毎に発振波長を固定することが容易になる。また、2台の波長変換装置を用いることで、一方の波長と無関係に他方の波長を設定することができ、励起光及びストークス光の両方の波長を1000nm以上にすることが容易となる。
なお、上記の光パラメトリック発振器(OPO)としては、「PERIODICALLY-POLED」と称される形状の光学結晶(「PP結晶」と略称される。)を用いたOPOを用いてもよい。このPP結晶を用いたOPOでは、波長変換した際に発生する光路の変動が低減される。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る光干渉計について説明する。
図14は本発明の第3の実施の形態に係る光干渉計の構成の一例を示す概略図である。第3の実施の形態に係る光干渉計10Bは、off-axis光学系を構成するように各要素を配置したものである。光干渉計10Bの各要素の構成及び基本動作は、同軸光学系を用いた第1の実施の形態と同様であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、光干渉計10Bは、図12に第3の変形例として図示した光源20Dを備えている。光源20Dは、励起用レーザ70、選択反射ミラー71A、第1の波長変換装置72A、第1の選択手段76A、反射ミラー71B、第2の波長変換装置72B、及び第2の選択手段76Bを備えている。光源20Dは、以下に説明する通り、これらの構成により振動数の異なる2種類のレーザ光を射出する。
励起用レーザ70から射出されたレーザ光は、選択反射ミラー71Aに入射する。選択反射ミラー71Aは、入射したレーザ光の一部を反射し且つ残部を透過する。選択反射ミラー71Aを透過したレーザ光は、第1の波長変換装置72Aに入射され、波長変換されて2色の光を射出する。第1の選択手段76Aは、2色の光のうちストークス光として使用される振動数ωのレーザ光を透過する。
一方、選択反射ミラー71Aで反射されたレーザ光は、反射ミラー71Bで反射されて、第2の波長変換装置72Bに入射され、波長変換されて2色の光を射出する。第2の選択手段76Bは、2色の光のうち励起光として使用される振動数ωのレーザ光を透過する。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、振動数ωのレーザ光を「励起光」と「参照光」とに分割する。
光源20Dの振動数ωのレーザ光出射側には、反射ミラー31、反射面30Aを有するビームスプリッタ30が配置されている。ビームスプリッタ30には、反射ミラー31で反射された振動数ωのレーザ光が入射する。ビームスプリッタ30は、反射面30Aにより一部の入射光を反射し且つ残りの入射光を透過する。ここでは、ビームスプリッタ30を透過した光を「励起光」、反射された光を「参照光」としている。
ビームスプリッタ30の光透過側、即ち「励起光」の光路上には、反射ミラー32、レンズ33、レンズ35、アパーチャ37Aを有する遮光部材37、及び反射面34Aを有するビームスプリッタ34が、ビームスプリッタ30側からこの順で配置されている。本実施の形態では、試料Sはレンズ33とレンズ35との間に配置される。なお、第1の実施の形態と異なり、反射ミラー32は、選択反射ミラーではなく通常の反射ミラーでよい。
ビームスプリッタ30の光反射側、即ち「参照光」の光路上には、周波数変調素子38、光学遅延装置40、反射ミラー46、及び反射面34Aを有するビームスプリッタ34が、ビームスプリッタ30側からこの順に配置されている。光学遅延装置40は、一対の反射ミラー42、44と、一対の反射ミラー42、44を矢印A方向に移動させるピエゾ素子等のミラー駆動部(図示せず)とを備えている。
一方、光源20Dの振動数ωのレーザ光出射側には、即ち「ストークス光」の光路上には、反射ミラー51、振幅変調素子50、反射ミラー52、レンズ33、レンズ35、及びアパーチャ37Aを有する遮光部材37が、光源20D側からこの順に配置されている。
ビームスプリッタ34は、反射面34Aの一方の側(図14の上側)から入射した参照光の一部又は全部を反射すると共に、反射面34Aの他方の側(図14の左側)から入射した信号光の一部又は全部を透過する。ビームスプリッタ34の参照光反射側(信号光透過側)には、光検出器60が配置されている。
なお、第1の実施の形態と同様であるため、電気的構成については図示を省略するが、図4に示す光干渉計と同様に、光検出器60は、信号処理装置64に電気的に接続されている。また、信号処理装置64は、解析装置62に電気的に接続されている。また、解析装置62は、振幅変調素子50とも電気的に接続されている。更に、解析装置62は、情報処理装置66に電気的に接続されている。
次に、上記の光干渉計の動作について簡単に説明する。
光干渉計10Bでは、光源20Dから振動数ωのレーザ光と振動数ωのレーザ光とが射出される。光源20Dから射出された振動数ωのレーザ光は、反射ミラー31で反射されて、ビームスプリッタ30に入射する。ビームスプリッタ30の反射面30Aは、振動数ωのレーザ光の一部を反射し且つ残部を透過する。ここでは、「励起光」を透過し且つ「参照光」を反射する。即ち、振動数ωのレーザ光は、ビームスプリッタ30により「励起光」と「参照光」とに分割される。
ビームスプリッタ30の反射面30Aを透過した励起光は、反射ミラー32で光路が折り曲げられて、レンズ33に入射する。入射した励起光は、レンズ33により集光されて試料Sに照射される。一方、光源20Dから射出された振動数ωのストークス光は、反射ミラー52で光路が折り曲げられて振幅変調素子50に入射する。入射したストークス光は、振幅変調素子50により振幅が変調される。振幅変調されたストークス光は、反射ミラー52で光路が折り曲げられて、レンズ33に入射する。入射したストークス光は、レンズ33により集光されて試料Sに照射される。
本実施の形態では、レンズ33を含む各光学要素が、励起光の光軸とストークス光の光軸とが試料S内で交差するように配置されて、off-axis光学系を構成する。従って、励起光と振幅変調されたストークス光とは、非同軸でレンズ33に入射し、各光の光軸が試料S内で交差するように照射される。試料Sに励起光及びストークス光が照射されると、共鳴による誘導ラマン散乱効果が生じた場合には、試料S内の励起光とストークス光との交差領域からはSRG光及びSRL光が出射する。即ち、本実施の形態では、off-axis光学系により、誘導ラマン散乱過程を実現している。
同軸光学系では、励起光とストークス光とが同じ光路を進む。このため、試料S内の光路の上流側に遮蔽物が存在する場合には、光路の下流側の試料Sからの散乱光は観察できなくなる。これに対し、off-axis光学系では、励起光とストークス光とは異なる光路を進み、両光の光軸は試料S内で交差する。従って、上流側に在る遮蔽物の影響を受けずに、下流側の試料Sからの散乱光を観察することができる。例えば、結節を有する生体組織等、構造が予測できない試料であっても、試料全体を観察することが可能になる。
また、同軸光学系では、試料S内で励起光とストークス光の光路が重なり、試料S内の光路上では、誘導ラマン散乱効果を生じさせる光強度の閾値を超えた領域すべてで誘導ラマン散乱光(信号光)が発生する。これに対し、off-axis光学系では、励起光とストークス光とが空間的に重なる狭い領域でだけ誘導ラマン散乱光が発生し、他の領域では散乱光が発生しない。これにより測定目的箇所以外からの偽信号の発生が低減され、光の伝搬方向における分解能が向上する。即ち、計測位置(目的とする深度)で誘導ラマン散乱光が観察される。
非共鳴の場合には、励起光及びストークス光が試料Sを透過する。一方、共鳴した場合には、透過する励起光及びストークス光に加え、SRG光及びSRL光が試料S内の交差領域から出射する。図14では、非共鳴時に試料Sを透過する励起光及びストークス光を実線で図示し、共鳴時に試料S内の交差領域から出射されるSRG光及びSRL光を点線で図示している。なお、図示はしていないが、共鳴により発生するSRG光は、非共鳴時に透過するストークス光と同じ光路を進む。SRG光及びSRL光は、ストークス光と同じ周波数で振幅変調されている。SRG光、SRL光及びと透過光は、レンズ35により平行光化されて、遮光部材37に照射される。
試料Sを透過した励起光またはSRL光は、遮光部材37に設けられたアパーチャ37Aを通過する。アパーチャ37Aを通過した光は、ビームスプリッタ34に入射し、ビームスプリッタ34の反射面34Aを透過して、光検出器60に照射される。ここでは、振幅変調されたSRL光が、信号光として光検出器60に照射される。一方、試料Sを透過したストークス光またはSRG光は、遮光部材37により遮断される。
一方、ビームスプリッタ30の反射面30Aで反射された参照光は、周波数変調素子38に入射して、周波数変調素子38により周波数が変調される。周波数が変調された参照光は、光学遅延装置40により光路長が調整され、反射ミラー46により光路が折り曲げられて、ビームスプリッタ34に入射する。周波数変調され且つ信号光との時間的重なりや位相差が調整された参照光が、ビームスプリッタ34の反射面34Aで反射されて、光検出器60に照射される。
本実施の形態では、振幅変調されたSRL光(信号光)と、周波数変調され且つ信号光に対する位相差が調整された参照光とが、光ヘテロダイン干渉する。これら信号光と参照光との干渉光が、光検出器60で検出される。
図4に示す第1の実施の形態と同様に、光検出器60の検出信号は、信号処理装置64に入力される。信号処理装置64は、入力された信号を処理し、処理された信号を解析装置62に出力する。解析装置62は、信号処理装置64から入力された信号から、特定の周波数で変調された信号を選択検出する。解析装置62は、選択検出された信号を光干渉計の出力信号として出力する。
なお、上記各実施形態で説明した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。例えば、励起光及びストークス光として偏光を用いてもよい。この場合には、偏光ビームスプリッタや各種波長板等、偏光制御のための素子を適宜使用する。また、光の伝搬・混合・分離に光ファイバー等を用いてもよい。この場合はファイバーカップラーなどの光の伝搬・混合・分離のための素子を適宜使用する。また、干渉に支障が無い場合には、参照光を射出する光源を、励起光及びストークス光を射出する光源とは別の光源としてもよい。
なお、日本出願2011−218220の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
<光干渉計の構成>
図14に示すoff-axis光学系を有する光干渉計と同じ構成を備える光干渉計を用意した。主な光学要素の詳細を以下に記載する。なお、その他の光学要素としては、汎用の光学素子を用いた。
(1)励起レーザ70:
Nd:YVOレーザの第二高調波を用いて、モード同期のチタンサファイアレーザを励起する励起レーザを使用した。Nd:YVOレーザとしては、Coherent社製の製品名「Verdi-V18」を用いた。チタンサファイアレーザとしては、Coherent社製の製品名「Mira-HP」を用いた。
(2)波長変換装置72A/72B:
PP結晶を用いた光パラメトリック発振器(OPO)を用いた。励起光用のOPO-I及びストークス光用のOPO- IIの各々としては、Angewandte Physik & Electronik GmbH社製の製品名「OPO PP Automatic」を用いた。
(3)振幅変調素子50/周波数変調素子38:
電気光学変調素子(EOM)を用いた。振幅変調素子用のEOM及び周波数変調素子用のEOMの各々としては、CONOPTICS社製の製品名「M-360-160(MD)LNB」を用いた。
(4)光学遅延装置40:
一対のミラーと同等の機能を果たすリトロリフレクターをピエゾ素子で駆動する微動光学遅延装置と、一対のミラーと同等の機能を果たすリトロリフレクターをメカニカルに駆動する粗動光学遅延装置とを組み合わせて用いた。微動光学遅延装置が、図14の光学遅延装置40に相当する。粗動光学遅延装置は、光路長を調節するために配置されるものである。本実施例では、周波数変調素子38と光学遅延装置40との間、ビームスプリッタ30と反射ミラー32との間の各々に、粗動光学遅延装置を配置した。微動光学遅延装置としては、Physik Instrumente GmbH社製の製品名「P-753.11C」を用いた。粗動光学遅延装置としては、シグマテック社製の製品名「FS-1020X」を用いた。
(5)光検出器60:
InGaAsフォトダイオード(PD)を用いた。PDは、Electro-Optics Technology. Inc.社製の製品名「ET-3040」である。
<励起光及びストークス光の生成>
Nd:YVOレーザの第二高調波(波長532nm、出力14.5W)を用いてモード同期チタンサファイアレーザ(波長800nm、パルス幅2ps、出力3.8W、パルス繰り返し76.1MHz)を励起し、得られた出力を2つに分割して、励起光用のOPO-Iとストークス光用のOPO-IIとに導入した。
OPO-Iの出力を波長1100nmに固定して、誘導ラマン散乱過程における励起光及び干渉信号を得るための参照光として使用した。以下では、参照光をOPO-Iの局所発振光(LO:Local Oscillator)と称する。OPO-IIの出力を1100nm〜1600nmの波長範囲で可変とした。OPO-IIの出力波長は、OPO-Iの出力波長とは独立に変更される。OPO-Iの出力光の振動数をωとし、OPO-IIの出力光の振動数ωとしたとき、試料中の標的分子の固有振動数Ωが、Ω=ω−ωの関係を満たすように、OPO-IIの出力光の波長を設定し、設定された波長の出力光をストークス光として使用した。
<ストークス光の振幅変調>
OPO-IIからの出力(ストークス光)をInGaAsフォトダイオードで検出し、オシロスコープ(TEKTRONIKS社製の製品名「MDO 4104-6」)に取り込んだ結果を図15に示す。縦軸は光強度(Intensity)を表す。単位は任意単位(a.u.)である。横軸は時間を表す。単位はマイクロ秒(μs)である。図15に示すように、OPO-IIから光パルスが13ナノ秒(ns)の間隔で出力されており、その強度がほぼ一様であることがわかる。この出力に対して、振幅変調用のEOMによって3MHzのサイン関数で変調をかけたときの結果を図16に示す。図15と同様に、縦軸は光強度(Intensity)を表し、横軸は時間を表す。図16に示すように、光パルスの強度が周期的に変化しており、2マイクロ秒(μs)の時間内に6周期含まれていることが分かる。この変化の周波数が3MHzに対応する。
<参照光の周波数変調>
周波数変調用のEOMによる変調をかけていないOPO-Iの局所発振光(LO)を、ミックスドドメインオシロスコープ(TEKTRONIKS社製の製品名「MDO 4104-6」)に取り込み、周波数領域でのスペクトルを得た結果を図17に示す。縦軸は光強度(Intensity)を表す。単位はデシベル(dB)である。横軸は周波数(Frequency)を表す。単位はMHzである。図17に示すスペクトルにおいて、76.1MHzに見られるシャープなバンドは、レーザのパルス繰り返し周波数に対応する。この出力に対して、周波数変調用のEOMを用いて20MHzのサイン関数で変調をかけた結果を図18に示す。図17と同様に、縦軸は光強度(Intensity)を表し、横軸は周波数(Frequency)を表す。図18に示すように、周波数56.1MHzと96.1MHzとにバンドが見られ、元の周波数76.1MHzのレーザ出力に対して20MHzの変調がかかっていることが分かる。即ち、EOMを用いて数十MHzの周波数変調をかけることが可能であることが実証された。
<誘導ラマン散乱信号の検出>
試験試料としてポリスチレンフィルム(旭化成ケミカルズ社製の製品名「OPSフィルム(GMグレード)」、厚さ100μm(=25μm×4層))を用い、ポリスチレンのベンゼン環呼吸振動の固有振動数(1003cm−1)を、誘導ラマン散乱の共鳴対象として選択した。励起光の波長を1100nmに固定し、ストークス光の波長を1100nm〜1600nmの範囲で変化させながら、励起光とストークス光とを照射した。励起光とストークス光とを両光が試料内で交差するように照射した。励起光とストークス光との遅延時間を掃引した結果を図19に示す。縦軸は光強度(Intensity)を表す。単位は任意単位(a.u.)である。横軸は遅延時間(Time delay)を表す。単位はピコ秒(ps)である。
図19に示すように、ストークス光の波長が1236.0nm(振動数差1000.3cm−1)のときに共鳴し、遅延時間0ps付近に下向きの誘導ラマン散乱(誘導ラマンロス)による信号が得られた。また、ストークス光の波長が1240.0nm(振動数差1026.4cm−1)、1232.0nm(振動数差974.0cm−1)になると非共鳴となり、誘導ラマン散乱による信号が消失した。ストークス光の波長を1236.4nm(振動数差1002.9cm−1)に戻すと共鳴が再現されて、誘導ラマン散乱による信号が得られた。即ち、励起光とストークス光の両方に1000nm以上の近赤外光を用いて、上記の試料内から誘導ラマン散乱信号を観測することができた。
<誘導ラマン散乱干渉信号の取得>
上記した通り、ポリスチレンのベンゼン環呼吸振動の固有振動数(1003cm−1)を誘導ラマン散乱の共鳴対象として、誘導ラマン散乱光と参照光との光ヘテロダイン干渉による干渉信号の観測を行った。OPO-Iの出力を波長1100nmに固定して、誘導ラマン散乱過程における励起光及び参照光(局所発振光LO)として用いた。OPO-IIの出力を波長1236nmに固定して、誘導ラマン散乱過程におけるストークス光として用いた。ストークス光にはEOMにより3MHzのサイン関数で振幅変調をかけた。参照光LOにはEOMにより10MHzのサイン関数で周波数変調をかけた。
励起光と振幅変調されたストークス光とを、光軸が試料内で交差するように集光して試験試料に照射して、共鳴による誘導ラマン散乱過程を実現した。試験試料から観測される波長1100nmの光には、3MHzの周波数で増減を繰り返す誘導ラマンロス信号(SRL光)が含まれることになる。SRL光と参照光LOとが光検出器の受光面上で重なり合うように、SRL光と周波数変調された参照光LOとを光軸を合せて光検出器に入射させた。
SRL光と周波数変調された参照光LOとが光ヘテロダイン干渉することで、うなり周波数fとストークス光の振幅変調周波数f´との和もしくは差の周波数f±f´の干渉信号が検出される。ここでは、共鳴時の周波数Fi−SRSの干渉信号を検出した。周波数Fi−SRSは下記式で与えられる。
ここで、76.1MHzは元来のレーザ光パルスの繰り返し周波数である。10MHzは参照光LOにかけた変調の周波数fである。3MHzはストークス光にかけた変調の周波数f´である。
ミックスドドメインオシロスコープの検出周波数を、63.1±0.1MHzの範囲に調整した。これにより、周波数Fi−SRSの干渉信号が抽出される。
SRL光と参照光LOとの間の遅延を微動光学遅延装置によって10nmずつ変化させながら、観測される干渉信号の光強度をプロットした結果を図20に示す。縦軸は光強度(Intensity)を表す。単位は任意単位(a.u.)である。横軸は相対的な遅延(Relative delay)を表す。単位はnmである。また、励起光の波長を1100nmとし、ストークス光の波長を1236nmとして、固有振動数1000.3cm−1に対する共鳴による誘導ラマン散乱を観測した。
干渉信号が微弱であるため、1時間のあいだ積算を行った。また、干渉信号をサイン関数で最小二乗法によりフィッティングした結果を同時に太い実線で示した。図20に見られるように、現時点では微弱ではあるが、SRL光と参照光LOとの干渉パターンが観測された。
なお、SRL光と参照光LOとの干渉パターンは、共鳴による誘導ラマン散乱が生じている場合にのみ観測された。非共鳴時にはSRL光が発生せず、図21に示すように、ノイズのみが観測された。図20と同様に、縦軸は光強度(Intensity)を表し、横軸は相対的な遅延(Relative delay)を表す。なお、励起光の波長を1100nmとし、ストークス光の波長を1230nmとした。このとき、励起光とストークス光との振動数差は960.8cm−1であり、非共鳴状態となった。

Claims (15)

  1. 可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、
    前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、
    前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、
    前記参照光の周波数を変調する周波数変調手段と、
    前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、
    振幅変調された第2の光を第2の照射光として、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と周波数変調された参照光とのヘテロダイン干渉光を検出する検出手段と、
    を有する光干渉計。
  2. 可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、
    前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、
    前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、
    前記第1の照射光の周波数を変調する周波数変調手段と、
    前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、
    振幅変調された第2の光を第2の照射光とし、前記周波数変調された第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と前記参照光とのヘテロダイン干渉光を検出する検出手段と、
    を有する光干渉計。
  3. 前記第1の照射光を励起光とし、前記第2の照射光をストークス光とした場合に、
    前記振幅変調に応じて誘導ラマンロスが生じた励起光を信号光とする、
    請求項2または請求項3に記載の光干渉計。
  4. 前記第1の照射光をストークス光とし、前記第2の照射光を励起光とした場合に、
    前記振幅変調に応じて誘導ラマンゲインが生じたストークス光を信号光とする、
    請求項2または請求項3に記載の光干渉計。
  5. 前記光源が、前記第1の光を射出する第1のレーザ、前記第2の光を射出する第2のレーザ、及び前記第1のレーザの発振と前記第2のレーザの発振とを同期させる同期回路を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  6. 前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を波長変換して前記第1の光及び前記第2の光を生成する波長変換装置と、を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  7. 前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する波長変換装置と、前記波長変換装置の光出射側に配置され且つ前記波長が異なる2つの可干渉光の少なくとも一方を波長変換する少なくとも1つの波長変換素子と、を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  8. 前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を2光波に分岐する分岐手段と、分岐された一方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置と、分岐された他方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第2の波長変換装置と、第1の波長変換装置及び第2の波長変換装置で生成された4つの可干渉光の中から2つの可干渉光を選択する選択手段と、を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  9. 前記光源が、第1のレーザ、第2のレーザ、前記第1のレーザの発振と前記第2のレーザの発振とを同期させる同期回路、前記第1のレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置、前記第1の波長変換装置で生成された2つの可干渉光の中から1つの可干渉光を選択する第1の選択手段と、前記第2のレーザから射出された光を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第2の波長変換装置、前記第2の波長変換装置で生成された2つの可干渉光の中から1つの可干渉光を選択する第2の選択手段と、を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  10. 前記光源が、1つのレーザと、当該1つのレーザから射出された光を2光波に分岐する分岐手段と、分岐された一方の光波を波長変換して波長が異なる2つの可干渉光を生成する第1の波長変換装置と、分岐された他方の光波及び第1の波長変換装置で生成された2つの可干渉光からなる3つの可干渉光の中から2つの可干渉光を選択する選択手段と、を有する、請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の光干渉計。
  11. 前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第2の光の強度変化を計測する計測手段を更に備えた、請求項2から請求項11までの何れか1項に記載の光干渉計。
  12. 可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を射出する光源と、
    前記第2の光の振幅を変調する振幅変調手段と、
    前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割する分割手段と、
    前記参照光又は前記第1の照射光の周波数を変調する周波数変調手段と、
    前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段と、
    振幅変調された第2の光を第2の照射光として、前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光とし、当該信号光と前記参照光とのヘテロダイン干渉光を検出する検出手段と、
    前記調整された光路長、前記標的分子の固有振動数、及び前記検出手段で検出された干渉光に基づいて、前記信号光と前記参照光の位相差で表される位相情報と分子の種類を識別する分子識別情報とを取得する第1の情報取得手段と、
    を有する情報取得装置。
  13. 前記計測位置を相対移動させて前記対象物を走査する走査手段と、
    前記走査手段により対象物を走査して複数の計測位置で取得された前記位相情報と前記分子識別情報とに基づいて、位相干渉像に分子識別機能が付加された前記対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得する第2の情報取得手段と、
    を更に備えた請求項13に記載の情報取得装置。
  14. 可干渉性の第1の光、及び前記第1の光の振動数に対して標的分子の固有振動数に相当する振動数差を有する第2の光を用い、
    前記第2の光の振幅を変調して第2の照射光とし、
    前記第1の光を参照光と第1の照射光とに分割し、
    前記参照光又は前記第1の照射光の周波数を変調し、
    前記参照光の光路長を調整し、
    前記第1の照射光と前記第2の照射光とが対象物の計測位置に照射されたときに前記第1の光と前記第2の光の振動数差が標的分子と共鳴して前記振幅変調に応じて誘導ラマンロス又は誘導ラマンゲインが生じた第1の光を信号光として、当該信号光と前記参照光とのヘテロダイン干渉光を検出し、
    前記調整された光路長、前記標的分子の固有振動数、及び前記検出手段で検出された干渉光に基づいて、前記信号光と前記参照光の位相差で表される位相情報と分子の種類を識別する分子識別情報とを取得する、
    を有する情報取得方法。
  15. 前記計測位置を相対移動させて前記対象物を走査し、
    複数の計測位置で取得された前記位相情報と前記分子識別情報とに基づいて、前記位相干渉像に分子識別機能が付加された前記対象物の立体画像又は断層画像を表す画像情報を取得する、
    請求項15に記載の情報取得方法。
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