JP6006110B2 - 基礎杭施工方法 - Google Patents

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本発明は、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法に関するものである。
従来から知られているプレボーリング工法では、アースオーガで地盤を所定の支持層まで掘削して鉛直孔を形成し、鉛直孔の下端部には根固め部を形成し、この鉛直孔に既成杭を挿入して基礎杭を築造する。近年では、上層部分に汚染土が存在する地盤において、この種の基礎杭施工により下層にまで汚染が拡大することが問題視されている。すなわち、例えば、止水層を挟んで上層の汚染土層と下層の非汚染土層とが支持層の上方に存在する地盤を考えれば、基礎杭施工の際には止水層を上下に貫通して鉛直孔が形成されることになる。そうすると、施工中においては止水層による絶縁状態が失われるので、施工時に汚染土層の汚染物質が非汚染土層に移動するおそれがあり、非汚染土層まで汚染が拡大するおそれがある。
この問題への対策として、例えば、下記特許文献1及び2の技術が知られている。特許文献1の技術では、止水層に達する外挿管を汚染土層に設置して当該外挿管の中空部を排土・洗浄し、外挿管の中空部に杭を設置して外挿管と杭との間を充填材量で埋めるようにしている。また、特許文献2の技術では、杭施工領域の汚染土を、汚染物質の侵入を防止するための置換材料で置換した後、杭を設置するようにしている。
特許3572567号公報 特許3367042号公報
しかしながら、特許文献1及び2の技術ともに、必要な資材や特殊な工程が増大し、工期の増大を招くといった問題がある。この問題に鑑み、本発明は、プレボーリング工法において、工期の増大を抑えながら基礎杭施工に起因する地盤の汚染拡散を抑制することができる基礎杭施工方法を提供することを目的とする。
本発明の基礎杭施工方法は、地盤を所定の支持層まで掘削して形成した鉛直孔に既成杭を挿入するプレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法であって、地盤は、支持層よりも浅い位置に所定の上下幅で存在し鉛直孔が上下に貫通される止水層を有しており、掘削液を吐出しながらアースオーガで地盤を支持層まで掘削して鉛直孔を形成するとともに鉛直孔の下端部に根固め部を形成する掘削工程と、アースオーガを引き上げながら根固め部に根固め液を注入する根固め液注入工程と、鉛直孔内に杭周固定液を注入しながらアースオーガを更に引き上げ鉛直孔から取り出すオーガ引き上げ工程と、既成杭を鉛直孔に建込む杭建込工程と、を備え、掘削工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように掘削液の吐出流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第1制御工程を有し、根固め液注入工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように根固め液の注入流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第2制御工程を有し、オーガ引き上げ工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように杭周固定液の注入流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第3制御工程を有することを特徴とする。
本発明者らは、止水層を貫通してプレボーリング工法による鉛直孔を形成したときには、鉛直孔内での流動物(例えば、原位置土と掘削液が撹拌混合された泥土、杭周固定液等)の上下方向の流動に伴って、地盤中の物質が止水層を横切って上下移動することに着目して本発明を完成させた。本発明の基礎杭施工方法によれば、第1〜第3制御工程によって、鉛直孔内の流動物の下方への流れを最小限に抑えることができる。従って、汚染土層の下に止水層を挟んで非汚染土層が存在する場合において、汚染土層からの汚染物質が止水層を通過して下方の非汚染土層に移動する可能性を抑えることができる。従って、非汚染土層への汚染拡散を抑制することができる。また、従来のプレボーリング工法と比較しても、必要な資材等や特殊な工程等が極端に増加することが抑えられるので、工期の増大も抑制することができる。
また、杭建込工程は、杭周固定液を注入するための注入管の注入口を止水層の上端境界よりも深い位置まで鉛直孔内に挿入し、注入管を通じて鉛直孔内に杭周固定液を注入しながら既成杭を鉛直孔に挿入し、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように杭周固定液の注入流量と、既成杭の上下移動と、の少なくとも1つを制御する第4制御工程を有することとしてもよい。この方法によれば、更に杭建込工程においても、第4制御工程によって、鉛直孔内の流動物の下方への流れを最小限に抑えることができる。
また、第1〜第3制御工程における許容低下幅は、止水層の上下幅に等しいこととしてもよい。鉛直孔内の流動物の上面の上下移動は、鉛直孔内の止水層近傍における流動物の上面の上下移動をほぼ反映している考えることができる。よって、止水層の上下幅を許容低下幅として第1〜第3制御工程を行えば、止水層近傍における流動物の上面の下方への移動が止水層の上下幅以下に抑えられると考えられる。そうすると、汚染土層から鉛直孔内に漏出した汚染物質が非汚染土層まで到達することが抑えられると考えられる。よって、非汚染土層への汚染拡散を抑えることができる。また、同様の知見から、第4制御工程における許容低下幅は、止水層の上下幅に等しいこととしてもよい。
本発明によれば、プレボーリング工法において、工期の増大を抑えながら基礎杭施工に起因する地盤の汚染拡散を抑制することができる基礎杭施工方法を提供することができる。
(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係る基礎杭施工方法の各工程を示す図である。 (a)〜(e)は、図1の続きの工程を示す図である。 本発明の実施形態に係る基礎杭施工方法を実行する制御システムの一例を示すブロック図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の基礎杭施工方法は、地盤に鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込むプレボーリング工法に基づくものである。アースオーガにより掘削液を噴出しながら地盤を掘削し、地盤の比較的硬い支持層まで掘削したその最下部に、セメントミルクにより根固め部を形成する。そして、鉛直孔に既成杭を設置することで基礎杭の築造が完了する。
本実施形態において杭体を施工する地盤101は、図1に示されるように、粘土質で水を通しにくい止水層105を有し、この止水層105の上方及び下方に、水を通しやすい上部透水層(第1の層)103及び下部透水層(第2の層)111をそれぞれ有する地盤である。下部透水層111は、地盤の比較的軟らかい帯水層107と、後述する根固め部を形成する、地盤の比較的硬い支持層109とを含む。また、上部透水層103及び下部透水層111はそれぞれ地下水を含んでいる。
ここで、上部透水層103を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、これらにより上部透水層103に含まれる地下水も汚染されているものとする。一方、下部透水層111を構成する地盤は、上部透水層103における汚染物質が止水層105により遮断されているため、汚染されておらず、下部透水層111に含まれる地下水は、産業用又は生活用に有効利用することができるものとする。なお、止水層105は、1.0×10−4cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが1.0m以上である層であり、この性状の止水層105には、土壌汚染対策法に規定された「準不透水層」が該当する。また、止水層105が土壌汚染対策法に規定された「不透水層」(1.0×10−5cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが5.0m以上である層)である場合にも、本施工方法は有効である。
図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る基礎杭施工方法について説明する。なお、図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(e)は、一本の杭体の施工について、以下に説明する一連の工程を横並びで連続的に示している。本実施形態の施工方法は、以下に説明する掘削工程と、根固め液注入工程と、オーガ引き上げ工程と、杭建込工程と、を備えている。
〔掘削工程〕
地面に杭打ち機械をセットし(図示せず)、杭芯を測量し、機械を精度よく設置する。アースオーガ7の先端部からベントナイト泥水(ベントナイト配合液)を噴出しながら、アースオーガ7により上部透水層103を掘削する(図1(a))。なお、ベントナイト泥水は、形成する鉛直孔113の土壁の安定性を維持するための掘削液である。更に、ベントナイト泥水を注入しながら止水層105(図1(b))、下部透水層111における帯水層107、更には支持層109へと掘削を進める(図1(c))。アースオーガ7で掘削液と撹拌混合された原位置土は鉛直孔113の内部で流動性を有する泥土9となっている。
掘削が支持層109の内部まで到達したら、アースオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔113の孔径を拡大することで、鉛直孔113の下端部に根固め部119を形成する(図1(d))。
〔根固め液注入工程〕
そして、アースオーガ7を引き上げながら上記根固め部119に根固め液10としてのセメントミルク(水セメント比55〜60%)を注入して撹拌する(図2(a))。セメントミルクの注入を終了したら、掘削ビット7aを収める。
〔アースオーガ引き上げ工程〕
その後、更にアースオーガ7を引き揚げながら、鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルク(水セメント比100%以上)を注入する(図2(b))。アースオーガ7が鉛直孔113から抜き取られたとき(図2(c))には、鉛直孔113内の泥土9は、ぼぼセメントミルクに置換されている。
〔杭建込工程〕
そして、杭体(既成杭)5を鉛直孔113に挿入し、ゆっくりと降下させ(図2(d))、杭体5の最下端部を根固め部119内のセメントミルクに挿入する(図2(e))。このようにして、施工が完了し、根固め液及び杭周固定液が硬化したところで、杭体5を含む基礎杭6が完成する。
近年では、汚染された上部透水層103を含む地盤で上述のようなプレボーリング工法を行う場合、下層の下部透水層111にまで汚染が拡大することが問題視されている。すなわち、上記の基礎杭施工の際には止水層105を上下に貫通して鉛直孔113が形成されることになる。そうすると、施工中においては止水層105による絶縁状態が失われるので、施工時に上部透水層103の汚染物質が鉛直孔113を通じて下部透水層111に移動するおそれがあり、下部透水層111まで汚染が拡大するおそれがある。
そこで、この問題への対策として、本実施形態の施工方法では、掘削工程、根固め液注入工程、オーガ引き上げ工程、及び杭建込工程において、それぞれ、以下に説明する第1〜第4制御工程を実行する。
〔第1制御工程〕
第1制御工程は、止水層105以深の掘削工程(図1(b)〜(d))において、鉛直孔113内に溜まっている流動物(ここでは、原位置土とベントナイト泥水が撹拌混合された泥土9)の上面Hの高さを監視しながら行う。そして、上記流動物上面Hが所定の許容低下幅以上の落差で低下しないように、アースオーガ7からの掘削液吐出流量と、アースオーガ7の回転と、アースオーガ7の上下移動と、の少なくとも1つを制御する。
具体的には、例えば、ある程度締まった地盤をアースオーガ先端から掘削液を吐出しながら正回転(スクリュー部で下向きの推力が得られる回転方向)で掘削する条件では、原位置の土はアースオーガ先端部で緩められ、更に掘削液と混合され泥土化するため、原位置の元々の体積に比べ大きく増加すること、及び、掘削の進行に伴いアースオーガの地中挿入部の体積が増えることにより、鉛直孔113内の流動物(泥土)は上向きに移動するので、特別な制御は不要である。
しかし、極めて緩い地盤を掘削する条件では、鉛直孔113の下部地盤がアースオーガの自重を支持できずに陥没し、これに起因して鉛直孔113内の流動物(泥土)が大きく下方に移動する恐れがある。これを防ぐには、流動物上面Hの高さを監視しながら掘削し、Hの低下傾向が確認されたらアースオーガ7の下降速度を低速に制御することが有効である。
また、鉛直孔113の掘削中においては、例えば、掘削が停滞した場合などにアースオーガ7を一時的に上昇させたり一時的に逆回転させたりする場合がある。アースオーガ7の上昇が実行される場合には、アースオーガ7の地中挿入部の体積減少に伴い流動物上面Hが低下する傾向にある。従って、例えば、アースオーガ7を上昇させる場合には、流動物上面Hの高さを監視しながら、アースオーガ7の上昇速度を低速に制御すると共に、流動物上面Hが低下しないようにアースオーガ7の上昇速度に対応させて掘削液吐出流量を一時的に増加するといった制御を行う。すなわち、この場合、アースオーガ7の地中挿入部の体積減少分を十分補うような大きい流量で掘削液が吐出され、流動物上面Hの大きな低下が防止される。
また、アースオーガ7を逆回転させる場合にも、流動物上面Hが低下する傾向にある。従って、例えば、アースオーガ7を逆回転させる場合には、流動物上面Hの高さを監視しながら、アースオーガ7の回転速度を低速に制御すると共に、アースオーガ7の回転速度に対応させて掘削液吐出流量を一時的に増加するといった制御を行う。すなわち、この場合、アースオーガ7の逆回転に起因する流動物上面Hの低下を十分補うような大きい流量で掘削液が吐出され、流動物上面Hの大きな低下が防止される。
〔第2制御工程〕
第2制御工程は、根固め液注入工程(図2(a))において、鉛直孔113内に溜まっている流動物(泥土9)の上面Hの高さを監視しながら行う。そして、上記流動物上面Hが所定の許容低下幅以上の落差で低下しないように、アースオーガ7からの根固め液注入流量と、アースオーガ7の回転と、アースオーガ7の上下移動と、の少なくとも1つを制御する。
具体的には、根固め液注入工程では、アースオーガ7の上下移動を繰り返しながら根固め部119に根固め液10を注入・撹拌していく。ここで、アースオーガ7が上昇する場合には、アースオーガ7の地中挿入部体積が減少するので流動物上面Hが低下する傾向にある。従って、例えば、アースオーガ7を上昇させる場合には、流動物上面Hの高さを監視しながら、アースオーガ7の上昇速度を低速に制御すると共に、流動物上面Hが低下しないようにアースオーガ7の上昇速度に対応させて根固め液注入流量を一時的に増加するといった制御を行う。すなわち、この場合、アースオーガ7の流動物上面H下の体積減少を十分補うような大きい流量で根固め液が注入され、流動物上面Hの大きな低下が防止される。
〔第3制御工程〕
第3制御工程は、オーガ引き上げ工程(図2(b))において、鉛直孔113内に溜まっている流動物(泥土9)の上面Hの高さを監視しながら行う。そして、上記流動物上面Hが所定の許容低下幅以上の落差で低下しないように、アースオーガ7からの杭周固定液注入流量と、アースオーガ7の回転と、アースオーガ7の上下移動と、の少なくとも1つを制御する。
アースオーガ7が引き上げられるときには、アースオーガ7の地中挿入部体積が減少するので流動物上面Hが低下する傾向にある。従って、例えば、アースオーガ7を引き上げる場合には、流動物上面Hの高さを監視しながら、アースオーガ7の上昇速度を低速に制御すると共に、流動物上面Hが低下しないようにアースオーガ7の上昇速度に対応させて杭周固定液注入流量を維持するといった制御を行う。すなわち、この場合、アースオーガ7の地中挿入部体積の減少を十分補うような大きい流量で杭周固定液が注入され、流動物上面Hの大きな低下が防止される。
〔第4制御工程〕
杭建込工程で杭体5を鉛直孔113に挿入する前に、杭周固定液を注入するための注入管15を鉛直孔113内に挿入しておく(図2(c))。このとき、注入管15の注入口16が止水層105の上端境界よりも深い位置まで達するように、注入管15を鉛直孔113内に挿入する。そして、第4制御工程は、杭建込工程(図2(d)〜(e))において、注入管15を通じて鉛直孔113内に杭周固定液を注入しながら行う。ここでは、注入口16の先端を上向きとし、杭周固定液を上向きに噴出するようにしてもよい。杭周固定液を上向きに噴出すれば、止水層105近傍において孔内の流動物(泥土又は杭周固定液)の下向きの流れが生じにくくなるので、汚染物質の下向きの移動が発生しにくくなり好ましい。
第4制御工程は、杭体5を鉛直孔113に挿入するときに、鉛直孔113内に溜まっている流動物(泥土、杭周固定液)の上面Hの高さを監視しながら行う。そして、上記流動物上面Hが所定の許容低下幅以上の落差で低下しないように、注入管15からの杭周固定液注入流量と、既成杭の上下移動と、の少なくとも1つを制御する。
鉛直孔113に杭体5を挿入するときに、例えば、鉛直孔113内で杭体5の下降が停滞した場合などは杭体5を一時的に上昇させる場合がある。杭体5が上昇される場合には、杭体5の地中挿入部体積が減少するので流動物上面Hが低下する傾向にある。従って、例えば、杭体5を上昇させる場合には、流動物上面Hの高さを監視しながら、杭体5の上昇速度を低速に制御すると共に、流動物上面Hが低下しないように杭体5の上昇速度に対応させて注入管15からの杭周固定液注入流量を一時的に増加するといった制御を行う。すなわち、この場合、杭体5の地中挿入部体積の減少を十分補うような大きい流量で杭周固定液が注入され、流動物上面Hの大きな低下が防止される。杭建込工程の終了後に、注入管15は鉛直孔113から抜き取ってもよい。
また、例えば、杭体5の下降に伴い、汚染物質の混入リスクが高い汚染土層103近傍の孔内流動物(泥土、杭周固定液)が下方に移動する恐れがある。これに対し、注入管15を通じて杭周固定液を注入することで、止水層105近傍において上記流動物の下向きの流れの発生を阻害できるので、汚染物質の下方への移動を防ぐことができる。特に、杭体5の先端部が汚染土層103近傍にある状態で杭体5を下降させる際には、汚染物質の混入リスクが高い上部の流動物を止水層105以深に押し込む可能性が高くなる。この場合、杭体5の下降速度を低速に制御するとともに、注入管15からの杭周固定液注入流量を一時的に増加させる制御を行うことで、上記流動物の下方への押し込みを防止できる。
以上の第1〜第4制御工程における流動物上面Hの許容低下幅は、止水層105の上下幅(厚さ)とする。止水層105の上下幅は、本実施形態の基礎杭施工に先立ってボーリング調査を行うことにより、事前に知ることができる。また、第1〜第4制御工程においては、作業者の目視で流動物上面Hの高さを監視してもよい。また、流動物上面Hを検知する液面センサを鉛直孔113の上端部に設け液面センサで流動物上面Hの高さを監視してもよい。
流動物上面Hの監視手段として液面センサを用いる場合、例えば図3に示すように、コンピュータ201を備えた制御システム200を用いて自動的に上記第1〜第3制御工程を実行するようにしてもよい。制御システム200において、杭打ち機205は、アースオーガ7を回転させるオーガ回転機構211と、アースオーガ7を上昇・下降させるオーガ昇降機構213と、アースオーガ7の先端部から掘削液、根固め液又は杭周固定液を噴射する液供給機構215を備えている。そして、制御システム200のコンピュータ201は、液面センサ203からのセンサ信号に基づいて、オーガの回転速度及び回転方向と、オーガの昇降速度と、液(掘削液、根固め液又は杭周固定液)の供給流量と、を演算し、流動物上面Hが許容低下幅以上で低下しないように、杭打ち機205のオーガ回転機構211、オーガ昇降機構213及び液供給機構215をフィードバック制御することで、上述の第1〜第3制御工程を実現する。
第1〜第4制御工程による作用効果について説明する。
本発明者らは、止水層105を貫通してプレボーリング工法による鉛直孔113を形成したときには、鉛直孔113内での流動物(泥土又は杭周固定液)の上下方向の流れに伴って、地盤中の物質が止水層105を横切って上下移動することに着目して本発明を完成させた。
本実施形態の基礎杭施工方法によれば、第1〜第4制御工程によって流動物上面Hの低下を最低限に抑えるので、鉛直孔113内の流動物(泥土又は杭周固定液)の下方への流れを最小限に抑えることができる。従って、上部透水層103の汚染物質が止水層105を通過して下部透水層111に移動する可能性を抑えることができる。
また、第1〜第4制御工程における許容低下幅は、止水層の上下幅に等しいこととしている。鉛直孔113内の流動物上面Hの上下移動は、鉛直孔113内の止水層105近傍における流動物(泥土又は杭周固定液)の上下移動をほぼ反映している考えることができる。よって、止水層105の上下幅を許容低下幅として第1〜第4制御工程を行えば、止水層105近傍における流動物(泥土又は杭周固定液)の下方への移動が止水層105の上下幅以下に抑えられると考えられる。そうすると、上部透水層103から鉛直孔113内に漏出した汚染物質が下部透水層111まで到達することが抑えられると考えられる。よって、下部透水層111への汚染拡散を抑えることができる。また、従来のプレボーリング工法と比較しても、必要な資材等や特殊な工程等が極端に増加することが抑えられるので、工期の増大も抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、杭体5として肉薄のパイプ状の杭等が採用される場合には、杭建込工程において杭体5の上下動による孔内流動物(泥土又は杭周固定液)の流動が比較的小さいと考えられるので、第4制御工程が不要である場合もある。従って、本発明の基礎杭施工方法では、第4制御工程を行わず、第1〜第3制御工程のみ行うこととしてもよい。
また、例えば、上記実施形態では上部透水層、止水層、及び下部透水層からなる地盤に杭体を施工する態様を示したが、止水層の上方又は下方の地盤の性状は限定されない。つまり、止水層が存在し、止水層の上方の地盤における汚染物質が止水層の下方の地盤へと侵入すると不都合である地盤であれば、本発明の適用対象であり得る。
5…杭体(既成杭)、6…基礎杭、9…泥土、10…根固め液、11…杭周固定液、15…注入管、16…注入口、101…地盤、105…止水層、109…支持層、113…鉛直孔、119…根固め部、H…流動物の上面。

Claims (4)

  1. 地盤を所定の支持層まで掘削して形成した鉛直孔に既成杭を挿入するプレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法であって、
    前記地盤は、前記支持層よりも浅い位置に所定の上下幅で存在し前記鉛直孔が上下に貫通される止水層を有しており、
    掘削液を吐出しながらアースオーガで前記地盤を前記支持層まで掘削して前記鉛直孔を形成するとともに前記鉛直孔の下端部に根固め部を形成する掘削工程と、
    前記アースオーガを引き上げながら前記根固め部に根固め液を注入する根固め液注入工程と、
    前記鉛直孔内に杭周固定液を注入しながら前記アースオーガを更に引き上げ前記鉛直孔から取り出すオーガ引き上げ工程と、
    前記既成杭を前記鉛直孔に建込む杭建込工程と、を備え、
    前記掘削工程は、
    前記鉛直孔内の流動物の上面を監視し前記流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように前記掘削液の吐出流量と、前記アースオーガの回転と、前記アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第1制御工程を有し、
    前記根固め液注入工程は、
    前記鉛直孔内の流動物の上面を監視し前記流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように前記根固め液の注入流量と、前記アースオーガの回転と、前記アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第2制御工程を有し、
    前記オーガ引き上げ工程は、
    前記鉛直孔内の流動物の上面を監視し前記流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように前記杭周固定液の注入流量と、前記アースオーガの回転と、前記アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第3制御工程を有することを特徴とする基礎杭施工方法。
  2. 前記杭建込工程は、
    前記杭周固定液を注入するための注入管の注入口を前記止水層の上端境界よりも深い位置まで前記鉛直孔内に挿入し、前記注入管を通じて前記鉛直孔内に前記杭周固定液を注入しながら前記既成杭を前記鉛直孔に挿入し、
    前記鉛直孔内の流動物の上面を監視し前記流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように前記杭周固定液の注入流量と、前記既成杭の上下移動と、の少なくとも1つを制御する第4制御工程を有することを特徴とする請求項1に記載の基礎杭施工方法。
  3. 前記第1〜第3制御工程における前記許容低下幅は、前記止水層の上下幅に等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎杭施工方法。
  4. 前記第4制御工程における前記許容低下幅は、前記止水層の上下幅に等しいことを特徴とする請求項に記載の基礎杭施工方法。
JP2012283172A 2012-12-26 2012-12-26 基礎杭施工方法 Active JP6006110B2 (ja)

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