JP2014114600A - 基礎杭施工方法 - Google Patents

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Sadami Ishii
貞美 石井
Hideki Tanaka
秀樹 田中
Kojiro Takei
幸次郎 武居
Akira Miyata
章 宮田
Taisuke Fujishima
泰輔 藤嶋
Masaaki Kato
昌章 加藤
Junichiro Otsubo
順一郎 大坪
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Abstract

【課題】プレボーリング工法で基礎杭を築造する基礎杭施工方法において、その施工中及び施工後に、上部透水層に含まれる汚染物質によって下部透水層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止する。
【解決手段】第1の層103と、その下方の止水層105と、更に下方の第2の層111と、を有する地盤に既成杭5を設置するプレボーリング工法による基礎杭施工方法であって、ベントナイト配合液9を掘削液として鉛直孔113を止水層まで掘削し、掘削した領域の土を掘削液で置換する置換工程と、止水層に、上端及び下端の少なくとも一方が当該止水層内に位置するとともに孔径が拡大された拡径掘削部115を形成しセメントミルクで拡径止水部117を形成する拡径止水部形成工程と、第2の層の鉛直孔の下端に根固め部119を形成する根固め部形成工程と、既成杭を建て込む建込み工程と、を備える基礎杭施工方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、基礎杭施工方法に関する。
従来、止水層の上下に透水層(帯水層)を有する地盤を掘削して基礎杭を施工するに際し、上部透水層に含まれる汚染物質(汚染土、汚染地下水)が、下部透水層に侵入して、下部透水層に含まれる非汚染地下水を汚染する虞があった。また、基礎杭の施工後においても、杭体周辺の間隙等を通じて汚染地下水が下部透水層に流入する虞があった。このように上部透水層における汚染物質が下部透水層に侵入すると、下部透水層に含まれる地下水の有効利用が阻害されることになる。
上記事情から、基礎杭を施工する領域における上部透水層の汚染物質が下部透水層に侵入することを防止するために、例えば、特許文献1記載のように、基礎杭施工領域における上部透水層の地盤を、特殊な置換材料を用いて置換することにより、汚染物質を遮断又は無害化する方法が提案されている。
特許第3367042号公報
基礎杭施工方法の一つであるプレボーリング工法は、鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込む工法である。この工法では、鉛直孔を形成しているときに、上部透水層の汚染物質が下部透水層に侵入する可能性がある。また、施工後にも、硬化した杭周固定液と地盤との密着性が不十分な場合に、上部透水層の汚染地下水がその間隙を伝って下部透水層に流入する可能性がある。従って、このような汚染物質の移動を確実に防止することが望まれる。
本発明は、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法において、基礎杭の施工中及び施工後に、上部透水層に含まれる汚染物質によって下部透水層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる基礎杭施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の層と、第1の層の下方に位置する止水層と、止水層の下方に位置する第2の層と、を有する地盤を掘削して第2の層に達する鉛直孔を形成し、鉛直孔に既成杭を設置するプレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法であって、ベントナイトを配合したベントナイト配合液を掘削液として鉛直孔を止水層に達するまで掘削し、掘削した領域の土を掘削液で置換する置換工程と、掘削液で置換した領域の下方に位置する止水層に、上端及び下端の少なくとも一方が当該止水層内に位置するとともに孔径が拡大された拡径掘削部を形成し、拡径掘削部にセメントミルクを注入して拡径止水部大球根部を形成する拡径止水部形成工程と、第2の層で鉛直孔を掘削し、鉛直孔の下端に根固め部を形成する根固め部形成工程と、既成杭を鉛直孔に建て込む建込み工程と、を備える、基礎杭施工方法を提供する。
本発明によれば、置換工程において、第1の層を掘削した領域の土を掘削液で置換するため、その領域の下方に位置する止水層及び第2の層を掘削するときに、第1の層から汚染物質が侵入することが防止される。そして、止水層に拡径止水部が形成されるため、拡径止水部がない場合と比べて、第1の層から第2の層へと汚染物質が侵入する経路が長くなり、また、拡径止水部のうち、径が拡大された水平方向に延びる部分は、垂直方向に延びる部分と比べて、土圧により地盤との密着性が高くなっているため、止水効果が高い。すなわち、本発明によれば、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法において、基礎杭の施工中及び施工後に、第1の層に含まれる汚染物質によって第2の層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる。
この基礎杭施工方法では、拡径止水部形成工程は、根固め部形成工程の前に行うことが好ましい。これによれば、拡径止水部形成工程における拡径掘削部の形成時に生じる土を容易に排土することができる。
ここで、拡径止水部の硬化後の透水係数が、止水層の透水係数よりも小さいことが好ましい。また、拡径止水部の硬化後の透水係数が、1.0×10−7〜1.0×10−9cm/secであることが好ましい。この場合、第1の層に含まれる汚染地下水が第2の層へ流入しようとする場合、汚染地下水が硬化後の拡径止水部の内部を透水することがほとんどなく、止水層の地盤と硬化後の拡径止水部との間隙を通ろうとすることになるため、本発明の上記効果がより効果的に奏される。
また、セメントミルクの水セメント比が、100%以下であることが好ましい。これによれば、上記止水効果が一層高くなる。
本発明によれば、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法において、基礎杭の施工中及び施工後に、上部透水層に含まれる汚染物質によって下部透水層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる基礎杭施工方法を提供することができる。
本実施形態の施工方法を示す図である。 本実施形態の施工方法を示す図である。 施工後の止水層の概念構成図である。 図3(c)の詳細図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の基礎杭施工方法は、地盤に鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込むプレボーリング工法に基づくものである。スパイラルフライト及び撹拌翼等を付けたオーガ(以下「スパイラルオーガ」と記述する)により掘削液を噴出しながら地盤を掘削し、地盤の比較的硬い支持層まで掘削したその最下部に、セメントミルクにより根固め部を形成する。そして、鉛直孔に既成杭を設置することで基礎杭の築造が完了する。
本実施形態において杭体を施工する地盤は、図1に示されるように、粘土質で水を通しにくい止水層105を有し、この止水層105の上方及び下方に、水を通しやすい上部透水層(第1の層)103及び下部透水層(第2の層)111をそれぞれ有する地盤である。下部透水層111は、地盤の比較的軟らかい帯水層107と、後述する根固め部を形成する、地盤の比較的硬い支持層109とを含む。また、上部透水層103及び下部透水層111はそれぞれ地下水を含んでいる。
ここで、上部透水層103を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、これらにより上部透水層103に含まれる地下水も汚染されているものとする。一方、下部透水層111を構成する地盤は、上部透水層103における汚染物質が止水層105により遮断されているため、汚染されておらず、下部透水層111に含まれる地下水は、産業用又は生活用に有効利用することができるものとする。なお、止水層105は、1.0×10−4cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが1.0m以上である層であり、この性状の止水層105には、土壌汚染対策法に規定された「準不透水層」が該当する。また、止水層105が土壌汚染対策法に規定された「不透水層」(1.0×10−5cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが5.0m以上である層)である場合にも、本施工方法は有効である。
図1及び図2を参照しながら、杭体の施工方法について説明する。なお、図1(a)〜(e)及び図2(a)〜(e)は、一本の杭体の施工について、以下に説明する一連の工程を横並びで連続的に示している。
地面に杭打ち機械をセットし(図示せず)、杭芯を測量し、機械を精度よく設置する。スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水(ベントナイト配合液)9を噴出しながら、スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削し、掘削が止水層105の上端まで到達したら、掘削した領域の土を置換する(置換工程;図1(a))。すなわち、上部透水層103の掘削により生じた土を全排土する。なお、ベントナイト泥水9は、形成する鉛直孔113の土壁の安定性を維持するための掘削液である。
次に、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105の途中まで掘削を進める。そして、止水層105の内部において、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させ(図1(b))、孔径が拡大された拡径掘削部115を形成する。このとき、拡径掘削部115の上端及び下端の少なくとも一方が止水層105内に位置するように形成する。形成した拡径掘削部115に、セメントミルク(水セメント比100%以下)を注入して撹拌し、拡径止水部117を形成する(拡径止水部形成工程;図1(c))。ここで、拡径止水部117の直径は、掘削の容易さ、及び、後述する汚染物質の遮断効果の観点から、杭体5の外径の1.2倍〜2.0倍であることが好ましく、拡大が可能であれば2.0倍以上がより好ましい。この拡径止水部117は、杭体の施工完了後に硬化して、後述するソイルセメント体121となるものである。
その後、掘削ビット7aを収め、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105を越えて下部透水層111における帯水層107、更には支持層109へと掘削を進める(図1(d))。
掘削が支持層109の内部まで到達したら、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させて(図1(e))掘削を進め、孔径を拡大する(図2(a))。そして、孔径を拡大した部分に根固め用のセメントミルク(水セメント比55〜60%)を注入して撹拌し、根固め部119を形成する(根固め部形成工程;図2(b))。セメントミルクの注入を終了したら、掘削ビット7aを収める。
その後、スパイラルオーガ7を引き揚げながら、鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルク(水セメント比100%以上)を注入し(図2(c))、杭体5を鉛直孔113に挿入する(建込み工程;図2(d))。このとき、拡径止水部117中のセメントミルクは、杭体5に密着する。このようにして、杭体5の施工が完了する(図2(e))。
図3を参照しながら、ソイルセメント体について説明する。前述のとおり、上記拡径止水部117は、杭体5の施工完了後に、その形状を保持した状態で硬化してソイルセメント体121となる。ソイルセメント体121は、地盤中の鉛直方向の形成位置としては、その上端及び下端の少なくとも一方が止水層105内に位置している。すなわち、ソイルセメント体121の下端のみが止水層105内に位置していてもよく(図3(a))、上端が上部透水層103と止水層105との境界に位置し、且つ下端が止水層105内に位置していてもよく(図3(b))、上端及び下端が止水層105内に位置していてもよく(図3(c))、上端が止水層105内に位置し、且つ下端が止水層105と下部透水層111との境界に位置していてもよく(図3(d))、上端のみが止水層105内に位置していてもよい(図3(e))。これらの中で、後述するように、上部透水層103に含まれる汚染地下水が下部透水層に流入することを防止する観点からは、上端及び下端が止水層105内に位置している状態(図3(c))が最も好ましい。
また、ソイルセメント体121は、汚染地下水を透水させないように、透水係数が少なくとも止水層105の透水係数よりも小さい。具体的には、1.0×10−7〜1.0×10−9cm/secであることが好ましく、この場合、透水係数がこの値の範囲内となるように、拡径止水部117を形成するセメントミルクの配合が調製される。
ここで、拡径止水部117の形成に用いるセメントミルクの水セメント比とソイルセメント体121の透水係数との関係について説明する。例えば、拡径止水部の形成に水セメント比100%のセメントミルクを使用した場合を考える。セメントミルクを拡径掘削部115に注入するとき、実際にはベントナイト泥水(掘削液)中に注入するため、ベントナイト泥水により薄まり、セメントミルクの水セメント比は大きくなる。ここで、水セメント比100%のセメントミルク1000kgには、セメント500kgが含まれており、その比重が3.15g/cmであるとすると、その体積は159Lであり、水の体積500Lとの合計体積は、659Lである。セメントミルクがベントナイト泥水に注入されたとき、セメントミルクと同じ体積の水が付加されたとすると、セメント(C)=500kg、水(W)=500+659=1159kg、水セメント比(W/C)=1159/500=232%となる。ここで、「改良地盤の設計及び施工指針:日本建築センター」の粘性土の強度推定式を用いると、セメントミルクの固化強度(qu)は下記式のように推定される。
qu=11.4(C/W)−0.45[MN/m
=11.4(500/1159)−0.45
=4.47[MN/m
=4470[KN/m
そして、このセメントミルクの固化強度と透水係数との間には公知の相関関係があり、その関係から、ソイルセメント体の透水係数は、1×10−7〜1×10−9cm/secと推定される。なお、根固め部の場合、水セメント比が60%のセメントミルクを注入すると、プレボーリング工法の実験資料から、強度は8〜25MN/m程度であることがわかっている。これによれば、根固め部に形成されるソイルセメント体の透水係数は、1×10−9cm/secよりさらに小さいと考えられる。
本実施形態の杭体の施工方法の効果について説明する。一般的にプレボーリング工法にて杭体を施工する場合、鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込む。この工法では、鉛直孔を形成しているときに、地盤の上層の汚染物質(汚染土壌、汚染地下水)が止水層を越えて下層に侵入する可能性がある。また、施工後にも、硬化した杭周固定液と地盤との密着性が不十分な場合に、上層の汚染地下水がその間隙を伝って下層に流入する可能性がある。特に、上層の地下水位が下層の地下水位よりも高い場合にその傾向が顕著である。
ここで、本実施形態の施工方法によれば、上記置換工程において、上部透水層103を掘削した領域の土を掘削液であるベントナイト泥水9で置換するため、その領域の下方に位置する止水層105及び下部透水層111を掘削するときに、上部透水層103の汚染土壌が下部透水層111へ落ち込むことが防止される。加えて、上部透水層103を掘削した領域が、汚染地下水よりもベントナイト泥水9(通常、汚染地下水よりも比重が大きい)で満たされているため、上部透水層103から汚染地下水が流出することが防止される。
また、本実施形態の施工方法では、止水層105以深の掘削を、清水ではなくベントナイト泥水9を注入しながら行うため、止水層105以深の掘削の最中にも上部透水層103から汚染土壌が鉛直孔113内に崩落したり汚染地下水が流出したりすることが防止される。
また、本実施形態の施工方法では、拡径止水部形成工程を、根固め部形成工程の前に行っているため、拡径止水部形成工程における拡径掘削部の形成時に生じる土を容易に排土することができる。
また、本実施形態の施工方法によれば、拡径止水部117が硬化してソイルセメント体121となった後においても、拡径止水部117を形成しない従来の場合と比べて、上部透水層103から下部透水層111への汚染地下水の流入が防止される。すなわち、通常、上部透水層103に含まれる汚染地下水が下部透水層へ流入するときの経路は止水層105の地盤と硬化した杭周固定液である杭周固化体131とが接する部分であるところ、本実施形態のように止水層105内に杭体5に密着したソイルセメント体121がある状態では、汚染地下水は、透水係数の小さい(例えば上記1×10−7〜1×10−9cm/sec)ソイルセメント体121の内部を透水することはほとんどなく、止水層105の地盤とソイルセメント体121との境界面を通ることになる。
ここで、本実施形態においては、当該境界面のうち、鉛直孔の径が拡大された水平方向に延びる部分121a及び/又は121bの長さ分(より正確には、杭周固化体131の厚さ分を除く)だけ、ソイルセメント体121を設けない従来の場合と比べて、汚染地下水が流入する経路が長くなっている。加えて、ソイルセメント体121のうち、鉛直孔の径が拡大された水平方向に延びる部分121a,121bは、垂直方向に延びる部分(ソイルセメント体の側周面)121cと比べて、上下方向の土圧により地盤との密着性が高くなっている。これらによれば、汚染地下水の流入に対する止水効果が、ソイルセメント体121を設けない従来の場合と比べて高くなっているといえる。なお、杭体5とソイルセメント体121とは強固に密着しており、ここに汚染地下水が浸入する可能性は極めて低いと考えられる。
図4は、図3(c)について寸法を表した詳細図である。これを参照しながら、上記効果について数値を用いて説明する。各種具体的な寸法を以下のとおりに仮定する。
・杭体の直径:100cm
・杭周固化体の直径:110cm
・ソイルセメント体の直径:120cm(杭体の直径の1.2倍)
・止水層の厚さ:100cm
・ソイルセメント体の高さ:50cm
・杭周固化体と準不透水層との間隙の透水係数:K=1.0×10−4cm/sec
・ソイルセメント体の垂直方向に延びる部分と準不透水層との間隙の透水係数:K=1.0×10−4cm/sec
・ソイルセメント体の水平方向に延びる部分と準不透水層との間隙の透水係数:K=1.0×10−5cm/sec
ここで、「ソイルセメント体の水平方向に延びる部分と準不透水層との間隙の透水係数」を「杭周固化体と準不透水層との間隙の透水係数」よりも一桁小さく仮定したのは、地盤中の鉛直方向の土圧力と水平方向の土圧力が、前者は後者の約2倍と大きく、ソイルセメント体と準不透水層との密着性が良いためである。
ここで、ソイルセメント体を設けない場合の杭周固化体と準不透水層との間隙の透水係数K=1.0×10−4cm/secに対し、ソイルセメント体を設けた場合の透水係数K’は以下のとおりとなる。
Figure 2014114600

従って、ソイルセメント体を設けた場合の透水係数は、設けない場合に対して約半分の値となる。なお、本仮定条件で、拡大率(ソイルセメント体の直径/杭体の直径)を1.5、2.0にした場合の透水係数K’はそれぞれ以下のとおりである。
・拡大率1.5の場合:K’=2.8×10−5cm/sec(ソイルセメント体を設けない場合に対して約1/4)
・拡大率2.0の場合:K’=1.9×10−5cm/sec(ソイルセメント体を設けない場合に対して約1/5)
透水量Qは、透水係数に比例し、透水長さ(水道)に反比例するので、拡大率により以下の止水効果となる。
・拡大率1.0の場合:透水長さ=100、Q∝1.0×10−4/100=1.0×10−6
・拡大率1.2の場合:透水長さ=100+5+5=110cm、Q∝5.5×10−5/110=5.0×10−7、50%
・拡大率1.5の場合:透水長さ=100+20+20=140cm、Q∝2.8×10−5/140=2.0×10−7、20%
・拡大率2.0の場合:透水長さ=100+45+45=190cm、Q∝1.9×10−5/190=1.0×10−7、10%
上記のとおり、本実施形態の施工方法によれば、プレボーリング工法における杭体の施工中及び施工後に、上部透水層103に含まれる汚染物質によって下部透水層111に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では拡径止水部を一つ形成する態様を示したが、止水層が厚い場合は拡径止水部を複数形成してもよい。この場合、上部透水層に含まれる汚染地下水が下部透水層に流入する経路が一層長くなるため、止水効果が一層高い。
また、上記実施形態では、置換工程では掘削液としてベントナイト泥水を用いたが、ベントナイト泥水と杭周固定液との混合液を用いてもよい。
また、上記実施形態では拡径止水部117を形成した後、ベントナイト泥水を注入しながら止水層105を越えて下部透水層111へと掘削を進めたが、このとき、ベントナイト泥水に替えて、より比重の大きい上記杭周固定液を注入しながら掘削を進めてもよい。この場合、拡径止水部117のセメントミルクが下方へ流れていくことが防止され、拡径止水部117がその位置を保ちやすい。
また、上記実施形態では拡径止水部形成工程を根固め部形成工程の前に行ったが、順序を入れ替えて、根固め部形成工程の後に拡径止水部形成工程を行ってもよい。
また、上記実施形態では上部透水層、止水層、及び下部透水層からなる地盤に杭体を施工する態様を示したが、止水層の上方又は下方の地盤の性状は限定されない。つまり、止水層が存在し、止水層の上方の地盤における汚染物質が止水層の下方の地盤へと侵入すると不都合である地盤であれば、本発明の適用対象であり得る。
5…杭体(既成杭)、9…ベントナイト泥水(ベントナイト配合液)、103…上部透水層(第1の層)、105…止水層、111…下部透水層(第2の層)、113…鉛直孔、115…拡径掘削部、117…拡径止水部、119…根固め部、121…ソイルセメント体(硬化後の拡径止水部)。

Claims (5)

  1. 第1の層と、前記第1の層の下方に位置する止水層と、前記止水層の下方に位置する第2の層と、を有する地盤を掘削して前記第2の層に達する鉛直孔を形成し、前記鉛直孔に既成杭を設置するプレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法であって、
    ベントナイトを配合したベントナイト配合液を掘削液として前記鉛直孔を前記止水層に達するまで掘削し、掘削した領域の土を前記掘削液で置換する置換工程と、
    前記掘削液で置換した領域の下方に位置する前記止水層に、上端及び下端の少なくとも一方が当該止水層内に位置するとともに孔径が拡大された拡径掘削部を形成し、前記拡径掘削部にセメントミルクを注入して拡径止水部を形成する拡径止水部形成工程と、
    前記第2の層で前記鉛直孔を掘削し、前記鉛直孔の下端に根固め部を形成する根固め部形成工程と、
    前記既成杭を前記鉛直孔に建て込む建込み工程と、を備える、基礎杭施工方法。
  2. 前記拡径止水部形成工程は、
    前記根固め部形成工程の前に行う、請求項1記載の基礎杭施工方法。
  3. 前記拡径止水部の硬化後の透水係数が、前記止水層の透水係数よりも小さい、請求項1又は2記載の基礎杭施工方法。
  4. 前記拡径止水部の硬化後の透水係数が、1.0×10−7〜1.0×10−9cm/secである、請求項1又は2記載の基礎杭施工方法。
  5. 前記セメントミルクの水セメント比が、100%以下である、請求項1〜4のいずれか一項記載の基礎杭施工方法。
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