JP2014156752A - 鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置 - Google Patents

鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置 Download PDF

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Abstract

【課題】工期の増大を抑えながら地盤の汚染拡散を抑制することを可能とした鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置を提供する。
【解決手段】本発明の鉛直孔掘削方法では、不透水層103の上部に位置する上部透水層105と、不透水層103の下部に位置する下部透水層107とを有する地盤101を掘削して鉛直孔109が形成される。この鉛直孔掘削方法は、鉛直孔109を不透水層103の途中部分103aまで掘削する第1の掘削工程と、第1の掘削工程で掘削した土をベントナイト泥水5で置換する置換工程と、ベントナイト泥水5中で上部透水層105と不透水層103の境目部分を含む領域Sに層形成材料111を吹き付けてシーリング層113を形成する層形成工程と、鉛直孔109を不透水層103の途中部分103aから下部透水層107まで掘削する第2の掘削工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、杭又は鋼材を挿入するための鉛直孔を掘削する鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置に関するものである。
近年、汚染土や汚染水を含む地層(以下、汚染層という)が存在する地盤において、杭又は鋼材を挿入するための鉛直孔の掘削により、下層にまで汚染範囲が拡大することが問題視されている。すなわち、不透水層の上部の汚染層と、不透水層の下部の透水層とが存在する地盤において、鉛直孔は不透水層を上下に貫通して形成されることになる。そうすると、鉛直孔の掘削中に不透水層による絶縁状態が失われるので、掘削時に汚染層の汚染物質が下に位置する透水層に移動するおそれがあり、下層の透水層にまで汚染が拡大するおそれがある。
この問題への対策として、例えば、下記特許文献1及び2の技術が知られている。特許文献1の技術では、不透水層に達する外挿管を汚染層に設置して当該外挿管の中空部を排土・洗浄し、外挿管の中空部に杭を設置して外挿管と杭の間を充填材料で埋めるようにしている。また、特許文献2の技術では、杭を施工する領域の汚染土を、汚染物質の浸入を防止するための置換材料で置換した後、杭を設置するようにしている。
特許3572567号公報 特許3367042号公報
しかしながら、特許文献1及び2の技術ともに、必要な資材や特殊な工程が増大し、工期の増大を招くといった問題がある。この問題に鑑み、本発明は、工期の増大を抑えながら地盤の汚染拡散を抑制することを可能とした鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置を提供することを目的とする。
本発明の鉛直孔掘削方法は、不透水層の上部に位置する上部透水層と、不透水層の下部に位置する下部透水層と、を有する地盤を掘削して鉛直孔を形成する鉛直孔掘削方法において、鉛直孔を不透水層の途中部分まで掘削する第1の掘削工程と、第1の掘削工程で掘削した領域の土を掘削液で置換する置換工程と、掘削液中で上部透水層と不透水層の境目部分を含む領域に層形成材料を吹き付けてシーリング層を形成する層形成工程と、鉛直孔を不透水層の途中部分から下部透水層まで掘削する第2の掘削工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の鉛直孔掘削方法によれば、掘削液中で上部透水層と不透水層の境目部分を含む領域に層形成材料を吹き付けてシーリング層を形成する層形成工程を備えている。このように、層形成工程で層形成材料が上部透水層と不透水層の境目部分を含む領域に吹き付けられることにより、この領域にシーリング層が形成され、上記境目部分を含む領域、すなわち、上部透水層から不透水層に亘る上下幅の領域が硬化又は高粘度化される。よって、不透水層の上部に位置する上部透水層の汚染土が不透水層に落下しにくくなり、更に、上部透水層の汚染水が鉛直孔内の上記境目部分を含む領域に流出しにくくなる。このように、汚染土の鉛直孔内における不透水層への落下、及び上記境目部分を含む領域への汚染水の流出を抑えることができるので、上部透水層から汚染されていない下部透水層への汚染物質の移動が抑えられることとなり、地盤の汚染拡散を抑制することができる。また、本発明の鉛直孔掘削方法では、外挿管の設置や充填材料の埋設が不要であるため、従来の鉛直孔の掘削と比較して必要な資材や特殊な工程が極端に増加することが抑えられるので、工期の増大を抑制することができる。
また、第2の掘削工程の後に、鉛直孔に杭を設置する杭設置工程を備えていてもよい。このように、第2の掘削工程で掘削した鉛直孔に杭を設置する杭設置工程を備えることにより、場所打ち杭による工法、又はプレボーリング工法等の既製杭による工法を採用した場合でも上記同様の効果が得られる。また、第2の掘削工程の後に、鉛直孔にSMW(Soil Mixing Wall)工法で用いられる鋼材を設置する鋼材設置工程を備えていてもよい。このように、鋼材設置工程を備えることにより、地中に壁体を造成する柱列式連続土留壁工法の一種であるSMW工法を用いた場合でも上記同様の効果が得られる。
また、第2の掘削工程の前に、層形成工程で形成されたシーリング層の針入度を測定する針入度測定工程を備えていてもよい。このように、鉛直孔の内側面における上部透水層と不透水層の境目部分に形成されたシーリング層の針入度を測定する針入度測定工程を備えることにより、形成されたシーリング層の硬度を測定することができる。よって、不透水層から下部透水層まで掘削する第2の掘削工程が実行される前に層形成材料の硬度を測定するので、シーリング層が固まったか否かを確認し下部透水層まで掘削を進めてよいか否かを判断できることとなる。従って、上部透水層から下部透水層への汚染物質の移動がより確実に抑えられることとなるので、地盤の汚染拡散をより確実に抑制することができる。
本発明の鉛直孔掘削装置は、不透水層の上部に位置する上部透水層と、不透水層の下部に位置する下部透水層と、を有する地盤を掘削して鉛直孔を形成する鉛直孔掘削装置において、鉛直孔を掘削する掘削部と、掘削部によって鉛直孔が不透水層の途中部分まで掘削され、掘削された領域の土が掘削液で置換された状態において、掘削液中で上部透水層と不透水層との境目部分を含む領域に層形成材料を吹き付けてシーリング層を形成する吹付部と、を備えたことを特徴とする。
このような吹付部を備えた鉛直孔掘削装置によれば、掘削液中で上部透水層と不透水層の境目部分を含む領域に層形成材料が吹き付けられ、この境目部分を含む領域が硬化又は高粘度化されてシーリング層が形成される。よって、下部透水層への汚染土の落下及び汚染水の流出を抑えることができ、上部透水層から下部透水層への汚染物質の移動を抑え、地盤の汚染拡散を抑制することができる。また、本発明の鉛直孔掘削装置を用いた場合は、外挿管の設置や充填材料の埋設は不要となるため、従来の鉛直孔の掘削と比較して必要な資材や特殊な工程が極端に増加することが抑えられるので、工期の増大を抑制することができる。
また、本発明の鉛直孔掘削装置は、吹付部によって形成されたシーリング層の針入度を測定する針入度測定部を更に備えていてもよい。この場合、前述した鉛直孔掘削方法と同様に、不透水層から下部透水層までの掘削を行う前に、層形成材料で構成されたシーリング層の硬度の測定を行うことが可能となる。よって、シーリング層が固まったか否かを確認し下部透水層まで掘削を進めてよいか否かを判断できることとなるので、上部透水層から下部透水層への汚染物質の移動がより確実に抑えられる。従って、地盤の汚染拡散をより確実に抑制することができる。
本発明によれば、工期の増大を抑えながら地盤の汚染拡散を抑制する鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置を提供することができる。
(a)〜(f)は、本発明の実施形態に係る鉛直孔掘削方法の各工程を示す図である。 (a)〜(e)は、図1の続きの工程を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る鉛直孔掘削装置の先端部を示す側面図である。 鉛直孔の内側面に形成されたシーリング層を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態の鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置では、地盤に杭又は鋼材を挿入するための鉛直孔が形成される。以下では、本実施形態の鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置について、地盤に鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込むプレボーリング工法を例示して説明する。
図1に示されるように、杭体を施工する対象の地盤101は、粘土質で水を通しにくい不透水層103と、不透水層103の上部に位置する上部透水層105と、不透水層103の下部に位置する下部透水層107と、を有する地盤である。上部透水層105と下部透水層107には、それぞれ地下水が含まれている。
上部透水層105を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、上部透水層105に含まれる地下水も汚染されているものとする。下部透水層107を構成する地盤は、上部透水層105の汚染物質が不透水層103で遮断されているため、汚染されておらず、下部透水層107に含まれる地下水は、産業用又は生活用に有効利用できるものとする。また、下部透水層107は、例えば、比較的軟らかい帯水層と、帯水層の下部に位置し帯水層よりも硬い支持層とを含んでいる。
なお、不透水層103は、1.0×10−4cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが1.0m以上の層であり、土壌汚染対策法に規定された「準不透水層」が該当する。また、不透水層103は、土壌汚染対策法に規定された「不透水層」(1.0×10−5cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが5.0m以上である層)であってもよい。
次に、図1及び図2を参照しながら、本実施形態の鉛直孔掘削方法について説明する。図1(a)〜(f)及び図2(a)〜(e)は、一本の杭体の施工について一連の工程を横並びで連続的に示している。本実施形態の鉛直孔掘削方法は、以下で説明する第1の掘削工程と、置換工程と、層形成工程と、第2の掘削工程と、杭設置工程とを備えている。鉛直孔は、本実施形態の鉛直孔掘削装置1に設けられたアースオーガ(掘削部)3によって掘削される。アースオーガ3は、上下に延在する中空状のロッド3aと、ロッド3aの先端に設けられた掘削ビット3bと、ロッド3aに設けられた排土用の螺旋翼3cと、水平方向に伸縮する拡径翼3dとを備えている。以下では、本実施形態の鉛直孔掘削方法の各工程について説明する。
[第1の掘削工程]
第1の掘削工程では、まず地面に杭打ち機械をセットし(不図示)、杭芯を測量し、機械を精度よく設置する。そして、図1(a)に示されるように、アースオーガ3により上部透水層105を掘削し、アースオーガ3は、不透水層103を貫通しないように不透水層103の途中部分103aまで鉛直孔109を掘削する。ここで、上部透水層105及び不透水層103の掘削によって生じた土は全排土される。
[置換工程]
そして、図1(b)に示されるように、第1の掘削工程で掘削された鉛直孔109の内部において、アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水(ベントナイト配合液)5を噴出させる。ベントナイト泥水5は、鉛直孔109の土壁の安定性を維持するための掘削液(安定液とも称される)であり、掘削液の比重は水の比重よりも大きくなっている。このように、置換工程では、第1の掘削工程で掘削された領域の土がベントナイト泥水5で置換され、この置換工程により汚染土の鉛直孔109内への落下が抑えられる。
なお、第1の掘削工程と置換工程は同時に行ってもよく、この場合、アースオーガ3は、ベントナイト泥水5を噴出しながら、上部透水層105及び不透水層103の途中部分103aまでの掘削を行う。また、置換工程では、ベントナイト泥水5に代えて、水等、別の掘削液を用いてもよい。なお、掘削液として水を用いる場合には、鉛直孔109内への汚染物質の進入を確実に抑えるため、掘削液の高さHを地面Aよりも高くすることが好ましい。
[層形成工程]
図1(c)に示されるように、層形成工程では、ベントナイト泥水5中で上部透水層105と不透水層103との境目部分を含む領域Sに層形成材料111を吹き付ける。このとき、図3(a)及び図3(b)に示されるように、アースオーガ3の螺旋翼3cの先端側に設けられた吹付部11から層形成材料111が吹き付けられる。吹付部11は、ロッド3aの表面に形成された孔部内に層形成材料111の噴出用のノズル(不図示)を備えている。このノズルは、ロッド3aの孔部の外側から視認可能となっている。また、吹付部11のノズルは、ロッド3aと共に回転及び上下移動を行いながら層形成材料111を噴出し、層形成材料111は鉛直孔109の内側面に螺旋状に吹き付けられる。こうして、図1(c)に示されるように、鉛直孔109の内側面における上部透水層105から不透水層103に亘る上下幅の領域Sに層形成材料111が吹き付けられる。
ところで、アースオーガ3のロッド3aの内部には、層形成材料111が流通する管路(不図示)と、吹付部11に電力を供給する配線(不図示)が延在している。また、吹付部11による層形成材料111の吐出圧力は、上部透水層105及び不透水層103の土質に応じて適宜変更することができ、例えば5〜30(MPa)程度とすることができる。
図1(d)に示されるように、層形成材料111を鉛直孔109の内側面に吹き付けてから一定時間(例えば数秒〜数十分)が経過すると、層形成材料111が硬化又は高粘性化してシーリング層113が形成される。このシーリング層113を形成する層形成材料111としては、例えば、モルタルのように固化する特性を有する材料や、水ガラス、又は活性シリカコロイド等の薬液のように、地盤に浸透し高粘性化する材料を用いることができる。ここで、層形成材料111としてモルタルを用いる場合、モルタルは図2に示す杭(既製杭)7及び杭周固定液117と同じ材料であるため、シーリング層113によって杭7の性能が変化することはない。一方、水ガラスや薬液としては、地盤改良に用いられるものを採用することができ、更に2液混合の材料を用いることができるので、シーリング層113の硬化のタイミングを容易に調整することが可能となる。すなわち、例えば、比較的崩れやすい地盤で鉛直孔109を形成する場合は硬化のタイミングを早め、径が比較的大きい鉛直孔109を形成する場合は硬化のタイミングを遅くする等といったことが可能となる。
また、図4に示されるように、シーリング層113を形成する領域Sは、鉛直孔109の内側面であって上部透水層105から不透水層103に亘る上下幅の領域Sである。よって、シーリング層113の上端は上部透水層105に位置し、シーリング層113の下端は不透水層103に位置していればよい。また、上部透水層105における領域Sの上下幅を上下幅L1、不透水層103における領域Sの上下幅を上下幅L2、不透水層103の上下幅を上下幅L3、とすると、例えば、上下幅L1=上下幅L2=1.0(m)、上下幅L3=2.0(m)とすることができる。
[針入度測定工程]
図1(c)及び図1(d)に示されるように、層形成工程でシーリング層113を形成する際に、シーリング層113の針入度を測定する針入度測定工程を実行する。ここで、針入度とは、日本工業規格(JIS)K2207(石油アスファルト)及びK2235(石油ワックス)で規定されている指標であり、アスファルト等の硬度を示す値である。針入度は、一定温度に保たれた試料に対してミシン針のような規定の針を垂直に貫入させ、貫入した針の長さの10倍の数値(1/10mm単位)で示される値である。この針入度の値が小さいほど試料が硬いことを示し、針入度の値が大きいほど試料が軟らかいことを示している。
図3(a)及び図3(b)に示されるように、シーリング層113の針入度は、アースオーガ3の先端部に設けられた針入度測定部13によって測定される。針入度測定部13は、アースオーガ3の螺旋翼3cの先端側に設けられており、吹付部11の上部に位置している。このように針入度測定部13が吹付部11の上部に設けられることにより、吹付部11が螺旋状に層形成材料111を吹き付けた後に、針入度測定部13によって螺旋状に針入度の測定を行うことができる。針入度測定部13は、ロッド3aに形成された孔部内を水平方向に移動する針を備えており、この針は油圧シリンダ等のアクチュエータの作動によって移動する。上記アクチュエータは、ロッド3a内に延在する配線から電力の供給を受けて作動する。針入度測定部13は、吹付部11によって層形成材料111が鉛直孔109の内側面に吹き付けられた後に、針入度測定部13の孔部から針を水平方向に突出させて針の先端をシーリング層113に貫入し、貫入した針の長さを測定することにより針入度を測定する。
[第2の掘削工程]
図1(e)に示されるように、第2の掘削工程では、鉛直孔109を不透水層103の途中部分103aから下部透水層107まで掘削する。掘削が下部透水層107まで到達した後には、アースオーガ3の拡径翼3dを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔109の孔径を拡大する(図1(f))。そして、図2(a)に示されるように、孔径を拡大した部分に根固め液115としてのセメントミルク(水セメント比55〜60%)を注入して撹拌する。セメントミルクの注入を終了した後には拡径翼3dを縮小し、その後、アースオーガ3を引き上げながら鉛直孔109の内部に杭周固定液117たるセメントミルク(水セメント比100%以上)を注入する(図2(b))。アースオーガ3が鉛直孔109から抜き取られた後には(図2(c))、鉛直孔109内の泥土は、ほぼ杭周固定液117たるセメントミルクに置換されている。
[杭設置工程]
そして、図2(d)に示されるように、杭7を鉛直孔109に挿入し、ゆっくりと降下させ、杭7の下端部を根固め液115としてのセメントミルクに挿入する(図2(e))。このようにして杭7の設置は完了し、根固め液115及び杭周固定液117が硬化したところで、杭7を含む基礎杭17が完成する。
次に本実施形態の鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置1の作用効果について説明する。
本実施形態の鉛直孔掘削方法は、図1(c)及び図1(d)に示されるように、ベントナイト泥水5中で上部透水層105と不透水層103の境目部分を含む領域Sに層形成材料111を吹き付けてシーリング層113を形成する層形成工程を備えている。このように、層形成工程で層形成材料111が上部透水層105と不透水層103の境目部分を含む領域Sに吹き付けられることにより、上部透水層105から不透水層103に亘る上下幅の領域Sが硬化又は高粘度化されてシーリング層113が形成される。よって、不透水層103の上部に位置する上部透水層105の汚染土が不透水層103に落下しにくくなり、更に、上部透水層105の汚染水が領域Sに流出しにくくなる。このように、汚染土の鉛直孔109内における不透水層103への落下、及び領域Sへの汚染水の流出を抑えることができるので、上部透水層105から汚染されていない下部透水層107への汚染物質の移動が抑えられることとなり、地盤の汚染拡散を抑制することができる。また、本実施形態の鉛直孔掘削方法では外挿管の設置等が不要であるため、従来の鉛直孔の掘削と比較して必要な資材や特殊な工程が極端に増加することが抑えられるので、工期の増大を抑制することができる。
また、本実施形態の鉛直孔掘削方法は、第2の掘削工程の前に、層形成工程で形成されたシーリング層113の針入度を測定する針入度測定工程を備えているので、形成されたシーリング層113の硬度を測定することができる。よって、不透水層103から下部透水層107まで掘削する第2の掘削工程を実行する前にシーリング層113の硬度を測定するので、シーリング層113が固まったか否かを確認し下部透水層107まで掘削を進めてよいか否かを判断できることとなる。従って、上部透水層105から下部透水層107への汚染物質の移動がより確実に抑えられることとなるので、地盤の汚染拡散をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態の鉛直孔掘削装置1は、図3(a)及び図3(b)に示されるように、ベントナイト泥水5中で層形成材料111を領域Sに吹き付ける吹付部11を備えているので、領域Sに硬化又は高粘度化されるシーリング層113を形成することができる。よって、下部透水層107への汚染土の落下及び汚染水の流出を抑えることができ、上部透水層105から下部透水層107への汚染物質の移動を抑え、地盤の汚染拡散を抑制することができる。また、鉛直孔掘削装置1は、シーリング層113の針入度を測定する針入度測定部13を備えているので、不透水層103から下部透水層107までの掘削を行う前にシーリング層113の硬度を測定することにより、シーリング層113が固まったか否かを確認し下部透水層107までの掘削を進めてよいか否かを判断できる。よって、上部透水層105から下部透水層107への汚染物質の移動がより確実に抑えられ、地盤の汚染拡散をより確実に抑制することができる。更に、針入度測定部13によって測定されたシーリング層113の硬度に基づいて層形成材料111の吹付量を調整することにより、シーリング層113のムラの発生を防止することも可能となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、吹付部11がロッド3aの孔部内にノズルを備え、針入度測定部13がロッド3aの孔部を通過する針を備えていたが、吹付部11及び針入度測定部13の構成は上記に限定されず、適宜変更することが可能である。また、吹付部11及び針入度測定部13の数を複数としてもよい。
また、上記実施形態の鉛直孔掘削方法は、鉛直孔109に杭7を設置する杭設置工程と、シーリング層113の針入度を測定する針入度測定工程を備えていたが、杭設置工程と針入度測定工程は省略してもよい。また、日本工業規格(JIS)K2207(石油アスファルト)及びK2235(石油ワックス)で規定されている針入度試験とは異なる手法でシーリング層113の硬度を測定してもよい。
また、上記実施形態では、鉛直孔109内に杭周固定液117を満たして杭7を建て込むプレボーリング工法を例示したが、本発明は、例えば、場所打ち杭による工法、又はSMW工法等の壁状掘削にも適用することができる。SMW工法では、鉛直孔109にH形鋼等の鋼材を設置して鋼材設置工程を実行する。鋼材設置工程では、セメントミルクに置換された鉛直孔109に鋼材を挿入して降下させ、鉛直孔109内のセメントミルクが硬化することにより鋼材の設置が完成する。このように本発明は、SMW工法に適用した場合でも、掘削した鉛直孔109の一つ一つに層形成材料111を吹き付けてシーリング層113を形成することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
1…鉛直孔掘削装置、3…アースオーガ(掘削部)、5…ベントナイト泥水(掘削液)、7…杭、11…吹付部、13…針入度測定部、101…地盤、103…不透水層、103a…途中部分、105…上部透水層、107…下部透水層、109…鉛直孔、111…層形成材料、113…シーリング層、S…領域。

Claims (6)

  1. 不透水層の上部に位置する上部透水層と、前記不透水層の下部に位置する下部透水層と、を有する地盤を掘削して鉛直孔を形成する鉛直孔掘削方法において、
    前記鉛直孔を前記不透水層の途中部分まで掘削する第1の掘削工程と、
    前記第1の掘削工程で掘削した領域の土を掘削液で置換する置換工程と、
    前記掘削液中で前記上部透水層と前記不透水層の境目部分を含む領域に層形成材料を吹き付けてシーリング層を形成する層形成工程と、
    前記鉛直孔を前記不透水層の前記途中部分から前記下部透水層まで掘削する第2の掘削工程と、
    を備える鉛直孔掘削方法。
  2. 前記第2の掘削工程の後に、前記鉛直孔に杭を設置する杭設置工程を備えた請求項1に記載の鉛直孔掘削方法。
  3. 前記第2の掘削工程の後に、前記鉛直孔にSMW工法で用いられる鋼材を設置する鋼材設置工程を備えた請求項1に記載の鉛直孔掘削方法。
  4. 前記第2の掘削工程の前に、前記層形成工程で形成された前記シーリング層の針入度を測定する針入度測定工程を備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉛直孔掘削方法。
  5. 不透水層の上部に位置する上部透水層と、前記不透水層の下部に位置する下部透水層と、を有する地盤を掘削して鉛直孔を形成する鉛直孔掘削装置において、
    前記鉛直孔を掘削する掘削部と、
    前記掘削部によって前記鉛直孔が前記不透水層の途中部分まで掘削され、前記掘削された領域の土が掘削液で置換された状態において、前記掘削液中で前記上部透水層と前記不透水層との境目部分を含む領域に層形成材料を吹き付けてシーリング層を形成する吹付部と、
    を備えた鉛直孔掘削装置。
  6. 前記吹付部によって形成された前記シーリング層の針入度を測定する針入度測定部を更に備えた請求項5に記載の鉛直孔掘削装置。
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