JP6005931B2 - 溶接装置 - Google Patents
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Description
(1)ワーク同士を溶接する際、ワークのバラツキ等の外乱要因により溶込率が部分的に100%を超えても溶融金属の溶落や溶接ビードの欠肉等の不具合を回避でき、また必要に応じて溶込率100%の完全溶込み溶接ができる。
(2)様々な形状のワークに対して裏当部材を交換することなく対応でき、自由度及び汎用性が高い。
(3)裏当部材のワークへの接触性を向上でき、溶融金属の溶落を的確に防止できる。
(4)裏当部材が劣化した場合、その交換費用を低減できる。
(5)溶接の自動化を推進でき、三次元形状のワークに容易に対応できる。
本発明の一実施形態に係る溶接装置5を図3を用いて説明する。図3に示す本実施形態に係る溶接装置5は、ワーク1a同士(図1参照)の接触部2を溶接するものである。なお、本実施形態では、ワーク1a同士を接触させた接触部2を溶接するものを説明するが、本発明は、ワーク1a同士を隙間を隔てて相対させその相対部を溶接するものも含まれる。この場合、以下に記載された「接触部2」は「相対部」と読み替えられることになる。
図3に示すように、溶接ロボット6は、6自由度ロボット等の多関節ロボットから成り、基板部8に取り付けられ鉛直軸A回りに回動する基台9と、基台9に取り付けられ水平軸B回りに回動する第1アーム10と、第1アーム10に取り付けられ軸Bと平行な軸C回りに回動する第2アーム11と、第2アーム11に取り付けられその長手方向に沿った軸D回りに回動する第3アーム12と、第3アーム12に取り付けられ軸Dと直交する軸E回りに回動する第4アーム13と、第4アーム13に取り付けられ軸Eと直交する軸F回りに回動するトーチ保持部14とを備えており、トーチ保持部14には溶接トーチ4が取り付けられている。かかる溶接ロボット6は、各関節を作動させることで、溶接トーチ4を様々な姿勢に制御し、溶接トーチ4の先端を所望の場所に移動することができる。溶接ロボット6の各関節の作動、溶接トーチ4の作動等は、後述する制御部50によって制御される。
図3に示すように、ハンドリングロボット7は、6自由度ロボット等の多関節ロボットから成り、基板15に取り付けられ鉛直軸G回りに回動する基台16と、基台16に取り付けられ水平軸H回りに回動する第1アーム17と、第1アーム17に取り付けられ水平軸I回りに回動する第2アーム18と、第2アーム18に取り付けられ水平軸J回りに回動する第3アーム19と、第3アーム19に取り付けられ軸Jと直交する軸K回りに回動する第4アーム20と、第4アーム20に取り付けられ軸Kと直交する軸L回りに回動する裏当保持部21とを備えており、裏当保持部21には局所的裏当部材3cが取り付けられている。かかるハンドリングロボット7は、各関節を作動させることで、局所的裏当部材3cを様々な姿勢に制御し、局所的裏当部材3cを所望の場所に移動することができる。ハンドリングロボット7の各関節の作動等は、制御部50によって制御される。
ワーク1aは、本実施形態では、図1に示す如き板金製のアクスルケース1が対象となっている。このアクスルケース1は、プレス成形された2つのワーク1a、1aを筒状となるように組み合わせ、それらワーク1a同士を接触部2に沿って溶接する工程を経て製造される。かかるアクスルケース1は、筒状体を長手方向に沿って二分割した形状の分割筒状体部を有し、分割筒状体部同士を左右から最中状に突き合わせ、接触部2が鉛直方向の上部及び下部に位置する姿勢で、図示しない治具によって保持される。そして、図4(a)〜図4(c)に示すように、ワーク1aの分割筒状体部同士を組み合わせた筒状体の上方(外周面側)に溶接ロボット6の溶接トーチ4が配置され、筒状体の下方(内周面側)にハンドリングロボット7の局所的裏当部材3cが配置される。
局所的裏当部材3cは、図5(a)、図5(b)に示すように、ハンドリングロボット7の第4アーム20に軸Lを介して取り付けられた裏当保持部21としてのホルダ部31cと、ホルダ部31cに着脱可能に設けられワーク1a同士の接触部2に下方から接する本体部32cとから構成されている。本体部32cの材質には、銅やセラミック等の溶接金属(溶融金属)との親和性が低いものが用いられる。図5(a)、図5(b)において、溶接トーチ4の下方には溶接金属のプール(溶接プール)Pが生じ、その後方には溶接プールPの金属が固まった溶接ビード(表面ビード)FBが形成され、その下方には溶接金属が局所的裏当部材3cで押えられることで裏波(裏波ビード)RBが形成される。
溶接ロボット6及びハンドリングロボット7は、図3に示す制御部50によって制御される。
図3に示すように、本実施形態に係る溶接装置5及びそれを用いた溶接方法によれば、裏当部材3を、溶接トーチ4で局所的に溶融された溶融金属の溶け落ちを押える大きさの局所的裏当部材3cとし、溶接トーチ4を溶接ロボット6で移動制御すると共に、局所的裏当部材3cをハンドリングロボット7により溶接トーチ4に追従するように移動制御している。そして、溶接トーチ4の移動に伴って移動する、溶融金属がワーク1aの下面から溶け落ちる領域(溶落領域)を、溶接トーチ4に追従する局所的裏当部材3cによって連続的に押えるようにしている。
本発明の変形実施形態に係る溶接装置を図8(a)、図8(b)に示す。図8(a)は第1変形実施形態に係る溶接装置の局所的裏当部材13cの近傍を示す側断面図、図8(b)は第2変形実施形態に係る溶接装置の局所的裏当部材23cの近傍を示す側断面図である。第1及び第2変形実施形態に係る溶接装置は、図3に示す前実施形態に係る溶接装置5と基本的な構成要素は同一であり、局所的裏当部材3c及び押付機構22の構成が相違する。よって、最初の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
図8(a)に示す第1変形実施形態に係る溶接装置においては、図3に示すハンドリングロボット7の第4アーム20が基端アーム20aと先端アーム20bとに分割され、先端アーム20bが基端アーム20aに対して長手方向の軸回りに回動自在に接続され、ギヤ27及びモーター28等によって回動されるようになっている。先端アーム20bには、局所的裏当部材13cが、ピン29で回動可能に取り付けられている。局所的裏当部材13cは、先端アーム20b内に収容されたシリンダ30によって、回動されるようになっている。シリンダ30は、一端がピン31で先端アーム20bに取り付けられ、他端がピン32で局所的裏当部材13cに接続されている。
図8(b)に示す第2変形実施形態に係る溶接装置においては、図3に示すハンドリングロボット7の第4アーム20の先端に、局所的裏当部材23cをスライド自在に収容する凹部34が設けられており、その凹部34に局所的裏当部材23cが収容され、局所的裏当部材23cの下面と凹部34の底面との間に、スプリング等の弾性部材35が介設されている。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。例えば、本発明は、アクスルケース1の溶接に限定されることはなく、平板状のワークを突き合わせて溶接する突合継手溶接の他、T継手溶接、十字継手溶接、角継手溶接等に、適用することもできる。また、ワーク1aを別のハンドリングロボットで把持し、その別のハンドリングロボットを、図3の溶接ロボット6及びハンドリングロボット7と協調させて制御するようにしてもよい。
2 接触部
3 裏当部材
3c 局所的裏当部材
31c ホルダ部
32c 本体部
32x 裏当面
32y 前後傾斜面
32z 左右傾斜面
32w 堰止縁部
4 溶接トーチ
5 溶接装置
6 溶接ロボット
7 ハンドリングロボット
22 押付機構
23 通路
Claims (6)
- ワーク同士の接触部又は相対部の上方に配置された溶接トーチを前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有する溶接ロボットと、
前記ワーク同士の接触部又は相対部の下方に配置され前記溶接トーチによる溶融金属の溶け落ちを押える裏当部材とを備え、
該裏当部材が、前記溶接トーチによって局所的に溶融された溶融金属の溶落領域を押える大きさの局所的裏当部材であり、
該局所的裏当部材を、前記溶接ロボットによる溶接トーチの移動に追従させて、前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有するハンドリングロボットを備え、
前記ワークが、筒状体を長手方向に沿って分割した形状の分割筒状体部を有し、
該分割筒状体部同士を接触又は相対させた筒状体の内周面側に、前記局所的裏当部材が配置され、
その局所的裏当部材が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に対向する裏当面を有し、
該裏当面が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部を挟んだ前記内周面の周方向に間隔を隔てた2箇所に接触して溶融金属を堰き止めるための堰止縁部を有し、
前記局所的裏当部材は、前記裏当面の前後に分割筒状体部同士の接触部又は相対部の長手方向に沿って前後に傾斜する前後傾斜面を夫々有すると共に、前記裏当面の左右に前記接触部又は相対部の左右に傾斜する左右傾斜面を夫々有し、切頭四角錐状に形成され、
かかる局所的裏当部材の左右傾斜面の上縁が、前記堰止縁部である、ことを特徴とする溶接装置。 - ワーク同士の接触部又は相対部の上方に配置された溶接トーチを前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有する溶接ロボットと、
前記ワーク同士の接触部又は相対部の下方に配置され前記溶接トーチによる溶融金属の溶け落ちを押える裏当部材とを備え、
該裏当部材が、前記溶接トーチによって局所的に溶融された溶融金属の溶落領域を押える大きさの局所的裏当部材であり、
該局所的裏当部材を、前記溶接ロボットによる溶接トーチの移動に追従させて、前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有するハンドリングロボットを備え、
前記ワークが、筒状体を長手方向に沿って分割した形状の分割筒状体部を有し、
該分割筒状体部同士を接触又は相対させた筒状体の内周面側に、前記局所的裏当部材が配置され、
その局所的裏当部材が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に対向する裏当面を有し、
該裏当面が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部を挟んだ前記内周面の周方向に間隔を隔てた2箇所に接触して溶融金属を堰き止めるための堰止縁部を有し、
前記ハンドリングロボットが、前記局所的裏当部材を前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に下方から弾性的に押し付ける押付機構を有する、ことを特徴とする溶接装置。 - ワーク同士の接触部又は相対部の上方に配置された溶接トーチを前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有する溶接ロボットと、
前記ワーク同士の接触部又は相対部の下方に配置され前記溶接トーチによる溶融金属の溶け落ちを押える裏当部材とを備え、
該裏当部材が、前記溶接トーチによって局所的に溶融された溶融金属の溶落領域を押える大きさの局所的裏当部材であり、
該局所的裏当部材を、前記溶接ロボットによる溶接トーチの移動に追従させて、前記接触部又は相対部に沿って移動させるアームを有するハンドリングロボットを備え、
前記ワークが、筒状体を長手方向に沿って分割した形状の分割筒状体部を有し、
該分割筒状体部同士を接触又は相対させた筒状体の内周面側に、前記局所的裏当部材が配置され、
その局所的裏当部材が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に対向する裏当面を有し、
該裏当面が、前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部を挟んだ前記内周面の周方向に間隔を隔てた2箇所に接触して溶融金属を堰き止めるための堰止縁部を有し、
前記局所的裏当部材が、前記ハンドリングロボットのアームに取り付けられたホルダ部と、該ホルダ部に着脱可能に設けられ前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に下方から接する本体部とを有する、ことを特徴とする溶接装置。 - 前記局所的裏当部材に、冷却媒体が流れる通路を形成した請求項1から3の何れか1項に記載の溶接装置。
- 前記局所的裏当部材が、前記ハンドリングロボットのアームに取り付けられたホルダ部と、該ホルダ部に着脱可能に設けられ前記分割筒状体部同士の接触部又は相対部に下方から接する本体部とを有する請求項1又は2に記載の溶接装置。
- 前記本体部の材質が、セラミック又は銅である請求項3又は5に記載の溶接装置。
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