JP3722016B2 - プラズマアーク溶接装置、プラズマアーク溶接方法、および電極 - Google Patents

プラズマアーク溶接装置、プラズマアーク溶接方法、および電極 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマアーク溶接装置、プラズマアーク溶接方法、および電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、極薄板を除く金属材料の溶接には、プラズマアーク溶接が用いられている。このプラズマアーク溶接を行うプラズマアーク溶接装置は、図6に示すように、あて金61とトーチ62とを有する。
【0003】
あて金61は、図示しないクランプ手段とともに被加工物である金属材料の板材63および64(被溶接材)を固定する。あて金61は、電極であり、板材63、64に接触することで、トーチ62が有する電極と板材63、64との間にプラズマアークを発生させること、つまり、トーチ62から板材63、64に対してプラズマアークを噴出させることができる。
【0004】
トーチ62が、プラズマアークを噴出しながら、板材63、64の突合せ面の端部である始端65から終端66まで移動することによって、板材63、64の端面同士の突合せ溶接が行われる。
【0005】
なお、あて金61は、図7に示すように、始端65側から終端66側にわたって板材63、64との接触面に溝67が形成されている。この溝67は、均一な幅を有しており、溶接の際に、プラズマアークによって高熱にされた板材63、64があて金61に溶着することを防止するために、板材63、64の溶接される部位とあて金61とが接触しないように形成される。
【0006】
以上のようなプラズマアーク溶接装置を用いて、板材63および64の突合せ溶接を行ったときの動作および溶接の結果は、図8に示される。
【0007】
図8は、あて金61上に固定された板材63、64をトーチ62側から見た平面図である。図8の(A)に示すように、始端65から終端66まで矢印の方向にトーチ62を移動させていき溶接を行った場合、図8の(B)に示すように、板材63および64の溶接部位の始端65および終端66では、溶接部位の内部に比べて熱を伝導する部分が少ないので、熱の集中による溶け落ちが発生する。この場合、溶け落ちをそのままにして、図8の(B)の一点鎖線に沿って板材63、64の端を切断除去し、溶接を完了とする。
【0008】
あるいは、図8の(C)に示すように、始端65および終端66に予め継ぎ板68を当接し、当該継ぎ板68を含めて溶接を開始し、その後、継ぎ板68を切断除去して、溶接を完了とする。
【0009】
このように、溶接のたびに、板材の端を切断除去したり、継ぎ板68を切断除去したりするのでは、溶接の工数が多くなるばかりでなく、廃棄して無駄にする板材または継ぎ板までも増加させてしまい、溶接時間および溶接コストの両方に悪影響が出てしまう。
【0010】
さらに、たとえば、動力伝達装置の入力軸からの回転を無段で変速して出力軸に伝達するのに利用されるベルト式無段変速装置に用いられるベルトにおいて、エレメントを継ぐリング部材は、均一なトルクを伝達するために高精度を要求される。しかし、板材の端面を溶接してリング部材を形成する場合に、板材の端を切断除去したり、継ぎ板を切断除去したりするのでは、リング部材の精度の低下を招いてしまう。
【0011】
また、プラズマアーク溶接において、溶接部位の始端65および終端66の溶け落ちを防止する方法として、トーチ62から噴出されるプラズマアークによる入熱量を段階的に制御するものが特開平11−285830号公報に開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような入熱量を段階的に制御する方法では、短時間での入熱量の微小変化が必要であり、当該微小変化を電気的制御により達成するのは困難である。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溶接時の端部の溶け落ちを防止することができ、さらに、溶接時間を短縮でき、溶接コストを低減できるプラズマアーク溶接装置、プラズマアーク溶接方法、および電極の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0015】
(1)本発明に係るプラズマアーク溶接装置は、被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接装置において、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端において、プラズマアークによって入力された熱の発散を促進する熱発散促進手段を有し、前記熱発散促進手段は、前記始端よりも前記終端の熱の発散を大きくすることを特徴とする。
【0016】
(2)前記熱発散促進手段は、前記被溶接材に接触し、前記始端および前記終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されるあて金を含む
【0017】
(3)前記あて金は、電極である
【0018】
(4)前記熱発散促進手段は、前記始端および前記終端へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、前記始端および前記終端の少なくとも一方に当接される熱伝導部材を含む
【0019】
(5)前記熱伝導部材は、前記始端に当接され、さらに、前記始端よりプラズマアークの噴出元の近くに配置される
【0020】
(6)被溶接材の対向する端面に沿ってプラズマアークを噴出することによって、被溶接材の端面同士を突合せ溶接するプラズマアーク溶接装置であって、前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端に当接する熱伝導部材と、前記被溶接材に接触して支持し、プラズマアークの噴出が終了される前記被溶接材上の終端側に向かって幅が狭くなる溝が前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成される電極とを有する
【0021】
(7)本発明に係るプラズマアーク溶接方法は、被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端側に向かって幅が狭くなり、噴出が終了され る終端側に向かって前記始端よりも緩やかに幅が狭くなる溝が前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成される電極を、前記被溶接材に接触させて、溶接を行う。
【0022】
(8)本発明に係るプラズマアーク溶接方法は、被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させることを特徴とする。
【0023】
(9)本発明に係るプラズマアーク溶接方法は、被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されている電極によって、前記被溶接材を支持し、前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、前記始端および前記終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させながら溶接を行うことを特徴とする
【0024】
(10)本発明に係る電極は、被溶接材に接触しつつ支持することによって、当該被溶接材にプラズマアークが噴出されるようにするための電極において、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端側においては、当該始端側に幅が狭くなり、噴出が終了される終端側においては、当該終端側に向かって前記始端よりも緩やかに幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されている。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、プラズマアークの噴出が開始される被溶接材上の始端および噴出が終了される終端において、プラズマアークによって入力された熱の発散を促進する熱発散促進手段を有するので、始端および終端において、入力された熱の集中による溶け落ちを防止することができる。
【0026】
特に、始端よりも終端の熱の発散を大きくしたので、全体的に冷めた状態で熱を入力される始端と、プラズマアークによる熱の入力によって全体的に温められた状態で熱を入力される終端との、放熱の割合を同等程度にすることができ、全体的に均一な溶接を行うことができる。
【0027】
請求項2に記載の発明は、被溶接材に接触し、始端および終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、始端側から終端側にわたって被溶接材と接触する面に形成されるあて金を熱発散促進手段に含むので、始端側または終端側に近づくほど、被溶接材とあて金との接触面積が大きくなり、接触面積が大きいほど熱の発散が効率的になるので、始端または終端における熱の発散を端部に近づくほど徐々に促進することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、あて金が電極なので、被溶接材に電極を接触させて被溶接材にプラズマアークが噴出されるように電極を別途設ける必要がなく、装置の簡素化を図ることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、始端および終端へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、始端および終端の少なくとも一方に当接される熱伝導部材を熱発散促進手段に含むので、入力された熱を始端または終端から熱伝導部材に発散することができ、始端または終端に熱が集中することによる溶け落ちを防止することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、熱伝導部材が始端に当接され、さらに、始端よりプラズマアークの噴出元の近くに配置されるので、噴出元が始端を通過する前はプラズマアークが熱伝導部材に噴出され、噴出元が始端を通過した後はプラズマアークが被溶接材に噴出される。噴出元から熱伝導部材までよりも被溶接材までの間隔の方が長いので、噴出元が始端を通過した瞬間にプラズマアークが長くなり、当該プラズマアークを保つために電圧が上昇する。電圧の上昇には、時間がかかるので、被溶接材の始端から徐々に電圧を上昇させ、すなわち、入力する熱を徐々に増加させることができ、始端への熱の入力を制御することができる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、始端側には、被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、プラズマアークの噴出が開始される被溶接材上の始端に当接する熱伝導部材が設けられ、終端側には、被溶接材に接触して支持し、プラズマアークの噴出が終了される被溶接材上の終端側に向かって幅が狭くなる溝が始端側から終端側にわたって被溶接材と接触する面に形成される電極が設けられるので、始端では熱伝導部材によって、終端では電極によって、熱の発散を促進することができ、始端および終端で熱が集中して溶け落ちが発生することを防止できる。
【0032】
請求項7に記載の発明は、電極に形成される溝が、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端側に向かって幅が狭くなり、噴出が終了される終端側に向かって前記始端よりも緩やかに幅が狭くなるように形成されている。したがって、始端よりも終端側の熱の発散を大きくできる。結果として、全体的に冷めた状態で熱を入力される始端と、プラズマアークによる熱の入力によって全体的に温められた状態で熱を入力される終端との、放熱の割合を同等程度にすることができ、全体的に均一な溶接を行うことができる。
【0033】
請求項8に記載の発明は、被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、始端および終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させるので、入力された熱を始端または終端から熱伝導部材に発散することができ、始端または終端に熱が集中することによる溶け落ちを防止することができる。
【0034】
請求項9に記載の発明は、プラズマアークの噴出が開始される被溶接材上の始端および噴出が終了される終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、始端側から終端側にわたって被溶接材と接触する面に形成されている電極によって、被溶接材を支持し、被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、始端および終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させながら溶接を行うので、始端および終端で熱の発散を促進することができ、始端および終端で熱が集中して溶け落ちが発生することを防止できる。
【0035】
請求項10に記載の発明は、電極には、始端側においては、当該始端側に幅が狭くなり、終端側においては、当該終端側に向かって幅が狭くなる溝が、始端側から終端側にわたって被溶接材と接触する面に形成されているので、この電極をプラズマアーク溶接の際の被溶接材に接触される電極として使用することにより、被溶接材の始端および終端における熱の発散を促進し、熱の集中による溶け落ちを防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明のプラズマアーク溶接装置の斜視図、図2は、本発明のあて金を示す図、図3は、あて金の溝の形状を示す平面図である。
【0038】
本発明のプラズマアーク溶接装置10は、あて金11と、トーチ12と、放熱板13とを有する。なお、プラズマアーク溶接装置10には、その他の一般的な溶接装置の構成として、トーチ12内の−電極や、電源などが設けられている。
【0039】
あて金11は、トーチ12内の−電極に対向する+電極であり、当該あて金11上にクランプされる板材14および15(被溶接材)に接触して、トーチ12内の−電極から板材14、15にプラズマアークが噴出されるようにする。
【0040】
トーチ12は、板材14、15の端面が互いに対向する溶接部位に沿って、
板材14、15の溶接部位の一端である始端16から終端17までプラズマアークを噴出しながら、矢印方向に移動する。
【0041】
放熱板13は、熱の伝導性が高いクロム銅で形成されており、板材14、15と同じ高さの平面になるように始端16に接触することによって、当該始端16に入力された熱を伝達し、始端16に集中する熱の発散を促進する。
【0042】
また、あて金11も、熱伝導性が高いクロム銅で形成されており、板材14および15と接触する部分から、当該板材14、15に入力された熱を発散することができる。
【0043】
さらに、あて金11には、板材14、15と接触する面に、板材14、15の始端16側から終端17側にわたる溝20が形成されており、当該溝20上で、板材14、15の端面が溶接される。したがって、溶接の際に、プラズマアークによって高熱にされた板材14、15があて金11に溶着することがない。
【0044】
溝20は、具体的には、図2に示すように、板材14、15上の始端16側の始端溝21と、終端17側の終端溝22と、始端溝21と終端溝22との間に形成される中間溝23とから形成される。
【0045】
始端溝21は始端16側に向かって、終端溝22は終端17側に向かって、幅が小さくなるように形成されており、中間溝23は均一な幅を有するように形成されている。
【0046】
溝20をトーチ12側から見た平面図は、図3に示すようになる。始端溝21では、溝幅2mmに対して長さ2mmにわたりテーパが形成されており、終端溝22では、溝幅2mmに対して長さ3mmにわたりテーパが形成されている。このように、終端溝22の方が、始端溝21よりテーパが緩やかに形成されている。
【0047】
これは、始端16では板材14、15が全体的に常温で冷めた状態に入力された熱を発散させるので熱の発散が少なくてもよいのに対し、終端17では板材14、15に対するプラズマアークの噴出によって板材14、15が全体的に既に熱くなっているので始端16より熱の発散を多くしなくてはならないからである。
【0048】
ここで、プラズマアークの噴出による溶接の場合、プラズマアークの噴出によって溶かされた溶融金属がプラズマアークの移動方向の反対に押し出されながら、押し出された溶融金属がプラズマアークの移動方向後方で平坦になり凝固する。しかし、熱の発散を急激に行うようにすると、溶融金属が後方に押し出される前に凝固してしまい、へこみ(クレータ)が生じてしまう。そこで、終端17では、始端16よりなだらかにかつ多く熱を発散させることができるように、終端溝22は、その溝幅がなだらかに狭くなり、板材14、15と接触する面積が始端16よりも大きくなるように形成されている。
【0049】
以上のように、本発明のプラズマアーク溶接装置10は、あて金11および放熱板13を有するので、板材14、15の始端16および終端17において熱が集中することないように、プラズマアークによって入力された熱の発散を促進させることができ、熱の集中による始端16および終端17における溶け落ちを防止することができる。結果として、溶け落ちの不備を解消するための板材14、15の切断除去をする必要がなくなり、当該切断除去の工数がなくなることにより加工時間を短縮することができ、切断除去される板材をなくすことによりコストの低減を図ることができる。
【0050】
具体的には、始端16側に放熱板13が接触して設けられているので、プラズマアークによって入力された熱が始端16に集中しても、熱伝導率の高い放熱板13に熱が伝達され、始端16における熱の発散が促進される。このように始端16に放熱板13が接触されることにより、始端16と終端17の間の溶接部位に入力された熱がその周りの板材14、15自身を伝達して発散されるのと同等の効果を始端16でも得ることができる。
【0051】
また、あて金11が始端16側および終端17側に向かって幅が狭くなる溝20を有するので、始端16および終端17に近づくほど、あて金11が板材14、15と接触する面積が大きくなり、接触する面積が大きいほど熱の発散が効率的になるので、始端16および終端17における熱の発散を端部に近づくほど徐々に促進することができる。
【0052】
特に、終端溝22の方が始端溝21よりもテーパが緩やかに形成されているので、板材14、15の終端17の方が始端16よりもあて金11と接触する面積が大きくなり、全体的に常温の状態で熱を入力される始端16と、プラズマアークによる熱の入力によって全体的に温められた状態で熱を入力される終端17との、放熱の割合を同等程度にすることができ、全体的に均一な溶接を行うことができる。
【0053】
さらに、あて金11自体が、トーチ12内の−電極に対向する+電極になっているので、電極を別途設ける必要がなく、プラズマアーク溶接装置10の簡素化を図ることができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、あて金11の始端16側および終端17側にそれぞれ、始端溝21および終端溝22が形成されていたが、これに限られない。あて金11は、始端16側に向かって幅が小さくなる始端溝21および終端17側に向かって幅が小さくなる終端溝22の少なくとも一方が形成されていればよい。
【0055】
また、始端溝21および終端溝22は、それぞれ始端16側および終端17側に向かって幅が狭くなるようにVの字に形成されていたが、これに限られない。始端溝21および終端溝22は、その形状を変更することができる。図4は、始端溝21および終端溝22の変更例を示す平面図である。図4の(A)に示す変更例では、たとえば、終端溝22は、終端17側に向かって、2段階で幅が狭くなる。この段階は、2段階に限られるものではなく、2以上の複数段階であってもよい。さらに図4の(B)に示す変更例では、たとえば、終端溝22は、終端17側に向かって幅が狭くなるように放物線状に形成される。なお、図4に示す変更例は、始端溝21または終端溝22のいずれか一方の形状例を示すものであり、溝の幅および溝の長さの比率は図3に示すものと同様である。
【0056】
また、放熱板13は、始端16に接触するように設けられていたが、これに限られない。放熱板13は、終端17に接触するように設けられてもよく、始端16および終端17の両方に設けられてもよい。
【0057】
さらに、放熱板13は、板材14、15と同じ高さの平面になるように、始端16に接触するように設けられていたが、これに限られない。図5は、放熱板の変形例を示す図である。図5に示すように、放熱板50が、板材14、15よりも高い位置、換言すれば、板材14、15よりもトーチ12の近くに上面が位置するように配置されてもよい。
【0058】
ここで、図5に示すように、放熱板50の上面が板材14、15を含む平面よりトーチ12の近くに配置され、+電極であるあて金11と接触する場合、トーチ12からのプラズマアークが放熱板50にも噴出されることができる。
【0059】
そして、トーチ12が放熱板50の上方からプラズマアークの噴出を開始し、始端16の上方を通過し、終端17の上方まで移動すると、トーチ12が始端16の上方を通過するときに、プラズマアークの長さが長くなる。すなわち、トーチ12が始端16の上方を通過するまでは、トーチ12内の−電極と放熱板50の表面との間にプラズマアークが生じるが、始端16の上方を通過した後は、−電極と板材14および15との間にプラズマアークが生じることになる。
【0060】
プラズマアークは放電の一種であるため、プラズマアークの長さが長くなると、放電を保つために電圧を高くする特徴がある。そして、プラズマアークの電圧が上昇することによって、放熱板13に入力される熱量も上昇する。電圧が上昇して一定の値に安定するには時間がかかるので、安定するまでの時間差を利用することによって、始端16から徐々に入力する熱量を増加させることができる。
【0061】
このように、放熱板13の高さを板材14および15より高くし、プラズマアークの噴出を始端16からではなくその手前の当該放熱板13から開始するだけで、容易に始端16に入力される熱を制御することができる。
【0062】
なお、プラズマアークの噴出が放熱板13から開始されるが、この放熱板13にプラズマアークが噴出される時間は短く、さらに、放熱板13がクロム銅などの放熱性に優れた物質で形成されているので、放熱板13が溶融してしまうことはない。
【0063】
以上の説明では、2枚の板材14および15の端面を突合せ溶接する例で説明したが、板材は1枚でもよく、1枚の板材をリング状に加工するために、1枚の板材の端面同士を溶接してもよい。プラズマアーク溶接装置10を用いて1枚の板材からリング部材を形成すれば、溶接部位に溶け落ちが発生しないので、リングの一部を切断除去するといった溶け落ち発生時に必要な工程が必要なく、高い精度のリング部材を得ることができる。たとえば、無段変速装置のベルトに使用されるリング部材を加工するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラズマアーク溶接装置の斜視図である。
【図2】 本発明のあて金を示す図である。
【図3】 あて金の溝の形状を示す平面図である。
【図4】 始端溝および終端溝の変更例を示す平面図である。
【図5】 放熱板の変形例を示す図である。
【図6】 従来のプラズマアーク溶接装置の斜視図である。
【図7】 従来のプラズマアーク溶接装置のあて金を示す図である。
【図8】 従来のプラズマアーク溶接装置を用いて、突合せ溶接を行ったときの動作および溶接の結果を示す図である。
【符号の説明】
10 プラズマアーク溶接装置、
11 あて金、
12 トーチ、
13、50 放熱板、
14、15 板材、
16 始端、
17 終端、
20 溝、
21 始端溝、
22 終端溝。

Claims (10)

  1. 被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接装置において、
    プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端において、プラズマアークによって入力された熱の発散を促進する熱発散促進手段を有し、
    前記熱発散促進手段は、前記始端よりも前記終端の熱の発散を大きくすることを特徴とするプラズマアーク溶接装置。
  2. 前記熱発散促進手段は、前記被溶接材に接触し、前記始端および前記終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されるあて金を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマアーク溶接装置。
  3. 前記あて金は、電極であることを特徴とする請求項に記載のプラズマアーク溶接装置。
  4. 前記熱発散促進手段は、前記始端および前記終端へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、前記始端および前記終端の少なくとも一方に当接される熱伝導部材を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラズマアーク溶接装置。
  5. 前記熱伝導部材は、前記始端に当接され、さらに、前記始端よりプラズマアークの噴出元の近くに配置されることを特徴とする請求項4に記載のプラズマアーク溶接装置。
  6. 被溶接材の対向する端面に沿ってプラズマアークを噴出することによって、被溶接材の端面同士を突合せ溶接するプラズマアーク溶接装置であって、
    前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることなく、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端に当接する熱伝導部材と、
    前記被溶接材に接触して支持し、プラズマアークの噴出が終了される前記被溶接材上の終端側に向かって幅が狭くなる溝が前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成される電極と、
    を有することを特徴とするプラズマアーク溶接装置。
  7. 被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、
    プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端側に向かって幅が狭くなり、噴出が終了される終端側に向かって前記始端よりも緩やかに幅が狭くなる溝が前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成される電極を、前記被溶接材に接触させて、溶接を行うことを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  8. 被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、
    前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させることを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  9. 被溶接材にプラズマアークを噴出することによって、当該被溶接材を溶接するプラズマアーク溶接方法において、
    プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端および噴出が終了される終端の少なくとも一方側に向かって幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されている電極によって、前記被溶接材を支持し、
    前記被溶接材へのプラズマアークの噴出を妨げることがないように、前記始端および前記終端の少なくとも一方に熱伝導部材を当接させながら溶接を行うことを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  10. 被溶接材に接触しつつ支持することによって、当該被溶接材にプラズマアークが噴出されるようにするための電極において、
    プラズマアークの噴出が開始される前記被溶接材上の始端側においては、当該始端側に幅が狭くなり、噴出が終了される終端側においては、当該終端側に向かって前記始端よりも緩やかに幅が狭くなる溝が、前記始端側から前記終端側にわたって前記被溶接材と接触する面に形成されていることを特徴とする電極。
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