以下、添付した図面に基づいて、この発明によるテープ結束器の実施例を説明する。本テープ結束器の実施例の説明に先立って、本テープ結束器が適用される袋包装体のテープ結束装置の一例について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は袋包装体のテープ結束装置の一実施例の要部を示す斜視図、図11は図10に示すテープ結束装置の作動の様子を示す概略説明図である。また、図12は図10及び図11に示すテープ結束装置の一部を取り除いて示す平面図である。
図10〜図12に示す袋包装体のテープ結束装置1は、縦型製袋充填包装機の後段に付設する態様で設けられる。縦型製袋充填包装機は、横シール機構50を示す外は図示を省略するが、ウェッブ状の包装フィルムを筒状フィルム(図示せず)に成形し、筒状フィルムを上方から下方に走行する間に、横シール機構50によって、先行して形成された筒状の袋の袋口部P1を封鎖すると共に次の袋の袋底部P2を形成し、袋底部P2が形成された筒状の袋に包装物を充填し袋口部P1を封鎖する行程を繰り返して、袋包装体Pを連続的に製作していく縦型の包装機である。縦型製袋充填包装機は、それ自体、公知のものを用いることができるので、これ以上の詳細な説明を省略する。
横シール機構50は公知の機構であって良く、図10には、横シール機構50を構成する一対の横ヒートシーラ51a,51bのうち、片側の横ヒートシーラ51bが示されている。内部に包装物を収容し袋口部P1が封鎖された袋包装体Pは、左右の側方から作用する適宜のしごき手段によって袋首部P3が平坦化される。横シール機構50は、袋包装体Pの各側において、それぞれ、先行して形成された袋包装体Pの袋口部P1を熱溶着して封鎖するための下側ヒートシーラ部52と、次に形成される袋包装体Pの袋底部P2を熱溶着して封鎖するための上側ヒートシーラ部53とを備えている。横ヒートシーラ51bには、上側ヒートシーラ部53と下側ヒートシーラ部52との間において、先行して形成された袋包装体とその次に形成される袋と区切って切断するためのカッタ54が備わっている。一対の横ヒートシーラの直ぐ上方には、袋首部P3に包装物が存在しているか否かを検出する検出板63が設けられている。検出板63は横ヒートシーラと略同期して作動するので、結束すべき袋首部P3に包装物が存在しているときには、検出板63の正常時と異なる動きをセンサ64が検出して、異常状態が報知される。
図12に示すように、横シール機構50においては、フレーム45に取り付けられたモータ56の回転出力は、第1リンク57を介して、フレーム45に回動自在に設けられた往復回動部材58に伝達される。往復回動部材58は、第2リンク59aを介して直接に一方の横ヒートシーラ51aのためのシーラブロック60aに連結されている。横ヒートシーラ51aは、シーラブロック60aがフレーム45に案内自在に支持されているガイド杆62に案内されることで、袋包装体Pに対して進退する。往復回動部材58は、また、第2リンク59b、横ステー61及びガイド杆62,62を介して他方の横ヒートシーラ51bのためのシーラブロック60bに連結されており、横ヒートシーラ51bは、一方の横ヒートシーラ51aと同期して、袋包装体Pに対して進退する。一対の横ヒートシーラ51a,51bは、袋内への包装物の充填に合わせて同期して筒状フィルムに接近・離反する動作を繰り返しており、互いに接近したときに、袋に横ヒートシールを施し且つカッタ54が完成した袋包装体Pを筒状フィルムから切り離す。
テープ結束装置1は、横シール機構50に関連して、カッタ54によって切り離された袋包装体Pの各側方に設けられ、当該袋包装体Pを吸着して把持する把持手段としての吸着手段10を備えている。吸着手段10は、袋包装体Pの各側において一対の吸着具11a,11b(図10においては、手前側の一方の吸着具11aのみ図示されている)を備えている。また、横シール機構50の各シーラブロック60a,60bには、袋包装体Pの横シール方向と平行な方向に延びるレール(図示せず)が形成されており、吸着具11a,11bは、それぞれ袋包装体Pの各側において当該レールに摺動可能に設けられている。したがって、袋包装体Pは、吸着手段10によって吸着された状態で、レールが延びる方向(矢印Aで示す)に搬送される。
吸着具11a,11bは、それぞれ、平坦化された袋首部P3の上側部分P4を吸着する上側吸着部12と、袋首部P3の上側部分P4から下方に離間した袋包装体Pの包装物が収容された袋本体部分P5を吸着する下側吸着部13とを備えており、両吸着部12,13間に空所17を形成する以外、一続きの吸引ボックス14に構成されている。吸着具11a,11bにおいて、吸引ボックス14の内部には吸引エアホース15が接続されていて、上側吸着部12と下側吸着部13の吸着面には多数の吸引孔16(図10に一部のみ符号で指し示す)が形成されている。吸引ボックス14は、上側吸着部12と下側吸着部13において、袋首部P3の上側部分P4と袋本体部分P5の側方から作用してその幅広い面を吸着するので、袋包装体Pを安定して把持することができる。吸引エアホース15の吸引側には、適宜の制御弁(図示せず)が設けられており、制御弁を制御することによって吸着具11a,11bによる袋包装体Pの把持が制御されている。空所17は、袋首部P3に結束のための後述する絞り手段20が吸着具11a,11bと干渉することなく入り込むときのスペースを与えている。
吸着具11a,11bは袋包装体Pの各側に配設されているので、吸着具11a,11bは、連続して製造される袋包装体Pに対して交互に吸着・把持と結束とを繰り返す。即ち、図11に示すように、製袋充填機が袋包装体Pを排出する排出位置である搬送開始位置S1において、一方の吸着具11aが袋包装体Pを吸着しようとするときには、他方の吸着具11bは、把持されている状態で結束が施された袋包装体Pを搬送終了位置S2まで搬送し終わっている。吸着具11aが袋包装体Pを吸着・把持した状態でレールに沿って搬送方向Aに向かって搬送するとき、搬送終了位置S2において袋包装体Pの把持を解放した吸着具11bは、レールに沿って搬送開始位置S1に向かって吸着具11aとは反対方向に走行する。
横シール機構50と各吸着手段(把持手段)10との関連動作は、次のとおりである。両横ヒートシーラ51a,51bが横シール・カットを行うため互いに接近したとき、片方の吸着具(例えば11a)のみが適当な弁動作に基づいて吸引ボックス14内を負圧にすることで作動し、袋包装体Pはその吸着具11aによって片側で吸着される。両横ヒートシーラ51a,51bが離間するとき袋包装体Pは片方の吸着具11aによって吸着把持された状態で後退し、製袋充填機における次の包装動作の間に、吸着具11aは袋包装体Pを吸着把持した状態でレールに沿って移動し、後述する絞り動作が行われる搬送終了位置(絞り位置)S2に対応した控え位置(他方の吸着具についてであるが、図12の吸着具11bの位置を参照)まで送る。吸着具11aに吸着されている袋包装体Pは、製袋充填機における次の袋包装体Pのための横シール動作に応じて、控え位置から搬送終了位置(絞り位置)S2に移動される。このとき、製袋充填機によって製作される次の袋包装体Pは、他方の吸着具11bによって吸着把持され、上記と同様の搬送が袋包装体Pの反対側で行われる。先の袋包装体Pを搬送した吸着具11aは吸着動作をオフにした状態で元の搬送開始位置S1位置に戻り、更に次の袋包装体Pに対する吸着動作に備える。このように、次々と製作される袋包装体Pは、待ち時間を経ることなく、製造後、直ちにいずれか一方の吸着具11a又は11bによって吸着把持されて搬送される。
テープ結束装置1は、吸着手段10に関連して、袋首部P3を絞る絞り手段20を備えている。吸着具11aによって吸着された状態で控え位置にまで搬送された袋包装体Pは、次の袋包装体Pの横シール動作が行われている間、吸着具11aが袋包装体Pを吸着する側と反対側において設けられている絞り手段20aの絞り動作で袋首部P3が絞られて当該絞り手段20aに引き渡される。袋包装体Pを受け取った絞り手段20aは、吸着具11aが搬送開始位置S1に向って戻り動作をし、吸着具11bが次の袋包装体Pを吸着して控え位置に向かって搬送する動作をするときに、袋首部P3の絞り状態でテープ結束器30に送り込む。吸着具11bが袋包装体Pを吸着する場合には、吸着具11bが袋包装体Pを吸着する側と反対側において、控え位置で絞り手段20bに引き渡されて、同様の動作を行う。このように、吸着手段10による袋包装体Pの吸着、吸着手段10から絞り手段20への袋包装体Pの引き渡しと絞り手段20による袋首部P3の絞り、及びテープ結束器30への袋包装体Pの送込みは、交互に連続して行われる。絞り手段20a,20bは、それぞれ袋包装体Pの搬送方向Aの前後に開閉動作をする一対の絞りアーム21,21を備えている。絞りアーム21,21は、搬送方向Aに送られる袋包装体Pの側方に配置されており、搬送方向Aの前後に開閉動作をするときに袋首部P3を絞る。各絞りアーム21は、上下二枚のアーム部22,22(図10に示す絞り手段20a,20bを参照)から成り、上下アーム部22,22間の上下間隔は、後述するテープ結束器30の基板33が通過可能な幅に設定されている。
絞りアーム21,21の基部である回動軸部にそれぞれ取り付けられている歯車23,23は、互いに噛み合わされている。各絞りアーム21の先端には、袋首部P3と係合する溝24が形成されている。歯車23,23の歯数は同じであるので、歯車の噛合いにより、一対の絞りアーム21,21は同期して互いに反対方向に同じ回動量で回動する。各絞り手段20は、袋包装体Pの搬送方向Aの延長線上で往復動する移動板28に設けられている。各絞りアーム21,21を開閉駆動するため、移動板28の往復動を回動運動に変換するカム手段25が配設されている。カム手段25は、一方の歯車23に噛み合う歯車26と、歯車26に偏心した位置に設けられているカムフォロア27とから成り、カムフォロア27が図示しないフレームに取り付けられているカム板と係合している。移動板28が往復動するとき、カムフォロア27がカム板とのカム作用を受けて歯車26を回動させるので、一対の絞りアーム21,21は、歯車26と噛み合う歯車23を介して同期して開閉駆動され、袋包装体Pの袋首部P3を対向する溝24間において搬送方向Aの前後方向から絞る。
テープ結束器30は、袋包装体Pの袋首部P3が通過されるスリット31、テープリール32から供給される結束用の片面粘着テープ(結束テープ)T、内部に結束機構を備えた基板33、及び基板33に形成され且つスリット31に接続され且つ結束された袋包装体Pが落下される取出し孔34を備えている。袋包装体Pの袋首部P3がスリット31を通過する間に袋首部P3には所定長さに切断された結束テープTが巻き付けられて結束が行われる。
図13はテープ結束器を示す平面図であり、図14は図13示すテープ結束器の側面図である。図15は図13に示すテープ結束器の要部である基板を示す平面図である。図13、図14に示すように、テープ結束器30は、通常下側に配置される基板33と、基板33に対して上側に且つ平行に配置される副板35とから成るフレームを備えており、基板33と副板35との間隔H(図14)は、結束テープTで結束される袋包装体の絞り込み成形された袋首部P3が通過する程度の距離に設定されている。なお、図13は、上側に配置されている副板35を取り外した状態で示されている。基板33は、テープ結束装置1のマウント39に対して、ロックピン37によって脱着可能に取り付けられている。また、基板33には、テープ結束装置1の運搬・装着・取外し等の各種の取扱いを容易にするための把手38が設けられている。テープ結束器30は、マウント39を介して、テープ結束装置1の装置フレームに対して袋包装体Pの送り方向に進退可能に構成されている。
基板33の一側は円盤部77として形成されており、円盤部77には、結束テープTを巻き芯R1に巻き取ったテープリールTRpが片面全面を円盤部77に接触させた状態で回転自由に設けられる。円盤部77には、テープリールTRpの巻き芯R1に対応して、同一円周上に複数(図示の例では3つ)の規制ピン78が軸受79を介して立設されているので、テープリールTRpは、巻き芯R1の内周面が規制ピン78で定められる外接円に一致するような態様で回転し易くなっており、テープ消費量に関わらず回転抵抗が略一定に維持される。図13及び図14においては、テープリールTRpについては、結束テープTの消費開始時である最大径の状態Rmaxと、結束テープTの消費終了間際の最小径Rminの状態とが示されている。なお、副板35には円盤部77に相当する部分は形成されておらず、基板33の上方は空いているので、テープリールTRpの円盤部77への装着又は取外しが容易である。
基板33の他側に位置する矩形部81及び副板35は、同様の形状に形成可能である。矩形部81及び副板35の円盤部77から最も遠い端部82には、被結束体、即ち、袋包装体Pの絞り形成された袋首部P3が通過される案内経路83が内方に向かって形成されており、案内経路83は、結束が終了した被結束体が抜き出せるように、拡大された取出し孔34に通じている。結束テープTは、テープリールTRpの状態では、内側が粘着面である片面粘着テープであるが、テープリールTRpから繰り出された後、基板33と副板35との間において適宜隔置して配置された案内ロール85によって、取出し孔34の外側を巡って案内されて、結束位置へと供給される。結束テープTは、結束位置に送られるときには、被結束体に付着させる都合上、粘着面が外側を向いて供給される。
フレームの端部82には、案内経路83に近接した位置に係合軸86が取り付けられており、係合軸86に遊嵌された硬質合成樹脂製のリング駒87が係合軸86の周りで自由に振れ回り可能である。結束テープTは、リング駒87の外周面に対して粘着面を外側に向けた状態で巻き掛けられており、リング駒87に案内されて結束位置まで延びている。リング駒87の外周面の最大振れ回り範囲が図13において符号87aで示されている。リング駒87は、ばね等では何ら付勢されておらず、結束テープTの張力、後述するテープ係止機構90からの作用力、及び袋首部P3の押込み力等の力のバランスによって、係合軸86の周りを自由に振れ回り可能である。
案内経路83を挟んでリング駒87と対向する位置には、テープ係止機構90が配設されている。テープ係止機構90は金属面であるテープ係止面を有する回動レバー93を備えており、リング駒87によって案内された結束テープTの先端側部分が、リング駒87の外周面から回動レバー93のテープ係止面に対して粘着面を付着させる態様で、当該テープ係止面に引き渡される。案内経路83は、入口側でテーパ状導入路84となっていて絞られた袋首部P3が導入され易くなっており、リング駒87の外周面も当該テーパ状導入路84に一部突出する位置に配置されている。絞られた袋首部P3がテーパ状導入路84に導入されるとき、袋首部P3はリング駒87と回動レバー93のテープ係止面との間に渡された結束テープTの先端側部分に押し当てられてテープの粘着面に付着される。更に、袋首部P3が、結束テープTの先端側部分を回動レバー93のテープ係止面から徐々に剥がすように引き戻すと共にリング駒87側の結束テープTを引き出しつつ案内経路83を進むとき、袋首部P3には結束テープTが巻き付けられて結束される。
矩形部81には、リング駒87から繰り出された結束テープTを切断するためにカッタ機構91が設けられている。カッタ機構91は、袋首部P3の移動によって受動的に駆動される。即ち、袋首部P3が案内経路83を更に通過するとき、結束テープTをリング駒87から繰り出しつつ移動する袋首部P3の動きでカッタが作動される。カッタ機構91は、テープ係止機構90の回動レバー93の先端部と共同して、リング駒87から繰り出された結束テープTを、リング駒87と袋首部P3との間で切断する切断刃91aを備えている。更に、矩形部81には、テープ切断機構91に関連して、結束テープTの両端部を係合させるためにテープ端部係合機構92が配設されている。袋首部P3に巻き付けられた結束テープTは、テープ係止機構90の回動レバー93のテープ係止面から徐々に剥がすように引き戻されたテープ端部とテープ切断機構91によって切断されたテープ端部とが二つのしごき面92a,92b間に挟まれてしごき作用を受けることにより係合されて、確実に粘着される。
テープ結束器30は、袋首部P3が絞り保持された袋包装体Pの送り方向に沿って、絞り手段20の送りに同期し且つ絞り手段20の送り速度より遅い速度で送られる。テープ結束器を30往復動させることにより、テープ結束行程における袋包装体Pとテープ結束器30との相対移動速度が低くなり、テープ結束動作における高速動作に起因した衝撃や破損が防止される。絞り手段20による袋包装体Pの送り方向及びテープ結束器30の移動方向は、搬送方向の延長線上に一致している。絞り手段20及びテープ結束器30の移動方向を、把持手段(吸着手段10)による袋包装体Pの搬送方向の延長線上に一致させることにより、袋包装体Pを搬送するための把持手段の移動方向と、絞り手段20及びテープ結束器30の移動方向とが揃い、搬送方向及び送り方向の両側に位置する把持手段と絞り手段20とのレイアウトが簡単化され、作動上の両手段の干渉が回避される。
図1は、この発明によるテープ結束器の三面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図である。図2は、図1に示すテープ結束器の斜視図である。図3は、テープ結束器に用いられる繰出し機構の一例を示す斜視図である。図1、図2に示すテープ結束器は、袋包装体Pに接近・離反動作をする中で袋包装体Pの絞られた袋首部P3を結束テープTで結束するテープ結束器100であって、図13〜図15に示されているテープ結束器30に代えて適用されるものである。横型製袋充填包装機の横シール機構50、並びに基板33及び副板35とそれらに関連するテープ結束装置の各種の手段や機構、即ち、吸着手段(把持手段)10、絞り手段20(20a,20b)、案内経路83、テープ係止機構90、カッタ機構91、テープ端部係合機構92等については、上記したテープ結束器30の場合と同様の手段や機構を備えているので、同等の機能を奏する要素や部位については、同じ符号を付すことで再度の詳細な説明を省略する。
図1に示すテープ結束器100は、結束装置1への装填方向の後方端部に、テープリールTRとその支持部とから成る結束テープユニット101を備えている。結束テープユニット101においては、結束テープTはテープリールTRの形で貯留されるとともに、袋首部P3の結束動作に応じて、結束に必要な長さの結束テープTが順次、繰り出される。結束テープユニット101は、テープ結束器100の装填方向後方端部において、左右片側、この例では正面図で左側に支持壁102が基板33に対して立設状態に設けられている。支持壁102はステンレス板のような金属板を、上辺部分において折り曲げて構成されており、かかる折曲げ構造により支持壁102の剛性・強度の向上を図っている。支持壁102の下部には、ブロック状のベース部103が一体的に取り付けられている。テープ交換等の場合においては、後述するようにベース部103に正面から見て前後方向に形成されている挿通孔104,104に交換用ロッドを挿通させることで、結束テープユニット101は、テープ結束器100への装填状態と交換用アダプタへの移載状態との間で移り換え可能となっている。
テープリールTRは、片面が粘着面となった結束テープTをボビン巻きにしたテープリールであり、リール幅はテープ幅に比べて数倍の長さがある。ボビン巻きにされることで、従来のものと比較して、リール径は変わらなくても3000m級の長さが巻き取られており、その分、重量が長さに比例して重くなっている。結束テープユニット101においては、テープ結束器100の後方端部において支持壁102が左右片側に立設状態に設けられる。支持壁102の壁構造や、支持壁102のテープ結束器100への取付け構造は余裕を持って設定できるので、重量のあるテープリールTRを支持するのに充分な剛性・強度を確保することができる。また、支持軸105の長さを充分取ることで、テープリールTRを、テープ結束器100の後方端部の左右幅内に余裕を持って納めることができる。テープリールTRの装着状態においては、テープリールTRの径寸法はテープ結束器100の後方端部において前後幅及び垂直高さ寸法に置き換わるが、支持壁102における支持軸105の位置を選択・設定することで、ロング巻のテープリールTRをテープ結束器100の後方端部に効率良く収納することができる。
テープリールTRは、支持壁102に片持ち状態に設けられている支持軸105に対して回転自在に支持されている。具体的には、リール軸芯である巻き芯R1が支持軸105に対して僅かな隙間を介在させることで、テープリールTRは支持軸105にフリー回転可能に嵌装されている。また、テープリールTRは、支持壁102に片持ち状態に設けられた支持軸105に対して、巻き芯R1を横方向から嵌着するだけで装着可能であり、取り外す場合も同じく横方向への抜き出しのみで取外し可能である。支持軸105の先端部がテーパ状に形成されているので、テープリールTRの支持軸105への装填がテーパによって案内され、着脱作業が容易である。
支持壁102には、支持軸105が設けられるのと同じ壁面側に、テープリールTRから繰り出される結束テープTが順次巻き掛けられて、結束テープTを走行案内する複数のガイドローラが設けられている。ガイドローラは、結束テープTの走行上流側から、同じ高さに並んで配置された第1ガイドローラ111、第2ガイドローラ112及び第3ガイドローラ113、第3ガイドローラ113の下方に配置された第4ガイドローラ114、そして第4ガイドローラ114の斜め下方に配置された第5ガイドローラ115から成っている。尚、以下、簡単のため「ガイドローラ」については、単に「ローラ」と記載する。なお、120はテープユニット用固定ノブであり、121はテープリール用固定ノブである。
ガイドローラのうち、第1ローラ111は、最も上流側に設けられており且つ繰出し方向にのみ回転を許容するワンウェイクラッチを備えている。第1ローラ111については図9(a)にその一例が断面図で示されており、支持壁102にローラ取付けピン170がボルト171によって締め付けて、片持ちに固定されていて、ローラ取付けピン170にはローラ173が嵌合されている。ローラ取付けピン170の端部には、ローラ173の抜け止めのため、ストップリング172が設けられている。ローラ取付けピン170とローラ173との間の環状スペースにはワンウェイクラッチ174が介装されている。ワンウェイクラッチ174は、周方向に楔状のスペース内にボールやばねを組み入れた一方向の楔作用を奏するもの等、種々の公知の形式のものでよい。ワンウェイクラッチ作用の方向性は、結束テープTを繰り出す方向への第1ローラ111の回転についてはフリーにするが、逆に結束テープTをテープリールTRに巻き戻す方向へ回転するのを阻止する方向とされる。
第1ローラ111の下流側に設けられている第2ローラ112は、結束テープTの走行に抵抗を与えるブレーキを備えている。第2ローラ112については、図9(b)にその一例が断面図で示されており、支持壁102に、ボルト180がワッシャ181及びスプリングワッシャ182を挟んでナット183,184により締め付け固定されている。ナット184から突き出るボルト180には、表面に刻み目186が施されたローラ185が嵌合されており、ボルト頭部187とローラ185の軸空洞部188の底部分189との間には、コイルばね190が圧縮状態で装着されている。コイルばね190のばね復元力が作用する部位、即ち、コイルばね190と、ボルト頭部187或いはローラ185の底部分189との間、及びナット184とローラ185との間には、それぞれワッシャ191が介装されている。ローラ185がボルト180側の固定部材と相対的に回転しようとすると、ワッシャ191の摺接する面に摩擦力が生じ、その摩擦力によって第2ローラ112におけるブレーキが作用する。第2ローラ112内のスペースを利用してコイルばね190を収容し、コイルばね190のばね力によって摩擦部材を固定側の部材に押し当てるという構造を採用すれば、第2ローラ112のいずれの方向の回転に対しても抵抗を与える摩擦ブレーキが簡単に得られ、第2ローラ112の盲動回転を防止することができる。
第1ローラ111と第2ローラ112とを結ぶ直線の第2ローラ112の下流側に延びる延長線上には、繰り出された結束テープTの戻りを防止するため、繰出し方向にのみ回転を許容するワンウェイクラッチを備えた第3ローラ113が設けられている。ワンウェイクラッチは、第1ローラ111に備わるものと同等のもので良い。ワンウェイクラッチを備えた第3ローラ113を設けることで、第2ローラ112のブレーキ作用に加えて、第3ローラ113を経て、スリット31を含むテープ結束作動部に送られた結束テープTが第2ローラ112側に戻ることをより積極的に防止することができ、繰出しローラ116の結束テープ繰出し機能を確実に働かせることができる。
ワンウェイクラッチを備えた第1ローラ111及び第3ローラ113は、表面が滑らかであって結束テープTが付着し易いアルミニウム等の金属製ローラである。金属製ローラとすることで、結束テープTの巻き掛かる粘着面がローラ表面に付着し易い。したがって、付着した結束テープTに対してワンウェイクラッチの機能を発揮しやすくなる。また、ブレーキを備えた第2ローラ112は、表面が凹凸等の粗面(刻み目186)に形成されていて結束テープTが付着し難い樹脂製ローラである。結束テープTの粘着面が巻き掛かっても、付着し難い。
図3は、図1〜図2に示す結束テープユニットに用いられる繰出し機構の一例を示す斜視図である。図3に示すように、繰出し機構は、テープリールTRから結束に必要な長さ分の結束テープTを繰り出すため、第1ローラ111と第2ローラ112とに渡って掛けられた結束テープTに対して下方に向かって押し込むように進退移動可能な繰出しローラ116を備えている。支持壁102に枢着された基軸117には繰出しレバー118の一端部が取り付けられ、繰出しレバー118の他端部に繰出しローラ116が回転自由に取り付けられている。繰出しレバー118の中間部にはカムフォロワ119が取り付けられている。後述する作動機構によってカムフォロワ119が押されると、繰出しレバー118が基軸117を支点として回動し、繰出しローラ116が揺動運動をする。図1〜図3に示す例では、繰出しローラ116が下がる方向に揺動するとき、繰出しローラ116は第1ローラ111と第2ローラ112との渡って掛けられた結束テープTに対して押し込む方向に進退移動することになるので、結束テープTは、繰出しローラ116によって引き降ろされて、テープリールTRから繰り出される。結束テープTの繰出し量は、繰出しローラ116による結束テープTの押込み量によって定められる。
繰出しローラ116が結束テープTを下方に向かって押し込む方向に移動するとき、結束テープTはテープリールTRから繰り出される方向の動きをしようとするが、このとき第1ローラ111は、ワンウェイクラッチの作用で回転自由となるので、結束テープTの繰り出しを妨げない。一方、第2ローラ112にはブレーキが常に作用しているので、第2ローラ112は回転せず、第2ローラ112よりも先に繰り出された結束テープTが逆送りされることはない。したがって、繰出しローラ116の押し込みによる移動は、すべて結束テープTのテープリールTRからの繰り出しに変換される。
繰出しローラ116が結束テープTを押し込む方向から戻るときに、繰り出された結束テープTがテープリールTRに戻ろうとしても、そうした結束テープTの動き方向は、第1ローラ111がワンウェイクラッチの作用で回転阻止される方向に対応するので、テープリールTRに戻ることはない。第2ローラ112がブレーキによって回転に抵抗を与えて停止しており、且つ第3ローラ113のクラッチ作用が働いているので、結束テープTの盲動、特にテープリールTRへの戻りが防止される。第2ローラ112に作用しているブレーキ力以上に結束動作側から結束テープTを引くときには、第3ローラ113はワンウェイクラッチの作用で結束テープTの走行を許容する方向の回転自由となり、繰出しローラ116が戻るときの結束テープTの弛みに相当する長さの結束テープが第2ローラ112を経て送られる。
繰出しローラ116を、テープ結束器100の作動タイミングに合わせて駆動されるエアシリンダの出力によって移動させることができる。図4は、繰出しローラ116を揺動させる作動機構をエアシリンダとした例を示す図である。また、図5は、繰出しローラ116を揺動させる作動機構をエアシリンダとしたときのテープ結束器の構成要素の作動タイミングチャートの一例を示す図である。図4に示すように、テープ結束装置1のフレーム45には、エアシリンダ130の一端部が枢着されており、エアシリンダ130の他端部から進退出するピストン部131にはカム132が取り付けられている。エアシリンダ130の一端部の取付け相手については、テープ結束器100を脱着する際のエア供給系の処理作業性を考慮して、フレーム45に代えて、テープ結束器100の支持壁102のような支持部分としてもよい。カム132は、カムフォロワ119が嵌入するカム孔133が形成されている。結束を司る制御装置のプログラムによって、テープ結束器100の作動タイミングに合わせてエアシリンダ130を作動させることにより、ピストン部131が進退出する。カム孔133に嵌入するカムフォロワ119が押されて、繰出しローラ116が結束テープTを押し込んで、テープリールTRから結束テープTを繰り出す。結束テープTの繰出しは、プログラムにより能動的に移動させることができる。図5に示すように、テープユニット101の前後進に合わせてエアシリンダが作動されており、結束器のA系統及びB系統についてどちらにも結束テープTを供給するため、A系統及びB系統の各動作の倍の速度で作動していることが解る。
図6は、繰出しローラ116を揺動させる作動機構を、板カムを含む機械的機構とした例を示す図である。また、図7は、繰出しローラ116を揺動させる作動機構を機械的機構としたときのテープ結束器の構成要素の作動タイミングチャートの一例を示す図である。繰出しローラ116を揺動させる作動機構は、テープ結束装置1のフレーム45に取り付けた板カム140で構成されている。繰出しロール116は、テープ結束器100の作動タイミングに合わせて移動される。例えば、結束テープユニット101が前後進するとき、カムフォロワ119が板カム140に案内されることにより、繰出しレバー118が基軸117の回りに上がり下がりをする。即ち、結束テープユニット101が前進するとき、繰出ローラ116が下方向に揺動し、結束テープTを押し下げて、テープリールTRから一回の結束に必要となる長さの結束テープTを繰り出す。結束テープユニット101が後進するとき、繰出ローラ116が上方向に揺動し、緩んだ結束テープTをテープ結束器100に向かって供給する。繰出しローラ116の揺動を、テープ結束器100との相対運動から取り出された動作を用いて行わせる場合には、新たな駆動源を必要とすることなく、繰出しローラ116を受動的に移動させることができる。図7に示すように、テープユニット101の前後進に合わせて繰出しレバー116が上下動されており、結束器のA系統及びB系統についてどちらにも結束テープTを供給するため、A系統及びB系統の各動作の倍の速度で作動していることが解る。
図8は、本発明による結束テープユニットにおけるテープリールの交換作業を説明する図である。図8の(a)は、テープ結束器100における結束テープユニット101の装填状態を示す図である。(a)に示す装填状態は、通常の動作ポジションE0を示しており、結束テープユニット101は、テープユニット用固定ノブ120の締め込みによってテープ結束器100にロックされている。結束テープユニット101の支持壁102の下部に一体的に取り付けられているブロック状のベース部103には挿通孔104,104が形成されており(図1(a)参照)、テープ結束器100側から突出する装填用のロッド149,149が挿通孔104,104に挿通されることで、結束テープユニット101がテープ結束器100に支持されている。
テープ結束器100には、結束テープの交換等の場合に用いられる交換用アダプタ150がスライド部151を介してテープ結束器100に対してスライド可能に設けられている。交換用アダプタ150は、テープ結束器100側から突出するロッド149,149にちょうど突き合う状態に交換用ロッド152,152を備えている。交換用アダプタ150は、またスライド部151に対して、枢着部153の回りに例えば90度の角度で起立するように回動可能となっている。
結束テープの交換の際には、図8(b)〜(c)に示すように、テープユニット用固定ノブ120を解放して、結束テープユニット101をテープ結束器100側のロッド149,149に沿って移動させる。結束テープユニット101は、挿通孔104,104に交換用アダプタ150の交換用ロッド152,152が一部挿入した交換用アダプタ150との間を跨ぐ状態(図8(b))を経て、図8(c)に示すように、交換用アダプタ150側に完全に移り終えた交換ポジションE1に至る。交換ポジションE1において、テープユニット用固定ノブ120を締めつけることで、結束テープユニット101は交換用アダプタ150にロックされる。結束テープユニット101のロックの後、交換用アダプタ150をスライド部151ごと、テープ結束器100に対して手前側(図で左側)に引き出すことで、結束テープユニット101は、図8(d)に示すように、完全に引き出された交換ポジションE2に至る。交換ポジションE2において、交換用アダプタ150を枢着部153の回りに90度回動させることで、結束テープユニット101は図8(e)に示すように充分引き出された状態で起立状態となり、結束テープTの引き回しや手動で結束動作を行うこと等、テープリールTRの交換作業を容易に行うことができる。新しいテープリールTRの装填は、上記手順を逆に辿ることで行われる。
結束テープユニット101は、包装機に対して側方より進退し且つ包装機によって製造される袋包装体Pに接近・離反動作をするテープ結束器100について、その後方端部に取り付けることで、適用される。包装機は、例えば、縦型製袋充填包装機とすることができるが、その他の包装機にも適用可能であることは明らかである。