以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることはもちろんである。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものを指すものとする。
図1乃至8は本発明の一実施形態を示すものであり、図1はシートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3はシートフレームの概略正面図、図4はシートフレームの概略背面図、図5はメンバーパイプとエネルギー吸収部材の構成を示す拡大説明図、図6はパイプ補強部材の正面図、図7はパイプ補強部材とメンバーパイプとの関係を示す側面図、図8は着座側サイドフレームの説明図である。なお、以下の説明における左右方向は、車体前方を向いた状態での左右方向を意味する。また、本実施形態では3点式シートベルト装置を備えた構成を示すが、3点式シートベルトを備えない車両用シートとしてもよい。
本実施形態に係る車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、芯材3(図2を参照)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。本実施形態の芯材3は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーとしての役割も兼ねているが、芯材とヘッドレストピラーを別体で構成してもよい。
本実施形態の車両用シートSは助手席用シートであり、車両用シートSの左側(図1に向かって右側)が車体外側(車両ドア側)、車両用シートSの右側(図1に向かって左側)が車体内側(車体中央側)である。車両用シートSは、シートベルトBが取付けられたシートベルト一体の車両用シートであり、シートバックS1の上部の車体外側には、シートベルトBのショルダーベルト部B1が取付けられている。
車両用シートSのシートフレームFは、図2乃至図4で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。また、シートバックフレーム1と着座フレーム2とは、リクライニング装置15を介して回動可能に連結されている。
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施形態において、シートバックフレーム1は、金属製の板材又は管材によって形成された略矩形状の枠体となっている。
シートバックフレーム1に備えられた上下方向に延在する一対のサイドフレーム11,12は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設されている。
つまり、シートバックフレーム1の一部を構成するサイドフレーム11,12は、上下方向に所定の長さで構成されており、左右方向に所定間隔を有して対向して配設されている。そして、シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム11,12の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える姿勢保持部材としての架設部材61が配設されている。
架設部材61の両端部は、サイドフレーム補強部材30、又はサイドフレーム11と、サイドフレーム12に設けられた軸支部により軸支されている。この軸支部は、架設部材61を回動可能に軸支すればよく、公知の技術を使用できる。なお、軸支部の代わりに、サイドフレーム補強部材30、又はサイドフレーム11と、サイドフレーム12の側板に孔を形成し、この孔に架設部材61の端部を回動可能に挿入し、抜け止めを施すようにしてもよい。
本実施形態においては、サイドフレーム11,12間に配設される架設部材61として、ばね性を有するスチール線材から形成されたSばねが用いられている。なお、架設部材61としては、Sばねに限らず、板状の部材など、乗員を後方から支えることができる構造であればどのような部材を配設してもよい。その他、マット、ランバーサポート機能を備えた構成としてもよいのは勿論である。
サイドフレーム11,12のうち、車体外側(車両ドア側)に配設されるサイドフレーム11は、金属製の一枚の板材を矩形に折り曲げて閉断面構造、すなわち、その断面形状が中空矩形状に形成されている(閉断面構造部11a)。そして、このサイドフレーム11の閉断面構造部11aの外側(車両ドア側)の面の下部には、平面状の板材が下方に延長されて形成された延長部11bが、閉断面構造部11aの外側の面と一体に形成されている。つまり、板材の一方側中央部分に延出する部分が形成されるように板材を打ち抜いた後、断面が中空矩形状となるように板金加工されている。また、閉断面構造部11aの外側の面には複数の孔11cが形成されている。
車体内側(車体中央側)に配設されるサイドフレーム12は、金属製の一枚の板材の車両前後方向の両端部をシートフレームFの内側に屈曲させて形成されている。
このように、車体外側に配設されるサイドフレーム11は閉断面構造を有しており、車体内側に設けられたサイドフレーム12よりも強度が大きく形成されている。シートベルト一体の車両用シートSでは、車両の衝突などによりシートベルトBに乗員からの大きな荷重が加わり、ショルダーベルト部B1が取付けられる車体外側のサイドフレーム11に大きな荷重が加わるため、このように車体外側のサイドフレーム11の剛性が高くなるような構造としている。
サイドフレーム11の閉断面構造部11aの下方に延長した延長部11bのシート内側、すなわちサイドフレーム11の乗員が着座する側には、サイドフレーム補強部材30が固定されている。サイドフレーム補強部材30は一枚の板体を断面が略コ字状となるように折り曲げて、閉断面構造部11aのシート左右方向の幅より若干狭い幅を左右方向の幅とし、延長部11bのシート前後方向の幅と略同じ幅を前後方向の幅として形成されている。
サイドフレーム補強部材30は、延長部11bのシート内側に配置されたときの前方及び後方の面と、延長部11bとが略連続するように溶接等により接合されている。また、サイドフレーム補強部材30のシート内側に向く面の上部は、サイドフレーム11の閉断面構造部11aのシート内側の面の下部と所定幅重なるように配置され、連続するように溶接等により接合されている。このように、サイドフレーム補強部材30はサイドフレーム11と略一体となるように取付けられている。ショルダーベルト部B1が取付けられる側のサイドフレーム11を閉断面構造とし、一体に形成した延長部11bを設けてその内側にサイドフレーム補強部材30を固定したので、リクライニング装置15とショルダーベルト部B1の取付け位置の寸法精度が低下するのを抑制しつつ、サイドフレーム11の剛性を向上させることができる。
図2乃至図4で示すように、上部フレーム13は、パイプ材が折り曲げられて形成され、上部フレーム13の側面部13aは、サイドフレーム12の側板と一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム12に溶接等により接合される。一方、上部フレーム13の他方の端部は、サイドフレーム11の上端に形成された凹部と接合されている。
また、シートバックフレーム1を構成する上部フレーム13の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材3の外周部にパッド材3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成されている。上部フレーム13に取付けられた芯材3(ヘッドレストピラー相当部分)の下方には、ガイドロックが取付けられており、高さ位置が調節可能になっている。
そして、補強が施されたサイドフレーム11側の上部フレーム13上には、シートベルトBを挿通させるためのショルダーアンカー部14が固着接合されている。ショルダーアンカー部14は、手前側の面と左右両側の面、上面及び裏面で囲まれた箱型の部材であり、手前側の面は、正面視略逆U字状で中央部に空間が形成された形状を有している。ショルダーアンカー部14の左右両側の面の下端部が上部フレーム13に溶接等により接合され、上部フレーム13とショルダーアンカー部14の裏面との間には空間が形成されている。ショルダーベルト部B1は、上部フレーム13とショルダーアンカー部14の間の空間の下方から挿通され、さらに手前側の面の中央部に形成された空間を通って手前側に挿通されて取付けられる。
ショルダーアンカー部14は、車体外側(車体ドア側)に位置するサイドフレーム11と略同じ位置又はサイドフレーム11より外側に寄せて配設されている。
シートバックフレーム1の下方(着座フレーム2側)において、連結部材としてのメンバーパイプ40によってサイドフレーム11,12間が連結されている。メンバーパイプ40は、リクライニング装置15の回動軸方向に沿って左右方向に渡って配設され、一端がサイドフレーム11の下方にサイドフレーム11と一体に固定されたサイドフレーム補強部材30に接合されて、このサイドフレーム補強部材30を介してサイドフレーム11と連結され、他端がサイドフレーム12の下方に溶接等により接合されている。
そして、メンバーパイプ40は、着座フレーム2に干渉しない範囲で凹凸状に曲げられている。本実施形態では、乗員の腰部がシートバックS1側へ沈み込んだ際に、乗員の後方移動を阻害しないように、メンバーパイプ40の略中央部分は下方に向かって折り曲げられ、凹部を備えた形状となっている。凹状に折り曲げられた部分には、図2で示されるように、補強部材としてのパイプ補強部材42,43が接合されている。
架設部材61は複数設けられていても良いが、そのうちの一つは、サイドフレーム補強部材30に接合されるメンバーパイプ40の端部40aより上方に係止され、且つサイドフレーム補強部材30が平断面構造部11aのシート内側の面の下部と接合された位置よりも下方に係止されている(図5を参照)。このような構成とすることにより、架設部材61の取付け作業時、作業性が向上する。さらに、サイドフレーム補強部材30と平断面構造部11aの接合部と、メンバーパイプ40の端部40aとの間の空間を有効に活用することができる。
メンバーパイプ40において、乗員の腰部に対応する位置が乗員腰部の下方に位置するように折り曲げられていることにより、乗員が後方へ移動する際、メンバーパイプ40によって押し止められることがない。したがって、後方移動を抑制することがなく、乗員の上体をシートバックS1に沈み込ませると共に、メンバーパイプ40を乗員の下方へ沈み込ませることができる。また、メンバーパイプ40にはパイプ補強部材42,43が備えられた構成とすることにより、メンバーパイプ40の剛性を向上させることができる。
着座部S2は、着座フレーム2に、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bにより覆われており、乗員の臀部を下方から支持するものである。本実施の形態において、着座フレーム2は、図2で示すように、着座側サイドフレーム121,123と、着座側後方フレーム28と、着座側前方フレーム29a,29bとを有して構成されている。
着座側サイドフレーム121は、上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22と、から構成されている。また、着座側サイドフレーム123は、上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24と、から構成されている。上部着座側サイドフレーム21,23は、それぞれリクライニング装置15を介してサイドフレーム11の延長部11bと、サイドフレーム12とに回動可能に連結されている。
上部着座側サイドフレーム21,23は、それぞれサイドフレーム11,12と連結される。車体外側に配設される着座側サイドフレーム121の上部着座側サイドフレーム21は、リクライニング装置15を介してサイドフレーム11の延長部11bと回動可能に連結される。また、他方の着座側サイドフレーム123の上部着座側サイドフレーム23は、支持軸を介してサイドフレーム12と回動可能に連結される。
上部着座側サイドフレーム21,23はそれぞれ、下部着座側サイドフレーム22,24との連結部分において下部着座側サイドフレーム22,24と連続した形状となるように形成され、下部着座側サイドフレーム22,24の上端部を覆うようにして取付けられている。
下部着座側サイドフレーム22,24は、着座幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、前後方向に延在して形成されている。そして、図4で示すように、下部着座側サイドフレーム22,24の後方側を連結する板材からなるリトラクタ取付ブラケット50の両端が、下部着座側サイドフレーム22,24にそれぞれ接合されている。
下部着座側サイドフレーム22,24は金属製の板材によって形成されており、その後方側が上方、すなわちシートバックフレーム1側に延出して形成されている。下部着座側サイドフレーム22,24の表面には、下部着座側サイドフレーム22,24の形状に対応して、滑らかな溝(ビード)が形成されている。そして下部着座側サイドフレーム22,24は、上述した上部着座側サイドフレーム21,23と接合されており、さらに上部着座側サイドフレーム21,23がそれぞれサイドフレーム11,12と接合されてシートフレームFを形成している。
下部着座側サイドフレーム22,24は、それぞれ下方で支持されており、下部着座側サイドフレーム22,24には、アッパーレール25,25が取付けられている。そしてアッパーレール25,25は、車体フロアに設置されるロアーレール26,26との間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
図3及び図4で示すように、リトラクタ取付ブラケット50の表面には、複数の溝(ビード)が形成されており、その前方面にはシートデバイス部としてのリトラクタ54が接合されている。リトラクタ54は、シートベルトBが引き出されたり、巻き戻したりする構成を備えており、3点式シートベルトを備えた本実施形態において、リトラクタ取付ブラケット50の前方面側であって、一方のサイドフレーム11側の近傍に、後述の着座側後方フレーム28と接触しない位置で取付けられる。なお、図3は、リトラクタ54を図示するためクッション支持部材27を一部切り取った状態を示している。
また、リトラクタ取付ブラケット50よりも前方にはパイプ状の着座側後方フレーム28が、さらにその前方には着座側前方フレーム29a,29bが、下部着座側サイドフレーム22,24を連結して取付けられている。また、リトラクタ取付ブラケット50の前方且つ下方位置に、下方連結部材51が下部着座側サイドフレーム22,24を連結して配設されている。これらのリトラクタ取付ブラケット50、着座側後方フレーム28、着座側前方フレーム29a,29b、下方連結部材51は金属製の板材及び管材によって構成され、それぞれの端部は下部着座側サイドフレーム22,24に溶接等により固着接合される。
そして、着座フレーム2内(両側の着座側サイドフレーム121,123の間)で着座フレーム2の内側領域には、クッションパッド2aを下方から支えるクッション支持部材27が配設されている。クッション支持部材27は、略矩形状の板材からなり、対向する前後一対の辺が、それぞれ着座側後方フレーム28及び着座側前方フレーム29a,29bに架設されることにより、固定される。
このクッション支持部材27は、金属製の板材によって構成されており、この板材には滑らかな凹凸が形成されている。なお、本実施形態ではクッション支持部材27として板材が配設された例を示したが、乗員及びクッションパッド2aを下方から支えることができる構造であれば、形状、材質はこれに限定されない。
(メンバーパイプ40について)
本実施形態において、図2に示すように、シートバックフレーム1の下方、すなわち乗員の腰部に対応する部分には、メンバーパイプ40が備えられた構成となっている。
メンバーパイプ40は、金属製の線材又は管材によって形成されており、図5に示すように、端部40a,40bはそれぞれサイドフレーム補強部材30及びサイドフレーム12に溶接により接合されている。サイドフレーム補助部材30は、サイドフレーム11と一体に形成されており、端部40aは、サイドフレーム補助部材30を介してサイドフレーム11に連結されている。したがって、メンバーパイプ40により、サイドフレーム11,12は下方で連結されている。
なお、本実施形態では、サイドフレーム11にサイドフレーム補助部材30を取付けた例を示したが、サイドフレーム補助部材30が備えられていないサイドフレーム11に端部40aが連結された構成としても良い。
そして、端部40a,40bの接合される高さ位置は、ショルダーアンカー部14が設置されたサイドフレーム11側に接合される一方の端部40aが他方の端部40bよりも高い位置に配設される。すなわち、サイドフレーム補強部材30に接合される一方の端部40aが、他方の端部40bよりも高く配設されている。なお、メンバーパイプ40は、取付け高さに関し、端部40aが最も高い位置に配設されるように折り曲げられた構成となっている。
このように、本発明ではメンバーパイプ40の端部40aを,端部40bよりも高い位置に取付け、端部40a,40bの取付け高さが異なる構成となっている。そして、メンバーパイプ40の形状が左右非対称で屈曲した構成とすることにより、後面衝突時等、ショルダーアンカー部14に過大なエネルギーが加えられた場合であっても、その荷重を効果的に分散、吸収することができるものである。
また、端部40a,40bのうち、上方に設置された端部40aの取付け高さは、リクライニング装置15の中心軸よりも下方位置に接合されている。さらに、メンバーパイプ40の最も上方に位置する部分がリクライニング装置15の回動する中心軸よりも下方に配設されている。この構成とすることにより、乗員腰部の後方移動を抑制することなく、乗員腰部をシートバックS1側に沈み込ませることができる。
メンバーパイプ40は、上述のように屈曲した略中央付近、すなわち中央部40gが下方に配設されており、メンバーパイプ40は屈曲して凹状に形成されている。より詳細には、メンバーパイプ40は端部40a,40bの間に屈曲部40c,40d,40e,40fを備えており、略中央位置、すなわち、乗員の腰部に対応する部分には平坦な中央部40gが形成されている。端部40a,40bに近い方の屈曲部40c,40dは、下方に屈曲しており、それぞれの端部40a,40bがそれぞれ屈曲部40c,40dと比較して高い位置、若しくはほぼ同じ高さ位置に配設される構成となっている。
なお、本実施形態において、メンバーパイプ40を1本として構成を示したが、上下に複数本併設した構成としても良い。このとき、最も上方に配設されたメンバーパイプ40の上側表面が乗員の腰部よりも下方に配設された構成とすることにより、乗員の後方移動を妨げることがない。また、メンバーパイプ40は、略垂直に折り曲げられた屈曲部40c,40d,40e,40fを必ずしも備えている必要はなく、中央部40gが少なくとも乗員の腰部の下方に配設される構成であれば、直線状のメンバーパイプ40としてもよい。
より詳細には、メンバーパイプ40の上側表面は、乗員の第5腰椎よりも下方に配設されると好ましい。このような構成とすることにより、乗員の仙骨よりも下方にメンバーパイプ40が配設されるため、後方移動する際、仙骨の傾斜により乗員の下方にメンバーパイプ40を潜り込ませることが可能となる。
さらにメンバーパイプ40には、屈曲部40e,40fを補強するためのパイプ補強部材42,43が備えられている。パイプ補強部材42,43は、屈曲部40e,40fの内側(角度が小さい方の側)を跨乗して接合されており、補強部材接合部42a,42b,43a,43bによって固着接合されている。このパイプ補強部材42,43を備えることにより、特に屈曲部40e,40fに加わる荷重を受け止めることができ、メンバーパイプ40の剛性を向上させることが可能である。
パイプ補強部材42,43はリクライニング装置15の回動する中心軸よりも下方位置に配設されている。また、より詳細には、パイプ補強部材42,43の最上端部は、リクライニング装置15の中心軸よりも下方に配設されている。このような構成とすることにより、乗員の腰部にあたることがなく、乗員の後方移動を抑制することがない。
図5に示すように、メンバーパイプ40の屈曲部40c,40d,40e,40fの曲がり方がそれぞれ異なっているため、パイプ補強部材42,43は、互いに異なる形状で形成される。以下、図6に基づきパイプ補強部材43について詳細に説明する。なお、対となるパイプ補強部材42に関し、架設部42cの形状はやや異なるが、ほぼ同じ構成であるため、説明を省略する。
パイプ補強部材43は、図6に示すように、平面の板材によって構成されており、メンバーパイプ40の屈曲部40d,40fの形状に合わせて、左右非対称のアーチ状に形成された架設部43cを備えている。架設部43cは、左右非対称の平面板状であり、メンバーパイプ40の屈曲部40fを跨ぐように形成されている。
そして、架設部43cのメンバーパイプ40側からは、メンバーパイプ40に当接するための脚部43d,43eが延設されている。脚部43d,43eは架設部43cから略垂直に折り曲げられた構成となっており、脚部43d,43eは架設部43cの面を基準として互いに同じ面側に折り曲げられる。
架設部43cと、脚部43d,43eとの間にはそれぞれに跨って凸部43f,43gが形成されている。より詳細には、架設部43cと脚部43d,43eとの間であって、略垂直に折り曲げられた部分に跨るように凸部43f,43gとしてのビードが形成されている。このように、ビードを設ける構成とすることにより、パイプ補強部材43の強度を高めることができる。
また、架設部43cには複数の穴部43iが設けられており、このように板材に穴を開けた構成とすることにより、パイプ補強部材43をより軽量にすることができる。
メンバーパイプ40が円柱状の線材又は管材であるため、図7のように、補強部材接合部43bは、メンバーパイプ40の上方の表面に、脚部43eを沿わせて当接した状態で接合される。この時、脚部43e(補強部材接合部43b)をメンバーパイプ40の断面中心線(図7中のA線)よりも後方に配設すると好ましい。このような取付位置とすると、後述のバックカバー62が架設部43cと接合しやすくなり、取付強度を向上させることができる。
このように補強部材接合部43bは、メンバーパイプ40の後方側の側面に設けられた構成とし、さらに架設部43cと脚部43eとの間の折り曲げられた部分をシートバックフレーム1の後方に配設すると、乗員の腰部が沈み込む際、パイプ補強部材43によってその動きを阻害しないため好適である。
(エネルギー吸収部材44について)
図2に示すように、シートバックフレーム1の下方、すなわち乗員の腰部に対応する部分には、エネルギー吸収部材44としてのEAワイヤーが備えられている。エネルギー吸収部材44は、シートバックフレーム1の下方に配設されたメンバーパイプ40に接合された構成となっている。
エネルギー吸収部材44は、図5に示すように、金属製の線材(棒材)又は管材によって形成されており、その両末端が折り曲げられて、メンバーパイプ40に接合されている。そして、エネルギー吸収部材44の両末端付近がそれぞれメンバーパイプ40の表面に沿って内側に折り曲げられ、接合部44a,44bを形成している。そして、この接合部44a,44b近傍にはパイプ補強部材42,43が接合されている。
このときエネルギー吸収部材44の両末端付近を、パイプ補強部材42の脚部(不図示)、及びパイプ補強部材43の脚部43d,43eに接合させると共に、メンバーパイプ40に接合させる構成とすると好ましい。
この構成によってエネルギー吸収部材44はメンバーパイプ40に対して強固に取付けることが可能である。
そして、可撓性の線材によって形成されたエネルギー吸収部材44は、強固に接合された接合部44a,44bを支点(又は支軸)として、乗員の腰部が後方移動した際に後方へ撓むことにより、そのエネルギーを吸収する。
エネルギー吸収部材44は、メンバーパイプ40上に配設され、メンバーパイプ40のパイプ補強部材42,43よりも前方に取付けられる。より詳細には、エネルギー吸収部材44の接合部44a,44bは、メンバーパイプ40上に配設されたパイプ補強部材42,43の補強部材接合部42b,43bよりも前方に設けられる。
エネルギー吸収部材44は、メンバーパイプ40の略中央付近であって、メンバーパイプ40がほぼ直線状に形成された中央部40gに取付けられる。そして、エネルギー吸収部材44を構成するEAワイヤーが略矩形状に折り曲げられ、メンバーパイプ40の中央部40gの略直線状の部分で、且つ中央部40gの上方表面に沿って接合される。このように、略矩形状に折り曲げられたEAワイヤーが上方に延設されることにより、本実施形態のエネルギー吸収部材44は、略矩形状の枠体を形成する構成となっている。
エネルギー吸収部材44がメンバーパイプ40の上方に位置するように配設されることにより、エネルギー吸収部材44は乗員腰部に対応する位置に配設される。このように、エネルギー吸収部材44を構成するEAワイヤーがメンバーパイプ40の上方に取付けられることにより、枠体が形成され、この枠体により、乗員の腰部を支持する構成とすることができる。
したがって、乗員の上部が後方に移動する際のエネルギーを吸収する部材として、板材を用いた場合と比して、本実施形態のように、EAワイヤーにより枠体を形成してエネルギー吸収部材44とすることにより、車両用シートSを軽量化することが可能である。
(着座側サイドフレーム121,123について)
本実施形態において、図2に示すように、着座フレーム2は、シート幅を構成する着座側サイドフレーム121,123がそれぞれサイドフレーム11,12の下方に配設されている。そして、着座側サイドフレーム121は、車両の前後方向に延設される下部着座側サイドフレーム22と、下部着座側サイドフレーム22の後方上部に連結された上部着座側サイドフレーム21とを備えている。着座側サイドフレーム123もまた同様に、下部着座側サイドフレーム24と、上部着座側サイドフレーム23とを備えている。
ショルダーアンカー部14が配設されたサイドフレーム11の下方に連結される着座側サイドフレーム121は、上部着座側サイドフレーム21が、リクライニング装置15を介してサイドフレーム11に連結されている。
ショルダーアンカー部14が配設されたサイドフレーム11に連結される着座側サイドフレーム121において、下部着座側サイドフレーム22は、図3に示すように、シート内側(乗員の着座側)とシート外側(車両ドア側)に、略同形、同大で形成された板材を備えている。すなわち、下部着座側サイドフレーム22は、シート外側に配設される下部外面材22aと、シート内側に備えられる下部内面材22kを備えている。
下部外面材22a及び下部内面材22kは、互いに対向して、その縁辺が略垂直に折り曲げられ、その折曲した縁辺同士重なるように接合されている。すなわち、下部外面材22a及び下部内面材22kは、コ字断面形状の板材からなり、対向して縁辺同士が接合され、中空の筐体を形成している。
このとき、下部外面材22a及び下部内面材22kの上部後端側、すなわち、上部着座側サイドフレーム21が重なって連結される部分は接合されておらず、開口した構成となっている。なお、縁辺全てが折り曲げられて接合されている必要はなく、十分な強度を得ることができれば、一部の縁辺のみを接合した構成としてもよい。例えば、乗員の着座面を形成する上辺22b及び22lのみを接合した構成としても良い(図8参照)。
また、上部着座側サイドフレーム21においても、シート外側とシート内側とに、略同形、同大で形成された板材である上部外面材21aと、上部内面材21kとが備えられている。
上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22との接合関係に関し、下部外面材22aの後方且つ上方は、上部外面材21aの下方が連結部21x(図8を参照)において重ねられ、溶接によって互いに接合されている。より詳細には、下部内面材22kの上部後端側には、上部内面材21kの下方の一部が重なるようにして接合されている。そして、略同形、同大の上部外面材21a及び上部内面材21kが対向して互いに接合されており、その内側に、下部外面材22a及び下部内面材22kを挟み込む構成となっている。
このとき、上部着座側サイドフレーム21を構成する上部外面材21aと、上部内面材21kは、その縁辺が互いに重なるように略垂直に折り曲げられ、縁辺が重なるようにして接合されている。
本発明の着座側サイドフレーム121においては、図8に示すように、上部着座側サイドフレーム21及び下部着座側サイドフレーム22の連結部21xに、それぞれショルダーアンカー部14からの荷重に対する剛性を向上させるため、補強部(上部フレーム補強部21c、下部フレーム補強部22c,22m)が設けられている。なお補強部は、連結部21xの少なくとも近傍、より詳細には乗員が着座する側に設けられる構成であれば良く、上部着座側サイドフレーム21及び下部着座側サイドフレーム22上であって、連結部21xから離れた箇所においても設けられた構成であってもよい。
上部着座側サイドフレーム21は、その縁端21b、すなわち外周の形状に沿った上部フレーム補強部としての上部フレーム膨出部21cを備えている。上部フレーム膨出部21cは、縁端21bの形状に沿って、上部外面材21aの一部をシート外側に膨出させて形成されており、リクライニング装置15の取付位置を避けて、その周囲を囲むようにして形成されている。
なお、本実施形態では上部外面材21aに上部フレーム膨出部21cを備えた構成を図示したが、上部内面材21kにも同様に、リクライニング装置15の周辺位置にシート内側に膨出した膨出部を備えた構成としても良い。特に、リクライニング装置15の回動軸(中心軸)よりも上方に、膨出部を設ける構成とすると、より剛性が向上するため好ましい。
一方、下部着座側サイドフレーム22は、連結部21xの近傍に、その上辺22bの形状に沿った下部フレーム補強部としての下部フレーム外面膨出部22cを備えている。上辺22bは滑らかに湾曲しており、その形状に沿って幅広な下部フレーム外面膨出部22cが、下部外面材22aの一部をシート外側に膨出して形成されている。下部フレーム外面膨出部22cに関し、上辺22bからの幅は、必ずしも上辺22bと平行にする必要はなく、本実施形態のように、場所によってその幅が異なる構成としても良い。
上部フレーム膨出部21cと、下部フレーム外面膨出部22cとは、連続して重なる形状に形成されている。上部フレーム膨出部21cと、下部フレーム外面膨出部22cが、互いに独立して分断された形状とした場合と比較して、連続して形成することにより、連結部21xにかかる負荷に対する剛性がさらに向上する。
そして、下部着座側サイドフレーム22は、下部外面材22a上の前方位置に、さらに外面ビード22d,22eを備えている。外面ビード22d,22eは下部外面材22aの一部をシート外側に向かって湾曲形状で膨出させ、縦方向に長い形状で配設されている。この構成により、さらに下部着座側サイドフレーム22の剛性が向上する。
下部外面材22aに対向して配設された下部内面材22kにおいてもまた、下部フレーム補強部としての下部フレーム内面膨出部22mが備えられている。下部フレーム内面膨出部22mは、下部内面材22kの上辺22lの形状に沿って、下部内面材22kの一部をシート内側に膨出させることにより形成されている。
また、下部着座側サイドフレーム22は、下部内面材22k上の前方位置に、さらに内面ビード22n,22oを備えている。内面ビード22n,22oは下部内面材22kの一部をシート内側に向かって湾曲形状で膨出させた構成であり、上下方向に長い形状に形成されている。
そして、下部フレーム外面膨出部22cと、下部フレーム内面膨出部22mとは、対向する位置に設けられている。また、外面ビード22d,22e及び内面ビード22n,22oもまた、それぞれが対向する位置に設けられている。
この構成により、さらに下部着座側サイドフレーム22の剛性を向上させることができる。
さらに、外面ビード22d、22e及び内面ビード22n,22oの間には、着座側前方フレーム29aの端部が配設されており、もう一方の端部は着座側サイドフレーム123の下部着座側サイドフレーム24に接合されている(図2、図8参照)。このように構成すると、着座側サイドフレーム121,123の連結強度が向上するため好ましい。
ショルダーアンカー部14が配設されていない側の着座側サイドフレーム123は、上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24が接合して配設されている。着座側サイドフレーム121と、着座側サイドフレーム123とは、互いに非対称の形状とすると好ましい。
すなわち、上部着座側サイドフレーム23と、その上方にショルダーアンカー部14が備えられる側に配設された上部着座側サイドフレーム21とは、互いに異なる形状、大きさで形成されていると好ましい。さらに、下部着座側サイドフレーム24と、下部着座側サイドフレーム22とは、互いに異なる形状、大きさで形成されていると好ましい。そして特に、連結部21xに相当する位置においてその形状が異なって形成されていると好適である。
このように、上部着座側サイドフレーム21,23と、下部着座側サイドフレーム22,24とが互いに非対称に形成されていると、特に側方からの荷重を効率よく分散、伝達することができるため好ましい。
上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22との連結部21x近傍は、乗員が着座する側の縁辺が連続した形状となっており、略円弧状に形成されている。上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24の連結部の乗員が着座する側もまた、略円弧状に形成されているが、円弧の半径の大きさ、すなわち湾曲形状が着座側サイドフレーム121と着座側サイドフレーム123において異なって形成されていると好ましい。
このとき、ショルダーアンカー部14の下方に備えられる上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22の連結部21x近傍の円弧の半径は、もう一方の着座側サイドフレーム123と比較して、大きい方が好ましい。すなわち、ショルダーアンカー部14が取付けられる側の着座側サイドフレーム121において、連結部21xの着座側縁辺が、もう一方の着座側サイドフレーム123の同等部分と比較して、緩やかな湾曲形状である方が好ましい。この構成とすることにより、ショルダーアンカー部14からの荷重を、着座側サイドフレーム121,123の両方に効率よく分散させることができる。
また、ショルダーアンカー部14が備えられていない側に配設される下部着座側サイドフレーム24は、下部外面材22a及び下部内面材22kが対向して接合されてなる下部着座側サイドフレーム22とは異なり、一枚の板材によって形成されている。そして、下部着座側サイドフレーム24の表面にも、シート外側又は内側に膨出した不図示の膨出部又は凸部が設けられている。
下部着座側サイドフレーム24の表面に形成される膨出部又は凸部は、他方の下部着座側サイドフレーム22に設けられる下部フレーム外面膨出部22c,22mとは非対称の位置に、異なる形状で設けられると好ましい。このような構成とすると、ショルダーアンカー部14からの荷重をより分散させやすくなる。
特に、着座側サイドフレーム121の連結部21xに相当する位置近傍において、非対称となる位置及び形状で、膨出部又は凸部が設けられていると好適である。
以下、本発明の車両用シートSを構成する各部材において適用することができる他の実施形態に関し、図面を参照して説明する。図9乃至図11は本発明の他の実施形態を示すものであり、図9はメンバーパイプとエネルギー吸収部材の構成を示す拡大説明図、図10は着座側サイドフレームの説明図、図11はシートバックフレームとバックカバーとの関係を示す説明図である。
(エネルギー吸収部材45について)
図9は、本発明の他の実施形態を示すものであり、メンバーパイプ40とエネルギー吸収部材45の構成示す拡大説明図である。
本実施形態は、エネルギー吸収部材44が略矩形状に形成された上述の実施形態とは異なり、ほぼ直線状に形成されたエネルギー吸収部材45を特徴としている。エネルギー吸収部材45の構成以外は、用いられる材料、効果等、上述の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態において、エネルギー吸収部材45としてのEAワイヤーは、図9のように、シートバックフレーム1の内側、左右方向に渡ってほぼ直線状に形成されており、メンバーパイプ40の上方に設置される。そして、エネルギー吸収部材45の両末端付近がそれぞれメンバーパイプ40の表面に沿って、接合部45a,45bを形成している。そして、この接合部45a,45bはサイドフレーム補強部材30及びサイドフレーム12の近傍に設けられている。
この時、エネルギー吸収部材45の端部が、サイドフレーム補強部材30及びサイドフレーム12に接合された構成とすると、エネルギー吸収部材45の接合面積がより広くなるため、エネルギー吸収部材45の取付強度を向上させることができる。
メンバーパイプ40の端部40a,40bは、上述のように、互いに取付け高さが異なっているため、低い位置に設置される端部40b側、すなわち、ショルダーアンカー部14が設置されない側のエネルギー吸収部材45の端部近傍は、折り曲げられて配設される。エネルギー吸収部材45において、接合部45b近傍は、折り曲げられ、屈曲部45c,45dを備えた構成となっている。そして、メンバーパイプ40の端部40bの表面に長さ方向に沿って接合部45bが当接して配設される。
このように、屈曲したメンバーパイプ40の上方にエネルギー吸収部材45が架設される構成とすることにより、乗員の腰部が後方に移動した際に乗員腰部を支持し、後方移動時のエネルギーを吸収することができる。
上記構成のエネルギー吸収部材44,45は、乗員腰部に対応する位置、より詳細には、第4乃至第5腰椎に対応する位置に配設されており、後面衝突時の慣性力による後方移動のエネルギーを効果的に吸収することができる。
(着座側サイドフレーム121’について)
図10は、本発明の他の実施形態を示すものであり、着座側サイドフレーム121’の説明図である。本実施形態は、連結部21xに、下部フレーム補強部としての下部フレーム外面膨出部22cのみを設けた上述の実施形態とは異なり、下部フレーム補強部として、さらに外面凸部22f’が配設されたことを特徴としている。なお、他の実施形態である着座側サイドフレーム121’に関し、上記実施形態の着座側サイドフレーム121と共通する構成の説明は省略する。
外面凸部22f’は、シート外側方向に膨出したビードであり、上辺22b’から所定距離離間して、上辺22b’に沿った形状で湾曲している。また、下部フレーム外面膨出部22c’は上辺22b’に沿った形状で形成されている。また、下部フレーム外面膨出部22c’と同様に、下部フレーム内面膨出部22m’もまた、上辺22l’に沿って形成されている。
そして、上部着座側サイドフレーム21’において、その縁端21b’、すなわち外周の一部に沿って、上部フレーム膨出部21c’が形成されている。上述の実施形態では、上部フレーム膨出部21cは、縁端21bのほぼ全領域に渡って設けられていたが、本実施形態のように、上部外面材21a’の下方に設けられた連結部21x’の近傍のみに設けた構成としても良い。
また、外面凸部22f’は、下部外面材22a’に配設されているが、下部内面材22k’においても設けられていると好ましい。このとき、また、下部内面材22k’において、外面凸部22f’と対向する位置に、下部フレーム補強部としての内面凸部22p’が設けられているとさらに好ましい。
さらにまた、上述の実施形態(図8を参照)における外面ビード22d,22eのようなビードをさらに設け、この二つのビードを外面凸部22f’が連結するように形成されていると好適である。このように、複数のビードを連結する構成とすると、下部着座側サイドフレーム22’の剛性がさらに向上する。
このように、上部着座側サイドフレーム21’,下部着座側サイドフレーム22’の連結部21x’において、上部着座側サイドフレーム21’の縁端21b’に沿って膨出して形成された上部フレーム膨出部21c’及び下部着座側サイドフレーム22’の上辺22b’に沿って膨出して形成された下部フレーム外面膨出部22c’を備えることにより、連結部21x’は、ショルダーアンカー部14から受ける荷重に対する剛性が向上する。
(バックカバー62について)
図11のように、シートバックフレーム1には、バックカバー62を備えた構成としても良い。バックカバー62は合成樹脂等によって形成される板状の部材であり、シートバックフレーム1の後方側に取付けられる。そして、バックカバー62は表皮材1bと共にクッションパッド1aの背部を覆うように組み付けられる。
バックカバー62は、シートバックフレーム1の後方を覆う位置に配設される背面部62aと、背面部62aの側方から前方へ延出する側面部62b,62cと、背面部62aの側方から前方へ延出する底面部62dを備えている。背面部62aはシートバックフレーム1の後方をほぼ覆う面積を有する略矩形平面状の板材によって形成されている。また、側面部62b,62cは略垂直に前方に延出した平面によって形成され、底面部62dは上方に膨出した形状で前方に延出して形成されている。
底面部62dの上方に膨出した部分には、メンバーパイプ40のパイプ補強部材42,43が接合される。より詳細には、パイプ補強部材42,43の架設部42c,43cが底面部62dの膨出した部分に接合される。
バックカバー62の背面部62aの上方、且つサイドフレーム12の近傍(すなわち、ショルダーアンカー部14が配設されていない側)には、バックカバー取付ブラケット63と係合する穴が形成されている。そして、バックカバー取付ブラケット63は上部フレーム13に係合しており、このような構成とすることにより、バックカバー62は、シートバックフレーム1に組み付けられる。
このように、本発明のシートバックフレーム1の下方には、屈曲部40c,40d,40e,40fを備え、乗員の腰部に対応する位置が凹状となる構成のメンバーパイプ40が配設されている。このような構成により、後面衝突時、乗員が後方へ移動する動きをメンバーパイプ40が妨げることなく、乗員の上体がシートバックS1に沈み込む動きがスムーズに行われる。
なお、上記各実施形態では、具体例として、自動車のフロントシートの助手席側に用いられる車両用シートについて説明したが、これに限らず、運転席側の車両用シート、後部座席の車両用シートについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。