画像読取部の薄型化が進むと、FFCの引き回しが問題となる。たとえば、FFCに関しては、キャリッジ(読取ユニット)の移動に伴ってスムーズに変形しつつ移動するように、FFCの引き回しがなされなければならない。また、FFCの端部を制御基板まで配線するためのスペースを確保しなければならない。画像読取部の薄型化を実現しつつ、このような条件を満たすためには様々な工夫が必要となる。
本発明の目的は、高さの増大を抑制しつつ、フラットケーブルを読取手段の移動に追従してスムーズに移動させることができ、フラットケーブルの配線を効率よく行うことが可能な読取装置および複合機を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る読取装置は、底面を有するハウジングと、前記ハウジングの前記底面に対向して配置され、原稿が載置される原稿載置台と、前記ハウジングの前記底面と前記原稿載置台との間に設けられ、所定方向に移動しながら、原稿の画像を読み取る読取手段と、前記読取手段の動作を制御する制御手段と、前記読取手段と前記制御手段とを接続する第1フラットケーブルとを備える読取装置であって、前記第1フラットケーブルは、前記所定方向の一方側から前記読取手段に接続され、前記読取手段が所定の停止位置に位置している状態で、前記読取手段に接続された部分から前記一方側と反対側の他方側に折り返されるように湾曲する湾曲部、前記湾曲部からさらに前記他方側に延びる上側延部、前記上側延部から前記一方側に折り返される折返し部および前記折返し部から前記ハウジングの前記底面に沿ってさらに前記一方側に延びる下側延部を形成し、前記ハウジングの前記底面には、前記読取手段が前記停止位置に位置している状態で、前記湾曲部に対して前記一方側に位置する部分に、前記第1フラットケーブルが沿う部分よりも一段高く形成された底上部を有し、前記底上部の下方に設けられ、前記第1フラットケーブルにおける前記下側延部から前記制御手段に向けて延びる裏側延部が配設される配設部を備える。
この構成によれば、原稿が載置される原稿載置台は、ハウジングの底面に対向して配置されている。ハウジングの底面と原稿載置台との間には、原稿の画像を所定方向に移動しながら読み取る読取手段が設けられている。読取手段と読取手段の動作を制御する制御手段とは、第1フラットケーブルによって接続されている。
第1フラットケーブルは、所定方向の一方側から読取手段に接続されている。読取手段が所定の停止位置に位置している状態において、第1フラットケーブルは、読取手段に接続された部分から所定方向の一方側と反対側の他方側に折り返されるように湾曲する湾曲部、湾曲部から他方側にさらに延びる上側延部、上側延部から一方側に折り返される折返し部および折返し部からハウジングの底面に沿って一方側にさらに延びる下側延部を形成する。
ハウジングの底面は、湾曲部に対して所定方向の一方側に位置する部分に、第1フラットケーブルの下側延部が沿う部分よりも一段高く形成された底上部を有している。
第1フラットケーブルにおいて、読取手段の移動に追従して移動する部分は、湾曲部、上側延部および折返し部である。湾曲部、上側延部、折返し部および下側延部は、ハウジングの底面における底上部よりも一段低い部分上に配置されている。そのため、ハウジングの底面と原稿載置台との間に、湾曲部、上側延部および折返し部のスムーズな移動に必要な高さを確保することができる。
そして、底上部の下方に生じたスペースに、第1フラットケーブルにおける下側延部から制御手段に向けて延びる裏側延部が配設される配設部が設けられている。そのため、配設部が設けられることによる高さの増大を抑制できる。
よって、高さの増大を抑制しつつ、第1フラットケーブルを読取手段の移動に追従してスムーズに移動させることができる。
下側延部上には、読取手段が停止位置に位置している状態で、上側延部が接触し、上側延部が下側延部に対して滑ることを防止する滑り防止部材224が設けられていることが好ましい。
第1フラットケーブルの下側延部と上側延部との摩擦係数が小さい場合、読取手段が移動したときに、読取手段に追従する第1フラットケーブルの上側延部が下側延部上で滑り、上側延部が盛り上がった状態に撓むことがある。上側延部が撓むと、その撓んだ上側延部に移動中の読取手段が衝突し、上側延部が読取手段と下側延部との間に噛み込むおそれがある。下側延部上に滑り防止部材224が設けられていることにより、上側延部が下側延部に対して滑ることが抑制され、上側延部を読取手段の移動に追従して一層スムーズに移動させることができる。
配設部は、ハウジングに設けられ、第1フラットケーブルの裏側延部を保持して位置決めする保持部材であることが好ましい。
保持部材がハウジングに設けられ、第1フラットケーブルの裏側延部が保持部材に保持されることにより、裏側延部がハウジングに対して位置決めされるので、裏側延部を配設部に容易に配設することができる。
制御手段は、ハウジングの下方に設けられた本体部に収容され、第1フラットケーブルが接続される制御基板を含んでいてもよい。
高さの増大を抑制しつつ、第1フラットケーブルをハウジングから本体部内の制御基板まで引き回すことができる。
ハウジングは、互いに間隔を空けて、それぞれ前記所定方向に延びる一端縁および他端縁を有し、ハウジングおよび保持部材は、その一端縁に沿った回動軸線を中心に本体部に対して回動可能に設けられていてもよい。この場合、第1フラットケーブルは、回動軸線に対して他端縁側と反対側を経由して引き回されていることが好ましい。
これにより、ハウジングが回動されたときに、第1フラットケーブルが引っ張られることを抑制できる。その結果、第1フラットケーブルの損傷を抑制することができる。
本体部の上面には、本体部における他端縁寄りの位置に、制御基板を収容する開口部が形成されていてもよい。この場合、保持部材に保持された裏側延部および開口部を一括して覆うカバー部材が設けられていることが好ましい。
カバー部材が外されると、開口部に収容された制御基板が露出するので、メンテナンスの際に、制御基板に容易にアクセスすることができる。
また、制御基板および第1フラットケーブルの裏側延部へのアクセスが不要なときには、それらがカバー部材で覆われることにより、制御基板および裏側延部を保護することができる。そのため、制御基板および裏側延部にユーザの手が不用意に触れたり、制御基板および裏側延部に水が不用意にかかったりすることを抑制できる。
保持部材は、ハウジングに固定される第1位置と本体部に固定される第2位置とに変位可能に設けられていることが好ましい。
たとえば、保持部材を第1位置に変位させて、保持部材がハウジングに固定された状態で、ハウジングを本体部に組み付けることができる。これにより、ハウジングの本体部への組み付け作業を容易に行うことができる。そして、その組み付け後は、保持部材を第2位置に位置させて、保持部材を本体部に固定することができる。
読取装置は、制御基板に接続される第2フラットケーブルをさらに備えていてもよい。この場合、保持部材は、裏側延部および第2フラットケーブルをそれらが重なり合った状態で保持可能であり、裏側延部と第2フラットケーブルとの間に介在されるスペーサを有していることが好ましい。
第1フラットケーブルの裏側延部および第2フラットケーブルが保持部材に保持されることにより、それらの両方を良好に配設することができる。そして、裏側延部と第2フラットケーブルとの間にスペーサが介在されることにより、裏側延部と第2フラットケーブルとの間でのノイズの相互干渉を抑制することができる。
読取装置は、制御基板に接続される配線をさらに備えていてもよい。この場合、保持部材は、裏側延部および配線を所定方向に横並びで保持可能であり、裏側延部と配線との間に介在される区画壁を有していることが好ましい。
配線が保持部材に保持されることにより、配線を良好に配設することができる。そして、第1フラットケーブルの裏側延部と配線との間に区画壁が介在されることにより、裏側延部と配線との間でのノイズの相互干渉を抑制することができる。
第1フラットケーブルの裏側延部、配線および読取手段を移動させるためのモータは、ハウジングの所定方向の中央部に対して停止位置側となる位置において、所定方向に横並びに配置されていてもよい。
裏側延部とモータとの間に配線が配置されることにより、モータから発生するノイズが裏側延部に入力されることを抑制できる。
読取装置は、原稿を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される原稿が接触しつつ通過する原稿接触部とをさらに備えていてもよい。そして、読取手段は、原稿接触部と対向する対向位置に停止して、原稿接触部に接触しつつ通過する原稿の画像を読み取り可能であり、停止位置は、対向位置または原稿の画像の読み取りが行われないときに読取手段が配置される待機位置であってもよい。
本発明の他の局面に係る複合機は、底面を有するハウジングと、前記ハウジングの前記底面に対向して配置され、原稿が載置される原稿載置台と、前記ハウジングの前記底面と前記原稿載置台との間に設けられ、所定方向に移動しながら、原稿の画像を読み取る読取手段と、前記読取手段の動作を制御する制御手段と、前記読取手段と前記制御手段とを接続するフレキシブルフラットケーブルと、前記ハウジングの下方に設けられた本体部と、前記本体部に収容され、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備える複合機であって、前記フレキシブルフラットケーブルは、前記所定方向の一方側から前記読取手段に接続され、前記読取手段が所定の停止位置に位置している状態で、前記読取手段に接続された部分から前記一方側と反対側の他方側に折り返されるように湾曲する湾曲部、前記湾曲部からさらに前記他方側に延びる上側延部、前記上側延部から前記一方側に折り返される折返し部および前記折返し部から前記ハウジングの前記底面に沿ってさらに前記一方側に延びる下側延部を形成し、前記ハウジングの前記底面には、前記読取手段が前記停止位置に位置している状態で、前記湾曲部に対して前記一方側に位置する部分に、前記フレキシブルフラットケーブルが沿う部分よりも一段高く形成された底上部を有し、前記底上部の下方に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記下側延部から前記制御手段に向けて延びる裏側延部が配設される配設部を備える。
この構成によれば、原稿が載置される原稿載置台は、ハウジングの底面に対向して配置されている。ハウジングの底面と原稿載置台との間には、原稿の画像を所定方向に移動しながら読み取る読取手段が設けられている。読取手段と読取手段の動作を制御する制御手段とは、フレキシブルフラットケーブルによって接続されている。
フレキシブルフラットケーブルは、所定方向の一方側から読取手段に接続されている。読取手段が所定の停止位置に位置している状態において、フレキシブルフラットケーブルは、読取手段に接続された部分から所定方向の一方側と反対側の他方側に折り返されるように湾曲する湾曲部、湾曲部から他方側にさらに延びる上側延部、上側延部から一方側に折り返される折返し部および折返し部からハウジングの底面に沿って一方側にさらに延びる下側延部を形成する。
ハウジングの底面は、湾曲部に対して所定方向の一方側に位置する部分に、フレキシブルフラットケーブルの下側延部が沿う部分よりも一段高く形成された底上部を有している。
フレキシブルフラットケーブルにおいて、読取手段の移動に追従して移動する部分は、湾曲部、上側延部および折返し部である。湾曲部、上側延部、折返し部および下側延部は、ハウジングの底面における底上部よりも一段低い部分上に配置されている。そのため、ハウジングの底面と原稿載置台との間に、湾曲部、上側延部および折返し部のスムーズな移動に必要な高さを確保することができる。
そして、底上部の下方に生じたスペースに、フレキシブルフラットケーブルにおける下側延部から制御手段に向けて延びる裏側延部が配設される配設部が設けられている。そのため、配設部が設けられることによる高さの増大を抑制できる。
よって、高さの増大を抑制しつつ、フレキシブルフラットケーブルを読取手段の移動に追従してスムーズに移動させることができる。
本発明によれば、高さの増大を抑制しつつ、フラットケーブルを読取手段の移動に追従してスムーズに移動させることができる。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<複合機の外観構成>
図1に示されるように、複合機100は、略直方体形状をなしている。複合機100は、読取装置の一例としての画像読取部200と、画像読取部200の下方に配置された画像形成部300とを備えている。
なお、複合機100が水平面上に載置された状態で、平面視における複合機100の長手方向を左右方向と規定する。また、その長手方向および上下方向と直交する方向を前後方向と規定する。図1以降の各図では、図面の理解を助けるために、その規定された方向を矢印で示す。
画像読取部200は、扁平な略直方体形状をなしている。画像読取部200は、画像形成部300に対し、画像形成部300の後上端付近において左右方向に延びる軸線を中心として、閉位置と、開位置とに回動可能に設けられている。画像読取部200は、閉位置において、画像形成部300上に積み重なる。画像読取部200は、開位置において、画像形成部300に対して前側が持ち上がって展開する。
また、画像読取部200は、本体部の一例としての画像読取本体部201と、ADF(Auto
Document Feeder)202とを備えている。ADF202は、画像読取本体部201の後上端付近において左右方向に延びる軸線を中心として、図1に示される閉位置と、図2に示され開位置とに回動可能に設けられている。原稿カバー202は、閉位置において、本体部201上に積み重なる。原稿カバー202は、開位置において、本体部201に対して前側が持ち上がって展開する。
画像形成部300は、略直方体形状をなしている。画像形成部300の正面の上部には、ユーザによって操作される操作パネルPが配置されている。
<画像読取部の画像読取のための構成>
画像読取部200の画像読取本体部201は、図3、図4、図5および図6に示されるように、樹脂製のハウジング203を備えている。ハウジング203は、図3および図6に示されるように、平面視で略矩形状に形成されている。また、ハウジング203は、底面204を有している。
ハウジング203には、図3、図4および図5に示されるように、コンタクトガラス205が保持されている。コンタクトガラス205は、左右方向に長い矩形状のガラス板からなる。コンタクトガラス205は、ハウジング203の前上端部と後上端部との間に架設され、ハウジング203を上方から閉塞するように水平姿勢で配置されている。
コンタクトガラス205の左端部上には、コンタクトガラス205の左端縁と間隔を空けて、前後方向に延びる平面視矩形状の仕切り部206が配置されている。仕切り部206の前後方向の両端部は、図3に示されるように、コンタクトガラス205の前後方向の端縁よりも外側に配置されている。これにより、コンタクトガラス205の上面は、仕切り部206とコンタクトガラス205の右端縁との間の部分である原稿載置台207と、仕切り部206とコンタクトガラス205の左端縁との間の部分である原稿接触部208とに分割されている。なお、基準板206の下面、すなわち、コンタクトガラス205との対向面には、後述するCISユニット210により白基準として読み取られる白色に着色された基準板(図示せず)が取り付けられている。基準板は、コンタクトガラス205の前後方向とほぼ同じ長さを有している。
ハウジング203の底面204とコンタクトガラス205との間には、移動体の一例としてのキャリッジ209が設けられている。キャリッジ209は、図6に示されるように、前後方向に長い平面視矩形状をなしている。
キャリッジ209には、読取手段の一例としてのCIS(Contact Image
Sensor)ユニット210が支持されている。CISユニット210の内部には、たとえば、LED光源、レンズおよびイメージセンサなどが配置されている。
また、ハウジング203の底面204とコンタクトガラス205との間には、キャリッジ209を左右方向(所定方向に相当する)に往復移動させるための移動機構211が設けられている。移動機構211は、ガイドレール212、モータ213、第1プーリ214、第2プーリ215および歯付ベルト216を含む。
ガイドレール212は、ハウジング203の底面204に、ハウジング203と一体成形されている。ガイドレール212は、図3および図6に示されるように、左右方向に延びる突条として形成されている。キャリッジ209は、ガイドレール212に跨がるように設けられ、ガイドレール212に案内されつつ左右方向に往復移動可能とされている。
モータ213は、ガイドレール212の左端部のさらに左側に配置されている。モータ213の出力軸には、モータギヤ217が取り付けられている。
第1プーリ214は、モータ213の前側に配置されている。第1プーリ214は、第1ギヤ部および第2ギヤ部を同一軸線上に有する段付ギヤからなり、第1ギヤ部には、モータギヤ217が噛合している。
第2プーリ215は、ガイドレール212の右端部の近傍において、その回転中心が第1プーリ214の回転中心を通って左右方向に延びる直線上に位置するように配置されている。
歯付ベルト216は、第1プーリ214と第2プーリ215とに巻回されて、左右方向に延びている。歯付ベルト216の内面に形成されたギヤは、第1プーリ214の第2ギヤ部に噛合している。歯付ベルト216の途中部は、キャリッジ209に固定されている。
モータ213が一方向に駆動されると、モータギヤ217から第1プーリ214に駆動力が入力され、第1プーリ214がモータ213と逆方向に回転する。第1プーリ214の回転により、歯付ベルト216が周回し、これに伴って、キャリッジ209がガイドレール212に案内されつつ右方に移動する。また、モータ213が他方向に駆動されると、モータギヤ217から第1プーリ214に駆動力が入力され、第1プーリ214がモータ213と逆方向に回転する。第1プーリ214の回転により、歯付ベルト216が周回し、これに伴って、キャリッジ209がガイドレール212に案内されつつ左方に移動する。
<画像読取部の配線構造>
CISユニット210の後端部には、図4、図6および図7に示されるように、コネクタ218が設けられている。コネクタ218には、第1フラットケーブルの一例である第1FFC(Flexible Flat Cable:フレキシブルフラットケーブル)219の一端部に設けられた端子が左側から接続される。
CISユニット210が仕切り部206に下方から対向する待機位置に配置された状態において、第1FFC219は、図7に示されるように、コネクタ218から右側に折り返されるように湾曲しつつ下方に延びる湾曲部220、湾曲部から右方にさらに延びる上側延部221、上側延部221から左側に折り返される折返し部222および折返し部222からハウジング203の底面204に沿って左方に延びる下側延部223を形成する。
上側延部221と下側延部223とは、図4に示されるように、上下に重なり合っている。そして、下側延部223上には、待機位置に配置されたCISユニット210と対向する位置に、滑り防止部材224が配置されている。滑り防止部材224は、上側延部221の下面に対する摩擦係数が下側延部223の上面よりも高い材質からなる。
ハウジング203の底面204は、CISユニット210が待機位置に配置された状態において、図4に示されるように、湾曲部220の左側に位置する部分に、下側延部223が配置されている部分よりも一段高く形成された底上部225が形成されている。
第1FFC219は、図8に示されるように、下側延部223の左端部から画像形成部300に対する画像読取部200(ハウジング203)の回動軸線Cの後側を通して、底上部225の下方に引き出されている。
底上部225の下方であって、図5に示されるように、モータ213の左側には、配設部である保持部材231が設けられている。保持部材231は、樹脂による一体成形品である。保持部材231は、図9、図10および図11に示されるように、前後方向に延びるスペーサの一例としての保持部材本体232と、保持部材本体232の後端部から左右方向の両側に突出する軸部233とを備えている。軸部233は、ハウジング203に設けられた軸保持部234により、ハウジング203と共通の回動軸線Cを中心に回転可能に保持されている。これにより、保持部材231は、ハウジング203の底面204に固定される第1位置と、後述する画像形成部本体301に固定される第2位置とに変位可能に設けられている。
保持部材本体232の上面、つまり保持部材231が水平に延びる状態で上方を向く面には、図9および図10に示されるように、第1FFC保持部235が左端縁に沿って形成されている。第1FFC保持部235は、前後方向の途中部に段差を有し、保持部材231が水平に延びる状態において、その段差よりも後側の部分が前側の部分よりも一段低くなるように形成されている。
第1FFC219において底上部225の下方に引き出された部分は、裏側延部236として、第1FFC保持部235に保持されて、前後方向に延びている。
保持部材本体232の下面、つまり保持部材231が水平に延びる状態で下方を向く面には、図11に示されるように、第2FFC保持部237が左端縁に沿って形成されている。
第2FFC保持部237には、ADF202から延びる第2フラットケーブルの一例としての第2FFC238が保持されている。第2FFC238は、ADF202から第2FFC保持部237の後端部を経由し、第2FFC保持部237を前側に向かって延びている。
また、保持部材本体232の下面には、ハーネス保持部239が右端縁に沿って形成されている。ハーネス保持部239は、前後方向において第1FFC保持部235の段差と同じ位置に段差を有し、保持部材231が水平に延びる状態において、その段差よりも後側の部分が前側の部分よりも一段低くなるように形成されている。
ハーネス保持部239には、ADF202から延びる複数の配線の一例としてのハーネス240が保持されている。各ハーネス240は、画像形成部300からハーネス保持部239の後端部を経由し、ハーネス保持部239を前側に向かって延びている。
また、保持部材本体232の下面には、第2FFC保持部237とハーネス保持部239との間に、それらを区画する区画壁242が形成されている。さらに、保持部材本体232の下面には、ハーネス保持部239に保持されたハーネス240を仕切るための仕切壁243が形成されている。
<ADFの構成>
図1に示されるように、ADF202の上面の左右方向の中央部には、トレイ251が設けられている。トレイ251は、平面視で略矩形状をなしている。トレイ251は、前後方向に延びる軸線を中心とした回動による開閉が可能に設けられている。トレイ251が閉じられた状態において、トレイ251の外面は、ADF202の上面をなす。トレイ251が閉じられた状態から開かれるときには、閉じられた状態のトレイ251の左端部が持ち上げられて、トレイ251が右側に回動される。トレイ251は、開かれた状態において、図12に示されるように、右上がりに傾斜して延びる。
また、図1に示されるように、ADF202の上面の右端部には、メンテナンスカバー252が設けられている。メンテナンスカバー252は、平面視で略矩形状をなしている。メンテナンスカバー252は、前後方向に延びる軸線を中心とした回動による開閉が可能に設けられている。メンテナンスカバー252が閉じられた状態において、メンテナンスカバー252の外面は、ADF202の上面をなす。メンテナンスカバー252は、開かれた状態において、図12に示されるように、左上がりに傾斜して延びる。
<原稿搬送のための構成>
ADF202は、トレイ251が開かれることによって露出する部分に、図12に示されるように、供給部253および排出部254を備えている。
供給部253は、排出部254の下方に位置している。供給部253の上面の右端部は、緩やかに湾曲しつつ右上がりに傾斜している。そして、供給部253の上面の右端部は、開かれた状態のトレイ251の内面に微小な隙間を空けて接続される。
供給部253には、1対の原稿幅ガイド255が設けられている。1対の原稿幅ガイド255は、互いに前後方向に対向している。各原稿幅ガイド255は、供給部253の上面に対して垂直に立ち上がる立ち上がり部256と、立ち上がり部256の上端縁から前後方向の内側に演出する延出部257とを有している。1対の原稿幅ガイド255は、それらの間の中央を基準として、互いに同じ移動量で近接および離間可能に構成されている。
排出部254は、供給部253の上方に、供給部253と間隔を空けて設けられている。排出部254は、前後方向および左右方向に延びる矩形板状をなしている。
メンテナンスカバー252が開かれることによって露出する部分には、その左端部に、搬送手段の一例としての3個のLFローラ258が設けられている。3個のLFローラ258は、前後方向に延びる不図示の軸に支持されて、前後方向に間隔を空けて配置されている。LFローラ258の軸は、筐体2に回転可能に保持されている。
LFローラ258の周面の最上点と排出部254との間には、ガイド部材259がそれらに跨がるように設けられている。
ADF202の使用時、つまりシート状の原稿の搬送時には、1対の原稿幅ガイド255の間の間隔が原稿の幅に合わされる。そして、原稿は、1対の原稿幅ガイド255の間に右側から差し込まれることにより、供給部253およびトレイ251上に跨がってセンタ基準で載置される。
供給部253およびトレイ251上に載置された原稿は、不図示の供給ローラにより、供給部253から左方に引き込まれ、LFローラ258の下方に向けて搬送される。その後、原稿は、LFローラ258の周面に沿って搬送されることにより、搬送方向が左方向から右方向に折り返される。そして、原稿は、ガイド部材259上を右方向に搬送されて、排出部254上に排出される。原稿の右端部は、排出部254を越えて、トレイ251上に載置される。原稿の左端部は、排出部254上に残って、排出部254上に載置される。なお、供給部253にセットされた原稿の上方には、原稿幅ガイド255の延出部257が位置するため、排出部254およびトレイ251上に跨って載置される排出後の原稿と供給部253およびトレイ251上に跨がって載置されている搬送前の原稿とは混合しない。
<画像の読み取り>
画像読取部200では、フラットベッド方式により、原稿の画像を読み取ることができる。
フラットベット方式による画像の読み取りの際には、ADF202が画像読取本体部201上に積み重なった位置から前側が持ち上がって展開した位置に変位される。これにより、原稿載置台207が露出する。この露出した原稿載置台207上に、原稿が読取対象の面を原稿載置台207側に向けて載置される。その後、ADF202が画像読取本体部201上に積み重なった姿勢に戻される。そして、CISユニット210がキャリッジ209とともに待機位置から左方に一定速度で移動されながら、CISユニット210から原稿載置台207上の原稿に光が照射される。原稿での反射光がCISユニット210のイメージセンサに受けられることにより、原稿に形成されている画像の読み取りが達成される。
また、画像読取部200では、ADF方式により、シート状の原稿の画像を読み取ることができる。
ADF方式による画像の読み取りの際には、CISユニット210が待機位置から原稿接触部208に下方から対向する位置に移動され、その位置に固定的に配置される。また、ADF方式による画像の読み取りの際には、ADF202が使用される。ADF202による原稿は、その搬送の途中で、原稿接触部208に接触しつつ移動する。このとき、CISユニット210から原稿接触部208に接触している原稿に光が照射される。原稿での反射光がCISユニット210のイメージセンサに受けられることにより、原稿に形成されている画像の読み取りが達成される。
<画像形成部の構成>
画像形成部300は、図13に示されるように、画像形成部本体301を備えている。画像形成部本体301内には、図5に仮想線で示されるように、たとえば、プリンタ機能を実現するためのインクジェット方式の画像形成手段の一例としての画像形成ユニット302が設けられている。
画像形成部本体301の上面の左前端部には、図13に示されるように、開口部303が形成されている。この開口部303には、カバー部材304が着脱可能に装着されている。
カバー部材304が取り外された状態では、図14に示されるように、画像形成部本体301内に設けられた制御手段である制御基板305の左端部が開口部303を介して露出する。また、カバー部材304は、開口部303を閉塞するとともに、第2位置で画像形成部本体301に固定された保持部材231を上方から覆うように形成されている。これにより、カバー部材304は、前後方向の途中部に段差を有し、その段差よりも後側の部分が前側の部分よりも一段低くなるように形成されている。
そして、第1FFC219、第2FFC238およびハーネス240は、開口部303内で制御基板305に接続されている。CISユニット210による画像の読取動作は、制御基板305から第1FFC219を介してCISユニット210に指令が送信されることよって制御される。
<作用効果>
この構成によれば、原稿が載置される原稿載置台207は、ハウジング203の底面204に対向して配置されている。ハウジング203の底面204と原稿載置台207との間には、原稿の画像を所定方向に移動しながら読み取るCISユニット210が設けられている。CISユニット210とCISユニット210の動作を制御する制御基板305とは、第1FFC219によって接続されている。
第1FFC219は、左側からCISユニット210に接続されている。CISユニット210が待機位置に位置している状態において、第1FFC219は、CISユニット210に接続された部分から右側に折り返されるように湾曲する湾曲部220、湾曲部220から右側にさらに延びる上側延部221、上側延部221から左側に折り返される折返し部222および折返し部222からハウジング203の底面204に沿って左側にさらに延びる下側延部223を形成する。
ハウジング203の底面204は、湾曲部220に対して左側に位置する部分に、第1FFC219の下側延部223が沿う部分よりも一段高く形成された底上部225を有している。
第1FFC219において、CISユニット210の移動に追従して移動する部分は、湾曲部220、上側延部221および折返し部222である。湾曲部220、上側延部221、折返し部222および下側延部223は、ハウジング203の底面204における底上部225よりも一段低い部分上に配置されている。そのため、ハウジング203の底面204と原稿載置台207との間に、湾曲部220、上側延部221および折返し部222のスムーズな移動に必要な高さを確保することができる。
そして、底上部225の下方に生じたスペースに、第1FFC219における下側延部223から制御基板305に向けて延びる裏側延部236を保持する保持部材231が設けられている。そのため、保持部材231が設けられることによる高さの増大を抑制できる。
よって、高さの増大を抑制しつつ、第1FFC219をCISユニット210の移動に追従してスムーズに移動させることができる。
下側延部223上には、CISユニット210が待機位置に位置している状態で、上側延部221が接触し、上側延部221が下側延部223に対して滑ることを防止する滑り防止部材224が設けられている。
第1FFC219の下側延部223と上側延部221との摩擦係数が小さい場合、CISユニット210が移動したときに、下側延部223上で上側延部221が滑り、上側延部221が盛り上がった状態に撓むことがある。上側延部221が撓むと、その撓んだ上側延部221にCISユニット210が衝突し、上側延部221がCISユニット210と下側延部223との間に噛み込むおそれがある。下側延部223上に滑り防止部材224が設けられていることにより、上側延部221が下側延部223に対して滑ることが抑制され、上側延部221をCISユニット210の移動に追従して一層スムーズに移動させることができる。
保持部材231がハウジング203に設けられ、裏側延部236が保持部材231に保持されている。
これにより、裏側延部236がハウジング203に対して位置決めされるので、裏側延部236を容易に配設することができる。
第1FFC219は、ハウジング203および保持部材231の回動軸線Cの後側を経由して引き回されている。
これにより、ハウジング203が回動されたときに、第1FFC219が引っ張られることを抑制できる。その結果、第1FFC219の損傷を抑制することができる。
画像形成部本体301の上面には、画像形成部本体301における他端縁寄りの位置に、制御基板305を収容する開口部303が形成されていてもよい。この場合、保持部材231に保持された裏側延部236および開口部303を一括して覆うカバー部材304が設けられていることが好ましい。
カバー部材304が外されると、開口部303に収容された制御基板305が露出するので、メンテナンスの際に、制御基板305に容易にアクセスすることができる。
また、制御基板305および第1FFC219の裏側延部236へのアクセスが不要なときには、それらがカバー部材304で覆われることにより、制御基板305および裏側延部236を保護することができる。そのため、制御基板305および裏側延部236にユーザの手が不用意に触れたり、制御基板305および裏側延部236に水が不用意にかかったりすることを抑制できる。
保持部材231は、ハウジング203の底面204に固定される第1位置と、後述する画像形成部本体301に固定される第2位置とに変位可能に設けられている。
たとえば、保持部材231を第1位置に変位させて、保持部材231がハウジング203に固定された状態で、ハウジング203を画像形成部本体301に組み付けることができる。これにより、ハウジング203の画像形成部本体301への組み付け作業を容易に行うことができる。そして、その組み付け後は、保持部材231を第2位置に位置させて、保持部材231を画像形成部本体301に固定することができる。
画像読取部200は、制御基板305に接続される第2FFC238をさらに備えている。そして、保持部材231は、裏側延部236および第2FFC238をそれらが重なり合った状態で保持可能であり、裏側延部236と第2FFC238との間には、保持部材本体232が介在される。
第1FFC219の裏側延部236および第2FFC238が保持部材231に保持されることにより、それらの両方を良好に配設することができる。そして、裏側延部236と第2FFC238との間に保持部材本体232が介在されることにより、裏側延部236と第2FFC238との間でのノイズの相互干渉を抑制することができる。
画像読取部200は、制御基板305に接続されるハーネス240をさらに備えている。っして、保持部材231は、裏側延部236およびハーネス240を所定方向に横並びで保持可能であり、裏側延部236とハーネス240との間に介在される区画壁242を有している。
ハーネス240が保持部材231に保持されることにより、ハーネス240を良好に配設することができる。そして、第1FFC219の裏側延部236とハーネス240との間に区画壁242が介在されることにより、裏側延部236とハーネス240との間でのノイズの相互干渉を抑制することができる。
第1FFC219の裏側延部236、第2FFC238、ハーネス240およびCISユニット210を移動させるためのモータ213は、図5に示されるように、ハウジング203の左側に片寄った位置において、左右方向に横並びに配置されている。
裏側延部236とモータ213との間にハーネス240が配置されることにより、モータ213から発生するノイズが裏側延部236に入力されることを抑制できる。
また、第2FFC238とモータ213との間にハーネス240が配置されることにより、モータ213から発生するノイズが第2FFC238に入力されることを抑制できる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、画像読取部200が画像形成部300と組み合わされて、これらが複合機100を構成している。しかしながら、画像読取部200は、それ単独でスキャナを構成してもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。