JP6002868B1 - 力覚センサおよびこれに用いる構造体 - Google Patents

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Abstract

板状の受力体(100)の下方に板状の支持体(200)を配置し、両者間に変形体(300)を接続する。変形体(300)は、第1受力点(P1)と第2受力点(P2)とを結ぶ接続経路(R1)に沿って配置された弾性変形部(310)と、この弾性変形部(310)を下方から支持する第1台座部(320)および第2台座部(330)を有する。第1台座部(320)の上端は、接続経路(R1)上の第1の中継点(m1)の近傍を揺動自在に支持し、第2台座部(330)の上端は、接続経路(R1)上の第2の中継点(m2)の近傍を揺動自在に支持する。一対の中継点(m1,m2)を連結する腕状部材(312)により、受力体(100)に作用した原点(O)まわりのモーメントに対する検出感度を低減し、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整を容易にする。

Description

本発明は、力覚センサに関し、特に、三次元直交座標系における特定の座標軸方向の力および特定の座標軸まわりのモーメントを検出するのに適したセンサに関する。
ロボットや産業機械の動作制御を行うために、種々のタイプの力覚センサが利用されている。また、電子機器の入力装置のマン・マシンインターフェイスとしても、小型の力覚センサが組み込まれている。このような用途に用いる力覚センサには、小型化およびコストダウンを図るために、できるだけ単純な構造で、三次元空間内での各座標軸に関する力をそれぞれ独立して検出できるようにすることが要求される。
このような観点から、現在、一般的に利用されている多軸力覚センサでは、機械的な構造部分として、検出対象となる力を受ける受力体と、この受力体を支持するための支持体と、受力体と支持体との間に設けられ弾性変形を生じる変形体と、を含む基本構造体が採用されている。この基本構造体に、更に、変形体の変形状態を電気的に検出するための検出素子と、得られた検出結果に基づいて受力体に作用した所定の座標軸方向の力および所定の座標軸まわりのモーメントを示す電気信号を出力する検出回路と、を付加することにより、所望の力覚センサを構成することができる。
変形体の変形状態を検出する検出素子としては、変形体の特定の部分に生じた機械的な歪みを電気信号として取り出す素子や、変形体の特定の部分の変位を電気信号として取り出す素子などが利用されている。前者の歪み検出タイプの検出素子の代表格は、変形体の特定の箇所に張り付けられたストレインゲージであり、作用した力によって生じた機械的な歪みは、ストレインゲージの電気抵抗の変化として電気的に検出される。一方、後者の変位検出タイプの検出素子の代表格は、変形体の特定の部分に固定された変位電極と支持体の対向部分に固定された固定電極とによって構成される容量素子である。作用した力により変形体に変位が生じると、変位電極と固定電極との間の距離が変化するため、当該変位は、容量素子の静電容量値の変化として電気的に検出される。
たとえば、下記の特許文献1および2には、受力体と支持体との間を接続する変形体として、複数の柱状部材および複数のダイアフラムを用いた力覚センサが開示されている。各柱状部材は、上端がダイアフラムを介して受力体に固定され、下端がダイアフラムを介して支持体に固定されている。このため、支持体を固定した状態において受力体に力が作用すると、ダイアフラムの弾性変形により、個々の柱状部材に変位が生じ、この変位状態を容量素子を用いて検出することにより、XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントを検出することができる。また、下記の特許文献3には、特許文献1および2に開示された力覚センサのバリエーションとして、V字型をなすように傾斜配置された柱状部材対のグループを変形体として利用した力覚センサが開示されている。
米国特許第6915709号公報 米国特許第7219561号公報 米国特許第8408075号公報
一般に、物体をXYZ三次元直交座標系に配置した場合、当該物体に作用する外力として、各座標軸方向の力(当該物体を特定の座標軸方向に押しやる並進力)と各座標軸まわりのモーメント(当該物体を特定の座標軸まわりに回転させる回転力)とが考えられる。具体的には、前者としては、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzの3軸成分が考えられ、後者としては、X軸まわりのモーメントMx、Y軸まわりのモーメントMy、Z軸まわりのモーメントMzの3軸成分が考えられるので、合計6軸成分を考慮する必要がある。
上述した特許文献1〜3に開示されている従来の力覚センサは、これら6軸成分を別個独立して検出することができ、各軸成分を区別して取り扱う必要がある用途には利用価値が高い。ただ、実用上は、各軸成分の検出レンジが同じになるように、個々の軸成分ごとにバランスをとった設計を行うのが好ましい。
たとえば、検出素子として容量素子を用いた場合、加えられた外力の検出値は、特定の容量素子の静電容量値の変動量として得られることになる。この場合、作用する軸ごとに静電容量値の変動量に大きな違いがあると、各軸成分の検出レンジに大きな違いが生じてしまう。もちろん、個々の検出値は電気信号として得られるので、感度の低い軸成分は、アナログ的な増幅処理やデジタル的な増幅処理によって補正することが可能である。しかしながら、このような増幅処理を行うと、ノイズ等の誤差成分も増幅されてしまうため、検出精度が低下するという問題が生じ、力覚センサの潜在的な性能を制限してしまうことになる。
特に、モーメントの検出感度については、モーメントに特有の問題が存在する。これは、モーメントの値が、作用点に加えられた外力の大きさそのものではなく、加えられた外力の大きさに回転中心からの距離を乗じた値として定義されるためである。
たとえば、物体の重心点を中心として半径100mm(0.1m)の円を描き、この円周上の作用点に円の接線方向に向かって、当該物体に対する1Nの外力が作用した場合を考えてみよう。この場合、重心点に回転力として作用するモーメントの値は、1N×0.1m=0.1N・mになる。これに対して、同じ1Nの外力が、重心点を通る直線に沿って作用した場合は、重心点に並進力として作用する力の値は、1Nである。このように、同じ物体に同じ1Nの外力が作用した場合でも、これを所定軸方向の力(並進力)として検出するか、所定軸まわりのモーメント(回転力)として検出するか、によって、得られる検出値に相違が生じることになる。
したがって、力覚センサを設計する際には、特定の利用環境を前提として、各軸成分の検出レンジのバランスが適切に保たれるような配慮が必要になる。たとえば、モーメントとして検出される外力の作用点が、回転の中心点から100mm離れた位置に設定されるような利用環境を前提とした力覚センサの場合、モーメント(回転力)の検出感度と力(並進力)の検出感度との比率が10:1になるような設計を行えば、モーメントと力の検出値(検出レンジ)のバランスを適正に保つことができる。同様に、中心点と作用点との距離が200mmになるような利用環境の場合、検出感度の比率を5:1に設定するのが好ましく、中心点と作用点との距離が50mmになるような利用環境の場合、検出感度の比率を20:1に設定するのが好ましい。
ただ、前述したように、力覚センサの利用形態は、ロボットハンドやマニピュレータなどの産業機械から、ジョイスティックのような入力装置に至るまで多岐にわたっており、中心点と作用点との距離も様々である。特に、ジョイスティックのような入力装置の場合、外力はユーザが直接手に触れる操作部品に対して加えられることになるため、中心点と作用点との距離は当該操作部品の大きさに依存することになる。したがって、実用上は、具体的な用途ごとに、モーメントの検出感度と力の検出感度との比率が最適になるような設計が必要である。ところが、従来の力覚センサの構造では、このような検出感度の比率を最適にする設計が困難であり、実装した製品において、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを適切な値に設定することが困難である。
たとえば、前掲の特許文献1〜3に開示された構造を採用した力覚センサの場合、モーメントの検出感度と力の検出感度との実際の比率が100:1程度になってしまうため、中心点から作用点までの距離が100mm程度になる一般的な用途の場合、モーメントの検出値(出力電気信号)が力の検出値(出力電気信号)に比べて、大きすぎてしまうという問題が生じる。
そこで本発明は、設計時に、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整が容易な力覚センサを提供することを目的とし、また、そのような力覚センサに利用可能な補助構造体を提供することを目的とする。
以下、本発明の本質的な特徴をいくつかの形態に基づいて説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、図面に示された代表的な実施例についての対応する構成要素を示す符号を括弧書きで引用することにする。もちろん、この括弧書きで示す符号は、実施例中の対応構成要素の一例を示すものであり、各構成要素は、この符号で引用された実施例中の特定の構成要素のみに限定されるものではない。
(1) 本発明の第1の形態は、XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する力覚センサにおいて、
Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体(100)と、受力体の下方に配置された支持体(200)と、受力体と支持体とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる変形体(300)と、を含む基本構造体(1000)と、
変形体の変形もしくは変位、または、受力体もしくは支持体の変位を検出する検出素子(C1〜C4)と、
検出素子の検出結果に基づいて、受力体および支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力する検出回路(900)と、
を設け、
変形体(300)は、所定箇所が受力体(100)に接続され弾性変形を生じる弾性変形部(310)と、この弾性変形部の所定箇所を支持体(200)に固定する第1台座部(320)および第2台座部(330)と、を有し、
XZ平面もしくはXZ平面に平行な平面によって基本構造体(1000)を切断したときに、受力体の断面に現れる幾何学的な図形を受力体図形(100f)と呼び、支持体の断面に現れる幾何学的な図形を支持体図形(200f)と呼び、変形体の断面に現れる幾何学的な図形を変形体図形(300f)と呼んだときに、変形体図形は、弾性変形部(310)の断面である弾性変形部図形(310f)と、第1台座部(320)の断面である第1台座部図形(320f)と、第2台座部(330)の断面である第2台座部図形(330f)と、を含んでおり、
弾性変形部図形(310f)は、受力体図形(100f)の輪郭上に定義された第1受力点(P1)と第2受力点(P2)とを結ぶ所定の接続経路(R1)に沿って配置され、第1受力点(P1)と第2受力点(P2)とを連結する図形であり、
第1台座部図形(320f)は、接続経路(R1)上に定義された第1中継点(m1)の近傍において弾性変形部図形(310f)に接続されており、第2台座部図形(330f)は、接続経路(R1)上に定義された第2中継点(m2)の近傍において弾性変形部図形(310f)に接続されており、
弾性変形部(310)は、第1受力点(P1)と第2受力点(P2)とを連結しており、第1台座部(320)は、弾性変形部(310)の第1中継点(m1)の近傍と支持体(200)上に定義された第1支持点(Q1)とを連結しており、第2台座部(330)は、弾性変形部(310)の第2中継点(m2)の近傍と支持体(200)上に定義された第2支持点(Q2)とを連結しており、
第1受力点(P1)は、負のX座標値をもつ位置に配置され、第2受力点(P2)は、正のX座標値をもつ位置に配置されており、
支持体(200)を固定した状態で受力体(100)に力Fzが作用したとき、および、支持体(200)を固定した状態で受力体(100)にモーメントMyが作用したとき、弾性変形部(310)の第1中継点(m1)の近傍が、第1台座部(320)との接続点(m1′)を支点として第1台座部(320)に対してX軸方向に揺動し、弾性変形部(310)の第2中継点(m2)の近傍が、第2台座部(330)との接続点を支点として第2台座部(330)に対してX軸方向に揺動するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る力覚センサにおいて、
弾性変形部図形(310f)が、接続経路(R1)の第1受力点(P1)から第1中継点(m1)に至る区間に沿って配置された第1外側腕状部図形(311f)と、接続経路(R1)の第1中継点(m1)から第2中継点(m2)に至る区間に沿って配置された内側腕状部図形(312f)と、接続経路(R1)の第2中継点(m2)から第2受力点(P2)に至る区間に沿って配置された第2外側腕状部図形(313f)と、を有するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形(320f)の接続端が、弾性変形部図形(310f)の第1中継点(m1)の近傍の下方に接続され、第2台座部図形(330f)の接続端が、弾性変形部図形(310f)の第2中継点(m2)の近傍の下方に接続されているようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第3の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形(320f)が、接続経路(R1)上に定義された第1中継点(m1)と支持体図形(200f)の輪郭上に定義された第1支持点(Q1)とを結ぶ第1支持経路(R2)に沿って配置され、弾性変形部図形(310f)と支持体図形(200f)とを連結する図形であり、
第2台座部図形(330f)が、接続経路(R1)上に定義された第2中継点(m2)と支持体図形(200f)の輪郭上に定義された第2支持点(Q2)とを結ぶ第2支持経路(R3)に沿って配置され、弾性変形部図形(310f)と支持体図形(200f)とを連結する図形であるようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る力覚センサにおいて、
支持体(200)を固定した状態で受力体(100)に力Fzが作用したとき、および、支持体(200)を固定した状態で受力体(100)にモーメントMyが作用したとき、弾性変形部図形(310f)の第1中継点(m1)の近傍が、第1支持経路(R2)と弾性変形部図形(310f)の輪郭との交点(m1′)を支点として第1台座部図形(320f)に対して揺動し、弾性変形部図形(310f)の第2中継点(m2)の近傍が、第2支持経路(R3)と弾性変形部図形(310f)の輪郭との交点(m2′)を支点として第2台座部図形(330f)に対して揺動するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第3〜第5の態様に係る力覚センサにおいて、
第1中継点(m1)から第2中継点(m2)に向かって辿った接続経路(R1,R4,R5,R7)が、XY平面に交差する第1の長手方向軸(L1,L2,L4)に沿って下方に向かう下降経路と、XY平面に交差する第2の長手方向軸(Z,L3,L5)に沿って上方に向かう上昇経路と、を有し、
内側腕状部図形(312f、342f,352f)が、下降経路に沿った下降腕状部と上昇経路に沿った上昇腕状部とを有するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第6の態様に係る力覚センサにおいて、
第1の長手方向軸(L1,L2)および第2の長手方向軸(Z,L3)がZ軸に平行な軸であるようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第7の態様に係る力覚センサにおいて、
第1の長手方向軸もしくは第2の長手方向軸(Z)が、YZ平面に含まれる軸であるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第7または第8の態様に係る力覚センサにおいて、
接続経路(R1,R4,R5,R7)が、Z軸に平行な縦方向経路とX軸に平行な横方向経路とを有し、
第1受力点(P1)および第2受力点(P2)からは縦方向経路が伸び、第1中継点(m1)および第2中継点(m2)が横方向経路上に定義されているようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第3の態様に係る力覚センサにおいて、
接続経路(R6)の第1中継点(m1)と第2中継点(m2)との間の区間に、下方に湾曲してから上方に湾曲する湾曲路が設けられており、
内側腕状部図形(362f)が、この湾曲路に沿った湾曲部を有するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第2の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形(425f)の接続端が、弾性変形部図形(470f)の第1中継点(m1)の近傍の下方に接続され、第2台座部図形(435f)の接続端が、弾性変形部図形(470f)の第2中継点(m2)の近傍の上方に接続されているようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第11の態様に係る力覚センサにおいて、
第1中継点(m1)から第2中継点(m2)に向かって辿った接続経路(R8)が、XY平面に交差する長手方向軸(L6)に沿って下方に向かう下降経路を有し、
内側腕状部図形(472f)が、この下降経路に沿った下降腕状部を有するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第12の態様に係る力覚センサにおいて、
長手方向軸(L6)がZ軸に平行な軸であるようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第2の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点(m1)の近傍の上方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点(m2)の近傍の上方に接続されているようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第1の態様に係る力覚センサにおいて、
接続経路(R9)上の第2中継点(m2)と第2受力点(P2)との間に、更に、第3中継点(m3)が定義されており、
変形体は、弾性変形部、第1台座部、第2台座部に加えて、更に、第3台座部を有し、
第3台座部は、弾性変形部の第3中継点(m3)の近傍と支持体(250)上に定義された第3支持点(Q3)とを連結しており、
弾性変形部図形(480f)が、接続経路(R9)の第1受力点(P1)から第1中継点(m1)に至る区間に沿って配置された第1外側腕状部図形(481f)と、接続経路(R9)の第1中継点(m1)から第2中継点(m2)に至る区間に沿って配置された第1内側腕状部図形(482f)と、接続経路(R9)の第2中継点(m2)から第3中継点(m3)に至る区間に沿って配置された第2内側腕状部図形(483f)と、接続経路(R9)の第3中継点(m3)から第2受力点(P2)に至る区間に沿って配置された第2外側腕状部図形(484f)と、を有するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第15の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形(426f)の接続端が、弾性変形部図形(480f)の第1中継点(m1)の近傍の下方に接続され、第2台座部図形(436f)の接続端が、弾性変形部図形(480f)の第2中継点(m2)の近傍の下方に接続され、第3台座部の断面である第3台座部図形(496f)の接続端が、弾性変形部図形(480f)の第3中継点(m3)の近傍の上方に接続されているようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第2の態様に係る力覚センサにおいて、
接続経路(R7)の第1受力点(P1)と第1中継点(m1)との間の区間に、U字状をなす第1U字状迂回路(U1)が設けられており、第1外側腕状部図形(411f)が第1U字状迂回路に沿った第1U字状迂回部を有しており、
接続経路(R7)の第2中継点(m2)と第2受力点(P2)との間の区間に、U字状をなす第2U字状迂回路(U2)が設けられており、第2外側腕状部図形(413f)が第2U字状迂回路に沿った第2U字状迂回部を有しているようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第17の態様に係る力覚センサにおいて、
第1U字状迂回路(U1)および第2U字状迂回路(U2)が、Z軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶX軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されているようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第2〜第18の態様に係る力覚センサにおいて、
第1外側腕状部図形(441f;451f)、内側腕状部図形(442f;452f)、第2外側腕状部図形(443f;453f)の全部もしくは一部に、接続経路に直交する方向に関する幅が狭くなったくびれ部(41〜43;51a,51b,52a,52b,53a,53b)を設けるようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第2〜第19の態様に係る力覚センサにおいて、
第1外側腕状部図形(461f)、内側腕状部図形(462f)、第2外側腕状部図形(463f)の全部もしくは一部に、接続経路に直交する方向に突き出した重量調整部図形(62f)を設けるようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第2〜第20の態様に係る力覚センサにおいて、
第1外側腕状部図形(461f)の受力体図形(150f)に対する接続部および第2外側腕状部図形(463f)の受力体図形(150f)に対する接続部に、接続経路に直交する方向に突き出したフランジ部図形(61f,63f)を設けるようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第1〜第21の態様に係る力覚センサにおいて、
第1台座部図形(320f)および第2台座部図形(330f)の弾性変形部図形(310f)に対する接続端が、他の部分に比べて幅が狭い狭窄図形を構成しているようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第1〜第22の態様に係る力覚センサにおいて、
受力体(100)および支持体(200)が、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されているようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第1〜第23の態様に係る力覚センサにおいて、
弾性変形部(310)が、細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されているようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第1〜第24の態様に係る力覚センサにおいて、
検出素子が、弾性変形部の所定箇所の伸縮状態を電気的に検出することにより、変形体の変形状態の検出を行うようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述した第1〜第24の態様に係る力覚センサにおいて、
検出素子が、弾性変形部の所定箇所と支持体の所定箇所との間の距離を電気的に検出することにより、変形体の変位状態の検出を行うようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第26の態様に係る力覚センサにおいて、
検出素子が、弾性変形部の所定箇所に形成された変位電極と、支持体の変位電極に対向する位置に形成された固定電極と、を有する複数の容量素子によって構成され、
検出回路が、複数の容量素子の静電容量値に基づく演算処理を行うことにより、Z軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力するようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述した第1〜第23の態様に係る力覚センサにおいて、
変形体(500)が、所定箇所が受力体(150)に接続され弾性変形を生じるX軸に関する弾性変形部(510)と、このX軸に関する弾性変形部の所定箇所を支持体(250)に固定するX軸に関する第1台座部(520)およびX軸に関する第2台座部(530)と、所定箇所が受力体(150)に接続され弾性変形を生じるY軸に関する弾性変形部(540)と、このY軸に関する弾性変形部の所定箇所を支持体(250)に固定するY軸に関する第1台座部(550)およびY軸に関する第2台座部(560)と、を有し、
XZ平面もしくはXZ平面に平行な平面によって基本構造体を切断したときに、受力体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する受力体図形(150fx)と呼び、支持体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する支持体図形(250fx)と呼び、変形体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する変形体図形(500fx)と呼んだときに、
X軸に関する変形体図形は、X軸に関する弾性変形部(510)の断面であるX軸に関する弾性変形部図形(510f)と、X軸に関する第1台座部(520)の断面であるX軸に関する第1台座部図形(520f)と、X軸に関する第2台座部(530)の断面であるX軸に関する第2台座部図形(530f)と、を含んでおり、
YZ平面もしくはYZ平面に平行な平面によって基本構造体を切断したときに、受力体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する受力体図形(150fy)と呼び、支持体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する支持体図形(250fy)と呼び、変形体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する変形体図形(500fy)と呼んだときに、
Y軸に関する変形体図形は、Y軸に関する弾性変形部(540)の断面であるY軸に関する弾性変形部図形(540f)と、Y軸に関する第1台座部(550)の断面であるY軸に関する第1台座部図形(550f)と、Y軸に関する第2台座部(560)の断面であるY軸に関する第2台座部図形(560f)と、を含んでおり、
X軸に関する弾性変形部図形(510f)は、X軸に関する受力体図形(150fx)の輪郭上に定義されたX軸に関する第1受力点(P11)とX軸に関する第2受力点(P12)とを結ぶ所定のX軸に関する接続経路(R10)に沿って配置され、X軸に関する第1受力点(P11)とX軸に関する第2受力点(P12)とを連結する図形であり、
X軸に関する第1台座部図形(520f)は、X軸に関する接続経路(R10)上に定義されたX軸に関する第1中継点(m11)の近傍においてX軸に関する弾性変形部図形(510f)に接続されており、X軸に関する第2台座部図形(530f)は、X軸に関する接続経路(R10)上に定義されたX軸に関する第2中継点(m12)の近傍においてX軸に関する弾性変形部図形(510f)に接続されており、
Y軸に関する弾性変形部図形(540f)は、Y軸に関する受力体図形(150fy)の輪郭上に定義されたY軸に関する第1受力点(P21)とY軸に関する第2受力点(P22)とを結ぶ所定のY軸に関する接続経路(R11)に沿って配置され、Y軸に関する第1受力点(P21)とY軸に関する第2受力点(P22)とを連結する図形であり、
Y軸に関する第1台座部図形(550f)は、Y軸に関する接続経路(R11)上に定義されたY軸に関する第1中継点(m21)の近傍においてY軸に関する弾性変形部図形(540f)に接続されており、Y軸に関する第2台座部図形(560f)は、Y軸に関する接続経路(R11)上に定義されたY軸に関する第2中継点(m22)の近傍においてY軸に関する弾性変形部図形(540f)に接続されており、
X軸に関する弾性変形部(510)は、X軸に関する第1受力点(P11)とX軸に関する第2受力点(P12)とを連結しており、X軸に関する第1台座部(520)は、X軸に関する弾性変形部(510)のX軸に関する第1中継点(m11)の近傍と支持体(250)上に定義されたX軸に関する第1支持点(Q11)とを連結しており、X軸に関する第2台座部(530)は、X軸に関する弾性変形部(510)のX軸に関する第2中継点(m12)の近傍と支持体(250)上に定義されたX軸に関する第2支持点(Q12)とを連結しており、
Y軸に関する弾性変形部(540)は、Y軸に関する第1受力点(P21)とY軸に関する第2受力点(P22)とを連結しており、Y軸に関する第1台座部(550)は、Y軸に関する弾性変形部(540)のY軸に関する第1中継点(m21)の近傍と支持体(250)上に定義されたY軸に関する第1支持点(Q21)とを連結しており、Y軸に関する第2台座部(560)は、Y軸に関する弾性変形部(540)のY軸に関する第2中継点(m22)の近傍と支持体(250)上に定義されたY軸に関する第2支持点(Q22)とを連結しており、
X軸に関する第1受力点(P11)は、負のX座標値をもつ位置に配置され、X軸に関する第2受力点(P12)は、正のX座標値をもつ位置に配置され、Y軸に関する第1受力点(P21)は、負のY座標値をもつ位置に配置され、Y軸に関する第2受力点(P22)は、正のY座標値をもつ位置に配置されており、
支持体(250)を固定した状態で受力体(150)に力Fzが作用したとき、および、支持体(250)を固定した状態で受力体(150)にモーメントMyが作用したとき、X軸に関する弾性変形部(510)のX軸に関する第1中継点(m11)の近傍が、X軸に関する第1台座部(520)との接続点を支点としてX軸に関する第1台座部(520)に対してX軸方向に揺動し、X軸に関する弾性変形部(510)のX軸に関する第2中継点(m12)の近傍が、X軸に関する第2台座部(530)との接続点を支点としてX軸に関する第2台座部(530)に対してX軸方向に揺動し、
支持体(250)を固定した状態で受力体(150)に力Fzが作用したとき、および、支持体(250)を固定した状態で受力体(150)にモーメントMxが作用したとき、Y軸に関する弾性変形部(540)のY軸に関する第1中継点(m21)の近傍が、Y軸に関する第1台座部(550)との接続点を支点としてY軸に関する第1台座部(550)に対してY軸方向に揺動し、Y軸に関する弾性変形部(540)のY軸に関する第2中継点(m22)の近傍が、Y軸に関する第2台座部(560)との接続点を支点としてY軸に関する第2台座部(560)に対してY軸方向に揺動し、
検出回路(900)が、検出素子の検出結果に基づいて、受力体および支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号に加えて、更に、X軸まわりのモーメントMxを示す電気信号を出力するようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述した第28の態様に係る力覚センサにおいて、
X軸に関する弾性変形部(510)が、XZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されており、Y軸に関する弾性変形部(540)が、YZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されており、X軸に関する弾性変形部(510)とY軸に関する弾性変形部(540)とが、Z軸と交差する位置において融合しているようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述した第28の態様に係る力覚センサにおいて、
X軸に関する変形体図形(500fx)は、変形体(500)をXZ平面によって切断したときに得られる断面図形であり、Y軸に関する変形体図形(500fy)は、変形体(500)をYZ平面によって切断したときに得られる断面図形であり、
X軸に関する弾性変形部図形(510f)およびY軸に関する弾性変形部図形(540f)は、いずれもZ軸について対称形状をなし、X軸に関する弾性変形部図形(510f)とY軸に関する弾性変形部図形(540f)とは幾何学的な合同図形であり、X軸に関する弾性変形部(510)およびY軸に関する弾性変形部(540)が、合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体からなる統合弾性変形部(570)の一部によって構成されているようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述した第30の態様に係る力覚センサにおいて、
X軸に関する第1台座部図形(520f)およびX軸に関する第2台座部図形(530f)によって構成されるX軸に関する台座部図形群と、Y軸に関する第1台座部図形(550f)およびY軸に関する第2台座部図形(560f)によって構成されるY軸に関する台座部図形群とは、いずれもZ軸について対称形状をなし、X軸に関する台座部図形群とY軸に関する台座部図形群とは幾何学的な合同図形であり、X軸に関する第1台座部(520)、X軸に関する第2台座部(530)、Y軸に関する第1台座部(550)、Y軸に関する第2台座部(560)が、上記合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体からなる統合台座部(580)の一部によって構成されているようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、上述した第28〜第31の態様に係る力覚センサにおいて、
X軸に関する接続経路(R10)のX軸に関する第1受力点(P11)とX軸に関する第1中継点(m11)との間の区間に、U字状をなすX軸に関する第1U字状迂回路(U11)が設けられており、X軸に関する接続経路(R10)のX軸に関する第2中継点(m12)とX軸に関する第2受力点(P12)との間の区間に、U字状をなすX軸に関する第2U字状迂回路(U12)が設けられており、
Y軸に関する接続経路(R11)のY軸に関する第1受力点(P21)とY軸に関する第1中継点(m21)との間の区間に、U字状をなすY軸に関する第1U字状迂回路(U21)が設けられており、Y軸に関する接続経路(R11)のY軸に関する第2中継点(m22)とY軸に関する第2受力点(P22)との間の区間に、U字状をなすY軸に関する第2U字状迂回路(U22)が設けられており、
検出素子が、
X軸に関する弾性変形部(510)のうちのX軸に関する第1U字状迂回路(U11)に沿って配置された部分の底面に固定された第1変位電極(E11)と、支持体(250)の上面の第1変位電極に対向する部分に固定された第1固定電極(E21)と、によって構成される第1容量素子(C1)と、
X軸に関する弾性変形部(510)のうちのX軸に関する第2U字状迂回路(U12)に沿って配置された部分の底面に固定された第2変位電極(E12)と、支持体(250)の上面の第2変位電極に対向する部分に固定された第2固定電極(E22)と、によって構成される第2容量素子(C2)と、
Y軸に関する弾性変形部(540)のうちのY軸に関する第1U字状迂回路(U21)に沿って配置された部分の底面に固定された第3変位電極(E13)と、支持体(250)の上面の第3変位電極に対向する部分に固定された第3固定電極(E23)と、によって構成される第3容量素子(C3)と、
Y軸に関する弾性変形部(540)のうちのY軸に関する第2U字状迂回路(U22)に沿って配置された部分の底面に固定された第4変位電極(E14)と、支持体(250)の上面の第4変位電極に対向する部分に固定された第4固定電極(E24)と、によって構成される第4容量素子(C4)と、
を有し、
検出回路(900)が、第1容量素子(C1)の静電容量値と第2容量素子(C2)の静電容量値との差をY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号として出力し、第3容量素子(C3)の静電容量値と第4容量素子(C4)の静電容量値との差をX軸まわりのモーメントMxを示す電気信号として出力し、第1容量素子(C1)の静電容量値、第2容量素子(C2)の静電容量値、第3容量素子(C3)の静電容量値、第4容量素子(C4)の静電容量値の総和をZ軸方向の力Fzを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述した第1〜第22の態様に係る力覚センサにおける変形体と同一構造体により、力覚センサ用の補助構造体を構成したものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述した第33の態様に係る補助構造体を組み込むことにより構成された力覚センサ(5000)において、
XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する機能を有するようにし、
Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体(5100)と、受力体の下方に配置された支持体(5200)と、受力体と支持体とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる検出用変形体(5300)と、受力体と支持体との間に接続された補助構造体(5401〜5404)と、検出用変形体の変形もしくは変位、または、受力体もしくは支持体の変位を検出する検出素子と、検出素子の検出結果に基づいて、受力体および支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力する検出回路と、を設けるようにしたものである。
(35) 本発明の第35の態様は、受力体(5100)と、支持体(5200)と、受力体と支持体とを接続する検出用変形体(5300)と、を有し、力もしくはモーメントの作用により生じる検出用変形体の弾性変形を検出することにより、作用した力もしくはモーメントの検出を行う力覚センサに、部品の一部として組み込んで用いられる補助構造体(5400)において、
弾性変形部(5410)と、第1台座部(5420)と、第2台座部(5430)と、を有し、
弾性変形部(5410)は、少なくとも一部分が弾性変形を生じる構造体であり、その一端には受力体(5100)の第1箇所に固定するための第1受力点(P1)が設けられ、その他端には受力体(5100)の第2箇所に固定するための第2受力点(P2)が設けられており、第1受力点と第2受力点とを接続する所定の接続経路(R12)に沿った腕状構造体をなし、
第1台座部(5420)は、その一端が接続経路(R12)上に定義された第1中継点(m1)の近傍において弾性変形部(5410)に接続されており、その他端には、支持体(5200)の第1箇所に固定するための第1支持点(Q1)が設けられており、
第2台座部(5430)は、その一端が接続経路(R12)上に定義された第2中継点(m2)の近傍において弾性変形部(5410)に接続されており、その他端には、支持体(5200)の第2箇所に固定するための第2支持点(Q2)が設けられており、
第1台座部(5420)の第1支持点(Q1)および第2台座部(5430)の第2支持点(Q2)を固定した状態で、弾性変形部(5410)の第1受力点(P1)および第2受力点(P2)に力が作用したときに、弾性変形部(5410)の第1中継点(m1)の近傍が、第1台座部(5420)との接続点を支点として第1台座部(5420)に対して揺動し、弾性変形部(5410)の第2中継点(m2)の近傍が、第2台座部(5430)との接続点を支点として第2台座部(5430)に対して揺動するようにしたものである。
(36) 本発明の第36の態様は、上述した第35の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
接続経路(R12)が、VW二次元直交座標系のVW平面上に設けられており、弾性変形部(5410)が、VW平面に沿って伸びる腕状構造体をなし、
重心位置にVW二次元直交座標系の原点(G)を定義したときに、第1受力点(P1)はVW二次元直交座標系の第2象限に位置し、第2受力点(P2)はVW二次元直交座標系の第1象限に位置し、第1支持点(Q1)はVW二次元直交座標系の第3象限に位置し、第2支持点(Q2)はVW二次元直交座標系の第4象限に位置するようにしたものである。
(37) 本発明の第37の態様は、上述した第36の態様に係る力覚センサ用の補助構造体を、
VW平面に平行な平面からなる上面と、VW平面に平行な平面からなる下面と、を有する板状部材によって構成したものである。
(38) 本発明の第38の態様は、上述した第36または第37の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
第1中継点(m1)から第2中継点(m2)に向かうように接続経路(R12)を辿ったときに、接続経路(R12)が、W軸負方向に進む第1進行路(r1)とW軸正方向に進む第2進行路(r2)とを有するようにしたものである。
(39) 本発明の第39の態様は、上述した第38の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
第1進行路(r1)もしくは第2進行路(r2)が、VW二次元直交座標系の原点(G)を通る経路であるようにしたものである。
(40) 本発明の第40の態様は、上述した第36〜第39の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
接続経路(R12)が、W軸に平行な縦方向経路とV軸に平行な横方向経路とを有し、
第1受力点(P1)および第2受力点(P2)からは縦方向経路が伸び、第1中継点(m1)および第2中継点(m2)が横方向経路上に定義されているようにしたものである。
(41) 本発明の第41の態様は、上述した第36〜第40の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
接続経路(R12)の第1受力点(P1)と第1中継点(m1)との間の区間に、U字状をなす第1U字状迂回路(U1)が設けられており、接続経路(R12)の第2中継点(m2)と第2受力点(P2)との間の区間に、U字状をなす第2U字状迂回路(U2)が設けられているようにしたものである。
(42) 本発明の第42の態様は、上述した第41の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
第1U字状迂回路(U1)および第2U字状迂回路(U2)が、W軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶV軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されているようにしたものである。
(43) 本発明の第43の態様は、上述した第36〜第42の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
弾性変形部(5410;5510)を構成する腕状構造体の一部に、接続経路(R12)に直交する方向に関する幅が狭くなったくびれ部(54;55)を設けるようにしたものである。
(44) 本発明の第44の態様は、上述した第36〜第43の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
弾性変形部(5410;5510)を構成する腕状構造体の特定箇所に、接続経路(R12)に直交する方向に突き出した重量調整部(62)を設けるようにしたものである。
(45) 本発明の第45の態様は、上述した第36〜第44の態様に係る力覚センサ用の補助構造体において、
第1台座部(5420;5520)および第2台座部(5430;5530)の弾性変形部(5410;5510)に対する接続端が、他の部分に比べて幅が狭い狭窄先端部(5421,5431;5521,5531)を構成しているようにしたものである。
(46) 本発明の第46の態様は、上述した第36〜第45の態様に係る力覚センサ用の補助構造体が、部品の一部として組み込まれた力覚センサ(5000)において、
受力体(5100)と、支持体(5200)と、受力体と支持体とを接続する検出用変形体(5300)と、検出用変形体の弾性変形を検出する検出素子(D)と、検出素子の検出結果に基づいて、作用した力もしくはモーメントの検出信号を出力する検出回路(5900)と、上記補助構造体(5400;5500)と、を設け、
補助構造体の第1受力点(P1)および第2受力点(P2)が、受力体(5100)の下面に接合され、補助構造体の第1支持点(Q1)および第2支持点(Q2)が、支持体(5200)の上面に接合されているようにしたものである。
(47) 本発明の第47の態様は、上述した第46の態様に係る力覚センサにおいて、
受力体(5100)および支持体(5200)が、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されており、Z軸が受力体(5100)および支持体(5200)を挿通しており、
受力体(5100)と支持体(5200)とを接続する検出用変形体(5300)の周囲を取り囲むように、4組の補助構造体が組み込まれており、
第1の補助構造体(5401)は、そのVW平面が正のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
第2の補助構造体(5402)は、そのVW平面が正のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
第3の補助構造体(5403)は、そのVW平面が負のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
第4の補助構造体(5404)は、そのVW平面が負のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
各補助構造体の第1受力点(P1)および第2受力点(P2)が、受力体(5100)の下面に接合され、各補助構造体の第1支持点(Q1)および第2支持点(Q2)が、支持体(5200)の上面に接合されているようにしたものである。
本発明に係る力覚センサでは、両端が受力体に接続された弾性変形部の2箇所の中継点を台座部によって支持体に固定する構造が採用されているため、受力体に作用した外力の種類に応じて、弾性変形部の変形を妨げる抗力を選択的に作用させることができる。したがって、設計時に、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整が容易な力覚センサを提供することが可能になる。
また、本発明に係る力覚センサ用の補助構造体は、両端を受力体に接続するための弾性変形部と、その2箇所の中継点を支持体に固定するための台座部と、を有する構造が採用されているため、当該補助構造体を組み込んだ力覚センサでは、受力体に作用した外力の種類に応じて、弾性変形部の変形を妨げる抗力を選択的に作用させることができる。したがって、設計時に、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整が容易な力覚センサを提供することが可能になる。
一対の柱状部材を用いた従来の力覚センサによる力およびモーメントの検出原理を示す正面図である。 柱状部材の上下をダイアフラムによって支持する構造を採用した従来の力覚センサの構造を示す正断面図である。 一対の柱状部材を傾斜した状態で配置した従来の力覚センサの構造を示す正面図である。 本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサ用の基本構造体の正面図である。 図4に示す基本構造体をXZ平面で切断した断面を示す正断面図である。 図5の一部を拡大した部分拡大正断面図である。 図6に示す部分の揺動変位を説明する近似断面図である。 図4に示す基本構造体における受力体100に、下方への力−Fzが作用したときの各部の変形状態を示す正面図である。 図4に示す基本構造体における受力体100に、時計まわりのモーメント+Myが作用したときの各部の変形状態を示す正面図である。 図4に示す基本構造体における内側腕状部312の構造を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第1の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第2の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第3の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第4の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第5の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第6の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第7の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第8の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図10に示す基本構造体の第9の変形例を説明する正断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサの構成を示す断面図およびブロック図である(基本構造体の部分はXZ平面で切った正断面図)。 本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサの構成を示す断面図およびブロック図である(基本構造体の部分はYZ平面で切った側断面図)。 本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサの第1の三次元構造例を示す上面図およびブロック図である(上面図は、受力体150を取り外した状態を示す)。 本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサの第2の三次元構造例を示す上面図およびブロック図である(上面図は、受力体150を取り外した状態を示す)。 従来の一般的な力覚センサの構成を示す模式図である(図(a) は、支持体の上面図、図(b) は正面図、図(c) は側面図)。 本発明に係る補助構造体を組み込んだ力覚センサの構成を示す上面図およびブロック図である。 本発明に係る補助構造体のより実用的な実施例の正面図である。 図26に示す補助構造体の変形例の正面図である。 図25に示す力覚センサにおける4組の補助構造体の具体的な配置を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図25に示す力覚センサについて、受力体にZ軸負方向の力−Fzが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図25に示す力覚センサについて、受力体にZ軸正方向の力+Fzが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図25に示す力覚センサについて、受力体にY軸正まわりのモーメント+Myが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図25に示す力覚センサについて、受力体にX軸正方向の力+Fxが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図25に示す力覚センサについて、受力体にZ軸正まわりのモーメント+Mzが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である(図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図)。 図26に示す補助構造体の各部の構成を示す正面図である(ハッチングは、各部の領域を示すためのものであり、断面を示すものではない)。 図34に示す補助構造体に各軸方向の力および各軸まわりのモーメントが作用したときに、各部に生じる変形態様を示す表である。 図24に示す従来の力覚センサと図25に示す本発明に係る力覚センサとについて、各軸方向の力および各軸まわりのモーメントが作用したときに得られる検出値を比較する表である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。なお、ここでは、複数の実施形態を個々の章に分けて記載したため、はじめに、各章に関する目次を掲載しておく。
<<< 目 次 >>>
§1. 従来の力覚センサの基本構造およびその問題点(図1〜図3)
§2. 本発明に係る基本構造体の構造(図4〜図7)
§3. 本発明に係る基本構造体の本質的な機能(図8,図9)
§4. 本発明に係る基本構造体の変形例
4−0.基本構造体1000の特徴(図10)
4−1.第1の変形例(図11)
4−2.第2の変形例(図12)
4−3.第3の変形例(図13)
4−4.第4の変形例(図14)
4−5.第5の変形例(図15)
4−6.第6の変形例(図16)
4−7.第7の変形例(図17)
4−8.第8の変形例(図18)
4−9.第9の変形例(図19)
4−10.各変形例の組み合わせ
4−11.基本構造体の三次元構造
4−12.モーメントMxの検出感度調整
§5. 本発明に係る力覚センサの基本的実施形態
5−1.本発明に係る力覚センサの基本的な構成要素
5−2.力覚センサ3000の断面構造(図20,図21)
5−3.力覚センサ3000の検出動作
5−4.力覚センサ3000の第1の三次元構造例(図22)
5−5.力覚センサ3000の第2の三次元構造例(図23)
5−6.力覚センサ3000の他の実施例
§6. 本発明に係る補助構造体とこれを組み込んだ力覚センサ
6−1.補助構造体の概念(図24)
6−2.補助構造体を組み込んだ力覚センサ(図25)
6−3.実用的な補助構造体の実施形態(図26,図27)
6−4.補助構造体の具体的な変形形態(図28〜図36)
<<< §1. 従来の力覚センサの基本構造およびその問題点 >>>
はじめに、説明の便宜上、前掲の特許文献1〜3に開示されている従来の多軸力覚センサの基本構造とその問題点を述べておく。図1は、特許文献1に開示されている力覚センサによる力およびモーメントの検出原理を示す正面図である。
図1(a) に示すとおり、この力覚センサの機械的な構造部分を構成する基本構造体は、受力体10、支持体20、変形体31,32によって構成されている。ここでは、便宜上、図示のように、この基本構造体の中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、図の紙面垂直奥方向にY軸をとり、XYZ三次元直交座標系を定義する。図示の例の場合、受力体10および支持体20は、いずれもXY平面に平行な上下両面を有する板状部材によって構成されており、変形体31,32は一対の柱状部材によって構成されている。
変形体31,32は、受力体10と支持体20とを接続する柱状部材であるが、弾性変形を生じる材料(たとえば、金属)から構成されている。したがって、支持体20を固定した状態(負荷がかかった状態)において、受力体10に外力が作用すると、変形体31,32は、作用した外力に応じた弾性変形を生じ、この基本構造体は全体として変形することになる。
図1(b) は、受力体10にZ軸負方向への力−Fz(図の下方への力)が作用したときの基本構造体の変形状態を示す正面図である。変形体31,32が図の縦方向に縮む変形を生じ、受力体10は下方へ変位する。一方、図1(c) は、受力体10にY軸まわりのモーメント(図における時計まわりの回転力)が作用したときの基本構造体の変形状態を示す正面図である。変形体31は図の縦方向に伸び、変形体32は図の縦方向に縮む変形を生じ、受力体10は右下がりの状態に傾斜する。図1(b) ,図1(c) では、変形状態がかなり誇張して描かれているが、実際には、これほど大きな変形が生じなくても検出が可能である。
なお、本願では、特定の座標軸の正方向に右ネジを進める回転方向を、当該特定の座標軸まわりの正の回転方向と定義しているため、図1(c) に白い矢印で示すモーメントは、Y軸まわりの正のモーメント+Myということになる。ここで、XYZ三次元直交座標系の原点Oは、受力体10に作用するモーメントの回転中心の位置に定義されるべき点であり、その正確な位置は、実際には、この基本構造体が組み込まれた系全体の構造によって定まることになる。たとえば、モーメント+Myが、受力体10内の所定点を回転中心として作用する系の場合、厳密に言えば、当該所定点を原点Oとする取り扱いを行う必要がある。ただ、実用上は、原点Oの位置が多少ずれていても、モーメントの検出精度にそれほど大きな誤差は生じない。したがって、本願では、便宜上、基本構造部の中心位置に原点Oをとった例を示すことにする。
図1には、力−Fzおよびモーメント+Myが作用した状態が例示されているが、力+Fzが作用すると受力体10は上方に変位し、モーメント−Myが作用すると、受力体10は左下がりの状態に傾斜する。また、図示されていないが、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、X軸まわりのモーメントMx、Z軸まわりのモーメントMzが作用した場合にも、この基本構造部はそれぞれ固有の状態に変形する。また、個々の場合の変形量は作用した力の大きさに応じたものになる。そこで、この固有の変形状態および変形量を検出するための検出素子を設けておけば、XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力Fx,Fy,Fzおよび各座標軸まわりのモーメントMx,My,Mzを検出することが可能になる。実際には、検出素子の検出結果に基づいて、各軸成分を示す電気信号を演算して出力する検出回路が付加される。
検出素子としては、変形体31,32の変形もしくは変位(たとえば、支持体20に対する変位)、受力体10の支持体20に対する変位、支持体20の受力体10に対する変位を検出する任意の素子を利用することができる。
たとえば、変形を検出する素子としては、変形体31,32の特定の箇所に張り付けられたストレインゲージを利用することができる。柱状部材からなる変形体31,32が図示のように変形すると、各部に機械的な歪みが生じるので、この歪みをストレインゲージの電気抵抗の変化として電気的に検出することができる。一方、変位を検出する素子としては、変位を生じる側に固定された変位電極と変位を生じない側に固定された固定電極とによって構成される容量素子を利用することができる。たとば、変形体31,32の特定の箇所に固定された変位電極と支持体20に固定された固定電極とを対向させて容量素子を構成しておけば、当該容量素子の静電容量値の変化として、変位電極の変位を電気的に検出することができる。
前掲の特許文献2には、4本の柱状部材を含む変形体を構成し、検出素子として容量素子を用いることにより、XYZ三次元直交座標系における6軸成分Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzを独立して検出可能な力覚センサが開示されている。また、当該文献には、変形体の変形を容易にするため、図2の正断面図に示すように、柱状部材の上下をダイアフラムによって支持する構造を採用した例も開示されている。この例の場合、柱状部材33は、上端がダイアフラム11を介して受力体13に接続され、下端がダイアフラム21を介して支持体23に接続されている。一方、柱状部材34は、上端がダイアフラム12を介して受力体13に接続され、下端がダイアフラム22を介して支持体23に接続されている。
この図2に示す例の場合、柱状部材33,34とダイアフラム11,12,21,22とによって変形体が構成されており、この変形体の変形は、主として、ダイアフラム11,12,21,22の変形によってもたらされることになる。したがって、ダイアフラム11,12,21,22の厚み設定により検出感度の調整が可能である。また、ダイアフラム11,12,21,22に形成された変位電極と支持体23に固定された固定電極とによって容量素子を形成すれば、この容量素子の静電容量値の変化としてダイアフラムの変位を検出することができる。
また、前掲の特許文献3には、図3の正面図に示すように、変形体を構成する一対の柱状部材35,36を、受力体15と支持体25との間に逆V字型をなすように傾斜配置した力覚センサが開示されている。このように柱状部材35,36を傾斜配置した基本構造体を利用すると、検出素子の構成をより単純化することが可能になる。
以上、従来の一般的な力覚センサに用いられる基本構造体を図1〜図3に例示した。これらの基本構造体は、いずれも受力体と支持体との間に変形体を設けた構造を有し、この変形体に生じる弾性変形の態様を検出素子によって検出することにより、作用した力やモーメントの検出が行われる。特に、前掲の特許文献1〜3に開示されている力覚センサの場合、XYZ三次元直交座標系における6軸成分Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzを独立して検出することが可能である。
しかしながら、この6軸成分の検出感度は必ずしも均一ではなく、検出素子の検出値をそのまま利用すると、各軸成分の検出レンジに差が生じてしまう。このため、実用上は、感度の低い軸成分に対しては、アナログ的な増幅処理やデジタル的な増幅処理を施すことにより感度補正を行う必要があるが、このような増幅処理を行うと、ノイズ等の誤差成分も増幅されてしまうため、検出精度が低下するという問題が生じることは既に述べたとおりである。
このような検出感度の差は、特に、力とモーメントとの間において顕著になりやすい。これは前述したように、モーメントの大きさは、加えられた外力の大きさに、作用点から回転中心(原点O)までの距離を乗じた値になるという事情があるためである。
たとえば、図1(c) には、受力体10に対してモーメント+Myが直接作用した状態が示されているが、この力覚センサが、ジョイスティックのような入力装置に組み込まれて用いられる場合、図示の受力体10には、上方に突き出すような操作棹が取り付けられ、ユーザは、この操作棹を操作することになる。したがって、この操作棹が長くなればなるほど、作用するモーメント(原点Oまわりの回転力)の値は大きくなり、操作棹を倒す操作(モーメントMyを発生させる操作)の検出感度は高くなる。これに対して、操作棹を図の下方に押し込む操作(力−Fzを発生させる操作)の検出感度は、操作棹の長さにかかわらず一定である。
本願発明者が、特許文献1〜3に開示されている力覚センサを組み込んだジョイスティック型の入力装置を試作したところ、原点Oと作用点(操作棹の先端部)との距離を100mm(0.1m)程度に設定すると、操作棹を倒す操作(モーメントMyを発生させる操作)の検出感度が、操作棹を押し込む操作(力−Fzを発生させる操作)の検出感度に比べて数倍ほど高い値となった。したがって、当該入力装置を実用化する際には、力−Fzの検出値を増幅して用いる補正処理が必要になる。
もちろん、力とモーメントの検出感度の差は、変形体各部の構造や寸法を変えることにより、ある程度は調整可能である。しかしながら、従来提案されている変形体の構造では、柔軟なバランス調整を行うことができない。特に、図1〜図3に例示した基本構造体の場合、力Fzの検出感度とモーメントMyの検出感度とのバランス調整を行うことが困難である。本発明は、このようなバランス調整を行うのに適した新たな基本構造体を提案するものである。
<<< §2. 本発明に係る基本構造体の構造 >>>
図4は、本発明の基本的な実施形態に係る力覚センサ用の基本構造体1000の正面図である。この基本構造体1000は、§1で述べた従来の基本構造体と同様に、受力体100、支持体200、変形体300によって構成されている。ここでも、この基本構造体1000の中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、図の紙面垂直奥方向にY軸をとり、XYZ三次元直交座標系を定義する。ここで、受力体100および支持体200が、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されている点は、§1で述べた従来の基本構造体と同じであるが、変形体300の構造は、従来のものと比べて大きく異なっている。
図示のとおり、変形体300は、所定箇所が受力体100に接続され、弾性変形を生じる弾性変形部310と、この弾性変形部310の所定箇所を支持体200に固定する第1台座部320および第2台座部330と、を有している。弾性変形部310は、細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されており、左端は受力体100の下面左方に設けられた第1受力点P1に接続され、右端は受力体100の下面右方に設けられた第2受力点P2に接続されている。したがって、弾性変形部310は、第1受力点P1と第2受力点P2とを連結する部材ということになる。
一方、第1台座部320は、上端が弾性変形部310の第1中継点m1の近傍に接続され、下端が支持体200の上面左方に設けられた第1支持点Q1に接続されており、弾性変形部310の第1中継点m1の近傍と支持体200上に定義された第1支持点Q1とを連結する部材ということになる。また、第2台座部330は、上端が弾性変形部310の第2中継点m2の近傍に接続され、下端が支持体200の上面右方に設けられた第2支持点Q2に接続されており、弾性変形部310の第2中継点m2の近傍と支持体200上に定義された第2支持点Q2とを連結する部材ということになる。
ここでは、弾性変形部310の構造を説明するために、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続する接続経路R1(図では太い実線で示す)を考える。接続経路R1は、2点P1,P2を結ぶ経路であれば、どのような経路であってもかまわないが、ここに示す例の場合、XZ平面上に含まれる屈曲した経路によって構成されている。また、図示の例の場合、接続経路R1は、XYZ三次元直交座標系の原点Oを通る経路になっている。なお、図4には、便宜上、点P1,P2,Q1,Q2,m1,m2,Oが描かれているが、これらの点は、実際にはXZ平面上の点になる。
接続経路R1は、弾性変形部310の中心軸としての役割を果たし、弾性変形部310は、この接続経路R1に沿って伸びる細長い腕状部材によって構成される。弾性変形部310の横断面(接続経路R1に直交する平面による切断面)の形状は、矩形であってもよいし、円形であってもよいし、別な任意形状であってもよい。また、必要があれば、内部が中空のパイプによって構成してもかまわない。弾性変形部310の材質は、検出対象となる外力の作用によって弾性変形を生じるものであれば、どのようなものでもかまわないが、商業的利用を図る上では、加工が容易な金属や樹脂を用いて構成するのが好ましい。
図4にx印で示す第1中継点m1および第2中継点m2は、接続経路R1上に定義された点である。ここでは、説明の便宜上、弾性変形部310のうち、第1受力点P1から第1中継点m1に至る区間に配置された部分を第1外側腕状部311と呼び、第1中継点m1から第2中継点m2に至る区間に配置された部分を内側腕状部312と呼び、第2中継点m2から第2受力点P2に至る区間に配置された部分を第2外側腕状部313と呼ぶことにする。
第1台座部320は、第1中継点m1と第1支持点Q1とを接続する第1支持経路R2(図では太い破線で示す)に沿って配置された接続部材であり、第2台座部330は、第2中継点m2と第2支持点Q2とを接続する第2支持経路R3(図では太い破線で示す)に沿って配置された接続部材である。図示の例の場合、第1中継点m1の直下に第1支持点Q1が定義され、第2中継点m2の直下に第2支持点Q2が定義されているため、第1支持経路R2および第2支持経路R3はZ軸に平行な直線になる。
第1台座部320および第2台座部330は、弾性変形部310を第1中継点m1および第2中継点m2の近傍において、支持体200の上方に支持する機能を果たすことができれば、どのような形状の部材で構成してもかまわない。図示する実施例の場合、第1台座部320は、第1支持経路R2を中心軸とする円柱状の構造体によって構成されており、その上端には、半径の小さな第1台座狭窄部321が形成されている。弾性変形部310の第1中継点m1近傍は、この第1台座狭窄部321の上面に接続されている。同様に、第2台座部330は、第2支持経路R3を中心軸とする円柱状の構造体によって構成されており、その上端には、半径の小さな第2台座狭窄部331が形成されている。弾性変形部310の第2中継点m2近傍は、この第2台座狭窄部331の上面に接続されている。
第1台座部320および第2台座部330は、弾性変形してもしなくても、どちらでもかまわないので、任意の材質で構成することができる。もっとも、商業的利用を図る上では、弾性変形部310と同様に、加工が容易な金属や樹脂を用いて構成するのが好ましい。この場合、受力体100に外力が作用すると、第1台座部320および第2台座部330は、弾性変形部310とともに弾性変形することになる。なお、受力体100や支持体200も、金属や樹脂を用いて構成すればよい。
図5は、図4に示す基本構造体1000をXZ平面で切断した断面を示す正断面図である。なお、本願では、基本構造体を構成する各部を所定平面で切断したときに断面上に現れる個々の幾何学的な図形を、それぞれ元の各部の名称の末尾に「図形」なる語句を付加した名称で呼ぶことにし、元の各部の符号の末尾に「f」なる符号(figureの意)を付加した符号を付して示すことにする。
したがって、図5に示す正断面図の場合、受力体100の断面に現れる図形を受力体図形100fと呼び、支持体200の断面に現れる図形を支持体図形200fと呼び、変形体300の断面に現れる図形を変形体図形300fと呼ぶことにする。ここに示す例の場合、受力体100および支持体200は、いずれも上下両面がXY平面に平行となる板状部材であるため、受力体図形100fおよび支持体図形200fは、いずれも図示のとおり矩形になる。
また、受力体図形100fと支持体図形200fとの間に挟まれた変形体図形300fは、弾性変形部310の断面である弾性変形部図形310fと、第1台座部320の断面である第1台座部図形320fと、第2台座部330の断面である第2台座部図形330fと、を含んだ図形になる。ここで、弾性変形部図形310fは、第1外側腕状部図形311f、内側腕状部図形312f、第2外側腕状部図形313fによって構成される。一方、第1台座部図形320fの上端部は第1台座狭窄部図形321fによって構成され、第2台座部図形330fの上端部は第2台座狭窄部図形331fによって構成される。
図5の正断面図においても、接続経路R1は太線で示されている。この接続経路R1は、受力体図形100fの輪郭上に定義された第1受力点P1と第2受力点P2とを結ぶ折れ線状の経路であり、XZ平面上に含まれた経路になる。弾性変形部図形310fは、この折れ線状の接続経路R1に沿って配置され、第1受力点P1と第2受力点P2とを連結する腕状の図形になる。そして、第1台座部図形320fは、接続経路R1上に定義された第1中継点m1の近傍において弾性変形部図形310fに接続された図形になり、第2台座部図形330fは、接続経路R1上に定義された第2中継点m2の近傍において弾性変形部図形310fに接続された図形になる。
図4の正面図に示すとおり、第1台座部320および第2台座部330は、弾性変形部310を下方から支持する部材であるため、図5の正断面図では、第1台座部図形320fの上方の接続端である第1台座狭窄部図形321fは、弾性変形部図形310fの第1中継点m1の近傍の下方に接続され、第2台座部図形330fの上方の接続端である第2台座狭窄部図形331fは、弾性変形部図形310fの第2中継点m2の近傍の下方に接続されている。
また、図5の正断面図に示すとおり、第1台座部図形320fは、接続経路R1上に定義された第1中継点m1と支持体図形200fの輪郭上に定義された第1支持点Q1とを結ぶ第1支持経路R2(図では太い破線で示す)に沿って配置され、弾性変形部図形310fと支持体図形200fとを連結する図形になる。同様に、第2台座部図形330fは、接続経路R1上に定義された第2中継点m2と支持体図形200fの輪郭上に定義された第2支持点Q2とを結ぶ第2支持経路R3(図では太い破線で示す)に沿って配置され、弾性変形部図形310fと支持体図形200fとを連結する図形になる。
ここで、第1台座部320の上端には第1台座狭窄部321が形成され、第2台座部330の上端には第2台座狭窄部331が形成されている点は重要である。これは、図5の正断面図の場合、弾性変形部図形310fの第1中継点m1の近傍が、幅の狭い第1台座狭窄部図形321fによって支持され、第2中継点m2の近傍が、幅の狭い第2台座狭窄部図形331fによって支持されていることを意味する。各台座部の先端を狭くして弾性変形部310を支持する理由は、受力体100に外力が作用したときに、弾性変形部310の第1中継点m1の近傍および第2中継点m2の近傍が、第1台座部320および第2台座部330に対して揺動するようにするためである。以下、この点について詳述する。
図6は、図5の一部(第1中継点m1の近傍部分)を拡大した部分拡大正断面図である。ここでは、この断面図を参照しながら、受力体100に外力が作用した場合の各部の変形態様を考えてみる。図示のとおり、弾性変形部図形310fは、第1中継点m1の位置を境界として、その左側に位置する第1外側腕状部図形311fと、その右側に位置する内側腕状部図形312fとに分けられる。そして、前述したように、第1中継点m1と支持体図形200fの輪郭に定義された第1支持点Q1とを接続する第1支持経路R2に沿って、第1台座部図形320fが配置されている。
第1台座部図形320fの上端部分は、弾性変形部図形310fに対する接続端として機能する部分であるが、他の部分に比べて幅が狭い狭窄図形を構成しているため、ここでは、第1台座狭窄部図形321fと呼ぶことにする。同様に、第2台座部図形330fの上端部分は、弾性変形部図形310fに対する接続端として機能する部分であるが、他の部分に比べて幅が狭い狭窄図形を構成しているため、ここでは、第2台座狭窄部図形331fと呼ぶことにする。
このように、第1台座部図形320fの上端部分は、第1台座狭窄部図形321fを形成しているため、第1台座部図形320fと弾性変形部図形310fとは、点接触に近い状態で接続されていることになる。同様に、第2台座部図形330fの上端部分は、第2台座狭窄部図形331fを形成しているため、第2台座部図形330fと弾性変形部図形310fとは、点接触に近い状態で接続されていることになる。別言すれば、図4において、第1台座部320の上端(第1台座狭窄部321)と弾性変形部310の下面とは接触面積の小さな点接触に近い状態で接続され、第2台座部330の上端(第2台座狭窄部331)と弾性変形部310の下面とは接触面積の小さな点接触に近い状態で接続されていることになる。
図6の断面図に示すとおり、第1台座狭窄部図形321fは、弾性変形部図形310fの輪郭上の点m1′(第1支持経路R2と弾性変形部図形310fの輪郭との交点)の位置に接続されている。ただ、上述したとおり、この接続形態は点接触に近い状態であるため、ここでは、便宜上、両図形が点接触の状態にあるものと近似して、外力が作用した場合の各部の変形態様を考えてみる。
図7は、図6に示す部分について、上記近似を行った状態を示す近似断面図である。この近似断面図を参照すれば、外力が作用したときに、弾性変形部図形310fに揺動変位が生じることが容易に理解できよう。図7に示すように、第1台座部図形320fと弾性変形部図形310fとが、接続点m1′において点接触しているものとすると、接続点m1′は支点として機能することになる。
図4に示す基本構造部1000の全体的な構造を参照すれば、支持体200を固定した状態において、受力体100に外力が作用すると、当該外力は、第1受力点P1から第1外側腕状部311に伝達されるとともに、第2受力点P2から第2外側腕状部313に伝達されることがわかる。
そこで、図7に示すように、第1受力点P1から第1外側腕状部図形311fに対して、下方への力−fzが作用した場合を考えてみる。この場合、第1外側腕状部図形311fは下方へ変位することになるが、支点m1′は、第1台座部図形320fによって支持されているため、内側腕状部図形312fは、逆に上方に変位することになる。別言すれば、内側腕状部図形312fに対しては、上方への力+fzが作用する。その結果、弾性変形部図形310fは、点m1′を支点として、白矢印Sに示すように反時計まわりに揺動する。
逆に、第1受力点P1から第1外側腕状部図形311fに対して、上方への力+fzが作用すると、第1外側腕状部図形311fは上方へ変位し、内側腕状部図形312fは、下方に変位することになり、弾性変形部図形310fは、点m1′を支点として、白矢印Sで示す方向とは逆に時計まわりの方向に揺動する。もちろん、第2台座部330によって支持されている第2中継点m2の近傍に関しても、点m2′を支点として、同様の揺動が生じることになる。
結局、図4に示す基本構造体1000では、支持体200を固定した状態で受力体100に外力が作用したとき(§3で述べるように、少なくとも、Z軸方向の力FzもしくはY軸まわりのモーメントMyが作用したとき)、弾性変形部310の第1中継点m1の近傍が、第1台座部320との接続点m1′を支点として第1台座部320に対してX軸方向に揺動し、弾性変形部310の第2中継点m2の近傍が、第2台座部330との接続点m2′を支点として第2台座部330に対してX軸方向に揺動することになる。
図5の断面図で上記揺動現象を説明すれば、弾性変形部図形310fの第1中継点m1の近傍が、第1支持経路R2と弾性変形部図形310fの輪郭との交点m1′を支点として第1台座部図形320fに対して揺動し、弾性変形部図形310fの第2中継点m2の近傍が、第2支持経路R3と弾性変形部図形310fの輪郭との交点m2′を支点として第2台座部図形330fに対して揺動することになる。
<<< §3. 本発明に係る基本構造体の本質的な機能 >>>
前述した§2では、図4に示す基本構造体1000について、外力が作用した場合に、弾性変形部310の第1中継点m1の近傍および第2中継点m2の近傍に揺動変位が生じることを説明した。ここでは、このような揺動変位が生じることを前提として、支持体200を固定した状態において、受力体100にZ軸方向の力FzもしくはY軸まわりのモーメントMyが作用したときの基本構造体1000の全体の変形態様を考えてみよう。
なお、この変形態様を考える上で、第1受力点P1は負のX座標値をもつ位置に配置され、第2受力点P2は正のX座標値をもつ位置に配置されている、という点も前提条件の1つとして入れることにする。当該前提条件は、図4において、第1受力点P1はZ軸の左側に位置し、第2受力点P2はZ軸の右側に位置することを示すものであり、後述するように、Y軸まわりのモーメントMyが作用したときの変形態様を考慮する際に、第1受力点P1と第2受力点P2とでは作用する力が逆向きになることを担保する上で重要な条件になる。
図8は、図4に示す基本構造体1000について、支持体200を固定した状態で、受力体100に下方への力−Fzが作用したときの各部の変形状態を示す正面図(台座部による支持が点接触によって行われる近似図)である。図示のとおり、受力体100から、左側の第1外側腕状部311に対しては下方への力−fz(力−Fzの分力)が作用し、右側の第2外側腕状部313に対しても下方への力−fz(力−Fzの分力)が作用する。これは、受力体100に加わった力−Fzが、Z軸負方向へ向かう並進力であるためである。
ここで、弾性変形部310に、前述した揺動変位が生じることを考慮すると、第1外側腕状部311に下方への力−fzが作用すると、第1中継点m1の近傍には、図に白矢印S1で示すような反時計まわりの揺動変位が生じることになる。同様に、第2外側腕状部313に下方への力−fzが作用すると、第2中継点m2の近傍には、図に白矢印S2で示すような時計まわりの揺動変位が生じることになる。その結果、内側腕状部312の左側部分(第1中継点m1の近傍部分)には上方への力+fzが作用し、内側腕状部312の右側部分(第2中継点m2の近傍部分)にも上方への力+fzが作用するので、内側腕状部312は全体として上方に変位する。このような変位により、受力体100は下方へと変位する。図8は、基本構造体1000のこのような変形状態を示している。
一方、受力体100に上方への力+Fzが作用した場合は、上述と逆の変位が生じることになる。すなわち、第1外側腕状部311および第2外側腕状部313には上方への力+fzが作用するので、内側腕状部312には下方への力−fzが作用して全体として下方に変位する。ここで注目すべき点は、受力体100にZ軸方向の並進力−Fzもしくは+Fzが作用した場合、内側腕状部312の左右には、同じ方向の力(+fzもしくは−fz)が作用する点である。このように左右から同じ方向の力が作用して変位する場合、内側腕状部312の変位に対する抵抗要素として機能は極めて小さい(内側腕状部312に対して若干の弾性変形を生じさせるためのエネルギーがあれば十分である)。
これに対して、モーメントMyが作用した場合、内側腕状部312の左右に加わる力の向きが逆になる現象が生じる。図9は、図4に示す基本構造体1000について、支持体200を固定した状態で、受力体100にY軸まわりのモーメント+Myが作用したときの各部の変形状態を示す正面図(台座部による支持が点接触によって行われる近似図)である。
前述した前提により、第1受力点P1は負のX座標値をもつ位置に配置されているため、モーメント+Myが作用すると、受力体100から、左側の第1外側腕状部311に対しては上方への力+fz(モーメント+Myの分力)が作用する。ところが、第2受力点P2は正のX座標値をもつ位置に配置されているため、モーメント+Myが作用すると、受力体100から、右側の第2外側腕状部313に対しては下方への力−fz(モーメント+Myの分力)が作用する。これは、受力体100に加わったモーメント+Myが、原点Oを中心とした時計まわりの回転力になるためである。
この場合も、弾性変形部310に、前述した揺動変位が生じることを考慮すると、第1外側腕状部311に上方への力+fzが作用すると、第1中継点m1の近傍には、図に白矢印S3で示すような時計まわりの揺動変位が生じる。一方、第2外側腕状部313に下方への力−fzが作用すると、第2中継点m2の近傍には、図に白矢印S4で示すような時計まわりの揺動変位が生じることになる。その結果、内側腕状部312の左側部分(第1中継点m1の近傍部分)には下方への力−fzが作用し、内側腕状部312の右側部分(第2中継点m2の近傍部分)には上方への力+fzが作用する。ただ、内側腕状部312の左側部分と右側部分とは連結しているため、結局、内側腕状部312において、上方への力+fzと下方への力−fzとが相反する現象が生じる。
たとえば、図示のとおり、原点Oの位置に着目すると、第1中継点m1の近傍に生じる揺動変位(白矢印S3)に基づく下方への力−fzと、第2中継点m2の近傍に生じる揺動変位(白矢印S4)に基づく上方への力+fzと、が拮抗した状態になる。もちろん、このような拮抗状態は、内側腕状部312の弾性変形により生み出されることになる。具体的には、内側腕状部312の原点Oの近傍には、図の上下に伸長させる力が作用し、図の上下方向に伸びる弾性変形が生じる。図9は、基本構造体1000のこのような変形状態を示している。別言すれば、基本構造体1000を図9に示すような変形状態にするためには、内側腕状部312にそれなりの弾性変形を生じさせる必要がある。
一方、受力体100に逆回り(図9における反時計まわり)のモーメント−Myが作用すると、受力体100から、左側の第1外側腕状部311に対しては下方への力−fzが作用し、右側の第2外側腕状部313に対しては上方への力+fzが作用する。したがって、内側腕状部312に作用する力は、図に白矢印で示された力とは逆向きのものになるが、内側腕状部312に対して左側から作用する力と右側から作用する力の向きが逆になる点に変わりはない。たとえば、原点Oの位置に着目すると、逆向きの力が拮抗した状態になり、内側腕状部312の原点Oの近傍には、図の上下に圧縮させる力が作用し、圧縮する方向への弾性変形が生じる。
このように、受力体100にY軸まわりのモーメント(回転力)が作用した場合は、内側腕状部312の左右から逆方向の力(+fzもしくは−fz)が作用する点は重要である。このように左右から逆方向の力が作用して変位する場合、内側腕状部312は、変位に対する大きな抵抗要素として機能する。すなわち、内側腕状部312を伸長もしくは圧縮する弾性変形を生じさせるためのエネルギーが必要になる。
このように、図4に示す基本構造体1000は、受力体100にZ軸方向の力Fz(並進力)が作用した場合と、Y軸まわりのモーメントMy(回転力)が作用した場合とで、全く異なる挙動を示す。これは、この基本構造体1000を構成する変形体300に含まれている弾性変形部310が、負のX座標値をもつ位置に配置された第1受力点P1と、正のX座標値をもつ位置に配置された第2受力点P2とを連結する接続経路R1に沿って配置されており、しかも、この接続経路R1上の第1中継点m1および第2中継点m2の近傍が、X軸方向に揺動可能な状態で、第1台座部320および第2台座部330によって支持されているためである。
このような構造を採用したため、受力体100にZ軸方向の力Fz(並進力)が作用した場合は、第1中継点m1と第2中継点m2とを連結する内側腕状部312の左右両端からは同方向の力が作用するが、受力体100にY軸まわりのモーメントMy(回転力)が作用した場合は、内側腕状部312の左右両端から逆方向の力が作用するという現象が生じることになる。前者の場合、内側腕状部312は、変形を妨げる抵抗要素としてはほとんど機能しないが、後者の場合、内側腕状部312は、変形を妨げる抵抗要素として大きな機能を果たす。これが、本発明に係る基本構造体1000の本質的な機能である。
結局、図示する基本構造部1000には、Z軸方向の力Fz(並進力)が作用した場合に比べて、Y軸まわりのモーメントMy(回転力)が作用した場合に、変形を制限する、より大きな抵抗要素が機能する、という固有の特徴が備わっていることになる。したがって、このような基本構造部1000を利用して力覚センサを設計すれば、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整が容易になる。特に、前述した従来の力覚センサの場合、力Fzの検出感度よりも、モーメントMyの検出感度の方が高くなる傾向が見られたが、上述した基本構造部1000を利用すれば、モーメントMyが作用したときの変形を制限する抵抗要素が機能するため、モーメントMyの検出感度を低下させることが可能になる。
<<< §4. 本発明に係る基本構造体の変形例 >>>
続いて、§2および§3で述べた基本構造体1000について、いくつかの変形例を述べておく。
<4−0.基本構造体1000の特徴>
まず、変形例を述べる前に、図4に示す基本構造体1000の特徴を説明しておく。図10は、図4に示す基本構造体1000における内側腕状部312の構造を説明する正断面図であり、その実体的な内容は、図5と全く同じである。ただ、説明の便宜上、Z軸および長手方向軸L1が一点鎖線で描かれている。
図示のとおり、接続経路R1は、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続するXZ平面上に含まれる経路であり、弾性変形部310は、この接続経路R1に沿って配置された腕状部材である。
内側腕状部312は、この接続経路R1のうち、第1中継点m1と第2中継点m2との間の区間に沿って配置された腕状部材であり、図10の断面図に現れている内側腕状部図形312fは、第1中継点m1と第2中継点m2とを結ぶ接続経路R1を中心軸として、4箇所で折れ曲がった腕状図形になっている。ここで、この接続経路R1は、第1中継点m1から第2中継点m2に向かって辿ってゆくと、第1中継点m1から右方向に伸びる第1水平経路、長手方向軸L1に沿って下方に向かう下降経路、再び右方向に伸びる第2水平経路、Z軸に沿って上方に向かう上昇経路、再び右方向に伸びて第2中継点m2に至る第3水平経路に分けることができる。
このような接続経路R1に沿って配置された内側腕状部図形312fは、下降経路に沿った下降腕状部(長手方向軸L1に沿った部分)と上昇経路に沿った上昇腕状部(Z軸に沿った部分)とを有するU字状部Uを備えている(なお、本願において、「U字状」なる文言は、湾曲した曲線図形だけでなく、図示のようにクランク状に屈曲した図形も含む意味で用いている。)。内側腕状部図形312fとして、このようなU字状部Uを有する図形を採用すると、Y軸まわりのモーメントMyに基づく変形を妨げる効果を向上させる上で好ましい。
その理由は、図9に示すように、ある着目点において上方への力+fzと下方への力−fzとが拮抗する場合を考えると、内側腕状部312の一部に、長手方向が上下方向(Z軸方向)を向いた部分を含ませておけば、逆向きの力+fz/−fzにより、内側腕状部を当該長手方向に圧縮させたり伸長させたりすることができるからである。一般に、細長い腕状部材を曲げるために必要な力よりも、長手方向に圧縮もしくは伸長するために必要な力の方が大きい。したがって、内側腕状部312の一部に、Z軸方向を向いた下降腕状部や上昇腕状部が設けられていれば、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗力を最大限に発揮させることができるようになる。
図10に示す基本構造体1000における内側腕状部312のもうひとつの特徴は、接続経路R1が原点Oを垂直方向(Z軸に平行な方向)に横切る経路になっている点である。図9では、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合に、原点Oを着目点として、上方への力+fzと下方への力−fzとが拮抗する例を示した。これは、前述した上昇腕状部(原点Oの近傍部分)において、逆向きの力+fz/−fzが拮抗している状態を示している。図9に示す例の場合、原点Oの近傍に作用する下方への力−fzは、第1受力点P1に作用した力+fzに端を発する左側から伝達されてきた力であり、原点Oの近傍に作用する上方への力+fzは、第2受力点P2に作用した力−fzに端を発する右側から伝達されてきた力である。
図示の例のように、接続経路R1が原点Oを通る経路になっていれば、逆向きの力+fz/−fzが拮抗する上昇腕状部が、原点Oの位置に配置されるため、左側から伝達されてきた力と右側から伝達されてきた力とを、基本構造体1000の中心付近においてバランスよく拮抗させることができ、基本構造体1000の変形態様を安定させる上で好ましい。
<4−1.第1の変形例>
図11は、図10に示す基本構造体1000の第1の変形例を説明する正断面図である。図10に示す基本構造体1000と図11に示す基本構造体1001との相違は、前者の変形体図形300fが後者では変形体図形301fに置き換えられている点だけである。より具体的には、第1台座部図形320fおよび第2台座部図形330fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形310fが後者では弾性変形部図形340fに置き換えられている点だけである。
図11に示すとおり、弾性変形部図形340fは、接続経路R4に沿って配置された細長い腕状図形であり、第1外側腕状部図形341f、内側腕状部図形342f、第2外側腕状部図形343fによって構成されている。ここで、第1外側腕状部図形341fおよび第2外側腕状部図形343fは、図10に示す第1外側腕状部図形311fおよび第2外側腕状部図形313fと全く同じ図形なので、結局、図10に示す基本構造体1000と図11に示す基本構造体1001との相違は、前者の内側腕状部図形312fが後者では内側腕状部図形342fに置き換えられている点だけである。
しかも、図10の内側腕状部図形312fと、図11の内側腕状部図形342fとは、いずれもU字状部Uを有する類似した形状をなし、基本的な相違は、U字状部Uを構成する下降腕状部と上昇腕状部の配置だけである。すなわち、図10の内側腕状部図形312fでは、長手方向軸L1に沿って下降腕状部が配置され、Z軸に沿って上昇腕状部が配置されているのに対し、図11の内側腕状部図形342fでは、長手方向軸L2に沿って下降腕状部が配置され、長手方向軸L3に沿って上昇腕状部が配置されている。
図10の内側腕状部図形312fのように、Z軸に沿って上昇腕状部を配置すると(Z軸に沿って下降腕状部を配置した場合も同様)、前述したように、この中心位置に配置された腕状部において、左右から伝達されてきた力をバランスよく拮抗させることができ、基本構造体1000の変形態様を安定させる効果が得られる。
これに対して、図11の内側腕状部図形342fの場合、下降腕状部は、Z軸から若干左に外れた長手方向軸L2に沿った位置に配置され、上昇腕状部は、Z軸から若干右に外れた長手方向軸L3に沿った位置に配置されている。ここで、長手方向軸L2,L3は、いずれもZ軸に平行なXZ平面上の軸である。この内側腕状部図形342fの場合、中心位置(Z軸に沿った位置)には垂直方向に伸びる腕状部が存在しないため、左右から伝達されてきた力を、中心位置の垂直腕状部において拮抗させることはできないが、長手方向軸L2,L3を、Z軸に関して対称となる位置に配置すれば、基本構造体1001を、YZ平面に関して対称となる構造にすることができるので、左右から伝達されてきた力を左右の対称性をもって拮抗させる効果は得られる。
また、図示のとおり、XZ平面で切断した断面図が左右対称図形になれば、§4−11で述べるように、当該断面図形をZ軸を中心軸として回転させて得られる回転体によって、基本構造体1001を構成することも可能になる。
<4−2.第2の変形例>
図12は、図10に示す基本構造体1000の第2の変形例を説明する正断面図である。図10に示す基本構造体1000と図12に示す基本構造体1002との相違は、前者の変形体図形300fが後者では変形体図形302fに置き換えられている点だけである。より具体的には、第1台座部図形320fおよび第2台座部図形330fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形310fが後者では弾性変形部図形350fに置き換えられている点だけである。
図12に示すとおり、弾性変形部図形350fは、接続経路R5に沿って配置された細長い腕状図形であり、第1外側腕状部図形351f、内側腕状部図形352f、第2外側腕状部図形353fによって構成されている。ここで、第1外側腕状部図形351fおよび第2外側腕状部図形353fは、図10に示す第1外側腕状部図形311fおよび第2外側腕状部図形313fと全く同じ図形なので、結局、図10に示す基本構造体1000と図12に示す基本構造体1002との相違は、前者の内側腕状部図形312fが後者では内側腕状部図形352fに置き換えられている点だけである。
図12の内側腕状部図形352fは、第1の変形例として述べた図11の内側腕状部図形342fと同様に、Z軸に関して対称となる図形になっている。ただ、図11の内側腕状部図形342fでは、長手方向軸L2に沿って下降腕状部が配置され、長手方向軸L3に沿って上昇腕状部が配置されているのに対して、図12の内側腕状部図形352fでは、長手方向軸L4に沿って下降腕状部が配置され、長手方向軸L5に沿って上昇腕状部が配置されている。両者の基本的な相違は、長手方向軸の傾斜角のみである。
すなわち、図11の内側腕状部図形342fでは、Z軸に平行な軸として2本の長手方向軸L2,L3が定義されているのに対して、図12の内側腕状部図形352fでは、Z軸に対して若干傾斜した軸として2本の長手方向軸L4,L5が定義されている。長手方向軸L2,L3も、長手方向軸L4,L5も、いずれもXY平面に交差する軸という点で共通するが、前者の場合は交差角が90°であるのに対して、後者の場合は交差角が90°未満に設定されている。もっとも、図示の断面図上において、長手方向軸L4と長手方向軸L5は、Z軸に関して対称をなす軸になっているため、内側腕状部図形352fは、Z軸に関して対称な図形になっている。
この図12に示す変形例の場合も、左右から伝達されてきた逆向きの力+fz/−fzが、内側腕状部352に同時に作用する点に変わりはないので、内側腕状部352は、モーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗要素としての機能を果たすことができる。ただ、長手方向軸L4に沿って配置された下降腕状部および長手方向軸L5に沿って配置された上昇腕状部は、Z軸に対して傾斜する向きに配置されているため、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗力を最大限に発揮させることはできない。
前述したとおり、細長い腕状部材については、これを曲げるために必要な力よりも、長手方向に圧縮もしくは伸長するために必要な力の方が大きい。したがって、変形を妨げる最大限の抵抗力が必要な場合は、図11に示す例のように、下降腕状部および上昇腕状部の長手方向がZ軸に対して平行になるように設定するのが好ましい。このような観点から、図12に示す第2の変形例は、第1の変形例ほどの抵抗力が必要ない場合に採用すべき実施例ということになる。
要するに、これまで述べてきた種々の実施例は、第1中継点m1から第2中継点m2に向かって辿った接続経路に、XY平面に交差する第1の長手方向軸L1,L2,L4に沿って下方に向かう下降経路と、XY平面に交差する第2の長手方向軸Z,L3,L5に沿って上方に向かう上昇経路と、を設けた実施例ということができる。このような実施例では、XZ平面に沿った断面に現れる内側腕状部図形312f、342f,352fが、下降経路に沿った下降腕状部と上昇経路に沿った上昇腕状部とを有することになるので、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗力が作用することになる。
図12に示す実施例は、第1の長手方向軸および第2の長手方向軸をZ軸に対して傾斜させた例であるのに対して、図10および図11に示す実施例は、第1の長手方向軸および第2の長手方向軸をZ軸に対して平行な軸に設定した例ということになる。Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗力を最大限に発揮させるという観点では、第1の長手方向軸および第2の長手方向軸をZ軸に対して平行な軸に設定するのが好ましい。
<4−3.第3の変形例>
図13は、図10に示す基本構造体1000の第3の変形例を説明する正断面図である。図10に示す基本構造体1000と図13に示す基本構造体1003との相違は、前者の変形体図形300fが後者では変形体図形303fに置き換えられている点だけである。より具体的には、第1台座部図形320fおよび第2台座部図形330fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形310fが後者では弾性変形部図形360fに置き換えられている点だけである。
図13に示すとおり、弾性変形部図形360fは、接続経路R6に沿って配置された細長い腕状図形であり、第1外側腕状部図形361f、内側腕状部図形362f、第2外側腕状部図形363fによって構成されている。ここで、第1外側腕状部図形361fおよび第2外側腕状部図形363fは、図10に示す第1外側腕状部図形311fおよび第2外側腕状部図形313fと全く同じ図形なので、結局、図10に示す基本構造体1000と図13に示す基本構造体1003との相違は、前者の内側腕状部図形312fが後者では内側腕状部図形362fに置き換えられている点だけである。
図13の内側腕状部図形362fは、第1の変形例として述べた図11の内側腕状部図形342fと同様に、Z軸に関して対称となる図形になっている。ただ、図11の内側腕状部図形342fは、クランク状に屈曲し、直線のみの輪郭で囲まれた細長い図形によって構成されているのに対して、図13の内側腕状部図形362fは、緩やかに湾曲し、曲線を含む輪郭で囲まれた細長い図形によって構成されている。前述したように、本願における「U字状」なる文言は、図11の内側腕状部図形342fのようにクランク状に屈曲した図形も含むものであるが、図13の内側腕状部図形362fに含まれる「U字状」の部分は、正に「U」のように曲線状に湾曲した図形である。
要するに、図13に示す実施例では、接続経路R6の第1中継点m1と第2中継点m2との間の区間に、下方に湾曲してから上方に湾曲する湾曲路が設けられており、内側腕状部図形362fが、この湾曲路に沿った湾曲部を有している。このように、内側腕状部362に湾曲部を設けた実施例の場合も、左右から伝達されてきた逆向きの力+fz/−fzが、内側腕状部362に同時に作用する点に変わりはないので、内側腕状部362は、モーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる抵抗要素としての機能を果たすことができる。ただ、当該抵抗要素としての機能は、図10や図11に示す実施例に比べると弱くなる。
<4−4.第4の変形例>
これまで、図10に示す基本構造体1000の変形例として、内側腕状部312の構造を変更した例を述べてきた。ここでは、第1外側腕状部311および第2外側腕状部313の構造を変更した例を述べることにする。
図14は、図10に示す基本構造体1000の第4の変形例を説明する正断面図である。図10に示す基本構造体1000と図14に示す基本構造体2000との第1の相違は、全体の横幅である。図14に示す基本構造体2000では、上述したとおり、外側腕状部の構造を変更したため、全体的に横幅が広くなっている。したがって、図10に示す受力体図形100fは、図14では幅の広い受力体図形150fに置き換えられ、図10に示す支持体図形200fは、図14では幅の広い支持体図形250fに置き換えられている。もっとも、図14に示す変形例における受力体150および支持体250は、いずれも上下両面がXY平面に平行となる板状部材であり、図10に示す受力体100および支持体200と本質的な違いはない。
図14に示す第4の変形例の特徴は、図10に示す基本構造体1000の変形体300の代わりに、より横幅の広い変形体400を用いた点にある。図14の正断面図には、この変形体400をXZ平面で切断したときに現れる変形体図形400fの形状が示されている。すなわち、この第4の変形例では、図10に示す変形体図形300fが、図14に示す変形体図形400fに置き換えられることになる。
変形体図形400fは、弾性変形部図形410f、第1台座部図形420f、第2台座部図形430fを含む図形である。そして、弾性変形部図形410fは、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続する接続経路R7に沿って配置された細長い腕状図形であり、第1外側腕状部図形411f、内側腕状部図形412f、第2外側腕状部図形413fによって構成されている。
ここで、第1台座部図形420fは図10に示す第1台座部図形320fと全く同じ図形であり、第2台座部図形430fは図10に示す第2台座部図形330fと全く同じ図形である。したがって、第1台座部420が、弾性変形部410の第1中継点m1の近傍を、支持点Q1に向かう第1支持経路R2に沿って支持する役割を果たし、第2台座部430が、弾性変形部410の第2中継点m2の近傍を、支持点Q2に向かう第2支持経路R3に沿って支持する役割を果たす点は、これまで述べた実施例と全く同じである。
また、図14に示す接続経路R7の第1中継点m1と第2中継点m2との間の区間の形状は、図10に示す接続経路R1の同区間の形状と全く同じであり、内側腕状部図形412fは図10に示す内側腕状部図形312fと全く同じ図形である。結局、図10に示す弾性変形部310と図14に示す弾性変形部410とは、外側腕状部の部分のみが相違していることになる。すなわち、図10に示す第1外側腕状部図形311fは、図14に示す第1外側腕状部図形411fに置き換えられ、図10に示す第2外側腕状部図形313fは、図14に示す第2外側腕状部図形413fに置き換えられている。
そもそも、第1外側腕状部の本来の役割は、第1受力点P1と第1中継点m1とを接続することであり、第2外側腕状部の本来の役割は、第2受力点P2と第2中継点m2とを接続することである。このような本来の役割を果たすだけであれば、図10に示す第1外側腕状部図形311fおよび第2外側腕状部図形313fのような断面形状をもった部材で十分であり、図14に示す第1外側腕状部図形411fおよび第2外側腕状部図形413fのような断面形状をもった部材を用意する必要はない。
図14に示す実施例の場合、接続経路R7上に第1U字状迂回路U1および第2U字状迂回路U2が設けられている。これらの迂回路U1,U2は、本来必要な経路を迂回する冗長な経路であり、上記本来の役割を果たす上では不要である。しかしながら、断面図形として、このような迂回路U1,U2に沿って伸びる第1外側腕状部図形411fおよび第2外側腕状部図形413fを採用すれば、変形体400の変形態様を多様化することができ、変形体400を様々な形に変形させることができるようになる。
§3では、図8および図9を参照して、基本構造体1000を構成する受力体100に対して、Z軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyが作用したときの変形状態を示した。しかしながら、このような基本構造体1000を利用する実際の環境では、受力体100に対して作用する外力は、力FzやモーメントMyだけではなく、力Fx,FyやモーメントMx,Mzといった他の軸成分も作用することになる。そして、前掲の特許文献1〜3に開示されているような6軸検出型の力覚センサでは、外力の6軸成分Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzのいずれが作用した場合にも、変形体に所定の変形を生じさせ、当該変形態様に基づいて、作用した外力の個々の軸成分を検出する必要がある。
このような観点では、変形体はできるだけ多様な変形態様をとる構造にしておくのが好ましい。図14に示す第4の変形例では、接続経路R7にU字状迂回路U1,U2を設ける冗長な構造を採用している。すなわち、接続経路R7の第1受力点P1と第1中継点m1との間の区間には、U字状をなす第1U字状迂回路U1が設けられており、第1外側腕状部図形411fはこの第1U字状迂回路に沿った第1U字状迂回部を有している。同様に、接続経路R7の第2受力点P2と第2中継点m2との間の区間には、U字状をなす第2U字状迂回路U2が設けられており、第2外側腕状部図形413fはこの第2U字状迂回路に沿った第2U字状迂回部を有している。
このような冗長構造により、変形体400は、より多様な変形態様をとることができる。特に、図14に示す実施例の場合、第1U字状迂回路U1および第2U字状迂回路U2は、Z軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶX軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されている。このような構造をもったU字状迂回路U1,U2は、三次元的に様々な態様で変形することができるので、変形体400全体の変形態様を多様化することができる。後述する§5および§6で説明する力覚センサにおいても、外側腕状部に、U字状迂回路に沿ったU字状迂回部を設ける構造を採用しており、変形体の変形態様の多様化を図っている。
<4−5.第5の変形例>
図15は、図10に示す基本構造体1000の第5の変形例を説明する正断面図である。実際には、この図15に示す基本構造体2001は、図14に示す基本構造体2000に対して、若干の変更を施したものである。すなわち、図14に示す基本構造体2000と図15に示す基本構造体2001との相違点は、前者の変形部図形400fが後者では変形部図形401fに置き換えられている点だけである。
より具体的には、第1台座部図形420fおよび第2台座部図形430fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形410fが後者では弾性変形部図形440fに置き換えられている点だけである。図15に示す弾性変形部図形440fは、図示のとおり、第1外側腕状部図形441f、内側腕状部図形442f、第2外側腕状部図形443fによって構成されている。これらの各図形は、図14に示す第1外側腕状部図形411f、内側腕状部図形412f、第2外側腕状部図形413fにそれぞれ対応するものである。
これら対応する個々の図形の相違は、くびれ部の有無だけである。すなわち、第1外側腕状部図形441f(図15)は、第1外側腕状部図形411f(図14)にくびれ部41を形成したものであり、内側腕状部図形442fは、内側腕状部図形412fにくびれ部42を形成したものであり、第2外側腕状部図形443fは、第2外側腕状部図形413fにくびれ部43を形成したものである。くびれ部41,42,43は、接続経路R7に直交する方向に関する幅が狭くなった部分であり、他の部分に比べて、より弾性変形が生じやすい箇所ということになる。
図15に示す実施例では、第1外側腕状部図形441f、内側腕状部図形442f、第2外側腕状部図形443fのそれぞれに1箇所ずつくびれ部を設けているが、必ずしも、これら各腕状部図形441f,442f,443fの全部にくびれ部を設ける必要はなく、一部のみにくびれ部を設けるようにしてもかまわない。また、くびれ部は1箇所である必要はなく、数カ所に設けるようにしてもよい。
このようなくびれ部を設ける理由は、各腕状部441,442,443の弾性変形を容易にし、変形体401の変形態様を多様化するためである。前述したように、6軸検出型の力覚センサでは、外力の6軸成分の作用により、変形体が多様な変形態様をとる構造にしておくのが好ましい。各腕状部441,442,443にくびれ部を設けておけば、このくびれ部の部分に撓みや捻れが生じやすくなり、変形体401の変形態様を多様化することが可能になる。
<4−6.第6の変形例>
図16は、図10に示す基本構造体1000の第6の変形例を説明する正断面図である。実際には、この図16に示す基本構造体2002は、図15に示す基本構造体2001におけるくびれ部の位置および形状に、若干の変更を施したものである。すなわち、図15に示す基本構造体2001と図16に示す基本構造体2002との相違点は、前者の変形部図形401fが後者では変形部図形402fに置き換えられている点だけである。
より具体的には、第1台座部図形420fおよび第2台座部図形430fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形440fが後者では弾性変形部図形450fに置き換えられている点だけであり、くびれ部の位置および形状が若干異なるだけである。すなわち、図16に示す弾性変形部図形450fは、図示のとおり、第1外側腕状部図形451f、内側腕状部図形452f、第2外側腕状部図形453fによって構成されている。そして、第1外側腕状部図形451fには、くびれ部51a,51bが形成され、内側腕状部図形452fには、くびれ部52a,52bが形成され、第2外側腕状部図形453fには、くびれ部53a,53bが形成されている。
図15に示す実施例では、各腕状部図形441f,442f,443fのそれぞれ1箇所に、比較的長いくびれ部41,42,43が形成されているのに対して、図16に示す実施例では、各腕状部図形451f,452f,453fのそれぞれ2箇所に、比較的短いくびれ部51a,51b,52a,52b,53a,53bが形成されている。このようなくびれ部を設ける理由は、上述したとおり、各腕状部451,452,453の弾性変形を容易にし、変形体402の変形態様を多様化するためである。くびれ部の形成箇所を増やすと、それだけ加工工程が複雑になるが、より柔軟な変形に対応できるようになり、変形態様の多様化の程度を向上させることができる。
<4−7.第7の変形例>
図17は、図10に示す基本構造体1000の第7の変形例を説明する正断面図である。実際には、この図17に示す基本構造体2003は、図14に示す基本構造体2000に対して、若干の変更を施したものである。すなわち、図14に示す基本構造体2000と図17に示す基本構造体2003との相違点は、前者の変形部図形400fが後者では変形部図形403fに置き換えられている点だけである。
より具体的には、第1台座部図形420fおよび第2台座部図形430fについては変更はないので、両者の相違は、前者の弾性変形部図形410fが後者では弾性変形部図形460fに置き換えられている点だけである。図17に示す弾性変形部図形460fは、図示のとおり、第1外側腕状部図形461f、内側腕状部図形462f、第2外側腕状部図形463fを有しており、これらの各図形は、図14に示す第1外側腕状部図形411f、内側腕状部図形412f、第2外側腕状部図形413fにそれぞれ対応するものである。
ただ、図17に示す弾性変形部図形460fには、新たに2つの要素が付加されている。第1の付加要素は、重量調整部図形62fである。この重量調整部図形62fは、内側腕状部図形462fの右側の水平部分の下方に突き出した図形(図には、網目状ハッチングを施して示す)である。そして、第2の付加要素は、フランジ部図形61f,63fである。フランジ部図形61fは、第1外側腕状部図形461fの上端部(第1の受力点P1に対する接続部分)に設けられた図形であり、フランジ部図形63fは、第2外側腕状部図形463fの上端部(第2の受力点P2に対する接続部分)に設けられた図形である。以下、これら付加要素の役割について説明する。
まず、重量調整部図形62fは、三次元の基本構造体2003において、重量調整部62を形成する部分の断面図形に相当する。この重量調整部62は、弾性変形部460の本来の機能、すなわち、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能に直接関与するものではないが、変形体403の重量のバランスを調整する役割を果たす。当該役割は、図14に示す変形体図形400fの全体形状と図17に示す変形体図形403fの全体形状とを比較すれば、容易に理解できよう。
図14に示す変形体図形400fは、図においてZ軸に関して左右非対称の図形になっている。これは、前述のとおり、内側腕状部図形412fの一部が原点Oを通るような設計が行われているためである。もちろん、図17に示す変形体図形403fもZ軸に関して左右非対称の図形であることに変わりはない。ただ、変形体図形403fには、重量調整部図形62fが付加されているため、切断面という二次元平面上での面積のバランスは、Z軸に関して左右対称に近いものになっている。これは、三次元の基本構造体2003で考えると、重量調整部62が、XZ平面に関して、左右の重量バランスを均衡させる役割を果たすことを意味する。
前述したように、6軸検出型の力覚センサでは、外力の6軸成分の作用により、変形体が多様な変形態様をとる。したがって、基本構造体2003の三次元的な重量分布は、できるだけ座標軸に関して対称性を有していた方が好ましい。基本構造体2003の重量分布に偏りが生じていると変形動作が不安定になり、検出結果に悪影響が及ぶ可能性がある。重量調整部62は、基本構造体2003の重量分布に偏りが生じないように調整し、安定した検出が可能になるようにする役割を果たすことになる。
なお、図17に示す実施例の場合、重量調整部図形62fは、内側腕状部図形462fの脇のスペースに設けられているが、重量調整部図形を配置する場所は、重量分布を均一化する効果がある場所であれば、任意の場所でかまわない。したがって、実際には、第1外側腕状部図形461f、内側腕状部図形462f、第2外側腕状部図形463fの全部にそれぞれ重量調整部図形を付加してもよいし、その一部に重量調整部図形を付加してもよい。また、重量調整部図形は、接続経路に直交する方向に突き出すような図形であれば、どのような形状の図形であってもかまわない。
次に、フランジ部図形61f,63fの役割を説明する。図示のとおり、フランジ部図形61fは、第1外側腕状部図形461fの受力体図形150fに対する接続部(第1受力点P1の近傍)に設けられた、接続経路に直交する方向に突き出した図形であり、三次元の基本構造体2003において、フランジ部61を形成する部分の断面図形に相当する。同様に、フランジ部図形63fは、第2外側腕状部図形463fの受力体図形150fに対する接続部(第2受力点P2の近傍)に設けられた、接続経路に直交する方向に突き出した図形であり、三次元の基本構造体2003において、フランジ部63を形成する部分の断面図形に相当する。
このように、受力体150に対する接続部分にフランジ部61,63を設けておくと、受力体150に対する接続を堅固なものにすることができる。弾性変形部460を細長い腕状部材によって構成した場合、その横断面の面積は限られたものになるため、受力体150に対する接合が十分でない場合もありうる。このような場合、弾性変形部460の端部にフランジ部61,63を形成しておけば、接合面の面積を増加させることができ、より堅固な接合を行うことが可能になる。
<4−8.第8の変形例>
図18は、図10に示す基本構造体1000の第8の変形例を説明する正断面図である。この図18に示す基本構造体2004も、受力体160と支持体260との間に変形体404を設けた構造を有する。そして、受力体160および支持体260として、上下両面がXY平面に平行となる板状部材を用いている点も、これまでの実施例と同様である。
したがって、この基本構造体2004をXZ平面で切断した断面は、図18に示すとおり、矩形状の受力体図形160fと、矩形状の支持体図形260fと、両者を接続する変形体図形404fと、によって構成されている。そして、変形体図形404fは、弾性変形部図形470f、第1台座部図形425f、第2台座部図形435fによって構成されており、弾性変形部図形470fは、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続するXZ平面上の接続経路R8に沿った細長い腕状図形によって構成されている。
この図18に示す実施例の特徴は、第1台座部425および第2台座部435による支持形態にある。図示のとおり、第1台座部図形425fの上端(接続端)は、弾性変形部図形470fの第1中継点m1の近傍の下方に接続されている。したがって、第1台座部425は、これまで述べてきた実施例と同様に、弾性変形部470を下方から支持する部材になる。ところが、第2台座部435は、これまで述べてきた実施例とは逆に、弾性変形部470を上方から支持する部材になる。図示のとおり、第2台座部図形435fは、第1台座部図形425fの天地を逆にしたような図形であり、その下端(接続端)が、弾性変形部図形470fの第2中継点m2の近傍の上方に接続されている。
なお、図では、便宜上、第2台座部図形435fの上端が、空間上に描かれた第2支持点Q2に固定されている状態が示されているが、実際には、この第2支持点Q2は、支持体260の上面に設けられた点(たとえば、XZ平面の奥に位置する点)であり、第2台座部435は、弾性変形部470の第2中継点m2の近傍と、支持体260の上面に設けられた第2支持点Q2とを接続する部材ということになる。
したがって、第2台座部435は、実際には、たとえばU字状に湾曲した形状をなし、その一端は、図18の断面図に描かれているように、弾性変形部470の第2中継点m2の近傍の上方に接続され、他端は、支持体260の上面に設けられた第2支持点Q2に接続されていることになる。図18の断面図では、この第2台座部435の他端が第2支持点Q2に接続されている実際の状態を描くことができないので(第2支持点Q2が、切断面にないため)、便宜上、空間上に第2支持点Q2を描き、第2台座部435の他端が第2支持点Q2に接続されていることを示してある。
このように、図18に示す実施例は、これまで述べてきた実施例と比較すると、台座部による支持形態が若干異なるが、その本質的な機能に変わりはない。すなわち、弾性変形部図形470fは、第1外側腕状部図形471f、内側腕状部図形472f、第2外側腕状部図形473fによって構成され、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能を果たすことができる。弾性変形部470の第2中継点m2の近傍は、第2台座部435によって上方から支持されているが、受力体160から伝達される力によって、この第2中継点m2の近傍部分が揺動する点に変わりはないので、図18に示す基本構造体2004は、図10に示す基本構造体1000と同様に、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能を果たすことになる。
すなわち、図18に示す基本構造体2004の場合、接続経路R8を第1中継点m1から第2中継点m2に向かって辿ると、XY平面に交差する長手方向軸L6に沿って下方に向かう下降経路が存在し、内側腕状部図形472fは、この下降経路に沿った下降腕状部を有する。したがって、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合、この下降腕状部が、左右から伝達されてきた逆向きの力を拮抗させ、変形を妨げる抵抗要素として機能する。なお、この抵抗要素としての機能を最大限に発揮させる上では、既に述べたとおり、長手方向軸L6がZ軸に平行になるように設定するのが好ましい。
これまで述べてきた実施例では、2つの中継点m1,m2の両方を下方から台座部によって支持する構造を採用していたが、図18に示す基本構造体2004の特徴は、2つの中継点m1,m2のうち、一方を下方から台座部によって支持し、他方を上方から台座部によって支持した構造を採用した点にある。このように、台座部による支持位置を下方から上方に変更しても、上述したとおり、基本構造体の本質的な機能に変わりはない。
もちろん、2つの中継点m1,m2の両方を上方から台座部によって支持する構造を採用することも可能である。この場合、断面図で見れば、第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点m1の近傍の上方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点m2の近傍の上方に接続されていることになる。ただ、図18に示す実施例の場合、接続経路R8が図示のような形態で上下に屈曲した経路になっているため、図示のとおり、第1中継点m1の近傍を下方から支持し、第2中継点m2の近傍を上方から支持する構造を採用すると、三次元空間内で各部品を効率的に配置することができる。
<4−9.第9の変形例>
図19は、図10に示す基本構造体1000の第9の変形例を説明する正断面図である。この図19に示す基本構造体2005も、受力体150と支持体250との間に変形体405を設けた構造を有する。そして、受力体150および支持体250として、上下両面がXY平面に平行となる板状部材を用いている点も、これまでの実施例と同様である。
したがって、この基本構造体2005をXZ平面で切断した断面は、図19に示すとおり、矩形状の受力体図形150fと、矩形状の支持体図形250fと、両者を接続する変形体図形405fと、によって構成されている。そして、変形体図形405fは、弾性変形部図形480f、第1台座部図形426f、第2台座部図形436fを含んでおり、弾性変形部図形480fは、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続するXZ平面上の接続経路R9に沿った細長い腕状図形によって構成されている。この図19に示す実施例の特徴は、第1台座部426および第2台座部436に加えて、更に、第3台座部496を付加した点にある。
図示のとおり、この実施例の場合も、第1受力点P1と第2受力点P2とを結ぶXZ平面上の経路として、接続経路R9が定義されているが、この接続経路R9上には、第1中継点m1および第2中継点m2だけでなく、第2中継点m2と第2受力点P2との間に、更に、第3中継点m3が定義されており、この第3中継点m3の近傍を支持するために、第3台座部496が付加されている。したがって、変形体405は、弾性変形部480、第1台座部426、第2台座部436に加えて、更に、第3台座部496を有している。第3台座部496は、弾性変形部480の第3中継点m3の近傍と支持体250上に定義された第3支持点Q3とを連結する部材である。
したがって、図19の断面図に示すとおり、弾性変形部図形480fは、接続経路R9の第1受力点P1から第1中継点m1に至る区間に沿って配置された第1外側腕状部図形481fと、接続経路R9の第1中継点m1から第2中継点m2に至る区間に沿って配置された第1内側腕状部図形482fと、接続経路R9の第2中継点m1から第3中継点m3に至る区間に沿って配置された第2内側腕状部図形483fと、接続経路R9の第3中継点m3から第2受力点P1に至る区間に沿って配置された第2外側腕状部図形484fと、を有することになる。
特に、図19に示す実施例の場合、第1台座部図形426fの接続端が、弾性変形部図形480fの第1中継点m1の近傍の下方に接続され、第2台座部図形436fの接続端が、弾性変形部図形480fの第2中継点m2の近傍の下方に接続され、第3台座部の断面である第3台座部図形496fの接続端が、弾性変形部図形480fの第3中継点m3の近傍の上方に接続されている。
したがって、この図19においても、便宜上、第3台座部図形496fの上端が、空間上に描かれた第3支持点Q3に固定されている状態が示されているが、実際には、この第3支持点Q3は、支持体250の上面に設けられた点(たとえば、XZ平面の奥に位置する点)であり、第3台座部496は、弾性変形部480の第3中継点m3の近傍と、支持体250の上面に設けられた第3支持点Q3とを接続する部材ということになる。
たとえば、第3台座部496は、U字状に湾曲した形状をなす部材によって構成することができる。この場合、第3台座部496の一端は、図19の断面図に描かれているように、弾性変形部480の第3中継点m3の近傍の上方に接続され、他端は、支持体250の上面に設けられた第3支持点Q3に接続されていることになる。図19の断面図では、この第3台座部496の他端が第3支持点Q3に接続されている実際の状態を描くことができないので(第3支持点Q3が、切断面にないため)、便宜上、空間上に第3支持点Q3を描き、第3台座部496の他端が第3支持点Q3に接続されていることを示してある。
なお、前述したとおり、台座部による支持位置を下方にしても、上方にしても、基本構造体2005の本質的な機能に変わりはないので、3つの中継点m1,m2,m3の近傍の支持形態を、下方支持にするか上方支持するかは、任意に設定することが可能である。ただ、図19に示す実施例の場合、接続経路R9が図示のような形態で上下に屈曲した経路になっているため、図示のとおり、第1中継点m1の近傍および第2中継点m2の近傍を下方から支持し、第3中継点m3の近傍を上方から支持する構造を採用すると、三次元空間内で各部品を効率的に配置することができる。
ここで留意すべき点は、図19に示す実施例のように、3つの中継点m1,m2,m3の近傍をそれぞれ支持する形態を採用すると、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能が得られる点に変わりはないものの、当該調整機能の内容が、これまで述べてきた実施例における調整機能の内容とは異なってくる点である。
具体的には、これまで述べてきた実施例(2つの中継点m1,m2の近傍を支持する形態)の場合、基本構造体の本質的な機能は、並進力である力Fzが作用した場合に比べて、回転力であるモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる大きな抵抗要素として働く機能である。このような機能が働く原理は、§3において、図8および図9を参照して説明したとおりである。
すなわち、受力体100に対して、並進力である力−Fzが作用した場合は、図8に示すとおり、内側腕状部312には左右から同じ方向の力+fzが加わるのに対して、回転力であるモーメント+Myが作用した場合は、図9に示すとおり、内側腕状部312には左右から逆方向の力+fz/−fzが加わることになり、原点Oの近傍部分を上下に伸長する応力が働き、当該応力に対して弾性材料による抗力が作用する。このため、弾性変形部310は、モーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる大きな抵抗要素として働くことになる。
ところが、図19に示す実施例(3つの中継点m1,m2,m3の近傍を支持する形態)の場合は、事情が大きく変わってくる。ここでは、図19に示す基本構造体2005について、受力体150に外力が作用した場合に、第1内側腕状部図形482fの原点Oの近傍部分に、左右からどのような力が加わるかを考えてみよう。
まず、受力体150に対して、並進力である力−Fzが作用した場合を考える。この場合、第1受力点P1には下方への力−fzが加わるので、第1外側腕状部図形481fは下方へ変位する。その結果、第1中継点m1の左側は下方に変位し、右側は逆に上方に変位する。したがって、原点Oの近傍部分に対して、左側からは上方への力+fzが加わる。
一方、第2受力点P2にも下方への力−fzが加わるので、第2外側腕状部図形484fは下方へ変位する。その結果、第3中継点m3の右側は下方に変位し、左側は逆に上方に変位する。したがって、第2内側腕状部図形483fは上方へ変位する。その結果、第2中継点m2の右側は上方に変位し、左側は逆に下方に変位する。したがって、原点Oの近傍部分に対して、右側からは下方への力−fzが加わる。
結局、受力体150に対して、並進力である力−Fzが作用した場合は、原点Oの近傍部分を上下方向に圧縮する応力が働き、当該応力に対して弾性材料による抗力が作用する。このため、並進力である力−Fzが作用した場合、弾性変形部480は変形を妨げる大きな抵抗要素として働くことになる。
次に、受力体150に対して、回転力であるモーメントMyが作用した場合を考える。この場合、第1受力点P1には上方への力+fzが加わるので、第1外側腕状部図形481fは上方へ変位する。その結果、第1中継点m1の左側は上方に変位し、右側は逆に下方に変位する。したがって、原点Oの近傍部分に対して、左側からは下方への力−fzが加わる。
一方、第2受力点P2には下方への力−fzが加わるので、第2外側腕状部図形484fは下方へ変位する。その結果、第3中継点m3の右側は下方に変位し、左側は逆に上方に変位する。したがって、第2内側腕状部図形483fは上方へ変位する。その結果、第2中継点m2の右側は上方に変位し、左側は逆に下方に変位する。したがって、原点Oの近傍部分に対して、右側からは下方への力−fzが加わる。
このように、受力体150に対して、回転力であるモーメントMyが作用した場合は、原点Oの近傍部分には左右から同じ方向の力−fzが加わることになり、この部分を上下方向に伸長したり圧縮したりする応力が働くことはない。したがって、図19に示す実施例の場合、弾性変形部480は、力Fzが作用した場合に、変形を妨げる大きな抵抗要素として働くことになる。
結局、これまで述べてきた、2つの中継点m1,m2の近傍を支持する実施例では、力Fz(並進力)の検出感度に比べて、モーメントMy(回転力)の検出感度を低下させる調整機能が働くことになるのに対して、図19に示す3つの中継点m1,m2,m3の近傍を支持する実施例では、逆に、モーメントMy(回転力)の検出感度に比べて、力Fz(並進力)の検出感度を低下させる調整機能が働くことになる。
前述したとおり、特許文献1〜3に開示されている力覚センサの場合、力Fz(並進力)の検出感度に比べて、モーメントMy(回転力)の検出感度の方が高くなる傾向にある。したがって、このような傾向を是正するには、2つの中継点m1,m2の近傍を支持する実施例を採用して、モーメントMyの検出感度を抑制するようにすればよい。逆に、力Fzの検出感度を抑制する必要がある場合には、図19に示すように、3つの中継点m1,m2,m3の近傍を支持する実施例を採用すればよい。
もちろん、接続経路上に定義する中継点の数を4以上に増やし、各中継点を4以上の台座部によって支持する構成を採ることも可能であるが、実用上は、モーメントMyの検出感度を抑制する場合は2つの中継点を用い、力Fzの検出感度を抑制する場合は3つの中継点を用いるようにすれば十分である。
<4−10.各変形例の組み合わせ>
これまで、§4−0において、図4に示す基本構造体1000の特徴を説明し、§4−1から§4−9において、この基本構造体1000に対する様々な変形例を述べてきた。もちろん、個々の変形例は自由に組み合わせることが可能である。たとえば、§4−1から§4−3では、内側腕状部の形態に関する種々の変形例を述べ、§4−4では、外側腕状部の形態に関する種々の変形例を述べたが、これらの変形例は相互に組み合わせることができる。もちろん、§4−5,§4−6で述べたくぼみ部や、§4−7で述べた重量調整部やフランジ部は、たとえば、§4−8,§4−9で述べた変形例において利用することも可能である。要するに、これまで述べてきた個々の変形例の概念は、技術的な矛盾が生じない範囲で相互に組み合わせて利用できる。
<4−11.基本構造体の三次元構造>
§2で説明したとおり、図4に示す基本構造体1000において、弾性変形部310は、接続経路R1に沿って伸びる細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成される。ここで、この細長い腕状部材は、横断面が矩形であっても、円形であってもよいし、別な任意形状であってもよい。また、内部が中空のパイプによって構成してもかまわない。
この基本構造体1000における弾性変形部310の役割は、図8および図9を参照して説明したように、力Fz(並進力)の検出感度とモーメントMy(回転力)の検出感度とのバランスを調整することにある。既に述べたとおり、図4に示す基本構造体1000の場合は、力Fzの検出感度に比べて、モーメントMyの検出感度を低下させる調整機能が働くが、図19の変形例に示す基本構造体2005の場合は、モーメントMyの検出感度に比べて、力Fzの検出感度を低下させる調整機能が働くことになる。
このように、力FzとモーメントMyとの検出感度の調整機能が働く基本原理は、基本構造体をXZ平面で切断した断面に現れる構造が、これまで述べてきた固有の特徴を有しているためである。たとえば、基本構造体1000の場合は、XZ平面で切断した断面に現れる各断面図形が、図5の正断面図に示す断面構造を有しており、このような断面構造を有しているため、図8および図9を参照して説明した調整機能が働くのである。図10〜図19では、様々な変形例に係る基本構造体の特徴を、XZ平面で切断した断面に現れる各断面図形の特徴として説明したが、これは、上記調整機能が、XZ平面で切断したときの断面構造の固有の特徴に基づいて働くためである。
したがって、本発明に係る基本構造体を設計する上では、XZ平面で切断したときの断面構造(各断面図形の形状や配置)が、これまで述べてきた特徴を備えているようにすれば、実際の三次元構造は、どのような形態をとるものであってもかまわない。§2では、図4に示す基本構造体1000の三次元構造の典型例として、弾性変形部310を、接続経路R1に沿って伸びる細長い腕状部材によって構成した例を挙げたが、弾性変形部310の三次元構造は、必ずしも細長い腕状部材からなる構造に限定されるものではない。
たとえば、図5に示す弾性変形部図形310fを、Y軸方向(図の奥行き方向)に、受力体100および支持体200の奥行き幅とほぼ同じ距離だけ平行移動することによって得られる三次元立体(平板を折り曲げたような形状の立体)によって、弾性変形部310を構成してもよい。この場合、台座部320,330も、図5に示す台座部図形320f,330fを、Y軸方向に、受力体100および支持体200の奥行き幅とほぼ同じ距離だけ平行移動することによって得られる三次元立体によって構成するのが好ましい。
あるいは、図11に示すように、Z軸に対して左右対称の形状をもつ弾性変形部図形340fを利用するのであれば、当該図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体によって、弾性変形部340を構成することもできる。この場合、台座部320,330もZ軸を中心軸とした回転体によって構成するのが好ましい。したがって、実際には、図11に示されているすべての断面図形(100f,200f,301f)を、Z軸を中心軸として回転することにより得られる回転体によって、基本構造体1001を構成すればよい。この場合、受力体100および支持体200は円盤状部材によって構成され、弾性変形部340は円形の皿状部材によって構成され、台座部320,330は、共通のドーナツ状部材によって構成されることになる。
このような観点から、本願において「腕状部」と称呼されている部材は、必ずしも三次元形状が腕状をしている部材である必要はない。たとえば、図5に示す実施例の説明では、各断面図形の名称として、第1外側腕状部図形311f,内側腕状部図形312f,第2外側腕状部図形313fなる文言を用いており、断面が第1外側腕状部図形311fとなる部材を第1外側腕状部311、断面が内側腕状部図形312fとなる部材を内側腕状部312、断面が第2外側腕状部図形313fとなる部材を第2外側腕状部313と呼んでいるが、これら各腕状部311,312,313は、必ずしも三次元形状が腕状をしている部材である必要はなく、二次元の断面図形が腕状をしていれば足りる。
なお、これまでは、基本構造体をXZ平面で切断した断面図形の形状および配置について、その特徴を説明してきたが、本発明に用いる弾性変形部は、必ずしもXZ平面上に配置されている必要はなく、XZ平面に平行な任意の平面上に配置されていれば、上述した検出感度の調整機能を得ることができる。たとえば、図4には、XZ平面上に接続経路R1を定義し、この接続経路R1に沿って伸びる細長い腕状部材によって弾性変形部310を構成した実施例を示し、当該実施例によれば、図8および図9に示すような検出感度の調整機能が働くことを説明した。
しかしながら、接続経路R1は、必ずしもXZ平面上に定義された経路である必要はなく、XZ平面に平行な任意の平面上に定義された経路であってもかまわない。たとえば、図8および図9において、弾性変形部310がXZ平面上ではなく、図の手前側の平面(XZ平面に平行な平面)上に配置されていたとしても、前述した原理に基づき、検出感度の調整機能が働くことは容易に理解できよう。したがって、図10〜図19では、様々な変形例に係る基本構造体の特徴を、XZ平面で切断した断面に現れる各断面図形の特徴として説明したが、実際には、XZ平面もしくはXZ平面に平行な平面によって切断した断面に現れる各断面図形の特徴が、これまで述べてきた特徴を備えていれば、検出感度の調整機能が得られることになり、本発明に係る基本構造体として利用可能である。
たとえば、図10に示す実施例の場合、接続経路R1が原点Oを通るように設計されている。これは、原点Oの近傍に配置された垂直の腕状部分において、逆向きの力+fz/−fzが拮抗するようにするための配慮である。すなわち、このような設計を行えば、左側から伝達されてきた力と右側から伝達されてきた力とを、基本構造体1000の中心付近においてバランスよく拮抗させることができ、基本構造体1000の変形態様を安定させる上で好ましい。
ただ、上述したとおり、接続経路R1は必ずしもXZ平面上の経路として定義する必要はなく、XZ平面もしくはXZ平面に平行な任意の平面上の経路として定義すれば足りる。したがって、左右の力を基本構造体1000の中心付近においてバランスよく拮抗させるような設計を行うには、図10に示す長手方向軸(図ではZ軸として示されている軸)は、必ずしもZ軸(XZ平面上の軸)である必要はなく、YZ平面に含まれる軸であればよいことになる。
要するに、接続経路R1上にZ軸に平行な第1の長手方向軸および第2の長手方向軸を設けて変形を妨げる抵抗力を最大限に発揮させる構成とし、しかも左右の力を中心付近においてバランスよく拮抗させる設計を行うには、第1の長手方向軸もしくは第2の長手方向軸が、YZ平面に含まれる軸となるようにすればよい。
なお、基本構造体を量産する上では、加工が容易な構造にするのが好ましい。このような観点からは、たとえば、図12に示すような傾斜した弾性変形部350や図13に示すような湾曲した弾性変形部360を設けるよりも、図10,図11,図14などに示すようなクランク型の弾性変形部を設けるのが好ましい。したがって、実用上は、第1の受力点P1と第2の受力点P2とを接続する接続経路として、Z軸に平行な縦方向経路とX軸に平行な横方向経路とを有する経路を採用し、第1受力点P1および第2受力点P2からは縦方向経路が伸びるようにし、第1中継点m1および第2中継点m2を横方向経路上に定義するようにするのが好ましい。
もちろん、基本構造体の各部の材質は任意であり、一般的には、金属や樹脂を用いて構成すればよい。
<4−12.モーメントMxの検出感度調整>
これまで、図8および図9に示す原理に基づいて、力Fzの検出感度とモーメントMyの検出感度とのバランスを調整する機能をもった基本構造体を説明してきたが、全く同じ原理により、力Fzの検出感度とモーメントMxの検出感度とのバランスを調整する機能をもった基本構造体を実現できることは容易に理解できよう。すなわち、図8および図9における横軸XをY軸に置き換えれば、図9に示されているY軸まわりのモーメントMyは、X軸まわりのモーメントMxに置き換えられるので、この基本構造体1000は、力Fzの検出感度とモーメントMxの検出感度とのバランスを調整する役割を果たすことになる。
したがって、図10〜図19に示す各基本構造体の場合も、横軸XをY軸に置き換えた構成にすれば、力Fzの検出感度とモーメントMxの検出感度とのバランスを調整する役割を果たす。これは、基本構造体の三次元構造を工夫すれば、力Fzの検出感度、モーメントMxの検出感度、モーメントMyの検出感度、という3軸成分の検出感度のバランスを調整する機能を実現できることを意味する。
たとえば、XZ平面もしくはXZ平面に平行な任意の平面で切断した断面構造が図5に示すような構造を有しており、かつ、YZ平面もしくはYZ平面に平行な任意の平面で切断した断面構造も、同様に図5に示すような構造を有しているような三次元構造をもった基本構造体を作成すれば、当該基本構造体は、上記3軸成分の検出感度のバランスを調整する機能を有していることになる。
たとえば、図4に示す実施例のように、弾性変形部310を細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成する場合であれば、そのような弾性変形部310を2組用意し、一方を90°回転させて組み合わせるようにすれば、3軸成分の検出感度調整機能をもった基本構造体が実現できる。あるいは、図11に示されている断面図形を、Z軸を中心軸として回転することにより得られる回転体によって基本構造体を構成すれば、当該基本構造体をXZ平面で切断した断面形状と、当該基本構造体をYZ平面で切断した断面形状とは、いずれも図11の断面図に示すものになるので、やはり3軸成分の検出感度調整機能をもった基本構造体が得られる。このような基本構造体を利用した力覚センサについては、§5で詳述する。
<<< §5. 本発明に係る力覚センサの基本的実施形態 >>>
これまで、§2〜§4において、本発明に係る基本構造体を様々な実施例について説明した。この基本構造体の重要な特徴は、既に述べたとおり、力Fzの検出感度とモーメントMyの検出感度とのバランス調整を行う機能を備えている点にあり、本発明に固有の作用効果は、この基本構造体のバランス調整機能に基づいて奏されるものである。そこで、ここでは、これまで述べてきた基本構造体を用いた力覚センサの基本的実施形態を説明する。
<5−1.本発明に係る力覚センサの基本的な構成要素>
前掲の特許文献1〜3にも開示されているとおり、機械的な構造部分として、検出対象となる外力を受ける受力体と、この受力体を支持するための支持体と、受力体と支持体との間に設けられ弾性変形を生じる変形体と、を含む基本構造体を採用した力覚センサは公知である。本発明に係る力覚センサも、受力体、支持体、変形体を有する基本構造体を採用する点に変わりはない。ただ、本発明の特徴は、力Fzの検出感度とモーメントMyの検出感度とのバランス調整を行う機能にあるので、本発明に係る力覚センサは、XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する機能を備えたセンサということになる。
この力覚センサは、たとえば、図4の実施例に示されているように、Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体100と、Z軸上の、受力体100の下方に配置された支持体200と、受力体100と支持体200とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる変形体300と、を含む基本構造体1000を有している。そして、この力覚センサは、基本構造体1000に、更に、検出素子と検出回路とを付加することにより構成される。
ここで、検出素子は、変形体300の変形を検出する素子であってもよいし、変形体300の変位を検出する素子であってもよい。具体的には、変形体300の変形状態を検出する場合は、弾性変形部310の所定箇所の伸縮状態を電気的に検出するようにすればよい。たとえば、弾性変形部310の特定の箇所に張り付けられたストレインゲージを検出素子として利用することができる。図8および図9に示すような変形態様を考慮すれば、弾性変形部310の各部に、作用した外力に応じた固有の歪みが生じることがわかる。そこで、弾性変形部310の所定箇所(表面に伸縮が生じる箇所)にストレインゲージを張り付けておけば、ストレインゲージの電気抵抗の変化として、各部に生じた機械的な歪みを電気的に検出することができ、作用した外力の特定の軸成分についての大きさを検出することができる。
一方、変形体300の変位状態を検出する場合は、弾性変形部310の所定箇所と支持体200の所定箇所との間の距離を電気的に検出するようにすればよい。この場合、弾性変形部310の所定箇所に形成された変位電極と、支持体200の変位電極に対向する位置に形成された固定電極と、を有する複数の容量素子を検出素子として利用すればよい。変位電極の変位によって、両電極間距離が変化すると、容量素子の静電容量値に変化が生じるので、生じた変位を静電容量値の変化として電気的に検出することができる。検出回路は、複数の容量素子の静電容量値に基づく演算処理を行うことにより、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力することができる。
<5−2.力覚センサ3000の断面構造>
続いて、XYZ三次元直交座標系における6軸成分のうち、力Fz,モーメントMx,モーメントMyの3軸成分を検出することができる力覚センサ3000の断面構造を説明する。図20および図21は、このような力覚センサ3000の構成を示す断面図およびブロック図である。図20の上段に描かれている断面図は、この力覚センサ3000の基本構造体の部分をXZ平面で切った正断面図であり、図21の上段に描かれている断面図は、基本構造体の部分をYZ平面で切った側断面図である。
図20では、この基本構造体の中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、図の紙面垂直奥方向にY軸をとることにより、XYZ三次元直交座標系が定義されている。一方、図21では、図の右方向にY軸、図の上方向にZ軸、図の紙面垂直手前方向にX軸がとられている。実際には、図20の上段の正断面図と図21の上段の側断面図とは、幾何学的には全く同じものである。別言すれば、ここに示す基本構造体は、XZ平面で切断しても、YZ平面で切断しても、同一の断面が得られる三次元構造を有している。
図示されている基本構造体は、図14に例示した基本構造体2000に近いものであり、受力体150、支持体250、変形体500を有している。受力体150および支持体250は、図14に例示したものと同様に、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されている。ここに示す実施例の場合、受力体150および支持体250は、いずれも平面が正方形をした同じサイズの板状部材によって構成されている。
一方、変形体500は、XZ平面で切断した断面が図20に示す構造を有し、YZ平面で切断した断面が図21に示す構造を有するような三次元構造体である。ここでは、説明の便宜上、図20に示すXZ平面で切断した断面に現れている部材を「X軸に関する部材」と呼び、図21に示すYZ平面で切断した断面に現れている部材を「Y軸に関する部材」と呼ぶことにする。
そうすると、この変形体500のうちの「X軸に関する部材」は、図20にその断面図形が示されているとおり、所定箇所が受力体150に接続され弾性変形を生じるX軸に関する弾性変形部510と、このX軸に関する弾性変形部510の所定箇所を支持体250に固定するX軸に関する第1台座部520およびX軸に関する第2台座部530と、によって構成される。同様に、この変形体500のうちの「Y軸に関する部材」は、図21にその断面図形が示されているとおり、所定箇所が受力体150に接続され弾性変形を生じるY軸に関する弾性変形部540と、このY軸に関する弾性変形部540の所定箇所を支持体250に固定するY軸に関する第1台座部550およびY軸に関する第2台座部560と、によって構成される。
なお、前述したとおり、本願では、基本構造体を構成する各部を所定平面で切断したときに断面上に現れる個々の幾何学的な図形を、それぞれ元の各部の名称の末尾に「図形」なる語句を付加した名称で呼ぶことにし、元の各部の符号の末尾に「f」なる符号(figureの意)を付加した符号を付して示している。したがって、図20および図21に示されている各断面図形の符号の末尾には「f」が付加されている。
また、図20および図21の双方に断面が現れる部材に関しては、その断面図形の符号の末尾に「fx」もしくは「fy」を付して区別できるようにしている。たとえば、受力体150、支持体250、変形体500の各断面図形は、図20および図21の双方に現れるので、図20では、X軸に関する受力体図形150fx、X軸に関する支持体図形250fx、X軸に関する変形体図形500fxと呼ぶことにし、図21では、Y軸に関する受力体図形150fy、Y軸に関する支持体図形250fy、Y軸に関する変形体図形500fyと呼ぶことにする。
まず、図20の上段に示す正断面図を参照しながら、この基本構造体をXZ平面で切断したときの断面構造を詳述する。上述したとおり、この正断面図には、X軸に関する受力体図形150fxと、X軸に関する支持体図形250fxと、X軸に関する変形体図形500fxとが含まれている。そして、X軸に関する変形体図形500fxは、X軸に関する弾性変形部510の断面であるX軸に関する弾性変形部図形510fと、X軸に関する第1台座部520の断面であるX軸に関する第1台座部図形520fと、X軸に関する第2台座部530の断面であるX軸に関する第2台座部図形530fと、を含んでいる。
更に、X軸に関する弾性変形部図形510fは、X軸に関する受力体図形150fxの輪郭上に定義されたX軸に関する第1受力点P11とX軸に関する第2受力点P12とを結ぶ所定のX軸に関する接続経路R10に沿って配置され、X軸に関する第1受力点P11とX軸に関する第2受力点P12とを連結する図形である。
また、X軸に関する第1台座部図形520fは、X軸に関する接続経路R10上に定義されたX軸に関する第1中継点m11の近傍においてX軸に関する弾性変形部図形510fに接続されており、X軸に関する第2台座部図形530fは、X軸に関する接続経路R10上に定義されたX軸に関する第2中継点m12の近傍においてX軸に関する弾性変形部図形510fに接続されている。
次に、図21の上段に示す側断面図を参照しながら、この基本構造体をYZ平面で切断したときの断面構造を詳述する。上述したとおり、この側断面図には、Y軸に関する受力体図形150fyと、Y軸に関する支持体図形250fyと、Y軸に関する変形体図形500fyとが含まれている。そして、Y軸に関する変形体図形500fyは、Y軸に関する弾性変形部540の断面であるY軸に関する弾性変形部図形540fと、Y軸に関する第1台座部550の断面であるY軸に関する第1台座部図形550fと、Y軸に関する第2台座部560の断面であるY軸に関する第2台座部図形560fと、を含んでいる。
更に、Y軸に関する弾性変形部図形540fは、Y軸に関する受力体図形150fyの輪郭上に定義されたY軸に関する第1受力点P21とY軸に関する第2受力点P22とを結ぶ所定のY軸に関する接続経路R11に沿って配置され、Y軸に関する第1受力点P21とY軸に関する第2受力点P22とを連結する図形である。
また、Y軸に関する第1台座部図形550fは、Y軸に関する接続経路R11上に定義されたY軸に関する第1中継点m21の近傍においてY軸に関する弾性変形部図形540fに接続されており、Y軸に関する第2台座部図形560fは、Y軸に関する接続経路R11上に定義されたY軸に関する第2中継点m22の近傍においてY軸に関する弾性変形部図形540fに接続されている。
結局、ここに示す変形体500は、X軸に関する弾性変形部510と、X軸に関する第1台座部520と、X軸に関する第2台座部530と、Y軸に関する弾性変形部540と、Y軸に関する第1台座部550と、Y軸に関する第2台座部560と、によって構成される部材ということになる。
ここで、図20に示すとおり、X軸に関する弾性変形部510は、X軸に関する第1受力点P11とX軸に関する第2受力点P12とを連結しており、X軸に関する第1台座部520は、X軸に関する弾性変形部510のX軸に関する第1中継点m11の近傍と支持体250上に定義されたX軸に関する第1支持点Q11とを連結しており、X軸に関する第2台座部530は、X軸に関する弾性変形部510のX軸に関する第2中継点m12の近傍と支持体250上に定義されたX軸に関する第2支持点Q12とを連結している。
一方、図21に示すとおり、Y軸に関する弾性変形部540は、Y軸に関する第1受力点P21とY軸に関する第2受力点P22とを連結しており、Y軸に関する第1台座部550は、Y軸に関する弾性変形部540のY軸に関する第1中継点m21の近傍と支持体250上に定義されたY軸に関する第1支持点Q21とを連結しており、Y軸に関する第2台座部560は、Y軸に関する弾性変形部540のY軸に関する第2中継点m22の近傍と支持体250上に定義されたY軸に関する第2支持点Q22とを連結している。
ここに示す実施例においても、§2〜§4で述べた実施例と同様に、各台座部図形520f,530f,550f,560fの弾性変形部図形510f,540fに対する接続端は、他の部分に比べて幅が狭い狭窄図形を構成している。このため、弾性変形部の各中継点近傍は、台座部に対して揺動するように支持されている。具体的には、次のような揺動現象が生じることになる。
まず、支持体250を固定した状態で受力体150に力Fzが作用したとき、および、支持体250を固定した状態で受力体150にモーメントMyが作用したときには、図20において、X軸に関する弾性変形部510のX軸に関する第1中継点m11の近傍が、X軸に関する第1台座部520との接続点を支点としてX軸に関する第1台座部520に対してX軸方向に揺動し、X軸に関する弾性変形部510のX軸に関する第2中継点m12の近傍が、X軸に関する第2台座部530との接続点を支点としてX軸に関する第2台座部530に対してX軸方向に揺動する。ここで、「X軸方向に揺動」とは、上記支点を通りY軸に平行な軸を中心軸として回転運動を行うことを意味する。
一方、支持体250を固定した状態で受力体150に力Fzが作用したとき、および、支持体250を固定した状態で受力体150にモーメントMxが作用したときには、図21において、Y軸に関する弾性変形部540のY軸に関する第1中継点m21の近傍が、Y軸に関する第1台座部550との接続点を支点としてY軸に関する第1台座部550に対してY軸方向に揺動し、Y軸に関する弾性変形部540のY軸に関する第2中継点m22の近傍が、Y軸に関する第2台座部560との接続点を支点としてY軸に関する第2台座部560に対してY軸方向に揺動する。ここで、「Y軸方向に揺動」とは、上記支点を通りX軸に平行な軸を中心軸として回転運動を行うことを意味する。
なお、図20に示すように、X軸に関する第1受力点P11は、負のX座標値をもつ位置に配置され、X軸に関する第2受力点P12は、正のX座標値をもつ位置に配置されている。また、図21に示すように、Y軸に関する第1受力点P21は、負のY座標値をもつ位置に配置され、Y軸に関する第2受力点P22は、正のY座標値をもつ位置に配置されている。
このような構造的な特徴をもった基本構造体が、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能を有することは、既に述べたとおりである。具体的には、ここに示す基本構造体は、XZ平面で切断した断面として図20に示す構造を有しているため、並進力である力Fzが作用した場合に比べて、回転力であるモーメントMyが作用した場合に、変形を妨げる大きな抵抗要素が働くことになる。その一方で、ここに示す基本構造体は、YZ平面で切断した断面として図21に示す構造を有しているため、並進力である力Fzが作用した場合に比べて、回転力であるモーメントMxが作用した場合にも、変形を妨げる大きな抵抗要素が働くことになる。
前述したとおり、この力覚センサ3000は、力Fz,モーメントMx,モーメントMyの3軸成分を検出する機能を有しているが、モーメントMx,Myの検出感度を、力Fzの検出感度に比べて低減させることができるため、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度をできるだけ均一化することが可能になる。前掲の特許文献1〜3に開示されている従来の力覚センサの場合、モーメントMx,Myの検出感度が力Fzの検出感度に比べて高くなり過ぎる傾向があるが、ここに示す力覚センサ3000では、そのような問題が是正されることになる。
<5−3.力覚センサ3000の検出動作>
続いて、図20および図21に示した力覚センサ3000による具体的な検出動作を説明する。この力覚センサ3000は、§5−2で述べた基本構造体に、検出素子と検出回路とを付加することにより構成される。ここに示す実施例は、検出素子として4組の容量素子を用いている。
図20の上段の正断面図および図21の上段の側断面図には、4組の容量素子C1〜C4を構成するための変位電極E11〜E14および固定電極E21〜E24の断面が太線で描かれている。4組の容量素子C1〜C4は、変形体500の特定箇所の変位を検出する検出素子としての役割を果たす。一方、図20および図21の下段には、検出回路900を示すブロックが描かれている。この検出回路900は、検出素子(4組の容量素子C1〜C4)の検出結果に基づいて、受力体150および支持体250の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した外力の3軸成分、すなわち、Z軸方向の力Fz、Y軸まわりのモーメントMy、X軸まわりのモーメントMxを示す電気信号を出力する。
なお、図示の容量素子C1〜C4は、変形体500の特定箇所の支持体250に対する変位を検出する検出素子であるが、変形体500の受力体150に対する変位を検出する検出素子を用いてもかまわない(この場合は、固定電極を受力体150側に形成することになる)。あるいは、受力体150の支持体250に対する変位や、支持体250の受力体150に対する変位を検出する検出素子を設けることも可能である(たとえば、支持体250に固定された固定電極と、受力体150に固定された変位電極とを対向させることにより、容量素子を構成すればよい)。
また、ここでは、支持体250に負荷がかかった状態(たとえば、支持体250を固定した状態)で、受力体150に作用した外力の各軸成分を検出する動作について説明するが、逆に、受力体150に負荷がかかった状態(たとえば、受力体150を固定した状態)で、支持体250に作用した外力の各軸成分を検出する動作も、力の作用反作用の法則に基づき、実質的には等価なものになる。
ここでは、図20において、変位電極E11と固定電極E21とによって構成される対向電極対を容量素子C1と呼び、その静電容量値も同じ符号C1で示すことにし、変位電極E12と固定電極E22とによって構成される対向電極対を容量素子C2と呼び、その静電容量値も同じ符号C2で示すことにする。図示のとおり、検出回路900は、これら静電容量値C1,C2を示す電気信号を取得する。
同様に、図21において、変位電極E13と固定電極E23とによって構成される対向電極対を容量素子C3と呼び、その静電容量値も同じ符号C3で示すことにし、変位電極E14と固定電極E24とによって構成される対向電極対を容量素子C4と呼び、その静電容量値も同じ符号C4で示すことにする。図示のとおり、検出回路900は、これら静電容量値C3,C4を示す電気信号を取得する。結局、検出回路900には、4組の静電容量値C1,C2,C3,C4を示す電気信号が与えられることになる。
なお、図20に示すとおり、X軸に関する接続経路R10のX軸に関する第1受力点P11とX軸に関する第1中継点m11との間の区間には、U字状をなすX軸に関する第1U字状迂回路U11が設けられており、X軸に関する接続経路R10のX軸に関する第2中継点m12とX軸に関する第2受力点P12との間の区間には、U字状をなすX軸に関する第2U字状迂回路U12が設けられている。したがって、X軸に関する第1外側腕状部511は、第1U字状迂回路U11に沿った迂回部を有し、X軸に関する第2外側腕状部513は、第2U字状迂回路U12に沿った迂回部を有している。
同様に、図21に示すとおり、Y軸に関する接続経路R11のY軸に関する第1受力点P21とY軸に関する第1中継点m21との間の区間には、U字状をなすY軸に関する第1U字状迂回路U21が設けられており、Y軸に関する接続経路R11のY軸に関する第2中継点m22とY軸に関する第2受力点P22との間の区間には、U字状をなすY軸に関する第2U字状迂回路U22が設けられている。したがって、Y軸に関する第1外側腕状部541は、第1U字状迂回路U21に沿った迂回部を有し、Y軸に関する第2外側腕状部543は、第2U字状迂回路U22に沿った迂回部を有している。
ここで、各変位電極E11〜E14の形成位置に着目すると、いずれも外側腕状部のU字状迂回部の下面に形成されていることがわかる。すなわち、図20に示すとおり、変位電極E11は、X軸に関する第1外側腕状部511のU字状迂回路U11に沿った迂回部の底面に形成され、変位電極E12は、X軸に関する第2外側腕状部513のU字状迂回路U12に沿った迂回部の底面に形成されている。また、図21に示すとおり、変位電極E13は、Y軸に関する第1外側腕状部541のU字状迂回路U21に沿った迂回部の底面に形成され、変位電極E14は、Y軸に関する第2外側腕状部543のU字状迂回路U22に沿った迂回部の底面に形成されている。
一般に、外側腕状部にU字状迂回部を設けると、変形体500の変形態様を多様化することができ、変形体500を様々な形に変形させることができるようになるメリットが得られることは、既に、§4−4で述べたとおりである。その上、ここで述べる力覚センサ3000のように、検出素子として容量素子を用いる実施例では、外側腕状部に設けたU字状迂回部は、変位電極の形成場所を提供する役割も果たすことができる。図示のとおり、U字状迂回部の底面は、支持体250の上面の近傍に位置するため、この底面に変位電極を形成し、支持体250の上面の対向位置に固定電極を形成すれば、検出素子としての役割に最適な容量素子C1〜C4が得られる。
すなわち、図20に示すとおり、X軸に関する弾性変形部510のうちのX軸に関する第1U字状迂回路U11に沿って配置された部分の底面に固定された第1変位電極E11と、支持体250の上面の第1変位電極E11に対向する部分に固定された第1固定電極E21と、によって第1容量素子C1が構成される。また、X軸に関する弾性変形部510のうちのX軸に関する第2U字状迂回路U12に沿って配置された部分の底面に固定された第2変位電極E12と、支持体250の上面の第2変位電極E12に対向する部分に固定された第2固定電極E22と、によって第2容量素子C2が構成される。
同様に、図21に示すとおり、Y軸に関する弾性変形部540のうちのY軸に関する第1U字状迂回路U21に沿って配置された部分の底面に固定された第3変位電極E13と、支持体250の上面の第3変位電極E13に対向する部分に固定された第3固定電極E23と、によって第3容量素子C3が構成される。また、Y軸に関する弾性変形部540のうちのY軸に関する第2U字状迂回路U22に沿って配置された部分の底面に固定された第4変位電極E14と、支持体250の上面の第4変位電極E14に対向する部分に固定された第4固定電極E24と、によって第4容量素子C4が構成される。
ここで、支持体250を固定した状態において、受力体150に外力が作用した場合の各容量素子C1〜C4の挙動を考えてみよう。まず、受力体150に下方への力−Fzが作用した場合は、外側腕状部511,513,541,543はすべて下方に変位するため、4組の容量素子C1〜C4の電極間隔はすべて狭くなり、静電容量値C1〜C4はすべて増加する。逆に、受力体150に上方への力+Fzが作用した場合は、外側腕状部511,513,541,543はすべて上方に変位するため、4組の容量素子C1〜C4の電極間隔はすべて広がり、静電容量値C1〜C4はすべて減少する。
したがって、検出回路900に、−Fz=C1+C2+C3+C4なる演算処理によって、作用した力Fzの値を求める機能をもたせておけば、力Fzを示す電気信号を出力することができる。この場合、実際には、受力体150に何ら力が作用していないときの演算値Fzの値を基準となる零点に設定する取り扱いが必要である。
一方、図20において、支持体250を固定した状態で、受力体150に時計まわりのモーメント+Myが作用した場合は、外側腕状部511は上方に変位し、外側腕状部513は下方に変位するため、容量素子C1の電極間隔は広がり、静電容量値C1は減少し、容量素子C2の電極間隔は狭くなり、静電容量値C2は増加する。逆に、受力体150に反時計まわりのモーメント−Myが作用した場合は、外側腕状部511は下方に変位し、外側腕状部513は上方に変位するため、容量素子C1の電極間隔は狭くなり、静電容量値C1は増加し、容量素子C2の電極間隔は広がり、静電容量値C2は減少する。
このように、モーメント+My,−Myが作用したとき、図21に示す外側腕状部541,543はX軸方向に若干傾斜し、変位電極E13,E14が若干傾斜するため、容量素子C3,C4の電極間隔は、一部分は狭くなるが、他の一部分は広くなるので、平均的な電極間隔に変化は生じない。このため、静電容量値C3,C4には変化は生じない。
したがって、検出回路900に、My=C2−C1なる演算処理によって、作用したモーメントMyの値を求める機能をもたせておけば、モーメントMyを示す電気信号を出力することができる。この場合、基本構造体がYZ平面に関して対称性をもつように設計しておけば、受力体150に何ら力が作用していないとき、静電容量値C1=C2になるので、My=C2−C1なる演算処理によって求めたモーメントMyの値は、そのまま正しい零点を示す検出値になる。
同様に、図21において、支持体250を固定した状態で、受力体150に時計まわりのモーメント−Mxが作用した場合は、外側腕状部541は上方に変位し、外側腕状部543は下方に変位するため、容量素子C3の電極間隔は広がり、静電容量値C3は減少し、容量素子C4の電極間隔は狭くなり、静電容量値C4は増加する。逆に、受力体150に反時計まわりのモーメント+Mxが作用した場合は、外側腕状部541は下方に変位し、外側腕状部543は上方に変位するため、容量素子C3の電極間隔は狭くなり、静電容量値C3は増加し、容量素子C4の電極間隔は広がり、静電容量値C4は減少する。
このように、モーメント+Mx,−Mxが作用したとき、図20に示す外側腕状部511,513はY軸方向に若干傾斜し、変位電極E11,E12が若干傾斜するため、容量素子C1,C2の電極間隔は、一部分は狭くなるが、他の一部分は広くなるので、平均的な電極間隔に変化は生じない。このため、静電容量値C1,C2には変化は生じない。
したがって、検出回路900に、Mx=C3−C4なる演算処理によって、作用したモーメントMxの値を求める機能をもたせておけば、モーメントMxを示す電気信号を出力することができる。この場合、基本構造体がXZ平面に関して対称性をもつように設計しておけば、受力体150に何ら力が作用していないとき、静電容量値C3=C4になるので、Mx=C3−C4なる演算処理によって求めたモーメントMxの値は、そのまま正しい零点を示す検出値になる。
結局、力覚センサ3000に含まれる検出回路900は、第1容量素子C1の静電容量値と第2容量素子C2の静電容量値との差をY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号として出力し、第3容量素子C3の静電容量値と第4容量素子C4の静電容量値との差をX軸まわりのモーメントMxを示す電気信号として出力し、第1容量素子C1の静電容量値、第2容量素子C2の静電容量値、第3容量素子C3の静電容量値、第4容量素子C4の静電容量値の総和をZ軸方向の力Fzを示す電気信号として出力する処理を行うことになる。
このような検出原理により、図20および図21に示す力覚センサ3000は、3軸成分Fz,Mx,Myの検出値を出力することができる。しかも、上記演算処理によって求められたFz,Mx,Myの各軸成分の検出値は、他軸成分を含まない値になるため、3軸成分の検出値を相互の干渉なしに独立して得ることが可能である。また、上述したとおり、図20および図21に示す基本構造体を利用すれば、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整することができる。すなわち、モーメントMx,Myの検出感度を、力Fzの検出感度に比べて低減させることができるため、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度をできるだけ均一化することが可能になる。
なお、図示の実施例では、変位電極E11〜E14のサイズに比べて、対向する固定電極E21〜E24のサイズが大きくなっているが、これは両電極の対向位置にずれが生じたとしても、実効対向面積は常に一定になる(常に、変位電極の面積が実効対向面積になる)ようにするための配慮である。
すなわち、変形体500は、多様な変形態様をとることになるので、変位電極と固定電極との対向位置にずれが生じる可能性があるが、図示の例のように、変位電極のサイズを固定電極のサイズよりもひとまわり小さくしておけば、対向位置にずれが生じた場合でも、容量素子として機能する実効対向面積は常に一定になる。したがって、静電容量値の変動は、専ら、対向する電極についての電極間距離の変化に起因して生じることになる。もちろん、固定電極のサイズを変位電極のサイズよりもひとまわり小さくしておいてもよい。
<5−4.力覚センサ3000の第1の三次元構造例>
これまで、§5−2において、力覚センサ3000の断面構造を説明し、§5−3において、力覚センサ3000の検出動作を説明した。そして、この力覚センサ3000によれば、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度を均一化するメリットが得られる点も説明した。ここで、力Fzの検出感度とモーメントMyの検出感度とが均一化される効果は、基本構造体をXZ平面によって切断したときの断面構造が図20に示す固有の特徴を有しているために得られる効果であり、力Fzの検出感度とモーメントMxの検出感度とが均一化される効果は、基本構造体をYZ平面によって切断したときの断面構造が図21に示す固有の特徴を有しているために得られる効果である。
したがって、各断面構造が図20および図21に示す固有の特徴を有している基本構造体であれば、具体的な三次元構造がどのようなものであれ、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度を均一化する効果が得られることになる。別言すれば、具体的な力覚センサ3000を設計する上では、XZ切断面に現れる断面構造が図20のような特徴を有し、YZ切断面に現れる断面構造が図21のような特徴を有している、という条件を満たしていれば、基本構造体の具体的な三次元構造は任意のものでかまわない、ということになる。ただ、ここでは、商業的利用に適した三次元構造を有する基本構造体の具体例を述べておく。
図22は、図20および図21に示す力覚センサ3000を三次元構造体として具現化した第1の実施例である力覚センサ3001を示す上面図およびブロック図である。上段の上面図は、受力体150を取り外した状態の基本構造体および検出素子(容量素子を構成する電極)を示し、下段のブロック図は、検出回路900を示している。
上段の上面図では、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸、紙面垂直方向にZ軸がとられている。図示のとおり、支持体250は正方形状の基板であり、その上に、変形体500が配置されている。Z軸はこの正方形状の支持体250の中心を貫通しており、原点Oは支持体250の中心点に描かれている。実際の力覚センサ3001では、変形体500の上方(図の手前方向)に、正方形状の基板からなる受力体150が配置されることになるが、図22には、受力体150を取り外した状態が示されている。もちろん、この図22に示す構造体に受力体150を付加し、XZ平面で切断すれば、図20に示す断面図が得られ、YZ平面で切断すれば、図21に示す断面図が得られることになる。
この力覚センサ3001では、X軸に関する弾性変形部510(図20に断面図形510fが示されている)を、XZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成し、Y軸に関する弾性変形部540(図21に断面図形540fが示されている)を、YZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成した例である。もっとも、X軸に関する弾性変形部510とY軸に関する弾性変形部540とは、Z軸と交差する位置において融合しており、実際には、一体化した構造体をなす。図22の上面図では、この一体化した構造体が十字状の部材として示されている。
図示の例では、弾性変形部510,540を構成する細長い腕状部材として、横断面が矩形になる角柱部材を用いているが、横断面が円になる円柱部材を用いてもよいし、内部が中空のパイプを用いてもかまわない。もちろん、必要に応じて、§4−5,§4−6,§4−7の変形例で説明した、くびれ部、重量調整部、フランジ部などを適宜用いるようにしてもよい。
図22には、X軸に関する接続経路R10(弾性変形部510が沿った経路)上に定義されたX軸に関する第1中継点m11およびX軸に関する第2中継点m12がx印で描かれており、Y軸に関する接続経路R11(弾性変形部540が沿った経路)上に定義されたY軸に関する第1中継点m21およびY軸に関する第2中継点m22もx印で描かれている。そして、各中継点m11,m12,m21,m22の下方位置が、それぞれ台座部520,530,550,560によって支持されている状態が示されている。この実施例では、各台座部520,530,550,560は円柱状の構造体によって構成されている。もちろん、各台座部520,530,550,560の上端は狭窄しており、弾性変形部510,540の下面を、点接触に近い状態で支持している。
図22には、支持体250の上面に固定された4組の固定電極E21〜E24が描かれている。図示の例では、各固定電極E21〜E24は、正方形状をしている。これら固定電極E21〜E24の上方には、弾性変形部510,540のU字状迂回部の底面が位置し、この底面には、変位電極E11〜E14(図には現れていない)が形成されている。
4組の固定電極E21〜E24と図示されていない4組の変位電極E11〜E14に対しては、検出回路900に対する配線(図示省略)が施される。検出回路900は、これらの配線を介して、4組の容量素子C1〜C4の静電容量値を検出し、前述した演算処理を行うことにより、3軸成分Fz,Mx,Myの検出値を出力する。
<5−5.力覚センサ3000の第2の三次元構造例>
図23は、図20および図21に示す力覚センサ3000を三次元構造体として具現化した第2の実施例である力覚センサ3002を示す上面図およびブロック図である。やはり上段の上面図は、受力体150を取り外した状態の基本構造体および検出素子(容量素子を構成する電極)を示し、下段のブロック図は、検出回路900を示している。
上段の上面図では、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸、紙面垂直方向にZ軸がとられている。図示のとおり、支持体250は正方形状の基板であり、その上に、変形体500が配置されている。Z軸はこの正方形状の支持体250の中心を貫通しており、原点Oは支持体250の中心点に描かれている。実際の力覚センサ3002では、変形体500の上方(図の手前方向)に、正方形状の基板からなる受力体150が配置されることになるが、図23には、受力体150を取り外した状態が示されている。
もちろん、この図23に示す構造体に受力体150を付加し、XZ平面で切断すれば、図20に示す断面図が得られ、YZ平面で切断すれば、図21に示す断面図が得られることになる。すなわち、図20に示すX軸に関する変形体図形500fxは、図23に示す変形体500をXZ平面によって切断したときに得られる断面図形であり、図21に示すY軸に関する変形体図形500fyは、図23に示す変形体500をYZ平面によって切断したときに得られる断面図形である。結局、図22に示す力覚センサ3001も、図23に示す力覚センサ3002も、その基本構造体についてのXZ切断面は図20に示すものになり、YZ切断面は図21に示すものになるので、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度を均一化する効果が得られる点に相違はない。両者は、三次元構造体としての具現化方法が異なっているだけである。
図23に示す力覚センサ3002の場合、X軸に関する弾性変形部510(図20に断面図形510fが示されている)およびY軸に関する弾性変形部540(図21に断面図形540fが示されている)は、共通の回転体によって具現化されることになる。図20および図21に示すように、X軸に関する弾性変形部図形510fおよびY軸に関する弾性変形部図形540fは、いずれもZ軸について対称形状をなす。しかも、X軸に関する弾性変形部図形510fとY軸に関する弾性変形部図形540fとは幾何学的な合同図形になっている。
したがって、この合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体により統合弾性変形部570(図23参照)を形成すれば、この統合弾性変形部570の一部はX軸に関する弾性変形部510として機能し、別な一部はY軸に関する弾性変形部540として機能することになる。
同様に、図23に示す力覚センサ3002の場合、各台座部520,530,550,560も共通の回転体によって具現化されている。図20に示すように、X軸に関する第1台座部図形520fおよびX軸に関する第2台座部図形530fによって構成されるX軸に関する台座部図形群を考えると、このX軸に関する台座部図形群はZ軸について対称形状をなす。また、図21に示すように、Y軸に関する第1台座部図形550fおよびY軸に関する第2台座部図形560fによって構成されるY軸に関する台座部図形群を考えると、このY軸に関する台座部図形群もZ軸について対称形状をなす。しかも、X軸に関する台座部図形群とY軸に関する台座部図形群とは幾何学的な合同図形になっている。
したがって、この合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体により統合台座部580(図23参照)を形成すれば、X軸に関する第1台座部520、X軸に関する第2台座部530、Y軸に関する第1台座部550、Y軸に関する第2台座部560を、それぞれこの統合台座部580の一部によって構成することができる。
図23の上段の上面図に示されている変形体500は、上述した統合弾性変形部570と統合台座部580とを有する三次元構造体である。図に実線および破線で描かれている同心円は、統合弾性変形部570の輪郭および段差部分を示しており、図に一点鎖線で描かれている同心円は、統合台座部580の輪郭および段差部分を示している。変形体500を上方から観察したときに確認できるのは、図に実線で描かれている線のみであり、破線および一点鎖線で描かれている線は、統合弾性変形部570の下方に現れる線である。もちろん、必要に応じて、§4−5,§4−6,§4−7の変形例で説明した、くびれ部、重量調整部、フランジ部などを設けることもできる。
図23には、X軸に関する接続経路R10上に定義されたX軸に関する第1中継点m11およびX軸に関する第2中継点m12がx印で描かれており、Y軸に関する接続経路R11上に定義されたY軸に関する第1中継点m21およびY軸に関する第2中継点m22もx印で描かれている。統合弾性変形部570の各中継点m11,m12,m21,m22の下方位置は、統合台座部580の上端部によって支持されている。ここで、統合台座部580の上端部は、図に一点鎖線で描かれているとおり、リング構造をしている。
図20の正断面図や図21の側断面図に示すとおり、統合台座部580の上端は狭窄しており、断面図においては、統合台座部580の上端が点接触に近い状態で統合弾性変形部570を下方から支持している状態になるが、実際には、図23の上面図に示すとおり、細いリング構造をした統合台座部580の上端部によって、統合弾性変形部570が支持されることになる。
このように、力覚センサ3002では、統合台座部580によって統合弾性変形部570を環状に支持する構造が採用されているが、これまで述べてきた揺動動作が可能になる点に変わりはない。すなわち、統合弾性変形部570のXZ平面との交差部分(X軸に関する弾性変形部510として機能する部分)に着目すると、第1中継点m11および第2中継点m12の近傍が統合台座部580に対してX軸方向に揺動する点に変わりはない。同様に、統合弾性変形部570のYZ平面との交差部分(Y軸に関する弾性変形部540として機能する部分)に着目すると、第1中継点m21および第2中継点m22の近傍が統合台座部580に対してY軸方向に揺動する点に変わりはない。
図23には、支持体250の上面に固定された4組の固定電極E21〜E24が描かれている。図示の例では、各固定電極E21〜E24は、正方形状をしている。これら固定電極E21〜E24の上方には、統合弾性変形部570のU字状迂回部の底面が位置し、この底面には、変位電極E11〜E14(図には現れていない)が形成されている。
4組の固定電極E21〜E24と図示されていない4組の変位電極E11〜E14に対しては、検出回路900に対する配線(図示省略)が施される。検出回路900は、これらの配線を介して、4組の容量素子C1〜C4の静電容量値を検出し、前述した演算処理を行うことにより、3軸成分Fz,Mx,Myの検出値を出力する。
<5−6.力覚センサ3000の他の実施例>
§5−4および§5−5では、図20および図21に示す断面構造を有する力覚センサ3000の具体的な三次元構造の実施例を説明したが、もちろん、本発明に係る力覚センサの三次元構造は、これらの実施例に限定されるものではない。また、本発明に係る力覚センサの断面構造は、図20および図21に示す例に限られるものではなく、たとえば、§4で述べた様々な変形例に係る断面構造を有するものでもかまわない。
また、これまで述べてきた本発明に係る力覚センサの基本構造体に固有の断面構造の特徴は、§4−11で述べたように、必ずしもXZ平面で切断した断面やYZ平面で切断した断面に現れる特徴である必要はなく、XZ平面に平行な任意の平面やYZ平面に平行な任意の平面で切断した断面に現れる特徴であってもかまわない。
このような点を考慮すると、力覚センサ3000の具体的な三次元構造としては、XZ平面もしくはXZ平面に平行な所定平面によって基本構造体を切断したときに、図20に示される特徴をもった断面構造が得られ、YZ平面もしくはYZ平面に平行な所定平面によって基本構造体を切断したときに、図21に示される特徴をもった断面構造が得られる構造体であればよいことになる。
更に、§5−3,§5−4,§5−5では、検出素子として容量素子を用いた例を示したが、もちろん、本発明に係る力覚センサに用いる検出素子は容量素子に限定されるものではない。たとえば、図22に示す力覚センサ3001の場合、X軸に関する弾性変形部510およびY軸に関する弾性変形部540の所定箇所に張り付けたストレインゲージによって検出素子を構成することが可能であり、図23に示す力覚センサ3001の場合、統合弾性変形部570の所定箇所に張り付けたストレインゲージによって検出素子を構成することも可能である。
<<< §6. 本発明に係る補助構造体とこれを組み込んだ力覚センサ >>>
<6−1.補助構造体の概念>
これまで、§2,§3において、本発明に係る基本構造体の構造および本質的な機能(モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能)を説明し、§4において、当該基本構造体の変形例を述べ、§5において、当該基本構造体を用いた力覚センサの全体構成を述べた。
この§5で述べた力覚センサ3000の重要な特徴は、変形体500として、固有の断面構造を有する三次元構造体を利用し、当該変形体500の変位や変形を検出素子によって検出するようにした点にある。力覚センサ3000において、3軸成分Fz,Mx,Myの検出感度が均一化するという特有の作用効果が得られるのは、専ら、この変形体500の固有の構造に負うものである。
結局、図4に示す変形体300,図11に示す変形体301,図12に示す変形体302,図13に示す変形体303,図14に示す変形体400,図15に示す変形体401,図16に示す変形体402,図17に示す変形体403,図18に示す変形体404,図19に示す変形体405、そして図20〜図23に示す変形体500は、いずれも力覚センサを構成する受力体と支持体との間に挟んで用いることにより、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する機能を有していることになる。
このような点に着目すれば、これまで述べてきた種々の変形体を構成する部材は、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する役割を果たすために力覚センサに付加することができる補助構造体として利用することが可能であることがわかる。別言すれば、従来から利用されている一般的な力覚センサ(受力体と支持体と、これらの間に挟まれて弾性変形を生じる変形体と、を有する力覚センサ)に、図4に示す変形体300等と同一構造を有する部材を、補助構造体として組み込むことにより、当該力覚センサにおけるモーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整することが可能になる。
<6−2.補助構造体を組み込んだ力覚センサ>
ここでは、具体的に、前掲の特許文献3に開示されている従来型の力覚センサに、本発明に係る補助構造体(これまで、本発明に係る力覚センサ用の変形体として説明してきた構造体)を組み込むことにより、当該従来型の力覚センサにおけるモーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整に成功した例を説明する。
図24は、前掲の特許文献3に開示されている従来型の力覚センサ4000の構成を示す図である。この力覚センサ4000は、受力体4100と、支持体4200と、両者間に挟まれた検出用変形体4300と、検出用変形体4300の変位もしくは変形を検出する検出素子Dと、この検出素子Dの検出結果に基づいて、受力体4100に作用した外力を示す電気信号を出力する検出回路4900と、を有している。ここで、図(a) は支持体4200の上面図、図(b) は力覚センサ4000を構成する基本構造体の正面図、図(c) はその側面図であり、検出用変形体4300および検出素子Dの部分は、実際の構造を示す図ではなく、簡単な模式図になっている。詳細な構造は、前掲の特許文献3に開示されているので、ここでは説明を省略する。
検出用変形体4300は、§5で述べた本発明に係る力覚センサ3000の変形体500に対応する構成要素であるが、本発明に係る「変形体」と区別するため、ここでは「検出用変形体」と呼ぶことにする。この従来型の力覚センサ4000の特徴は、図3に示すように、一対の柱状部材35,36を受力体15と支持体25との間に逆V字型をなすように傾斜配置する点にある。実際には、検出用変形体4300は、8本の柱状部材によって構成され、2本の柱状部材を逆V字型に配置したユニットが合計4組設けられる。
図24(a) に示すとおり、支持体4200は正方形状の板状部材によって構成されており、受力体4100も同一形状同一サイズの板状部材によって構成されている。また、図24(b) および図24(c) の模式図において、ジグザグの線で示されているのは、検出用変形体4300を構成する8本の柱状部材4310〜4380である。これら8本の柱状部材は、実際には弾性部材からなる円柱状の構造体であるが、図24では、模式的にジグザグの線で描かれている。また、図示の便宜上、図(b) および図(c) では、いずれも手前側の4本の柱状部材のみが示されている。
図24(a) に示す支持体4200上の点B1〜B8は、8本の柱状部材4310〜4380の下端の位置を示すベースポイントであり、図に一点鎖線で示すラインは、このベースポイントB1〜B8の配置ラインを示している。各柱状部材4310〜4380は、それぞれ図に一点鎖線で示すラインに沿って傾斜するように配置される。
したがって、図24(b) に描かれている4本の柱状部材4350,4360,4370,4380の下端は、それぞれ図24(a) に示されているベースポイントB5,B6,B7,B8に配置されており、図24(c) に描かれている4本の柱状部材4370,4380,4310,4320の下端は、それぞれ図24(a) に示されているベースポイントB7,B8,B1,B2に配置されている。
ここで、一対の柱状部材4360,4370は、ベースポイントB6,B7を通る配置ライン上に逆V字型になるように傾斜配置され、一対の柱状部材4310,4380は、ベースポイントB1,B8を通る配置ライン上に逆V字型になるように傾斜配置され、一対の柱状部材4320,4330は、ベースポイントB2,B3を通る配置ライン上に逆V字型になるように傾斜配置され、一対の柱状部材4340,4350は、ベースポイントB4,B5を通る配置ライン上に逆V字型になるように傾斜配置されている。
一方、図24(b) および図24(c) において、各柱状部材を示すジグザグ線の脇に描かれた四角いブロックは、個々の柱状部材の変位もしくは変形を検出するための検出素子Dであり、実際には、たとえば、ストレインゲージや容量素子によって構成される。検出回路4900は、このストレインゲージや容量素子によって検出された8本の柱状部材の変位や変形を電気的に検出して、支持体4200を固定した状態において、受力体4100に作用した外力を示す電気信号を出力する。
図24(a) では、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸が定義されており、紙面垂直方向がZ軸になる。図24(b) は、正面図であるため、図の右方向がX軸、図の上方向がZ軸になり、図24(c) は、側面図であるため、図の上方向がY軸、図の左方向がZ軸になる。検出回路4900は、このようなXYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力Fx,Fy,Fzおよび各座標軸まわりのモーメントMx,My,Mzの検出値を電気信号として出力する。
§1で述べたとおり、このような従来型の力覚センサ4000には、力とモーメントの検出感度に大きな差が生じるという問題がある。具体的には、一般的なジョイスティック型の入力装置に利用した場合、力Fzの検出感度に比べて、モーメントMx,Myの検出感度の方が高くなり過ぎる傾向にある。そこで、ここでは、この従来型の力覚センサ4000に、本発明に係る補助構造体を付加することにより、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランスを調整する方法を説明する。
図25は、本発明に係る補助構造体を組み込んだ力覚センサ5000の構成を示す上面図およびブロック図である。この力覚センサ5000は、XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する機能を有している。
力覚センサ5000の構成要素は、Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体5100と、Z軸上の、受力体5100の下方に配置された支持体5200と、受力体5100と支持体5200とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる検出用変形体5300と、受力体5100と支持体5200との間に接続された4組の補助構造体5401〜5404と、検出用変形体5300の変形もしくは変位、または、受力体5100もしくは支持体5200の変位を検出する検出素子Dと、この検出素子Dの検出結果に基づいて、受力体5100および支持体5200の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力する検出回路5900と、である。
図25の上段の上面図には、これらの構成要素のうち、支持体5200と4組の補助構造体5401〜5404とが描かれ、受力体5100,検出用変形体5300,検出素子Dの図示は省略されている。また、4組の補助構造体5401〜5404については、その配置のみが示され、細かな構造の図示は省略されている。検出回路5900については、下段にブロックとして描かれている。
この図25においても、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸、紙面垂直方向にZ軸をとって、XYZ三次元直交座標系を定義する。支持体5200は、正方形状の板状部材によって構成されており、受力体5100も同一形状同一サイズの板状部材によって構成されている。ここで、支持体5200の上面に描かれている破線の領域は、図24(a) に描かれている支持体4200の上面に対応するものであり、この領域内に配置される検出用変形体5300は、図24に示す検出用変形体4300と全く同じ構造体である。すなわち、8個のベースポイントB1〜B8の位置には、図24で説明した8本の柱状部材が検出用変形体5300として配置されることになる。また、当該検出用変形体5300には、ストレインゲージや容量素子からなる検出素子Dが取り付けられ、変位や変形の検出値を示す電気信号が、検出回路5900に与えられることになる。
結局、図25に示す力覚センサ5000は、図24に示す従来型の力覚センサ4000における受力体4100および支持体4200(いずれも正方形状の板状部材)を、ひとまわり大きな板状部材からなる受力体5100および支持体5200に交換し、この受力体5100と支持体5200の間に、4組の補助構造体5401〜5404を挿入したものということになる。
ここで、4組の補助構造体5401〜5404は、力覚センサとしての本来の検出機能を果たす構成要素ではないので、4組の補助構造体5401〜5404には検出素子Dは取り付けられていない。すなわち、力覚センサ5000による外力検出は、あくまでも検出用変形体5300の変位や変形、受力体5100の支持体5200に対する変位、もしくは、支持体5200の受力体5100に対する変位を、検出素子Dによって検出することによってなされる。
4組の補助構造体5401〜5404の役割は、受力体5100に作用したモーメントおよび力の検出感度のバランスを調整することにある。たとえば、図4に変形部300として示されている構造体を4組用意し、それぞれ補助構造体5401〜5404として、受力体5100と支持体5200との間に挿入すれば、受力体5100にモーメントMx,Myが作用したとき、補助構造体5401〜5404が受力体5100の変位を抑制する抵抗要素として働くことになるので、モーメントMx,Myの検出感度を低下させることができ、結果的に、Fz,Mx,Myの検出感度を均一化することができる。
図25に示す実施例では、支持体5200の4辺に沿って、中央に配置された検出用変形体5300を周囲から取り囲むように、4組の補助構造体5401〜5404を配置した例を示したが、必ずしも4組の補助構造体をこの位置に配置する必要はない。X軸に平行な方向に配置された補助構造体5402,5404は、モーメントMyの検出感度の調整機能を果たし、Y軸に平行な方向に配置された補助構造体5401,5403は、モーメントMxの検出感度の調整機能を果たす。したがって、モーメントMyの検出感度のみを調整するのであれば、補助構造体5402もしくは5404の少なくとも一方を配置すれば足り、モーメントMxの検出感度のみを調整するのであれば、補助構造体5401もしくは5403の少なくとも一方を配置すれば足りる。
<6−3.実用的な補助構造体の実施形態>
ここでは、§6−2で述べた補助構造体5401〜5404のより実用的な実施形態を述べる。図25には、補助構造体5401〜5404の配置位置を矩形で示したものの、その具体的な構造の図示は省略した。もっとも、この補助構造体5401〜5404の役割は、モーメントおよび力の検出感度のバランスを調整することであるので、前述したとおり、これまで述べてきた変形体300,301,302,303,400,401,402,403,404,405、500は、いずれも補助構造体として利用することが可能である。
ただ、§6−2で述べた従来型の力覚センサ4000のように、6軸成分を検出する機能をもった力覚センサに付加して用いることを考えると、補助構造体としては、6軸成分の作用に応じて多様な変形態様が可能になる構造のものが好ましい。また、商業的な利用を考慮すると、加工が容易で製造コストが低い構造のものが好ましい。ここでは、このような点から、補助構造体のより好ましい実施例を述べる。
図26は、本発明に係る補助構造体のより実用的な実施例の正面図である。この実施例に係る補助構造体5400は、図に実線で描かれた部分であるが、その利用形態を明確にするため、受力体5100および支持体5200を破線で示してある。図示のとおり、この補助構造体5400は、力覚センサの受力体5100と支持体5200との間に挿入し、上端の第1受力点P1および第2受力点P2を受力体5100の下面に接続し、下端の第1支持点Q1および第2支持点Q2を支持体5200の上面に接続して利用することになる。
ここで、図示の補助構造体5400が、部品の一部として組み込まれる対象となる力覚センサ5000は、§6−2において図25を参照しながら説明したとおり、受力体5100と、支持体5200と、受力体5100と支持体5200とを接続する検出用変形体5300と、を有し、力もしくはモーメントの作用により生じる検出用変形体5300の弾性変形を検出することにより、作用した力もしくはモーメントの検出を行う力覚センサということになる。もちろん、検出用変形体5300の弾性変形の検出方法としては、検出用変形体5300自身の変位や変形を様々な検出素子によって検出する方法を採ってもよいし、受力体5100の支持体5200に対する変位や支持体5200の受力体5100に対する変位を様々な検出素子によって検出する方法を採ってもよい。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、補助構造体5400の重心位置に原点Gをとり、図の右方向にV軸、図の上方向にW軸をとって、VW二次元直交座標系を定義する。ここで、V軸およびW軸は、これまでの各変形体の説明におけるX軸およびZ軸に対応するものである。
図26に示す補助構造体5400は、実質的には、図16に示す変形体402(§4−6において第6の変形例として示した基本構造体2002に含まれる変形体)と同じ構造を有するものであり、弾性変形部5410と、第1台座部5420と、第2台座部5430と、を有する一体構造体である。
ここで、弾性変形部5410は、少なくとも一部分が弾性変形を生じる構造体であり、その一端には受力体5100の第1箇所に固定するための第1受力点P1が設けられ、その他端には受力体5100の第2箇所に固定するための第2受力点P2が設けられており、この第1受力点P1と第2受力点P2とを接続する所定の接続経路R12に沿った腕状構造体をなす。
一方、第1台座部5420は、その一端が接続経路R12上に定義された第1中継点m1の近傍において弾性変形部5410に接続されており、その他端には、支持体5200の第1箇所に固定するための第1支持点Q1が設けられている。また、第2台座部5430は、その一端が接続経路R12上に定義された第2中継点m2の近傍において弾性変形部5410に接続されており、その他端には、支持体5200の第2箇所に固定するための第2支持点Q2が設けられている。
そして、第1台座部5420の第1支持点Q1および第2台座部5430の第2支持点Q2を固定した状態で、弾性変形部5410の第1受力点P1および第2受力点P2に力が作用したときに、弾性変形部5410の第1中継点m1の近傍が、第1台座部5420との接続点を支点として第1台座部5420に対して揺動し、弾性変形部5410の第2中継点m2の近傍が、第2台座部5430との接続点を支点として第2台座部5430に対して揺動するという特徴を有している。
このような揺動可能な構造を実現するために、第1台座部5420の弾性変形部5410に対する接続端は、他の部分に比べて幅が狭い狭窄先端部5421を構成しており、第2台座部5430の弾性変形部5410に対する接続端は、他の部分に比べて幅が狭い狭窄先端部5431を構成している。
接続経路R12は、VW二次元直交座標系のVW平面上に設けられており、弾性変形部5410の基本的な部分は、VW平面に沿って伸びる腕状構造体によって構成されている。しかも、図示の実施例の場合、補助構造体5400の重心位置にVW二次元直交座標系の原点Gを定義したときに、第1受力点P1はVW二次元直交座標系の第2象限に位置し、第2受力点P2はVW二次元直交座標系の第1象限に位置し、第1支持点Q1はVW二次元直交座標系の第3象限に位置し、第2支持点Q2はVW二次元直交座標系の第4象限に位置している。4点P1,P2,Q1,Q2の位置を、このような配置にすると、受力体5100に重心Gを中心とした回転モーメントが作用したときに、重心Gの近傍に逆向きの応力が作用する結果となり、変位を制限する抵抗力を作用させることができる点は、既に述べたとおりである。
実用上、この補助構造体5400は、VW平面に平行な平面からなる上面と、VW平面に平行な平面からなる下面と、を有する板状部材によって構成するのが好ましい。そうすれば、補助構造体5400は、VW平面に沿って広がる板状部材になり、1枚の金属板や樹脂板に対して所定の加工工程を施すことにより、容易に作成することができる。
なお、図示の実施例の場合、第1中継点m1から第2中継点m2に向かうように接続経路R12を辿ったときに、接続経路R12が、W軸負方向に進む第1進行路r1とW軸正方向に進む第2進行路r2とを有している。このような構造を採用すると、§4−0で述べたとおり、第1進行路r1に沿った下降腕状部と第2進行路r2に沿った上昇腕状部とが形成されることになり、モーメントが作用した場合に、変形を妨げる抵抗力を最大限に発揮させることができるようになる。
また、図示の実施例のように、第2進行路r2(もしくは第1進行路r1でもよい)が、VW二次元直交座標系の原点Gを通る経路になるようにすると、§4−0で述べたとおり、左側から伝達されてきた力と右側から伝達されてきた力とを、補助構造体5400の中心付近においてバランスよく拮抗させることができ、補助構造体5400の変形態様を安定させる上で好ましい。
図示のとおり、この実施例では、接続経路R12が、W軸に平行な縦方向経路とV軸に平行な横方向経路とを有しており、第1受力点P1および第2受力点P2からは縦方向経路が伸び、第1中継点m1および第2中継点m2が横方向経路上に定義されている。§4−11で述べたように、このような構成を採ると、補助構造体5400に対する加工が容易になり、量産に適した構造体が実現できる。
更に、図示の実施例の場合、接続経路R12の第1受力点P1と第1中継点m1との間の区間に、U字状をなす第1U字状迂回路U1が設けられており、接続経路R12の第2中継点m2と第2受力点P2との間の区間に、U字状をなす第2U字状迂回路U2が設けられている。このように、外側腕状部にU字状迂回部という冗長構造を設けると、§4−4で述べたとおり、補助構造体5400は、より多様な変形態様をとることができるようになるので、§6−2で述べた6軸検出型の力覚センサに組み込むのに適した構造が得られる。
なお、補助構造体5400に対する加工を容易にするためには、U字状迂回路は、湾曲した経路にせずに、直角に屈曲した経路にするのが好ましい。図26に示す実施例の場合、第1U字状迂回路U1および第2U字状迂回路U2が、W軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶV軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されているため、U字状迂回部の輪郭は、W軸に平行な部分とV軸に平行な部分とによって構成されている。したがって、製造上、湾曲構造を形成する必要はなく、加工は比較的容易である。
図示の実施例の場合、弾性変形部5410を構成する腕状構造体の一部に、接続経路R12に直交する方向に関する幅が狭くなったくびれ部54が設けられている。このようなくびれ部54が、弾性変形部5410の変形を容易にし、補助構造体5400の変形態様を多様化する効果を奏することは、§4−5で述べたとおりである。
また、図示の実施例の場合、弾性変形部5410を構成する腕状構造体の特定箇所に、接続経路R12に直交する方向に突き出した重量調整部62が設けられている。このような重量調整部62が、補助構造体5400の重量分布の偏りを是正し、変形動作を安定させる効果を奏することは、§4−7で述べたとおりである。
図27は、図26に示す補助構造体5400の変形例を示す正面図である。この図27に示す補助構造体5500は、図26に示す補助構造体5400とほぼ同じ構造を有するものであり、第1受力点P1と第2受力点P2とを接続する接続経路R12に沿って設けられた弾性変形部5510と、この弾性変形部5510の所定箇所を第1支持点Q1および第2支持点Q2に接続するための第1台座部5520および第2台座部5530と、を有している。そして、第1台座部5520の上端に設けられた狭窄先端部5521によって、弾性変形部5510の第1中継点m1の近傍が支持され、第2台座部5530の上端に設けられた狭窄先端部5531によって、弾性変形部5510の第2中継点m2の近傍が支持されている点も、図26に示す補助構造体5400と同様である。
図26に示す補助構造体5400と図27に示す補助構造体5500との相違点は、くびれ部の数と形状だけである。図26に示す補助構造体5400には、比較的短いくびれ部54が合計6箇所に設けられていたのに対して、図27に示す補助構造体5500では、左右の外側腕状部について、比較的長いくびれ部55が1箇所ずつ設けられ、中央の内側腕状部について、比較的短いくびれ部が2カ所に設けられている。
図26に示す補助構造体5400と図27に示す補助構造体5500との性能の優劣は一概には決められないが、両者では変形態様が若干異なるため、実用上は、用途に応じて使い分けるようにすればよい。
<6−4.補助構造体の具体的な変形形態>
続いて、力覚センサ5000に組み込まれた補助構造体5400が、具体的にどのように変形するかを簡単に説明しておく。図28は、図25に示す力覚センサにおける4組の補助構造体の具体的な配置を示す図である。ここで、図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図である。
図(a) の上面図は、正方形の板状部材からなる支持体5200の上面に、4組の補助構造体5401〜5404を配置した状態を示すものであり、受力体5100を取り外した状態が示されている。ここで、4組の補助構造体5401〜5404は、いずれも、図26に示す補助構造体5400と同一の構造体である。図25と同様に、4組の補助構造体5401〜5404については、その配置のみが示され、細かな構造の図示は省略されている。これに対して、図(b)〜図(e) には、受力体5100および支持体5200とともに、各補助構造体5401〜5404の細かな構造が図示されている。
図(a) には、この力覚センサについて定義されたXYZ三次元直交座標系が示されているが、図(b)〜図(e) には、図26において定義したVW二次元直交座標系がそれぞれ示されているので、各補助構造体5401〜5404の三次元空間上での向きが容易に理解できるであろう。なお、この図28は、支持体5200上への各補助構造体5401〜5404の配置を示すための図であるため、他の構成要素についての図示は省略しているが、実際には、力覚センサを構成するためには、4組の補助構造体5401〜5404に囲まれた内部に、検出用変形体5300を配置し、必要な箇所に検出素子を配置することになる。
すなわち、実際の力覚センサ5000は、受力体5100と、支持体5200と、受力体5100と支持体5200とを接続する検出用変形体5300と、この検出用変形体5300の弾性変形を検出する検出素子Dと、この検出素子Dの検出結果に基づいて、作用した力もしくはモーメントの検出信号を出力する検出回路5900と、4組の補助構造体5401〜5404と、を備えていることになる。ここで、4組の補助構造体5401〜5404の1つを代表して補助構造体5400と呼んだ場合、図26に示すように、補助構造体5400の第1受力点P1および第2受力点P2は、受力体5100の下面に接合され、補助構造体5400の第1支持点Q1および第2支持点Q2は、支持体5200の上面に接合されることになる。
また、受力体5100および支持体5200は、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されており、Z軸は受力体5100および支持体5200を挿通している。そして、4組の補助構造体5401〜5404は、検出用変形体5300の周囲を取り囲むように配置されている。
より詳細に説明すれば、図28に示すとおり、第1の補助構造体5401は、そのVW平面が正のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、第2の補助構造体5402は、そのVW平面が正のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、第3の補助構造体5403は、そのVW平面が負のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、第4の補助構造体5404は、そのVW平面が負のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されている。
そして、各補助構造体5401〜5404の第1受力点P1および第2受力点P2は、受力体5100の下面に接合され、各補助構造体5401〜5404の第1支持点Q1および第2支持点Q2は、支持体5200の上面に接合されている。
図28は、受力体5100に何ら外力が作用していないときの状態を示すものであり、受力体5100と支持体5200とは平行な状態を維持し、各補助構造体5401〜5404の形状も、変形を生じていない状態にある。そこで、この図28に示す状態を基準として、支持体5200を固定した状態において、受力体5100に様々な外力が作用した場合の変形形態を考えてみる。
図29は、図25に示す力覚センサについて、受力体5100にZ軸負方向の力−Fzが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である。図28と同様に、図(a) は上面図、図(b) は右側面図、図(c) は背面図、図(d) は左側面図、図(e) は正面図である。図が繁雑になるのを避けるため、各部の符号は省略する。図に示す白矢印は、作用した力−Fzに基づいて各部に加わる分力の向きを示している。また、図の破線は、変形前の受力体5100の位置を示している。くびれ部54を介して接続された補助構造体5400の各部が、それぞれの位置に応じて、様々な変位を生じていることがわかるであろう。
図30は、図25に示す力覚センサについて、受力体5100にZ軸正方向の力+Fzが作用したときの4組の補助構造体の変形態様を示す図である。同様に、図31は、モーメント+Myが作用したときの状態(モーメント+Mxが作用したときは、これを90°回転させた状態になる)を示し、図32は、力+Fxが作用したときの状態(力+Fyが作用したときは、これを90°回転させた状態になる)を示している。また、図33は、モーメント+Mzが作用したときの状態を示している。いずれの図においても、白矢印は、作用した外力に基づいて各部に加わる分力の向きを示し、破線は、変形前の受力体5100の位置を示している。
前述したとおり、力Fzが作用したときには、内側腕上部に左右から伝達されてくる力の向きは同じになるので、図29や図30に示す変形状態では、本発明に固有の変位を制限する抵抗力(腕状部を伸縮させるために生じる抵抗力)は作用しない。これに対して、図31に示すようにモーメントMyが作用したときや、モーメントMxが作用したときは、内側腕上部に左右から伝達されてくる力の向きが逆になるので、本発明に固有の変位を制限する抵抗力(腕状部を伸縮させるために生じる抵抗力)が作用し、変形は妨げられることになる。なお、力Fx,FyやモーメントMzが作用した場合は、本発明に固有の変位を制限する抵抗力は作用しない。
図34は、図26に示す補助構造体5400の各部の構成を示す正面図である(ハッチングは、各部の領域を示すためのものであり、断面を示すものではない)。図において黒く塗りつぶされた部分はくびれ部54(台座狭窄部も含む)であり、斜線のハッチングが施された部分は接続経路R12に沿った腕状部である。また、白抜きの矩形部分は、重量調整部62である。ここに示す実施例の場合、図示した各部分の寸法d1〜d4は、d1=14mm、d2=40mm、d3=1mm、d4=0.5mmであり、この補助構造体5400の厚みd5は、d5=4mmである。もちろん、これらの寸法値は、一実施例の寸法設定例を示すものであり、本発明に係る補助構造体の各部は、その利用形態に応じて、任意の寸法設定を行うことが可能である。
図35は、図34に示す補助構造体5400(上記寸法値を有する試作品)に各軸方向の力Fx,Fy,Fzおよび各軸まわりのモーメントMx,My,Mzが作用したときに、各部に生じる変形態様を示す表である。ここで、「くびれ部の曲げ」とは、VW平面に沿った方向への変形を意味し、「くびれ部の倒れ」とは、VW平面に直交する方向への変形を意味し、「くびれ部の捻れ」とは、接続経路R12(台座狭窄部の場合は支持経路R2,R3)の方向を回転軸とした捻れを意味する。また、表において、○印は、該当する各部の変形態様が補助構造体5400の変形に大きく寄与することを示し、X印は、寄与の程度が小さいことを示す。
この表によると、力Fx,Fyが作用した場合は、くびれ部の曲げおよび倒れが補助構造体5400の変形に大きく寄与する。力+Fxが作用したときには、図32に示すとおり、受力体がX軸正方向に押し出されるため、正面側の補助構造体5404と背面側の補助構造体5402とについてはくびれ部の曲げが生じ、側面の補助構造体5401,5403についてはくびれ部の倒れが生じる。その結果、側面の補助構造体5401,5403はX軸正方向に傾斜する。このときの補助構造体5400による受力体5100に対する支持剛性は、くびれ部の曲げに対する剛性とくびれ部の倒れに対する剛性との和になる。一般的には、後者の方が大きく支配的になるため、くびれ部の厚み寸法d5とくびれ部の高さ寸法d3とを調整することにより、力Fxに対する検出感度の調整が可能になる。力Fyについても同様である。
これに対して、力Fzが作用した場合は、くびれ部の曲げが補助構造体5400の変形に大きく寄与している。たとえば、力−Fzが作用したときには、図29に示すとおり、受力体が全体的に下方へ押し下げられるため、4組の補助構造体5400の各受力点P1,P2には、下方へ向かった同じ方向の力が同時に作用する。逆方向の力+Fzが作用したときには、図30に示すとおり、受力体が全体的に上方へ引き上げられるため、4組の補助構造体5400の各受力点P1,P2には、上方へ向かった同じ方向の力が同時に作用する。したがって、いずれの場合も、主として、各くびれ部に曲げが生じる結果になる。このときの補助構造体5400による受力体5100に対する支持剛性は、くびれ部の曲げに対する剛性が主になる。よって、主として、くびれ部の幅寸法d4を調整することにより、力Fzに対する検出感度の調整が可能になる。
もし、検出用変形体5300による受力体5100に対する支持剛性が、4組の補助構造体5400の受力体5100に対する支持剛性よりも十分に大きい場合には、4組の補助構造体5400を付加したとしても、力Fzに関する検出感度への影響はほとんどないことになる。
一方、モーメントMx,Myが作用した場合は、くびれ部の曲げに加えて、腕状部の伸縮が補助構造体5400の変形に大きく寄与する。たとえば、モーメント+Myが作用したときには、図31に示すとおり、正面側の補助構造体5404と背面側の補助構造体5402とについて、くびれ部の曲げとともに、腕状部の伸縮が生じる。ここで、腕状部の伸縮が生じる理由は、内側腕状部に対して、左右から伝達される力の向きが逆向きになるためである。この腕状部の伸縮を生じさせる際に、本発明に固有の変位を制限する抵抗力が作用することになる。一方、側面の補助構造体5401,5403についてはくびれ部の曲げが生じる。モーメントMxが作用した場合も同様である。
このように、モーメントMx,Myが作用した場合は、単に、くびれ部の変形が生じるだけでなく、腕状部の伸縮が生じることになるので、変形を制限するための大きな抵抗力が働くことになる。そのため、補助構造体5400を付加することによって、モーメントMx,Myの検出感度を低下させることができることは、既に述べたとおりであり、この点は、本発明の重要な作用効果である。別言すれば、補助構造体5400を付加することにより、モーメントMx,Myが作用したときの剛性だけを選択的に強化することが可能になる。当該剛性の程度は、腕状部の寸法によって調整することができる。
最後に、モーメントMzが作用した場合は、図33に示すように、Z軸を中心軸として捻れる変形が生じるため、くびれ部について曲げと捻れが生じることになる。このときの補助構造体5400による受力体5100に対する支持剛性は、くびれ部の曲げに対する剛性とくびれ部の捻れに対する剛性との和になる。したがって、くびれ部の幅寸法d4とくびれ部の高さ寸法d3に加えて、補助構造体5400全体の幅寸法d2を調整することにより、モーメントMzに対する検出感度の調整が可能になる。
最後に、4組の補助構造体5401〜5404を付加したことにより、モーメントの検出感度と力の検出感度とのバランス調整に成功したことを示す結果を示しておく。図36は、図24に示す従来型の力覚センサ4000(特許文献3に開示されているセンサ)と図25に示す本発明に係る力覚センサ5000(4組の補助構造体5401〜5404を付加したセンサ)とについて、各軸方向の力および各軸まわりのモーメントが作用したときに得られる検出値を比較する表である。
なお、力の検出感度とモーメントの検出感度とを同じ尺度で比較するため、ここでは、回転の中心点から作用点までの距離を0.1mに設定し(一般的なジョイスティックなどでは、ほぼこの程度の設定になることが多い)、力Fとしては、200Nの並進力を加え、モーメントMとしては、作用点に同じ200Nの力を加えた場合に相当する、20N・mの回転力を加えた場合について、検出回路から出力されるそのままの電気信号の値を求めることにした。
表に示されているとおり、従来の力覚センサ4000の場合、力Fx,Fyの検出値に対して、モーメントMx,Myの検出値は20倍を超えており、ジョイスティックなどの用途に利用する場合は、何らかの補正処理を行う必要があった。力FzとモーメントMyに関しても、2倍程度の差が生じている。これに対して、本発明の力覚センサ5000の場合、力Fx,Fyの検出値に対して、モーメントMx,Myの検出値は2倍程度にまで減少しており、特に、力FzとモーメントMyに関しては、ほぼ1倍程度にまで差が解消されている。
従来の力覚センサ4000と本発明の力覚センサ5000とは、全く同じ検出用変形体4300を用いており、検出素子および検出回路も全く同じである。両者の本質的な相違は、後者では、4組の補助構造体5401〜5404が付加されている、という点だけである。このように、本発明に係る補助構造体を従来型の任意の力覚センサに付加するだけで、検出感度の調整が可能になり、所望の検出感度をもった力覚センサを実現することができるようになる。
本発明に係る力覚センサは、ロボットや産業機械の動作制御を行うための装置や、電子機器の入力装置のマン・マシンインターフェイスなどに広く利用することが可能である。また、本発明に係る力覚センサ用の補助構造体は、受力体と支持体との間に挿入した変形体の変形態様を検出するタイプの力覚センサに組み込むことにより、検出感度を調整する用途に利用することができる。
10,15:受力体
11,12:ダイアフラム部
13:受力体
20,25:支持体
21,22:ダイアフラム部
23:支持体
31〜36:柱状部材(変形体)
41〜43:くびれ部
51a,51b:くびれ部
52a,52b:くびれ部
53a,53b:くびれ部
54,55:くびれ部
61f,63f:フランジ部図形
62:重量調整部
62f:重量調整部図形
100:受力体
100f:受力体図形
150:受力体
150f:受力体図形
150fx:X軸に関する受力体図形
150fy:Y軸に関する受力体図形
160f:受力体図形
200:支持体
200f:支持体図形
250:支持体
250f:支持体図形
250fx:X軸に関する支持体図形
250fy:Y軸に関する支持体図形
260f:支持体図形
300:変形体
300f〜303f:変形体図形
310:弾性変形部
310f:弾性変形部図形
311:第1外側腕状部
311f:第1外側腕状部図形
312:内側腕状部
312f:内側腕状部図形
313:第2外側腕状部
313f:第2外側腕状部図形
320:第1台座部
320f:第1台座部図形
321:第1台座狭窄部
321f:第1台座狭窄部図形
330:第2台座部
330f:第2台座部図形
331:第2台座狭窄部
331f:第2台座狭窄部図形
340f:弾性変形部図形
341f:第1外側腕状部図形
342f:内側腕状部図形
343f:第2外側腕状部図形
350f:弾性変形部図形
351f:第1外側腕状部図形
352f:内側腕状部図形
353f:第2外側腕状部図形
360f:弾性変形部図形
361f:第1外側腕状部図形
362f:内側腕状部図形
363f:第2外側腕状部図形
400f〜405f:変形体図形
410f:弾性変形部図形
411f:第1外側腕状部図形
412f:内側腕状部図形
413f:第2外側腕状部図形
420f:第1台座部図形
425f:第1台座部図形
426f:第1台座部図形
430f:第2台座部図形
435f:第2台座部図形
436f:第2台座部図形
440f:弾性変形部図形
441f:第1外側腕状部図形
442f:内側腕状部図形
443f:第2外側腕状部図形
450f:弾性変形部図形
451f:第1外側腕状部図形
452f:内側腕状部図形
453f:第2外側腕状部図形
460f:弾性変形部図形
461f:第1外側腕状部図形
462f:内側腕状部図形
463f:第2外側腕状部図形
470f:弾性変形部図形
471f:第1外側腕状部図形
472f:内側腕状部図形
473f:第2外側腕状部図形
480f:弾性変形部図形
481f:第1外側腕状部図形
482f:第1内側腕状部図形
483f:第2内側腕状部図形
483f:第2外側腕状部図形
496f:第3台座部図形
500:変形体
500fx:X軸に関する変形体図形
500fy:Y軸に関する変形体図形
510:X軸に関する弾性変形部
510f:X軸に関する弾性変形部図形
511f:X軸に関する第1外側腕状部図形
512f:X軸に関する内側腕状部図形
513f:X軸に関する第2外側腕状部図形
520:X軸に関する第1台座部
520f:X軸に関する第1台座部図形
530:X軸に関する第2台座部
530f:X軸に関する第2台座部図形
540:Y軸に関する弾性変形部
540f:Y軸に関する弾性変形部図形
541f:Y軸に関する第1外側腕状部図形
542f:Y軸に関する内側腕状部図形
543f:Y軸に関する第2外側腕状部図形
550:Y軸に関する第1台座部
550f:Y軸に関する第1台座部図形
560:Y軸に関する第2台座部
560f:Y軸に関する第2台座部図形
570:統合弾性変形部(回転体)
580:統合台座部(回転体)
900:検出回路
1000〜1003:基本構造体
2000〜2005:基本構造体
3000〜3002:力覚センサ
4000:従来型の力覚センサ
4100:受力体
4200:支持体
4300:検出用変形体
4310〜4380:柱状部材
4900:検出回路
5000:力覚センサ
5100:受力体
5200:支持体
5300:検出用変形体
5400〜5404:補助構造体
5410:弾性変形部
5420:第1台座部
5421:狭窄先端部
5430:第2台座部
5431:狭窄先端部
5500:補助構造体
5510:弾性変形部
5520:第1台座部
5521:狭窄先端部
5530:第2台座部
5531:狭窄先端部
5900:検出回路
B1〜B8:ベースポイント
C1〜C4:容量素子
D:検出素子
d1〜d4:各部の寸法
E11〜E14:変位電極
E21〜E24:固定電極
Fx:X軸方向への並進力
Fy:Y軸方向への並進力
Fz:Z軸方向への並進力
fz:Z軸方向への分力
G:VWニ次元直交座標系の原点
L1〜L6:長手方向軸
Mx:X軸まわりのモーメント
My:Y軸まわりのモーメント
Mz:Z軸まわりのモーメント
m1:第1中継点
m1′:支点
m2:第2中継点
m3:第3中継点
m11:X軸に関する第1中継点
m12:X軸に関する第2中継点
m21:Y軸に関する第1中継点
m22:Y軸に関する第2中継点
O:XYZ三次元直交座標系の原点
P1:第1受力点
P2:第2受力点
P11:X軸に関する第1受力点
P12:X軸に関する第2受力点
P21:Y軸に関する第1受力点
P22:Y軸に関する第2受力点
Q1:第1支持点
Q2:第2支持点
Q3:第2支持点
Q11:X軸に関する第1支持点
Q12:X軸に関する第2支持点
Q21:Y軸に関する第1支持点
Q22:Y軸に関する第2支持点
R1:接続経路
R2:第1支持経路
R3:第2支持経路
R4〜R9:接続経路
R10:X軸に関する接続経路
R11:Y軸に関する接続経路
R12:接続経路
r1:第1進行路
r2:第2進行路
S,S1〜S4:揺動方向を示す矢印
U:U字状部
U1:第1U字状迂回路
U2:第2U字状迂回路
U11:X軸に関する第1U字状迂回路
U12:X軸に関する第2U字状迂回路
U21:Y軸に関する第1U字状迂回路
U22:Y軸に関する第2U字状迂回路
V:VW二次元直交座標系の座標軸
W:VW二次元直交座標系の座標軸
X:XYZ三次元直交座標系の座標軸
Y:XYZ三次元直交座標系の座標軸
Z:XYZ三次元直交座標系の座標軸

Claims (47)

  1. XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する力覚センサであって、
    Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体と、前記受力体の下方に配置された支持体と、前記受力体と前記支持体とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる変形体と、を含む基本構造体と、
    前記変形体の変形もしくは変位、または、前記受力体もしくは前記支持体の変位を検出する検出素子と、
    前記検出素子の検出結果に基づいて、前記受力体および前記支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力する検出回路と、
    を備え、
    前記変形体は、所定箇所が前記受力体に接続され弾性変形を生じる弾性変形部と、この弾性変形部の所定箇所を前記支持体に固定する第1台座部および第2台座部と、を有し、
    XZ平面もしくはXZ平面に平行な平面によって前記基本構造体を切断したときに、前記受力体の断面に現れる幾何学的な図形を受力体図形と呼び、前記支持体の断面に現れる幾何学的な図形を支持体図形と呼び、前記変形体の断面に現れる幾何学的な図形を変形体図形と呼んだときに、前記変形体図形は、前記弾性変形部の断面である弾性変形部図形と、前記第1台座部の断面である第1台座部図形と、前記第2台座部の断面である第2台座部図形と、を含んでおり、
    前記弾性変形部図形は、前記受力体図形の輪郭上に定義された第1受力点と第2受力点とを結ぶ所定の接続経路に沿って配置され、前記第1受力点と前記第2受力点とを連結する図形であり、
    前記第1台座部図形は、前記接続経路上に定義された第1中継点の近傍において前記弾性変形部図形に接続されており、前記第2台座部図形は、前記接続経路上に定義された第2中継点の近傍において前記弾性変形部図形に接続されており、
    前記弾性変形部は、前記第1受力点と前記第2受力点とを連結しており、前記第1台座部は、前記弾性変形部の前記第1中継点の近傍と前記支持体上に定義された第1支持点とを連結しており、前記第2台座部は、前記弾性変形部の前記第2中継点の近傍と前記支持体上に定義された第2支持点とを連結しており、
    前記第1受力点は、負のX座標値をもつ位置に配置され、前記第2受力点は、正のX座標値をもつ位置に配置されており、
    前記支持体を固定した状態で前記受力体に力Fzが作用したとき、および、前記支持体を固定した状態で前記受力体にモーメントMyが作用したとき、前記弾性変形部の前記第1中継点の近傍が、前記第1台座部との接続点を支点として前記第1台座部に対してX軸方向に揺動し、前記弾性変形部の前記第2中継点の近傍が、前記第2台座部との接続点を支点として前記第2台座部に対してX軸方向に揺動することを特徴とする力覚センサ。
  2. 請求項1に記載の力覚センサにおいて、
    弾性変形部図形が、接続経路の第1受力点から第1中継点に至る区間に沿って配置された第1外側腕状部図形と、接続経路の第1中継点から第2中継点に至る区間に沿って配置された内側腕状部図形と、接続経路の第2中継点から第2受力点に至る区間に沿って配置された第2外側腕状部図形と、を有することを特徴とする力覚センサ。
  3. 請求項2に記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点の近傍の下方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点の近傍の下方に接続されていることを特徴とする力覚センサ。
  4. 請求項3に記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形が、接続経路上に定義された第1中継点と支持体図形の輪郭上に定義された第1支持点とを結ぶ第1支持経路に沿って配置され、弾性変形部図形と支持体図形とを連結する図形であり、
    第2台座部図形が、接続経路上に定義された第2中継点と支持体図形の輪郭上に定義された第2支持点とを結ぶ第2支持経路に沿って配置され、弾性変形部図形と支持体図形とを連結する図形であることを特徴とする力覚センサ。
  5. 請求項4に記載の力覚センサにおいて、
    支持体を固定した状態で受力体に力Fzが作用したとき、および、支持体を固定した状態で受力体にモーメントMyが作用したとき、弾性変形部図形の第1中継点の近傍が、第1支持経路と弾性変形部図形の輪郭との交点を支点として第1台座部図形に対して揺動し、弾性変形部図形の第2中継点の近傍が、第2支持経路と弾性変形部図形の輪郭との交点を支点として第2台座部図形に対して揺動することを特徴とする力覚センサ。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    第1中継点から第2中継点に向かって辿った接続経路が、XY平面に交差する第1の長手方向軸に沿って下方に向かう下降経路と、XY平面に交差する第2の長手方向軸に沿って上方に向かう上昇経路と、を有し、
    内側腕状部図形が、前記下降経路に沿った下降腕状部と前記上昇経路に沿った上昇腕状部とを有することを特徴とする力覚センサ。
  7. 請求項6に記載の力覚センサにおいて、
    第1の長手方向軸および第2の長手方向軸がZ軸に平行な軸であることを特徴とする力覚センサ。
  8. 請求項7に記載の力覚センサにおいて、
    第1の長手方向軸もしくは第2の長手方向軸が、YZ平面に含まれる軸であることを特徴とする力覚センサ。
  9. 請求項7または8に記載の力覚センサにおいて、
    接続経路が、Z軸に平行な縦方向経路とX軸に平行な横方向経路とを有し、
    第1受力点および第2受力点からは前記縦方向経路が伸び、第1中継点および第2中継点が前記横方向経路上に定義されていることを特徴とする力覚センサ。
  10. 請求項3に記載の力覚センサにおいて、
    接続経路の第1中継点と第2中継点との間の区間に、下方に湾曲してから上方に湾曲する湾曲路が設けられており、
    内側腕状部図形が、前記湾曲路に沿った湾曲部を有することを特徴とする力覚センサ。
  11. 請求項2に記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点の近傍の下方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点の近傍の上方に接続されていることを特徴とする力覚センサ。
  12. 請求項11に記載の力覚センサにおいて、
    第1中継点から第2中継点に向かって辿った接続経路が、XY平面に交差する長手方向軸に沿って下方に向かう下降経路を有し、
    内側腕状部図形が、前記下降経路に沿った下降腕状部を有することを特徴とする力覚センサ。
  13. 請求項12に記載の力覚センサにおいて、
    長手方向軸がZ軸に平行な軸であることを特徴とする力覚センサ。
  14. 請求項2に記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点の近傍の上方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点の近傍の上方に接続されていることを特徴とする力覚センサ。
  15. 請求項1に記載の力覚センサにおいて、
    接続経路上の第2中継点と第2受力点との間に、更に、第3中継点が定義されており、
    変形体は、弾性変形部、第1台座部、第2台座部に加えて、更に、第3台座部を有し、
    前記第3台座部は、前記弾性変形部の前記第3中継点の近傍と支持体上に定義された第3支持点とを連結しており、
    弾性変形部図形が、接続経路の第1受力点から第1中継点に至る区間に沿って配置された第1外側腕状部図形と、接続経路の第1中継点から第2中継点に至る区間に沿って配置された第1内側腕状部図形と、接続経路の第2中継点から第3中継点に至る区間に沿って配置された第2内側腕状部図形と、接続経路の第3中継点から第2受力点に至る区間に沿って配置された第2外側腕状部図形と、を有することを特徴とする力覚センサ。
  16. 請求項15に記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第1中継点の近傍の下方に接続され、第2台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第2中継点の近傍の下方に接続され、第3台座部の断面である第3台座部図形の接続端が、弾性変形部図形の第3中継点の近傍の上方に接続されていることを特徴とする力覚センサ。
  17. 請求項2に記載の力覚センサにおいて、
    接続経路の第1受力点と第1中継点との間の区間に、U字状をなす第1U字状迂回路が設けられており、第1外側腕状部図形が前記第1U字状迂回路に沿った第1U字状迂回部を有しており、
    接続経路の第2中継点と第2受力点との間の区間に、U字状をなす第2U字状迂回路が設けられており、第2外側腕状部図形が前記第2U字状迂回路に沿った第2U字状迂回部を有していることを特徴とする力覚センサ。
  18. 請求項17に記載の力覚センサにおいて、
    第1U字状迂回路および第2U字状迂回路が、Z軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶX軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されていることを特徴とする力覚センサ。
  19. 請求項2〜18のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    第1外側腕状部図形、内側腕状部図形、第2外側腕状部図形の全部もしくは一部に、接続経路に直交する方向に関する幅が狭くなったくびれ部を設けたことを特徴とする力覚センサ。
  20. 請求項2〜19のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    第1外側腕状部図形、内側腕状部図形、第2外側腕状部図形の全部もしくは一部に、接続経路に直交する方向に突き出した重量調整部図形を設けたことを特徴とする力覚センサ。
  21. 請求項2〜20のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    第1外側腕状部図形の受力体図形に対する接続部および第2外側腕状部図形の受力体図形に対する接続部に、接続経路に直交する方向に突き出したフランジ部図形を設けたことを特徴とする力覚センサ。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    第1台座部図形および第2台座部図形の弾性変形部図形に対する接続端が、他の部分に比べて幅が狭い狭窄図形を構成していることを特徴とする力覚センサ。
  23. 請求項1〜22のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    受力体および支持体が、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されていることを特徴とする力覚センサ。
  24. 請求項1〜23のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    弾性変形部が、細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されていることを特徴とする力覚センサ。
  25. 請求項1〜24のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    検出素子が、弾性変形部の所定箇所の伸縮状態を電気的に検出することにより、変形体の変形状態の検出を行うことを特徴とする力覚センサ。
  26. 請求項1〜24のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    検出素子が、弾性変形部の所定箇所と支持体の所定箇所との間の距離を電気的に検出することにより、変形体の変位状態の検出を行うことを特徴とする力覚センサ。
  27. 請求項26に記載の力覚センサにおいて、
    検出素子が、弾性変形部の所定箇所に形成された変位電極と、支持体の前記変位電極に対向する位置に形成された固定電極と、を有する複数の容量素子によって構成され、
    検出回路が、前記複数の容量素子の静電容量値に基づく演算処理を行うことにより、Z軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力することを特徴とする力覚センサ。
  28. 請求項1〜23のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    変形体が、所定箇所が受力体に接続され弾性変形を生じるX軸に関する弾性変形部と、このX軸に関する弾性変形部の所定箇所を支持体に固定するX軸に関する第1台座部およびX軸に関する第2台座部と、所定箇所が受力体に接続され弾性変形を生じるY軸に関する弾性変形部と、このY軸に関する弾性変形部の所定箇所を支持体に固定するY軸に関する第1台座部およびY軸に関する第2台座部と、を有し、
    XZ平面もしくはXZ平面に平行な平面によって基本構造体を切断したときに、受力体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する受力体図形と呼び、支持体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する支持体図形と呼び、変形体の断面に現れる幾何学的な図形をX軸に関する変形体図形と呼んだときに、
    前記X軸に関する変形体図形は、前記X軸に関する弾性変形部の断面であるX軸に関する弾性変形部図形と、前記X軸に関する第1台座部の断面であるX軸に関する第1台座部図形と、前記X軸に関する第2台座部の断面であるX軸に関する第2台座部図形と、を含んでおり、
    YZ平面もしくはYZ平面に平行な平面によって基本構造体を切断したときに、受力体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する受力体図形と呼び、支持体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する支持体図形と呼び、変形体の断面に現れる幾何学的な図形をY軸に関する変形体図形と呼んだときに、
    前記Y軸に関する変形体図形は、前記Y軸に関する弾性変形部の断面であるY軸に関する弾性変形部図形と、前記Y軸に関する第1台座部の断面であるY軸に関する第1台座部図形と、前記Y軸に関する第2台座部の断面であるY軸に関する第2台座部図形と、を含んでおり、
    前記X軸に関する弾性変形部図形は、前記X軸に関する受力体図形の輪郭上に定義されたX軸に関する第1受力点とX軸に関する第2受力点とを結ぶ所定のX軸に関する接続経路に沿って配置され、前記X軸に関する第1受力点と前記X軸に関する第2受力点とを連結する図形であり、
    前記X軸に関する第1台座部図形は、前記X軸に関する接続経路上に定義されたX軸に関する第1中継点の近傍において前記X軸に関する弾性変形部図形に接続されており、前記X軸に関する第2台座部図形は、前記X軸に関する接続経路上に定義されたX軸に関する第2中継点の近傍において前記X軸に関する弾性変形部図形に接続されており、
    前記Y軸に関する弾性変形部図形は、前記Y軸に関する受力体図形の輪郭上に定義されたY軸に関する第1受力点とY軸に関する第2受力点とを結ぶ所定のY軸に関する接続経路に沿って配置され、前記Y軸に関する第1受力点と前記Y軸に関する第2受力点とを連結する図形であり、
    前記Y軸に関する第1台座部図形は、前記Y軸に関する接続経路上に定義されたY軸に関する第1中継点の近傍において前記Y軸に関する弾性変形部図形に接続されており、前記Y軸に関する第2台座部図形は、前記Y軸に関する接続経路上に定義されたY軸に関する第2中継点の近傍において前記Y軸に関する弾性変形部図形に接続されており、
    前記X軸に関する弾性変形部は、前記X軸に関する第1受力点と前記X軸に関する第2受力点とを連結しており、前記X軸に関する第1台座部は、前記X軸に関する弾性変形部の前記X軸に関する第1中継点の近傍と前記支持体上に定義されたX軸に関する第1支持点とを連結しており、前記X軸に関する第2台座部は、前記X軸に関する弾性変形部の前記X軸に関する第2中継点の近傍と前記支持体上に定義されたX軸に関する第2支持点とを連結しており、
    前記Y軸に関する弾性変形部は、前記Y軸に関する第1受力点と前記Y軸に関する第2受力点とを連結しており、前記Y軸に関する第1台座部は、前記Y軸に関する弾性変形部の前記Y軸に関する第1中継点の近傍と前記支持体上に定義されたY軸に関する第1支持点とを連結しており、前記Y軸に関する第2台座部は、前記Y軸に関する弾性変形部の前記Y軸に関する第2中継点の近傍と前記支持体上に定義されたY軸に関する第2支持点とを連結しており、
    前記X軸に関する第1受力点は、負のX座標値をもつ位置に配置され、前記X軸に関する第2受力点は、正のX座標値をもつ位置に配置され、前記Y軸に関する第1受力点は、負のY座標値をもつ位置に配置され、前記Y軸に関する第2受力点は、正のY座標値をもつ位置に配置されており、
    前記支持体を固定した状態で前記受力体に力Fzが作用したとき、および、前記支持体を固定した状態で前記受力体にモーメントMyが作用したとき、前記X軸に関する弾性変形部の前記X軸に関する第1中継点の近傍が、前記X軸に関する第1台座部との接続点を支点として前記X軸に関する第1台座部に対してX軸方向に揺動し、前記X軸に関する弾性変形部の前記X軸に関する第2中継点の近傍が、前記X軸に関する第2台座部との接続点を支点として前記X軸に関する第2台座部に対してX軸方向に揺動し、
    前記支持体を固定した状態で前記受力体に力Fzが作用したとき、および、前記支持体を固定した状態で前記受力体にモーメントMxが作用したとき、前記Y軸に関する弾性変形部の前記Y軸に関する第1中継点の近傍が、前記Y軸に関する第1台座部との接続点を支点として前記Y軸に関する第1台座部に対してY軸方向に揺動し、前記Y軸に関する弾性変形部の前記Y軸に関する第2中継点の近傍が、前記Y軸に関する第2台座部との接続点を支点として前記Y軸に関する第2台座部に対してY軸方向に揺動し、
    検出回路が、検出素子の検出結果に基づいて、前記受力体および前記支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号に加えて、更に、X軸まわりのモーメントMxを示す電気信号を出力することを特徴とする力覚センサ。
  29. 請求項28に記載の力覚センサにおいて、
    X軸に関する弾性変形部が、XZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されており、Y軸に関する弾性変形部が、YZ平面上に配置された細長い腕状部材を屈曲させた構造体によって構成されており、前記X軸に関する弾性変形部と前記Y軸に関する弾性変形部とが、Z軸と交差する位置において融合していることを特徴とする力覚センサ。
  30. 請求項28に記載の力覚センサにおいて、
    X軸に関する変形体図形)は、変形体をXZ平面によって切断したときに得られる断面図形であり、Y軸に関する変形体図形は、変形体をYZ平面によって切断したときに得られる断面図形であり、
    X軸に関する弾性変形部図形およびY軸に関する弾性変形部図形は、いずれもZ軸について対称形状をなし、前記X軸に関する弾性変形部図形と前記Y軸に関する弾性変形部図形とは幾何学的な合同図形であり、X軸に関する弾性変形部およびY軸に関する弾性変形部が、前記合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体からなる統合弾性変形部の一部によって構成されていることを特徴とする力覚センサ。
  31. 請求項30に記載の力覚センサにおいて、
    X軸に関する第1台座部図形およびX軸に関する第2台座部図形によって構成されるX軸に関する台座部図形群と、Y軸に関する第1台座部図形およびY軸に関する第2台座部図形によって構成されるY軸に関する台座部図形群とは、いずれもZ軸について対称形状をなし、前記X軸に関する台座部図形群と前記Y軸に関する台座部図形群とは幾何学的な合同図形であり、X軸に関する第1台座部)、X軸に関する第2台座部、Y軸に関する第1台座部、Y軸に関する第2台座部が、前記合同図形をZ軸を中心軸として回転することにより得られる回転体からなる統合台座部の一部によって構成されていることを特徴とする力覚センサ。
  32. 請求項28〜31のいずれかに記載の力覚センサにおいて、
    X軸に関する接続経路のX軸に関する第1受力点とX軸に関する第1中継点との間の区間に、U字状をなすX軸に関する第1U字状迂回路が設けられており、X軸に関する接続経路のX軸に関する第2中継点とX軸に関する第2受力点との間の区間に、U字状をなすX軸に関する第2U字状迂回路が設けられており、
    Y軸に関する接続経路のY軸に関する第1受力点とY軸に関する第1中継点との間の区間に、U字状をなすY軸に関する第1U字状迂回路が設けられており、Y軸に関する接続経路のY軸に関する第2中継点とY軸に関する第2受力点との間の区間に、U字状をなすY軸に関する第2U字状迂回路が設けられており、
    検出素子が、
    X軸に関する弾性変形部のうちの前記X軸に関する第1U字状迂回路に沿って配置された部分の底面に固定された第1変位電極と、支持体の上面の前記第1変位電極に対向する部分に固定された第1固定電極)と、によって構成される第1容量素子と、
    X軸に関する弾性変形部のうちの前記X軸に関する第2U字状迂回路に沿って配置された部分の底面に固定された第2変位電極と、支持体の上面の前記第2変位電極に対向する部分に固定された第2固定電極と、によって構成される第2容量素子と、
    Y軸に関する弾性変形部のうちの前記Y軸に関する第1U字状迂回路に沿って配置された部分の底面に固定された第3変位電極と、支持体の上面の前記第3変位電極に対向する部分に固定された第3固定電極と、によって構成される第3容量素子と、
    Y軸に関する弾性変形部のうちの前記Y軸に関する第2U字状迂回路に沿って配置された部分の底面に固定された第4変位電極と、支持体の上面の前記第4変位電極に対向する部分に固定された第4固定電極と、によって構成される第4容量素子と、
    を有し、
    検出回路が、前記第1容量素子の静電容量値と前記第2容量素子の静電容量値との差をY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号として出力し、前記第3容量素子の静電容量値と前記第4容量素子の静電容量値との差をX軸まわりのモーメントMxを示す電気信号として出力し、前記第1容量素子の静電容量値、前記第2容量素子の静電容量値、前記第3容量素子の静電容量値、前記第4容量素子の静電容量値の総和をZ軸方向の力Fzを示す電気信号として出力することを特徴とする力覚センサ。
  33. 請求項1〜22のいずれかに記載の力覚センサにおける変形体と同一構造を有する力覚センサ用の補助構造体。
  34. 請求項33に記載の補助構造体が組み込まれた力覚センサであって、
    XYZ三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントのうち、少なくともZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを検出する機能を有し、
    Z軸が垂直軸となるように座標系を定義したときに、Z軸上に配置された受力体と、前記受力体の下方に配置された支持体と、前記受力体と前記支持体とを接続し、力もしくはモーメントの作用により、少なくとも一部分が弾性変形を生じる検出用変形体と、前記受力体と前記支持体との間に接続された前記補助構造体と、前記検出用変形体の変形もしくは変位、または、前記受力体もしくは前記支持体の変位を検出する検出素子と、前記検出素子の検出結果に基づいて、前記受力体および前記支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸方向の力FzおよびY軸まわりのモーメントMyを示す電気信号を出力する検出回路と、を備えることを特徴とする力覚センサ。
  35. 受力体と、支持体と、前記受力体と前記支持体とを接続する検出用変形体と、を有し、力もしくはモーメントの作用により生じる前記検出用変形体の弾性変形を検出することにより、作用した力もしくはモーメントの検出を行う力覚センサに、部品の一部として組み込んで用いられる補助構造体であって、
    弾性変形部と、第1台座部と、第2台座部と、を有し、
    前記弾性変形部は、少なくとも一部分が弾性変形を生じる構造体であり、その一端には前記受力体の第1箇所に固定するための第1受力点が設けられ、その他端には前記受力体の第2箇所に固定するための第2受力点が設けられており、前記第1受力点と前記第2受力点とを接続する所定の接続経路に沿った腕状構造体をなし、
    前記第1台座部は、その一端が前記接続経路上に定義された第1中継点の近傍において前記弾性変形部に接続されており、その他端には、前記支持体の第1箇所に固定するための第1支持点が設けられており、
    前記第2台座部は、その一端が前記接続経路上に定義された第2中継点の近傍において前記弾性変形部に接続されており、その他端には、前記支持体の第2箇所に固定するための第2支持点が設けられており、
    前記第1台座部の前記第1支持点および前記第2台座部の前記第2支持点を固定した状態で、前記弾性変形部の前記第1受力点および前記第2受力点に力が作用したときに、前記弾性変形部の前記第1中継点の近傍が、前記第1台座部との接続点を支点として前記第1台座部に対して揺動し、前記弾性変形部の前記第2中継点の近傍が、前記第2台座部との接続点を支点として前記第2台座部に対して揺動することを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  36. 請求項35に記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    接続経路が、VW二次元直交座標系のVW平面上に設けられており、弾性変形部が、前記VW平面に沿って伸びる腕状構造体をなし、
    重心位置に前記VW二次元直交座標系の原点を定義したときに、第1受力点は前記VW二次元直交座標系の第2象限に位置し、第2受力点は前記VW二次元直交座標系の第1象限に位置し、第1支持点は前記VW二次元直交座標系の第3象限に位置し、第2支持点は前記VW二次元直交座標系の第4象限に位置することを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  37. 請求項36に記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    VW平面に平行な平面からなる上面と、VW平面に平行な平面からなる下面と、を有する板状部材によって構成されていることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  38. 請求項36または37に記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    第1中継点から第2中継点に向かうように接続経路を辿ったときに、前記接続経路が、W軸負方向に進む第1進行路とW軸正方向に進む第2進行路とを有することを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  39. 請求項38に記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    第1進行路もしくは第2進行路が、VW二次元直交座標系の原点を通る経路であることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  40. 請求項36〜39のいずれかに記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    接続経路が、W軸に平行な縦方向経路とV軸に平行な横方向経路とを有し、
    第1受力点および第2受力点からは前記縦方向経路が伸び、第1中継点および第2中継点が前記横方向経路上に定義されていることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  41. 請求項36〜40のいずれかに記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    接続経路の第1受力点と第1中継点との間の区間に、U字状をなす第1U字状迂回路が設けられており、接続経路の第2中継点と第2受力点との間の区間に、U字状をなす第2U字状迂回路が設けられていることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  42. 請求項41に記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    第1U字状迂回路および第2U字状迂回路が、W軸に平行な一対の縦方向迂回路とこれら一対の縦方向迂回路を結ぶV軸に平行な横方向迂回路との組み合わせによって構成されていることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  43. 請求項36〜42のいずれかに記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    弾性変形部を構成する腕状構造体の一部に、接続経路に直交する方向に関する幅が狭くなったくびれ部を設けたことを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  44. 請求項36〜43のいずれかに記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    弾性変形部を構成する腕状構造体の特定箇所に、接続経路に直交する方向に突き出した重量調整部を設けたことを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  45. 請求項36〜44のいずれかに記載の力覚センサ用の補助構造体において、
    第1台座部および第2台座部の弾性変形部に対する接続端が、他の部分に比べて幅が狭い狭窄先端部を構成していることを特徴とする力覚センサ用の補助構造体。
  46. 請求項36〜45のいずれかに記載の補助構造体が部品の一部として組み込まれた力覚センサであって、
    受力体と、支持体と、前記受力体と前記支持体とを接続する検出用変形体と、前記検出用変形体の弾性変形を検出する検出素子と、前記検出素子の検出結果に基づいて、作用した力もしくはモーメントの検出信号を出力する検出回路と、前記補助構造体と、を備え、
    前記補助構造体の第1受力点および第2受力点が、前記受力体の下面に接合され、前記補助構造体の第1支持点および第2支持点が、前記支持体の上面に接合されていることを特徴とする力覚センサ。
  47. 請求項46に記載の力覚センサにおいて、
    受力体および支持体が、XY平面に平行な上面および下面をもつ板状部材によって構成されており、Z軸が前記受力体および前記支持体を挿通しており、
    前記受力体と前記支持体とを接続する検出用変形体の周囲を取り囲むように、4組の補助構造体が組み込まれており、
    第1の補助構造体は、そのVW平面が正のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
    第2の補助構造体は、そのVW平面が正のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
    第3の補助構造体は、そのVW平面が負のX軸と交差する位置に、V軸がY軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
    第4の補助構造体は、そのVW平面が負のY軸と交差する位置に、V軸がX軸に平行になり、W軸がZ軸に平行になる向きに配置されており、
    前記各補助構造体の第1受力点および第2受力点が、前記受力体の下面に接合され、前記各補助構造体の第1支持点および第2支持点が、前記支持体の上面に接合されていることを特徴とする力覚センサ。
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