以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 基本概念 >>>
はじめに、本発明に係る力検出装置の基本概念を説明する。図1に示すとおり、本発明に係る力検出装置の基本構成要素は、受力体10、第1の力伝達体11、第2の力伝達体12、第3の力伝達体13、第4の力伝達体14、支持体20、第1のセンサ21、第2のセンサ22、第3のセンサ23、第4のセンサ24、検出回路30である。
受力体10は、検出対象となる力を受ける構成要素であり、ここでは説明の便宜上、この受力体10の中心位置に原点Oを定義し、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義している。図示の例では、受力体10および支持体20を板状部材で構成しているが、これらは必ずしも板状にする必要はなく、任意の形状でかまわない。受力体10に作用する力の成分は、この座標系における各座標軸方向の力成分Fx,Fy,Fzと各座標軸まわりのモーメント成分Mx,My,Mzである。
なお、本願では、「力」という文言は、特定の座標軸方向の力を意味する場合と、モーメント成分を含めた集合的な力を意味する場合とを、適宜使い分けることにする。たとえば、図1において、力Fx,Fy,Fzと言った場合は、モーメントではない各座標軸方向の力成分を意味しているが、6つの力Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzと言った場合は、各座標軸方向の力成分と各座標軸まわりのモーメント成分とを含む集合的な力を意味することになる。
支持体20は、受力体10の下方に配置され、受力体10を支持する機能を果たす構成要素である。上述したように、受力体10や支持体20は、必ずしも板状の形態をとる必要はない。ただ、後述するように、第1のセンサ21〜第4のセンサ24によって、各座標軸X,Y,Zに関する力の検出を行う上では、前述したXYZ三次元座標系におけるXY平面に平行な上面を有する支持体20を用いるのが好ましく、実用上は、受力体10や支持体20は、いずれも板状形態にするのが好ましい。ここでは、説明の便宜上、支持体20の上面に、xy平面を定義することにする。この小文字で示すxy平面は、大文字で示すXY平面に平行な平面となっており、x軸とX軸とは平行、y軸とY軸とは平行である。
第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14は、受力体10と支持体20とを接続する部材であり、Z軸に沿って配置された構造体であり、しかもこの4本は、xy平面上で互いに所定間隔をおいて配置されている。図示の例では、これら力伝達体11〜14は、いずれも柱状の構造体となっており、その長手方向がZ軸に平行な方向を向いて配置されているが、原理的には任意の形状をもった構造体で構成してかまわない。ただ、実用上は、図示のような柱状の構造体にするのが、単純な構造を実現する上で好ましい。また、実用上は、第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14は、全く同じ材質、全く同じサイズにするのが好ましい。これは、これらの材質やサイズを同一にしておけば、第1のセンサ21〜第4のセンサ24による検出感度を同一にすることができるためである。相互の材質やサイズが異なると、各センサの感度を同一にそろえることが困難になり、感度補正のための工夫が必要になる。
ここで重要な点は、各力伝達体11〜14の上端が、受力体10に対して、可撓性をもった接続部材(図には示されていない)を介して接続されており、各力伝達体11〜14の下端が、支持体20に対して、可撓性をもった接続部材(図には示されていない)を介して接続されている点である。要するに、第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14は、受力体10に対しても、支持体20に対しても、可撓性をもって接続されていることになる。ここで、可撓性とは弾力性と同義であり、受力体10に対して何ら力が作用していない状態では、受力体10は支持体20に対して定位置をとるが、受力体10に何らかの力が作用すると、可撓性をもった接続部材が弾性変形を生じ、受力体10と支持体20との相対位置に変化が生じることになる。もちろん、受力体10に作用する力がなくなると、受力体10はもとどおりの定位置に戻る。
結局、図1に示す例の場合、柱状の第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14の上端部および下端部が、それぞれ可撓性をもった接続部材によって構成されていることになる(もちろん、第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14の全体が可撓性をもった材料により構成されていてもかまわない)。そして、この接続部材が、ある程度の弾性変形を生じるため、第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14は、受力体10や支持体20に対して傾斜することができる。また、この接続部材は、図の上下方向(Z軸方向)にも伸縮することが可能であり、受力体10を図の上方向(+Z軸方向)に動かすと、接続部材が伸び、受力体10と支持体20との距離は広がり、逆に、受力体10を図の下方向(−Z軸方向)に動かすと、接続部材が縮み、受力体10と支持体20との距離は狭まることになる。もちろん、このような変位や傾斜の度合いは、受力体10に作用した力の大きさに応じて大きくなる。
第1のセンサ21〜第4のセンサ24は、それぞれ第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14から、支持体20に向かって加えられる力を検出する力センサであり、後述するように、それぞれ複数の容量素子から構成されている。受力体10に力が作用すると、この力は、各力伝達体11〜14を介して、支持体20へと伝達されることになる。各センサ21〜24は、こうして伝達される力を検出する機能を有しており、より具体的には、後に詳述するように、力伝達体が傾斜することにより生じる力を検出することにより、力伝達体の傾斜度を検知する機能と、力伝達体全体が、支持体に対して加える押圧力(図の下方−Z軸方向の力)もしくは引っ張り力(図の上方+Z軸方向の力)を検知する機能と、を有している。
検出回路30は、各センサ21〜24を構成する複数の容量素子の静電容量値に基づいて、受力体10に作用した力もしくはモーメントを検出する処理を行う構成要素であり、XYZ三次元座標系における各座標軸方向の力成分Fx,Fy,Fzを示す信号と各座標軸まわりのモーメント成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。実際には、上述した力伝達体の傾斜度や、支持体に対して加えられる押圧力/引っ張り力に基づいて、力やモーメントの検出が行われる。その具体的な方法については後述する。
続いて、図2の正面図を参照しながら、図1に示す力検出装置の基本的な動作原理を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12に関連する動作のみを示すが、第3の力伝達体13および第4の力伝達体14に関連する動作も同様である。
図2(a) は、この力検出装置に何ら力が作用していない状態を示しており、受力体10は、支持体20に対して定位置を維持している。もちろん、この状態においても、受力体10などの重量が支持体20上に加わっているので、支持体20は、第1の力伝達体11や第2の力伝達体12から、何らかの力を受けているが、この状態で受けている力は定常状態での力であり、このような力が第1のセンサ21や第2のセンサ22によって検出されたとしても、検出回路30から出力される力やモーメントの検出値は0になるように調整されている。別言すれば、検出回路30は、このような定常状態における各センサ21〜24の検出結果を基準として、何らかの変化が生じた場合には、この変化を受力体10に作用した力もしくはモーメントとして検出する機能を有している。
さて、ここでは、まず図2(b) に示すように、受力体10に対して、X軸正方向の力+Fxが作用した場合を考えてみる。ちょうど原点Oの位置を、図の右方向へと押すような力が加わった場合に相当する。この場合、図示のとおり、受力体10は図の右方向へとスライド運動することになり、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12は、図の右方向へと傾斜することになる。ここでは、このときの第1の力伝達体11の傾斜度をθ1、第2の力伝達体12の傾斜度をθ2と呼ぶことにする。また、このようにXZ平面に平行な平面内におけるx軸に向かう方向への傾斜の程度を示す角度θ1,θ2を、「X軸方向に関する傾斜度」と呼ぶことにする。同様に、YZ平面に平行な平面内におけるy軸に向かう方向への傾斜の程度を示す角度を、「Y軸方向に関する傾斜度」と呼ぶ。図示の例の場合、2本の力伝達体11,12は、x軸に沿って並んで配置されているので、Y軸方向の傾斜度は0である。
なお、各力伝達体11,12が傾斜すると、受力体10と支持体20との距離は若干縮まることになるので、厳密に言えば、受力体10はX軸方向に完全な平行移動を行うわけではなく、わずかながら−Z軸方向への移動も行うことになるが、傾斜度が比較的小さい場合、−Z軸方向への移動量は無視することができるので、ここでは説明の便宜上、受力体10がX軸方向のみに移動したものと考えることにする。
一方、図2(c) に示すように、受力体10に対して、Y軸まわりのモーメント+Myが作用した場合を考えてみよう。図2(c) において、Y軸は紙面の裏側へと向かう垂直方向の軸であるから、図では、モーメント+Myは、原点Oを中心に、受力体10全体を時計まわりの方向に回転させるような力に相当する。なお、本願では、所定の座標軸の正方向に右ネジを進める場合の当該右ネジの回転方向を、当該座標軸まわりの正のモーメントと定義することにする。さて、この場合、図示のとおり、第1の力伝達体11については縮小力が作用し、第2の力伝達体12については伸張力が作用することになる。その結果、第1の力伝達体11から支持体20に対しては、押圧力(−Z軸方向の力:ここでは、力−fzと示すことにする)が作用し、第2の力伝達体12から支持体20に対しては、引っ張り力(+Z軸方向の力:ここでは、力+fzと示すことにする)が作用する。
このように、本発明に係る力検出装置では、受力体10にX軸方向の力Fxが作用した場合と、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合とでは、2本の力伝達体11,12を介して支持体20に伝達される力の態様が異なることになる。したがって、両者を区別して、それぞれ別個に検出することが可能である。
すなわち、X軸方向の力Fxが作用した場合は、図2(b) に示すように、2本の力伝達体11,12は、X軸方向に傾斜し、傾斜度θ1,θ2を生じることになり、このような傾斜に応じた力が支持体20へと伝達される。ここで、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12と、これらを支持体20に接続するための可撓性をもった各接続部材とを、同一材料、同一サイズにしておき、この力検出装置が、図のZ軸に関して左右対称となる構造にしておけば、傾斜度θ1=θ2になる。よって両者の和(θ1+θ2)は、X軸方向の力Fxを示す値になる。傾斜度θに符号を付して取り扱えば(たとえば、X軸正方向への傾斜の場合を正、X軸負方向への傾斜の場合を負として取り扱えば)、作用したX軸方向の力Fxを符号を含めて検出することが可能である。
もっとも、本発明では、後述するように、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12の傾斜度は、第1のセンサ21および第2のセンサ22によって、支持体20に加えられる力として検出されることになる。このような検出を行うには、各力伝達体から支持体20に対して加えられる力を、個々の部分ごとに検知すればよい。たとえば、図2(b) において、第1の力伝達体11と支持体20との接続部分に生じる応力を考えてみると、第1の力伝達体11の底部の右側部分と左側部分とでは、生じる応力の向きが異なることがわかる。すなわち、図示の例では、第1の力伝達体11は右側に傾斜しているので、第1の力伝達体11の底部の右側部分については押圧力が生じ、支持体20の上面を下方に押圧する力が生じているのに対し、左側部分については引っ張り力が生じ、支持体20の上面を上方へ引っ張り上げる力が生じている。このように第1の力伝達体11の底部の左右の各部における応力の相違を検出することにより、第1の力伝達体11の傾斜度を得ることができる。その具体的な方法については、§2で詳述する。
結局、本発明に係る力検出装置によって、X軸方向の力Fxを検出するには、第1のセンサ21には、第1の力伝達体11の支持体20に対するx軸方向への傾斜状態を検知する機能をもたせておき、第2のセンサ22には、第2の力伝達体12の支持体20に対するx軸方向への傾斜状態を検知する機能をもたせておけばよい。第1のセンサ21が、第1の力伝達体11のX軸方向に関する傾斜度θ1を検知する機能を有し、第2のセンサ22が、第2の力伝達体12のX軸方向に関する傾斜度を検知する機能を有していれば、検出回路30は、第1のセンサ21によって検知されたX軸方向に関する傾斜度θ1と、第2のセンサ22によって検知されたX軸方向に関する傾斜度θ2と、の和に基づいて、受力体10に作用した力のX軸方向成分Fxを検出する処理を行うことができる。
一方、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合は、図2(c) に示すように、2本の力伝達体11,12から支持体20に対して、押圧力−fzと引っ張り力+fzとが伝達される。このようにして伝達される力は、力伝達体が傾斜した場合の力とは異なっている。すなわち、図2(b) に示すように力伝達体が傾斜した場合は、その底部に生じる応力は、右側部分と左側部分とで異なるものとなった。ところが、図2(c) に示すようにモーメントMyが作用した場合は、第1の力伝達体11全体により押圧力−fzが加えられ、第2の力伝達体12全体により引っ張り力+fzが加えられることになる。
このように、X軸方向の力Fxの作用に対しては、図2(b) に示すように、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12に関して、同じ方向への傾斜という同等の事象が生じるのに対して、Y軸まわりのモーメントMyの作用に対しては、図2(c) に示すように、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12に関して、一方は押圧力−fzを与え、他方は引っ張り力+fzを与えるという相反する事象が生じることになる。したがって、作用したモーメントMyは、引っ張り力+fzと押圧力−fzとの差、すなわち、(+fz)−(−fz)=2fzとして求めることができる。
要するに、本発明に係る力検出装置によって、Y軸まわりのモーメントMyを検出するには、第1のセンサ21には、第1の力伝達体11全体から支持体20に対して加えられる力を検知する機能をもたせ、第2のセンサ22には、第2の力伝達体12全体から支持体20に対して加えられる力を検知する機能をもたせておけばよい。第1のセンサ21が、第1の力伝達体11全体から支持体20に対して加えられるZ軸方向に関する力を検知する機能を有し、第2のセンサ22が、第2の力伝達体12全体から支持体20に対して加えられるZ軸方向に関する力を検知する機能を有していれば、検出回路30は、第1のセンサ21によって検知されたZ軸方向に関する力と、第2のセンサ22によって検知されたZ軸方向に関する力と、の差に基づいて、受力体10に作用した力のY軸まわりのモーメントMyを検出する処理を行うことができる。
以上、図2を参照しながら、第1の力伝達体11および第2の力伝達体12に関連する動作のみを説明したが、第3の力伝達体13および第4の力伝達体14に関連する動作も同様であり、第3のセンサ23および第4のセンサ24の検知機能を利用して、受力体10に作用したX軸方向の力FxおよびY軸まわりのモーメントMyを検出することも可能である。また、図1に示す力検出装置を、Z軸を回転軸として90°回転させ、第1の力伝達体11および第4の力伝達体14に関連する動作を考えてみれば、第1のセンサ21および第4のセンサ24の検知機能を利用して、受力体10に作用したY軸方向の力FyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出することが可能になることも理解できよう。同様に、第2の力伝達体12および第3の力伝達体13に関連する動作により、第2のセンサ22および第3のセンサ23の検知機能を利用して、受力体10に作用したY軸方向の力FyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出することが可能になる。
<<< §2. 本発明に用いる力センサ >>>
図1に示す力検出装置には、第1のセンサ21〜第4のセンサ24が設けられている。これらのセンサは、それぞれ第1の力伝達体11〜第4の力伝達体14より、支持体20に対して加えられる力を検出する力センサであるが、図2で説明した原理に基づいて、力Fx、Fy、モーメントMx、Myを検出するためには、各力伝達体11〜14の傾斜により生じる力と、各力伝達体11〜14全体によって与えられる引っ張り力/押圧力と、をそれぞれ独立して検出する機能が必要になる。
そこで本発明では、各センサ21〜24として、複数の容量素子を有する静電容量式の力センサを用いている。図3は、このような静電容量素子式の多軸力センサの基本構造を示す側断面図である。この多軸力センサ自身は、既に公知のセンサであり、種々の分野で実用されているものであるが、ここでは便宜上、この多軸力センサの基本構造および動作を簡単に説明しておく。
図3の側断面図に示すとおり、この多軸力センサは、板状の支持体40と、その上に配置された椀状接続部材50と、力伝達体60と、支持体40の上面に配置された固定電極E1〜E5と、によって構成されている。図4の上面図に示すとおり、椀状接続部材50は、円形の平底状の椀を伏せた形状を有している。ここでは、説明の便宜上、支持体40の上面中心部に原点Oをとり、図示の方向にx,y,z軸をそれぞれ定義したxyz三次元座標系を定義する。椀状接続部材50は、図3の側断面図に示されているとおり、椀の平底部分に相当する円板状のダイアフラム51と、その周囲を支持する円筒状の側壁部52と、この側壁部52を支持体40の上面に固定するための固定部53と、の各部から構成されており、ダイアフラム51の上面中央部には、円柱状の力伝達体60が接続されている。この円柱状の力伝達体60の軸芯の延長線と支持体40の上面との交点位置に原点Oが定義されていることになる。
ここで、この例の場合、支持体40および力伝達体60は、十分な剛性をもっているが、椀状接続部材50は、可撓性(別言すれば、弾性変形を生じる性質)を有している。この例では、椀状接続部材50は、金属の薄板によって構成されており、支持体40および力伝達体60は絶縁体材料によって構成されている。
図5の上面図に示されているとおり、板状の支持体40の上面には、5枚の固定電極E1〜E5が形成されている。ここで、固定電極E1はx軸の正の部分に配置され、固定電極E2はx軸の負の部分に配置され、固定電極E3はy軸の正の部分に配置され、固定電極E4はy軸の負の部分に配置されており、いずれも各座標軸に関して線対称となる扇形をした同一形状、同一サイズの電極になっている。一方、固定電極E5は原点Oの位置に配置された円形の電極である。図5に破線で示すのは、この支持体40の上に固定される椀状接続部材50の各部の位置である。図示のとおり、ダイアフラム51は、各固定電極E1〜E5のすべてに対向するように、支持体40の上方に配置されることになる。前述したとおり、ダイアフラム51を金属板などの導電性材料で構成しておけば、ダイアフラム51は、可撓性および導電性を有することになり、それ自身が1枚の共通変位電極として機能し、対向する各固定電極E1〜E5との間で容量素子を形成することになる。ここでは、各固定電極E1〜E5と、共通変位電極として機能するダイアフラム51とによって構成される5組の容量素子を、それぞれ容量素子C1〜C5と呼ぶことにする。
続いて、力伝達体60に種々の方向成分をもった力が作用した場合に、椀状接続部材50がどのように変形し、各容量素子C1〜C5の静電容量値にどのような変化が生じるかを考えてみる。
まず、図6に示すように、力伝達体60の上部に、x軸正方向への力+fxが加えられた場合を考える。この場合、力伝達体60を右側へと傾斜させる力が働くことになり、可撓性をもった椀状接続部材50は、図のように変形し、ダイアフラム51は、右側部分が下方に、左側部分が上方に、それぞれ移動するように傾斜する。その結果、容量素子C1の両電極(固定電極E1とダイアフラム51)の距離は狭まり、静電容量値は増加するが、容量素子C2の両電極(固定電極E2とダイアフラム51)の距離は広まり、静電容量値は減少する。このとき、他の3組の容量素子C3〜C5については、右半分については電極間距離が狭まるが、左半分については電極間距離が広まるため、トータルでの静電容量値は変化しない。
なお、このような変形は、力伝達体60の下部に、x軸正方向への力+fx′が加えられた場合も同様である。もっとも、てこの原理により、+fxの大きさと+fx′の大きさとが等しい場合であっても、前者の方がより大きな変形を生じさせることになる。
一方、図7に示すように、力伝達体60の上部に、x軸負方向への力−fxが加えられた場合を考える。この場合、力伝達体60を左側へと傾斜させる力が働くことになり、可撓性をもった椀状接続部材50は、図のように変形し、ダイアフラム51は、左側部分が下方に、右側部分が上方に、それぞれ移動するように傾斜する。その結果、容量素子C1の静電容量値は減少し、容量素子C2の静電容量値は増加する。
結局、力伝達体60に対して作用したx軸方向の力fxは、第1の容量素子C1の静電容量値と第2の容量素子C2の静電容量値との差として求めることができる。求めた差の大きさは作用した力の大きさを示し、求めた差の符号は作用した力の方向を示すものになる。全く同様の原理により、力伝達体60に対して作用したy軸方向の力fyは、第3の容量素子C3の静電容量値と第4の容量素子C4の静電容量値との差として求めることができる。
ところで、こうして求めた力fxは、柱状の力伝達体60のx軸方向に関する傾斜度を示すものであり、力fyは、柱状の力伝達体60のy軸方向に関する傾斜度を示すものに他ならない。結局、力伝達体60のx軸方向に関する傾斜度は、第1の容量素子C1の静電容量値と第2の容量素子C2の静電容量値との差として求めることができ、力伝達体60のy軸方向に関する傾斜度は、第3の容量素子C3の静電容量値と第4の容量素子C4の静電容量値との差として求めることができる。別言すれば、力伝達体60の下端の第1の部分から加えられる力と、力伝達体の下端の第2の部分から加えられる力と、の差に基づいて、力伝達体60の支持体40に対する傾斜度を検知することができる。
続いて、図8に示すように、力伝達体60に対して、z軸負方向への力−fzが加えられた場合を考える。この場合、力伝達体60全体に対して、図の下方への力が加わることになるので、力伝達体60は傾斜することなしに、力伝達体60全体により、椀状接続部材50に対して下方への押圧力を作用させることになり、可撓性をもった椀状接続部材50は、図のように変形し、5組の容量素子C1〜C5のすべての電極間隔が狭まり、静電容量値が増加する。逆に、力伝達体60を上方へと引き上げる力+fzが加えられた場合は、力伝達体60全体により、椀状接続部材50に対して上方への引っ張り力が働くことになり、5組の容量素子C1〜C5のすべての電極間隔が広まり、静電容量値が減少する。
結局、力伝達体60に対してz軸方向の力fzのみが作用している環境下では、第1〜第5の容量素子C1〜C5のいずれかの静電容量値を検出すれば、作用した力fzを求めることができる。ただし、他の軸方向成分の力fx,fyが混在する環境下では、たとえば、容量素子C1の静電容量値を単独で求めたり、容量素子C3の静電容量値を単独で求めたりしても、これらは必ずしもz軸方向の力fzを示す値にはならない。どのような環境下においても、z軸方向の力fzを検出するためには、容量素子C5の静電容量値を利用すればよい。上述したように、x軸方向の力fxやy軸方向の力fyが作用した場合は、容量素子C5の静電容量値には変化は生じないので、容量素子C5の静電容量値を利用すれば、z軸方向の力fzのみを独立して検出することが可能になる。
もっとも、z軸方向の力fzのみを独立して検出するためには、別な方法をとることも可能である。たとえば、容量素子C1の静電容量値と容量素子C2の静電容量値との和を求め、これをz軸方向の力fzの検出値として利用することも可能である。x軸方向の力fxの作用に対しては、容量素子C1の静電容量値の増減と容量素子C2の静電容量値の増減は相補的な関係にあるため、両者の和をとることにより、x軸方向の力fxの成分を相殺することができ、z軸方向の力fzの検出値のみを取り出すことができる。同様に、容量素子C3の静電容量値と容量素子C4の静電容量値との和を求め、これをz軸方向の力fzの検出値として利用することも可能である。更に、4組の容量素子C1〜C4の静電容量値の和や、5組の容量素子C1〜C5の静電容量値の和を求め、これをz軸方向の力fzの検出値として利用することも可能である。したがって、原理的には、固定電極E5(容量素子C5)は、必ずしも設ける必要はない。
以上述べたとおり、図3に示す多軸力センサを用いれば、力伝達体60のx軸方向に関する傾斜度(力fx)と、力伝達体60のy軸方向に関する傾斜度(力fy)と、力伝達体60全体から支持体40に対して加えられる力(力fz)と、を検出することが可能である。これは、この図3に示す多軸力センサが、図1に示す力検出装置における各センサ21〜24として利用できることを意味している。
<<< §3. 第1の実施形態の構造および原理 >>>
続いて、本発明の第1の実施形態に係る力検出装置の主たる構造部分を、図9〜図13を用いて説明し、この装置の動作原理を、図14,図15を用いて説明し、この動作原理による検出を行うための配線を、図16〜図21を用いて説明し、6つの力成分のすべてを検出するのに適した電極構成を、図22〜図26を用いて説明する。
図9は、この第1の実施形態に係る力検出装置の上面図である。この上面図における切断線10−10に沿った側断面図が図10に示されており、切断線11−11に沿った側断面図が図11に示されている。図10もしくは図11に示されているとおり、この力検出装置の基本的な構成要素は、受力体100、中間体200、支持体300であり、いずれも上面が正方形状をした板状の部材を基本形態としている。図10および図11は、互いに切断位置が異なる側断面図であり、図面に現れている幾何学的な構造は全く同一である。両者の相違は、各部の符号だけである。
受力体100は、図9に示すとおり、基本的には、上面が正方形状をした板状部材であるが、下面からは、4本の円柱突起部110,120,130,140が下方へと伸びている。図12は、この受力体100をXY平面で切断した状態を示す横断面図である。ここでは、説明の便宜上、この受力体100の中心部に、図示のとおり原点Oを定義し、図の右方向にX軸、上方向にY軸、紙面に対して垂直上方向にZ軸をとり、XYZ三次元座標系を定義することにする。上面が正方形状をした板状の部材からなる受力体100、中間体200、支持体300は、いずれも上下両面がXY平面に平行になるように、かつ、各辺がX軸もしくはY軸に平行になるように配置されている。
図12に示されているとおり、4本の円柱突起部110,120,130,140の付け根部分の周囲には、円環状の溝部G11,G12,G13,G14が形成されており、この溝部G11,G12,G13,G14の形成により、板状の受力体100には、図9,図10,図11に示すように、可撓性をもった肉薄部115,125,135,145が形成されている。結局、4本の円柱突起部110,120,130,140は、肉薄部115,125,135,145を介して、板状の受力体100に接続されていることになる。ここで、各円柱突起部の配置を、より詳細に説明すれば、「原点を中心とする位置に配置され、受力体100の輪郭より小さく、縦横がX軸およびY軸に平行な正方形」の4頂点の位置に、それぞれ中心軸の位置がくるように、各円柱突起部110,120,130,140が配置されていることになる。
一方、支持体300は、図13に示すように、上面が正方形状をした完全な板状部材であり、その上面には、固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45が配置されている。この支持体300の上面に接合された中間体200は、基本的には、上面が正方形状をした板状部材であるが、図10,図11に示すように、上面からは、4本の円柱突起部210,220,230,240が上方へと伸びている。これら4本の円柱突起部210,220,230,240の付け根部分の周囲には、円環状の溝部G21,G22,G23,G24が形成されており、更に、この中間体200の下面には、円柱状の溝部G31,G32,G33,G34が形成されている。中間体200の上面に設けられた溝部G21,G22,G23,G24と、下面に設けられた溝部G31,G32,G33,G34とは、いずれも円柱突起部210,220,230,240の中心軸の位置を中心とした同サイズの円形の輪郭を有している。図10に示すとおり、溝部G21とG31との間には、ダイアフラム215が境界壁として存在し、溝部G22とG32との間には、ダイアフラム225が境界壁として存在する。また、図11に示すとおり、溝部G23とG33との間には、ダイアフラム235が境界壁として存在し、溝部G24とG34との間には、ダイアフラム245が境界壁として存在する
受力体100側から下方に伸びた4本の円柱突起部110,120,130,140の下面は、中間体200側から上方に伸びた4本の円柱突起部210,220,230,240の上面に接合されている。ここでは、図10に示すように、円柱突起部110と円柱突起部210とを接合することにより構成される円柱状の構造体を第1の力伝達体T1と呼び、円柱突起部120と円柱突起部220とを接合することにより構成される円柱状の構造体を第2の力伝達体T2と呼ぶことにする。また、図11に示すように、円柱突起部130と円柱突起部230とを接合することにより構成される円柱状の構造体を第3の力伝達体T3と呼び、円柱突起部140と円柱突起部240とを接合することにより構成される円柱状の構造体を第4の力伝達体T4と呼ぶことにする。図9の上面図を見ればわかるように、XY二次元座標系における4本の力伝達体T1〜T4の配置を考えると、第1の力伝達体T1は第1象限に、第2の力伝達体T2は第2象限に、第3の力伝達体T3は第3象限に、第4の力伝達体T4は第4象限に、それぞれ配置されており、いずれもZ軸に平行な方向を長手方向とする円柱状の構造体となっている。
また、図10に示すとおり、第1の力伝達体T1の上端は、可撓性をもった肉薄部115を接続部材として受力体100に接続されており、第2の力伝達体T2の上端は、可撓性をもった肉薄部125を接続部材として受力体100に接続されており、図11に示すとおり、第3の力伝達体T3の上端は、可撓性をもった肉薄部135を接続部材として受力体100に接続されており、第4の力伝達体T4の上端は、可撓性をもった肉薄部145を接続部材として受力体100に接続されていることになる。
一方、図10に示すとおり、第1の力伝達体T1の下面は、接続部材として機能するダイアフラム215の中央に接合されており、ダイアフラム215の周囲は、中間体200を介して支持体300に接続されており、第2の力伝達体T2の下面は、接続部材として機能するダイアフラム225の中央に接合されており、ダイアフラム225の周囲は、中間体200を介して支持体300に接続されている。同様に、図11に示すとおり、第3の力伝達体T3の下面は、接続部材として機能するダイアフラム235の中央に接合されており、ダイアフラム235の周囲は、中間体200を介して支持体300に接続されており、第4の力伝達体T4の下面は、接続部材として機能するダイアフラム245の中央に接合されており、ダイアフラム245の周囲は、中間体200を介して支持体300に接続されている。
図示の実施形態では、受力体100は絶縁性基板(たとえば、セラミック基板)、中間体200は導電性基板(たとえば、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属基板)、支持体300は絶縁性基板(たとえば、セラミック基板)によって構成されている。もちろん、各部の材質はこれらに限定されるものではなく、たとえば、受力体100を、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属基板で構成してもかまわない。肉薄部115,125,135,145やダイアフラム215,225,235,245は、基板の他の部分に比べて肉厚を薄くすることにより可撓性をもつように構成された部分である。
この実施形態では、ダイアフラム215,225,235,245は、導電性材料から構成されているため、可撓性を有するとともに導電性を有しており、それ自身が共通変位電極としての機能を果たす。これは、図3に示す多軸力センサの構成と全く同様である。すなわち、図13に示す支持体300の上面に定義されたxy二次元座標系における第1象限に示されている固定電極E11〜E15、第2象限に示されている固定電極E21〜E25、第3象限に示されている固定電極E31〜E35、第4象限に示されている固定電極E41〜E45は、いずれも図5に示されている固定電極E1〜E5と等価な構成要素であり、図10に示すダイアフラム215,225、および図11に示すダイアフラム235,245は、いずれも図3に示されているダイアフラム51と等価な構成要素である。したがって、図10に示す溝G31の周辺および溝G32の周辺には、それぞれ図3に示す多軸力センサと同等の機能をもったセンサS1,S2が構成されていることになり、図11に示す溝G33の周辺および溝G34の周辺にも、それぞれ図3に示す多軸力センサと同等の機能をもったセンサS3,S4が構成されていることになる。
ここで、センサS1は、第1の力伝達体T1のX軸方向に関する傾斜度と、Y軸方向に関する傾斜度と、第1の力伝達体T1全体から支持体300に対して加えられるZ軸方向に関する力と、を検知する機能を有しており、センサS2は、第2の力伝達体T2のX軸方向に関する傾斜度と、Y軸方向に関する傾斜度と、第2の力伝達体T2全体から支持体300に対して加えられるZ軸方向に関する力と、を検知する機能を有している。同様に、センサS3は、第3の力伝達体T3のX軸方向に関する傾斜度と、Y軸方向に関する傾斜度と、第3の力伝達体T3全体から支持体300に対して加えられるZ軸方向に関する力と、を検知する機能を有しており、センサS4は、第4の力伝達体T4のX軸方向に関する傾斜度と、Y軸方向に関する傾斜度と、第4の力伝達体T4全体から支持体300に対して加えられるZ軸方向に関する力と、を検知する機能を有している。
こうしてみると、結局、図9〜図13に示す第1の実施形態に係る力検出装置は、図1に示す力検出装置とほぼ同等の構成要素を備えていることがわかる。すなわち、板状の受力体100は受力体10に対応し、板状の支持体300は支持体20に対応し、各力伝達体T1〜T4は各力伝達体11〜14に対応し、各センサS1〜S4は各センサ21〜24に対応する。したがって、この図9〜図13に示す構造体に、検出回路30として機能する配線および回路(後述する)を付加すれば、図1に示した力検出装置を実現することができる。
続いて、この第1の実施形態に係る力検出装置により、受力体100に作用したX軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸まわりのモーメントMx、Y軸まわりのモーメントMy、Z軸まわりのモーメントMzという力の6成分を独立して検出する原理を説明する。
いま、図13に示す20枚の固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45と、これに対向する共通変位電極(ダイアフラム215,225,235,245)と、によって構成される20組の容量素子を、それぞれC11〜C15,C21〜C25,C31〜C35,C41〜C45と呼ぶことにする。図13に括弧で示したC11〜C45は、各固定電極によって構成される個々の容量素子を示している。また、図12に示す受力体100内の所定位置に原点Oをとり、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義する。そして、この受力体100に対して、X軸正方向の力+Fx,Y軸正方向の力+Fy,Z軸正方向の力+Fz,X軸まわりの正方向のモーメント+Mx,Y軸まわりの正方向のモーメント+My,Z軸まわりの正方向のモーメント+Mzがそれぞれ作用した場合に、20組の各容量素子C11〜C45の静電容量値の変化を考えてみる。
図14は、このときの各容量素子C11〜C45の静電容量値の変化の態様を示すテーブルであり、「0」は変化なし、「+」は増加、「−」は減少を示している。各容量素子の静電容量値が、このテーブルのように変化する理由は、図2に示す各力伝達体の変化態様と、図6〜図8に示す多軸力センサの変形態様を見れば理解できよう。
たとえば、受力体100に対して、X軸正方向の力+Fxが作用すると、図2(b) に示されているように、各力伝達体T1〜T4は、いずれも図10および図11の右方向(X軸正方向)に傾斜することになるので、図13の平面図を参照すれば、容量素子C11,C21,C31,C41の電極間隔は狭まり、静電容量値が増加するのに対して、容量素子C12,C22,C32,C42の電極間隔は広がり、静電容量値が減少することがわかる。他の容量素子については、電極間隔は一部は広がり、一部は狭まるため、トータルでは静電容量値の変化は生じない。図14のテーブルの第1行目(+Fxの行)は、各容量素子C11〜C45についてのこのような静電容量値の変化を示している。
逆に、X軸負方向の力−Fxが作用すると、各力伝達体T1〜T4は、いずれも図10および図11の左方向(X軸負方向)に傾斜することになるので、静電容量値の増減変化の関係が逆転し、図14のテーブルの第1行目(+Fxの行)とは「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
一方、受力体100に対して、Y軸正方向の力+Fyが作用した場合は、上述した力+Fxが作用した場合の変化態様を、上面からみて90°回転させた現象が起こることになる。すなわち、図13の平面図を参照すれば、容量素子C13,C23,C33,C43の電極間隔は狭まり、静電容量値が増加するのに対して、容量素子C14,C24,C34,C44の電極間隔は広がり、静電容量値が減少することがわかる。他の容量素子については、電極間隔は一部は広がり、一部は狭まるため、トータルでは静電容量値の変化は生じない。図14のテーブルの第2行目(+Fyの行)は、各容量素子C11〜C45についてのこのような静電容量値の変化を示している。逆に、Y軸負方向の力−Fxが作用した場合は、静電容量値の増減変化の関係が逆転し、「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
また、受力体100に対して、Z軸正方向の力+Fzが作用すると、各力伝達体T1〜T4は、いずれも支持体300の上面に対して引っ張り力を作用させることになるので、全容量素子C11〜C45の電極間隔は広がり、静電容量値は減少する。図14のテーブルの第3行目(+Fzの行)は、このような変化を示している。逆に、受力体100に対して、Z軸負方向の力−Fzが作用すると、各力伝達体T1〜T4は、いずれも支持体300の上面に対して押圧力を作用させることになるので、全容量素子C11〜C45の電極間隔は狭まり、静電容量値は増加する。したがって、図14のテーブルの第3行目(+Fzの行)に示された結果に対して、「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
次に、受力体100に対して、モーメントが作用した場合を考えてみよう。図2(c) には、受力体10にY軸まわりのモーメントMyが作用した場合の、各力伝達体11,12の変化態様が示されている。すなわち、力伝達体11から支持体20に対しては下方への押圧力−fzが加わり、力伝達体12から支持体20に対しては上方への引っ張り力+fzが加わっている。このような変化態様が生じることを踏まえれば、受力体100に対して、X軸まわりの正方向のモーメント+Mxが作用すると、図9の上面図において、点P3に対しては紙面垂直上方への力+fzが作用し、点P4に対しては紙面垂直下方への力−fzが作用することになる。
したがって、図10に示す第1の力伝達体T1と第2の力伝達体T2には、図の上方への力+fzが加わり、容量素子C11〜C25の電極間隔は広がり、静電容量値は減少する。また、図11に示す第3の力伝達体T3と第4の力伝達体T4には、図の下方への力−fzが加わり、容量素子C31〜C45の電極間隔は狭まり、静電容量値は増加する。図14のテーブルの第4行目(+Mxの行)は、各容量素子C11〜C45についてのこのような静電容量値の変化を示している。逆に、X軸まわりの負方向のモーメント−Mxが作用すると、静電容量値の増減変化の関係が逆転し、「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
一方、Y軸まわりの正方向のモーメント+Myが作用すると、図9の上面図において、点P1に対しては紙面垂直下方への力−fzが作用し、点P2に対しては紙面垂直上方への力+fzが作用することになる。したがって、図10に示す第1の力伝達体T1と図11に示す第4の力伝達体T4には、図の下方への力−fzが加わり、容量素子C11〜C15およびC41〜C45の電極間隔は狭まり、静電容量値は増加する。また、図10に示す第2の力伝達体T2と図11に示す第3の力伝達体T3には、図の上方への力+fzが加わり、容量素子C21〜C25およびC31〜C35の電極間隔は広がり、静電容量値は減少する。図14のテーブルの第5行目(+Myの行)は、各容量素子C11〜C45についてのこのような静電容量値の変化を示している。逆に、Y軸まわりの負方向のモーメント−Myが作用すると、静電容量値の増減変化の関係が逆転し、「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
最後に、受力体100に対して、Z軸まわりのモーメントMzが作用した場合を考えてみる。まず、図13を参照しながら、受力体100にZ軸まわりの正方向のモーメント+Mz(図13の平面図上では、反時計まわりのモーメントになる)が加わった場合、4本の力伝達体T1〜T4がどの方向に傾斜するかを考えてみよう。
はじめに、第1象限に配置された第1の力伝達体T1(図の固定電極E15の上に配置されている)は、この図13における左上方向に傾斜することになり、容量素子C12,C13の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C11,C14の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。また、第2象限に配置された第2の力伝達体T2(図の固定電極E25の上に配置されている)は、この図13における左下方向に傾斜することになり、容量素子C22,C24の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C21,C23の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。更に、第3象限に配置された第3の力伝達体T3(図の固定電極E35の上に配置されている)は、この図13における右下方向に傾斜することになり、容量素子C31,C34の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C32,C33の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。最後に、第4象限に配置された第4の力伝達体T4(図の固定電極E45の上に配置されている)は、この図13における右上方向に傾斜することになり、容量素子C41,C43の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C42,C44の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。なお、容量素子C15,C25,C35,C45の静電容量値については、トータルでは変化が生じない。
結局、受力体100にZ軸まわりの正方向のモーメント+Mzが作用した場合は、図14の第6行目に示すような増減結果が得られることになる。また、受力体100にZ軸まわりの負方向のモーメント−Mzが作用した場合は、静電容量値の増減変化の関係が逆転し、「+」と「−」とが逆転した結果が得られることになる。
この図14のテーブルに示すような結果が得られることを踏まえると、検出回路30として、20組の容量素子C11〜C45の静電容量値(ここでは、静電容量の値自身も、同じ符号C11〜C45で示すことにする)に基づいて、図15に示す式に基づく演算を行う回路を用意しておけば、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分を得ることができることが理解できよう。
たとえば、図15に示すFx=(C11−C12)+(C21−C22)+(C31−C32)+(C41−C42)なる式は、図14のテーブルの第1行目(+Fxの行)の結果を踏まえたものであり、第1〜第4のセンサによって検知された各力伝達体T1〜T4のX軸方向に関する傾斜度の和に基づいて、受力体100に作用した力のX軸方向成分Fxが検出できることを意味している。これは、図2(b) に示す検出原理に基づくものである。
また、図15に示すFy=(C13−C14)+(C23−C24)+(C33−C34)+(C43−C44)なる式は、図14のテーブルの第2行目(+Fyの行)の結果を踏まえたものであり、第1〜第4のセンサによって検知された各力伝達体T1〜T4のY軸方向に関する傾斜度の和に基づいて、受力体100に作用した力のY軸方向成分Fyが検出できることを意味している。これも、図2(b) に示す検出原理に基づくものである。
更に、図15に示すFz=−(C15+C25+C35+C45)なる式は、図14のテーブルの第3行目(+Fzの行)の結果を踏まえたものであり、第1〜第4のセンサによって検知された各力伝達体T1〜T4のZ軸方向に関する力の和に基づいて、受力体100に作用した力のZ軸方向成分Fzが検出できることを意味している。先頭のマイナス符号は、Z軸方向のとり方によるものである。
一方、図15に示すMx=−(((C11+C12+C13+C14+C15)+(C21+C22+C23+C24+C25))−((C31+C32+C33+C34+C35)+(C41+C42+C43+C44+C45)))なる式は、図14のテーブルの第4行目(+Mxの行)の結果を踏まえたものであり、第1および第2のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力の和と、第3および第4のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力の和と、の差に基づいて、受力体100に作用した力のX軸まわりのモーメントMxが検出できることを意味している。これは、図9に示す上面図において、点P3が紙面に対して垂直上方(Z軸正方向)に移動し、点P4が紙面に対して垂直下方(Z軸負方向)に移動した状態での検出であり、図2(c) に示す検出原理に基づくものである。式の先頭のマイナス符号は、モーメントの向きのとり方によるものである。
また、図15に示すMy=((C11+C12+C13+C14+C15)+(C41+C42+C43+C44+C45))−((C21+C22+C23+C24+C25)+(C31+C32+C33+C34+C35))なる式は、図14のテーブルの第5行目(+Myの行)の結果を踏まえたものであり、第1および第4のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力の和と、第2および第3のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力の和と、の差に基づいて、受力体100に作用した力のY軸まわりのモーメントMyが検出できることを意味している。これは、図9に示す上面図において、点P1が紙面に対して垂直下方(Z軸負方向)に移動し、点P2が紙面に対して垂直上方(Z軸正方向)に移動した状態での検出であり、図2(c) に示す検出原理に基づくものである。
最後に、図15に示すMz=(((C31−C32)+(C41−C42))−((C11−C12)+(C21−C22)))+(((C13−C14)+(C43−C44))−((C23−C24)+(C33−C34)))なる式は、図14のテーブルの第6行目(+Mzの行)の結果を踏まえたものであり、第3および第4のセンサによって検知されたX軸方向に関する傾斜度の和と、第1および第2のセンサによって検知されたX軸方向に関する傾斜度の和と、の差を第1の差として求め、第1および第4のセンサによって検知されたY軸方向に関する傾斜度の和と、第2および第3のセンサによって検知されたY軸方向に関する傾斜度の和と、の差を第2の差として求め、前記第1の差と前記第2の差との和に基づいて、受力体100に作用した力のZ軸まわりのモーメントMzが検出できることを意味している。
このMzの式の意味は、この式を、
Mz=(C12+C13)−(C11+C14)
+(C22+C24)−(C21+C23)
+(C31+C34)−(C32+C33)
+(C41+C43)−(C42+C44)
のような形に書きなおすと、より理解しやすくなる。すなわち、Z軸まわりの正方向のモーメント+Mzが作用した場合、前述したとおり、図13において、固定電極E15の上に配置されている第1の力伝達体T1は、図の左上方向に傾斜することになるが、上式の(C12+C13)−(C11+C14)は、第1の力伝達体T1のこのような傾斜を検出するための項である。同様に、固定電極E25の上に配置されている第2の力伝達体T2は、図の左下方向に傾斜することになるが、上式の(C22+C24)−(C21+C23)は、第2の力伝達体T2のこのような傾斜を検出するための項である。また、固定電極E35の上に配置されている第3の力伝達体T3は、図の右下方向に傾斜することになるが、上式の(C31+C34)−(C32+C33)は、第3の力伝達体T3のこのような傾斜を検出するための項である。更に、固定電極E45の上に配置されている第4の力伝達体T4は、図の右上方向に傾斜することになるが、上式の(C41+C43)−(C42+C44)は、第4の力伝達体T4のこのような傾斜を検出するための項である。上式は、このように、Z軸まわりのモーメントMzが作用した場合の4本の力伝達体T1〜T4の所定方向への傾斜度の検出値の和を示すものになる。
なお、図15の第3の式(Fzの式)では、第1のセンサによって検知された第1の力伝達体T1のZ軸方向に関する力として、C15なる1つの容量素子の静電容量値を用いているのに対し、図15の第4の式(Mxの式)では、同じく、第1のセンサによって検知された第1の力伝達体T1のZ軸方向に関する力として、(C11+C12+C13+C14+C15)なる5つの容量素子の静電容量値の総和を用いている。これは、§2で述べたとおり、図3に示すタイプの多軸力センサを用いて、Z軸方向に関する力を求める方法に複数通りのバリエーションがあることを示したものである。したがって、たとえば、図15の第3の式は、Fz=−((C11+C12+C13+C14+C15)+(C21+C22+C23+C24+C25)+(C31+C32+C33+C34+C35)+(C41+C42+C43+C44+C45))としてもかまわない。同様に、図15の第4の式は、Mx=((C15+C25)−(C35+C45))としてもかまわないし、図15の第5の式は、My=((C15+C45)−(C25+C35))としてもかまわない。もちろん、この他にも何通りかのバリエーションを用いることが可能である。
この図15に示す6つの式のうち、力Fx,Fy,Fzに関する式は、4本の力伝達体T1〜T4の配置が任意の位置であっても成立する一般式であり、力Fx,Fy,Fzの検出のみに利用される力検出装置を構成する場合、4本の力伝達体T1〜T4の配置は、必ずしも図9の上面図に示すような配置にする必要はない。ただ、図15に示す6つの式のうち、モーメントMx,My,Mzに関する式は、4本の力伝達体T1〜T4が、図9の上面図に示すように、XY二次元座標系における第1〜第4象限に配置されていることを前提としたものである。
ここで、留意しておくべき点は、本発明に係る技術思想は、「図3に示すような従来から公知の多軸力センサを、単に4組用いることにより、検出精度を高めるようにする」という技術とは全く次元が異なる点である。一般に、何らかの測定器を用いた測定を行う場合に、「同じ測定器を複数台設置し、それぞれの測定結果の平均をとることにより、測定精度を向上させる」という手法は常套手段であり、古くから様々な分野において利用されてきている。
しかしながら、図2に示す本発明の基本概念は、「複数のセンサを用いて検出精度を向上させる」という技術思想ではなく、「所定の座標軸方向の力と、所定の座標軸まわりのモーメントを正確に区別して検出する」という技術思想にある。ここでは、この点について、もう少し詳しい補足説明を行っておく。
まず、図6に示すように、従来から公知の多軸力センサを用いて、x軸正方向の力+fxを検出することを考えよう。このような多軸力センサを開示した一般的な公知文献では、この図6に示す原理により、「容量素子C1(固定電極E1とダイアフラム51)の静電容量値C1と、容量素子C2(固定電極E2とダイアフラム51)の静電容量値C2と、の差(C1−C2)を求めることにより、力伝達体60に作用した力のx軸方向成分fxを求めることができる」旨の説明がなされている。しかしながら、この説明は、厳密な意味では正しくない。なぜなら、静電容量値の差(C1−C2)は、実は、作用した力fxそれ自身ではなく、作用した力fxに起因して生じたy軸まわりのモーメントMyになっているからである。
これは、図6に示すように、力伝達体60の異なる位置に、2通りの力+fxと+fx′とを加えた場合に、どのような出力値が得られるかを考えれば、容易に理解できよう。図示の例において、+fx=+fx′であったとしても、静電容量値の差(C1−C2)として得られる出力値は、+fxを加えた場合の方が、+fx′を加えた場合に比べて大きくなる。これは、+fxを加えた場合の方が、この検出系に対して大きなモーメントを与えることができるためである。要するに、この図6に示すセンサでは、x軸方向の力fxやy軸方向の力fyを直接検出することはできず、それぞれy軸まわりのモーメントMyやx軸まわりのモーメントMxとして検出するしかないのである。
もっとも、力fxを作用させる力伝達体60上の位置が、常に定位置となるように決めておけば、y軸まわりのモーメントMyをx軸方向の力fxとして取り扱っても支障は生じない。このため、力とモーメントとを区別して取り扱う必要のない検出対象については、この図6に示す力センサを、x軸方向の力fxやy軸方向の力fyの検出に利用しても、実用上、大きな支障が生じないことになる。
しかしながら、ロボットや産業機械の動作制御などへの用途では、力とモーメントとをはっきり区別して検出することが可能な力検出装置の需要も決して少なくない。本発明に係る力検出装置は、正に、このような用途に適した装置ということができる。たとえば、図10に示す力検出装置を、ロボットの腕と手首との関節部分として利用するのであれば、支持体300を腕側に取り付け、受力体100を手首側に取り付ければよい。そうすれば、腕に対して手首側に加えられた力およびモーメントを検出することが可能である。
この図10に示す力検出装置を用いれば、受力体100に対して何らかの力が作用すると、4本の力伝達体T1〜T4の位置や向きに所定の変化が生じることになる。この変化の態様を、センサS1〜S4を構成する複数の容量素子の静電容量値の変化として検出し、図15に示す式に基づく解析を行えば、各軸方向の力Fx,Fy,Fzおよび各軸まわりのモーメントMx,My,Mzをそれぞれ独立して検出することが可能になる。これが本発明の重要な特徴である。
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さて、既に§3で述べたとおり、この第1の実施形態に係る力検出装置では、支持体300の上面に、図13に示すように、固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45が形成され、これら各固定電極の上方に配置された導電性材料からなるダイアフラム215,225,235,245が変位電極として機能し、合計20組の容量素子C11〜C15(センサS1),C21〜C25(センサS2),C31〜C35(センサS3),C41〜C45(センサS4)が形成されている。ダイアフラム215,225,235,245は、中間体200の一部分であり、電気的には、単一の等電位体として機能するので、すべての変位電極は、1つの共通電極として等電位を維持する。
ここで、各ダイアフラム215,225,235,245の下面は、それぞれ各力伝達体T1〜T4の下部の変位に応じて特有の変位を生じる変位面を構成しているため、図15の各式に示す原理に基づいて、受力体100に作用した力を、6つの成分ごとに独立して検出することができる。以下、このような検出を行うために必要な検出回路を説明する。
図15に示す各演算式に基づいて各力成分を求める方法としては、個々の容量素子の静電容量値を電気的に測定し、この測定値に対してアナログあるいはデジタルの演算器などを用いて演算を行い、その結果を出力するような方法を採ることも可能である。ただ、図15に示す式は、基本的に加算と減算のみである。そこで本発明では、静電容量値の加算を演算器で行う代わりに、容量値の加算対象となる複数の容量素子を互いに並列接続することにより、加算演算と同等の結果が得られるようなアプローチを採っている。すなわち、センサS1〜S4を構成する各容量素子C11〜C45を、複数のグループに分け、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続する配線を設け、1つのグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、別のグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、の差に基づいて、受力体100に作用した力もしくはモーメントを検出する検出回路を形成するようにしている。
はじめに、各座標軸方向の力Fx,Fy,Fzを検出する検出回路について説明しよう。たとえば、図15に示す第1の式に基づいて力Fxを検出する検出回路は、図16に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの8枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、4枚の固定電極E11,E21,E31,E41を第1のグループに所属する電極として端子Tfx1に接続し、4枚の固定電極E12,E22,E32,E42を第2のグループに所属する電極として端子Tfx2に接続すればよい。端子Tfx1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第1のグループに所属する4組の容量素子C11,C21,C31,C41の静電容量値の和になり、端子Tfx2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第2のグループに所属する4組の容量素子C12,C22,C32,C42の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、力Fxの検出が可能になる。図16の下段に示す式(図15に示す力Fxの式と等価)は、端子Tfx1から取り出された電気信号と、端子Tfx2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、力Fxの検出が行われることを示している。
なお、ここでは具体的な回路の説明は省略するが、一般に、容量素子を構成する一対の電極にそれぞれ配線を施すことにより、当該容量素子の静電容量値を電圧値に変換して検出する回路は、種々の回路が公知である。このような回路を、端子Tfx1,Tfx2および中間体200に接続し、第1のグループに所属する4組の容量素子C11,C21,C31,C41の静電容量値の和を示す電圧値と、第2のグループに所属する4組の容量素子C12,C22,C32,C42の静電容量値の和を示す電圧値とを求め、両電圧の差に相当する電圧を出力する回路を用いれば、力Fxを電圧値として出力することができる。
結局、図16に示す配線は、各力伝達体T1〜T4がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C11,C21,C31,C41を第1のグループとし、逆に、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C12,C22,C32,C42を第2グループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、第1のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子群の全体の静電容量値と、第2のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したX軸方向への力Fxを検出することが可能になる。
同様に、図15に示す第2の式に基づいて力Fyを検出する検出回路は、図17に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの8枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、4枚の固定電極E13,E23,E33,E43を第3のグループに所属する電極として端子Tfy1に接続し、4枚の固定電極E14,E24,E34,E44を第4のグループに所属する電極として端子Tfy2に接続すればよい。端子Tfy1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第3のグループに所属する4組の容量素子C13,C23,C33,C43の静電容量値の和になり、端子Tfy2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第4のグループに所属する4組の容量素子C14,C24,C34,C44の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、力Fyの検出が可能になる。図17の下段に示す式(図15に示す力Fyの式と等価)は、端子Tfy1から取り出された電気信号と、端子Tfy2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、力Fyの検出が行われることを示している。
結局、図17に示す配線は、各力伝達体T1〜T4がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C13,C23,C33,C43を第3のグループとし、逆に、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C14,C24,C34,C44を第4グループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、第3のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子群の全体の静電容量値と、第4のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したY軸方向への力Fyを検出することが可能になる。
また、図15に示す第3の式に基づいて力Fzを検出する検出回路は、図18に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの4枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、4枚の固定電極E15,E25,E35,E45を第5のグループに所属する電極として端子Tfzに接続すればよい。端子Tfzと中間体200との間に生じる静電容量の値は、第5のグループに所属する4組の容量素子C15,C25,C35,C45の静電容量値の和になるので、この和の値に基づいて力Fzの検出が可能になる。図18の下段に示す式(図15に示す力Fzの式と等価)は、端子Tfzから取り出された電気信号に基づいて、力Fzの検出が行われることを示している。
結局、図18に示す配線は、力伝達体がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15,C25,C35,C45を第5のグループとし、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、第5のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値により、受力体に作用したZ軸方向への力Fzを検出することが可能になる。
なお、既に述べたとおり、Z軸変位検出用容量素子として利用可能な容量素子は、容量素子C15,C25,C35,C45だけではない。たとえば、センサS1において利用可能なZ軸変位検出用容量素子としての条件は、力伝達体T1がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体T1が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されていることである。もちろん、容量素子C15はこの条件を満たしている。しかし、たとえば、容量素子C11〜C14の集合体を1つの容量素子と考えれば、このような集合体も上記条件を満たしており、Z軸変位検出用容量素子として利用可能である。もちろん、容量素子C11〜C15の集合体からなる容量素子も、上記条件を満たしており、Z軸変位検出用容量素子として利用可能である。
したがって、力Fzの検出だけが可能な一次元力検出装置として利用するのであれば、原理的には、全20枚の固定電極E11〜E45のすべてを同一グループとして端子Tfzに接続し、全20組の容量素子C11〜C45のすべてを並列接続することも可能である。ただ、多次元力検出装置として用いる場合には、個々の容量素子に特定の力を検出対象として分担させる必要があるため、図18に示す例のように、各センサS1〜S4のそれぞれから1組ずつ選抜された容量素子C15,C25,C35,C45を、Z軸変位検出用容量素子として利用し、力Fzの検出に充てるようにするのが好ましい。
以上、力Fx,Fy,Fzについての検出回路を述べたが、続いて、モーメントMx,My,Mzを検出する検出回路を考える。まず、図15に示す第4の式に基づいてモーメントMxを検出する検出回路は、図19に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの4枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、2枚の固定電極E15,E25を第1のグループに所属する電極として端子Tmx1に接続し、2枚の固定電極E35,E45を第2のグループに所属する電極として端子Tmx2に接続すればよい。端子Tmx1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第1のグループに所属する2組の容量素子C15,C25の静電容量値の和になり、端子Tmx2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第2のグループに所属する2組の容量素子C35,C45の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMxの検出が可能になる。図19の下段に示す式は、端子Tmx1から取り出された電気信号と、端子Tmx2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMxの検出が行われることを示している。
なお、図19の下段に示す式は、図15に示すMxの式と異なっている。これは、図15に示すMxの式では、各センサS1〜S4のそれぞれにおいて、5組の容量素子のすべてをZ軸変位検出用容量素子として利用しているのに対し、図19の下段に示す式では、中央に配置された1組の容量素子のみをZ軸変位検出用容量素子として利用しているためである。モーメントMxの検出だけが可能な一次元力検出装置として利用するのであれば、図15に示すMxの式に基づいて、10枚の固定電極E11〜E25を第1のグループとして端子Tmx1に接続し、10枚の固定電極E31〜E45を第2のグループとして端子Tmx2に接続し、第1のグループに所属する10組の容量素子C11〜C25を並列接続し、第2のグループに所属する10組の容量素子C31〜C45を並列接続することも可能である。ただ、多次元力検出装置として用いる場合には、個々の容量素子に特定の力を検出対象として分担させる必要があるため、図19に示す例のように、各センサS1〜S4のそれぞれから1組ずつ選抜された容量素子C15,C25,C35,C45を、Z軸変位検出用容量素子として利用し、モーメントMxの検出に充てるようにするのが好ましい。
結局、図19に示す配線は、力伝達体T1,T2がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体T1,T2が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15,C25を第1のグループとし、力伝達体T3,T4がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体T3,T4が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C35,C45を第2のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、第1のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、第2のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したX軸まわりのモーメントMxを検出することが可能になる。
一方、図15に示す第5の式に基づいてモーメントMyを検出する検出回路は、図20に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの4枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、2枚の固定電極E15,E45を第3のグループに所属する電極として端子Tmy1に接続し、2枚の固定電極E25,E35を第4のグループに所属する電極として端子Tmy2に接続すればよい。端子Tmy1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第3のグループに所属する2組の容量素子C15,C45の静電容量値の和になり、端子Tmy2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第4のグループに所属する2組の容量素子C25,C35の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMyの検出が可能になる。図20の下段に示す式は、端子Tmy1から取り出された電気信号と、端子Tmy2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMyの検出が行われることを示している。
なお、図20の下段に示す式は、図15に示すMyの式と異なっている。これは、Mxの式が異なる理由と同様に、図15に示すMyの式では、各センサS1〜S4のそれぞれにおいて、5組の容量素子のすべてをZ軸変位検出用容量素子として利用しているのに対し、図20の下段に示す式では、多次元力検出装置として用いることを考慮して、中央に配置された1組の容量素子のみをZ軸変位検出用容量素子として利用しているためである。
結局、図20に示す配線は、力伝達体T1,T4がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体T1,T4が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15,C45を第3のグループとし、力伝達体T2,T3がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体T2,T3が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C25,C35を第4のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、第3のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、第4のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したY軸まわりのモーメントMyを検出することが可能になる。
最後に、図15に示す第6の式に基づいてモーメントMzを検出する検出回路は、図21に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの16枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、8枚の固定電極E12,E13,E22,E24,E31,E34,E41,E43を第1のグループに所属する電極として端子Tmz1に接続し、8枚の固定電極E11,E14,E21,E23,E32,E33,E42,E44を第2のグループに所属する電極として端子Tmz2に接続すればよい。端子Tmz1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第1のグループに所属する8組の容量素子C12,C13,C22,C24,C31,C34,C41,C43の静電容量値の和になり、端子Tmz2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第2のグループに所属する8組の容量素子C11,C14,C21,C23,C32,C33,C42,C44の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMzの検出が可能になる。図21の下段に示す式(図15に示すモーメントMzの式と等価)は、端子Tmz1から取り出された電気信号と、端子Tmz2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMzの検出が行われることを示している。
結局、図20に示す配線では、第1のグループに所属する容量素子は、「力伝達体T1がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C12」、「力伝達体T1がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C13」、「力伝達体T2がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C22」、「力伝達体T2がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C24」、「力伝達体T3がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C31」、「力伝達体T3がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C34」、「力伝達体T4がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C41」、「力伝達体T4がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C43」ということになる。また、第2のグループに所属する容量素子は、「力伝達体T1がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C11」、「力伝達体T1がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C14」、「力伝達体T2がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C21」、「力伝達体T2がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C23」、「力伝達体T3がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C32」、「力伝達体T3がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C33」、「力伝達体T4がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C42」、「力伝達体T4がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C44」ということになる。
以上、図16〜図21を参照しながら、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの全6種類の力成分を検出するために必要な配線を説明した。複数の力成分をそれぞれ検出する機能をもった力検出装置を実現するには、必要な配線を適宜重複して行うようにすればよい。たとえば、3つの力成分Fx,Fy,Fzを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、図16に示す配線と、図17に示す配線と、図18に示す配線と、を重ねて行うようにすればよい。こうすれば、全20枚の固定電極E11〜E45が、全5グループに分類されて配線され、端子Tfx1,Tfx2を利用して力Fxが検出でき、端子Tfy1,Tfy2を利用して力Fyが検出でき、端子Tfzを利用して力Fzが検出できる。あるいは、3つの力成分Fx,Fy,Myを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、図16に示す配線と、図17に示す配線と、図20に示す配線と、を重ねて行えばよいし、2つの力成分Fz,Mzを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、図18に示す配線と、図21に示す配線とを重ねて行えばよい。
しかしながら、図13に示すように、合計20枚の固定電極E11〜E45だけでは、実現不可能な組み合わせも存在する。たとえば、2つの力成分Fz,Mxを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、図18に示す配線と、図20に示す配線と、を重ねて行う必要がある。ところが、これらの配線は、いずれも固定電極E15,E25,E35,E45を用いた配線であり、両立できない配線になる。たとえば、図18の配線を行えば、固定電極E15,E25,E35,E45はすべて端子Tfzに接続された同電位の電極となってしまい、図20のような2つのグループに分けた配線を行う意味はなくなってしまう。同様に、3つの力成分Fx,Fy,Mzを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、図16に示す配線と、図17に示す配線と、図21に示す配線と、を重ねて行う必要があるが、これも実現不可能である。図16に示す配線と図17に示す配線とは、それぞれ異なる固定電極に対する配線であるため両立可能であるが、これに更に図21に示す配線を重ねることはできない。
このような配線上の問題が生じた場合には、図13に示す合計20枚の固定電極E11〜E45のうちのいくつかを、物理的に独立した複数の電極に分割するようにすればよい。たとえば、図13に示す固定電極E15は、図18に示す力Fz検出用の配線と、図19に示すモーメントMx用の配線と、図20に示すモーメントMy用の配線と、の3通りの配線で利用されている。したがって、この3つの力成分Fz,Mx,Myを検出する機能をもった力検出装置を実現するには、固定電極E15を物理的に独立した3つの電極E15(Fz),E15(Mx),E15(My)に分割すればよい。ここで、電極E15(Fz)はFz検出用、電極E15(Mx)はMx検出用,電極E15(My)はMy検出用に用いられる電極である。
もっとも、図13に示す20枚の固定電極は、それぞれ特定の力伝達体の変位や傾斜を検出するための容量素子を形成する役割を担っているため、その形状や配置は、所定の条件を満足する必要がある。したがって、これらの固定電極を、物理的に独立した複数の電極に分割した場合でも、個々の分割電極が、この条件を満足するように配慮する必要がある。
まず、図13に示す固定電極E15,E25,E35,E45によって構成される容量素子C15,C25,C35,C45は、いずれもZ軸変位検出用容量素子であり、力伝達体がZ軸方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるかまたは広がるかのいずれか一方の変化を生じ、力伝達体が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されている必要がある。別言すれば、力伝達体がZ軸方向に変位したときには、静電容量値に変化が生じるが、力伝達体が傾斜しただけでは、静電容量値の変化が生じないような性質をもっている必要がある。このような性質をもったZ軸変位検出用容量素子を形成するための理想的な電極は、力伝達体の長手方向軸を中心に配置された円もしくは円環状の電極である。図13に示す例では、固定電極E15,E25,E35,E45はいずれも円形の電極となっているが、これらは、力伝達体の長手方向軸を中心に配置された円環状の電極でもよい。したがって、同一の力伝達体に関して、Z軸変位検出用容量素子を複数形成するには、同一平面上に同心配置された円もしくは円環状からなる複数の電極を設けるのが好ましい。
一方、図13に示す固定電極E11,E21,E31,E41によって構成される容量素子C11,C21,C31,C41は、いずれも力伝達体がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子であり、固定電極E12,E22,E32,E42によって構成される容量素子C12,C22,C32,C42は、いずれも力伝達体がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子である。もちろん、力伝達体がX軸負方向に傾斜したときは、電極間隔の広狭が逆になる。このような性質をもった一対のX軸傾斜検出用容量素子を形成するための電極としては、力伝達体の長手方向軸上に原点を有し、X軸に平行なx軸およびY軸に平行なy軸をもつxy二次元座標系(それぞれ電極E15,E25,E35,E45の中心位置に原点をもったローカルなxy座標系)を定義したときに、x軸の正の部分および負の部分にそれぞれ配置された一対の電極を用いるのが好ましい。
特に、検出対象ではない他軸力成分の干渉が生じないようにするためには、原点からの距離がすべて等しい位置に配置された同一サイズ、同一形状の電極を用いるようにするのが好ましく、また、x軸もしくはy軸に関して線対称となる形状をもった電極を用いるようにするのが好ましい。図13に示す例では、X軸傾斜検出用容量素子を構成するための8枚の固定電極E11,E21,E31,E41,E12,E22,E32,E42は、いずれも扇形をした同一サイズ、同一形状の電極となっており、各ローカルな座標系のx軸もしくはy軸に関して線対称となる形状をもっている。
また、図13に示す固定電極E13,E23,E33,E43によって構成される容量素子C13,C23,C33,C43は、いずれも力伝達体がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子であり、固定電極E14,E24,E34,E44によって構成される容量素子C14,C24,C34,C44は、いずれも力伝達体がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子である。もちろん、力伝達体がY軸負方向に傾斜したときは、電極間隔の広狭が逆になる。このような性質をもった一対のY軸傾斜検出用容量素子を形成するための電極としては、力伝達体の長手方向軸上に原点を有し、X軸に平行なx軸およびY軸に平行なy軸をもつxy二次元座標系(それぞれ電極E15,E25,E35,E45の中心位置に原点をもったローカルなxy座標系)を定義したときに、y軸の正の部分および負の部分にそれぞれ配置された一対の電極を用いるのが好ましい。
やはり、検出対象ではない他軸力成分の干渉が生じないようにするためには、原点からの距離がすべて等しい位置に配置された同一サイズ、同一形状の電極を用いるようにするのが好ましく、また、x軸もしくはy軸に関して線対称となる形状をもった電極を用いるようにするのが好ましい。図13に示す例では、Y軸傾斜検出用容量素子を構成するための8枚の固定電極E13,E23,E33,E43,E14,E24,E34,E44は、いずれも扇形をした同一サイズ、同一形状の電極となっており、各ローカルな座標系のx軸もしくはy軸に関して線対称となる形状をもっている。
以上の点を考慮して、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分をすべて検出可能な力検出装置に形成すべき固定電極の一例を、図22の上面図(支持体300の上面図)に示す。固定電極群E10はセンサS1を構成する9枚の固定電極からなり、固定電極群E20はセンサS2を構成する9枚の固定電極からなり、固定電極群E30はセンサS3を構成する9枚の固定電極からなり、固定電極群E40はセンサS4を構成する9枚の固定電極からなる。図13に示す例における各センサごとの固定電極群がそれぞれ5枚の固定電極からなっていたのに対し、図22に示す例ではそれぞれ9枚の固定電極からなっているのは、力の6成分をすべて独立して検出できるように、特定の固定電極を用途別に分割したためである。
図22に示す固定電極群E10,E20,E30,E40の拡大図を、それぞれ図23,図24,図25,図26に示す。なお、これら拡大図におけるグレーのハッチングは、電極形状を明瞭に示すために施したものであり、断面を示すものではない。これらの図に示されているとおり、各固定電極群E10,E20,E30,E40の中央部分には、それぞれZ軸変位検出用容量素子を形成するための固定電極E15,E25,E35,E45が形成されている。ただし、これらの固定電極は、いずれもFz検出用、Mx検出用、My検出用の3つの独立した分割電極に分割されている。たとえば、図23に示す例の場合、固定電極E15は、円環状のFz検出用電極E15(Fz)、その内側に設けられた円環状のMx検出用電極E15(Mx)、更にその内側に設けられた円形のMy検出用電極E15(My)の3つの分割電極から構成されている。
ここで、図18に示す力Fz検出用の配線は、図23〜図26に示す円環状のFz検出用電極E15(Fz),E25(Fz),E35(Fz),E45(Fz)に対して行われることになる。また、図19に示すモーメントMx検出用の配線は、図23〜図26に示す円環状のMx検出用電極E15(Mx),E25(Mx),E35(Mx),E45(Mx)に対して行われることになり、図20に示すモーメントMy検出用の配線は、図23〜図26に示す円形のMy検出用電極E15(My),E25(My),E35(My),E45(My)に対して行われることになる。
もちろん、いずれの検出用電極を内側/中間/外側に配置するかは任意であり、図示の例はその一例を示しているだけである。このように、最も内側の電極を円形として、その外側に円環状の電極を同心配置してゆくような形態を採れば、前述したように、Z軸変位検出用容量素子を構成するのに最適な効率的な電極構成が可能になる。
一方、図23〜図26に示す電極E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42は、いずれもX軸傾斜検出用容量素子を構成するための固定電極であり、図16に示す力Fx検出用の配線にのみ利用される。同様に、図23〜図26に示す電極E13,E14,E23,E24,E33,E34,E43,E44は、いずれもY軸傾斜検出用容量素子を構成するための固定電極であり、図17に示す力Fy検出用の配線にのみ利用される。
最後に、図23〜図26に示す8枚の電極E11/14,E12/13,E21/23,E22/24,E31/34,E32/33,E41/43,E42/44について説明する。これら8枚の電極は、いずれも図21に示すモーメントMz検出用の配線にのみ利用される。ここで、スラッシュを含む符号で示された電極は、実は、隣接する2つの電極を連結した連結電極となっている。たとえば、図23に示されている電極E11/14は、電極E11と電極E14との双方の機能を兼ねた電極として機能し、電極E12/13は、電極E12と電極E13との双方の機能を兼ねた電極として機能する。
このように、隣接する2つの電極を連結した連結電極を形成する理由は、図21に示すモーメントMz検出用の配線を見れば、容易に理解できよう。たとえば、図21において、電極E12と電極E13とは、いずれも第1のグループに所属する電極として、端子Tmz1に接続されている。したがって、これら2つの電極は、互いに連結して、物理的に単一の連結電極E12/13にまとめることができる。同様に、図21において、電極E11と電極E14とは、いずれも第2のグループに所属する電極として、端子Tmz2に接続されている。したがって、これら2つの電極も、互いに連結して、物理的に単一の連結電極E11/14にまとめることができる。図23に示す連結電極E12/13やE11/14は、このような意図で形成された連結電極である。このような連結電極を用いれば、電極E12/13から1本の配線を端子Tmz1まで引けばよく、電極E11/14から1本の配線を端子Tmz2まで引けばよいので、配線も単純化することができるようになる。
結局、図21に示す各電極E11〜E14,E21〜E24,E31〜E34,E41〜E44に対する配線は、図23〜図26に示す8枚の連結電極E11/14,E12/13,E21/23,E22/24,E31/34,E32/33,E41/43,E42/44に対して行えばよい。
このような連結電極を用いると、結局、隣接する2組の容量素子も物理的に単一の容量素子としてまとめられることになる。具体的には、第1のセンサS1を構成する第1のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C12と、第1のセンサS1を構成する第1のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C13と、が物理的に単一の容量素子C12/13によって構成され、第1のセンサS1を構成する第2のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C11と、第1のセンサS1を構成する第2のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C14と、が物理的に単一の容量素子C11/14によって構成され、第2のセンサS2を構成する第1のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C22と、第2のセンサS2を構成する第1のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C24と、が物理的に単一の容量素子C22/24によって構成され、第2のセンサS2を構成する第2のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C21と、第2のセンサS2を構成する第2のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C23と、が物理的に単一の容量素子C21/23によって構成され、第3のセンサS3を構成する第1のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C31と、第3のセンサS3を構成する第1のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C34と、が物理的に単一の容量素子C31/34によって構成され、第3のセンサS3を構成する第2のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C32と、第3のセンサS3を構成する第2のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C33と、が物理的に単一の容量素子C32/33によって構成され、第4のセンサS4を構成する第1のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C41と、第4のセンサS4を構成する第1のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C43と、が物理的に単一の容量素子C41/43によって構成され、第4のセンサS4を構成する第2のグループに所属するX軸傾斜検出用容量素子C42と、第4のセンサS4を構成する第2のグループに所属するY軸傾斜検出用容量素子C44と、が物理的に単一の容量素子C42/44によって構成されることになる。
結局、図22に示すような固定電極群E10,E20,E30,E40を構成する合計36枚の固定電極を用意しておけば、図16〜図21のすべての配線を重ねて行うことが可能になり、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分をすべて検出可能な力検出装置を実現することができる。
<<< §5. 第2の実施形態の構造および原理 >>>
次に、本発明の第2の実施形態に係る力検出装置を説明する。この第2の実施形態に係る力検出装置は、上述した第1の実施形態に係る力検出装置と同様に、柱状の力伝達体を4本用い、4組のセンサS1〜S4を用いた検出を行う。ただ、この4本の柱状力伝達体の配置が若干異なっている。以下、この相違点についてのみ説明を行う。
図27は、この第2の実施形態に係る力検出装置に用いられる支持体300の上面図である。前述した第1の実施形態に係る力検出装置に用いられる支持体300の上面図である図13と比較すると、両者の相違点が明確になる。すなわち、第1の実施形態では、図13に示すように、4組のセンサS1〜S4の構成要素となる固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45が、それぞれxy座標系における第1〜第4象限に配置されており、第1〜第4の力伝達体T1〜T4が、XY二次元座標系において、それぞれ第1〜第4象限に配置されていた。
これに対して、図27に示す第2の実施形態に係る力検出装置では、4組のセンサS1〜S4の構成要素となる固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45は、それぞれx軸の正の部分、x軸の負の部分、y軸の正の部分、y軸の負の部分に配置されている。そして、第1〜第4の力伝達体T1〜T4が、Z軸に平行な方向を長手方向とする構造体によって構成されている点に変わりはないが、その長手方向軸が、XY二次元座標系において、それぞれX軸の正の部分、X軸の負の部分、Y軸の正の部分、Y軸の負の部分に交差するように配置されている。各固定電極E11〜E15,E21〜E25,E31〜E35,E41〜E45と、その上方に位置する導電性ダイアフラム(共通変位電極)によって、容量素子C11〜C15,C21〜C25,C31〜C35,C41〜C45が形成される点は、上述した第1の実施形態と同様である。ただ、力伝達体やセンサの配置が異なるため、検出回路30による検出処理は若干異なる。
図28は、この第2の実施形態に係る力検出装置における各容量素子C11〜C45の静電容量値の変化の態様を示すテーブルであり、やはり「0」は変化なし、「+」は増加、「−」は減少を示している。また、このテーブルにおいても、6つの力成分Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの値が正の場合のみが示されているが、負の場合は、増減の関係が逆転するだけである。この図28に示すテーブルと、図14に示すテーブルとを比べると、各軸方向の力成分Fx,Fy,Fzが作用した場合の各容量素子の静電容量値の変化の態様は全く同じである。これは、前述したとおり、力成分Fx,Fy,Fzを検出する上では、各力伝達体の配置には特別な条件は必要ないためである。したがって、各軸方向の力成分Fx,Fy,Fzに関する検出原理は、前述した第1の実施形態の場合と同じになる。
ただ、各軸まわりのモーメントMx,My,Mzが作用した場合の各容量素子の静電容量値の変化の態様は若干異なっており、これらモーメントの検出原理は、前述した第1の実施形態の場合とは異なる。以下、この点について簡単に説明をしておく。
まず、X軸まわりのモーメントMxが作用した場合は、Y軸の正の部分に配置された第3の力伝達体T3から支持体300に対して引っ張り力(+fz)が作用し、Y軸の負の部分に配置された第4の力伝達体T4から支持体300に対して押圧力(−fz)が作用する。このとき、X軸の正の部分に配置された第1の力伝達体T1およびX軸の負の部分に配置された第2の力伝達体T2から支持体300に対しては、有意な力の作用は生じない。実際には、部分的にZ軸方向に関する力の作用があるが、第3および第4の力伝達体から加わる力に比べるとわずかであるため、ここでは容量素子C11〜C15およびC21〜C25の静電容量値の変化は「0」と考えることにする。その結果、図28の第4行目(+Mxの行)に示すような結果が得られることになる。
一方、Y軸まわりのモーメントMyが作用した場合は、X軸の正の部分に配置された第1の力伝達体T1から支持体300に対して押圧力(−fz)が作用し、X軸の負の部分に配置された第2の力伝達体T2から支持体300に対して引っ張り力(+fz)が作用する。このとき、Y軸の正の部分に配置された第3の力伝達体T3およびY軸の負の部分に配置された第4の力伝達体T4から支持体300に対しては、有意な力の作用は生じない。その結果、図28の第5行目(+Myの行)に示すような結果が得られることになる。
次に、図27を参照しながら、受力体100にZ軸まわりの正方向のモーメント+Mz(図27の平面図上では、反時計まわりのモーメントになる)が加わった場合、4本の力伝達体T1〜T4がどの方向に傾斜するかを考えてみよう。
まず、X軸の正の部分に配置された第1の力伝達体T1(図の固定電極E15の上に配置されている)は、この図27における上方向(y軸の正方向)に傾斜することになり、容量素子C13の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C14の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。また、X軸の負の部分に配置された第2の力伝達体T2(図の固定電極E25の上に配置されている)は、この図27における下方向(y軸の負方向)に傾斜することになり、容量素子C24の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C23の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。更に、Y軸の正の部分に配置された第3の力伝達体T3(図の固定電極E35の上に配置されている)は、この図27における左方向(x軸の負方向)に傾斜することになり、容量素子C32の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C31の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。最後に、Y軸の負の部分に配置された第4の力伝達体T4(図の固定電極E45の上に配置されている)は、この図27における右方向(x軸の正方向)に傾斜することになり、容量素子C41の電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C42の電極間隔が広まり静電容量値が減少する。なお、その他の容量素子の静電容量値については、トータルでは変化が生じない。
結局、受力体100にZ軸まわりの正方向のモーメント+Mzが作用した場合は、図28の第6行目に示すような増減結果が得られることになる。もちろん、受力体100にZ軸まわりの負方向のモーメント−Mzが作用した場合は、これとは正負の関係が逆転した結果が得られることになる。
この図28のテーブルに示すような結果が得られることを踏まえると、検出回路30として、20組の容量素子C11〜C45の静電容量値(ここでは、静電容量の値自身も、同じ符号C11〜C45で示すことにする)に基づいて、図29に示す式に基づく演算を行う回路を用意しておけば、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分を得ることができることが理解できよう。ここで、図29に示すFx,Fy,Fzについての式は、図15に示す式と全く同様である。
図29に示すMx=(C41+C42+C43+C44+C45)−(C31+C32+C33+C34+C35)なる式は、図28のテーブルの第4行目(+Mxの行)の結果を踏まえたものであり、第4のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力と、第3のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力と、の差に基づいて、受力体に作用した力のX軸まわりのモーメントMxが検出できることを意味している。
また、図29に示すMy=(C11+C12+C13+C14+C15)−(C21+C22+C23+C24+C25)なる式は、図28のテーブルの第5行目(+Myの行)の結果を踏まえたものであり、第1のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力と、第2のセンサによって検知されたZ軸方向に関する力と、の差に基づいて、受力体に作用した力のY軸まわりのモーメントMyが検出できることを意味している。
最後に、図29に示すMz=((C13−C14)+(C41−C42))−((C23−C24)+(C31−C32))なる式は、図28のテーブルの第6行目(+Mzの行)の結果を踏まえたものであり、第1のセンサによって検知されたY軸方向に関する傾斜度と第4のセンサによって検知されたX軸方向に関する傾斜度との和と、第2のセンサによって検知されたY軸方向に関する傾斜度と第3のセンサによって検知されたX軸方向に関する傾斜度との和と、の差に基づいて、受力体に作用した力のZ軸まわりのモーメントMzが検出できることを意味している。
なお、各力伝達体T1〜T4のZ軸方向に関する力を求める方法には、複数通りのバリエーションがあることは、既に述べたとおりであり、図29に示す各式に、これらのバリエーションを適用することも可能である。実際には、多成分検出を行う力検出装置の場合、モーメントMxの検出は、中央に配置された容量素子のみを利用し、Mx=C45−C35なる演算により行い、モーメントMyの検出は、中央に配置された容量素子のみを利用し、My=C15−C25なる演算により行うのが好ましい。
<<< §6. 第2の実施形態の検出回路 >>>
続いて、§5で述べた第2の実施形態に係る力検出装置に用いる検出回路を説明する。まず、各座標軸方向の力Fx,Fy,Fzを検出する検出回路であるが、これは基本的に第1の実施形態で用いた検出回路と同じである。
たとえば、図29に示す第1の式に基づいて力Fxを検出する検出回路は、図30に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの8枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。図16に示す第1の実施形態についての配線と比べると、個々の固定電極の配置は異なっているが、実質的な配線内容は全く同じである。図30の下段に示す式(図29に示す力Fxの式と等価)は、端子Tfx1から取り出された電気信号と、端子Tfx2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、力Fxの検出が行われることを示している。
同様に、図29に示す第2の式に基づいて力Fyを検出する検出回路は、図31に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの8枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。図17に示す第1の実施形態についての配線と比べると、個々の固定電極の配置は異なっているが、実質的な配線内容は全く同じである。図31の下段に示す式(図29に示す力Fyの式と等価)は、端子Tfy1から取り出された電気信号と、端子Tfy2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、力Fyの検出が行われることを示している。
また、図29に示す第3の式に基づいて力Fzを検出する検出回路は、図32に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの4枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。図18に示す第1の実施形態についての配線と比べると、個々の固定電極の配置は異なっているが、実質的な配線内容は全く同じである。図32の下段に示す式(図29に示す力Fzの式と等価)は、端子Tfzから取り出された電気信号に基づいて、力Fzの検出が行われることを示している。
続いて、モーメントMx,My,Mzを検出する検出回路を考える。まず、図29に示す第4の式に基づいてモーメントMxを検出する検出回路は、図33に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの2枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、固定電極E35を端子Tmx1に接続し、固定電極E45を端子Tmx2に接続すればよい。端子Tmx1と中間体200との間に生じる静電容量の値は容量素子C35の静電容量値になり、端子Tmx2と中間体200との間に生じる静電容量の値は容量素子C45の静電容量値になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMxの検出が可能になる。図33の下段に示す式は、端子Tmx1から取り出された電気信号と、端子Tmx2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMxの検出が行われることを示している。なお、図33の下段に示す式は、図29に示すMxの式と異なっているが、これは、各センサごとに、それぞれ中央に配置された1組の容量素子のみをZ軸変位検出用容量素子として利用するようにしたためである。
一方、図29に示す第5の式に基づいてモーメントMyを検出する検出回路は、図34に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの2枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、固定電極E15を端子Tmy1に接続し、固定電極E25を端子Tmy2に接続すればよい。端子Tmy1と中間体200との間に生じる静電容量の値は容量素子C15の静電容量値になり、端子Tmy2と中間体200との間に生じる静電容量の値は容量素子C25の静電容量値になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMyの検出が可能になる。図34の下段に示す式は、端子Tmy1から取り出された電気信号と、端子Tmy2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMyの検出が行われることを示している。なお、図34の下段に示す式は、図29に示すMyの式と異なっているが、これは、各センサごとに、それぞれ中央に配置された1組の容量素子のみをZ軸変位検出用容量素子として利用するようにしたためである。
最後に、図29に示す第6の式に基づいてモーメントMzを検出する検出回路は、図35に示すように、支持体300上に形成された20枚の固定電極のうちの8枚に対して、図示のような配線を施すことにより構成することができる。すなわち、4枚の固定電極E13,E24,E32,E41を第1のグループに所属する電極として端子Tmz1に接続し、4枚の固定電極E14,E23,E31,E42を第2のグループに所属する電極として端子Tmz2に接続すればよい。端子Tmz1と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第1のグループに所属する4組の容量素子C13,C24,C32,C41の静電容量値の和になり、端子Tmz2と中間体200との間に生じる静電容量の値は、第2のグループに所属する4組の容量素子C14,C23,C31,C42の静電容量値の和になるので、両者の差を求める回路を用意すれば、モーメントMzの検出が可能になる。図35の下段に示す式(図29に示すモーメントMzの式と等価)は、端子Tmz1から取り出された電気信号と、端子Tmz2から取り出された電気信号と、の差に基づいて、モーメントMzの検出が行われることを示している。
結局、図35に示す配線では、第1のグループに所属する容量素子は、「力伝達体T1がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C13」、「力伝達体T2がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C24」、「力伝達体T3がX軸負方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C32」、「力伝達体T4がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C41」ということになる。また、第2のグループに所属する容量素子は、「力伝達体T1がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C14」、「力伝達体T2がY軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたY軸傾斜検出用容量素子C23」、「力伝達体T3がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が狭まる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C31」、「力伝達体T4がX軸正方向に傾斜したときに、電極間隔が広がる位置に配置されたX軸傾斜検出用容量素子C42」ということになる。
以上、図30〜図35を参照しながら、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの全6種類の力成分を検出するために必要な配線を説明した。複数の力成分をそれぞれ検出する機能をもった力検出装置を実現するには、必要な配線を適宜重複して行うようにすればよい。また、同一の電極を異なる力成分の検出に用いる場合には、第1の実施形態で述べた方法と同様に、特定の電極については、物理的に独立した複数の電極に分割するようにすればよい。
ここでは、この第2の実施形態に係る力検出装置についても、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分をすべて検出可能にするための固定電極の構成例を、図36の上面図(支持体300の上面図)に示しておく。固定電極群E10,E20,E30,E40は、それぞれ8枚の固定電極からなるが、これは、力の6成分をすべて独立して検出できるように、特定の固定電極を用途別に分割したためである。
図36に示す固定電極群E10,E20,E30,E40の拡大図を、それぞれ図37,図38,図39,図40に示す。なお、これら拡大図におけるグレーのハッチングは、電極形状を明瞭に示すために施したものであり、断面を示すものではない。これらの図に示されているとおり、各固定電極群E10,E20,E30,E40の中央部分には、それぞれZ軸変位検出用容量素子を形成するための固定電極E15,E25,E35,E45が形成されている。ただし、これらの固定電極は、Fz検出用、Mx検出用、My検出用の3つのうちのいずれか2つの独立した分割電極に分割されている。
たとえば、図37に示す例の場合、固定電極E15は、円環状のFz検出用電極E15(Fz)とその内側に設けられた円形のMy検出用電極E15(My)によって構成されており、図38に示す例の場合、固定電極E25は、円環状のFz検出用電極E25(Fz)とその内側に設けられた円形のMy検出用電極E25(My)によって構成されている。また、図39に示す例の場合、固定電極E35は、円環状のFz検出用電極E35(Fz)とその内側に設けられた円形のMx検出用電極E35(Mx)によって構成されており、図40に示す例の場合、固定電極E45は、円環状のFz検出用電極E45(Fz)とその内側に設けられた円形のMx検出用電極E45(Mx)によって構成されている。ここで、円形の電極と円環状の電極とは同心配置されており、Z軸変位検出用容量素子を構成するのに適した電極構成となっている。もちろん、いずれの検出用電極を内側/外側に配置するかは任意であり、図示の例はその一例を示しているだけである。
一方、X軸傾斜検出用容量素子を構成するための固定電極や、Y軸傾斜検出用容量素子を構成するための固定電極のうち、必要なものについては、分割が行われている。すなわち、図37に示すように、固定電極E13は、Fy検出用電極E13(Fy)とMz検出用電極E13(Mz)に分割されており、固定電極E14は、Fy検出用電極E14(Fy)とMz検出用電極E14(Mz)に分割されている。また、図38に示すように、固定電極E23は、Fy検出用電極E23(Fy)とMz検出用電極E23(Mz)に分割されており、固定電極E24は、Fy検出用電極E24(Fy)とMz検出用電極E24(Mz)に分割されている。一方、図39に示すように、固定電極E31は、Fx検出用電極E31(Fx)とMz検出用電極E31(Mz)に分割されており、固定電極E32は、Fx検出用電極E32(Fx)とMz検出用電極E32(Mz)に分割されている。また、図40に示すように、固定電極E41は、Fx検出用電極E41(Fx)とMz検出用電極E41(Mz)に分割されており、固定電極E42は、Fx検出用電極E42(Fx)とMz検出用電極E42(Mz)に分割されている。
このように、図37〜図40に示すような合計32枚の固定電極を用意しておけば、図30〜図35のすべての配線を重ねて行うことが可能になり、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzの6成分をすべて検出可能な力検出装置を実現することができる。
すなわち、図30に示す力Fx検出用の配線のうち、固定電極E31,E32,E41,E42に対する配線は、図39および図40に示す固定電極E31(Fx),E32(Fx),E41(Fx),E42(Fx)に対して行えばよく、図31に示す力Fy検出用の配線のうち、固定電極E13,E14,E23,E24に対する配線は、図37および図38に示す固定電極E13(Fy),E14(Fy),E23(Fy),E24(Fy)に対して行えばよい。また、図32に示す力Fz検出用の配線のうち、固定電極E15,E25,E35,E45に対する配線は、図37〜図40に示す固定電極E15(Fz),E25(Fz),E35(Fz),E45(Fz)に対して行えばよい。一方、図33に示すモーメントMx検出用の配線のうち、固定電極E35,E45に対する配線は、図39および図40に示す固定電極E35(Mx),E45(Mx)に対して行えばよく、図34に示すモーメントMy検出用の配線のうち、固定電極E15,E25に対する配線は、図37および図38に示す固定電極E15(My),E25(My)に対して行えばよい。更に、図35に示すモーメントMz検出用の配線のうち、固定電極E13,E14,E23,E24,E31,E32,E41,E42に対する配線は、図37〜図40に示す固定電極E13(Mz),E14(Mz),E23(Mz),E24(Mz),E31(Mz),E32(Mz),E41(Mz),E42(Mz)に対して行えばよい。
<<< §7. 補助基板を付加する実施形態 >>>
ここで、第1の実施形態における検出原理を示す図15の6つの式を見ると、静電容量値に対する加算および減算が行われていることがわかる。そして、この式における加算は、実際に演算を行うわけではなく、容量素子を並列接続する配線によって行われることは、既に述べたとおりである。すなわち、本発明では、加算対象となる複数の容量素子を同一のグループに所属させて互いに並列接続し、1つのグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、別のグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、の差に基づいて力もしくはモーメントの検出が行われる。図16、図17、図19、図20、図21に示す配線には、いずれも2つの端子が設けられており、これら2つの端子から得られる電気信号の差に基づいて、所定の力成分の検出が可能になる。
ところが、図18に示されている力Fz検出用の配線には、1つの端子Tfzしか設けられていない。これは、図15の力Fzについての式を見ればわかるとおり、力Fzの検出には、容量素子の減算は行われないためである。この式の先頭にマイナス符号がついているのは、座標軸の方向の定義の仕方に起因したものであり、Z軸正方向の力+Fzが作用した場合に、検出値(静電容量値C15,C25,C35,C45の和)が基準値よりも減少し、Z軸負方向の力−Fzが作用した場合に、検出値が基準値よりも増加することを示すものである。
別言すれば、図15に6つの式として示されている6つの力成分のうち、Fz以外の力成分は、すべて2つの静電容量値の差として得られるのに対し、力Fzだけは、差として得られる量にはなっていないことになる。これは、検出対象となる力が何ら作用していない状態において、力Fx,Fy,Mx,My,Mzの検出値は0として出力されるのに対し、力Fzの検出値は0ではなく、所定の基準値として出力されることを意味する。もちろん、この基準値を予め測定しておき、力Fzの検出値を、この基準値との差として出力するようにしておけば、原理的には何ら問題は生じない。
しかしながら、装置内に存在する2つの容量素子グループの静電容量値の差として検出値を得る手法と、単一の容量素子グループの静電容量値と所定の基準値との差として検出値を得る手法とでは、実用上、重要な違いがある。すなわち、前者の手法を採れば、個々のロットごとの寸法精度に多少のばらつきがあっても、差をとることにより、誤差のファクターが相殺されるメリットが得られるのに対して、後者の手法では、そのようなメリットは得られない。また、この力検出装置が用いられる環境の温度条件によっても、各部の熱膨張による寸法変動が生じることになるが、前者の手法では、そのような寸法変動による影響が相殺されるメリットが得られるのに対して、後者の手法では、そのようなメリットは得られない。
このような点を考慮すれば、実用上は、できるだけ、装置内に存在する2つの容量素子グループの静電容量値の差として検出値を得る手法を採るのが好ましい。したがって、力Fzの検出に関しても、何らかの形により、差による検出が実現できるようにするのが好ましい。ここで述べる実施形態は、補助基板を設けることにより、これを実現したものである。
図41は、この補助基板を用いた実施形態に係る力検出装置の構成を示す側断面図である。この実施形態の基本構造は、図10に示す第1の実施形態に係る力検出装置の構造とほぼ同じであり、その上面図は、図9に示す上面図と同等になる。図41は、この図9に示す構造体を、切断線10−10で切った断面に相当する。この図41の実施形態と、図10に示す実施形態との相違は、次の2点である。
まず、第1の相違点は、図10の実施形態では、支持体300上に図13に示すような合計20枚の固定電極が形成されていたのに対し、図41の実施形態では、支持体300上に図22に示すような合計36枚の固定電極(固定電極群E10,E20,E30,E40)が形成されている点である。これは、既に§4で述べたとおり、6つの力成分のすべてを検出できるようにするための配慮である。
第2の相違点は、この§7で述べる実施形態の本質的な特徴に関わる相違点であり、中間体200の上面に、補助基板400を設け、その下面に固定電極E16,E26,E36,E46を設けた点である(なお、中間体200の厚みも若干小さくなっている)。図42は、この補助基板400の下面図である。図示のとおり、補助基板400には、力伝達体T1〜T4を挿通するための開口H1〜H4が形成されている。これら開口H1〜H4の直径は、力伝達体T1〜T4の直径よりも若干大きく設定されており、力伝達体T1〜T4が傾斜したり変位したりしても、補助基板400には接触しないようになっている。
補助基板400は、絶縁材料から構成されており、中間体200の上面に接合されている。別言すれば、補助基板400は、ダイアフラム215,225,235,245の上方に配置されるように、中間体200を介して支持体300に固定されていることになる。
各開口H1〜H4の周囲には、図42に示すとおり、それぞれ円環状の固定電極E16,E26,E36,E46が形成されている。図43は、この円環状の固定電極E16の形状および配置を示す拡大平面図であり、破線は、図23に示す固定電極群E10の輪郭を補助基板400上に投影した投影像である。固定電極E16の内側には、開口H1が形成されている。図23と比較すればわかるとおり、固定電極E16は、固定電極E15(Fz)と同一形状、同一サイズの円環状電極であり、固定電極E15(Fz)の上方に向かい合う位置に配置されている。同様に、補助基板400の下面に形成された固定電極E26,E36,E46は、それぞれ図24,図25,図26に示す固定電極E25(Fz),E35(Fz),E45(Fz)と同一形状、同一サイズの円環状電極であり、それぞれの上方に向かい合う位置に配置されている。
この補助基板400側に形成された4枚の固定電極E16,E26,E36,E46と、導電性材料からなるダイアフラム215,225,235,245の対向部分とによって、それぞれ容量素子C16,C26,C36,C46が形成されることになる。結局、この実施形態では、合計40枚の固定電極が設けられていることになり、そのうちの36枚は、支持体300の上面に形成されているが(図22参照)、残りの4枚は、補助基板400の下面に形成されている(図42参照)ことになる。その結果、合計36組の容量素子がダイアフラム215,225,235,245の下方に配置され、4組の容量素子がダイアフラム215,225,235,245の上方に配置されることになる。
容量素子C16,C26,C36,C46は、容量素子C15,C25,C35,C45と同様に、力Fzの検出に利用される。但し、容量素子C16,C26,C36,C46の静電容量値の増減は、容量素子C15,C25,C35,C45の静電容量値の増減とは全く逆になる。これは、図41の側断面図を見れば、容易に理解できよう。たとえば、受力体100に対して、Z軸正方向の力+Fzが加えられた場合、力伝達体T1〜T4は図の上方へと変位し、ダイアフラム215,225,235,245も上方へと変位するようになるので、これらダイアフラムの下方に形成された容量素子C15,C25,C35,C45の電極間隔はいずれも広がり、静電容量値が減少するのに対して、ダイアフラムの上方に形成された容量素子C16,C26,C36,C46の電極間隔はいずれも狭まり、静電容量値が増加する。受力体100に対して、Z軸負方向の力−Fzが加えられた場合の現象は、これと全く逆になる。
結局、この実施形態に係る力検出装置では、力Fzの検出を行う式として、図15に示す力Fzの式の代わりに、
Fz=(C16+C26+C36+C46)
−(C15+C25+C35+C45)
なる式を用いることができる。これは、1つのグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、別のグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、の差に基づく検出であり、前述したように、ロットごとの寸法精度に基づく誤差や温度変動による誤差を相殺するメリットが得られるようになる。図42に示す4枚の固定電極E16,E26,E36,E46に対する配線は、図18に示す4枚の固定電極E15,E25,E35,E45に対する配線と同様に、すべてを単一の端子に接続するような配線にすればよい。
結局、このような配線は、力伝達体がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、力伝達体が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15,C25,C35,C45を1つのグループとし、逆に、力伝達体がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、力伝達体が傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C16,C26,C36,C46を別なグループとし、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、一方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、他方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したZ軸方向への力Fzを検出することが可能になる。
なお、補助基板400を用いて形成したZ軸変位検出用容量素子C16,C26,C36,C46は、モーメントMx,Myの検出に利用することも可能である。図19の下段に示す式や図20の下段に示す式によれば、モーメントMx,Myの検出は、1つのグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、別のグループに所属する容量素子群の全体の静電容量値と、の差に基づく検出となっており、検出精度を向上させるメリットを享受している。しかしながら、容量素子C16,C26,C36,C46を検出動作に加えれば、合計8組の容量素子の静電容量値に基づく検出が可能になり、検出精度を更に向上させることができる。
前述したとおり、力伝達体のZ軸方向への変位に関して、容量素子C16,C26,C36,C46の静電容量値の増減は、容量素子C15,C25,C35,C45の静電容量値の増減と全く逆になる。したがって、モーメントMxを検出するには、図19の下段に示すモーメントMxの式の代わりに、
Mx=(C35+C45+C16+C26)
−(C15+C25+C36+C46)
なる式を用いることができる。たとえば、補助基板400の下面の、図19に示す4枚の固定電極E15,E25,E35,E45に対応する位置に、それぞれこれらの電極と同一形状、同一サイズの固定電極E16,E26,E36,E46を設けるようにし(後述するように、実際には、開口H1〜H4の存在により、このような配置はできないが)、固定電極E16,E26を端子Tmx3に接続し、固定電極E36,E46を端子Tmx4に接続する配線を施し、最終的に、端子Tmx3を図19に示す端子Tmx2に接続し、端子Tmx4を図19に示す端子Tmx1に接続すればよい。なお、支持体300側の電極構成が、図22に示す形態の場合は、図23〜図26に示す固定電極E15(Mx),E25(Mx),E35(Mx),E45(Mx)と同一形状、同一サイズの固定電極E16(Mx),E26(Mx),E36(Mx),E46(Mx)を補助基板400側に形成すればよい。もっとも、実際には、補助基板400には、開口H1〜H4が形成されているため、同一形状、同一サイズの固定電極が形成できない。したがって、実用上は、支持体300上に形成する電極の形状やサイズも若干修正する必要がある。
結局、このような配線は、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C25と、第3の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C36と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C46と、を一方のグループとし、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C16と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C26と、第3の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C35と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C45と、を他方のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、一方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、他方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したX軸まわりのモーメントMxを検出することが可能になる。
また、モーメントMyを検出するには、図20の下段に示すモーメントMyの式の代わりに、
My=(C15+C45+C26+C36)
−(C25+C35+C16+C46)
なる式を用いることができる。すなわち、補助基板400の下面の、図19に示す4枚の固定電極E15,E25,E35,E45に対応する位置に、それぞれこれらの電極と同一形状、同一サイズの固定電極E16,E26,E36,E46を設けるようにし、固定電極E16,E46を端子Tmy3に接続し、固定電極E26,E36を端子Tmy4に接続する配線を施し、最終的に、端子Tmy3を図20に示す端子Tmy2に接続し、端子Tmy4を図20に示す端子Tmy1に接続すればよい。なお、支持体300側の電極構成が、図22に示す形態の場合は、本来は、図23〜図26に示す固定電極E15(My),E25(My),E35(My),E45(My)と同一形状、同一サイズの固定電極E16(My),E26(My),E36(My),E46(My)を補助基板400側に形成すればよい。もっとも、実際には、開口H1〜H4の存在により同一形状、同一サイズの電極形成は無理なので、支持体300上に形成する電極の形状やサイズも若干修正する必要がある。
結局、このような配線は、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C26と、第3の力伝達体T3がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C36と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C45と、を一方のグループとし、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C16と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C25と、第3の力伝達体T3がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C35と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C46と、を他方のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、一方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、他方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したY軸まわりのモーメントMyを検出することが可能になる。
以上、補助基板を付加する実施形態を、§3および§4で述べた第1の実施形態に適用した例を述べたが、この補助基板を付加する実施形態は、§5および§6で述べた第2の実施形態にも同様に適用可能である。
たとえば、第2の実施形態に係る力検出装置では、力Fzの検出を行う式として、図32の下段に、Fz=−(C15+C25+C35+C45)なる式が定義されているが、上述の例と同様に補助基板400を設けることにより、これら容量素子C15,C25,C35,C45の上方位置にそれぞれ容量素子C16,C26,C36,C46を形成するようにすれば、
Fz=(C16+C26+C36+C46)
−(C15+C25+C35+C45)
なる式により、力Fzの検出が可能になる。
もちろん、第2の実施形態に係る力検出装置に補助基板400を設けた場合においても、補助基板400を用いて形成したZ軸変位検出用容量素子C16,C26,C36,C46を、モーメントMx,Myの検出に利用することが可能である。図33の下段に示す式や図34の下段に示す式によれば、モーメントMx,Myの検出は、2つの容量素子の静電容量値の差に基づく検出となっているが、容量素子C16,C26,C36,C46を検出動作に加えれば、それぞれ合計4組の容量素子の静電容量値に基づく検出が可能になり、検出精度を更に向上させることができる。
たとえば、モーメントMxを検出するには、図33の下段に示すモーメントMxの式の代わりに、
Mx=(C45+C36)−(C35+C46)
なる式を用いることができる。すなわち、補助基板400の下面の、図33に示す2枚の固定電極E35,E45に対応する位置に、それぞれこれらの電極と同一形状、同一サイズの固定電極E36,E46を設けるようにし、固定電極E36を端子Tmx3に接続し、固定電極E46を端子Tmx4に接続する配線を施し、最終的に、端子Tmx3を図33に示す端子Tmx2に接続し、端子Tmx4を図33に示す端子Tmx1に接続すればよい。なお、支持体300側の電極構成が、図36に示す形態の場合は、図39,図40に示す固定電極E35(Mx),E45(Mx)と同一形状、同一サイズの固定電極E36(Mx),E46(Mx)を補助基板400側に形成すればよい。もっとも、実際には、開口H3,H4の存在により同一形状、同一サイズの電極形成は無理である。そこで、支持体300側に形成する固定電極E35,E45,E35(Mx),E45(Mx)を円形ではなく、円環状にするなどの工夫が必要になる。
結局、このような配線は、第3の力伝達体T3がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C35と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C46と、を一方のグループとし、第3の力伝達体T3がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C36と、第4の力伝達体T4がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C45と、を他方のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、一方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、他方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したX軸まわりのモーメントMxを検出することが可能になる。
また、モーメントMyを検出するには、図34の下段に示すモーメントMyの式の代わりに、
My=(C15+C26)−(C25+C16)
なる式を用いることができる。すなわち、補助基板400の下面の、図34に示す2枚の固定電極E15,E25に対応する位置に、それぞれこれらの電極と同一形状、同一サイズの固定電極E16,E26を設けるようにし、固定電極E16を端子Tmy3に接続し、固定電極E26を端子Tmy4に接続する配線を施し、最終的に、端子Tmy3を図34に示す端子Tmy2に接続し、端子Tmy4を図34に示す端子Tmy1に接続すればよい。なお、支持体300側の電極構成が、図36に示す形態の場合は、図37,図38に示す固定電極E15(My),E25(My)と同一形状、同一サイズの固定電極E16(My),E26(My)を補助基板400側に形成すればよい。もっとも、実際には、開口H1,H2の存在により同一形状、同一サイズの電極形成は無理である。そこで、支持体300側に形成する固定電極E15,E25,E15(My),E25(My)を円形ではなく、円環状にするなどの工夫が必要になる。
結局、このような配線は、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広がるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C15と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C26と、を一方のグループとし、第1の力伝達体T1がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に狭まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C16と、第2の力伝達体T2がZ軸正方向に変位したときには、電極間隔が全体的に広まるが、傾斜したときには、電極間隔の一部分は狭まるが別な一部分は広がるような変化を生じる位置に配置されたZ軸変位検出用容量素子C25と、を他方のグループとして、同一グループに所属する複数の容量素子を互いに並列接続するための配線ということができる。そして、このような配線を施すことにより、一方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、他方のグループに所属するZ軸変位検出用容量素子群の全体の静電容量値と、の差により、受力体に作用したY軸まわりのモーメントMyを検出することが可能になる。
<<< §8. 本発明の変形例 >>>
以上、本発明を図示する実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。たとえば、上述の実施形態では、ダイアフラムを導電性材料によって構成し、ダイアフラム自身を共通変位電極として利用する例を示したが、ダイアフラムが絶縁材料から構成されている場合には、その下面に導電性膜を形成して共通変位電極として利用することができる。もちろん、共通変位電極を1枚だけ設ける代わりに、各固定電極に対向した個別の変位電極を設けるようにしてもかまわない。
また、上述の実施形態では、各力伝達体と受力体との接続部分に、可撓性をもった接続部材(具体的には、板状の受力体の肉薄部)を設けているが、各力伝達体の上端は、必ずしも可撓性をもった接続部材を介して受力体に接続する必要はない。検出対象となる力やモーメントを受力体に支障なく作用させることができるのであれば、各力伝達体の上端を受力体に直接接続して固定する形態をとってもかまわない。もっとも、実用上は、検出対象となる力やモーメントを受力体に支障なく作用させるために、これまで述べてきた実施形態のように、各力伝達体の上端を、可撓性をもった接続部材を介して受力体に接続するようにし、各力伝達体が受力体に対して、ある程度の自由度をもって変位できるような構造にしておくのが好ましい。
これまで述べた実施形態では、4本の力伝達体およびその接続部材は、正方形状の受力体100の中心に原点をとった座標系においてシンメトリックな位置(特定の座標軸に関して線対称となる位置)に配置され、また、いずれも同一材質、同一サイズのものであったが、これらは必ずしもシンメトリックな位置に配置する必要はなく、また、同一材質、同一サイズにする必要はない。もちろん、各センサも同一のものを用意する必要はない。たとえば、第1の実施形態では、4本の力伝達体が、正方形の4頂点位置に配置されているが、原理的には、4本の力伝達体のうちの3つ以上が同一平面に沿って配置されることがないようにすれば、4本の力伝達体の配置は任意でかまわない。ただ、4本の力伝達体が座標系に対してシンメトリックな配置になっていなかったり、材質やサイズが同一になっていなかったり、個々のセンサの構造やサイズが異なっていたりすると、各容量素子の検出感度に差が生じ、精度の高い検出を行うためには何らかの補正が必要になるため、実用上は、上述の実施形態を採るのが好ましい。
ここでは説明の便宜上、受力体および支持体という文言を用いているが、これは、支持体を固定した状態とし、検出対象となる力を受力体に作用させる一般的な利用形態を意図したものである。しかしながら、本発明に係る力検出装置の利用形態は、そのような形態に限定されるものではなく、逆に、受力体を固定した状態とし、検出対象となる力を支持体に作用させるという利用形態も可能である。一般に、力検出装置は、第1の箇所を固定した状態において、第2の箇所に作用した力を検出する機能を有しており、支持体を固定した状態において受力体に作用した力を検出するという事象は、受力体を固定した状態において支持体に作用した力を検出するという事象と、本質的には同じものである。
また、これまでの実施形態では、力伝達体の傾斜や変位を検出するためのセンサを、支持体側にのみ設けていたが、このようなセンサを受力体側にも設けるようにし、力伝達体の傾斜や変位を、その両端において検出できるようにしておき、支持体側と受力体側との双方における検出結果に基づいて、力およびモーメントを検出することも可能である。このような検出を行えば、より精度の高い検出動作が可能になる。