以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「等しい」等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(第1の実施の形態)
まず、図1〜図23Bを用いて、本発明の第1の実施の形態における力覚センサについて説明する。
本実施の形態に係る力覚センサについて説明する前に、当該力覚センサのロボットへの適用例について図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態における力覚センサを適用したロボットの一例を示す図である。
図1に示すように、産業用ロボット1000は、ロボット本体1100と、エンドエフェクタ1200と、電気ケーブル1300と、制御部1400と、力覚センサ1と、を有している。ロボット本体1100は、ロボットのアーム部を含んでいる。ロボット本体1100とエンドエフェクタ1200の間には、力覚センサ1が設けられている。
電気ケーブル1300は、ロボット本体1100の内部に延設されている。この電気ケーブル1300は、力覚センサ1のコネクタ(図示せず)に接続されている。
なお、図1では、制御部1400はロボット本体1100の内部に配置されているが、他の場所(例えばロボット外部の制御盤)に配置されてもよい。また、力覚センサ1のロボットへの装着態様は図1に示すものに限られない。
力覚センサ1は、グリッパーとして機能するエンドエフェクタ1200に作用する力またはモーメントを検出する。検出された力またはモーメントを示す電気信号は、電気ケーブル1300を介して産業用ロボット1000の制御部1400に送信される。制御部1400は、受信した電気信号に基づいてロボット本体1100およびエンドエフェクタ1200の動作を制御する。
なお、力覚センサ1は、産業用ロボットに限られず、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等の各種ロボットに適用可能である。
以下、図2〜図5を参照して本発明の実施の形態に係る力覚センサについて説明する。図2は、第1の実施の形態における力覚センサを示す断面図であって、図3のA−A線断面に相当する図である。図3は、図2の力覚センサを示す平面図である。図4は、図2の起歪体を示す正面図である。図5は、図3に示す力覚センサの起歪体を平面展開した図である。
以下の説明では、XYZ三次元座標系を定義し、Z軸方向(第1方向)を上下方向とし、受力体10が上側に配置され、支持体20が下側に配置されるように力覚センサ1を配置した状態で説明を行う。このため、本実施の形態における力覚センサ1は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、受力体10と支持体20のいずれかを上側または下側に配置するかは任意である。
力覚センサ1は、所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸まわりに作用したモーメント(トルク)を電気信号として出力する機能を有している。しかしながら、このことに限られることはなく、力およびモーメントの一方のみを電気信号として出力するように構成されていてもよく、更には、力またはモーメントの少なくとも1つの軸成分を電気信号として出力するように構成されていてもよい。
力覚センサ1は、図2および図3に示すように、受力体10と、支持体20と、起歪体30A〜30Dと、検出素子50と、検出回路60と、外装体80と、を備えている。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
受力体10は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。この作用を受けることにより、受力体10は支持体20に対して相対移動する。上述した図1の例で言えば、受力体10はエンドエフェクタ1200にボルト等で固定されており、エンドエフェクタ1200から力またはモーメントを受ける。受力体10には、起歪体30A〜30Dが接続されている。
図3に示すように、本実施の形態では、受力体10の平面形状は、円形である。また、受力体10は、平板状に形成されていてもよい。
図2に示すように、支持体20は、受力体10を支持している。支持体20は、Z軸方向において受力体10の負側に配置されている。受力体10と支持体20は、Z軸方向において互いに異なる位置に配置されており、支持体20は、受力体10に離間している。図1の例で言えば、支持体20はロボット本体1100(アーム部)の先端にボルト等で固定されており、ロボット本体1100に支持される。支持体20には、起歪体30A〜30Dが接続されている。
図3に示すように、本実施の形態では、支持体20の平面形状は、受力体10と同様に円形である。また、支持体20は、平板状に形成されていてもよい。なお、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの少なくとも一方は、円形であってもよい。この場合、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの一方が円形で、他方が円形以外の形状であってもよい。
図2および図3に示すように、起歪体30A〜30Dは、受力体10と支持体20とを接続している。より具体的には、起歪体30A〜30Dは、受力体10と支持体20との間に配置されており、起歪体30A〜30Dは、受力体10に接続されるとともに支持体20に接続されている。これらの起歪体30A〜30Dを介して受力体10は支持体20に支持されている。
本実施の形態においては、受力体10と支持体20とは、4つの起歪体30A〜30Dで接続されている。4つの起歪体30A〜30Dは、第1起歪体30Aと、第2起歪体30Bと、第3起歪体30Cと、第4起歪体30Dと、を有している。図3に示すように、Z軸方向で見たときに、受力体10の中心Oに対してY軸方向負側に第1起歪体30Aが配置されている。同様にZ軸方向で見たときに、受力体10の中心Oに対してX軸方向正側に第2起歪体30Bが配置され、受力体10の中心Oに対してY軸方向正側に第3起歪体30Cが配置されている。受力体10の中心Oに対してX軸方向負側に第4起歪体30Dが配置されている。言い換えると、第1起歪体30Aと第3起歪体30Cとの間に、受力体10の中心Oが配置され、第2起歪体30Bと第4起歪体30Dとの間に、受力体10の中心Oが配置されている。なお、受力体10と支持体20とを接続する起歪体の個数は、4つに限られることはなく、2つまたは3つでもよく、5つ以上でもよく、任意である。また、受力体10と支持体20とは、1つだけの起歪体で接続されていてもよく、この場合、検出素子50を図4Aに示すように2つの容量素子で構成すると、力の2軸成分を検出することができる。検出素子50が、1つだけの容量素子で構成されて、力の1軸成分を検出するようにしてもよい。
図3に示すように、本実施の形態による4つの起歪体30A〜30Dの傾動構造体31(後述)は、環状配置されている。すなわち、上述したように、受力体10および支持体20がZ軸方向で見たときに円形形状で形成されており、4つの起歪体30A〜30Dの傾動構造体31が、矩形の環状をなすように配置されている。各起歪体30A〜30Dの傾動構造体31は、Z軸方向で見たときに、第2方向に沿って直線状に形成されている。すなわち、第1起歪体30Aの第2方向および第3起歪体30Cの第2方向は、X軸方向に相当している。第1起歪体30Aの傾動構造体31および第3起歪体30Cの傾動構造体31は、X軸方向に沿って直線状に形成されている。第2起歪体30Bの第2方向および第4起歪体30Dの第2方向は、Y軸方向に相当している。第2起歪体30Bの傾動構造体31および第4起歪体30Dの傾動構造体31は、Y軸方向に沿って直線状に形成されている。なお、4つの起歪体30A〜30Dの配置は、環状配置であることに限られることはなく、それぞれを任意の位置で不規則に配置してもよい。
次に、本実施の形態による起歪体30A〜30Dについてより具体的に説明する。本実施の形態による起歪体30A〜30Dは、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。ここでは、上述した4つの起歪体30A〜30Dのうち、X軸方向を第2方向とする第1起歪体30Aを例にとって説明する。第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dについては、同様の構成を有しているため、ここでは詳細な説明は省略する。
図2および図4に示すように、第1起歪体30Aは、受力体10と支持体20との間に配置された傾動構造体31と、受力体10と傾動構造体31とを接続する受力体側変形体33と、傾動構造体31と支持体20とを接続する支持体側変形体34と、を有している。
傾動構造体31は、Z軸方向とZ軸方向に直交するX軸方向(第1起歪体30Aの第2方向)とを含む平面(XZ平面)に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びる第1傾動体35を含んでいる。本実施の形態による第1傾動体35は、X軸方向(第1起歪体30Aの第2方向に相当)に延びている。第1傾動体35は、受力体10と支持体20との間に配置されており、受力体10に離間するとともに支持体20に離間している。本実施の形態においては、第1傾動体35は、X軸方向に延びている。より具体的には、図4に示すように、第1傾動体35のX軸方向における一方の端部35aから他方の端部35bにわたって直線状に延びており、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、両端部35a、35bとZ軸方向において同じ位置に位置している。そして、第1傾動体35の受力体10の側の面は、全体的に平坦状に形成されている。
本実施の形態においては、図2および図4に示すように、傾動構造体31は、第1傾動体35と支持体20との間に配置された第2傾動体36と、第1傾動体35と第2傾動体36とを接続する一対の接続体37、38と、を更に含んでいる。
第2傾動体36は、Z軸方向とZ軸方向に直交するX軸方向(第1起歪体30Aの第2方向)とを含む平面(XZ平面)に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びる第2傾動体36を含んでいる。本実施の形態による第2傾動体36は、X軸方向に延びている。第2傾動体36は、Z軸方向において第1傾動体35と離間しているとともに、支持体20と離間している。本実施の形態においては、第2傾動体36は、X軸方向に延びている。より具体的には、図4に示すように、第2傾動体36のX軸方向における一方の端部36aから他方の端部36bにわたって直線状に延びており、第2傾動体36のX軸方向における中央部36cは、両端部36a、36bとZ軸方向において同じ位置に位置している。そして、第2傾動体36の受力体10の側の面は、全体的に平坦状に形成されている。
一対の接続体37、38は、第1傾動体35のX軸方向における両端部35a、35bのうちの一方の端部と、第2傾動体36のX軸方向における両端部36a、36bのうちの対応する端部とを接続している。より具体的には、図4に示すように、X軸方向負側に配置された接続体37は、第1傾動体35のX軸方向負側の端部35aと、第2傾動体36のX軸方向負側の端部36aとを接続している。X軸方向正側に配置された接続体38は、第1傾動体35のX軸方向正側の端部35bと、第2傾動体36のX軸方向正側の端部36bとを接続している。各接続体37、38は、Z軸方向に延びている。
このようにして、本実施の形態による傾動構造体31は、Y軸方向(Z軸方向およびX軸方向に直交する方向)で見たときに、図4に示すように、矩形枠状に形成されている。
第1傾動体35は、Z軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。第2傾動体36は、Z軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。第1傾動体35のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、第2傾動体36のZ軸方向に作用する力に対するばね定数と等しくてもよい。ばね定数は、主として、部材のZ軸方向の寸法、または使用する材料の種類によって調整することができる。例えば、後述する図11に示す第1変形例のように、ばね定数を調整してもよい。
受力体側変形体33は、Z軸方向に延びており、傾動構造体31の第1傾動体35に接続されている。より具体的には、受力体側変形体33の上端は、受力体10に接続されており、下端は、第1傾動体35に接続されている。これにより、受力体10と第1傾動体35とが、1つの受力体側変形体33で接続されている。本実施の形態においては、受力体側変形体33は、X軸方向において、第1傾動体35の両端部35a、35bの間に位置している。すなわち、受力体側変形体33は、一対の接続体37、38の間に位置している。より具体的には、受力体側変形体33は、X軸方向における第1傾動体35の中心に位置しており、第1傾動体35の中央部35cに接続されている。
支持体側変形体34は、Z軸方向に延びており、傾動構造体31の第2傾動体36に接続されている。より具体的には、支持体側変形体34の下端は、支持体20に接続されており、上端は、第2傾動体36に接続されている。これにより、支持体20と第2傾動体36とが、1つの支持体側変形体34で接続されている。本実施の形態においては、支持体側変形体34は、X軸方向において、第2傾動体36の両端部36a、36bの間に位置している。すなわち、支持体側変形体34は、一対の接続体37、38の間に位置している。より具体的には、支持体側変形体34は、X軸方向における第2傾動体36の中心に位置しており、第2傾動体36の中央部36cに接続されている。
受力体側変形体33および支持体側変形体34は、Z軸方向で見たときに互いに重なる位置に配置されている。すなわち、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、X軸方向において同じ位置に配置されている。本実施の形態では、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、X軸方向において傾動構造体31の中心に配置されている。このようにして、傾動構造体31は、X軸方向において、受力体側変形体33および支持体側変形体34に対して対称に形成されている。
受力体側変形体33は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。受力体側変形体33は、主として、X軸方向に作用する力に対して弾性変形可能になっていてもよい。受力体側変形体33のX軸方向に作用する力に対するばね定数は、接続体37、38のX軸方向に作用する力に対するばね定数よりも小さくなっていてもよい。
支持体側変形体34は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。支持体側変形体34は、主として、X軸方向に作用する力に対して弾性変形可能になっていてもよい。支持体側変形体34のX軸方向に作用する力に対するばね定数は、接続体37、38のX軸方向に作用する力に対するばね定数よりも小さくなっていてもよい。支持体側変形体34のX軸方向に作用する力に対するばね定数は、受力体側変形体33のX軸方向に作用する力に対するばね定数と等しくてもよい。
このように構成された第1起歪体30Aは、アルミ合金や鉄合金などの金属材料で作製された板材から機械加工で形成されていてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。機械加工で形成される場合、傾動構造体31、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、Y軸方向が厚み方向となるように板状に形成され、一体に連続状の板材から形成される。このことにより、第1起歪体30Aを容易に作製することができる。このように形成された第1起歪体30Aは、受力体10および支持体20にボルトまたは接着剤等でそれぞれ固定されていてもよい。あるいは、受力体10、支持体20および起歪体30A〜30Dは、一体に連続状のブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で形成されてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。
検出素子50は、上述した第1起歪体30Aに生じた弾性変形により生じた変位を検出するように構成されている。本実施の形態による検出素子50は、静電容量を検出する素子として構成されている。図4に示すように、検出素子50は、支持体20または受力体10に設けられた固定電極基板と、傾動構造体31に設けられた変位電極基板と、を有している。図4に示す例においては、検出素子50は、第1起歪体30A用の電極として、2つの固定電極基板Ef1、Ef2と、2つの変位電極基板Ed1、Ed2と、を有している。
2つの固定電極基板Ef1、Ef2は、X軸方向負側に配置された第1固定電極基板Ef1と、X軸方向正側に配置された第2固定電極基板Ef2と、を有している。本実施の形態においては、固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体20の受力体10の側の面に設けられている。固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体20の受力体10の側の面に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する固定電極Efと、固定電極Efと支持体20との間に介在された絶縁体IBf(図4参照)と、を含んでいる。なお、固定電極基板Ef1、Ef2は、受力体10の支持体20の側の面に設けられていてもよい。
2つの変位電極基板Ed1、Ed2は、X軸方向負側に配置された第1変位電極基板Ed1と、X軸方向正側に配置された第2変位電極基板Ed2と、を有している。本実施の形態においては、変位電極基板Ed1、Ed2は、傾動構造体31の第2傾動体36における支持体20の側の面に設けられている。変位電極基板Ed1、Ed2は、第2傾動体36における支持体20の側の面に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、対応する固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極Edと、変位電極Edと第2傾動体36との間に介在された絶縁体IBd(図4参照)と、を含んでいる。なお、固定電極基板Ef1、Ef2が受力体10の支持体20の側の面に設けられる場合には、変位電極基板Ed1、Ed2は、傾動構造体31の第1傾動体35における受力体10の側の面に設けられていてもよい。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向し、第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向している。第1固定電極基板Ef1と第1変位電極基板Ed1とで第1容量素子C1が構成され、第2固定電極基板Ef2と第2変位電極基板Ed2とで第2容量素子C2が構成されている。第1容量素子C1と第2容量素子C2とが、第1起歪体30A用の検出素子50として構成されている。
第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、X軸方向におい互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1は、支持体側変形体34よりもX軸方向負側に配置され、第2変位電極基板Ed2は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。傾動構造体31(第2傾動体36)のX軸方向の寸法をLとしたときに、傾動構造体31のX軸方向の中心からL/4以上L/2以下の範囲に、変位電極基板Ed1、Ed2が配置されていてもよい。
本実施の形態においては、変位電極基板Ed1、Ed2は、傾動構造体31のX軸方向の両端部に配置されている。より具体的には、第1変位電極基板Ed1は、第2傾動体36のX軸方向負側の端部36aに配置され、第2変位電極基板Ed2は、傾動構造体31の第2傾動体36のX軸方向正側の端部36bに配置されている。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向する位置に配置されており、第1変位電極基板Ed1の下方に配置されている。第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向する位置に配置されており、第2変位電極基板Ed2の下方に配置されている。
第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、Y軸方向において同じ位置に配置されるとともに、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2も、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
本実施の形態では、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状は、矩形になっている。変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状も、矩形になっている。しかしながら、固定電極基板Ef1、Ef2および変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状は、矩形に限られることはなく、円形、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。
Z軸方向で見たときに、第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1よりも大きくなっていてもよい。例えば、第1固定電極基板Ef1の平面形状は、第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。そして、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、Z軸方向で見たときに第1変位電極基板Ed1が全体として、第1固定電極基板Ef1に重なっていてもよい。言い換えると、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、第1容量素子C1を構成する変位電極Edと固定電極Efとが重なるように、変位電極Edの大きさと固定電極Efの大きさが設定されていてもよい。このようにして、第1変位電極基板Ed1が変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Efの対向面積が変化することを防止することができ、静電容量値の変化に、対向面積の変化が影響を及ぼすことを防止することができる。このため、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。ここで、対向面積とは、Z軸方向で見たときに変位電極Edと固定電極Efとが重なる面積を言う。傾動構造体31が傾動した場合には、固定電極Efよりも小さい変位電極Edが傾斜して対向面積が変動し得るが、この場合の変位電極Edの傾斜角度は小さい。このことにより、静電容量値の変化には、変位電極Edと固定電極Efとの距離が支配的となる。このため、本明細書では、変位電極Edの傾斜による対向面積の変動は考慮せず、静電容量値の変化は、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に起因すると考える。なお、後述する図6等では、図面を明瞭にするために、傾動構造体31の傾斜を誇張している。また、第1固定電極基板Ef1の平面形状が第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていることに限られることはなく、第1変位電極基板Ed1の平面形状が、第1固定電極基板Ef1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
同様に、Z軸方向で見たときに、第2固定電極基板Ef2の平面形状も、第2変位電極基板Ed2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。なお、第2変位電極基板Ed2の平面形状が、第2固定電極基板Ef2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efの平面形状と絶縁体IBfの平面形状は、同一の大きさであってもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、固定電極Efの平面形状と絶縁体IBfの平面形状は、互いに異なる大きさであってもよい。変位電極基板Ed1、Ed2の変位電極Edの平面形状と絶縁体IBdの平面形状も同様である。
第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、図4に示すように、別体に形成されて互いに離間していてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、一体化されて、1つの共通の固定電極基板で構成されていてもよい。あるいは、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とが別体に形成されている場合には、第1変位電極基板Ed1と第2変位電極基板Ed2とは、一体化されて、1つの共通の変位電極基板で構成されていてもよい。
上述した第1起歪体30Aとこれに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも同様に適用できる。
すなわち、図5に示すように、検出素子50は、第2起歪体30B用の電極として、支持体20に設けられた2つの固定電極基板Ef3、Ef4と、傾動構造体31の第2傾動体36に設けられた2つの変位電極基板Ed3、Ed4と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef3、Ef4は、第3固定電極基板Ef3と第4固定電極基板Ef4とを有している。2つの変位電極基板Ed3、Ed4は、第3変位電極基板Ed3と第4変位電極基板Ed4とを有している。第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向し、第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向している。第3固定電極基板Ef3と第3変位電極基板Ed3とで第3容量素子C3が構成され、第4固定電極基板Ef4と第4変位電極基板Ed4とで第4容量素子C4が構成されている。
第3変位電極基板Ed3および第3固定電極基板Ef3は、支持体側変形体34よりもY軸方向負側に配置されている。第4変位電極基板Ed4および第4固定電極基板Ef4は、支持体側変形体34よりもY軸方向正側に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef3、Ef4は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed3、Ed4は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子50は、第3起歪体30C用の電極として、支持体20に設けられた2つの固定電極基板Ef5、Ef6と、傾動構造体31の第2傾動体36に設けられた2つの変位電極基板Ed5、Ed6と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef5、Ef6は、第5固定電極基板Ef5と第6固定電極基板Ef6とを有している。2つの変位電極基板Ed5、Ed6は、第5変位電極基板Ed5と第6変位電極基板Ed6とを有している。第5固定電極基板Ef5は、第5変位電極基板Ed5に対向し、第6固定電極基板Ef6は、第6変位電極基板Ed6に対向している。第5固定電極基板Ef5と第5変位電極基板Ed5とで第5容量素子C5が構成され、第6固定電極基板Ef6と第6変位電極基板Ed6とで第6容量素子C6が構成されている。
第5変位電極基板Ed5および第5固定電極基板Ef5は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。第6変位電極基板Ed6および第6固定電極基板Ef6は、支持体側変形体34よりもX軸方向負側に配置されている。第5容量素子C5および第6容量素子C6は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef5、Ef6は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed5、Ed6は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子50は、第4起歪体30D用の電極として、支持体20に設けられた2つの固定電極基板Ef7、Ef8と、傾動構造体31の第2傾動体36に設けられた2つの変位電極基板Ed7、Ed8と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef7、Ef8は、第7固定電極基板Ef7と第8固定電極基板Ef8とを有している。2つの変位電極基板Ed7、Ed8は、第7変位電極基板Ed7と第8変位電極基板Ed8とを有している。第7固定電極基板Ef7は、第7変位電極基板Ed7に対向し、第8固定電極基板Ef8は、第8変位電極基板Ed8に対向している。第7固定電極基板Ef7と第7変位電極基板Ed7とで第7容量素子C7が構成され、第8固定電極基板Ef8と第8変位電極基板Ed8とで第8容量素子C8が構成されている。
第7変位電極基板Ed7および第7固定電極基板Ef7は、支持体側変形体34よりもY軸方向正側に配置されている。第8変位電極基板Ed8および第8固定電極基板Ef8は、支持体側変形体34よりもY軸方向負側に配置されている。第7容量素子C7および第8容量素子C8は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef7、Ef8は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed7、Ed8は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
上述した各固定電極基板Ef1〜Ef8は、電極材料が積層されたセラミック基板、ガラスエポキシ基板またはFPC基板(フレキシブルプリント回路基板)で構成されていてもよい。FPC基板は、薄いフィルム状に形成されておりフレキシブル性を有しているプリント基板であるが、支持体20に全体的に接合させてもよい。各固定電極基板Ef1〜Ef8は、支持体20に接着剤で接着されていてもよい。各変位電極基板Ed1〜Ed8についても同様である。各変位電極基板Ed1〜Ed8は、第2傾動体36に接着剤で接着されていてもよい。
なお、検出素子50は、静電容量を検出する容量素子として構成されていることに限られることはない。例えば、検出素子50は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により生じる歪みを検出する歪みゲージで構成されていてもよい。また、検出素子50は、歪みが生じた場合に電荷を発生させる圧電素子で構成されていてもよい。さらに、検出素子50は、光の反射を利用して変位を検出する光学センサで構成されていてもよく、あるいは、渦電流を利用して変位を検出するセンサ、若しくは、ホール効果を利用して変位を検出するセンサで構成されていてもよい。特に、変位を検出する光学センサ、渦電流を利用するセンサ、およびホール効果を利用するセンサは、静電容量の検出原理と似ているため、静電容量を検出する容量素子と容易に置き換えることができる。一例として、検出素子50が歪みゲージで構成される例については、後述する。
図2に示すように、検出回路60は、検出素子50の検出結果に基づいて、起歪体30A〜30Dに作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する。この検出回路60は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路60は、上述した検出素子50から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能を有してもよい。検出回路60は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子から電気ケーブル1300(図1参照)を介して上述した制御部1400に電気信号が送信される。
図2および図3に示すように、外装体80は、Z軸方向で見たときに、4つの起歪体30A〜30Dを外側から覆うように構成されている。外装体80は、力覚センサ1を構成する筒状の筐体である。起歪体30A〜30Dは、外装体80に収容されている。本実施の形態では外装体80の平面断面形状(XY平面に沿う断面における形状)は円形枠形状になっている。
図2に示すように、外装体80は、支持体20に固定され、受力体10から離間している。外装体80の一方の開口部(図2では上側の開口部)に受力体10が配置され、他方の開口部(図2では下側の開口部)に支持体20が配置されている。
より具体的には、支持体20は外装体80の下側の開口部を閉塞するように外装体80に固定されている。外装体80は、支持体20と一体的に作製されていてもよい。一方、受力体10と外装体80との間には隙間が設けられており、受力体10は、エンドエフェクタ1200から受けた力またはモーメントの作用に応じて変位可能になっている。なお、防水性や防塵性を確保するために、受力体10と外装体80との間の隙間に緩衝部材81が介在されていてもよい。緩衝部材81は、例えば、ゴムまたはスポンジなどの弾性変形可能な柔軟な材料で形成されていてもよい。なお、外装体80は、支持体20ではなく、受力体10と一体的に作製されていてもよい。この場合、外装体80と支持体20との間に隙間が設けられていてもよい。あるいは、外装体80の受力体10の側の部分を受力体10と一体的に作製し、外装体80の支持体20の側の部分を支持体20と一体的に作製してもよい。この場合、外装体80は、受力体10の側の部分と、支持体20の側の部分とで、別体に構成される。受力体10の側の部分と支持体20の側の部分との間に隙間が設けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態における力覚センサ1に力またはモーメントが作用して、その力またはモーメントを検出する方法について図6〜図7Bを参照して説明する。図6は、図4の起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図7Aは、図4の起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図7Bは、図4の起歪体がZ軸方向負側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。
受力体10が力またはモーメントの作用を受けると、その力またはモーメントが、第1起歪体30A〜第4起歪体30Dに伝わる。より具体的には、その力またはモーメントが、受力体側変形体33、傾動構造体31および支持体側変形体34に伝わり、受力体側変形体33や支持体側変形体34、傾動構造体31に弾性変形が生じる。このことにより、傾動構造体31に変位が生じる。このため、検出素子50の各固定電極基板Ef1〜Ef8と対応する変位電極基板Ed1〜Ed8との間の距離が変化し、各容量素子C1〜C8の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化が、起歪体30A〜30Dに生じた変位として検出素子50で検出される。この場合、各容量素子C1〜C8の静電容量値の変化が異なり得る。このため、検出回路60は、検出素子50で検出された各容量素子C1〜C8の静電容量値の変化に基づいて、受力体10に作用した力またはモーメントの向きと大きさを検出することができる。
ここでは、まず、第1起歪体30Aを例にとって、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について説明する。
(+Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図6に示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。本実施の形態による傾動構造体31は、1つの受力体側変形体33を介して受力体10に接続されるとともに1つの支持体側変形体34を介して支持体20に接続されているため、受力体側変形体33と支持体側変形体34は同程度に弾性変形し得る。また、本実施の形態による傾動構造体31の第1傾動体35および第2傾動体36は、Z軸方向に延びる2つの接続体37、38を介して接続されているため、接続体37、38よりも受力体側変形体33および支持体側変形体34が大きく弾性変形し得る。より具体的には、受力体側変形体33の上端が、下端よりもX軸方向正側に変位する。このことにより、受力体側変形体33が弾性変形しながら、X軸方向正側に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。また、支持体側変形体34の上端が、下端よりもX軸方向正側に変位する。このことにより、支持体側変形体34が弾性変形しながら、X軸方向正側に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。このため、図6に示すように、傾動構造体31(第1傾動体35、第2傾動体36および接続体37、38)が全体的に傾動し得る。この場合、傾動構造体31は、Y軸方向正側に向かって見たときに(図6の紙面に向かって見たときに)Y軸周りで時計回りに回動し、Z軸方向に対して傾斜する。このようにして、X軸方向正側の力Fxによって第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形し得る。傾動構造体31には、微小な弾性変形は生じ得るが、受力体側変形体33及び支持体側変形体34の弾性変形のような大きさの弾性変形は生じない。この場合、第2傾動体36のX軸方向負側の端部36aが上昇し、X軸方向正側の端部36bが下降する。
図6に示すように、第1起歪体30Aの傾動構造体31が時計回りに回動すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。このことにより、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。一方、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。このことにより、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
(−Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合には、図示しないが、図6に示す場合と逆の現象が生じる。すなわち、第1容量素子C1の静電容量値が増大し、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
(+Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合(図示せず)には、第1起歪体30AはX軸周りに(X軸方向正側に向かって反時計回りに)回動する。このことにより、第1起歪体30Aが、Y軸方向正側に倒れてZ軸方向に対して傾斜するように弾性変形する。このため、第1起歪体30Aは、厚み方向に撓むように弾性変形する。しかしながら、上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体30AがX軸周りに回動したとしても、第1容量素子C1のうちの一部の領域で静電容量値が増加するとともに他の一部の領域で静電容量値が減少する。このため、第1容量素子C1全体としては、静電容量値の変化は現れない。同様に、第2容量素子C2全体としては、静電容量値の変化は現れない。
(−Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合においても同様に、第1容量素子C1全体としておよび第2容量素子C2全体としては、静電容量値の変化は現れない。
(+Fzが作用した場合)
また、第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図7Aに示すように、傾動構造体31の第1傾動体35および第2傾動体36が弾性変形する。より具体的には、第1傾動体35が弾性変形しながら、受力体側変形体33がZ軸方向正側に引き上げられる。このことにより、第1傾動体35は、そのX軸方向における中央部35cにおいて、図7Aに示すように、受力体側変形体33に引き上げられる。この際、第1傾動体35が、上方に凸(例えば、逆V字状)となるように弾性変形しながら、接続体37、38がZ軸方向正側に引き上げられる。このため、第2傾動体36は、そのX軸方向の両端部36a、36bにおいて、図7Aに示すように引き上げられる。この際、第2傾動体36は、下方に凸(例えば、V字状)となるように弾性変形する。
図7Aに示すように、第1傾動体35および第2傾動体36が弾性変形すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。また、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。このため、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
(−Fzが作用した場合)
第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、図7Bに示すように、傾動構造体31の第1傾動体35および第2傾動体36が弾性変形する。より具体的には、第1傾動体35が弾性変形しながら、受力体側変形体33がZ軸方向負側に押し下げられる。このことにより、第1傾動体35は、そのX軸方向における中央部35cにおいて、図7Bに示すように、受力体側変形体33に押し下げられる。この際、第1傾動体35が、下方に凸(例えば、V字状)となるように弾性変形しながら、接続体37、38がZ軸方向負側に押し下げられる。このため、第2傾動体36は、そのX軸方向の両端部36a、36bにおいて、図7Bに示すように押し下げられる。この際、第2傾動体36は、上方に凸(例えば、逆V字状)となるように弾性変形する。
図7Bに示すように、第1傾動体35および第2傾動体36が弾性変形すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づく。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。また、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。このため、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
ここで、図4に示す第1起歪体30Aに設けられた各容量素子C1、C2の静電容量値の変化を、図8に示す。図8は、図4の第1起歪体30Aにおける各容量素子C1、C2の静電容量値の変化を示す表である。
図8においては、X軸方向の力FxとY軸方向の力FyとZ軸方向の力Fzについての容量素子C1、C2の静電容量値の変化を示している。図8においては、静電容量値が減少した場合を「−(マイナス)」で示し、静電容量値が増大した場合を「+(プラス)」で示している。例えば、図8に示す表中のFxの行のC1に「−」が示されているが、これは、上述したように+Fxの力が作用した場合には第1容量素子C1の静電容量値が減少することを示している。一方、図8に示す表中のFxの行のC2に「+」が示されているが、これは、上述したように+Fxの力が作用した場合には第2容量素子C2の静電容量値が増大することを示している。図8中、「0(ゼロ)」という数値は、容量素子C1、C2に静電容量値の変化が現れないことを示している。
図8に示す表から、受力体10と支持体20とが第1起歪体30Aだけで接続されている力覚センサ1において、受力体10に作用した力Fx、Fzは、以下の式で算出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力が算出される。以下の式中のC1、C2は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式1]
Fx=−C1+C2
[式2]
Fz=−C1−C2
次に、図5に示す力覚センサ1において、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、Z軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1〜C8の静電容量値の変化について図9および図10を参照して説明する。図9は、図5の力覚センサにおける各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。図10は、図9の静電容量値の変化に基づく主軸感度および他軸感度を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
まず、受力体10にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。このことが、図9に示す表中のFxの行のC1に「−(マイナス)」として示されており、C2に「+(プラス)」として示されている。
第2起歪体30Bは、Y軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)に回動する。しかしながら、上述したように、第3容量素子C3および第4容量素子C4が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、上述したY軸方向の力Fyが作用した場合の第1起歪体30Aと同様に、第3容量素子C3全体として、および第4容量素子C4全体として、静電容量値の変化は現れない。このことが、図9に示す表中のFxの行のC3、C4に「0(ゼロ)」として示されている。
第3起歪体30Cは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。このことが、図9に示す表中のFxの行のC5に「+」として示されており、C6に「−」として示されている。
第4起歪体30Dは、第2起歪体30Bと同様にY軸周りに回動する。しかしながら、上述したように、第7容量素子C7および第8容量素子C8が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第7容量素子C7全体として、および第8容量素子C8全体として、静電容量値の変化は現れない。このことが、図9に示す表中のFxの行のC7、C8に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体10にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図9の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aは、X軸周り(X軸方向正側に向かって反時計回り)に回動する。しかしながら、上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1容量素子C1全体として、および第2容量素子C2全体として、静電容量値の変化は現れない。
第2起歪体30Bは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cは、第1起歪体30Aと同様にX軸周りに回動する。しかしながら、第5容量素子C5および第6容量素子C6が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第5容量素子C5全体として、および第6容量素子C6全体として、静電容量値の変化は現れない。
第4起歪体30Dは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が増大するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体10にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図9の表中の符号が定められる。
この場合、各起歪体30A〜30Dは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このことにより、各容量素子C1〜C8の静電容量値がそれぞれ減少する。
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体10にX軸周り(X軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMx(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図9の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bにおいては、受力体側変形体33が、Y軸方向において受力体10の中心Oに位置しているため、第2起歪体30Bの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2起歪体30Bは弾性変形しないと考える。このため、第3容量素子C3の静電容量値が変化せず、第4容量素子C4の静電容量値も変化しない。
第3起歪体30Cは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。
第4起歪体30Dにおいては、受力体側変形体33が、Y軸方向において受力体10の中心Oに位置しているため、第4起歪体30Dの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第4起歪体30Dは弾性変形しないと考える。このため、第7容量素子C7の静電容量値が変化せず、第8容量素子C8の静電容量値も変化しない。
(+Myが作用した場合)
次に、受力体10にY軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMy(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図9の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aにおいては、受力体側変形体33が、X軸方向において受力体10の中心Oに位置しているため、第1起歪体30Aの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1起歪体30Aは弾性変形しないと考える。このため、第1容量素子C1の静電容量値が変化せず、第2容量素子C2の静電容量値も変化しない。
第2起歪体30Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、受力体側変形体33が、X軸方向において受力体10の中心Oに位置しているため、第3起歪体30Cの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第3起歪体30Cは弾性変形しないと考える。このため、第5容量素子C5の静電容量値が変化せず、第6容量素子C6の静電容量値も変化しない。
第4起歪体30Dは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに、第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体10に、Z軸周り(Z軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMz(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図9の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aは、X軸方向正側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第1起歪体30Aは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bは、Y軸方向正側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第2起歪体30Bは、図6に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少し、第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、X軸方向負側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第5容量素子C5の静電容量値が減少し、第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
第4起歪体30Dにおいては、Y軸方向負側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第7容量素子C7の静電容量値が減少し、第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
このようにして、各容量素子C1〜C8の静電容量値の変化が検出されると、受力体10に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図9に示すように、各容量素子C1〜C8の静電容量値が変化する。
図9に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力またはモーメントが算出される。以下の式中のC1〜C8は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式3]
Fx=−C1+C2 +C5−C6
[式4]
Fy= −C3+C4 +C7−C8
[式5]
Fz=−C1−C2−C3−C4−C5−C6−C7−C8
[式6]
Mx=+C1+C2 −C5−C6
[式7]
My= +C3+C4 −C7−C8
[式8]
Mz=−C1+C2−C3+C4−C5+C6−C7+C8
上述したように、図5に示す力覚センサ1は、上述した[式3]〜[式8]で示したように、力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzを検出することができるため、力の6軸成分を検出することが可能になっている。しかしながら、力覚センサ1が検出することが可能な力の軸成分は6つであることに限られることはなく、起歪体の個数や構造、形状に応じて、検出可能な軸成分は任意である。例えば、図4に示す第1起歪体30Aだけで受力体10と支持体20とを接続する場合には、上述した[式1]および[式2]で示したように、力FxおよびFzを検出することができるため、力の2軸成分を検出することが可能になる。
図9に示す各容量素子C1〜C8の静電容量値の変化を、上述の[式3]〜[式8]に適用すると、図10の主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。図10に示すVFxはX軸方向の力Fxが作用したときの出力であり、VFyはY軸方向の力Fyが作用したときの出力であり、VFzはZ軸方向の力Fzが作用したときの出力である。また、VMxはX軸周りのモーメントMxが作用したときの出力であり、VMyはY軸周りのモーメントMyが作用したときの出力であり、VMzはZ軸周りのモーメントMzが作用したときの出力である。
図10の表中に示された数値は、図9の表に記載の各力Fx、Fy、Fzおよび各モーメントMx、My、Mzについて、「+」の符号が付された容量素子を「+1」とし、「−」の符号が付された容量素子を「−1」として、上述の[式3]〜[式8]の右辺に代入して得られた数値である。例えば、Fxの列とVFxの行とが交わるマス目に記載の「4」という数値は、Fxを示す[式3]において、図9のFxの行に基づいて、C2およびC5に「+1」を代入し、C1およびC6に「−1」を代入して得られた数値である。また、Fxの列とVFyの行とが交わるマス目に記載の「0」という数値は、Fxを示す[式3]において、図9のFyの行に基づいてC1、C2、C5およびC6に0を代入して得られた数値である。
図10に示されているように、力Fxについては、VFxが「4」という数値になっているが、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは「0」という数値になっている。このことから、力Fxについては、他軸感度が無く、主軸感度のみを検出することができる。力Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについても同様に他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ1を得ることができる。
なお、他軸感度が発生する場合も考えられる。例えば、第1起歪体30AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と、第2容量素子C2の静電容量値の変化量とは、異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得る。また、力Fz、モーメントMx、Myが受力体10に作用した場合、第1起歪体30Aは、Z軸方向に変位するため、図9に示す表中のFzの行、Mxの行、Myの行では、同じ符号が付されていたとしても静電容量値の変化量が異なる場合がある。この場合、力Fz、モーメントMx、Myに対して他軸感度が発生し得る。力Fx、Fy、モーメントMzについても同様に他軸感度が発生し得る。例えば、モーメントMxが受力体10に作用した場合、図9に示すように、第3容量素子C3と第4容量素子C4と第7容量素子C7と第8容量素子C8では静電容量値が変化しないため、「0」という数値が記載されているが、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。モーメントMy、Mzについても同様である。また、力Fx、Fyの行で、「0」という数値が記載されている容量素子についても、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。
しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックス(図10に示す表に対応する6行6列の行列、特性行列とも言う)の逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、受力体10と支持体20とを接続する起歪体30A〜30Dは、受力体側変形体33と支持体側変形体34とに接続された傾動構造体31を有し、傾動構造体31が、Z軸方向とZ軸方向に直交するX軸方向とを含む平面に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びる第1傾動体35を含んでいる。この第1傾動体35は、Z軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。このことにより、Z軸方向の力の作用により、傾動構造体31を弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。この結果、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体30A〜30Dの構成を簡素化させることができる。また、少なくとも3つの起歪体を受力体10と支持体20に接続するだけで、6軸成分を検出することができる。このため、力覚センサ1を低価格化することができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、Z軸方向に延びている。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、受力体側変形体33をより一層弾性変形させることができる。このため、起歪体30A〜30Dをより一層弾性変形しやすくすることができ、起歪体30A〜30Dに設けられた変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができ、力覚センサ1の検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、支持体側変形体34は、Z軸方向に延びている。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、支持体側変形体34をより一層弾性変形させることができる。このため、起歪体30A〜30Dをより一層弾性変形しやすくすることができ、起歪体30A〜30Dに設けられた変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができ、力覚センサ1の検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体30A〜30Dの第1傾動体35は、第2方向に延びている。すなわち、起歪体30Aおよび30Cの第1傾動体35は、X軸方向に延び、起歪体30Bおよび30Dの第1傾動体35は、Y軸方向に延びている。このことにより、Z軸方向の力の作用を受けたときに、第1傾動体35をより一層弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位をより一層大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33が第1傾動体35に接続され、第1傾動体35に接続体37、38を介して接続された第2傾動体36に、支持体側変形体34が接続されている。第2傾動体36は、X軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。このことにより、Z軸方向の力の作用により、傾動構造体31をより一層弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位をより一層大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができる。この結果、力覚センサ1の検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、X軸方向において、第1傾動体35の両端部35a、35bの間に位置している。このことにより、Z軸方向の力の作用により第1傾動体35を弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせやすくすることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、支持体側変形体34は、X軸方向において、第2傾動体36の両端部36a、36bの間に位置している。このことにより、Z軸方向の力の作用により第2傾動体36を弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせやすくすることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、Z軸方向で見たときに互いに重なる位置に配置されている。このことにより、受力体側変形体33および支持体側変形体34を、第2方向において同じ位置に配置させることができる。このため、受力体10にZ軸方向の力Fzが作用した場合に、受力体10がZ軸方向に直交する方向(X軸方向またはY軸方向)に変位することを抑制することができ、受力体10をZ軸方向に沿って変位させることができる。この場合、上述した他軸感度が発生することを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、傾動構造体31は、第2方向において、受力体側変形体33および支持体側変形体に対して対称に形成されている。このことにより、傾動構造体31の傾きを大きくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位をより一層大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができる。また、Z軸方向の力が作用したときに、第1変位電極基板Ed1の変位と第2変位電極基板Ed2の変位を等しくすることができる。このため、力またはモーメントの算出を容易化させることができる。
また、本実施の形態によれば、検出素子50の変位電極基板Ed1〜Ed8が、傾動構造体31の第2方向における両端部に配置されている。このことにより、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位をより一層大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体10の中心Oに対してY軸方向負側に第1起歪体30Aが配置され、X軸方向正側に第2起歪体30Bが配置され、Y軸方向正側に第3起歪体30Cが配置され、X軸方向負側に第4起歪体30Dが配置されている。そして、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cの第2方向をX軸方向とし、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dの第2方向をY軸方向としている。このことにより、Z軸方向で見たときに、第1起歪体30A〜第4起歪体30Dを、受力体10の中心Oに対して環状に配置することができる。また、第1起歪体30A〜第4起歪体30Dを、受力体10の中心Oの周囲に均等に配置することができる。このため、任意の方向の力またはモーメントの検出精度を向上させることができ、力またはモーメントの検出精度が、方向によって低下することを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状が、円形になっている。このことにより、このことにより、ロボット本体1100のアーム部やエンドエフェクタ1200の形状に沿って受力体10および支持体20を形成することができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体30A〜30Dの傾動構造体31が、Z軸方向で見たときに、第2方向に沿って直線状に形成されている。このことにより、傾動構造体31を板状に形成することができる。例えば、傾動構造体31を、板材から容易に作製することができる。
(第1変形例)
なお、上述した本実施の形態においては、第1傾動体35のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、第2傾動体36のZ軸方向に作用する力に対するばね定数と等しい例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図11に示すように、第2傾動体36のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、第1傾動体35のZ軸方向に作用する力に対するばね定数と異なっていてもよい。例えば、第2傾動体36のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、第1傾動体35のZ軸方向に作用する力に対するばね定数よりも小さくてもよい。図11は、図4の起歪体の変形例を示す正面図である。
図11に示す第1変形例によれば、傾動構造体31にZ軸方向の力が作用した場合、第1傾動体35の弾性変形を抑制することができるとともに、第2傾動体36の弾性変形を大きくすることができる。このため、第2傾動体36は、そのX軸方向における両端部36a、36bにおいて大きく引き上げられ、第2傾動体36に設けられた変位電極基板Ed1、Ed2の変位を大きくすることができる。このため、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができる。
図11においては、第1傾動体35の上述したばね定数を大きくするために、第1傾動体35のZ軸方向の寸法を増大させている例を示しているが、第1傾動体35のばね定数を大きくする方法は、任意である。また、第2傾動体36の上述したばね定数を小さくするようにしてもよい。なお、第2傾動体36のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、第1傾動体35のZ軸方向に作用する力に対するばね定数よりも大きくてもよい。この場合、固定電極基板Ef1、Ef2が、受力体10の支持体20の側の面に設けられるとともに、変位電極基板Ed1、Ed2が、傾動構造体31の第1傾動体35における受力体10の側の面に設けられていてもよい。
(第2変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aの第1傾動体35の受力体10の側の面が全体的に平坦状に形成されているとともに、第2傾動体36の支持体20の側の面が全体的に平坦状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図12に示すように、第1傾動体35の受力体10の側の面は、受力体側変形体33の周囲で凹状に形成されていてもよい。また、第2傾動体36の支持体20の側の面は、支持体側変形体34の周囲で凹状に形成されていてもよい。図12は、図4の起歪体の他の変形例を示す平面図である。
より具体的には、図12に示すように、第1傾動体35は、受力体10に対向する第1受力体側対向面41および第2受力体側対向面42を含んでいてもよい。第1受力体側対向面41に、受力体側変形体33が接続されている。第2受力体側対向面42は、X軸方向において第1受力体側対向面41の両側に配置されている。第1受力体側対向面41は、第2受力体側対向面42よりも支持体20の側に位置している。受力体側変形体33の周囲に、第1受力体側対向面41が形成される。第1受力体側対向面41は、第2受力体側対向面42よりも受力体10から遠ざかっている。このようにして、第1傾動体35の受力体10の側の面が、凹状に形成されて、凹状に形成された部分に受力体側変形体33が接続されている。第1受力体側対向面41は、第1傾動体35の中央部35cとその近傍の部分とにわたって形成されており、受力体側変形体33の周囲(図12に示す例では、X軸方向における両側)に、溝部Gが形成されている。第1受力体側対向面41および第2受力体側対向面42はそれぞれ、平坦状に形成されていてもよい。なお、図12に示す例では、受力体側変形体33と傾動構造体31の第1傾動体35が一体に連続状に形成されており、第1受力体側対向面41は、受力体側変形体33の両側に示されている。
このように第2変形例によれば、第1傾動体35が、第2受力体側対向面42よりも支持体20の側に位置する第1受力体側対向面41を含み、第1受力体側対向面41に受力体側変形体33が接続されている。このことにより、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
なお、第1傾動体35が、第2受力体側対向面42よりも支持体20の側に位置する第1受力体側対向面41を含む場合、図示しないが、第2傾動体36の支持体20の側の面は、全体的に平坦状に形成されていてもよい。
同様に、第2傾動体36は、支持体20に対向する第1支持体側対向面43および第2支持体側対向面44を含んでいてもよい。第1支持体側対向面43に、支持体側変形体34が接続されている。第2支持体側対向面44は、X軸方向において第1支持体側対向面43の両側に配置されている。第1支持体側対向面43は、第2支持体側対向面44よりも受力体10の側に位置している。支持体側変形体34の周囲に、第1支持体側対向面43が形成される。第1支持体側対向面43は、第2支持体側対向面44よりも支持体20から遠ざかっている。このようにして、第2傾動体36の支持体20の側の面が、凹状に形成されて、凹状に形成された部分に支持体側変形体34が接続されている。第1支持体側対向面43は、第2傾動体36の中央部36cとその近傍の部分とにわたって形成されており、支持体側変形体34の周囲(図12に示す例では、X軸方向における両側)に、溝部Gが形成されている。第1支持体側対向面43および第2支持体側対向面44はそれぞれ、平坦状に形成されていてもよい。なお、図12に示す例では、支持体側変形体34と傾動構造体31の第2傾動体36が一体に連続状に形成されており、第1支持体側対向面43は、支持体側変形体34の両側に示されている。
このように第2変形例によれば、第2傾動体36が、第2支持体側対向面44よりも受力体10の側に位置する第1支持体側対向面43を含み、第1支持体側対向面43に支持体側変形体34が接続されている。このことにより、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を短くしなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
なお、第2傾動体36が、第2支持体側対向面44よりも受力体10の側に位置する第1支持体側対向面43を含む場合、図13に示すように、第1傾動体35の受力体10の側の面は、全体的に平坦状に形成されていてもよい。図13に示す例では、第1傾動体35が、上述した第1受力体側対向面41を含むことなく、受力体側変形体33の周囲に溝部Gが形成されていない。溝部Gは、第2傾動体36の支持体20の側の面において支持体側変形体34の周囲に形成されている。図13は、図4の起歪体の他の変形例を示す平面図である。
(第3変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aの変位電極基板Ed1、Ed2が、傾動構造体31の第2傾動体36における受力体10の側の面に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図14に示すように、変位電極基板Ed1、Ed2は、柱状部材45を介して第2傾動体36における受力体10の側の面に設けられていてもよい。図14は、図4の起歪体の他の変形例を示す部分拡大正面図である。
図14に示す例において、柱状部材45の平面形状は、変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状よりも小さくなっていてもよい。柱状部材45の平面形状は、矩形であってもよく、または円形であってもよく、任意である。柱状部材45は、接着剤で第2傾動体36に接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、接着剤で柱状部材45に接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。
このように第3変形例によれば、変位電極基板Ed1、Ed2が、柱状部材45を介して第2傾動体36に設けられている。このことにより、変位の検出を安定化させることができる。すなわち、第1起歪体30Aに力が作用した場合、傾動構造体31の第2傾動体36が弾性変形し、第2傾動体36のうち変位電極基板Ed1、Ed2の近傍の部分において応力が発生し得る。このような応力が発生すると、ヒステリシスや、零点電圧(荷重がかかっていないときの出力電圧)のドリフトの原因となる。これに対して、図14に示すように、変位電極基板Ed1、Ed2を、柱状部材45を介して第2傾動体36に設けることにより、変位電極基板Ed1、Ed2への第2傾動体36に発生した応力の影響を低減することができる。このため、変位の検出を安定化させることができる。
(第4変形例)
また、図15に示すように、変位電極基板Ed1、Ed2は、補強基板46を介して、上述した柱状部材45に設けられていてもよい。図15は、図4の起歪体の他の変形例を示す部分拡大正面図である。
図15に示す例において、補強基板46の平面形状は、変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状と等しくてもよい。補強基板46は、接着剤で柱状部材45に接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。この場合、変位電極基板Ed1、Ed2は、接着剤で補強基板46に接合されていてもよい。補強基板46のZ軸方向に作用する力に対するばね定数は、変位電極基板Ed1、Ed2のZ軸方向に作用する力に対するばね定数よりも大きくてもよい。このことにより、変位電極基板Ed1、Ed2の変形を抑制することができる。補強基板46は、金属材料で構成されていてもよく、例えば、温度変化による変形を抑制するために、受力体10や支持体20、起歪体30A〜30Dと同一材料であってもよい。この場合、補強基板46は、アルミ合金または鉄合金で構成されていてもよい。補強基板46は、上述した柱状部材45と一体に作製してもよい。このような補強基板46を用いることにより、変位電極基板Ed1、Ed2の変形を抑制することができる。例えば、変位電極基板Ed1、Ed2にFPC基板を用いる場合であっても、変位電極基板Ed1、Ed2の変形を効果的に抑制することができる。
(第5変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1傾動体35および第2傾動体36が、X軸方向(起歪体30Aの第2方向)に直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1傾動体35および第2傾動体36は、Z軸方向(第1方向)と、Z軸方向とX軸方向とを含む平面に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びていれば、任意の形状とすることができる。例えば、図16に示す形状としてもよい。ここで、図16は、図4の起歪体の他の変形例を示す正面図である。なお、図16に示す第1起歪体30Aは、図7Bに示すようにZ軸方向負側の力Fzを受けた場合の第1起歪体30Aと同様の形状を示しているが、図16では、力やモーメントの作用を受けていない状態の第1起歪体30Aとして示している。
図16に示す第1起歪体30Aにおいては、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、X軸方向における両端部35a、35bよりも、支持体20の側(または第2傾動体36の側)に位置している。より具体的には、第1傾動体35は、中央部35cよりもX軸方向負側に配置された第1傾動体負側部分35dと、中央部35cよりもX軸方向正側に配置された第1傾動体正側部分35eと、を含んでいる。第1傾動体負側部分35dは、負側の端部35aと中央部35cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向負側に進むように傾斜している。第1傾動体負側部分35dは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。第1傾動体正側部分35eは、正側の端部35bと中央部35cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向正側に進むように傾斜している。第1傾動体正側部分35eは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。このようにして、図16に示す変形例における第1傾動体35は、概略的にはV字状に形成されている。
第2傾動体36のX軸方向における中央部36cは、X軸方向における両端部36a、36bよりも受力体10の側(または第1傾動体35の側)に位置している。より具体的には、第2傾動体36は、中央部36cよりもX軸方向負側に配置された第2傾動体負側部分36dと、中央部36cよりもX軸方向正側に配置された第2傾動体正側部分36eと、を含んでいる。第2傾動体負側部分36dは、負側の端部36aと中央部36cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向正側に進むように傾斜している。第2傾動体負側部分36dは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。第2傾動体正側部分36eは、正側の端部36bと中央部36cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向負側に進むように傾斜している。第2傾動体正側部分36eは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。このようにして、図16に示す変形例における第2傾動体36は、概略的には逆V字状に形成されている。
このように図16に示す変形例によれば、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cが、X軸方向における両端部35a、35bよりも支持体20の側に位置している。このことにより、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cを、受力体10から遠ざけることができ、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
また、図16に示す変形例によれば、第2傾動体36のX軸方向における中央部36cが、X軸方向における両端部36a、36bよりも受力体10の側に位置している。このことにより、第2傾動体36のX軸方向における中央部36cを、支持体20から遠ざけることができ、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
(第6変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1傾動体35および第2傾動体36が、X軸方向(起歪体30Aの第2方向)に直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1傾動体35および第2傾動体36は、Z軸方向(第1方向)と、Z軸方向とX軸方向とを含む平面に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びていれば、任意の形状とすることができる。例えば、図17に示す形状としてもよい。ここで、図17は、図4の起歪体の他の変形例を示す正面図である。なお、図17に示す第1起歪体30Aは、図7Aに示すようにZ軸方向正側の力Fzを受けた場合の第1起歪体30Aと同様の形状を示しているが、図17では、力やモーメントの作用を受けていない状態の第1起歪体30Aとして示している。
図17に示す第1起歪体30Aにおいては、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、X軸方向における両端部35a、35bよりも受力体10の側(または第2傾動体36とは反対側)に位置している。より具体的には、第1傾動体35の上述した第1傾動体負側部分35dは、X軸方向正側に向かってZ軸方向正側に進むように傾斜している。第1傾動体正側部分35eは、X軸方向正側に向かってZ軸方向負側に進むように傾斜している。このようにして、図17に示す変形例における第1傾動体35は、概略的には逆V字状に形成されている。
第2傾動体36のX軸方向における中央部36cは、X軸方向における両端部36a、36bよりも支持体20の側(または第1傾動体35とは反対側)に位置している。より具体的には、第2傾動体36の上述した第2傾動体負側部分36dは、X軸方向正側に向かってX軸方向負側に進むように傾斜している。第2傾動体正側部分36eは、X軸方向正側に向かってZ軸方向正側に進むように傾斜している。このようにして、図17に示す変形例における第2傾動体36は、概略的にはV字状に形成されている。
このように図17に示す変形例によれば、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cが、X軸方向における両端部35a、35bよりも受力体10の側に位置している。このことにより、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を増大しなくても、力覚センサ1の高さを増大させることができる。
また、図17に示す変形例によれば、第2傾動体36のX軸方向における中央部36cが、X軸方向における両端部36a、36bよりも支持体20の側に位置している。このことにより、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を増大しなくても、力覚センサ1の高さを増大させることができる。
(第7変形例)
また、上述した本実施の形態においては、受力体側変形体33の上端が、受力体10に接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図18に示すように、受力体側変形体33は、受力体側台座39を介して受力体10に接続されていてもよい。このことにより、受力体側変形体33を、受力体側台座39によって受力体10に安定して取り付けることができる。例えば、受力体側台座39、受力体側変形体33および第1傾動体35が、一体に形成されていてもよく、この場合には、受力体側台座39は、ボルトまたは接着剤等で受力体10に固定されていてもよい。あるいは、受力体側台座39と受力体側変形体33は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよい。
同様に、支持体側変形体34の下端が、支持体20に接続されていることに限られることはなく、例えば、図18に示すように、支持体側変形体34は、支持体側台座40を介して支持体20に接続されていてもよい。このことにより、支持体側変形体34を、支持体側台座40によって支持体20に安定して取り付けることができる。例えば、支持体側台座40、支持体側変形体34および第2傾動体36が、一体に形成されてもよく、この場合には、支持体側台座40は、ボルトまたは接着剤等で支持体20に固定されていてもよい。あるいは、支持体側台座40と支持体側変形体34は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよい。
さらには、受力体側台座39、受力体側変形体33、傾動構造体31、支持体側変形体34および支持体側台座40が一体に形成されていてもよい。この場合、受力体側台座39は、ボルトまたは接着剤等で受力体10に固定されていてもよく、支持体側台座40は、ボルトまたは接着剤等で支持体20に固定されていてもよい。
なお、受力体側台座および支持体側台座は、図18に示す第1起歪体30Aに適用されることに限られることはなく、図11に示す第1起歪体30A等、他の起歪体30A〜30Dにも適用することができる。
(第8変形例)
また、上述した本実施の形態においては、受力体10の平面形状が、円形であるとともに、傾動構造体31が、Z軸方向で見たときに、第2方向に沿って直線状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。
例えば、図19に示すように、傾動構造体31は、Z軸方向で見たときに、湾曲状に形成されていてもよい。図19は、図3の力覚センサの他の変形例を示す平面図である。この場合、傾動構造体31は、受力体10と同芯状に湾曲状に形成されていてもよい。すなわち、4つの起歪体30A〜30Dの傾動構造体31は、円形の環状をなすように配置されていてもよい。なお、各起歪体30A〜30Dの傾動構造体31が湾曲状に形成されている場合、受力体10の平面形状は、後述する図20に示すように矩形であってもよい。この場合、支持体20の平面形状は矩形であってもよい。
また、例えば、図20に示すように、受力体10の平面形状は、矩形であってもよい。この場合、支持体20の平面形状も矩形であってもよい。このことにより、起歪体30A〜30Dの配置に沿って受力体10および支持体20を形成することができ、スペース効率が良い力覚センサ1を得ることができる。また、外装体80の平面断面形状は、矩形枠の形状であってもよい。すなわち、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの少なくとも一方は、矩形であってもよい。この場合、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの一方が矩形で、他方が矩形以外の形状であってもよい。なお、受力体10の平面形状は、矩形以外にも、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。支持体20についても同様である。外装体80の平面断面形状も、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状に対応させて、多角形枠、楕円形枠等の他の形状であってもよい。
(第9変形例)
また、上述した本実施の形態においては、検出素子50が、静電容量を検出する素子として構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、検出素子50は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により生じる歪みを検出する歪みゲージで構成されていてもよい。例えば、図21Aに示すように、検出素子50は、第1起歪体30Aに設けられた歪みゲージを有していてもよい。図21Aは、図4の検出素子の変形例を示す起歪体の正面図である。図21Bは、図21Aの検出素子を示す平面図である。図21Cは、図21Bの変形例を示す平面図である。図22Aは、図22Aは、図21Aに示す第1傾動体に設けられた検出素子用のホイートストンブリッジ回路を示す図である。図22Bは、図21Aに示す第2傾動体に設けられた検出素子用のホイートストンブリッジ回路を示す図である。図23Aは、図21Aの起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を示す概略図である。図23Bは、図21Aの起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を示す概略図である。
図21Aに示すように、歪みゲージR1〜R8は、傾動構造体31に設けられていてもよい。なお、図23Aおよび図23Bに示すように、本実施の形態による傾動構造体31の接続体37、38のX軸方向の寸法は、図4における傾動構造体31の接続体37、38のX軸方向の寸法よりも大きくなっていてもよい。言い換えると、本実施の形態による接続体37、38のX軸方向に作用する力に対するばね定数は、図4における接続体37、38のX軸方向に作用する力に対するばね定数よりも大きくなっていてもよい。
より具体的には、歪みゲージR1〜R4は、傾動構造体31の第1傾動体35の受力体10の側の面に取り付けられていてもよい。例えば、第1傾動体35の第1傾動体負側部分35dの上面に、2つの歪みゲージR1、R2が取り付けられ、第1傾動体正側部分35eの上面に、2つの歪みゲージR3、R4が取り付けられていてもよい。第1傾動体負側部分35dにおいて、一方の歪みゲージR1は、X軸方向負側の端部35aの側(接続体37の側)に位置し、他方の歪みゲージR2は、中央部35cの側(受力体側変形体33の側)に位置していてもよい。第1傾動体正側部分35eにおいて、一方の歪みゲージR3は、中央部35cの側(受力体側変形体33の側)に位置し、他方の歪みゲージR4は、X軸方向正側の端部35bの側(接続体38の側)に位置していてもよい。図21Bに示すように、第1傾動体35に設けられた4つの歪みゲージR1〜R4は、Y軸方向において第1傾動体35の中央に位置していてもよい。
また、検出回路60は、図22Aに示すように、第1傾動体35に取り付けられた4つの歪みゲージR1〜R4の検出結果に基づいて電気信号を出力するホイートストンブリッジ回路61を有していてもよい。このホイートストンブリッジ回路61は、ブリッジ電圧源E1から所定の電圧を印加することにより、各歪みゲージR1〜R4で検出される歪みに応じた電気信号としてのブリッジ電圧が、出力端子T11、T12間に発生するように構成されている。ホイートストンブリッジ回路61においては、歪みゲージR1と歪みゲージR3とが対向しているとともに、歪みゲージR2と歪みゲージR4とが対向している。このことにより、後述するようにX軸方向の力Fxを検出することができ、力Fxの検出に、Z軸方向の力Fzが影響を及ぼすことを防止することができる。すなわち、主軸感度としての力Fxを検出することができ、他軸感度が発生することを防止することができる。
また、図21Aに示すように、歪みゲージR5〜R8は、傾動構造体31の第2傾動体36の支持体20の側の面に取り付けられていてもよい。例えば、第2傾動体36の第2傾動体負側部分36dの下面に、2つの歪みゲージR5、R6が取り付けられ、第2傾動体正側部分36eの下面に、2つの歪みゲージR7、R8が取り付けられていてもよい。第2傾動体負側部分36dにおいて、一方の歪みゲージR5は、X軸方向負側の端部36aの側(接続体37の側)に位置し、他方の歪みゲージR6は、中央部36cの側(支持体側変形体34の側)に位置していてもよい。第2傾動体正側部分36eにおいて、一方の歪みゲージR7は、中央部36cの側(支持体側変形体34の側)に位置し、他方の歪みゲージR8は、X軸方向正側の端部36bの側(接続体38の側)に位置していてもよい。第2傾動体36に設けられる歪みゲージR5〜R8は、図21Bに示す第1傾動体35に設けられる歪みゲージR1〜R4と同様に配置されていてもよい。
また、検出回路60は、図22Bに示すように、第2傾動体36に取り付けられた4つの歪みゲージR5〜R8の検出結果に基づいて電気信号を出力するホイートストンブリッジ回路62を更に有していてもよい。このホイートストンブリッジ回路62は、ブリッジ電圧源E2から所定の電圧を印加することにより、各歪みゲージR5〜R8で検出される歪みに応じた電気信号としてのブリッジ電圧が、出力端子T21、T22間に発生するように構成されている。ホイートストンブリッジ回路62においては、歪みゲージR5と歪みゲージR8とが対向しているとともに、歪みゲージR6と歪みゲージR7とが対向している。このことにより、後述するようにZ軸方向の力Fzを検出することができ、力Fzの検出に、X軸方向の力Fxが影響を及ぼすことを防止することができる。すなわち、主軸感度としての力Fzを検出することができ、他軸感度が発生することを防止することができる。
なお、第2傾動体36に設けられた歪みゲージR5〜R8は、第1傾動体35に設けられていてもよい。すなわち、第1傾動体35に、8つの歪みゲージR1〜R8が設けられていてもよい。この場合、図21Cに示すように、第1傾動体35の受力体10の側の面において、X軸方向に沿う歪みゲージが、2列形成されるようにしてもよい。このことにより、8つの歪みゲージR1〜R8の取付を、第2傾動体36の支持体20の側の面で行うことを不要にして、第1傾動体35の受力体10の側の面だけで行うことができ、製造作業の効率化を図ることができる。あるいは、8つの歪みゲージR1〜R8を第2傾動体36の支持体20の側の面に設けてもよく、この場合には、第1傾動体35の受力体10の側の面で行うことを不要にして、第2傾動体36の支持体20の側の面だけで行うことができ、製造作業の効率化を図ることができる。
このような構成により、受力体10が力またはモーメントの作用を受けると、主として、傾動構造体31および支持体側変形体34が弾性変形するが、傾動構造体31の第1傾動体35および第2傾動体36も弾性変形する。第1傾動体35が弾性変形すると、第1傾動体35に歪みが生じ、この歪みが、第1傾動体35に設けられた歪みゲージR1〜R4で検出される。
例えば、X軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図6に示すように、傾動構造体31の受力体側変形体33および支持体側変形体34が、Z軸方向に対して傾斜し、傾動構造体31が全体的に傾動し得る。より詳細に説明すると、図23Aに示すように、第1傾動体35および第2傾動体36が、湾曲するように弾性変形する。第1傾動体負側部分35dのうちX軸方向負側の端部35aの側の部分では圧縮応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR1には、圧縮歪みに相応して抵抗値が減少する。第1傾動体負側部分35dのうち中央部35cの側の部分では引張応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR2には、引張歪みに相応して抵抗値が増大する。また、第1傾動体正側部分35eのうち中央部35cの側の部分では、圧縮応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR3には、圧縮歪みに相応して抵抗値が減少する。第1傾動体正側部分35eのうちX軸方向正側の端部35bの側の部分では引張応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR4には、引張歪みに相応して抵抗値が増大する。
このようにして、歪みゲージR1〜R4で抵抗値が変化し、図22Aに示すホイートストンブリッジ回路61の出力端子T11、T12から、第1起歪体30Aに作用したX軸方向の力Fxを示す電気信号が出力される。
第2傾動体36に設けられた歪みゲージR5〜R8では、第1傾動体35に設けられた歪みゲージR1〜R4とは逆方向の応力がそれぞれ発生して抵抗値が変化する。しかしながら、図22Bに示すホイートストンブリッジ回路62の出力端子T21、T22から、電気信号は出力されない。
また、例えば、Z軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図7Aに示すように、傾動構造体31の第1傾動体35および第2傾動体36が弾性変形する。より詳細に説明すると、図23Bに示すように、第1傾動体35および第2傾動体36が、湾曲するように弾性変形する。第2傾動体負側部分36dのうちX軸方向負側の端部36aの側の部分では圧縮応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR5には、圧縮歪みに相応して抵抗値が減少する。第2傾動体負側部分36dのうち中央部36cの側の部分では引張応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR6には、引張歪みに相応して抵抗値が増大する。また、第2傾動体正側部分36eのうち中央部36cの側の部分では、引張応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR7には、引張歪みに相応して抵抗値が増大する。第2傾動体正側部分36eのうちX軸方向正側の端部36bの側の部分では圧縮応力が発生し、当該部分に位置する歪みゲージR8には、圧縮歪みに相応して抵抗値が減少する。
このようにして歪みゲージR5〜R8で抵抗値が変化し、図22Bに示すホイートストンブリッジ回路62の出力端子T21、T22から、第1起歪体30Aに作用したZ軸方向の力Fzを示す電気信号が出力される。
第1傾動体35に設けられた歪みゲージR1〜R4では、第2傾動体36に設けられた歪みゲージR5〜R8と同じ方向の応力がそれぞれ発生して抵抗値が変化する。しかしながら、図22Aに示すホイートストンブリッジ回路61の出力端子T11、T12から、電気信号は出力されない。
図21Aに示す第1起歪体30Aに設けられた歪みゲージR1〜R8を用いることにより、X軸方向の力FxとZ軸方向の力Fzとを検出することができ、力の2軸成分を検出することができる。また、例えば、図5に示す各起歪体30A〜30Dに歪みゲージを設けることにより、力Fx、Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzを検出することができ、力の6軸成分を検出することができる。
なお、図21A、図23Aおよび図23Bにおいては、歪みゲージR1〜R4が、第1傾動体35の受力体10の側の面に取り付けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図23Aおよび図23Bで破線で示すように、歪みゲージR1〜R4は、第1傾動体35の支持体20の側の面(第2傾動体36の側の面)に取り付けられていてもよい。この場合、歪みゲージR1〜R4の圧縮と引張との関係が反対になるが、同様にして、Z軸方向の力Fzを検出することができる。また、歪みゲージR5〜R8が、第2傾動体36の支持体20の側の面に取り付けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図23Aおよび図23Bで破線で示すように、歪みゲージR5〜R8は、第2傾動体36の受力体10の側の面(第1傾動体35の側の面)に取り付けられていてもよい。この場合、歪みゲージR5〜R8の圧縮と引張との関係が反対になるが、同様にして、X軸方向の力Fxを検出することができる。
また、図21A〜図23Bで示す例では、第1傾動体35に取り付けられた4つの歪みゲージR1〜R4で、図22Aに示すホイートストンブリッジ回路61を構成することにより、X軸方向の力Fxを検出する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、4つの歪みゲージR1〜R4で、Z軸方向の力Fzを検出するようにしてもよい。この場合、例えば、図22Aに示すホイートストンブリッジ回路61において、歪みゲージR3と歪みゲージR4とを入れ替えてもよい。同様に、図21A〜図23Bで示す例では、第2傾動体36に取り付けられた4つの歪みゲージR5〜R8で、図22Bに示すホイートストンブリッジ回路62を構成することにより、Z軸方向の力Fzを検出する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、4つの歪みゲージR5〜R8で、X軸方向の力Fxを検出するようにしてもよい。この場合、例えば、図22Bに示すホイートストンブリッジ回路62において、歪みゲージR7と歪みゲージR8とを入れ替えてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図24〜図28を用いて、本発明の第2の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図24〜図28に示す第2の実施の形態においては、受力体と第1傾動体が、2つの受力体側変形体で接続され、支持体側変形体が、第1傾動体と支持体とを接続している点が主に異なり、他の構成は、図1〜図23Bに示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図24〜図28において、図1〜図23Bに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図24を参照して説明する。図24は、第2の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。
本実施の形態による力覚センサ1においては、図24に示すように、第1起歪体30Aの傾動構造体31は、1つの第1傾動体35によって構成されている。本実施の形態による傾動構造体31は、図4に示すような第2傾動体36、接続体37、38を有していない。本実施の形態においては、第1傾動体35は、X軸方向に延びている。より具体的には、第1傾動体35のX軸方向における一方の端部35aから他方の端部35bにわたって直線状に延びており、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、両端部35a、35bとZ軸方向において同じ位置に位置している。そして、第1傾動体35の受力体10の側の面は、全体的に平坦状に形成されている。また、第1傾動体35の支持体20の側の面は、全体的に平坦状に形成されている。
受力体10と第1傾動体35は、Z軸方向に延びる2つの受力体側変形体33で接続されている。2つの受力体側変形体33は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。図24に示す例では、2つの受力体側変形体33は、第1傾動体35のX軸方向における両端部35a、35bに位置している。本実施の形態では、各受力体側変形体33の上端は、受力体10に接続されており、下端は、第1傾動体35に接続されている。
支持体側変形体34は、X軸方向において、2つの受力体側変形体33の間に位置している。より具体的には、支持体側変形体34は、X軸方向において第1傾動体35の中心に位置しており、第1傾動体35の中央部35cに接続されている。本実施の形態では、支持体側変形体34の下端は、支持体20に接続されており、上端は、第1傾動体35に接続されている。
このようにして、第1起歪体30Aは、X軸方向において、支持体側変形体34に対して対称に形成されている。
次に、このような構成からなる本実施の形態における力覚センサ1に力またはモーメントが作用して、その力またはモーメントを検出する方法について図25〜図26Bを参照して説明する。図25は、図24の起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図26Aは、図24の起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図26Bは、図24の起歪体がZ軸方向負側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。
ここでは、第1起歪体30Aを例にとって、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について説明する。
(+Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図25に示すように、第1起歪体30Aの2つの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。本実施の形態による傾動構造体31の第1傾動体35は、2つの受力体側変形体33を介して受力体10に接続されるとともに1つの支持体側変形体34を介して支持体20に接続されているため、受力体側変形体33よりも支持体側変形体34が大きく弾性変形し得る。より具体的には、支持体側変形体34の上端が、下端よりもX軸方向正側に比較的大きく変位する。このことにより、図25に示すように、2つの受力体側変形体33と第1傾動体35が、受力体10とともに全体的に傾動し得る。この際、図25では示していないが、各受力体側変形体33も弾性変形し、各受力体側変形体33の上端が、下端よりもX軸方向正側に変位し得る。このようにして、X軸方向正側の力Fxによって主として第1起歪体30Aの支持体側変形体34が弾性変形し得る。この場合、第1傾動体35のX軸方向負側の端部35aが上昇し、X軸方向正側の端部35bが下降する。
このことにより、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかり、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。また、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づき、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
(−Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合には、図示しないが、図25に示す場合と逆の現象が生じる。すなわち、第1容量素子C1の静電容量値は増大し、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
(+Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合(図示せず)には、第1起歪体30AはX軸周りに(X軸方向正側に向かって反時計回りに)回動する。上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体30AがX軸周りに回動したとしても、第1容量素子C1のうちの一部の領域で静電容量値が増加するとともに他の一部の領域で静電容量値が減少する。このため、第1容量素子C1全体としては、静電容量値の変化は現れない。同様に、第2容量素子C2全体としては、静電容量地の変化は現れない。
(−Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合においても同様に、第1容量素子C1全体としておよび第2容量素子C2全体としては、静電容量値の変化は現れない。
(+Fzが作用した場合)
また、第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図26Aに示すように、傾動構造体31の第1傾動体35が弾性変形する。より具体的には、第1傾動体35が弾性変形しながら、2つの受力体側変形体33がZ軸方向正側に引き上げられる。このことにより、第1傾動体35は、そのX軸方向における両端部35a、35bにおいて、図26Aに示すように、受力体側変形体33に引き上げられる。一方、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、支持体側変形体34に接続されているため、実質的に引き上げられることはない。このため、第1傾動体35が、下方に凸(例えば、V字状)となるように弾性変形する。
図26Aに示すように、第1傾動体35が弾性変形すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。また、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。このため、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
(−Fzが作用した場合)
第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、図26Bに示すように、傾動構造体31の第1傾動体35が弾性変形する。より具体的には、第1傾動体35が弾性変形しながら、受力体側変形体33がZ軸方向負側に押し下げられる。このことにより、第1傾動体35は、そのX軸方向における両端部35a、35bにおいて、図26Bに示すように、受力体側変形体33に押し下げられる。一方、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、支持体側変形体34に接続されているため、実質的に押し下げられることはない。このため、第1傾動体35が、上方に凸(例えば、逆V字状)となるように弾性変形する。
図26Bに示すように、第1傾動体35が弾性変形すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づく。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。また、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。このため、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
このように本実施の形態によれば、受力体10と第1傾動体35は、2つの受力体側変形体33で接続され、支持体側変形体34は、第1傾動体35と支持体20とを接続している。このことにより、傾動構造体31のZ軸方向の寸法を低減することができる。このため、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの2つの受力体側変形体33は、第1傾動体35のX軸方向における両端部35a、35bに位置している。このことにより、Z軸方向の力の作用により第1傾動体35を弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせやすくすることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの支持体側変形体34は、X軸方向において、2つの受力体側変形体33の間に位置している。このことにより、Z軸方向の力の作用により第1傾動体35を弾性変形させやすくすることができる。このため、変位電極基板Ed1〜Ed8の変位を大きくさせやすくすることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体30A〜30Dは、第2方向において、支持体側変形体34に対して対称に形成されている。このことにより、Z軸方向の力が作用したときに、第1変位電極基板Ed1の変位と第2変位電極基板Ed2の変位を等しくすることができる。このため、力またはモーメントの算出を容易化させることができる。
(第10変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aの第1傾動体35の支持体20の側の面が全体的に平坦状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図27に示すように、第1傾動体35の支持体20の側の面は、支持体側変形体34の周囲で凹状に形成されていてもよい。図27は、図24の起歪体の変形例を示す平面図である。
より具体的には、第1傾動体35は、支持体20に対向する第1支持体側対向面47および第2支持体側対向面48を含んでいてもよい。第1支持体側対向面47に、支持体側変形体34が接続されている。第2支持体側対向面48は、X軸方向において第1支持体側対向面47の両側に配置されている。第1支持体側対向面47は、第2支持体側対向面48よりも受力体10の側に位置している。支持体側変形体34の周囲に、第1支持体側対向面47が形成される。第1支持体側対向面47は、第2支持体側対向面48よりも支持体20から遠ざかっている。このようにして、第1傾動体35の支持体20の側の面が、凹状に形成されて、凹状に形成された部分に支持体側変形体34が接続されている。第1支持体側対向面47は、第1傾動体35の中央部35cとその近傍の部分とにわたって形成されており、支持体側変形体34の周囲(図27に示す例では、X軸方向における両側)に、溝部Gが形成されている。第1支持体側対向面47および第2支持体側対向面48はそれぞれ、平坦状に形成されていてもよい。なお、図27に示す例では、支持体側変形体34と傾動構造体31の第1傾動体35が一体に連続状に形成されており、第1支持体側対向面47は、支持体側変形体34の両側に示されている。
このように第10変形例によれば、第1傾動体35が、第2支持体側対向面48よりも受力体10の側に位置する第1支持体側対向面47を含み、第1支持体側対向面47に支持体側変形体34が接続されている。このことにより、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を短くしなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
(第11変形例)
また、上述した本実施の形態においては、第1傾動体35が、X軸方向(起歪体30Aの第2方向)に直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1傾動体35および第2傾動体36は、Z軸方向(第1方向)と、X軸方向とを含む平面に配置されてZ軸方向と異なる方向に延びていれば、任意の形状とすることができる。例えば、図28に示す形状としてもよい。ここで、図28は、図24の起歪体の他の変形例を示す正面図である。なお、図28に示す起歪体30Aは、図26Bに示すようにZ軸方向負側の力Fzを受けた場合の起歪体と同様の形状を示しているが、図28では、力やモーメントの作用を受けていない状態の起歪体30Aとして示している。
図28に示す起歪体30Aにおいては、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cは、X軸方向における両端部35a、35bよりも、受力体10の側に位置している。より具体的には、第1傾動体35は、X軸方向負側に配置された第1傾動体負側部分35dと、X軸方向正側に配置された第1傾動体正側部分35eと、を含んでいる。第1傾動体負側部分35dは、負側の端部35aと中央部35cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向正側に進むように傾斜している。第1傾動体負側部分35dは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。第1傾動体正側部分35eは、正側の端部35bと中央部35cとを接続した部分であって、X軸方向正側に向かってZ軸方向負側に進むように傾斜している。第1傾動体正側部分35eは、XZ平面においてZ軸方向に対して傾斜する方向(Z軸方向とは異なる方向)に延びている。このようにして、図28に示す変形例における第1傾動体35は、概略的には逆V字状に形成されている。
このように図28に示す変形例によれば、第1傾動体35のX軸方向における両端部35a、35bが、X軸方向における中央部35cよりも支持体20の側に位置している。このことにより、第1傾動体35のX軸方向における両端部35a、35bを、受力体10から遠ざけることができ、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
また、図28に示す変形例によれば、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cが、X軸方向における両端部35a、35bよりも受力体10の側に位置している。このことにより、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cを、支持体20から遠ざけることができ、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を長くすることができる。このため、支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
なお、第1傾動体35の形態は、図28に示す例に限られることはなく、例えば、図示しないが、第1傾動体35のX軸方向における中央部35cが、X軸方向における両端部35a、35bよりも、支持体20の側に位置するようにしてもよい。この場合、第1傾動体35は、概略的にはV字状に形成される。このようにして、受力体側変形体33のZ軸方向の寸法や支持体側変形体34のZ軸方向の寸法を増大しなくても、力覚センサ1の高さを増大させることができる。
(第12変形例)
また、上述した本実施の形態においては、受力体側変形体33がZ軸方向に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図29及び図30に示すように、受力体側変形体33が、Y軸方向で見たときに、Z軸方向に対して傾斜していてもよい。図29は、図24の起歪体の他の変形例を示す平面図である。図30は、図24の起歪体の他の変形例を示す平面図である。
図29に示す変形例では、2つの受力体側変形体33は、受力体10に向かって互いに遠ざかるように、Z軸方向に対してそれぞれ傾斜している。より具体的には、X軸方向負側に位置する受力体側変形体33は、上端が下端よりもX軸方向負側に位置するように、Z軸方向に対して傾斜している。一方、X軸方向正側に位置する受力体側変形体33は、上端が下端よりもX軸方向正側に位置するように、Z軸方向に対して傾斜している。このようにして、受力体10と、2つの受力体側変形体33と第1傾動体35とが、Y軸方向で見たときに逆台形状に配置されている。
このように図29に示す変形例によれば、受力体側変形体33の長手方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
図30に示す変形例では、2つの受力体側変形体33は、受力体10に向かって互いに近づくように、Z軸方向に対してそれぞれ傾斜している。より具体的には、X軸方向負側に位置する受力体側変形体33は、上端が下端よりもX軸方向正側に位置するように、Z軸方向に対して傾斜している。一方、X軸方向正側に位置する受力体側変形体33は、上端が下端よりもX軸方向負側に位置するように、Z軸方向に対して傾斜している。このようにして、受力体10と、2つの受力体側変形体33と第1傾動体35とが、Y軸方向で見たときに台形状に配置されている。
このように図30に示す変形例によれば、受力体側変形体33の長手方向の寸法を低減しなくても、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
(第13変形例)
また、上述した本実施の形態においては、各受力体側変形体33の上端が、受力体10に接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図31に示すように、各受力体側変形体33は、受力体側台座39を介して受力体10に接続されていてもよい。このことにより、各受力体側変形体33を、受力体側台座39によって受力体10に安定して取り付けることができる。例えば、受力体側台座39、受力体側変形体33および第1傾動体35が、一体に形成されていてもよく、この場合には、各受力体側台座39は、ボルトまたは接着剤等で受力体10に固定されていてもよい。あるいは、受力体側台座39と受力体側変形体33は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよい。
同様に、支持体側変形体34の下端が、支持体20に接続されていることに限られることはなく、例えば、図31に示すように、支持体側変形体34は、支持体側台座40を介して支持体20に接続されていてもよい。このことにより、支持体側変形体34を、支持体側台座40によって支持体20に安定して取り付けることができる。例えば、支持体側台座40、支持体側変形体34および第1傾動体35が、一体に形成されていてもよく、この場合には、支持体側台座40は、ボルトまたは接着剤等で支持体20に固定されていてもよい。あるいは、支持体側台座40と支持体側変形体34は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよい。
さらには、受力体側台座39、受力体側変形体33、傾動構造体31、支持体側変形体34および支持体側台座40が一体に形成されていてもよい。この場合、受力体側台座39は、ボルトまたは接着剤等で受力体10に固定されていてもよく、支持体側台座40は、ボルトまたは接着剤等で支持体20に固定されていてもよい。
なお、受力体側台座および支持体側台座は、図31に示す第1起歪体30Aに適用されることに限られることはなく、図24に示す第1起歪体30A等、他の起歪体30A〜30Dにも適用することができる。
(第14変形例)
また、上述した本実施の形態においては、検出素子50が、静電容量を検出する素子として構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、検出素子50は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により生じる歪みを検出する歪みゲージ(図21A〜図23B参照)で構成されていてもよい。例えば、歪みゲージR1〜R4は、傾動構造体31の第1傾動体35の受力体10の側の面に取り付けられるとともに、歪みゲージR5〜R8は、第1傾動体35の支持体20の側の面に取り付けられていてもよい。この場合、歪みゲージR1〜R4および歪みゲージR5〜R8は、図21Bに示すように配置されていてもよい。また、例えば、歪みゲージR1〜R8は、第1傾動体35の受力体10の側の面、または支持体20の側の面に取り付けられて、図21Cに示すように配置されていてもよい。
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。