以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「等しい」等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(第1の実施の形態)
まず、図1~図14を用いて、本発明の第1の実施の形態における力覚センサについて説明する。
本実施の形態に係る力覚センサについて説明する前に、当該力覚センサのロボットへの適用例について図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態における力覚センサを適用したロボットの一例を示す図である。
図1に示すように、産業用ロボット1000は、ロボット本体1100と、エンドエフェクタ1200と、電気ケーブル1300と、制御部1400と、力覚センサ1と、を有している。ロボット本体1100は、ロボットのアーム部を含んでいる。ロボット本体1100とエンドエフェクタ1200の間には、力覚センサ1が設けられている。
電気ケーブル1300は、ロボット本体1100の内部に延設されている。この電気ケーブル1300は、力覚センサ1のコネクタ(図示せず)に接続されている。
なお、図1では、制御部1400はロボット本体1100の内部に配置されているが、他の場所(例えばロボット外部の制御盤)に配置されてもよい。また、力覚センサ1のロボットへの装着態様は図1に示すものに限られない。
力覚センサ1は、グリッパーとして機能するエンドエフェクタ1200に作用する力またはモーメントを検出する。検出された力またはモーメントを示す電気信号は、電気ケーブル1300を介して産業用ロボット1000の制御部1400に送信される。制御部1400は、受信した電気信号に基づいてロボット本体1100およびエンドエフェクタ1200の動作を制御する。
なお、力覚センサ1は、産業用ロボットに限られず、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等の各種ロボットに適用可能である。
以下、図2~図5を参照して本発明の実施の形態に係る力覚センサについて説明する。図2は、第1の実施の形態における力覚センサを示す断面図であって、図3のA-A線断面に相当する図である。図3は、図2の力覚センサを示す平面図である。図4Aは、図2の起歪体を示す正面図である。図4Bは、図4Aの起歪体のB-B線断面図である。図5は、図2に示す力覚センサの起歪体を平面展開した図である。
以下の説明では、XYZ三次元座標系を定義し、Z軸方向(第1方向)を上下方向とし、受力体10が上側に配置され、支持体20が下側に配置されるように力覚センサ1を配置した状態で説明を行う。このため、本実施の形態における力覚センサ1は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、受力体10と支持体20のいずれかを上側または下側に配置するかは任意である。
力覚センサ1は、所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸まわりに作用したモーメント(トルク)を電気信号として出力する機能を有している。しかしながら、このことに限られることはなく、力およびモーメントの一方のみを電気信号として出力するように構成されていてもよく、更には、力またはモーメントの少なくとも1つの軸成分を電気信号として出力するように構成されていてもよい。
力覚センサ1は、図2および図3に示すように、受力体10と、支持体20と、起歪体30A~30Dと、検出素子50と、検出回路60と、外装体80と、を備えている。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
受力体10は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。この作用を受けることにより、受力体10は支持体20に対して相対移動する。上述した図1の例で言えば、受力体10はエンドエフェクタ1200にボルト等で固定されており、エンドエフェクタ1200から力またはモーメントを受ける。受力体10には、起歪体30A~30Dが接続されている。
図3に示すように、本実施の形態では、受力体10の平面形状は、矩形である。また、受力体10は、平板状に形成されていてもよい。
図2に示すように、支持体20は、受力体10を支持している。支持体20は、Z軸方向において受力体10の負側に配置されている。受力体10と支持体20は、Z軸方向において互いに異なる位置に配置されており、支持体20は、受力体10に離間している。図1の例で言えば、支持体20はロボット本体1100(アーム部)の先端にボルト等で固定されており、ロボット本体1100に支持される。支持体20には、起歪体30A~30Dが接続されている。
図3に示すように、本実施の形態では、支持体20の平面形状は、受力体10と同様に矩形である。また、支持体20は、平板状に形成されていてもよい。なお、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの少なくとも一方は、矩形であってもよい。この場合、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの一方が矩形で、他方が矩形以外の形状であってもよい。
図2および図3に示すように、起歪体30A~30Dは、受力体10と支持体20とを接続している。より具体的には、起歪体30A~30Dは、受力体10と支持体20との間に配置されており、起歪体30A~30Dは、受力体10に接続されるとともに支持体20に接続されている。これらの起歪体30A~30Dを介して受力体10は支持体20に支持されている。
本実施の形態においては、受力体10と支持体20とは、4つの起歪体30A~30Dで接続されている。4つの起歪体30A~30Dは、第1起歪体30Aと、第2起歪体30Bと、第3起歪体30Cと、第4起歪体30Dと、を有している。Z軸方向で見たときに、受力体10の中心Oに対してY軸方向負側に第1起歪体30Aが配置されている。同様にZ軸方向で見たときに、受力体10の中心Oに対してX軸方向正側に第2起歪体30Bが配置され、受力体10の中心Oに対してY軸方向正側に第3起歪体30Cが配置されている。受力体10の中心Oに対してX軸方向負側に第4起歪体30Dが配置されている。言い換えると、第1起歪体30Aと第3起歪体30Cとの間に、受力体10の中心Oが配置され、第2起歪体30Bと第4起歪体30Dとの間に、受力体10の中心Oが配置されている。なお、受力体10と支持体20とを接続する起歪体の個数は、4つに限られることはなく、2つまたは3つでもよく、5つ以上でもよく、任意である。また、受力体10と支持体20とは、1つだけの起歪体で接続されていてもよく、この場合、検出素子50を図4Aに示すように2つの容量素子で構成すると、力の2軸成分を検出することができる。検出素子50が、1つだけの容量素子で構成されて、力の1軸成分を検出するようにしてもよい。
図3に示すように、本実施の形態による4つの起歪体30A~30Dの変形部31(後述)は、環状配置されている。すなわち、上述したように、受力体10および支持体20がZ軸方向で見たときに矩形形状で形成されており、4つの起歪体30A~30Dの変形部31が、矩形の環状をなすように配置されている。各起歪体30A~30Dの変形部31は、Z軸方向で見たときに、第2方向に沿って直線状に形成されている。すなわち、第1起歪体30Aの第2方向および第3起歪体30Cの第2方向は、X軸方向に相当している。第1起歪体30Aの変形部31および第3起歪体30Cの変形部31は、X軸方向に沿って直線状に形成されている。第2起歪体30Bの第2方向および第4起歪体30Dの第2方向は、Y軸方向に相当している。第2起歪体30Bの変形部31および第4起歪体30Dの変形部31は、Y軸方向に沿って直線状に形成されている。なお、4つの起歪体30A~30Dの配置は、環状配置であることに限られることはなく、それぞれを任意の位置で不規則に配置してもよい。
次に、本実施の形態による起歪体30A~30Dについてより具体的に説明する。本実施の形態による起歪体30A~30Dは、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。ここでは、上述した4つの起歪体30A~30Dのうち、X軸方向を第2方向とする第1起歪体30Aを例にとって説明する。第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dについては、同様の構成を有しているため、ここでは詳細な説明は省略する。
図2および図4Aに示すように、第1起歪体30Aは、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形する変形部31と、変形部31に接続された変位部40と、を有している。変位部40は、変形部31に生じた弾性変形により変位を生じるように構成されている。
変形部31は、Z軸方向に直交するX軸方向に延びる傾動体32と、受力体10と傾動体32とを接続する受力体側変形体33と、傾動体32と支持体20とを接続する支持体側変形体34と、を有している。このうち受力体側変形体33は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。支持体側変形体34は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。受力体側変形体33の剛性と支持体側変形体34の剛性は、同程度であってもよい。
傾動体32は、Z軸方向において受力体10に離間するとともに支持体20に離間している。第1起歪体30Aの傾動体32は、X軸方向を第2方向として延びている。本実施の形態では、傾動体32のY軸方向(Z軸方向およびX軸方向に直交する方向)で見たときの(図4Aのように見たときの)正面形状は、矩形になっている。傾動体32は、受力体側変形体33および支持体側変形体34よりも剛性が高く(可撓性が低く)なるように形成されている。
受力体側変形体33と支持体側変形体34は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。傾動体32は、X軸方向において受力体側変形体33と支持体側変形体34との間に配置されている。第1起歪体30Aについては、受力体側変形体33が、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。
図4Aに示すように、受力体側変形体33は、傾動体32における支持体20の側の端部(図4Aにおける下側の端部32f)に接続されている。支持体側変形体34は、傾動体32における受力体10の側の端部(図4Aにおける上側の端部32e)に接続されている。
図4Aに示すように、受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331と、X軸方向に延びる第2受力体側延在部332と、を含んでいる。第1受力体側延在部331は、受力体10に接続されており、第2受力体側延在部332が、第1受力体側延在部331と傾動体32とを接続している。本実施の形態による受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときにL字状に形成されている。第1受力体側延在部331と傾動体32との間には、第1スリット状開口35が形成されている。第1スリット状開口35は、Y軸方向で変形部31を貫通している。上述したように、受力体側変形体33は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。第1受力体側延在部331のX軸方向における寸法は、Z軸方向における寸法よりも小さく形成されていてもよい。受力体側変形体33は、傾動体32よりも剛性が低く(可撓性が高く)なるように形成されていてもよい。この場合、受力体側変形体33に板ばねとしての機能を付与することができる。例えば、第1受力体側延在部331のX軸方向における寸法は、傾動体32のX軸方向における寸法よりも小さくてもよい。第2受力体側延在部332のZ軸方向における寸法は、傾動体32のZ軸方向における寸法よりも小さくてもよい。
支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341と、X軸方向に延びる第2支持体側延在部342と、を含んでいる。第2支持体側延在部342が、第1支持体側延在部341と傾動体32とを接続している。本実施の形態による支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときに逆L字状に形成されている。第1支持体側延在部341と傾動体32との間には、第2スリット状開口36が形成されている。第2スリット状開口36は、X軸方向で変形部31を貫通している。上述したように、支持体側変形体34は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。第1支持体側延在部341のX軸方向における寸法は、Z軸方向における寸法よりも小さく形成されていてもよい。支持体側変形体34は、傾動体32よりも剛性が低く(可撓性が高く)なるように形成されていてもよい。この場合、支持体側変形体34に板ばねとしての機能を付与することができる。例えば、第1支持体側延在部341のX軸方向における寸法は、傾動体32のX軸方向における寸法よりも小さくてもよい。第2支持体側延在部342のZ軸方向における寸法は、傾動体32のZ軸方向における寸法よりも小さくてもよい。
Z軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側変形体33が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの支持体側変形体34が配置されている。本実施の形態では、上方から見たときに、反時計回りの方向に受力体側変形体33が配置され、時計回りの方向に支持体側変形体34が配置されている。より具体的には、第1起歪体30Aの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。第2起歪体30Bの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもY軸方向正側に配置されている。第3起歪体30Cの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向負側に配置されている。第4起歪体30Dの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもY軸方向負側に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、上方から見たときに、時計回りの方向に受力体側変形体33が配置され、反時計回りの方向に支持体側変形体34が配置されていてもよい。また、受力体側変形体33の配置と支持体側変形体34の配置は、不規則になっていてもよい。
第1起歪体30Aの変形部31は、アルミ合金や鉄合金などの金属材料で作製された板材から機械加工で形成されていてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。機械加工で形成される場合、傾動体32、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、Y軸方向が厚み方向となるように板状に形成され、一体に連続状の板材で形成される。このことにより、第1起歪体30Aを容易に作製することができる。このように形成された第1起歪体30Aは、受力体10および支持体20にボルトまたは接着剤等でそれぞれ固定されていてもよい。あるいは、受力体10、支持体20および起歪体30A~30Dは、一体に連続状のブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で形成されてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。
図4Aに示すように、本実施の形態においては、第1起歪体30Aの変位部40は、傾動体32と支持体20との間に設けられている。変位部40は、第2方向(第1起歪体30AについてはX軸方向)に延びる梁41と、梁41と傾動体32とを接続する基端部42と、を含んでいる。梁41は、基端部42を介して傾動体32の支持体20の側の面(下面)に接続されており、傾動体32の下方に配置されている。基端部42は、X軸方向において梁41の中央に配置されており、梁41は、基端部42からX軸方向正側に延びているとともに、X軸方向負側に延びている。梁41のうち基端部42よりもX軸方向正側の部分は片持ち梁として構成されており、基端部42よりもX軸方向負側の部分も片持ち梁として構成されている。梁41のX軸方向両端部(梁41の自由端部に相当)に、検出素子50を構成する変位電極(後述)が配置されている。
図4Aに示す第1起歪体30Aにおいては、梁41は、受力体側変形体33と支持体側変形体34との間に配置されている。すなわち、梁41は、受力体側変形体33を越えてX軸方向正側には延びておらず、支持体側変形体34を越えてX軸方向負側には延びていない。
検出素子50は、上述した変位部40に生じた変位を検出するように構成されている。本実施の形態による検出素子50は、静電容量を検出する素子として構成されている。図4Aに示すように、検出素子50は、支持体20または受力体10に設けられた固定電極基板と、変位部40の梁41に設けられた変位電極基板と、を有している。図4Aに示す例においては、検出素子50は、第1起歪体30A用の電極として、2つの固定電極基板Ef1、Ef2と、2つの変位電極基板Ed1、Ed2と、を有している。
2つの固定電極基板Ef1、Ef2は、X軸方向正側に配置された第1固定電極基板Ef1と、X軸方向負側に配置された第2固定電極基板Ef2と、を有している。本実施の形態においては、固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体20の受力体10の側の面に設けられている。固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体20の受力体10の側の面に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する固定電極Efと、固定電極Efと支持体20との間に介在された絶縁体IBfと、を含んでいる。なお、第1固定電極基板Ef1を構成する絶縁体IBfと第2固定電極基板Ef2を構成する絶縁体IBfとは一体化されていてもよい。また、固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体20の受力体10の側の面に設けられていてもよい。
2つの変位電極基板Ed1、Ed2は、X軸方向正側に配置された第1変位電極基板Ed1と、X軸方向負側に配置された第2変位電極基板Ed2と、を有している。本実施の形態においては、変位電極基板Ed1、Ed2は、変位部40の梁41に固定されていてもよい。この場合、変位電極基板Ed1、Ed2は、梁41の支持体20の側の面に設けられていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、梁41の支持体20の側の面に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、対応する固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極Edと、変位電極Edと梁41との間に介在された絶縁体IBdと、を含んでいる。なお、第1変位電極基板Ed1を構成する絶縁体IBdと第2変位電極基板Ed2を構成する絶縁体IBdとは一体化されていてもよい。また、固定電極基板Ef1、Ef2が受力体10の支持体20の側の面に設けられる場合には、変位部40が、傾動体32の受力体10の側の面に設けられて、当該変位部40に変位電極基板Ed1、Ed2が設けられていてもよい。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向し、第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向している。第1固定電極基板Ef1と第1変位電極基板Ed1とで第1容量素子C1が構成され、第2固定電極基板Ef2と第2変位電極基板Ed2とで第2容量素子C2が構成されている。第1容量素子C1と第2容量素子C2とが、第1起歪体30A用の検出素子50として構成されている。
第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、X軸方向におい互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1は、変位部40の基端部42よりもX軸方向正側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向正側の端部に配置されている。第2変位電極基板Ed2は、変位部40の基端部42よりもX軸方向負側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向負側の端部に配置されている。第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向する位置に配置されており、第1変位電極基板Ed1の下方に配置されている。第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向する位置に配置されており、第2変位電極基板Ed2の下方に配置されている。
第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、図4Bに示すように、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、Y軸方向において同じ位置に配置されるとともに、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2も、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
本実施の形態では、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状は、矩形になっている。変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状も、矩形になっている。しかしながら、固定電極基板Ef1、Ef2および変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状は、矩形に限られることはなく、円形、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。
図4Bに示すように、Z軸方向で見たときに、第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1よりも大きくなっていてもよい。例えば、第1固定電極基板Ef1の平面形状は、第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。そして、図示していないが、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、Z軸方向で見たときに、第1変位電極基板Ed1が全体として、第1固定電極基板Ef1に重なっていてもよい。言い換えると、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、第1容量素子C1を構成する変位電極Edと固定電極Efとが重なるように、変位電極Edの大きさと固定電極Efの大きさが設定されていてもよい。このようにして、第1変位電極基板Ed1が変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Efの対向面積が変化することを防止することができ、静電容量値の変化に、対向面積の変化が影響を及ぼすことを防止することができる。このため、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。ここで、対向面積とは、Z軸方向で見たときに変位電極Edと固定電極Efとが重なる面積を言う。傾動体32が傾動した場合には、固定電極Efよりも小さい変位電極Edが傾斜して対向面積が変動し得るが、この場合の変位電極Edの傾斜角度は小さい。このことにより、静電容量値の変化には、変位電極Edと固定電極Efとの距離が支配的となる。このため、本明細書では、変位電極Edの傾斜による対向面積の変動は考慮せず、静電容量値の変化は、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に起因すると考える。なお、後述する図6A等では、図面を明瞭にするために、傾動体32の傾斜を誇張している。また、図6A等では、傾動体32の傾斜を誇張しているため、変位電極基板が変位した場合に、変位電極基板が固定電極基板からずれているが、上述したように、変位電極基板が変位した場合であっても、変位電極基板が全体として、固定電極基板に重なっているようにしてもよい。また、第1固定電極基板Ef1の平面形状が第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていることに限られることはなく、第1変位電極基板Ed1の平面形状が、第1固定電極基板Ef1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
同様に、Z軸方向で見たときに、第2固定電極基板Ef2も、第2変位電極基板Ed2よりも大きくなっていてもよい。なお、第2変位電極基板Ed2が、第2固定電極基板Ef2よりも大きくなっていてもよい。
第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、別体に形成されて互いに離間していてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、一体化されて、1つの共通の固定電極基板で構成されていてもよい。あるいは、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とが別体に形成されている場合には、第1変位電極基板Ed1と第2変位電極基板Ed2とは、一体化されて、1つの共通の変位電極基板で構成されていてもよい。
上述した第1起歪体30Aとこれに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも同様に適用できる。
すなわち、図5に示すように、検出素子50は、第2起歪体30B用の電極として、支持体20または受力体10に設けられた2つの固定電極基板Ef3、Ef4と、変位部40の梁41に設けられた2つの変位電極基板Ed3、Ed4と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef3、Ef4は、第3固定電極基板Ef3と第4固定電極基板Ef4とを有している。2つの変位電極基板Ed3、Ed4は、第3変位電極基板Ed3と第4変位電極基板Ed4とを有している。第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向し、第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向している。第3固定電極基板Ef3と第3変位電極基板Ed3とで第3容量素子C3が構成され、第4固定電極基板Ef4と第4変位電極基板Ed4とで第4容量素子C4が構成されている。
第3変位電極基板Ed3は、変位部40の基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第4変位電極基板Ed4は、変位部40の基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef3、Ef4は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed3、Ed4は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子50は、第3起歪体30C用の電極として、支持体20または受力体10に設けられた2つの固定電極基板Ef5、Ef6と、変位部40の梁41に設けられた2つの変位電極基板Ed5、Ed6と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef5、Ef6は、第5固定電極基板Ef5と第6固定電極基板Ef6とを有している。2つの変位電極基板Ed5、Ed6は、第5変位電極基板Ed5と第6変位電極基板Ed6とを有している。第5固定電極基板Ef5は、第5変位電極基板Ed5に対向し、第6固定電極基板Ef6は、第6変位電極基板Ed6に対向している。第5固定電極基板Ef5と第5変位電極基板Ed5とで第5容量素子C5が構成され、第6固定電極基板Ef6と第6変位電極基板Ed6とで第6容量素子C6が構成されている。
第5変位電極基板Ed5は、変位部40の基端部42よりもX軸方向負側に配置されている。第6変位電極基板Ed6は、変位部40の基端部42よりもX軸方向正側に配置されている。第5容量素子C5および第6容量素子C6は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef5、Ef6は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed5、Ed6は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子50は、第4起歪体30D用の電極として、支持体20または受力体10に設けられた2つの固定電極基板Ef7、Ef8と、変位部40の梁41に設けられた2つの変位電極基板Ed7、Ed8と、を更に有している。2つの固定電極基板Ef7、Ef8は、第7固定電極基板Ef7と第8固定電極基板Ef8とを有している。2つの変位電極基板Ed7、Ed8は、第7変位電極基板Ed7と第8変位電極基板Ed8とを有している。第7固定電極基板Ef7は、第7変位電極基板Ed7に対向し、第8固定電極基板Ef8は、第8変位電極基板Ed8に対向している。第7固定電極基板Ef7と第7変位電極基板Ed7とで第7容量素子C7が構成され、第8固定電極基板Ef8と第8変位電極基板Ed8とで第8容量素子C8が構成されている。
第7変位電極基板Ed7は、変位部40の基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第8変位電極基板Ed8は、変位部40の基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第7容量素子C7および第8容量素子C8は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef7、Ef8は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed7、Ed8は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
上述した各固定電極基板Ef1~Ef8は、電極材料が積層されたセラミック基板、ガラスエポキシ基板またはFPC基板(フレキシブルプリント回路基板)で構成されていてもよい。FPC基板は、薄いフィルム状に形成されておりフレキシブル性を有しているプリント基板であるが、変位部40の梁41に全体的に接合させてもよい。各固定電極基板Ef1~Ef8は、支持体20に接着剤で接着されていてもよい。各変位電極基板Ed1~Ed8についても同様である。各変位電極基板Ed1~Ed8は、変位部40の梁41に接着剤で接着されていてもよい。
なお、検出素子50は、静電容量を検出する容量素子として構成されていることに限られることはない。例えば、検出素子50は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により生じる歪みを検出する歪みゲージで構成されていてもよい。また、検出素子50は、歪みが生じた場合に電荷を発生させる圧電素子で構成されていてもよい。さらに、検出素子50は、光の反射を利用して変位を検出する光学センサで構成されていてもよく、あるいは、渦電流を利用して変位を検出するセンサ、若しくは、ホール効果を利用して変位を検出するセンサで構成されていてもよい。特に、変位を検出する光学センサ、渦電流を利用するセンサ、およびホール効果を利用するセンサは、静電容量の検出原理と似ているため、静電容量を検出する容量素子と容易に置き換えることができる。
図2に示すように、検出回路60は、検出素子50の検出結果に基づいて、起歪体30A~30Dに作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する。この検出回路60は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路60は、上述した検出素子50から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能を有してもよい。検出回路60は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子から電気ケーブル1300(図1参照)を介して上述した制御部1400に電気信号が送信される。
図2および図3に示すように、外装体80は、Z軸方向で見たときに、4つの起歪体30A~30Dを外側から覆うように構成されている。外装体80は、力覚センサ1を構成する筒状の筐体である。起歪体30A~30Dは、外装体80に収容されている。本実施の形態では外装体80の平面断面形状(XY平面に沿う断面における形状)は矩形枠形状になっている。
図2に示すように、外装体80は、支持体20に固定され、受力体10から離間している。外装体80の一方の開口部(図2では上側の開口部)に受力体10が配置され、他方の開口部(図2では下側の開口部)に支持体20が配置されている。
より具体的には、支持体20は外装体80の下側の開口部を閉塞するように外装体80に固定されている。外装体80は、支持体20と一体的に作製されていてもよい。一方、受力体10と外装体80との間には隙間が設けられており、受力体10は、エンドエフェクタ1200から受けた力またはモーメントの作用に応じて変位可能になっている。なお、防水性や防塵性を確保するために、受力体10と外装体80との間の隙間に緩衝部材81が介在されていてもよい。緩衝部材81は、例えば、ゴムまたはスポンジなどの弾性変形可能な柔軟な材料で形成されていてもよい。なお、外装体80は、支持体20ではなく、受力体10と一体的に作製されていてもよい。この場合、外装体80と支持体20との間に隙間が設けられていてもよい。あるいは、外装体80の受力体10の側の部分を受力体10と一体的に作製し、外装体80の支持体20の側の部分を支持体20と一体的に作製してもよい。この場合、外装体80は、受力体10の側の部分と、支持体20の側の部分とで、別体に構成される。受力体10の側の部分と支持体20の側の部分との間に隙間が設けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態における力覚センサ1に力またはモーメントが作用して、その力またはモーメントを検出する方法について図6A~図7Bを参照して説明する。図6Aは、図4Aの起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図6Bは、図4Aの起歪体がX軸方向負側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図7Aは、図4Aの起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図7Bは、図4Aの起歪体がZ軸方向負側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である
受力体10が力またはモーメントの作用を受けると、その力またはモーメントが、第1起歪体30A~第4起歪体30Dの各変形部31に伝わる。より具体的には、その力またはモーメントが、受力体側変形体33、傾動体32および支持体側変形体34に伝わり、受力体側変形体33および支持体側変形体34に弾性変形が生じる。このことにより、傾動体32に接続された変位部40に変位が生じる。このため、検出素子50の各固定電極基板Ef1~Ef8と対応する変位電極基板Ed1~Ed8との間の距離が変化し、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化が、変位部40に生じた変位として検出素子50で検出される。この場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が異なり得る。このため、検出回路60は、検出素子50で検出された各容量素子C1~C8の静電容量値の変化に基づいて、受力体10に作用した力またはモーメントの向きと大きさを検出することができる。
ここでは、まず、第1起歪体30Aを例にとって、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について説明する。
(+Fxが作用した場合)
また、第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図6Aに示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。より具体的には、受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されており、受力体側変形体33の第1受力体側延在部331の上端が、下端よりもX軸方向正側に変位する。このことにより、第1受力体側延在部331および第2受力体側延在部332が弾性変形しながら、第1受力体側延在部331が、X軸方向正側(傾動体32とは反対側)に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。このため、傾動体32は、受力体側変形体33によって引き上げられて、Y軸方向正側に向かって見たときに(図6Aの紙面に向かって見たときに)Y軸周りで反時計回りに回動し、Z軸方向に対して傾斜する。傾動体32の回動に追従するように、支持体側変形体34の上端は、下端よりもX軸方向正側に変位する。このため、支持体側変形体34の第1支持体側延在部341および第2支持体側延在部342が弾性変形しながら、支持体側変形体34は、X軸方向正側に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。
図6Aに示すように、第1起歪体30Aの傾動体32が反時計回りに回動すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。このことにより、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。一方、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。このことにより、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
(-Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合には、図6Bに示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。より具体的には、受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されており、受力体側変形体33の第1受力体側延在部331の上端が、下端よりもX軸方向負側に変位する。このことにより、第1受力体側延在部331および第2受力体側延在部332が弾性変形しながら、第1受力体側延在部331が、X軸方向負側(傾動体32の側)に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。この場合、受力体側変形体33の下端もX軸方向負側に変位し、傾動体32は、Y軸方向正側に向かって見たときにY軸周りで時計回りに回動し、Z軸方向に対して傾斜する。傾動体32の回動に追従するように、支持体側変形体34の上端は引き上げられるとともに、X軸方向負側に変位する。このため、支持体側変形体34の第1支持体側延在部341および第2支持体側延在部342が弾性変形しながら、支持体側変形体34は、X軸方向負側に倒れるようにZ軸方向に対して傾斜する。
図6Bに示すように、第1起歪体30Aの傾動体32が時計回りに回動すると、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づく。このことにより、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少し、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。一方、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。このことにより、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が増大し、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
(+Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合(図示せず)には、第1起歪体30AはX軸周りに(X軸方向正側に向かって反時計回りに)回動する。このことにより、第1起歪体30Aが、Y軸方向正側に倒れてZ軸方向に対して傾斜するように弾性変形する。このため、第1起歪体30Aは、厚み方向に撓むように弾性変形する。しかしながら、上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体30AがX軸周りに回動したとしても、第1容量素子C1のうちの一部の領域で静電容量値が増加するとともに他の一部の領域で静電容量値が減少する。このため、第1容量素子C1全体としては、静電容量値の変化は現れない。同様に、第2容量素子C2全体としては、静電容量値の変化は現れない。
(-Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合においても同様に、第1容量素子C1全体としておよび第2容量素子C2としては、静電容量値の変化は現れない。
(+Fzが作用した場合)
また、第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図7Aに示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形する。より具体的には、第1受力体側延在部331および第2受力体側延在部332が弾性変形しながら、受力体側変形体33がZ軸方向正側に引き上げられる。このことにより、傾動体32は、受力体側変形体33によって引き上げられて、Y軸方向正側に向かって見たときにY軸周りで反時計回りに回動し、Z軸方向に対して傾斜する。力Fzの大きさによっては、傾動体32の回動に追従するように、第1支持体側延在部341および第2支持体側延在部342が弾性変形する。
本実施の形態においては、変位部40の梁41のX軸方向の長さが比較的短くなっている。このことにより、図7Aに示すように、Z軸方向正側の力Fzによって第1起歪体30Aの傾動体32が反時計回りに回動した場合であっても、変位部40の梁41が全体的に上方に変位して、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2がそれぞれ上方に変位する。このことにより、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかるとともに、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
なお、例えば、後述する図12Aに示すように、梁41のX軸方向の長さが比較的長くなっていてもよい。このことにより、Z軸方向正側の力Fzによって傾動体32が反時計回りに回動すると、第1変位電極基板Ed1は上方に変位するが、第2変位電極基板Ed2は、下方に変位する。このため、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1から遠ざかるが、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。この場合、第1容量素子C1の静電容量値は減少するが、第2容量素子C2の静電容量値は増大する。
(-Fzが作用した場合)
第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、図7Bに示すように、受力体側変形体33がZ軸方向負側に押し下げられる。このことにより、傾動体32は、受力体側変形体33によって引き下げられて、Y軸方向正側に向かって見たときにY軸周りで時計回りに回動し、Z軸方向に対して傾斜する。力Fzの大きさによっては、傾動体32の回動に追従するように、第1支持体側延在部341および第2支持体側延在部342が弾性変形する。
本実施の形態においては、上述したように、変位部40の梁41のX軸方向の長さが比較的短くなっている。このことにより、図7Bに示すように、Z軸方向負側の力Fzによって第1起歪体30Aの傾動体32が時計回りに回動した場合であっても、変位部40の梁41が全体的に下方に変位して、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2がそれぞれ下方に変位する。このことにより、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づくとともに、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2に近づく。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
なお、例えば、後述する図12Aに示すように、梁14のX軸方向の長さが比較的長くなっていてもよい。このことにより、Z軸方向負側の力Fzによって傾動体32が時計回りに回動すると、第1変位電極基板Ed1は下方に変位するが、第2変位電極基板Ed2は、上方に変位する。このため、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づくが、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。この場合、第1容量素子C1の静電容量値は増大するが、第2容量素子C2の静電容量値は減少する。
このようにして、第1起歪体30Aによって、FxとFzという力の2軸成分を検出することができる。
次に、図5に示す力覚センサ1において、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、Z軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化について図8および図9を参照して説明する。図8は、図5の力覚センサにおける各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。図9は、図8の静電容量値の変化に基づく主軸感度および他軸感度を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
まず、受力体10にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、図6Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。このことが、図8に示す表中のFxの行のC1に「-(マイナス)」として示されており、C2に「+(プラス)」として示されている。
第2起歪体30Bは、Y軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)に回動する。しかしながら、上述したように、第3容量素子C3および第4容量素子C4が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第3容量素子C3および第4容量素子C4には、静電容量値の変化は現れない。このことが、図8に示す表中のFxの行のC3、C4に「0(ゼロ)」として示されている。
第3起歪体30Cは、図6Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。このことが、図8に示す表中のFxの行のC5に「+」として示されており、C6に「-」として示されている。
第4起歪体30Dは、第2起歪体30Bと同様にY軸周りに回動する。しかしながら、上述したように、第7容量素子C7および第8容量素子C8が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第7容量素子C7および第8容量素子C8には、静電容量値の変化は現れない。このことが、図8に示す表中のFxの行のC7、C8に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体10にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図8の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aは、上述したようにX軸周り(X軸方向正側に向かって反時計回り)に回動する。しかしながら、上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1容量素子C1および第2容量素子C2には、静電容量値の変化は現れない。
第2起歪体30Bは、図6Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cは、第1起歪体30Aと同様にX軸周りに回動する。しかしながら、第5容量素子C5および第6容量素子C6が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第5容量素子C5および第6容量素子C6には、静電容量値の変化は現れない。
第4起歪体30Dは、図6Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子の静電容量値が増大するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体10にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図8の表中の符号が定められる。
この場合、各起歪体30A~30Dは、図7Aに示すように弾性変形する。このことにより、各容量素子C1~C8の静電容量値がそれぞれ減少する。
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体10にX軸周り(X軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMx(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図8の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bにおいては、受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向正側に位置しているため、第2起歪体30Bは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第3変位電極基板Ed3と第3固定電極基板Ef3との電極間距離が増大し、第3容量素子C3の静電容量値が減少する。同様に、第4変位電極基板Ed4と第4固定電極基板Ef4との電極間距離が増大し、第4容量素子C4の静電容量値が減少する。しかしながら、第2起歪体30Bは、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30CよりもY軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第2起歪体30Bの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2起歪体30Bは弾性変形しないと考える。このため、第3容量素子C3の静電容量値が変化せず、第4容量素子C4の静電容量値も変化しない。
第3起歪体30Cは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。
第4起歪体30Dにおいては、受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向負側に位置しているため、第4起歪体30Dは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第7変位電極基板Ed7と第7固定電極基板Ef7との電極間距離が減少し、第7容量素子C7の静電容量値が増大する。同様に、第8変位電極基板Ed8と第8固定電極基板Ef8との電極間距離が減少し、第8容量素子C8の静電容量値が増大する。しかしながら、第4起歪体30Dは、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30CよりもY軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第4起歪体30Dの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第4起歪体30Dは弾性変形しないと考える。このため、第7容量素子C7の静電容量値が変化せず、第8容量素子C8の静電容量値も変化しない。
(+Myが作用した場合)
次に、受力体10にY軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMy(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図8の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aにおいては、受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもX軸方向正側に位置しているため、第1起歪体30Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離が減少し、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。同様に、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。しかしながら、第1起歪体30Aは、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30DよりもX軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第1起歪体30Aの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1起歪体30Aは弾性変形しないと考える。このため、第1容量素子C1の静電容量値が変化せず、第2容量素子C2の静電容量値も変化しない。
第2起歪体30Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもX軸方向負側に位置しているため、第3起歪体30Cは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第5変位電極基板Ed5と第5固定電極基板Ef5との電極間距離が増大し、第5容量素子C5の静電容量値が減少する。同様に、第6変位電極基板Ed6と第6固定電極基板Ef6との電極間距離が増大し、第6容量素子C6の静電容量値が減少する。しかしながら、第3起歪体30Cは、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30DよりもX軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第3起歪体30Cの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第3起歪体30Cは弾性変形しないと考える。このため、第5容量素子C5の静電容量値が変化せず、第6容量素子C6の静電容量値も変化しない。
第4起歪体30Dは、図7Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに、第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体10に、Z軸周り(Z軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMz(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図8の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体30Aにおいては、X軸方向正側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する(図6A参照)。このことにより、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。一方、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bにおいては、Y軸方向正側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第3変位電極基板Ed3と第3固定電極基板Ef3との電極間距離が増大し、第3容量素子C3の静電容量値が減少する。一方、第4変位電極基板Ed4と第4固定電極基板Ef4との電極間距離が減少し、第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、X軸方向負側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第5変位電極基板Ed5と第5固定電極基板Ef5との電極間距離が増大し、第5容量素子C5の静電容量値が減少する。一方、第6変位電極基板Ed6と第6固定電極基板Ef6との電極間距離が減少し、第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
第4起歪体30Dにおいては、Y軸方向負側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第7変位電極基板Ed7と第7固定電極基板Ef7との電極間距離が増大し、第7容量素子C7の静電容量値が減少する。一方、第8変位電極基板Ed8と第8固定電極基板Ef8との電極間距離が減少し、第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
このようにして、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が検出されると、受力体10に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図8に示すように、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
図8に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力またはモーメントが算出される。以下の式中のC1~C8は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式1]
Fx=-C1+C2 +C5-C6
[式2]
Fy= -C3+C4 +C7-C8
[式3]
Fz=-C1-C2-C3-C4-C5-C6-C7-C8
[式4]
Mx=+C1+C2 -C5-C6
[式5]
My= +C3+C4 -C7-C8
[式6]
Mz=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
図8に示す各容量素子C1~C8の静電容量値の変化量を、上述の[式1]~[式6]に適用すると、図9の主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。図9に示すVFxはX軸方向の力Fxが作用したときの出力(検出回路60から出力される電気信号の無次元数)であり、VFyはY軸方向の力Fyが作用したときの出力であり、VFzはZ軸方向の力Fzが作用したときの出力である。また、VMxはX軸周りのモーメントMxが作用したときの出力であり、VMyはY軸周りのモーメントMyが作用したときの出力であり、VMzはZ軸周りのモーメントMzが作用したときの出力である。
図9の表中に示された数値は、図8の表に記載の各力Fx、Fy、Fzおよび各モーメントMx、My、Mzについて、「+」の符号が付された容量素子を「+1」とし、「-」の符号が付された容量素子の変化量を「-1」として、上述の[式1]~[式6]の右辺に代入して得られた値である。例えば、Fxの列とVFxの行とが交わるマス目に記載の「4」という数値は、Fxを示す[式1]において、図8のFxの行に基づいて、C2およびC5に「+1」を代入し、C1およびC6に「-1」を代入して得られた値である。また、Fxの列とVFyの行とが交わるマス目に記載の「0」という数値は、Fxを示す[式1]において、図8のFyの行に基づいてC1、C2、C5およびC6に「0」という数値を代入して得られた値である。
図9に示されているように、力Fxについては、VFxが「4」という数値になっているが、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは「0」という数値になっている。このことから、力Fxについては、他軸感度が無く、主軸感度のみを検出することができる。力Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについても同様に他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ1を得ることができる。
なお、他軸感度が発生する場合も考えられる。例えば、第1起歪体30AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と、第2容量素子C2の静電容量値の変化量とは、異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得る。また、力Fz、モーメントMx、Myが受力体10に作用した場合、第1起歪体30Aは、Z軸方向に変位するため、図8に示す表中のFzの行、Mxの行、Myの行では、同じ符号が付されていたとしても静電容量値の変化量が異なる場合がある。この場合、力Fz、モーメントMx、Myに対して他軸感度が発生し得る。力Fx、Fy、モーメントMzについても同様に他軸感度が発生し得る。例えば、モーメントMxが受力体10に作用した場合、図8に示すように、第3容量素子C3と第4容量素子C4と第7容量素子C7と第8容量素子C8では静電容量値が変化しないため、「0」という数値が記載されているが、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。モーメントMy、Mzについても同様である。また、力Fx、Fyの行で、「0」という数値が記載されている容量素子についても、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。
しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックス(図9に示す表に対応する6行6列の行列、特性行列とも言う)の逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、受力体10と傾動体32とを接続する受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331を含み、支持体20と傾動体32とを接続する支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341を含んでいる。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、第1受力体側延在部331および第1支持体側延在部341を弾性変形させることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、第2方向(X軸方向またはY軸方向)に延びる第2受力体側延在部332を含み、支持体側変形体34は、第2方向に延びる第2支持体側延在部342を含んでいる。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、第1受力体側延在部331および第1支持体側延在部341をより一層弾性変形させることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31をより一層弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位をより一層大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができ、力覚センサ1の検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、傾動体32における支持体20の側の端部32fに接続され、支持体側変形体34は、傾動体32における受力体10の側の端部32eに接続されている。このことにより、受力体10から傾動体32までの受力体側変形体33の長さを確保することができ、受力体側変形体33を弾性変形しやすくすることができる。同様に、支持体20から傾動体32までの支持体側変形体34の長さを確保することができ、支持体側変形体34を弾性変形しやすくすることができる。また、受力体側変形体33の長さおよび支持体側変形体34の長さをそれぞれ確保しながら、起歪体30A~30Dの高さを低減することができる。このため、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33と支持体側変形体34は、第2方向(X軸方向またはY軸方向)において互いに異なる位置に配置されている。このことにより、Z軸方向に直交する方向の力に対して変位部40を変位しやすくすることができる。このため、当該方向の力に対して変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくすることができ、当該方向の力の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、傾動体32は、第2方向(X軸方向またはY軸方向)において受力体側変形体33と支持体側変形体34との間に配置されている。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、傾動体32を回動させやすくすることができる。このため、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくすることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体10の中心Oに対してY軸方向負側に第1起歪体30Aが配置され、X軸方向正側に第2起歪体30Bが配置され、Y軸方向正側に第3起歪体30Cが配置され、X軸方向負側に第4起歪体30Dが配置されている。そして、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cの第2方向をX軸方向とし、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dの第2方向をY軸方向としている。このことにより、Z軸方向で見たときに、第1起歪体30A~第4起歪体30Dを、受力体10の中心Oに対して環状に配置することができる。また、第1起歪体30A~第4起歪体30Dを、受力体10の中心Oの周囲に均等に配置することができる。このため、任意の方向の力またはモーメントの検出精度を向上させることができ、力またはモーメントの検出精度が、方向によって低下することを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側変形体33が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの支持体側変形体34が配置されている。このことにより、Z軸周りのモーメントが作用した場合に、受力体10を変位させやすくすることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、検出素子50は、支持体20に設けられた固定電極基板Ef1~Ef8と、変位部40の梁41に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8と、を有している。このことにより、固定電極基板Ef1~Ef8と変位電極基板Ed1~Ed8とで構成される容量素子C1~C8の静電容量値の変化を検出することにより、変位部40に生じた変位を検出することができる。このため、検出された変位に基づいて、受力体10に作用した力またはモーメントを検出することができる。
また、本実施の形態によれば、変位部40は、変形部31の傾動体32に接続された第2方向(X軸方向またはY軸方向)に延びる梁41を含み、梁41に、第2方向において互いに異なる位置に第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2が配置されている。このことにより、受力体10に作用する力によって傾動体32が回動した場合に、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1とで構成される第1容量素子C1の静電容量値の変化量と、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2とで構成される第2容量素子C2の静電容量値の変化量とを、互いに異ならせることができる。このため、受力体10に作用した力の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状が、矩形になっている。このことにより、起歪体30A~30Dの配置に沿って受力体10および支持体20を形成することができ、スペース効率が良い力覚センサ1を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体30A~30Dの変形部31は、Z軸方向で見たときに第2方向に沿って直線状に形成されている。このことにより、変形部31を板状に形成することができる。例えば、変形部31を、板材から容易に作製することができる。
(第1変形例)
なお、上述した本実施の形態においては、検出素子50は、図4Aおよび図4Bに示すように、第1起歪体30A用の電極として、2つの固定電極基板Ef1、Ef2と、2つの変位電極基板Ed1、Ed2と、を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、検出素子50を構成する電極の個数は任意である。
例えば、図10Aおよび図10Bに示すように、検出素子50は、第1起歪体30A用の電極として、4つの固定電極基板Ef21~Ef24と、4つの変位電極基板Ed21~Ed24と、を有していてもよい。図10Aは、図4Aの検出素子の変形例として、4つの変位電極を示す平面断面図である。図10Bは、図10Aの変位電極に対向する固定電極を示す平面図である。
図10Aおよび図10Bに示す例においては、図4Bに示す第1変位電極基板Ed1が、Y軸方向において互いに異なる位置に配置された2つの電極に分割され、第2変位電極基板Ed2が、Y軸方向において互いに異なる位置に配置された2つの電極に分割されている。4つの固定電極基板Ef21~Ef24は、第1固定電極基板Ef21と第2固定電極基板Ef22と第3固定電極基板Ef23と第4固定電極基板Ef24とを有している。4つの変位電極基板Ed21~Ed24は、第1変位電極基板Ed21と第2変位電極基板Ed22と第3変位電極基板Ed23と第4変位電極基板Ed24とを有している。第1固定電極基板Ef21と第1変位電極基板Ed21とで第1容量素子C21が構成され、第2固定電極基板Ef22と第2変位電極基板Ed22とで第2容量素子C22が構成されている。第3固定電極基板Ef23と第3変位電極基板Ed23とで第3容量素子C23が構成され、第4固定電極基板Ef24と第4変位電極基板Ed24とで第4容量素子C24が構成されている。
図10Aにおいては、変位部40の基端部42よりもX軸方向正側に第1変位電極基板Ed21および第2変位電極基板Ed22が配置されており、第1変位電極基板Ed21がY軸方向正側に配置され、第2変位電極基板Ed22がY軸方向負側に配置されている。変位部40の基端部42よりもX軸方向負側に第3変位電極基板Ed23および第4変位電極基板Ed24が配置されており、第3変位電極基板Ed23がY軸方向負側に配置され、第4変位電極基板Ed24がY軸方向正側に配置されている。
図10Bに示すように、第1固定電極基板Ef21は第1変位電極基板Ed21に対向する位置に配置されており、第1変位電極基板Ed21の下方に配置されている。第2固定電極基板Ef22は第2変位電極基板Ed22に対向する位置に配置されており、第2変位電極基板Ed22の下方に配置されている。第3固定電極基板Ef23は第3変位電極基板Ed23に対向する位置に配置されており、第3変位電極基板Ed23の下方に配置されている。第4固定電極基板Ef24は第4変位電極基板Ed24に対向する位置に配置されており、第4変位電極基板Ed24の下方に配置されている。
第1容量素子C21および第4容量素子C24は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第2容量素子C22および第3容量素子C23は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
固定電極基板Ef21~Ef24および変位電極基板Ed21~Ed24の平面形状は、図4Bに示す検出素子50の固定電極基板Ef1、Ef2および変位電極基板Ed1、Ed2と同様に、矩形になっていてもよい。また、Z軸方向で見たときに、図4Bに示す検出素子50と同様に、各固定電極基板Ef21~Ef24の平面形状は、対応する変位電極基板Ed21~Ed24の平面形状よりも大きくてもよい。このことにより、各変位電極基板Ed21~Ed24が変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Ef(いずれも図4A参照)の対向面積が変化することを防止でき、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。
ここで、図10Aおよび図10Bに示す変形例における力覚センサ1に作用する力またはモーメントを検出する方法について図11を参照して説明する。図11は、図10の検出素子における各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図6Aに示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。第1起歪体30Aの傾動体32が反時計回りに回動してZ軸方向に対して傾斜すると、第1変位電極基板Ed21が第1固定電極基板Ef21から遠ざかるとともに、第2変位電極基板Ed22が第2固定電極基板Ef22から遠ざかる。このことにより、第1容量素子C21の静電容量値および第2容量素子C22の静電容量値が減少する。一方、第3変位電極基板Ed23が第3固定電極基板Ef23に近づくとともに第4変位電極基板Ed24が第4固定電極基板Ef24に近づく。このことにより、第3容量素子C23の静電容量値および第4容量素子C24の静電容量値が増大する。
受力体10にY軸方向正側に力Fyが作用した場合には、第1起歪体30AはX軸周りに(X軸方向正側に向かって反時計回りに)回動する。このことにより、第1変位電極基板Ed21が第1固定電極基板Ef21に近づくとともに、第4変位電極基板Ed24が第4固定電極基板Ef24に近づく。このことにより、第1容量素子C21の静電容量値および第4容量素子C24の静電容量値が増大する。一方、第2変位電極基板Ed22が第2固定電極基板Ef22から遠ざかるとともに第3変位電極基板Ed23が第3固定電極基板Ef23から遠ざかる。このことにより、第2容量素子C22の静電容量値および第3容量素子C23の静電容量値が減少する。
第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図7Aに示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形する。傾動体32が反時計回りに回動した場合であっても、変位部40の梁41が全体的に上方に変位するため、各容量素子C21~C24の静電容量値が減少する。
このようにして、各容量素子C21~C24の静電容量値の変化が検出されると、受力体10に作用した力の向きと大きさが検出される。そして、図11に示すように、各容量素子C21~C24の静電容量値が変化する。
図11に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の3軸成分を検出することができる。以下の式中のC21~C24は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式7]
Fx=-C21-C22+C23+C24
[式8]
Fy=+C21-C22-C23+C24
[式9]
Fz=-C21-C22-C23-C24
なお、第1起歪体30AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C21および第2容量素子C22の静電容量値の変化量と、第3容量素子C23および第4容量素子C24の静電容量値の変化量とが異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得るが、上述した補正演算を行うことにより、力の3軸成分を検出することができる。
第1起歪体30A以外に第2起歪体30B~第4起歪体30Dのそれぞれについても、4つの固定電極基板と、4つの変位電極基板(いずれも図示せず)と、を有していてもよい。
このように、各起歪体30A~30Dの変位部40の変位を4つの固定電極基板と4つの変位電極基板とで検出することにより、力の6軸成分を検出することができる。この際、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cで力Fyを検出することができるとともに、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dで力Fxを検出することができる。すなわち、各起歪体30A~30Dで力の3軸成分を検出することができ、このため、検出精度をより一層向上させることができる。
なお、図10Aに示すように検出素子50が構成される場合には、受力体10と支持体20とが4つの起歪体30A~30Dで接続されていることに限られることはなく、1つのみの起歪体(例えば、第1起歪体30A)で接続されるようにしてもよい。この場合においても、この1つの起歪体によって、力の3軸成分を検出することができる。
(第2変形例)
また、上述した本実施の形態においては、梁41のX軸方向の長さが比較的短く、Z軸方向正側の力Fzが作用した場合に第2容量素子C2の静電容量値が減少する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、梁41のX軸方向の長さが比較的長く、Z軸方向正側の力Fzが作用した場合に第2容量素子C2の静電容量値が増大するようにしてもよい。例えば、図12Aおよび図12Bに示すように、梁41が受力体側変形体33を越えてX軸方向正側に延びていてもよく、支持体側変形体34を越えてX軸方向負側に延びていてもよい。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用して傾動体32が回動した場合に、変位電極の変位を大きくすることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
図12Bに示す変形例では、梁41は、Z軸方向で見たときに、傾動体32のY軸方向における両側に形成されている。すなわち、梁41は、梁41のX軸方向負側の端部に延びるスリット状開口43を有していてもよい。この場合、梁41と支持体側変形体34との干渉を回避することができる。また、梁41は、梁41のX軸方向正側の端部に延びるスリット状開口44を有していてもよい。また、梁41は、図12Bに示すような形状に限られることはない。例えば、梁41は、Z軸方向で見たときに、傾動体32のX軸方向における一側のみに形成されて、他側には形成されていなくてもよい。
また、図12Bに示す変形例では、梁41には、図10Bに示す変形例と同様に、4つの変位電極基板Ed21~Ed24が設けられていてもよい。しかしながら、これに限られることはない。例えば、梁41には、X軸方向正側の端部に1つの変位電極を設けるとともに、X軸方向負側の端部に1つの変位電極を設けるようにしてもよい。
図12Aおよび図12Bに示す変形例においては、第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合の容量素子C21~C24の静電容量値の変化が、図4Aに示す容量素子C1、C2とは異なる。
すなわち、図12Aに示す第1起歪体30Aにおいては、Z軸方向正側の力Fzの作用によって、第1容量素子C21および第2容量素子C22の静電容量値は減少する。一方、梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3変位電極基板Ed23が第3固定電極基板Ef23に近づくとともに、第4変位電極基板Ed24が第4固定電極基板Ef24に近づく。このため、第3容量素子C23および第4容量素子C24の静電容量値は増大する。
また、Z軸方向負側の力Fzの作用によって、第1容量素子C21および第2容量素子C22の静電容量値は増大する。一方、梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3変位電極基板Ed23が第3固定電極基板Ef23から遠ざかるとともに、第4変位電極基板Ed24が第4固定電極基板Ef24から遠ざかる。このため、第3容量素子C23および第4容量素子C24の静電容量値は減少する。
図12Aでは、力Fzに対して容量素子C21~C24が上述のように変化するために、梁41のX軸方向の長さが十分に長い例が示されている。しかしながら、梁41のX軸方向の長さは、図12Aに示す例に限られることはない。
なお、図12Aに示した第1起歪体30Aの構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも適用されていてもよい。また、上述した第1起歪体30Aに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dに同様に適用されていてもよい。すなわち、図5に示す力覚センサ1における第1起歪体30A~第4起歪体30Dが、図12Aに示す第1起歪体30Aで置き換えられていてもよい。この場合、各容量素子の静電容量値の変化は、図8に示す変化とは異なるが、力の6軸成分を検出することができる。
(第3変形例)
また、上述した本実施の形態においては、受力体10の平面形状が、矩形である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、受力体10の平面形状は、図13に示すように、円形であってもよい。この場合、支持体20の平面形状も円形であってもよい。また、外装体80の平面断面形状は、円形枠の形状であってもよい。すなわち、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの少なくとも一方は、円形であってもよい。この場合、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状のうちの一方が円形で、他方が円形以外の形状であってもよい。なお、受力体10の平面形状は、円形以外にも、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。支持体20についても同様である。外装体80の平面断面形状も、受力体10の平面形状および支持体20の平面形状に対応させて、多角形枠、楕円形枠等の他の形状であってもよい。
また、図13に示すように受力体10の平面形状が円形である場合には、各起歪体30A~30Dの変形部31は、Z軸方向で見たときに、第2方向(X軸方向またはY軸方向)に沿って直線状に形成されていることに限られることはない。例えば、図14に示すように、各起歪体30A~30Dの変形部31は、Z軸方向で見たときに、湾曲状に形成されていてもよい。この場合、変形部31は、受力体10と同芯状に湾曲状に形成されていてもよい。すなわち、4つの起歪体30A~30Dの変形部31は、円形の環状をなすように配置されていてもよい。なお、各起歪体30A~30Dの変形部31が湾曲状に形成されている場合、受力体10の平面形状は矩形であってもよい。この場合、支持体20の平面形状は矩形であってもよい。
(第4変形例)
また、上述した本実施の形態においては、起歪体30A~30Dの受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331と、X軸方向またはY軸方向に延びる第2受力体側延在部332と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図15に示すように、受力体側変形体33は、第2受力体側延在部332を含んでいなくてもよい。図15は、図4Aの起歪体の他の変形例を示す正面である。図15に示す変形例では、受力体側変形体33は、全体的にZ軸方向に延びるように形成される。また、この場合、受力体側変形体33は、傾動体32における受力体10の側の端部(図15における上側の端部32e)に接続されるようにしてもよい。この場合においても、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、第1受力体側延在部331を弾性変形させることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。また、図15に示す第1起歪体30Aは、図4Aに示す第1起歪体30Aよりも構造を簡素化することができ、低価格化を図ることができる。
同様に、上述した本実施の形態において、起歪体30A~30Dの支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341と、X軸方向またはY軸方向に延びる第2支持体側延在部342と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図15に示すように、支持体側変形体34は、第2支持体側延在部342を含んでいなくてもよい。この場合、支持体側変形体34は、全体的にZ軸方向に延びるように形成される。また、この場合、支持体側変形体34は、傾動体32における支持体20の側の端部(図15における下側の端部32f)に接続されるようにしてもよい。この場合においても、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、第1支持体側延在部341を弾性変形させることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。また、図15に示す第1起歪体30Aは、図4Aに示す第1起歪体30Aよりも構造を簡素化することができ、低価格化を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図16A~図20を用いて、本発明の第2の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図16A~図20に示す第2の実施の形態においては、起歪体が、2つの変位部を有している点が主に異なり、他の構成は、図1~図14に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図16A~図20において、図1~図14に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図16Aおよび図16Bを参照して説明する。図16Aは、第2の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。図16Bは、図16Aの起歪体のD-D線断面図である。
本実施の形態による力覚センサ1においては、図16Aに示すように、第1起歪体30Aは、2つの変形部31A、31Bと、2つの変位部40A、40Bと、を有している。
2つの変形部31A、31Bは、第1変形部31Aと、第2方向(第1起歪体30Aの場合にはX軸方向)において第1変形部31Aとは異なる位置に配置された第2変形部31Bと、を有している。第1変形部31Aは、X軸方向正側に配置され、第2変形部31Bは、X軸方向負側に配置されている。第1変形部31Aと第2変形部31Bは、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
第1変形部31Aは、図4Aに示す第1起歪体30Aの変形部31をX軸方向で反転した構成を有している。すなわち、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向負側に配置されている。第2変形部31Bは、図4Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様の構成を有している。すなわち、第2変形部31Bの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。
本実施の形態においては、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、第1変形部31Aの支持体側変形体34よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの受力体側変形体33は、第2変形部31Bの支持体側変形体34よりも第1変形部31Aの側に配置されている。このように、受力体側変形体33同士が互いに近づくように第1変形部31Aと第2変形部31Bが配置されている。
2つの変位部40A、40Bは、第1変形部31Aの傾動体32に接続された第1変位部40Aと、第2変形部31Bの傾動体32に接続された第2変位部40Bと、を有している。第1変位部40Aは、第1変形部31Aに生じた弾性変形により変位を生じるように構成されている。第2変位部40Bは、第2変形部31Bに生じた弾性変形により変位を生じるように構成されている。各変位部40A、40Bは、図4Aに示す変位部40と同様に、梁41と、基端部42と、を含んでいる。
図16Aに示すように、検出素子50は、第1起歪体30A用の電極として、4つの固定電極基板Ef1~Ef4と、4つの変位電極基板Ed1~Ed4と、を有している。4つの変位電極基板Ed1~Ed4は、第1変位部40Aの梁41に設けられた第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2と、第2変位部40Bの梁41に設けられた第3変位電極基板Ed3および第4変位電極基板Ed4と、を有している。4つの固定電極基板Ef1~Ef4は、支持体20に設けられた第1固定電極基板Ef1、第2固定電極基板Ef2、第3固定電極基板Ef3および第4固定電極基板Ef4を有している。本実施の形態においては、固定電極基板Ef1~Ef4は、支持体20の受力体10の側の面に設けられている。なお、固定電極基板Ef1~Ef4は、受力体10の支持体20の側の面に設けられていてもよい。この場合、変位電極基板Ed1~Ed4は、傾動体32の受力体10の側の面に設けられていてもよい。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向し、第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向している。第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向し、第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向している。第1固定電極基板Ef1と第1変位電極基板Ed1とで第1容量素子C1が構成され、第2固定電極基板Ef2と第2変位電極基板Ed2とで第2容量素子C2が構成されている。第3固定電極基板Ef3と第3変位電極基板Ed3とで第3容量素子C3が構成され、第4固定電極基板Ef4と第4変位電極基板Ed4とで第4容量素子C4が構成されている。
第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、X軸方向におい互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向正側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向正側の端部に配置されている。第2変位電極基板Ed2は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向負側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向負側の端部に配置されている。第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向する位置に配置されており、第1変位電極基板Ed1の下方に配置されている。第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向する位置に配置されており、第2変位電極基板Ed2の下方に配置されている。第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
第3変位電極基板Ed3および第4変位電極基板Ed4は、X軸方向におい互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第3変位電極基板Ed3は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向正側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向正側の端部に配置されている。第4変位電極基板Ed4は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向負側に配置されており、より具体的には、梁41のX軸方向負側の端部に配置されている。第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向する位置に配置されており、第3変位電極基板Ed3の下方に配置されている。第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向する位置に配置されており、第4変位電極基板Ed4の下方に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。さらに、各容量素子C1~C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
なお、本実施の形態においては、図16A~図18では明瞭に示していないが、変位部40A、40Bの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されている例について説明する。このような梁41の一例は、図12Aに示されている。このため、Z軸方向正側の力Fzが作用した場合に、後述するように、第1変位電極基板Ed1が第1固定電極基板Ef1に近づくとともに、第2変位電極基板Ed2が第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。また、第3変位電極基板Ed3が第3固定電極基板Ef3から遠ざかるとともに、第4変位電極基板Ed4が第4固定電極基板Ef4に近づく。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。また、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに、第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
なお、図示しないが、上述した第1起歪体30Aの構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも適用されていてもよい。また、上述した第1起歪体30Aに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dに同様に適用されていてもよい。すなわち、図5に示す力覚センサ1における第1起歪体30A~第4起歪体30Dが、図16Aに示す第1起歪体30Aで置き換えられていてもよい。
次に、図16Aに示す第1起歪体30AにX軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の各容量素子C1~C4の静電容量値の変化について図17~図19を参照して説明する。図17は、図16Aの起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図18は、図16Aの起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図19は、図16Aの起歪体における各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
本実施の形態による第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図17に示すように、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形するとともに、第2変形部31Bの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。第1変形部31Aは、図6Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。また、第2変形部31Bは、図6Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
(-Fxが作用した場合)
また、第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合(図示せず)には、図17に示す弾性変形とは反対方向に弾性変形する。すなわち、第1変形部31Aは、図6Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。また、第2変形部31Bは、図6Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
(+Fyが作用した場合)
また、第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合(図示せず)には、第1起歪体30AはX軸周りに(X軸方向正側に向かって時計回りに)回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C1~C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体30AがX軸周りに回動したとしても、第1容量素子C1全体としては、静電容量値の変化は現れない。第2容量素子C2、第3容量素子C3および第4容量素子C4についても同様である。
(-Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合においても、同様に、各容量素子C1~C4全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
(+Fzが作用した場合)
また、受力体10にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図18に示すように、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形するとともに、第2変形部31Bの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形する。第1変形部31Aは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Aの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。また、第2変形部31Bは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Bの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
(-Fzが作用した場合)
また、第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合(図示せず)には、図18に示す弾性変形とは反対方向に弾性変形する。すなわち、第1変形部31Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Aの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。また、第2変形部31Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Bの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
上述した各力Fx、Fy、Fzに対する各容量素子C1~C4の静電容量値の変化が、図19に示されている。図19に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fzは、以下の[式10]、[式11]および[式12]のいずれかで算出することができる。すなわち、各式で算出された静電容量値の変化量をそれぞれ変換することにより、力Fx、Fzが算出される。これにより、力の2軸成分を検出することができる。以下の式中のC1~C4は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式10]
Fx=+C2-C3
Fz=-C2-C3
[式11]
Fx=-C1+C4
Fz=-C1-C4
[式12]
Fx=-C1+C2-C3+C4
Fz=+C1-C2-C3+C4
このように、力Fx、Fzは、[式12]に示すように、各容量素子C1~C4の静電容量値の変化量から算出することができるが、これに限られることはない。
例えば、[式10]に示すように、第2容量素子C2の静電容量値の変化量と第3容量素子C3の静電容量値の変化量とから算出することもできる。この場合、第1変位部40Aの梁41は、基端部42からX軸方向負側に延びていれば、X軸方向正側に延びていなくてもよい。そして、第2変位部40Bの梁41は、基端部42からX軸方向正側に延びていれば、X軸方向負側に延びていなくてもよい。すなわち、各変位部40A、40Bの梁41が、内向きに延びていれば、外向きに延びていなくてもよい。
また、例えば、[式11]に示すように、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と第4容量素子C4の静電容量値の変化量とから算出することもできる。この場合、第1変位部40Aの梁41は、基端部42からX軸方向正側に延びていれば、X軸方向負側に延びていなくてもよい。そして、第2変位部40Bの梁41は、基端部42からX軸方向負側に延びていれば、X軸方向正側に延びていなくてもよい。すなわち、各変位部40A、40Bの梁41が、外向きに延びていれば、内向きに延びていなくてもよい。
上述したように、本実施の形態では、第1起歪体30A用の検出素子50が、4つの固定電極基板Ef1~Ef4と、4つの変位電極基板Ed1~Ed4と、を有している。このことにより、力Fzを、差分演算で算出することができる。すなわち、第1起歪体30AにZ軸方向の力Fzが作用した場合、第1変形部31Aの変形形状と第2変形部31Bの変形形状は、X軸方向で互いに反転した形状となる。この場合、第1変形部31Aに接続された第1変位部40Aに設けられた変位電極基板Ed1、Ed2で構成される容量素子C1、C2の静電容量値の変化量と、第2変形部31Bに接続された第2変位部40Bに設けられた変位電極基板Ed3、Ed4で構成される容量素子C3、C4の静電容量値の変化量との差分で、受力体10に作用したZ軸方向の力Fzを算出することができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。
なお、上述した[式12]においても、各容量素子の静電容量値の変化量の差分で力Fx、Fzを算出することができる。このため、力Fx、Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。また、上述した[式10]~[式12]を用いて力Fx、Fzを算出する場合、他軸感度が発生の抑制することができる。
また、図16Aおよび図16Bに示す第1起歪体30Aの第1変位部40Aおよび第2変位部40Bのそれぞれに、図10Aに示すような4つの容量素子C21~C24を構成する4つの変位電極基板Ed1~Ed4が設けられていてもよい。この場合、第1起歪体30Aの第1変位部40Aの変位および第2変位部40Bの変位を、それぞれ4つの容量素子C21~C24で検出することができる。この場合、Y軸方向の力Fyを検出することが可能になる。このため、力Fx、Fy、Fzの3軸成分を検出することが可能になる。
このように本実施の形態によれば、第1起歪体30Aが、2つの変形部31A、31Bと、2つの変位部40A、40Bと、を有しており、第1変位部40Aが、第1変形部31Aに生じた弾性変形により変位し、第2変位部40Bが、第2変形部31Bに生じた弾性変形により変位するように構成されている。このことにより、第1起歪体30Aの弾性変形により変位する変位部の個数を増大させることができる。この場合、各変位部40A、40Bに、変位電極をそれぞれ配置することができ、受力体10に作用した力またはモーメントを検出するための容量素子の個数を増大させることができる。このため、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、第1変形部31Aの支持体側変形体34よりも第2変形部31Bの側に配置され、第2変形部31Bの受力体側変形体33は、第2変形部31Bの支持体側変形体34よりも第1変形部31Aの側に配置されている。このことにより、第1変形部31Aと第2変形部31Bを、Y軸方向で見たときに、X軸方向で互いに反転した形状で形成することができる。この場合、第1変形部31Aに接続された第1変位部40Aに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量と、第2変形部31Bに接続された第2変位部40Bに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量との差分で、受力体10に作用したZ軸方向の力Fzを算出することができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
(第5変形例)
なお、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aが、第1変形部31Aと第2変形部31Bとを有し、第1変形部31Aおよび第2変形部31Bがそれぞれ受力体側変形体33を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図20に示すように、第1変形部31Aの受力体側変形体33と第2変形部31Bの受力体側変形体33とは一体化されていてもよい。図20は、図16Aの起歪体の変形例を示す正面図である。
例えば、図20に示すように、第1起歪体30Aは、1つの変形部31と、2つの変位部40A、40Bと、を有していてもよい。
変形部31は、2つの傾動体32A、32Bと、1つの受力体側変形体33と、2つの支持体側変形体34A、34Bと、を有していてもよい。2つの傾動体32A、32Bは、第1傾動体32Aと、第2方向(第1起歪体30Aの場合にはX軸方向)において第1傾動体32Aとは異なる位置に配置された第2傾動体32Bと、を有している。第1傾動体32Aは、X軸方向正側に配置され、第2傾動体32Bは、X軸方向負側に配置されている。2つの支持体側変形体34A、34Bは、第1傾動体32Aと支持体20とを接続する第1支持体側変形体34Aと、第2傾動体32Bと支持体20とを接続する第2支持体側変形体34Bと、を有している。第1支持体側変形体34Aは、X軸方向正側に配置され、第2支持体側変形体34Bは、X軸方向負側に配置されている。
受力体側変形体33は、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとの間に配置されて、第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bを受力体10に接続している。図20に示す例においては、受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる1つの第1受力体側延在部331と、X軸方向に延びる2つの第2受力体側延在部332a、332bと、を含んでいてもよい。第1受力体側延在部331は、受力体10に接続されている。第2受力体側延在部332aは、第1受力体側延在部331と第1傾動体32Aとを接続しており、第2受力体側延在部332bは、第1受力体側延在部331と第2傾動体32Bとを接続している。図20に示す例による受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときに逆T字状に形成されている。
2つの変位部40A、40Bは、第1傾動体32Aに接続された第1変位部40Aと、第2傾動体32Bに接続された第2変位部40Bと、を有していてもよい。第1変位部40Aおよび第2変位部40Bはそれぞれ、変形部31に生じた弾性変形により変位を生じるように構成されている。
図20に示す第1起歪体30Aの変形部31は、力Fx、Fy、Fzに対して、図16Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形することができる。このため、図16Aに示す第1起歪体30Aと同様にして、各力Fy、Fzが作用した場合に、各容量素子C1~C4の静電容量値を変化させることができ、力Fy、Fzを検出することができる。
また、図20に示す変形例によれば、1つの受力体側変形体33で、受力体10と第1傾動体32Aが接続されるとともに、受力体10と第2傾動体32Bが接続される。このことにより、図16Aに示す第1起歪体30Aに対して、受力体側変形体33の個数を低減することができる。このため、第1起歪体30Aの構成を簡素化し、コンパクト化させることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図21~図25を用いて、本発明の第3の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図21~図25に示す第3の実施の形態においては、第1変形部の支持体側変形体が、第1変形部の受力体側変形体よりも第2変形部の側に配置され、第2変形部の支持体側変形体が、第2変形部の受力体側変形体よりも第1変形部の側に配置されている点が主に異なり、他の構成は、図16A~図20に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図21~図25において、図16A~図20に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図21を参照して説明する。図21は、第3の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。
本実施の形態による力覚センサ1の第1起歪体30Aは、主として、図16Aに示す第1起歪体30Aとは、受力体側変形体33と支持体側変形体34の配置が異なる点で相違している。
より具体的には、本実施の形態による第1変形部31Aは、図4Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様の構成を有しているとともに、図16Aに示す第1起歪体30Aの第2変形部31Bと同様の構成を有している。すなわち、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向正側に配置されている。
本実施の形態による第2変形部31Bは、図4Aに示す第1起歪体30Aの変形部31をY軸方向で反転した構成を有しているとともに、図16Aに示す第1起歪体30Aの第1変形部31Aと同様の構成を有している。すなわち、第2変形部31Bの受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりもX軸方向負側に配置されている。
本実施の形態においては、第1変形部31Aの支持体側変形体34は、第1変形部31Aの受力体側変形体33よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの支持体側変形体34は、第2変形部31Bの受力体側変形体33よりも第1変形部31Aの側に配置されている。このように、支持体側変形体34同士が互いに近づくように第1変形部31Aと第2変形部31Bが配置されている。
図21に示すように、検出素子50は、図16Aおよび図16Bに示す検出素子50と同様に構成されていてもよい。
なお、図示しないが、上述した第1起歪体30Aの構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも適用されていてもよい。また、上述した第1起歪体30Aに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dに同様に適用されていてもよい。すなわち、図5に示す力覚センサ1における第1起歪体30A~第4起歪体30Dが、図21に示す第1起歪体30Aで置き換えられていてもよい。
次に、図21に示す第1起歪体30AにX軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の各容量素子C1~C4の静電容量値の変化について図22~図24を参照して説明する。図22は、図21の起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図23は、図21の起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。図24は、図21の起歪体における各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
本実施の形態による第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図22に示すように、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形するとともに、第2変形部31Bの受力体側変形体33および支持体側変形体34がX軸方向に弾性変形する。第1変形部31Aは、図6Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。また、第2変形部31Bは、図6Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
(-Fxが作用した場合)
また、第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合(図示せず)には、図21に示す弾性変形とは反対方向に弾性変形する。すなわち、第1変形部31Aは、図6Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。また、第2変形部31Bは、図6Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
(+Fyが作用した場合)
また、第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合(図示せず)には、第1起歪体30AはX軸周りに(Y軸方向正側に向かって時計回りに)回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C1~C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体30AがX軸周りに回動したとしても、第1容量素子C1全体としては、静電容量値の変化は現れない。第2容量素子C2、第3容量素子C3および第4容量素子C4についても同様である。
(-Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合においても、同様に、各容量素子C1~C4全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
(+Fzが作用した場合)
また、受力体10にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図23に示すように、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形するとともに、第2変形部31Bの受力体側変形体33および支持体側変形体34が弾性変形する。第1変形部31Aは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Aの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。また、第2変形部31Bは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Bの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
(-Fzが作用した場合)
また、第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合(図示せず)には、図23に示す弾性変形とは反対方向に弾性変形する。すなわち、第1変形部31Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Aの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。また、第2変形部31Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。変位部40Bの梁41のX軸方向の長さが比較的長く形成されているため、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
上述した各力Fx、Fy、Fzに対する各容量素子C1~C4の静電容量値の変化が、図24に示されている。図24に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fzは、以下の[式13]、[式14]および[式15]のいずれかで算出することができる。すなわち、各式で算出された静電容量値の変化量をそれぞれ変換することにより、力Fx、Fzが算出される。これにより、力の2軸成分を検出することができる。以下の式中のC1~C4は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式13]
Fx=-C1+C4
Fz=-C1-C4
[式14]
Fx=+C2-C3
Fz=+C2+C3
[式15]
Fx=-C1+C2-C3+C4
Fz=-C1+C2+C3-C4
このように、力Fx、Fzは、[式15]に示すように、各容量素子C1~C4の静電容量値の変化量から算出することができるが、これに限られることはない。
例えば、[式13]に示すように、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と第4容量素子C4の静電容量値の変化量とから算出することもできる。この場合、第1変位部40Aの梁41は、基端部42からX軸方向正側に延びていれば、X軸方向負側に延びていなくてもよい。そして、第2変位部40Bの梁41は、基端部42からX軸方向負側に延びていれば、X軸方向正側に延びていなくてもよい。すなわち、各変位部40A、40Bの梁41が、外向きに延びていれば、内向きに延びていなくてもよい。
例えば、[式14]に示すように、第2容量素子C2の静電容量値の変化量と第3容量素子C3の静電容量値の変化量とから算出することもできる。この場合、第1変位部40Aの梁41は、基端部42からX軸方向負側に延びていれば、X軸方向正側に延びていなくてもよい。そして、第2変位部40Bの梁41は、基端部42からX軸方向正側に延びていれば、X軸方向負側に延びていなくてもよい。すなわち、各変位部40A、40Bの梁41が、内向きに延びていれば、外向きに延びていなくてもよい。
上述したように、本実施の形態では、第1起歪体30A用の検出素子50が、4つの固定電極基板Ef1~Ef4と、4つの変位電極基板Ed1~Ed4と、を有している。このことにより、力Fzを、差分演算で検出することができる。すなわち、第1起歪体30AにZ軸方向の力Fzが作用した場合、第1変形部31Aの変形形状と第2変形部31Bの変形形状は、X軸方向で互いに反転した形状となる。この場合、第1変形部31Aに接続された第1変位部40Aに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量と、第2変形部31Bに接続された第2変位部40Bに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量との差分で、受力体10に作用したZ軸方向の力Fzを算出することができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。
なお、上述した[式15]においても、各容量素子の静電容量値の変化量の差分で力Fx、Fzを算出することができる。このため、力Fx、Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。また、上述した[式13]~[式15]を用いて力Fx、Fzを算出する場合、他軸感度が発生の抑制することができる。
また、図21に示す第1起歪体30Aの第1変位部40Aおよび第2変位部40Bのそれぞれに、図10に示すような4つの容量素子C21~C24を構成する4つの変位電極基板Ed1~Ed4が設けられていてもよい。この場合、第1起歪体30Aの第1変位部40Aの変位および第2変位部40Bの変位を、それぞれ4つの容量素子C21~C24で検出することができる。この場合、Y軸方向の力Fyを検出することが可能になる。このため、力Fx、Fy、Fzの3軸を検出することが可能になる。
このように本実施の形態によれば、第1変形部31Aの支持体側変形体34は、第1変形部31Aの受力体側変形体33よりも第2変形部31Bの側に配置され、第2変形部31Bの支持体側変形体34は、第2変形部31Bの受力体側変形体33よりも第1変形部31Aの側に配置されている。このことにより、第1変形部31Aと第2変形部31Bを、Y軸方向で見たときに、X軸方向で互いに反転した形状で形成することができる。この場合、第1変形部31Aに接続された第1変位部40Aに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量と、第2変形部31Bに接続された第2変位部40Bに設けられた変位電極で構成される容量素子の静電容量値の変化量との差分で、受力体10に作用したZ軸方向の力Fzを算出することができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
(第6変形例)
なお、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aが、第1変形部31Aと第2変形部31Bとを有し、第1変形部31Aおよび第2変形部31Bがそれぞれ支持体側変形体34を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図25に示すように、第1変形部31Aの支持体側変形体34と第2変形部31Bの支持体側変形体34とは一体化されていてもよい。図25は、図21の起歪体の変形例を示す正面図である。
例えば、図25に示すように、第1起歪体30Aは、1つの変形部31と、2つの変位部40A、40Bと、を有していてもよい。
変形部31は、2つの傾動体32A、32Bと、2つの受力体側変形体33A、33Bと、1つの支持体側変形体34と、を有していてもよい。2つの傾動体32A、32Bは、第1傾動体32Aと、第2方向(第1起歪体30Aの場合にはX軸方向)において第1傾動体32Aとは異なる位置に配置された第2傾動体32Bと、を有している。第1傾動体32Aは、X軸方向正側に配置され、第2傾動体32Bは、X軸方向負側に配置されている。2つの受力体側変形体33A、33Bは、第1傾動体32Aと受力体10とを接続する第1受力体側変形体33Aと、第2傾動体32Bと受力体10とを接続する第2受力体側変形体33Bと、を有している。第1受力体側変形体33Aは、X軸方向正側に配置され、第2受力体側変形体33Bは、X軸方向負側に配置されている。
支持体側変形体34は、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとの間に配置されて、第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bを支持体20に接続している。図25に示す例においては、支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる1つの第1支持体側延在部341と、X軸方向に延びる2つの第2支持体側延在部342a、342bと、を含んでいてもよい。第1支持体側延在部341は、支持体20に接続されている。第2支持体側延在部342aは、第1支持体側延在部341と第1傾動体32Aとを接続しており、第2支持体側延在部342bは、第1支持体側延在部341と第2傾動体32Bとを接続している。図25に示す例による支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときにT字状に形成されている。
2つの変位部40A、40Bは、第1傾動体32Aに接続された第1変位部40Aと、第2傾動体32Bに接続された第2変位部40Bと、を有していてもよい。第1変位部40Aおよび第2変位部40Bはそれぞれ、変形部31に生じた弾性変形により変位を生じるように構成されている。
図25に示す第1起歪体30Aの変形部31は、力Fx、Fy、Fzに対して、図21に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形することができる。このため、図21に示す第1起歪体30Aと同様にして、各力Fy、Fzが作用した場合に、各容量素子C1~C4の静電容量値を変化させることができ、力Fy、Fzを検出することができる。
また、図25に示す変形例によれば、1つの支持体側変形体34で、支持体20と第1傾動体32Aが接続されるとともに、支持体20と第2傾動体32Bが接続される。このことにより、図21に示す第1起歪体30Aに対して、支持体側変形体34の個数を低減することができる。このため、第1起歪体30Aの構成を簡素化し、コンパクト化させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図26~図33を用いて、本発明の第4の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図26~図33に示す第4の実施の形態においては、第1起歪体および第3起歪体が、第2の実施の形態による第1起歪体と同様の構成を有し、第2起歪体および第4起歪体が、第3の実施の形態による第1起歪体と同様の構成を有している点が主に異なり、他の構成は、図16A~図20に示す第2の実施の形態および図21~図25に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図21~図25において、図16A~図20に示す第2の実施の形態および図21~図25に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図26および図27を参照して説明する。図26は、第4の実施の形態における力覚センサを示す断面図である。図27は、図26に示す力覚センサの起歪体を平面展開した図である。
図26および図27に示すように、本実施の形態による力覚センサ1の第1起歪体30Aは、図16Aに示す第1起歪体30Aと同様の構成を有している。図26および図27に示す第1起歪体30Aの第1変形部31Aは、X軸方向正側に配置され、第2変形部31Bは、X軸方向負側に配置されている。第1起歪体30Aにおいて、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、第1変形部31Aの支持体側変形体34よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの受力体側変形体33は、第2変形部31Bの支持体側変形体34よりも第1変形部31Aの側に配置されている。
第1起歪体30Aにおいて、第1容量素子C1を構成する第1変位電極基板Ed1は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向正側に配置されている。第1容量素子C1を構成する第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向する位置に配置されている。第2容量素子C2を構成する第2変位電極基板Ed2は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向負側に配置されている。第2容量素子C2を構成する第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向する位置に配置されている。第3容量素子C3を構成する第3変位電極基板Ed3は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向正側に配置されている。第3容量素子C3を構成する第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向する位置に配置されている。第4容量素子C4を構成する第4変位電極基板Ed4は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向負側に配置されている。第4容量素子C4を構成する第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向する位置に配置されている。
本実施の形態による力覚センサ1の第2起歪体30Bは、図21に示す第1起歪体30Aと同様の構成を有している。図27に示す第2起歪体30Bの第1変形部31Aは、Y軸方向正側に配置され、第2変形部31Bは、Y軸方向負側に配置されている。第2起歪体30Bにおいて、第1変形部31Aの支持体側変形体34は、第1変形部31Aの受力体側変形体33よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの支持体側変形体34は、第2変形部31Bの受力体側変形体33よりも第1変形部31Aの側に配置されている。
第2起歪体30Bにおいて、第5容量素子C5を構成する第5変位電極基板Ed5は、第1変位部40Aの基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第5容量素子C5を構成する第5固定電極基板Ef5は、第5変位電極基板Ed5に対向する位置に配置されている。第6容量素子C6を構成する第6変位電極基板Ed6は、第1変位部40Aの基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第6容量素子C6を構成する第6固定電極基板Ef6は、第6変位電極基板Ed6に対向する位置に配置されている。第7容量素子C7を構成する第7変位電極基板Ed7は、第2変位部40Bの基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第7容量素子C7を構成する第7固定電極基板Ef7は、第7変位電極基板Ed7に対向する位置に配置されている。第8容量素子C8を構成する第8変位電極基板Ed8は、第2変位部40Bの基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第8容量素子C8を構成する第8固定電極基板Ef8は、第8変位電極基板Ed8に対向する位置に配置されている。
本実施の形態による力覚センサ1の第3起歪体30Cは、図16Aに示す第1起歪体30Aと同様の構成を有している。図27に示す第3起歪体30Cの第1変形部31Aは、X軸方向負側に配置され、第2変形部31Bは、X軸方向正側に配置されている。第3起歪体30Cにおいて、第1変形部31Aの受力体側変形体33は、第1変形部31Aの支持体側変形体34よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの受力体側変形体33は、第2変形部31Bの支持体側変形体34よりも第1変形部31Aの側に配置されている。
第3起歪体30Cにおいて、第9容量素子C9を構成する第9変位電極基板Ed9は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向負側に配置されている。第9容量素子C9を構成する第9固定電極基板Ef9は、第9変位電極基板Ed9に対向する位置に配置されている。第10容量素子C10を構成する第10変位電極基板Ed10は、第1変位部40Aの基端部42よりもX軸方向正側に配置されている。第10容量素子C10を構成する第10固定電極基板Ef10は、第10変位電極基板Ed10に対向する位置に配置されている。第11容量素子C11を構成する第11変位電極基板Ed11は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向負側に配置されている。第11容量素子C11を構成する第11固定電極基板Ef11は、第11変位電極基板Ed11に対向する位置に配置されている。第12容量素子C12を構成する第12変位電極基板Ed12は、第2変位部40Bの基端部42よりもX軸方向正側に配置されている。第12容量素子C12を構成する第12固定電極基板Ef12は、第12変位電極基板Ed12に対向する位置に配置されている。
本実施の形態による力覚センサ1の第4起歪体30Dは、図21に示す第1起歪体30Aと同様の構成を有している。図27に示す第4起歪体30Dの第1変形部31Aは、Y軸方向負側に配置され、第2変形部31Bは、Y軸方向正側に配置されている。第4起歪体30Dにおいて、第1変形部31Aの支持体側変形体34は、第1変形部31Aの受力体側変形体33よりも第2変形部31Bの側に配置されている。第2変形部31Bの支持体側変形体34は、第2変形部31Bの受力体側変形体33よりも第1変形部31Aの側に配置されている。
第4起歪体30Dにおいて、第13容量素子C13を構成する第13変位電極基板Ed13は、第1変位部40Aの基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第13容量素子C13を構成する第13固定電極基板Ef13は、第13変位電極基板Ed13に対向する位置に配置されている。第14容量素子C14を構成する第14変位電極基板Ed14は、第1変位部40Aの基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第14容量素子C14を構成する第14固定電極基板Ef14は、第14変位電極基板Ed14に対向する位置に配置されている。第15容量素子C15を構成する第15変位電極基板Ed15は、第2変位部40Bの基端部42よりもY軸方向負側に配置されている。第15容量素子C15を構成する第15固定電極基板Ef15は、第15変位電極基板Ed15に対向する位置に配置されている。第16容量素子C16を構成する第16変位電極基板Ed16は、第2変位部40Bの基端部42よりもY軸方向正側に配置されている。第16容量素子C16を構成する第16固定電極基板Ef16は、第16変位電極基板Ed16に対向する位置に配置されている。
次に、図26および図27に示す力覚センサ1において、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、Z軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C16の静電容量値の変化について図28および図29を参照して説明する。図28は、図27の力覚センサにおける各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。図29は、図28の静電容量値の変化に基づく主軸感度および他軸感度を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
まず、受力体10にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、図17に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bは、Y軸回りに(Y軸方向正側に向かって時計回りに)回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C5~C8は、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、各容量素子C5~C8全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
第3起歪体30Cは、図17に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第9容量素子C9の静電容量値は増大するとともに第10容量素子C10の静電容量値は減少する。第11容量素子C11の静電容量値は増大するとともに第12容量素子C12の静電容量値は減少する。
第4起歪体30Dは、Y軸回りに(Y軸方向正側に向かって時計回りに)回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C13~C16は、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、各容量素子C13~C16全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体10にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、X軸周りに(X軸方向正側に向かって反時計回りに)回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C1~C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、各容量素子C1~C4全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
第2起歪体30Bは、図22に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cは、X軸周りに回動する。しかしながら、上述したように、各容量素子C9~C12は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、各容量素子C9~C12全体としては、静電容量値の変化はそれぞれ現れない。
第4起歪体30Dは、図22に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第13容量素子C13の静電容量値が増大するとともに第14容量素子C14の静電容量値が減少する。第15容量素子C15の静電容量値が増大するとともに第16容量素子C16の静電容量値が減少する。
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体10にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、図18に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bは、図23に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。第7容量素子C7の静電容量値が増大するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
第3起歪体30Cは、図18に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第9容量素子C9の静電容量値が増大するとともに第10容量素子C10の静電容量値が減少する。第11容量素子C11の静電容量値が減少するとともに第12容量素子C12の静電容量値が増大する。
第4起歪体30Dは、図23に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第13容量素子C13の静電容量値が減少するとともに第14容量素子C14の静電容量値が増大する。第15容量素子C15の静電容量値が増大するとともに第16容量素子C16の静電容量値が減少する。
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体10にX軸周り(X軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMx(図27参照)が作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aは、図18に示す第1起歪体30Aの弾性変形とは反対方向に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。一方、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
第2起歪体30Bにおいては、第1変形部31Aの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向正側に位置しているため、第1変形部31Aは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の電極間距離が増大するとともに第6容量素子C6の電極間距離が減少する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。しかしながら、第2起歪体30Bは、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30CよりもY軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第2起歪体30Bの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2起歪体30Bの第1変形部31Aは弾性変形しないと考える。このため、第5容量素子C5の静電容量値が変化せず、第6容量素子C6の静電容量値も変化しない。
一方、第2起歪体30Bにおいては、第2変形部31Bの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向負側に位置しているため、第2変形部31Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第7容量素子C7の電極間距離が増大するとともに第8容量素子C8の電極間距離が減少する。このため、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。しかしながら、上述したように第2起歪体30Bの弾性変形は小さく、第2起歪体30Bの第2変形部31Bは弾性変形しないと考える。このため、第7容量素子C7の静電容量値が変化せず、第8容量素子C8の静電容量値も変化しない。
第3起歪体30Cは、図18に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第9容量素子C9の静電容量値が増大するとともに第10容量素子C10の静電容量値が減少する。また、第11容量素子C11の静電容量値が減少するとともに第12容量素子C12の静電容量値が増大する。
第4起歪体30Dにおいては、第1変形部31Aの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向負側に位置しているため、第1変形部31Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第13容量素子C13の電極間距離が減少するとともに第14容量素子C14の電極間距離が増大する。このため、第13容量素子C13の静電容量値が増大するとともに第14容量素子C14の静電容量値が減少する。しかしながら、第4起歪体30Dは、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30CよりもY軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第4起歪体30Dの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第4起歪体30Dの第1変形部31Aは弾性変形しないと考える。このため、第13容量素子C13の静電容量値が変化せず、第14容量素子C14の静電容量値も変化しない。
一方、第4起歪体30Dにおいては、第2変形部31Bの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向正側に位置しているため、第2変形部31Bは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第15容量素子C15の電極間距離が減少するとともに第16容量素子C16の電極間距離が増大する。このため、第15容量素子C15の静電容量値が増大するとともに第16容量素子C16の静電容量値が減少する。しかしながら、上述したように第4起歪体30Dの弾性変形は小さく、第4起歪体30Dの第2変形部31Bは弾性変形しないと考える。このため、第15容量素子C15の静電容量値は変化せず、第16容量素子C16の静電容量値も変化しない。
(+Myが作用した場合)
次に、受力体10にY軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMy(図27参照)が作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aにおいては、第1変形部31Aの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもX軸方向正側に位置しているため、第1変形部31Aは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第1容量素子C1の電極間距離が増大するとともに第2容量素子C2の電極間距離が減少する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。しかしながら、第1起歪体30Aは、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30DよりもX軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第1起歪体30Aの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1起歪体30Aの第1変形部31Aは弾性変形しないと考える。このため、第1容量素子C1の静電容量値は変化せず、第2容量素子C2の静電容量値も変化しない。
一方、第1起歪体30Aにおいては、第2変形部31Bの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもY軸方向負側に位置しているため、第2変形部31Bは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第3容量素子C3の電極間距離が増大するとともに第4容量素子C4の電極間距離が減少する。このため、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。しかしながら、上述したように第1起歪体30Aの弾性変形は小さく、第1起歪体30Aの第2変形部31Bは弾性変形しないと考える。このため、第3容量素子C3の静電容量値が変化せず、第4容量素子C4の静電容量値も変化しない。
第2起歪体30Bにおいては、は、図23に示す第1起歪体30Aの弾性変形とは反対方向に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。また、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、第1変形部31Aの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもX軸方向負側に位置しているため、第1変形部31Aは、図7Aに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第9容量素子C9の電極間距離が減少するとともに第10容量素子C10の電極間距離が増大する。このため、第9容量素子C9の静電容量値が増大するとともに第10容量素子C10の静電容量値が減少する。しかしながら、第3起歪体30Cは、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30DよりもX軸方向において受力体10の中心Oの側に位置しているため、第3起歪体30Cの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第3起歪体30Cの第1変形部31Aは弾性変形しないと考える。このため、第9容量素子C9の静電容量値が変化せず、第10容量素子C10の静電容量値も変化しない。
一方、第3起歪体30Cにおいては、第2変形部31Bの受力体側変形体33が、受力体10の中心OよりもX軸方向正側に位置しているため、第2変形部31Bは、図7Bに示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形する。このため、第11容量素子C11の電極間距離が減少するとともに第12容量素子C12の電極間距離が増大する。このため、第11容量素子C11の静電容量値が増大するとともに第12容量素子C12の静電容量値が減少する。しかしながら、上述したように第3起歪体30Cの弾性変形は小さく、第3起歪体30Cの第2変形部31Bは弾性変形しないと考えるこのため、第11容量素子C11の静電容量値が変化せず、第12容量素子C12の静電容量値も変化しない。
第4起歪体30Dは、図23に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形する。このため、第13容量素子C13の静電容量値が減少するとともに第14容量素子C14の静電容量値が増大する。また、第15容量素子C15の静電容量値が増大するとともに第16容量素子C16の静電容量値が減少する。
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体10に、Z軸周り(Z軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMz(図27参照)が作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体30Aにおいては、X軸方向正側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する(図17参照)。このことにより、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第2起歪体30Bにおいては、Y軸方向正側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する(図22参照)。このことにより、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
第3起歪体30Cにおいては、X軸方向負側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第9容量素子C9の静電容量値が減少するとともに第10容量素子C10の静電容量値が増大する。第11容量素子C11の静電容量値が減少するとともに第12容量素子C12の静電容量値が増大する。
第4起歪体30Dにおいては、Y軸方向負側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第13容量素子C13の静電容量値が減少するとともに第14容量素子C14の静電容量値が増大する。第15容量素子C15の静電容量値が減少するとともに第16容量素子C16の静電容量値が増大する。
このようにして、各容量素子C1~C16の静電容量値の変化が検出されると、受力体10に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図28に示すように、各容量素子C1~C16の静電容量値が変化する。
図28に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。以下の式中のC1~C16は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
[式16]
Fx=-C1+C2-C3+C4+C9-C10+C11-C12
[式17]
Fy=-C5+C6-C7+C8+C13-C14+C15-C16
[式18]
Fz=+C1-C2-C3+C4-C5+C6+C7-C8
+C9-C10-C11+C12-C13+C14+C15-C16
[式19]
Mx=-C1+C2+C3-C4+C9-C10-C11+C12
[式20]
My=+C5-C6-C7+C8-C13+C14+C15-C16
[式21]
Mz=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
-C9+C10-C11+C12-C13+C14-C15+C16
図28に示す各容量素子C1~C16の静電容量値の変化量を、上述の[式16]~[式21]にそれぞれ適用すると、図29に示す主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。
図29に示されているように、力Fxについては、VFxが「8」という数値になっているが、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは「0」という数値になっている。このことから、力Fxについては、他軸感度が無く、主軸感度のみを検出することができる。力Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについても同様に他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ1を得ることができる。
ところで、力の6軸成分を検出するためには、16個の容量素子C1~C16を用いなくてもよい。例えば、8個の容量素子を用いて、力の6軸成分を検出することもできる。例えば、図30に示すような、8個の容量素子C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15を選択して用いてもよい。図30は、図28に示す表から、C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15を抜き出した表となっている。
図30に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。
[式22]
Fx=+C2+C4 -C10-C12
[式23]
Fy= -C5-C7 +C13+C15
[式24]
Fz=-C2+C4-C5+C7-C10+C12-C13+C15
[式25]
Mx=+C2-C4 -C10+C12
[式26]
My= +C5-C7 -C13+C15
[式27]
Mz=+C2+C4-C5-C7+C10+C12-C13-C15
図30に示す各容量素子C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15の静電容量値の変化量を、上述の[式22]~[式27]にそれぞれ適用すると、図31に示す主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。
図31に示すように、力Fx、Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについて他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、上述の8個の容量素子C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15を用いて、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ1を得ることができる。また、この場合には、変位部40A、40Bの構成を簡素化することができる。例えば、梁41を、基端部42から一方のみ(変位電極を配置させる側のみ)に延ばして、他方には延ばさなくてもよい。
また、8個の容量素子は、上述した組み合わせ(C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15)以外の組み合わせであってもよい。例えば、図32に示すような、8個の容量素子C1、C3、C6、C8、C9、C11、C14およびC16を選択して用いてもよい。図32は、図28に示す表から、C1、C3、C6、C8、C9、C11、C14およびC16を抜き出した表となっている。
図32に示す表から、受力体10に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。
[式28]
Fx=-C1-C3 +C9+C11
[式29]
Fy= +C6+C8 -C14-C16
[式30]
Fz=+C1-C3+C6-C8+C9-C11+C14-C16
[式31]
Mx=-C1+C3 +C9-C11
[式32]
My= -C6+C8 +C14-C16
[式33]
Mz=-C1-C3+C6+C8-C9-C11+C14+C16
図32に示す各容量素子C1、C3、C6、C8、C9、C11、C14およびC16の静電容量値の変化を、上述の[式28]~[式33]にそれぞれ適用すると、図33に示す主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。
図33に示すように、力Fx、Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについて他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、上述の8個の容量素子C1、C3、C6、C8、C9、C11、C14およびC16を用いて、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ1を得ることができる。
なお、他軸感度が発生する場合も考えられる。例えば、第1起歪体30AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C1~第4容量素子C4のそれぞれの静電容量値の変化量が互いに異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得る。また、力Fz、モーメントMx、Myが受力体10に作用した場合、第1起歪体30Aは、Z軸方向に変位するため、図28等に示す表中のFzの行、Mxの行、Myの行では、同じ符号が付されていたとしても静電容量値の変化量が異なる場合がある。この場合、力Fz、モーメントMx、Myに対して他軸感度が発生し得る。力Fx、Fy、モーメントMzについても同様に他軸感度が発生し得る。
しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックス(図29、図31または図33に示す表に対応する6行6列の行列、特性行列とも言う)の逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を抑制することができる。
ここで、16個の容量素子C1~C16のうち8個の容量素子(C2、C4、C5、C7、C10、C12、C13およびC15、またはC1、C3、C6、C8、C9、C11、C14およびC16)で、力の6軸成分を検出することができる。16個の容量素子C1~C16から8個の容量素子を選択する方法について説明する。
例えば、図30に記載の容量素子のうち第1起歪体30Aに対応する容量素子C2、C4は、以下のように構成されている。第2容量素子C2を構成する第2変位電極基板Ed2が、対応する第1変形部31Aの受力体側変形体33の側に配置されている。第4容量素子C4を構成する第4変位電極基板Ed4が、対応する第2変形部31Bの支持体側変形体34の側に配置されている。すなわち、第1変位部用変位電極(第1起歪体30Aにおける第2変位電極基板Ed2に相当)が、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33の側に配置されている。そして、第2変位部用変位電極(第1起歪体30Aにおける第4変位電極基板Ed4に相当)は、第1起歪体30Aの第2変形部31Bの支持体側変形体34の側に配置されている。なお、第2変位電極基板Ed2に対向する第2固定電極基板Ef2が、第1変位部用固定電極に相当し、第4変位電極基板Ed4に対向する第4固定電極基板Ef4が、第2変位部用固定電極に相当する。
また、例えば、図32に記載の容量素子のうち第1起歪体30Aに対応する容量素子C1、C3は、以下のように構成されている。第1容量素子C1を構成する第1変位電極基板Ed1が、対応する第1変形部31Aの支持体側変形体34の側に配置されている。第3容量素子C3を構成する第3変位電極基板Ed3が、対応する第2変形部31Bの受力体側変形体33の側に配置されている。すなわち、第1変位部用変位電極基板(第1起歪体30Aにおける第1変位電極基板Ed1に相当)が、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの支持体側変形体34の側に配置されている。そして、第2変位部用変位電極基板(第1起歪体30Aにおける第3変位電極基板Ed3に相当)は、第1起歪体30Aの第2変形部31Bの受力体側変形体33の側に配置されている。なお、第1変位電極基板Ed1に対向する第1固定電極基板Ef1が、第1変位部用固定電極基板に相当し、第3変位電極基板Ed3に対向する第3固定電極基板Ef3が、第2変位部用固定電極基板に相当する。
このように、第1起歪体30Aについては、第1容量素子C1と第3容量素子C3の組み合わせ、または第2容量素子C2と第4容量素子C4の組み合わせを選択することにより、力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzを算出するために要する容量素子の個数を低減することができる。第2起歪体30B~第4起歪体30Dについても同様である。
このように本実施の形態によれば、受力体10の中心Oに対してY軸方向両側に配置された第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cにおいて、第1変形部31Aの受力体側変形体33が、第1変形部31Aの支持体側変形体34よりも第2変形部31Bの側に配置され、第2変形部31Bの受力体側変形体33が、第2変形部31Bの支持体側変形体34よりも第1変形部31Aの側に配置されている。すなわち、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cが、図16Aに示す第1起歪体30Aと同様に構成されている。また、受力体10の中心Oに対してX軸方向両側に配置された第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dにおいて、第1変形部31Aの支持体側変形体34が、第1変形部31Aの受力体側変形体33よりも第2変形部31Bの側に配置され、第2変形部31Bの支持体側変形体34が、第2変形部31Bの受力体側変形体33よりも第1変形部31Aの側に配置されている。すなわち、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dが、図21に示す第1起歪体30Aと同様に構成されている。
このように第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cと、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dとで、受力体側変形体33および支持体側変形体34の配置を異ならせることにより、Z軸方向の力Fzが作用した場合に、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cの変形形状と、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dの変形形状とを、互いに異ならせることができる。このことにより、各容量素子C1~C16の静電容量値の変化量に基づいて、力Fzを算出する際に、静電容量値の変化量の差分演算を用いることができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。
また、本実施の形態によれば、第1変位部用変位電極が、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの受力体側変形体33の側に配置されている場合、第2変位部用変位電極は、第1起歪体30Aの第2変形部31Bの支持体側変形体34の側に配置される。また、第1変位部用変位電極が、第1起歪体30Aの第1変形部31Aの支持体側変形体34の側に配置されている場合、第2変位部用変位電極は、第1起歪体30Aの第2変形部31Bの受力体側変形体33の側に配置されている。このことにより、各容量素子C1~C16の静電容量値の変化量に基づいて、力Fzを算出する際に、静電容量値の変化量の差分演算を用いることができる。このため、力Fzを算出する際に、環境温度の変化による影響や同相ノイズによる影響を排除することができる。
(第5の実施の形態)
次に、図34および図35を用いて、本発明の第5の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図34および図35に示す第5の実施の形態においては、受力体側変形体と支持体側変形体が、Z軸方向で見たときに互いに重なる位置に配置されている点が主に異なり、他の構成は、図1~図14に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図34および図35において、図1~図14に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図34を参照して説明する。図34は、第5の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。
本実施の形態による力覚センサ1においては、図34に示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33と支持体側変形体34とが、Z軸方向で見たときに、互いに重なる位置に配置されている。すなわち、受力体側変形体33および支持体側変形体34は、X軸方向において同じ位置に配置されているとともに、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このことにより、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する変位部40の変位を抑制することができるとともに、力覚センサ1の強度を向上させることができる。この場合、Y軸方向で見たときに受力体側変形体33と支持体側変形体34を一直線上に配置することができ、機械加工を容易化させることができる。
本実施の形態による受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331を含んでいるが、図4Aに示すようなX軸方向に延びる第2受力体側延在部332は含んでいない。すなわち、本実施の形態による受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときに直線状に形成されている。
本実施の形態による支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341を含んでいるが、図4Aに示すようなX軸方向に延びる第2支持体側延在部342は含んでいない。すなわち、本実施の形態による支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときに直線状に形成されている。
第1起歪体30Aの傾動体32は、受力体側変形体33に接続された第1傾動体32Aと、支持体側変形体34に接続された第2傾動体32Bと、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとを接続する接続体37と、を含んでいる。第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bは、第2方向(第1起歪体30Aの場合にはX軸方向)に延びている。第1傾動体32Aおよび第2傾動体32BのY軸方向で見たときの正面形状は、矩形になっている。第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bは、X軸方向における寸法が、Z軸方向における寸法よりも大きく形成されており、受力体側変形体33および支持体側変形体34よりも剛性が高く(可撓性が低く)なるように形成されている。
第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとは、Z軸方向において互いに異なる位置に離間して配置されている。第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとの間には、第3スリット状開口38が形成されている。第3スリット状開口38は、Y軸方向で変形部31を貫通している。第1傾動体32Aは、第2傾動体32Bよりも受力体10の側に配置されている。図34においては、第1傾動体32Aが、第2傾動体32BよりもZ軸方向正側に配置されている。第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bは、X軸方向において同じ位置に配置されているとともに、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの受力体10の側の端部(図34における上側の端部32Ae)に接続されている。支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの支持体20の側の端部(図34における下側の端部32Bf)に接続されている。
接続体37は、受力体10が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっていてもよい。接続体37は、Z軸方向に延びていてもよい。接続体37は、第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bよりも剛性が低く(可撓性が高く)なるように形成されていてもよい。この場合、接続体37に板ばねとしての機能を付与することができる。接続体37は、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとの間に配意されている。例えば、接続体37のX軸方向における寸法は、第1傾動体32AのX軸方向における寸法よりも小さくてもよく、第2傾動体32BのX軸方向における寸法よりも小さくてもよい。接続体37のX軸方向における寸法は、受力体側変形体33のX軸方向における寸法と等しくてもよいが、これに限られることはない。また、接続体37のX軸方向における寸法は、支持体側変形体34のX軸方向における寸法と等しくてもよいが、これに限られることはない。
本実施の形態においては、接続体37は、X軸方向において受力体側変形体33および支持体側変形体34とは反対側で、第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bに接続されている。
より具体的には、図34に示すように、第1傾動体32Aは、X軸方向において互いに異なる位置で受力体側変形体33および接続体37に接続されている。第1傾動体32AのうちX軸方向における負側の端部に、受力体側変形体33が接続されている。第1傾動体32AのうちX軸方向における正側の端部に、接続体37が接続されている。
しかしながら、このことに限られることはなく、第1傾動体32AはX軸方向における任意の位置で受力体側変形体33に接続されていてもよい。例えば、第1傾動体32AのうちX軸方向における正側の端部に、受力体側変形体33が接続されていてもよい。この場合、接続体37は、第1傾動体32AのうちX軸方向における負側の端部に接続されてもよい。
同様に、第2傾動体32Bは、X軸方向において互いに異なる位置で支持体側変形体34および接続体37に接続されていてもよい。第2傾動体32BのうちX軸方向における負側の端部に、支持体側変形体34が接続されている。第2傾動体32BのうちX軸方向における正側の端部に、接続体37が接続されている。
しかしながら、このことに限られることはなく、第2傾動体32BはX軸方向における任意の位置で支持体側変形体34に接続されていてもよい。例えば、第2傾動体32BのうちX軸方向における正側の端部に、支持体側変形体34が接続されていてもよい。この場合、接続体37は、第2傾動体32BのうちX軸方向における負側の端部に接続されていてもよい。
また、接続体37は、第1傾動体32Aの支持体20の側の端部(図34における下側の端部32Af)に接続されている。また、接続体37は、第2傾動体32Bの受力体10の側の端部(図34における上側の端部32Be)に接続されている。
本実施の形態による変位部40は、第2傾動体32Bに接続されていてもよい。この場合、変位部40は、変形部31に生じた弾性変形により変位を生じるように構成されていてもよい。本実施の形態による変位部40は、図4Aに示す変位部40と同様に、梁41と、基端部42と、を含んでいる。梁41は、基端部42を介して第2傾動体32Bの支持体20の側の面(下面)に接続されており、第2傾動体32Bの下方に配置されている。図34においては、梁41は、受力体側変形体33および支持体側変形体34を越えてX軸方向負側には延びていない例が示されているが、梁41のX軸方向の長さは任意である。
検出素子50は、図4Aに示す検出素子50と同様に構成することができる。そして、本実施の形態においても、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合に、第1起歪体30Aの変形部31を弾性変形させることができる。このことにより、変位部40を変位させて、第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値を変化させることができる。このため、受力体10に作用した力Fx、Fzを算出することができる。また、検出素子50を、図10Aに示す検出素子50と同様に構成する場合には、力の3軸成分(力Fx、Fy、Fz)を検出することができる。また、後述するように、図34に示す第1起歪体30Aを、図5に示す各起歪体30A~30Dに適用した場合には、力Fx、Fy、Fz、モーメントMx、My、Mzを算出することができ、力の6軸成分を検出することができる。
なお、図示しないが、上述した第1起歪体30Aの構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも適用されていてもよい。また、上述した第1起歪体30Aに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dに同様に適用されていてもよい。すなわち、図5に示す力覚センサ1における第1起歪体30A~第4起歪体30Dが、図34に示す第1起歪体30Aで置き換えられていてもよい。この場合、Z軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側変形体33および支持体側変形体34が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの接続体37が配置されてもよい。例えば、上方から見たときに、時計回りの方向に受力体側変形体33および支持体側変形体34が配置され、反時計回りの方向に接続体37が配置されてもよい。この場合、第1起歪体30Aの受力体側変形体33および支持体側変形体34が、接続体37よりもX軸方向負側に配置され、第2起歪体30Bの受力体側変形体33および支持体側変形体34が、接続体37よりもY軸方向負側に配置される。第3起歪体30Cの受力体側変形体33および支持体側変形体34が、接続体37よりもX軸方向正側に配置され、第4起歪体30Dの受力体側変形体33および支持体側変形体34が、接続体37よりもY軸方向正側に配置される。しかしながら、このことに限られることはなく、上方から見たときに、反時計回りの方向に受力体側変形体33および支持体側変形体34が配置され、時計回りの方向に接続体37が配置されてもよい。
このように本実施の形態によれば、受力体側変形体33と支持体側変形体34は、Z軸方向で見たときに、互いに重なる位置に配置されている。このことにより、Z軸方向の力Fzが作用した場合には、受力体10はZ軸方向に沿って変位することができる。この場合、受力体10がX軸方向やY軸方向などZ軸方向以外の方向に変位することを抑制することができる。このため、力Fzに対して主軸感度のみを検出することができ、他軸感度が発生することを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、傾動体32は、受力体側変形体33に接続された第1傾動体32Aと、支持体側変形体34に接続された第2傾動体32Bと、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとを接続する接続体37と、を含んでいる。このことにより、第1起歪体30AにZ軸方向に力が作用した場合であっても、接続体37を弾性変形させることにより、変位部40を変位させることができる。このため、各容量素子C1、C2の静電容量値を変化させることができ、Z軸方向の力Fzの検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1傾動体32Aは、第2傾動体32Bよりも受力体10の側に配置され、接続体37は、第1傾動体32Aと第2傾動体32Bとの間に配置されている。このことにより、第1起歪体30AにZ軸方向に力が作用した場合であっても、接続体37を容易に弾性変形させることができ、変位部40を容易に変位させることができる。このため、各容量素子C1、C2の静電容量値を変化させることができ、Z軸方向の力Fzの検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、接続体37は、X軸方向において受力体側変形体33および支持体側変形体34とは反対側で、第1傾動体32Aおよび第2傾動体32Bに接続されている。このことにより、第1起歪体30AにZ軸方向に力が作用した場合であっても、接続体37を容易に弾性変形させることができ、変位部40を容易に変位させることができる。このため、各容量素子C1、C2の静電容量値を変化させることができ、Z軸方向の力Fzの検出精度をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの受力体10の側の端部に接続され、支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの支持体20の側の端部に接続されている。このことにより、第1起歪体30Aの形状を簡素化することができる。この場合、第1起歪体30Aを機械加工で容易に作製することができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側変形体33および支持体側変形体34が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの接続体37が配置されてもよい。この場合、Z軸周りのモーメントが作用した場合に、受力体10を変位させやすくすることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
(第7変形例)
なお、上述した本実施の形態においては、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの受力体10の側の端部32Aeに接続され、支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの支持体20の側の端部32Bfに接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図35に示すように、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの支持体20の側の端部32Afに接続され、支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの受力体10の側の端部32Beに接続されていてもよい。図35は、図34の起歪体の変形例を示す正面図である。
図35に示すように、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの支持体20の側の端部(図35における下側の端部32Af)に接続されている。支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの受力体10の側の端部(図35における上側の端部32Be)に接続されている。
図35に示す変形例においては、受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331と、X軸方向に延びる第2受力体側延在部332と、を含んでいる。すなわち、図35に示す変形例による受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときにL字状に形成されている。第1受力体側延在部331と第1傾動体32Aとの間には、第1スリット状開口35が形成されている。
同様に、支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341と、X軸方向に延びる第2支持体側延在部342と、を含んでいる。すなわち、図35に示す変形例による支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときにL字状に形成されている。第1支持体側延在部341と第2傾動体32Bとの間には、第2スリット状開口36が形成されている。
図35に示す変形例においても、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合に、第1起歪体30Aの変形部31を、図34に示す第1起歪体30Aの変形部31と同様に弾性変形させることができる。このことにより、変位部40を変位させて、第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値を変化させることができる。このため、受力体10に作用した力Fx、Fzを算出することができる。図35に示す第1起歪体30Aを、図5に示す各起歪体30A~30Dに適用した場合には、力Fx、Fy、Fz、モーメントMx、My、Mzを算出することができ、力の6軸成分を検出することができる。
図35に示す変形例によれば、受力体側変形体33は第2受力体側延在部332を含み、支持体側変形体34は第2支持体側延在部342を含んでいる。このことにより、受力体10に力またはモーメントが作用した場合に、第1受力体側延在部331および第1支持体側延在部341をより一層弾性変形させることができる。このため、力またはモーメントの検出感度をより一層高めることができ、力覚センサ1の検出精度をより一層向上させることができる。
また、図35に示す変形例によれば、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aにおける支持体20の側の端部32Afに接続され、支持体側変形体34は、第2傾動体32Bにおける受力体10の側の端部32Beに接続されている。このことにより、受力体10から第1傾動体32Aまでの受力体側変形体33の長さを確保することができ、受力体側変形体33を弾性変形しやすくすることができる。同様に、支持体20から第2傾動体32Bまでの支持体側変形体34の長さを確保することができ、支持体側変形体34を弾性変形しやすくすることができる。また、受力体側変形体33の長さおよび支持体側変形体34の長さをそれぞれ確保しながら、第1起歪体30Aの高さを低減することができる。このため、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
(第6の実施の形態)
次に、図36を用いて、本発明の第6の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図36に示す第6の実施の形態においては、受力体側変形体が、第1傾動体の受力体の側の端部に接続され、支持体側変形体が、第2傾動体の受力体の側の端部に接続されている点が主に異なり、他の構成は、図34および図35に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図36において、図34および図35に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図36を参照して説明する。図36は、第6の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。
本実施の形態による力覚センサ1においては、受力体側変形体33は、Z軸方向に延びる第1受力体側延在部331を含んでいるが、図4Aに示すようなX軸方向に延びる第2受力体側延在部332は含んでいない。すなわち、本実施の形態による受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときに直線状に形成されている。
本実施の形態による支持体側変形体34は、Z軸方向に延びる第1支持体側延在部341と、X軸方向に延びる第2支持体側延在部342と、を含んでいる。すなわち、本実施の形態による支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときにL字状に形成されている。
本実施の形態においては、Y軸方向で見たときに(図36の紙面に向かって見たときに)、第1傾動体32Aの正面形状と、第2傾動体32Bの正面形状は、矩形になっている。しかしながら、第1傾動体32AのZ軸方向における寸法は、第2傾動体32BのZ軸方向における寸法よりも大きくなっている。
受力体側変形体33の剛性は、支持体側変形体34の剛性よりも高くなっている。より具体的には、受力体側変形体33のX軸方向における寸法は、支持体側変形体34のX軸方向における寸法と等しくなっていてもよいが、支持体側変形体34のX軸方向における寸法よりも大きくなっていてもよい。また、受力体側変形体33のZ軸方向における寸法が、支持体側変形体34のZ軸方向における寸法よりも短くなっている。このことにより、受力体側変形体33は、支持体側変形体34よりも弾性変形し難くなっている。このようにして、受力体側変形体33の剛性が、支持体側変形体34の剛性よりも高くなっている。
本実施の形態による力覚センサ1においては、図36に示すように、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの受力体10の側の端部(図36における上側の端部32Ae)に接続されている。すなわち、第1傾動体32AのX軸方向における寸法が、第2傾動体32BのX軸方向における寸法よりも大きくなっており、第1傾動体32Aは、受力体側変形体33の下端までX軸方向負側に延びている。支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの受力体10の側の端部(図36における下側の端部32Be)に接続されている。
本実施の形態による変位部40は、第2傾動体32Bに接続されていてもよい。この場合、変位部40は、変形部31に生じた弾性変形により変位を生じるように構成されていてもよい。本実施の形態による変位部40は、図4Aに示す変位部40と同様に、梁41と、基端部42と、を含んでいる。梁41は、基端部42を介して第2傾動体32Bの支持体20の側の面(下面)に接続されており、第2傾動体32Bの下方に配置されている。図36においては、梁41は、受力体側変形体33および支持体側変形体34を越えてX軸方向負側には延びていない例が示されているが、梁41のX軸方向の長さは任意である。
このように本実施の形態によれば、受力体側変形体33は、第1傾動体32Aの受力体10の側の端部32Aeに接続され、支持体側変形体34は、第2傾動体32Bの受力体10の側の端部32Beに接続されている。このことにより、受力体側変形体33の形状を簡素化することができ、第1起歪体30Aの機械加工を容易化させることができる。一方、支持体20から第2傾動体32Bまでの支持体側変形体34の長さを確保することができ、支持体側変形体34を弾性変形しやすくすることができる。また、支持体側変形体34の長さを確保しながら、第1起歪体30Aの高さを低減することができる。このため、力覚センサ1の高さを低減することができ、コンパクト化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体側変形体33の剛性が、支持体側変形体34の剛性よりも高くなっている。このことにより、受力体側変形体33を弾性変形し難くすることができる。この場合、接続体37の弾性変形および支持体側変形体34の弾性変形をそれぞれ大きくすることができる。このため、第2傾動体32Bを大きく回動させることができ、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1、Ed2の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
(第7の実施の形態)
次に、図37を用いて、本発明の第7の実施の形態における力覚センサについて説明する。
図37に示す第7の実施の形態においては、受力体側変形体と支持体側変形体が、湾曲している点が主に異なり、他の構成は、図1~図14に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図37において、図1~図14に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態による力覚センサ1について、図37を参照して説明する。図37は、第7の実施の形態における力覚センサの起歪体を示す正面図である。
本実施の形態による力覚センサ1においては、図37に示すように、第1起歪体30Aの受力体側変形体33と支持体側変形体34とが、Y軸方向で見たときに湾曲している。より具体的には、受力体側変形体33は、Y軸方向で見たときに、Z軸方向正側およびX軸方向負側に(図37において斜め左上側に)凸となるように湾曲している。支持体側変形体34は、Y軸方向で見たときに、Z軸方向負側およびX軸方向正側に(図37において斜め右下側に)凸となるように湾曲している。なお、受力体側変形体33の湾曲形状および支持体側変形体34の湾曲形状は、図37に示す形状に限られることはない。
受力体側変形体33は、受力体側台座91を介して受力体10に接続されていてもよい。このことにより、湾曲した受力体側変形体33であっても、受力体側台座91によって受力体10に安定して取り付けることができる。一方、支持体側変形体34は、支持体側台座92を介して支持体20に接続されていてもよい。このことにより、湾曲した支持体側変形体34であっても、支持体側台座92によって支持体20に安定して取り付けることができる。例えば、受力体側台座91、受力体側変形体33、傾動体32、支持体側変形体34および支持体側台座92が、一体に形成されてもよく、この場合には、受力体側台座91はボルトまたは接着剤等で受力体10に固定されてもよく、支持体側台座92はボルトまたは接着剤等で支持体20に固定されてもよい。なお、受力体側台座91および支持体側台座92は、図37に示す第1起歪体30Aに適用されることに限られることはなく、図4A等に示す他の起歪体30A~30Dにも適用することができる。また、受力体側台座91と受力体側変形体33は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよく、支持体側台座92と支持体側変形体34は、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で互いに固定されていてもよい。
本実施の形態による受力体側変形体33は、傾動体32における受力体10の側の端部(図37における上側の端部32e)に接続されている。受力体側変形体33は、傾動体32におけるX軸方向負側の端部からX軸方向正側およびZ軸方向正側に延びている。支持体側変形体34は、傾動体32における支持体20の側の端部(図37における下側の端部32f)に接続されている。支持体側変形体34は、傾動体32におけるX軸方向正側の端部からX軸方向負側およびZ軸方向負側に延びている。このことにより、受力体側台座91は、支持体側台座92よりもX軸方向正側に配置されている。このようにして、本実施の形態による傾動体32は、Z軸方向において受力体側変形体33と支持体側変形体34との間に配置されている。
また、図37に示すように、Y軸方向で見たときの受力体側変形体33の輪郭33pと傾動体32の輪郭32pとが、R輪郭部93を介して接続されていてもよい。このことにより、受力体側変形体33と傾動体32との接続部において、応力を緩和させることができ、応力集中を抑制できる。このため、力覚センサ1の信頼性を向上させることができる。また、支持体側変形体34の輪郭34pと傾動体32の輪郭32pとが、R輪郭部93を介して接続されていてもよい。このことにより、支持体側変形体34と傾動体32との接続部において、応力を緩和させることができ、応力集中を抑制できる。このため、力覚センサ1の信頼性を向上させることができる。すなわち、受力体側変形体33の輪郭33pおよび支持体側変形体34の輪郭34pの両方が、傾動体32の輪郭32pとR輪郭部93を介して接続されていてもよく、受力体側変形体33の輪郭33pおよび支持体側変形体34の輪郭34pの一方が、傾動体32の輪郭32pとR輪郭部93を介して接続されていてもよい。R輪郭部93のR寸法は、例えば、2mm~5mmであってもよい。後述するR輪郭部94についても同様である。なお、このR輪郭部93は、図37に示す第1起歪体30Aに適用されることに限られることはなく、図4A等に示す他の起歪体30A~30Dにも適用することができる。
また、図37に示すように、Y軸方向で見たときの第1起歪体30Aの受力体側変形体33の輪郭33pと受力体側台座91の輪郭91pとが、R輪郭部94を介して接続されていてもよい。このことにより、受力体側変形体33と受力体側台座91との接続部において、応力を緩和させることができ、応力集中を抑制できる。また、第1起歪体30Aの支持体側変形体34の輪郭34pと支持体側台座92の輪郭92pとが、R輪郭部94を介して接続されていてもよい。このことにより、支持体側変形体34と支持体側台座92との接続部においても、応力を緩和させることができ、応力集中を抑制できる。このため、力覚センサ1の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態による変位部40は、傾動体32に接続されていてもよい。例えば、図37に示すように、傾動体32のX軸方向負側の側面に接続されていてもよい。この場合、基端部42は、傾動体32のX軸方向正側の側面に、X軸方向負側に延びる延長部45を介して接続されていてもよい。この場合、基端部42は、延長部45のX軸方向負側の端部から下方に延びるように形成されてもよい。
検出素子50は、図4Aに示す検出素子50と同様に構成することができる。そして、本実施の形態においても、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合に、第1起歪体30Aの変形部31を弾性変形させることができる。このことにより、変位部40を変位させて、第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値を変化させることができる。このため、受力体10に作用した力Fx、Fzを算出することができる。また、検出素子50を、図10Aに示す検出素子50と同様に構成する場合には、力の3軸成分(力Fx、Fy、Fz)を検出することができる。また、後述するように、図37に示す第1起歪体30Aを、図5に示す各起歪体30A~30Dに適用した場合には、力Fx、Fy、Fz、モーメントMx、My、Mzを算出することができ、力の6軸成分を検出することができる。
なお、図37においては、検出素子50は、1つの変位電極基板Ed0と、2つの固定電極基板Ef1、Ef2とで構成されて、1つの変位電極基板Ed0が2つの固定電極基板Ef1、Ef2に対向して2つの容量素子C1、C2が構成されていてもよい。すなわち、変位電極基板Ed0が、2つの容量素子C1、C2の共通変位電極基板として構成されており、第1容量素子C1が変位電極基板Ed0と第1固定電極基板Ef1とで構成され、第2容量素子C2が変位電極基板Ed0と第2固定電極基板Ef2とで構成されている。共通の変位電極基板Ed0は、1つの変位電極Edと1つの絶縁体IBd(図4A参照)とで構成されていてもよい。図37に示す各固定電極基板Ef1、Ef2は、Z軸方向で見たときに、変位電極基板Ed0と重なっていてもよい。そして、変位電極基板Ed0がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、第1固定電極基板Ef1が全体として変位電極基板Ed0に重なるとともに、第2固定電極基板Ef2が全体として変位電極基板Ed0に重なっていてもよい。なお、図示しないが、2つの容量素子C1、C2は、2つの変位電極基板と、1つの共通固定電極基板で構成されて、1つの共通固定電極基板が、2つの変位電極基板に対向していてもよい。共通の固定電極基板は、1つの固定電極Efと1つの絶縁体IBf(図4A参照)とで構成されていてもよい。このように検出素子50が2つの容量素子C1、C2で構成される場合には、力の2軸成分を検出することができる。なお、図37においては、固定電極基板Ef1は、台座95を介して支持体20に固定されている。また、共通変位電極基板または共通固定電極基板は、本実施の形態に適用することに限られることはなく、他の実施の形態や変形例にも適用することができる。
なお、図示しないが、上述した第1起歪体30Aの構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも適用されていてもよい。また、上述した第1起歪体30Aに対応する検出素子50の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dに同様に適用されていてもよい。すなわち、図5に示す力覚センサ1における第1起歪体30A~第4起歪体30Dが、図37に示す第1起歪体30Aで置き換えられていてもよい。この場合、Z軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側台座91が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの支持体側台座92が配置されてもよい。例えば、上方から見たときに、反時計回りの方向に受力体側台座91が配置され、時計回りの方向に支持体側台座92が配置されてもよい。この場合、第1起歪体30Aの受力体側台座91が、支持体側台座92よりもX軸方向正側に配置され、第2起歪体30Bの受力体側台座91が、支持体側台座92よりもY軸方向正側に配置される。第3起歪体30Cの受力体側台座91が、支持体側台座92よりもX軸方向負側に配置され、第4起歪体30Dの受力体側台座91が、支持体側台座92よりもY軸方向負側に配置される。しかしながら、このことに限られることはなく、上方から見たときに、時計回りの方向に受力体側台座91が配置され、反時計回りの方向に支持体側台座92が配置されてもよい。あるいは、受力体側台座91および支持体側台座92は、Z軸方向で見たときに互いに重なる位置に配置されていてもよい。
このように本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの受力体側変形体33と支持体側変形体34とが、Y軸方向で見たときに湾曲している。このことにより、受力体側変形体33および支持体側変形体34を、応力を小さくして、弾性変形しやすくすることができる。このため、変位部40に設けられた変位電極基板Ed1、Ed2の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸方向負側に向かって見たときに(Z軸方向において受力体10から支持体20の側に向かって見たときに)、受力体10の中心Oに対する周方向における一側に、各起歪体30A~30Dの受力体側台座91が配置され、当該周方向における他側に、各起歪体30A~30Dの支持体側台座92が配置されてもよい。この場合、Z軸周りのモーメントが作用した場合に、受力体10を変位させやすくすることができる。このため、起歪体30A~30Dの変形部31を弾性変形しやすくすることができ、変位部40に設けられた変位電極の変位を大きくさせることができる。このため、力またはモーメントの検出感度を高めることができ、力覚センサ1の検出精度を向上させることができる。
なお、上述したR輪郭部93は、図37に示す第1起歪体30Aに適用されることに限られることはない。例えば、図4A等に示す第1起歪体30A等、他の起歪体にも適用することができる。