JP6002523B2 - 潤滑剤組成物およびそれを用いた成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑剤組成物およびそれを用いた成形方法に関し、より詳しくは、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの成形に好適な潤滑油組成物および成形方法に関する。
自動車などを対象とした軽量化技術の確立は省エネルギーにとって欠かせないものである。従来の鋼材より軽いアルミニウムやマグネシウムを使用する技術も進んでいる一方、炭素繊維強化プラスチック(「カーボンファイバー強化プラスチック」または「CFRP」ともいう。))の適応も進んでいる(例えば、特許文献1を参照)。
現在主流である熱硬化性CFRPは成形後に熱により硬化させる工程を取るため、十分な生産速度を得られないといった問題を有している。一方、熱可塑性CFRPは熱により軟化するため、一般的な金属の温間、熱間加工と同様に扱うことも可能であり、高い生産速度を期待することができる。
特開2012−162062号公報
しかし、熱可塑性CFRPの成形加工において、加工条件が厳しくなるとCFRPと、工具、金型間の摩擦が大きくなり、十分な成形が行なえなくなる場合がある。さらに、摩擦の増大が著しい場合には、熱可塑性CFRPに割れ、傷などの損傷が生じることもある。
そこで、本発明者らは、まず、加工油剤の使用による上記の加工不良の防止について検討した。しかし、本発明者らの検討によれば、金属材料の成形に用いられる一般的な加工油剤を熱可塑性CFRPの成形に転用しても、加工時の熱に対する油剤の耐性が不十分であるため、変質や劣化を生じ十分な潤滑性を示すことができないことが判明した。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、熱可塑性CFRPの成形において十分な耐熱性および潤滑性を有する潤滑油組成物、ならびに該潤滑油組成物を用いた成形方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために、合成油および40℃における動粘度が80mm/s以上、引火点が200℃以上の鉱油から選ばれる少なくとも1種を含有する潤滑剤組成物を加工油として用い、成形時の材料温度が100℃以上400℃以下の条件で、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックを成形加工する工程を備える、成形方法を提供する。
また、本発明は、合成油および40℃における動粘度が80mm/s以上、引火点が200℃以上の鉱油から選ばれる少なくとも1種を含有し、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの成形に用いられる潤滑油組成物を提供する。
上記合成油は、ポリアルキレングリコール、多価アルコールエステル、コンプレックスエステルおよび変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の潤滑油組成物は、固体潤滑剤をさらに含有することが好ましい。
また、有機酸の金属塩をさらに含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、成形時の材料温度が100℃以上400℃以下である成形に好ましく用いることができる。
本発明によれば、熱可塑性CFRPの成形加工において十分な耐熱性及び潤滑性を有する潤滑油組成物、ならびに該潤滑油組成物を用いた成形方法を提供することが可能となる。また、本発明の潤滑油組成物及び成型方法によれば、成形後の離型性を高水準で達成することができる。
熱可塑性成形加工に用いられる金型の一例を示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態:潤滑油組成物]
本発明の第1実施形態に係る潤滑油組成物は、合成油および40℃における動粘度が80mm/s以上、引火点が200℃以上の鉱油から選ばれる少なくとも1種を含有し、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの成形に用いられる潤滑油組成物である。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製した、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などが挙げられる。
鉱油の40℃における動粘度は、80mm/s以上であり、好ましくは100mm/s以上、より好ましくは200mm/s以上である。鉱油の40℃における動粘度が80mm/s未満であると、加工性が不十分となる。
鉱油の40℃における動粘度の上限は特に限定されないが、好ましくは2000mm/s以下、より好ましくは1500mm/s以下、さらに好ましくは1000mm/s以下である。鉱油の40℃における動粘度が2000mm/sを超えると、油剤の塗布などの作業性が低下する傾向にある。
鉱油の引火点は、200℃以上であり、230℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。
鉱油の含有量は特に限定はないが、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、鉱油の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
合成油としては、ポリアルキレングリコール、多価アルコールエステル、コンプレックスエステル及び変性シリコーン、ポリブテン、ポリオレフィン、エチレン、プロピレンなどの共重合体、ポリフェニルエーテルなどのエーテル類、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、下記一般式(1)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上からなる。ここで、一般式(1)中のRおよびRの双方が水素原子である場合、一般式(1)で表される化合物はポリアルキレングリコールである。また、一般式(1)中のRまたはRの一方が水素原子である場合、一般式(1)で表される化合物はポリアルキレングリコールのモノエーテル化物である。また、一般式(1)中のRおよびRの双方がアルキル基である場合、一般式(1)で表される化合物はポリアルキレングリコールのジエーテル化物である。
−O−(R−O)−R (1)
[式(1)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、nは一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量が300〜2000となるような整数を示す。]
一般式(1)中のRまたはRの一方または双方がアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は任意に選択することができるが、アルキル基の炭素数は1〜18であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。アルキル基の炭素数が18を超えると、加工後の後処理で油剤成分を除去しきれない場合がある。アルキル基は直鎖状であっても、分枝状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖状または分枝状のペンチル基、直鎖状または分枝状のヘキシル基、直鎖状または分枝状のへプチル基、直鎖状または分枝状のオクチル基、直鎖状または分枝状のノニル基、直鎖状または分枝状のデシル基、直鎖状または分枝状のウンデシル基、直鎖状または分枝状のドデシル基、直鎖状または分枝状のトリデシル基、直鎖状または分枝状のテトラデシル基、直鎖状または分枝状のペンタデシル基、直鎖状または分枝状のヘキサデシル基、直鎖状または分枝状のヘプタデシル基、および直鎖状または分枝状のオクタデシル基等が挙げられる。
また、一般式(1)中のRで表されるアルキレン基の炭素数は特に限定するものではないが、一般的には炭素数2〜10であることが好ましい。炭素数2〜10のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基(1−メチルエチレン基および2−メチルエチレン基を含む)、トリメチレン基、ブチレン基(1−エチルエチレン基および2−エチルエチレン基を含む)、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンチレン基(1−ブチルエチレン基および2−ブチルエチレン基を含む)、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、1,1,2−トリメチルエチレン基、1,2,2−トリメチルエチレン基、へキシレン基(1−ブチルエチレン基および2−ブチルエチレン基を含む)、1−メチル−1−プロピルエチレン基、1−メチル−2−プロピルエチレン基、2−メチル−2−プロピルエチレン基、1,1−ジエチルエチレン基、1,2−ジエチルエチレン基、2,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,1−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基、ヘプチレン基(1−ペンチルエチレン基および2−ペンチルエチレン基を含む)、オクチレン基(1−ヘキシルエチレン基および2−ヘキシルエチレン基を含む)、ノニレン基(1−ヘプチルエチレン基および2−ヘプチルエチレン基を含む)、デシレン基(1−オクチルエチレン基および2−オクチルエチレン基を含む)等を挙げることができる。
上記アルキレン基の中でも、吸湿性が低く、潤滑性に優れ、加水分解が起こりにくい等の点から、Rは炭素数3以上のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4以上のアルキレン基であることがより好ましい。また、Rで表されるアルキレン基の炭素数は、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物は、同一分子内のRが1種である単独重合体でもよく、同一分子内のRが2種以上である共重合体であってもよい。さらに、一般式(1)で表される化合物が共重合体である場合には、当該共重合体を構成するモノマー比およびモノマーの配列は特に限定されず、ランダム共重合体、交互共重合体およびブロック共重合体のいずれであってもよい。
一般式(1)で表される化合物が単独重合体である場合には、吸湿性が低く、潤滑性が優れ、加水分解が起こりにくい等の点から、Rは炭素数4〜6のアルキレン基であることが好ましく、原料モノマーの入手容易性からブチレン基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物が共重合体である場合には、吸湿性が低く、潤滑性が優れ、加水分解が起こりにくい、焼鈍時の残渣分を一層低減することができる等の点から、Rは炭素数3〜6のアルキレン基であることが好ましく、さらに、原料モノマー入手の容易性からプロピレン基またはブチレン基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)中のnは一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量が300〜2000、好ましくは500〜1800、より好ましくは800〜1500となるような整数である。一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量が300未満であると、引火点が低くなりすぎて発火、着火などの危険が危惧される。一方、一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量が2000を超えると加工後の後処理で油剤成分を除去しきれない場合がある。
多価アルコールエステルを構成する多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10の多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらの多価アルコールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコールおよびこれらの混合物等が好ましい。さらに、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、およびこれらの混合物等がより好ましい。これらの中でも、より高い熱・酸化安定性が得られることから、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびこれらの混合物等が最も好ましい。
また、多価アルコールエステルを構成するカルボン酸は、一塩基酸または多塩基酸のいずれであってもよい。
多価アルコールエステルを構成する一塩基酸としては、通常、炭素数6〜24の脂肪酸が用いられる。かかる一塩基酸は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、さらに飽和または不飽和のいずれであってもよい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のヘキサン酸、直鎖状または分岐鎖状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノナン酸、直鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または分岐状のウンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン酸、直鎖状または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状または分岐状のオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン酸、直鎖状または分岐状のエイコサン酸、直鎖状または分岐鎖状のヘンエイコサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン酸、直鎖状または分岐状のトリコサン酸、直鎖状または分岐状のテトラコサン酸、などの飽和脂肪酸;直鎖状または分岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状のヘプテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン酸、直鎖状または分岐状のウンデセン酸、直鎖状または分岐状のドデセン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状または分岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のノナデセン酸、直鎖状または分岐状のエイコセン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状または分岐状のドコセン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直鎖状または分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、およびこれらの2種以上の混合物が好ましい。
また、多価アルコールエステルを構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、また、飽和または不飽和のいずれであってもよい。具体的には、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状または分岐状のブタン二酸、直鎖状または分岐状のペンタン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサン二酸、直鎖状または分岐状のオクタン二酸、直鎖状または分岐状のノナン二酸、直鎖状または分岐状のデカン二酸、直鎖状または分岐状のウンデカン二酸、直鎖状または分岐状のドデカン二酸、直鎖状または分岐状のトリデカン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン二酸;直鎖状または分岐状のヘキセン二酸、直鎖状または分岐状のオクテン二酸、直鎖状または分岐状のノネン二酸、直鎖状または分岐状のデセン二酸、直鎖状または分岐状のウンデセン二酸、直鎖状または分岐状のドデセン二酸、直鎖状または分岐状のトリデセン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン二酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
多価アルコールエステルを構成する多価アルコールとカルボン酸の組み合わせは任意であり、例えば下記に示す組み合わせが挙げられる。
(1)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(2)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(3)多価アルコールと一塩基酸および多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル。
なお、多価アルコールエステルは、多価アルコールの全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のままで残存している部分エステルであってもよい。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いる場合、多塩基酸中の全てのカルボキシル基がエステル化された完全エステルであってもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残存している部分エステルであってもよい。
上記(1)〜(3)に示した組み合わせの中でも、より潤滑性に優れる点から、(1)多価アルコールと一塩基酸とのエステルが好ましい。
多価アルコールエステルの炭素数は特に制限されないが、潤滑性の向上効果に優れる点から、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。また、炭素数が大きすぎると、加工後の後処理で油剤成分を除去しきれない場合があることから、エステルの炭素数は、26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下がさらに好ましい。
また、コンプレックスエステルとは、脂肪酸および二塩基酸と、一価アルコールおよび多価アルコールとのエステルである。
コンプレックスエステルを構成する一価アルコールとしては、通常炭素数1〜24のものが用いられ、このようなアルコールは直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。炭素数1〜24の一価アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、直鎖状または分岐状のプロパノール、直鎖状または分岐状のブタノール、直鎖状または分岐状のペンタノール、直鎖状または分岐状のヘキサノール、直鎖状または分岐状のヘプタノール、直鎖状または分岐状のオクタノール、直鎖状または分岐状のノナノール、直鎖状または分岐状のデカノール、直鎖状または分岐状のウンデカノール、直鎖状または分岐状のドデカノール、直鎖状または分岐状のトリデカノール、直鎖状または分岐状のテトラデカノール、直鎖状または分岐状のペンタデカノール、直鎖状または分岐状のヘキサデカノール、直鎖状または分岐状のヘプタデカノール、直鎖状または分岐状のオクタデカノール、直鎖状または分岐状のノナデカノール、直鎖状または分岐状のエイコサノール、直鎖状または分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状または分岐状のトリコサノール、直鎖状または分岐状のテトラコサノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
また、コンプレックスエステルを構成する脂肪酸、二塩基酸および多価アルコールとしては、それぞれ多価アルコールエステルの説明において例示された脂肪酸、二塩基酸および多価アルコールと同様のものを使用することができる。
変性シリコーンオイルとしては、アラルキル基及び炭素数が2以上のアルキル基のうちの少なくとも1種により変性された変性シリコーンオイルである。尚、上記変性シリコーンオイルには、いわゆるシリコーンオイル、即ち、ストレートシリコーンオイルであるメチル基、フェニル基及び水素原子により置換されたポリジメチルシロキサン(ジメチルシリコーンオイル、メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル及びジフェニルシリコーンオイル等)は含まれない。
上記「アラルキル基」(アリールアルキル基)は、側鎖部分を有するアリール基の側鎖部分から水素原子が1つ失われた変性基である。即ち、アリール基をArとした場合に、A−C2n−(nは1以上の整数)で表される。アラルキル基の有するこの側鎖の構造は特に限定されず、直鎖状であってもよく、さらに側鎖を有するものであってもよい。また、この側鎖の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。このアラルキル基としては、例えば、アルキルフェニル基〔ベンジル基(CCH−)及びフェネチル基(CCHCH−)等〕、ジアルキルフェニル基、アルキルナフチル基、及び、ジアルキルナフチル基等が挙げられる。
上記「アルキル基」は、C2n+1(nは2以上の整数)で表される。このアルキル基の炭素数は2以上であれば特に限定されないが、通常、2〜30、好ましくは2〜24、さらに好ましくは4〜24、より好ましくは6〜18である。この炭素数を上記範囲とすることにより、より優れた潤滑性を示すことから好ましい。さらに、上記アルキル基は、直鎖状であってもよく、側鎖を有するものであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。炭素数が2以上のアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニルデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及び2−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記変性シリコーンオイルには、変性基として上記アルキル基及び上記アラルキル基以外の変性基を含んでいてもよい。他の変性基としては、ポリオキシアルキレン基、脂肪酸エステル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びエポキシ基等が挙げられる。この中で、好ましくはポリオキシアルキレン基である。
上記「ポリオキシアルキレン基」( 以下、「ポリエーテル基」という)は、アルキレン基がエーテル結合を介して結合した構造を有する変性基、即ち、−O(C2nO)Rの一般式で表される変性基である(但し、上記一般式中、n≧2、m≧1であり、Rは水素原子、アルキル基、アルキレン基、又はアリル基である。)。上記ポリエーテル基を含むことによって、上記アラルキル基及び上記アルキル基が含まれる場合と同様に潤滑性能を向上させることができるので好ましい。上記ポリエーテル基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基及びポリオキシエチレンプロピレン基等が挙げられる。また、上記ポリエーテル基により変性された上記変性シリコーンオイルとしては、アラルキルポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル及びアルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーンオイルが含まれる。
上記変性シリコーンオイルにおいて、上記アラルキル基及び炭素数が2以上のアルキル基のうちの少なくとも1種である変性基による変性率は特に限定されないが、変性率が高いと、変性による潤滑性向上効果が十分に発揮されるので好ましい。また、上記変性シリコーンオイルがさらに上記ポリエーテル基により変性されている場合も、上記アルキル基、上記アラルキル基及び上記ポリエーテル基による変性率は特に限定されないが、上記のように、変性率が高いと、変性による潤滑性向上効果が十分に発揮されるので好ましい。
さらに、上記変性シリコーンオイルの分子量については特に限定がなく、少なくとも使用環境(温度及び圧力等)において液状となる程度であればよく、必要に応じて種々の範囲の分子量の変性シリコーンオイルを使用することができる。
また、上記以外の合成油として、ポリブテン、ポリオレフィン、エチレン、プロピレンなどの共重合体、ポリフェニルエーテルなどのエーテル類、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが使用できる。
ポリアルキレングリコールおよび多価アルコールエステルの40℃における動粘度は、好ましくは20mm/s以上であり、より好ましくは30mm/s以上、さらに好ましくは40mm/s以上である。40℃動粘度が20mm/s以下の場合は、潤滑性が不十分となる。
また、ポリアルキレングリコールおよび多価アルコールエステルの40℃における動粘度は、好ましくは500mm/s以下であり、より好ましくは300mm/s以下、さらに好ましくは150mm/s以下である。40℃動粘度が500mm/sを超えると、取り扱い性が不十分となる。
コンプレックスエステル、ポリブテン、ポリフェニルエーテルおよびアルキルベンゼンの40℃における動粘度は、好ましくは40mm/s以上であり、より好ましくは60mm/s以上、さらに好ましくは100mm/s以上である。40℃動粘度が40mm/s以下の場合は、潤滑性が不十分となる。
また、ポリアルキレングリコール、多価アルコールエステルおよびコンプレックスエステルの40℃における動粘度は、好ましくは1000mm/s以下であり、より好ましくは700mm/s以下、さらに好ましくは500mm/s以下である。40℃動粘度が1000mm/sを超えると、取り扱い性が不十分となる。
変性シリコーンの25℃における動粘度は、好ましくは5mm/s以上であり、より好ましくは10mm/s以上、さらに好ましくは30mm/s以上である。25℃動粘度が5mm/s以下の場合は、潤滑性が不十分となる。
また、変性シリコーンの25℃における動粘度は、好ましくは3000mm/s以下であり、より好ましくは2000mm/s以下、さらに好ましくは1500mm/s以下である。25℃動粘度が3000mm/sを超えると、取り扱い性が不十分となる。
合成油の引火点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。
合成油の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、合成油の含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、上記の合成油および/または鉱油のみからなるものであってもよいが、以下に示すその他の成分をさらに含有することができる。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、固体潤滑剤をさらに含有することができる。固体潤滑剤としては、ポリ四フッ化エチレン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、二硫化モリブデン及び黒鉛などの粉末を例示することができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、二硫化モリブデンや黒鉛などの黒色系粉末よりも、非黒色系粉末の方が、作業環境性の面から好ましく、特に作業環境性及び潤滑性能などの点で、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))粉末が好適である。この固体潤滑剤粉末の平均粒径は、特に限定されないが、分散性及び潤滑性能などの面から、通常0.1〜20μm程度、好ましくは0.2〜7μmの範囲である。前記ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))粉末としては、例えば市販品として「ルブロンL−2」(商品名、ダイキン工業社製)などを挙げることができる。
固体潤滑剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。また、固体潤滑剤の含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、有機酸塩をさらに含有することができる。有機酸塩としては、スルホネート、フェネート、サリシレート、並びにこれらの混合物が好ましく用いられる。これらの有機酸塩の陽性成分としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;アンモニア、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキルアミン(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミンなど)、炭素数1〜3のアルカノール基を有するアルカノールアミン(モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなど)などのアミン、亜鉛などが挙げられるが、これらの中でもアルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、カルシウムが特に好ましい。有機酸塩の陽性成分がアルカリ金属又はアルカリ土類金属であると、より高い加工性が得られる傾向にある。
有機酸塩の塩基価は、好ましくは50〜500mgKOH/gであり、より好ましくは100〜470mgKOH/g、もっとも好ましくは150〜420mgKOH/gである。有機酸塩の塩基価が100mgKOH/g未満の場合は加工性が不十分となる傾向にあり、他方、塩基価が500mgKOH/gを超える有機酸塩は、通常、製造が非常に難しく入手が困難であるため、それぞれ好ましくない。なお、ここでいう塩基価とは、JISK 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価[mgKOH/g]をいう。
スルホネートは、任意の方法によって製造されたものが使用可能である。例えば、分子量100〜1500、好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及びこれらの混合物などが使用できる。ここでいうアルキル芳香族スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものや、ホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸などの石油スルホン酸や、洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる直鎖状又は分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレンなどのアルキルナフタレンをスルホン化したものなどの合成スルホン酸などが挙げられる。また、上記のアルキル芳香族スルホン酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させて得られるいわゆる中性(正塩)スルホネート;中性(正塩)スルホネートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性スルホネート;炭酸ガスの存在下で中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート;中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネートとホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート;及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、フェネートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルフェノールと、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させることにより得られる中性フェネート;中性フェネートと過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られる、いわゆる塩基性フェネート;炭酸ガスの存在下で中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られる、いわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネートとホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造される、いわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;及びこれらの混合物などが挙げられる。
さらに、サリシレートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルサリチル酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させることにより得られる中性サリシレート;中性サリシレートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性サリシレート;炭酸ガスの存在下で中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)金属サリシレートとホウ酸又は無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;及びこれらの混合物などが挙げられる。
有機酸塩としては、カルシウムスルホネート、アミンスルホネート、ナトリウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレートが好ましく、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレートが特に好ましい。
有機酸塩の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、有機酸塩の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、加工性の向上の点から極圧剤をさらに含有することが好ましい。好ましい極圧剤としては、リン化合物および硫黄化合物が挙げられる。
リン化合物としては、具体的には例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホスホロチオネート、およびこれ等の金属塩が挙げられる。
より具体的には、リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等;
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等;
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等;
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等;
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等;
ホスホロチオネートとしては、トリブチルホスホロチオネート、トリペンチルホスホロチオネート、トリヘキシルホスホロチオネート、トリヘプチルホスホロチオネート、トリオクチルホスホロチオネート、トリノニルホスホロチオネート、トリデシルホスホロチオネート、トリウンデシルホスホロチオネート、トリドデシルホスホロチオネート、トリトリデシルホスホロチオネート、トリテトラデシルホスホロチオネート、トリペンタデシルホスホロチオネート、トリヘキサデシルホスホロチオネート、トリヘプタデシルホスホロチオネート、トリオクタデシルホスホロチオネート、トリオレイルホスホロチオネート、トリフェニルホスホロチオネート、トリクレジルホスホロチオネート、トリキシレニルホスホロチオネート、クレジルジフェニルホスホロチオネート、キシレニルジフェニルホスホロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスホロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスホロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスホロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスホロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスホロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスホロチオネート等が挙げられる。
リン化合物の金属塩としては、当該リン化合物の酸性水素の一部または全部を金属塩基で中和した塩が挙げられる。かかる金属塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等が挙げられ、その金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属および亜鉛が好ましい。
本実施形態においては、上記リン化合物の中でも、より高い加工効率が得られることから、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩およびホスホロチオネートが好ましく、さらに、一層高い加工効率が達成できる点からは、リン酸エステルがより好ましい。
本実施形態で用いられる硫黄化合物としては、潤滑油組成物の特性を損なわない限りにおいて特に制限されないが、ジヒドロカルビルポリサルファイド、硫化オレフィン、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化鉱油、下記一般式(2)で表されるジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物、ジチオカルバミン酸モリブデン化合物、チアジアゾール化合物、アルキルチオカルバモイル化合物、チオカーバメート化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物が好ましく用いられる。
Figure 0006002523

[式(2)中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1以上の炭化水素基を表す。]
上記硫黄化合物の中でも、ジヒドロカルビルポリサルファイド、硫化エステル、硫化油脂およびチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いると、加工効率の向上効果が一層高水準で得られるので好ましく、さらに硫化エステルを用いることがより好ましい。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、リン化合物または硫黄化合物の一方のみを含有するものであってもよく、リン化合物と硫黄化合物の双方を含有するものであってもよい。加工性の向上効果がより高められる点からは、リン化合物単独または硫黄化合物およびリン化合物の双方を含有することが好ましく、リン化合物単独がより好ましい。
上記極圧剤の含有量は任意であるが、加工性向上の点から、組成物全量基準で、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらにより好ましい。また、油剤臭気やコストの観点から極圧剤の含有量は、組成物全量基準で、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は油性剤をさらに含有してもよい。油性剤としては、通常潤滑油の油性剤として用いられているものを使用することができる。しかしながら、より加工性を向上させるために下記(1)〜(3)から選ばれる1種または2種以上の油性剤を使用することが好ましい。
(1)エステル油性剤
(2)一価アルコール油性剤
(3)カルボン酸油性剤。
(1)エステル油性剤を構成するアルコールは一価アルコールでも多価アルコールでも良い。また、(1)エステル油性剤を構成するカルボン酸は一塩基酸でも多塩基酸であっても良い。
一価アルコールとしては、上記コンプレックスエステルの説明において例示された一価アルコールを用いることができる。
また、多価アルコールとしては、上記多価アルコールエステルの説明において例示された多価アルコールを用いることができる。
(1)エステル油性剤を構成する一塩基酸としては、上記多価アルコールエステルの説明において例示された一塩基酸を用いることができる。
また、(1)エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、上記多価アルコールエステルの説明において例示された多塩基酸を用いることができる。
(1)エステル油性剤としては、任意のアルコールとカルボン酸の組み合わせによるエステルが使用可能であり、特に限定されるものではない。
なお、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルを示す。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでも良く、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであっても良い。
(2)一価アルコール油性剤としては、具体的には例えば、上記コンプレックスエステルの説明において例示された一価アルコールを用いることができる。
(3)カルボン酸油性剤としては、一塩基酸でも多塩基酸でも良い。具体的には例えば、上記多価アルコールエステルの説明において例示された一塩基酸または多塩基酸を用いることができる。これらの中でも、より加工性に優れる点から一価のカルボン酸が好ましい。また、より加工性に優れる点から、炭素数6以上のカルボン酸が好ましく、炭素数8以上のカルボン酸がより好ましく、炭素数10以上のカルボン酸が最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性が大きくなることから、炭素数20以下のカルボン酸が好ましく、炭素数18以下のカルボン酸がより好ましく、炭素数16以下のカルボン酸が最も好ましい。
本実施形態に係る潤滑油組成物においては、上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを用いても良く、また2種以上を組み合わせて用いても良いが、潤滑性の点から、(1)エステル油性剤および(2)一価アルコール油性剤が好ましく、(1)エステル油性剤がより好ましい。
上記油性剤の含有量は、加工性の点から、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、脱脂性の点から、油性剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、一層好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は酸化防止剤をさらに含有していることが好ましい。酸化防止剤の添加により、構成成分の変質によるべたつきを防止することができ、また、熱・酸化安定性を向上させることができる。
本実施形態において使用可能な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤、その他食品添加剤として使用されている酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のフェノール系化合物が使用可能であり、特に制限されるものでないが、例えばアルキルフェノール化合物が好ましいものとして挙げられる。
また、アミン系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のアミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル−α−ナフチルアミンまたはN−p−アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、並びにp,p’−ジアルキルジフェニルアミンの中から選ばれる1種または2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
アミン系酸化防止剤の具体例としては、4−ブチル−4’−オクチルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ドデシルフェニル−α−ナフチルアミンおよびこれらの混合物などが挙げられる。
ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤としては、上記硫黄化合物の説明において例示された一般式(2)で表される化合物などが挙げられる。
また、食品添加剤として使用されている酸化防止剤も使用可能であり、上述したフェノール系酸化防止剤と一部重複するが、例えば、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、1,2−ジハイドロ−6−エトキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン(THBP)を挙げることができる。
これらの酸化防止剤の中でも、アミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤、並びに上記食品添加剤として使用されている酸化防止剤が好ましく、アミン系酸化防止剤およびジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤を併用することがさらに好ましい。
酸化防止剤の含有量に特に制限はないが、良好な熱・酸化安定性を維持させるためにその含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、それ以上添加しても効果の向上が期待できないことから、酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、上記以外の従来公知の添加剤をさらに含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、上記したリン化合物および硫黄化合物以外の極圧剤(塩素系極圧剤を含む);アミン、アルカノールアミン、アミド、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、多価アルコールの部分エステル等の腐食防止剤;ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等の金属不活性化剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等の消泡剤;アルケニルコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアルケニルアミンアミノアミド等の無灰分散剤;等が挙げられる。これら公知の添加剤を使用する場合の含有量は特に制限されないが、これら公知の添加剤の合計含有量が組成物全量基準で0.1〜10質量%となるような量で添加するのが一般的である。
なお、本実施形態に係る潤滑剤組成物において、意図した水の添加はない。吸湿により組成物全量基準で1%以下の水を含有することがある。
[第2実施形態:成形方法]
本発明の第2実施形態に係る成形方法は、上記第1実施形態に係る潤滑剤組成物を加工油として用い、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックを成形加工する工程を備える。
成形時の材料温度は、100℃以上400℃以下であり、好ましくは150℃以上350℃以下である。当該温度が100℃未満であると、十分な熱可塑性が得られず加工性が不十分となる。また、当該温度が400℃を超えると、十分な加工性が得られる温度を超えることとなり不経済であること、熱による熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの劣化を招くこととなる。
図1は成形加工に用いられる金型の一例を示す説明図である。図1に示す金型は、凸部を有する上部金型1と凹部を有する下部金型2とを有する。加工の際には、まず、シート状の被加工材3(熱可塑性CFRP)に潤滑油組成物を塗布し、上記の材料温度の範囲内となるように加熱する。被加工材3に潤滑油組成物を塗布する方法は特に制限されず、例えば浸漬塗布により行うことができる。
次に、上部金型1および下部金型2を所定温度(好ましくは被加工材3の温度と同温)に加熱し、被加工材3を上部金型1と下部金型2の間に配置し、上部金型1に荷重を加えて被加工材3を成形加工する。荷重および荷重を加えた後の保持時間は適宜選定することができる。
上記の成形加工の後、上部金型1、下部金型2及び被加工材3を冷却し、金型1、2を開いて被加工材3を取り出し、目的の成形体を得る。
本実施形態に係る成形方法によれば、加工油として用いられる上記第1実施形態に係る潤滑油組成物が十分な耐熱性および潤滑性、あるいは更に離型性を有するため、熱可塑性CFRPにおいて高水準の加工性および離型性を達成することができる。
なお、本実施形態では成形加工の例を示したが、上記第1実施形態に係る潤滑油組成物は、ホットスタンピングや深絞り加工の他、曲げ成形、引き抜き成形、しごき成形、鍛造加工などの塑性加工にも好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜38、比較例1〜3]
実施例1〜38および比較例1〜3においては、それぞれ以下に示す基油および添加剤を用いて、表1〜6に示す組成を有する潤滑油組成物としての試料油を調製した。
[基油]
A1:鉱油(40℃における動粘度83mm/s、引火点208℃)
A2:鉱油(40℃における動粘度465mm/s、引火点286℃)
A3:鉱油(40℃における動粘度505mm/s、引火点233℃)
A4:鉱油(40℃における動粘度73mm/s、引火点204℃)
A5:鉱油(40℃における動粘度86mm/s、引火点188℃)
A6:鉱油(40℃における動粘度75mm/s、引火点191℃)
A7:ポリブチレングリコール(40℃における動粘度81mm/s、重量平均分子量1000)
A8:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル(40℃における動粘度41mm/s、重量平均分子量1000)
A9:ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(40℃における動粘度57mm/s、重量平均分子量1000)
A10:ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(40℃における動粘度127mm/s、重量平均分子量1400)
A11:トリメチロールプロパントリオレート(40℃における動粘度48mm/s)
A12:ペンタエリスリトールテトラオレート(40℃における動粘度64mm/s)
A13:ダイマー酸と、C8一価アルコール、C10一価アルコール、トリメチロールプロパンとのコンプレックスエステル(40℃における動粘度320mm/s)
A14:アルキル変性シリコーンオイル(25℃における動粘度1100mm/s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、商品名:SF8416)
A15:アルキルアラルキル変性シリコーンオイル(25℃における動粘度1000mm/s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、商品名:SH203)
A16:アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル(25℃における動粘度1000mm/s、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製、商品名:TSF4450)
A17:アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーンオイル(25℃における動粘度40mm/s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、商品名:SF8419)
A18:ポリブテン(40℃における動粘度340mm/s)
A19:ポリフェニルエーテル(40℃における動粘度290mm/s)
A20:アルキルベンゼン(40℃における動粘度350mm/s)
[固体潤滑剤]
B1:ポリ四フッ化エチレン(平均粒径4μm)
B2:炭酸カルシウム
B3:酸化亜鉛
B4:二硫化モリブテン
B5:黒鉛
[有機酸金属塩]
C1:カルシウムスルホネート(塩基価410)
C2:カルシウムスルホネート(塩基価74)
C3:カルシウムスルホネート(塩基価42)
[成形加工]
実施例1〜38及び比較例1〜3の潤滑油組成物を加工油として用い、以下のようにして成形加工を行った。
(被加工材:熱可塑性CFRP)
ポリプレン樹脂85質量%とPAN系炭素繊維15質量%から成る樹脂組成物からなるシート状の被加工材(厚さ:10mm、幅:50mm、長さ:150mm)を用いた。
(金型)
図1に示す金型(d1:100mm、d2:35mm、d3:23mm、d4:25mm)を用いた。
(加工方法)
加工油を浸漬塗布したCFRP材を250℃に加熱し、250℃に加熱した金型にそのCFRP材を挟み込み、上部金型に荷重を掛けて成形加工した(保持時間:60秒)。その後、直ちに金型、材料ともに冷却を行い、60分後に約50℃となったところで金型を開き被加工材を取り出した。
[加工性の評価]
成形後の被加工材について、表面の観察、ならびに、むしれなどの占有面積の画像解析を行い、以下の基準:
A:問題なく成形加工できている
B:表面に若干のむしれなどが認められるが、概ね問題ない
C:著しい表面損傷や割れが生じた
に従って加工性を評価した。得られた結果を表1〜6に示す。また、評価がBのものについては、画像解析で得られたむしれなどの占有面積の割合を併せて示す。
[離型性]
成形加工後に被加工材を金型から取り出すときの離型性を、以下の基準:
A:問題なく金型から取り外せた
B:金型との接着が認められた
に基づいて評価した。得られた結果を表1〜6に示す。
Figure 0006002523
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Claims (6)

  1. 40℃における動粘度が20mm/s以上のポリアルキレングリコール、40℃における動粘度が20mm/s以上の多価アルコールエステル、40℃における動粘度が40mm/s以上のコンプレックスエステル、25℃における動粘度が5mm/s以上の変性シリコーンおよび40℃における動粘度が80mm/s以上、引火点が200℃以上の鉱油から選ばれる少なくとも1種を含有し、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの成形に用いられる潤滑油組成物。
  2. 前記ポリアルキレングリコールが、下記一般式(1)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上からなる、請求項1に記載の潤滑油組成物。
    −O−(R−O)−R (1)
    [式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは水素原子またはアルキル基を示し、nは一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量が300〜2000となるような整数を示す。]
  3. 固体潤滑剤をさらに含有する、請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
  4. 有機酸塩をさらに含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  5. 成形時の材料温度が100℃以上400℃以下である成形に用いられる、請求項1〜のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を加工油として用い、成形時の材料温度が100℃以上400℃以下の条件で、熱可塑性炭素繊維強化プラスチックを成形加工する工程を備える、成形方法。
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