JP6001950B2 - 補助シート - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつや尿パッド等の吸収性物品に取り付けて使用される補助シートに関するものである。
使い捨ておむつや尿パッド等の吸収性物品は、体液を吸収して保持する吸収性コアの肌面側に液透過性のトップシートが設けられて形成されている。トップシートとしては、一般に、ポリオレフィンやポリエチレン等の疎水性繊維から形成された不織布に界面活性剤を塗布して親水化した不織布や、セルロースやレーヨン等の親水性繊維から形成された不織布等が広く用いられている。そして、このような不織布をトップシートに用いた吸収性物品に尿が排泄されると、尿はトップシートを速やかに透過して、吸収性コアに吸収・保持される。しかし、軟便や下痢便等の水分が多い大便が吸収性物品に排泄されると、軟便や下痢便がトップシート上に留まって、トップシートを速やかに透過せずにトップシート上で広がって横漏れを生じるおそれがある。
軟便や下痢便等の水分の多い大便を好適に取り扱うことを目指した吸収性物品として、例えば特許文献1には、直径5mm〜10mmの孔が貫通して設けられたトップシートを備えた吸収性物品が開示され、特許文献2には、多数のひだ状部が平行に形成されて断面凹凸状に形成されたトップシートを備えた吸収性物品が開示されている。
特開2011−239835号公報 特許第3617637号公報
しかし特許文献1,2に開示された吸収性物品は、水分の多い軟便や下痢便に適したものとして、いわば用途が特化された吸収性物品であり、使用者や小売業者がそのような吸収性物品を常備しておくのは困難な場合があり、製造供給側にとっても少量生産となって製造コストが高くなってしまいがちである。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般の吸収性物品を用いた場合でも、水分の多い軟便や下痢便を好適に処理することを可能とする補助シートを提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の補助シートとは、吸収性物品の肌面側に取り外し可能に配置して用いられ、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層を有するところに特徴を有する。エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層は、高い親水性を有するにも関わらず、保水性を低く形成することが容易となる。従って、このようなEVOH層を有する補助シートを吸収性物品の肌面側に配置して用いることにより、水分の多い軟便や下痢便が排泄された場合でも、補助シートによって大便が漉し取られ、軟便や下痢便に含まれる水分を吸収性物品によって好適に吸収させることができる。大便を漉し取った後の補助シートは湿りの少ないものとなり、吸収性物品から取り外す際の取り扱い性が向上し、補助シートを吸収性物品から取り外すことにより、例えば、大便のみをトイレに流して適切に処分することができる。従って、本発明の補助シートを用いれば、一般の吸収性物品であっても軟便や下痢便を好適に取り扱うことができる。
補助シートは、EVOH層以外の繊維層を有しないことが好ましい。補助シートがEVOH層以外の繊維層を有していなければ、軟便や下痢便に含まれる水分が補助シートを透過しやすくなり、水分が透過した後の補助シートが湿りの少ないものとなる。
補助シートは、吸水率が100質量%以下であることが好ましい。補助シートの吸水率が100質量%以下であれば、補助シート上に軟便や下痢便が排泄されても補助シートが湿りの少ないものとなり、補助シートを吸収性物品から取り外す際の取り扱い性が向上する。
EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維で構成されていることが好ましく、複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成する芯鞘複合繊維であることが好ましい。EVOH層がこのような複合繊維で構成されていれば、EVOH層の強度を高め、また、保水性を低くすることができる。
EVOH層は、目付が30g/m2以上250g/m2以下であることが好ましい。EVOH層の目付がこのような範囲にあれば、EVOH層が大便を漉し取り水分を透過させる機能を好適に発揮しやすくなる。
本発明の補助シートは、一般の吸収性物品の肌面側に配置して用いることにより、水分の多い軟便や下痢便が排泄された場合でも、補助シートにより大便を漉し取って、軟便や下痢便に含まれる水分を吸収性物品に好適に吸収させることができる。大便を漉し取った後の補助シートは湿りの少ないものとなり、補助シートを吸収性物品から取り外すことにより、大便を適切に処分することができる。
本発明の補助シートの吸収性物品への取り付け例を表す。
本発明の補助シートは、使い捨ておむつや尿パッド等の吸収性物品に取り付けて使用するものであり、具体的には、吸収性物品の肌面側に取り外し可能に配置して用いられるものである。本発明の補助シートは、大便、特に水分の多い軟便や下痢便を捕捉するのに好適に用いられ、補助シートにより大便から固形分を漉し取り、水分は補助シートを透過させるようにすることにより、吸収性物品の液吸収能力を好適に発揮させるようにするものである。
軟便や下痢便は大便が泥状あるいは懸濁状で存在しており、吸収性物品のトップシート上で留まりやすく、トップシートを透過しにくい。そのため、吸収性物品の着用者が軟便や下痢便を排泄すると、軟便や下痢便が吸収性物品のトップシート上で広がって、横漏れするおそれが生じる。また、軟便や下痢便が付着した吸収性物品は、大便が吸収性物品にこびり付きやすく、その処分が困難となる場合がある。
本発明の補助シートは、吸収性物品の肌面側に配置して用いることにより、軟便や下痢便を好適に処理できるようにするものである。すなわち、本発明の補助シートを吸収性物品の肌面側に配置し、この状態で着用者が吸収性物品を着用することで、水分の多い軟便や下痢便が排泄された場合でも、補助シートによって大便が漉し取られ、軟便や下痢便に含まれる水分が吸収性物品によって好適に吸収されるようになる。大便を漉し取った補助シートは、吸収性物品から取り外し、例えば、大便のみをトイレに流すことにより適切に処分することができる。この際、補助シート上には、水分量が低減された大便が残ることとなるため、大便を補助シートから容易に除去することができる。
本発明において、吸収性物品の肌面側とは、吸収性物品を着用した際に着用者の肌に向く側を意味する。例えば、吸収性物品が、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する場合は、トップシートが吸収性物品の肌面側に位置することとなる。従ってこの場合、補助シートはトップシート上に配置して用いられることとなる。
補助シートは、使用後は、補助シート上の大便を衛生的に処理するために、吸収性物品から取り外される。従って、補助シートは、吸収性物品の肌面側に接着剤等により固定されず、取り外し可能に配置される。具体的には、補助シートは例えば、接合手段により吸収性物品の肌面側に取り付けられずにそのまま配置される、あるいは、面ファスナー等の接合手段により吸収性物品の肌面側に着脱可能に取り付けられて配置される。
本発明の補助シートについて、その構成を具体的に説明する。本発明の補助シートは、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層を有するものである。
EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成される層である。エチレン−ビニルアルコール共重合体は親水性が非常に高く、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維を補助シートの構成繊維として用いることにより、軟便や下痢便から水分を優先的に透過させることができる。一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維は合成繊維であり、セルロール繊維等の天然繊維と比べて高度にフィブリル化(小繊維化)した構造を有しない。そのためエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維は、フィブリル中に保持される水分量が減り、セルロース繊維等よりも保水性が低下することとなる。従って、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層を有する本発明の補助シートは、大便から固形分を漉し取って、水分を好適に透過させる能力に優れたものとなる。また、EVOH層は保水性が高くないため、大便から固形分を漉し取った後のEVOH層は湿りが少なく取り扱い性の良好なものとなる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、重合体の構成単位として、エチレン基(−CH2−CH2−)とヒドロキシエチレン基(−CH2−CH(OH)−)とを有する共重合体であればよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、一般には、エチレンとビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)との共重合体をケン化することにより製造することができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体中、ヒドロキシエチレン基の割合は20モル%〜80モル%(より好ましくは、25モル%〜75モル%)であることが好ましく、このようにエチレン−ビニルアルコール共重合体が構成されていれば、溶融紡糸により繊維形成しやすくなり、また得られた繊維に好適に親水性が付与されるようになる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は、経時安定性の点から、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
EVOH層を構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維は、エチレン−ビニルアルコール共重合体のみから形成されていてもよく、エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の重合体とから形成されていてもよい。なお、EVOH層の強度を高め、保水性を低くする点から、EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維で構成されていることが好ましい。
複合繊維としては、例えば、断面が芯鞘型に成分配置された芯鞘複合繊維、断面が並列型に成分配置された並列複合繊維、断面が放射型に成分配置された放射複合繊維等が挙げられる。芯鞘複合繊維は、芯と鞘とが同芯であっても偏芯であってもよい。従って、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維は、繊維断面において、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる部分と、他の重合体(共重合体を含む)からなる部分とを有することとなる。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール共重合体が繊維表面に露出し、例えば芯鞘複合繊維の場合は、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成することが好ましい。
複合繊維を構成する他の重合体の種類は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維の形成容易性の点から、他の重合体は150℃以上の融点を有する重合体であることが好ましい。他の重合体としては、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミドが挙げられる。なお、他の重合体としてのポリオレフィンには、エチレン−ビニルアルコール共重合体は含まれない。他の重合体としては、複合繊維の形成容易性や製造コストの点から、ポリオレフィンまたはポリエステルが好ましく、ポリエステルがより好ましい。
複合繊維の形成方法は従来公知の方法を用いればよく、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の重合体とを、溶融状態で、所望する繊維断面に応じた口金形状を有する紡糸口金から吐出するとともに、吐出された両(共)重合体を接合することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維を製造できる。複合繊維は、仮撚捲縮加工等の高次加工により5角形や6角形やそれらに類似した断面形状に形成したり、紡糸口金の口金形状により円形や多葉形等の各種の断面形状に形成することができるが、複合繊維の断面形状は特に限定されない。
エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成する芯鞘複合繊維であることが好ましい。このような芯鞘複合繊維を用いれば、芯鞘複合繊維の表面に親水性を十分に付与しつつ、芯鞘複合繊維自体の保水性や吸水性を下げることができるため、補助シートに軟便や下痢便が排泄されると、大便から固形分を漉し取って、水分を好適に透過させることができる。また、大便から固形分を漉し取った後のEVOH層は、湿りが少なく取り扱い性の良好なものとなる。より好ましくは、芯鞘複合繊維は、芯がポリオレフィンまたはポリエステル(より好ましくはポリエステル)から構成され、鞘がエチレン−ビニルアルコール共重合体から構成される。このように芯鞘複合繊維を形成することにより、芯鞘複合繊維の強度を高め、芯鞘複合繊維の保水性や吸水性を下げることができる。
EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維のみから構成されていてもよく、他の繊維を含むものであってもよい。他の繊維は、EVOH層の所望する機能が発揮できる限り、その種類や含有割合は特に限定されない。例えばEVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維と他の繊維との割合が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維/他の繊維の質量比として、20/80以上が好ましく、50/50以上がより好ましく、75/25以上がさらに好ましく、85/15以上が特に好ましい。もちろんEVOH層はエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維のみから構成されていてもよい。
EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されており、不織布、織布、編布等の布製であればよい。なお、本発明の補助シートが、大便を漉し取るフィルターとして機能する点を考慮すると、EVOH層は3次元の網目構造を有することが好ましく、従って、EVOH層は不織布であることが好ましい。
不織布は、短繊維不織布と長繊維不織布のいずれであってもよく、その種類は特に限定されない。不織布のウェブ形成には、乾式法(カーディング法やエアレイド法等)、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法を採用することが好ましく、乾式法や湿式法では、繊維間結合を行う方法として、ケミカルボンド法、サーマルボンド法(エアスルー法やポイントボンド法等)、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法を採用することが好ましい。つまり、EVOH層が不織布で構成される場合、不織布としてはこのような製法により得られたものが好ましい。なかでも、不織布のウェブ形成には乾式法を採用することが好ましく、また乾式法の中でも繊維間結合方法としてサーマルボンド法を採用することが好ましい。このような製法により得られた不織布を用いれば、不織布を嵩高くすることが容易になり、EVOH層が大便を漉し取るフィルターとしての機能を発揮しやすくなる。
EVOH層は、目付が30g/m2以上が好ましく、50g/m2以上がより好ましく、また250g/m2以下が好ましく、200g/m2以下がより好ましく、150g/m2以下がさらに好ましい。EVOH層の目付がこのような範囲にあれば、EVOH層が大便を漉し取り水分を透過させるフィルターとしての機能を好適に発揮しやすくなる。
EVOH層を構成する繊維の繊度は特に限定されないが、EVOH層が大便を漉し取り水分を透過させるフィルターとしての機能を好適に発揮し、使用上十分な強度を有するようにする点から、例えば、0.1dtex〜10dtexであればよい。
本発明の補助シートは、EVOH層以外の繊維層を有しないことが好ましい。すなわち、補助シートは、EVOH層に他の繊維層が積層していないことが好ましい。なお、他の繊維層とは、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維を構成繊維として有しない繊維層を意味する。
例えば、EVOH層に、セルロース繊維から構成される繊維層(セルロース繊維層)が積層されている場合は、補助シートの保水性が高まり、軟便や下痢便を捕捉後の補助シートが水分を吸収し、補助シートを吸収性物品から取り外す際の取り扱い性が低下するおそれがある。逆に、EVOH層に、疎水性繊維から構成される繊維層(疎水性繊維層)が積層されている場合は、軟便や下痢便中の水分が補助シートを透過しにくくなる。軟便や下痢便には液成分として水以外に油分も含まれているため、この油分が疎水性繊維層の繊維間隙に留まって目詰まりを起こすおそれがあり、その結果、水分が補助シートを透過しにくくなる。従って、本発明の補助シートは、EVOH層以外の繊維層を有しないことが好ましい。
補助シートは、また、吸水性樹脂を含まないことが好ましい。本発明の補助シートは、大便から固形分を漉し取り、水分を透過させるように機能させることを意図しており、従って、補助シートは吸水能をできるだけ有しないようにすることが好ましい。
補助シートの保水性に関して、補助シートは吸水率が100質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。補助シートの吸水率が100質量%以下であれば、補助シート上に軟便や下痢便が排泄されても補助シートが湿りの少ないものとなり、補助シートを吸収性物品から取り外す際の取り扱い性が向上する。
補助シートの吸水率は次のように求める。20cm×20cmの大きさに切り出した補助シートを真空乾燥させた後の質量をW1とする。同じ補助シートを用いて、十分量のイオン交換水に補助シートを10分間浸した後、10分間吊して水切りをし、さらにバスケット型遠心脱水機(例えば、株式会社コクサン製小型遠心分離器H−112やH−110A等)を用いて50Gの遠心力で10秒間脱水を行った後の質量をW2とする。なお10秒間の脱水は、遠心力が50Gに達してから10秒測り、10秒後に遠心脱水機の回転を強制的に止めて行う。補助シートの吸水率を次式により求める:吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100。
補助シートの形状(平面形状)は特に限定されない。補助シートは、例えば、四角形(角の丸まった四角形を含む)や長円形に形成される。また補助シートは、長手方向の端部が幅狭に形成されていることも好ましい。このように補助シートが形成されていれば、補助シートを吸収性物品から取り外す際、補助シートの長手方向の端部を掴んで、補助シートを吸収性物品から取り外しやすくなる。
補助シートの大きさは、一般の吸水性物品の肌面側に配置して、着用者からの大便(特に軟便や下痢便)を捕捉できる大きさを有していることが好ましい。補助シートは、例えば、長手方向の長さが15cm〜70cm(より好ましくは20cm〜60cm)であることが好ましく、幅方向の長さが10cm〜30cm(より好ましくは13cm〜25cm)であることが好ましい。ただし、長手方向の長さは幅方向の長さ以下である。
補助シートには、補助シートを吸収性物品に取り外し可能に取り付けるための接合手段が設けられていてもよい。接合手段は補助シートを吸収性物品の肌面側に取り外し可能に取り付けることができるものであれば特に限定されず、例えば、面ファスナーの雄部材を用いればよい。吸収性物品の肌面側には不織布製のトップシートが設けられる場合が多く、接合手段として面ファスナーの雄部材を用いれば、雄部材を不織布製のトップシートに取り外し可能に取り付けることができる。面ファスナーの雄部材は、基材から多数の係合素子が突出して形成されるが、係合素子の形状は特に限定されず、例えば、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。
次に、本発明の補助シートの使用方法の一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の補助シートの吸収性物品への取り付け例を表す。なお、図1では、吸収性物品として尿パッドを例にとって、説明する。下記説明において、吸収性物品を着用時、腹側から背中側にかけての方向を前後方向とし、吸収性物品と同一面上にあり前後方向と直交する方向を幅方向とする。
吸収性物品11は、トップシート12とバックシート13とこれらの間に配された吸収性コア14とを有する。トップシート12は、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシート12としては、親水性不織布や孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いることができる。バックシート13は、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシート13としては、疎水性不織布、プラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いることができる。
吸収性コア14は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア14としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆ったものを用いることができる。吸収性コア14に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。
トップシート12の幅方向両側には、前後方向に延在する一対のサイドシート15が設けられている。サイドシート15はトップシート12に接合され、内方端に起立用弾性部材17が設けられている。サイドシート15は、起立用弾性部材17の収縮力によりサイドシート15の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップ16が形成される。
補助シート1は、吸収性物品11の肌面側に取り外し可能に配置され、図1では、吸収性物品11の肌面側に位置するトップシート12上に補助シート1が配置される。また図1に示すように、吸収性物品11が、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップ16を有する場合は、補助シート1は、立ち上がりフラップ16の間に配置して用いることが好ましい。大便を捕捉した後の補助シート1は、吸収性物品11から取り外し、別途処分する。
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
繊維シートの保水性の検討(吸水率測定)
3種類の繊維シートを用意し、それぞれの保水性を検討した。繊維シートとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成し、ポリエチレンテレフタレートが芯を形成する芯鞘複合繊維のみから構成され、目付が50g/m2の不織布繊維シート1と、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成し、ポリエチレンテレフタレートが芯を形成する芯鞘複合繊維のみから構成され、目付が25g/m2の不織布と、レーヨン繊維のみから構成され、目付が25g/m2の不織布が積層された繊維シート2と、レーヨン繊維のみから構成され、目付が50g/m2の不織布繊維シート3を用意し、それぞれの繊維シートの吸水率を測定した。吸水率は、それぞれの繊維シートを20cm×20cmの大きさに切り出し、真空乾燥させた後の質量を測定し(このときの質量をW1とする)、その後、十分量のイオン交換水に各繊維シートを10分間浸した後、10分間吊して水切りをし、さらにバスケット型遠心脱水機を用いて50Gの遠心力で10秒間脱水を行った後の質量を測定し(このときの質量をW2とする)、各繊維シートの吸水率を次式により求めた:吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100。
測定の結果、吸水率は、繊維シート1が20質量%、繊維シート2が190質量%、繊維シート3が350質量%となった。エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層を含む繊維シート1,2は、レーヨン繊維のみから構成された繊維シート3よりも吸水率が低くなる結果となり、水分の多い軟便や下痢便から固形分を漉し取って、水分を選択的に透過させる能力に優れるものとなることが分かった。特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維のみから構成された繊維シート1は、吸水率が極めて低く、水分の多い軟便や下痢便を処理する補助シートに好適に適用できることが分かった。
1 : 補助シート
11: 吸収性物品
12: トップシート
13: バックシート
14: 吸収性コア
15: サイドシート
16: 立ち上がりフラップ
17: 起立用弾性部材

Claims (6)

  1. 吸収性物品の肌面側に取り外し可能に配置して用いられる補助シートであって、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維で構成されたEVOH層を有することを特徴とする補助シート。
  2. 前記補助シートは、前記EVOH層以外の繊維層を有しない請求項1に記載の補助シート。
  3. 前記補助シートは、吸水率が100質量%以下である請求項1または2に記載の補助シート。
  4. 前記EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む複合繊維で構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の補助シート。
  5. 前記複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール共重合体が鞘を形成する芯鞘複合繊維である請求項4に記載の補助シート。
  6. 前記EVOH層は、目付が30g/m2以上250g/m2以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の補助シート。
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