JP5689281B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、詳しくは、使用後手もみの水洗いによって吸収した経血等の赤い汚れを容易に洗浄できる吸収性物品に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品については、その使用地域により多様なニーズがある。例えばインドネシア、マレーシア等を主な居住圏とする一部の人々には、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。この洗浄は、例えば、一方の手で水をかけつつ他方の手で揉み洗ったり絞ったりして、物品の幅方向内方への圧力をかけることでなされる。従来、このような洗浄に適した生理用ナプキンとしては、布製のナプキンや、パルプ繊維を主体とし吸水性ポリマーを含まない吸水性材料で構成されたものがあった。しかし、吸水性ポリマーを使用しない生理用ナプキンは、経血の吸収・保持性能が低いことによる液戻りを抑えるためパルプ繊維を多量に使用する。そのためこのような生理用ナプキンはパルプ繊維の嵩高さのために厚くなってしまい、特に折り畳まれ包装されている状態で嵩張りやすくて、持ち歩きに不便であると共に、装着感が良くなかった。
これに対し、特許文献1には、吸水性ポリマーを洗浄し易いものに改良したものが開示されている。この吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有しかつ所定の物性を有するものであり、経血中のヘモグロビン等の赤み成分の吸水性ポリマーへの付着を弱め、使用後の洗浄を容易にするとしている。
特開2010−17536号公報
上記の洗浄し易い吸水性ポリマーを有する生理用ナプキンの洗浄であっても、揉み洗い等による圧力の程度によっては、物品の周縁部等が破れて洗浄水とともに内部の繊維材等が漏れ出てしまうことがある。これは吸収性ポリマーの性能によらない吸収性ポリマーの膨潤挙動に対する生理用ナプキンの構成面に由来する課題であって、繊維材等で洗い場が汚してしまうばかりか、洗浄が不十分なまま洗浄水が排出されてしまう場合があり、かえって経血等の汚れがナプキン表面に広がってしまう。
したがって、本発明の課題は、吸収体の汚れを拡散させずに手洗いで良好に汚れを落とし、かつ吸収体素材の漏出が効果的に抑えられる吸水性ポリマーを含有した吸収性物品を提供することにある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、汚れを拡散させずに吸収性物品の内部及び表面を効果的に洗浄するためには、(1)注がれる洗浄水の吸収体中の内部通過、(2)汚染洗浄水の外部への排出、の2つが効率的になされること、つまり「洗浄水の新陳代謝」が重要であるとの知見を得て、下記の発明をなすに至った。
すなわち本発明は、肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シートに介在された吸収体を有する吸収性物品であって、該吸収性物品は縦方向とこれに交差する幅方向とを備えた縦長の形状を有しており、前記吸収体は吸収性ポリマーを有し、該吸収性ポリマーは、前記吸収体厚み方向では該吸収体の非肌当接面側の下層部分に多く存在し、かつ前記下層部分における幅方向中央領域に吸収体縦方向前後端に亘り多く存在する吸収性物品により上記の課題を解決するものである。
本発明の吸収性物品は、吸水性ポリマーを含有しながらも吸収体の汚れを拡散させずに手洗いで良好に汚れを落とし、かつ吸収体素材の漏出が効果的に抑えられるという優れた作用効果を奏する。
本発明における一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から模式的に示した一部切欠斜視図である。 図1に示すII−II線断面の拡大断面図であり、(i)は吸水性ポリマーが乾燥した状態を模式的に示し、(ii)は洗浄時で赤み成分が除去される前の吸水性ポリマーの状態を模式的に示し、(iii)は洗浄時で赤み成分が洗浄された後に吸水性ポリマーが大きく膨潤した状態を模式的に示した。 本発明の一実施形態の生理用ナプキンおける外側防漏溝及び内側防漏溝の平面視における形状を模式的に示す説明図である。 図3に示す防漏溝の変形例を模式的に示す説明図である。
図1は、本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。図2は図1に示すII−II線断面の拡大断面図であり、(i)は吸水性ポリマーが乾燥した状態を模式的に示し、(ii)は洗浄時で赤み成分が除去される前の吸水性ポリマーの状態を模式的に示し、(iii)は洗浄時で赤み成分が洗浄された後に吸水性ポリマーが大きく膨潤した状態を模式的に示した。
本実施形態の生理用ナプキン10の全体構成をまず説明すると、肌当接面側に配置される表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び両シートに介在された吸収体3を有し、さらに液不透過性の防漏シート4,4が吸収体3の幅方向両側部に配されている。ナプキン10の幅方向の左右両側には、一対のウイング部5,5が形成されている。このナプキン10全体の形状は、装着時に着用者の股下部分を介して下腹部側から臀部側へと延びて配される縦方向とこれと直交する幅方向とを有する縦長の形状である。
表面シート1及び裏面シート2は、吸収体3の縦方向端部より外方に延出してエンドシールにより接合され、その幅方向端部はサイドシールによって接合されている。このエンドシールとサイドシールとが連続して生理用ナプキン10の外周縁部6をなす。また、表面シート1及び裏面シート2の間には、防漏シート4が、吸収体3の左右両側の肌面側、非肌面側及び側面を被覆するように配されている。この防漏シート4の配置により、経血や洗浄水の横漏れをより効果的に抑制することができるので好ましい。他方、表面シート1の幅方向外方に延出する部分の一部が裏面シート2とともにさらに幅方向に突出してウイング部5,5をなす。このウイング部5をショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んで生理用ナプキン10をショーツに固定する。さらに裏面シート2の非肌当接面側にはホットメルト接着剤や両面テープ等の粘着剤(図示せず)が塗布されていることが好ましく、装着時には、ウイング部5と併せて前記粘着剤により生理用ナプキン10が下着に固定される。
ここで生理用ナプキン10は、その縦方向に、着用者の排泄ポイントに対応配置される排泄部対向領域Cと、該排泄部対向領域Cよりも前方の下腹に配置される前方領域Fと、該排泄部対向領域Cよりも後方の臀部側に配置される後方領域Rとに区分して示すことができる。前記排泄部対向領域Cは、ナプキン10の両側に該ウイング部5を有する部分である。なお、ウイング部5を有しないナプキンである場合、排泄部対向領域Cは、着用者の排泄ポイントにあたる吸収性の最も高い部分であり、例えば、ナプキン前方部分からの所定位置、後述の防漏溝の変化位置、吸収体又はナプキンの括れ位置、あるいは吸収体の厚みのある中高領域等によって決められる。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側の面を肌側面ないし肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面ないし非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。更に、吸収性物品の平面視において腹側部から股下部を亘り背側部に至る方向を縦方向といい、この縦方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
生理用ナプキン10において、吸収体3は、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維層31の非肌面側に吸収性ポリマー32が撒布固定されたものを、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなるコアラップシート33で被覆してなる。この吸収体3の形状は角が丸くされた縦長の長方形状である。
本発明では、吸収体厚み方向における肌当接面側の厚み1/2までの領域を上層部分、非肌当接面側の厚み1/2までの領域を下層部分という。本実施形態において、吸水性ポリマー32は吸収体3の厚み方向の下層部分に存在し、かつ吸収体3の下層部分における幅方向中央領域Dに吸収体3の縦方向(長手方向)前後端に亘り多く存在している。また吸収体3の幅方向に見て、吸水性ポリマー32が最も多く撒布された中央領域Dから左右に広がる裾の領域Eに向って緩やかに減少する勾配の形状である(図2(i)参照)。この吸水性ポリマー32の配置が吸収体3の縦方向(長手方向)に延びる吸水性ポリマー領域34となる。吸水性ポリマー32の繊維層31への撒布・固定方法自体は、この種の物品において用いられる常法を採用することができる。例えば、ホットメルト法により粘着剤を塗布して吸水性ポリマー32を繊維層31に固定する方法、湿潤時の吸水性ポリマーの粘着性を利用して吸水性ポリマー32を繊維層31に固定する方法、別の吸収紙にホットメルト接着剤を塗布して吸水性ポリマーを固定させ繊維層31の非肌側面に固着させる方法などがある。
本実施形態において、下層部分にある吸水性ポリマー領域34は、吸収体3の厚さ方向の中央よりも相対的に非肌当接面側に配されることが好ましく、典型的には吸収体3の繊維層31の非肌当接面側近傍に配されることが好ましい。またこの吸収性ポリマー領域34の非肌当接面側にさらに繊維材料が配される形態であってもよい。また、吸収体3の下層部分以外、例えば繊維層31の繊維間隙に吸水性ポリマー32が点在するような状態を排除するものではなく、表面シート1から透過される液を実質的に吸収保持する機能を担う層として吸収性ポリマー領域34が下層部分に配置されていればよい。また、中央領域Dと裾領域Eとの境界は、本実施形態の位置に限定されるものではなく、洗浄時における吸水性ポリマー32の膨潤によって形成される後述の水路35の側縁として機能上から定めることができる。
この吸収体3を有するナプキン10において、吸収性ポリマー領域34は表面シート1から厚み方向に最も離れた位置にある。この吸収性ポリマー領域34の配置によって、ナプキン10の使用時には、排泄部対向領域Cを中心に経血等の液が厚み方向に透過され一旦吸水性ポリマー32に取り込まれると、表面シート1側まで戻り難く液漏れが起こり難くい。また、吸収性ポリマー領域34の中央領域Dに最も多く吸水性ポリマー32が配されているので、経血の吸水性ポリマー32に吸収保持される範囲が中央領域D及びその周辺に抑えられる。つまり、経血に含まれるヘモグロビン等の赤み成分の洗浄が狭い範囲で済むので好ましい。また、後述の易洗浄性の吸収性ポリマーを用いると、経血における液状成分を保持し易く前記赤み成分がより狭い範囲の拡散状態とできる点でより好ましい。
生理用ナプキン10においては、前記の吸収性ポリマー領域34の特定の配置によって、洗浄時に繊維層31のみならず吸収性ポリマー領域34に吸収保持される経血を幅方向に拡散させずに効果的にかつ容易に洗い流すことができる。
これを作用的に以下に詳述する。使用済みのナプキン10を洗浄する場合、一般的に、一方の手で洗浄水をナプキン10にかけ、他方の手で該ナプキン10を絞る動作を繰り返すことで行われる。その際、吸水性ポリマー32はこの洗浄水を吸収保持して膨潤するが、経血に含まれるヘモグロビン等の赤み成分36は吸収性ポリマーの表面に付着し易く、吸収性ポリマーの膨潤を阻害し易い。従って吸収性ポリマーの表面の前記赤み成分36が洗浄水によって洗われた後吸収性ポリマーが膨潤すると推定されるため、いわゆるゲルブロッキングが起こり難く、赤み成分36が洗われるまで各吸水性ポリマー間に空隙35aが複数生じると見られる(図2(ii))参照)。この段階では空隙35aを通って赤み成分36を含んだ洗浄水が流出される。また、赤み成分36が洗われた後には吸収性ポリマーは洗浄水によって膨潤し、この膨潤によって、吸水性ポリマー32を最も多く配した吸収性ポリマー領域34の中央領域Dの部分が最も嵩高くなる(図2(iii)参照)。嵩高くなった中央領域Dにおいては、コアラップシート33が押し下げられ、繊維層31とコアラップシート33との間で各吸水性ポリマーの膨潤による空隙35b、35cが生じる(図2(iii)参照)。これら空隙35a、35b、35cが生じることで、吸収性ポリマー領域34の全体としてみれば、中央領域Dにおいて注がれた洗浄水が吸収体3の縦方向に抜ける水路空間が形成される。この空間が、洗浄水の通過する水路35となる。洗浄時において、使用済みのナプキンを繰り返し絞りあるいは揉み洗いするとその幅方向から内方へ圧力がかかり、その圧力によって洗浄水が水路35内の吸水性ポリマー32間の間隙を縦方向に通過する。洗浄水がこの水路35内部を通過しその前後端部で排出される。なお、繊維層31とコアラップシート33との間の空隙35b、35cは、パルプ等を使用した繊維層31のヘタリによる吸水性ポリマー膨潤前後の形状の不一致によって形成され、コアラップシート33はポリマーの幅方向中央偏在による膨潤の違いによって生じると推定される。なお図2(ii)の赤み成分36が残った状態と(iii)の赤み成分36が除去された状態とは、それぞれの吸水性ポリマーにおいて個別に起こりえる。つまり、必ずしも全ての吸水性ポリマーの赤みが除去されてから吸水性ポリマーの膨潤が生じるとは限らず、図2(ii)の赤みが残った状態と(iii)の赤みが除去されて吸水性ポリマーが膨潤する状態とが混在することもあり得る。その場合、赤み成分36が多少残った状態でも空隙35b及び35cが徐々に形成され、これらの空隙を含む水路35を通って赤み成分36を含んだ洗浄水が外部へと流出されることとなる。
本実施形態において水路35は、経血を最も多く吸収保持する中央領域Dに形成されている。その部分を洗浄水が通過することで最も効率的に洗浄がなされる。また洗浄水は、幅方向にかかる力により主に洗浄すべき中央領域D内を縦方向(長手方向)に前後に流通する。そのため洗浄水が経血を必要以上に幅方向に拡散することが抑えられ狭い範囲の洗浄で済む。こうして洗浄が効率的に行われる。さらに、洗浄水が主に水路35を通過することで、ナプキンの幅方向端部にかかる水圧が軽減され、ナプキン10の周縁部の表面の破れや繊維材料等の漏れが生じ難い。このように本実施形態の生理用ナプキン10は、吸収性ポリマー領域34の配置によって、吸水性ポリマーを含む薄型のナプキンでありながら、吸収体3に注がれる洗浄水の効率的な内部通過と汚染洗浄水の効率的な外部排出の両立が実現される。
本実施形態の生理用ナプキン10において、使用時の経血の拡散抑制と吸収保持及び洗浄時の十分な水路の形成の観点から、中央領域Dの吸水性ポリマー32の平均坪量は、10〜300g/mが好ましく、30〜150g/mがさらに好ましい。上記下限以上とすることで、前記空隙35b、35cが形成されて充分な洗浄水の通路35が形成され、上記上限以下とすることで吸収体3の過剰な膨潤によって引き起こされる型崩れや材料破壊による洗浄操作性の低下を防止することができる。また、同様の観点から、中央領域Dの縦方向の長さと吸収体の縦方向の長さとの比率は、1/2〜1が好ましく、1がさらに好ましい。また中央領域Dと裾領域Eの各々の幅は本実施形態に示すようなそれぞれ等分になるような幅比率にかかわらず、効果を発現することができるが、吸収性ポリマー領域34の中央領域Dと裾領域Eとの幅方向長さの比率は、1/5〜5が好ましく、1/3〜3がさらに好ましい。中央領域Dの中にさらに中央領域と裾領域を有する、3段階の坪量差がある構成でもよく、また、中央領域Dと裾領域Eの境界が存在せず、中央から外側に向けて坪量勾配を設ける形での漸次減少であってもよい。中央領域D及び裾領域Eにおけるそれぞれの吸水性ポリマー32の平均坪量の比は、使用時の経血の拡散抑制と吸収保持及び洗浄時の十分な水路の形成の観点から10/1〜10/9が好ましく、10/2〜10/8がさらに好ましい。
<平均坪量の測定方法>
中央領域D及び裾領域Eにおけるそれぞれの吸水性ポリマー32の平均坪量は、下記の測定方法により測定される。
製品の吸収体を取り出し、製品幅方向についてはポリマーが散布されている領域を、製品長手方向については端部の曲率を持った部分を、それぞれ直線的に切断し長方形の試料を得る。当該試料を製品幅方向に3等分になるように切断し、袋などの密閉系に閉じ込め振とうさせることで、ポリマーと綿状パルプが分離できる場合は、ポリマーだけを採取し質量測定する。
前述の方法により綿状パルプとポリマーを完全に分離できない場合は、下記の方法を用いることで測定可能である。まず、乾燥時の試料質量MDを測定した後、試料全体の遠心保持量MWを測定する。綿状パルプの1gあたりの遠心保持量P1及びポリマー1gあたりの遠心保持量P2が既知の場合、乾燥時の試料中の綿状パルプの質量M1及びポリマーの質量M2は次の二元連立方程式を用いて導出できる。
乾燥時の等式: M1 +M2 =MD
遠心保持時の等式: M1×P1+M2×P2=MW
なお、本実施形態における吸収性ポリマー領域34の形状は、縦方向のどの地点でみても幅方向の断面形状は同じであるが、これに限定されない。使用後の洗浄性を向上させる水路の確保の観点から、中央領域Dに吸水ポリマー32が最も多く撒布されていれば良く、中央領域Dから裾領域Eへの吸水性ポリマー32の坪量の勾配の程度、裾領域Eの幅方向長さや中央領域Dの平均坪量の値などが、縦方向における各地点で異なってもよい。例えば、排泄部対向領域Cの吸水性ポリマー32の平均坪量が前方領域Fないし後方領域Rよりも高くなるようにされてもよく、前後端方向に行くに従って裾領域Eの幅方向長さが狭くなるようにされていてもよい。
本発明のより好ましい実施形態においては、図1〜3に示すように、上記の吸水性ポリマーの特別の配置に加えて、外側防漏溝7及び内側防漏溝8を配する。すなわち生理用ナプキン10の肌当接面側には、表面シート1から吸収体3にかけて一体的に圧密化されて形成された外側防漏溝7及び内側防漏溝8を配設する。この表面シート1と吸収体3との圧密化によって、この部分における経血の拡散がより効果的に防止され得る。
この実施形態について以下説明する。図3は、生理用ナプキン10おける外側防漏溝7及び内側防漏溝8の平面視における形状を模式的に示す説明図である。図3においては、外側防漏溝7及び内側防漏溝8と吸収体3との配置関係の理解のため、これらを実線で示し、生理用ナプキン10の外形及び吸収性ポリマー領域34を一点鎖線で示し、他の部材を省略した。
本実施形態において、外側防漏溝7は吸収体3の外周に沿うように形成された環状の全周防漏溝である。外側防漏溝7の排泄部対向領域Cの部分は、外側に湾曲して縦方向に延びる弓状の外側中央溝71,71をなす。また、外側防漏溝7の前方部F及び後方部Rの部分は、幅方向に円弧な部分を有し全体として縦方向外方に向って凸な尖頭形状の外側端部溝72,72をなすのが好ましい。なお、外側端部溝72の先端部分を尖頭部73として示し、幅方向に沿って外側端部溝72の左右を結んだ長さが最も長くなる部分を幅広部74として示す。
内側防漏溝8は、環状の外側防漏溝7より内側において、内側中央溝81,81及び内側端部溝82,82からなる。内側中央溝81は、排泄部対向領域Cで、幅方向両側に外側に湾曲して縦方向に延びる弓形状である。また、内側端部溝82は、前方部F及び後方部Rで、幅方向に広がる曲線を有し全体として縦方向外方に向って凸な尖頭形状である。これら内側中央溝81と内側端部溝82とは連接されず離間した配置である。なお、内側端部溝82の先端部分を尖頭部83として示し、幅方向に沿って内側端部溝82の左右を結んだ長さが最も長くなる部分を幅広部84として示す。さらに内側中央溝81の端縁と内側端部溝82の端縁とを仮想線(一点鎖線)で繋いでできる部分を非圧搾部85として示す。
本実施形態において、外側端部溝72及び内側端部溝82がいずれも外方に凸な尖頭形状であるので、その部分が可撓軸として働き易い。特にナプキン10の使用後の洗浄時において、揉み洗い等による力が尖頭部73及び83に集中し、この4つの尖頭部を繋ぐ仮想線gでナプキン10が吸収性ポリマー32の膨潤にも助けられて表面シート1側に折れて、洗浄水が前述の吸収性ポリマー領域34の中央領域Dに透過し易い。この形状であることが、前述の吸水性の吸水性ポリマー32の中央配置による水路35の形成と相俟って、洗浄水の縦方向の流れを促す。
加えて、洗浄水の水圧は仮想線g上の水路35に沿って縦方向に働くので、ナプキン10の幅方向へかかる水圧が軽減されてナプキン10の外周表面の破れが回避され得る。そのため吸水性ポリマー32等の漏出が抑えられ得る。具体的には、揉み洗い等によって押し出された洗浄水は尖頭部83に集中し、また、ポリマーが中央領域Dに偏在してあることで、その水圧及び吸収性ポリマーの膨潤によって尖頭部83の圧搾溝が吸収体3内部で解裂する。洗浄水は、さらに尖頭部73へと縦方向に流出し、該尖頭部73付近の表面シート1側から洗浄水が排出され得る。あるいは尖頭部73の圧搾溝が吸収体3内部で解裂して外周縁部6付近の表面シート1側から洗浄水が排出され得る。いずれにしても洗浄水の水圧は主に洗浄すべき領域の水路35にかかるので、効率的な洗浄とナプキン10の外周縁表面の破れの回避とがなされ得る。
このように本実施形態においては、生理用ナプキン10の水路35内で洗浄水が効率的に流出される。つまり、前述の吸水性ポリマー32の配置と外側端部溝72及び内側端部溝82の尖頭形状とが相俟って、一層、洗浄水の効率的な内部通過と汚染洗浄水の効率的な外部排出の両立が実現される。
外側端部溝72と内側端部溝82とは吸収体3の縦方向に並列に配置され、外側中央溝71と内側中央溝81とは吸収体3の幅方向に並列に配置されることが好ましい(図3参照)。このような配置とすることで、使用時の経血等の排泄物の拡散抑制、洗浄時の洗浄水の効率的な内部流通と排出、及び洗浄時のナプキンの破れによる部材の漏出の回避がより効果的になされる。外側中央溝71及び内側中央溝81の並列配置によって、洗浄水が中央に集まり排出がおこなわれ易くすることができる。外側端部溝72及び内側端部溝82の並列配置によって、側方領域の生理用ナプキンの形状維持がおこなわれて型崩れが防止され、洗浄効果を高めることができる。
このように、洗浄水が吸収性ポリマー領域34に透過して水路内を効果的に通過し、洗浄水が尖頭部73及び83を通過あるいはその部分で効果的に排出される観点から、尖頭部73と幅広部74とを結ぶ仮想線r,rがなす角度(Θ)は、30〜120°が好ましく、45〜100°がさらに好ましい。同様に、尖頭部83と幅広部84を結ぶ仮想線s,sがなす角度(Θ)は、30〜160°が好ましく、45〜140°がさらに好ましい。上記下限以上とすることで、外側端部溝72及び内側端部溝82が必要以上に解裂して生理用ナプキンの型崩れがおこることを防止でき、上記上限以下とすることで洗浄水が充分な洗浄効果を得られる程度に排泄領域Cに留まることができる。また同様の観点から外側端部溝72及び内側端部溝82の尖頭形状は、縦方向外方に凸な形状であれば本実施形態の形状に限定されず任意に採用することができる。さらに、吸収性ポリマー領域34の縦方向端部は、洗浄性、形状維持、吸収体材料の脱落防止の観点から、内側端部溝82の尖頭部83を越えて吸収体3の縦方向端部側にあることが好ましく、外側端部溝72の尖頭部の解裂をおこし難くして、特に吸収体材料の脱落を防止する観点から、外側端部溝72に達しない構成がより好ましい。吸収性ポリマー領域34の幅方向端部は、通路形成の観点から外側中央溝71に達しないことが好ましく、更に形状維持の観点から、内側中央溝81に達しないことがより好ましい。
本発明のさらに好ましい実施形態として、内側防漏溝8が吸水性ポリマー32からなる吸収性ポリマー領域34の外周縁に重ねて配置されることが挙げられる。具体的には、図示しないが、内側端部溝82の尖頭部83が吸収性ポリマー領域34の中央領域Dの位置にあたり、そこから裾領域Eへと向うように配置され、内側中央溝81が裾領域Eの位置に配置されることである。いずれの部分においても、表面シート1と吸水性ポリマー32を含む吸収体3とが圧密一体化されて固着される。このような内側防漏溝8においては、使用時には、表面シート1と吸収体3との圧密一体化によって、経血の平面方向への拡散が効果的に抑制される。他方、洗浄時には、内側防漏溝8の尖頭部83が、吸水性ポリマー32の膨潤による水路35の開放によって解裂し易くされている。これにより、前述の洗浄水の縦方向への通過と排出がより効果的になされるので好ましい。なお、内側防漏溝8の吸収性ポリマー領域34の裾領域Eにあたる部分では、洗浄水による吸水性ポリマー32の膨潤は中央領域Dほどではないため、多少の空隙は形成されても解裂は生じ難い。これによって、形状維持がなされて洗浄操作がおこなわれ易くできるので好ましい。
一方、外側防漏溝7は、吸水性ポリマー32の配置されていない位置、つまり吸収性ポリマー領域34の外周より外側に形成される。外側防漏溝7は、洗浄時おける吸水性ポリマー32の膨潤の影響を受けず、表面シート1から吸収体3までがしっかりと一体化して圧密化されたままとなる。そのため、外側防漏溝7は、使用時の経血のみならず洗浄時の洗浄水の幅方向への拡散を効果的に抑制することができるので好ましい。
このような内側防漏溝8の配置と外側防漏溝7の配置との組合せにより、使用時に溝に沿った拡散を起こしやすくすることで横漏れを生じ難くできるだけでなく、使用時の側方部分(溝形成部分)の変形が抑制されて液の拡散をより中央領域(排泄領域)で留め易くできることから、使用時の安心感が高まり、洗浄による経血の色の消失が早くできるので好ましい。
本発明のさらに好ましい実施形態においては、内側防漏溝8には、内側中央溝81と内側端部溝82とが連接されない非圧搾部85が前後方向に2つずつ配されている(図3参照)。この非圧搾部85は、排泄部対向領域Cよりも縦方向外方に位置する前方部F及び後方部Rに配置されている。非圧搾部85は、表面シート1と吸収体3とが圧密一体化されていない部分である。この非圧搾部85は、洗浄水が水路35を通過して縦方向に流れる際にこれを補助して補助排出経路の機能をはたす。つまり、非圧搾部85は、洗浄水による水路35の水圧を適度に軽減しスムーズな洗浄水の排出を促すことができるので好ましい。なお非圧搾部85が洗浄水の補助排出経路の機能を果たしつつ内側防漏溝8の防漏機能を維持する観点から、非圧搾部85の一方の端部(内側端部溝82側の端部)85aと他方の端部(内側中央溝81側の端部)85bとの間の縦方向に沿う直線長さ(h)は、1〜20mmが好ましく、2〜10mmがさらに好ましい。また、各防漏溝の圧搾する厚み方向の深さは、吸収体の厚みなどによって変わるので一義的に定めることはできないが、通常、0.1〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.mmがさらに好ましい。
図3に示した防漏溝の変形例として、図4の生理用ナプキン20に示す防漏溝の組合せであってもよい。図4は生理用ナプキン20の表面シート1の肌当接面側からみた平面図である。この図4では、図3に示す内側中央溝81を欠き、外側中央溝71,71のそれぞれ外側に、内側に湾曲した側部防漏溝91,91が配されている。側部防漏溝91は、図3の外側中央溝71よりも縦方向に長く排泄部対向領域Cから前方領域F及び後方領域Rにかかるようにはいされている。また側部防漏溝91の溝は、他の防漏溝よりも太く形成されている。この側部防漏溝91によって液の幅方向拡散と使用時の横漏れを効果的に防止することができるので好ましい。また洗浄時には、側部防漏溝91が、生理用ナプキン20の側部の剛性を高めてある事により洗浄操作を容易にできる。さらに、側部防漏溝91は、内方に形成される防漏溝に比べて、大きなパターンで形成され、パターンとパターンの間隔も大きい事から、洗浄時のような湿潤状態においても剛性の変化が少なく、洗浄水の流れ出しも良好にできる。
なお、本変形例を示す生理用ナプキン20では、サイドシート9を表面シート1の肌当接面側の側部から幅方向外方に向けて配しているが、これに代えてナプキン10で用いた防漏シート4を採用してもよい。
以下に本実施形態の生理用ナプキン10を構成する部材の形成素材について説明する。
生理用ナプキン10の吸収体3において、繊維層31及びコアラップシート33の形成素材はこの種の物品に用いられるものを任意に採用することができる。例えば、吸収コアを構成する繊維材料としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
生理用ナプキン10の水洗い時に、該ナプキンに付着した血液が素早く流出しやすいという観点から、吸収体3に含有される繊維として、前記天然繊維に、架橋処理を施した改質パルプを含むことが好ましい。改質パルプとしては、架橋セルロース繊維やマーセル化処理パルプを用いることができる。吸収体3に含有されている全繊維に占める前記改質パルプの割合は、好ましくは20〜100質量%、更に好ましくは35〜80質量%である。また、吸収体3に含有されている全繊維に占める針葉樹パルプ等の前記天然繊維の割合は、好ましくは0〜80質量%、更に好ましくは20〜55質量%である。また吸収体3中に、必要に応じ、吸湿剤、消臭剤等を含有させることが可能である。吸湿剤としてはシリカゲル等が挙げられ、消臭剤としては活性炭、活性白土、銀含有化合物等が挙げられる。
コアラップシート33としては、吸水性ポリマーの脱落を防止し得るに足る強度を有し、且つ排泄された液の透過を妨げない素材のものが好ましい。例えば、親水性の繊維シート、穿孔フィルム等が用いられ、この親水性の繊維シートとしては、例えばティッシュペーパー等の紙や各種不織布(スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、アクリルやレーヨンなどの親水性繊維を含むスパンレース不織布等)を用いることができる。これらの不織布には、必要に応じて親水化処理や開孔処理を施しても良く、更にスリットを形成しても良く、あるいはエンボス加工を施す等して柔軟加工を施しても良い。これらの不織布の構成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を単独で用いた繊維、又はこれら複数の樹脂を用いた複合繊維等が挙げられる。また、これらの不織布には、レーヨン、コットン、リヨセル、テンセル、アセテート、天然パルプ等の親水性繊維を共存させることができる。
吸水性ポリマー32としては、この種の物品に用いられるものを採用することもでるが、特に易洗浄性のポリマーであることが好ましい。易洗浄性ポリマーとは、洗浄する際に汚れを落ち易くする作用を有する吸水性ポリマーを意味し、典型的には、特開2010−17536号公報に記載の吸水性ポリマーを用いることが好ましい。この易洗浄性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ表面架橋処理された吸水性ポリマーに、更に表面架橋処理及び中和処理を順次施して得られる。こうして得られる易洗浄性ポリマーは、特定範囲の中和度、遠心保持量、加えて特定範囲の各物性(ボルテックス法による吸水速度、DW法による吸水速度、かさ比重、2.0KPaでの加圧下通液速度、2.0KPaでの加圧下吸収量)を有する。この物性によって、前記易洗浄性ポリマーにおいては、経血中のヘモグロビンが容易に除去し易くされ、急激な膨潤による吸収体3の無用な破けを抑えるべく吸水速度を制御され得る。
本発明に用いられる吸水性ポリマー32は、上記のカルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度が75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gである易洗浄性ポリマーを含むことが好ましい。さらに該易洗浄性ポリマーは、2.0kPaでの加圧下通液速度が150ml/min以上、特に200〜2000ml/min、とりわけ250〜1500ml/minであることが好ましい。
前記易洗浄性ポリマーの中和度を75モル%以上とすることで、経血中の赤色成分であるヘモグロビンが容易に除去され得る。前記易洗浄性ポリマーがアクリル酸架橋重合体である場合、その中和度は75〜95モル%であることが好ましく、80〜90モル%であることがさらに好ましい。中和度が75モル%以上の吸水性ポリマーとヘモグロビンとの間に起こる現象は定かではないが、アクリル酸架橋重合体からなる吸水性ポリマーの中和度を75モル%以上とすることで、吸収性物品の水洗い中において吸水性ポリマーの分子鎖近傍のpHがヘモグロビンの等電点(通常pH6.8〜7)よりも高いことにより、該吸水性ポリマーとヘモグロビンとの間に電気的な反発が発生し、これにより該吸水性ポリマーに対するヘモグロビンの付着率あるいは付着強度が低下する結果、ヘモグロビンが水洗いによって脱離しやすい状況になるものと推察される。なお前記中和度の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
前記易洗浄性ポリマーの遠心保持量を5〜20g/gに抑えることで、ポリマー本来の吸収性能を維持し、経血等の吸収保持を適度に抑えて赤みの除去を容易にすることができる。この遠心保持量は、7〜15g/gであることがさらに好ましい。なお前記遠心保持量の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
さらに2.0kPaでの加圧下通液速度は、吸収体中の液の拡散・透液速度を評価するものであり、2.0kPaは洗浄時の吸収体に加わる圧力に相当する。この通液速度を150ml/minとすることで、ゲルブロッキング発生が起こり難くなると共に、吸収性物品から汚れた洗浄液が排泄されやすくなる。また使用時の経血等の吸収体内への浸透性が良好なものとなる。また、前記通液速度を2000ml以下とすることで、使用時の経血等の排泄液を最も効率的に拡散させて吸水性ポリマーに吸収保持させることができる。
上記易洗浄性ポリマーを用いる場合、吸収速度の制御とざらつき、ごつごつ感などの風合い、洗浄後の見た目の赤みを抑制する観点から、また吸水性ポリマーの脱落防止の観点から、該洗浄性ポリマーの平均粒径は200〜600μmが好ましく、250〜450μmがより好ましく、250〜400μmがさらに好ましい。また、吸収体3に含有されている全ての易洗浄性ポリマーのうち、粒径250μm未満の易洗浄性ポリマーの含有量は、20質量%未満、特に15質量%未満であることが、長時間の着用時においてナプキン1内への液の吸収時間が短く、漏れが生じにくくなると共に、赤みが除去されやすくなるので好ましい。また、粒径250μm未満の易洗浄性ポリマーの含有量が前記範囲にあることに加えて、更に、粒径150μm未満の吸水性ポリマーの含有量が5質量%未満、特に3質量%未満であると、前記効果がより確実に奏されるようになるので好ましい。
易洗浄性ポリマーは単独で用いる事ができるが、洗浄時の色の低下が低いが膨潤倍率が高い吸収性ポリマーを併用して用いる事が可能である。膨潤倍率が高いポリマーを吸収性ポリマー領域34におけるポリマーの10〜40質量%用い入ることで、防漏溝、特に尖頭部83や73の解裂をおこし易くでき、製造時における(一般的な水散布による)吸収体への固定性を高めることができ、吸収体の見た目の洗浄具合の低下を抑えることができる。
前記の「平均粒径」並びに「粒径250μm未満の吸水性ポリマーの含有量」及び「粒径150μm未満の吸水性ポリマーの含有量」は、それぞれ下記<粒径分布の測定方法>によって測定される。尚、下記測定方法から明らかなように、ここでいう、「粒径250μm未満あるいは150μm未満の吸水性ポリマー」は、球状あるいは球状に近い粒状の形状を有する吸水性ポリマーに限定されるものではなく、吸水性ポリマーの形状は問わない。
<粒径分布の測定方法>
吸収性物品、例えば、吸収体3に含有されている全ての吸水性ポリマー50gを、JIS Z 8801で規定された目開き850、600、500、355、300、250、150の標準篩(例えば東京スクリーン社製の標準篩)及び受け皿を用いて、振とう機(例えばレッチェ社製、AS200型)を用いて篩分けする。振とう条件50Hz、振幅0.5mm、振とう時間10分間とする。測定は3回行い、平均値をふるい上質量とした。得られた各ふるい上質量を50で除して相対頻度を求め、粒度累積曲線を描いた。累積曲線の中央累積値(50%)に相当する粒子径を平均粒径とした。篩い分け作業後、「粒径250μm以上の吸水性ポリマー」は目開き250の篩上に、「粒径250μm未満の吸水性ポリマー」は、目開き250の篩下、つまり、目開き150の篩上及びその下の受け皿上に、「粒径150μm未満の吸水性ポリマー」は目開き150の篩を通過して受け皿上にあるものをそれぞれ意味する。篩い分けは3回行い、3回の平均値を各篩上の質量とした。得られた各篩上の質量を全質量に対する質量百分率として計算し、各粒径の存在比率を算出した。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
また吸水性ポリマー32の形状としては、粒子状、繊維状のもの等が挙げられる。粒子状の吸水性ポリマーには、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、球状凝集タイプ、球状タイプ等を採用することができる。特に、水路35の形成の観点から、塊状タイプや球状タイプを用いることが好ましい。
外側防漏溝7及び内側防漏溝8の形成方法は、この種の物品に用いられる方法を採用でき、例えば、エンボス加工等の圧搾手段によって形成される。外側防漏溝7及び内側防漏溝8は、それぞれ深く形成された高圧搾部とそれよりも浅く形成された低圧搾部とが交互に配置されて連続線をなすようの形成されることが好ましい。特に、内側防漏溝8において、吸水性ポリマー32とともに圧搾される高圧搾部と低圧搾部が交互に配されことで、吸収性ポリマー、特に易洗浄ポリマーでは、低圧搾部分に多くポリマーが存するようにでき、洗浄時の膨潤による解裂の基点となりやすく、表面シート1やコアラップシート33のダメージを抑制して、吸収体材料の脱落を防止しやすいので好ましい。
生理用ナプキン10をなす表面シート1、裏面シート2、防漏シート4の形成素材は、この種の物品に持ちられるものを任意に作用することができる。
例えば、表面シート1としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができ、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。特に、肌触りの観点から、カード法等により得た繊維ウエブにエアースルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアースルー不織布や、ヒートエンボス不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布等が特に好ましく用いられる。また、表面シート1が2層(肌当接面側の第1不織布と非肌当接面側の第2不織布の2層)からなる場合、第1不織布が前記の不織布とすると、第2不織布としては、繊維密度を高め第1不織布や短繊維層から液を移動し易くする観点から、カード法等により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布やヒートエンボス不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布等が特に好ましく用いられる。
表面シート1の構成繊維としては、例えば、熱融着性繊維や熱融着性樹脂、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維を含むことが好ましい。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組合せからなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も好適に用いることもできる。表面シート1は、熱融着性繊維以外に熱融着性を有しない繊維を構成繊維の一部として含んでいても良い。
特に、表面シート1と吸収体3とをしっかりと固着して防漏溝を形成する観点から、表面シート1に熱融着性繊維又は熱融着樹脂が含有されることが好ましい。さらに内側防漏溝8においては、前記の熱融着性繊維又は熱融着性樹脂を含む表面シート1、繊維層31、吸水性ポリマー32、及び該吸水性ポリマー32を該繊維層31に固着するために塗布するホットメルト接着剤の全てをエンボス等の圧搾により圧密一体化することが好ましい。この表面シート1の熱融着性、吸水性ポリマー32の膨潤による粘着性、及びホットメルト接着剤による接着性の相乗効果で、洗浄時の吸水性ポリマー32の膨潤でも内側防漏溝8の溝構造がしっかりと維持され得る。具体的には、内側防漏溝8のうち、表面シート1と中央領域Dの吸収性ポリマー領域34との圧搾により形成される内側端部溝82においては、使用時に防漏溝が安定して形状保持されることで、防漏性、可撓性によるフィット性及び表面シートの浮き防止の点で好ましく、洗浄時には防漏性及びフィット性による低拡散性によって洗浄が容易となる点で好ましい。また表面シート1と裾領域Eの吸収性ポリマー領域34との圧搾により形成される内側中央溝81においては、洗浄時の型崩れを防止する点で好ましい。
裏面シート2は、液不透過性のフィルムシートから構成されているが、この形態に限らずその他の液不透過性材料も用いることができる。例えば透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)等がある。
防漏シート4としては、例えば、液不透過性の樹脂フィルム、樹脂フィルムをラミネートした紙、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布(SMS不織布)等を用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明の吸収性物品は、前記実施形態が有していた防漏溝5、粘着部(図示せず)、ウイング部5を有しないものであってもよいし、後部フラップ部等を有するものであってもよい。また、防漏シート4の代わりに、一対の撥水性のサイドシート4が表面シート1の肌面側側縁から幅方向に配される形態であってよい。ウイング部5及び後部フラップ部は、何れも吸収体4の長手方向両側縁それぞれからナプキン外方に延出する部分であり、通常、ウイング部5はナプキン着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部に位置し、後部フラップ部は該ウイング部5よりもナプキン長手方向の後方に位置する。
また本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、使い捨ておむつ、失禁パッド、尿取りパッド、ペット用おむつ、ペット用シーツ等にも適用できる。本発明に用いられる前記易洗浄性ポリマーとしては、遠心保持量が前記特定範囲に調整されていることで吸水倍率が抑えられており、更に2.0kPaでの加圧下通液速度が前記特定範囲に調整されている場合には加圧下の通液速度が高いものであるため、繰り返しあるいは圧力下での吸収速度が非常に速く、吸収体の細部まですばやく液を拡散することができ、また、膨らんでもいわゆるゲル感が少ないので、着用時の違和感の改善に繋がる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
坪量16g/mのティッシュペーパー(上側被覆シート)に、パルプ積繊によって得られた繊維ウエブ(坪量240g/m、幅7cm、長さ17cm)を載置した。次いで繊維ウエブの上へ0.1g程度の水を全体に均一に散布し、幅55mm、長さ190mmの範囲内において、吸水性ポリマー0.75gを中央領域に108g/m、裾領域に36g/mを散布した。前記上側被覆シートにおける該繊維ウエブからの延出部分を該下側被覆シートの上面に巻き上げた後、該繊維ウエブの上下を反転させて、吸収体の略全体がティッシュペーパー(被覆シート)で被覆されてなる平面視において矩形形状の吸収体を得た。次いで、該吸収体の肌当接面の全面を表面シートで覆い、非肌面側の全面を裏面シートで覆った。更に、該表面シートの肌当接面側に対して常法に従ってエンボス処理を施し、防漏溝を形成し、ナプキン前駆体を得た。こうして得られたナプキン前駆体の非肌当接面(裏面シートの外面)の所定箇所に粘着剤を塗布してウイング部の粘着部を形成した。更に、表裏面シートそれぞれにおける吸収体の周縁部からの延出部分において常法に従ってエンドシールを施し、ナプキンを得た。このナプキンにおいて、表面シートは、エアースルー不織布(花王(株)製ロリエ肌きれい吸収に使用の開孔シート)を使用し、裏面シートは厚み25μmのポリエチレン製フィルムを使用した。当該ナプキンは、概ね図1及び図2に示した構造である。こうして得られたナプキンを実施例1のサンプルとした。
[実施例2]
実施例1に用いた吸水性ポリマーを、前述の易洗浄性ポリマーに変更してナプキンを作製し、これを実施例2のサンプルとした。
[比較例1]
吸水性ポリマーを均一に散布した以外は実施例1と同様にしてナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
[比較例2]
吸収体を混合積繊体に置換した以外は比較例1と同様にしてナプキンを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
混合積繊体は、積繊ドラムと、該積繊ドラム内に形成された真空吸引部と、解繊されたパルプおよび高吸水性ポリマーを混合状態で空気に乗せて前記積繊ドラムの外周面に供給する供給手段とを備えた公知の積繊装置で作成した。
[参考例]
インドネシアで市販されている生理用ナプキン「スーパーマキシ」(花王(株)製)を、参考例のサンプルとした。このスーパーマキシは、吸水性ポリマーを含有していない。
[評価]
実施例、比較例及び参考例の生理用ナプキンについて、洗浄後の赤み除去の程度は、血液が注入され水洗いされた後のナプキンにおける洗浄後赤色度合いを示すa*値で評価できる。a*値が大きいほど、赤みが除去され血液が水洗いによってきれいに洗い流されていることを意味する。下記手順1〜3に従って赤色度合いa*値を測定した。また、手順3の終了後のナプキンの状態を目視で観察し、水洗いに起因するナプキンの破れ(洗浄破れ)の有無を確認した。
また、洗浄性の実感を得られやすいかどうかの評価として、洗浄途中における赤み除去の程度を測定した。測定は、洗浄後赤色度合いの測定の手順1〜3のうち、手順1の洗浄時間を3分から1分に変更した方法である。これらの結果を下記表1に示す。尚、赤色度合いa*値に関し、測定値が1以下であった場合、測定の誤差を考慮すると該測定値は実質的に0とみなせるので、下記表1において「≒0」とした。
さらに吸収体への赤みの広がりについても目視にて確認を行い、広がりの度合いによって3段階(○、△、×)の評価をつけ、表1に示した。それぞれの基準については、吸収体全域に赤みを帯びているものを×、吸収体の一部に赤みが見られるものを△、ほとんど赤みが見られないものを○とした。また、ナプキン洗浄時の破れについても目視にて確認を行い、破れが見られるものを×、破れが見られないものを○とした。
[洗浄後赤色度合いの測定方法]
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度12°DHの水で該生理用ナプキンを3分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計(日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器))を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
[洗浄途中赤色度合いの測定方法]
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度12°DHの水で該生理用ナプキンを1分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計(日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器))を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
前記手順1〜3において、ナプキンに注入する血液としては馬の血液を用いる。より具体的には、(株)日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を用いる。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業(株)製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータ Lアダプタ)で、15mPa・S未満である。
また、前記手順1〜3において、ナプキンの洗浄に用いる水としては、電気伝導度1μS/cm以下のイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを溶解することにより調製される水で、カルシウムイオンとマグネシウムイオンとの含有比(カルシウムイオン:マグネシウムイオン)が7:3で且つドイツ硬度が12°DHの水を用いる。
尚、使用済みの生理用ナプキンを水洗する習慣がある国の一つである、インドネシアの生活用水は、地域によってその硬度が異なるが、前記手順1〜3で用いるドイツ硬度12°DHの水は、少なくともインドネシアの一部で使用されている生活用水と略同じである。
前記手順1において、血液を注入されたナプキンを洗浄前に30分間放置する環境は、気温25℃、湿度60%とする。
ナプキンの洗浄は、手で行ない、「一方の手で100g程度の水をナプキンにかけ、他方の手で該ナプキンを絞る動作」を10秒間に3回繰り返す。即ち、10秒間に行う動作は、「水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る」である。従って、前記手順1においてナプキンの3分間洗浄に使用する水の量は、水をかける動作1回で使用する水の量が前述したようにおよそ100gであるので、およそ(100×3×6×3=)5400gである。前記式において、100×3は、10秒間に使用する水の量、100×3×6は、1分間に使用する水の量に相当する。
ナプキンに水をかけるときはビーカー等を利用し、水をかけている最中はナプキンを絞らないようにする。
手順1において、ナプキンを3分間洗浄した後で該ナプキンを手で絞るときの圧力、即ち、手の握力は、通常、10〜15kg程度である。
赤色度合いa*値を測定する際は、外光が入らないように、測定サンプルと分光色差計とを隙間なく密接させる。
加えて、これらの生理用ナプキンの吸収性能の評価として、下記の方法により防漏性(吸収量g)、吸収時間及び液戻り量を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
<防漏性(吸収量g)の測定方法>
防漏性(吸収量g)の測定では、特開平2−239863号に記載された可動式女性腰部モデルを用いて、馬脱繊維血が漏れ出す最大吸収量を計測した。具体的には、該可動モデルに試験サンプルを装着してショーツをはかせた後、モデルを100歩/分で歩行運動させながら、3分おきに2gずつ馬脱繊維血を滴下用チューブポンプで注入し、横もれが生じるまでに吸収した馬脱繊維血の量を計測した。結果はN=3の平均値とする。
<吸収時間の測定方法>
測定対象の生理用ナプキンを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、吸収体の中心部における該表面シート上に、円筒状の注入部の付いたアクリル板をのせ、更にそのアクリル板上に錘をのせ、吸収体の中心部に対して、5g/m2の荷重を加える。アクリル板に設けられた注入部は、内径10mmの円筒状をなし、アクリル板には、長手方向及び幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径10mmの貫通孔が形成されている。次いで、円筒状注入部の中心軸が吸収体の平面視における中心部と一致するようにアクリル板を配置し、3gの血液を、円筒状注入部から注入し、生理用ナプキンに吸収させる。血液がナプキンの表面に到達した時点から3gの全量がナプキンに吸収されるまでの時間(秒)を計測し、これを吸収時間とした。
<液戻り量の測定方法>
前記<吸収時間の測定方法>において、3回目の血液注入時から3分後に、アクリル板と錘を取り除き、ナプキンの肌当接面上(表面シート上)に、7cm×15cmで坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねて載置し、該吸収紙の上から68g/cm2の荷重を1分間かけた。荷重後、吸収紙10枚を取り除き、該吸収紙10枚の重さを測定した。この測定値と、予め求めておいた荷重前の吸収紙10枚の重さの測定値とから、吸収紙10枚に吸収された血液の質量(g)を求め、該質量を液戻り量とした。該液戻り量が少ないほど、ナプキンの吸収性能が高く、高評価となる。
Figure 0005689281
表1から明らかなように、実施例1,2の生理用ナプキンは吸水性ポリマーを吸収体の下層部分の中央領域に多く存在させた構造であることで、比較例1及び2の生理用ナプキンに比し洗浄迅速性に優れることが分かった。
また、実施例1,2のナプキンは、赤みが表面側で広範囲に広がることなく、且つ洗浄時の破れが生じることなく迅速に赤みが除去され得ることが分かった。
加えて、実施例1,2のナプキンの吸収性能(防漏性、吸収時間及び液戻り量)は、比較例1、2及び参考例1と遜色なく維持されていた。むしろ実施例1,2の液戻り量は、吸水性ポリマーのない参考例1のナプキンより改善されていた。
以上のことから、実施例1,2のナプキンは、多量の洗浄水を吸収して効率的に排出させることができる構造であり且つ使用時の経血等の高い吸収性能を有し、使用時と洗浄時の性能の両立がなされていることが分かった。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 繊維層
32 吸水性ポリマー
33 コアラップシート
34 吸収性ポリマー領域
35 水路
4 防漏シート
5 ウイング部
6 外周縁部
7 外側防漏溝
8 内側防漏溝
10 生理用ナプキン

Claims (6)

  1. 肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シートに介在された吸収体を有する吸収性物品であって、該吸収性物品は縦方向とこれに交差する幅方向とを備えた縦長の形状を有しており、
    前記吸収体は吸性ポリマーを有し、該吸性ポリマーは、前記吸収体厚み方向では該吸収体の非肌当接面側の下層部分に多く存在し、かつ前記下層部分における幅方向中央領域に吸収体縦方向前後端に亘り多く存在しており、
    前記吸収性物品には、前記表面シートと前記吸収体とを一体化させ圧密化させてなる防漏溝が配設されており、該防漏溝は、高圧搾部分と低圧搾部分とが交互に配置された形態であり、前記吸水性ポリマーは前記高圧搾部分よりも前記低圧搾部分に多く存在している吸収性物品。
  2. 前記吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含む請求項1記載の吸収性物品。
  3. 記防漏溝は、その平面視における縦方向端部が外方に向って凸な尖頭形状を有する請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記防漏溝は、その平面視において吸収体の全周に亘って環状に形成された外側防漏溝と、その内側に形成された内側防漏溝とを有し、前記外側防漏溝及び内側防漏溝の平面視における縦方向端部は外方に向って凸な尖頭形状であり、双方の尖頭形状部分が前記吸収体の縦方向に並列に配置されている請求項3記載の吸収性物品。
  5. 肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シートに介在された吸収体を有する吸収性物品であって、該吸収性物品は縦方向とこれに交差する幅方向とを備えた縦長の形状を有しており、
    前記吸収体は吸水性ポリマーを有し、該吸水性ポリマーは、前記吸収体の厚み方向では該吸収体の非肌当接面側の下層部分に多く存在し、かつ前記下層部分における幅方向中央領域に吸収体縦方向前後端に亘り多く存在しており、
    前記吸収性物品には、前記表面シートと前記吸収体とを一体化させ圧密化させてなる防漏溝が配設されており、該防漏溝は、その平面視において吸収体の全周に亘って環状に形成された外側防漏溝と、その内側に形成された内側防漏溝とを有し、前記外側防漏溝及び内側防漏溝の平面視における縦方向端部は外方に向って凸な尖頭形状であり、双方の尖頭形状部分が前記吸収体の縦方向に並列に配置されており、前記内側防漏溝及び外側防漏溝の幅方向側部がともに幅方向外方に湾曲した形状であり、双方の湾曲部分が、前記吸収体の幅方向に並列に配置されており、前記内側防漏溝は前記吸収体の平面視において前記吸水性ポリマーが配置された位置に形成されており、前記外側防漏溝は吸水性ポリマーが配置されていない位置に形成されている吸収性物品。
  6. 前記内側防漏溝は、高圧搾部分と低圧搾部分とが交互に配置された形態であり、前記吸水性ポリマーが前記高圧搾部分よりも前記低圧搾部分に多く存在している請求項5に記載の吸収性物品。
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