JP6316061B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
吸収性物品として、液体透過性層(トップシート)と、液体不透過性層(バックシート)と、高吸収性ポリマー材料を含有する吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、液体透過性層と吸収性コアとの間に、化学的に架橋されたセルロース繊維等を含有する貯留層(液体捕捉層)が設けられた吸収性物品が知られている(特許文献1〜4)。
国際公開WO2004/071363号パンフレット 国際公開WO2004/071539号パンフレット 国際公開WO2007/057869号パンフレット 国際公開WO2008/155711号パンフレット
特許文献1〜4に記載の吸収性物品において、貯留層は、使用者から排泄された液状排泄物を一時的に貯留し、貯留した液状排泄物を吸収性コアへ分配して供給する。しかしながら、特許文献1〜4に記載の吸収性物品では、液状排泄物が貯留層に残存しやすい。したがって、吸収性物品が加圧された場合(例えば、使用者の体重による加圧)、貯留層から液体透過性層への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を生じやすく、使用者にべたつき、ヌレ感等の違和感を与えたり、かぶれ等の肌トラブルを生じたりするおそれがある。
そこで、本発明は、貯留層から液体透過性層への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を防止することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、液体透過性層と、液体不透過性層と、前記液体透過性層及び前記液体不透過性層の間に設けられた吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記液体透過性層は、前記液体透過性層を厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、前記吸収体は、高吸収性ポリマー材料を含有する吸収性コアと、前記吸収性コアの前記液体透過性層側に設けられた多孔質粒子層とを有し、前記多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径は2〜10mmであり、前記多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は2〜40個/cm3である、前記吸収性物品を提供する。
本発明によれば、貯留層から液体透過性層への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を防止することができる吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品一実施形態に係る使い捨てオムツの斜視図である。 図2は、図1の使い捨てオムツにおいて前面部及び後面部の連結を解除した状態を示す展開平面図である。 図3は、図1の使い捨てオムツの分解斜視図である。 図4(a)は、図1の使い捨てオムツが具備する吸収体の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線断面図である。 図5は、本発明の吸収体の製造工程の一実施形態を示す図である。 図6(a)は、別の実施形態に係る吸収体の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図である。 図7(a)は、別の実施形態に係る吸収体の平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A線断面図である。 図8(a)は、別の実施形態に係る吸収体の平面図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A線断面図である。 図9は、多孔質粒子の粒径の測定における2値化前後の多孔質粒子の画像を示す図である。
以下、本発明の吸収性物品について説明する。
態様1に係る吸収性物品は、液体透過性層と、液体不透過性層と、前記液体透過性層及び前記液体不透過性層の間に設けられた吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記液体透過性層は、前記液体透過性層を厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、前記吸収体は、高吸収性ポリマー材料を含有する吸収性コアと、前記吸収性コアの前記液体透過性層側に設けられた多孔質粒子層とを有し、前記多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径は2〜10mmであり、前記多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は2〜40個/cm3である、前記吸収性物品である。
液体透過性層には、液体透過性層を厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔が液体透過孔として機能する。したがって、液体透過性層に供給された使用者の液状排泄物は、貫通孔を通じて液体透過性層を透過することができる。液体透過性層に形成された貫通孔は、繊維質等の固形分含有量の多い高粘度液状排泄物(例えば、水様便、経血等)の透過性を向上させる上で特に有用である。なお、液体透過性層の液体透過性は、貫通孔に基づく液体透過性に限定されるものではない。例えば、液体透過性層が、貫通孔を有する不織布である場合、貫通孔に基づく液体透過性に加え、不織布の形態に基づく液体透過性を有する。
液体透過性層を透過した液状排泄物は、多孔質粒子層を拡散し、多孔質粒子層に一時的に貯留される。すなわち、多孔質粒子層は、液体透過性層を透過した液状排泄物を一時的に貯留する貯留層(液状排泄物捕捉層)として機能する。液状排泄物が多孔質粒子層に一時的に貯留される際、多孔質粒子間の空隙及び多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能し、液状排泄物は多孔質粒子層を速やかに拡散する。したがって、液状排泄物は、多孔質粒子層から吸収性コアへ効率よく移行することができる。なお、「一時的に貯留」という用語は、液体透過性層を透過した液状排泄物が、一時的には多孔質粒子層で吸収・保持されるものの、その後、多孔質粒子層から吸収性コアへ移行し、最終的には吸収性コアで吸収・保持されることを意図して使用される。但し、多孔質粒子層に貯留された液状排泄物の全てが、多孔質粒子層から吸収性コアへ移行するわけではなく、部分的には多孔質粒子層に残存する。
液状排泄物が多孔質粒子層から吸収性コアへ移行する際、液状排泄物の成分のうち、水分は多孔質粒子層から吸収性コアへ移行しやすいが、繊維質等の固形分は多孔質粒子層で捕捉されやすい。したがって、多孔質粒子層に残存する液状排泄物の流体としての動きが鈍くなり、これにより、多孔質粒子層から液体透過性層への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を防止することができる。このような多孔質粒子層による液状排泄物のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径(mm)及び密度(個/cm3)の範囲、並びに、トップシートに形成される貫通孔の有無に基づいて有意に変化する。
すなわち、繊維質等の固形分含有量の多い高粘度液状排泄物(例えば、水様便、経血等)に対するリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が2mm未満であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3を超える場合(比較例4参照)よりも、多孔質粒子の粒径が2mm以上であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3以下である場合(実施例1〜6参照)の方が顕著に高い。同様に、繊維質等の固形分含有量の少ない低粘度液状排泄物(例えば、尿等)に対するリウェットバック防止効果は、前者よりも後者の方が高い。
また、高粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が10mmを超え、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3未満である場合(比較例3参照)と、多孔質粒子の粒径が10mm以下であり、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3以上である場合(実施例1〜6参照)との間で有意な差はない。しかしながら、低粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、前者よりも後者の方が顕著に高い。
また、多孔質粒子の粒径及び密度は同程度であるが、液体透過性層に形成される貫通孔の有無が異なる2つの場合(実施例1及び比較例5参照)を比較すると、高粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、液体透過性層に貫通孔が形成されていない場合(比較例5参照)よりも、液体透過性層に貫通孔が形成されている場合(実施例1参照)の方が顕著に高い。なお、低粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、液体透過性層に貫通孔を形成することにより一般的に低下傾向を示すが、多孔質粒子層が存在する場合、液体透過性層に貫通孔を形成してもこのような低下傾向は見られない。
このように、多孔質粒子層による液状排泄物のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径(mm)及び密度(個/cm3)の範囲、並びに、液体透過性層に形成される貫通孔の有無に基づいて有意に変化する。このことを考慮して、態様1に係る吸収性物品では、液体透過性層に貫通孔が形成されているとともに、多孔質粒子の粒径が2〜10mmに、かつ、多孔質粒子の密度が2〜40個/cm3に調節されている。したがって、態様1に係る吸収性物品によれば、液状排泄物が高粘度であっても低粘度であっても、多孔質粒子層から液体透過性層への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を効果的に防止することができる。このため、態様1に係る吸収性物品は、低粘度液状排泄物(例えば、尿等)だけではなく、高粘度液状排泄物(例えば、水様便、経血等)を吸収対象とする吸収性物品(例えば、乳幼児用オムツ、生理用ナプキン等)として特に有用である。
態様1に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様2)では、前記多孔質粒子が、ファイバーボール及び多孔質セルロース粒子から選択された1種又は2種以上の粒子である。
態様2に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様3)では、前記ファイバーボールが、親水性繊維及び親水化処理された疎水性繊維から選択された1種又は2種以上の繊維を含む。態様3では、ファイバーボールが親水性を有するので、液状排泄物が多孔質粒子層を拡散する際、多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能しやすくなる。したがって、態様3では、多孔質粒子層が、貯留層としての機能を効果的に発揮することができる。なお、態様2の多孔質セルロース粒子は親水性を有するので、親水性を有するファイバーボールと同様の作用効果を発揮することができる。
態様3に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様4)では、前記ファイバーボールが、綿、パルプ及び紙から選択された1種又は2種以上の親水性材料で構成される。態様4では、ファイバーボールが親水性を有するので、液状排泄物が多孔質粒子層を拡散する際、多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能しやすくなる。したがって、態様4では、多孔質粒子層が、貯留層としての機能を効果的に発揮することができる。
態様2〜4のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様5)では、前記多孔質粒子の1個当たりの質量が3〜35gである。態様5は、態様2〜4のうち1又は2以上の態様と組み合わせることができる。態様5では、多孔質粒子が、粒径2〜10mmのファイバーボール又は多孔質セルロース粒子であって、多孔質粒子の1個当たりの質量が3〜35mgであるので、多孔質粒子の内部には十分な空隙が存在する。したがって、液体が多孔質粒子層を拡散する際、多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能しやすくなり、多孔質粒子層は、貯留層としての機能を効果的に発揮することができる。
態様1〜5のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様6)では、前記貫通孔の孔径が10mm未満である。態様6は、態様1〜5のうち1又は2以上の態様と組み合わせることができる。態様6では、貫通孔からの多孔質粒子の漏出を防止することができる。
態様1〜6のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様7)では、前記貫通孔が、前記液体透過性層の開孔率が5〜90%となるように形成されている。態様7は、態様1〜6のうち1又は2以上の態様と組み合わせることができる。
態様1〜7のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様8)では、前記多孔質粒子層と、前記液体透過性層及び/又は前記吸収性コアとが、接着剤で接着されている。態様8は、態様1〜7のうち1又は2以上の態様と組み合わせることができる。
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されるものではない。吸収性物品としては、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。本発明の吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されるものではなく、例えば、使用者の液状排泄物(例えば、尿、水様便、経血等)が挙げられる。
以下、使い捨てオムツを例として、図面に基づいて、本発明の吸収性物品の一実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の吸収性物品の一実施形態に係るオムツ1は、使用者の腹部に当てられる前面部11と、使用者の股間部に当てられる中間部12と、使用者の尻部及び/又は背部に当てられる後面部13とを有している。なお、図2において、X軸方向は展開状態のオムツ1の幅方向に、Y軸方向は展開状態のオムツ1の長手方向に、X軸Y軸方向に広がる平面の方向は展開状態のオムツ1の平面方向に相当する。他の図においても同様である。
図1に示すように、接合部14a,14bにおいて、前面部11の両側部111a,111b及び後面部13の両側部131a,131bが互いに接合されることにより、前面部11の端部112と後面部13の端部132とによってウエスト開口部が形成されているとともに、中間部12の両側部121a,121bによってレッグ開口部が形成されており、オムツ1は、パンツ型の形状を有している。
図1〜図3に示すように、オムツ1は、液体透過性のトップシート2と、液体不透過性のバックシート3と、トップシート2及びバックシート3の間に設けられた吸収体4とを備えている。以下、これらの部材について説明する。
<トップシート>
トップシート2は、液体透過性層の一例である。
図1〜3に示すように、トップシート2の一部(吸収体4の配置領域の一部)は、後述するカバーシート6の略中央に形成された開口部61から露出し、オムツ1の肌側表面を構成している。なお、吸収体4の配置領域は、吸収体4をトップシート2に投影したときに、吸収体4がトップシート2と重なる領域であり、本実施形態ではトップシート2の略全体である(図2参照)。
図3に示すように、トップシート2は、複数の貫通孔21を有する。なお、図1及び図2では、図の簡略化のために、貫通孔21が省略されている。貫通孔21は、トップシート2を厚さ方向に貫通し、トップシート2の一方の表面から他方の表面に達しており、液体透過孔として機能する。したがって、使用者の液状排泄物は、貫通孔21を通じてトップシート2を透過可能である。トップシート2に形成された貫通孔21は、繊維質等の固形分含有量の多い高粘度液状排泄物(例えば、水様便、経血等)の透過性を向上させる上で特に有用である。なお、トップシート2の液体透過性は、貫通孔21に基づく液体透過性に限定されるものではない。例えば、トップシート2が、貫通孔21を有する不織布である場合、トップシート2は、貫通孔21に基づく液体透過性に加え、不織布の形態に基づく液体透過性を有する。
貫通孔21は、トップシート2の開孔率(トップシート2の面積に対する貫通孔21の面積の総和の割合)が、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは20〜90%、さらに一層好ましくは25〜80%となるように形成されている。開孔率が5%未満であると、トップシート2の液体透過性(特に高粘度液状排泄物の透過性)が不十分となるおそれがある一方、開孔率が90%を越えると、液状排泄物のリウェットバック(トップシート2からの染み出し)が顕著となるおそれがある。
貫通孔の面積の測定は、貫通孔の形状が完全な円であるとは限らない点を考慮して、次のように実施される。マイクロスコープ等で撮影した貫通孔の画像を2値化することにより貫通孔の画像から対象とする貫通孔の領域を抽出し、抽出領域の面積を算出し、算出された面積を対象とする貫通孔の面積とする。このような測定には、例えば、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアを使用することができるが、これらを準備できない場合や、貫通孔の面積が大きくてマイクロスコープの視野に入りきらない場合は、画像データ保存の可能なその他の撮影機器及び画像処理ソフトウェアを使用してもよい。なお、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアの具体的使用方法に関しては、実施例に記載の多孔質粒子の粒径の測定方法を参照することができる。
貫通孔21の孔径は、多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。貫通孔21の孔径は、好ましくは10mm未満、さらに好ましくは8mm未満である。貫通孔21の孔径の下限値は特に限定されるものではないが、通常0.8mm以上、好ましくは1.5mm以上である。貫通孔21の間隔(貫通孔21の中心間の距離)は、通常1〜20mm、好ましくは1〜6mmである。トップシート2の単位面積当たりの貫通孔21の個数は、通常0.3〜30個/cm2、好ましくは1〜20個/cm2である。本実施形態では、図3に示すように、貫通孔21が千鳥状に配置されているが、貫通孔21の配置はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
貫通孔の孔径の測定は、貫通孔の形状が完全な円であるとは限らない点を考慮して、次のように実施される。マイクロスコープ等で撮影した貫通孔の画像を2値化することにより貫通孔の画像から対象とする貫通孔の領域を抽出し、抽出領域の面積を計算し、算出された面積を対象とする貫通孔の面積とする。対象とする貫通孔が円であるとの仮定の下、対象とする貫通孔の面積に基づいて円の直径を算出し、算出された直径を対象とする貫通孔の孔径とする。このような測定には、例えば、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアを使用することができるが、これらを準備できない場合や、貫通孔の面積が大きくてマイクロスコープの視野に入りきらない場合は、画像データ保存の可能なその他の撮影機器及び画像処理ソフトウェアを使用してもよい。なお、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアの具体的使用方法に関しては、実施例に記載の多孔質粒子の粒径の測定方法を参照することができる。
トップシート2としては、例えば、貫通孔が形成された不織布、織布、合成樹脂フィルム等が挙げられるが、好ましくは、貫通孔が形成された不織布である。貫通孔を形成するための開孔処理は、常法に従って行うことができる。
不織布としては、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(羊毛,コットン等)、再生繊維(レーヨン,アセテート等)、無機繊維(ガラス繊維,炭素繊維等)、合成樹脂繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド)等が挙げられる。不織布を構成する繊維の形態としては、例えば、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が挙げられる。
不織布の製造方法としては、例えば、ウェブ(フリース)を形成し、繊維同士を物理的・化学的に結合させる方法が挙げられ、ウェブの形成方法としては、例えば、スパンボンド法、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)、湿式法等が挙げられ、結合方法としては、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンレース法等が挙げられる。
トップシート2の厚み、坪量、密度等は、使用者の液状排泄物が透過し得る範囲で適宜調整することができる。トップシート2として不織布を使用する場合、液状排泄物の透過性、肌触り等の観点から、不織布を構成する繊維の繊度、繊維長、密度、不織布の坪量、厚み等を適宜調整することができる。トップシート2の隠ぺい性を高める観点から、トップシート2として使用する不織布に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させてもよい。
<バックシート>
バックシート3は、液体不透過性層の一例である。
図1〜図3に示すように、バックシート3は、オムツ1の着衣側表面を構成している。
バックシート3は、吸収体4に保持された液状排泄物の漏れを防止可能な液体不透過性シートである。バックシート3としては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
バックシート3の材料、厚み、坪量、密度等は、吸収体4に保持された液状排泄物の漏れを防止可能な範囲で適宜調整することができる。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液体不透過性に加えて、通気性又は透湿性を有することが好ましい。
<吸収体>
図2に示すように、吸収体4は、前面部11から中間部12を通じて後面部13に至るように配置されている。
図3及び図4に示すように、吸収体4は、高吸収性ポリマー材料を含有する吸収性コア41と、吸収性コア41のトップシート2側に設けられた多孔質粒子層42とを有し、多孔質粒子層42がトップシート2と吸収性コア41との間に位置するように、トップシート2とバックシート3との間に設けられている。したがって、トップシート2を透過した液状排泄物は、多孔質粒子層42を通じて吸収性コア41に移行する。この際、液状排泄物は、多孔質粒子層42を拡散し、多孔質粒子層42に一時的に貯留される。すなわち、多孔質粒子層42は、トップシート2を透過した液状排泄物を一時的に貯留する貯留層(液状排泄物捕捉層)として機能する。液状排泄物が多孔質粒子層42に一時的に貯留される際、多孔質粒子間の空隙及び多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能し、液状排泄物は多孔質粒子層42を拡散する。このため、液状排泄物は、多孔質粒子層42から吸収性コア41へ効率よく移行することができる。なお、「一時的に貯留」という用語は、トップシート2を透過した液状排泄物が、一時的には多孔質粒子層42で吸収・保持されるものの、その後、多孔質粒子層42から吸収性コア41へ移行し、最終的には吸収性コア41で吸収・保持されることを意図して使用される。但し、多孔質粒子層42に貯留された液状排泄物の全てが、多孔質粒子層42から吸収性コア41へ移行するわけではなく、部分的には多孔質粒子層42に残存する。
図4に示すように、吸収性コア41は、高吸収性ポリマー(SAP)材料層411と、高吸収性ポリマー材料層411を被覆するコアラップ412とを有する。なお、図3では、図の簡略化のため、コアラップ412が省略されている。
高吸収性ポリマー材料層411に含有される高吸収性ポリマー材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸収性ポリマー材料が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸収性ポリマー材料としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高吸収性ポリマー材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸収性ポリマー材料が挙げられるが、これらのうちポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸収性ポリマー材料が好ましい。高吸収性ポリマー材料の坪量は、通常20〜400g/m2、好ましくは50〜300g/m2である。高吸収性ポリマー材料の形状としては、例えば、粒子状、繊維状、鱗片状等が挙げられ、粒子状である場合、粒径は、通常200〜1000μm、好ましくは250〜750μmである。なお、ここでの粒径は、JIS R 6002:1998に記載のふるい分け試験方法に準拠して測定された場合の粒径である。
高吸収性ポリマー材料層411は、高吸収性ポリマー材料以外の吸収性材料を含有してもよい。高吸収性ポリマー材料以外の吸収性材料としては、例えば、親水性繊維が挙げられ、親水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース等が挙げられるが、これらのうち、コストが低く、成形しやすいこと点から、粉砕パルプが好ましい。高吸収性ポリマー材料層411が、高吸収性ポリマー材料以外の吸収性材料を含有する場合、高吸収性ポリマー材料層411における高吸収性ポリマー材料とその他の吸収性材料との質量比(高吸収性ポリマー材料の含有量:その他の吸収性材料の含有量)は、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20である。
高吸収性ポリマー材料層411は、吸収性材料に加えて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。例えば、高吸収性ポリマー材料層411は、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物、ゼオライト等を含有することにより、消臭性、抗菌性、吸熱効果等の機能を発揮することができる。
コアラップ412は、使用者の液状排泄物が透過可能な液体透過性シートである。コアラップ412としては、例えば、不織布、織布、液体透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられる。コアラップ412による被覆により、高吸収性ポリマー材料層411の崩壊防止、吸収体4のクッション性向上、吸収体4の隠蔽性向上、吸収体4のリウェットバック低減等の実現が可能となる。
本実施形態では、高吸収性ポリマー材料層411の表面全体が、コアラップ412で被覆されているが、高吸収性ポリマー材料層411の表面の一部が、コアラップ412で被覆されていてもよい。コアラップ412は、1つのシートで構成されていてもよいし、複数のシートで構成されていてもよい。
多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子の粒径は2〜10mmであり、多孔質粒子層42の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は、2〜40個/cm3である。
多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子の粒径は、2〜10mmの範囲で適宜調整することができるが、好ましくは3〜10mm、さらに好ましくは3〜8mmである。
多孔質粒子の粒径の測定は、多孔質粒子の形状が完全な球体であるとは限らない点、及び、多孔質粒子が繊維塊である場合には多孔質粒子の外形(外表面)を画定することが困難である点を考慮して、次のように実施される。マイクロスコープ等で撮影した多孔質粒子の画像を2値化することにより、対象とする多孔質粒子の領域を抽出し、抽出領域の面積を計算し、算出された面積を対象とする多孔質粒子の投影面積とする。同様の測定を10回行い、その平均値Aを求める。多孔質粒子が完全な球体であるとの仮定の下、多孔質粒子の投影面積の平均値Aに基づいて円の直径D(D=√(4A/π))を算出し、算出された直径Dを多孔質粒子の粒径とする。このような測定には、例えば、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアを使用することができるが、これらを準備できない場合や、多孔質粒子の粒径が大きくてマイクロスコープの視野に入りきらない場合は、画像データ保存の可能なその他の撮影機器及び画像処理ソフトウェアを使用してもよい。なお、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアの具体的使用方法に関しては、実施例に記載の多孔質粒子の粒径の測定方法の欄を参照することができる。
多孔質粒子層42の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は、2〜40個/cm3の範囲で適宜調整することができるが、好ましくは2〜30個/cm3、さらに好ましくは3〜20個/cm3である。
多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数(g/cm3)は、次式に基づいて算出される。
V=D/W
なお、式中、NVは多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数(個/cm3)、Dは多孔質粒子層の密度(g/cm3)、Wは多孔質粒子1個当たりの質量(g)を表す。
多孔質粒子層の密度(g/cm3)は、次式に基づいて算出される。
D=B/T×10-3
なお、式中、Dは多孔質粒子層の密度(g/cm3)、Bは多孔質粒子層の坪量(g/m2)、Tは多孔質粒子層の厚み(mm)を表す。
多孔質粒子層の坪量(g/m2)の測定は、次のように実施される。吸収体のうち、多孔質粒子層が存在する部分から所定サイズ(例えば100mm×100mm)の試験片を5個切り出す。各試験片の質量を直示天秤(例えば、研精工業株式会社製 電子天秤HF−300)で測定し、5つの測定値の平均値を、多孔質粒子除去前の試験片の質量とする。各試験片から多孔質粒子を除去した後、各試験片の質量を上記と同様に測定し、5つの測定値の平均値を、多孔質粒子除去後の試験片の質量とする。多孔質粒子除去前の試験片の質量から多孔質粒子除去後の試験片の質量を差し引くことにより、多孔質粒子除去前の試験片における多孔質粒子の含有量を算出する。多孔質粒子除去前の試験片における多孔質粒子の含有量と多孔質粒子除去前の試験片のサイズとに基づいて、多孔質粒子除去前の試験片における単位面積当たりの多孔質粒子の質量(g/m2)を算出し、これを多孔質粒子層の坪量とする。
多孔質粒子層の厚み(mm)の測定は、次のように実施される。吸収体のうち、多孔質粒子層が存在する部分から所定サイズ(例えば100mm×100mm)の試験片を5個切り出す。厚み計(株式会社尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ大型タイプJ−B,上下測定子φ50mm,測定圧5.0gf/cm2)を使用して、測定圧5.0gf/cm2における各試験片の厚みを測定し、5つの測定値の平均値を、多孔質粒子除去前の試験片の厚みとする。各試験片から多孔質粒子を除去した後、各試験片の厚みを上記と同様に測定し、5つの測定値の平均値を、多孔質粒子除去後の試験片の厚みとする。多孔質粒子除去前の試験片の厚みから多孔質粒子除去後の試験片の厚みを差し引くことにより、多孔質粒子除去前の試験片における多孔質粒子層の厚み(mm)を算出し、これを多孔質粒子層の厚みとする。
多孔質粒子1個当たりの質量(g)の測定は、次のように実施される。吸収体から50個の多孔質粒子を取り出し、合計質量を電子天秤で測定し、測定値に基づいて多孔質粒子1個当たりの質量(g)を算出する。同様の測定を5回行い、その平均値を多孔質粒子1個当たりの質量とする。
多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子は、多数の細孔(空隙)を有する粒子であり、多孔質粒子の具体例としては、ファイバーボール、多孔質セルロース粒子等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多孔質粒子は、親水性を有することが好ましい。多孔質粒子を親水性材料で構成することにより、多孔質粒子に親水性を付与することができる。親水性を有する多孔質粒子としては、例えば、親水性繊維及び親水化処理された疎水性繊維から選択された1種又は2種以上の繊維を含むファイバーボール、多孔質セルロース粒子等が挙げられる。親水性が保持可能な範囲内において、多孔質粒子は、疎水性材料を含有してもよい。多孔質粒子が親水性を有することにより、液状排泄物が多孔質粒子層42を拡散する際、多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能しやすくなる。したがって、多孔質粒子層42は、貯留層(液状排泄物捕捉層)としての機能を効果的に発揮することができる。
ファイバーボールは、球状繊維塊であり、寝具類、ぬいぐるみ等のつめ綿に使用される繊維形態である。ファイバーボール中の繊維の交点は、接合されていてもよいし、接合されていなくてもよいが、ファイバーボールに耐圧縮性又は圧縮反発性を付与する点から、接合されていることが好ましい。接合様式としては、例えば、繊維の熱融着性を利用した接合、バインダー(バインダー繊維、接着剤等)を利用した接合等が挙げられる。ファイバーボールが耐圧縮性又は圧縮反発性を有することにより、オムツ1の使用時(例えば、使用者の体重による加圧)に生じるおそれがある多孔質粒子層42の比容積(空隙率)の低下及びこれに伴う多孔質粒子層42の性能の低下(例えば、繊維間距離が短縮されて毛管力が増加することによって生じる、貯留された液状排泄物の吸収性コア41への放出性の低下等)を防止することができる。
ファイバーボール及び多孔質セルロース粒子としては、常法に従って製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。ファイバーボールの製造方法としては、例えば、繊維を熱融着又は熱収縮させて粒状化する方法(例えば、特開2000−345457号公報、特開平7−39659号公報等)、バインダーを利用して粒状化する方法(例えば、特開昭63−50373号公報、特開平11−105030号公報)等が挙げられる。例えば、特開2000−345457号公報には、熱可塑性エラストマーを熱接着成分とする熱接着性複合繊維と、乾熱収縮性の高いポリエステル系主体繊維とを、主体繊維を熱収縮させながらファイバーボールに成形する製造方法が開示されている。また、特開平7−39659号公報には、合成繊維捲縮加工糸を複数本引き揃えて集束処理を行った後、切断し、その後、合成繊維捲縮加工糸の融点未満の温度で熱処理して加工糸の捲縮を発現させることによりファイバーボールを製造する方法が開示されている。ファイバーボールの製造には、市販のファイバーボール加工装置(例えば、Masias社製Ball Fibers Forming Machine CMM16)を使用することができる。ファイバーボール加工装置を使用して製造したファイバーボールとしては、例えば、熱可塑性樹脂繊維(例えばポリエステル繊維)をファイバーボール加工して得られるファイバーボールが挙げられる。熱可塑性樹脂繊維のファイバーボール加工では、ファイバーボール中の繊維の交点を接合(例えば、繊維の熱融着性を利用した接合、バインダー(バインダー繊維、接着剤等)させることにより、ファイバーボールに耐圧縮性又は圧縮反発性を付与することができる。
ファイバーボールを構成する繊維としては、例えば、親水性繊維、疎水性繊維又はこれらの混合物が挙げられるが、ファイバーボールは、親水性繊維及び親水化処理された疎水性繊維から選択された1種又は2種以上の繊維を含むことが好ましい。これにより、ファイバーボールに親水性を付与することができる。親水性が保持可能な範囲内において、ファイバーボールは疎水性繊維を含有してもよい。親水性繊維を含むファイバーボールとしては、例えば、綿、パルプ及び紙から選択された1種又は2種以上の親水性材料で構成したファイバーボールが挙げられる。具体的には、市販の綿球、パルプ粉を転動造粒装置で造粒して得られるパルプ粒子、紙を縒って製造した紙紐を切断することにより得られる紙塊等が挙げられる。
親水性繊維は、親水基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基等)を有する限り特に限定されるものではない。親水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等のセルロース系再生繊維;アセテート、トリアセテート等のセルロース系半合成繊維;カルボキシメチルセルロース繊維等のその他のセルロース系繊維;アクリル繊維、ビニロン等の合成繊維等が挙げられる。
疎水性繊維としては、例えば、ポリ乳酸繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維等が挙げられ、疎水性繊維の親水化処理は、例えば、界面活性剤、親水剤等を利用した処理が挙げられる。
多孔質粒子が、粒径2〜10mmのファイバーボール又は多孔質セルロース粒子である場合、多孔質粒子の1個当たりの質量は、好ましくは3〜35mg、さらに好ましくは3〜30mgである。多孔質粒子が、粒径2〜10mmのファイバーボール又は多孔質セルロース粒子であって、多孔質粒子の1個当たりの質量が3〜35gであると、多孔質粒子はその内部に十分な空隙を有するので、液状排泄物が多孔質粒子層42を拡散する際、多孔質粒子内の空隙が液状排泄物の流路として機能しやすくなる。したがって、多孔質粒子層42は、貯留層(液状排泄物捕捉層)としての機能を効果的に発揮することができる。
多孔質粒子層42とトップシート2との界面及び/又は多孔質粒子層42とコアラップ412との界面には、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗工されていることが好ましい。これにより、多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子を固定することができる。液体透過性の観点から、接着剤は、界面全体には塗工されておらず、例えば、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターンで塗工されていることが好ましい。接着剤の塗布方法としては、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。接着剤の塗工量(坪量)は、通常3〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2である。接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。
多孔質粒子層42の厚み、坪量等は、オムツ1が備えるべき特性(例えば吸収性、強度、軽量性等)に応じて適宜調整することができる。多孔質粒子層42の厚みは、通常1〜10mm、好ましくは2〜6mmであり、坪量は、通常25〜500g/m2、好ましくは30〜400g/m2である。なお、多孔質粒子層42の厚さ、坪量等は、全体にわたって一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
本実施形態に係る吸収体4では、図4に示すように、多孔質粒子層42が、吸収性コア41のトップシート2側表面全体に設けられているが、多孔質粒子42の配置はこれに限定されるわけではなく、適宜変更可能である。
多孔質粒子層の配置が変更された吸収体4の変更例A〜変更例Cを図6〜図8に示す。
変更例Aに係る吸収体4Aでは、図6に示されるように、多孔質粒子層42Aが、吸収性コア41のトップシート2側表面のうち、オムツ1の中間部12に対応する領域の一部分に設けられている。多孔質粒子層42Aが設けられている部分は、オムツ1の中間部12に対応する領域のうち、中央よりもオムツ1の後面部13側に位置する部分である。多孔質粒子層42Aは、オムツ1の後面部13側に位置する略矩形状の第1部分と、第1部分の側縁部から吸収性コア41のトップシート2側表面中央に向けて延びる第2部分とを有する。第2部分の幅は、吸収性コア41のトップシート2側表面中央に向けて漸次縮小している。変更例Aによれば、使用者から排泄された液状排泄物の広がりを防止し、液状排泄物を多孔質粒子層42Aから吸収性コア41に効率よく移行させることができる。
変更例Bに係る吸収体Bでは、図7に示されるように、多孔質粒子層42Bが、吸収性コア41のトップシート2側表面のうち、オムツ1の中間部12に対応する領域の一部分に設けられている。多孔質粒子層42Bが設けられている部分は、オムツ1の中間部12に対応する領域の長手方向に延びる両側縁部分のうち、中央よりもオムツ1の後面部13側に位置する部分である。変更例Bによれば、使用者から排泄された液状排泄物が後述する防漏カフ7a,7bを超えて漏れることを防止することができる。したがって、変更例Bは、横向き姿勢をとったり、脚の開閉を行ったりすることができる比較的高月齢の乳児用のオムツとして特に有用である。
変更例Cに係る吸収体Cでは、図8に示されるように、多孔質粒子層42Cが、吸収性コア41のトップシート2側表面のうち、オムツ1の後面部13に対応する領域の一部分に設けられている。変更例Cによれば、使用者から排泄された液状排泄物が使用者の背中方向に向かって流れることを防止することができる。したがって、変更例Cは、仰向け寝姿勢をよくとる比較的低月齢の乳児用のオムツとして特に有用である。
図1〜図3に示すように、オムツ1は、トップシート2、バックシート3及び吸収体4以外に、液体不透過性のカバーシート6、液体不透過性の防漏カフ7a,7b、液体不透過性の防漏シート8、弾性部材91,92,93,94等を備えている。以下、これらの部材について説明する。
<カバーシート>
図1〜図3に示すように、トップシート2の肌側表面には、液体不透過性のカバーシート6が設けられている。図1〜図3に示すように、カバーシート6の略中央には開口部61が形成されており、トップシート2の一部(吸収体4の配置領域の一部)は、カバーシート6の開口部61から露出し、カバーシート6とともに、オムツ1の肌側表面を構成している。
カバーシート6は、液体不透過性シートであり、液体不透過性シートとしては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
<防漏カフ>
図1〜図3に示すように、カバーシート6の開口部61の両側には、液体不透過性シートで形成された防漏カフ7a,7bが設けられている。防漏カフ7a,7bの一方の端部は、トップシート2とカバーシート6との間に挟まれて固定された固定端であり、他方の端部は、カバーシート6の開口部61から露出する自由端である。防漏カフ7a,7bの自由端には、縦方向Yに延びる弾性部71a,71bが設けられており、防漏カフ7a,7bは、使用者の肌方向に向けて立ち上がっている。
<防漏シート>
図2及び図3に示すように、バックシート3及び吸収体4の間には、液体不透過性の防漏シート8が設けられている。防漏シート8は、液体不透過性シートであり、液体不透過性シートとしては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
<弾性部材>
図1〜図3に示すように、略同一寸法の砂時計形状であるバックシート3及びカバーシート6の間には、弾性部材91,92,93,94が設けられている。なお、図1において、弾性部材91,92,93,94の一部は省略されている。
図1に示すように、弾性部材91,92の弾性収縮力によりウエスト開口部にはウエストギャザーが形成されているとともに、弾性部材93,94の弾性収縮力によりレッグ開口部にはレッグギャザー(レッグ側のカフ)が形成されている。レッグギャザーによって、レッグ開口部からの液状排泄物の漏れが防止される。
弾性部材91,92としては、例えば、太さ約310〜940dtexのストランド状又はストリング状の弾性体を使用することができ、弾性部材93,94としては、例えば、太さ約470〜940dtexのストランド状又はストリング状の弾性体を使用することができる。弾性部材91,92,93,94として、弾性を有する伸縮性繊維不織布等を使用してもよい。
図2及び図3に示すように、弾性部材91,92は、前面部11及び後面部13において、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に、そして、縦方向Yへ離間して複数本取り付けられている。図2及び図3に示すように、弾性部材93は、中間部12の両側部121a,121bに沿って延びる部分93a,93bと、横方向Xへ延びて部分93a,93bを接続する部分93cとを有している。図2及び図3に示すように、弾性部材94は、中間部12の両側部121a,121bに沿って延びる部分94a,94bと、横方向Xへ延びて部分94a,94bを接続する部分94cとを有している。吸収体4は、前面部11から中間部12を通じて後面部13へと延びているので、弾性部材91,92,93,94の収縮力によって吸収体4が使用者の肌側へと押し付けられ、使用者の液状排泄物の漏れが防止される。
オムツ1は、トップシート2及びカバーシート6が内側(使用者の肌側)に、バックシート3が外側(使用者の着衣側)に位置するように着用される。但し、使用者が着衣を身につけている必要はない。使用者の液状排泄物は、カバーシート6の開口部61から露出するトップシート2を通じて吸収体4に浸透し、吸収体4で吸収・保持される。吸収体4に吸収・保持される液状排泄物の漏れは、バックシート3及び防漏シート6によって防止される。吸収対象となる液状排泄物としては、例えば、水様便、尿、経血、下り物等が挙げられるが、通常、主として、水様便及び尿である。
オムツ1において、液状排泄物が多孔質粒子層42から吸収性コア41へ移行する際、液状排泄物の成分のうち、水分は多孔質粒子層42から吸収性コア41へ移行しやすいが、繊維質等の固形分は多孔質粒子層42で捕捉されやすい。したがって、多孔質粒子層42に残存する液状排泄物の流体としての動きが鈍くなり、これにより、多孔質粒子層42からトップシート2への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を防止することができる。このような多孔質粒子層42による液状排泄物のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子の粒径(mm)及び密度(個/cm3)の範囲、並びに、トップシート2に形成される貫通孔21の有無に基づいて有意に変化する。
すなわち、繊維質等の固形分含有量の多い高粘度液状排泄物(例えば、水様便、経血等)のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が2mm未満であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3を超える場合(比較例4参照)よりも、多孔質粒子の粒径が2mm以上であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3以下である場合(実施例1〜6参照)の方が顕著に高い。同様に、繊維質等の固形分含有量の少ない低粘度液状排泄物(例えば、尿等)のリウェットバック防止効果は、前者よりも後者の方が高い。
また、高粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が10mmを超え、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3未満である場合(比較例3参照)と、多孔質粒子の粒径が10mm以下であり、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3以上である場合(実施例1〜6参照)との間で有意な差はない。しかしながら、低粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、前者よりも後者の方が顕著に高い。
また、多孔質粒子の粒径及び密度は同程度であるが、トップシート2に形成される貫通孔21の有無が異なる2つの場合(実施例1及び比較例5参照)を比較すると、高粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、トップシート2に貫通孔21が形成されていない場合(比較例5参照)よりも、トップシート2に貫通孔21が形成されている場合(実施例1参照)の方が顕著に高い。なお、低粘度液状排泄物に対するリウェットバック防止効果は、トップシート2に貫通孔21を形成することにより一般的に低下傾向を示すが、多孔質粒子層42が存在する場合、トップシート2に貫通孔21を形成してもこのような低下傾向は見られない。
このように、多孔質粒子層42による液状排泄物のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子層42に含有される多孔質粒子の粒径(mm)及び密度(個/cm3)の範囲、並びに、トップシート2に形成される貫通孔21の有無に基づいて有意に変化する。このことを考慮して、オムツ1では、トップシート2に貫通孔21が形成されているとともに、多孔質粒子の粒径が2〜10mmに、かつ、多孔質粒子の密度が2〜40個/cm3に調節されている。したがって、オムツ1によれば、液状排泄物が高粘度であっても低粘度であっても、多孔質粒子層42からトップシート2への液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を効果的に防止することができる。このため、オムツ1は、低粘度液状排泄物(例えば、尿等)だけではなく、高粘度液状排泄物(例えば、水様便等)を吸収対象とする乳幼児用オムツとして特に有用である。
以下、図5に基づいて、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態を説明する。
[第1工程]
第1工程は、高吸収性ポリマー材料層411を形成する工程である。図5に示すように、高吸収性ポリマー材料層411の形成には、搬送方向MDに回転するサクションドラム110と、サクションドラム110を覆うフードを具備する吸収性材料供給部120とが使用される。サクションドラム110の周面111には、吸収性材料を詰める型として凹部112が周方向に所要のピッチで形成されている。サクションドラム110が回転して凹部112が吸収性材料供給部120へ進入すると、サクション部113が凹部112に作用し、吸収性材料供給部120から供給された吸収性材料が凹部112に真空吸引される。吸収性材料供給部120から供給される吸収性材料は、粉砕機(不図示)から供給された親水性繊維Fと、粒子供給部121から供給された高吸収性ポリマー粒子Pとを所定の質量混合比で含有する。こうして、凹部112に高吸収性ポリマー材料層411が形成される。高吸収性ポリマー材料層411は、親水性繊維F及び高吸収性ポリマー粒子Pを混合状態で含有する。凹部112に形成された高吸収性ポリマー材料層411は、転写サンクション部150の作用により、搬送方向MDに向かって進行する下層コアラップ91上に転写される。下層コアラップ91の上面にはホットメルト型接着剤が塗工されており、高吸収性ポリマー材料層411は、ホットメルト型接着剤によって下層コアラップ91上に接合される。下層コアラップ91に転写された高吸収性ポリマー材料層411は、搬送方向MDに向かって進行する。
[第2工程]
第2工程は、搬送方向MDに向かって進行する高吸収性ポリマー材料層411上に上層コアラップ92を積層する工程である。上層コアラップ92の下面にはホットメルト型接着剤が塗工されており、高吸収性ポリマー材料層411は、ホットメルト型接着剤によって上層コアラップ92と接合される。こうして、上層コアラップ92、高吸収性ポリマー材料層411及び下層コアラップ91が順に積層された積層体の連続体が形成される。この連続体は、一対のロール300,301で所定の形状に切り抜かれ、高吸収性ポリマー材料層411と、高吸収性ポリマー材料層411を被覆するコアラップ412とを有する吸収性コア41が形成される。
[第3工程]
第3工程は、吸収性コア41上に接着剤を塗布する工程である。図5に示すように、接着剤の塗布には、接着剤塗布装置302が使用される。接着剤塗布装置302は、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等の方法により、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターンで接着剤を塗布する。接着剤は、好ましくはホットメルト接着剤であり、ホットメルト接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。
[第4工程]
第4工程は、吸収性コア41の接着剤塗布面に多孔質粒子を供給し、多孔質粒子層を形成する工程である。図5に示すように、多孔質粒子の供給には、多孔質粒子供給装置303が使用される。
第1工程〜第4工程を経て、吸収性コア41と、吸収性コア41の一方の面に積層された多孔質粒子層42とを有する吸収体4が製造される。吸収体4を使用したオムツ1の製造は、常法に従って実施することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)トップシート
本実施例では、開孔不織布をトップシートとして使用した。開孔不織布の製造は、以下の通り実施した。
[不織布]
ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、一般的な高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維(芯鞘比50:50(断面積比),繊度2.2dtex、繊維長51mm)に、親水性油剤を付着させたものをカーディング処理し、繊維ウェブ(坪量25g/m2)を製造した。この繊維ウェブを一般的なエアースルーボンディング処理し、エアースルー不織布(厚み1.0mm)を製造した。エアースルーボンディング処理において、熱風温度は135℃、風量は1m/秒、処理時間は10秒に設定した。なお、これらの条件(坪量、風量、処理時間等)は、不織布の厚みが1.0mmとなるように設定されたものである。
[不織布の開孔]
複数のピンが配置された上型と、複数の穴が配置された下型とからなる上下一対の金型を使用して、エアースルー不織布に貫通孔を形成した。金型を使用した開孔成形では、上型の各ピンが、下型の各孔に差し込まれることにより、上型及び下型に挟まれたエアースルー不織布に貫通孔が形成される。開孔成形の際、金型の温度は90℃、処理時間は3秒に設定した。
不織布に形成される貫通孔の孔径及び配置は、それぞれ、上型のピンの太さ及び配置によって調整可能である。本実施例では、ピン径をφ5.0mm、ピン先端角度を45度、ピン間ピッチを7.0mm、ピン配置を60度千鳥配置に設定した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、ファイバーボールを使用した。ファイバーボールは、ポリエステル繊維(繊度6.6dtex,繊維長32mm)を、ファイバーボール加工装置(Masias社製Ball Fibers Forming Machine CMM16)でファイバーボール加工することにより製造した。この際、ファイバーボール加工装置での処理時間は、1分間に設定した。
[吸収性コア]
フラッフパルプ(インターナショナルペーパー社製フラッフパルプ「スーパーソフト」)をソーミル装置(株式会社瑞光社製)で粉砕して得られた粉砕パルプと、高吸収性ポリマー粒子(住友精化株式会社製高吸収性ポリマー粒子SA50)とを、両者が均一に分散するように混合した後、積層し、長さが150mm、幅が120mm、粉砕パルプの坪量が250g/m2±3%、高吸収性ポリマー粒子の坪量が250g/m2±3%である吸収性コアを製造した。こうして製造された吸収性コアを、吸収性コア側の面にホットメルト接着剤が塗工された2枚のティッシュ(コアラップ)で挟んだ後、加圧装置で厚み3.0mmに加圧成形した。
[吸収体]
ファイバーボールを、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例で実施した測定方法は、以下の通りである。
[多孔質粒子の粒径(mm)]
多孔質粒子の粒径の測定は、多孔質粒子の形状が完全な球体であるとは限らない点、及び、多孔質粒子が繊維塊である場合には多孔質粒子の外形(外表面)を画定することが困難である点を考慮して、以下の通り実施した。
マイクロスコープ等で撮影した多孔質粒子の画像を2値化することにより、対象とする多孔質粒子の領域を抽出し、抽出領域の面積を算出し、算出された面積を多孔質粒子の投影面積とした。同様の測定を10回行い、その平均値Aを求めた。多孔質粒子が完全な球体である(すなわち、多孔質粒子の投影領域が円である)との仮定の下、多孔質粒子の投影面積の平均値Aに基づいて円の直径D(D=√(4A/π))を算出し、算出された直径Dを多孔質粒子の粒径とした。なお、2値化前後の多孔質粒子の画像を図9に示す。
具体的には、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ(コントローラー:VHX−2000,ズームレンズ:X20〜X200)及び付属ソフトウェアを使用して、以下の通り実施した。
(a)初期調整を行い、レンズ倍率を、対象粒子が画面に入る倍率に設定した。
(b)撮影条件(撮影サイズ標準,画像サイズ1600×1200)を調整した。
(c)背景を黒い状態とし、対象粒子を計測テーブル上にセットした。
(d)一旦、画像を保存し、再度呼び出した後、「計測」、「自動面積測定」、「輝度」及び「計測を開始する」を選択した。
(e)2値化しきい値を調整し、粒子の大きさと抽出領域の大きさとが合致することを確認した。この際、必要に応じて粒子の除去を行い、不要な抽出領域を除去してもよい。
(f)抽出領域の面積の計算を実行させ、記録した。
(g)同様の測定を10回行い、多孔質粒子の投影面積の平均値Aを求めた。
(h)多孔質粒子が完全な球体である(すなわち、多孔質粒子の投影領域が円である)との仮定の下、多孔質粒子の投影面積の平均値Aに基づいて算出された円の直径D(D=√(4A/π))を、多孔質粒子の粒径とした。
なお、本実施例では、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアを使用したが、これらが準備できない場合や、多孔質粒子の粒径が大きくてマイクロスコープの視野に入りきらない場合には、画像データ保存の可能なその他の撮影機器(例えば、倍率の低い撮影機器)及び画像処理ソフトウェアを使用してもよい。
[多孔質粒子層の厚み(mm)]
多孔質粒子層の厚みの測定は、以下の通り実施した。
(a)厚み計(株式会社尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ大型タイプJ−B,上下測定子φ50mm,測定圧5.0gf/cm2)の下側測定子に、両面テープを介して硬質ポリ塩化ビニルプレート(縦150mm×横100mm×厚み3.0mm)を貼付した。
(b)厚み計を水平状態とし、上側測定子を3回静かに上下させた後、上側測定子が下側測定子に貼付された硬質ポリ塩化ビニルプレート上に載せた状態のときのゲージを「0」に合わせた。
(c)ファイバーボールを、吸収体製造時と同様にして、硬質ポリ塩化ビニルプレート上に積層し、長さ100mm×幅60mmの矩形状の多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、上側測定子を多孔質粒子層の中心部に載せることができる位置に形成した。
(d)上側測定子を3回静かに上下させた後、多孔質粒子層上に載せ、この状態でゲージを読み、多孔質粒子層の厚みを測定した。
(e)同様の測定を5回行い、その平均値を多孔質粒子層の厚みとした。
[多孔質粒子層の坪量(g/m2)]
多孔質粒子層の坪量は、以下の通り測定した。
(a)電子天秤上に、両面テープを介して硬質ポリ塩化ビニルプレート(縦150mm×横100mm×厚み3.0mm)を貼付し、その状態での質量を「0」に合わせた。
(b)ファイバーボールを、吸収体製造時と同様にして、硬質ポリ塩化ビニルプレート上に積層し、長さ100mm×幅60mmの矩形状の多孔質粒子層を形成した。
(c)多孔質粒子層の質量を電子天秤で測定し、その測定値に基づいて単位面積当たりの質量(g/m2)を算出した。なお、電子天秤として、測定桁数が1/100g以下のものを使用した。その他の質量測定で使用した電子天秤も同様である。
(d)同様の測定を5回行い、その平均値を多孔質粒子層の坪量とした。
[多孔質粒子1個当たりの質量(g)]
多孔質粒子1個当たりの質量の測定は、以下の通り実施した。
(a)50個の粒子の合計質量を電子天秤で測定し、測定値に基づいて粒子1個当たりの質量を算出した。
(b)同様の測定を5回行い、その平均値を粒子1個当たりの質量とした。
[多孔質粒子層の密度(g/cm3)]
多孔質粒子層の密度は、次式に基づいて算出した。
D=B/T×10-3
なお、式中、Dは多孔質粒子層の密度(g/cm3)、Bは多孔質粒子層の坪量(g/m2)、Tは多孔質粒子層の厚み(mm)を表す。
[多孔質粒子層の単位面積当たりの多孔質粒子の個数(個/cm2)]
多孔質粒子層の単位面積当たりの多孔質粒子の個数は、次式に基づいて算出した。
A=B/W×10-4
なお、式中、NAは多孔質粒子層の単位面積当たりの多孔質粒子の個数(個/cm2)、Bは多孔質粒子層の坪量(g/m2)、Wは多孔質粒子1個当たりの質量(g)を表す。
[多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数(個/cm3)]
多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は、次式に基づいて算出した。
V=D/W
なお、式中、NVは多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数(個/cm3)、Dは多孔質粒子層の密度(g/cm3)、Wは多孔質粒子1個当たりの質量(g)を表す。
[人工水様便の移行率]
人工水様便の製造は、以下の通り実施した。
ベントナイト(株式会社ホージュン社製ベントナイト「ベンゲルA」)66g、粉末セルロース(日本製紙株式会社製粉末セルロース「KCフロックW−200」)134g、赤色色素(株式会社丸紅商会製「リス印食用色素 赤色102号」)及びイオン交換水1800gの混合物を、平面ビーターを装着したミキサー(株式会社エフ・エム・アイ社製「キッチンエイドKSM5」)を用いて均一に分散するまで撹拌し、人工水様便を製造した。
人工水様便は、撹拌終了後に粘度変化を生じるため、撹拌終了後、常温にて24時間放置して粘度変化を安定させた後、測定に使用した。但し、測定には、撹拌終了後の放置時間が72時間以内のものを使用し、撹拌終了後の放置時間が72時間を超えるものは使用しなかった。
人工水様便の移行率の測定は、以下の通り実施した。
(a)四角柱状の錘に、その底面(縦100mm×横100mm)を覆うように、正方形状(縦120mm×横120mm)の人工皮膚(イデアテックスジャパン株式会社製 人工皮膚PBZ13001)を貼付した。人工皮膚のうち、錘の底面からはみ出す部分については、錘の輪郭に沿って折り曲げ、両面テープを介して錘の側面に貼付した。人工皮膚のうち、錘の底面に貼付される部分には、皺が生じないように留意した。なお、錘の質量は、人工皮膚貼付後の錘の質量が2000g±20gの範囲内となるように調整した。
(b)人工水様便滴下前の吸収体の質量(A1(g))を測定した。
(c)トップシートを長さ150mm×幅120mmのサイズに切り、その質量(T1(g))を測定した後、吸収体上に載せ、軽く押さえた。
(d)シリンジに人工水様便を約10mL採取した後、その質量(S1(g))を測定した。
(e)シリンジを、その先端とトップシートとの間隔が10mmとなるように、トップシートの上方に設置し、1mL/秒の滴下速度で、シリンジからトップシートへ人工水様便を滴下した。
(f)滴下後のシリンジの質量(S2(g))を測定し、滴下前のシリンジの質量(S1(g))から滴下後のシリンジの質量(S2(g))を差し引くことにより、滴下された人工水様便の質量(F(g))を算出した。なお、工程(d)においてシリンジに採取する人工水様便の量は、滴下された人工水様便の質量(F(g))が9.7g〜10.3gの範囲となるように調整した。
(g)錘の底面に貼付した人工皮膚をウェットティッシュ(スパンレース不織布にその質量の150%程度のイオン交換水を含浸させたもの)で拭いて少し湿らせた後、人工皮膚が貼付された錘の質量(W1(g))を測定した。
(h)ウェットティッシュで拭いた後30秒以内であって、かつ、人工水様便の滴下開始後180秒以内に、人工皮膚が貼付された錘をトップシート上に静かに載せた。
(i)トップシート上に載せてから10秒後に、人工皮膚が貼付された錘を取り出し、その質量(W2(g))を測定した。
(j)トップシートを吸収体から剥がした後、トップシートの質量(T2(g))及び吸収体の質量(A2(g))を測定した。
(k)同様の測定を3回行い、その平均値を算出した。
(l)以下の式に基づいて、吸収体への移行率、トップシートへの移行率及び人工皮膚への移行率を算出した。
吸収体への移行率(%)=(滴下後吸収体質量(A2(g))−滴下前吸収体質量(A1(g)))/滴下された人工水様便の質量(F(g))×100
トップシートへの移行率(%)=(滴下後トップシート質量(T2(g))−滴下前トップシート質量(T1(g)))/滴下された人工水様便の質量(F(g))×100
人工皮膚への移行率(%)=(滴下後錘質量(W2(g))−滴下前錘質量(W1(g)))/滴下された人工水様便の質量(F(g))×100
[人工尿のリウェット量]
人工尿の製造は、以下の通り実施した。
イオン交換水10kgに対し、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム・7水和物8g、塩化カルシウム・2水和物3g、色素(青色1号)1gを加えてよく攪拌することにより、人工尿を製造した。
人工尿のリウェット量の測定は、以下の通り実施した。
トップシートを長さ150mm×幅120mmのサイズに切り、その質量(T1(g))を測定した後、吸収体上に載せ、軽く押さえた。
円筒(直径60mm,重さ200g)をトップシートの中央部に設置した。ピペットを、その先端とトップシートとの間隔が10mmとなるように、トップシートの上方に設置し、80mL/10秒の滴下速度で、ピペットからトップシートへ人工尿を滴下した。人工尿滴下開始5分後に、予め質量(A(g))を測定した濾紙(アドバンテックNo.2,100mm×100mm)を、濾紙の中央と人工尿滴下位置とが一致するようにトップシート上に設置し、その上に錘(3.5kg/100cm2)を設置した。人工尿滴下開始8分後(錘を設置してから3分後)、錘を外して濾紙の質量(B(g))を測定した。濾紙の質量の変化量(B(g)−A(g))を算出した。同様の測定を5回繰り返し、その平均値をリウェット量とした。
<実施例2>
(1)トップシート
本実施例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、ファイバーボールを使用した。本実施例では、綿球(白十字株式会社製「綿球No.3」)を、ファイバーボールとして使用した。
[吸収性コア]
本実施例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
綿球を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。なお、多孔質粒子の粒径の測定における2値化前後の多孔質粒子の画像を図9に示す。
<実施例3>
(1)トップシート
本実施例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、多孔質セルロース粒子(レンゴー株式会社製「ビスコパールAH−4050L」)を使用した。
[吸収性コア]
本実施例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
多孔質セルロース粒子を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。なお、多孔質粒子の粒径の測定における2値化前後の多孔質粒子の画像を図9に示す。
<実施例4>
(1)トップシート
本実施例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、パルプ粒子を使用した。本実施例では、以下の工程により、パルプ粒子を製造した。
(a)製紙用広葉樹パルプ繊維(セルロース純度約50%)を1cm角程度に裁断したものを、水道水とともにミキサーにて撹拌し、溶解させた。
(b)加圧脱水して、水分率(パルプ繊維質量に対する水分量の比率)を200%程度に調整した後、ミキサーで粉砕した。
(c)得られたパルプ粉を転動造粒装置(株式会社マツボー社製レーディゲミキサーM−20型)で造粒した。
(d)得られたパルプ粒子を熱風乾燥機にて乾燥した。この際、乾燥温度は120℃、乾燥時間は180分に設定した。
(e)乾燥後、パルプ粒子を篩にかけた。目開き5mmの篩にかけ、目開き5mmの篩を通過したものをさらに目開き3mmの篩にかけ、目開き3mmの篩に残存したものをパルプ粒子として使用した。
なお、パルプ繊維長に応じて、パルプ粒子の粒径が変化する(すなわち、繊維が長いほど粒径が大きくなる一方、繊維が短いほど粒径が小さくなる)傾向があるが、水分率、粉砕時間、転動造粒時間等を調整することにより、パルプ粒子の粒径を調整することができる。例えば、水分率を増加させることにより、粒径を増加させることができる一方、水分率を減少させることにより、粒径を減少させることができる。
[吸収性コア]
本実施例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
パルプ粒子を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
<実施例5>
(1)トップシート
本実施例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、実施例4のパルプ粒子よりも粒径の小さいパルプ粒子を使用した。本実施例では、以下の工程により、パルプ粒子を製造した。
実施例4の工程(a)〜(d)と同様にして、パルプ粒子を造粒し、乾燥した後、まず、目開き3mmの篩にかけ、目開き3mmの篩を通過したものをさらに目開き2mmの篩にかけ、目開き2mmの篩に残存したものをパルプ粒子として使用した。
[吸収性コア]
本実施例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
パルプ粒子を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
<実施例6>
(1)トップシート
本実施例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本実施例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、紙塊を使用した。本実施例では、以下の工程により、紙塊を製造した。
晒クラフト紙(坪量17g/m2,幅120mm)を縒り、直径約4mmの紙紐を製造した。この紙紐から、長さ約4mmの断片を切り出し、本実施例の紙塊として使用した。
[吸収性コア]
本実施例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
紙塊を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本実施例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
<比較例1>
(1)トップシート
本比較例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[不織布]
本比較例では、多孔質粒子層の代わりに、不織布層を使用した。不織布は、以下の工程により製造した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、一般的な高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維(芯鞘比50:50(断面積比),繊度3.3dtex、繊維長51mm)に、親水性油剤を付着させたものをカーディング処理し、繊維ウェブ(坪量120g/m2)を製造した。この繊維ウェブを一般的なエアースルーボンディング処理し、エアースルー不織布(厚み5.0mm)を製造した。エアースルーボンディング処理において、熱風温度は135℃、風量は1m/秒、処理時間は10秒に設定した。なお、これらの条件(坪量、風量、処理時間等)は、不織布の厚みが5.0mmとなるように設定されたものである。
[吸収性コア]
本比較例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
不織布を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された不織布層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本比較例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。なお、不織布層の厚み(mm)の測定は、以下の通り実施した。
(a)厚み計(株式会社尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ,測定面φ44mm,測定圧3g/cm2)を水平状態とし、上側測定子を3回静かに上下させた後、ゲージを「0」に合わせた。
(b)上側測定子を上げた状態で、縦100mm×横100mmにカットした不織布層をテーブルに載せた。
(c)上側測定子を3回静かに上下させた後、不織布層上に載せ、この状態でゲージを読み、不織布層の厚みを測定した。
(d)同様の測定を10回行い、その平均値を不織布層の厚みとした。
<比較例2>
(1)トップシート
本比較例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[不織布]
本比較例では、多孔質粒子層の代わりに、4枚の不織布の積層体を使用した。各不織布は、以下の工程により製造した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、一般的な高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維(芯鞘比50:50(断面積比),繊度3.3dtex、繊維長51mm)に、親水性油剤(組成:不明)を付着させたものをカーディング処理し、繊維ウェブ(坪量30g/m2)を製造した。この繊維ウェブを一般的なエアースルーボンディング処理し、エアースルー不織布(厚み1.3mm)を製造した。エアースルーボンディング処理において、熱風温度は135℃、風量は1.2m/秒、処理時間は10秒に設定した。なお、これらの条件(坪量、風量、処理時間等)は、不織布の厚みが1.3mmとなるように設定されたものである。
[吸収性コア]
本比較例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
4枚の不織布の積層体を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された不織布層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本比較例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。なお、不織布層の厚み(mm)の測定は、比較例1と同様にして実施した。
<比較例3>
(1)トップシート
本比較例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本比較例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、実施例2の綿球よりも粒径の大きい綿球(白十字株式会社製「綿球No.7」)を使用した。
[吸収性コア]
本比較例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
綿球を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本比較例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
<比較例4>
(1)トップシート
本比較例では、実施例1と同様にして製造した開孔不織布をトップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本比較例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、実施例5のパルプ粒子よりも粒径の小さいパルプ粒子を使用した。本比較例では、以下の工程により、パルプ粒子を製造した。
実施例4の工程(a)〜(d)と同様にして、パルプ粒子を造粒し、乾燥した後、目開き2mmの篩にかけ、目開き2mmの篩を通過したものをパルプ粒子として使用した。
[吸収性コア]
本比較例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
パルプ粒子を、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本比較例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
<比較例5>
本比較例では、実施例1と同様にして製造した不織布を、貫通孔を形成することなく、トップシートとして使用した。
(2)吸収体
[多孔質粒子]
本比較例では、多孔質粒子層を構成する多孔質粒子として、実施例1と同様にして製造したファイバーボールを使用した。
[吸収性コア]
本比較例では、実施例1と同様にして製造した吸収性コアを使用した。
[吸収体]
ファイバーボールを、コアラップで被覆された吸収性コア上に積層し、多孔質粒子層を形成した。多孔質粒子層は、長さ100mm×幅60mmの矩形状となるように形成した。こうして、コアラップで被覆された吸収性コアと、その上に積層された多孔質粒子層(貯留層)とを有する吸収体を製造した。
(3)測定方法
本比較例では、実施例1と同様にして、各種測定方法を実施した。
実施例1〜6及び比較例1〜5の結果を表1及び表2に示す。
表2に示されるように、貯留層として不織布層を使用した比較例1及び2よりも、貯留層として多孔質粒子層を使用した実施例1〜6の方が、人工水様便の吸収体への移行率は有意に大きく、人工水様便のトップシート及び人工皮膚への移行率は有意に小さかった。また、実施例1〜6における人工尿のリウェット量は、比較例1及び2における人工尿のリウェット量と同程度又はそれ以上であったが、実施例1〜6における人工尿のリウェット量は十分に小さいものであった。したがって、貯留層として多孔質粒子層を使用することにより、多孔質粒子層からトップシートへの液状排泄物(本実施例では人工水様便及び人工尿)の染み出し(リウェットバック)を効果的に防止できることが明らかとなった。液状排泄物が多孔質粒子層からコアラップを経て吸収性コアに移行する際、液状排泄物の成分のうち、水分は多孔質粒子層からコアラップを経て吸収性コアに移行しやすいが、繊維質等の固形分は多孔質粒子層で捕捉されやすいため、多孔質粒子層に残存する液状排泄物の流体としての動きが鈍くなり、これにより、多孔質粒子層からトップシートへの液状排泄物の染み出し(リウェットバック)を効果的に防止できると考えられる。
このような多孔質粒子層による液状排泄物のリウェットバック防止効果は、表2に示されるように、多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径(mm)及び密度(個/cm3)の範囲、並びに、トップシートに形成される貫通孔の有無に基づいて有意に変化した。
すなわち、繊維質等の固形分含有量の多い高粘度液状排泄物(本実施例では人工水様便)のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が2mm未満であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3を超える比較例4よりも、多孔質粒子の粒径が2mm以上であり、かつ、多孔質粒子の密度が40個/cm3以下である実施例1〜6の方が顕著に高かった。同様に、繊維質等の固形分含有量の少ない低粘度液状排泄物(本実施例では人工尿)のリウェットバック防止効果は、比較例4よりも実施例1〜6の方が高かった。
また、高粘度液状排泄物(本実施例では人工水様便)のリウェットバック防止効果は、多孔質粒子の粒径が10mmを超え、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3未満である比較例3と、多孔質粒子の粒径が10mm以下であり、かつ、多孔質粒子の密度が2個/cm3以上である実施例1〜6との間で有意な差はなかった。しかしながら、低粘度液状排泄物(本実施例では人工尿)のリウェットバック防止効果は、比較例3よりも実施例1〜6の方が顕著に高かった。
また、多孔質粒子の粒径及び密度は同程度であるが、トップシートに形成される貫通孔の有無が異なる実施例1及び比較例5を比較すると、高粘度液状排泄物(本実施例では人工水様便)のリウェットバック防止効果は、トップシートに貫通孔が形成されていない比較例5よりも、トップシートに貫通孔が形成されている実施例1の方が顕著に高かった。なお、低粘度液状排泄物のリウェットバック防止効果は、トップシートに貫通孔を形成することにより一般的に低下傾向を示すが、貯留層として多孔質粒子層を使用する場合、トップシートに貫通孔を形成してもこのような低下傾向は見られなかった。
これらの結果から、貯留層として多孔質粒子層を使用する場合、トップシートに貫通孔を形成するとともに、多孔質粒子の粒径を2〜10mmとし、かつ、多孔質粒子の密度を2〜40個/cm3とすることにより、液状排泄物が高粘度であっても低粘度であっても、多孔質粒子層に残存する液状排泄物のリウェットバックを効果的に防止できることが明らかとなった。
1 使い捨てオムツ(吸収性物品)
2 トップシート(液体透過性層)
21 貫通孔
3 バックシート(液体不透過性層)
4 吸収体
41 吸収性コア
42 多孔質粒子層

Claims (7)

  1. 液体透過性層と、液体不透過性層と、前記液体透過性層及び前記液体不透過性層の間に設けられた吸収体とを備えた吸収性物品であって、
    前記液体透過性層は、前記液体透過性層を厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記吸収体は、高吸収性ポリマー材料を含有する吸収性コアと、前記吸収性コアの前記液体透過性層側に設けられた多孔質粒子層とを有し、
    前記多孔質粒子層に含有される多孔質粒子の粒径は2〜10mmであり、
    前記多孔質粒子層の単位体積当たりの多孔質粒子の個数は2〜40個/cm3であ
    前記多孔質粒子が、ファイバーボール及び多孔質セルロース粒子から選択された1種又は2種以上の粒子である、前記吸収性物品。
  2. 前記ファイバーボールが、親水性繊維及び親水化処理された疎水性繊維から選択された1種又は2種以上の繊維を含む、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記ファイバーボールが、綿、パルプ及び紙から選択された1種又は2種以上の親水性材料で構成される、請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記多孔質粒子の1個当たりの質量が3〜35mgである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記貫通孔の孔径が10mm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記貫通孔が、前記液体透過性層の開孔率が5〜90%となるように形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記多孔質粒子層と、前記液体透過性層及び/又は前記吸収性コアとが、接着剤で接着されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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