図1は、本発明に係る半導体メモリ10の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、かかる半導体メモリ10は、メモリセルアレイ1、コントローラ2、ロウデコーダ3、カラムデコーダ4、及びセンスアンプ部5を有する。
メモリセルアレイ1には、複数のビット線BLが並置されており、各ビット線BLに交叉した形態で複数のワード線WLが並置されており、これらビット線BL及びワード線WLによる各交叉部には、図2に示すように、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタからなるメモリセルMCTが形成されている。メモリセルMCTのソース端子は電源線VLに接続されており、そのドレイン端子はビット線BLに接続されており、そのゲート端子にはワード線WLが接続されている。電源線VLの一端にはnチャネルMOD型のトランジスタDSTのドレイン端子が接続されている。このトランジスタDSTのソース端子には電圧CDVが印加されており、そのゲート端子にはドレイン選択線DSLが接続されている。ビット線BLの一端にはnチャネルMOD型のトランジスタSSTのソース端子が接続されている。トランジスタSSTのゲート端子にはソース選択線SSLが接続されており、そのドレイン端子にはビットアクセス線SLINEが接続されている。
又、メモリセルアレイ1には、複数の基準ビット線RBLが並置されており、各基準ビット線RBLに交叉した形態で複数の基準ワード線RWLが並置されている。基準ビット線RBL及びワード線RWLによる各交叉部には、上記したメモリセルMCTの各々と対を為すように、図2に示す如きnチャネルMOS型のトランジスタからなる基準メモリセルRMCTが形成されている。尚、基準メモリセルRMCTは、データの値、つまり論理レベル「0」又は論理レベル「1」を判定する為の閾値となる基準電流を生成すべく設けられたものである。基準メモリセルRMCTのソース端子は電源線VLに接続されており、そのドレイン端子は基準ビット線RBLに接続されており、そのゲート端子には基準ワード線RWLが接続されている。電源線VLの一端にはnチャネルMOD型のトランジスタRDSTのドレイン端子が接続されている。このトランジスタRDSTのソース端子には電圧CDVが印加されており、そのゲート端子には基準ドレイン選択線RDSLが接続されている。基準ビット線RBLの一端にはnチャネルMOD型のトランジスタRSSTのソース端子が接続されている。トランジスタRSSTのゲート端子には基準ソース選択線RSSLが接続されており、そのドレイン端子には基準ビットアクセス線RLINEが接続されている。
コントローラ2は、読出又は書込指令に応じて、読出又は書込アドレスを示すアドレス情報をロウデコーダ3に供給すると共に、書込又は読出用の電圧をメモリセルに印加させるべき書込又は読出アクセス信号をロウデコーダ3及びカラムデコーダ4に供給する。また、コントローラ2は、読出指令に応じて活性化を促す論理レベル1の読出活性化信号RDENをセンスアンプ部5に供給する。更に、コントローラ2は、かかる読出指令に応じて、テストモード及び通常モード(後述する)の内の一方を選択的に実行する。コントローラ2は、テストモードを実行する場合には論理レベル1、通常モードを実行する場合には論理レベル0のテストモード活性化信号RDTENをセンスアンプ部5に供給すると共に、その論理レベルを反転させた反転テストモード活性化信号RDTENBをセンスアンプ部5に供給する。尚、テストモードを実行する場合、コントローラ2は、後述するが如く、電流制御信号SELB0〜SELBn(nは1以上の整数)各々の論理レベルを順次段階的に変更しつつ、センスアンプ部5から送出された読出データの取込を行う。
ロウデコーダ3は、コントローラ2から供給された書込又は読出アクセス信号、及びアドレス情報に応じて、メモリセルアレイ1に形成されている一対のワード線WL及び基準ワード線RWLを選択し、夫々に所定の選択電圧を供給する。これにより、かかる選択電圧が供給された一対のワード線WL及び基準ワード線RWLに接続されているメモリセルMCT及び基準メモリセルRMCTがデータの読出又は書込対象となる。更に、ロウデコーダ3は、この読出又は書込対象となったメモリセルMCT及びRMCTに対して書込電圧又は読出電圧を印加させるべきドレイン選択電圧をドレイン選択線DSL及び基準ドレイン選択線RDSLに送出すると共に、ソース選択電圧をソース選択線SSL及び基準ソース選択線RSSLに送出する。
カラムデコーダ4は、コントローラ2から供給された書込又は読出アクセス信号に応じて、データの読出又は書込に対応した各種電圧を生成し、これをビットアクセス線SLINE及び基準ビットアクセス線RLINEに印加する。
センスアンプ部5は、コントローラ2から、活性化を促す論理レベル1の読出活性化信号RDENと共に、通常モードを示す論理レベル0のテストモード活性化信号RDTENが供給された場合、つまり通常モード時には、以下の如き動作を行う。すなわち、通常モード時には、センスアンプ部5は、先ず、一対のビットアクセス線SLINE及び基準ビットアクセス線RLINEを介して供給された電流、つまりビットアクセス線SLINEを介して供給されたセル電流、及び基準ビットアクセス線RLINEを介して供給された基準電流を取り込む。そして、センスアンプ部5は、かかる基準電流を閾値として、上記セル電流値との大小比較を行うことにより、読み出されたデータの論理レベルが「1」であるのか、或いは「0」であるのかを判定し、その判定結果の論理レベルを有するデータを読出データとして出力する。一方、コントローラ2から、活性化を促す論理レベル1の読出活性化信号RDENと共に、テストモードを示す論理レベル1のテストモード活性化信号RDTENが供給された場合、つまりテストモード時には、以下の如き動作を行う。すなわち、センスアンプ部5は、コントローラ2から供給された電流制御信号SELB0〜SELBnに応じて上記した基準電流の電流値を増加又は低下させ、その基準電流を閾値として上記セル電流値との大小比較を行うことにより、上記した如き読出データを生成する。
以下に、コントローラ2によって実行される通常モードでのデータ読出動作について、図3を参照しつつ説明する。
先ず、コントローラ2は、図3に示す如く、論理レベル1に対応した電圧Vddを有する読出活性化信号RDEN及び反転テストモード活性化信号RDTENB、並びに論理レベル0に対応した接地電位Vssを有するテストモード活性化信号RDTENをセンスアンプ部5に供給する。また、コントローラ2は、読出対象となったメモリセルMCT及びこれと対を為す基準メモリセルRMCTに接続されているワード線WL及び基準ワード線RWL各々に、図3に示す如き電圧Vcgを有する高電圧の選択電圧を印加させるべき読出アクセス信号をロウデコーダ3に供給する。更に、コントローラ2は、図2に示すトランジスタDST及びRDSTに接続されているドレイン選択線DSL及び基準ドレイン選択線RDSL各々に、図3に示す如き電圧Vdgを有する高電圧のドレイン選択電圧を印加させるべき読出アクセス信号をロウデコーダ3に供給する。また、コントローラ2は、図2に示すトランジスタSSTに接続されているソース選択線SSLに、図3に示す如き接地電位Vssを有する低電圧のソース選択電圧を印加させると共に、トランジスタRSSTに接続されているソース選択線RSSLに、図3に示す如き電圧Vddを有する高電圧のソース選択電圧を印加させるべき読出アクセス信号をロウデコーダ3に供給する。
上記したコントローラ2の制御により、センスアンプ部5が活性状態になると共に、図2に示すトランジスタDST及びRDSTがオン状態となり、読出対象となるメモリセルMCT及び基準メモリセルRMCT各々のソース端子に電圧CDVが印加される。更に、図2に示すトランジスタRSSTがオン状態となり、基準メモリセルRMCTから、データの値を判定する為の閾値となる基準電流Irfcが送出される。この際、かかる基準電流Irfcが基準ビット線RBL及びトランジスタRSSTを介して基準ビットアクセス線RLINEに流れ込む。そして、この基準ビットアクセス線RLINEに流れる電流が基準電流Irfとしてセンスアンプ部5に供給される。これにより、基準ビット線RBL及び基準ビットアクセス線RLINE各々上の電圧は、図3に示す如き接地電位Vssよりも高い電圧VTとなる。
次に、コントローラ2は、上述した如くソース選択線SSLに印加していたソース選択電圧を、図3に示す如き接地電位Vssから高電圧の電圧Vddに切り替えるべき読出アクセス信号をロウデコーダ3に供給する。よって、図2に示すトランジスタSSTがオン状態となり、メモリセルMCTから、その記憶データの値に対応したセル電流Icellが送出される。この際、かかるセル電流Icellが、ビット線BL、トランジスタSST及びビットアクセス線SLINEを介してセンスアンプ部5に供給される。これにより、ビット線BL及びビットアクセス線SLINE各々上の電圧は、メモリセルMCTの記憶データの値に対応した電圧となる。例えば、メモリセルMCTの記憶データの値が論理レベル0である場合には図3の実線に示すように接地電位Vss近傍の低電圧となり、論理レベル1である場合には図3の破線に示す如き高電圧となる。
ここで、センスアンプ部5は、メモリセルMCTから上記ビットアクセス線SLINEを介して供給されたセル電流Icellが、基準ビットアクセス線RLINEを介して供給された基準電流Irfよりも大きい場合には論理レベル「1」、小さい場合には論理レベル「0」の読出データを出力する。
次に、コントローラ2によって実行されるテストモードでのデータ読出動作について、図4を参照しつつ説明する。
尚、テストモードでは、コントローラ2は、反転テストモード活性化信号RDTENBを論理レベル0に対応した接地電位Vss、テストモード活性化信号RDTENを論理レベル1に対応した電圧Vddとし、電流制御信号SELB0〜SELBnをセンスアンプ部5に供給するようにした点を除く他の制御は図3に示すものと同一である。
かかるテストモードにおいて、コントローラ2は、電流制御信号SELB0〜SELBnをセンスアンプ部5に供給することにより、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcの電流量を徐々に増加又は低下させる。この際、例えば基準電流Irfcの電流値を低下させて行くと、論理レベル「0」及び「1」判定の為の閾値VTが図4に示すように低下して行く。つまり、論理レベル「1」判定に対する閾値のマージンが大となる一方、論理レベル「0」判定に対する閾値のマージンが小さくなる。よって、例えばセンスアンプ部5から論理レベル「0」の読出データが送出されている状態から、基準電流Irfcを段階的に低下させて行くと、例えば図4に示す時点TQにて読出データが論理レベル「1」に反転する。従って、かかるテスト動作により、読出対象となったメモリセルMCTには、その読出データが論理レベル「0」から「1」の状態に反転する間に上記の如く低下させた基準電流の低下分に対応した図4に示す如き閾値マージンSMが存在することを検知する。ここで、かかる閾値マージンSMが所定のマージンよりも小となっている場合には、コントローラ2は、このメモリセルMCTに対する書込電圧又は書込回数を増加させる等の設定変更を行うことにより、半導体メモリの特性劣化を防ぐ。
このように、テストモードでは、センスアンプ部5において基準電流Irfcの電流値、つまり論理レベル「0」及び「1」判定の為の閾値を強制的に増加又は低下させることにより、読出対象となったメモリセルMCTから送出されたセル電流Icellの閾値に対するマージン量を測定するのである。
図5は、センスアンプ部5の内部構成を示すブロック図である。
図5に示すように、センスアンプ部5は、一対のビットアクセス線SLINE及び基準ビットアクセス線RLINE毎に、電流電圧変換器51、52、比較器53、及び電流調整回路54を備えた構成を有する。
第1の電流電圧変換器51は、コントローラ2から論理レベル1の読出活性化信号RDENが供給されている場合にだけ活性状態となり、ビットアクセス線SLINEを介して供給されたセル電流Icellを、その電流値に対応した電圧に変換し、これをセンス電圧SLEVELとして比較器53に供給する。
第2の電流電圧変換器52は、上記した論理レベル1の読出活性化信号RDENが供給されている場合にだけ活性状態となり、基準ビットアクセス線RLINEを介して供給された基準電流Irfを、その電流値に対応した電圧に変換し、これを基準電圧RLEVELとして比較器53に供給する。
比較器53は、上記した論理レベル1の読出活性化信号RDENが供給されている場合にだけ活性状態となり、基準電圧RLEVELを閾値として、センス電圧SLEVELとの大小比較を行うことにより読出データの値を判定する。この際、比較器53は、センス電圧SLEVELが基準電圧RLEVELよりも大きい場合には論理レベル「1」、小さい場合には論理レベル「0」を有する読出データを出力する。
電流調整回路54は、コントローラ2から論理レベル1のテストモード活性化信号RDTEN、及び論理レベル0の反転テストモード活性化信号RDTENBが供給されている場合、つまりテストモード時にのみ活性状態となり、以下の如き動作を行う。すなわち、電流調整回路54は、コントローラ2から供給された電流制御信号SELB0〜SELBnに応じた電流量の負極性の調整電流Iofsを生成し、これを基準ビットアクセス線RLINEに印加する。これにより、基準ビットアクセス線RLINに流れる基準電流Irfは、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに負極性の調整電流Iofsを重畳させた、以下の如き電流に調整される。
Irf=Irfc−Iofs
図6は、電流調整回路54の内部構成の一例を示す回路図である。
図6に示す電流調整回路54は、nチャネルMOS型のトランジスタNT0〜NT2、pチャネルMOS型のトランジスタPT0〜PT2及びPS0〜PSnからなる調整電流生成部と、定電流源CCG0〜CCGnからなる定電流生成部と、を含む。
定電流源CCG0〜CCGnの各々には、上記したテストモード活性化信号RDTENが供給されており、論理レベル「1」のテストモード活性化信号RDTENが供給されている場合にだけ、夫々が定電流値である定電流Ibc0〜Ibcnを生成する。
トランジスタPT1のソース端子には電圧Vddが印加されており、そのドレイン端子にはトランジスタPT2のソース端子が接続されている。トランジスタPT2のゲート端子には、上記した反転テストモード活性化信号RDTENBが供給されており、そのドレイン端子は、トランジスタNT0のドレイン端子と、トランジスタNT0及びNT1各々のゲート端子とに接続されている。トランジスタNT0及びNT1各々のソース端子には接地電位Vssが印加されている。すなわち、トランジスタNT0及びNT1によりカレントミラー回路が構築される。トランジスタNT1のドレイン端子にはトランジスタNT2のソース端子が接続されている。トランジスタNT2のゲート端子にはテストモード活性化信号RDTENが供給されており、そのドレイン端子が基準ビットアクセス線RLINEに接続されている。トランジスタPT0のソース端子には電圧Vddが印加されており、そのドレイン端子及びゲート端子は、上記トランジスタPT1のゲート端子及びラインL1に接続されている。すなわち、トランジスタPT0及びPT1によりカレントミラー回路が構築される。ラインL1には、トランジスタPS0〜PSn各々のドレイン端子が接続されている。
トランジスタPS0のソース端子には定電流源CCG0が接続されており、そのゲート端子には電流制御信号SELB0が供給されている。また、トランジスタPS1のソース端子には定電流源CCG1が接続されており、そのゲート端子には電流制御信号SELB1が供給されている。また、トランジスタPS2のソース端子には定電流源CCG2が接続されており、そのゲート端子には電流制御信号SELB2が供給されている。このように、各トランジスタPS(K)(K=0〜nの整数)のソース端子には定電流源CCG(K)が接続されており、そのゲート端子には電流制御信号SELB(K)が供給されているのである。
以下に、図6に示す構成を有する電流調整回路54の動作について説明する。
先ず、コントローラ2がテストモードを実行すべく、論理レベル1のテストモード活性化信号RDTEN及び論理レベル0の反転テストモード活性化信号RDTENBを電流調整回路54に供給すると、トランジスタNT2及びPT2がオン状態になると共に、定電流源CCG0〜CCGnが全て活性状態となる。
ここで、コントローラ2が、例えば図7に示す如く、電流制御信号SELB0〜SELBnの各々を論理レベル1に対応した電圧Vddの状態から、1つずつ順に論理レベル0に対応した接地電位Vssの状態に遷移させて行くものとする。この際、トランジスタPS0〜PSnの各々は、そのゲート端子に供給された電流制御信号SELBが論理レベル1の場合にはオフ状態、論理レベル0の場合にオン状態となる。よって、図7に示す如き電流制御信号SELB0〜SELBnによれば、トランジスタPS0〜PSnの順に各トランジスタPSが1つずつ、オフ状態からオン状態に遷移して行く。
これにより、図7に示す段階T1では、トランジスタPS0〜PSnの内のPS0のみがオン状態となるので、このトランジスタPS0に接続されている定電流源CCG0が生成した定電流Ibc0がラインL1に流れる。従って、この際、トランジスタPT0及びPT1による第1のカレントミラー回路、NT0及びNT1による第2のカレントミラー回路の動作によって、図7に示す如き上記定電流Ibc0と同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。よって、図7に示す段階T1では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、定電流Ibc0の分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
また、図7に示す段階T2では、トランジスタPS0〜PSnの内のPS0及びPS1のみがオン状態となる。よって、トランジスタPS0に接続されている定電流源CCG0が生成した定電流Ibc0と、トランジスタPS1に接続されている定電流源CCG1が生成した定電流Ibc1との合成電流がラインL1に流れる。従って、この際、図7に示す如き電流(Ibc0+Ibc1)と同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。よって、図7に示す段階T2では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、電流(Ibc0+Ibc1)の分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
また、図7に示す段階T3では、トランジスタPS0〜PSnの内のPS0、PS1及びPS2のみがオン状態となる。よって、トランジスタPS0に接続されている定電流源CCG0が生成した定電流Ibc0と、トランジスタPS1に接続されている定電流源CCG1が生成した定電流Ibc1と、トランジスタPS2に接続されている定電流源CCG2が生成した定電流Ibc2と、の合成電流がラインL1に流れる。従って、この際、 図7に示す如き電流(Ibc0+Ibc1+Ibc2)と同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。よって、図7に示す段階T2では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、電流(Ibc0+Ibc1)の分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
尚、図7に示す実施例では、実際に電流を送出させるべき定電流源の数を変更することにより、調整電流Iofsの値を変更するようにしているが、実際に電流を送出させる定電流源の組み合わせ方を変えることによって調整電流Iofsの値を変更するようにしても良い。
以上の如く、図6に示す電流調整回路54では、定電流源CCG0〜CCGnからなる定電流生成部にて定電流Ibc0〜Ibcnを夫々生成する。そして、トランジスタNT0〜NT2、PT0〜PT2及びPS0〜PSnからなる調整電流生成部にて、上記定電流Ibc0〜Ibcnに基づき、電流制御信号SELB0〜SELBnに応じた電流値を有する調整電流Iofsを生成し、これを基準電流Irfcに重畳することにより電流調整の施された基準電流Irfを得るようにしている。すなわち、電流制御信号SELB0〜SELBnに基づき、定電流源CCG0〜CCGnの内から実際に電流を送出させるべき少なくとも1つの定電流源CCGを選択し、選択した定電流源CCGの各々から送出される電流の合成電流を調整電流Iofsとして生成する。そして、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに、この調整電流Iofsを重畳させることにより基準電流Irfcの電流値を調整するのである。
よって、図6に示す構成によれば、実際に電流を送出させる定電流源の数、又は組み合わせ方を変更することによって基準電流Irfcの電流値を調整することが可能となるので、素子の抵抗値を変更することにより基準電流の電流値を調整するようにした構成に比して、製造上のバラツキに伴う精度低下が抑えられるようになる。
尚、電流調整回路54の内部構成としては、図6に示される回路に限定されない。
図8は、電流調整回路54の他の内部構成を示す回路図である。
図8に示す構成では、電流調整回路54は、nチャネルMOS型のトランジスタNT0〜NT2、pチャネルMOS型のトランジスタPT0、PT10〜PT1n、PT2及びPT30〜PT3nからなる調整電流生成部と、定電流源CCからなる定電流生成部と、を有する。
定電流源CCには、上記したテストモード活性化信号RDTENが供給されており、論理レベル「1」のテストモード活性化信号RDTENが供給されている場合にだけ、定電流値である定電流IFを生成する。
トランジスタPT10〜PT1n各々のソース端子には電圧Vddが印加されており、夫々のドレイン端子にはトランジスタPT30〜PT3n各々のソース端子が接続されている。トランジスタPT30のゲート端子には電流制御信号SELB0が供給されており、トランジスタPT31のゲート端子には電流制御信号SELB1が供給されている。また、トランジスタPT32のゲート端子には電流制御信号SELB2が供給されている。このように、各トランジスタPT3(K)(K=0〜nの整数)のゲート端子には電流制御信号SELB(K)が供給されている。これらトランジスタPT30〜PT3n各々のドレイン端子はラインL2を介してトランジスタPT2のソース端子に接続されている。トランジスタPT2のゲート端子には、上記した反転テストモード活性化信号RDTENBが供給されており、そのドレイン端子は、トランジスタNT0のドレイン端子と、トランジスタNT0及びNT1各々のゲート端子とに接続されている。トランジスタNT0及びNT1各々のソース端子には接地電位Vssが印加されている。すなわち、トランジスタNT0及びNT1によりカレントミラー回路が構築される。トランジスタNT1のドレイン端子にはトランジスタNT2のソース端子が接続されている。トランジスタNT2のゲート端子にはテストモード活性化信号RDTENが供給されており、そのドレイン端子が基準ビットアクセス線RLINEに接続されている。トランジスタPT0のソース端子には電圧Vddが印加されており、そのドレイン端子及びゲート端子は、上記トランジスタPT10〜PT1n各々のゲート端子及び定電流源CCに接続されている。上記したトランジスタPT0、及びトランジスタPT10〜PT1nにより、多出力型のカレントミラー回路が構築されている。
以下に、図8に示す構成を有する電流調整回路54の動作について説明する。
先ず、コントローラ2がテストモードを実行すべく、論理レベル1のテストモード活性化信号RDTEN、及び論理レベル0の反転テストモード活性化信号RDTENBを電流調整回路54に供給すると、トランジスタNT2及びPT2がオン状態になると共に、定電流源CCが活性状態になる。これにより、トランジスタPT0のドレイン端子から定電流IFが送出される。
ここで、コントローラ2が、例えば図7に示すように、電流制御信号SELB0〜SELBnの各々を論理レベル1に対応した電圧Vddの状態から、1つずつ順に論理レベル0に対応した接地電位Vssの状態に遷移させて行くものとする。この際、トランジスタPT30〜PT3nの各々は、そのゲート端子に供給された電流制御信号SELBが論理レベル1の場合にはオフ状態、論理レベル0の場合にオン状態となる。よって、図7に示す如き電流制御信号SELB0〜SELBnによれば、トランジスタPT30〜PT3nの順に各トランジスタPT3が1つずつ、オフ状態からオン状態に遷移して行く。
これにより、図7に示す段階T1では、トランジスタPT30〜PT3nの内のPT30のみがオン状態となる。よって、トランジスタPT0及びPT10からなるカレントミラー回路が有効となり、このトランジスタPT10は、トランジスタPT0から送出された定電流IFと同一電流値を有する電流をトランジスタPT30及びラインL2を介してトランジスタPT2に送出する。この際、トランジスタNT0及びNT1によるカレントミラー回路の動作によって、上記定電流IFと同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。従って、図7に示す段階T1では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、定電流IFの分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
また、図7に示す段階T2では、トランジスタPT30〜PT3nの内のPT30及びPT31のみがオン状態となる。よって、トランジスタPT0、PT10及びPT11からなるカレントミラー回路が有効となり、トランジスタPT10及びPT11の各々は、トランジスタPT0から送出された定電流IFと同一電流値を有する電流を夫々トランジスタPT30及びPT31を介してラインL2に送出する。これにより、トランジスタPT30から送出された定電流IFと、トランジスタPT31から送出された定電流IFとの合成電流、つまり電流(2・IF)がラインL2を介してトランジスタPT2に送出される。この際、トランジスタNT0及びNT1によるカレントミラー回路の動作によって、上記電流(2・IF)と同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。従って、図7に示す段階T2では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、電流(2・IF)の分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
また、図7に示す段階T3では、トランジスタPT30〜PT3nの内のPT30〜PT32のみがオン状態となる。よって、トランジスタPT0、PT10〜PT12からなるカレントミラー回路が有効となり、トランジスタPT10〜PT12の各々は、トランジスタPT0から送出された定電流IFと同一電流値を有する電流を夫々トランジスタPT30〜PT32を介してラインL2に送出する。これにより、トランジスタPT30から送出された定電流IFと、トランジスタPT31から送出された定電流IFと、トランジスタPT32から送出された定電流IFとの合成電流、つまり電流(3・IF)がラインL2を介してトランジスタPT2に送出される。この際、トランジスタNT0及びNT1によるカレントミラー回路の動作によって、上記電流(3・IF)と同一電流値を有する電流が調整電流Iofsとして、基準ビットアクセス線RLINEから引き込まれる。従って、図7に示す段階T3では、基準メモリセルRMCTから送出された基準電流Irfcに対して、電流(3・IF)の分だけその電流を低下させるべき調整が施される。
以上の如く、図8に示す内部構成の電流調整回路54では、単一の定電流源CCからなる定電流生成部にて定電流IFを生成する。そして、トランジスタNT0〜NT2、PT0、PT10〜PT1n、PT2及びPT30〜PT3nからなる調整電流生成部にて、上記定電流IFに基づき、電流制御信号SELB0〜SELBnに応じた電流値を有する調整電流Iofsを生成し、これを基準電流Irfcに重畳することにより電流調整の施された基準電流Irfを得るようにしている。この際、図8に示す内部構成を有する電流調整回路54では、先ず、多出力型のカレントミラー回路(PT0、PT11〜PT1n)によって、単一の定電流源CCで生成された定電流IFから複数の定電流IFを複製する。そして、複製された定電流IF各々の内から電流制御信号SELB0〜SELBnにて示される少なくとも1の電流を選択して合成した合成電流を調整電流Iofsとして生成し、この調整電流Iofsを基準電流Irfcに重畳させることによりその電流値を調整するのである。
よって、図8に示す内部構成によれば、図6に示す如き内部構成を採用した場合と同様に、素子の抵抗値を変更することにより基準電流の電流値を調整するようにした構成に比して、製造上のバラツキに伴う精度低下が抑えられるようになる。
尚、上記実施例では、コントローラ2は、電流制御信号SELB0〜SELBnによって、調整電流Iofsの電流量を段階的に増加させるようにしているが、段階的に低下、或いは増加及び低下を交互に繰り返すように調整電流Iofsの電流量を遷移させるようにしても良い。要するに、コントローラ2は、電流制御信号SELB0〜SELBnを用いることにより、調整電流Iofsの電流量を時間経過に伴い増加又は低下させるように遷移させれば良いのである。
また、上記実施例では、電流制御信号SELB0〜SELBnに応じて調整電流Iofsの電流量を段階的に遷移させるにあたり、各段階で遷移させる電流量を、図7に示す如く1定電流源で生成された電流分(Ibc、IF)としているが、2つ以上の定電流源で生成された合成電流分であっても良い。また、各段階で遷移させる調整電流Iofsの電流量は一定である必要はなく、各段階毎に異ならせるようにしても良い。
また、各段階で遷移させる電流量の遷移パターンが互いに異なる2系統分の調整シーケンスを用意しておき、第1の調整シーケンスに対応した電流制御信号SELB0〜SELBnと、第2の調整シーケンスに対応した電流制御信号SELB0〜SELBnとを切り替えてトランジスタPS0〜PSn(PT30〜PT3n)に供給するようにしても良い。
図9は、かかる点に鑑みて為された電流調整回路54の内部構成の他の一例を示す回路図である。尚、図9に示す構成は、図8に示す構成に、セレクタS0〜Sn、インバータIV0及びIV1を追加したものであり、他の構成は図8に示すものと同一である。
図9において、セレクタS0〜Snの各々は、互いに出力端子が接続されているトランスミッションゲートTGV及びTGRからなる、いわゆる2to1セレクタである。セレクタS0〜Sn各々の第1の入力端子にはコントローラ2から供給された電流制御信号VB0〜VBnが供給されており、セレクタS0〜Sn各々の第2の入力端子にはコントローラ2から供給された電流制御信号RB0〜RBnが供給されている。インバータIV0は、コントローラ2から供給された調整シーケンス切換信号VFYの論理レベルを反転させた信号を、セレクタS0〜Sn各々のトランスミッションゲートTGVのpチャネル側ゲート端子及びTGRのnチャネル側ゲート端子に夫々供給する。インバータIV1は、上記した調整シーケンス切換信号VFYと同一論理レベルの信号を、セレクタS0〜Sn各々のトランスミッションゲートTGVのnチャネル側ゲート端子及びTGRのpチャネル側ゲート端子に夫々供給する。
かかる構成により、セレクタS0〜Snは、論理レベル1の調整シーケンス切換信号VFYが供給された場合には、電流制御信号VB0〜VBn及び電流制御信号RB0〜RBnの内からVB0〜VBnを選択し、これらVB0〜VBnを夫々電流制御信号SELB0〜SELBnとしてトランジスタPS0〜PSn(PT30〜PT3n)に供給する。一方、論理レベル0の調整シーケンス切換信号VFYが供給された場合には、セレクタS0〜Snは、電流制御信号VB0〜VBn及び電流制御信号RB0〜RBnの内からVB0〜VBnを選択し、これらVB0〜VBnを夫々電流制御信号SELB0〜SELBnとしてトランジスタPS0〜PSn(PT30〜PT3n)に供給する。
ここで、上記した電流制御信号VB0〜VBnに、例えば上記した如き読出データ判定用の閾値マージンを測定する為の第1調整シーケンスを割り当て、電流制御信号RB0〜RBnに、例えばデータ書込済みか否かの判定用の閾値マージンを測定する為の第2調整シーケンスを割り当てる。つまり、コントローラ2は、読出データ判定用の閾値マージンを測定する為の第1調整シーケンスに従った電流制御信号VB0〜VBnと、データ書込判定用の閾値マージンを測定する為の第2調整シーケンスに従った電流制御信号RB0〜RBnと、を図9に示す電流調整回路54に供給する。そして、コントローラ2は、調整シーケンス切換信号VFYにより、上記第1調整シーケンスに従った基準電流の調整、及び第2調整シーケンスに従った基準電流の調整動作の内の一方を選択的に実施させる。
よって、図9に示す内部構成を採用することにより、読出データ判定用の閾値マージンを測定する為の電流調整と、データ書込判定用の閾値マージンを測定する為の電流調整と、を単一の電流調整回路54で実施することができるので、回路規模を小規模化することが可能となる。