JP6001014B2 - 耐熱性絶縁電線とその絶縁層の形成に用いる電着液 - Google Patents

耐熱性絶縁電線とその絶縁層の形成に用いる電着液 Download PDF

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本発明は、耐熱性の絶縁層を有する絶縁電線と該絶縁層を形成する電着液に関する。
絶縁電線はマグネットコイルなどに広く用いられている。絶縁電線の絶縁層を形成する方法として浸漬法と電着法が知られている。浸漬法は絶縁電線の心材になる導電性の線材を樹脂ワニス等の塗料に浸漬して引き上げ、乾燥させて線材表面に絶縁被覆を形成する方法である。電着法は上記線材を樹脂ワニス等の塗料成分を含む電着液に入れ、該線材を陽極あるいは陰極にして通電し、該線材表面に塗料成分を電着させた後に焼付処理して絶縁層を形成する方法である(特許文献1、特許文献2参照)。
浸漬法は平角電線の角部に塗料が付着し難く、角部の層厚が平坦部の層厚に比べて薄くなるという欠点がある。一方、電着法では平角電線の角部にも塗料が十分に電着するので角部にも平坦部と同じもしくはそれ以上の絶縁層を形成できる利点がある。
近年、広範な用途に対応するために耐電圧強度や耐熱性に優れた絶縁電線が求められており、絶縁層の耐熱性を高める手段として、絶縁層の樹脂中に金属酸化物微粒子やシリカ微粒子を含有させるエナメル線用塗料が知られている(特許文献3)。
しかし、特許文献3に記載されている塗料は浸漬法用であり、開示されている塗料の液組成や液状態のものでは電着法に用いることができない。浸漬法では所望の層厚に達するため何度も浸漬と乾燥を繰り返す必要があり、例えば、実用に供される程度の層厚35μmの被覆を形成するために7回浸漬を繰り返している。このため生産性が低い。さらに浸漬法は平角線材では角部の層厚が平坦部に比べて薄くなる欠点を解消できない。また樹脂や酸化物微粒子の溶媒・分散媒として有機溶剤を使用しているため環境負荷が大きい。
さらに浸漬法では、絶縁層にシリカ微粒子を含有させる場合、シリカ微粒子を含む塗料に浸漬を繰り返すので各層ごとにシリカ微粒子が含まれることになり、絶縁層全体にシリカ微粒子が分散された状態になる。しかし、高温下で最も熱に曝されるのは絶縁層表面であるため、絶縁層表面付近のシリカ微粒子が少ないと絶縁層表面が損傷を受けやすくなる。
特開昭62−037396号公報 特開平03−241609号公報 特開2001−307557号公報
本発明は、従来の浸漬法による絶縁電線およびその製造方法における上記問題を解決したものであり、絶縁層表面付近の耐熱性が格段に優れた耐熱性絶縁電線と該絶縁層を形成する電着液を提供する。
本発明は以下の構成を有する耐熱性絶縁電線とその電着液に関する。
〔1〕耐熱性絶縁層を有する絶縁電線であって、該絶縁層中に耐熱性粒子を含有し、該耐熱性粒子が上記絶縁層の表面から0.5μmの層厚部分に密集していることを特徴とする耐熱性絶縁電線。
〔2〕上記絶縁層の表面から0.5μmの層厚部分に含まれる耐熱性粒子の量が、該絶縁層の中央部分に含まれる耐熱性粒子の量の2倍以上である上記[1]に記載する耐熱性絶縁電線。
〔3〕上記[1]または上記[2]に記載する上記絶縁層の形成に用いる電着液であって、樹脂粒子が分散した懸濁液に耐熱性粒子を分散させてなり、粘度100cP以下であって濁度1mg/L以上であることを特徴とする絶縁層形成用電着液。
〔4〕上記樹脂粒子の含有量が1〜30質量%であって、該樹脂粒子100質量部に対して上記耐熱性粒子が1〜100質量部含有されている上記[3]に記載する絶縁層形成用電着液。
〔5〕上記樹脂粒子の平均粒子径が1μm以下であり、上記耐熱性粒子の平均粒子径が500nm以下である上記[3]または上記[4]に記載する絶縁層形成用電着液。
〔6〕上記絶縁層の耐軟化温度上昇率が1.2以上の絶縁層を形成する上記[3]〜上記[5]の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。
〔7〕上記樹脂粒子がアクリル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂である上記[3]〜上記[6]の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。
〔8〕上記耐熱性粒子が金属酸化物微粒子またはシリカ微粒子の少なくとも一種である上記[3]〜上記[7]の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。

〔具体的な説明〕
本発明の耐熱性絶縁電線は、耐熱性絶縁層を有する絶縁電線であって、該絶縁層中に耐熱性粒子を含有し、該耐熱粒子が上記絶縁層の表面層厚部分に密集していることを特徴とする絶縁電線である。
本発明の耐熱性絶縁電線において、上記絶縁層の表面層厚部分とは、該絶縁電線の導電性線材の表面と該絶縁層表面を結んだ垂線上で該絶縁層表面からの距離が0.5μmまでの層厚部分である。なお、一般に絶縁層全体の層厚は概ね2〜50μmであり、通常は3〜30μmである。
本発明の耐熱性絶縁電線は、好ましくは、上記絶縁層の表面から0.5μmの層厚部分に含まれる耐熱性粒子の量が、該絶縁層の中央部分に含まれる耐熱性粒子の量の2倍以上である。該絶縁層の中央部分とは、導電性線材の表面と該絶縁層表面を結んだ垂線上で、該絶縁層全体の層厚Lに対して該絶縁層表面から1/3・Lの位置から2/3・Lの位置までの範囲である。
本発明の耐熱性絶縁電線の一例を図1に示す。図1は本発明に係る耐熱性絶縁電線の部分断面図である。導電性線材10、図示する例では銅線10を覆う耐熱樹脂製の絶縁層20に耐熱性粒子が含まれている。図中、絶縁層20の内部の白い斑点が耐熱性粒子30である。図示する例の耐熱性粒子30はシリカ微粒子である。図示するように、絶縁層20の表面から0.5μmの層厚部分に白い斑点が密集しており、この部分に耐熱性粒子30が偏在していることが分かる。
図1に示す断面部分に含まれる元素ついて、エネルギー分散型X線分光分析(以下、EDS分析と云う)による元素分析の結果を図2および図3に示す。 図2は銅線10の表面と該絶縁層20の表面を結んだ垂線上において該絶縁層表面からの距離が0.25μmの位置のEDS分析結果のチャートである。 図3は銅線10の表面と該絶縁層20の表面を結んだ垂線上において該絶縁層表面からの距離が該絶縁層全体の層厚の1/2の位置のEDS分析結果のチャートである。
炭素の強度ピーク(図中C)に対するケイ素の強度ピーク(図中Si)の比(Si/C)は、分析5回の平均値で、図2ではSi/C=20/80であるが、図3ではSi/C=5/95であり、図2に示す該絶縁層の表面層厚部分に含まれるシリカ微粒子量が、図3に示す該絶縁層中央部分に含まれるシリカ微粒子量の約4倍である。
本発明の耐熱性絶縁電線は、絶縁層に含まれる耐熱性粒子が該絶縁層の表面層厚部分に密集しており、例えば図示する例では、該絶縁層の表面層厚部分に含まれるシリカ微粒子量は該絶縁層中央部分に含まれるシリカ微粒子量の約4倍であるので、高温下で最も熱に曝される表面層厚部分の耐熱性が高い。このため絶縁層全体に含まれる耐熱性粒子の量が少なくても優れた耐熱性を得ることができる。
本発明の耐熱性絶縁電線において、上記絶縁層はアクリル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはポリイミド樹脂などによって形成されており、該絶縁層に含まれる上記耐熱性粒子は金属酸化物微粒子またはシリカ微粒子などである。該金属酸化物は例えばアルミナ、ジルコニアなどである。
本発明に係る耐熱性絶縁電線の上記絶縁層は、本発明の電着液によって形成することができる。本発明の電着液は樹脂粒子および耐熱性粒子が分散した懸濁液である。本発明の電着液は樹脂粒子が分散した懸濁液に耐熱性粒子を分散させた懸濁液を混合して得ることができる。樹脂粒子懸濁液の分散媒は電着法に用いる液であればよく、水、水-N,Nジメチルホルムアミド、水-Nメチルピロリドン、水-ジメチルスルホキシドなどの水-非プロトン性極性溶媒の混合液などが用いられる。耐熱性粒子懸濁液の分散煤は樹脂粒子懸濁液と相溶性のよい分散媒が用いられる。
本発明の電着液は、樹脂粒子および耐熱性粒子が分散している濁度1mg/L以上、好ましくは濁度10〜600mg/Lの懸濁液である。電着液の濁度が濁度1mg/L未満では液中の樹脂粒子および耐熱性粒子の分散状態が不十分であり、また樹脂粒子や耐熱性粒子の量が不十分であるので十分な厚さの絶縁層を形成することが難しい。本発明の電着液は濁度1mg/L以上であるので液中の樹脂粒子および耐熱性粒子の分散状態が良好であり、十分な量の樹脂粒子および耐熱性粒子を含むので良好な耐熱性を有する絶縁層を形成することができる。
電着法では、電着液に浸漬した導電性線材に通電し、液中の樹脂粒子および耐熱性粒子を該線材表面に電気的に移動させて電着させることによって絶縁層を形成するが、液が固化しないように、電着液は低粘度であることが求められる。電着液の粘度が高すぎると液が固化してしまい成膜に使用することができない。本発明の電着液の粘度は100cP以下であり、粘度0.5〜90cPが好ましい。本発明の電着液は粘度が100cP以下であるので、液が固化することなく良好な絶縁層を形成することができる。
一方、浸漬法では絶縁層を形成する塗料が用いられる。この塗料は絶縁電線の導電性線材の表面に塗布されたときに、塗料が流れ落ちないように粘度の高い液が用いられる。一般に浸漬法で用いる被覆形成用塗料の粘度は1000cP以上である。また、浸漬法の被覆形成用塗料の樹脂成分は塗料中に溶解しており、液中に樹脂粒子が分散した懸濁液ではないので、該塗料の濁度は一般に0.01mg/L未満の光透過性の液である。
浸漬法では、具体的には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ホルマール樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂を用いた塗料が用いられており、これらの塗料の粘度は1000cP以上、濁度0.01mg/L未満であり、本発明の絶縁層形成用の電着液とは、液の粘度および濁度が全く異なる。本発明の電着液は浸漬法で用いる絶縁層用塗料に比べて粘度が格段に低い。
本発明の電着液に含まれる樹脂粒子の種類はアクリル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはポリイミド樹脂などである。また、上記樹脂粒子の平均粒子径は1μm以下が好ましく、10〜100nmがより好ましい。平均粒子径が1μm以下の樹脂粒子を用いれば樹脂粒子の分散安定性が向上する。本発明の電着液に含まれる樹脂粒子の含有量は1〜30質量%が好ましい。本発明の電着液は上記含有量の樹脂粒子を含むので十分な厚さの絶縁層を形成することができる。
本発明の電着液には上記樹脂粒子と共に耐熱性粒子が分散している。該耐熱性粒子は金属酸化物微粒子またはシリカ微粒子である。金属酸化物は例えばアルミナ、ジルコニアなどである。該耐熱性粒子を上記樹脂粒子の懸濁液に均一に分散させるには、該懸濁液と相溶性のよい分散媒に予め耐熱性粒子を分散させ、この分散液を樹脂粒子の懸濁液に混合すればよい。
耐熱性粒子は500nm以下のコロイド粒子が好ましく、0.5〜400nmの粒子がより好ましい。上記粒子径のコロイド粒子は液中で沈降せずに分散するので、耐熱性粒子が均一に含まれる耐熱性被覆を形成することができる。
耐熱性粒子の含有量は上記樹脂粒子100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。この含有量が1質量部未満では絶縁層の耐熱性が不十分になり、100質量部を超えると絶縁層の可撓性が低下する。本発明の電着液は上記含有量の耐熱性粒子を含むので十分な耐熱性および可撓性を有する絶縁層を形成することができる。
本発明の電着液を用い、該電着液に浸漬した導電性線材に通電して絶縁層を形成するときの通電条件は一般の電着液を用いた場合と変わらない。例えば、直流電圧5〜100V、電着時間0.1〜30秒、電着液温度5〜40℃で電着を行うことができる。
電着後に焼き入れを行う。焼き入れ条件も一般の電着液を用いた場合と変わらない。例えば、焼付け炉に入れ、200〜600℃で、2〜120秒間加熱し、焼付け処理すればよい。
本発明の電着液を用いることによって、表面層厚部分に耐熱性粒子が密集した絶縁層を形成することができる。
本発明の耐熱性絶縁電線は、絶縁層の表面部分に耐熱性粒子が密集しているので、高温下で最も熱に曝される絶縁層の表面部分の耐熱性が高い。このため絶縁層全体に含まれる耐熱性粒子の量が少なくても優れた耐熱性を得ることができる。
本発明の電着液は、表面部分に耐熱性粒子が密集した絶縁層を形成することができる。従って、耐軟化温度の高い絶縁被覆電線を得ることができる。具体的には、例えば、絶縁層の耐軟化温度/絶縁層樹脂の耐軟化温度の式によって表される耐軟化温度上昇率が1.2以上、好ましくは1.3〜1.5の耐熱性の絶縁被覆を形成することができる。
また、本発明の電着液は電着法に用いられるので、所望の層厚を一回の電着処理によって得ることができる。平角電線の角部にも均一に絶縁被覆を形成することができる。さらに、電着液の分散媒として水を用いることができるので、環境に対する負荷が小さい。
実施例1において形成した絶縁電線の部分断面写真。 図1の銅線10の表面と該絶縁層20の表面を結んだ垂線上において該絶縁層表面からの距離が0.25μmの位置のEDS分析チャート。 図1の銅線10の表面と該絶縁層20の表面を結んだ垂線上において該絶縁層表面からの距離が該絶縁層全体の層厚の1/2の位置のEDS分析チャート。
本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。
〔実施例1〜実施例13〕
平均粒子径50nmのアクリル樹脂粒子を水に分散した樹脂粒子濃度20質量%の水懸濁液に、平均粒子径10nmまたは平均粒子径360nmのシリカ粒子を水に分散したシリカ粒子濃度30質量%および水70質量%のシリカゾルを混合して水分散型電着液を調製した。該電着液中の樹脂粒子100質量部に対するシリカ粒子の質量部を表1に示す。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表1に示す。
なお、樹脂粒子濃度は表1の値になるように該電着液の水量を調整した。アクリル樹脂粒子およびシリカ粒子の平均粒子径はHORIBA社の動的光散乱式粒径分布測定装置(LB550)によって測定した。また、電着液の濁度は東京光電社の積分球式濁度計(ANA−148)で測定した。電着液の粘度はJIS(Z8803:2011−6)に従って細管粘度計により測定した。
この電着液を25℃の電着槽に入れ、電着槽にφ0.1mmの銅線を線速15m/minで通過させ、銅線を陽極とし、電着槽を陰極として通電し、銅線表面にアクリル樹脂とシリカ粒子を電着塗装した。電着後にDMFによるミスト処理を行い、これを焼付炉に通過させて加熱温度300℃、加熱時間10秒で焼付処理を行い、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比を表1に示した。
なお、可撓性はJIS(C3005:2000−4.20.1)に従って自己径巻付後、光学顕微鏡で絶縁層の剥離の有無を調べ、剥離なしを○印、剥離ありを×印で示した。耐軟化温度はJIS(C3216−6:2011−4)に従って測定した。耐軟化温度上昇率は耐軟化温度/絶縁層樹脂の耐軟化温度の式によって求めた。絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比は段落〔0013〕に記載したSi/C比率の測定方法と同様にして測定した。
〔実施例14〜実施例23〕
平均粒子径100nmのジルコニア粒子を水に分散したジルコニア粒子濃度30質量%および水70質量%のジルコニアゾル、または平均粒子径50nmのアルミナ粒子を水に分散したアルミナ粒子濃度30質量%および水70質量%のアルミナゾルを用いた以外は実施例1〜実施例13と同様にして水分散型電着液を調製した。該電着液中の樹脂粒子100質量部に対するジルコニア粒子またはアルミナ粒子の質量部を表2に示す。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表2に示す。なお、樹脂粒子濃度は表2の値になるように該電着液の水量を調整した。アクリル樹脂粒子およびシリカ粒子の平均粒子径、電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比を表2に示した。可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比は段落〔0013〕に記載したSi/C比率の測定方法において、実施例14〜実施例18はSiをZrに置き換え、実施例19〜実施例23はSiをAlに置き換えて同様に測定した。
〔実施例24〜実施例30〕
平均粒子径200nmのポリエステルイミド樹脂粒子を水に分散した樹脂粒子濃度20質量%の水懸濁液に、平均粒子径10nmのシリカ粒子を水に分散したシリカ粒子濃度30質量%および水70質量%のシリカゾルを混合して水分散型電着液を調製した。該電着液中の樹脂粒子100質量部に対するシリカ粒子の質量部を表3に示す。電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表3に示す。なお、樹脂粒子濃度は表3の値になるように該電着液の水量を調整した。ポリエステルイミド樹脂粒子およびシリカ粒子の平均粒子径、該電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比を表3に示した。可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
〔実施例31〜実施例35〕
平均粒子径400nmのポリイミド樹脂粒子を水に分散した樹脂粒子濃度20質量%の水懸濁液に、平均粒子径10nmのシリカ粒子を水に分散したシリカ粒子濃度30質量%および水70質量%のシリカゾルを混合して水分散型電着液を調製した。該電着液中の樹脂粒子100質量部に対するシリカ粒子の質量部を表3に示す。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表3に示す。なお、樹脂粒子濃度は表3の値になるように該電着液の水量を調整した。ポリイミド樹脂粒子およびシリカ粒子の平均粒子径、電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比を表3に示した。
なお、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
〔実施例36〜実施例40〕
平均粒子径300nmのポリアミドイミド樹脂粒子を水に分散した樹脂粒子濃度20質量%の水懸濁液に、平均粒子径10nmのシリカ粒子を水に分散したシリカ粒子濃度30質量%および水70質量%のシリカゾルを混合して水分散型電着液を調製した。該電着液中の樹脂粒子100質量部に対するシリカ粒子の質量部を表4に示す。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表4に示す。なお、樹脂粒子濃度は表4の値になるように該電着液の水量を調整した。ポリイミド樹脂粒子およびシリカ粒子の平均粒子径、電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比を表4に示した。
なお、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率、および絶縁層中央部分の耐熱性粒子量に対する絶縁層表面層厚部分の耐熱性粒子量の比は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
実施例1〜実施例40の電着液は、何れも電着液の濁度は30mg/L以上、粘度は100cP以下であり、形成された絶縁層の耐軟化温度は400℃以上であり、耐軟化温度上昇率は1.2以上であって、高い耐熱性を有している。また何れの樹脂種においても、耐熱性粒子の含有量に応じて耐軟化温度および耐軟化温度上昇率が高くなる。なお、実施例8はシリカ粒子の含有量が多いので可撓性試験において絶縁層の剥離が生じた。この結果から耐熱性粒子の量は樹脂粒子100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
〔比較例1〜比較例4〕
平均粒子径50nmのアクリル樹脂粒子、または平均粒子径200nmのポリエステルイミド樹脂粒子、または平均粒子径400nmのポリイミド樹脂粒子、または平均粒子径300nmのポリアミドイミド樹脂粒子をおのおの水に分散した樹脂粒子濃度20質量%の水懸濁液を電着液として用いた。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表5に示す。なお、樹脂粒子濃度は表5の値になるように該電着液の水量を調整した。上記樹脂粒子の平均粒子径、電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして、厚さ10μmの絶縁層を形成した。この絶縁電線について、可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率を表5に示した。可撓性、耐軟化温度、耐軟化温度上昇率は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。
比較例1〜比較例4は電着法によって絶縁層が形成されたが、耐熱性粒子を含まないので、耐軟化温度が上昇せず、耐軟化温度上昇率は何れも1である。
〔比較例5〕
ポリエステルイミド樹脂が溶解した塗料を用い、この塗料を撹拌しながら、平均粒子径10nmのシリカ粒子をキシレンとブタノールの混合液に分散させたシリカゾルを上記塗料に混合し、塗料の樹脂分100質量部に対してシリカ粒子が20質量部になるように分散させた。
該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂濃度を表5に示す。なお、樹脂粒子濃度は表5の値になるように該電着液のキシレンとブタノール量を調整した。電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして絶縁層の形成を試みたが、電着液の濁度0.01mg/L未満および粘度1000cPを超えるので、電着によって絶縁層は形成されなかった。
〔比較例6〕
平均粒子径200nmのポリエステルイミド樹脂粒子を水に分散した樹脂粒子濃度40質量%の水懸濁液に、平均粒子径10nmのシリカ粒子を水に分散したシリカ粒子濃度30質量%および水70質量%のシリカゾルを上記ポリエステルイミド樹脂100質量部に対してシリカ粒子1質量部になるように混合してなる電着液を用いた。該電着液の濁度、粘度、液の状態、樹脂粒子濃度、樹脂粒子の平均粒子径を表5に示す。なお、樹脂粒子濃度は表5の値になるように該電着液の水量を調整した。上記樹脂粒子の平均粒子径、電着液の濁度および粘度は実施例1〜実施例13と同様にして測定した。この電着液を用い、実施例1〜実施例13と同様にして絶縁層の形成を試みたが、樹脂粒子濃度が高く電着液の粘度が高すぎるので液が固化し、電着できなかった。
〔比較例7〕
トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート変性ポリエステルイミドが溶解した塗料を用い、この塗料を撹拌しながら、平均粒子径10nmのシリカ粒子をキシレンとブタノールの混合液に分散させたシリカゾルを上記塗料に混合し、塗料の樹脂分100質量部に対してシリカ粒子が20質量部になるように分散させた。この塗料を用い、実施例1〜実施例13と同様にして電着法によって絶縁層の形成を試みたが、樹脂成分が溶解した液であるため電着法では絶縁層を形成することができなかった。
10銅線
20絶縁層
30耐熱性粒子

Claims (8)

  1. 耐熱性絶縁層を有する絶縁電線であって、該絶縁層中に耐熱性粒子を含有し、該耐熱性粒子が上記絶縁層の表面から0.5μmの層厚部分に密集していることを特徴とする耐熱性絶縁電線。
  2. 上記絶縁層の表面から0.5μmの層厚部分に含まれる耐熱性粒子の量が、該絶縁層の中央部分に含まれる耐熱性粒子の量の2倍以上である請求項1に記載する耐熱性絶縁電線。
  3. 請求項1または請求項2に記載する上記絶縁層の形成に用いる電着液であって、樹脂粒子が分散した懸濁液に耐熱性粒子を分散させてなり、粘度100cP以下であって濁度1mg/L以上であることを特徴とする絶縁層形成用電着液。
  4. 上記樹脂粒子の含有量が1〜30質量%であって、該樹脂粒子100質量部に対して上記耐熱性粒子が1〜100質量部含有されている請求項3に記載する絶縁層形成用電着液。
  5. 上記樹脂粒子の平均粒子径が1μm以下であり、上記耐熱性粒子の平均粒子径が500nm以下である請求項3または請求項4に記載する絶縁層形成用電着液。
  6. 上記絶縁層の耐軟化温度上昇率が1.2以上の絶縁層を形成する請求項3〜請求項5の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。
  7. 上記樹脂粒子がアクリル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂である請求項3〜請求項6の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。
  8. 上記耐熱性粒子が金属酸化物微粒子またはシリカ微粒子の少なくとも一種である請求項3〜請求項7の何れかに記載する絶縁層形成用電着液。
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