JP6000988B2 - 耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金を用いた押出材に関する。
近年、地球環境保護の観点から自動車の分野においても軽量化による走行性能の向上、燃費改善が要求されている。
自動車の燃費向上の一手段として車体の軽量化が要求されている中で、自動車構造材にアルミニウム合金押出形材の適用が検討されている。
自動車用構造材としては、高強度、曲げ加工性、耐食性が要求され、JIS7000系アルミニウム合金(Al−Zn−Mg系)及びJIS6000系アルミニウム合金(Al−Mg−Si系)が注目されているが、7000系アルミニウム合金は自然時効型合金であり、押出成形から曲げ加工までに工程が長いとその間に硬くなり加工がしにくくなる欠点があり、また、7000系アルミニウム合金は応力環境下での耐食性が低下する。
そこで、自然時効がなく耐食性に優れる熱処理型合金として6000系アルミニウム合金が有望視されている。
しかし、従来の高強度の6000系アルミニウム合金からなる押出材は、引張り強さは高いが伸び特性が充分でなく、曲げ加工時に割れが発生しやすい欠点がある。
また、高い強度を得るために押出加工直後に水冷するプレス端焼入れを行う。
水冷によるプレス端焼入れは押出後再加熱する溶体化・焼入れ処理とほぼ同等の物性が得られる利点があるが、押出材の断面形状や肉厚の差等に基づいて断面の各部位で冷却速度に差が生じ、冷却中に押出材の温度分布が不均一となって歪みが発生し寸法精度が悪く且つ断面形状の薄肉化が難しくなり、またそのような歪みの発生を防止しようとすれば断面形状の自由度が小さくなるという問題がある。
さらに空冷に比べ高コストであるという問題がある。
一方、空冷による焼入れは水冷によるプレス端焼入れに比べ低コストであるという利点があるが、冷却速度に限りがあるため合金組成によっては高い強度が得られず、高い強度が得られた場合でも延性が劣る問題があった。
自動車の燃費向上の一手段として車体の軽量化が要求されている中で、自動車構造材にアルミニウム合金押出形材の適用が検討されている。
自動車用構造材としては、高強度、曲げ加工性、耐食性が要求され、JIS7000系アルミニウム合金(Al−Zn−Mg系)及びJIS6000系アルミニウム合金(Al−Mg−Si系)が注目されているが、7000系アルミニウム合金は自然時効型合金であり、押出成形から曲げ加工までに工程が長いとその間に硬くなり加工がしにくくなる欠点があり、また、7000系アルミニウム合金は応力環境下での耐食性が低下する。
そこで、自然時効がなく耐食性に優れる熱処理型合金として6000系アルミニウム合金が有望視されている。
しかし、従来の高強度の6000系アルミニウム合金からなる押出材は、引張り強さは高いが伸び特性が充分でなく、曲げ加工時に割れが発生しやすい欠点がある。
また、高い強度を得るために押出加工直後に水冷するプレス端焼入れを行う。
水冷によるプレス端焼入れは押出後再加熱する溶体化・焼入れ処理とほぼ同等の物性が得られる利点があるが、押出材の断面形状や肉厚の差等に基づいて断面の各部位で冷却速度に差が生じ、冷却中に押出材の温度分布が不均一となって歪みが発生し寸法精度が悪く且つ断面形状の薄肉化が難しくなり、またそのような歪みの発生を防止しようとすれば断面形状の自由度が小さくなるという問題がある。
さらに空冷に比べ高コストであるという問題がある。
一方、空冷による焼入れは水冷によるプレス端焼入れに比べ低コストであるという利点があるが、冷却速度に限りがあるため合金組成によっては高い強度が得られず、高い強度が得られた場合でも延性が劣る問題があった。
特許文献1に、Mg:0.4〜0.8%、Si:0.3〜0.9%、Cu≦0.05%、Mn+Cr+Zr≦0.095%、押出方向長さ3μm以上のMg2Si量≧50個/mm2である、軸圧壊特性、耐食性に優れるアルミニウム合金押出材を開示するが、このような合金組成では耐食性に優れていても耐力値が220MPa程度と低く、製品の軽量化には十分に貢献できないと考えられ、実施しているプレス端焼入れも水冷を用いているものが多いので押出生産性も低いと予想される。
Cu,Mn,Cr,Zr添加も不純物扱いで制限されているので延性向上効果もないと予想できる。
また、特許文献2は、Mg:0.45〜0.75%、Si:0.45〜0.80%、過剰Si量0.1〜0.4%、Mn:0.15〜0.40%、Cr:0〜0.1%、Mn,Cr系化合物を微細分散した焼入れ性、軸圧壊持性に優れるアルミニウム合金押出材を開示するが、プレス端焼入れ手段として空冷を用いている点では生産性が良いもの、耐力値が220MPa程度と低い。
焼入れ感受性を鋭くさせるCrの添加も必要であり、空冷による冷却手段では耐力値の向上が難しい。
Cu,Mn,Cr,Zr添加も不純物扱いで制限されているので延性向上効果もないと予想できる。
また、特許文献2は、Mg:0.45〜0.75%、Si:0.45〜0.80%、過剰Si量0.1〜0.4%、Mn:0.15〜0.40%、Cr:0〜0.1%、Mn,Cr系化合物を微細分散した焼入れ性、軸圧壊持性に優れるアルミニウム合金押出材を開示するが、プレス端焼入れ手段として空冷を用いている点では生産性が良いもの、耐力値が220MPa程度と低い。
焼入れ感受性を鋭くさせるCrの添加も必要であり、空冷による冷却手段では耐力値の向上が難しい。
本発明は、耐食性、延性に優れるとともに、押出加工時に良好な焼入れ性を有することから生産性が高いAl−Mg−Si系の高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明に係る耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材は、質量%にて、Mg:0.65〜0.90%,Si:0.60〜0.90%,化学量論組成Mg2Siとして1.0〜1.3%且つ、当該化学量論組成Mg2Siに対する過剰Si量が合金組成中0.10〜0.30%であり、Cu:0.20〜0.40%,Fe:0.20〜0.40%,Mn:0.10〜0.20%且つ、Fe+Mn≧0.35%であり、Ti:0.005〜0.1%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であることを特徴とする。
また、このような押出材は上記成分組成のアルミニウム合金を用いて、押出加工及び当該押出加工の直後に冷却平均速度が100℃/min以下の条件で冷却し、その後に人工時効処理することで得られる。
冷却速度100℃/min以下であれば水冷する必要はなく、押出加工直後にファン空冷でき、空冷によるプレス端焼入れが可能である。
例えば、押出プレスにて押出された押出材をファンで冷却すれば50〜100℃/minの冷却速度が得られる。
また、このような押出材は上記成分組成のアルミニウム合金を用いて、押出加工及び当該押出加工の直後に冷却平均速度が100℃/min以下の条件で冷却し、その後に人工時効処理することで得られる。
冷却速度100℃/min以下であれば水冷する必要はなく、押出加工直後にファン空冷でき、空冷によるプレス端焼入れが可能である。
例えば、押出プレスにて押出された押出材をファンで冷却すれば50〜100℃/minの冷却速度が得られる。
このようにして生産された押出材は、アスペクト比で4.0以上有する結晶粒の平均粒径が80μm以下になっていて、σ=0.2%の耐力が280MPa以上有する。
ここで、アスペクト比とは、押出方向に伸長した再結晶組織の結晶粒の押出方向の長さL1とそれに直交する方向の長さL2とすると、L1/L2の値をいう。
平均粒径とは、結晶粒の外接円の平均的な直径をいう。
また、本発明に係る押出形材は、シャルピー衝撃試験による耐衝撃値が20J/cm2以上を有する。
ここで、アスペクト比とは、押出方向に伸長した再結晶組織の結晶粒の押出方向の長さL1とそれに直交する方向の長さL2とすると、L1/L2の値をいう。
平均粒径とは、結晶粒の外接円の平均的な直径をいう。
また、本発明に係る押出形材は、シャルピー衝撃試験による耐衝撃値が20J/cm2以上を有する。
次に成分範囲を選定した理由を説明する。
<Mg,Si>
Mg及びSiはMg2Siの析出により、押出材の強度に寄与する。
いずれも添加量が多くなり過ぎると押出性が低下するため、Mgの上限は0.90%,Siの上限は0.90%に設定した。
押出性を考慮しつつ、0.2%耐力値で280MPa以上を得るのにMg2Siの量として1.0〜1.3%に設定した。
ここで、化学量論Mg2Siに対する過剰シリコンの量は、押出性を比較的阻害することなく0.2%耐力値を向上させることができる。
但し、過剰シリコンの量が多過ぎると延性が低下することから、過剰Siの量は0.10〜0.30%とした。
延性を確保しやすい点からは、過剰Siの量を0.10〜0.20%の範囲に制御するのが好ましい。
<Cu>
Cu成分は固溶硬化に寄与し、所定の量であれば伸びも確保できる。
しかし、添加量が多くなると耐食性が低下し押出性も悪化するので、Cu成分は0.2〜0.4%の範囲とした。
<Fe>
本発明は、Fe成分を0.20〜0.40%の範囲に制御した点に特徴がある。
Fe成分は、押出加工後の金属組織において結晶粒を微細化し、延性が向上する。
また、Mn,Cr,Zr等の従来から公知の微細化添加成分は、押出加工直後のファン空冷にても焼入れ感受性が強くなるが、このFe成分は焼入れ感受性を強くすることなく、冷却速度100℃/min以下で充分に焼入れが可能である。
<Mn>
Mnは、上記に説明したとおり押出加工直後のファン空冷における焼入れ感受性に影響を与えることが一般に知られているものの、本発明者が精意検討した結果、0.20%以下であればファン空冷によるプレス端焼入れにおいて焼入れ感受性に大きな影響を与えることなく、Mn成分0.10〜0.20%の範囲であれば球状の再結晶組織に比較して割れ伝播性が抑制された押出方向に伸長した再結晶組織になり、その平均結晶粒径も小さい金属組織になることが明らかになった。
そこで、FeとMnとの合計,Fe+Mn≧0.35%に設定した。
<Ti>
Tiは、押出に用いるビレットの鋳造時における結晶粒の微細化に効果があり、0.005〜0.10%添加されているのが好ましい。
Tiが0.10%を越えると粗大な金属間化合物が発生しやすくなり、押出加工時に消滅しにくくなり、押出材の強度が低下する。
<その他の成分>
Cr,Zr,Zn等の上記以外の成分は、単独で0.05%以下,合計で0.15%以下であれば不可避的不純物として許容される。
<Mg,Si>
Mg及びSiはMg2Siの析出により、押出材の強度に寄与する。
いずれも添加量が多くなり過ぎると押出性が低下するため、Mgの上限は0.90%,Siの上限は0.90%に設定した。
押出性を考慮しつつ、0.2%耐力値で280MPa以上を得るのにMg2Siの量として1.0〜1.3%に設定した。
ここで、化学量論Mg2Siに対する過剰シリコンの量は、押出性を比較的阻害することなく0.2%耐力値を向上させることができる。
但し、過剰シリコンの量が多過ぎると延性が低下することから、過剰Siの量は0.10〜0.30%とした。
延性を確保しやすい点からは、過剰Siの量を0.10〜0.20%の範囲に制御するのが好ましい。
<Cu>
Cu成分は固溶硬化に寄与し、所定の量であれば伸びも確保できる。
しかし、添加量が多くなると耐食性が低下し押出性も悪化するので、Cu成分は0.2〜0.4%の範囲とした。
<Fe>
本発明は、Fe成分を0.20〜0.40%の範囲に制御した点に特徴がある。
Fe成分は、押出加工後の金属組織において結晶粒を微細化し、延性が向上する。
また、Mn,Cr,Zr等の従来から公知の微細化添加成分は、押出加工直後のファン空冷にても焼入れ感受性が強くなるが、このFe成分は焼入れ感受性を強くすることなく、冷却速度100℃/min以下で充分に焼入れが可能である。
<Mn>
Mnは、上記に説明したとおり押出加工直後のファン空冷における焼入れ感受性に影響を与えることが一般に知られているものの、本発明者が精意検討した結果、0.20%以下であればファン空冷によるプレス端焼入れにおいて焼入れ感受性に大きな影響を与えることなく、Mn成分0.10〜0.20%の範囲であれば球状の再結晶組織に比較して割れ伝播性が抑制された押出方向に伸長した再結晶組織になり、その平均結晶粒径も小さい金属組織になることが明らかになった。
そこで、FeとMnとの合計,Fe+Mn≧0.35%に設定した。
<Ti>
Tiは、押出に用いるビレットの鋳造時における結晶粒の微細化に効果があり、0.005〜0.10%添加されているのが好ましい。
Tiが0.10%を越えると粗大な金属間化合物が発生しやすくなり、押出加工時に消滅しにくくなり、押出材の強度が低下する。
<その他の成分>
Cr,Zr,Zn等の上記以外の成分は、単独で0.05%以下,合計で0.15%以下であれば不可避的不純物として許容される。
本発明は、化学量論的Mg2Si成分が1.00〜1.30%であり、過剰Si量を0.10〜0.30%の範囲に設定したことにより、押出性を確保しつつ、耐力値の向上を図ることができ、Fe:0.20〜0.40%,Mn:0.10〜0.20%,Fe+Mn≧0.35%に設定したことにより空冷によるプレス端焼入れにて高強度と延性とを両立させることができる。
また、耐衝撃値も向上する。
また、耐衝撃値も向上する。
次に各種化学組成のビレットを鋳造し、押出評価した結果を説明する。
図1の表に示した合金成分の溶湯を調整し、直径8インチの円柱ビレットを鋳造速度60mm/min以上の速度で鋳造した。
図2の表にその後の製造条件を示す。
鋳造したビレットはHOMO条件565〜595℃の温度にて2〜6hr均質化処理した。
ビレットを480〜520℃に予熱した後に、大きさが、W=50mm,H=40mm,肉厚が、t=3mm,ロ字形状の中空断面形状からなる押出材を押し出した。
この際の押出速度及び冷却速度を図2の表に示す。
本発明は、ファン空冷によるプレス端焼入れを目的に冷却速度50〜100℃/minの範囲に設定したが、比較例5だけは200℃/minであった。
常温まで冷却された押出材はその後に熱処理条件185〜200℃×3〜3.5hrにて人工時効処理した。
図1の表に示した合金成分の溶湯を調整し、直径8インチの円柱ビレットを鋳造速度60mm/min以上の速度で鋳造した。
図2の表にその後の製造条件を示す。
鋳造したビレットはHOMO条件565〜595℃の温度にて2〜6hr均質化処理した。
ビレットを480〜520℃に予熱した後に、大きさが、W=50mm,H=40mm,肉厚が、t=3mm,ロ字形状の中空断面形状からなる押出材を押し出した。
この際の押出速度及び冷却速度を図2の表に示す。
本発明は、ファン空冷によるプレス端焼入れを目的に冷却速度50〜100℃/minの範囲に設定したが、比較例5だけは200℃/minであった。
常温まで冷却された押出材はその後に熱処理条件185〜200℃×3〜3.5hrにて人工時効処理した。
このようにして製造した押出材の特性を評価した結果を図3の表に示す。
<評価項目及び評価方法>
(1)引張強さ,0.2%耐力及び伸びについては、日本工業規格JIS Z2241に基づいて押出材からJIS−4号引張試験片を切り出し、JIS規格に準拠した引張試験機にて測定した。
(2)ミクロ組織については、試験片を切り出し、表面を鏡面研磨仕上げをした後に3%NaOH水溶液,40℃×3minのエッチング処理した表面を光学顕微観察した。
図4に示した従来合金は、比較例1の金属組織写真であり、開発合金は実施例1の金属組織の例を示す。
アスペクト比は結晶粒の押出方向の長さL1,それと直交する方向の長さL2とすると、L1/L2の平均値(n=5〜10)を求めた。
また、結晶粒径は外接円の直径として平均値(n=5〜10)を求めた。
(3)耐食性については、耐応力腐食性割れ性(耐SCC性)を評価した。
JIS H8711に基づいて1号試験片を作製し、0.2%耐応力の100%の応力を負荷した状態で次のサイクル試験を実施した。
1サイクル:3.5%NaCl水溶液,25℃,10min→25℃,湿度40%,50minの自然乾燥、このサイクルを720サイクル実施し割れが発生しないものを合格とした。
(4)耐衝撃値は、JIS Z2242に基づいて押出形材よりJIS Vノッチ4号引張試験片を作成し、JIS規格に準拠したシャルピー衝撃試験機を用いて耐衝撃値を測定した。
耐衝撃値として20J/cm2以上を目標とした。
<評価項目及び評価方法>
(1)引張強さ,0.2%耐力及び伸びについては、日本工業規格JIS Z2241に基づいて押出材からJIS−4号引張試験片を切り出し、JIS規格に準拠した引張試験機にて測定した。
(2)ミクロ組織については、試験片を切り出し、表面を鏡面研磨仕上げをした後に3%NaOH水溶液,40℃×3minのエッチング処理した表面を光学顕微観察した。
図4に示した従来合金は、比較例1の金属組織写真であり、開発合金は実施例1の金属組織の例を示す。
アスペクト比は結晶粒の押出方向の長さL1,それと直交する方向の長さL2とすると、L1/L2の平均値(n=5〜10)を求めた。
また、結晶粒径は外接円の直径として平均値(n=5〜10)を求めた。
(3)耐食性については、耐応力腐食性割れ性(耐SCC性)を評価した。
JIS H8711に基づいて1号試験片を作製し、0.2%耐応力の100%の応力を負荷した状態で次のサイクル試験を実施した。
1サイクル:3.5%NaCl水溶液,25℃,10min→25℃,湿度40%,50minの自然乾燥、このサイクルを720サイクル実施し割れが発生しないものを合格とした。
(4)耐衝撃値は、JIS Z2242に基づいて押出形材よりJIS Vノッチ4号引張試験片を作成し、JIS規格に準拠したシャルピー衝撃試験機を用いて耐衝撃値を測定した。
耐衝撃値として20J/cm2以上を目標とした。
<評価結果>
本発明に係る実施例1〜10は、比較例1〜15と比較すると、まず第1に実施例1〜10の押出材の金属組織(ミクロ組織)が扁平状の再結晶で且つ、アスペクト比4.0以上の結晶の平均結晶粒径が80μm以下であった。
また、機械的特性においても実施例1〜10はいずれも耐力が280MPa以上の高強度でありながら延性としての伸びを8%以上有している。
また、シャルピー衝撃値が20J/cm2以上であった。
これに対して、比較例1〜5は伸びが高いものの耐力が低い。
これは、比較例1〜3はCu成分が少なく、過剰Siが少ないからである。
また、比較例4はMg2Siの量が少なく、比較例5は過剰SiもMn+Feの値も小さいからである。
比較例6〜8は耐力も伸びも悪い。
これは、Fe,Cu,Mgの成分が少ないからである。
比較例9〜13は、耐力が目標を達成しているものの延びが悪く、耐衝撃値の値も低い。
これは、Fe+Mnの量が少ないからである。
比較例14は、過剰Si,Fe+Mnの値が少ないために、耐力,伸び,耐衝撃値が低い。
比較例15は、SiとMgの添加量が多い方であるが、過剰Siが少ないので耐力が低い。
本発明に係る実施例1〜10は、比較例1〜15と比較すると、まず第1に実施例1〜10の押出材の金属組織(ミクロ組織)が扁平状の再結晶で且つ、アスペクト比4.0以上の結晶の平均結晶粒径が80μm以下であった。
また、機械的特性においても実施例1〜10はいずれも耐力が280MPa以上の高強度でありながら延性としての伸びを8%以上有している。
また、シャルピー衝撃値が20J/cm2以上であった。
これに対して、比較例1〜5は伸びが高いものの耐力が低い。
これは、比較例1〜3はCu成分が少なく、過剰Siが少ないからである。
また、比較例4はMg2Siの量が少なく、比較例5は過剰SiもMn+Feの値も小さいからである。
比較例6〜8は耐力も伸びも悪い。
これは、Fe,Cu,Mgの成分が少ないからである。
比較例9〜13は、耐力が目標を達成しているものの延びが悪く、耐衝撃値の値も低い。
これは、Fe+Mnの量が少ないからである。
比較例14は、過剰Si,Fe+Mnの値が少ないために、耐力,伸び,耐衝撃値が低い。
比較例15は、SiとMgの添加量が多い方であるが、過剰Siが少ないので耐力が低い。
本発明に係るアルミニウム合金押出材は、耐食性,延性及び焼入れ性に優れるので、車両,機械等の構造材に広く適用できる。
Claims (5)
- 質量%にて、Mg:0.65〜0.90%,Si:0.60〜0.90%,化学量論組成Mg2Siとして1.0〜1.3%且つ、当該化学量論組成Mg2Siに対する過剰Si量が合金組成中0.10〜0.30%であり、
Cu:0.20〜0.40%,Fe:0.20〜0.40%,Mn:0.10〜0.20%且つ、Fe+Mn≧0.35%であり、
Ti:0.005〜0.1%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であることを特徴とする耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材。 - 押出材におけるアスペクト比で4.0以上有する結晶粒の平均粒径が80μm以下であることを特徴とする請求項1記載の耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材。
- 耐力値が280MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材。
- シャルピー衝撃試験による耐衝撃値が20J/cm2以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材。
- 質量%にて、Mg:0.65〜0.90%,Si:0.60〜0.90%,化学量論組成Mg2Siとして1.0〜1.3%且つ、当該化学量論組成Mg2Siに対する過剰Si量が合金組成中0.10〜0.30%であり、
Cu:0.20〜0.40%,Fe:0.20〜0.40%,Mn:0.10〜0.20%且つ、Fe+Mn≧0.35%であり、
Ti:0.005〜0.1%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であるアルミニウム合金を用いて、
押出加工及び当該押出加工の直後に冷却平均速度が100℃/min以下の条件で冷却し、その後に人工時効処理することを特徴とする耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
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