以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー及びフッ素含有ビニル系モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを重合して製造されたビニル重合体であり、その重合方法がリビングラジカル重合法である、分子末端に架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、主鎖がポリオキシアルキレンであって、分子内に含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂(B)を10〜250質量部、ハロゲン化ホウ素化合物(C)をハロゲン化ホウ素換算で0.001〜1.0質量部含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物に関するものである。硬化性シリコーン系樹脂(A)を用いることにより、硬化後高温(例えば100〜150℃程度)に数百時間暴露された場合であっても、柔軟性を維持することができ、高耐熱性を発現させることができ、硬化性シリコーン系樹脂(B)及びハロゲン化ホウ素化合物(C)を用いることにより、貯蔵安定性を良好に維持したまま、硬化を速くすることができる。
[硬化性シリコーン系樹脂(A)]
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(A)は、主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー及びフッ素含有ビニル系モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを重合して製造されたビニル重合体であり、その重合方法がリビングラジカル重合法である、分子末端に架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂である。
硬化性シリコーン系樹脂(A)中の架橋性シリル基としては、硬化性の観点では、従来公知の加水分解性基である、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、ハロゲン基等を有する架橋性シリル基が利用できる。これらの中でも、高反応性及び低臭性等の点から、下記一般式(1)で表されるようなアルコキシ基を有する架橋性シリル基が好適に用いられ、特にメチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基が最も好適に用いられる。硬化性シリコーン系樹脂(A)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、さらに1種単独又は2種以上合わせて使用してもよい。
(式中、R
1、R
2は炭素数1〜6の炭化水素基を、aは1、2又は3を、それぞれ示す)
また、硬化性シリコーン系樹脂(A)中に含まれる架橋性シリル基は1種単独又は2種以上混合されていてもよく、架橋性シリル基中の加水分解性基の数は、各々の硬化性樹脂組成物に求められる性能によって適宜比率を調整すればよい。上述のアルコキシ基を有する架橋性シリル基を例に挙げると、速硬化性や高モジュラス性を付与したい場合には、トリアルコキシ(a=3)やジアルコキシ(a=2)の割合を高くすればよく、長い可使時間や低モジュラス性を付与したい場合には、ジアルコキシ(a=2)やモノアルコキシ(a=1)の割合を高くすればよい。
硬化性シリコーン系樹脂(A)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、硬化後の架橋密度が高くなり過ぎることから得られる硬化物が脆くなる場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。
また、硬化性シリコーン系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である分子量分布は、特に制限されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましく1.6以下であり、さらに好ましく1.4以下である。分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であることにより、分子量分布が狭く、主鎖がビニル重合体である硬化性シリコーン系樹脂の粘度が低くなり、取り扱いが容易となる。分子量分布は、各種の方法で測定が可能であるが、通常はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて測定したポリスチレン換算値をいう。
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー及びフッ素含有ビニル系モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジパーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。アクリロニトリル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。芳香族ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。フッ素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。硬化性シリコーン系樹脂(A)の主鎖を構成してもよい、その他のモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等の架橋性シリル基含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。硬化性シリコーン系樹脂(A)の主鎖を構成するモノマーは、単独で用いても良く、複数を共重合させて用いても良い。なお、上述の(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を合わせて記述したものである。
該リビングラジカル重合法としては、ニトロキシドを介するリビングラジカル重合法、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法、原子移動ラジカル重合法(ATRP)、有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合法(TERP)、アンチモン化合物を用いるリビングラジカル重合法(SBRP)、ビスマス化合物を用いるリビングラジカル重合法(BIRP)などが知られている。これらのなかでは、原子移動ラジカル重合法(ATRP)を用いた硬化性シリコーン系樹脂は市販されており、本発明における硬化性シリコーン系樹脂(A)として、入手が容易であり、それらを好適に用いることができる。リビングラジカル重合法、架橋性シリル基の導入方法等については、特開2009−024107号公報、特開2011−208155号公報等に開示されている方法を適用することができる。
硬化性シリコーン系樹脂(A)は市販されており、本発明ではそれら市販品を用いることができる。市販品の具体例としては、カネカ社製商品名カネカXMAP SA−100S、SA−310S、OR−100Sなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[硬化性シリコーン系樹脂(B)]
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(B)は、主鎖が、ポリオキシアルキレンであって、分子内に含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂である。
硬化性樹脂(B)中の架橋性シリル基としては、硬化性の観点では、従来公知の加水分解性基である、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、ハロゲン基等を有する架橋性シリル基が利用できる。これらの中でも、高反応性及び低臭性等の点から、下記一般式(2)で表されるようなアルコキシ基を有する架橋性シリル基が好適に用いられ、硬化性シリコーン系樹脂(B)の架橋性シリル基がジアルコキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基であることが好ましく、特にメチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基が最も好適に用いられる。硬化性シリコーン系樹脂(B)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、さらに1種単独又は2種以上合わせて使用してもよい。
(式中、R
3、R
4は炭素数1〜6の炭化水素基を、bは1、2又は3を、それぞれ示す)
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)中に含まれる架橋性シリル基は1種単独又は2種以上混合されていてもよく、架橋性シリル基中の加水分解性基の数は、各々の硬化性樹脂組成物に求められる性能によって適宜比率を調整すればよい。上述のアルコキシ基を有する架橋性シリル基を例に挙げると、速硬化性や高モジュラス性を付与したい場合には、トリアルコキシ(a=3)やジアルコキシ(a=2)の割合を高くすればよく、長い可使時間や低モジュラス性を付与したい場合には、ジアルコキシ(a=2)やモノアルコキシ(a=1)の割合を高くすればよい。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の主鎖骨格ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレン等の単独重合体、並びにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド及びテトラヒドロフランよりなる群から選ばれた1種又は2種以上のモノエポキシド及び/又は環状エーテルを開環共重合させてなる共重合体が例示される。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基としては、(チオ)ウレタン結合基、(チオ)尿素結合基、置換(チオ)尿素結合基、ウレタン結合基、尿素結合基、置換尿素結合基、アミド結合基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でもウレタン結合基(−NHCOO−)、尿素結合基(−NHCONH−)、置換尿素結合基(−NHCONR−;R=有機基)を有する結合基が最も好ましい。ここで上述の「(チオ)」とは、各結合基中の酸素原子のうち1個以上が硫黄原子となった基を意味する。一例を挙げると、「(チオ)ウレタン基」とは、ウレタン基[−NH−C(=O)O−]及びチオウレタン基[−NH−C(=S)O−、−NH−C(=O)S−又は−NH−C(=S)S−]の総称として表記している。また、上述の「N−置換」とは、各結合基中の窒素原子に結合する水素原子が他の有機基に置換されている基を意味する。一例を挙げると、「N−置換ウレタン基」とは、化学式−NR−C(=O)O−(ここでのRは有機基を意味する)という結合基を意味するものである。このような含窒素特性基が、分子内に(特に架橋性シリル基の近傍に)存在すると、硬化性樹脂自体の硬化能が高まるうえ、硬化物の凝集力が高まり、接着強さが向上するため好ましい。その理由としては、硬化性樹脂の分子内に存在する含窒素特性基同士がドメインを形成し、その結果、架橋性シリル基同士のカップリング反応がさらに促進されること、及び、該ドメイン形成により硬化性樹脂間の相互作用が強くなるためであると考えられる。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基としては、下記式(3)で表されるウレタン結合、下記式(4)から(6)に表されるチオウレタン結合、下記式(7)に表される尿素結合、下記式(8)に表されるチオ尿素結合、下記式(9)に表される置換尿素結合、下記式(10)に表される置換チオ尿素結合、下記式(11)に表されるアミド結合、下記式(12)に表される第2級アミノ基及び下記式(13)に表される第3級アミノ基で表されるものが含まれる。
さらに硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である、ウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合、チオ尿素結合、置換尿素結合、置換チオ尿素結合、アミド結合、第2級アミノ基及び第3級アミノ基は、以下の反応によって生成するものが含まれる。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である、ウレタン結合は、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応によって生成する結合が含まれる。ウレタン結合が生成する反応スキームの一例を下記式(14)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である、チオウレタン結合は、ヒドロキシル基とイソチオシアネート基との反応(反応1)、メルカプト基とイソシアネート基との反応(反応2)、あるいはメルカプト基とイソチオシアネート基との反応(反応3)によって生成する結合が含まれる。一般的には、反応1によって生成するチオウレタン基をチオカルボニルタイプのチオウレタン、反応2によって生成するチオウレタン基をチオエステルタイプのチオウレタンと呼ばれることがあるが、本明細書中では反応1〜3によって生成する基を総じてチオウレタン結合と称する。チオウレタン結合が生成する反応スキームの一例を下記式(15)〜下記式(17)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である尿素結合は、第1級アミノ基とイソシアネート基との反応によって生成する結合が含まれる。尿素結合が生成する反応スキームの一例を下記式(18)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基であるチオ尿素結合は、第1級アミノ基とイソチオシアネート基との反応によって生成する結合が含まれる。チオ尿素結合が生成する反応スキームの一例を下記式(19)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である置換尿素結合は、第2級アミノ基とイソシアネート基との反応によって生成する結合が含まれる。置換尿素結合が生成する反応スキームの一例を下記式(20)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である置換チオ尿素結合は、第2級アミノ基とイソチオシアネート基との反応によって生成する結合が含まれる。置換チオ尿素結合が生成する反応スキームの一例を下記式(21)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である第2級アミノ基は、第1級アミノ基とそのアミノ基に対して等量のα,β−不飽和カルボニル化合物及び/又はアクリロニトリル系化合物との反応によって生成する基が含まれる。第2級アミノ基が生成する反応スキームの一例を下記式(22)に示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の含窒素特性基である第3級アミノ基は、第2級アミノ基とそのアミノ基に対して当量のα,β−不飽和カルボニル化合物及び/又はアクリロニトリル系化合物との反応によって生成する基、あるいは第1級アミノ基とそのアミノ基に対して2倍等量のα,β−不飽和カルボニル化合物及び/又はアクリロニトリル系化合物との反応によって生成する基が含まれる。第3級アミノ基が生成する反応スキームの一例を下記式(23)に示す。
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)中の含窒素特性基(ウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合、チオ尿素結合、置換尿素結合、置換チオ尿素結合、アミド結合、第2級アミノ基及び第3級アミノ基)の導入方法も特に限定されない。複数の原料を化学反応により連結する際に生成する連結基が上記極性要素部分であってもよいし、はじめから上記含窒素特性基を含有した化合物を化学反応により連結してもよい。さらに、上記含窒素特性基は硬化性シリコーン系樹脂(B)中にいくつ含まれていてもよい。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の合成方法は従来公知の方法を用いればよい。例えば、上記ポリオキシアルキレン骨格を有するポリオールをポリイソシアネートと反応させた後、分子内に架橋性シリル基及びイソシアネート基と反応性を有する官能基を有する化合物を反応させる方法、上記ポリオキシアルキレン骨格を有するポリオールに、分子内に架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物を反応させる方法などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、特許第3030020号公報、特開2005−54174号公報、特開2005−139452号公報、特表2004−518801号公報、特表2004−536957号公報、特表2005−501146号公報等でも開示されている。
上記ポリオールは市販されている。上記ポリオールの市販品としては、株式会社ADEKA製P−2000、P−3000、PR−3007、PR−5007等、旭硝子株式会社製エクセノール2020、エクセノール510、PMLS4012、PMLS4015、PMLS3011等、三井化学株式会社製D−1000、D−2000、D−4000、T−5000等、住化バイエルウレタン株式会社製スミフェン3600、スミフェン3700、保土谷化学工業株式会社製PTG−2000、PTG−L2000等(以上、いずれも商品名)が例示される。
上記ポリイソシアネートは、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基(あるいはイソチオシアネート基)を有する化合物及びその変性物が挙げられる。具体例としては、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等が例示される。さらに具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、フェニルジイソチオシアネート、及び、それらの変性三量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、本発明に用いる硬化性シリコーン系樹脂(B)としては、下記一般式(24)で示されるウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂であることが好ましい。
式中、Aは硬化性シリコーン系樹脂のウレタン結合で結合されるポリマーの骨格に当たる殘基、nは1〜20、Xは下記一般式(25)、一般式(26)又は一般式(27)で示される基をそれぞれ示す。
式中、R
3、R
4は炭素数1〜6個のアルキル基、R
5は炭素数1〜10個の側鎖が有っても良いアルキレン基又はアリーレン基、bは1、2又は3、Zは水素原子、OR
6、R
6又はNH
2であり、R
6は水素原子、分子量500以下の有機基又は下記一般式(28)で示される基、
(R
10は炭素数1〜10個の側鎖が有っても良いアルキレン基、R
11は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基、R
12は炭素数1〜6個のアルキル基、xは1〜3を示す。)
R
7は炭素数1〜10個の側鎖が有っても良いアルキレン基又はアリーレン基、R
8は水素原子又は式−COOR
13で示される基(R
13は炭素数1〜20個のアルキル基を示す。)、R
9は水素原子、又はメチル基をそれぞれ示す。
硬化性シリコーン系樹脂(B)は、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、下記一般式(29)、一般式(30)又は一般式(31)で示される化合物(式中、Z、b、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9は前記と同意義である。)を反応させて製造される、ウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂であることが好ましい(以下、必要があれば、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(I)という)。
さらに硬化性シリコーン系樹脂(B)は、一般式(32)又は一般式(33)
で示されるポリオール化合物(式中、Bはポリオール化合物の骨格に当たる残基、Yは酸素原子又は硫黄原子、R
14は分子量500以下の有機基、jは1〜10、lは1〜10をそれぞれ示す。)と、下記一般式(34)、一般式(35)又は一般式(36)で示される化合物(式中、Dはジイソシアネート化合物の骨格に当たる残基であり、Z、b、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9は前記と同意義である。)を反応させて製造される、ウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂であることが好ましい(以下、必要があれば、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(II)という)。
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(I)として、上記一般式(27)で示される化合物は、下記一般式(37)で示されるアミノシラン化合物(式中、R
3、R
4及びR
5は前記と同意義である。)と下記一般式(38)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物(式中、Z及びR
9は前記と同意義である。)を反応させて得られた化合物であることが好ましい。
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(I)は、上記一般式(30)又は一般式(31)で示される化合物は、下記一般式(39)で示されるアミノシラン化合物(式中、R
3、R
4、R
5及びR
7は前記と同意義である。)と上記一般式(38)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物又は下記一般式(40)で示されるマレイン酸ジエステル(式中、R
6及びR
13は前記と同意義である。)を反応させて得られた化合物であることが好ましい。
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(II)は、上記一般式(34)、一般式(35)又は一般式(36)で示される化合物は、上記一般式(27)、一般式(28)又は一般式(29)で示される化合物とその骨格に当たる殘基が前記Dであるジイソシアネート化合物を反応させて得られた化合物であることが好ましい。
さらに、硬化性シリコーン系樹脂(B)は、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、その分子内に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン化合物及び下記一般式(41)で示されるアルコキシシラン化合物(式中、R
3及びR
4は前記と同意義である。R
15は水素原子又はメチル基、R
15は炭素数1〜10個の側鎖が有っても良いアルキレン基又はアリーレン基である。)を反応させるか、該アミン化合物、該アルコキシシラン化合物及び上記一般式(38)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物若しくは上記一般式(40)で示されるマレイン酸ジエステルを反応させることによって得られるその分子内に第2級アミノ基を有する化合物(化合物X)を反応させて製造される、ウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂であることが好ましい(以下、必要があれば、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(III)という)。
さらに、硬化性シリコーン系樹脂(B)は、上記一般式(32)又は一般式(33)で示されるポリオール化合物と、上記化合物Xとジイソシアネート化合物を反応させることによって得られる化合物(化合物Y)とを反応させて製造される、ウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂であることが好ましい(以下、必要であれば、硬化性シリコーン系樹脂(B)の製造方法(IV)という。)。
硬化性シリコーン系樹脂(B)として、上記一般式(24)で表されるウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する樹脂又は製造方法(I)〜(IV)によって得られる樹脂は、α、β−不飽和カルボニル化合物の不飽和結合へアミノシラン化合物のアミノ基を求核付加反応させ、第2級アミン基構造を1個有するアルコキシシラン化合物に変換した後、これをイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに付加することによって、活性水素のない置換尿素結合を介して主鎖と架橋性シリル基が連結されるため、流動性がよく、貯蔵安定性が向上できる。さらに製造方法(I)〜(IV)によって得られる硬化性シリコーン系樹脂(B)は、ポリマー分子内にウレタン結合や置換尿素結合、さらにはα,β−不飽和カルボニル化合物に由来する極性基等を有するので、接着に有効な極性も一層向上し、接着性が格段に向上する。さらに、アルコキシシリル基の近隣の側鎖の大きさによって、アルコキシシリル基の反応性が異なり、硬化速度等の調節、物性の調節等に用いることが可能である。硬化性シリコーン系樹脂(B)を、硬化性シリコーン系樹脂(A)及びハロゲン化ホウ素化合物(C)を併用することによって、硬化後に高い耐熱性を発現するとともに、貯蔵安定性を良好に維持したまま、硬化を速くすることができる。本発明の硬化性樹脂組成物において、上記一般式(24)で表されるウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂(B)、上記製造方法(I)〜(IV)によって得られる硬化性シリコーン系樹脂(B)は、ハロゲン化ホウ素化合物(C)と、硬化性シリコーン系樹脂(A)とを併用することによって、硬化後に高い耐熱性を発現するのみならず、貯蔵安定性を良好に維持したまま、硬化を速くすることができる。上記一般式(24)で表されるウレタン結合である含窒素特性基及び架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂(B)及び上記製造方法(I)〜(IV)は、特開2000−169544号公報に開示されている。
硬化性シリコーン系樹脂(B)は、市販されているものを用いることもできる。市販品の具体例としては、ハンゼケミー社製Polymer ST 48、Polymer ST 61、Polymer ST 75、Polymer ST 77、Polymer ST XP2/1228、ワッカーケミー社製商品名Geniosil STP−E10、STP−E15、STP−E30、STP−E35、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製商品名SPUR+1015LM、SPUR+1050MM、SPUR+3100HM、SPUR+3200HM等が例示される。
硬化性シリコーン系樹脂(B)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、硬化後の架橋密度が高くなり過ぎることから得られる硬化物が脆くなる場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。
また、硬化性シリコーン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である分子量分布は、特に制限されないが、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましく1.0〜3.0であり、さらに好ましく1.0〜2.0である。分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜5.0であることにより、粘度と接着性のバランスが良い。分子量分布は、各種の方法で測定が可能であるが、通常はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて測定したポリスチレン換算値をいう。
本発明の硬化性樹脂組成物において、硬化性シリコーン系樹脂(B)の配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、10〜250質量部が好ましく、15〜100質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。10質量部を下回ると、硬化性シリコーン系樹脂(B)を添加する効果が十分発現されず、250質量部を上回ると十分な耐熱性が発現しないことがある。
[硬化性シリコーン系樹脂(E)]
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(E)は、主鎖が非リビングラジカル重合法で合成されたビニル重合体である、分子内に架橋性シリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂である。硬化性シリコーン系樹脂(E)は、分子内の含窒素特性基を有していない。但し、後述するように、硬化性シリコーン系樹脂(E)は、合成後、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)と混合してもよく、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)の中で硬化性シリコーン系樹脂(E)を合成してもよいが、硬化性シリコーン系樹脂(E)が、硬化性シリコーン系樹脂(B)の中で合成される場合には、硬化性シリコーン系樹脂(B)由来の含窒素特性基を含んでいてもよい。本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及びハロゲン化ホウ素化合物(C)に、さらに硬化性シリコーン系樹脂(E)を併用することにより、より効率的に高耐熱性を発現させることができる。
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(E)は、リビングラジカル重合法を用いないため重合後の精製が簡便であり、本発明にかかる硬化性樹脂組成物に配合しやすい。硬化性シリコーン系樹脂(E)を配合することによって、設計の自由度が高くなり、より効率的に耐熱性及び接着性の機能性を付与し、作業性の改善を行うことができる。また、重金属除去などの精製工程が必要ないため、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)中で硬化性シリコーン系樹脂(E)を合成することもできる。具体的には、特開2005−54174号公報等で開示されている従来公知のアゾ系開始剤や過酸化物系開始剤を利用したフリーラジカル重合法を用いることができる。
硬化性シリコーン系樹脂(E)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例えば、下記一般式(42)で表される、分子内に少なくとも1個の重合性アルケニル基を有する重合性アルケニル化合物が好ましく、下記式(42)で表される化合物が含まれる。
式中、R
17は水素原子又は分子量1,000以下の有機基を、R
18は水素原子又は−COOR
21(R
21は水素原子又は分子量1,000以下の有機基を示す。)又は分子量1,000以下の有機基を、R
19は水素原子又は分子量1,000以下の有機基を示し、R
20は分子量1,000以下の有機基を示す。
さらに、上記式(42)におけるR
20が下記式(43)で表される場合、一般的に重合反応に用いられるアクリル酸系化合物となり、好適に用いることができる。
式中、R
22は分子量1,000以下の有機基を示す。
上記硬化性シリコーン系樹脂(E)の主鎖を構成する重合性アルケニル基を有するビニル系モノマーとして、例えば、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)の主鎖を構成するビニル系モノマーと同様の化合物を使用してもよく、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、(以下アクリル酸化合物とメタクリル酸化合物を合わせて(メタ)アクリル酸と記述する)、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルジメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、メチルシンナメート、エチルシンナメート、シンナミックアシッド、シンナミックアルデヒド、シンナミルアルコール、ケイ皮酸アミド等のシンナミル系化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルロールアクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリルフェノール、オイゲノール、ヒドロキシスチレン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、プロパルギルアルコール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、ウンデシレン酸、2−ブテン酸、フルフリルアルコール、9−デセノ−ル−1、5−ヘキセン−1−オール、2−ヒドロキシエチルビニルエ−テル、4−ヒドロキシブチルビニルエ−テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メシチルオキサイド、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、これら以外のオレフィン、不飽和エステル類、ハロゲン化オレフィンの他、共栄社化学社製商品名:ライトエステルM、ライトエステルE、ライトエステルNB、ライトエステルIB、ライトエステルEH、ライトエステルID、ライトエステルL、ライトエステルL−5、ライトエステルL−7、ライトエステルTD、ライトエステルL−8、ライトエステルS、ライトエステルMC、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトエステルCH、ライトエステルTHF、ライトエステルBZ、ライトエステルPO、ライトエステルIB−X、ライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA、ライトエステルHOP−A、ライトエステルHOB、ライトエステルDM、ライトエステルDE、ライトエステルA、ライトエステルHO−MS、ライトエステルHO−HH、ライトエステルHO−MPP、ライトエステルG、ライトエステルTB、ライトエステルIS、ライトエステルMTG、ライトエステルBO、ライトエステルCL、ライトエステルM−3F、ライトエステルM−4F、ライトエステルM−6F、ライトエステルFM−108、ライトアクリレートIAA、ライトアクリレートL−A、ライトアクリレートS−A、ライトアクリレートBO−A、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートPO−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EA、ライトアクリレートTHF−A、ライトアクリレートIB−XA、ライトアクリレートHO−A、ライトアクリレートHOP−A、エポキシエステルM−600A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレートIO−A、ライトアクリレートIM−A、ライトアクリレートIS−A、ライトアクリレートEHDG−A、ライトアクリレートHOB−A、HOA−HH、ライトアクリレートFA−108、ライトアクリレートP2H−A、協和発酵工業社製商品名:ダイアセトンアクリルアマイド等、昭和電工社製商品名:カレンズMOI−BM等、三菱化学社製商品名:4−ヒドロキシブチルアクリレート、シェル化学社製商品名:ベオバ9、ベオバ10等、新中村化学社製商品名:NKエステルM−20G、NKエステルM−40G、NKエステルM−90G、NKエステルM−230G、NKエステルCB−1、NKエステルSA、トポレンM、NKエステルS、NKエステルAMP−10G、NKエステルAMP−20G、NKエステルAMP−20GY、NKエステルAMP−60G、NKエステルAM−30G、NKエステルAM−90G、NKエステルA−SA、NKエステルLA、NKエステルCMP−1E、NKエステルNPA−10G、NKエステルNPA−5E、NKエステルNPA−5P、NKエステルLMA、NKエステルACB−21、NKエステルCB−23、NKエステルCB−26、NKエステルCBX−1、NKエステルA−IB、NKエステルIB、NKエステルA−MO、NKエステル702A、NKエステルA−OC−18E、NKエステルS−1800A、NKエステルS−1800M、NKエステルA−L4、NKエステル#401P、NKエステルA−NP−1E、NKオリゴEA−5120、NKオリゴEA−5122、NKオリゴEA−5123等、第一工業製薬社製商品名:ニューフロンティアPHE、ニューフロンティアPHE−2、ニューフロンティアNP−2、ニューフロンティアNP−4、ニューフロンティアME−3、ニューフロンティアEH−2、ニューフロンティアIBA、ニューフロンティアDPGA、ニューフロンティアMPEM−400、ニューフロンティアNPEM−1000、ニューフロンティアBR−30、ニューフロンティアBR30M、ニューフロンティアBR−31等、ダイセル化学工業社製商品名:セロキサイド2000、MVE、プラクセルFM1、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D、プラクセルFM3、プラクセルFM3X、プラクセルFM4、プラクセルFM4X、プラクセルFM4DX、プラクセルFM5、プラクセルFM5L、プラクセルFM6X、プラクセルFA1DT、プラクセルFA2D、プラクセルFA3、プラクセルFA4DT、プラクセルFA5、プラクセルFA10L、プラクセルFD101、プラクセルFD102、プラクセルFD201、プラクセルFD202、プラクセルFM1A、プラクセルFM4A、プラクセルFM10A、CYCLOMERM100、CYCLOMERA200、HEMAC、M−GMA、ダイソー社製商品名:ネオアリルG、東亞合成社製商品名:アロニックスM−101、アロニックスM−102、アロニックスM−110、アロニックスM−111、アロニックスM−113、アロニックスM−114、アロニックスM−117、アロニックスM−120、アロニックスM−150、アロニックスM−156、アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5600、アロニックスM−5700、ナガセ化成工業社製商品名:デナコールアクリレートDA−141、日本油脂社製商品名:ブレンマーBMA、ブレンマーIBMA、ブレンマーCHMA、ブレンマーEHMA−25、ブレンマーTBCHMA、ブレンマーDSMA、ブレンマーLMA、ブレンマーSLMA、ブレンマーPMA、ブレンマーCMA、ブレンマーSMA、ブレンマーVMA、ブレンマーB−12、ブレンマーCHA、ブレンマーLA、ブレンマーSLA、ブレンマーCA、ブレンマーSA、ブレンマーB−18A、ブレンマーG、ブレンマーGH、ブレンマーGH−LC、ブレンマーGS、ブレンマーGLM、ブレンマーGLM−R、ブレンマーG−FA、ブレンマーG−O、ブレンマーG−SB、ブレンマーE、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーP、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマーAEPシリーズ、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマーAETシリーズ、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーAPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500B、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、
ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーPLE−200、ブレンマーALE−200、ブレンマーALE−800、ブレンマーPSE−200、ブレンマーPSE−400、ブレンマーPSE−1300、ブレンマーASEPシリーズ、ブレンマーPKEPシリーズ、ブレンマーANE−300、ブレンマーANE−1300、ブレンマーPNEPシリーズ、ブレンマーPNPEシリーズ、ブレンマー43ANEP−500、ブレンマー70ANEP−550、三菱ガス化学社製商品番号:GE−110、MMA、EMA、GE−310、GE−320、EHMA、GE−410、GE−420、DPMA、SMA、GE−510、GE−610、GE−650,GE−710、GE−720、AMA、CHMA、DAA、三菱レーヨン社製商品名:アクリエステルM、アクリエステルE、アクリエステルIB、アクリエステルTB、アクリエステルEH、アクリエステルL、アクリエステルSL、アクリエステルTD、アクリエステルS、アクリエステルCH、アクリエステルBZ、アクリエステルIBX、アクリエステルG、アクリエステルGU、アクリエステルTHF、アクリエステルA、アクリエステルHO、アクリエステルHISS、アクリエステルHP、アクリエステルMT、アクリエステルET、アクリエステルPA、アクリエステルHH、アクリエステルDM、アクリエステルDE、アクリエステル3FE、アクリエステル17FE等、日本化薬社製商品名:カヤハードTC110S、カヤハードR629、カヤハードR644、大阪有機化学社製商品名:ビスコート3700等、信越化学工業社製商品名:KBM−503、KBM−5103、KBM−1403、KBM−1003等、アリルアミン化合物、アリルメルカプタン化合物、フルフリルメルカプタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硬化性シリコーン系樹脂(E)を製造するための、フリーラジカル重合法は、公知の常法を用いることができ、具体的には、分子内に少なくとも1個の重合性アルケニル基を有する重合性アルケニル化合物に必要に応じて、下記のラジカル開始剤を加えて、50〜150℃で1時間〜12時間程度反応させる。反応には、下記の反応溶媒を用いることができる。さらに、分子量、粘度の調整等のため、必要に応じて、下記の連鎖移動剤を用いてもよい。また、硬化性シリコーン系樹脂(E)は合成後、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び硬化性シリコーン系樹脂(B)と混合してもよいし、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)の中で硬化性シリコーン系樹脂(E)を合成してもよい。配合割合等の微調整をする場合には前者の方法が好適に用いられ、産業上効率的に合成したい場合には後者の方法が好適に用いられる。
硬化性シリコーン系樹脂(E)を製造するための、フリーラジカル重合法に用いる反応溶媒は、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のカルボニル化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール化合物、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド等のアミド化合物、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硬化性シリコーン系樹脂(E)を製造するための、フリーラジカル重合法に用いるラジカル開始剤は、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチル−4−トリメトキシシリルペントニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチル−4−メチルジメトキシシリルペントニトリル)、和光純薬工業社製商品名:VA−046B、VA−057、VA−061、VA−085、VA−086、VA−096、V−601、V−65及びVAm−110等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、t−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硬化性シリコーン系樹脂(E)を製造するための、フリーラジカル重合法に用いる連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、エチルチオグリコレート、イソプロピルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオフェノール、チオ−β−ナフトール、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルジスルフィド、化合物(e)、化合物(f)、化合物(o)等のメルカプト化合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、ジスルフィド化合物、ジスルフィド結合含有のシランカップリング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硬化性シリコーン系樹脂(E)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、耐熱性が十分発現しない場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。
また、硬化性シリコーン系樹脂(E)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である分子量分布は、特に制限されないが、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましく1.0〜3.0であり、さらに好ましく1.0〜2.0である。分子量分布は、各種の方法で測定が可能であるが、通常はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて測定したポリスチレン換算値をいう。
硬化性シリコーン系樹脂(E)が、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)の中で合成されたものである場合、具体的には、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)と、硬化性シリコーン系樹脂(E)を生成するモノマーとを混合し、硬化性シリコーン系樹脂(E)が合成されたものである場合には、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)と硬化性シリコーン系樹脂(E)との混合物の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、耐熱性が十分発現しない場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。
硬化性シリコーン系樹脂(E)と、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)との混合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である分子量分布は特に制限されないが、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜3.0であり、さらに好ましくは1.0〜2.0である。分子量分布が上記範囲内であると粘度と接着性のバランスがよくなり、耐熱性を十分に発現しつつ、作業性が良好となる。
硬化性シリコーン系樹脂(E)の配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、15〜70質量部が特に好ましい。5質量部を下回ると、硬化性シリコーン系樹脂(E)を添加する効果が十分発現されず、100質量部を上回ると粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。
硬化性シリコーン系樹脂(E)が、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)の中で、硬化性シリコーン系樹脂(E)が合成されたものである場合には、硬化性シリコーン系樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)(硬化性シリコーン系樹脂(A)と硬化性シリコーン系樹脂(B)の両方を含む場合には、両者の合量の質量)の質量と、合成された硬化性シリコーン系樹脂(E)の質量の比(硬化性シリコーン樹脂(A)及び/又は硬化性シリコーン系樹脂(B)/硬化性シリコーン系樹脂(E))が40/60〜90/10であることが好ましく、50/50〜80/20であることがより好ましい。
[ハロゲン化ホウ素化合物(C)]
本発明におけるハロゲン化ホウ素化合物(C)は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の硬化を促進させる化合物である。ハロゲン化ホウ素化合物(C)の具体例としては、例えば、三塩化ホウ素又は三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。これらの中では、入手の容易さ及び配合のしやすさから、三フッ化ホウ素のアルコール錯体又はアミン錯体が好ましく、安定性と硬化促進効果を兼ね備えていることから、三フッ化ホウ素のアミン錯体が特に好ましく、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体が最も好ましい。
上記三フッ化ホウ素のアミン錯体に用いられるアミン化合物としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基を有する従来公知の窒素含有化合物を用いれば良い。具体的には、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ハンツマン社製ジェファーミン(第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリエーテル化合物)、ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、エチルアミンエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式 H2N(C2H4NH)nH(n≒5)で表わされる化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)、N−アルキルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N−アルキルピペリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記三フッ化ホウ素アミン錯体は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、エアプロダクツジャパン株式会社製のアンカー1040、アンカー1115、アンカー1170、アンカー1222、BAK1171等が挙げられる。
上記ハロゲン化ホウ素化合物(C)は、所望の硬化速度等を得るために適宜選択すればよい。また、上記ハロゲン化ホウ素化合物(C)は1種単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。上記ハロゲン化ホウ素化合物(C)の配合量は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の合計100質量部に対して、ハロゲン化ホウ素換算で0.001〜1.0質量部が好ましく、0.005〜0.5質量部がより好ましく、0.01〜0.1質量部が特に好ましい。0.001質量部を下回ると硬化促進効果が十分ではない場合があり、1.0質量部を上回ると貯蔵安定性が悪くなるなどの問題が起こる場合がある。
[有機スズ化合物(D)]
本発明にかかる有機スズ化合物(D)は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の硬化を補助的に促進させる化合物である。本発明にかかる硬化性樹脂組成物において、有機スズ化合物(D)を少量併用することで、貯蔵安定性を維持したまま、より効率的に硬化を速くすることができる。特開2010−280880号公報等で提案されているスズ化合物を含有しない金属系硬化触媒に用いられる化合物(市販品としては、例えば、ナーセムアルミニウム等)であっても同様の補助的な硬化促進効果は得られるが、有機スズ化合物(D)を用いるほうがより効果が高く、貯蔵安定性も良好である。
上記有機スズ化合物(D)としては、モノブチルスズ化合物、ジブチルスズ化合物、モノオクチルスズ化合物、ジオクチルスズ化合物等が挙げられるが、生体・環境に対する安全性の面及び補助的な硬化促進効果の高さから、ジオクチルスズ化合物が最も好ましい。ジオクチルスズ化合物の具体例としては、ジオクチルスズジマレエート、ジオクチルスズオキサイド、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジドデカノエート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズオキサイドとエチルシリケートの反応物、日東化成社製商品名NS−51、ネオスタンU−780、ネオスタンU−810、ネオスタンU−820、ネオスタンU−830、ネオスタンS−1等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
上記有機スズ化合物(D)は1種単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。上記有機スズ化合物(D)の配合量は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の合計100質量部に対して、スズ金属換算で0.01〜1.0質量部が好ましく、0.02〜0.8質量部がより好ましく、0.05〜0.7質量部が特に好ましい。0.01質量部を下回ると、補助的に硬化促進する効果が十分でなく、1.0質量部を上回ると、貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
[シラン化合物(F)]
本発明にかかる硬化性樹脂組成物中には、本発明にかかる効果に影響を与えない範囲で、架橋性シリル基及びアミノ基を有するシラン化合物(F)を含有することが好ましい。本発明にかかるシラン化合物(F)は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の硬化を補助的に促進させる化合物である。本発明にかかる硬化性樹脂組成物において、さらにシラン化合物(F)を併用することで、貯蔵安定性を維持したまま、硬化速度を極めて速めることができ、かつ、接着性にも優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
架橋性シリル基及びアミノ基を有するシラン化合物(F)としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ナフチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ナフチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(n−ブチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチル−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記シラン化合物(F)は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、信越化学工業社製商品名;KBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBM−902、KBE−902、KBM−573等、日本ユニカー社製商品名;A−1100、A−1102、A−1110、A−1120、A−1122、A−1170、A−9669、A−link15、Y−11637等、Degussa−HulsAG社製商品名;DYNASYLAN1189等、チッソ社製商品名;S360、S320、S310等、GE東芝シリコーン社製商品名;TSL8331、TSL8340、TSL8345等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記シラン化合物(F)の分子量は特に制限されないが、分子量が1,000未満であり、好ましくは分子量が500未満であり、より好ましくは分子量が150〜300である。
上記シラン化合物(F)は1種単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。上記シラン化合物(F)の配合量は、本発明にかかる硬化性樹脂組成物のベースポリマーである硬化性シリコーン系樹脂(A)、硬化性シリコーン系樹脂(B)及び硬化性シリコーン系樹脂(E)の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜10質量部が特に好ましい。0.1質量部を下回ると接着性が十分でなく、30質量部を上回ると硬化物が硬くなりすぎ、柔軟性が損なわれる場合がある。
[その他の成分]
本発明にかかる硬化性樹脂組成物中には、本発明にかかる効果に影響を与えない範囲で、その他の成分として従来公知の任意の化合物あるいは物質を配合することができる。例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、炭酸カルシウム粉体、クレイ粉体、親水性又は疎水性シリカ粉体、水酸化アルミニウム紛体、酸化チタン粉体、カーボンブラック粉体等の無機系フィラー、ポリアクリル粉体、ポリスチレン粉体、ポリウレタン粉体等の有機系フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油系樹脂、ロジン系樹脂等の接着付与剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、放熱剤、各種液状機能性オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、乾性油等を配合することができる。
本発明における硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合することにより製造することができる。各成分の混合は、複数種を同時に混合してもよく、1種の成分に、他の成分を添加して混合してもよい。また、必要に応じて各成分の脱水や溶解を目的とし、加熱しても良い。硬化性樹脂組成物の製造において、各成分の混合は、脱泡しつつ撹拌することが好ましく、例えば、プラネタリミキサーや2軸ミキサー(井上製作所社製)等を用いて混合することができる。
本発明における硬化性樹脂組成物は、例えば、接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等の主体成分として用いることができる。本発明における硬化性樹脂組成物は、水分の存在下で、架橋性シリル基同士が縮重合することによって硬化するため、1液型としても2液型としても使用することができる。1液型として使用される場合は、予めハロゲン化ホウ素化合物(C)が配合された状態で、保管乃至搬送中に空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して硬化するのである。また、2液型として使用される場合には任意に2液に分ければよいが、例えば、硬化性シリコーン系樹脂(A)を含有する第1液と、その他成分の第2液とが個別に包装されて提供される。そして、使用時にこれら第1液と第2液を混合して任意の箇所に適用すれば、架橋性シリル基が空気中の水分と接触して硬化するのである。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化後、高温(例えば、150℃)に数百時間暴露された場合であっても、柔軟性を維持することが可能な極めて高い耐熱性を発現することができ、さらに貯蔵安定性を維持しながら、速硬性を有するという優れた特性を有し、自動車部品、電気・電子関連部品、その他ガス製造ラインの部品の接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として好適に使用できる。自動車部品としては、特に、シーリング、ストラスワッシャー等のトランスミッション関連部材、ターボチャージャーファン、オイルポンプ、ワッシャー、インペラー等のエンジン周辺部材、ステアリングコラムアジャスト、ボールジョイント、センサー、オイルシール部品、オイルフィルター、ダンパー部材、プランジャー、クラッチ部材、アクチュエータ、各種ギヤ、バルブリフタ、各種の流量調整ピストン等が挙げられる。電機電子用部材としては、プリント回路基板、変圧器、絶縁フィルム、搬送用ローラユニット、電位差計、スピーカー部材、抵抗器、電熱ヒータ部材、コンデンサ、スイッチ、リレー、LED部品、コネクタ、スピンチャック、ベアリングゲージ等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[硬化性シリコーン系樹脂(A)の準備]
硬化性シリコーン系樹脂A−1として、カネカXMAP SA−310S(カネカ社製商品名、原子移動ラジカル重合法により合成された分子内にメチルジメトキシシリル基を有するビニル重合体、GPC分析(ポリスチレン換算)による数平均分子量:Mn=29,000、Mw/Mn=1.2)を準備した。
[硬化性シリコーン系樹脂(B)の準備]
(硬化性シリコーン系樹脂B−1の調製)
反応容器内で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(179.3質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸ラウリル(240.4質量部、3−アミノプロピルトリメトキシシランに対して1モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで分子内にトリメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する架橋性シラン化合物SE−1を得た。別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量約10,000(カタログ値)、90質量部)、アデカポリエーテルPR−3007(株式会社ADEKA製商品名、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイドコポリオール、数平均分子量約3,000(カタログ値)、10質量部)、イソホロンジイソシアネート(5.85質量部)及びニッカオクチックスZr12%(T)(日本化学産業社製商品名、オクチル酸ジルコニル、Zr含有率=約12質量%、PMLS4012及びPR−3007の総和に対してZr金属換算で40ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−1を得た。
さらに、上記シラン化合物SE−1(11.8質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、上記ウレタン系樹脂U−1中のイソシアネート基と上記シラン化合物SE−1中の第2級アミノ基とを80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が1個置換されたウレア結合、及び、トリメトキシシリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂B−1を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。硬化性シリコーン系樹脂B−1の数平均分子量(Mn)は、11,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.6である。
(硬化性シリコーン系樹脂B−2の調製)
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2質量部、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有するシラン化合物SE−2を得た。別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量約10,000(カタログ値)、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(4.83質量部)及びジオクチルスズジバーサテート(PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−2を得た。
さらに、上記シラン化合物SE−2(8.39質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、上記ウレタン系樹脂U−2中のイソシアネート基と上記シラン化合物SE−2中の第2級アミノ基とを80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が1個置換されたウレア結合、及び、メチルジメトキシシリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂B−2を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。硬化性シリコーン系樹脂B−2の数平均分子量(Mn)は、18,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.3である。
(硬化性シリコーン系樹脂B−3の調製)
反応容器内で、PMLS4012(旭硝子ウレタン株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000(カタログ値)、100質量部)、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO/OH比=0.98/1.00、5.98質量部)及びナーセムインジウム(日本化学産業社製商品名、インジウムのアセチルアセトン錯体、PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がポリオキシプロピレンでありその分子内にトリメトキシシリル基及びウレタン基を有する硬化性シリコーン系樹脂B−3を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。硬化性シリコーン系樹脂B−3の数平均分子量(Mn)は、15,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.1である。
(硬化性シリコーン系樹脂B−4の準備)
硬化性シリコーン系樹脂B−4として、GENIOSIL STP−E10(Wacker Chemie社製商品名、GPC分析(ポリスチレン換算)による数平均分子量:Mn=21,000、Mw/Mn=1.3を準備した。該STP−E10の架橋性シリル基の構造は、下記一般式(44)で示され、主鎖構造はポリオキシプロピレンである。
[硬化性シリコーン系樹脂(B)/硬化性シリコーン系樹脂(E)混合物の準備]
(硬化性シリコーン系樹脂B−5/硬化性シリコーン系樹脂E−1混合物の調製)
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(222.4質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2質量部、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有するシラン化合物SE−3を得た。
別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量約10,000(カタログ値)、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(4.83質量部)及びジオクチルスズジバーサテート(PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−3を得た。さらに、上記シラン化合物SE−2(2.36質量部)及び上記シラン化合物SE−3(6.10質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が置換されたウレア結合、トリメトキシシリル基及びメチルジメトキシシリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂B−5を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。硬化性シリコーン系樹脂B−5の数平均分子量(Mn)は、19,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.3である。
別の反応容器に、トルエン(50質量部)を入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル50質量部、メタクリル酸ラウリル30質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン4.0質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.0質量部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.62質量部を混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.21質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、さらに、80℃で3時間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基を有するビニル重合体である硬化性シリコーン系樹脂E−1のトルエン溶液を得た。なお、E−1のトルエン及び未反応の諸成分を減圧留去したものの数平均分子量(Mn)は、3,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.4である。
別の反応容器に、硬化性シリコーン系樹脂B−5(100質量部)と分子内にトリメトキシシリル基を有するビニル重合体である硬化性シリコーン系樹脂E−1のトルエン溶液(163.8質量部)を混合し、トルエン及びE−1重合時の未反応の諸成分を減圧留去することで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が置換されたウレア結合、トリメトキシシリル基及びメチルジメトキシシリル基を有する硬化性シリコーン系樹脂B−5と、分子内にトリメトキシシリル基を有するビニル重合体である硬化性シリコーン系樹脂E−1との混合物を得た。なお、混合割合は、B−5/E−1=52/48(質量比)である
[ハロゲン化ホウ素(C)の準備]
ハロゲン化ホウ素C−1として、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体を準備した。
[有機スズ化合物(D)の準備]
有機スズ化合物D−1として、ネオスタンU−830(日東化成社製商品名、ジオクチルスズジネオデカノエート)を準備した。ネオスタンU−830はスズ金属換算で17.3wt%(理論値)の有機スズ化合物である。
[シラン化合物(F)の準備]
シラン化合物F−1として、3−アミノプロピルトリメトキシシランを準備した。
[その他添加剤の準備]
充填材としてNS400(日東粉化工業社製商品名、炭酸カルシウム)、希釈剤としてIPソルベント2028(出光興産社製商品名、イソパラフィン系溶剤)、酸化防止剤としてIrganox1010(BASFジャパン社製商品名、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)を準備した。
表1に示す配合割合で、撹拌脱泡装置を用いて混合した。得られた各硬化性樹脂組成物を、更なる脱泡目的で50±2℃に1日静置した後(これを初期とする)、23±2℃相対湿度50±5%で粘度及び皮張り時間を測定した。さらに、各硬化性樹脂組成物を50℃1週間暴露した後の粘度を測定し増粘率(50℃1週間後粘度値を初期粘度値で除した値)を比較した。得られたデータを表1に示す。以下に、硬化性樹脂組成物の測定方法を記載した。
(粘度の測定)
BH型粘度計、No.6又はNo.7ローター、10回転で評価した。なお、50℃貯蔵安定性評価においては、各硬化性樹脂組成物を50℃1週間暴露した後、23±2℃相対湿度50±5%雰囲気下で調温したものを、同様に測定した。
(皮張り時間の測定)
各硬化性樹脂組成物を23±2℃相対湿度50±5%の雰囲気に暴露した直後を開始時間とし、表面に硬化皮膜が形成されるまでの時間とした。硬化皮膜が形成された時間は、金属製のスパーチュラで暴露された各硬化性樹脂組成物の表面を触ってスパーチュラに各硬化性樹脂組成物が転着しなくなる時間とした。
(ダンベル物性の測定)
各硬化性樹脂組成物を2mm厚になるよう型枠に流し込み、23±2℃相対湿度50±5%で7日間養生した後、更に50℃±2℃で1日間養生し硬化皮膜を得た。この皮膜をJIS K 6251に準じて3号ダンベル型に打ち抜き、引張速度200mm/minで、50%モジュラス(引張り応力)、100%モジュラス(引張り応力)、最大モジュラス(引張り応力)、破断時の伸びの測定を行った。なお、150℃耐熱性評価においては、上述の硬化皮膜を150℃で1週間又は2週間暴露した後、23±2℃相対湿度50±5%雰囲気下で調温したものを、同様にダンベル型に打ち抜き試験に供した。
(引張せん断接着強さの測定)
各硬化性樹脂組成物を、アセトンで脱脂処理したSUS304(長さ:100mm、幅:25mm、厚み:1.5mm)に塗布し、接着厚みが0.2mmとなるようガラスビーズをスペーサーとして用いて、重ね長さ12.5mm±0.25mmではり合せた。その後、23±2℃相対湿度50±5%で14日間養生することで試験体を得た。引張せん断接着強さの測定は、JIS K 6850に準じて、引張速度5mm/minで行った。なお、150℃耐熱性評価においては、上述の試験体を150℃で2週間暴露した後、23±2℃相対湿度50±5%雰囲気下で調温したものを、同様に試験に供した。
本発明の硬化性樹脂組成物である実施例1〜6は、皮張り時間が短く、速硬性を有し、増粘率が小さく貯蔵安定性が良好であった。一方、硬化性シリコーン系樹脂(B)及びハロゲン化ホウ素化合物(C)を含有していない硬化性樹脂組成物である比較例1は、皮張り時間が30分以上と遅く、また硬化性シリコーン系樹脂(B)を含有していない硬化性樹脂組成物である比較例2は増粘率が2.0以上と高い結果となった。
表2に示す配合割合で、撹拌脱泡装置を用いて混合した。得られた各硬化性樹脂組成物を、更なる脱泡目的で50±2℃に1日静置した後(これを初期とする)、23±2℃相対湿度50±5%で粘度及び皮張り時間を測定した。またこれら各硬化性樹脂組成物の硬化皮膜を作製しダンベル物性の測定を行った。さらに、各硬化性樹脂組成物成物を50℃1週間暴露した後の粘度及び上述の硬化皮膜を150℃1週間、150℃2週間暴露した後のダンベル物性を測定し比較した。得られたデータを表2に示す。
実施例7〜10は皮張り時間が短く、速硬性を有し、増粘率が小さく貯蔵安定性が良好であり、また150℃2週間暴露後のダンベル物性においてもある程度のダンベル伸び(破断時伸び)が維持されていることから、硬化後の耐熱性が極めて高い、良好な結果となった。一方、硬化性シリコーン系樹脂(A)を含有しない硬化性樹脂組成物である比較例3は、皮張り時間、増粘率は良好であったが、150℃1週間暴露時点で皮膜の脆化によりダンベル物性の測定ができない状態であった。
表3に示す配合割合で、撹拌脱泡装置を用いて混合した。得られた各硬化性樹脂組成物を、更なる脱泡目的で50±2℃に1日静置した後(これを初期とする)、23±2℃相対湿度50±5%で粘度及び皮張り時間を測定した。またこれら各硬化性樹脂組成物の引張せん断接着強さ及びダンベル物性の測定を行った。さらに、各硬化性樹脂組成物を50℃1週間暴露した後の粘度、及び、引張せん断接着強さ試験体を150℃2週間暴露した後の引張せん断接着強さ、また硬化皮膜を150℃1週間、150℃2週間暴露した後のダンベル物性を測定し比較した。得られたデータを表3に示す。
実施例11は皮張り時間、増粘率ともに良好である。150℃2週間暴露後の引張せん断接着強さについては、十分に接着性が維持されており、またダンベル物性においてもある程度のダンベル伸び(破断時伸び)が維持されていることから、硬化後の耐熱性が極めて高い、良好な結果となった。一方、硬化性シリコーン系樹脂(A)を含有しない硬化性樹脂組成物である比較例4は皮張り時間、増粘率は良好であったが、150℃2週間暴露時点で皮膜の脆化により引張せん断接着強さ及びダンベル物性の測定ができない状態であった。