以下に、本発明にかかる電力変換器のケースの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
実施の形態1にかかる電力変換器のケース1について図1〜図4を用いて説明する。図1は、電力変換器のケース1の構成を示す斜視図である。図2は、電力変換器のケース1となるべき樹脂板RPの構成を示す図である。図3は、互いに組み合される前における電力変換器PT及びヒートシンクHSの構成を示す図である。図4は、互いに組み合された後における電力変換器PT及びヒートシンクHSの構成を示す図である。
電力変換器のケース1は、電力変換器PTを収容する。電力変換器PTは、電源(図示せず)から受けた電力(例えば、直流電力)を変換して、負荷を駆動するための電力(例えば、交流電力を生成して、負荷に供給する。電力変換器PTは、例えば、サーボモータを駆動するためのサーボアンプである。
サーボアンプのような電力変換器PTでは、高電圧・高出力の性質により絶縁性・放熱性が重要視される。例えば、電力変換器PTは、図3に示すように、基板2a及び複数の電子部品2b−1〜2b−9を有する。基板2aは、例えば、プリント基板である。各電子部品2b−1〜2b−9は、基板2a上に実装されている。複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち、例えば、電子部品2b−8,2b−9は、他の電子部品2b−1〜2b−7に比べて発熱量の大きい電子部品であり、例えば、パワーモジュールなどである。
電力変換器PTに電子部品2b−8,2b−9のような発熱量の大きい電子部品があることにより、その放熱のために電力変換器PTには、複数の放熱フィン4a−1〜4a−5を有するヒートシンクHSが用いられる。また盤(図示せず)に取り付けられるなど、電力変換器PT特有の使用方法のためその構造体としても電力変換器PTにはヒートシンクHSが使用される。
例えば、ヒートシンクHSは、主板部4b及び複数の放熱フィン4a−1〜4a−5を有する。主板部4bは、例えば、板状の部材である。主板部4bは、第1の側端部(図3の紙面手前側の端部)に嵌合部4fを有し、第2の側端部(図3の紙面奥行側の端部)に嵌合部4gを有する。主板部4bの裏面4b2(図3参照)は、発熱量の大きい電子部品(例えば、電子部品2b−8,2b−9)を熱的に接触させるべき面になっている。主板部4bの表面4b1(図3参照)には、複数の放熱フィン4a−1〜4a−4が設けられている。
複数の放熱フィン4a−1〜4a−5は、主板部4bから伝達された熱を周囲雰囲気中に放熱するように構成されている。例えば、複数の放熱フィン4a−1〜4a−4は、主板部4bの表面4b1(図3参照)から立ち上がるとともに、例えば、主板部4bの長手方向に沿って延びている。また、例えば、放熱フィン4a−5は、主板部4bの端部に接続されており、主板部4bの表面4b1の端部及び裏面4b2の端部からそれぞれ立ち上がるとともに、例えば、主板部4bの長手方向に沿って延びている。放熱フィン4a−1は、主板部4bの反対側の端部に嵌合部4c,4dを有する。
電力変換器PT及びヒートシンクHSは、例えば図4に示すように組み合される。すなわち、電力変換器PTでは、複数の電子部品2b−1〜2b−9が実装された基板2a(例えば、プリント基板)をヒートシンクHSで固定する。ヒートシンクHSと電力変換器PTの基板2aとの接続には、例えばネジ絞め等が用いられる。ヒートシンクHSは、基板2aの表面における複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち発熱量の大きい電子部品(例えば、電子部品2b−8,2b−9)に熱的に接触するように取り付けられる。このとき、電力変換器PTに比べてヒートシンクHSの剛性が大きいので、電力変換器PTをヒートシンクHSで固定すれば、盤を介して周辺機器からの振動を電力変換器PTが受けた際に、電力変換器PTの振動を抑制できる。すなわち、ヒートシンクHSは、電力変換器PTの放熱を行う機能と電力変換器PTの振動を抑制する機能とを兼ねている。
そして、電力変換器PTを外的な衝撃から保護するとともに外部との絶縁性を確保するため、絶縁性を持ったケース(例えば、樹脂ケース)で覆うことが考えられる。
このとき、仮に、一端が開放された箱型となるようにケースが予め一体成型されたものであり、ケースを電力変換器PTの基板2aに沿ってスライドして、ケースが電力変換器PTを収容するように取り付けを行う場合を考える。この場合、スライド時にケースが基板2aを傷つける可能性があり、組み立ての作業性が悪い。
あるいは、仮に、複数の板状部品を組み立ててケースを形成する場合を考える。この場合、複数の部品を使用するため、部品毎の公差でガタつくことがあり、組み立ての作業性が悪い。
あるいは、仮に、互いに組み合された電力変換器PT及びヒートシンクHSを例えば6方向から箱型に囲むように絶縁性のケースで覆う場合を考える。この場合、電力変換器PTで発熱しヒートシンクHSを介して放熱された熱はケース内に滞留しやすいので、放熱性が悪化する傾向にある。
そこで、実施の形態1では、電力変換器のケース1を、樹脂板RPの折り曲げにより、電力変換器PTを覆うとともにヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−2が開放された状態で支持するように構成することで、組み立ての作業性を向上させるとともに放熱性を向上させることを目指す。
具体的には、電力変換器のケース1は、図2に示す樹脂板RPの折り曲げにより、図1に示すように、電力変換器PTを5方向から覆うとともに、ヒートシンクHSを少なくとも3方向から支持する。すなわち、ケース1は、底板1a、背板1b、天板1c、第1の側板1d、及び第2の側板1eを有する。
底板1aは、電力変換器PTの基板2aに沿って平板状に延びて、電力変換器PT及びヒートシンクHSを図1中の下方から覆っている。底板1aは、平面視において電力変換器PTの基板2a(図3参照)に対応した形状及び大きさを有している。底板1aは、例えば、樹脂板RPにおける樹脂板RPの折り曲げの際に底側として作業台上に載置される部分1a’(図2参照)に対応している。
背板1bは、底板1aから電力変換器PTをヒートシンクHSの反対側で覆うように折り曲げられている。すなわち、背板1bは、底板1aにおけるヒートシンクHSの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びて、電力変換器PTを図1中の左方から覆っている。背板1bは、樹脂板RPにおける底板1aから電力変換器PTをヒートシンクHSの反対側で覆うように折り曲げられる部分1b’(図2参照)に対応している。例えば、背板1bは、両側端に嵌合部1b1,1b2を有する。背板1bは、例えば、電力変換器PTが取り付けられた際に電子部品(例えば、電子部品2b2〜2b4)が干渉しないように、凹部1b3〜1b5を有していてもよい。
天板1cは、背板1bから電力変換器PTを底板1aの反対側で覆うように折り曲げられている。すなわち、天板1cは、背板1bにおける底板1aの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに沿って平板状に延びて、ヒートシンクHSを覆わないように、電力変換器PTを図1中の上方から覆っている。天板1cは、電力変換器PTを図1中の上方から覆っているとともに、ヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が図1中の上方側で開放された状態にしている。天板1cは、樹脂板RPにおける背板1bから電力変換器PTを底板1aの反対側で覆うように折り曲げられる部分1c’(図2参照)に対応している。
天板1cは、ヒートシンクHSにおける背板1b側の端部を底板1aの反対側から支持している。例えば、天板1cは、ヒートシンクHS側の端部に嵌合部1c1,1c2を有するとともに、両側端に嵌合部1c3〜1c6を有する。嵌合部1c1,1c2は、それぞれ、ヒートシンクHSの複数の放熱フィン4a−1〜4a−5のうち背板1b側の放熱フィン4a−1における嵌合部4c,4dに底板1aの反対側から嵌め込まれている。図1では、嵌合部1c1,1c2が凹部状であり嵌合部4c,4dが凸部状である場合が例示されているが、嵌合部1c1,1c2が凸部状であってもよく嵌合部4c,4dが凹部状であってもよい。
第1の側板1dは、底板1aから電力変換器PTを第1の側方(図1の紙面手前側)で覆うように折り曲げられている。すなわち、第1の側板1dは、底板1aにおける第2の側板1eの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びて、ヒートシンクHSを覆わないように、電力変換器PTを図1中の紙面手前側から覆っている。第1の側板1dは、電力変換器PTを図1中の紙面手前側から覆っているとともに、ヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が図1中の紙面手前側で開放された状態にしている。第1の側板1dは、樹脂板RPにおける底板1aから電力変換器PTを第1の側方で覆うように折り曲げられる部分1d’に対応している。
第1の側板1dは、高背部1d1及び低背部1d2を有する。高背部1d1は、底板1aにおける第2の側板1eの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びている。例えば、高背部1d1は、天板1c側の領域に嵌合部1d11,1d12を有するとともに、背板1b側の領域に嵌合部1d13を有する。嵌合部1d11,1d12は、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c3,1c4に第2の側板1eの反対側から嵌め込まれている。嵌合部1d13は、背板1bにおける嵌合部1b1に第2の側板1eの反対側から嵌め込まれている。図1では、嵌合部1d11,1d12,1d13が凹部状であり嵌合部1c3,1c4,1b1が凸部状である場合が例示されているが、嵌合部1d11,1d12,1d13が凸部状であってもよく嵌合部1c3,1c4,1b1が凹部状であってもよい。高背部1d1及び低背部1d2は、それぞれ、樹脂板RPにおける部分1d’の高背部1d1’及び低背部1d2’に対応している。
例えば、高背部1d1は、電力変換器PTの基板2aに対応した領域に基板支持部1d14を有している。基板支持部1d14は、例えば、高背部1d1における平面部から基板2a側にフィン状に突出した凸部とスリット状に凹んだ凹部とを有し、凹部に基板2aの端部が嵌め込まれることにより基板2aの端部近傍を支持している。これにより、基板2aの端部近傍を例えば3方向から支持することができるので、盤(図示せず)を介して周辺機器からの振動を電力変換器PTが受けた際に、電力変換器PTの振動を抑制できる。
また、第1の側板1dは、ヒートシンクHSにおける第1の側端部を第2の側板1eの反対側から支持している。例えば、低背部1d2は、底板1aにおける第2の側板1eの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びている。例えば、低背部1d2は、ヒートシンクHS側の端部に嵌合部1d21を有する。嵌合部1d21は、ヒートシンクHSの主板部4bにおける嵌合部4fに第2の側板1eの反対側から嵌め込まれている。図1では、嵌合部1d21が凹部状であり嵌合部4fが凸部状である場合が例示されているが、嵌合部1d21が凸部状であってもよく嵌合部4fが凹部状であってもよい。
第2の側板1eは、底板1aから電力変換器PTを第2の側方(図1の紙面奥行側)で覆うように折り曲げられている。すなわち、第2の側板1eは、底板1aにおける第1の側板1dの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びて、ヒートシンクHSを覆わないように、電力変換器PTを図1中の紙面奥行側から覆っている。第2の側板1eは、電力変換器PTを図1中の紙面奥行側から覆っているとともに、ヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が図1中の紙面奥行側で開放された状態にしている。第2の側板1eは、樹脂板RPにおける底板1aから電力変換器PTを第2の側方で覆うように折り曲げられる部分1e’に対応している。
第2の側板1eは、高背部1e1及び低背部1e2を有する。高背部1e1は、底板1aにおける第1の側板1dの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びている。例えば、高背部1e1は、天板1c側の領域に嵌合部1e11,1e12を有するとともに、背板1b側の領域に嵌合部1e13を有する。嵌合部1e11,1e12は、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c5,1c6に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれている。嵌合部1e13は、背板1bにおける嵌合部1b2に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれている。図1では、嵌合部1e11,1e12,1e13が凹部状であり嵌合部1c3,1c4,1b1が凸部状である場合が例示されているが、嵌合部1e11,1e12,1e13が凸部状であってもよく嵌合部1c3,1c4,1b1が凹部状であってもよい。高背部1e1及び低背部1e2は、それぞれ、樹脂板RPにおける部分1e’の高背部1e1’及び低背部1e2’に対応している。
また、第2の側板1eは、ヒートシンクHSにおける第2の側端部を第1の側板1dの反対側から支持している。例えば、低背部1e2は、底板1aにおける第1の側板1dの反対側の端部から電力変換器PTの基板2aに交差する方向に平板状に延びている。例えば、低背部1e2は、ヒートシンクHS側の端部に嵌合部1e21を有する。嵌合部1e21は、ヒートシンクHSの主板部4bにおける嵌合部4gに第1の側板1dの反対側から嵌め込まれている。図1では、嵌合部1e21が凹部状であり嵌合部4gが凸部状である場合が例示されているが、嵌合部1e21が凸部状であってもよく嵌合部4gが凹部状であってもよい。
次に、樹脂板RPの折り曲げ手順について図5〜図7及び図1を用いて説明する。図5〜図7は、樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図1は、電力変換器のケース1の構成を示す図であるが、樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図として流用する。
図5に示す工程では、樹脂板RPを準備する。樹脂板RPは、例えば平面形であり、1枚の樹脂板RPとして予め一体成型されたものである。
そして、樹脂板RPにおける底板1aに対応した部分1a’と背板1bに対応した部分1b’との境界を軸にして、部分1a’と部分1b’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、底板1a及び背板1bが形成される。
図6に示す工程では、ネジ止め等により互いに組み合された後の電力変換器PT及びヒートシンクHSが底板1a上に載置される。このとき、例えば、電力変換器PTの基板2aが底板1a上に載置されるとともに、ヒートシンクHSにおける最も外側の放熱フィン4a−5が底板1aの外側に位置するようになっている。また、基板2aにおけるヒートシンクHSの反対側の端部から突出している又は突出しやすい電子部品2b−2〜2b−4は、それぞれ、背板1bにおける凹部1b3〜1b5に収まり、背板1bに干渉しないようになっている(図7参照)。
図7に示す工程では、樹脂板RPにおける背板1bと天板1cに対応した部分1c’との境界を軸にして、背板1bと部分1c’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、天板1cが形成される。
このとき、嵌合部1c1,1c2は、それぞれ、ヒートシンクHSの複数の放熱フィン4a−1〜4a−5のうち背板1b側の放熱フィン4a−1における嵌合部4c,4dに底板1aの反対側から嵌め込まれる(図2及び図3参照)。これにより、ヒートシンクHSを固定でき、ヒートシンクHSを介して電力変換器PTを固定できる。
その後、樹脂板RPにおける底板1aと第1の側板1dに対応した部分1d’との境界を軸にして、底板1aと部分1d’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第1の側板1dが形成される。
このとき、基板支持部1d14に基板2aが嵌め込まれる。これにより、基板2aが固定され、電力変換器PTの耐振動性の向上が可能となる。また、嵌合部1d11,1d12が、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c3,1c4に第2の側板1eの反対側から嵌め込まれるとともに、嵌合部1d13が、背板1bにおける嵌合部1b1に第2の側板1eの反対側から嵌め込まれる(図2参照)。これにより、天板1c、背板1b、及び第1の側板1dを互いに固定することができる。さらに、嵌合部1d21が、ヒートシンクHSの主板部4bにおける嵌合部4fに第2の側板1eの反対側から嵌め込まれる(図2及び図3参照)。これにより、ヒートシンクHSをさらに固定できる。
また、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第2の側板1eが形成される。
このとき、嵌合部1e11,1e12が、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c5,1c6に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれるとともに、嵌合部1e13が、背板1bにおける嵌合部1b2に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれる(図2参照)。これにより、天板1c、背板1b、及び第2の側板1eを互いに固定することができる。さらに、嵌合部1e21が、ヒートシンクHSの主板部4bにおける嵌合部4gに第1の側板1dの反対側から嵌め込まれる(図2及び図3参照)。これにより、ヒートシンクHSをさらに固定できる。
このように、樹脂板RPを折り曲げながら対応する嵌合部どうしを嵌め込んだり基板2aを基板支持部1d14に嵌め込むことで、図1に示す電力変換器のケース1が完成する。
以上のように、実施の形態1では、電力変換器のケース1が、樹脂板RPの折り曲げにより、電力変換器PTを覆うとともに、電力変換器PTを放熱するヒートシンクHSであって複数の放熱フィン4a−1〜4a−5を有するヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が開放された状態で支持するように構成されている。すなわち、電力変換器のケース1が樹脂板RPの折り曲げにより形成されるように構成されているので、組立て時に基板をスライド挿入する必要がなく、電力変換器PTにおける電子部品2b−1〜2b−9を傷つけずに電力変換器PTをケース1に収容させることができる。また、樹脂板RPを一体型の部材とできるので、公差に起因したガタつきの影響を受けにくい。これにより、組み立ての作業性を向上できる。また、電力変換器のケース1が電力変換器PTを覆うとともにヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が開放された状態で支持するように構成されているので、電力変換器PTで発熱しヒートシンクHSを介して放熱された熱をケース1外に放出しやすく、放熱性を向上できる。すなわち、組み立ての作業性を向上できるとともに、放熱性を向上できる。
また、実施の形態1では、電力変換器のケース1が樹脂板RPの折り曲げにより形成されるように構成されているので、ケース1の管理、保管、輸送が容易であり、製造・保管・輸送コストを容易に削減できる。
また、実施の形態1では、電力変換器のケース1が、樹脂板RPの折り曲げにより、電力変換器PTを5方向から覆うとともに、ヒートシンクHSを少なくとも3方向から支持する。これにより、電力変換器PTを覆うことができ、ヒートシンクHSを複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が開放された状態で支持することができる。
また、実施の形態1では、電力変換器のケース1において、背板1bが、底板1aから電力変換器PTをヒートシンクHSの反対側で覆うように折り曲げられている。天板1cが、背板1bから電力変換器PTを底板1aの反対側で覆うように折り曲げられており、ヒートシンクHSにおける背板1b側の端部を支持している。第1の側板1dが、底板1aから電力変換器PTを第1の側方で覆うように折り曲げられており、ヒートシンクHSにおける第1の側端部を支持している。第2の側板1eが、底板1aから電力変換器PTを第1の側方の反対側の第2の側方で覆うように折り曲げられており、ヒートシンクHSにおける第1の側端部の反対側の第2の側端部を支持している。これにより、電力変換器のケース1は、樹脂板RPの折り曲げによって、電力変換器PTを5方向から覆うとともに、ヒートシンクHSを少なくとも3方向から支持することができる。
また、実施の形態1では、ヒートシンクHSが、基板2aの表面における複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち発熱する部品2b−8,2b−9に熱的に接触するように取り付けられている。これにより、ヒートシンクHSが、部品2b−8,2b−9から発熱した熱を効率的に放熱できる。また、天板1c、第1の側板1d、及び第2の側板1eは、ヒートシンクHSを介して基板2aを固定している。これにより、電力変換器PTに比べてヒートシンクHSの剛性が大きいので、電力変換器PTをヒートシンクHSで固定すれば、盤を介して周辺機器からの振動を電力変換器PTが受けた際に、電力変換器PTの振動を抑制できる。すなわち、電力変換器PTの耐振動性を向上できる。
また、実施の形態1では、第1の側板1d及び第2の側板1eは、基板2aが底板1aに載置され天板1cによりヒートシンクHSにおける背板1b側の端部が支持された状態で底板1aから折り曲げられてヒートシンクHSにおける第1の側端部及び第2の側端部をそれぞれ支持するように構成されている。これにより、ヒートシンクHSを介して基板2aを徐々に固定させながら樹脂板RPを折り曲げて電力変換器のケース1を形成することができる。
また、実施の形態1では、樹脂板RPの折り曲げにより、第1の側板1dにおける基板支持部1d14に電力変換器PTにおける基板2aの端部が嵌め込まれる。これにより、基板2aの端部近傍を3方向から支持することができるので、電力変換器PTの振動をさらに抑制できる。すなわち、電力変換器PTの耐振動性をさらに向上できる。
また、実施の形態1では、電力変換器のケース1が、1枚の樹脂板RPから折り曲げて成形された一体形の樹脂ケースである。これにより、電力変換器のケース1が1枚の樹脂板RPの折り曲げにより形成されるように構成されているので、電力変換器PTにおける電子部品2b−1〜2b−9を傷つけずに電力変換器PTをケース1に収容させることができ、公差に起因したガタつきの影響を受けにくい。
また、実施の形態1では、樹脂板RPが一体型の部材であるため、管理や保管、輸送が容易である。
また、実施の形態1では、樹脂板RPが、平面形の樹脂板である。これにより、平面型の樹脂板を予め一体成型するための金型の高さを低くでき、型費の削減と成型設備規模縮小による製造コストを削減できる。また、平面型の樹脂板を予め一体成型するため、型に樹脂が流れやすく整形サイクルを短くでき、製造コストを削減できる。
また、実施の形態1では、樹脂板RPが平面形の樹脂板、すなわち平面部材であるため、保管や輸送スペースの削減が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる電力変換器のケース1iについて図8〜図11を用いて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。図8は、電力変換器のケースとなるべき樹脂板RP及び支持部5の構成及び樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図9は、樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図10は、電力変換器のケース1iの構成及び樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図11は、電力変換器のケース1iの構成及び樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図であり、電力変換器のケースを第1の側方(図10の紙面手前側)から見た場合の構成を示している。なお、図8〜図11では、図示の簡略化のためにヒートシンクHSの図示を省略している。また、図11では、図示の簡略化のために高背部品以外の電子部品の図示を省略している。
電力変換器のケース1iは、盤(図示せず)に取り付けられる等の使用が考えられ、電力変換器PTが振動を受ける場合がある。そのため、電力変換器PTの耐振動性の強化が必要である。例えば、電力変換器PTがサーボアンプである場合、サーボアンプを構成する電子部品には基板からの高さが高くなる高背の部品(例えば、図3に示す電子部品2b−1,2b−2)がある。
実施の形態1では、この高背部品(例えば、電子部品2b−1,2b−2)が基板2aとの接触のみで支えられており、振動に対して弱く対策が必要であると考えられる。
そこで、実施の形態2では、ケース1iを用いて高背部品(例えば、電子部品2b−1,2b−2)の支えを行う。例えば、電力変換器のケース1i自体に予め高背部品を支えられるような位置に突起状の部材5a〜5cを設け、基板2aをケース1iにはめ込む際に、突起状の部材5a〜5cと高背部品(例えば、電子部品2b−1,2b−2)が接触する構造とすることで、高背部品の耐振動性を向上させることができる。
しかし、仮に、一端が開放された箱型となるようにケースが予め一体成型されたものであり、ケースを電力変換器PTの基板2aに沿ってスライドして、ケースが電力変換器PTを収容するように取り付けを行う場合を考える。この場合、電力変換器PTにおいて、電子部品は様々な大きさのものが基板2a上の様々な位置に配置されており、ケース自体に突起状の部材を設けた場合、高背部品以外の電子部品と突起状の部材との接触により基板をケースにはめ込むことが難しくなる。
それに対して、実施の形態2では、支持部5が、樹脂板RPの折り曲げにより高背部品(例えば、電子部品2b−1,2b−2)を支持するように位置する。支持部5は、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材5a〜5cを含む。突起状の部材5a〜5cは、それぞれ、樹脂板RP上における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている(図8〜図11参照)。
例えば、突起状の部材5b,5cは、第2の側板1eに対応した部分1e’の高背部1e1’における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。例えば、突起状の部材5aは、天板1cに対応した部分1c’における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。
また、樹脂板RPの折り曲げ手順が、図8〜図11に示すように、次の点で実施の形態1と異なる。
図8に示す工程では、樹脂板RP及び支持部5を準備する。樹脂板RPは、例えば平面形であり、支持部5は、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材5a〜5cを含む。樹脂板RP及び突起状の部材5a〜5cは、例えば、予め一体成型されたものである。
そして、樹脂板RPにおける底板1aに対応した部分1a’と背板1bに対応した部分1b’との境界を軸にして、部分1a’と部分1b’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、底板1a及び背板1bが形成される。
図9に示す工程では、ネジ止め等により互いに組み合された後の電力変換器PT及びヒートシンクHS(図4参照)が底板1a上に載置される。このとき、突起状の部材5a〜5cは、基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しないように位置している。
図10に示す工程では、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が直角より若干大きい鈍角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、突起状の部材5b,5cが高背部品2b−2,2b−1をそれぞれ支持するように位置する(図11参照)。上記の直角より若干大きい鈍角は、嵌合部1c5,1c6(図2参照)が第2の側板1eに干渉しないとともに突起状の部材5b,5cが天板1cに干渉しないように決められた角度である。
なお、嵌合部1c5,1c6及び嵌合部1e11,1e12(図2参照)が設けられない場合、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第2の側板1eが形成されるとともに、突起状の部材5b,5cが高背部品2b−2,2b−1をそれぞれ支持するように位置する(図11参照)。
また、樹脂板RPにおける底板1aと第1の側板1dに対応した部分1d’との境界を軸にして、底板1aと部分1d’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第1の側板1dが形成される。
図11に示す工程では、樹脂板RPにおける背板1bと天板1cに対応した部分1c’との境界を軸にして、背板1bと部分1c’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、天板1cが形成されるとともに、突起状の部材5aが高背部品2b−1を支持するように位置する。
その後、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第2の側板1eが形成される。このとき、嵌合部1e11,1e12が、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c5,1c6に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれる。
なお、嵌合部1c5,1c6及び嵌合部1e11,1e12(図2参照)が設けられない場合、この折り曲げは不要である。
このように、樹脂板RPを折り曲げながら対応する嵌合部どうしを嵌め込んだり基板2aを基板支持部1d14に嵌め込むことで、図1と同様の外観構成を有する電力変換器のケース1iが完成する(図10及び図11参照)。
以上のように、実施の形態2では、電力変換器のケース1iにおける支持部5が、樹脂板RPの折り曲げにより高背部品2b−2,2b−1を支持するように位置する。すなわち、電力変換器のケース1iが樹脂板RPの折り曲げにより形成されるように構成されているので、組立て時に基板をスライド挿入する必要がなく、ケース1iに電力変換器PTを収容する際に支持部5(例えば、突起状の部材5a〜5c)が基板2a上の複数の電子部品2b−1〜2b−9と干渉しないようにすることができる。また、高背部品2b−2,2b−1が支持部5により支持されているので、高背部品2b−2,2b−1の耐振動性を向上することができる。
また、実施の形態2では、電力変換器のケース1iにおける支持部5が、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材5a〜5cを含む。これにより、突起状の部材5a〜5cを、樹脂板RPの折り曲げにより高背部品2b−2,2b−1を支持するように位置させることができる。
また、実施の形態2では、突起状の部材5a〜5cが、樹脂板RP上における樹脂板RPを折り曲げた際に複数の電子部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。これにより、ケース1iに電力変換器PTを収容する際に突起状の部材5a〜5cが基板2a上の複数の電子部品2b−1〜2b−9と干渉しないようにすることができる。
また、実施の形態2では、樹脂板RPと突起状の部材5a〜5cとが、予め一体成型されている。これにより、樹脂板RPと突起状の部材5a〜5cとが一体型の部材であるため、管理や保管、輸送が容易である。
実施の形態3.
実施の形態3にかかる電力変換器のケース1jについて図12〜図15を用いて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。図12は、電力変換器のケース1jとなるべき樹脂板RP及び冷却流路形成部6の構成及び樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図13は、樹脂板RPの折り曲げ手順を示す図である。図14は、電力変換器のケースの構成及び樹脂板の折り曲げ手順を示す図である。図15は、電力変換器のケースにおける風の流れを示す図であり、電力変換器のケース1jを図14の上側から見た場合について示している。
実施の形態1では、電力変換器PTにおける複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち発熱量の大きい電子部品2b−8,2b−9にヒートシンクHSを熱的に接触させて複数の放熱フィン4a−1〜4a−5から放熱を行っている。
このとき、電子部品2b−8,2b−9の発熱が大きくなると、場合によってはファンを使用し強制冷却を行う必要がある。そこで、実施の形態1にかかる電力変換器のケース1に対して、図16に示すように、ヒートシンクHSにおける第1の側方(図1の紙面手前側)にファン7を追加した構成を考える。電力変換器のケース1(図1参照)では、複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が第1の側方で開放されているので、ファン7を動作させると、図17に破線の矢印で示すように、複数の放熱フィン4a−1〜4a−5の間を冷却風が流れる。この構造とすることで複数の放熱フィン4a−1〜4a−5の放熱効率が上がり、ヒートシンクHSに接触している電子部品2b−8,2b−9の放熱が促進されるので、電子部品2b−8,2b−9の発熱が大きくなった場合に、要求される放熱性を確保できる。
しかしながら、この構造ではヒートシンクHSに熱的に接触している電子部品以外の電子部品(例えば、電子部品2b−1)に対しては、直接の放熱が難しくなる。ヒートシンクHSに接触している電子部品以外にも発熱量が大きい電子部品がある場合には、それらについても放熱方法を検討する必要がある。
この問題を解決するためには、電力変換器PTにおけるヒートシンクHSに熱的に接触していない領域(すなわち、ヒートシンクHSと背板1bとの間の空間SP)にも冷却風を送り込む必要がある。このとき、空間SPにただ冷却風を送り込むだけでは、冷却風が拡散し発熱量の比較的大きい、放熱をしたい電子部品(例えば、電子部品2b−1)に風が集まらず、放熱効率が低下する可能性がある。放熱効率の低下を防ぐためには、発熱量の大きい電子部品に対して、風量を集中させる工夫が必要となる。
そこで、実施の形態3では、空間SP内において、発熱量の比較的大きい電子部品(例えば、電子部品2b−1)への冷却風の流路を作成することで発熱量の大きい部品に対して、風量を集中させる構造を持たせる。すなわち、冷却流路形成部6が、樹脂板RPの折り曲げにより複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち発熱する電子部品2b−1への冷却風の流路を形成するように位置する。冷却流路形成部6は、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材6a〜6cを含む。突起状の部材6a〜6cは、それぞれ、樹脂板RP上における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている(図12〜図15参照)。
例えば、突起状の部材6b,6cは、第2の側板1eに対応した部分1e’の高背部1e1’における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。例えば、突起状の部材6aは、天板1cに対応した部分1c’における樹脂板RPを折り曲げた際に基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。
また、第2の側板1eは、冷却流路形成部6により形成される冷却風の流路に対応した構造を有している。第2の側板1eは、例えば、突起状の部材6bと突起状の部材6cとの間の領域に開口1e14を有する。
また、ヒートシンクHSjは、冷却流路形成部6により形成される冷却風の流路に対応した構造を有している。ヒートシンクHSjは、例えば、最も背板1b側の放熱フィン4a−1jにおける放熱をしたい電子部品(例えば、電子部品2b−1)に対応した部分に切り欠き部4hが形成されているとともに、切り欠き部4hの下流側における放熱フィン4a−1jと放熱フィン4a−2との間に壁部4iが設けられている。
また、樹脂板RPの折り曲げ手順が、図12〜図15に示すように、次の点で実施の形態1と異なる。
図12に示す工程では、樹脂板RP及び冷却流路形成部6を準備する。樹脂板RPは、例えば平面形であり、冷却流路形成部6は、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材6a〜6cを含む。樹脂板RP及び突起状の部材6a〜6cは、例えば、予め一体成型されたものである。
そして、樹脂板RPにおける底板1aに対応した部分1a’と背板1bに対応した部分1b’との境界を軸にして、部分1a’と部分1b’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、底板1a及び背板1bが形成される。
図13に示す工程では、ネジ止め等により互いに組み合された後の電力変換器PT及びヒートシンクHSj(図4参照)が底板1a上に載置される。このとき、突起状の部材6a〜6cは、基板2a上の複数の部品2b−1〜2b−9に干渉しないように位置している。
図14に示す工程では、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が直角より若干大きい鈍角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、突起状の部材6b,6cが形成すべき流路に対応した位置の近傍に位置する(図15参照)。上記の直角より若干大きい鈍角は、嵌合部1c5,1c6(図2参照)が第2の側板1eに干渉しないとともに突起状の部材6b,6cが天板1cに干渉しないように決められた角度である。
なお、嵌合部1c5,1c6及び嵌合部1e11,1e12(図2参照)が設けられない場合、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第2の側板1eが形成されるとともに、突起状の部材6b,6cが形成すべき流路に対応した位置に位置する(図15参照)。
また、樹脂板RPにおける底板1aと第1の側板1dに対応した部分1d’との境界を軸にして、底板1aと部分1d’とのなす角度が直角より若干大きい鈍角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、突起状の部材6aが形成すべき流路に対応した位置の近傍に位置する(図15参照)。上記の直角より若干大きい鈍角は、嵌合部1c3,1c4(図2参照)が第1の側板1dに干渉しないとともに突起状の部材6aが天板1cに干渉しないように決められた角度である。
なお、嵌合部1c3,1c4及び嵌合部1d11,1d12(図2参照)が設けられない場合、樹脂板RPにおける底板1aと第1の側板1dに対応した部分1d’との境界を軸にして、底板1aと部分1d’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第1の側板1dが形成されるとともに、突起状の部材6aが形成すべき流路に対応した位置に位置する(図15参照)。
図14に示す工程では、樹脂板RPにおける背板1bと天板1cに対応した部分1c’との境界を軸にして、背板1bと部分1c’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、天板1cが形成される。
その後、樹脂板RPにおける底板1aと第2の側板1eに対応した部分1e’との境界を軸にして、底板1aと部分1e’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第2の側板1eが形成される。このとき、嵌合部1e11,1e12が、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c5,1c6に第1の側板1dの反対側から嵌め込まれる。
なお、嵌合部1c5,1c6及び嵌合部1e11,1e12(図2参照)が設けられない場合、この折り曲げは不要である。
また、樹脂板RPにおける底板1aと第1の側板1dに対応した部分1d’との境界を軸にして、底板1aと部分1d’とのなす角度が略直角になるように樹脂板RPを折り曲げる。これにより、第1の側板1dが形成される。このとき、嵌合部1d11,1d12が、それぞれ、天板1cにおける嵌合部1c3,1c4に第2の側板1eの反対側から嵌め込まれる。
なお、嵌合部1c3,1c4及び嵌合部1d11,1d12(図2参照)が設けられない場合、この折り曲げは不要である。
そして、ヒートシンクHSjにおける第1の側方(図14の紙面手前側)にファン7を取り付ける。
このように、樹脂板RPを折り曲げながら対応する嵌合部どうしを嵌め込んだり基板2aを基板支持部1d14に嵌め込むことで、図1と同様の外観構成を有する電力変換器のケース1jが完成する(図14及び図15参照)。
このように形成された電力変換器のケース1jでは、複数の放熱フィン4a−1〜4a−5が第1の側方で開放されているので、ファン7を動作させると、図15に破線の矢印で示すように、複数の放熱フィン4a−1j〜4a−5の間を冷却風が流れる。この冷却風のうち放熱フィン4a−1jと放熱フィン4a−2との間を流れる冷却風は、壁部4iで下流側への移動が阻止されて切欠き部4hへ向かう。
このとき、冷却流路形成部6が、空間SPにおいて、放熱したい電子部品2b−1への冷却風の流路を形成しているので、切欠き部4hへ向かった冷却風は、効率的に放熱したい電子部品2b−1に晒された後、第2の側板1eの開口1e14から外部へ排出される。
以上のように、実施の形態3では、電力変換器のケース1jにおける冷却流路形成部6が、樹脂板RPの折り曲げにより複数の電子部品2b−1〜2b−9のうち発熱する電子部品2b−1への冷却風の流路を形成するように位置する。すなわち、電力変換器のケース1jが樹脂板RPの折り曲げにより形成されるように構成されているので、組立て時に基板をスライド挿入する必要がなく、ケース1jに電力変換器PTを収容する際に冷却流路形成部6(例えば、突起状の部材6a〜6c)が基板2a上の複数の電子部品2b−1〜2b−9と干渉しないようにすることができる。また、冷却流路形成部6が発熱量の比較的大きい、放熱をしたい電子部品(例えば、電子部品2b−1)への冷却風の流路を形成するので、放熱をしたい電子部品へ効率的に冷却風を集めることができ、放熱効率を向上できる。
また、実施の形態3では、電力変換器のケース1jにおける冷却流路形成部6が、樹脂板RPから立ち上がった突起状の部材6a〜6cを含む。これにより、突起状の部材6a〜6cを、樹脂板RPの折り曲げにより、発熱する電子部品2b−1への冷却風の流路を形成するように位置させることができる。
また、実施の形態3では、突起状の部材6a〜6cが、樹脂板RP上における樹脂板RPを折り曲げた際に複数の電子部品2b−1〜2b−9に干渉しない位置から立ち上がっている。これにより、ケース1jに電力変換器PTを収容する際に突起状の部材6a〜6cが基板2a上の複数の電子部品2b−1〜2b−9と干渉しないようにすることができる。
また、実施の形態3では、樹脂板RPと突起状の部材6a〜6cとが、予め一体成型されている。これにより、樹脂板RPと突起状の部材6a〜6cとが一体型の部材であるため、管理や保管、輸送が容易である。