JP5998930B2 - 液晶配向処理剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向処理剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、ジアミン化合物、このジアミン化合物を用いて得られるポリイミド前駆体やポリイミドなどの重合体、この重合体を含む液晶配向処理剤、この液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜及びこの液晶配向膜を使用した液晶表示素子に関する。
液晶配向膜は、表示デバイスとして広く使用されている液晶表示素子の構成部材であり、液晶を一定の方向に配向させるという役割を担っている。現在、工業的に使用されている主な液晶配向膜は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸とも言う。)又はポリイミドの溶液からなる液晶配向処理剤から形成される。具体的には、基板に液晶配向処理剤を塗布して加熱した後、基板面に対し液晶を平行又は傾斜させて配向させるための配向処理が施される。配向処理としては、ラビングによる表面延伸処理が挙げられるが、この他にも、偏光紫外線照射などによる異方性光学反応を利用した配向処理が提案されている。
液晶配向膜には、液晶を一定の方向に配向させるという役割以外にも、液晶のプレチルト角を制御するという役割がある。さらに、近年、液晶表示素子が高機能化し、その使用範囲が益々拡大する中で、液晶配向膜には、液晶表示素子の表示不良を抑制して高い表示品位を実現するための性能や信頼性が求められている。
例えば、上述したラビング処理は、液晶配向膜の表面を布で擦ることにより行われるが、異物対策などの点から、液晶配向膜には、ラビング処理による削れの程度が軽微であること、すなわち、ラビング耐性が高い(機械的強度が高い)ことが求められている。特許文献1には、ラビング耐性の向上を目的として、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物をポリイミド系の液晶配向処理剤に含有させることが記載されている。
日本特開平9−146100号公報
液晶表示素子を構成する液晶パネルの製造プロセスでは、ラビング処理で発生した微量の削れカスや、焼成時に液晶配向膜に付着した不純物を取り除くために、液晶配向膜を水や有機溶媒で洗浄する洗浄プロセスがある。この場合、これら洗浄液、特に有機溶媒に対して液晶配向膜が溶解しないこと、すなわち、溶剤耐性が高いことが必要となる。洗浄液に液晶配向膜が溶解すると、所定の膜厚の液晶配向膜が得られなくなり、液晶表示素子における高い表示品位を実現することが困難である。
また、近年の液晶表示素子の高性能化に伴って、大画面で高精細の液晶テレビや、車載用途、例えば、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの用途に液晶表示素子が用いられている。こうした用途では、高輝度を得るために、発熱量の大きいバックライトを使用する場合がある。この場合、バックライトからの光に対する高い安定性が要求されるようになっている。特に、電気特性の1つである電圧保持率が、バックライトからの光照射によって低下してしまうと、液晶表示素子の表示不良の1つである焼付き不良(線焼付き)が発生しやすくなってしまい、信頼性の高い液晶表示素子を得ることができなくなる。したがって、液晶配向膜においては、初期特性が良好なことに加え、例えば、光照射に長時間曝された後であっても、電圧保持率が低下しにくい特性が求められている。
本発明は、上記特性を兼ね備えた液晶配向膜を提供することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、液晶パネル製造プロセス中の洗浄工程で十分な溶剤耐性を有し、かつ光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制された液晶配向膜、該液晶配向膜を得ることのできる液晶配向処理剤、さらには、該液晶配向処理剤を使用した優れた表示品位を備えた液晶表示素子を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の液晶配向処理剤を構成するポリイミド前駆体、ポリイミド、及び、これらポリイミド前駆体やポリイミドを得るためのジアミン化合物を提供することにもある。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、以下の知見を得て本発明を完成するに至った。すなわち、特定構造のジアミン化合物を用いることにより、特徴的な構造を有するポリイミド前駆体が得られ、また、このポリイミド前駆体をイミド化することで特徴的な構造を有するポリイミドが得られることを見出した。
そして、これらのポリイミド前駆体及びポリイミドの内の少なくとも一方を含んで構成された液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するのに好適であり、得られた液晶配向膜は、上記した本発明の目的を達成するのに極めて有効であることを見出した。上記した特定構造のジアミン化合物は、文献未掲載の新規化合物を含む。
本発明は、以下の要旨を有するものである。
1.下記式[1]で表わされるシクロカーボネート基が側鎖末端に存在するジアミン化合物を原料とするポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
Figure 0005998930
(X は、−O−、−NH−、−N(CH )−、−CONH−、−NHCO−、−CH O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH )−又はN(CH )CO−であり、X は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、X は、下記の式[1a]に示す構造である。)
Figure 0005998930
2.前記ジアミン化合物が、下記式[2]で表わされるジアミン化合物である上記1に記載の液晶配向処理剤。
Figure 0005998930
(Xは、−O−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−であり、Xは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは、下記の式[1a]に示す構造であり、nは1〜4の整数である。)
Figure 0005998930
3.さらに、1級アミノ基と窒素含有複素環とを分子構造中に有する塩基を含有することを特徴とする上記1又は2に記載の液晶配向処理剤。
4.前記塩基は、3−アミノプロピルイミダゾール及び3−ピコリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である上記3に記載の液晶配向処理剤。
5.前記ポリイミド前駆体及びポリイミドを溶解する有機溶媒を含有し、該有機溶媒が液晶配向処理剤中に5〜80質量%の貧溶媒を含有する上記1〜4の何れかに記載の液晶配向処理剤。
6.上記1〜5の何れかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
7.電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられる上記6に記載の液晶配向膜。
8.上記7に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素
本発明の液晶配向処理剤を用いて得られる液晶配向膜は、液晶パネル製造プロセス中の洗浄工程で十分な溶剤耐性を有し、また、光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制される。さらに、この液晶配向膜を有する液晶表示素子は優れた表示品位を有する。
また、本発明によれば上記液晶配向処理剤の原料である新規なジアミン化合物が提供され、また、ジアミン化合物から製造されるポリイミド前駆体及びポリイミドもが提供される。
本発明の液晶配向処理剤は、シクロカーボネート基を有するポリイミド前駆体及びこのポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドの内の少なくとも一方を含有する。ここで、シクロカーボネート基は、ポリイミド前駆体及びポリイミドのそれぞれ側鎖末端に位置するのが好ましい。
具体的には、本発明の液晶配向処理剤は、下記式[1]の側鎖を有するポリイミド前駆体及びこのポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドの内の少なくとも一方を含有するものである。
Figure 0005998930
式[1]中、Xは、−O−(エーテル結合)、−NH−(アミノ結合)、−N(CH)−(メチル化アミノ結合)、−CONH−(アミド結合)、−NHCO−(逆アミド結合)、−CHO−(メチレンエーテル結合)、−COO−(エステル結合)、−OCO−(逆エステル結合)、−CON(CH)−(N−メチル化アミド結合)及びN(CH)CO−(N−メチル化逆アミド結合)よりなる群から選ばれる結合基である。原料の合成が容易で入手が比較的容易なことから、Xは、−O−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−CHO−、−COO−又はOCO−であることが好ましい。より好ましくは、−O−、−CONH−、−CON(CH)−、−CHO−又はCOO−である。
式[1]中、Xは炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。
式[1]中、Xはシクロカーボネート基を表す。具体的には、Xは下記の式[1a]で示される構造であることが好ましい。
Figure 0005998930
式[1]中の側鎖の端部に存在するシクロカーボネート基は、加熱下でカルボキシル基及び水酸基の内の少なくとも一方と反応して、重合体が架橋した構造を形成する。これにより、溶剤耐性に優れ、また、バックライトなどの光照射に対する安定性にも優れた液晶配向膜とすることができる。
また、シクロカーボネート基が式[1]の側鎖端部に位置する場合、架橋密度の高い構造とともに、高い伸びや靭性を有する液晶配向膜が得られる。これにより、ラビングの際に重合体の延伸性が阻害され難くなるので、高いラビング耐性の実現が可能である。さらに、側鎖端部にあるシクロカーボネート基は、架橋反応を効率的に進行させることができるので、架橋性化合物を添加した場合であっても、液晶表示素子の特性低下などをもたらす未反応の架橋性化合物の残留を低減することもできる。
このように、上記液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜は、液晶パネルの製造プロセスでの溶剤耐性に優れ、また、バックライトによる光照射の影響で電圧保持率が大きく低減することもない。さらに、ラビング耐性にも優れることから、この液晶配向膜を適用することで、表示品位に優れた液晶表示素子が得られる。
以下では、本発明の液晶配向処理剤に使用される特定構造のジアミン化合物について詳しく説明する。本発明の液晶配向処理剤は、ポリイミド前駆体やポリイミドに加えて、その他の成分を含むことが可能であり、好ましくは、塩基としての塩基性化合物や、その他のジアミン化合物などを含んで構成される。
<特定ジアミン化合物>
本発明の液晶配向処理剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド前駆体及びこのポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミド(本明細書では、これらを総称して特定重合体と言うことがある。)を含有する。ジアミン成分には、下記の式[2]で示されるジアミン化合物(本明細書では、特定ジアミン化合物ともいう。)が含まれることが好ましい。
Figure 0005998930
式[2]中、X、X、及びXは、上記式[1]における場合と同じ定義を有する。式[2]中、nは1〜4の整数であり、好ましくは、nは1〜2の整数であり、より好ましくは、nは1である。
式[2]における2つのアミノ基(−NH)の結合位置は限定されない。具体的には、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。中でも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の観点から、2,4の位置、2,5の位置、3,5の位置が好ましい。
式[2]における好ましいX、X、X及びnの好ましい組み合わせは、表1に示す組合せ番号(2−1)〜(2−15)に示す通りである。
Figure 0005998930
<特定ジアミン化合物の合成方法>
式[2]で示される特定ジアミン化合物を製造する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、以下に示すものが挙げられる。
一例として、本発明の特定ジアミン化合物は、下記式[2A]で示すジニトロ体を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得られる。
Figure 0005998930
ジニトロ基を還元する方法には、特に制限はなく、通常、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ又は硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はアルコール系溶剤などの溶媒中において、水素ガス、ヒドラジン又は塩化水素などによって行う方法がある。尚、式[2A]中のX、X、X及びnは、上記した特定ジアミン化合物における式[2]中の定義と同じである。
式[2A]のジニトロ体は、Xを介してX及びXを結合させ、その後、Xを介してジニトロ部と結合させる方法のほか、連結部Xを介してジニトロ部とXとを結合させ、その後、Xと結合させる方法などで得ることができる。
これらの結合基は、有機合成における公知の手法を適宜選択して用い、形成することができる。例えば、Xがエーテル又はメチレンエーテル結合の場合、それを形成する方法としては、対応するジニトロ基含有ハロゲン誘導体と、X及びXを含む水酸基誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法の他、ジニトロ基含有水酸基誘導体と、X及びXを含むハロゲン置換誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
また、Xがアミノ結合の場合は、対応するジニトロ基含有ハロゲン誘導体と、X及びXを含むアミノ基置換誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
また、Xがアミド結合の場合は、対応するジニトロ基含有酸クロリド体と、X及びXを含むアミノ基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
また、Xが逆アミド結合の場合は、対応するジニトロ基含有アミノ基置換体と、X及びXを含む酸クロリド体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
また、Xがエステル結合の場合は、対応するジニトロ基含有酸クロリド体と、X及びXを含む水酸基置換誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
また、Xが逆エステル結合の場合は、対応するジニトロ基含有水酸基誘導体と、X及びXを含む酸クロリド体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
ジニトロ基含有ハロゲン誘導体及びジニトロ基含有誘導体の具体例としては、3,5−ジニトロクロロベンゼン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、3,5−ジニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸クロリド、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロベンジルクロリド、2,4−ジニトロベンジルクロリド、3,5−ジニトロベンジルアルコール、2,4−ジニトロベンジルアルコール、2,4−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロフェノール又は2,4−ジニトロフェニル酢酸などが挙げられる。原料の入手の方法と容易性及び反応性などの点を考慮して、これらの内から1種又は複数種を選択して用いることができる。
<塩基性化合物>
本発明の液晶配向処理剤は、ポリイミド前駆体やポリイミドが有するシクロカーボネート基の架橋反応を進行させる目的で、塩基として塩基性化合物を含有していることが好ましい。塩基性化合物の種類については、シクロカーボネート基の架橋反応を進行させるために十分な塩基性があれば特に限定されない。
具体的には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアなどの無機アミン化合物、ピリジンやトリエチルアミンなどの有機アミン化合物等が挙げられる。なかでも、液晶配向膜の電気特性の点から、有機アミン化合物が好ましい。
有機アミン化合物の例としては、より具体的に、下記の式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を挙げることができる。
これらのアミン化合物は、特定重合体の溶液に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、本発明の特定重合体を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
Figure 0005998930
Figure 0005998930
Figure 0005998930
Figure 0005998930
Figure 0005998930
Figure 0005998930
より好ましい有機アミン化合物としては、M6、M7、M16、M17、M20、M35、M36、M40、M49、M50、M60〜M62、M69、M70、M76、M118〜M121、M135、又はM140が挙げられる。さらに好ましいのは、M6、M16、M17、M35、M36、M40、M49、M50、M60、M61、M118、M120、M121、又はM140である。最も好ましいのは、M6、M17、M35、M40、M61、又はM118である。
本発明の液晶配向処理剤に含有される塩基性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の液晶配向処理剤における、塩基性化合物の含有量は、特定重合体100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましく、ポリアミド酸やポリイミド中に含まれるカルボン酸基や水酸基と反応を促進させ、かつ液晶の配向性を低下させないために、より好ましくは0.1〜50質量部であり、特には、1〜30質量部である。
<ポリイミド前駆体及びポリイミド>
本発明において、特定重合体は、ポリイミド前駆体、及びポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の重合体である。
特定重合体は、下記の式[A]で示されるジアミン成分と下記の式[B]で示されるテトラカルボン酸二無水物成分とを縮重合させることで比較的簡便に得られことから、下記の式[C]で示される繰り返し単位を有するポリアミド酸、さらには、このポリアミド酸をイミド化させたポリイミドが好ましい。
Figure 0005998930
式[B]中、Rは2価の有機基であり、Rは4価の有機基を示す。
Figure 0005998930
式[C]中、R、Rは、式[A]、及び式[B]で定義したものと同意義であり、R、Rは、それぞれ1種類でもあっても、異なった複数種を組み合わせたものでも良く、nは正の整数を示す。
本発明のポリイミド前駆体及びポリイミドは、上記特定のジアミン化合物を含有するジアミン成分と酸二無水物成分とを用いて得られる。かかるジアミン成分は、下記式[3]で表されるジアミン化合物(本明細書では、特定側鎖型ジアミン化合物ともいう。)を含有することができる。
Figure 0005998930
式[3]中、Yは単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又はOCO−より選ばれる2価の有機基である。中でも、単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−又はCOO−は、側鎖構造を合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CHO−又はCOO−である。
式[3]中、Yは単結合又は(CH−(bは1〜15の整数である)より選ばれる2価の有機基である。中でも、単結合又は(CH−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
式[3]中、Yは単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又はOCO−より選ばれる2価の有機基である。中でも、単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又はOCO−は、合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又はOCO−である。
式[3]中、Yは、ベンゼン環、シクロへキシル環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子が、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基及びフッ素原子よりなる群から選ばれる基で置換されていてもよい2価の有機基、又は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基より選ばれる2価の有機基である。中でも、ベンゼン環、シクロへキシル環又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基が好ましい。
式[3]中、Yは、ベンゼン環、シクロへキシル環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子が、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基及びフッ素原子よりなる群から選ばれるもので置換されていてもよい2価の有機基である。中でも、ベンゼン環又はシクロへキシル環が好ましい。
式[3]中、Yは、炭素数1〜18、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜9のアルキル基、炭素数1〜18、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜9のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜9のアルコキシル基、又は炭素数1〜18、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜9のフッ素含有アルコキシル基である。
式[3]中、nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。また、mは1〜4の整数である。好ましくは、1〜2の整数である。
式[3]におけるY、Y、Y、Y、Y、Y及びnの好ましい組み合わせは、表2〜表43に示す通りである。
Figure 0005998930
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式[3]で表わされる特定側鎖型ジアミン化合物は、より具体的には、下記の式[3−1]〜式[3−31]で示される構造である。
Figure 0005998930
式[3−1]〜式[3−3]中、Rは、−O−、−OCH−、−CHO−、−COOCH−、又は−CHOCO−を示し、Rは、炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。
Figure 0005998930
式[3−4]〜式[3−6]中、Rは、−COO−、−OCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−又はCH−を示し、Rは、炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。
Figure 0005998930
式[3−7]及び式[3−8]中、Rは、−COO−、−OCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−又はO−を示し、Rは、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基である。
Figure 0005998930
式[3−9]及び式[3−10]中、Rは、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。
Figure 0005998930
式[3−11]及び式[3−12]中、Rは、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。
Figure 0005998930
式[3−13]中、Aは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、Aは、1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、Aは、酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手がAと結合する。)であり、Aは、酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH)a)と結合する。)である。また、aは、0又は1の整数であり、aは2〜10の整数であり、aは0又は1の整数である)。
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<その他のジアミン化合物>
本発明のポリイミド前駆体は、式[2]で表される特定ジアミン化合物を用いて得ることができるが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記式[3]で表される特定側鎖型ジアミン化合物とともに、その他のジアミン化合物を併用できる。かかるその他のジアミン化合物の具体例を以下に挙げる。
例えば、p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン及び1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン及び1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
また、その他のジアミン化合物として、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環若しくは複素環を有するもの、又は、これらからなる大環状置換体を有するものなどを挙げることもできる。具体的には、下記の式[DA1]〜式[DA12]で示されるジアミンを例示することができる。
Figure 0005998930
式[DA1]〜式[DA5]中、Aは、炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。
Figure 0005998930
式[DA6]〜式[DA11]中、Aは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH−、−O−、−CO−又はNH−を示し、Aは、炭素数1〜22のアルキル基若しくはフッ素含有アルキル基を示す。
Figure 0005998930
式[DA12]中、pは1〜10の整数である。加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記の式[DA13]〜式[DA20]で示されるジアミン化合物を用いることもできる。
Figure 0005998930
式[DA17]中、mは0〜3の整数であり、式[DA20]中、nは1〜5の整数である。
さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記の式[DA21]〜式[DA24]で示される分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を用いることもできる。
Figure 0005998930
式[DA21]中、mは1〜4の整数であり、式[DA22]中、Aは、単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−である。m及びmはそれぞれ0〜4の整数を示し且つm+mは1〜4の整数を示す。式[DA23]中、m及びmはそれぞれ1〜5の整数であり、式[DA24]中、Aは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基であり、mは1〜5の整数である。式[DA25]中、Aは、単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−であり、mは1〜4の整数である。
上記の特定側鎖型ジアミン化合物、及びその他ジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリイミド前駆体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応によって得られる。以下では、テトラカルボン酸成分の具体例を挙げる。
本発明の特定重合体を得るためには、下記の式[4]で示されるテトラカルボン酸二無水物(本明細書では、特定テトラカルボン酸二無水物ともいう。)を原料の一部に用いることが好ましい。
Figure 0005998930
式[4]中、Zは、炭素数4〜13の4価の有機基であり、且つ炭素数4〜10、好ましくは4〜6の非芳香族環状炭化水素基を有する。
1の好ましい具体例は、下記の式[4a]〜式[4j]で示される。
Figure 0005998930
式[4a]中、Z〜Zは水素原子、メチル基、塩素原子及びベンゼン環から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[4g]中、Z、Zは水素原子又はメチル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[4]中、Zの特に好ましい構造は、重合反応性や合成の容易性から、式[4a]、式[4c]、式[4d]、式[4e]、式[4f]又は式[4g]である。
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。その他テトラカルボン酸二無水物としては、以下に示すテトラカルボン酸のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。その具体例としては、例えば、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、オキシジフタルテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロヘプタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロへキシルコハク酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,3,0]ノナン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,8,10−テトラカルボン酸、トリシクロ[6.3.0.0<2,6>]ウンデカン−3,5,9,11−テトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドリナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロへキサン−1,2−ジカルボン酸、テトラシクロ[6,2,1,1,0,2,7]ドデカ−4,5,9,10−テトラカルボン酸、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2:3,5:6ジカルボン酸又は1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸などが挙げられる。
本発明においては、上記のテトラカルボン酸二無水物の中から、液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性を考慮して、1種類又は2種類以上を選択して用いることができる。
<特定重合体>
本発明の液晶配向処理剤は、シクロカーボネート基を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドの内の少なくとも一方を含有する。本発明では、ポリイミド前駆体及びポリイミドを総称して特定重合体と言うことがある。
ポリイミド前駆体は、下記の式[A]で示される構造である。
Figure 0005998930
(式[A]中、Rは4価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、A及びAは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよく、nは正の整数を示す)。
本発明の特定重合体は、下記の式[B]で示されるジアミン成分と下記の式[C]で示されるテトラカルボン酸二無水物とを原料とすることで比較的簡便に得られるという理由から、下記の式[D]で示される繰り返し単位の構造式からなるポリアミド酸または該ポリアミド酸をイミド化させたポリイミドが好ましい。
Figure 0005998930
(式[B]および式[C]中、RおよびRは式[A]で定義したものと同意義である)。
Figure 0005998930
本発明において、特定重合体を合成する方法は特に限定されない。通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られる。一般的には、テトラカルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸成分と、1種又は複数種のジアミン化合物からなるジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸を得る。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを重縮合させてポリアミド酸を得る方法、テトラカルボン酸とジアミン成分とを脱水重縮合反応させてポリアミド酸を得る方法又はテトラカルボン酸ジハライドとジアミン成分とを重縮合させてポリアミド酸を得る方法が用いられる。
ポリアミド酸アルキルエステルを得るには、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸とジアミン成分とを重縮合させる方法、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸ジハライドとジアミン成分とを重縮合させる方法又はポリアミド酸のカルボキシル基をエステルに変換する方法が用いられる。
ポリイミドを得るには、前記のポリアミド酸またはポリアミド酸アルキルエステルを閉環させてポリイミドとする方法が用いられる。
特定重合体中のシクロカーボネート基の割合が多くなるほど、この特定重合体を含有して構成された液晶配向処理剤を使用して得られる液晶配向膜の特性は良好なものとなる。具体的には、液晶パネル製造プロセスにおける溶剤耐性に優れ、ラビング耐性も良好になる。さらに、バックライトによる光の照射に対しても電圧保持率の低下が抑制されるようになる。
特定ジアミン化合物を用いてシクロカーボネート基を特定重合体に導入する場合、上記した溶剤耐性などの特性を高める点からは、特定ジアミン化合物は、ジアミン成分の内の1モル%以上、さらには、モル%以上、より好ましくは10モル%以上使用される。また、ジアミン成分の100モル%が特定ジアミン化合物であることも可能である。しかしながら、液晶配向処理剤を塗布する際の均一な塗布性を維持する観点から、特定ジアミン化合物の使用量はジアミン成分の80モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下である。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応により、本発明のポリイミド前駆体を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。例えば、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを有機溶媒中で反応させる方法の使用が可能である。この方法は、有機溶媒中で比較的効率よく反応が進行するとともに、副生成物の発生が少ない点で好ましい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。また、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミド酸が析出しない範囲であれば、上記溶媒に混合して使用することもできる。尚、有機溶媒中の水分は、重合反応を阻害し、生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は、脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸成分をそのまま、又は、有機溶媒に分散若しくは溶解させて、添加する方法を用いることが可能である。また、逆に、テトラカルボン酸成分を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法や、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを交互に添加する方法なども挙げることができる。本発明においては、これらの何れの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させて高分子量体としてもよい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させる温度は、−20〜150℃の範囲内で任意に選択することができるが、反応効率を考慮して、−5〜100℃の範囲とすることが好ましい。また、反応は、任意の濃度で行うことができる。但し、濃度が低すぎると、高分子量のポリイミド前駆体を得ることが難しくなる。一方、濃度が高すぎると、反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。したがって、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。尚、反応初期は高濃度で行い、その後に有機溶媒を追加することも可能である。
ポリイミド前駆体の重合反応においては、ジアミン成分の合計モル数と、テトラカルボン酸成分の合計モル数との比が、0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。したがって、場合に応じて適宜選択して合計モル比を決めることが可能である。
本発明のポリイミドは、上記したポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られる。このポリイミドは、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、ポリイミド前駆体の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて、例えば、45〜85%の範囲で調整することができる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化などが挙げられる。
ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を反応系外に除きながら行うことが好ましい。
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン又はトリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つ点で好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸又は無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸は反応終了後の精製が容易となる点で好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することで制御可能である。
ポリイミド前駆体又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミド前駆体又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン又は水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類又は炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、精製の効率がより一層上がるので好ましい。
本発明の液晶配向処理剤に含有される重合体の分子量は、これを用いて得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性及び塗膜の均一性を考慮し、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、液晶配向膜である樹脂被膜を形成するための樹脂成分を有機溶媒に溶解させて得られた溶液である。この樹脂成分は、上記した特定重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む。液晶配向処理剤中の樹脂成分の含有量は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明においては、液晶配向処理剤に含まれる樹脂成分の全てが特定重合体であってもよい。また、特定重合体に加えて、シクロカーボネート基を有しないその他のポリイミド前駆体又はポリイミドを使用してもよい。さらには、ポリイミド前駆体およびポリイミド以外の重合体、具体的には、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン又はポリアミドなどが挙げられる。その他の特定重合体の含有量は、0.5〜15質量%とすることができ、好ましくは1〜10質量%である。
本発明の液晶配向処理剤に有機溶媒を含有させる場合は、塗布により均一な薄膜を形成するという観点から、有機溶媒の含有量が70〜99質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましい。この含有量は、液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。その際の有機溶媒としては、上述した特定重合体を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。より具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
本発明の液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、エポキシ基、イソシアネート基又はオキセタン基を有する架橋性化合物、さらには、ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなら群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、加えて、重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を導入することもできる。
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記の式[5]で示すオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物が挙げられる。
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具体的には、下記の式[5−1]〜式[5−11]で示される架橋性化合物である。
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ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
この架橋性化合物としては、例えば、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基若しくはその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリルなどを用いることができる。このとき、メラミン誘導体及びベンゾグアナミン誘導体は、二量体又は三量体として存在することも可能である。これらは、トリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものであることが好ましい。
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル製)や、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド製)などが挙げられる。また、グリコールウリルの例としては、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル等、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリルなどが挙げられる。
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン、又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
より具体的には、下記の式[6−1]〜式[6−48]で示される架橋性化合物である。
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重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、さらに、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物などが挙げられる。
加えて、下記の式[7]で示される化合物を用いることもできる。
Figure 0005998930
式[7]中、Aは、シクロヘキシル環、ビシクロヘキシル環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環又はフェナントレン環から選ばれる基であり、Aは、下記の式[7a]、又は式[7b]から選ばれる基であり、nは1〜4の整数である。
Figure 0005998930
上記の化合物は、架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向処理剤に含有される架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
架橋性化合物の含有量は、液晶配向処理剤中の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましく、架橋反応が進行し、目的の効果を発現し、且つ液晶の配向性を低下させないために、より好ましくは0.1〜100質量部であり、特には1〜50質量部である。
液晶配向膜中の電荷移動を促進し、液晶配向膜を用いた液晶セルの電荷抜けを促進させる化合物として、下記の式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。このアミン化合物は、重合体の溶液に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、上述した重合体を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
Figure 0005998930
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さらに、本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、液晶配向処理剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる有機溶媒(貧溶媒とも言われる。)や化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などを用いることができる。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる貧溶媒の具体例としては次のものが挙げられる。例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル又は乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などである。これらの貧溶媒は、1種類で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。上記のような貧溶媒を用いる場合、その添加量は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製))、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物であるものが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン又はN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、この化合物の添加量は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜として用いることができる。また、垂直配向用途などの場合では配向処理なしでも液晶配向膜として用いることができる。この際に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコータ、スリットコータ、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレートなどの加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で溶媒を蒸発させて塗膜とすることができる。焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又又は偏光紫外線照射などで処理する。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。
本発明の液晶配向膜は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。
上記の液晶表示素子は、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式により、液晶分子のプレチルト角を制御するものである。PSA方式では、液晶材料中に少量の光重合性化合物、例えば光重合性モノマーを混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層に所定の電圧を印加した状態で光重合性化合物に紫外線などを照射し、生成した重合体によって液晶分子のプレチルト角を制御する。重合体が生成するときの液晶分子の配向状態が電圧を取り去った後においても記憶されるので、液晶層に形成される電界などを制御することにより、液晶分子のプレチルト角を調整することができる。また、PSA方式では、ラビング処理を必要としないので、ラビング処理によってプレチルト角を制御することが難しい垂直配向型の液晶層の形成に適している。
すなわち、本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合することで液晶分子の配向を制御するものとすることができる。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御できなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
以上例示した工程を経ることにより、本発明の液晶表示素子が得られる。これらの液晶表示素子は、液晶配向膜として本発明の配向膜を使用していることから、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用可能である。
以下に実施例を挙げて説明する。尚、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
実施例及び比較例で用いる略語は、以下の通りである。
<テトラカルボン酸二無水物>
A−1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
A−2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
Figure 0005998930
<特定ジアミン化合物>
B−1:実施例1で合成したジアミン化合物
Figure 0005998930
<その他のジアミン化合物>
B−2:3,5−ジアミノ安息香酸
B−3:1,3−ジアミノ−4−{4−〔トランス−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロへキシル)シクロへキシル〕フェノキシ}ベンゼン
Figure 0005998930
<塩基>
C−1:3アミノプロピルイミダゾール
C−2:3アミノピリジン
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
IPA:イソプロピルアルコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
実施例において、ポリアミド酸やポリイミドに関する分子量やイミド化率等の物性は、次のようにして評価した。
<ポリアミド酸、ポリイミドの分子量測定>
ポリアミド酸及びポリイミドの分子量には、昭和電工社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)、Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)を用いた。測定条件は、以下の通りである。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤:臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
<イミド化率の測定>
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製、NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)0.53mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液について、日本電子データム社製NMR測定器(JNW−ECA500)を用いて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5から10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い、以下の数式(1)によって求めた。

イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100 ・・・(1)
上記式(1)において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
次に、本発明の特定ジアミン化合物の合成例を示す。尚、合成例中、H−NMRとは、分子内水素原子の核磁気共鳴スペクトルを意味し、得られた化合物のスペクトルデータを示す。
実施例1.
(ジアミン化合物の合成)
Figure 0005998930
ジアミン化合物(B−1)の合成は、上記合成スキームにしたがって行った。具体的には、化合物(302)(21.51g、182.2mmol)、及びトリエチルアミン(18.44g、182.2mmol)のテトラヒドロフラン(400g)溶液を10℃以下に冷却し、これに対して化合物(301)(40.00g、173.5mmol)のテトラヒドロフラン(200g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応温度を23℃に上げ、さらに反応を行った。HPLC(高速液体クロマトグラフ)にて反応の終了を確認した後、蒸留水(4.8L)に反応液を注入し、析出した固体を濾過し水洗した後、メタノール(324g)で分散洗浄して化合物(303)を得た(得量:48.65g、収率:90%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.03(1H, t), 8.87(2H, d), 5.24-5.19(1H, m), 4.67-4.57(3H, m), 4.47(1H, dd).
化合物(303)(40.00g、128.1mmol)、5%パラジウムカーボン(含水型、4.0g、10wt%)、及び1,4−ジオキサン(600g)の混合物を、水素存在下にて、23℃で攪拌した。反応終了後、触媒をセライトにて濾過した後、エバポレータにて溶媒を留去し、オイル状の粗生物を得た。得られた粗生物に酢酸エチル(200g)を加え、加熱撹拌を行いながら結晶化させた後、濾過、乾燥を行い、白色固体として、ジアミン化合物(B−1)を得た(得量:17.45g、収率:54%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):6.42(2H, d), 6.04(1H, t), 5.14-5.09(1H, m), 5.03(4H, br s), 4.62(1H, t), 4.50(1H, dd), 4.39-4.32(2H, m).
実施例2.
<ポリアミド酸の合成1>
A−2(7.86g、31.4mmol)、B−3(5.62g、12.9mmol)、B−2(1.96g、12.9mmol)、及びB−1(2.79g、11.0mmol)をNMP(57.1g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、A−1(1.05g、5.51mmol)とNMP(20.1g)を加え、55℃で6時間反応させて、ポリアミド酸(A)の溶液(濃度20.0質量%)を得た。このポリアミド酸(A)の数平均分子量は25,528、重量平均分子量は97,025であった。
実施例3.
<ポリイミドの合成1>
実施例2で得られたポリアミド酸(A)の溶液(25.0g)にNMPを加えて6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.88g)、及びピリジン(1.51g)を加え、100℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(314g)に注ぎ、生成した沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(B)の粉末を得た。このポリイミド(B)のイミド化率は77%であり、数平均分子量は18,898、重量平均分子量は102,005であった。
ポリイミド(B)の粉末3.85gにNMP18.8gを加えて、70℃にて30時間攪拌して溶解させ、ポリイミド(B)溶液を得た。
実施例4.
<液晶配向処理剤の調製1>
実施例3で得られたポリイミド(B)溶液に、NMP、C−1のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて20時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−1が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例5.
<ポリアミド酸の合成2>
A−2(8.29g、33.0mmol)、B−3(5.93g、13.6mmol)、B−2(2.96g、19.4mmol)、及びB−1(1.47g、5.84mmol)をNMP(58.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、A−1(1.14g、5.81mmol)とNMP(20.3g)を加え、55℃で6時間反応させて、ポリアミド酸(C)の溶液(濃度20.0質量%)を得た。このポリアミド酸(C)の数平均分子量は24,325、重量平均分子量は82,359であった。
実施例6.
<ポリイミドの合成2>
実施例3と同様にして、実施例5で得られたポリアミド酸(C)の溶液(25.0g)に、NMPを加えて濃度6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(5.02g)、及びピリジン(1.55g)を加え、100℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(314g)に注ぎ、生成した沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥してポリイミド(D)の粉末を得た。このポリイミド(D)のイミド化率は77%であり、数平均分子量は20,405、重量平均分子量は82,988であった。
ポリイミド(D)の粉末3.82gにNMP18.6gを加えて、70℃にて30時間攪拌して溶解させ、ポリイミド(D)溶液を得た。
実施例7.
<液晶配向処理剤の調製2>
実施例4と同様にして、実施例6で得られたポリイミド(D)溶液にNMP、C−1のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて20時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−1が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例8.
<液晶配向処理剤の調製3>
実施例3で得られたポリイミド(B)溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて15時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−1が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例9.
<液晶配向処理剤の調製4>
実施例6で得られたポリイミド(D)溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて20時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−1が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例10.
<液晶配向処理剤の調製5>
実施例3で得られたポリイミド溶液(B)溶液に、NMP及びBCSを加えて攪拌し、ポリイミドが6質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例11.
<液晶配向処理剤の調製6>
実施例2で得られたポリアミド酸(A)の溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加えて攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−2が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例12.
<液晶配向処理剤の調製7>
実施例5で得られたポリアミド酸(C)溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加えて攪拌し、ポリアミド酸(C)が6質量%、C−2が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例13.
<液晶配向処理剤の調製8>
実施例2で得られたポリアミド酸(A)の溶液に、NMP及びBCSを加えて攪拌し、ポリイミドが6質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
以下では、比較例としてのポリアミド酸、ポリイミド及び液晶配向処理剤を示す。
比較例1.
A−2(41.7g,166mmol)、B−3(29.7g,68.3mmol)及びB−2(19.4g、12.7mmol)をNMP(290g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、A−1(5.57g,28.4mmol)とNMP(93.0g)を加え、55℃で6時間反応させて、ポリアミド酸(E)の溶液(濃度20.0質量%)を得た。このポリアミド酸(E)の数平均分子量は24,513、重量平均分子量は79,705であった。
比較例2.
実施例3と同様にして、比較例1で得られたポリアミド酸(E)の溶液(75.0g)に、NMPを加えて6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(15.55g)、及びピリジン(4.82g)を加え、100℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(946g)に注ぎ、生成した沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥してポリイミド(F)の粉末を得た。このポリイミド(F)のイミド化率は77%であり、数平均分子量は19,377、重量平均分子量は53,171であった。
ポリイミド(F)の粉末11.6gにNMP56.6gを加えて、70℃にて30時間攪拌して溶解させてポリイミド(F)溶液を得た。
比較例3.
実施例4と同様にして、比較例2で得られたポリイミド(F)溶液に、NMP、C−1のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて20時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−1が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
比較例4.
比較例2で得られたポリイミド(F)溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加え、50℃にて20時間攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−2が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
比較例5.
比較例2で得られたポリイミド(F)溶液に、NMP及びBCSを加えて攪拌し、ポリイミドが6質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
比較例6.
比較例1で得られたポリアミド酸(E)溶液に、NMP、C−2のNMP溶液及びBCSを加えて攪拌し、ポリイミドが6質量%、C−2が0.3質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
比較例7.
比較例1で得られたポリアミド酸(E)溶液に、NMP及びBCSを加えて攪拌し、ポリアミド酸(E)が6質量%、NMPが48.7質量%、BCSが45質量%になるよう調製した。細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過して液晶配向処理剤を得た。
実施例である液晶配向処理剤と、比較例の液晶配向処理剤とを表44に示す。
Figure 0005998930
次に、上記した実施例の液晶配向処理剤について、比較例と対比しながら評価を行った。まず、評価の方法について説明する。
<溶剤耐性の評価>
溶剤耐性は、溶剤浸漬後の残膜率を調べることによって評価した。具体的には、液晶配向処理剤をITO電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成した。この液晶配向膜付基板を23℃のNMPに1分間浸漬し、残膜率を以下の式にしたがって求めた。尚、数式(2)において、aは浸漬後の膜厚、bは浸漬前の膜厚である。

残膜率(%)=(a/b)×100 ・・・(2)
<電気特性及びUV耐性の評価>
液晶配向処理剤をITO電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100の塗膜を形成して、液晶配向膜付き基板を得た。この液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の液晶配向膜面上に6μmのスペーサを散布した後、この上からシール剤を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、シール剤を硬化して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−6608(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して垂直配向の液晶セルを得た。
上記の液晶セルに80℃の温度下で1Vの電圧を60μs印加し、50ms後の電圧を測定して電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。さらに、電圧保持率測定後の液晶セルにUV光(紫外光)を照射し、上記と同様にして電圧保持率の測定を再度行った。照射エネルギーは350nmにおける照射強度を基に算出した。評価結果を表45にまとめて示す。
Figure 0005998930
表45の評価結果に示すように、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、上記残膜率評価において、何れも高い残膜率を示し、溶剤耐性に優れていることが分かった。一方、比較例である液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、何れも低い残膜率を示し、実施例と比較して溶剤耐性が著しく劣ることが分かった。
溶剤耐性の評価をNMP以外の溶剤を使用して行った結果についても示す。溶剤にIPAを用いて、上記したNMPを使用した残膜率評価と同様の評価と、PGMEAを用いて上記したNMPを使用した残膜率評価と同様の評価を行ったところ、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜の残膜率は、何れの場合にも100%であった。一方、比較例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜の残膜率は何れの場合にも100%であった。
PGMEを用いて、上記したNMPを使用した残膜率評価と同様の評価を行った場合、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜の残膜率は100%であった。また、比較例3〜5の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜の各残膜率も100%であった。これに対して、比較例6の液晶配向膜の残膜率は30%であり、比較例7の液晶配向膜の残膜率は5%であった。
比較例6、7は、ポリアミド酸を含有する液晶配向処理剤であり、実施例11〜13も、ポリアミド酸を含有する液晶配向処理剤である。実施例11〜13の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜について、PGMEを用いて、上記したNMPを使用した残膜率評価と同様の評価を行った場合、残膜率は100%であって、高い値を示す。したがって、実施例では、ポリアミド酸を含有して液晶配向処理剤を構成しても高い溶剤耐性を示すことが分かる。
以上の評価結果から、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、非常に優れた溶剤耐性を有し、その従来技術に対する優位性は、特に溶解度の高い溶剤に対して明確に発揮されることが分かる。
次に、電気特性について述べる。実施例の液晶配向処理剤を用いた液晶セルは、何れも90%を超える高い電圧保持率を示し、電機特性に優れることが分かる。
UV耐性については、実施例11〜13の液晶配向処理剤を用いた液晶セルの電圧保持率は、UV照射後においても79%を超える高い値となっており、また、これら以外の他の実施例においては、90%を超える非常に高い電圧保持率を示す。
以上より、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜を有する液晶セルは、優れた電気特性とUV耐性を有することが分かる。
一方、比較例である液晶配向処理剤の場合、比較例6ではUV照射後の液晶セルの電圧保持率が70.8%で、比較例7では74.6%と低い値であることが分かる。また、何れの比較例においても、50JのUV光を照射した場合、電圧保持率が90%を超える高い値を示さないことも分かる。
以上の評価結果から、本発明のジアミン化合物を用いて得られるポリアミド酸及びポリイミドから液晶配向処理剤を用いて得られる液晶配向膜は、溶剤耐性に優れ、且つ、光照射による電圧保持率の低下を抑制できることが分かる。
本発明の液晶配向膜は、液晶パネル製造プロセス中の洗浄工程で十分な溶剤耐性を有し、また、光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制され、この液晶配向膜を有する液晶表示素子は優れた表示品位を有し、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用可能である。
なお、2010年6月10日に出願された日本特許出願2010−133337号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示の一部とする。

Claims (8)

  1. 下記式[1]で表わされるシクロカーボネート基が側鎖末端に存在するジアミン化合物を原料とするポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
    Figure 0005998930
    (Xは、−O−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−であり、Xは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは、下記の式[1a]に示す構造である。)
    Figure 0005998930
  2. 前記ジアミン化合物が、下記式[2]で表わされるジアミン化合物である請求項1に記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0005998930
    (Xは、−O−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−であり、Xは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは、下記の式[1a]に示す構造であり、nは1〜4の整数である。)
    Figure 0005998930
  3. さらに、1級アミノ基と窒素含有複素環とを分子構造中に有する塩基を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向処理剤。
  4. 前記塩基は、3−アミノプロピルイミダゾール及び3−ピコリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項3に記載の液晶配向処理剤。
  5. 前記ポリイミド前駆体及びポリイミドを溶解する有機溶媒を含有し、該有機溶媒が液晶配向処理剤中に5〜80質量%の貧溶媒を含有する請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶配向処理剤。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
  7. 電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられる請求項6に記載の液晶配向膜。
  8. 請求項7に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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