JP5998790B2 - 高分子電解質組成物成形体、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質組成物成形体、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description


本発明は、低加湿条件下および低温条件下においても優れたプロトン伝導性を有し、なおかつ優れた化学的安定性、機械強度、燃料遮断性および長期耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質組成物成形体および固体高分子型燃料電池に関するものである。

燃料電池は、水素、メタノールなどの燃料を電気化学的に酸化することによって、電気エネルギーを取り出す一種の発電装置であり、近年、クリーンなエネルギー供給源として注目されている。なかでも固体高分子型燃料電池は、標準的な作動温度が100℃前後と低く、かつ、エネルギー密度が高いことから、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として幅広い応用が期待されている。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のプロトン伝導体からなる高分子電解質膜とが、膜電極複合体(以降、MEAと略称することがある。)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。具体的には、アノード電極においては、触媒層で燃料ガスが反応してプロトン及び電子を生じ、電子は電極を経て外部回路に送られ、プロトンは電極電解質を介して高分子電解質膜へと伝導する。一方、カソード電極では、触媒層で、酸化ガスと、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、外部回路から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。
従来、パーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオン(登録商標)(デュポン社製)が高分子電解質膜に広く用いられてきた。ナフィオン(登録商標)はクラスター構造に起因するプロトン伝導チャネルを通じて、低加湿条件下で高いプロトン伝導性を示す一方で、多段階合成を経て製造されるため非常に高価であり、加えて、前述のクラスター構造により燃料クロスオーバーが大きいという課題があった。また、膨潤乾燥によって膜の機械強度や物理的耐久性が失われるという問題、軟化点が低く高温で使用できないという問題、さらには、使用後の廃棄処理の問題や材料のリサイクルが困難といった課題が指摘されてきた。
このような欠点を克服するために、ナフィオン(登録商標)に替わり得る、安価で、燃料クロスオーバーを抑制し、機械強度に優れ、軟化点が高く高温での使用に耐える、炭化水素系高分子電解質膜の開発が近年活発化している。なかでも特に、低加湿プロトン伝導性向上に向け、疎水性セグメントと親水性セグメントからなるブロック共重合体を用いて、ミクロ相分離構造を形成させる試みがいくつかなされている。
このような構造のポリマーを用いることで、疎水性セグメント同士が疎水性相互作用等により凝集しドメインを形成することにより機械強度を向上させられると共に、親水性セグメントがイオン性基同士の静電相互作用等によりクラスター化しイオン伝導チャネルを形成することにより低加湿条件下におけるプロトン伝導性を向上させることが出来る。 特許文献1には、スルホン酸基が導入されていないセグメントおよびスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体であって、その相分離構造が、共連続様の構造を示す一連のポリマーが提案されている。

ところでこれらの固体高分子型燃料電池においては、電池反応によって高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層において過酸化物が生成し、生成した過酸化物が拡散しながら過酸化物ラジカルとなって電解質を劣化させることが知られている。多くの場合、水素あるいはプロトンと酸素との副反応により電極上で過酸化水素が発生し、電解質中に拡散する。この過酸化水素は酸化力の強い物質であり、電解質を構成する多くの有機化合物を酸化する。主として、この過酸化水素がラジカル化し、生成したヒドロキシルラジカルが酸化反応の直接の反応物質になっていると考えられる。 一般に炭化水素系高分子電解質の場合、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質と比較して、過酸化水素による主鎖切断やスルホン酸基の分解を受けやすく、ラジカル耐性が低いため長期耐久性が低いという問題を有している。特に、前述のブロック共重合体を用いてミクロ相分離構造を形成させた高分子電解質組成物成形体の場合、親水性ドメインと疎水性ドメインが明確に相分離し、それぞれがプロトンの伝導と、成形体の機械的な保持という役割を担っている。それゆえ、疎水性ドメイン中の疎水性セグメントが過酸化水素と反応し、ポリマー鎖の切断が進行することにより、ランダム共重合体の場合以上に急速に脆化する。それゆえ、高分子電解質組成物成形体の膨潤を抑制できなくなり、脆化、膨潤双方が原因となり、ピンホールの生成や膜の破断が起こりやすくなり、結果長期耐久性が悪化してしまう。
特許文献2には、スルホン酸基が導入されていないセグメント、及びスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体が海島構造を形成し、その中に酸化マンガン微粒子を分散させる技術が開示されている。
特許文献3には、フッ素系ランダム共重合体と、疎水性化合物であるポリフェニレンスルフィド及びポリアゾールを混合した高分子電解質組成物が提案されている。
特許文献4には、スルホン酸基が導入されていないセグメント、及びスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体と、低分子スルフィドを混合する技術について記載されている。
特開2011−023308号公報 特開2010−238373号公報 再表2008−102851号公報 特開2004−047396号公報

しかしながら、本発明者らは、従来技術に以下の課題があることを見いだした。特許文献1記載の電解質は、酸化劣化を抑制するための添加剤を含んでいないため、前述の通り疎水性セグメントが過酸化水素による攻撃を受け、酸化反応が進行、電解質膜が脆化することでランダム共重合体と比較して長期耐久性が低下していた。
特許文献2では、海島構造を示しており、共連続やラメラ様の相分離構造は観察されず、本発明の前記課題を有するものではない。ただ、酸化防止剤である酸化マンガンを分散させているので、疎水性セグメントを保護できるのではないかと考えた。しかしながら、酸化マンガンが親水性化合物であるがゆえに、疎水性セグメントを十分に保護することが出来なかった。
特許文献3記載の組成物は、前記特許文献2の場合と同様に、共連続やラメラ様の構造は観察されず、本発明の前記課題を有するものではない。ただ、酸化防止剤としてポリフェニレンスルフィドを分散させている。
また特許文献4では、前記特許文献2の場合と同様に、共連続やラメラ様の構造は観察されず、本発明の前記課題を有するものではない。ただ、酸化防止剤としてスルフィドを混合している。
ここで本発明者らは、ポリフェニレンスルフィドおよびスルフィドが疎水性であることに着目し、本発明の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたものである。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低加湿条件下および低温条件下においても優れたプロトン伝導性を有し、なおかつ化学的安定性、機械強度および燃料遮断性に優れる上に、固体高分子型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度、優れた長期耐久性を達成することができる高分子電解質組成物成形体、ならびにそれを用いた固体高分子型燃料電池を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち本発明の高分子電解質組成物成形体は、イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)をそれぞれ1個以上有するブロック共重合体と添加剤とを含有する高分子電解質組成物成形体であって、前記成形体が共連続またはラメラ様の相分離構造を形成し、かつ、前記添加剤が疎水性であることを特徴とするものである。
本発明によれば、低加湿条件下においても優れたプロトン伝導性を有し、なおかつ機械強度と化学的安定性に優れる上に、固体高分子型燃料電池としたときに高出力、優れた物理的耐久性を達成することができる高分子電解質組成物成形体を提供することができる。
4つに分類された相分離構造様態
以下、本発明にかかる高分子電解質組成物成形体について詳細に説明する。
本発明者らは、燃料電池等の高分子電解質組成物成形体として、前記課題を克服すべく、鋭意検討を重ねた結果、高分子電解質組成物成形体のプロトン伝導性及び過酸化水素による酸化劣化の程度の双方が、相分離構造、つまりイオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)の高次構造やその形状に大きく依存すること、そして、酸化劣化を抑制する添加剤の有無やその性質に大きく依存していることを見出した。
すなわち、イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)をそれぞれ1個以上有するブロック共重合体と添加剤とを含有する高分子電解質組成物成形体であって、前記成形体が共連続またはラメラ様の相分離構造を形成し、かつ、前記添加剤が疎水性である場合に、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明において、セグメントとは、ブロック共重合体中の部分構造であって、1種類の繰り返し単位または複数種類の繰り返し単位の組合せからなるものであり、分子量が2000以上のものを表す。本発明のブロック共重合体は、イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とともに、イオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)を含有し、本発明においては、「イオン性基を含有しないセグメント」と記載するが、当該セグメント(A2)は本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲でイオン性基を少量含んでいても構わない。以下「イオン性基を含有しない」は同様の意味で用いる場合がある。
また、本発明においてドメインとは、1本または複数のポリマー鎖において、類似するセグメントが凝集してできた塊のことを意味する。親水性ドメインとは、イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)が凝集してできた塊のことを意味しており、また、疎水性ドメインとは、イオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)が凝集してできた塊のことを意味する。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、共連続またはラメラ様の相分離構造を形成するものであるが、このような相分離構造は、非相溶なセグメント2種類以上からなる高分子、例えば、前記イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)とからなるブロック共重合体より構成される高分子において発現し得、その構造様態は大きく共連続(M1)、ラメラ(M2)、シリンダー(M3)、海島(M4)の4つに分類される(図1)。かかる相分離構造とその理論は、例えばアニュアル レビュー オブ フィジカル ケミストリ−(Annual Review of Physical Chemistry), 41, 1990, p.525等に記載がある。
これらイオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)の高次構造や形状を制御することで、低加湿および低温条件下においても優れたプロトン伝導性が実現可能となるが、特にその構造が前記(M1)、(M2)すなわち共連続、ラメラ構造の際、連続したプロトン伝導チャネルが形成されると同時にイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)からなるドメインの結晶性より、プロトン伝導性に優れるだけでなく、極めて優れた燃料遮断性、耐溶剤性や機械強度、物理的耐久性を有した高分子電解質組成物成形体が実現可能となり得るため好ましく、共連続構造の場合、特に優れた諸特性を実現できるためより好ましい。
また前記(M3)、(M4)すなわちシリンダー構造、海島構造の場合も、連続したプロトン伝導チャネルを形成可能と考えられる。しかしながら、両構造ともに、イオン性基を含有するセグメント比率がイオン性基を含有しないセグメントに対して相対的に少ない場合、もしくはイオン性基を含有しないセグメント比率が、イオン性基を含有するセグメントに対して相対的に少ない場合に構築され得る構造であり、前者の場合、プロトン伝導を担うイオン性基量が減少、特に海島構造では、連続したプロトン伝導チャネルそのものが形成されないため、プロトン伝導性に劣る。後者の場合、プロトン伝導性には優れるものの、結晶性の非イオン性ドメインが少ないため、燃料遮断性、耐溶剤性や機械強度、物理的耐久性に劣り、本発明の効果が十分に得られない。
それゆえ、前記イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)からなる親水性ドメインとイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)からなる疎水性ドメインの体積比は、70/30<A1/A2<30/70であることが好ましく、共連続またはラメラ構造を発現させる点で、60/40<A1/A2<40/60であることがより好ましい。前記範囲外の場合、前記シリンダーや海島構造を発現する可能性があり、プロトン伝導性、機械強度、物理的耐久性に劣る可能性がある。
前記相分離構造の様態は、TEMトモグラフィー観察によって観察、規定することができる。具体的には、TEMトモグラフィー観察により得られた3次元図に対して、縦、横、高さの3方向から切り出したデジタルスライス3面図を比較する。例えば、前記イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)からなる共連続、ラメラ構造の場合、3面図すべてにおいて(A1)と(A2)が連続相を形成するが、一方シリンダー構造や海島構造の場合、少なくとも1面で連続相を形成しないため前者と区別でき、また各々が示す模様から構造を判別できる。ここで連続相とは、巨視的に見て、個々のドメインが孤立せずに繋がっている相のことを意味するが、一部繋がっていない部分があってもかまわない。
本発明における相分離構造は、前記TEMトモグラフィーのみならず、2次元での観察となるが、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)等によっても分析することが可能であるが、本発明では、コントラストの点で、透過型電子顕微鏡(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)で観察することが好ましく、乾燥状態での試料観察に向くという点で、透過型電子顕微鏡(TEM)観察がより好ましい。
特に、本発明においては、イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)の凝集状態やコントラストを明確にするために、2wt%酢酸鉛水溶液中に高分子電解質組成物成形体を2日間浸漬することにより、イオン性基を鉛でイオン交換した後、TEMおよびTEMトモグラフィー観察に供するものとする。
しかしながら、このようなミクロ相分離構造を構築すると、過酸化水素及びヒドロキシルラジカルによる高分子電解質組成物成形体の化学劣化が、ランダム共重合体の場合以上に急速に進行してしまう。ミクロ相分離構造を形成させた成形体の場合、親水性ドメインと疎水性ドメインが明確に分離しており、それぞれがプロトンの伝導と、成形体の機械的な保持という役割を担っている。それゆえ、疎水性セグメント(A2)が過酸化水素と反応し、ポリマー鎖の切断が進行することで、ランダム共重合体の場合以上に急速に脆化するために、高分子電解質組成物成形体の膨潤を抑制できなくなり、脆化、膨潤双方が原因となり、ピンホールの生成、膜の破断が起こりやすくなり、結果長期耐久性が悪化してしまう。
ここで、本発明では、ラメラ或いは共連続様の、ミクロ相分離構造の中にある疎水性ドメインに酸化劣化を抑制する添加剤を偏在させることで、過酸化水素によるイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)の劣化を抑制できるのではないかと考えた。そして、疎水性の酸化劣化を抑制する添加剤を含ませることを見出したものである。
さらに、疎水性ドメイン中に存在する前記添加剤の質量は、親水性ドメイン中に存在する前記添加剤の質量の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、5倍以上であることがさらに好ましい。疎水性ドメインに存在する添加剤の質量が前記以外、すなわち親水性ドメインに存在する添加剤の質量の2倍に満たない場合、疎水性ドメイン中に、長期耐久性を付与するのに十分な量の添加剤を含有させるためには、親水性ドメイン中にも相応の添加剤が含まれるために、(1)添加剤の総量が過剰となり高分子−添加剤界面が増えることにより、機械強度が低下し外力による膜の破断を受けやすくなる、(2)イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)のクラスター化、ひいてはプロトン伝導チャネルの形成が阻害され高分子電解質組成物成形体のプロトン伝導度が低下する、などの悪影響が現れる。
前記親水性ドメイン及び疎水性ドメイン中における添加剤の存在量は、前記相分離構造を透過型電子顕微鏡(TEM)或いは走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する際、エネルギー分散型X線分析(EDS)もしくは電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、元素分布をマッピングすることにより測定する。
前記添加剤の全含有量は、高分子電解質組成物成形体全体の0.001質量%〜40質量%であることが好ましく、0.01質量%〜35質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、機械強度を低下させること無く高分子電解質組成物成形体の酸化劣化を大幅に抑制することが可能となる。添加剤含有量が前記以外、すなわち0.001質量%より少ない場合、添加剤が不足し過酸化水素を十分に分解することが出来なくなる。一方、40質量%より多い場合、添加剤が過剰となり、イオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)により構成される疎水性ドメインの凝集構造が崩れることにより機械強度が低下する。
本発明において、イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)からなる相分離構造の周期長は、TEM観察により得られる相分離構造の画像処理が与える自己相関関数から見積もられた値の平均値で、2〜200nmの範囲にあることが好ましく、プロトン伝導性、機械強度、物理的耐久性の観点から10〜100nmの範囲にあることがより好ましい。周期長が前記以外、すなわち2nmより小さい場合、ミクロ相分離構造が不明瞭となり、良好なプロトン伝導チャネルを形成することが出来なくなる。一方、200nmより大きい場合、プロトン伝導チャネルは形成されるものの、膨潤により機械強度、物理的耐久性が低下する。
本発明の添加剤は、疎水性化合物であれば特に限定されず、親水性ドメインよりも疎水性ドメインにより多く存在しやすいものであれば構わない。
本発明の添加剤の第一の例としては、−(Ph−S)−(Sは硫黄原子、Phは0〜4個の非イオン性の置換基を持つフェニレン基、nは10以上の整数)で表される、ポリフェニレンスルフィド樹脂が挙げられる。その形態等は特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で非イオン性の置換基を有していても構わない。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルキル基の代表例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、i−ブチルアルコキシ、t−ブチルアルコキシ、t−ペンチルアルコキシ、i−オクチルアルコキシ、t−オクチルアルコキシ、2−エチルヘキシルアルコキシ、ノニルアルコキシ、デシルアルコキシ、ウンデシルアルコキシ、ドデシルアルコキシ、トリデシルアルコキシ、テトラデシルアルコキシ、ペンタデシルアルコキシ、ヘキサデシルアルコキシ、ヘプタデシルアルコキシ、オクタデシルアルコキシ、ノナデシルアルコキシ、イコシルアルコキシ、ベンジルアルコキシ、α−メチルベンジルアルコキシ、α,α−ジメチルベンジルアルコキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ナフチル、アントラニル等が、アリールオキシ基の代表例としては、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、前記化学構造において耐久性の観点からnが1,000以上の整数であることが好ましい。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、パラフェニレンスルフィド骨格を好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上有するポリフェニレンスルフィド粒子である。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法は、前記の条件を満足する限り限定されるものではない。前記ポリフェニレンスルフィド粒子の製造方法としては、例えば、ハロゲン置換芳香族化合物(p−ジクロロベンゼン等)を硫黄と炭酸ナトリウムの存在下で重合させる方法、極性溶媒中でハロゲン置換芳香族化合物を硫化ナトリウム又は硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、極性溶媒中でハロゲン置換芳香族化合物を硫化水素と水酸化ナトリウム又はナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、又はp−クロロチオフェノールの自己縮合等が挙げられる。中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを反応させる方法が適当である。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法は、具体的には、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号公報、米国特許3274165号明細書、英国特許1160660号明細書、特公昭46−27255号公報、ベルギー特許29437号明細書、特開平5−222196号公報等に記載された合成方法や、これら文献内で例示された先行技術の合成方法が挙げられる。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量としては、通常0.001〜0.9質量%であり、好ましくは0.001〜0.8質量%であり、より好ましくは0.001〜0.7質量%である。
ここで、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量が前記範囲にあるということは、ポリフェニレンスルフィド粒子中におけるオリゴマー(約10〜30量体)の量が少ないことを意味する。前記オリゴマー抽出量を前記範囲に設定すると、製膜時にブリードアウトが発生し難くなるので好ましい。
前記塩化メチレンによるオリゴマー抽出量の測定は以下の方法により行うことが出来る。すなわち、ポリフェニレンスルフィド粉末5gを塩化メチレン80mLに加え、4時間ソックスレー抽出を実施した後、室温まで冷却し、抽出後の塩化メチレン溶液を秤量瓶に移す。さらに、前記の抽出に利用した容器を、塩化メチレン合計60mLを用いて、3回に分けて洗浄し、該洗浄液を前記秤量瓶中に回収する。次に、約80℃に加熱して、該秤量瓶中の塩化メチレンを蒸発させて除去し、残渣を秤量し、この残渣量よりポリフェニレンスルフィド中に存在するオリゴマー量の割合を求めることが出来る。
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の320℃における溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D(L:オリフィス長、D:オリフィス内径)=10/1で6分間保持した値)としては、成形加工性の観点から、好ましくは1〜10,000ポイズであり、さらに好ましくは100〜10,000ポイズである。
本発明の添加剤の、第二の例としてはアゾール環を有する化合物が挙げられる。ここで、アゾール環とは環内に窒素原子を1個以上含む複素五員環構造を含む化合物のことをさす。なお、複素五員環には、窒素以外に酸素、硫黄等の原子を含むものであっても構わない。
前記アゾール環としては、例えば、炭素原子以外の異原子が2個のものとしては、イミダゾール(1,3−ジアゾール)、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール(1,2−ジアゾール)、イソオキサゾール、イソチアゾール等が、異原子が3個のものとしては、1H−1,2,3−トリアゾール(1,2,3−トリアゾール)、1,2,3−オキサジアゾール(ジアゾアンヒドリド)、1,2,3−チアジアゾール等が、異原子が4個のものとしては、1H−1,2,3,4−テトラゾール(1,2,3,4−テトラゾール)、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3,5−チアトリアゾール等が挙げられる。
前記アゾール環は、ベンゼン環等の他の芳香族環と縮合したものであっても良い。
前記複素五員環構造を含む化合物としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ナフタレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルホン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、2,2−ビス(4−カルボキシフェニレン)ヘキサフルオロプロパン基等の2価の芳香族基が複素五員環と結合した化合物を用いることが耐熱性を得る観点から好ましい。
本発明において用いられるアゾール環を有する化合物としては、化学的安定性及び機械強度の観点から、ポリアゾール系化合物が好適である。その形態等は特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。
ポリアゾール系化合物としては、例えば、ポリイミダゾール系化合物、ポリベンズイミダゾール系化合物、ポリベンゾビスイミダゾール系化合物、ポリベンゾオキサゾール系化合物、ポリオキサゾール系化合物、ポリチアゾール系化合物、ポリベンゾチアゾール系化合物等の重合体が挙げられる。具体的には、前記ポリアゾール系化合物として、ポリベンズイミダゾール系化合物が好ましく用いられる。
前記ポリアゾール系化合物としては、化学的安定性の観点から、ポリアゾール塩が好適である。
ポリアゾール塩としては、ポリアゾール系化合物の少なくとも一部がポリアゾール塩である化合物が好ましく、金属塩であることがより好ましい。例えば、ポリアゾールアルカリ金属塩又はポリアゾールアルカリ土類金属塩が挙げられる。具体的には、Li、Na、K、Rb、Cs等の一価のイオンとのアルカリ金属塩が好ましく、ポリアゾール塩として、ポリアゾールNa塩であることがより好ましい。
金属イオンの量としては、ポリアゾール塩の複素環中に存在する窒素の全当量数に対して0.01〜100倍当量が好ましく、0.05〜50倍当量がより好ましく、0.1〜10倍当量がさらに好ましい。
前記ポリアゾール系化合物及び/又はポリアゾール塩は、1種類で用いてもよく、また2種類以上を混合して使用することができる。
前記アゾール環を含有する化合物の分子量は、GPC測定を行った場合の重量平均分子量として、300〜500,000(ポリスチレン換算)のものが使用できる。
前記ポリアゾール系化合物は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で非イオン性の置換基を有していても構わない。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルキル基の代表例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブチルアルコキシ、t−ブチルアルコキシ、t−ペンチルアルコキシ、i−オクチルアルコキシ、t−オクチルアルコキシ、2−エチルヘキシルアルコキシ、ノニルアルコキシ、デシルアルコキシ、ウンデシルアルコキシ、ドデシルアルコキシ、トリデシルアルコキシ、テトラデシルアルコキシ、ペンタデシルアルコキシ、ヘキサデシルアルコキシ、ヘプタデシルアルコキシ、オクタデシルアルコキシ、ノナデシルアルコキシ、イコシルアルコキシ、ベンジルアルコキシ、α−メチルベンジルアルコキシ、α,α−ジメチルベンジルアルコキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ナフチル、アントラニル等が、アリールオキシ基の代表例としては、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の添加剤の、第三の例としては、疎水性のマンガンおよび/またはセリウムを含有する金属化合物が挙げられる。前記金属化合物は、マンガン及び/またはセリウムを含んでさえいれば、その組成、形態等は特に限定されない。前記金属化合物の組成としては、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、マンガン及びセリウム以外の金属元素を含んでいても構わない。前記マンガン及びセリウム以外の金属元素の例としては、コバルト、ニッケル、アルミニウム、チタン、鉄、銅、亜鉛、スズ、ケイ素、ジルコニウム、バナジウム、ビスマス、クロム、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、モリブデン、タングステン、イットリウム、鉛、ゲルマニウム、インジウム、イリジウム、ベリリウム、ネオジム、ランタン、ニオブ、タンタル、ガリウム、サマリウム、ハフニウム、レニウム、ランタン、プラセオジム、ガドリニウム、カルシウムなどが挙げられる。
前記金属化合物の種類としては、例えば酸化物や、炭酸塩等の無機塩、2−エチルヘキサン酸やステアリン酸等の疎水性有機塩、ジフェニルホスフィノエタンやBINAP((1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン))等の有機金属錯体などが挙げられるが、特に限定されるものではない。また、酸化物や無機塩は溶液中で粒子状となりやすく、疎水性有機塩、有機金属錯体などは溶液中で溶解しやすいが、いかなる形態であっても好適に用いることが出来る。
まずは酸化物および無機塩について、具体的に説明する。
前記セリウムを含有する例として、具体的には、炭酸セリウム(III)、酸化セリウム(III)、酸化セリウム(IV)、リン酸セリウム(III)、硫化セリウム(III)、酸化バナジウムセリウム、酸化アルミニウムセリウム(III)、酸化ニッケル(II)−酸化セリウム(IV)サマリウム(III)などが挙げられる。中でも、酸化劣化を抑制する効果が高い点と原料コストを抑えられる点から、酸化セリウム(III)、酸化セリウム(IV)、炭酸セリウム(III)が好ましく、酸化セリウム(IV)がより好ましい。
前記マンガンを含有する例としては、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(II,III)(Mn)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(IV)、炭酸マンガン(II)、マンガンフェライト(II)、チタン酸マンガン(II)、タングステン酸マンガン(II)などが挙げられる。中でも、酸化劣化を抑制する効果が高い点と原料コストを抑えられる点から、酸化マンガン(II,III)、酸化マンガン(IV)、炭酸マンガン(II)が好ましく、酸化マンガン(IV)がより好ましい。
しかしながら、一般に酸化物や無機塩は上記の通り粒子状になりやすく、その表面が水酸基等の親水性官能基で覆われているためそのままでは親水性の性質を示すことが多い。それゆえ、前記親水性ドメインよりも疎水性ドメインに多く存在させるためには酸化物粒子や無機塩粒子に対して表面の疎水化処理を施す必要がある。疎水化させる方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いて実施される。
例えば、酸化物粒子を用いる場合には、下記の方法を用いることが出来る。具体的には、(1)ドデカン中に分散させた酸化物粒子とアルキルトリアルコキシシランを高温下にて縮合させる方法、(2)酸化物粒子とアルキルトリアルコキシシランを少量の水、エタノール、酢酸と共に混練後、加熱乾燥により縮合させる方法、(3)酸化物粒子を固相にて加熱、撹拌しているところに、気相アルキルトリアルコキシシランを導入し縮合させる方法、(4)トルエン中にて酸化物粒子とアルキルトリヒドリドシランを縮合させる方法、(5)トリエチルアミンの存在下、酸化物粒子の表面に4−クロロメチルフェニルトリクロロシランを用いて4−クロロメチルフェニルシロキサンを導入した後、原子移動ラジカル重合によりポリスチレンなどの疎水性ポリマーにて修飾する方法、などが挙げられる。中でも、酢酸またはアンモニアの存在下、酸化物粒子とアルキルトリアルコキシシランを縮合させる方法(ゾル−ゲル法)が適当である。
前記疎水性酸化物粒子の製造方法は、具体的には、特開2005−298818号公報、表面技術,Vol.55,186、特開2000−327948号公報、ラングミュア(Langmuir),2002,18,7521、インダストリアル アンド エンジニアリング ケミストリー リサーチ(Industrial and Engineering Chemistry Research),2006,45,3067、ブレティン オブ ザ ケミカル ソサエティ オブ ジャパン(Bulletin of the Chemical Society of Japan),56,331などに記載された製造方法や、これら文献内で例示された先行技術の製造方法が挙げられる。
前記疎水化反応(1)〜(3)に用いられるアルキルトリアルコキシシラン中に含まれるアルキル基については、前記の条件を満足する限り特に限定されるものではない。また、便宜上アルキルトリアルコキシシランと表記したが、疎水性置換基であればアルキル基以外の官能基であっても構わない。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数6〜30のアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルキル基の代表例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記疎水化反応(1)〜(3)に用いられるアルキルトリアルコキシシラン中に含まれるアルコキシ基については、便宜上アルキルトリアルコキシシランと表記したが、金属酸化物粒子表面の水酸基と反応し、結合できる官能基であれば特に限定されるものではない。例えば、炭素数1〜30のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
ここで、アルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブチルアルコキシ、t−ブチルアルコキシ、t−ペンチルアルコキシ、i−オクチルアルコキシ、t−オクチルアルコキシ、2−エチルヘキシルアルコキシ、ノニルアルコキシ、デシルアルコキシ、ウンデシルアルコキシ、ドデシルアルコキシ、トリデシルアルコキシ、テトラデシルアルコキシ、ペンタデシルアルコキシ、ヘキサデシルアルコキシ、ヘプタデシルアルコキシ、オクタデシルアルコキシ、ノナデシルアルコキシ、イコシルアルコキシ、ベンジルアルコキシ、α−メチルベンジルアルコキシ、α,α−ジメチルベンジルアルコキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記疎水化反応(4)に用いられるアルキルトリヒドリドシラン中に含まれるアルキル基については、前記の条件を満足する限り特に限定されるものではない。また、便宜上アルキルトリヒドリドシランと表記したが、疎水性置換基であればアルキル基以外の官能基であっても構わない。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数6〜30のアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルキル基の代表例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記疎水化反応(5)に用いられる原子移動ラジカル重合において、開始剤として4−クロロメチルフェニルシロキサンを例示したが、金属酸化物表面の水酸基と結合し且つ下記疎水性ポリマーを生成できる開始剤であれば特に限定されるものではない。例えば、α−ブロモトルエン等のα−ハロゲン化芳香族化合物や、2−ブロモイソ酪酸エチルエステル等のα−ハロゲン化カルボニル等が、シロキサンを介して金属酸化物表面に結合している化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記原子移動ラジカル重合において、疎水性ポリマーとしてポリスチレンを例示したが、原子移動ラジカル重合を用いて合成可能な疎水性ポリマーであれば特に限定されない。例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルプロピルエーテル、ポリビニルブチルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一方、炭酸塩粒子を用いる場合には、例えば、高温雰囲気下において乾燥状態の炭酸塩をステアリン酸やパルミチン酸等の疎水性有機カルボン酸と混合し反応させることで、疎水性のコーティング処理を施す方法などが挙げられる。具体的な製造方法としては、特表2003−532770などに記載された製造方法や、これら文献内で例示された先行技術の製造方法が挙げられる。
前記酸化物粒子及び無機塩粒子は含水物でもよく、結晶体でも非結晶体でも構わない。また、粒子でも、繊維状であっても良い。高分子電解質組成物成形体中での分散性から粒子の方が好ましい。また、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの担体に担持された形態でも良い。
続いて、マンガンおよび/またはセリウムを含む疎水性有機塩(以下「塩」と省略する場合がある。)および有機金属錯体(以下「錯体」と省略する場合がある。)について具体的に説明する。本発明の電解質膜は、マンガンとセリウムの内いずれか一方を含有していても良く、両方を同時に含有していても良い。また、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、マンガンおよびセリウム以外の金属元素を含んでいても構わない。
前記セリウムを含む塩は、本発明の高分子電解質組成物成形体中において、通常+3価若しくは+4価のカチオン(セリウムイオン)の塩として存在している。セリウムイオンを含有する塩或いは錯体を添加することにより、前述の化学劣化を防ぐことで長期耐久性を付与することが可能となる。
前記セリウムイオンを含有する塩および錯体としては、疎水性で且つ+3価及び/または+4価のセリウムイオンを含有していれば特に限定されないが、その態様としては、例えば+3価のセリウムイオンを含有する塩、+4価のセリウムイオンを含有する塩、セリウムイオンの有機金属錯体などが挙げられる。+3価のセリウムイオンを含有する塩を具体的に挙げると、例えば、2−エチルヘキシル酸セリウム(III)、ステアリン酸セリウム(III)等が挙げられる。またセリウムの有機金属錯体としてはシクロペンタジエニルセリウム(III)中でも酸化劣化を抑制する効果が高い点と原料コストを抑えられる点から、ステアリン酸セリウム(III)が好ましい。
前記マンガンを含む疎水性有機塩は、本発明の高分子電解質組成物成形体中において、通常+2価若しくは+3価のカチオン(マンガンイオン)の塩として存在している。マンガンイオンを含有する塩或いは錯体を添加することにより、前述の化学劣化を防ぐことで長期耐久性を付与することが可能となる。
前記マンガンイオンを含有する化合物としては、疎水性で且つ+2価及び/または+3価のマンガンイオンを含有している化合物であれば特に限定されないが、その態様としては、例えば+2価のマンガンイオンを含有する塩、+3価のマンガンイオンを含有する塩、マンガンイオンの有機金属錯体などが挙げられる。+2価のマンガンイオンを含む塩を具体的に挙げると、例えば、2−エチルヘキサン酸マンガン(II)、ナフテン酸マンガン(II)、ステアリン酸マンガン(II)、ω−シクロヘキシル酪酸マンガン(II)、ビス(2−(2H−ベンゾ[D][トリアゾール]−2−イル)−4−メチルフェノキシ)マンガン(II)等が挙げられる。またマンガンの有機金属錯体としては、例えば、シクロペンタジエニルマンガン、マンガンフタロシアニン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン塩化マンガン(III)、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)マンガン(III)等が挙げられる。中でも酸化劣化を抑制する効果が高い点と原料コストを抑えられる点から、2−エチルヘキサン酸マンガン(II)錯体が好ましい。
本発明の添加剤の、第四の例としては、疎水性フラーレンが挙げられる。前記フラーレンとしては、具体的にはC60、C70、C84、C60の二量体、C60ポリマー、C120、C180などが挙げられるが、過酸化水素をトラップする能力及び/または過酸化水素を水酸化物イオン或いは水に分解する能力を有している限り限定されるものではない。
前記フラーレンは、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で非イオン性の置換基を有していても構わない。例えば、化合物としては、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)、[6,6]−ジフェニルC62ビス(酪酸メチルエステル)、[6,6]−フェニルC61酪酸(3−エチルチオフェン)エステル、C60縮合N−メチルピロリジン−m−C12−フェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。それ以外にも、フラーレンに導入する置換基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルキル基の代表例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブチルアルコキシ、t−ブチルアルコキシ、t−ペンチルアルコキシ、i−オクチルアルコキシ、t−オクチルアルコキシ、2−エチルヘキシルアルコキシ、ノニルアルコキシ、デシルアルコキシ、ウンデシルアルコキシ、ドデシルアルコキシ、トリデシルアルコキシ、テトラデシルアルコキシ、ペンタデシルアルコキシ、ヘキサデシルアルコキシ、ヘプタデシルアルコキシ、オクタデシルアルコキシ、ノナデシルアルコキシ、イコシルアルコキシ、ベンジルアルコキシ、α−メチルベンジルアルコキシ、α,α−ジメチルベンジルアルコキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル等が、アリールオキシ基の代表例としては、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の添加剤は、単独で使用することができるが、複数種類の添加剤を併用することも可能である。
前記添加剤を粒子として用いる際の平均粒子径は、1〜20nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。粒子径が前記以外、すなわち1nmより小さい場合粒子自身が不安定化し、高分子電解質組成物成形体中で移動、凝集してしまう。一方、20nmより大きい場合、(1)比表面積が小さくなり過酸化水素を分解する能力が不十分となる、(2)ミクロ相分離構造が乱れプロトン伝導性や機械強度が低下する、(3)高分子電解質中の異物となるため高分子−酸化防止剤粒子の界面が剥離し高分子電解質組成物成形体が破断する、などの悪影響が現れる。
本発明の添加剤を高分子電解質組成物成形体に加える際に、前記ブロック共重合体と混合する必要があるがその方法に特に制限はなく、例えば以下の方法が例示される。(A)該ブロック共重合体を溶媒に溶解した後、前記添加剤を前記溶液中に溶解または分散させ、その溶液または分散液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより成形する方法、(B)前記添加剤が含まれる溶液中に該ブロック共重合体成形体を浸漬する方法、(C)前記添加剤が含まれる溶液または分散液を、該ブロック共重合体成形体に塗布する方法、(D)該ブロック共重合体成形体に前記添加剤が含まれる溶液を透過させる方法、(E)該ブロック共重合体の溶融体と前記添加剤を混合後、押出成型する方法、などが例示される。高分子電解質材料の安定性、添加剤量の制御のし易さなどの観点から、方法(A)、(B)、(C)を用いるのが好ましい。
以下に各方法について詳細に説明する。
前記(A)に例示した方法を用いる場合、前記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法、例えばホモミキサー、ホモディスパー、ウエーブローター、ホモジナイザー、ディスパーサー、ペイントコンディショナー、ボールミル、マグネチックスターラー、メカニカルスターラーなどの混合機を用いて混合することにより調製することができる。回転式混合機の回転速度には、均一な溶液或いは分散液を調製することができれば特に制限は無い。例えば、可溶性の添加剤や粒径20nm以下の微粒子を用いる場合には、200回/分以上が好ましく、400回/分以上がさらに好ましい。粒径20nmを超える不溶性化合物の粒子を添加剤として用いる場合には、液中で添加剤を粉砕する必要がある。この場合には、5,000回/分以上が好ましく、10,000回/分以上が更に好ましい。回転数に特に上限値は無いが、現実的には、20,000回/分または30,000回/分が混合機の性能上の限界となる場合が多い。このような製造方法で製造した前記高分子電解質組成物溶液、または分散液は、有機溶媒中に添加剤が均一に分散されており、凝集が少なく、長時間放置しても添加剤の沈降がみられない。
また、混合機による混合時間は、5秒間〜60分間、好ましくは、5秒〜5分である。この範囲内であると、添加剤が均一の高分子電解質溶液に分散し、静置後、疎水性電解質の沈降がみられない。
混合時の回転数や混合時間が不十分である場合、添加剤が均一に分散できず、十分な発電耐久性が得られない。また、前記高分子電解質組成物分散液を静置後、添加剤の沈降がみられ、発電性能にバラつきが見られることがある。
成形に用いる溶媒としては、高分子電解質材料を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が好適に用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましい。また、イオン性基を含有するセグメント(A1)の溶解性を高めるために、18−クラウン−6などのクラウンエーテルを添加することも好適である。
また、本発明において、高分子電解質組成物成形体にラメラ様或いは共連続様のミクロ相分離構造を形成させることが重要である。溶媒の選択は相分離構造に対して重要であり、非プロトン性極性溶媒と極性の低い溶媒を混合して使用することも好適な方法である。
前記(B)に例示した方法を用いる場合、添加剤を添加する前にブロック共重合体からなる成形体を製造する必要があるが、その方法に特に制限はなく、溶液状態より成型する方法や溶融状態より成型する方法等が可能である。前者では、たとえば、該ブロック共重合体をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
成型に用いる溶媒としては、ブロック共重合体を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が好適に用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましい。また、イオン性基を含有するセグメント(A1)の溶解性を高めるために、18−クラウン−6などのクラウンエーテルを添加することも好適である。
また、本発明において、前記ブロック共重合体からなる成形体にラメラ様或いは共連続様のミクロ相分離構造を形成させることが重要である。溶媒の選択は相分離構造に対して重要であり、非プロトン性極性溶媒と極性の低い溶媒を混合して使用することも好適な方法である。
このようにして得られたブロック共重合体成形体を、前記添加剤を含む溶液に浸漬することで本発明の高分子電解質組成物成形体を得ることが出来る。
前記添加剤を含む溶液の濃度は、特に限定されないが、0.01μmol/L以上1mmol/L以下が好ましく、0.1μmol/L以上0.1mmol/L以下がより好ましく、1μmol/L以上50μmol/L以下がさらに好ましい。添加剤を含む溶液に、ブロック共重合体からなる成形体を浸漬する時間は、特に限定されないが、1時間以上200時間以下が好ましく、24時間以上120時間以下がより好ましい。添加剤を含む溶液を攪拌するかどうかは特に限定されないが、攪拌しない或いは10000rpm以下の速度で攪拌することが好ましく、10rpm以上、5000rpm以下の速度で攪拌することがより好ましく、100rpm以上、2000rpm以下の速度で攪拌することが最も好ましい。添加剤の濃度が低すぎると、該添加剤の導入速度が低下し製造効率が著しく悪化する。一方、添加剤の濃度が高すぎると、該添加剤の導入速度が過剰に速くなり、該添加剤の導入量の制御が困難になる。また、添加剤を含む溶液を攪拌した場合、該添加剤の導入速度が向上するため好ましいが、攪拌速度が過剰である場合浸漬中の成形体に負荷をかけ破損する場合がある。
前記添加剤を溶解するための溶媒は、添加剤を溶解し高分子電解質組成物成形体のミクロ相分離構造を変化させるものでなければ特に制限は無く、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の炭化水素系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒等、様々な溶媒を用いることが可能だが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトンがより好ましい。
前記(C)に例示した方法を用いる場合、前記(B)の場合と同様の方法を用いて前記ブロック共重合体からなる成形体を製造した上で、添加剤を含む溶液または分散液を該成形体に塗布することで本発明の高分子電解質組成物成形体を得ることが出来る。
前記添加剤を塗布する方法としては、具体例として、バーコーティング、スプレーコーティング、スロットダイ、ナイフコーティング、エアナイフ、ブラッシング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードオーバーロール(添加剤溶液または分散液を前記ブロック共重合体成形体に塗布し、次いでナイフと支持ロールとの間の隙間に通し余分な液を除去する方法)、などが挙げられるがこれらに限定されない。
添加剤を含む溶液または分散液の濃度は、特に限定されないが、50μmol/L以上0.5mol/L以下が好ましく、0.1mmol/L以上0.1mol/L以下がより好ましく、0.5mmol/L以上20mmol/L以下がさらに好ましい。添加剤を含む溶液または分散液の濃度が低すぎる場合、所定量の添加剤をブロック共重合体からなる成形体に導入するために、膨大な量の溶媒が必要となり塗布による導入が困難・不可能となる。一方、添加剤を含む溶液または分散液の濃度が高すぎる場合、所定量の該添加剤をブロック共重合体からなる成形体に導入するために使用できる液量が極めて少なくなり、該添加剤の導入量の制御が困難となる。
また、添加剤を含む溶液または分散液を塗布した後に、ブロック共重合体からなる成形体に、該添加剤を定着させるため、成形体を乾燥させ溶媒を除去する工程が必要になる。乾燥時間は、特に限定されないが、1秒以上60分以下であれば好ましく、10秒以上30分以下であればより好ましく、30秒以上15分以下であればさらに好ましい。乾燥時間が短すぎる場合、添加剤が十分に浸透する前に溶媒が蒸発し膜全体を保護することが出来なくなる。一方、乾燥時間が長すぎる場合、高分子電解質組成物成形体中に含まれる水分が揮発しプロトン伝導性が悪化する。
その他の乾燥条件は、前記乾燥時間を満足するように溶媒の種類によって適宜選択すればよい。例えば、溶媒として水を用いた場合の乾燥温度としては、5℃以上150℃以下が好ましく、25℃以上120℃以下がより好ましく、45℃以上105℃以下がさらに好ましい。乾燥温度が低すぎる場合には、乾燥時間が長くなり製造効率が悪化する。乾燥温度が高すぎる場合には、高分子電解質組成物成型体中に含まれる水分が揮発しプロトン伝導性が悪化する。
本発明の高分子電解質組成物成形体に用いられるブロック共重合体は、共連続或いはラメラ様のミクロ相分離構造を形成していれば、特に制限は無いが、その中では芳香族ポリエーテルケトンであることが好ましい。一般的にポリエーテルケトンは、結晶性が高く極めて強靭な膜を与えるポリマーであり、イオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)に導入した際に、強靭な疎水性ドメインを形成し、本発明の高分子電解質組成物成形体に優れた機械強度を付与することが出来る。
その中でも、イオン性基を含有する構成単位(S1)を含むセグメントとイオン性基を含有しない構成単位(S2)を含むセグメントから構成されるブロック共重合体からなることがより好ましく、前記セグメント間がリンカーで連結されるブロック共重合体からなることがさらに好ましい。
(一般式(S1)中、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基を表し、Arおよび/またはArはイオン性基を含有し、ArおよびArはイオン性基を含有しても含有しなくても良い。Ar〜Arは任意に置換されていても良く、互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S1)または他の構成単位との結合部位を表す。)
(一般式(S2)中、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、イオン性基を含有しない。Ar〜Arは互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S2)または他の構成単位との結合部位を表す。)
ここで、Ar〜Arとして好ましい2価のアリーレン基は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。Arおよび/またはArはイオン性基を含有し、ArおよびArはイオン性基を含有しても含有しなくても良い。また、イオン性基以外の基で置換されていてもよいが、無置換である方がプロトン伝導性、化学的安定性、物理的耐久性の点でより好ましい。さらに、好ましくはフェニレン基とイオン性基を含有するフェニレン基、さらに好ましくはp−フェニレン基とイオン性基を含有するp−フェニレン基である。
また、リンカーとは、イオン性基を含有するセグメント(A1)と、イオン性基を含有しないセグメント(A2)との間を連結する部位であって、イオン性基を含有するセグメント(A1)やイオン性基を含有しないセグメント(A2)とは異なる化学構造を有する部位と定義する。このリンカーは、重合温度を120℃以下に低下させることで、エーテル交換反応によるランダム化、セグメント切断、副反応を抑制しながら、異なるセグメント間の連結を可能とするため、構造制御されたブロック共重合体の合成、延いては制御されたミクロ相分離構造を発現せしめるのに必要となる。リンカーがない場合には、ランダム化等のセグメント切断が起こる場合があるために、本発明の効果が十分に得られないことがある。
前記ブロック共重合体に使用されるイオン性基は、負電荷を有する原子団が好ましく、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましく用いられる。
かかるイオン性基は、前記官能基が塩となっている場合を含むものとする。前記塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR (Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等特に限定されるものではなく、使用することができる。好ましい金属イオンの具体例を挙げるとすれば、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd、Pb、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Ce等が挙げられる。中でも、本発明に用いるブロック共重合体としては、安価で、容易にプロトン置換可能なNa、K、Liがより好ましく使用される。
これらのイオン性基は高分子電解質組成物成形体中に2種類以上含むことができ、組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導性の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基を有することがより好ましく、原料コストの点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
前記ブロック共重合体がスルホン酸基を有する場合、そのイオン交換容量は、プロトン伝導性と耐水性のバランスから、0.1〜5meq/gが好ましく、より好ましくは1.5meq/g以上、最も好ましくは2meq/g以上である。また、3.5meq/g以下がより好ましく、最も好ましくは3meq/g以下である。イオン交換容量が0.1meq/gより小さい場合には、プロトン伝導性が不足する場合があり、5meq/gより大きい場合には、耐水性が不足する場合がある。
前記ブロック共重合体としては、イオン性基を含有するセグメント(A1)と、イオン性基を含有しないセグメント(A2)のモル組成比(A1/A2)が、0.2以上であることがより好ましく、0.33以上がさらに好ましく、0.5以上が最も好ましい。また、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、2以下が最も好ましい。モル組成比A1/A2が、0.2未満あるいは5を越える場合には、本発明の効果が不十分となる場合があり、低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足したり、化学的安定性や耐熱水性、物理的耐久性が不足したりする場合があるので好ましくない。
イオン性基を含有するセグメント(A1)のイオン交換容量は、低加湿条件下でのプロトン伝導性の点から、高いことが好ましく、より好ましくは2.5meq/g以上、さらに好ましくは、3meq/g以上、最も好ましくは3.5meq/g以上である。また、6.5meq/g以下がより好ましく、5meq/g以下がさらに好ましく、最も好ましいのは4.5meq/g以下である。イオン性基を含有するセグメント(A1)のイオン交換容量が2.5meq/g未満の場合には、低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足する場合があり、6.5meq/gを越える場合には、化学的安定性や耐熱水性、物理的耐久性が不足する場合があるので好ましくない。
イオン性基を含有しないセグメント(A2)のイオン交換容量は、耐熱水性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性の点から、低いことが好ましく、より好ましくは1meq/g以下、さらに好ましくは0.5meq/g、最も好ましくは0.1meq/g以下である。イオン性基を含有しないセグメント(A2)のイオン交換容量が1meq/gを越える場合には、耐熱水性、化学的安定性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性が不足する場合があるので好ましくない。
ここで、イオン交換容量とは、ブロック共重合体、高分子電解質組成物成形体の単位乾燥重量当たりに導入されたイオン性基のモル量であり、この値が大きいほどイオン化の度合いが高いことを示す。イオン交換容量は、元素分析、中和滴定法等により測定が可能である。元素分析法を用い、イオン性基特有のヘテロ元素(例えば、スルホン酸基や硫酸基であれば硫黄、スルホンイミド基であれば硫黄と窒素、ホスホン酸基やリン酸基であればリン)と炭素の存在比から算出することもできるが、イオン性基以外のヘテロ元素源を含む場合などは測定することが難しい。従って、本発明においては、イオン交換容量は、中和滴定法により求めた値と定義する。
中和滴定の測定例は、以下のとおりである。測定は3回以上行ってその平均値を取るものとする。
(1)プロトン置換し、純水で十分に洗浄したブロック共重合体、或いは高分子電解質組成物成形体表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求める。
(2)5wt%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換する。
(3)0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(4)イオン交換容量は下記の式により求める。
イオン交換容量(meq/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/mL)×滴下量(mL)〕/
試料の乾燥重量(g)
前記ブロック共重合体を得るためにイオン性基を導入する方法は、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法と、高分子反応でイオン性基を導入する方法が挙げられる。
イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法としては、繰り返し単位中にイオン性基を有したモノマーを用いればよい。かかる方法は例えば、ジャーナル オブ メンブレン サイエンス(Journal of Membrane Science),197,2002,p.231-242に記載がある。この方法はポリマーのイオン交換容量を制御し易く、工業的にも容易に適用できるため、特に好ましい。
高分子反応でイオン性基を導入する方法について例を挙げて説明する。芳香族系高分子へのホスホン酸基導入は、例えば、ポリマープレプリンツ(Polymer Preprints, Japan),51,2002,p.750等に記載の方法によって可能である。芳香族系高分子へのリン酸基導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子のリン酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子へのカルボン酸基導入は、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基を有する芳香族系高分子を酸化することによって可能である。芳香族系高分子への硫酸基導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子の硫酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子をスルホン化する方法、すなわちスルホン酸基を導入する方法としては、たとえば特開平2−16126号公報あるいは特開平2−208322号公報等に記載の方法を用いることができる。
具体的には、例えば、芳香族系高分子をクロロホルム等の溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応させたりすることによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族系高分子をスルホン化するものであれば特に制限はなく、前記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族系高分子をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、制御することができる。芳香族系高分子へのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。
次に、本発明の高分子電解質組成物成形体に用いられるブロック共重合体について具体的に説明する。
イオン性基を含有しないセグメント(A2)としては、化学的に安定な上、強い分子間凝集力から結晶性を示す構成単位がより好ましく、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性に優れたブロック共重合体を得ることができる。
イオン性基を含有しないセグメント(A2)が含有する一般式(S2)で表される構成単位のより好ましい具体例としては、原料入手性の点で、下記一般式(P1)で表される構成単位が挙げられる。中でも、結晶性による機械強度、寸法安定性、物理的耐久性の点から、下記式(S3)で表される構成単位がさらに好ましい。イオン性基を含有しないセグメント(A2)中に含まれる一般式(S2)で表される構成単位の含有量としては、より多い方が好ましく、20モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が最も好ましい。含有量が20モル%未満である場合には、結晶性による機械強度、寸法安定性、物理的耐久性に対する本発明の効果が不足する場合があり好ましくない。
イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、一般式(S2)で表される構成単位以外に共重合せしめる構成単位の好ましい例は、ケトン基を含む芳香族ポリエーテル系重合体、すなわち、下記一般式(Q1)で示される構成単位を有するもので、イオン性基を含有しないものが挙げられる。
(一般式(Q1)中のZ、Zは芳香環を含む2価の有機基を表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良いが、イオン性基は含まない。aおよびbはそれぞれ独立に正の整数を表す。)
一般式(Q1)中のZおよびZとして好ましい有機基としては、Zがフェニレン基、かつ、Zが下記一般式(X−1)、(X−2)、(X−4)、(X−5)から選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。また、イオン性基以外の基で置換されていてもよいが、無置換である方が結晶性付与の点でより好ましい。ZおよびZとしては、さらに好ましくはフェニレン基、最も好ましくはp−フェニレン基である
(一般式(X−1)、(X−2)、(X−4)、(X−5)で表される基は、イオン性基以外の基で任意に置換されていてもよい。)。
前記一般式(Q1)で示される構成単位の好適な具体例としては、下記一般式(Q2)〜(Q7)で示される構成単位などを挙げることができるが、これらに限定されることなく、結晶性や機械強度を考慮して適宜選択することが可能である。なかでも、結晶性と製造コストの点から、前記一般式(Q1)で示される構成単位としては、下記一般式(Q2)、(Q3)、(Q6)、(Q7)がより好ましく、前記一般式(Q2)、(Q7)が最も好ましい。
(一般式(Q2)〜(Q7)は、全てパラ位で表しているが、結晶性を有するものであれば、オルト位やメタ位等他の結合位置を含んでも構わない。ただし、結晶性の観点からパラ位がより好ましい。)
イオン性基を含有するセグメント(A1)としては、化学的に安定で、電子求引効果により酸性度が高められ、スルホン酸基が高密度に導入された構成単位がより好ましく、低加湿条件下のプロトン伝導性に優れたブロック共重合体を得ることができる。
イオン性基を含有するセグメント(A1)が含有する一般式(S1)で表される構成単位のより好ましい具体例としては、原料入手性の点で、下記一般式(P2)で表される構成単位が挙げられる。中でも、原料入手性と重合性の点から、下記式(P3)で表される構成単位がさらに好ましく、下記式(S4)で表される構成単位が最も好ましい。イオン性基を含有するセグメント(A1)中に含まれる一般式(S1)で表される構成単位の含有量としては、より多い方が好ましく、20モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が最も好ましい。含有量が20モル%未満である場合には、化学的安定性と低加湿条件下でのプロトン伝導性に対する本発明の効果が不足する場合があり好ましくない。
(式(P2)中、M〜Mは、水素、金属カチオン、アンモニウムカチオンを表し、M〜Mは2種類以上の基を表しても良い。また、r1〜r4は、それぞれ独立に0〜2、r1+r2は1〜8を表し、r1〜r4は2種類以上の数値を表しても良い。)
イオン性基を含有するセグメント(A1)として、一般式(S1)で表される構成単位以外に共重合せしめる構成単位の好ましい例は、ケトン基を含む芳香族ポリエーテル系重合体で、イオン性基を含有するものが挙げられる。
本発明に使用するイオン性基を含有するセグメント(A1)の合成方法については、実質的に十分な分子量が得られる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応、またはハロゲン化芳香族フェノール化合物の芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。
イオン性基を含有するセグメント(A1)中に用いる芳香族活性ジハライド化合物として、芳香族活性ジハライド化合物にイオン酸基を導入した化合物をモノマーとして用いることは、化学的安定性、製造コスト、イオン性基の量を精密制御が可能な点から好ましい。イオン性基としてスルホン酸基を有するモノマーの好適な具体例としては、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
プロトン伝導性および耐加水分解性の点からイオン性基としてはスルホン酸基が最も好ましいが、本発明に使用されるイオン性基を有するモノマーは他のイオン性基を有していても構わない。なかでも化学的安定性と物理的耐久性の点から、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、重合活性の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。
イオン性基を有するモノマーとして、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンを用いて合成したイオン性基を含有するセグメント(A1)としては、下記一般式(p1)で表される構成単位をさらに含むものとなり、好ましく用いられる。該芳香族ポリエーテル系重合体は、ケトン基の有する高い結晶性の特性に加え、スルホン基よりも耐熱水性に優れる成分となり、高温高湿度条件での寸法安定性、機械強度、物理的耐久性に優れた材料に有効な成分となるのでさらに好ましく用いられる。これらのスルホン酸基は重合の際には、スルホン酸基が1価カチオン種との塩になっていることが好ましい。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。これら芳香族活性ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
(一般式(p1)中、MおよびMは水素、金属カチオン、アンモニウムカチオン、a1およびa2は1〜4の整数を表す。一般式(p1)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
また、芳香族活性ジハライド化合物としては、イオン性基を有するものと持たないものを共重合することで、イオン性基密度を制御することも可能である。しかしながら、本発明のイオン性基を含有するセグメント(A1)としては、プロトン伝導パスの連続性確保の観点から、イオン性基を持たない芳香族活性ジハライド化合物を共重合しないことがより好ましい。
イオン性基を持たない芳香族活性ジハライド化合物のより好適な具体例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。中でも4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが結晶性付与、機械強度や物理的耐久性、耐熱水性の点からより好ましく、重合活性の点から4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。これら芳香族活性ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
芳香族活性ジハライド化合物として、4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトンを用いて合成した高分子電解質材料としては、下記一般式(p2)で表される構成部位をさらに含むものとなり、好ましく用いられる。該構成単位は分子間凝集力や結晶性を付与する成分となり、高温高湿度条件での寸法安定性、機械強度、物理的耐久性に優れた材料となるので好ましく用いられる。
(一般式(p2)で表される構成単位は任意に置換されていてもよいが、イオン性基は含有しない。)
また、ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物としても特に制限されることはないが、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)ケトン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)ケトン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。さらに、活性化ジハロゲン化芳香族化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物の反応においてこれらのハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を共に反応させて芳香族ポリエーテル系化合物を合成しても良い。
イオン性基を含有するセグメント(A1)として、一般式(S1)で表される構成単位以外に共重合せしめる構成単位の好ましい例としては、前記一般式(p1)および(p2)で表される構成単位を含有する下記一般式(T1)および(T2)で表される構成単位からなる芳香族ポリエーテルケトン系共重合体が特に好ましい。
(一般式(T1)および(T2)中、Aは芳香環を含む2価の有機基、MおよびMは水素、金属カチオン、アンモニウムカチオンを表し、Aは2種類以上の基を表しても良い。)
一般式(T1)と(T2)で表される構成単位の組成比を変えることで、イオン交換容量を制御することが可能であるが、T1とT2の合計モル量を基準として、P1の導入量としては、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。P1の導入量が75モル%未満である場合には、プロトン伝導バスの構築が不十分となる場合があり好ましくない。
ここで、一般式(T1)および(T2)中の芳香環を含む2価の有機基Aとしては、芳香族求核置換反応による芳香族ポリエーテル系重合体の重合に用いることができる各種2価フェノール化合物を使用することができ、特に限定されるものではない。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸基が導入されたものをモノマーとして用いることもできる。
芳香環を含む2価の有機基Aの好適な具体例としては、下記一般式(X−1)〜(X−6)で示される基を例示できるが、これらに限定されるものではない。
(式(X−1)〜(X−6)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
これらはイオン性基を有していてもよい。側鎖に芳香環を有するものも好ましい具体例である。また、これらは必要に応じて併用することも可能である。なかでも、結晶性、寸法安定性、強靱性、化学的安定性の観点から、より好ましくは一般式(X−1)〜(X−4)で示される基、最も好ましくは一般式(X−2)または(X−3)で示される基である。
イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)の数平均分子量(A1/A2)は、相分離構造のドメインサイズに関係し、低加湿でのプロトン伝導性と物理的耐久性のバランスから、0.5万以上がより好ましく、さらに好ましくは1万以上、最も好ましくは1.5万以上である。また、5万以下がより好ましく、さらに好ましくは4万以下、最も好ましくは3万以下である。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、高分子電解質材料として好適に用いられる。本発明の高分子電解質組成物成形体としては、膜類(フィルムおよびフィルム状のものを含む)の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状、微多孔状、コーティング類、発泡体類など、使用用途によって様々な形態をとりうる。ポリマーの設計自由度の向上および機械特性や耐溶剤性等の各種特性の向上が図れることから、幅広い用途に適応可能である。特に高分子電解質組成物成形体が膜類であるときに好適である。
本発明の高分子電解質組成物成形体を固体高分子型燃料電池用として使用する際には、高分子電解質膜および電極触媒層などが好適である。中でも高分子電解質膜に好適に用いられる。固体高分子型燃料電池用として使用する場合、通常、膜の状態で高分子電解質膜や電極触媒層バインダーとして使用されるからである。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、種々の用途に適用可能である。例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、耐塩素性逆浸透膜などのイオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途、加湿膜、防曇膜、帯電防止膜、太陽電池用膜、ガスバリアー材料に適用可能である。また、人工筋肉、アクチュエーター材料としても好適である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用できる。電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等が挙げられるが、中でも燃料電池が最も好ましい。
次に、本発明の高分子電解質組成物成形体を得るための製造方法について具体的に説明する。
従来のイオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)、およびセグメント間を連結するリンカー部位からなるブロック共重合体は、重合時や成形時に溶剤可溶性が必要という合成上の制限から、イオン性基を含有するセグメント(A1)だけでなく、イオン性基を含有しないセグメント(A2)も溶解性のある非晶性ポリマーで構成されていた。これらイオン性基を含有しない非晶性セグメントは、ポリマー分子鎖の凝集力に乏しいため、膜状に成形された場合に靭性が不足し、イオン性基を含有するセグメント(A1)の膨潤を抑えきれず、十分な機械強度や物理的耐久性を達成することができなかった。また、イオン性基の熱分解温度の問題から、通常キャスト成形が用いられるため、溶解性の乏しい結晶性ポリマーでは、均一で強靱な膜を得ることはできなかった。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、一般式(S2)で表される構成単位を含有し、イオン性基を含有しないセグメント(A2)を有するブロック共重合体から構成される。当該イオン性基を含有しないセグメント(A2)は、結晶性を示すセグメントであるため、少なくともイオン性基を含有しないセグメント(A2)に保護基を導入したブロック共重合体前駆体を成形した後、成形体に含有される該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめることにより製造することが出来る。ブロック共重合体では、ランダム共重合体よりも、ドメインを形成したポリマーの結晶化により、加工性が不良となる傾向があるので、少なくともイオン性基を含有しないセグメント(A2)に保護基を導入し、加工性を向上させることが好ましく、イオン性基を含有するセグメント(A1)についても、加工性が不良となる場合には保護基を導入することが好ましい。
本発明に使用する保護基の具体例としては、有機合成で一般的に用いられる保護基があげられ、該保護基とは、後の段階で除去することを前提に、一時的に導入される置換基であり、反応性の高い官能基を保護し、その後の反応に対して不活性とするものであり、反応後に脱保護して元の官能基に戻すことのできるものである。すなわち、保護される官能基と対となるものであり、例えばt−ブチル基を水酸基の保護基として用いる場合があるが、同じt−ブチル基がアルキレン鎖に導入されている場合は、これを保護基とは呼ばない。保護基を導入する反応を保護(反応)、除去する反応を脱保護(反応)と呼称される。
このような保護反応としては、例えば、セオドア・ダブリュー・グリーン(Theodora W. Greene)、「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス」(Protective Groups in Organic Synthesis)、米国、ジョン ウイリー アンド サンズ(John Wiley & Sons, Inc)、1981、に詳しく記載されており、これらが好ましく使用できる。保護反応および脱保護反応の反応性や収率、保護基含有状態の安定性、製造コスト等を考慮して適宜選択することが可能である。また、重合反応において保護基を導入する段階としては、モノマー段階からでも、オリゴマー段階からでも、ポリマー段階でもよく、適宜選択することが可能である。
保護反応の具体例を挙げるとすれば、ケトン部位をケタール部位で保護/脱保護する方法、ケトン部位をケタール部位のヘテロ原子類似体、例えばチオケタール、で保護/脱保護する方法が挙げられる。これらの方法については、前記「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス」(Protective Groups in Organic Synthesis)のチャプター4に記載されている。また、スルホン酸と可溶性エステル誘導体との間で保護/脱保護する方法、芳香環に可溶性基としてt−ブチル基を導入および酸で脱t−ブチル化して保護/脱保護する方法等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されることなく、保護基であれば好ましく使用できる。一般的な溶剤に対する溶解性を向上させる点では、立体障害が大きいという点で脂肪族基、特に環状部分を含む脂肪族基が保護基として好ましく用いられる。
保護反応としては、反応性や安定性の点で、さらに好ましくは、ケトン部位をケタール部位で保護/脱保護する方法、ケトン部位をケタール部位のヘテロ原子類似体、例えばチオケタール、で保護/脱保護する方法である。本発明の高分子電解質組成物成形体において、保護基を含む構成単位として、より好ましくは下記一般式(U1)および(U2)から選ばれる少なくとも1種を含有するものである。
(式(U1)および(U2)において、Ar〜Ar12は任意の2価のアリーレン基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。式(U1)および(U2)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
なかでも、化合物の臭いや反応性、安定性等の点で、前記一般式(U1)および(U2)において、EがOである、すなわち、ケトン部位をケタール部位で保護/脱保護する方法が最も好ましい。
一般式(U1)中のRおよびRとしては、安定性の点でアルキル基であることがより好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、最も好ましく炭素数1〜3のアルキル基である。また、一般式(P4)中のRとしては、安定性の点で炭素数1〜7のアルキレン基であることがより好ましく、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。Rの具体例としては、−CHCH−、−CH(CH )CH −、−CH(CH )CH(CH)−、−C(CHCH −、−C(CH CH(CH)−、−C(CHO(CH−、−CHCHCH −、−CHC(CHCH−等があげられるが、これらに限定されるものではない。
前記一般式(U1)および(U2)で表される構成単位のなかでも、耐加水分解性などの安定性の点から少なくとも前記一般式(U2)を有するものがより好ましく用いられる。さらに、前記一般式(U2)のRとしては炭素数1〜7のアルキレン基、すなわち、Cn12n1(n1は1〜7の整数)で表される基であることが好ましく、安定性、合成の容易さの点から−CHCH−、−CH(CH )CH −、または−CHCHCH−から選ばれた少なくとも1種であることが最も好ましい。
前記一般式(U1)および(U2)中のAr〜Ar12として好ましい有機基は、フェニレン基、ナフチレン基、またはビフェニレン基である。これらは任意に置換されていてもよい。本発明のブロック共重合体としては、溶解性および原料入手の容易さから、前記一般式(U2)中のAr11およびAr12が共にフェニレン基であることがより好ましく、最も好ましくはAr11およびAr12が共にp−フェニレン基である。
本発明において、ケトン部位をケタールで保護する方法としては、ケトン基を有する前駆体化合物を、酸触媒存在下で1官能および/または2官能アルコールと反応させる方法が挙げられる。例えば、ケトン前駆体の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンと1官能および/または2官能アルコール、脂肪族又は芳香族炭化水素などの溶媒中で臭化水素などの酸触媒の存在下で反応させることによって製造できる。アルコールは炭素数1〜20の脂肪族アルコールである。本発明に使用するケタールモノマーを製造するための改良法は、ケトン前駆体の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンと2官能アルコールをアルキルオルトエステル及び固体触媒の存在下に反応させることからなる。
本発明において、ケタールで保護したケトン部位の少なくとも一部を脱保護せしめ、ケトン部位とする方法は特に限定されるものではない。前記脱保護反応は、不均一又は均一条件下に水及び酸の存在下において行うことが可能であるが、機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性の観点からは、膜等に成形した後で酸処理する方法がより好ましい。具体的には、成形された膜を塩酸水溶液や硫酸水溶液中に浸漬することにより脱保護することが可能であり、酸の濃度や水溶液の温度については適宜選択することができる。
ポリマーに対して必要な酸性水溶液の重量比は、好ましくは1〜100倍であるが更に大量の水を使用することもできる。酸触媒は、好ましくは存在する水の0.1〜50重量%の濃度において使用する。好適な酸触媒としては塩酸、硝酸、フルオロスルホン酸、硫酸などのような強鉱酸、及びp−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのような強有機酸が挙げられる。高分子電解質組成物成形体の厚み等に応じて、酸触媒及び過剰水の量、反応圧力などは適宜選択できる。
例えば、膜厚25μmの膜であれば、6N塩酸水溶液、5重量%硫酸水溶液に例示されるような酸性水溶液中に浸漬し、室温〜95℃で1〜48時間加熱することにより、容易にほぼ全量を脱保護することが可能である。また、25℃の1N塩酸水溶液に24時間浸漬しても、実質的に全ての保護基を脱保護することは可能である。ただし、脱保護の条件としてはこれらに限定される物ではなく、酸性ガス、有機酸、熱処理によって脱保護しても構わない。
具体的には、例えば前記一般式(U1)および(U2)で表される構成単位を含有するブロック共重合体の前駆体は、2価フェノール化合物としてそれぞれ下記一般式(U1−1)および(U2−1)で表される化合物を使用し、芳香族活性ジハライド化合物との芳香族求核置換反応により合成することが可能である。前記一般式(U1)および(U2)で表される構成単位が2価フェノール化合物、芳香族活性ジハライド化合物のどちら側由来でも構わないが、モノマーの反応性の反応性を考慮して2価フェノール化合物由来と使用する方がより好ましい。
(一般式(U1−1)および(U2−1)において、Ar〜Ar12は任意の2価のアリーレン基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表す。一般式(U1−1)および一般式(U2−1)で表される化合物は任意に置換されていてもよい。)
本発明に使用する、特に好ましい2価フェノール化合物の具体例としては、下記一般式(r1)〜(r10)で表される化合物、並びにこれらの2価フェノール化合物由来の誘導体が挙げることができる。
これら2価フェノール化合物のなかでも、安定性の点から一般式(r4)〜(r10)で表される化合物がより好ましく、さらに好ましくは一般式(r4)、(r5)および(r9)で表される化合物、最も好ましくは一般式(r4)で表される化合物である。
本発明に使用されるセグメントを得るために行う芳香族求核置換反応によるオリゴマー合成は、前記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒などを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にし得るものであれば、これらに限定されず使用することができる。また、フェノキシドの求核性を高めるために、18−クラウン−6などのクラウンエーテルを添加することも好適である。これらクラウンエーテル類は、スルホン酸基のナトリウムイオンやカリウムイオンに配位して有機溶媒に対する溶解性が向上する場合があり、好ましく使用できる。
芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。
反応水又は反応中に導入された水を除去するのに用いられる共沸剤は、一般に、重合を実質上妨害せず、水と共蒸留し且つ約25℃〜約250℃の間で沸騰する任意の不活性化合物である。普通の共沸剤には、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、塩化メチレン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、シクロヘキサンなどが含まれる。もちろん、その沸点が用いた双極性溶媒の沸点よりも低いような共沸剤を選定することが有益である。共沸剤が普通用いられるが、高い反応温度、例えば200℃以上の温度が用いられるとき、特に反応混合物に不活性ガスを連続的に散布させるときにはそれは常に必要ではない。一般には、反応は不活性雰囲気下に酸素が存在しない状態で実施するのが望ましい。
芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。
重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低く、副生する無機塩の溶解度が高い溶媒中に加えることによって、無機塩を除去、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。回収されたポリマーは場合により水やアルコール又は他の溶媒で洗浄され、乾燥される。所望の分子量が得られたならば、ハライドあるいはフェノキシド末端基は場合によっては安定な末端基を形成させるフェノキシドまたはハライド末端封止剤を導入することにより反応させることができる。
このようにして得られる本発明のブロック共重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、0.1万〜500万、好ましくは1万〜50万である。0.1万未満では、成形した膜にクラックが発生するなど機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性のいずれかが不十分な場合がある。一方、500万を超えると、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
なお、本発明のブロック共重合体の化学構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1 、1,160〜1,190cm-1 のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1 のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸基の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、例えば6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。また、溶液13C−NMRや固体13C−NMRによって、スルホン酸基の付く位置や並び方を確認することができる。
次に、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)、および前記セグメント間を連結するリンカー部位をそれぞれ1個以上含有するブロック共重合体の具体的な合成方法を例示する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明のブロック共重合体は、ブロック共重合体前駆体を合成した後、前駆体に含有される該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめることにより製造することが出来る。
本発明のブロック共重合体およびブロック共重合体前駆体の製造方法の具体例としては、a.両末端ヒドロキシル基の式(S1)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体と両末端ヒドロキシル基の式(S2)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体のいずれかにジハライドリンカーとを反応させた後、もう一方のセグメントと交互的に重合させてブロック共重合体を製造する方法、b.両末端ヒドロキシル基の式(S1)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体と両末端ヒドロキシル基の式(S2)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体とジハライドリンカーとをランダム的に重合させてブロック共重合体を製造する方法、c.式(S1)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体の未スルホン化物 を用いてaまたはbに記載の方法でブロック共重合体を製造した後、式(S1)で表されるセグメントおよび/またはセグメント前駆体の未スルホン化部分に選択的にイオン性基を導入する方法、d.a〜cの組み合わせる方法などが挙げられる。なかでも、交互共重合により相分離ドメインサイズを制御でき、化学的に安定なブロック共重合体を製造できる点から、方法aが最も好ましい。
すなわち、本発明のブロック共重合体の製造方法としては、少なくとも下記工程(1)〜(4)を備えることがより好ましい。これら工程を備えることにより、高分子量化による機械強度と耐久性の向上を達成でき、かつ、両セグメントの交互導入によって、相分離構造やドメインサイズが厳密に制御された低加湿プロトン伝導性に優れたブロック共重合体を得ることが出来る。
(1)前記一般式(S1)で表される構成単位、および/または、前記一般式(S1)で表される構成単位の前駆体となる構成単位を含有し、両末端ヒドロキシル基を有する、イオン性基を含有するセグメント(A1)を合成する工程、
(2)前記一般式(S2)で表される構成単位、および/または、前記一般式(S2)で表される構成単位の前駆体となる構成単位を含有し、両末端ヒドロキシル基を有する、イオン性基を含有しないセグメント(A2)を合成する工程、
(3)イオン性基を含有するセグメント(A1)またはイオン性基を含有しないセグメント(A2)の両末端ヒドロキシル基にリンカー部位を導入せしめる工程、
(4)(3)で合成したセグメントの両末端リンカー部位と、もう一方のセグメントの両末端ヒドロキシル基を重合せしめることによりブロック共重合体およびブロック共重合体前駆体を製造する工程
本発明に用いるリンカーとしては、エーテル交換反応によるランダム化、セグメント切断を抑制しながら、異なるセグメントを連結できるような反応性の高い化合物である必要があり、本発明に好適な具体例としては、デカフルオロビフェニル、ヘキサフルオロベンゼン、4,4‘−ジフルオロジフェニルスルホン、2,6−ジフルオロベンゾニトリル等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。デカフルオロビフェニル、ヘキサフルオロベンゼンなどの多官能性のリンカーを用いた場合、反応条件を制御することで分岐構造を有するブロック共重合体を製造することができる。この時、式(S1)の未スルホ化セグメントを有するポリマーと式(S2)のセグメントを有するポリマーの仕込み組成を変えることによって、直鎖構造のブロック共重合体と分岐構造を有するブロック共重合体とを作り分けることもできる。
方法aにおいて、両末端ヒドロキシル基の式(S1)で表されるセグメントと両末端ヒドロキシル基の式(S2)で表されるセグメントの具体例としては、それぞれ下記式(H3−1)と(H3−2)が挙げられ、ジハライドリンカーと反応させたセグメントの具体例としては、それぞれ下記式(H3−3)と(H3−4)が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記式(H3−1)〜(H3−4)において、ハロゲン原子はF、アルカリ金属はNaおよびKで示しているが、これらに限定されることなく使用することが可能である。前記式は読み手の理解を助ける目的で挿入するものであり、ポリマーの重合成分の化学構造、正確な組成、並び方、スルホン酸基の位置、数、分子量などを必ずしも正確に表すわけではなく、これらに限定されるものでない。
さらに、前記式(H3−1)〜(H3−4)ではいずれのセグメントに対しても、保護基としてケタール基を導入したが、本発明においては、結晶性が高く溶解性が低い成分に保護基を導入すればよく、前記式(H3−1)や(H3−3)で表されるイオン性基を含有するセグメント(A1)には必ずしも保護基が必要ではなく、耐久性や寸法安定性の観点から、保護基がないものも好ましく使用できる。
また、前記式(H3−1)で例示されるブロックは、ビスフェノール成分と芳香族ジハライド成分を(N1+1):N1で反応させることにより、分子量が制御されたオリゴマーの合成が可能である。前記式(H3−2)も同様である。
リンカーを用いたブロック共重合の反応温度としては、120℃以下の加温条件下が好ましい。より好ましくは、80℃以上、120℃以下である。反応温度を120℃以下とすることにより、反応時のエーテル交換反応による高分子構造のランダム化を十分に抑制することができ、高分子電解質組成物成形体としたときに共連続またはラメラ様のミクロ相分離構造を発現させることが可能となる。一方、180℃以上とすれば、ランダムな高分子構造をもつポリマーが得られ、高分子電解質組成物成形体としたときに共連続やラメラ様の相分離構造を得ることが出来なくなる。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって共連続な相分離構造を観察することができる。ブロック共重合体の相分離構造、つまりイオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)の凝集状態およびその形状を制御することによって、低加湿条件下においても優れたプロトン伝導性を実現できる。相分離構造は透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)等によって分析することが可能である。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、相分離構造を有しながら、結晶性を有することを特徴とし、示差走査熱量分析法(DSC)あるいは広角X線回折によって結晶性が認められる。すなわち、示差走査熱量分析法によって測定される結晶化熱量が0.1J/g以上、または、広角X線回折によって測定される結晶化度が0.5%以上であるブロック共重合体である。
本発明において、「結晶性を有する」とはポリマーが昇温すると結晶化されうる、結晶化可能な性質を有する、あるいは既に結晶化していることを意味する。また、非晶性ポリマーとは、結晶性ポリマーではない、実質的に結晶化が進行しないポリマーを意味する。従って、結晶性ポリマーであっても、結晶化が十分に進行していない場合には、ポリマーの状態としては非晶状態である場合がある。
必要な固形分濃度に調製したポリマー溶液を常圧の濾過もしくは加圧濾過などに供し、高分子電解質溶液中に存在する異物を除去することは強靱な成形体を得るために好ましい方法である。ここで用いる濾材は特に限定されるものではないが、ガラスフィルターや金属製フィルター、樹脂製フィルターが好適である。該濾過で、ポリマー溶液が通過する最小のフィルターの孔径は、1μm以下が好ましい。濾過を行わない場合異物の混入を許すこととなり、成形体の破断が発生するなど、耐久性が不十分となるので好ましくない。
次いで、得られた高分子電解質組成物成形体はイオン性基の少なくとも一部が金属塩の状態で熱処理することが好ましい。用いる高分子電解質材料が重合時に金属塩の状態で重合するものであれば、そのまま成形、熱処理することが好ましい。金属塩の金属はスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。
この熱処理の温度は好ましくは80〜350℃、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは120〜150℃である。熱処理時間は、好ましくは10秒〜12時間、さらに好ましくは30秒〜6時間、特に好ましくは1分〜1時間である。熱処理温度が低すぎると、機械強度や物理的耐久性が不足する場合がある。一方、高すぎると成形体の化学的分解が進行する場合がある。熱処理時間が10秒未満であると熱処理の効果が不足する。一方、12時間を超えると成形体の劣化を生じやすくなる。熱処理により得られた高分子電解質組成物成形体は必要に応じて酸性水溶液に浸漬することによりプロトン置換することができる。この方法で成形することによって本発明の高分子電解質組成物成形体はプロトン伝導度と化学的安定性、物理的耐久性をより良好なバランスで両立することが可能となる。
本発明で使用される高分子電解質材料を成形体へ転化する方法としては、該高分子電解質材料から構成される成形体を前記手法により作製後、ケタールで保護したケトン部位の少なくとも一部を脱保護せしめ、ケトン部位とするものである。この方法によれば、溶解性に乏しいイオン性基を含有しないブロックを含むブロック共重合体の溶液成形が可能となり、プロトン伝導性と化学的耐久性、機械強度、物理的耐久性を両立することができる。
本発明の高分子電解質組成物成形体は、高分子電解質膜として使用することが好ましい。高分子電解質膜の膜厚としては、好ましくは1〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の機械強度、物理的耐久性を得るには1μmより厚い方がより好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚のさらに好ましい範囲は3〜50μm、特に好ましい範囲は10〜30μmである。かかる膜厚は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができる。
また、本発明によって得られる高分子電解質組成物成形体には、通常の高分子化合物に使用される結晶化核剤、可塑剤、安定剤、離型剤、あるいは前記添加剤を均一に分散させるための分散剤などの添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。
また、本発明によって得られる高分子電解質組成物成形体には、前述の諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で機械強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。また、微多孔膜、不織布、メッシュ等で補強しても良い。
かかる高分子電解質膜を燃料電池として用いる際の高分子電解質膜と電極の接合法については特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, p.269.記載の化学メッキ法、電気化学協会編(J. Electrochem. Soc.)、エレクトロケミカル サイエンス アンド テクノロジー (Electrochemical Science and Technology),1988, 135, 9, p.2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
加熱プレスにより一体化する場合は、その温度や圧力は、電解質膜の厚さ、水分率、触媒層や電極基材により適宜選択すればよい。また、本発明では電解質膜が乾燥した状態または吸水した状態でもプレスによる複合化が可能である。具体的なプレス方法としては圧力やクリアランスを規定したロールプレスや、圧力を規定した平板プレスなどが挙げられ、工業的生産性やイオン性基を有する高分子材料の熱分解抑制などの観点から0℃〜250℃の範囲で行うことが好ましい。加圧は電解質膜や電極保護の観点からできる限り弱い方が好ましく、平板プレスの場合、10MPa以下の圧力が好ましく、加熱プレス工程による複合化を実施せずに電極と電解質膜を重ね合わせ燃料電池セル化することもアノード、カソード電極の短絡防止の観点から好ましい選択肢の一つである。この方法の場合、燃料電池として発電を繰り返した場合、短絡箇所が原因と推測される電解質膜の劣化が抑制される傾向があり、燃料電池として耐久性が良好となる。
さらに、本発明の高分子電解質組成物成形体を使用した固体高分子型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、テレビ、ラジオ、ミュージックプレーヤー、ゲーム機、ヘッドセット、DVDプレーヤーなどの携帯機器、産業用などの人型、動物型の各種ロボット、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらとのハイブリット電源として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。また、本実施例中には化学構造式を挿入するが、該化学構造式は読み手の理解を助ける目的で挿入するものであり、これらに限定されるものではない。
(1)イオン交換容量
中和滴定法により測定した。測定は3回行って、その平均値を取った。
(1)プロトン置換し、純水で十分に洗浄したブロック共重合体、或いは高分子電解質組成物成形体表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求めた。
(2)電解質に5wt%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換した。
(3)0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定した。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とした。
(4)イオン交換容量は下記の式により求めた。
イオン交換容量(meq/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/
試料の乾燥重量(g)
(2)プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、80℃、相対湿度25〜95%の恒温恒湿槽中にそれぞれのステップで30分保持し、定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用し、2端子法で定電位インピーダンス測定を行い、プロトン伝導度を求めた。交流振幅は、50mVとした。サンプルは幅10mm、長さ50mmの膜を用いた。測定治具はフェノール樹脂で作製し、測定部分は開放させた。電極として、白金板(厚さ100μm、2枚)を使用した。電極は電極間距離10mm、サンプル膜の表側と裏側に、互いに平行にかつサンプル膜の長手方向に対して直交するように配置した。
(3)数平均分子量、重量平均分子量
ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、サンプル濃度0.1wt%、流量0.2mL/min、温度40℃で測定し、標準ポリスチレン換算により数平均分子量、重量平均分子量を求めた。
(4)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
(5)透過電子顕微鏡(TEM)による相分離構造の観察
染色剤として2wt%酢酸鉛水溶液中に試料片を浸漬させ、25℃下で24時間放置した。染色処理された試料を取りだし、可視硬化樹脂で包埋し、可視光を30秒照射し固定した。
ウルトラミクロトームを用いて室温下で薄片100nmを切削し、得られた薄片をCu グリッド上に回収しTEM観察に供した。観察は加速電圧100kVで実施し、撮影は、写真倍率として×8,000、×20,000、×100,000になるように撮影を実施した。機器としては、TEM H7100FA(日立製作所社製)を使用した。
(6)エネルギー分散型X線分析(EDX)
前記TEMを測定する際に、EDXを用いて元素分析を行った。親水性ドメイン、疎水性ドメイン、各々について50点において元素分析を行い平均を求め、ブロックコポリマーの寄与を除いた上で、添加剤に含まれる元素の存在比率から各ドメインにおける添加剤の存在量を算出した。機器としては、rTEM検出器(アメテック製)を前記TEMに接続して使用した。
(7)添加剤の粒径
添加剤の粉末を水またはアルコール類に分散した後に、TEMグリッドに滴下した上で溶媒を揮発させた。得られたサンプルを、前記TEM観察に供し、100個の粒子のサイズを測定し、その平均をとることで添加剤の粒径を測定した。
(8)純度の測定方法
下記条件のガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析した。
カラム:DB−5(J&W社製) L=30m Φ=0.53mm D=1.50μm
キャリヤー:ヘリウム(線速度=35.0cm/sec)
分析条件
Inj.temp. 300℃
Detct.temp. 320℃
Oven 50℃×1min
Rate 10℃/min
Final 300℃×15min
SP ratio 50:1
(9)耐熱水性
電解質膜の耐熱水性は95℃、熱水中での寸法変化率を測定することにより評価した。電解質膜を長さ約5cm、幅約1cmの短冊に切り取り、25℃の水中に24時間浸漬後、ノギスで長さ(L1)を測長した。該電解質膜を95℃の熱水中に8時間浸漬後、再度ノギスで長さ(L2)を測長し、その寸法変化の大きさを目視で観察した。
(10)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
下記の測定条件で、1H−NMRの測定を行い、構造確認、およびイオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)のモル組成比の定量を行った。該モル組成比は、8.2ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン由来)と6.5〜8.0ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを除く全芳香族プロトン由来)に認められるピークの積分値から算出した。
装置 :日本電子社製EX−270
共鳴周波数 :270MHz(1H−NMR)
測定温度 :室温
溶解溶媒 :DMSO−d6
内部基準物質:TMS(0ppm)
積算回数 :16回
また、下記の測定条件で、固体13C−CP/MASスペクトルの測定を行い、ケタール基の残存有無確認を行った。
装置 :Chemagnetics社製CMX−300Infinity
測定温度 :室温
内部基準物質:Siゴム(1.56ppm)
測定核 :75.188829MHz
パルス幅 :90°パルス、4.5μsec
パルス繰り返し時間:ACQTM=0.03413sec、PD=9sec
スペクトル幅:30.003kHz
試料回転 :7kHz
コンタクトタイム:4msec
(11)引張強伸度測定
検体となる高分子電解質膜を25℃、60%RHに24時間放置した後、装置にセットし、以下の条件にて引張強伸度測定を行った。引張強伸度は、試験回数5回の平均値で算出した。
測定装置:SV−201型引張圧縮試験機(今田製作所製)
荷重:50N
引張り速度:10m m/min
試験片:幅5mm×長さ50mm
サンプル間距離:20mm
試験温度:25℃、相対湿度60%
試験数:n=5
(12)化学的安定性
電解質膜の化学的安定性は、約10mgのサンプルを80℃で、大過剰の0.05wt%の過酸化水素水に浸漬することにより評価した。浸漬前、100時間後の25℃、相対湿度60%での引張強伸度を測定すると共に重量平均分子量を測定し、分子量保持率を計算した。
(13)金属元素含有率
下記手順に従って分析した。測定は2回以上行ってその平均値を取るものとする。
(1)試料約50mgを白金坩堝に秤取し、バーナー及び電気炉を用いて1000℃まで加熱し灰化する。
(2)得られた灰に、95wt%硫酸1mL、70wt%硝酸1mL、50wt%フッ化水素酸1mLを加え80℃に加熱し分解する。
(3)得られた溶液を分解後、0.1mol/L硝酸で希釈し10mLとする。
(4)ICP発光分光分析を行い、下記式を用いて得られた測定値から試料1gあたりに含まれる金属元素の量を算出する。
M=(10×S)/m
M:試料1g中に含まれる金属元素の量(μg/g)
S:ICP発光分光分析における金属元素の検出量(μg/g)
m:試料の質量(g)
装置:ICP発光分光分析装置 エスアイアイ・ナノテクノロジー製SPS4000
合成例1
下記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(K−DHBP)の合成
攪拌機、温度計及び留出管を備えた500mLフラスコに、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp−トルエンスルホン酸1水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mLで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mLを加え結晶を析出させ、濾過し、乾燥して2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.8%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランと0.2%の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンであった。
合成例2
下記一般式(G2)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50%SO3)150mL(和光純薬試薬)中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、前記一般式(G2)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。構造は1H−NMRで確認した。不純物はキャピラリー電気泳動(有機物)およびイオンクロマトグラフィー(無機物)で定量分析を行った。
合成例3
(下記一般式(G3)で表されるイオン性基を含有しないオリゴマーa1’の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、前記合成例1で得たK−DHBP25.8g(100mmol)および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン20.3g(アルドリッチ試薬、93mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中にて160℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿することで精製を行い、イオン性基を含有しないオリゴマーa1(末端ヒドロキシル基)を得た。数平均分子量は10000であった。
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(アルドリッチ試薬、8mmol)、イオン性基を含有しない前記オリゴマーa1(末端ヒドロキシル基)を20.0g(2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、デカフルオロビフェニル4.0g(アルドリッチ試薬、12mmol)を入れ、105℃で1時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、下記式(G3)で示されるイオン性基を含有しないオリゴマーa1’(末端フルオロ基)を得た。数平均分子量は11000であり、イオン性基を含有しないオリゴマーa1’の数平均分子量は、リンカー部位(分子量630)を差し引いた値10400と求められた。
(下記一般式(G4)で表されるイオン性基を含有するオリゴマーa2の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、前記合成例1で得たK−DHBP12.9g(50mmol)および4,4’−ビフェノール9.3g(アルドリッチ試薬、50mmol)、前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン39.3g(93mmol)、および18−クラウン−6、17.9g(和光純薬82mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中にて170℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、下記式(G4)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーa2(末端ヒドロキシル基)を得た。数平均分子量は16000であった。
(式(G4)において、Mは、NaまたはKを表す。)
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーa2、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb1の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を含有するオリゴマーa2(末端ヒドロキシル基)16g(1mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を含有しないオリゴマーa1’(末端フルオロ基)11g(1mmol)を入れ、105℃で24時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーb1を得た。重量平均分子量は32万であった。
ブロックコポリマーb1は、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、前記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb1そのものを高分子電解質膜としたときの、中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/g、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、55モル/45モル=1.22、ケタール基の残存は認められなかった。
実施例1
ポリフェニレンスルフィド粒子含有高分子電解質膜f1の製造
合成例3にて得た19gのブロックコポリマーb1を60gのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解した。この溶液に、ポリ(1,4−フェニレンスルフィド)粒子(シグマアルドリッチジャパン製、310℃での溶融粘度275ポイズ、平均粒径5nm)1gを添加し、撹拌機で20,000rpm、3分間撹拌しポリマー濃度25質量%の透明な溶液を得た。得られた溶液を、ガラス繊維フィルターを用いて加圧ろ過後、ガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下150℃で10分間熱処理し、ポリケタールケトン膜(膜厚25μm)を得た。ポリマーの溶解性は極めて良好であった。95℃で10重量%硫酸水溶液に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子電解質膜f1を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で200mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は157MPa、引張破断伸度は370%、引張弾性率は1.6GPa、引張降伏点強度は55MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィド粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=15:85であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は136MPa、引張破断伸度は324%、引張弾性率は1.4GPa、引張降伏点強度は46MPa、分子量保持率は80%と化学的安定性に優れていた。
実施例2
ブロックコポリマーb1を14g、ポリフェニレンスルフィド粒子を6gにした以外は、実施例1と同様にして電解質膜f2を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.3meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で130mS/cm、80℃、相対湿度25%で1.4mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は138MPa、引張破断伸度は324%、引張弾性率は1.4GPa、引張降伏点強度は48MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ30nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィド粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=30:70であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は130MPa、引張破断伸度は308%、引張弾性率は1.3GPa、引張降伏点強度は45MPa、分子量保持率は93%と化学的安定性に優れていた。
実施例3
ブロックコポリマーb1を19.8g、ポリフェニレンスルフィド粒子を0.2gにした以外は、実施例1と同様にして電解質膜f3を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で240mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.8mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は180MPa、引張破断伸度は419%、引張弾性率は1.9GPa、引張降伏点強度は66MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィド粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=5:95であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は128MPa、引張破断伸度は281%、引張弾性率は1.1GPa、引張降伏点強度は42MPa、分子量保持率は65%と化学的安定性に優れていた。
実施例4
(下記式(G5)で表されるポリ[2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール](ポリアゾール粒子)c1の合成)
(式(G5)においてlは、任意の自然数を表す。)
窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた250mL二口フラスコに、3,3’−ジアミノベンジジン(和光純薬製)3.24g(15.1mmol)、イソフタル酸(和光純薬製)2.51g(15.1mmol)、ポリリン酸(和光純薬製)180g、亜リン酸トリフェニル(和光純薬製)0.5gを入れ窒素置換後、200℃にて9時間反応を行った。多量の純水で再沈殿することで精製を行い、ポリアゾール粒子c1を収率99.1%で得た。重量平均分子量は、2.8万であった。
(ポリアゾール粒子含有高分子電解質膜f4の製造)
ポリフェニレンスルフィド粒子の代わりに前記ポリアゾール粒子c1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜f4を製造した。TEM観察の結果、ポリアゾールの平均粒径は2nmであった。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で210mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.4mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は163MPa、引張破断伸度は382%、引張弾性率は1.7GPa、引張降伏点強度は58MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて窒素原子の分布から計算したポリアゾール粒子c1の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=18:82であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は147MPa、引張破断伸度は352%、引張弾性率は1.5GPa、引張降伏点強度は49MPa、分子量保持率は82%と化学的安定性に優れていた。
実施例5
(ポリフェニレンスルフィド粒子、ポリアゾール粒子c1双方を含有する高分子電解質膜f5の製造)
ポリフェニレンスルフィド粒子を0.75gとし、ポリアゾール粒子c1を0.25g加えた以外は、実施例1と同様にして電解質膜f5を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で220mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は160MPa、引張破断伸度は375%、引張弾性率は1.7GPa、引張降伏点強度は56MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて硫黄及び窒素原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィド粒子・ポリアゾール粒子c1の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=14:86であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は149MPa、引張破断伸度は357%、引張弾性率は1.6GPa、引張降伏点強度は52MPa、分子量保持率は85%と化学的安定性に優れていた。
実施例6
(フェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2の合成)
窒素導入管を備えた200mL二口フラスコに、酸化マンガン(IV)(和光純薬製)10gを入れ窒素置換後、メタノール:水=4:1(体積)混合液55mL、フェニルトリメトキシシラン1.96mL(和光純薬製、MnO表面の水酸基比3当量)、酢酸1mLを加え25℃にて20時間反応を行った。反応液を20,000gの遠心分離に1時間かけ、沈殿を回収した後に、純水100mLを用いて3回洗浄することで、フェニルシロキサン修飾酸化マンガンc2を収率99.6%で得た。
(フェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2含有高分子電解質膜f6の製造)
ポリフェニレンスルフィド粒子の代わりに前記フェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2を使用したこと、NMPの量が57gであること以外は、実施例1と同様にして電解質膜f6を製造した。TEM観察の結果、フェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2の平均粒径は3nmであった。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で220mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.4mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は160MPa、引張破断伸度は378%、引張弾性率は1.7GPa、引張降伏点強度は58MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いてマンガン原子の分布から計算したフェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=12:88であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は142MPa、引張破断伸度は344%、引張弾性率は1.4GPa、引張降伏点強度は47MPa、分子量保持率は82%と化学的安定性に優れていた。
実施例7
(フェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3の合成)
窒素導入管を備えた200mL二口フラスコに、酸化セリウム(III)(和光純薬製)10gを入れ窒素置換後、メタノール:水=4:1(体積)混合液55mL、フェニルトリメトキシシラン1.91mL(Ce表面の水酸基比3当量)、酢酸1mLを加え25℃にて20時間反応を行った。反応液を20,000gの遠心分離に1時間かけ、沈殿を回収した後に、純水100mLを用いて3回洗浄することで、フェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3を収率99.2%で得た。
(フェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3含有高分子電解質膜f7の製造)
フェニルシロキサン修飾酸化マンガン粒子c2の代わりにフェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3を使用したこと以外は、実施例6と同様にして電解質膜f7を製造した。TEM観察の結果、フェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3の平均粒径は3nmであった。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で230mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.5mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は164MPa、引張破断伸度は386%、引張弾性率は1.7GPa、引張降伏点強度は60MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いてセリウム原子の分布から計算したフェニルシロキサン修飾酸化セリウム粒子c3の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=11:89であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は148MPa、引張破断伸度は350%、引張弾性率は1.4GPa、引張降伏点強度は51MPa、分子量保持率は84%と化学的安定性に優れていた。
実施例8
(ポリアゾール粒子c1・フェニルシロキサン修飾マンガン粒子c2混合高分子電解質膜f8の製造)
ポリアゾール粒子c1を0.5gとし、フェニルシロキサン修飾マンガン粒子c2を0.5gを加えた以外は、実施例4と同様にして電解質膜f6を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で230mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.4mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は162MPa、引張破断伸度は382%、引張弾性率は1.7GPa、引張降伏点強度は59MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて窒素及びマンガン原子の分布から計算したポリアゾール粒子c1・フェニルシロキサン修飾マンガン粒子c2の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=11:89であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は145MPa、引張破断伸度は346%、引張弾性率は1.4GPa、引張降伏点強度は48MPa、分子量保持率は83%と化学的安定性に優れていた。
実施例9
(フェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウム粒子c4の合成)
窒素導入管を備えた200mL二口フラスコに、タングステン酸セリウム(III)(和光純薬製)10gを入れ窒素置換後、メタノール:水=4:1(体積)混合液55mL、フェニルトリメトキシシラン1.85mL(Ce(WO表面の水酸基比3当量)、酢酸1mLを加え25℃にて20時間反応を行った。反応液を20,000gの遠心分離に1時間かけ、沈殿を回収した後に、純水100mLを用いて3回洗浄することで、フェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウムc4を収率98.7%で得た。
(フェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウム粒子c4含有高分子電解質膜f9の製造))
フェニルシロキサン修飾マンガン粒子c2の代わりにフェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウム粒子c4を使用したこと以外は、実施例6と同様にして電解質膜f9を製造した。TEM観察の結果、フェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウム粒子c4の平均粒径は4nmであった。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.7meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で220mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.5mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は171MPa、引張破断伸度は394%、引張弾性率は1.9GPa、引張降伏点強度は61MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いてセリウム原子の分布から計算したフェニルシロキサン修飾タングステン酸セリウム(III)粒子c4の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=8:92であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は131MPa、引張破断伸度は304%、引張弾性率は1.3GPa、引張降伏点強度は43MPa、分子量保持率は75%と化学的安定性に優れていた。
実施例10
(ステアリン酸セリウム(III)含有高分子電解質膜f10の製造)
ポリフェニレンスルフィド粒子の代わりにステアリン酸セリウム(III)(Strem製試薬)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜f10を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.5meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で190mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.1mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は185MPa、引張破断伸度は431%、引張弾性率は2.0GPa、引張降伏点強度は72MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いてセリウム及びリン原子の分布から計算した硝酸セリウム−エチレンビス(ジフェニルホスフィン)錯体c5の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=25:75であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は163MPa、引張破断伸度は379%、引張弾性率は1.6GPa、引張降伏点強度は59MPa、分子量保持率は88%と化学的安定性に優れていた。
比較例1
(酸化劣化を防止する添加剤を含まない高分子電解質膜f1’の製造)
ブロックコポリマーb1を20g使用し、ポリフェニレンスルフィドを使用していない以外は、実施例1と同様にして電解質膜f1’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/g、極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で250mS/cm、80℃、相対湿度25%で3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は180MPa、引張破断伸度は420%、引張弾性率は1.9GPa、引張降伏点強度は69MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。
化学安定性試験後の、引張破断強度は105MPa、引張破断伸度は245%、引張弾性率は1.0GPa、引張降伏点強度は41MPa、分子量保持率は55%とやや低下していた。
比較例2
(ブロックコポリマーb1とポリフェニレンスルフィド粒子を等量含有する高分子電解質膜f2’の製造)
ブロックコポリマーb1、ポリフェニレンスルフィド粒子を共に10g使用した以外は、実施例1と同様にして電解質膜f2’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は0.9meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で40mS/cm、80℃と実施例1よりも低い値を示し、相対湿度25%では抵抗が大きすぎるため測定不可能であった。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性には優れていた。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィド粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=40:60であった。引張破断強度は90MPa、引張破断伸度は230%、引張弾性率は1.0GPa、引張降伏点強度は35MPaと実施例1と比べ機械強度に劣っていた。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。
化学安定性試験後の、分子量保持率は95%と化学安定性には優れていたが、引張破断強度は86MPa、引張破断伸度は219%、引張弾性率は0.9GPa、引張降伏点強度は33MPaと機械強度にやや劣っていた。
比較例3
(下記一般式(G6)で表されるスルホン酸基導入ポリフェニレンスルフィド粒子c5の製造)
(式(G6)において、p、qはそれぞれ独立の自然数を表す。)
ポリ(1,4−フェニレンスルフィド)122.2gを発煙硫酸(50%SO)100mL(和光純薬試薬)中、25℃で12時間反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を水洗し、前記一般式(G6)で示されるスルホン酸基導入ポリフェニレンスルフィドc5を得た。中和滴定から求めたイオン交換容量は2.2meq/g、純度は99.3%であった。構造は1H−NMRから、スルホン酸基導入ユニット:スルホン酸基未導入ユニット=30:70であることを確認した。TEM観察の結果、平均粒径は5nmであった。不純物はキャピラリー電気泳動(有機物)およびイオンクロマトグラフィー(無機物)で定量分析を行った。
(スルホン酸基導入ポリフェニレンスルフィド粒子含有高分子電解質膜f3’の製造)
ポリフェニレンスルフィド粒子の代わりに、スルホン酸基導入ポリフェニレンスルフィド粒子c5を用いた以外は、実施例1と同様にして電解質膜f3’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で250mS/cm、80℃、相対湿度25%で3.0mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は165MPa、引張破断伸度は398%、引張弾性率は1.8GPa、引張降伏点強度は60MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したスルホン酸基導入ポリフェニレンスルフィド粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=85:15であった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は85%と維持していたが、引張破断強度は114MPa、引張破断伸度は264%、引張弾性率は1.1GPa、引張降伏点強度は38MPaとやや低下していた。
比較例4
(酸化マンガン(IV)粒子含有高分子電解質膜f4’の製造)
ポリフェニレンスルフィドの代わりに酸化マンガン(IV)粒子を使用した以外は、実施例1と同様にして電解質膜f4’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で190mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.0mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。引張破断強度は170MPa、引張破断伸度は410%、引張弾性率は1.8GPa、引張降伏点強度は64MPaであった。
さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。また、EDXを用いてマンガン原子の分布から計算した酸化マンガン(IV)粒子の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=88:12であった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は87%と比較的維持していたが、引張破断強度は117MPa、引張破断伸度は269%、引張弾性率は1.1GPa、引張降伏点強度は39MPaとやや低下していた。
比較例5
(高温重合によるイオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーa2、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb2の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を含有するオリゴマーa2(末端ヒドロキシル基)16g(1mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を含有しないオリゴマーa1’(末端フルオロ基)11g(1mmol)を入れ、140℃で24時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーb2を得た。重量平均分子量は31万であった。
ブロックコポリマーb2は、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、前記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb2そのものを高分子電解質膜としたときの、中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/g、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、57モル/43モル=1.33、ケタール基の残存は認められなかった。
(高温重合により合成したブロックコポリマーb2とポリフェニレンスルフィドからなる高分子電解質膜f5’の製造)
105℃にて合成したブロックコポリマーb1の代わりに140℃にて合成したブロックコポリマーb2を使用した以外は、実施例1と同様にして電解質膜f5’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。やや柔らかい電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。また、寸法変化率は15%とやや大きく、耐熱水性を有していた。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で170mS/cmと比較的高い値を示したが、80℃、相対湿度25%では0.3mS/cmであり、実施例1と比較して低加湿条件下においてプロトン伝導性が著しく低下していた。また、引張破断強度は120MPa、引張破断伸度は297%、引張弾性率は1.3GPa、引張降伏点強度は46MPaと、実施例1の膜よりもやや低い値を示した。
また、TEM観察において、明確な共連続様の構造は確認できなかった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は73%と比較的維持していたが、引張破断強度は91MPa、引張破断伸度は206%、引張弾性率は0.8GPa、引張降伏点強度は29MPaと低い値を示した。
比較例6
(高温重合により合成したブロックコポリマーb2とフェニルシロキサン修飾マンガン酸化物からなる高分子電解質膜f6’の製造)
105℃にて合成したブロックコポリマーb1の代わりに140℃にて合成したブロックコポリマーb2を使用した以外は、実施例6と同様にして電解質膜f6’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。やや柔らかい電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。また、寸法変化率は15%とやや大きく、耐熱水性を有していた。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で160mS/cmと比較的高い値を示したが、80℃、相対湿度25%では0.2mS/cmであり、実施例6と比較して低加湿条件下においてプロトン伝導性が著しく低下していた。また、引張破断強度は130MPa、引張破断伸度は315%、引張弾性率は1.5GPa、引張降伏点強度は52MPaと、実施例6の膜よりもやや低い値を示した。
また、TEM観察において、明確な共連続様の構造は確認できなかった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は76%と比較的維持していたが、引張破断強度は94MPa、引張破断伸度は213%、引張弾性率は0.9GPa、引張降伏点強度は31MPaと低い値を示した。
比較例7
(前記一般式(S4)で表される親水性ユニットと前記一般式(S3)で表される疎水性ユニットからなるランダムコポリマーb3の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム13.82g、前記合成例1で得たK−DHBP/4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン=94/6(mol%)混合物20.4g(80mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン8.73g(40mmol)、および前記合成例2で得たジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン16.89g(40mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)90mL、トルエン45mL中で、180℃で脱水後、昇温してトルエン除去、230℃で10時間重合を行った。多量の水で再沈殿することで精製を行い、一般式(S4)で表される親水性ユニットと一般式(S3)で表される疎水性ユニットからなるランダムコポリマーb3を得た。重量平均分子量は35万であった。
ブロックコポリマーb3は、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、前記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb3そのものを高分子電解質膜としたときの、中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/g、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、57モル/43モル=1.33、ケタール基の残存は認められなかった。
(ランダムコポリマーb3とポリフェニレンスルフィドからなる高分子電解質膜f7’の製造)
ブロックコポリマーb1の代わりにランダムコポリマーb3を使用した以外は、実施例1と同様にして電解質膜f7’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。やや柔らかい電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。また、寸法変化率は15%とやや大きく、耐熱水性を有していた。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で50mS/cmと実施例1と比較して低い値を示し、80℃、相対湿度25%では抵抗が大きすぎるために測定不可能であった。また、引張破断強度は94MPa、引張破断伸度は254%、引張弾性率は1.0GPa、引張降伏点強度は43MPaと、実施例1の膜よりも低い値を示した。
また、TEM観察において、明確な共連続様の構造は確認できなかった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は67%と比較的維持していたが、引張破断強度は56MPa、引張破断伸度は152%、引張弾性率は0.6GPa、引張降伏点強度は24MPaと大幅に低下していた。
比較例8
(ランダムコポリマーb3とフェニルシロキサン修飾マンガン酸化物からなる高分子電解質膜f8’の製造)
ブロックコポリマーb1の代わりにランダムコポリマーb3を使用した以外は、実施例6と同様にして電解質膜f8’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.6meq/gであった。やや柔らかい電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。また、寸法変化率は15%とやや大きく、耐熱水性を有していた。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で80mS/cmと実施例1と比較して低い値を示し、80℃、相対湿度25%では抵抗が大きすぎるために測定不可能であった。また、引張破断強度は101MPa、引張破断伸度は264%、引張弾性率は1.1GPa、引張降伏点強度は45MPaと、実施例1の膜よりも低い値を示した。
また、TEM観察において、明確な共連続様の構造は確認できなかった。
化学安定性試験後の、分子量保持率は73%と比較的維持していたが、引張破断強度は67MPa、引張破断伸度は171%、引張弾性率は0.7GPa、引張降伏点強度は29MPaと大幅に低下していた。
比較例9
(海島構造を形成するブロックコポリマーb4の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を含有しないオリゴマーa’1(末端フルオロ基)11g(1mmol)K−DHBP(末端水酸基基)9.5g(37mmol)および4,4’−ビフェノール(末端水酸基)6.8g(アルドリッチ試薬、37mmol)、前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(末端フルオロ基)25.8g(68mmol)、および18−クラウン−6、13.1g(和光純薬試薬、60mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)75mL、シクロヘキサン22mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去、105℃で24時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーb4を得た。重量平均分子量は27万であった。
ブロックコポリマーb4は、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、前記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb4そのものを高分子電解質膜としたときの、中和滴定から求めたイオン交換容量は2.4meq/g、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、72モル/28モル=2.57、ケタール基の残存は認められなかった。
(海島構造を形成するブロックコポリマーb4とポリフェニレンスルフィドからなる高分子電解質膜f9’の製造)
オリゴマー同士から重合したブロックコポリマーb1の代わりにイオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないモノマーから重合したブロックコポリマーb4を使用した以外は、実施例1と同様にして電解質膜f9’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は2.2meq/gであった。非常に柔らかく脆い電解質膜であり、目視では濁った膜であった。また、寸法変化率は25%と大きく、耐熱水性も乏しかった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で310mS/cmと比較的高い値を示したが、80℃、相対湿度25%では0.06mS/cmであり、実施例4と比較して低加湿条件下においてプロトン伝導性が著しく低下していた。また、引張破断強度は54MPa、引張破断伸度は175%、引張弾性率は0.8GPa、引張降伏点強度は24MPaと、実施例1の膜よりも低い値を示した。
また、TEM観察において、親水性ドメインが海、疎水性ドメインが島となっている海島構造を確認した。また、EDXを用いて硫黄原子の分布から計算したポリフェニレンスルフィドの存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=25:75であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は21MPa、引張破断伸度は63%、引張弾性率は0.2GPa、引張降伏点強度は9MPa、分子量保持率は47%と化学安定性に劣っていた。
比較例10
(海島構造を形成するブロックコポリマーとフェニルシロキサン修飾マンガン酸化物からなる高分子電解質膜f10’の製造)
オリゴマー同士から重合したブロックコポリマーb1の代わりにイオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないモノマーから重合したブロックコポリマーb4を使用した以外は、実施例4と同様にして電解質膜f10’を製造した。
中和滴定から求めたイオン交換容量は2.2meq/gであった。やや柔らかい電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。また、寸法変化率は15%とやや大きく、耐熱水性を有していた。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で320mS/cmと高い値を示したが、80℃、相対湿度25%では0.09mS/cmであり、実施例4と比較して低加湿条件下においてプロトン伝導性が著しく低下していた。また、引張破断強度は57MPa、引張破断伸度は183%、引張弾性率は0.8GPa、引張降伏点強度は25MPaと、実施例4の膜よりも低い値を示した。
また、TEM観察において、親水性ドメインが海、疎水性ドメインが島となっている海島構造を確認した。また、EDXを用いてマンガン原子の分布から計算した酸化マンガン(IV)の存在比は、親水性ドメイン:疎水性ドメイン=20:80であった。
化学安定性試験後の、引張破断強度は29MPa、引張破断伸度は86%、引張弾性率は0.3GPa、引張降伏点強度は11MPa、分子量保持率は51%と化学安定性に劣っていた。
本発明の高分子電解質材料および高分子電解質膜は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特に水素を燃料とする燃料電池に好適である。
本発明の固体高分子型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯機器、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらとのハイブリット電源として好ましく用いられる。
M1:共連続構造
M2:ラメラ構造
M3:シリンダー構造
M4:海島構造

Claims (10)

  1. イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)とイオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)をそれぞれ1個以上有するブロック共重合体と添加剤とを含有する高分子電解質組成物成形体であって、前記成形体が共連続またはラメラ様の相分離構造を形成し、かつ、前記添加剤が疎水性であることを特徴とする高分子電解質組成物成形体。
  2. イオン性基を含有する親水性セグメント(A1)が親水性ドメインを形成し、イオン性基を含有しない疎水性セグメント(A2)が疎水性ドメインを形成し、疎水性ドメイン中に存在する添加剤の含有量が、親水性ドメイン中に存在する添加剤の含有量の2倍以上である請求項1に記載の高分子電解質組成物成形体。
  3. 添加剤の含有量が、高分子電解質組成物成形体全体に対して0.01質量%〜40質量%である請求項1または2に記載の高分子電解質組成物成形体。
  4. 透過型電子顕微鏡観察により得られる相分離構造の画像処理が与える自己相関関数から見積もられるミクロ相分離の周期長が2〜200nmである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質組成物成形体。
  5. 前記添加剤が、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアゾール系化合物、疎水性のマンガンおよび/またはセリウムを含有する金属化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質組成物成形体。
  6. 平均粒子径が1〜20nmである請求項5に記載の高分子電解質組成物成形体。
  7. 前記添加剤が、(1)マンガンイオンを含む疎水性塩、(2)セリウムイオンを含む疎水性塩、(3)マンガンイオンを含む有機金属錯体、(4)セリウムイオンを含む有機金属錯体、からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質組成物成形体。
  8. 前記ブロック共重合体が芳香族ポリエーテルケトンである請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質組成物成形体。
  9. イオン性基を含有するセグメント(A1)およびイオン性基を含有しないセグメント(A2)が、それぞれ下記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位を含有する請求項8に記載の高分子電解質組成物成形体。
    (一般式(S1)中、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基を表し、Arおよび/またはArはイオン性基を含有し、ArおよびArはイオン性基を含有しても含有しなくても良い。Ar〜Arは任意に置換されていても良く、互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S1)または他の構成単位との結合部位を表す。)
    (一般式(S2)中、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、イオン性基を含有しない。Ar〜Arは互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S2)または他の構成単位との結合部位を表す。)
  10. 請求項1〜9に記載の高分子電解質組成物成形体を用いて構成されることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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