JP2012169042A - 無機−有機複合固体電解質 - Google Patents

無機−有機複合固体電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化水素系電解質やパーフルオロ系電解質の過酸化水素耐性を向上させることが可能であり、しかも電池性能を低下させるおそれの少ない無機−有機複合固体電解質を提供すること。
【解決手段】誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させ、その後に前記固体高分子電解質を、水又は前記固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液と接触させることにより得られる無機−有機複合固体電解質。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機−有機複合固体電解質に関し、さらに詳しくは、過酸化物ラジカル耐性に優れた無機−有機複合固体電解質に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れたパーフルオロ系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、パーフルオロ系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は、部分フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
しかしながら、固体高分子型燃料電池を車載用動力源等として実用化するためには、解決すべき課題が残されている。例えば、MEAを構成する電解質膜は、触媒層で副生成する過酸化水素又はその分解生成物であるラジカルに対して不安定であり、耐久性を向上させる必要がある。触媒層内電解質や電解質膜がパーフルオロ系電解質である場合には、耐久性の低下は比較的少ない。これに対し、炭化水素系電解質の場合は、過酸化水素及びラジカルに対する安定性がパーフルオロ系電解質に比べて著しく劣るため、燃料電池を長期間安定的に作動させることは困難である。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、炭化水素系固体高分子電解質膜に、二酸化マンガンなどの酸化物触媒、鉄フタロシアニンなどの大環状金属錯体触媒、又は、Cu−Ni合金粒子などの遷移金属合金触媒を添加した固体高分子電解質膜が開示されている。
同文献には、炭化水素系電解質に酸化物触媒等を添加すると、過酸化水素が不均化反応により水に分解し、過酸化水素による電解質の劣化を抑制できる点が記載されている。
また、特許文献2には、高分子電解質に、過酸化水素を接触分解させる分解能を持つ遷移金属酸化物を添加した高耐久性高分子電解質が開示されている。
また、特許文献3には、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜のスルホン酸基のプロトンの一部をMg、Ca、Al、Laなどの多価金属で置換したプロトン伝導性高分子膜が開示されている。
同文献には、スルホン酸基のプロトンの一部を、ある種の多価金属で置換すると、過酸化物ラジカルに対する耐性(耐酸化性)が向上する点が記載されている。
また、特許文献4には、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化パラジウム、酸化銀、酸化ロジウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、二酸化マンガン、酸化モリブデン、二酸化鉛、酸化バナジウム、酸化チタン等の一種あるいは二種以上の遷移金属酸化物をゾルゲル法やイオンの加水分解によって分散配合する方法が開示されている。
さらに、特許文献5には、
(1)トリ−i−プロポキシセリウム(Ce(O−i−C37)3)をエタノールに分散させた分散液と、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン共重合体を蒸留水及びエタノールに溶解させた高分子電解質溶液とを混合し、
(2)混合分散液を離型フィルム上に塗布法で塗工し、
(3)塗膜の上に延伸多孔質PTFE膜を接触させ、延伸多孔質PTFE膜に混合分散液を含浸させ、
(4)含浸膜を140℃で5分間熱処理する
ことにより得られる高分子電解質膜が開示されている。
同文献には、このような方法により、高分子電解質膜中に過酸化物分解触媒をナノレベルで均一に分散させることができる点が記載されている。
パーフルオロ系電解質に対してある種の大環状金属錯体や遷移金属酸化物を添加し、あるいは、パーフルオロ系電解質のプロトンの一部をある種の金属イオンで置換すると、過酸化水素及びラジカルに対する耐性を向上させることができる。しかしながら、これらの技術をそのまま炭化水素系電解質に転用しても、十分な耐久性が得られない場合が多い。
これは、炭化水素系電解質は、パーフルオロ系電解質に比べて基本骨格が不安定であるため、過酸化水素を分解する作用を持つ添加物が過酸化水素だけでなく炭化水素骨格も酸化、還元、あるいは加水分解し、低分子化させるためと考えられる。この低分子化作用により、炭化水素系電解質の機械的特性(伸び、破断強度)は著しく低下する。
また、従来、高分子電解質の過酸化水素耐性試験には、フェントン試験を用いるのが一般的であった。フェントン試験(Fe2+イオン添加過酸化水素水浸漬試験)は、高湿度状態(飽和湿度)下での劣化程度を調べる方法である。
一方、燃料電池運転中には、MEAは十分な湿潤状態ではなく、ドライな状態に置かれる場合も多く、高分子電解質の耐久性を評価するにはフェントン試験のみでは不十分である。そのため、最近では、低湿度下(ドライ環境)で高温の過酸化水素蒸気を被試験体に当てる、いわゆるドライフェントン試験がMEAの劣化を模擬できる促進試験として採用されつつある。
ここで注意すべき事は、上述した耐久性改善法で処理した電解質膜をドライフェントン試験で評価すると、フェントン試験とは全く別の結果を示すものがある点である。特に、炭化水素系電解質にある種の添加物を添加した場合、フェントン試験では耐性改善に効果があるが、ドライフェントン試験では耐久性が改善されないばかりか、逆に耐久性が低下する場合も数多く見受けられた。
また、炭化水素系電解質に上述した各種の化合物やイオンを添加すると、炭化水素系電解質の一般的な欠点である剛直さが一層高まり、機械的強度や可撓性が大きく低下する場合がある。そのため、燃料電池の運転早期にクロスリーク(孔開きや割れ)に至ることがあった。すなわち、炭化水素系電解質に求められる添加剤の必要条件は、パーフルオロ系電解質に比べて遙かに厳しいものがある。言い換えれば、炭化水素系電解質の化学的耐性を向上させる作用があれば、パーフルオロ系電解質においても同様の効果が期待できると考えられる。
さらに、固体高分子電解質に無機酸化物粒子を分散させる方法には、固体高分子電解質に酸化物微粉末を添加して混合する方法と、金属イオンを含む水溶液を用いてイオン交換し、次いで加水分解により無機酸化物粒子を生成させる方法とが知られている。
しかしながら、酸化物微粉末を添加する方法は、酸化物微粉末をミクロレベルで電解質中に分散させるのは困難であり、十分な耐久性能は得られない。
一方、イオン交換+加水分解法の場合、無機酸化物粒子の固定場所は、金属イオンがイオン交換される部分、すなわち、親水基の近傍となる。そのため、無機酸化物粒子の添加量が多くなりすぎると、プロトン伝導を阻害し、電池性能が低下しやすくなる。また、酸基部分に無機酸化物粒子を固定すると、この部分の親水性が過剰となり、フラッディングを生じやすくなる。
さらに、固体高分子電解質は、一般にミクロ相分離構造を有している。そのため、イオン交換+加水分解法を用いて無機酸化物粒子を添加すると、無機酸化物粒子は親水性領域に濃縮される。その結果、親水性領域での過酸化水素耐性又はラジカル耐性はある程度向上する。しかしながら、疎水性領域及びこの近傍においては、無機酸化物粒子の量が不十分となり、十分な耐久性能が得られない。
この点は、ゾルゲル法においても同様であり、溶媒は、通常、誘電率の大きなアルコール系溶媒が用いられる。そのため、金属酸化物は、親水性領域に濃縮されやすく、疎水性領域の劣化に起因する電池性能の低下を避けることができなかった。
特開2000−106203号公報 特開2001−118591号公報 特開2004−018573号公報 特開2005−019232号公報 特開2008−293971号公報
本発明が解決しようとする課題は、炭化水素系電解質やパーフルオロ系電解質の過酸化水素耐性を向上させることが可能であり、しかも電池性能を低下させるおそれの少ない無機−有機複合固体電解質を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、高分子電解質の疎水性領域の過酸化水素耐性を向上させることが可能な無機−有機複合固体電解質を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る無機−有機複合固体電解質は、
誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させ、
その後に前記固体高分子電解質を、水又は前記固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液と接触させる
ことにより得られるものからなる。
本発明に係る無機−有機複合固体電解質の2番目は、
誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させることにより得られ、
前記有機金属化合物は、炭素数が7以上22以下のカルボン酸塩であり、
前記有機金属化合物を構成する金属元素は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、La、Ce、Eu、Gd、Nd、Si、Nb、Al、Bi、Sn、Ti、Y、Zr、Ag及びMoから選ばれるいずれか1以上であることを要旨とする。
すなわち、有機金属化合物として、所定の金属元素を含む中鎖カルボン酸塩を用いる場合、有機金属化合物を安定化させるための処理(水や水溶液と接触させる処理)は、必ずしも必要ではない。
有機金属化合物を低誘電率溶媒に溶解させた添加剤溶液と固体高分子電解質とを接触させ、次いで固体高分子電解質と水とを接触させると、ドライ環境下においても優れた過酸化水素耐性を有する無機−有機複合固体電解質が得られる。これは、
(1)有機金属化合物を溶解させる溶媒として低誘電率溶媒を用いることにより、有機金属化合物が固体高分子電解質の疎水性領域に優先的に導入されるため、及び、
(2)水との接触によって、疎水性領域内で有機金属化合物が安定化されるため、
と考えられる。
また、このような添加剤溶液と固体高分子電解質とを接触させ、次いで過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液とを接触させると、さらに優れた過酸化水素耐性を有する無機−有機複合固体電解質が得られる。これは、
(1)疎水性領域に有機金属化合物が優先的に導入されることによって、疎水性領域の過酸化水素耐性が向上するため、及び、
(2)これと同時に、親水性領域にある酸基のプロトンの一部がカチオンでイオン交換されることによって、親水性領域の過酸化水素耐性が向上するため、
と考えられる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 無機−有機複合固体電解質]
本発明に係る無機−有機複合固体電解質は、
誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させ、
その後に前記固体高分子電解質を、水又は前記固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液と接触させる
ことにより得られる。
[1.1. 添加剤溶液の作製]
まず、誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させ、添加剤溶液を作製する。有機金属化合物及び有機溶媒には、具体的には、以下のようなものを用いるのが好ましい。
[1.1.1. 有機金属化合物]
本発明において、有機金属化合物は、電解質内部の疎水性領域に優先的に分散固定されていると考えられる。
また、疎水性領域に導入された有機金属化合物は、
(1)そのままの形で、
(2)酸化物微粒子若しくは水酸化物微粒子に加水分解された形で、又は、
(3)イオンに加水分解された形で、
過酸化物分解触媒又はラジカル捕捉剤として機能すると考えられる。
さらに、ある種の有機金属化合物を疎水性領域に導入し、水で処理すると、加水分解・縮合反応により、三次元架橋体が形成されると考えられる。三次元架橋体は、過酸化水素分解触媒又はラジカル捕捉剤として機能する化学種(主として、有機金属化合物を構成する金属元素)が高分子電解質から脱離するのを抑制する作用がある。また、三次元架橋体は、高分子電解質の機械的安定性及び耐熱性の向上にも寄与すると考えられる。
有機金属化合物の加水分解により生成する無機微粒子としては、水を含まない酸化物、含水酸化物、水酸化物、オキシ酸化物などがある。
また、無機微粒子は、X線的に明白な結晶系を取らないアモルファス構造であっても良く、あるいは、完全に分解する前の有機物を含む架橋構造体(例えば、Siにおいては、Si−(O−C)4−等)を含んでいても良い。
有機金属化合物は、上述した過酸化物分解触媒又はラジカル捕捉剤としての機能以外に、以下のいずれか1以上の条件をさらに備えているものが好ましい。
第1に、有機金属化合物は、毒性が低いものが好ましい。
第2に、有機金属化合物は、加水分解反応速度が室温、大気中において遅いもの(水分と急激に反応しないもの)が好ましい。
第3に、有機金属化合物は、有機溶媒に対する溶解度が高いものが好ましく、理想的には、有機溶媒に完全に溶解するものが好ましい。但し、有機溶媒に完全に溶解していなくても、大部分が有機溶媒中に沈降せず、サブミクロンサイズの微細な粒子としてコロイド状に分散するものでも良い。
第4に、有機金属化合物を優先的に疎水性領域に導入するためには、有機金属化合物は、水への溶解度が小さいものが好ましい。具体的には、有機金属化合物の水への溶解度は、室温で1g/L以下が好ましい。
第5に、有機金属化合物の金属元素以外の構成元素は、C、H、Oのみからなるのが好ましい。例えば、有機金属化合物がリン酸根、Cl、Br、I等のF以外のハロゲン元素や、S、Nを含んでいる場合、これらの化合物やその分解生成物が電極触媒金属に吸着し、性能低下が甚だしくなるおそれがある。
なお、Fを含む分解生成物による電極被毒作用は小さい。そのため、有機金属化合物の構成元素としてFが含まれていても良い。
上述のような条件を満たす有機金属化合物としては、アルキル金属、金属ジオネート、金属アルコキシド、金属フタロシアニン、金属ポルフィリン、カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、金属シクロペンタジエニル化合物(メタロセン)、カルバミン酸塩などがある。本発明においては、これらのいずれか1種の有機金属化合物を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの有機金属化合物の内、アルキル金属や金属アルコキシドは、一般に、加水分解速度が大きい。そのため、例えば、水分に対して著しく不安定な遷移金属アルコキシドを有機金属化合物として用いる場合、作業は、ドライルーム内やドライエアカーテンで隔てた場所で行うのが好ましい。
アルキル金属や金属アルコキシド以外の有機金属化合物は、多くの場合、大気中で取り扱っても問題ない。有機金属化合物は、特に、金属ジオネート、金属フタロシアニン、金属ポルフィリン、及び、カルボン酸塩が好ましい。
特に好ましいものはカルボン酸塩であり、その中でも炭素数が7以上22以下の中鎖カルボン酸塩が好ましい。
例えば、2−エチル−ヘキサン塩等の炭素数が7以上22以下の中鎖カルボン酸塩は、室温においては蒸気圧が低く、水分に対しての反応性や溶解度、及び、毒性も小さいものが多い。さらに、中鎖カルボン酸塩は、誘電率が10以下の有機溶媒への溶解性が著しく大きい。但し、炭素数が23以上の長鎖カルボン酸塩は、誘電率が10以下の有機溶媒への溶解性が小さくなる。これらの点から、炭素数が7以上22以下の中鎖カルボン酸塩は、疎水部に導入するための有機金属化合物として好適である。
炭素数が7以上22以下の中鎖カルボン酸塩としては、具体的には、エナント酸塩、カプリル酸塩、ペラルゴン酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ネオデカン酸塩、パルミチン酸塩、マルガリン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、エイコサン酸塩、ベヘン酸塩、リグノセリン酸塩、セロチン酸塩、モニタン酸塩、メリシン酸塩、ベヘニン酸塩、ウンデシレン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ナフテン酸塩、アラギジン酸塩、リグノセリン酸塩、又は、これらの混合物などがある。
また、有機金属化合物は、安息香酸塩、トルイル酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、イソフタル酸塩、ナフタレン酸塩、フェナントレン酸塩、アントラセン酸塩、サリチル酸塩などの芳香族カルボン酸塩、又は、これらの混合物でも良い。
有機金属化合物を構成する金属元素は、有機金属化合物のままの状態、又は、無機粒子若しくはイオンの状態において、過酸化水素及びラジカルの無害化作用があるものであれば良く、特に限定されるものではない。
特に、過酸化水素及びラジカルの無害化作用が大きい金属元素としては、具体的には、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、La、Ce、Eu、Gd、Nd、Si、Nb、Al、Bi、Sn、Ti、Y、Zr、Ag、P、Mo、Wなどが挙げられる。有機金属化合物は、これらのいずれか1種の金属元素を含むものでも良く、あるいは、2種以上の金属元素を含む複合化合物又は混合物であっても良い。
特に、Ca、Ba、Sn、Zn、Bi、P、La、及び、Ceは、過酸化水素による攻撃を緩和する作用が大きい。また、これらの金属元素を含む有機金属化合物は、低誘電率溶媒への溶解性も高い。
上記の金属元素の内、PとW以外の金属元素(すなわち、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、La、Ce、Eu、Gd、Nd、Si、Nb、Al、Bi、Sn、Ti、Y、Zr、Ag及びMoから選ばれるいずれか1以上)を含み、かつ、炭素数が7以上22以下のカルボン酸塩は、耐久性向上効果が顕著である。
また、これらの中鎖カルボン酸塩は、疎水性領域に導入された後に行われる水との接触処理(安定化処理、加水分解処理)を必ずしも必要としない。これは、中鎖カルボン酸塩は低誘電率の有機溶媒に対する溶解度が大きく、かつ水分に対して安定であるため、そのままの形で電解質内部に導入することができるためである。一方、長鎖カルボン酸塩の中には有機溶媒への溶解度が小さく、コロイド状となり、電解質表面に付着することがある。そのため、水との接触処理を行うことが好ましい。
なお、取り扱い易さの観点から、市販されている長鎖カルボン酸塩の中には、金属元素重量として10wt%前後の濃度となるように、ヘキサン、トルエン等の炭化水素溶媒で希釈されている場合がある(ミネラルスピリット溶液)。後述するように、本発明においては、金属元素重量として0.01〜1wt%の濃度の添加剤溶液を用いる。従って、このようなミネラルスピリット溶液を母液とし、これを誘電率が10以下である適当な有機溶媒で希釈して用いても良い。
[1.1.2. 有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物としては、具体的には、以下のようなものがある。
[1.1.2.1. Na系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がNaであるNa系有機金属化合物には、
酢酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、ナトリウムアルミニウムハイドライドビス(メトキシエトキシド)、ナトリウムビス−2−(アリルオキシメチル)ブトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムシクロヘキサンブチレート、ナトリウムシクロペンタジエン、ナトリウムジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート、ナトリウムジアリルオキシアセテート、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド、ギ酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム水和物、フマール酸ナトリウム、ナトリウムヘキサフルオロペンタンジオネート、ナトリウムイソプロポキシド、イタコン酸ナトリウム、ナトリウムマリエート水和物、メタアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸ナトリウム水和物、ナトリウムポリアクリル酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムメトキシエトキシド、ナトリウム メチルアセトアセテート、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム水和物、ナトリウム2,4−ペンタンジオネート、ナトリウムフェノキシド、ナトリウムフタロシアニン、ポリアクリル酸ナトリウム、ナトリウムポリ−D,L−アスパレート、ナトリウムポリ−L−グルタメート、ナトリウムポリメタアクリレート、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムi−プロピルシクロペンタジエナイド、ナトリウムテトラフェニルボレート、ナトリウムトリフルオロアセテート、ネオデカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウムなどがある。
[1.1.2.2. Cs系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がCsであるCs系有機金属化合物には、
2−エチルヘキサン酸セシウム、ギ酸セシウム、ギ酸セシウム水和物、セシウムメトキシド、オレイン酸セシウム、ステアリン酸セシウムなどがある。
[1.1.2.3. Ca系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がCaであるCa系有機金属化合物には、
酢酸カルシウム、酢酸カルシウム水和物、アクリル酸カルシウム、カルシウム ジピバロイルメタネート、カルシウムエトキシド、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、D−グルコン酸カルシウム、カルシウム6,6,7,7,8,8,8,−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート、カルシウム ヘキサフルオロペンタンジオネート、カルシウム メタアクリレート水和物、カルシウムメトキシド、カルシウムメトキシエトキシド、ネオデカン酸カルシウム、カルシウム2,4−ペンタンジオネート二水和物、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、モンタン酸カルシウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ナフテン酸カルシウムなどがある。
[1.1.2.4. Ba系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がBaであるBa系有機金属化合物には、
酢酸バリウム、アクリル酸バリウム、バリウムシクロヘキサンブチレート、バリウム ジピバロイルメタネート、バリウムエトキシド、2−エチルヘキサン酸バリウム、バリウム6,6,7,7,8,8,8,−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート二水和物、バリウム ヘキサフルオロペンタンジオネート、バリウムイソプロポキシド、バリウムメタアクリレート、バリウムIIメトキシプロポキシド、ラウリン酸バリウム、ネオデカン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、バリウム2,4−ペンタンジオネート二水和物、オレイン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、バリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ナフテン酸バリウム、バリウムトリフルオロメタンスルホネート、バリウム−チタンダブルアルコキシド、バリウム−イットリウムダブルアルコキシド、バリウム−ジルコニウムダブルアルコキシド、ビス(n−プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)バリウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)バリウムテトラグライムアダクト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)バリウムトリグライムアダクトなどがある。
[1.1.2.5. P系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がPであるP系有機金属化合物には、
アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスファイト、アルキルホスフィン酸、アルキルホスホン酸などがある。
これらは、水と接触することにより、一部或いは全部が、ホスホン酸、ホスホニウム、ホスフィンオキシドに変化し、安定化される。安定化されたこれらのP系有機金属化合物は、(1)金属イオンに配位し、金属イオンの触媒活性を不活性化したり、あるいは、(2)過酸化水素を安定化し、過酸化水素やラジカルからの攻撃を無害化する。
例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスファイトとしては、
アセトキシエチルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィンオキシド、ベンジルジフェニルホスフィン、ベンジルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(アセトキシエチル)フェニルホスフィン、1,2−ビス[ビス(ヒドロキシメチル)ホスフィノ]エタン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン ジオキシド、1,5−ビス(ジエチルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジメトキシホスホリル)ベンゼン、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、
1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパンオキシド、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)アセチレン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ラセミック−2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、シス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、シス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン ジオキシド、トランス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、ビス2−(ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、
1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ヒドロキシメチル)フェニルホスフィン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)フェニルホスフィン、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、1,3−ビス(フェニルホスフィノ)プロパン、n−ブチルジベンジルホスフィン、n−ブチル ジ−n−ブチルホスフィン、n−ブチルジエチルホスフィン、n−ブチルジメチルホスフィン オキシド、n−ブチルジフェニルホスフィン、t−ブチルジフェニルホスフィン、(カルベトキシメチレン)トリフェニルホスホラン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルホスフィン、シクロヘキシルホスホン酸、n−デシルフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン オキシド、ジ−アミルフェニルホスフィン、ジ−n−ブチルn−ブチルホスホナイト、ジ−n−ブチルメチルホスフィン、ジ−n−ブチルメチルホスフィン オキシド、
ジ−n−ブチルメチルホスホネート、ジ−n−ブチルフェニルホスフィン、ジ−n−ブチルフェニルホスホナイト、ジ−n−ブチルホスフィン、ジ−i−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチルホスフィン、ジ−n−ブチルホスフィン酸、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン オキシド、ジシクロヘキシルホスフィン酸、ジエチル エチルホスホネート、ジエチルエチルホスホナイト、ジエチル ヒドロキシメチルホスホネート、ジエチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホナイト、ジエチルホスフィン、ジエチルホスフィン酸、ジエチル−i−プロピルホスホナイト、ジ−n−ヘキシルフェニルホスフィン、ジ−n−ヘキシルホスホネート、ジメチル アリルホスホナイト、ジメチルn−ブチルホスホナイト、ジメチルt−ブチルホスホナイト、ジメチル シクロヘキシルホスホナイト、
ジメチルドデシルホスフィン、ジメチル−n−ヘキシルホスフィン、ジメチル−n−ヘキシルホスフィン オキシド、ジメチルn−オクタデシルホスホネート、ジメチル−n−オクチルホスフィン、ジメチル−n−オクチルホスフィン オキシド、ジメチルフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン オキシド、ジメチルホスホン酸、ジメチル−4−トルイルホスフィン、ジ−n−オクチルフェニルホスフィン、ジフェニレンフェニルホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン オキシド、ジフェニル−n−ヘキシルホスフィン、ジフェニル−2−メトキシフェニルホスフィン、ジフェニル(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン酸、4,4'−ジフェニルホスフィノビフェニル、ジフェニル−i−プロピルホスフィン、ジフェニル−n−プロピルホスフィン、ジフェニル−i−プロピルホスフィン オキシド、
ジフェニル−m−トルイルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、ジ−i−プロピル アリルホスホネート、ジ−i−プロピル シクロヘキシルホスホナイト、ジ−i−プロピルフェニルホスフィン、ジ−n−プロピルフェニルホスホナイト、ジ−i−プロピルホスファイト、ジ−n−プロピルn−プロピルホスホネート、ジビニルフェニルホスフィン、エチル ジエチルホスフィネート、エチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィナイト、1,2−エチレンビス(ジフェニルホスフィン オキシド)、エチレン−ビス−フェニルホスフィン、1,2−エチレン ジホスホン酸、エチリデン ジホスホン酸、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシド、エチルホスホン酸、
4−エチル−2,6−7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2.]オクタン、n−ヘキシルホスフィン、n−ヘキシルホスホン酸、
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ホスホン酸、ヒドロキシメチル ビサイクリックホスファイト、2−ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン、3−ヒドロキシプロピルジフェニルホスフィン、メチルジエトキシホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスファイト、メチル ジ−i−プロピルホスフィナイト、メチレン ビス(ジ−n−ヘキシルホスフィン オキシド)、メチレン ジホスホン酸、メチル メチル−n−ブチルホスフィナート、メチルメチルフェニルホスフィナート、メチルフェニルホスフィン酸、メチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテート、フェニルジメトキシホスフィン、フェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、i−プロピル ジシクロヘキシルホスフィン、i−プロピルジフェニルホスフィナイト、プロピレン ジホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、
n−プロピル n−プロピルフェニルホスフィネート、テトラエチル ブチレンジホスホネート、テトラエチル デカメチレンジホスホネート、テトラエチル メチレンジホスホネート、テトラエチル プロピレンジホスホネート、テトラメチル メチレンジホスホネート、テトラフェニルジホスフィン、テトラ−i−プロピルメチレンジホスホネート、テトラ−n−プロピル メチレンジホスホネート、テトラ−i−プロピル プロピレンジホスホネート、p−トルイルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、トリアリルホスフィン オキシド、トリアリルホスファイト、トリ−n−アミルホスフィン、トリ−n−アミルホスフェート、トリベンジルホスフィン、トリベンジルホスフィン オキシド、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン オキシド、トリ−i−ブチルホスフィン、トリ−s−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、
トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン オキシド、トリシクロヘキシルホスファイト、トリシクロペンチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリエチルホスフィン オキシド、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリ(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリメチルホスフィン オキシド、トリメチルホスファイト、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリ−ネオ−ペンチルホスファイト、トリ−n−オクチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン オキシド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン オキシド、トリフェニルホスファイト、1−トリフェニルホスホラニリデン−2−プロパノン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン オキシド、トリ−n−プロピルホスファイト、
トリ−i−プロピルホスフィン、トリ−i−プロピルホスフィン オキシド、トリ−i−プロピルホスファイト、トリス(2−ジメチルアミノエチル)ホスファイト、トリス(2−ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン、1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン オキシド、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(m−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(m−メトキシフェニル)ホスフィン オキシド、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン オキシド、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、[トリス(トリメチルシリル)]ホスフィン、[トリス(トリメチルシリル)]ホスファイト、トリ−o−トルイルホスフィン、トリ−o−トルイルホスファイト、トリ−m−トルイルホスフィン、トリ−p−トルイルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン
などがある。
[1.1.2.6. Si系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がSiであるSi系有機金属化合物には、
アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、ジエチルメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、メチルトリアリルシラン、フェニルシランシラン、フェニルトリアリルシラン、フェニルトリメチルシラン、テトラアリルシラン、テトラメチルシラン、テトラビニルシラン、トリアリルシラン、トリエチルシラン、トリエチルビニルシラン、トリフルオロメチルトリメチルシラン、トリイソブチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリフェニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ビニルメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサフェニルジシラン、テトラキス(トリメチル)シラン、テトラフェニルジメチルシラン、トリス(トリメチル)シラン、
デカメチルテトラシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テトラキス(トリメチルシリルオキシ)シラン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリス(トリメチルシリルオキシ)シラン、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,2−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン、1,1−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1,3−ブタジエン、1,2−ビス(トリメチルシリルオキシ)シクロブテン、
1,2−ビス(トリメチルシリルオキシ)エタン、1,1−ビス(トリメチルシリルオキシ)−3−メチル−1,3−ブタジエン、1,1−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−プロペン、トリス(トリメチルシリル)メタン、ビニルメチルビス(トリメチルシリルオキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシリルオキシ)シラン、テトラブチルオルソシリケート、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、アリルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリキドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタアクリレート、ビニルトリメトキシシラン、
ビニル トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−カルボメトキシエチルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、アリルオキシトリメチルシラン、ジメチルメトキシ−n−プロピルシラン、エトキシトリメチルシラン、1−メトキシ−3−(トリメチルシリルオキシ)−1,3−ブタジエン、プロパラギルオキシトリメチルシラン、2−(トリメチルシリルオキシ)プロペン、ビニルオキシトリメチルシラン、ジメチルトリメチルシリルホスファイト、エチル(エチルトリメチルシリル)アセテート、メチル(トリメチルシリル)アセテート、シリコン(IV)アセテート、トリエチルシリル トリフルオロメタンスルホネート、トリイソプロピルシリル トリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリル−3−メチルブチレート、トリメチルシリルプロピオネート、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリル トリフルオロメタンスルホネート、ビニルトリアセトキシシランモノマー
などがある。
[1.1.2.7. Al系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がAlであるAl系有機金属化合物には、
アクリル酸アルミニウム、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム シクロヘキサンブチレート、アルミニウム ジ−s−ブトキシド エチルアセトアセテート、アルミニウム ジイソプロポキシジエチルアセトアセテート、アルミニウムエトキシド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム8−ヒドロキシキノリネート、アルミニウム イソプロポキシド、アルミニウム メタアクリレート、アルミニウム9−オクタデセニルアセトアセテート ジイソプロポキシド、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム フェノキシド、アルミニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ジエトキシシロキサン−s−ブチルアルミネート コポリマー、ジエチルアルミニウム エトキシド、ジイソブチルアルミニウム ハイドライド、トリエチルアルミニウム、トリエチル(トリ−sec−ブトキシ)ジアルミニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、モンタン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、
などがある。
[1.1.2.8. Nb系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がNbであるNb系有機金属化合物には、
ニオビウムV n−ブトキシド、ニオビウムV エトキシド、ニオビウムIV 2−エチルヘキサネート、ニオビウム オギザレート モノオギザレート アダクト、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ニオビウムIV
などがある。
[1.1.2.9. Bi系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がBiであるBi系有機金属化合物には、
酢酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマス、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ビスマスネオデカネート、ビスマスIIIt−ペントキシド、サリチル酸ビスマス、ビスマスIIIテトラメチルヘプタンジオネート、トリメチルビスマス、トリフェニルビスマス、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)ビスマスIIIなどがある。
[1.1.2.10. Zn系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がZnであるZn系有機金属化合物には、
(1)ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジフェニル亜鉛などのアルキル金属、
(2)ヘキサフルオロアセチルアセトネート亜鉛二水和物、2,4−ペンタジオネート亜鉛水和物、2,26,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどのジオネート、
(3)N,N−ジメチルアミノエトキシド亜鉛、メトキシエトキシド亜鉛などのアルコキシド、
(4)フタロシアニン亜鉛などのフタロシアニン、
(5)プロトポルフィリン亜鉛、メソ−テトラフェニルポルフィリン亜鉛などのポルフィリン亜鉛化合物、
(6)ギ酸亜鉛二水和物、酢酸亜鉛二水和物、プロピオン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−t−ブチル安息香酸亜鉛、シクロヘキサンブチレート二水和物亜鉛塩、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ウンデカン酸亜鉛、テレフタル酸亜鉛、2,4−ペンタジオン酸亜鉛、クエン酸亜鉛二水和物、シクロヘキサン酸亜鉛二水和物、グルコン酸亜鉛、ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン酸亜鉛、乳酸亜鉛三水和物、シュウ酸亜鉛二水和物、フェノールスルホン酸亜鉛八水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、p−トルエンスルホン酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛水和物などのカルボン酸塩、
(7)トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛などのメタンスルホン酸塩、
(8)ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛などのカルバミン酸塩、ピリチオン亜鉛
などがある。
[1.1.2.11. Sn系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がSnであるSn系有機金属化合物には、
アクリルオキシトリ−n−ブチルすず、アクリルオキシトリフェニルすず、アリル−n−ブチルすず、アリルトリメチルすず、アリルトリフェニルすず、ビス(2−エチルヘキサン酸)すず、ビス(ネオデカノエート)すず、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメチルすず、ビス(トリ−n−ブチルすず)アセチレン、ビス(トリ−n−ブチルすず)アセチレンジカルボキシレート、ビス(トリ−n−ブチルすず)オキサイド、ビス(トリフェニルすず)オキサイド、ビス(トリ−n−プロピルすず)オキサイド、ビス「トリス」(2−メチル−2−フェニルプロピル)すずオキサイド、n−ブチルすずヒドロキシド オキサイド、n−ブチルトリス(2−エチルヘキサン酸)すず、シクロペンタジエニエルトリ n−ブチルすず、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルすず オキサイド、ジアセトキシすず、ジアリルジ−n−ブチルすず、ジアリルジフェニルすず、
ジ−n−ブチルビス(2−エチルヘキサン酸)すず、ジ−n−ブチルビス(2−エチルヘキシルマリエート)すず、ジ−n−ブチルビス(メチルマリエート)すず、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)すず、ジ−n−ブチルジアセトキシすず、ジ−t−ブチルジアセトキシすず、ジ−n−ブチルジアクリル酸すず、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシすず、ジ−n−ブチルジフルオロすず、ジ−n−ブチルジラウリルすず、ジ−n−ブチルジメタアクリレートすず、ジ−n−ブチルジメトキシすず、ジ−n−ブチルジフェニルすず、ジ−n−ブチルジビニルすず、ジ−n−ブチル(マリエート)すず、ジ−n−ブチルジラウリルすずビス(2−エチルヘキサン酸)、ジブチルすず ジアセテート、ジ−n−ブチルすずジハイドライド、ジ−n−ブチルすず オキサイド、ジエチルジメチルすず、ジエチルすずオキサイド、ジメチルジネオデカノエートすず、ジメチルジフェニルすず、
ジメチルヒドロキシ(オリエート)すず、ジメチルすずジフルオライド、ジメチルすず オキサイド、ジオクチルジラウリレートすず、ジオクチルジネオデカノエートすず、ジオクチル(マリエート)すず、ジオクチルすず オキサイド、(ジフェニルホスフィーノ)トリフェニルすず、ジフェニールすず オキサイド、ジビニルジ−n−ブチルすず、1−エトキシビニルトリ−n−ブチルすず、エチルすず酸、エチルトリ−n−ブチルすず、ヘキサ−n−ブチルジすず、ヘキサメチルジすず、ヘキサフェニルジすず、メタアクリルオキシトリ−n−ブチルすず、メチルトリフェニルすず、フェニルエチニルトリ−n−ブチルすず、フェニルトリ−n−ブチルすず、i−プロピルトリメチルすず、ナトリウムすずエトキシド、テトラアセトキシすず、テトラアリルすず、テトラベンジルすず、テトラ−t−ブトキシすず、テトラ−n−ブチルすず、テトラシクロヘキシルすず、テトラエチルすず、
テトライソプロポキシすず イソプロパノール アダクト、テトライソプロピルすず、テトラメチルジアセトキシスタノキサン、テトラメチルすず、テトラ−n−オクチルすず、テトラ−n−ペンチルすず、テトラフェニルすず、テトラ−n−プロピルすず、テトラ−i−プロピルすず、テトラ−p−トリルすず、テトラビニルすず、すずIIエトキシド、すずIIヘキサフルオロペンタンジオネート、すずIIメトキシド、シュウ酸すず、すずII2,4−ペンタンジオネート、すずIIフタロシアニン、すずIIタータレート、トリベンジルすずヒドロキシド、トリ−n−ブチルアセトキシすず、トリ−n−ブチルベンゾイルオキシすず、トリ−n−ブチルエトキシすず、トリ−n−ブチルフルオロすず、トリ−n−ブチルメトキシすず、トリ−n−ブチルメチルすず、トリ−n−ブチルすず、トリ−n−ブチルすずハイドライド、トリシクロヘキシルすず フルオライド、トリシクロヘキシルすず ヒドロキシド、トリエチルすずヒドロキシド、(トリイソプロポキシチタノキシ)トリ−n−ブチルすず、トリメチルシリルトリ−n−ブチルすず、トリメチルすずフルオライド、トリメチルすずヒドロキシド、トリ−m−オクチルすずハイドライド、トリフェニルアセトキシすず、トリフェニルフルオロすず、トリフェニルヒドロキシすず、トリフェニルすず、トリ−p−トルイルヒドロキシすず、ビニルトリ−n−ブチルすず
などがある。
[1.1.2.12. Sb系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がSbであるSb系有機金属化合物には、
酢酸アンチモン、アンチモンIIIn−ブトキシド、アンチモンIII−エトキシド、アンチモンIII−メトキシド、メタクリルオキシジフェニルアンチモン、ポリ(アンチモンエチレングリコキシド)、トリ−n−ブチルアンチモン、トリフェニルアンチモン、トリビニルアンチモンなどがある。
[1.1.2.13. Zr系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がZrであるZr系有機金属化合物には、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、ジメチルビス(インデニル)ジルコニウム、ジルコニウム n−ブトキシド、ジルコニウム t−ブトキシド、ジルコニウム ジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタジオネート)、ジルコニウム ジイソプロポキシド ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタジオネート)、ジルコニウムジメタアクリレートジブトキシド、ジルコニウムエトキシド、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムメタアクリレート、ジルコニウムメタクリルオキシエチルアセトアセテート トリ−n−プロポキシド、ジルコニウム2−メチル−2−ブトキシド、ジルコニウム2,4−ペンタンジオネート、ジルコニウム n−プロポキシド、ジルコニウムIV i−プロポキシド、ジルコニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタジオネートジルコニウムトリフルオロペンタンジオネート、ジルコニウムトリメチルシロキサイド、ジルコニルジメタクリレート、ジルコニルプロピオネート
などがある。
[1.1.2.14. Hf系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がHfであるHf系有機金属化合物には、
ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムIV、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウム2,4−ペンタンジオネート、ハフニウムIV i−プロポキシドモノイソプロピレート、ハフニウムテトラメチルヘプタンジオネート、ハフニウムトリフルオロペンタンジオネートなどがある。
[1.1.2.15. Ce系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がCeであるCe系有機金属化合物には、
酢酸セリウム(III)水和物、セリウムIV t−ブトキシド、2−エチルヘキサン酸セリウム、セリウムIII6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート、セリウムIVイソプロポキシド、セリウムIVメトキシエトキシド、シュウ酸セリウム9水和物、セリウムIII2,4−ペンタンジオネート含水塩、セリウムIV2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、セリウムIIIトリフルオロアセチルアセトネート、トリス(シクロペンタジエニル)セリウム、トリス(i−プロピルシクロペンタジエニル)セリウム、シュウ酸セリウム水和物などがある。
[1.1.2.16. La系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がLaであるLa系有機金属化合物には、
酢酸ランタン(III)水和物、ランタン6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート、ランタンイソプロポキシド、ランタンメトキシエトキシド、ランタン2,4−ペンタンジオネート水和物、2−エチルヘキサン酸ランタン、ランタン2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ランタントリフルオロメタンスルホネート、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン、トリス(i−プロピルシクロペンタジエニル)ランタン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)ランタン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ランタン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ランタンテトラグライムアダクト、ナフテン酸ランタン、シュウ酸ランタン水和物などがある。
[1.1.2.17. Y系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がYであるY系有機金属化合物には、
トリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウム、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(メチルシクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(n−プロピルシクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)イットリウムトリグライムアダクト、酢酸イットリウム水和物、2−エチルヘキサン酸イットリウム、イットリウム6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオナート、イットリウムヘキサフルオロイソプロポキシド ジアンモニアコンプレックス、イットリウムヘキサフルオロペンタンジオナート、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムメタアクリレート、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムナフトエート、ネオデカン酸イットリウム、シュウ酸イットリウム水和物、イットリウム2,4−ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート、イットリウムトリフルオロアセテート水和物
などがある。
[1.1.2.18. W系有機金属化合物の具体例]
有機金属化合物を構成する金属元素がWであるW系有機金属化合物には、
ビス(シクロペンタジエニル)ジハイドライドタングステン、タングステンVエトキシド、タングステンIVエトキシド、タングステンIVフェノキシドなどがある。
[1.1.3. 有機溶媒]
通常、誘電率の高い有機溶媒(高誘電率溶媒)中に溶解又は分散している添加剤(有機金属化合物)は、結果として水との相性が良い極性の高い親水性領域に濃化されやすい。また、単に添加剤と高分子電解質とを機械的に溶融混合しただけでは、添加剤を優先的に疎水性領域に濃化させることはできない。
そこで、本発明においては、疎水性領域に優先的に添加剤が導入されるように、添加剤との親和性が良好であり、かつ、常温における誘電率が10以下である有機溶媒(低誘電率溶媒)を添加剤のキャリアとして使用する。常温における誘電率は、さらに好ましくは、5以下、さらに好ましくは、3以下である。
また、高誘電率溶媒は、高分子電解質を溶解させる作用が大きい。そのため、高分子電解質と高誘電率溶媒とを高温で長時間接触させると、膜強度が低下したり変形する場合がある。これに対し、添加剤を導入するためのキャリアとして低誘電率溶媒を用いると、高分子電解質の強度低下や変形を抑制することもできる。
低誘電率溶媒は、誘電率が低いことに加えて、以下のいずれか1以上の条件をさらに備えているものが好ましい。
第1に、低誘電率溶媒は、取り扱いやすさの観点から、常温において液体であるものが好ましい。また、低誘電率溶媒は、乾燥(加熱、減圧)中に容易に揮発するものが好ましい。これらの点を考慮すると、低誘電率溶媒は、沸点(大気圧下)が50〜250℃の範囲にあるものが好ましい。
第2に、低誘電率溶媒は、分子中にN、Sのような吸着力の高い元素を含まないものが好ましい。このような元素を含む溶媒を用いた場合、溶媒が少量でも電解質内に残留すると、触媒を被毒し、電池性能の低下が甚だしくなる。
このような条件を満たす低誘電率溶媒としては、具体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、これらの混合物である鉱油−ミネラルスピリッツ、テルペン類、ギ酸エステルなどのエステル類、エーテル類、フッ素系溶媒などがある。これらは、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
低誘電率溶媒は、特に、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン類、ギ酸エステル及びフッ素系溶媒から選ばれるいずれか1以上が好ましい。
これらは、いずれも構成元素としてC、H、O以外の元素(例えば、NやS)を持たないので、電解質内に残留しても溶媒及び溶媒の分解生成物による触媒元素の被毒は非常に小さい。
また、溶媒内に不飽和結合を持つもの(鎖式不飽和炭化水素、環式不飽和炭化水素、テルペン類)と、シュウ酸エステルは、ラジカル及び過酸化水素を捕捉し、無害化する犠牲剤として働く。そのため、これらの溶媒は、電解質に残留したとしても、電解質を保護する働きがある。
さらに、溶媒の中には、Ptイオンの配位子として働き、Ptイオンのフェントン活性を減じる作用があると考えられるものもある。このような溶媒としては、例えば、シメン、タキソールなどがある。
後述する低誘電率溶媒の中でも、特に、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン、リモネン、シュウ酸ジエチル、パーフルオロヘキサンが好ましい。これらを添加剤のキャリアとして用いると、疎水性領域に添加剤を濃化させることができる。一般に、電解質に添加剤を導入する際の溶媒(キャスト法、ゾルゲル法)は誘電率が10以上であるアルコール、DMSO、DMF、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が用いられている。従って、本発明に係る添加剤が本発明に例示した誘電率が10以下の有機溶媒と供に検出された場合には、電解質は本発明の製造方法によったものと推定することができる。
[1.1.4. 有機溶媒の具体例]
以下に、有機溶媒の具体例及びその優劣について説明する。()内には、「HANDOBOOK of CHEMISTRY and PHYSICS-84th EDITION2003-2004」から採った誘電率を示した。
[1.1.4.1. 脂肪族炭化水素]
メタノール(33.0)やエタノール(25.3)等の脂肪族短鎖アルコール系溶媒は、有機溶媒として不適当である。これらは、添加剤による耐久性向上が見られたとしても、誘電率が高すぎるため、添加剤の大部分が親水部に固定されてしまい、電池性能の低下が甚だしい。
但し、アルコール類であっても、誘電率の低い4−オクタノールC818O(4.48)、4−デカノールC1022O(3.42)等の誘電率が10以下の長鎖アルコールは、本発明に用いることができる。脂肪族長鎖アルコールの炭素数は、7以上が好ましい。
アセトンC36O(21.01)、メチルエチルケトンC48O(18.56)等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテルC4102(13.38)等のグリコールエーテル系溶媒も高誘電率であり、水と相溶することから好ましくない。
N−メチルピロリドンC59NO(32.55)やN−メチルアセトアミドC37NO(179)、N,N−ジメチルホルムアミドC37NO(38.25)等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドC26OS(47.24)等のスルホキシド系溶媒も、誘電率が高すぎるため、添加剤を疎水性領域に優先的に濃化できない。
さらに、これらの高誘電率溶媒は、高分子電解質を溶解させる作用が大きいため、高分子電解質と接触させたときに、膜強度の低下や変形が生じやすい。また、アミド系溶媒やスルホキシド系溶媒は、分子中にNやSを含んでいるので、残留した溶媒が触媒を被毒しやすい。
誘電率が低い脂肪族飽和炭化水素には、
ペンタンC512(1.8371)、イソペンタンC512(1.845)、ネオペンタンC512(1.769)、n−ヘキサンC614(1.8865)、n−ヘプタンC7H16(1.9209)、オクタンC818(1.948)、2−メチルヘプタンC818(1.9519)、3−エチルヘキサンC818(1.9617)、2,2−ジメチルヘキサンC818(1.9498)、2,5−ジメチルヘキサンC818(1.9619)、3,3−ジメチルヘキサンC818(1.9645)、3,4−ジメチルヘキサンC818(1.9814)、3−エチル−3−メチルペンタンC818(1.96)、2,2,3−トリメチルペンタンC818(1.960)、イソオクタンC818(1.943)、2,3,3−トリメチルペンタンC818(1.978)、2,3,4−トリメチルペンタンC818(1.9738)、ノナンC920(1.9722)、デカンC1022(1.9853)、ウンデカンC1124(1.9972)、ドデカンC1226(2.012)、トリデカンC1328(2.0213)、テトラデカンC1430(2.0343)、シクロペンタンC510(1.9687)、シクロヘキサンC612(2.0243)、シクロヘプタンC714(2.0784)、シクロオクタンC816(2.116)、及び、これらの混合組成物であるパラフィン油(4.6〜4.8)
などがある。
誘電率が低い脂肪族不飽和炭化水素には、
1−ペンテンC510(2.011)、1−ヘキセンC612(2.077)、1−ヘプテンC714(2.092)などがある。
誘電率が低い脂環式炭化水素には、
テトラリンC1012(2.771)、デカリンC1018(2.2)などがある。
[1.1.4.2. 芳香族炭化水素]
誘電率が低い芳香族炭化水素には、
ベンゼンC66(2.2825)、トルエンC78(2.379)、o−キシレンC810(2.562)、m−キシレンC810(2.359)、p−キシレンC810(2.2735)、エチルベンゼンC810(2.4463)、o−ジエチルベンゼンC1014(2.596)、クメンC1014(2.370)、及び、これらの芳香族化合物からなる混合物シンナー(約3.7)、
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素の混合物である鉱油−ミネラルスピリッツ(2〜2.5)、
などがある。
[1.1.4.3. テルペン類]
テルペン類は、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンなどのいずれであっても良く、単環式、非環式、多環式のいずれであっても良い。
誘電率が低いモノテルペンには、
メンタンC1020、d−リモネンC1016(2.3746)、1−リモネンC1016(2.3738)、フェランドレンC1016、テルピノレンC1016(2.2918)、テルピネンC1016(2.4526)、シメンC1014(2.318)などがある。
誘電率が低い二環式モノテルペンには、
カランC1018、ツジャンC1018、ピナンC1018(2.1456)などがある。
誘電率が低いセキステルペン、ジテルペンには、
ゲラニルゲラニオール、フィトール、アビエチン酸、ピマラジエン、ダフネトキシン、タキソール、ピマール酸タキソールなどがある。
融点が高いものは、低融点のモノテルペンと混合して使用すればよい。すなわち、これらのテルペン類は、単一成分でも良く、あるいは、これらの混合油(いわゆる、テレビン油)でも良い。
また、これらは、カルボニル基やヒドロキシ基などの官能基を持つテルペノイド誘導体であっても良いが、低誘電率の観点からは、Oを含まないC、Hのみからなるテルペン系化合物が好ましい。
例えば、環式モノテルペンの内、炭素数が10〜13であるものは、十分な電解質への浸透性と、添加剤を含浸させた後の乾燥性とを併せ持つ。また、これらは、電解質を傷めることが少なく、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高い。
一方、炭素数が9以下である場合、その分子の極性が大きくなることで、電解質との接触の際に電解質の傷みが多くなる。また、分子量が小さくなることで、引火点が下がり、取扱が困難となる。
逆に、炭素数が14以上である場合、環式モノテルペンの分子量が大きくなり、十分な浸透性と、添加剤を含浸させた後の電解質の乾燥性を得ることができない。また、環式モノテルペンの分子量が大きくなることで、溶剤の生分解性が低下する。そのため、不要となった溶媒の処理が困難になることがある。
環式モノテルペンの誘導体には、アルキル基、ビニル基、アルコキシ基、アルデヒド基などの一般的な官能基を付加したものがある。これらの内、極性がないアルキル基、ビニル基を持つ誘導体が好ましい。極性がないことにより、電解質を傷める事が少なく、高い浸透性をもって添加剤を疎水性領域に導入させることができる。
p−メンタン類又はツジャン類は、炭素数が10〜13の範囲内であり、液状であって取り扱いが容易であることや、皮膚への刺激が比較的少ないため健康上の問題が少ないことから、低誘電率溶媒として好適である。また、これらは、十分な浸透性と乾燥性とを併せ持つ。さらに、これらは、電解質との接触の際に電解質を傷めることが少なく、引火点が40℃以上と比較的高いため、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高い。また、水との分離が容易で、溶剤の再利用を簡単に行うことができる。
p−メンタン類及びツジャン類の内、
(1)引火点が40℃で、水に不溶であるp−メンタン、
(2)引火点が40℃で、水に不溶であるリモネン、
(3)引火点が51℃で、水に不溶であるγ−テルピネン、又は、
(4)これらの誘導体、
は、添加剤の溶解性や浸透性と、安全性とのバランスが取れているので、低誘電率溶媒として好適である。
低誘電率溶媒として好適なp−メンタン類、ツジャン類には、
γ−テルピネンC1016(2.2738)、d−リモネンC1016(2.3746)、1−リモネンC1016(2.3738)、テルピノレンC1016(2.2918)、α−ピネンC1016(2.1787)、β−ピネンC1016(2.497)、α−テルピネンC1016(2.4526)、β−ミルセンC1016(2.3)、ピナンC1018(2.1456)、シメンC1014(2.318)などがある。
低誘電率溶媒として好適な二環式モノテルペンには、
カラン、ピナン(2.1456)、ボルナン、フェンカン、イソボルナン、イソカンファンなどがある。
セキステルペン、ジテルペン、タキソール、セスタテルペン、ゲラニルファルネソール、トリテルペンなども低誘電率溶媒として用いることができる。
[1.1.4.4. エーテル類]
誘電率が低いエーテル類には、
テトラヒドロフランC48O(7.52)、1,4−ジオキサンC482(2.2189)、ジエチルエーテルC410O(4.2666)、ジプロピルエーテルC614O(3.38)、エチレングリコールジエチルエーテルDMEC6142(7.3)、ジエトキシメタンC5122(2.5727)、テトラメトキシエタンC5124(2.40)、
テルペン類でもあるユーカリプトールC1018O(4.57)
などがある。
[1.1.4.5. エステル類]
誘電率が低いエステル類には、
(1)ギ酸プロピルC482(6.92)、酢酸エチルC482(6.0814)、メチルプロパネートC5102(6.2)、コハク酸ジメチルC6104(7.19)、酢酸イソアミルC7142(4.72)、アジピン酸ジエチルC10184(6.109)などのエステル、
(2)シュウ酸ジエチルC6104(8.266)、シュウ酸ジイソプロピルC8144(6.403)、シュウ酸ジブチルC10184などのシュウ酸エステル、
(3)ジメチルカーボネート(DMC)C363(3.087)、ジエチルカーボネート(DEC)C5103(2.82)などの炭酸エステル、
などがある。
[1.1.4.6. フッ素系溶媒]
フッ素系溶媒(フルオラス溶媒)は、以下のような特徴を有する溶媒である。
(1)対応する炭化水素系溶媒よりも誘電率が低く、添加剤(有機金属化合物)の溶解度が高い。例えば、ヘプタンC714の誘電率は1.9209であるのに対し、パーフルオロヘプタンC714の誘電率は1.847である。
(2)沸点が低く、溶媒の水に対する溶解度が小さい(回収しやすい)。
(3)難燃性であり、安全対策に要する経費が少ない。
フッ素系溶媒は、単位容量当たりの単価は高価であるが、繰り返しリサイクルして使用できるため、総合的に見ると経済的である。
フッ素系溶媒は、C−HのすべてがC−Fに置き換わったパーフルオロ化合物である必要はなく、部分的にC−Fに置換した溶媒でも良い。但し、溶媒内にCl、Br、Iのハロゲンを含むものは、残留溶媒から遊離したハロゲンイオンが吸着被毒の素となり、電池性能低下が起きることがある。また、オゾン破壊係数が大きく、環境負荷も大きいため、F以外のハロゲン元素は含まない方が良い。
低誘電率のフッ素系溶媒には、
1−フルオロペンタンC511F(3.931)、2H,3H−デカフルオロペンタンC5210、オクタフルオロシクロペンテンC58、ヘキサフルオロベンゼンC66(2.029)、フルオロベンゼンC65F(5.465)、パーフルオロヘキサンC614(1.76)、テトラデカフルオロ−2−メチルペンタンC614、m−ジフルオロベンゼン(5.01)、パーフルオロメチルシクロヘキサンC714(1.82)、パーフルオロヘプタンC716(1.847)、トリフルオロメチルベンゼンC753(9.22)、o−フルオロトルエンC77F(4.23)、m−フルオロトルエンC77F(5.41)、p−フルオロトルエンC77F(5.88)、オクタフルオロトルエンC78、オクタデカフルオロオクタンC818、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)C816、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)C816O、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンC846(5.98)、1−フルオロオクタンC817F(3.89)、エイコサフルオロノナンC920、オクタデカフルオロデカヒドロナフタレンC1018などがある。
これらは、沸点が150℃未満であり、溶媒回収のコストを抑えることができる。これらのフッ素系溶媒は、表面張力が小さいので、疎水性領域の電解質の奥深くまで添加剤を浸透させることができる。この利点は、種々の界面活性剤(F系界面活性剤を含む)を溶剤に添加して、疎水性領域に添加剤を浸透させる場合よりも遙かに大きい。一般に、界面活性剤分子は分子量が大きく、高沸点化合物である。そのため、細孔内に一端吸着すると、完全に除去するのが困難であり、触媒を被毒し、電池性能の低下が甚だしくなる事が多い。
一方、本発明においては、低誘電率の吸着率の弱い低沸点溶媒(F系溶媒を含む)を用いている。そのため、大気中乾燥、真空乾燥、水洗浄、あるいは、水蒸気洗浄を施せば、電解質から容易に溶媒を除去することができ、電池性能を低下させることがない。
なお、添加剤の種類によっては、F系溶媒への溶解度が極めて小さいか、あるいは、分散性が悪い場合がある。そのような場合には、一端、非F系の低誘電率溶媒に添加剤を溶解又は分散させた後、F系の低誘電率溶媒を添加するか、あるいは、F系の低誘電率溶媒と非F系の低誘電率溶媒の混合溶媒を用いると良い。
混合溶媒を用いる場合、F系溶媒と非F系溶媒の重量比は、1:99〜60:40とするのが好ましい。F系溶媒の重量割合が少なすぎると、F系溶媒の添加効果はほとんど無い。一方、F系溶媒の重量割合が過剰になると、添加剤の溶解度や分散性が低下し、均一な添加剤溶液を得るのが困難となる。
[1.1.5. 添加剤溶液の組成]
添加剤溶液中の有機金属化合物の濃度が低すぎると、電解質中に導入された金属化合物の濃度が低くなり、耐久性向上作用が見られない。従って、添加剤溶液中の有機金属化合物の濃度は、金属含有量として0.01wt%以上が好ましい。
一方、添加剤溶液中の有機金属化合物の濃度が高すぎると、電解質中に導入された金属化合物の濃度が高くなりすぎ、電解質の導電性が低下したり、あるいは、電解質が脆化する場合がある。従って、添加剤溶液中の有機金属化合物の濃度は、金属含有量として1.0wt%以下が好ましい。
[1.2. 添加剤溶液による処理]
次に、固体高分子電解質を添加剤溶液に接触させる。両者を接触させると、添加剤溶液が固体高分子電解質の疎水性領域に優先的に導入される。
[1.2.1. 固体高分子電解質]
本発明が適用される固体高分子電解質は、
(1)C−H結合を含み、C−F結合を含まない炭化水素系電解質
(2)C−H結合とC−F結合の双方を含む部分フッ素化炭化水素系電解質、
(3)C−F結合を含み、C−H結合を含まないパーフルオロ系電解質、
のいずれであっても良い。
また、固体高分子電解質は、一般に、C−F又はC−H構造体からなる疎水性領域と、末端若しくは側鎖にエーテル結合、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等を導入した、極性が高い親水性領域とを備えている。
本発明が適用される固体高分子電解質は、
(1)相対的に低分子量の疎水性領域と、相対的に低分子量の親水性領域とが交互に共重合した交互共重合体
(2)相対的に低分子量の疎水性領域と、相対的に低分子量の親水性領域とがランダムに共重合したランダム共重合体、
(3)相対的に高分子量の疎水性領域と、相対的に高分子量の親水性領域とが共重合したブロック共重合体、
のいずれであっても良い。
固体高分子電解質は、十分な水分が存在する時には、親水性領域と疎水性領域とが明瞭に区別できる、いわゆる相分離構造を取ることが知られている。一方、低湿度状態(ドライ環境)では、特に疎水性領域の化学的安定性が低下し、主鎖の切断が起こりやすくなるとも言われている。
本発明は、フッ素系電解質に比べて過酸化水素やラジカルに攻撃されやすい炭化水素系電解質に特に有効である。
また、疎水性ブロック(強度と耐水性とを確保する部分)と、親水性ブロック(イオン導電性と水移動性とを確保する部分)とがランダム又は規則的に並んだブロックコポリマーは、疎水性ブロックの過酸化水素やラジカルに対する安定性が十分でないことが多い。そのため、これに対して本発明を適用すると、顕著な効果が得られる。特に、固体高分子電解質が、炭化水素系ポリマー(部分フッ素化炭化水素系ポリマーを含む)からなる疎水性ブロックと、炭化水素系ポリマー又はフッ素系ポリマーからなる親水性ブロックとがランダム又は規則的に並んだブロックコポリマーである場合、その効果はさらに顕著となる。
[1.2.2. 接触方法]
固体高分子電解質と添加剤溶液との接触方法には、
(1)膜形成前に、固体高分子電解質と多量の添加剤溶液とを混合し、混合液を金属、PET、PTFE、セラミックスなどの基体の上に注ぎ、有機溶媒を加熱除去する「キャスト成型法」、
(2)膜形成前に、固体高分子電解質と少量の添加剤溶液とを混練し、混練物を押し出し、フィルム状に成型する「押し出し成型法」、
(3)成型された固体高分子電解質膜を添加剤溶液に浸漬し、又は、固体高分子電解質膜に添加剤溶液をスプレー塗布、インクジェット印刷、スピンコート印刷、転写印刷等により接触させる「膜後付添加法」、
などがある。
本発明においては、いずれの方法を用いても良い。しかしながら、一般に固体高分子電解質や有機金属化合物は、低誘電率溶媒への溶解性が不十分なことが多い。そのため、接触方法には、押し出し成型法又は膜後付添加法を用いるのが好ましい。
なお、有機溶媒の種類によっては、高温かつ長時間の固体高分子電解質との接触は、電解質の過度の膨潤や溶解を引き起こし、電解質膜のモルフォロジーの変化による導電率低下や機械的強度の低下を招くため、注意が必要である。添加剤溶液と固体高分子電解質の接触温度は、室温が好ましく、接触時間は、数分〜数時間が好ましい。
[1.2.3. 固体高分子電解質の前処理(含水前処理、乾燥前処理)]
後述するように、添加剤溶液を固体高分子電解質に浸透させた後、有機金属化合物を水分に対して安定化(加水分解・縮合、又は、イオンに分解)させるための処理を行う。固体高分子電解質に水分が含まれている場合、この安定化反応は、固体高分子電解質が添加剤溶液に接触した時点から始まる。この反応には、固体高分子電解質に含まれる水と、固体高分子電解質のイオン交換基から放出されるプロトンが関与する。
有機金属化合物が水との反応性の低いものである場合、固体高分子電解質に水分が含まれていたとしても、室温付近での反応速度は遅く、水分の供給も不十分な場合が多い。そのため、単に添加剤溶液で処理した固体高分子電解質と水又は水溶液とを接触させるだけでは、有機金属化合物の安定化が十分に進行しないことが多い。
しかしながら、添加剤溶液と接触させる前に、予め固体高分子電解質を水で膨潤させておく(含水前処理)と、後述する水若しくは水溶液による処理時に安定化反応を促進させることができる。
また、固体高分子電解質を予め水で膨潤させると、親水性領域が水で満たされる(水で蓋をされる)ため、親水性領域への添加剤溶液の侵入を抑制することができる。すなわち、プロトン伝導性や水移動性に関与する親水性領域のダメージを抑え、結果として電池性能の低下を抑制することができる。
含水の方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
含水方法としては、具体的には、
(1)硝酸マグネシウム等の無機塩を水に飽和溶解度以上に溶かした水溶液を入れた密閉容器(湿箱)に電解質を静置する方法、
(2)恒温・恒湿槽に電解質を入れ、平衡含水状態にする方法、
(3)電解質に水蒸気スプレーを噴射する方法、
(4)電解質を水槽にディッピングさせる方法、
などがある。
一方、ある種の有機金属化合物(例えば、遷移金属アルコキシドやアルキル金属)は、不安定で、大気中の水分と急激に反応する。このような有機金属化合物と、水分を含んだ固体高分子電解質とを接触させると、発熱による電解質のふくれや、有機金属化合物導入量の不均一化を起こしやすい。このような場合には、予め電解質を十分に真空乾燥してから、低露点の不活性ガスを流したグローブボックスやガスカーテンで仕切られた場所で、添加剤溶液と接触させるのが好ましい。
なお、金属ジオネート、金属フタロシアニン、金属ポルフィリン、カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、金属シクロペンタジエニル化合物(メタロセン)、及び、カルバミン酸の多くは、一般に室温下では水に対して安定である。そのため、これらの有機金属化合物を用いる場合には、電解質の乾燥前処理、及び、ドライボックスやドライルーム内での取り扱いは、必ずしも必要ではない。
[1.2.4. 固体高分子電解質の後処理(乾燥後処理)]
固体高分子電解質と添加剤溶液を接触した後、後述する水又は水溶液による処理の前に、添加剤溶液に含まれる低誘電率溶媒を除去する乾燥後処理を行っても良い。乾燥後処理を行うことによって、大気中の水分が固体高分子電解質に侵入しやすくなり、有機金属化合物の安定化を促す場合がある。
また、有機金属化合物の融点以上の温度で加熱すると、低誘電率溶媒が除去されるだけでなく、有機金属化合物粒子が電解質内部で溶融し、均一に分散する(リフロー処理)。その結果、少量の有機金属化合物の使用で、耐久性を向上させることができる。
[1.3. 水又は水溶液による処理]
固体高分子電解質と添加剤溶液とを接触させた後、固体高分子電解質を、水又は固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液に接触させる。両者を接触させると、主として固体高分子電解質の疎水性領域において、有機金属化合物が安定化される。また、水溶液を用いて処理を行った場合、親水性領域にカチオンが導入される。水又は水溶液による処理は、いずれか一方のみを行っても良く、あるいは、双方を行っても良い。また、双方を行う場合、いずれを先に行っても良い。ここでいう処理とは、単なる室温による純水を用いたすすぎとは異なり、以下で示す様な安定化作用を目的としたものである。
[1.3.1. 処理方法]
水又は水溶液で電解質を処理する主たる目的は、不安定な有機金属化合物を水との平衡状態で十分に安定化(加水分解・縮合、又は、イオンに分解)させることにある。また、水又は水溶液による処理は、不要な有機溶媒の除去を行うためにも行われる。
有機溶媒としてある種の低誘電率溶媒を用いた場合において、有機溶媒の除去が不十分であると、電極が有機溶媒で被毒して電池性能が低下したり、あるいは、燃料電池運転中の排水のCODが増加し、悪臭が発生することがあるため、注意が必要である。また、水又は水溶液で処理した場合であっても、現実には、一部の溶媒は治具に付着する等して、電解質から完全に除去できない場合が多い。
そのため、本発明においては、有機溶媒として、触媒被毒原因となるS、Nを構成元素としない低誘電率溶媒を用いるのが好ましい。通常、残留溶媒の許容量は、1wt%以下であり、さらに好ましくは、1000ppm以下である。
一方、有機溶媒の種類によっては、残留溶媒が過酸化水素の犠牲剤やラジカル捕捉剤、あるいは、機械的特性の改良剤(可塑剤)として働くこともある。このような機能を有する有機溶媒としては、例えば、ギ酸エステル、テルペン類、不飽和結合を含むオクテン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤などがある。この場合、有機溶媒の残留量は、1000ppm近くであっても良い。
有機金属化合物の加水分解が、室温の大気圧下での吸着水分量で不十分な場合、電解質の温水中への浸漬や、水蒸気による蒸気洗浄(例えば、加圧水蒸気洗浄)を行う。この過程で、添加した有機金属化合物が安定化すると同時に、不要な有機溶媒を除去することができる。
温水浸漬処理においては、複数の浸漬槽で浸漬処理を行い、できるだけ固体高分子電解質から、不要な溶媒及び未含浸の有機金属化合物を洗い流すことが好ましい。
[1.3.2. 処理液]
有機金属化合物の安定化処理で使用する際の処理液は、脱イオン交換水や超純水が好ましいが、固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液であっても良い。
このような作用を有するカチオンとしては、具体的には、アルカリ金属イオン、アルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、イミダゾリウムイオン、アルカリ土類金属イオンなどがある。また、基本骨格が丈夫なF系電解質においては、カチオンとして、遷移金属イオンや、Ce3+、Ce4+のような希土類金属イオンを用いることができる。
処理液として、所定のカチオンを含む水溶液を用いると、電解質の疎水性領域に適量の有機金属化合物が導入されると同時に、親水性領域にも適量のカチオンが導入され、電解質の化学的耐久性が大きく向上する。
処理液として用いる水溶液のpHは、有機金属化合物の安定化(加水分解)反応が十分進行し、かつ、沈殿生成した無機化合物が電解質から溶出しないように、弱酸性(pH3)〜弱塩基性(pH9)に保つことが好ましい。
一般に、有機金属化合物の加水分解反応は、中性の水よりも酸又は塩基が含まれた水溶液で促進される。従って、これらの弱酸性又は弱塩基性の水溶液で加水分解反応を行うことにより、工程短縮が図られる。
[1.3.3. 無機化合物又はカチオンの導入量]
例えば、有機金属化合物に含まれる金属元素が亜鉛である場合、有機金属化合物を電解質に導入した後、水又は水溶液で処理すると、有機金属化合物が加水分解して酸化亜鉛、水酸化亜鉛若しくは亜鉛イオンとなり、水に安定化な形となって電解質に固定される。この時、添加剤溶液による処理条件、及び、水又は水溶液による処理条件を制御すると、電解質に導入される無機化合物又は金属イオンの量を制御することができる。
なお、有機金属化合物が所定の金属元素を含む中鎖カルボン酸塩である場合、水又は水溶液による処理を行わなくても、安定な形で電解質に固定することができる。
一般に、有機金属化合物に由来する無機化合物又は金属イオンの導入量が多くなるほど、電解質の耐久性が向上する。このような効果を得るためには、無機化合物又は金属イオンの導入量は、金属元素に換算して20ppm以上が好ましい。
一方、無機化合物又は金属イオンの導入量が過剰になると、電解質の機械的性質が低下し、電解質が脆化しやすくなる。また、過度に電解質の親水性が増して水移動性を阻害し、電池性能が低下しやすい。従って、無機化合物又は金属イオンの導入量は、金属元素に換算して20000ppm以下が好ましい。
また、所定のカチオンを含む水溶液を用いて安定化処理を行うと、電解質の過酸化水素やラジカルに対する耐性が、水で処理した場合よりも向上する。しかしながら、電解質の酸基をイオン交換する割合が過剰になると、かえって電池性能を低下させる。
従って、水溶液中のカチオンで酸基をイオン交換する場合、その割合は、酸基の20mol%以下が好ましい。イオン交換の割合は、さらに好ましくは、酸基の5mol%以下である。
なお、水溶液で処理した場合、電池性能の低下を防ぐため、水溶液で処理した後、電解質に残った対アニオンや未反応のカチオンを純水で洗浄して除去するのが好ましい。
[2. 無機−有機複合固体電解質の作用]
固体高分子電解質は、含水状態では、疎水性領域と親水性領域が明確に分離した相分離構造を呈していると言われている。この場合、電極反応で生成した過酸化水素やラジカルは、専ら親水性領域に偏在している。そのため、過酸化水素耐性を向上させる作用を有する各種添加剤を水や短鎖アルコールのような極性の高い溶媒に溶解させ、これと電解質とを接触させると、添加剤は、専ら親水性領域に濃縮される。その結果、親水性領域に偏在する過酸化水素やラジカルを効率よく分解又は捕捉することができる。
しかしながら、固体高分子電解質が乾燥状態になると、親水性領域に偏在していた過酸化水素やラジカルの一部が疎水性領域に漏れ出す。極性の高い溶媒を用いて添加剤を添加した場合、疎水性領域には添加剤がほとんど導入されないので、漏れ出した過酸化水素やラジカルによって、疎水性領域において高分子鎖の切断が起こりやすくなる。この傾向は、疎水性領域が炭化水素系ポリマー(部分フッ素化炭化水素系ポリマーを含む)からなるブロックコポリマーの場合に顕著となる。
これに対し、有機金属化合物を低誘電率溶媒に溶解させた添加剤溶液と固体高分子電解質とを接触させ、次いで固体高分子電解質と水とを接触させると、ドライ環境下においても優れた過酸化水素耐性を有する無機−有機複合固体電解質が得られる。これは、
(1)有機金属化合物を溶解させる溶媒として低誘電率の有機溶媒を用いることにより、有機金属化合物が固体高分子電解質の疎水性領域に優先的に導入されるため、及び、
(2)水との接触によって、疎水性領域内で有機金属化合物が安定化されるため、
と考えられる。
また、このような添加剤溶液と固体高分子電解質とを接触させ、次いで過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液とを接触させると、さらに優れた過酸化水素耐性を有する無機−有機複合固体電解質が得られる。これは、
(1)疎水性領域に有機金属化合物が優先的に導入されることによって、疎水性領域の過酸化水素耐性が向上するため、及び、
(2)これと同時に、親水性領域にある酸基のプロトンの一部がカチオンでイオン交換されることによって、親水性領域の過酸化水素耐性が向上するため
と考えられる。
(実施例1〜53、比較例1〜13)
[1. 試料の作製]
各種有機金属化合物を各種有機溶媒に、濃度0.02モル/L(金属濃度:約0.1wt%)となるように溶解させた。この添加剤溶液25gに、過酸化水素暴露用の炭化水素系電解質膜を室温×2hrの条件下で浸漬した。浸漬後、電解質膜を80℃×2hrの条件下で真空乾燥した。
次に、添加剤溶液で処理した電解質膜に対し、
(1)純水を用いた80℃×2hr×4回の温水洗浄(実施例1〜8、10〜53;最終pHは5.3〜6.5)、又は、
(2)トリブチルメチルホスホニウムカーボネート水溶液(濃度は、膜酸基の2%を置換するに等しい量で、pH7.8)を用いた80℃×2hrの加水分解+80℃×2hr×3回の純水すすぎ(実施例9)、
を行った。
その後に膜を引き上げ、80℃×2hr真空乾燥した後、膜を過酸化水素蒸気暴露試験に供した。
また、比較として、
(1)有機金属化合物及び有機溶媒に代えて、水溶性金属塩及び水を用いた添加剤溶液に浸漬しただけの電解質膜(比較例1、11)、
(2)有機金属化合物をエタノールに溶解させた添加剤溶液に浸漬した後、80℃×2hr×4回の純水すすぎを行った電解質膜(比較例2〜5、7)、
(3)有機金属化合物を有機溶媒に溶解させた添加剤溶液に浸漬した後、水又は水溶液による処理を行わなかった電解質膜(比較例6、8)、
(4)有機金属化合物をアセトンに溶解させた添加剤溶液に浸漬した後、80℃×2hr×4回の温水洗浄処理を行った電解質膜(比較例9)、
(5)有機金属化合物を水に溶解させた添加剤溶液に浸漬した後、80℃×2hr×4回の温水洗浄処理を行った電解質膜(比較例10)、
(6)有機金属化合物を含まない溶媒に浸漬しただけの電解質膜(比較例12)、
(7)入手のままの電解質膜(比較例13)、
も試験に供した。
[2. 試験方法]
[2.1. 過酸化水素暴露試験]
外径120φ、内径90φのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製暴露容器4台に、それぞれ、PTFE製の内容積500mLの蒸発器を接続し、これらを恒温槽に置いた。パイプ及び継ぎ手は、すべてPTFE製とした。ガスが通過する恒温槽の外にあるフッ素樹脂パイプは、結露しないように、リボンヒーターで105℃に加熱した。暴露容器の下流側には、それぞれ、暴露容器から排出される酸性ガス成分及びH22蒸気を回収するための蒸気回収容器を接続した。蒸気回収容器は、回収率を上げるために、断熱材で囲まれた氷浴中に沈めた。
湿度コントロール用のN2ガスをニードルバルブ付きの流量計4台を通して、各蒸発器に送った。N2流量は、0.3L/minとした。
過酸化水素水は、テルモ社製の60mLのポリエチレン(PE)製注射器とKD Scientific社製シリンジポンプを用いて、外径2φのPTFEチューブを通して各蒸発器内部に滴下した。送液速度は、0.12mL/minとした。過酸化水素水の濃度は3wt%、送液量と時間は36mL/5hrとした。
試料の炭化水素系電解質膜(60mm×60mm□)は、PTFE製の網2枚で挟んで、100℃に加熱した暴露容器内部に固定した。次いで、蒸発器で過酸化水素水を蒸発させ、N2ガスをキャリアとして、蒸発させたガスを暴露容器に所定時間供給した。
試料を通過したガスを、超純水(σ<0.1μScm-1)を100mL入れた内容積500mLのPE製容器にバブリングさせ、酸性ガス成分を捕集した。回収率は約95%、回収液総量は約130mLであった。
[2.2. 評価]
[2.2.1. 排水導電率]
捕集された酸成分の量に対する指標として、回収液の導電率を簡易導電率系(ハンナ製;PWT2317)で調べた。
[2.2.2. 引張強さ及び破断伸び]
過酸化水素蒸気暴露試験後の膜から幅5mm、長さ40mmの引張試験用試験片を切り出した。この試験片を用いて、チャック間距離12mm、速度10mm/minで引張試験を行った。試験後、引張強さ及び破断伸びを測定した。
[3. 結果]
[3.1. 引張強さ及び破断伸び]
表1及び表2に、結果を示す。表1及び表2より、以下のことがわかる。
(1)実施例1、2は、比較例1に比べて、引張強度及び伸びが大きい。これは、添加剤溶液として金属塩水溶液を用いると、電解質の疎水性領域に添加剤が導入されにくくなり、ドライ環境下において疎水部が劣化しやすくなるのに対し、有機金属化合物を溶解させる溶媒として低誘電率溶媒を用いると、電解質の疎水性領域に添加剤が優先的に導入されるためと考えられる。
(2)実施例4は、比較例2に比べて、引張強度及び伸びが大きい。これは、有機金属化合物を溶解する溶媒として低誘電率溶媒(p−キシレン)を用いることによって、有機金属化合物が疎水性領域に優先的に導入され、ドライ環境下における疎水性領域の劣化が抑制されたためと考えられる。この点は、実施例5、6と比較例3、4、実施例9と比較例5、及び、実施例15と比較例7の関係も同様である。
(3)実施例9は、実施例8に比べて、機械的特性が高い。これは、水溶液で処理することによって、疎水性領域だけでなく、親水性領域も強化されたためと考えられる。
(4)実施例12は、比較例6に比べて、引張強度及び伸びが大きい。これは、添加剤溶液に浸漬した後、温水洗浄処理を行うことによって、添加剤が疎水性領域に確実に固定されるためと考えられる。
(5)実施例44は、比較例8〜9に比べて、引張強度及び伸びが大きい。これは、有機金属化合物を溶解させる溶媒として低誘電率溶媒を用いることによって、疎水性領域に優先的に有機金属化合物が導入されるため、及び、添加剤溶液との接触後に温水洗浄処理をすることによって、添加剤が疎水性領域に確実に固定されるためと考えられる。
Figure 2012169042
Figure 2012169042
[3.2. 排水導電率]
比較例6の排水導電率は12.4μScm-1であったのに対し、実施例12では8.2μScm-1であった。すなわち、温水洗浄処理を行わないと、イオン性の排出物が多くなり、電池性能が低下することが予想される。
(実施例54〜59、比較例14)
[1. 試料の作製]
電解質膜として、親疎水共重合体である炭化水素系ブロックコポリマーを用いた。以下、低誘電率溶媒としてペンタンを用いた以外は、実施例1と同様にして、各種有機金属化合物の電解質膜への導入、及び、電解質膜の温水洗浄処理を行った。
比較として、未処理の膜(比較例14)も試験に供した。
[2. 試験方法]
実施例1と同様にして、過酸化水素蒸気暴露試験及び引張試験を行った。
[3. 結果]
表3に、結果を示す。表3より、実施例54〜59のいずれも、未処理の比較例14に比べて、劣化が抑制されていることがわかる。
Figure 2012169042
(実施例60、比較例15〜16)
[1. 試料の作製]
大きさ60×60mm、厚さ30μmのパーフルオロ系電解質膜を用意した。膜は、室温大気中(湿度約50%)に一晩放置し、大気中で平衡含水状態とした。翌日、p−キシレンに0.02gの2−エチルヘキサン酸セリウム(III)を溶かした50gの添加剤溶液(容器はPFA製)に膜を1枚入れ、室温で2hr浸漬した。その後、膜を引き上げ、ろ紙に挟み、80℃×2hr真空乾燥処理を行い、溶媒を揮発させた。膜へのCe化合物の添加量は、0.12wt%であった。膜酸基がCe3+で置換されている場合、この添加量は、膜酸基の約2%に相当する。
次に、PFA容器に入れた超純水100mLに膜を浸漬し、80℃×2h温水洗浄処理を4回行い、残渣溶媒及び不要のイオンを除去した。その後、膜を引き上げ、ろ紙に挟み、80℃×2hrの真空乾燥処理を行った。
この膜をさらに、Pt2+イオン(リン酸水素アンミン錯体)を240μg溶解した水溶液に80℃×8hr浸漬し、Pt2+イオンを膜酸基のプロトンとイオン交換した。その後、80℃×2hr温水洗浄処理を4回行い、80℃×2hrの真空乾燥処理を行った。
比較として、
(1)硝酸セリウム(III)水溶液を用いて膜酸基の2%をCe3+でイオン交換した後、Pt2+溶液による処理を行った電解質膜(比較例15)、及び、
(2)Ce塩処理をしていない入手のままの膜を、同様にPt2+溶液により処理した電解質膜(比較例16)、
も試験に供した。
[2. 試験方法(H2/Air暴露試験)]
2/Air暴露試験は、温度:95℃、加湿器温度:両極とも72℃(湿度40%)、ガス流量:H2、Airともに0.1L/分、背圧:両極とも0.1MPaとした。
内面フッ素樹脂被覆したSUS製容器に超純水50gを入れた。その中に両極から排出されるガスをバブリングし、電気導電率及びF濃度を24hr毎に調査した。試験前の超純水の導電率は、0.1μScm-1以下であった。
[3. 結果]
表4に、結果を示す。
比較例15の場合、96hr後の導電率は、水素側132μScm-1(F濃度2.5ppm)、空気側96μScm-1であった。また、比較例16の場合、96hr後の導電率は、水素側192μScm-1(F濃度3.6ppm)、空気側144μScm-1(F濃度3.0ppm)であった。
これに対し、実施例60の場合、96hr後の導電率は、水素側25μScm-1(F濃度0.4ppm)、空気側32μScm-1(F濃度0.5ppm)であった。
Figure 2012169042
(実施例61、比較例17)
[1. 試料の作製]
電解質膜として、親疎水共重合体である炭化水素系ブロックコポリマーからなる膜を用い、低誘電率溶媒としてペンタンを用い、添加剤として2-エチルヘキサン酸亜鉛を用いた以外は、実施例1と同様にして、無機−有機複合固体電解質膜を作製した。
比較として、未処理の膜を試験に供した(比較例17)。
[2. 試験方法]
実施例60と同様にして、H2/Air暴露試験を行った。
[3. 結果]
表5に、結果を示す。表5より、実施例61は、比較例17に比べ、排水の導電率が大幅に低下していることがわかる。
Figure 2012169042
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る無機−有機複合固体電解質は、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜及び触媒層内電解質に用いることができる。

Claims (8)

  1. 誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させ、
    その後に前記固体高分子電解質を、水又は前記固体高分子電解質の過酸化水素耐性を向上させる作用があるカチオンを含む水溶液と接触させる
    ことにより得られる無機−有機複合固体電解質。
  2. 前記固体高分子電解質は、前記添加剤溶液と接触させる前に、水による膨潤処理が施されたものである請求項1に記載の無機−有機複合固体電解質。
  3. 前記固体高分子電解質は、炭化水素系ポリマー(部分フッ素化炭化水素系ポリマーを含む)からなる疎水性ブロックと、炭化水素系ポリマー又はフッ素系ポリマーからなる親水性ブロックとがランダム又は規則的に並んだブロックコポリマーである請求項1又は2に記載の無機−有機複合固体電解質。
  4. 前記有機溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン類、ギ酸エステル、及び、フッ素系溶媒から選ばれるいずれか1以上である請求項1から3までのいずれかに記載の無機−有機複合固体電解質。
  5. 前記有機金属化合物は、金属ジオネート、金属フタロシアニン、金属ポルフィリン及びカルボン酸塩から選ばれるいずれか1以上である請求項1から4までのいずれかに記載の無機−有機複合固体電解質。
  6. 前記有機金属化合物を構成する金属元素は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、La、Ce、Eu、Gd、Nd、Si、Nb、Al、Bi、Sn、Ti、Y、Zr、Ag、P、Mo及びWから選ばれるいずれか1以上である請求項1から5までのいずれかに記載の無機−有機複合固体電解質。
  7. 前記水溶液のpHは、3以上9以下である請求項1から6までのいずれかに記載の無機−有機複合固体電解質。
  8. 誘電率が10以下である有機溶媒に有機金属化合物を溶解させた添加剤溶液と、固体高分子電解質とを接触させることにより得られ、
    前記有機金属化合物は、炭素数が7以上22以下のカルボン酸塩であり、
    前記有機金属化合物を構成する金属元素は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、La、Ce、Eu、Gd、Nd、Si、Nb、Al、Bi、Sn、Ti、Y、Zr、Ag及びMoから選ばれるいずれか1以上である無機−有機複合固体電解質。
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