JP5061474B2 - 新規高分子電解質、電解質膜およびその用途 - Google Patents
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Description
しかし、吸水時の物性の向上が求められており、その解決手法としてブロック共重合体が提案されており、例えば、特開2002−60687号公報(特許文献11)、特開2004−190002号公報(特許文献12)、特開2004−190003号公報(特許文献13)、特開2004−346305号公報(特許文献14)などではポリエーテル系が、特開2002−358978号公報(特許文献15)、特開2003−234014号公報(特許文献16)、特表2003−511510号公報(特許文献17)などではポリイミド系が開示されている。また、特開2003−31232号公報(特許文献18)では、プロトン伝導性の湿度依存性を改良したポリエーテルスルホンブロック共重合体が開示されている。しかし、これらには、ブロック共重合体の親水性セグメントのイオン交換容量とプロトン伝導性の関係についてはなんら記載されていない。また、特開2005−126684号公報(特許文献19)や特開2005−139432号公報(特許文献20)にもスルホン化ポリエーテルブロック共重合体が開示されているが、低湿度時のプロトン伝導性については記載されておらず、また、吸水時の膜物性に関しても具体的な記載はされていない。
[式中、IECはブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはブロック共重合体の重量を、Waはブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
が3.6mmol/g以上であり、かつブロック共重合体のイオン交換容量IECが0.5mmol/gから3.0mmol/gの範囲にある芳香族ブロック共重合体であることを特徴とする高分子電解質に関する。
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Y1はOまたはSを示し、mは3から1500の整数を示す。]
の構造を含有することを特徴とする高分子電解質に関する。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Y2はOまたはSを示し、Ar1は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造にスルホン酸基が導入された構造単位を含有していることを特徴とする高分子電解質に関する。
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、bは0または1の整数を示し、少なくともどちらかは1である。また、Zは水素原子またはアルカリ金属を示し、Y3はOまたはSを、Ar2はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[A]と化学式(4)
[ここで、D4はSO2またはCOを示し、Y4はOまたはSを、Ar3はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲であることを特徴とする高分子電解質に関する。
[式中、IECはブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはブロック共重合体の重量を、Waはブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
が3.6mmol/g以上であり、かつブロック共重合体のイオン交換容量が0.5mmol/gから3.0mmol/gの範囲にある芳香族ブロック共重合体であることを特徴とする高分子電解質、高分子電解質膜、それらを用いた膜/電極接合体および燃料電池に関する。
[式中、IECはブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはブロック共重合体の重量を、Waはブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
3.6mmol/g以上、好ましくは3.7mmol/g以上、さらに好ましくは3.8mmol/g以上である。親水性セグメントのイオン交換容量が3.6mmol/gより低いと、プロトン伝導性が低下することから好ましくない。また、ブロック共重合体のイオン交換容量は0.5mmol/gから3.0mmol/gの範囲であり、好ましくは0.6mmol/gから2.9mmol/gの範囲、さらに好ましくは、0.7mmol/gから2.8mmol/gの範囲である。ブロック共重合体のイオン交換容量が0.5mmol/gより小さいとプロトン伝導性が悪くなることから好ましくなく、一方、3.0mmol/gより高いとブロック共重合体が水溶性になったり、吸水時の膜強度が大きく低下することから好ましくない。
本発明において疎水性セグメントは、耐熱性から主鎖に芳香環を有する重合体からなるセグメントであり、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのセグメントを挙げることができる。これらのうち、ブロック共重合体の合成の容易さから化学式(5)
[ここで、D5は、COまたはSO2を、Y5はOまたはSを、Ar4は二価の芳香族残基を示す。]
で示されるポリエーテルスルホンおよび/またはポリエーテルケトンからなるセグメントが好ましく、特に、化学式(1)、
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Y1はOまたはSを示し、mは3から1500の整数を示す。]
の構造を含有するものが好ましく、コストの点から、化学式(1)のD1がSO2であるポリエーテルスルホンからなるセグメントがさらに好ましい。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Y2はOまたはSを示し、Ar1は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造にスルホン酸基が導入された構造単位を含有しているポリエーテルスルホンおよび/またはポリエーテルケトンのセグメントが好ましく、さらに、化学式(3)
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、bは0または1の整数を示し、少なくともどちらかは1である。また、Zは水素原子またはアルカリ金属を示し、Y3はOまたはSを、Ar2はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[A]と化学式(4)
[ここで、D4はSO2またはCOを示し、Y4はOまたはSを、Ar3はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲である芳香族ポリエーテルスルホンおよび/またはポリエーテルケトンのセグメントが好ましい。特に、コストの点から、化学式(3)および化学式(4)のD3、D4がSO2であり、Y3、Y4がOであるスルホン化ポリエーテルスルホンセグメントが好ましい。
(1) 疎水性セグメントプレポリマーと未スルホン化または一部スルホン化された親水性セグメントプレポリマーを、おのおの予め合成し、未スルホン化ブロック共重合体あるいは一部スルホン化ブロック共重合体を得たのち、さらに親水性セグメントのみを追加してスルホン化する方法。
(2) 疎水性セグメントプレポリマーとスルホン化された親水性セグメントプレポリマーを、おのおの予め合成し、両者を反応させブロック共重合体とする方法。
などにより合成することができる。
(ここで、mは3〜1500の整数を示す.)
の構造を有するものである。
で求められる親水性セグメントの重量分率Faが、0.1〜0.8の範囲であることが好ましく、0.2〜0.7の範囲であることがより好ましい。この範囲が0.1より小さいとプロトン伝導度が低くなり、一方、0.8より大きくなるとブロック共重合体が水溶性となり好ましくない。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、アルコール、エーテルなどを用いる各種の形式で使用可能である。
N−メチル−2−ピロリドン(LiCl 50mmol/l添加)に、0.5g/dlの濃度で溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、25℃の温度で測定し、次式(1)を用いて計算した。
恒温恒湿機中で、幅1.9mm、長さ10mmのスリットを有し、スリットを挟んで白金線を装着した(間隔:2mm)テフロン(登録商標)板とテフロン(登録商標)平板の間に、膜(幅5mm×長さ20mm)を、長手方向が白金線と90度の方向で挟み、50℃または70℃で相対湿度を変えて、日置電機(株)製3532 LCRハイテスタを用いて、複素インピーダンス測定によりプロトン伝導度を求めた。
試料を含有量の明確な水酸化ナトリウム水溶液中で16時間、室温で撹拌後、ろ別した。ろ液を、0.01Nの塩酸水溶液で滴定することによって、消費された水酸化ナトリウム量を求め、イオン交換容量を算出した。
膜を厚み方向に切った薄片を作成し、日本電子(株)JEM−200CXを用いて、9万倍で観察を行った。
日本電子AL-300およびEX-400WBを用いて、d−DMSOを溶媒として測定した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩の合成
ビス(4−フルオロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、食塩を加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、NaOHで中和後、食塩を加えて固形分を析出させた。2-プロパノール/水(7/3)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色個体は、H-NMRで7.4〜7.5ppm、7.9〜8.0ppm、8.1〜8.2ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩であることを確認した。
(実施例1)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン10.17g、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩27.5g、4,4’−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム17.5gを仕込み、ジメチルスルホキシド210mlとトルエン50mlを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して親水性プレポリマーHP1溶液を調製した。別に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン81.47g、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン78.99g、炭酸カリウム52gを仕込み、ジメチルスルホキシド600mlとトルエン50mlを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して疎水性プレポリマーSP1溶液を調製した。このSP1溶液をHP1溶液に添加し、170℃で、1.5時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体を得た(PB1)。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.61dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.59mmol/gであった。
ブロック共重合体PB1を98%硫酸180gに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB1を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.46mmol/gであった。親水性セグメントは、単独ならば水溶性であることから、参考例2に示すように、ブレンド物ならばスルホン化後水洗すると除去され、イオン交換容量が大きく低下するが、SPB1のイオン交換容量は、スルホン化前のPB1のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.49mmol/gと、ほぼ一致している。このことは、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示す。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、平均ドメイン間距離が60nmの相分離構造が見られたことから、SBP1は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB1の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.31であった。また、SBP1の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.73mmol/gとなった。
(実施例2)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン12.71g、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩22.91g、4,4’−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム17gを仕込み、ジメチルスルホキシド200mLとトルエン50mLを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して親水性プレポリマーHP2溶液を調製した。別に、
の繰返し単位からなるスミカエクセル7600P(住友化学)100gをジメチルスルホキシド310mLに溶解し、トルエン50mLを添加して共沸により脱水した疎水性プレポリマーSP2溶液を調製した。このSP2溶液をHP2溶液に添加し、170℃で、1.5時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体PB2を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.65であった。また、イオン交換容量は、0.79mmol/gであった。
ブロック共重合体PB2を98%硫酸180gに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB2を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.80mmol/gであった。親水性セグメントは、単独ならば水溶性であることから、水洗すると除去され、イオン交換容量が大きく低下するが、SPB2のイオン交換容量は、スルホン化前のPB2のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.84mmol/gと一致している。このことは、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示す。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、平均ドメイン間距離が31nmの相分離構造が見られたことから、SBP2は、ブロック共重合体であることを確認した。参考例1に示すように、疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB2の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.39であった。また、SBP2の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.60mmol/gとなった。
SPB2を、実施例1と同様に製膜し48μmの膜を得、その膜のプロトン伝導度の測定を行った。得られた結果を、表1および図1に示す。後述する比較例2と比べて、同程度のイオン交換容量でも顕著にプロトン伝導性が向上していた。
(比較例1)
SPB1’を、実施例1と同様に製膜および膜のプロトン伝導度の測定を行った。得られた結果を、表1および図1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に製膜し、プロトン伝導度の測定を行った。得られた結果を、表1および図1に示す。
(参考例1)
(参考例2)
(実施例3)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、ビス(4−クロロフェニル)スルホン3.35g(0.012モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩18.34g(0.035モル)、4,4’−ビフェノール8.79g(0.047モル)および炭酸カリウム8.22gを仕込み、ジメチルスルホキシド80gとトルエン35gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP3溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.01:1であり、また、HP3溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、25.2重量%である。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)40.38gを、ジメチルスルホキシド160gとトルエン80gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP3溶液を調製した。SP3溶液中のプレポリマーSP3とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP3の濃度は、20.2重量%である。このSP3溶液をHP3溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB3を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.05dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.92mmol/gであった。
ブロック共重合体PB3を98%硫酸332gに25g溶解し、40℃で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、2.00mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB3のイオン交換容量は、スルホン化前のPB3のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.08mmol/gとほぼ一致している。このことは、SPB3がブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、平均ドメイン間距離が51nmの相分離構造が見られたことから、SPB3は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB3の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.41であった。また、SPB3の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.88mmol/gとなった。
SPB3を20重量%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、金属枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥した。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、金属枠に固定して、40℃で乾燥して、厚み32μmの膜を得た。50℃および70℃で相対湿度を変化させてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を、表1に示す。
プレポリマーHP4の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.41g(0.045モル)、N,N−ジメチルアセトアミド50gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、炭酸カリウム7.87g、トルエン15gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン6.38g(0.022モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩11.64g(0.022モル)をN,N−ジメチルアセトアミド60gと共に添加して、窒素気流下、160℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP4溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP2溶液中の生成プレポリマーとN,N−ジメチルアセトアミドに対するプレポリマーの濃度は、18重量%である。不溶分をろ過し、ろ液を多量の2−プロパノールに投入し、白色固体を析出させ、100℃で真空乾燥した後、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解し、ろ過および2-プロパノールによる析出、乾燥を繰り返して、スルホン酸基がカリウム塩型のプレポリマーHP4を得た。HP4のηsp/cは、0.89dl/gであった。また、イオン交換容量は、1.91mmol/gであった。
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、HP4を6.05g、N,N−ジメチルアセトアミド55gを仕込み、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して、HP4を溶解した。これに、炭酸カリウム0.029g、トルエン10gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)7.36gをN,N−ジメチルアセトアミド36gに、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して溶解し、これにトルエン10gを加えて同様に脱水し、疎水性セグメントのプレポリマーSP4溶液を調製した。このSP4溶液をHP4溶液に添加し、160℃で2時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB4を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.09dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.643mmol/gであった。
ブロック共重合体PB4を95%硫酸63.6gに7.07g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB4を得た。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去され、収率が大きく低下する。しかし、SPB4の収率は、スルホン化前のPB4のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算される収量の94%であった。このことは、SPB4はブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。イオン交換容量は、1.72mmol/gであった。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、平均ドメイン間距離が58nmの相分離構造が見られたことから、SPB4はブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB4の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.46であった。また、SPB4の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.20mmol/gとなった。
ポリエーテルスルホンブロック共重合体PB5の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩25.33g(0.0484モル)、4,4’−ビフェノール9.10g(0.0489モル)および炭酸カリウム8.51gを仕込み、ジメチルスルホキシド122gとトルエン45gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP5溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.01:1であり、また、HP5溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、20.2重量%である。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)42.2gを、ジメチルスルホキシド211gとトルエン28gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP5溶液を調製した。SP5溶液中のプレポリマーSP5とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP5の濃度は、20.0重量%である。このSP5溶液をHP5溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB5を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.84dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.931mmol/gであった。
ブロック共重合体PB5を98%硫酸351gに39g溶解し、室温で72時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB5を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.69mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB5のイオン交換容量は、スルホン化前のPB5のH-NMRから求めた組成比を利用してビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.69mmol/gと一致している。このことは、SPB5がブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で相分離構造が見られたことから、SPB5は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB5の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.30であった。また、SPB5の親水性セグメントのイオン交換容量は、5.63mmol/gとなった。
表1 芳香族ブロック共重合体の特性
1:相対湿度
実施例2で得られた膜の両側に、エレクトロケム社製、ガス拡散電極EC20-10-10(Pt1.0mg/cm2)を、130℃、5分間プレス圧着し、膜/電極接合体(以下、MEAと表記する)を作成した。得られたMEAを、エレトロケム社製燃料電池セルFC25-02SPにセットして、セル温度:70℃、水素利用率:50%、酸素利用率:25%、水素加湿温度:70℃、酸素加湿温度:30℃で発電試験を行った。得られた発電曲線を図2に示す。また、ガス拡散電極として、Pt20重量%、Ru10重量%担持のエレクトロケム社電極セル温度を用いて、室温で、水素の代わりに10重量%のメタノール水溶液を用いた発電試験を、酸素利用率:25%、酸素加湿なしの条件で行った結果、0.1A/cm2の電流密度で、0.25Vの電圧が得られた。
Claims (12)
- 化学式(1)から(4)のD1、D2、D3およびD4がSO2であり、Y1、Y2、Y3およびY4がOである芳香族ポリエーテルスルホン系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の高分子電解質。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の芳香族ブロック共重合体からなり、その厚みが5μmから200μmであることを特徴とする高分子電解質膜。
- 電子顕微鏡を用いて9万倍で断面観察したとき、ドメイン間距離の平均値あるいはラメラ間距離の平均値が5nmから900nmの相分離構造を有することを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質膜。
- 50℃、相対湿度40%でのイオン伝導度が、4×10-3S/cm以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の高分子電解質または高分子電解質膜。
- 70℃、相対湿度30%でのイオン伝導度が、2×10-3S/cm以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の高分子電解質または高分子電解質膜。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の芳香族ブロック共重合体あるいはその膜を用いた、膜/電極接合体。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の芳香族ブロック共重合体あるいはその膜、膜/電極接合体を用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の芳香族ブロック共重合体あるいはその膜、膜/電極接合体を用いた、アルコール、あるいはエーテルを燃料とすることを特徴とする直接液体燃料形燃料電池。
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