JP4807007B2 - 高分子電解質組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
M.A. Hickner et al, Chem. Rev., vol.104, p.4587-4612 (2004)
[式中、Waは、スルホン化ブロック共重合体(A)の重量、Wbは、芳香族高分子(B)の重量を示す。]
で求められる芳香族高分子(B)の重量分率Pbが、0.03〜0.4の範囲である高分子電解質組成物に関する。
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Y1はOまたはSを示し、Ar1は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造にスルホン酸基が導入された構造単位を含有していることを特徴とする高分子電解質組成物に関する。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Y2はOまたはSを示し、mは3から1500の整数を示す。]
の構造を含有することを特徴とする高分子電解質組成物に関する。
[式中、IECwはスルホン化ブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはスルホン化ブロック共重合体の重量を、Wwはスルホン化ブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
が3.6mmol/g以上であり、かつスルホン化ブロック共重合体のイオン交換容量IECが0.6mmol/gから3.0mmol/gの範囲にあるスルホン化ブロック共重合体であることを特徴とする高分子電解質組成物に関する。
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、bは0または1の整数を示し、少なくともどちらかは1である。また、Zは水素原子またはアルカリ金属を示し、Y3はOまたはSを、Ar2は少なくとも1つのスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[a]と化学式(4)
[ここで、D4はSO2またはCOを示し、Y4はOまたはSを、Ar3は少なくとも1つのスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[b]からなり、その重量比[a]/[b]が、10/0から1/9の範囲であることを特徴とする高分子電解質組成物に関する。
また、本発明は、上記の高分子電解質組成物あるいは高分子電解質膜を用いた、膜/電極接合体に関する。
[式中、IECwはスルホン化ブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはスルホン化ブロック共重合体の重量を、Wwはスルホン化ブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
が3.6mmol/g以上であり、かつスルホン化ブロック共重合体のイオン交換容量IECが0.6mmol/gから3.0mmol/gの範囲にあるスルホン化ブロック共重合体であることが特に好ましい。スルホン化ブロック共重合体のイオン交換容量が、0.6mmol/gより小さいとプロトン伝導性が低下することから好ましくなく、一方、3.0mmol/gより大きいとスルホン化ブロック共重合体が水溶性になることから好ましくない。
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Y1はOまたはSを示し、Ar1は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造にスルホン酸基が導入された構造単位を含有しているポリエーテルスルホンおよび/またはポリエーテルケトンのセグメントが好ましい。さらに、化学式(3)
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、bは0または1の整数を示し、少なくともどちらかは1である。また、Zは水素原子またはアルカリ金属を示し、Y3はOまたはSを、Ar2はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[A]と化学式(4)
[ここで、D4はSO2またはCOを示し、Y4はOまたはSを、Ar3はスルホン酸基を有する二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲である芳香族ポリエーテルスルホンおよび/またはポリエーテルケトンのセグメントが好ましい。特に、コストの点から、化学式(3)および化学式(4)のD3、D4がSO2であり、Y3、Y4がOであるスルホン化ポリエーテルスルホンセグメントが好ましい。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Y2はOまたはSを示し、mは3から1500の整数を示す。]
の構造を含有することが、合成の容易さおよびコストの点から好ましい。
(1) 疎水性セグメントプレポリマーと未スルホン化または一部スルホン化された親水性セグメントプレポリマーを、おのおの予め合成し、未スルホン化ブロック共重合体あるいは一部スルホン化ブロック共重合体を得たのち、さらに親水性セグメントのみを追加してスルホン化する方法。
(2) 疎水性セグメントプレポリマーとスルホン化された親水性セグメントプレポリマーを、おのおの予め合成し、両者を反応させスルホン化ブロック共重合体とする方法。
などにより合成することができる。
で求められる親水性セグメントの重量分率Fwが、0.1〜0.8の範囲であることが好ましく、0.2〜0.7の範囲であることがより好ましい。さらに、0.3〜0.6の範囲であることがさらに好ましい。この範囲が0.1より小さいとプロトン伝導度が低くなり、一方、0.8より大きくなるとスルホン化ブロック共重合体が水溶性となり好ましくない。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Y2はOまたはSを示し、mは3から1500の整数を示す。]
の構造で表される疎水性セグメントを有するスルホン化ブロック共重合体を用いる場合、同じ化学式(2)で表されるセグメントを有するブロック共重合体、あるいは、ホモポリマーを好ましく用いることができる。なお、ブロック共重合体の場合、他のセグメントの構造は前述のスルホン化ブロック共重合体の両セグメントの具体例として例示したものを用いることができ、セグメントの種類は1種類でも2種類以上でも良い。
[式中、Waは、スルホン化ブロック共重合体(A)の重量、Wbは、芳香族高分子(B)の重量を示す。]
で求められる芳香族高分子(B)の重量分率Pbが、0.03〜0.4の範囲であり、好ましくは0.03〜0.3の範囲であり、さらに好ましくは0.05〜0.25の範囲である。重量分率Pbが0.03より小さいと吸水時の物性が低くなることから好ましくなく、また、0.4より大きいと低湿度時のプロトン伝導性が低下して好ましくない。
本発明で用いられる非スルホン化芳香族高分子は、単独でフィルム形成能を有する分子量であることが、吸水時物性の向上の点から好ましい。
(1)アルカリ処理
↓
(2)水洗
↓
(3)酸処理
↓
(4)水洗
↓
(5)乾燥
のように、水洗工程および/または乾燥工程を入れることも可能である。また、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類で処理する工程を入れることも、必要ならば可能である。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、アルコール、エーテルなどを用いる各種の形式で使用可能である。
N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として、0.5g/dLの濃度で、ウベローデ粘度計を用い、25℃の温度で測定し、次式(1)を用いて計算した。
恒温恒湿機中で、幅1.9mm、長さ10mmのスリットを有し、スリットを挟んで白金線が装着している(間隔:2mm)テフロン(登録商標)板とテフロン(登録商標)平板の間に、膜(幅5mm×長さ20mm)を、長手方向が白金線と90度の方向で挟み、70℃、相対湿度30%で、日置電機(株)製3532 LCRハイテスタを用いて、複素インピーダンス測定によりプロトン伝導度を求めた。
テンシロン引張試験機を用いて、次の条件で測定した。なお、吸水時物性は、サンプルを水中で引張った。
試料サイズ:幅 5mm、チャック間長さ 30mm
引張り速度:30mm/分
試験温度:23℃
4)TEM観察
薄片にスライスした試料を9万倍でTEM観察した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩の合成
ビス(4−フルオロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、食塩を加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、NaOHで中和後、食塩を加えて固形分を析出させた。2-プロパノール/水(7/3)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色固体は、H-NMRで7.4〜7.5ppm、7.9〜8.0ppm、8.1〜8.2ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンのナトリウム塩であることを確認した。
(実施例1)
フラスコにビス(4−クロロフェニル)スルホン28.7g、4,4’−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム16.8gを仕込み、ジメチルスルホキシド160mlとトルエン50mlを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌してポリマー溶液Aを調整した。別に、ポリエーテルスルホン(スミカエクセル7600P、住友化学)73gを、ジメチルスルホキシド290mlに溶解した溶液を調整した。この溶液をポリマー溶液Aに添加し、170℃で、1.5時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体PB1を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.71であった。
ブロックポリマーPB1を98%硫酸200mlに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、親水性セグメントが、実質的に下記化学式(5)、
で表される構造単位からなり、疎水性セグメントが、下記化学式(6)、
で表される構造単位からなるスルホン化ブロック共重合体SPB1を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.63mmol/gであった。ブレンド物ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB1のイオン交換容量は、スルホン化前のPB1のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.71mmol/gとほぼ一致している。このことはSPB1はブレンド物ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述と同様の方法で得られたSPB1単独膜のTEM観察で相分離構造が見られたことから、SBP1は、ブロック共重合体である。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されないため、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有する構造である。H-NMRから求められたSPB1の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.48であった。また、SBP1の親水性セグメントのイオン交換容量は、3.4mmol/gとなった。
得られたスルホン化ブロック共重合体SPB1と疎水性セグメントと同じ構造単位からなるポリエーテルスルホン(スミカエクセル4100P、住友化学)との組成比(重量)が9:1となるように、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し(固形分:20重量%)、溶液を調整した。この溶液をガラス板上に流延し、120℃で1時間熱風乾燥した。ガラス板から剥離後、ステンレス枠に固定し200℃で30分間さらに加熱乾燥した。得られた膜を、室温で、0.5N-NaOH水溶液に2時間、1N-H2SO4水溶液に2時間浸漬し、水洗後、ステンレス枠に固定して乾燥し、厚みが30μmの高分子電解質膜を得た。また、同様にして、SPB1だけを用いて製膜、処理して、厚みが32μmのSPB1膜を得た。組成物から得られた膜の特性を表に示す。
(実施例2)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン12.71g、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンナトリウム塩22.91g、4,4−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム17gを仕込み、ジメチルスルホキシド200mLとトルエン50mLを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して親水性プレポリマーHP2溶液を調整した。別に、化学式(10)
の構造単位からなるスミカエクセル7600P(住友化学)100gをジメチルスルホキシド310mLに溶解し、トルエン50mLを添加して共沸により脱水した疎水性プレポリマーSP2溶液を調整した。このSP2溶液をHP2溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体PB2を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.65であった。また、イオン交換容量は0.79mmol/gであった。
ブロック共重合体PB2を98%硫酸200mlに20g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、得られた固体を水中で5回洗浄し、親水性セグメントが、化学式(7)
[式中、pとqは、各構造単位のモル分率を示し、p=0.5、q=0.5である。]
で表されるランダム共重合体の構造であり、疎水性セグメントが、化学式(8)
で表される構造単位を有するスルホン化ブロック共重合体SPB2を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.80mmol/gであった。ブレンド物ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB2のイオン交換容量は、スルホン化前のPB2のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.84mmol/gと一致している。このことはSPB2はブレンド物ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述と同様の方法で得られたSPB2単独膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SBP2は、ブロック共重合体である。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されないため、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有する構造である。H-NMRから求められたSPB2の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.39であった。また、SBP2の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.6mmol/gとなった。
SPB2と疎水性セグメントと同じ構造のポリエーテルスルホン(スミカエクセル7600P、住友化学)との組成比(重量)が8:2となるように、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し(固形分:20重量%)、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、ステンレス枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥することにより、膜厚28μmの膜を得た。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、ステンレス枠に固定して乾燥した。組成物から得られた膜の特性を表に示す。
ポリエーテルスルホン(スミカエクセル7600P、住友化学)に代えて、化学式(9)、
ポリスルホン(アルドリッチ、数平均分子量〜26000)を用いた以外は、実施例2と同様にして、厚みが32μmの高分子電解質膜を得た。得られた膜の特性を表に示す。実施例2と比較して、低湿度時のプロトン伝導度の低下が大きく、また、吸水時の物性の向上も小さかった。
(実施例3)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン6.36g、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンナトリウム塩34.37g、4,4−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム17gを仕込み、ジメチルスルホキシド200mLとトルエン50mLを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して親水性プレポリマーHP3溶液を調整した。別に、化学式(10)
の構造単位からなるスミカエクセル7600P(住友化学)86.7gをジメチルスルホキシド340mLに溶解し、トルエン50mLを添加して共沸により脱水した疎水性プレポリマーSP3溶液を調整した。このSP3溶液をHP3溶液に添加し、160℃で、2.5時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体PB4を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.70であった。また、イオン交換容量は、0.99mmol/gであった。
ブロック共重合体PB3を98%硫酸200mlに20g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、得られた固体を水中で5回洗浄し、親水性セグメントが化学式(7)
[式中、pとqは、各構造単位のモル分率を示し、p=0.75、q=0.25である。]
で表されるランダム共重合体の構造であり、疎水性セグメントが、化学式(8)
で表される構造単位を有するスルホン化ブロック共重合体SPB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、2.01mmol/gであった。
親水性セグメントは、単独ならば水溶性であることから、水洗すると除去され、イオン交換容量が大きく低下するが、SPB3のイオン交換容量は、スルホン化前のPB3のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.27mmol/gとほぼ一致している。このことは、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示す。
ブレンド物ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB3のイオン交換容量は、スルホン化前のPB3のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.27mmol/gとほぼ一致している。このことはSPB3はブレンド物ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述と同様の方法で得られたSPB3単独膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SBP3は、ブロック共重合体である。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されないため、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有する構造である。H-NMRから求められたSPB3の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.43であった。また、SPB3の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.54mmol/gとなった。
SPB3と疎水性セグメントと同じ構造のポリエーテルスルホン(スミカエクセル4100P、住友化学)との組成比(重量)が8:2となるように、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し(固形分:20重量%)、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、ステンレス枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥することにより、膜厚28μmの膜を得た。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、ステンレス枠に固定して乾燥した。組成物から得られた膜の特性を表に示す。
実施例3のブロック共重合体PB3の合成において、スミカエクセル7600P(住友化学)を158g、それを溶解するジメチルスルホキシドを640mLとした以外は、実施例3と同様にして、実施例3と同じ親水性セグメントと疎水性セグメントを持ち、疎水性セグメントと親水性セグメントの重量比が異なるだけのスルホン化ブロック共重合体SPB6を合成した。得られたSPB6のイオン交換容量は、1.54mmol/gであり、また、実施例3と同様にブロック共重合体であることを確認した。SPB6からのみなる膜を実施例3の方法と同様にして製膜、処理した膜の特性を表に示す。同じイオン交換容量の実施例3と比較して、低湿度時のプロトン伝導性は、低いものであった。
実施例3で合成したSPB3とSPB3の疎水性セグメントと同じ構造単位からなるセグメントを有する実施例1で合成したスルホン化前のブロック共重合体PB1とを、SPB3とPB1の組成比(重量)が9:1となるように、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し(固形分:20重量%)、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、ステンレス枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥することにより、膜厚28μmの膜を得た。1N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、ステンレス枠に固定して乾燥した。得られた膜の特性を表に示す。
ポリエーテルスルホンブロック共重合体PB5の重合
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンナトリウム塩45.83g、4,4−ビフェノール18.9gおよび炭酸カリウム17gを仕込み、ジメチルスルホキシド200mLとトルエン50mLを添加して窒素気流下、加熱撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌して親水性プレポリマーHP5溶液を調整した。別に、化学式(10)
の構造単位からなるスミカエクセル7600P(住友化学)99.2gをジメチルスルホキシド395mLに溶解し、トルエン50mLを添加して共沸により脱水した疎水性プレポリマーSP5溶液を調整した。このSP5溶液をHP5溶液に添加し、160℃で、2.5時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しブロック共重合体PB5を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.63であった。また、イオン交換容量は、1.18mmol/gであった。
ブロック共重合体PB5を98%硫酸200mlに20g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、得られた固体を水中で5回洗浄し、親水性セグメントが、化学式(9)
で表される構造単位からなり、疎水性セグメントが、化学式(10)
で表される構造単位を有するスルホン化ブロック共重合体SPB5を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、2.2mmol/gであった。
親水性セグメントは、単独ならば水溶性であることから、水洗すると除去され、イオン交換容量が大きく低下するが、SPB5のイオン交換容量は、スルホン化前のPB5のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.35mmol/gとほぼ一致している。このことは、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示す。
ブレンド物ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB5のイオン交換容量は、スルホン化前のPB5のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.35mmol/gとほぼ一致している。このことはSPB5はブレンド物ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述と同様の方法で得られたSPB5単独膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SBP5は、ブロック共重合体である。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されないため、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有する構造である。H-NMRから求められたSPB5の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.42であった。また、SBP5の親水性セグメントのイオン交換容量は、5.2mmol/gとなった。
SPB5と疎水性セグメントと同じ構造のポリエーテルスルホン(スミカエクセル4100P、住友化学)との組成比(重量)が9:1となるように、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し(固形分:20重量%)、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、ステンレス枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥することにより、膜厚28μmの膜を得た。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、ステンレス枠に固定して乾燥した。組成物から得られた膜の特性を表に示す。
ランダムコポリマーPRの合成
ビス(4−フルオロフェニル)スルホン 25.42g、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン 15.93g、4,4’−ビフェノール 6.77gを仕込み、ジメチルスルホキシド170mlとトルエン50mlを添加して窒素気流下、加熱撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら175℃まで昇温し、その温度で16時間撹拌してポリマー溶液を調整した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄しポリマーPRを得た。得られたポリマーPRの溶液粘度ηsp/cは、0.53であった。
ランダムコポリマーPRを98%硫酸200mlに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPRを得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.47mmol/gであった。後述と同様の方法で得られたSPR膜のTEM観察で、相分離構造が観察されず均一であったことから、ランダムコポリマーであることを確認した。
Claims (14)
- スルホン酸基を含有しない芳香族高分子(B)が、スルホン化ブロック共重合体の疎水性セグメントと同じ構造式で表されるセグメントを含有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質組成物。
- スルホン酸基を含有しない芳香族高分子(B)が、スルホン化ブロック共重合体の疎水性セグメントと同じ構造式で表される高分子であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質組成物。
- スルホン化ブロック共重合体(A)がスルホン酸基含有芳香族ポリエーテル系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の高分子電解質組成物。
- スルホン化ブロック共重合体(A)のイオン交換容量が、0.6mmol/gから3.0mmol/gの範囲にあり、組成物のイオン交換容量が、0.5mmol/gから2.9mmol/gの範囲にあることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の高分子電解質組成物。
- スルホン化ブロック共重合体(A)の親水性セグメントが、化学式(3)
で表される構造単位 [a] と化学式(4)
で表される構造単位 [b] からなり、その重量比 [a] / [b] が、10/0〜1/9の範囲であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の高分子電解質組成物。 - スルホン化ブロック共重合体(A)が、化学式(1)から(4)のD1 、D2 、D3 およびD4 がSO2 であり、Y1 、Y2 、Y3 およびY4 がOである芳香族ポリエーテルスルホン系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項5から9の何れか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 請求項1から10の何れか1項に記載の高分子電解質組成物からなり、その厚みが5μmから200μmであることを特徴とする高分子電解質膜。
- 請求項1から11の何れか1項に記載の高分子電解質組成物あるいは高分子電解質膜を用いた、膜/電極接合体。
- 請求項1から12の何れか1項に記載の高分子電解質組成物あるいは高分子電解質膜あるいは膜/電極接合体を用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
- 請求項1から13の何れか1項に記載の高分子電解質組成物あるいは高分子電解質膜あるいは膜/電極接合体を用いた、アルコールあるいはエーテルを燃料とすることを特徴とする直接液体燃料形燃料電池。
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