JP5996587B2 - 無機偏光板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機偏光板及びその製造方法に関する。
液晶表示装置は、その画像形成原理から液晶パネル表面に偏光板を配置することが必要不可欠である。偏光板の機能は、直交する偏光成分(いわゆるP偏光波、S偏光波)の一方を吸収し、他方を透過させることである。
従来、このような偏光板として、フィルム内にヨウ素系や染料系の高分子有機物を含有させた二色性の偏光板が多く用いられている。これらの一般的な製法として、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素などの二色性材料で染色した後、架橋剤を用いて架橋を行い、一軸延伸する方法が用いられる。二色性の偏光板は、このように延伸により作製されるため、一般に収縮し易い。また、ポリビニルアルコール系フィルムは、親水性ポリマーを使用していることから、特に加湿条件下においては非常に変形し易い。また、根本的にフィルムを用いるため、デバイスとしての機械的強度が弱く、これを避けるため透明保護フィルムを接着する方法が用いられる。
近年、液晶表示装置は、その用途が拡大し、高機能化している。それに伴い、液晶表示装置を構成する個々のデバイスに対して、高い信頼性、及び耐久性が求められる。例えば、透過型液晶プロジェクターのような光量の大きな光源を使用する液晶表示装置の場合には、偏光板は強い輻射線を受ける。そのため、これらに使用される偏光板には、優れた耐熱性が必要となる。しかしながら、上記のようなフィルムベースの偏光板は、有機物であることから、これらの特性を上げることにはおのずと限界がある。
米国では、コーニング社よりPolarcorという商品名で耐熱性の高い無機偏光板が販売されている。この偏光板は、銀微粒子をガラス内に拡散させた構造をしており、フィルム等の有機物を使用していない。原理は、島状微粒子のプラズマ共鳴を利用するものである。すなわち、貴金属や遷移金属の島状粒子に光が入射した時の表面プラズマ共鳴による光吸収を利用するものであり、吸収波長は、粒子形状、及び周囲の誘電率の影響を受ける。ここで、島状粒子の形状を楕円形にすると、長軸方向と短軸方向との共鳴波長が異なり、これにより偏向特性を得られる。具体的には、長波長側での長軸に平行な偏光成分を吸収し、短軸と平行な偏光成分を透過させるという偏光特性が得られる。しかしながら、Polarcorの場合、偏光特性を得られる波長域は赤外部に近い領域であり、液晶表示装置で求められるような可視光域をカバーしていない。これは、島状粒子に用いられている銀の物理的性質によるものである。
特許文献1には、上記の原理を応用し熱還元によりガラス中に微粒子を析出させることによるUV偏光板が示されており、金属微粒子として銀を用いることが具体例として示されている。この場合、先のPolarcorとは逆に短軸方向での吸収を用いるものと考えられる。Figure1に示されているように400nm付近でも偏光板として機能はしているが消光比が小さくかつ吸収できる帯域が非常に狭いので、仮にPolarcorと特許文献1の技術とを組み合わせたとしても可視光全域をカバーできる偏光板にはならない。
また、非特許文献1には、金属島状微粒子のプラズマ共鳴を使った無機偏光板の理論解析が述べられている。この文献によれば、アルミニウム微粒子は銀微粒子より共鳴波長が200nm程度短く、このためアルミニウム微粒子を用いることで可視光域をカバーする偏光板を製作できる可能性があることが記述されている。
また、特許文献2には、アルミニウム微粒子を使った偏光板の幾つかの作製方法が示されている。その中で、ケイ酸塩をベースとしたガラスでは、アルミニウムとガラスとが反応するので基板としては望ましくなく、カルシウム・アルミノ硼酸塩ガラスが適していると記述されている(段落[0018]、[0019])。しかし、ケイ酸塩を使用したガラスは、光学ガラスとして広く流通しており、信頼性の高い製品を安価に入手でき、これが適さないということは経済的に好ましくない。また、レジストパターンをエッチングすることで島状粒子を形成する方法が述べられている(段落[0037]、[0038])。通常、プロジェクターで使用する偏光板は、数cm程度の大きさが必要でかつ高い消光比が要求される。従って、可視光用偏光板を目的とした場合、レジストパターンサイズは可視光波長より充分に短い、すなわち、数十nmの大きさが必要であり、また、高い消光比を得るためには、パターンを高密度に形成する必要がある。また、プロジェクター用として使用する場合には、大面積のパターンの形成が必要である。しかしながら、記述されているようなリソグラフィにより高密度微細パターン形成を応用する方法では、そのようなパターンを得るために電子ビーム描画などを用いる必要がある。電子ビーム描画は、個々のパターンを電子ビームより描く方法であり生産性が悪く実用的でない。
また、特許文献2には、アルミニウムを塩素プラズマにより除去すると記述されているが、通常そのようにエッチングした場合には、アルミニウムパターンの側壁に塩化物が付着する。市販のウエットエッチング液(例えば、東京応化工業のSST−A2)により塩化物の除去が可能であるが、アルミニウム塩化物に反応するこのような薬液は、アルミニウムにもエッチング速度は遅いながらも反応はするので、述べられているような方法で所望のパターン形状を実現することは難しい。
さらに、特許文献2には、別な方法として、パターン化されたフォトレジスト上に斜め成膜によりアルミニウムを堆積し、フォトレジストを除去する方法が記述されている(段落[0045]、[0047])。しかし、このような方法では、基板とアルミニウムとの密着性を得るために、ある程度基板面にもアルミニウムを堆積する必要があるものと考えられる。しかし、これは堆積したアルミニウム膜の形状が段落[0015]に記述されている適当な形状である扁長の楕円体を含む扁長の球体とは異なることを意味する。また、段落[0047]には、表面に垂直な異方性エッチングにより過沈積分を除去すると記述されている。偏光板として機能させるには、アルミニウムの形状異方性は極めて重要である。従って、レジスト部と基板面とに堆積するアルミニウムの量をエッチングにより所望の形状が得られるように調整する必要があると考えられるが、段落[0047]に記述されているような0.05μmというサブミクロン以下のサイズでこれらを制御することは非常に困難と考えられ、生産性の高い製作方法として適しているか疑問である。また、偏光板の特性として透過軸方向については高い透過率が求められるが、通常、基板にガラスを用いた場合、ガラス界面から数%の反射は避けられず、高い透過率を得ることは難しい。
また、特許文献3には、斜め蒸着による偏光板について記述されている。この方法は、使用帯域の波長に対して透明及び不透明な物質を斜め蒸着により微小柱状構造を製作することで偏光特性を得るものであり、特許文献2と異なり、簡便な方法で微細パターンを得られるため生産性の高い方法と考えられるが、問題点もある。形成される使用帯域に対し不透明な物質の微小柱状構造のアスペクト比、並びに、個々の微小柱状構造の間隔、及び直線性は、良好な偏光特性を得るために重要な要素であり、特性の再現性の観点からも意図的に制御されるべきものである。しかし、この方法では、蒸着粒子の初期堆積層の影となる部分に次に飛来する蒸着粒子が堆積しないことにより柱状構造が得られるという現象を利用しているため、上記の項目を意図的に制御することが難しい。これを改善する方法として、蒸着前にラビング処理により基板に研磨痕を設ける方法が記述されている。しかし、一般的には蒸着膜の粒子径は最大でも数十nm程度の大きさであり、このような粒子の異方性を制御するにはサブミクロン以下のピッチを研磨により意図的に製作する必要がある。しかし、一般の研磨シート等では、サブミクロン程度が限界であり、そのような微細な研磨痕を製作することは容易でない。また、前記のようにAl微粒子の共鳴波長は周りの屈折率に大きく依存し、この場合、透明及び不透明な物質の組み合わせが重要であるが、特許文献3には、可視光域で良好な偏光特性を得るための組み合わせについて記述がされていない。また、特許文献2と同様に、基板にガラスを用いた場合、ガラス界面から数%の反射は避けられない。
また、非特許文献2には、Lamipolと称する赤外通信用の偏光板について記述されている。これは、AlとSiOとの積層構造を有しており、この文献によれば非常に高い消光比を示す。また、非特許文献3には、Lamipolの光吸収を担うAlの代わりにGeを使うことで、波長1μm以下で高い消光比を実現できることが述べられている。また、同資料中のFig3からは、Te(テルル)も高い消光比が得られることが期待できる。このように、Lamipolは、高い消光比が得られる吸収型偏光板であるが、吸光物質と透過性物質との積層厚が受光面の大きさとなるために、数cm角の大きさが必要なプロジェクター用途の偏光板には向かない。
また、特許文献4には、ワイヤーグリッド構造と吸収膜とを組み合わせた偏光板が開示されている。吸収膜に金属や半導体膜を用いる場合、材料の光学特性に強く影響されるため、材料とワイヤーグリッドと吸収膜との間の誘電体膜厚を調整することで、特定域の反射率を軽減することが可能であるが、広波長域でこれを実現することは困難である。
また、吸収性の高いTaやGeなどを使うことで、帯域を広げることが可能であるが、透過軸方向の吸収が同時に大きくなり、偏光板で重要な特性である透過軸方向の透過率が低下してしまう。
また、特許文献5及び6には、ワイヤーグリッド層における金属線が台形である無機偏光板が開示されている。しかし、この提案の技術でも、偏光特性は十分ではない。
したがって、優れた偏光特性を有する無機偏光板、及びその製造方法の提供が求められているのが現状である。
米国特許第6772608号明細書 特開2000−147253号公報 特開2002−372620号公報 特開2008−216957号公報 特開2011−113631号公報 特表2003−508813号公報
J.Opt.Soc.Am.A, Vol.8, No.4, 619−624 Applied Optics, Vol.25, No.21986 311−314 J.Lightwave Tec., Vol.15, No.6, 1997, 1042−1050
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた偏光特性を有する無機偏光板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 使用帯域の光に対して透明な基板と、複数の線状金属層と、複数の線状誘電体層と、光吸収作用を有する複数の線状光吸収層とをこの順で有し、
前記複数の線状金属層が、前記光の波長より短い間隔で前記基板上に離間して配列され、
前記複数の線状誘電体層における各々の線状誘電体層が、前記複数の線状金属層の各々の線状金属層上に配され、
前記複数の線状光吸収層における各々の線状光吸収層が、前記複数の線状誘電体層の前記各々の線状誘電体層上に配され、
前記線状金属層の長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状が、前記基板側を下底とし、前記線状誘電体層側を上底とする台形であり、前記下底の長さが、前記上底の長さよりも長いことを特徴とする無機偏光板である。
<2> 線状金属層の断面形状において、下底の長さと、上底の長さとの差〔(下底の長さ)−(上底の長さ)〕が、1.0nm〜20.0nmである前記<1>に記載の無機偏光板である。
<3> 線状金属層の平均厚みが、20nm〜400nmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の無機偏光板である。
<4> 線状金属層の材質が、アルミニウム、及びアルミニウム合金のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の無機偏光板である。
<5> 線状誘電体層の材質が、SiOである前記<1>から<4>のいずれかに記載の無機偏光板である。
<6> 線状光吸収層の材質が、Si、及びシリサイドのいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の無機偏光板である。
<7> シリサイドが、Feを10atm%以下で含有するシリサイドである前記<6>に記載の無機偏光板である。
<8> シリサイドが、Taを40atm%以下で含有するシリサイドである前記<6>に記載の無機偏光板である。
<9> 基板の材質が、ガラス、水晶、及びサファイアのいずれかである前記<1>から<8>のいずれかに記載の無機偏光板である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の無機偏光板の製造方法であって、
基板上に形成された金属層を、Nを含有するエッチングガスを用いてエッチングする金属層エッチング工程を含むことを特徴とする無機偏光板の製造方法である。
<11> エッチングガスが、Cl及びBClを含有する前記<10>に記載の無機偏光板の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた偏光特性を有する無機偏光板、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の無機偏光板の一例の概略断面図である。 図2Aは、本発明の無機偏光板の製造方法の一例を説明するための概略断面図である(その1)。 図2Bは、本発明の無機偏光板の製造方法の一例を説明するための概略断面図である(その2)。 図2Cは、本発明の無機偏光板の製造方法の一例を説明するための概略断面図である(その3)。 図2Dは、本発明の無機偏光板の製造方法の一例を説明するための概略断面図である(その4)。 図2Eは、本発明の無機偏光板の製造方法の一例を説明するための概略断面図である(その5)。 図3Aは、試験例1における条件1の無機偏光板の概略断面図である。 図3Bは、試験例1における条件2の無機偏光板の概略断面図である。 図3Cは、試験例1における条件3の無機偏光板の概略断面図である。 図3Dは、試験例1における条件4の無機偏光板の概略断面図である。 図4Aは、試験例2におけるサンプルAの無機偏光板の断面写真である。 図4Bは、試験例2におけるサンプルBの無機偏光板の断面写真である。 図4Cは、試験例2におけるサンプルCの無機偏光板の断面写真である。 図4Dは、試験例2におけるサンプルDの無機偏光板の断面写真である。 図4Eは、試験例2におけるサンプルEの無機偏光板の断面写真である。 図5は、試験例3における吸収軸反射率(Rs)のシミュレーション結果のグラフである。 図6は、試験例3における透過軸透過率(Tp)のシミュレーション結果のグラフである。 図7は、試験例4における吸収軸反射率(Rs)の測定結果のグラフである。
(無機偏光板)
本発明の無機偏光板は、基板と、複数の線状金属層と、複数の線状誘電体層と、複数の線状光吸収層とをこの順で少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記無機偏光板は、いわゆるワイヤーグリッド偏光板である。
本発明者は、基板と、複数の線状金属層と、複数の線状誘電体層と、複数の線状光吸収層とをこの順で少なくとも有する無機偏光板が、偏光特性が良好であることを見出した。更に、本発明者は、偏光特性を向上させるべく、鋭意検討を行った結果、基板と、複数の線状金属層と、複数の線状誘電体層と、複数の線状光吸収層とをこの順で少なくとも有する無機偏光板において、前記線状金属層の長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状を、前記基板側を下底とし、前記線状誘電体層側を上底とする台形とし、かつ前記下底の長さを、前記上底の長さよりも長くすることにより、優れた偏光特性が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
<基板>
前記基板としては、使用帯域の光に対して透明であれば、その材質、形状、大きさ、構造は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記使用帯域の光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光などが挙げられる。前記可視光としては、例えば、380nm〜810nmの光などが挙げられる。
前記使用帯域の光に対して透明とは、透過率が100%であることを意味するものではなく、無機偏光板としての機能を保持する範囲において透明であればよい。
前記基板の材質としては、例えば、ガラス、水晶、サファイアなどが挙げられる。これらの中でも、コスト及び透過率の点で、ガラスが好ましい。
また、前記基板の材質としては、屈折率が、1.1〜2.2の材料が好ましい。
前記基板の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300μm〜1,000μmが好ましい。
<複数の線状金属層>
前記複数の線状金属層は、前記無機偏光板において、前記光の波長より短い間隔で前記基板上に離間して配列されている。
前記線状金属層の長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状は、前記基板側を下底とし、前記線状誘電体層側を上底とする台形である。
前記下底の長さは、前記上底の長さよりも長い。
前記下底の長さ、及び前記上底の長さは、前記線状金属層について、前記線状金属層の長手方向に直交する断面を観察することにより求めることができる。前記断面の観察は、例えば、走査型電子顕微鏡観察、又は透過型電子顕微鏡観察により行うことができる。
前記線状金属層の断面形状において、前記下底の長さと、前記上底の長さとの差〔(下底の長さ)−(上底の長さ)〕としては、前記下底の長さが、前記上底の長さよりも長い限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0nm〜20.0nmが好ましく、2.0nm〜12.0nmがより好ましい。
前記複数の線状金属層は、前記基板に接していてもよいし、前記無機偏光板は、前記複数の線状金属層と前記基板との間に誘電体層などを有していてもよい。
前記線状金属層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、Al合金などが挙げられる。前記Al合金としては、例えば、AlSi合金などが挙げられる。
前記線状金属層としては、Al及びAlSi合金のいずれかを含有することが、偏光特性及びプロセスの容易性の点で好ましい。
前記線状金属層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、偏光特性の点から、20nm〜400nmが好ましい。
ここで、本明細書において、平均厚みとは、前記線状金属層の長手方向に直交する断面における台形の金属層の高さの算術平均値であり、例えば、走査型電子顕微鏡観察、透過型電子顕微鏡観察により求めることができる。例えば、任意の10箇所の前記高さを測定して、その算術平均値から、平均厚みを求める。
前記線状金属層の平均幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、偏光特性及びプロセスの安定性の点から、複数の前記線状金属層間の平均間隔の20%〜60%が好ましい。
前記線状金属層の平均幅は、例えば、走査型電子顕微鏡観察、透過型電子顕微鏡観察により求めることができる。例えば、4本の線状金属層について、任意の箇所の幅を測定して、その算術平均値から、平均幅を求める。なお、前記幅は、前記線状金属層の頂部において測定する。
複数の前記線状金属層間の平均間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、作製の容易性、及び安定性の点から、50nm〜200nmが好ましく、80nm〜150nmがより好ましい。
前記平均間隔は、例えば、走査型電子顕微鏡観察、透過型電子顕微鏡観察により求めることができる。例えば、任意の4箇所の線状金属層の間隔(ピッチ)について測定して、その算術平均値から、平均間隔を求める。なお、前記間隔(ピッチ)は、隣接する2つの線状金属層における、一方の線状金属層の頂部における他方の線状金属層側の端部と、他方の線状金属層の頂部における一方の線状金属層側と反対側の端部との距離である。
<複数の線状誘電体層>
前記複数の線状誘電体層において、各々の線状誘電体層は、前記複数の線状金属層の各々の線状金属層上に配されている。
前記線状誘電体層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiO、Al、MgFなどが挙げられる。
前記線状誘電体層の長手方向に直交する断面における前記線状誘電体層の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矩形、台形などが挙げられる。
前記線状誘電体層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜500nmが好ましく、3nm〜80nmがより好ましい。
前記平均厚みは、前記線状金属層の平均厚みと同様にして求めることができる。
<複数の線状光吸収層>
前記複数の線状光吸収層において、各々の線状光吸収層は、前記複数の線状誘電体層の前記各々の線状誘電体層上に配されている。
前記線状光吸収層は、光吸収作用を有する。
ここで、光吸収作用とは、前記無機偏光板内に形成される格子(グリッド)に平行な電界成分を持つ偏光波(TE波(S波))を減衰させる作用を意味する。なお、前記線状光吸収層は、前記格子に垂直な電界成分を持つ偏光波(TM波(P波))を透過する。
前記線状光吸収層としては、光吸収作用を有する限り、その材質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、半導体、金属含有半導体などが挙げられる。前記金属としては、例えば、Al、Au、Ag、Cu、及びそれらの合金などが挙げられる。前記半導体としては、例えば、Si、Ge、Te、ZnOなどが挙げられる。前記金属含有半導体に含有される金属としては、例えば、Ta、Al、Ag、Cu、Au、Mo、Cr、Ti、W、Ni、Fe、Sn、Nbなどが挙げられる。前記金属含有半導体としては、例えば、シリサイドなどが挙げられる。前記シリサイドとしては、例えば、β−FeSi、MgSi、NiSi、BaSi、CrSi、CoSi、TaSi、WSiなどが挙げられる。
これらの中でも、Si、シリサイドが、可視領域に対して高いコントラスト(消光比:透過軸透過率/吸収軸透過率)を備えた無機偏光板が得られる点で好ましい。前記シリサイドとしては、例えば、Feを含有するシリサイド、Taを含有するシリサイドが好ましい。
前記金属含有半導体における金属含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50atm%(原子パーセント)以下が好ましい。前記金属含有量が、50atm%を超えると、透過率が減少することがある。
前記金属含有半導体としてFeを含有するシリサイドを用いる場合、Fe含有量は、50atm%以下が好ましい。前記Fe含有量が、50atm%を超えると、ガス種を工夫してもエッチングが困難となることがある。さらに、広く半導体エッチングプロセスで用いられているCFでのエッチングに可能とするためには、前記Fe含有量は、10atm%以下であることが好ましい。
前記金属含有半導体としてTaを含有するシリサイドを用いる場合、Ta含有量は、40atm%以下が好ましく、30atm%以下がより好ましい。前記Ta含有量が、40atm%以下の範囲では、反射率はガラス界面レベルと同等の4%以下であり、かつ透過率も高い値であるため、実用上、反射率の低減と高い透過率を保つことができる。
前記線状光吸収層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。例えば、金属含有半導体から形成される単層であってもよいし、金属又は半導体と、金属含有半導体とから形成される2層であってもよい。
前記線状光吸収層が、金属又は半導体と、金属含有半導体とから形成される2層構造であることにより、反射を抑制し、透過率を向上させることができ、コントラストを増大させることができる。
前記線状吸収層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜100nmが好ましく、5nm〜80nmがより好ましく、10nm〜40nmが特に好ましい。
前記平均厚みは、前記線状金属層の平均厚みと同様にして求めることができる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘電体層、保護層などが挙げられる。
<<誘電体層>>
前記誘電体層は、例えば、前記基板と、前記複数の線状金属層との間に配される。
前記誘電体層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、SiO層であることが、屈折率がガラスに近いこと及びエッチング性がよいことから、透過率を高めやすい点で好ましい。
前記誘電体層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、偏光特性の点で、3nm〜80nmが好ましい。
<<保護層>>
前記保護層は、例えば、前記線状光吸収層を覆うように配される。
前記保護層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiOなどが挙げられる。
前記無機偏光板は、前記保護層を有することにより、信頼性を向上させることができる。
前記無機偏光板を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記無機偏光板の製造方法が好ましい。
図1に、本発明の無機偏光板の一例の概略断面図を示す。図1に示す無機偏光板は、基板1と、線状金属層2と、線状誘電体層3と、線状光吸収層4とを有している。図1においては、基板1上に、線状金属層2と、線状誘電体層3と、線状光吸収層4とがこの順で配されている。線状金属層2は、長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状が、台形であり、前記台形においては、基板1側の下底のほうが、線状誘電体層3側の上底よりも長い。
図1に示すPが、2つの線状金属層2間の間隔(ピッチ)に該当し、Wが、線状金属層2の幅に該当する。
本発明の無機偏光板においては、線状光吸収層4側から光が入射される。
(無機偏光板の製造方法)
本発明の無機偏光板の製造方法は、金属層エッチング工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<金属層エッチング工程>
前記金属層エッチング工程は、基板上に形成された金属層を、Nを含有するエッチングガスを用いてエッチングする工程である。
前記エッチングにより、前記基板上に、光の波長より短い間隔で離間して配列され複数の線状金属層が形成される。そして、その際に、前記線状金属層の長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状は、前記基板側を下底とし、前記線状誘電体層側を上底とし、前記下底の長さが、前記上底の長さよりも長い台形となる。
前記エッチングガスとしては、Nを含有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Cl、及びBClを含有することが好ましい。
前記エッチングガスがNを含有することにより、前記台形を容易に作製することができる。また、前記線状金属層の側面の粗さを低減することができ、その結果、偏光特性をより向上させることができる。
前記エッチングガスにおけるNの量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エッチングスピード及び粗さ低減の点から、10体積%〜50体積%が好ましい。
本発明の無機偏光板の製造方法の一例を図を用いて説明する。
まず、基板1上に、線状金属層の前駆体である金属層2’と、線状誘電体層の前駆体である誘電体層3’と、線状光吸収層の前駆体である光吸収層4’と、第1のマスク層6と、第2のマスク層7と、反射防止層8と、パターン化されたレジスト膜9とがこの順で積層された積層体を用意する(図2A)。
レジスト膜の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
パターン化されたレジスト膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナノインプリント、フォトリソグラフィーなどが挙げられる。
前記金属層、前記誘電体層、前記光吸収層、前記第1のマスク層、前記第2のマスク層、及び前記反射防止層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
前記第1のマスク層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムなどが挙げられる。
前記第2のマスク層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiOなどが挙げられる。
前記反射防止層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
続いて、レジスト膜9をマクスとして、反射防止層8、及び第2のマスク層7をエッチングし、更に残ったレジスト膜9及び反射防止層8を除去する(図2B)。
反射防止層8のエッチングは、例えば、Ar/Oを用いたドライエッチングで行う。第2のマスク層7のエッチングは、例えば、Clを用いたドライエッチングで行う。残ったレジスト膜9及び反射防止層8の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
続いて、パターン化された第2のマスク層7’をマスクとして、第1のマスク層6、光吸収層4’、及び誘電体層3’をエッチングし、更に残ったパターン化された第2のマスク層7’を除去する(図2C)。
この際のエッチングは、例えば、CFを用いたドライエッチングで行う。
続いて、パターン化された第1のマスク層6’をマスクとして、金属層2’をエッチングし、断面形状が台形の線状金属層2を得る。
この際のエッチングは、Nを含有するエッチングガスを用いることが、線状金属層の断面形状を台形にしやすい点で、好ましい。また、Nを含有するエッチングガスを用いることで、線状金属層の側面の粗さを低減させることができ、より優れた偏光特性を有する無機偏光板を得ることができる。
続いて、パターン化された第1のマスク層6’を除去することで、無機偏光板が得られる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverを用いたRigorous Coupled Wave Analysis(RCWA)による電磁界シミュレーションを行った。
電磁界シミュレーションでは、図3A、図3B、図3C、図3Dに示すように、線状金属層の形状を変化させた際の偏光特性を評価した。
図3A、図3B、図3C、及び図3Dの無機偏光板においては、基板1上に、誘電体層5(SiO:30nm)、線状金属層2(Al:190nm)、線状誘電体層3(SiO:7.5nm)、及び線状光吸収層4(FeSi(Fe5atm%):25nm)がこの順で形成されている。図3A、図3B、図3C、及び図3Dにおいて、誘電体層5、線状金属層2、線状誘電体層3、及び線状光吸収層4は、それぞれ同体積とした。また、格子間の間隔(ピッチ)は、141nmとした。線状金属層3における断面の上部幅、中部幅、下部幅を表1に示した。
線状光吸収層4側から光を入射させた際の520nm〜590nmにおける偏光特性を評価した。結果を表1に示した。
本明細書において、各記号は以下のとおりである。
Tp:透過軸透過率
CR:コントラスト(透過軸透過率/吸収軸透過率)
Rp:透過軸反射率
Rs:吸収軸反射率
表1から、本発明の態様である条件4では、本発明の態様ではない条件1〜3に比べ、透過軸透過率が高く、コントラストが大きく、透過軸反射率が低いことから、液晶表示装置で実用上重要である緑域(550nm近辺)において、優れた偏光特性が得られていることが確認できた。
(試験例2)
線状金属層の形状を変化させたサンプルを作製し、偏光特性を評価した。
具体的には、図4A〜図4Eに示す断面形状(SEM写真)を有する無機偏光板を作製し、偏光特性を評価した。
サンプルは、基板(ガラス)上に、誘電体層(SiO:35nm)、線状金属層(Al:200nm)、線状誘電体層(SiO:10nm)、及び線状光吸収層(FeSi(Fe5atm%):25nm)がこの順で形成された構成である。また、格子間の間隔(ピッチ)は、141nmとした。線状金属層の断面形状は、エッチング条件を変動させることにより変化させた。具体的には、Cl/BClエッチングガスにおけるN量を変動させることにより、線状金属層の断面形状を変化させた。
なお、偏光特性の評価は、透過率については日立ハイテクノロジーズ社製のU−4100を、反射率については日本分光社製のV−570を用いて行った。光は、線状光吸収層側から入射した。結果を表2に示した。また、図4A〜図4Eにおける、線状金属層の上部(Top)の幅、及び下部(Bottom)の幅の差(Top−Bottom)も表2に示した。
表2から、本発明の態様であるサンプルD、Eでは、本発明の態様ではないサンプルA、B、Cに比べ、コントラストが大きく、かつ透過軸反射率が低く、優れた偏光特性が得られていることが確認できた。
(試験例3)
Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverを用いたRigorous Coupled Wave Analysis(RCWA)による電磁界シミュレーションを行った。
電磁界シミュレーションでは、下記表3に示すように、線状光吸収層の材料を変化させた際の偏光特性を評価した。なお、各線状光吸収層材料の光学乗数に合わせて吸収軸反射率Rsが低くなるように、線状光吸収層と線状誘電体層の膜厚を調整している。また、シミュレーションのモデルは図3D(条件4)とし、格子間の間隔(ピッチ)は、141nmとした。線状光吸収層材料にTaSi(Taを含有するシリサイド)を用いることにより、更なる吸収軸反射率の低減が可能となり、図5に示すように、広い波長帯域で低反射率が得られることが確認できた。Taの含有率について20atm%、25atm%、及び33atm%を評価した。表3及び図5に示すように吸収軸反射率については同等レベルが得られるものの、表3及び図6に示すように、Taの含有率を増やすと透過軸透過率が低下する傾向がある。よって高透過率と低反射率の両立が望まれる偏光板においては、Ta含有率は40atm%以下とすることが好ましく、30atm%以下とすることがより好ましい。
シミュレーションで得られた結果を元に、線状光吸収層にTaSi(Ta20atm%)を用いて、試験例2における前記サンプルDと同様のサンプルを作製し、吸収軸反射率を評価した。結果を表4及び図7に示す。シミュレーション結果と同様に、吸収軸反射率Rsの低減効果を確認できた。
(試験例4)
本発明の無機偏光板の作製において、線状金属層を作製する際のエッチングガスがNを含有する場合に、線状金属層の側面の平滑性が向上することを確認するための試験を行った。
具体的には、アルミニウム膜が形成されたガラス基板におけるアルミニウム膜を、N濃度を変化させたエッチングガスでエッチングして、アルミニウム膜表面の平滑性(算術平均粗さ:Ra)を測定した。アルミニウム膜は、スパッタリングにより形成した。
Raは、AFM(原子間力顕微鏡)により測定した。測定面積は1μm×1μmである。
結果を表5に示した。
を含有しないエッチングガスでアルミニウム膜をエッチングした場合よりも、Nを含有するエッチングガスでアルミニウム膜をエッチングした場合の方が、エッチング後のアルミニウム膜表面のRaが小さくなった。
本発明の無機偏光板は、偏光特性に優れることから、液晶表示装置に好適に用いることができる。
1 基板
2 線状金属層
2’ 金属層
3 線状誘電体層
3’ 誘電体層
4 線状光吸収層
4’ 光吸収層
5 誘電体層
6 第1のマスク層
6’ パターン化された第1のマスク層
7 第2のマスク層
7’ パターン化された第2のマスク層
8 反射防止層
9 レジスト膜

Claims (10)

  1. 使用帯域の光に対して透明な基板と、複数の線状金属層と、複数の線状誘電体層と、光吸収作用を有する複数の線状光吸収層とをこの順で有し、
    前記複数の線状金属層が、前記光の波長より短い間隔で前記基板上に離間して配列され、
    前記複数の線状誘電体層における各々の線状誘電体層が、前記複数の線状金属層の各々の線状金属層上に配され、
    前記複数の線状光吸収層における各々の線状光吸収層が、前記複数の線状誘電体層の前記各々の線状誘電体層上に配され、
    前記線状金属層の長手方向に直交する断面における前記線状金属層の断面形状が、前記基板側を下底とし、前記線状誘電体層側を上底とする台形であって、前記下底の長さが、前記上底の長さよりも1.0nm〜20.0nm長いものであり、
    前記線状光吸収層層及び前記線状誘電体の長手方向に直交する断面において、前記線状光吸収層層の断面の下辺が前記線状誘電体の断面の上辺と同じ長さであり、
    前記線状光吸収層の平均厚さが5nm〜40nmであり、
    前記線状光吸収層の材質が、Taを30atm%以下で含有するシリサイド、及びFeを10atm%以下で含有するシリサイドのいずれかであることを特徴とする無機偏光板。
  2. 線状誘電体層の平均厚みが、3nm〜80nmである請求項1に記載の無機偏光板。
  3. 線状金属層の平均厚みが、20nm〜400nmである請求項1から2のいずれかに記載の無機偏光板。
  4. 線状金属層の材質が、アルミニウム、及びアルミニウム合金のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の無機偏光板。
  5. 線状誘電体層の材質が、SiOである請求項1から4のいずれかに記載の無機偏光板。
  6. 基板と線状金属層の間に平均厚みが3nm〜80nmの誘電体層を有する請求項1から5のいずれかに記載の無機偏光板。
  7. 基板の材質が、ガラス、水晶、及びサファイアのいずれかである請求項1から6のいずれかに記載の無機偏光板。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の無機偏光板の製造方法であって、
    基板上に形成された金属層を、N を含有するエッチングガスを用いてエッチングする金属層エッチング工程を含むことを特徴とする無機偏光板の製造方法。
  9. エッチングガスが、Cl 及びBCl を含有する請求項8に記載の無機偏光板の製造方法。
  10. エッチング後の金属層の表面のRaが4.071nm以下である請求項8から9に記載の無機偏光板の製造方法。
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