JP7219735B2 - 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器 - Google Patents
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Description
また本発明によれば、底部が最も太い形状のグリッドを有する偏光板を形成できるため、偏光板の機械的強度を向上できる。
さらに、反射層のステップ数や形状を調整することにより、光学特性の制御が可能となるため、例えば、必要な波長において最適となる偏光板を作成することができ、設計の自由度が増加する。
本発明の偏光板は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチ(周期)で透明基板上に配列されて所定方向に延在する格子状凸部と、を備える。また、この格子状凸部は、透明基板側から順に、少なくとも、反射層と、誘電体層と、を有する。なお、本発明の偏光板は、本発明の効果を発現する限りにおいて、透明基板、反射層、誘電体層、以外の層が存在していてもよい。
透明基板(図1における透明基板1)としては、使用帯域の光に対して透光性を示す基板であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。「使用帯域の光に対して透光性を示す」とは、使用帯域の光の透過率が100%であることを意味するものではなく、偏光板としての機能を保持可能な透光性を示せばよい。使用帯域の光としては、例えば、波長380nm~810nm程度の可視光が挙げられる。
第2の誘電体層(図1における第2の誘電体層2)は、本発明においては任意の層である。透明基板上に形成され、本発明における反射層と透明基板との間に形成される。
反射層(図1における反射層3)は、透明基板の片側面に形成され、吸収軸であるY軸方向に、帯状に延びた金属膜が配列されたものである。なお、本発明においては、例えば上記した図1に示される偏光板100のように、透明基板と反射層との間に、第2の誘電体層等の別の層が存在していてもよい。
誘電体層(図1における誘電体層4)は、反射層上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びた誘電体膜が配列されたものである。なお、本発明においては、反射層と誘電体層との間には、別の層が存在していてもよい。
吸収層(図1における吸収層5)は、誘電体層上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びて配列されたものである。吸収層は、格子状凸部20の一部を形成する。
第3の誘電体層(図1における誘電体層2)は、本発明においては任意の層である。透明基板上に形成され、本発明における誘電体層のとは別に、その上層として形成される。
本発明の偏光板は、誘電体層と吸収層との間に、拡散バリア層を有していてもよい。拡散バリア層を有することにより、吸収層における光の拡散が防止される。拡散バリア層は、Ta、W、Nb、Ti等の金属膜で構成することができる。
また、本発明の偏光板は、光学特性の変化に影響を与えない範囲において、光の入射側の表面が、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。保護膜は、誘電体膜で構成され、例えば偏光板の表面(ワイヤグリッドが形成された面)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)を利用することにより形成可能である。これにより、金属膜に対する必要以上の酸化反応を抑制することができる。
さらに、本発明の偏光板は、光の入射側の表面が、有機系撥水膜により覆われていてもよい。有機系撥水膜は、例えばパーフルオロデシルトリエトキシシラン(FDTS)等のフッ素系シラン化合物等で構成され、例えば上述のCVDやALDを利用することにより形成可能である。これにより、偏光板の耐湿性等の信頼性を向上できる。
本発明の偏光板の製造方法は、反射層形成工程と、誘電体層形成工程と、吸収層形成工程と、エッチング工程と、を有する。
本発明の光学機器は、上述した本発明に係る偏光板を備える。光学機器としては、液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルカメラ等が挙げられる。本発明に係る偏光板は、透過軸方向の偏光の透過率力が高い偏光板として、種々の用途に利用することが可能である。また、有機材料からなる有機偏光板に比べて、耐熱性に優れる無機偏光板であるため、耐熱性が要求される液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ等の用途に特に好適である。
また本発明によれば、底部が最も太い形状のグリッドを有する偏光板を形成できるため、偏光板の機械的強度を向上できる。
さらに、反射層のステップ数や形状を調整することにより、光学特性の制御が可能となるため、反射率特性の制御に優れ、例えば、必要な波長において最適となる偏光板を作成することができ、設計の自由度が増加する。
[偏光板の作成]
実施例1~5では、図1に示す構造を有する偏光板100であって、反射層3のステップ角θsが、それぞれ、87°、45°、21°、8°、4°である偏光板につき、シミュレーションに供した。
また、比較例1として、実施例1の偏光板100とは吸収層3の構造のみが異なる偏光板200を作成し、シミュレーションに供した。比較例1となる偏光板200は、図2に示される構造であり、格子状凸部20の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、反射層3の形状が矩形であり、ステップを有さない(ステップ角θs=0°)。
[式1]
θs=arctan{Hs/(W-Ws)/2}
ここで、図1に示すように、Hsはステップ10の高さ、Wは格子状凸部20の幅、Wsは反射層3の頂点幅、である。
実施例1~3及び比較例1の偏光板の光学特性について、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法による電磁界シミュレーションにより検証した。シミュレーションには、Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverV51を用いた。
図10に、実施例1、2、及び5、並びに比較例1の偏光板について、波長と吸収軸透過率との関係を検証した結果を示す。
図11に、実施例1、2、及び5、並びに比較例1の偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示す。
図12に、実施例1~5、および比較例1の偏光板について、波長520~590nmにおけるステップ角度と吸収軸反射率(Rs)との関係を示す。
1 透明基板
2 第2の誘電体層
3 反射層
4 誘電体層
5 吸収層
6 第3の誘電体層
7 第2の誘電体層の膜厚
8 反射層の膜厚
9 誘電体層の膜厚
10 吸収層の膜厚
11 第3の誘電体層の膜厚
10 ステップ
20 格子状凸部
L 入射光
P 格子状凸部のピッチ
W ライン幅
S スペース幅
H 掘り込み量
Hs ステップ高さ
Ws 金属層頂点の幅
Claims (9)
- ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、
透明基板と、
使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備え、
前記格子状凸部は、前記透明基板側から順に、反射層と、誘電体層と、吸収層と、を有し、
前記所定方向から見たとき、前記反射層は、前記透明基板側となる底辺を含む矩形部分を有するとともに、少なくとも1つ以上の幅が連続的に変化する形状を両側辺に有し、且つ、前記底辺の幅が最も大きく、
前記所定方向から見たとき、前記誘電体層および前記吸収層は、矩形であり、前記底辺の幅と同一の幅を有し、
前記幅が連続的に変化する形状は、曲線で形成されている偏光板。 - 前記透明基板は、使用帯域の光の波長に対して透明であり、且つ、ガラス、水晶、又はサファイアで構成される請求項1に記載の偏光板。
- 前記反射層は、アルミニウム、又はアルミニウム合金で構成される請求項1または2に記載の偏光板。
- 前記誘電体層は、Si酸化物で構成される請求項1から3いずれか記載の偏光板。
- 前記吸収層は、Fe、又はTaを含むとともに、Siを含んで構成される請求項1から4いずれか記載の偏光板。
- 光が入射する前記偏光板の表面は、誘電体からなる保護膜により覆われている請求項1から5いずれか記載の偏光板。
- 光が入射する前記偏光板の表面は、有機系撥水膜により覆われている請求項1から6いずれか記載の偏光板。
- ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、
透明基板の片面に反射層を形成する反射層形成工程と、
前記反射層の前記透明基板とは反対面に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、
前記誘電体層の前記反射層とは反対面に吸収層を形成する吸収層形成工程と、
形成された積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部を形成するエッチング工程と、を有し、
前記エッチング工程では、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせることにより、
前記所定方向から見たとき、前記格子状凸部を構成する反射層が、前記透明基板側となる底辺を含む矩形部分を有するとともに、少なくとも1つ以上の幅が連続的に変化する形状を両側辺に有し、且つ、前記底辺の幅が最も大きくなるように、且つ、
前記所定方向から見たとき、前記格子状凸部を構成する誘電体層および吸収層が、矩形であり、前記底辺の幅と同一の幅を有するようにエッチングし、
前記幅が連続的に変化する形状は、曲線で形成されている偏光板の製造方法。 - 請求項1から7いずれか記載の偏光板を備える光学機器。
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