JP7075372B2 - 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板及びその製造方法、並びに光学機器に関する。
従来、偏光素子として、使用帯域の光の波長より小さいピッチの金属格子を基板上に形成し、当該金属格子上に誘電層及び無機微粒子層を形成することにより、金属格子から反射した光を干渉効果により打ち消すとともに、もう一方の偏光成分を透過させる吸収型のワイヤグリッド型偏光素子が提案されている。このような偏光素子に対しては、近年、液晶プロジェクタの高輝度化に伴い、高い透過率特性とともに、強い光の環境下における反射率特性への制御要求が高まっている。
ここで、反射率特性は、格子構造を構成する、層間の干渉や、層内の吸収によって決定づけられる。そして、要求に応じた材料を誘電層等に用いることによって、反射率を制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら特許文献1においては、各層が矩形形状として設計されているため、ナノレベルで完全な矩形を形成することは困難であることから、形状を加味した材料設計は非常に困難な状況となる。
また、金属層を形成する前に、樹脂製の基材に微細パターンを形成して基材の反射率及び波長を制御することで、得られる偏光素子の反射率特性を制御する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2で用いられる基材は樹脂製であるため、無機材料で構成されるワイヤグリッド偏光素子と比較して、耐熱性や耐光性に劣り、強い光の環境下での長期使用については不安がある。
特表2010-530994号公報 特開2015-212741号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射率特性の制御に優れた偏光板及びその製造方法、並びにその偏光板を備える光学機器を提供することにある。
本発明者は、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備えるワイヤグリッド構造を有する偏光板において、格子状凸部に、透明基板側から順に、反射層と、第1の誘電体層と、吸収層と、を備えさせ、前記の所定方向から見たときの、反射層、第1の誘電体層、及び吸収層の最小幅の関係を特定すれば、光吸収作用の波長範囲をシフトさせる効果を発現でき、その結果、反射率特性の制御に優れた偏光板が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板(例えば、後述の透明基板1)と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部(例えば、後述の格子状凸部6)と、を備え、前記格子状凸部は、前記透明基板側から順に、反射層(例えば、後述の反射層2)と、第1の誘電体層(例えば、後述の第1の誘電体層3)と、吸収層(例えば、後述の吸収層4)と、第2の誘電体層(例えば、後述の第1の誘電体層5)と、を有し、前記所定方向から見たとき、前記反射層と前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層、略矩形であり、略同一の幅を有しており、且つ、前記吸収層の最小幅は、前記反射層及び前記第1の誘電体層の最小幅より小さく、前記吸収層の最大幅は、前記吸収層において、前記第1の誘電体層側の最表面の幅であり、且つ、前記第2の誘電体層側の最表面の幅である偏光板である。
前記透明基板は、使用帯域の光の波長に対して透明であり、且つ、ガラス、水晶、又はサファイアで構成されていてもよい。
前記反射層は、アルミニウム、又はアルミニウム合金で構成されていてもよい。
前記第1の誘電体層は、Si酸化物で構成されていてもよい。
前記第2の誘電体層は、Si酸化物で構成されていてもよい。
前記吸収層は、Fe、又はTaを含むとともに、Siを含んで構成されていてもよい。
光が入射する前記偏光板の表面は、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。
光が入射する前記偏光板の表面は、有機系撥水膜により覆われていてもよい。
また別の本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、透明基板の片面に反射層を形成する反射層形成工程と、前記反射層の前記透明基板とは反対面に第1の誘電体層を形成する第1誘電体層形成工程と、前記第1の誘電体層の前記反射層とは反対面に吸収層を形成する吸収層形成工程と、前記吸収層の前記第1の誘電体層とは反対面に第2の誘電体層を形成する第2誘電体層形成工程と、形成された積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部を形成するエッチング工程と、を有し、前記エッチング工程では、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせることにより、前記所定方向から見たとき、前記反射層と前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層と、略矩形で略同一の幅とし、前記吸収層の最小幅を、前記反射層及び前記第1の誘電体層の最小幅より小さいものとし、前記吸収層の最大幅を、前記吸収層において、前記第1の誘電体層側の最表面の幅であり、且つ、前記第2の誘電体層側の最表面の幅とする、偏光板の製造方法である。
また別の本発明は、上記の偏光板を備える光学機器である。
本発明によれば、反射率特性の制御に優れた偏光板及びその製造方法、並びにその偏光板を備える光学機器を提供できる。
本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 従来構造の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、青色帯域(波長λ=430~510nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、図1に示す偏光板と図2に示す偏光板について、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 従来構造の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、波長と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、青色帯域(波長λ=430~510nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、図9に示す偏光板と図10に示す偏光板について、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係を、シミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチ(周期)で透明基板上に配列されて所定方向に延在する格子状凸部と、を備える。また、この格子状凸部は、透明基板側から順に、少なくとも、反射層と、第1の誘電体層と、吸収層と、を有する。なお、本発明の偏光板は、本発明の効果を発現する限りにおいて、透明基板、反射層、第1の誘電体層、吸収層、以外の層が存在していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板10を示す断面模式図である。図1に示すように、偏光板10は、使用帯域の光に透明な透明基板1と、透明基板1の一方の面上に使用帯域の光の波長よりも短いピッチで配列された格子状凸部6と、を備える。格子状凸部6は、透明基板1側から順に、反射層2と、第1の誘電体層3と、吸収層4と、を有する。即ち、偏光板10は、反射層2と、第1の誘電体層3と、吸収層4が透明基板1側からこの順に積層されて形成された格子状凸部6が、透明基板1上に一次元格子状に配列されたワイヤグリッド構造を有する。
ここで、図1に示すように格子状凸部6の延在する方向(所定方向)を、Y軸方向と称する。また、Y軸方向に直交し、透明基板1の主面に沿って格子状凸部6が配列する方向を、X軸方向と称する。この場合、偏光板10に入射する光は、透明基板1の格子状凸部6が形成されている側において、好適にはX軸方向及びY軸方向に直交する方向から入射する。
ワイヤグリッド構造を有する偏光板は、透過、反射、干渉及び光学異方性による偏光波の選択的光吸収の4つの作用を利用することで、Y軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、X軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。従って、図1においては、Y軸方向が偏光板の吸収軸の方向であり、X軸方向が偏光板の透過軸の方向である。
図1に示される偏光板10の格子状凸部6が形成された側から入射した光は、吸収層4及び第1の誘電体層3を通過する際に一部が吸収されて減衰する。吸収層4及び第1の誘電体層3を透過した光のうち、偏光波(TM波(P波))は高い透過率で反射層2を透過する。一方、吸収層4及び第1の誘電体層3を透過した光のうち、偏光波(TE波(S波))は反射層2で反射される。反射層2で反射されたTE波は、吸収層4及び第1の誘電体層3を通過する際に一部は吸収され、一部は反射して反射層2に戻る。また、反射層2で反射されたTE波は、吸収層4及び第1の誘電体層3を通過する際に干渉して減衰する。以上のようにTE波の選択的減衰を行うことにより、偏光板10は、所望の偏光特性を得ることができる。
本発明の偏光板における格子状凸部は、図1に示すように各一次元格子の延在する方向(所定方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、反射層2と、第1の誘電体層3と、吸収層4と、を有する。
ここで本明細書における寸法につき、図1を用いて説明する。高さとは、図1における透明基板1の主面に垂直な方向の寸法を意味する。幅Wとは、格子状凸部6の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、高さ方向に直交するX軸方向の寸法を意味する。また、偏光板10を格子状凸部6の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、格子状凸部6のX軸方向の繰り返し間隔を、ピッチPと称する。
本発明の偏光板において、格子状凸部のピッチPは、使用帯域の光の波長よりも短ければ特に制限されない。作製の容易性及び安定性の観点から、格子状凸部のピッチPは、例えば、100nm~200nmが好ましい。この格子状凸部のピッチPは、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。例えば、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて、任意の4箇所についてピッチPを測定し、その算術平均値を格子状凸部のピッチPとすることができる。以下、この測定方法を電子顕微鏡法と称する。
本発明の偏光板は、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、反射層と第1の誘電体層とは略同一の幅を有しており、且つ、吸収層の最小幅は、反射層及び第1の誘電体層の最小幅より小さいことを特徴とする。これにより、反射率特性の制御に優れた偏光板を実現することができる。
(透明基板)
透明基板(図1における透明基板1)としては、使用帯域の光に対して透光性を示す基板であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。「使用帯域の光に対して透光性を示す」とは、使用帯域の光の透過率が100%であることを意味するものではなく、偏光板としての機能を保持可能な透光性を示せばよい。使用帯域の光としては、例えば、波長380nm~810nm程度の可視光が挙げられる。
透明基板の主面形状は特に制限されず、目的に応じた形状(例えば、矩形形状)が適宜選択される。透明基板の平均厚みは、例えば、0.3mm~1mmが好ましい。
透明基板の構成材料としては、屈折率が1.1~2.2の材料が好ましく、ガラス、水晶、サファイア等が挙げられる。コスト及び透光率の観点からは、ガラス、特に石英ガラス(屈折率1.46)やソーダ石灰ガラス(屈折率1.51)を用いることが好ましい。ガラス材料の成分組成は特に制限されず、例えば光学ガラスとして広く流通しているケイ酸塩ガラス等の安価なガラス材料を用いることができる。
また、熱伝導性の観点からは、熱伝導性が高い水晶やサファイアを用いることが好ましい。これにより、強い光に対して高い耐光性が得られ、発熱量の多いプロジェクタの光学エンジン用の偏光板として好ましく用いられる。
なお、水晶等の光学活性の結晶からなる透明基板を用いる場合には、結晶の光学軸に対して平行方向又は垂直方向に格子状凸部6を配置することが好ましい。これにより、優れた光学特性が得られる。ここで、光学軸とは、その方向に進む光のO(常光線)とE(異常光線)の屈折率の差が最小となる方向軸である。
(反射層)
反射層(図1における反射層2)は、透明基板の片側面に形成され、吸収軸であるY軸方向に、帯状に延びた金属膜が配列されたものである。なお、本発明においては、透明基板と反射層との間には、別の層が存在していてもよい。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10の反射層2は、透明基板1の面方向に対して垂直に延びており、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。反射層は、ワイヤグリッド型偏光子としての機能を有し、反射層の長手方向に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、反射層の長手方向に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。
反射層の構成材料としては、使用帯域の光に対して反射性を有する材料であれば特に制限されず、例えば、Al、Ag、Cu、Mo、Cr、Ti、Ni、W、Fe、Si、Ge、Te等の元素単体、又はこれらの1種以上の元素を含む合金が挙げられる。中でも、反射層は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されることが好ましい。なお、これらの金属材料以外にも、例えば着色等により表面の反射率が高く形成された金属以外の無機膜や樹脂膜で構成してもよい。
反射層の膜厚は、特に制限されず、例えば、100nm~300nmが好ましい。なお、反射層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
本発明の偏光板においては、反射層の幅は、後述する第1の誘電体層と略同一であり、且つ、その最小幅が、後述する吸収層の最小幅よりも大きい必要がある。本発明においてはこれにより、反射率特性の制御に優れた偏光板を実現することができる。反射層の幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、35nm~45nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
反射層の最小幅を、吸収層の最小幅よりも大きくする方法としては、例えば、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせて用いて、そのバランスを変化させる方法が挙げられる。
(第1の誘電体層)
第1の誘電体層(図1における第1の誘電体層3)は、反射層上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びた誘電体膜が配列されたものである。なお、本発明においては、反射層と第1の誘電体層との間には、別の層が存在していてもよい。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10の第1の誘電体層3は、反射層上に、透明基板1の面方向に対して垂直に積層されており、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。
第1の誘電体層の膜厚は、吸収層で反射した偏光に対して、吸収層を透過して反射層で反射した偏光の位相が半波長ずれる範囲で形成される。具体的には、第1の誘電体層の膜厚は、偏光の位相を調整して干渉効果を高めることが可能な1~500nmの範囲で適宜設定される。この第1の誘電体層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
第1の誘電体層を構成する材料としては、SiO等のSi酸化物、Al、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、等の金属酸化物、MgF、氷晶石、ゲルマニウム、二酸化チタン、ケイ素、フッ化マグネシウム、窒化ボロン、酸化ボロン、酸化タンタル、炭素、又はこれらの組み合わせ等の一般的な材料が挙げられる。中でも、第1の誘電体層3は、Si酸化物で構成されることが好ましい。
第1の誘電体層の屈折率は、1.0より大きく、2.5以下であることが好ましい。反射層の光学特性は、周囲の屈折率によっても影響を受けるため、第1の誘電体層の材料を選択することで、偏光特性を制御することができる。
また、第1の誘電体層の膜厚や屈折率を適宜調整することにより、反射層で反射したTE波について、吸収層を透過する際に一部を反射して反射層に戻すことができ、吸収層を通過した光を干渉により減衰させることができる。このようにしてTE波の選択的減衰を行うことにより、所望の偏光特性を得ることができる。
本発明の偏光板においては、第1の誘電体層の幅は、前述の反射層と略同一であり、且つ、その最小幅が、後述する吸収層の最小幅よりも大きい必要がある。本発明においてはこれにより、反射率特性の制御に優れた偏光板を実現することができる。第1の誘電体層の幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、35nm~45nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
(吸収層)
吸収層(図1における吸収層4)は、第1の誘電体層上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びて配列されたものである。本発明においては、吸収軸であるY軸方向(所定方向)から見たとき、吸収層の最小幅は、上述の反射層及び第1の誘電体層の最小幅より小さいことを特徴とする。本発明においては、吸収層の形状を上記のようにすることで、光吸収作用の波長範囲をシフトさせる効果を発現でき、その結果、反射率特性の制御に優れた偏光板を実現することができる。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10の吸収層4は、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、略等脚台形状であり、先端側(透明基板1の反対側)ほど幅が狭くなる方向に側面が傾斜した先細形状を有する。
本実施形態においては、吸収層4の最大幅は、吸収層4において透明基板1側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最大幅と略同一である。
また、吸収層4の最小幅は、吸収層4において透明基板1とは反対側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最小幅より小さい。
吸収層の構成材料としては、金属材料や半導体材料等の光学定数の消衰定数が零でない、光吸収作用を持つ物質の1種以上が挙げられ、適用される光の波長範囲によって適宜選択される。金属材料としては、Ta、Al、Ag、Cu、Au、Mo、Cr、Ti、W、Ni、Fe、Sn等の元素単体、又はこれらの1種以上の元素を含む合金が挙げられる。また、半導体材料としては、Si、Ge、Te、ZnO、シリサイド材料(β-FeSi、MgSi、NiSi、BaSi、CrSi、CoSi、TaSi等)が挙げられる。これらの材料を用いることにより、偏光板10は、適用される可視光域に対して高い消光比が得られる。中でも、吸収層は、Fe又はTaを含むとともに、Siを含んで構成されることが好ましい。
吸収層として半導体材料を用いる場合には、吸収作用に半導体のバンドギャップエネルギーが関与するため、バンドギャップエネルギーが使用帯域以下であることが必要である。例えば、可視光で使用する場合、波長400nm以上での吸収、即ち、バンドギャップとしては3.1ev以下の材料を使用する必要がある。
吸収層の膜厚は、特に制限されず、例えば、10nm~100nmが好ましい。この吸収層4の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
なお、吸収層は、蒸着法やスパッタ法により、高密度の膜として形成可能である。また、吸収層は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
吸収層の最大幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、35nm~45nmの範囲であることが好ましい。また、吸収層の最大幅は、吸収層の下層に位置する、例えば第1の誘電体層の幅と略同一であってもよい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
上述の通り、本発明においては、吸収軸であるY軸方向(所定方向)から見たとき、吸収層の最小幅は、上述の反射層及び第1の誘電体層の最小幅より小さい必要がある。本発明においてはこれにより、反射率特性の制御に優れた偏光板を実現することができる。吸収層の最小幅は、例えば、吸収層の最大幅に対する割合が、100%よりも小さく、60~90%の範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
(拡散バリア層)
本発明の偏光板は、第1の誘電体層と吸収層との間に、拡散バリア層を有していてもよい。即ち図1に示される偏光板においては、格子状凸部6は、透明基板1側から順に、反射層2と、第1の誘電体層3と、拡散バリア層と、吸収層4と、を有する。拡散バリア層を有することにより、吸収層における光の拡散が防止される。この拡散バリア層は、Ta、W、Nb、Ti等の金属膜で構成することができる。
(保護膜)
また、本発明の偏光板は、光学特性の変化に影響を与えない範囲において、光の入射側の表面が、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。保護膜は、誘電体膜で構成され、例えば偏光板の表面(ワイヤグリッドが形成された面)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)を利用することにより形成可能である。これにより、金属膜に対する必要以上の酸化反応を抑制することができる。
(有機系撥水膜)
さらに、本発明の偏光板は、光の入射側の表面が、有機系撥水膜により覆われていてもよい。有機系撥水膜は、例えばパーフルオロデシルトリエトキシシラン(FDTS)等のフッ素系シラン化合物等で構成され、例えば上述のCVDやALDを利用することにより形成可能である。これにより、偏光板の耐湿性等の信頼性を向上できる。
なお、本発明は図1に示される上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良は、本発明に含まれる。
図9は、本発明の別の実施形態に係る偏光板30を示す断面模式図である。図9に示される偏光板30は、格子状凸部6において、図1に示される偏光板10の吸収層4の上に、第2の誘電体層5が形成されている以外は、図1に示される偏光板10と同一の構成である。
(第2の誘電体層)
図9に示される偏光板30の第2の誘電体層5は、吸収層上に、透明基板1の面方向に対して垂直に積層されており、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。また、図9に示される偏光板30においては、第2の誘電体層5の幅は、第1の誘電体層3の幅と同一となっている。
第2の誘電体層の膜厚、材料、屈折率、形状等については、上述した第1の誘電体層と同様である。
図9に示される実施形態においては、吸収層4の最大幅は、吸収層4において透明基板1側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最大幅と略同一である。
また、吸収層4の最小幅は、吸収層4において透明基板1とは反対側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最小幅より小さい。
図17は、本発明のまた別の実施形態に係る偏光板50を示す断面模式図である。図17に示される偏光板50は、格子状凸部6において、吸収層4の上に第2の誘電体層5を形成したものであり、吸収層4の形状が異なる以外は、図9に示される偏光板30と同一の構成である。
図17に示される偏光板50の吸収層4は、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、略等脚台形状であり、先端側(透明基板1の反対側)ほど幅が広くなる方向に側面が傾斜した先細形状を有する。
図17に示される実施形態においては、吸収層4の最大幅は、吸収層4において透明基板1とは反対側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最大幅と略同一である。
また、吸収層4の最小幅は、吸収層4において透明基板1側の最表面の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最小幅より小さい。
図18は、本発明のまた別の実施形態に係る偏光板60を示す断面模式図である。図18に示される偏光板60は、格子状凸部6において、吸収層4の上に第2の誘電体層5を形成したものであり、吸収層4の形状が異なる以外は、図9に示される偏光板30と同一の構成である。
図18に示される偏光板60の吸収層4は、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、膜厚方向の略中心が最小幅となり、第1の誘電体層及び第2の誘電体層と接する辺が最大幅となる形状である。
図18に示される実施形態においては、吸収層4の最大幅は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層と接する辺の長さとなり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最大幅と略同一である。
また、吸収層4の最小幅は、吸収層4において膜厚方向の略中心の幅となり、これは、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で矩形状の、反射層2及び第1の誘電体層3の最小幅より小さい。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板の製造方法は、反射層形成工程と、第1誘電体層形成工程と、吸収層形成工程と、エッチング工程と、を有する。
反射層形成工程では、透明基板の片面に反射層を形成する。第1誘電体層形成工程では、反射層形成工程で形成された反射層上に、第1の誘電体層を形成する。吸収層形成工程では、第1誘電体層形成工程で形成された第1の誘電体層上に、吸収層を形成する。これらの各層形成工程では、例えばスパッタ法や蒸着法により、各層を形成可能である。
エッチング工程では、上述の各層形成工程を経て形成された積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列される格子状凸部を形成する。具体的には、例えばフォトリソグラフィ法やナノインプリント法により、一次元格子状のマスクパターンを形成する。そして、上記積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列される格子状凸部を形成する。エッチング方法としては、例えば、エッチング対象に対応したエッチングガスを用いたドライエッチング法が挙げられる。
特に本発明においては、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせてバランスを変化させることにより、反射層と第1の誘電体層とは略同一の幅とし、吸収層の最小幅を前記反射層及び前記第1の誘電体層の最小幅より小さくする。
なお、本発明の偏光板の製造方法は、その表面を誘電体からなる保護膜で被覆する工程を有していてもよい。また、本発明の偏光板の製造方法は、その表面を有機系撥水膜で被覆する工程を有していてもよい。
[光学機器]
本発明の光学機器は、上述した本発明に係る偏光板を備える。本発明に係る偏光板は、種々の用途に利用することが可能である。適用できる光学機器としては、例えば、液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルカメラ等が挙げられる。特に、本発明に係る偏光板は耐熱性に優れる無機偏光板であるため、有機材料からなる有機偏光板に比べて、耐熱性が要求される液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ等の用途に好適に用いることができる。
本発明に係る光学機器が複数の偏光板を備える場合、複数の偏光板の少なくとも1つが本発明に係る偏光板であればよい。例えば、本実施形態に係る光学機器が液晶プロジェクタである場合、液晶パネルの入射側及び出射側に配置される偏光板の少なくとも一方が、本発明に係る偏光板であればよい。
以上説明した本発明の偏光板及びその製造方法、並びに光学機器によれば、次のような効果が奏される。
本発明に係る偏光板は、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備えるワイヤグリッド構造を有し、格子状凸部に、透明基板側から順に、反射層と、第1の誘電体層と、吸収層と、を備えさせ、前記の所定方向から見たときの、反射層、第1の誘電体層、及び吸収層の最小幅の関係を特定することにより、光吸収作用の波長範囲をシフトさせる効果を発現でき、その結果、反射率特性の制御に優れるものとなる。従って、本発明によれば、反射率特性の制御に優れた偏光板及びその製造方法、並びにその偏光板1を備える光学機器を提供できる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1及び比較例1>
[偏光板の作成]
実施例1では、図1に示す構造を有する偏光板10であって、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のそれぞれに最適化したものを作成し、それぞれをシミュレーションに供した。
また、比較例1として、実施例1の偏光板10とは吸収層3の構造のみが異なる偏光板20をそれぞれ作成し、シミュレーションに供した。比較例1となる偏光板20は、図2に示される構造であり、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、吸収層4の形状が矩形であり、反射層2及び第1の誘電体層3と略同一の幅となっている。
[シミュレーション方法]
偏光板10及び偏光板20の光学特性について、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法による電磁界シミュレーションにより検証した。シミュレーションには、Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverを用いた。
[シミュレーション結果]
図3は、緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図4は、青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図5は、赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図3~図5においては、横軸は波長λ(nm)を示しており、縦軸は吸収軸反射率(%)を示している。ここで、吸収軸反射率とは、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の反射率を意味する。また、図3~図5においては、破線で示されるグラフが、実施例1となる本発明の偏光板10の結果を表しており、実線で示されるグラフが、比較例1となる偏光板20の結果を表している。
図3~図5に示されるように、実施例1の偏光板10は比較例1の偏光板20と比較して、波形位置がシフトし、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のすべてにおいて、吸収軸反射率を低く抑えることができた。
図6は、緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図7は、青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、青色帯域(波長λ=430~510nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図8は、赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、偏光板10及び偏光板20について、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図6~図8においては、横軸は吸収層の体積を示しており、縦軸は吸収軸反射率(%)を示している。ここで、吸収軸反射率とは、上記同様に、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の反射率を意味する。図6~図8においては、吸収層の体積が100%となる点が、比較例1となる偏光板20の結果を表しており、体積が100%より小さくなる範囲が、実施例1となる本発明の偏光板10の結果を表している。
図6~図8に示されるように、実施例1の偏光板10は、吸収層の体積変化に伴って波形位置がシフトすることで、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のすべてにおいて、反射率特性の制御が可能となり、最適化できることが判る。
<実施例2及び比較例2>
[偏光板の作成]
実施例2では、図9に示す構造を有する偏光板30であって、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のそれぞれに最適化したものを作成し、それぞれをシミュレーションに供した。
また、比較例2として、実施例2の偏光板30とは吸収層3の構造のみが異なる偏光板40をそれぞれ作成し、シミュレーションに供した。比較例2となる偏光板40は、図10に示される構造であり、格子状凸部6の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、吸収層4の形状が矩形であり、反射層2及び第1の誘電体層3と略同一の幅となっている。
[シミュレーション方法]
偏光板30及び偏光板40の光学特性について、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法による電磁界シミュレーションにより検証した。シミュレーションには、Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverを用いた。
[シミュレーション結果]
図11は、緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図12は、青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図13は、赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、波長と吸収軸反射率との関係を検証した結果を示すグラフである。
図11~図13においては、横軸は波長λ(nm)を示しており、縦軸は吸収軸反射率(%)を示している。ここで、吸収軸反射率とは、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の反射率を意味する。また、図11~図13においては、破線で示されるグラフが、実施例2となる本発明の偏光板30の結果を表しており、実線で示されるグラフが、比較例2となる偏光板40の結果を表している。
図11~図13に示されるように、実施例2の偏光板30は比較例2の偏光板40と比較して、波形位置がシフトし、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のすべてにおいて、吸収軸反射率を低く抑えることができた。
図14は、緑色帯域(波長λ=520~590nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図15は、青色帯域(波長λ=430~510nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、青色帯域(波長λ=430~510nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図16は、赤色帯域(波長λ=600~680nm)に最適化された、偏光板30及び偏光板40について、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、吸収層の体積と吸収軸反射率との関係をシミュレーションにより検証した結果を示すグラフである。
図14~図16においては、横軸は吸収層の体積を示しており、縦軸は吸収軸反射率(%)を示している。ここで、吸収軸反射率とは、上記同様に、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の反射率を意味する。図14~図16においては、吸収層の体積が100%となる点が、比較例2となる偏光板40の結果を表しており、体積が100%より小さくなる範囲が、実施例2となる本発明の偏光板30の結果を表している。
図14~図16に示されるように、実施例2の偏光板30は、吸収層の体積変化に伴って波形位置がシフトすることで、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、青色帯域(波長λ=430~510nm)、及び赤色帯域(波長λ=600~680nm)のすべてにおいて、反射率特性の制御が可能となり、最適化できることが判る。
10、20、30、40、50、60 偏光板
1 透明基板
2 反射層
3 第1の誘電体層
4 吸収層
5 第2の誘電体層
6 格子状凸部
P 格子状凸部のピッチ
W 幅
L 光

Claims (11)

  1. ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、
    透明基板と、
    使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備え、
    前記格子状凸部は、前記透明基板側から順に、反射層と、第1の誘電体層と、吸収層と、第2の誘電体層と、を有し、
    前記所定方向から見たとき、前記反射層と前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層は、略矩形であり、略同一の幅を有しており、且つ、前記吸収層の最小幅は、前記反射層前記第1の誘電体層、及び前記第2の誘電体層の最小幅より小さく、前記吸収層の最大幅は、前記吸収層において、前記第1の誘電体層側の最表面の幅である偏光板。
  2. 前記吸収層の最小幅は、前記吸収層の最大幅に対して60~90%の範囲である、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記透明基板は、使用帯域の光の波長に対して透明であり、且つ、ガラス、水晶、又はサファイアで構成される請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記反射層は、アルミニウム、又はアルミニウム合金で構成される請求項1からいずれか記載の偏光板。
  5. 前記第1の誘電体層は、Si酸化物で構成される請求項1からいずれか記載の偏光板。
  6. 前記第2の誘電体層は、Si酸化物で構成される請求項に記載の偏光板。
  7. 前記吸収層は、Fe、又はTaを含むとともに、Siを含んで構成される請求項1からいずれかに記載の偏光板。
  8. 光が入射する前記偏光板の表面は、誘電体からなる保護膜により覆われている請求項1からいずれか記載の偏光板。
  9. 光が入射する前記偏光板の表面は、有機系撥水膜により覆われている請求項1からいずれか記載の偏光板。
  10. ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、
    透明基板の片面に反射層を形成する反射層形成工程と、
    前記反射層の前記透明基板とは反対面に第1の誘電体層を形成する第1誘電体層形成工程と、
    前記第1の誘電体層の前記反射層とは反対面に吸収層を形成する吸収層形成工程と、
    前記吸収層の前記第1の誘電体層とは反対面に第2の誘電体層を形成する第2誘電体層形成工程と、
    形成された積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列される格子状凸部を形成するエッチング工程と、を有し、
    前記エッチング工程では、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせることにより、前記格子状凸部の延在する所定方向から見たとき、すなわち前記所定方向に直交する断面視で、前記反射層と前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層とを、略矩形で略同一の幅とし、前記吸収層の最小幅を、前記反射層及び前記第1の誘電体層の最小幅より小さいものとし、前記吸収層の最大幅を、前記吸収層において、前記第1の誘電体層側の最表面の幅であるようにする、偏光板の製造方法。
  11. 請求項1からいずれか記載の偏光板を備える光学機器。
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