JP5996282B2 - モータ搭載自動車の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
エンジン車では、シリンダ内への燃料噴出量で制御するため、定出力制御となる(特許文献1〜3)。
車両の走行による消費エネルギーは、出力を効率で除した単位時間あたりの入力エネルギーを積分したものである。定出力制御では入力エネルギーそのものを制限するため、それ以上のエネルギーを消費することはなく、出力トルクは出力に比例し回転数に反比例する定出力曲線に従って決定される。そのため、走行抵抗が増大し車速が落ちて、回転数が下がれば出力トルクが増し、車速が上がり回転数が上がれば出力トルクが減る(図3参照)。
このため、電気自動車におけるトルク制御では、運転者は出力エネルギーを直接調整することが出来ず、不要な加速をして意図以上のエネルギーを消費する可能性があり、このため、省エネルギー性(電費向上)に最適化された制御であるとは言えない。
これらは、エンジンの燃焼効率の良い特性領域を使用した操作パターンや、車両速度脈動のような無駄の少ない操作パターンなどを制御器内に持ち、実際の操作をこの操作パターンに近づけるべく操作入力を補正・制限するものである。特許文献1〜3として示したものは、いずれもエンジンを走行駆動源とする車両を前提としたものであるが、エンジンとモータの違いのため、これらと同様の考え方をそのまま電気自動車にも適応することは困難である。例えば、モータのトルク制御の弱点である、運転者がアクセル開度などの入力で脈動を起こしやすい問題を解決するには至らないためである。
このように、定出力曲線Aに基づいた定出力制御を行うことで、消費エネルギーを直接制御し、モータ回転数の上昇に伴った出力トルクの減少を行うことで不要な加速を抑制し、省エネルギー性の高い制御を行うことができる。また、モータ回転数が上昇するにつれてトルクが減少することで脈動が抑えられ、省エネルギー性の指標である消費電力を制御量として直接制御する定出力制御により、モータ制御における脈動の問題点を解決することができる。
前記走行指令手段14は、アクセル操作手段の他に、オートクルーズ装置やオートパイロット装置等であっても良い。
自動で前記選択を行う場合、前記定められた条件として、例えば、定められた速度領域である低速域では前記トルク制御手段19の出力するトルク指令を選択し、中高速域では前記定出力制御手段18の出力するトルク指令を選択する条件を含んでも良い。
この発明における第2の発明のモータ搭載自動車の駆動力制御装置は、走行駆動源をモータ4とし、トルク指令に従って前記モータ4の電流制御を行うモータ駆動制御手段13を有する自動車の駆動力制御装置において、走行指令手段14から指令された目標指令値に対して、この目標指令値と回転数検出器17から得た前記モータ4の回転数とから、前記モータ4の出力トルクを定出力曲線Aに従って決定しトルク指令として前記モータ駆動制御手段13へ出力する定出力制御手段18と、
前記走行指令手段14から指令された目標指令値によって前記モータ4の出力トルクの上限値を決定しその決定した上限値をトルク指令として出力するトルク制御手段19と、
前記定出力制御手段18の出力するトルク指令と前記トルク制御手段19の出力するトルク指令とを定められた条件に従って選択して前記モータ駆動制御手段13へ入力する制御方法選択手段21と、を有し、
前記定められた条件として、前記走行指令手段14から指令された目標指令値の時間変化率が閾値よりも小さい場合は、前記定出力制御手段18の出力するトルク指令を選択する条件を含む。前記走行指令手段14から指令された目標指令値は、例えばアクセルペダル等の入力である。
定出力制御を採用することで、モータ回転数の上昇に伴って出力トルクを制限するため、アクセルペダル等のアクセル操作手段の入力に対する追従性が低下する場合がある。そこで、通常はトルク制御を使用し、アクセルペルなどの入力に対する追従性を必要としない場面や定出力制御による省エネルギー効果が高い場面では定出力制御を選択する制御方法選択手段21を用いることで、上記の問題を解決することができる。
アクセルペルなどの入力に対する追従性を必要としない場面とは、アクセル入力の時間変化率が小さく、アクセル入力が一定もしくは変化がゆるやかな場合や高速道路巡航時、周囲に他の走行車両が少ない場合などである。定出力制御による省エネルギー効果が高い場面とは、路面勾配変化の少ない走行場面や一定速度での巡航時や、下り坂や追い風条件など走行抵抗が小さい走行条件などである。
具体的に説明すると、従来型のエンジン車では、滑りの要素を含んだクラッチやトルクコンバータを備え、滑りによってスムーズな発進を実現するため、定出力制御が成立する。しかし、電気自動車に単純な定出力制御を導入した場合、機構上、発進時に滑りがない電気自動車では、微小な出力指令でモータ回転数が0に近い場合、定出力曲線Aに従うと出力トルクはモータ4の最大トルクとなり、発進時にギクシャク感が発生してしまう。
そこで、運転者の指示入力(アクセルペダルの踏み具合等)に対して、トルク制御と出力制御の両方を制限する制御方法を、前記トルク制御手段19と定出力制御手段18との切替によって実現する。この制御手法を用いると、低速域ではトルク制御が支配的となり、中高速域では出力制御が支配的となるように制御できる。そのため、これまでのトルク制御と同等のスムーズな発進・加速感と、巡航時の省エネルギー性を両立することができる。
定出力制御では、目標指令値を低く抑えることは、車両の消費エネルギーを低く抑えることと同義であるため、省エネルギーを目的とした目標指令値の補正・制限を行う手段を定出力制御手段18の上位に設けることで、より容易にかつ効果的に省エネルギー性を得ることができる。
この発明における第2の発明のモータ搭載自動車の駆動力制御装置は、走行駆動源をモータとし、トルク指令に従って前記モータの電流制御を行うモータ駆動制御手段を有する自動車の駆動力制御装置において、走行指令手段から指令された目標指令値に対して、この目標指令値と回転数検出器から得た前記モータの回転数とから、前記モータの出力トルクを定出力曲線に従って決定しトルク指令として前記モータ駆動制御手段へ出力する定出力制御手段と、前記走行指令手段から指令された目標指令値によって前記モータの出力トルクの上限値を決定しその決定した上限値をトルク指令として出力するトルク制御手段と、前記定出力制御手段の出力するトルク指令と前記トルク制御手段の出力するトルク指令とを定められた条件に従って選択して前記モータ駆動制御手段へ入力する制御方法選択手段と、を有し、前記定められた条件として、前記走行指令手段から指令された目標指令値の時間変化率が閾値よりも小さい場合は、前記定出力制御手段の出力するトルク指令を選択する条件を含むため、モータ搭載自動車において、運転車の意図以上のエネルギーの消費を抑え、省エネルギー性を向上させることができる。
前記回転数検出器17は、この実施形態ではモータ4の回転子(図示せず)の回転を検出するレゾルバ等であるが、モータ4の回転数が結果として検出できる手段であれば良く、車速を検出する手段、または車輪1の回転数を検出する手段であっても良い。
モータ駆動制御手段13は、このように与えられたトルク指令に従ってトルク制御によりモータ4を駆動する電流を定める。
すなわち、上記のように、電気自動車におけるトルク制御では、運転者は出力エネルギーを直接調整することが出来ず、不要な加速をして意図以上のエネルギーを消費する可能性があり、省エネルギー性に最適化された制御であるとは言えない。そこで、電気自動車に定出力制御を行う機能を持たせることで、運転者に違和感なく、省エネルギー性の高い制御を行うことができる。また、モータ回転数が上昇するにつれてトルクが減少することで脈動が抑えられ、省エネルギー性の指標である消費電力を制御量として直接制御する定出力制御により、モータ制御における脈動の問題点を解決することができる。
なお、定出力制御では、目標指令値を低く押さえることは、車両の消費エネルギーを低く抑えることと同義であるため、省エネルギーを目的とした目標指令値の補正・制限を行う演算装置を容易に構成することができる。
図8は、前記トルク制御手段19が行う具体的制御例を示すフローチャートである。前記走行指令手段14であるアクセル操作手段から指令された目標指令値となるアクセル開度を読み取り(ステップR1)、このアクセル開度を、定められた演算式によって、モータ4の出力トルクの上限値となる目標トルクに換算する(R2)。この換算した目標トルクに、フィルタ処理等の処理を施し(R3)、この処理後の目標トルクを、モータ駆動制御手段13に与える(R4)。このフィルタ処理は走行指令手段14の検出バラつきを抑制することを目的としており、代表例としては、移動平均フィルタや外れ値の除去を目的とした数値処理を行う。
モータ駆動制御手段13は、このように与えられたトルク指令に従ってモータ4をトルク制御駆動する電流を定める。
前記の定められた条件Cは、例えば、定められた速度領域である低速域では前記トルク制御手段19の出力するトルク指令を選択し、中高速域では前記定出力制御手段18の出力するトルク指令を選択する条件とされる。前記低速域と中高速域との境界となる速度は、任意に設定すれば良く、例を挙げると、40km/h程度とされる。
前記定められた条件Cは、この他に、前記走行指令手段14から指令された目標指令値の時間変化率が定められ閾値よりも小さい場合を含んでいても良い。
前記走行指令手段14から指令された目標指令値は、例えばアクセルペダル等の入力である。通常はトルク制御を使用し、アクセルペダルなどの入力に対する追従性を必要としない場面や定出力制御による省エネルギー効果が高い場面では定出力制御を選択する制御器選択装置を用いることで、上記の追従性低下の問題を解決することができる。アクセルペダルなどの入力に対する追従性を必要としない場面とは、アクセル入力の時間変化率が小さく、アクセル入力が一定もしくは変化がゆるやかな場合や高速道路巡航時、周囲に他の走行車両が少ない場合などである。定出力制御による省エネルギー効果が高い場面とは、路面勾配変化の少ない走行場面や一定速度での巡航時や、下り坂や追い風条件など走行抵抗が小さい走行条件などである。
段落[0014]で前述したとおり、出力制御は、モータ回転数が0に近い場合、微小な出力指令であっても、出力トルクはモータ4の最大トルクとなり、発進時にギクシャク感が発生してしまう。そこで、走行指令手段14からの目標指令値に対し、トルク制御手段19の出力と定出力制御手段18の出力を比較し、例えばセレクトローすることにより、低速域ではトルク制御が支配的となり、中高速域では出力制御が支配的とすることで、ギクシャク感なく、スムーズに発進することが出来る。
定出力制御では、目標指令値を低く抑えることは、車両の消費エネルギーを低く押えることと同義であるため、省エネルギーを目的とした目標指令値の補正・制限を行う手段を定出力制御手段の上位に設けることで、より容易にかつ効果的に省エネルギー性を得ることができる。
前記定出力制御18を採用することで、モータ回転数の上昇に伴って出力トルクを制限するため、アクセルペダルなどの入力に対する追従性は低下する場合があるが、目標指令値補正・制限演算装置24をする場合には、さらに追従性が低下する場合がある。
このため、目標指令値補正・制限演算装置24を設ける場合は、前記トルク制御手段19と制御方法選択手段21とを設け、トルク制御を選択できるようにすることが、より一層好ましい。
4…モータ
7…ECU
8…インバータ装置
13…モータ駆動制御手段
14…走行指令手段
15…ブレーキ操作手段
16…操舵操作手段
17…回転数検出器
18…定出力制御手段
19…トルク制御手段
21…制御方法選択手段
24…目標指令値補正・制限手段
A…定出力曲線
Claims (6)
- 走行駆動源をモータとし、トルク指令に従って前記モータの電流制御を行うモータ駆動制御手段を有する自動車の駆動力制御装置において、
走行指令手段から指令された目標指令値に対して、この目標指令値と回転数検出器から得た前記モータの回転数とから、前記モータの出力トルクを定出力曲線に従って決定しトルク指令として前記モータ駆動制御手段へ出力する定出力制御手段と、
前記走行指令手段から指令された目標指令値によって前記モータの出力トルクの上限値を決定しその決定した上限値をトルク指令として出力するトルク制御手段と、
前記定出力制御手段の出力するトルク指令と前記トルク制御手段の出力するトルク指令とを比較して低い方のトルク指令を選択して前記モータ駆動制御手段へ入力する制御方法選択手段とを有し、
前記制御方法選択手段は、定められた条件に従って前記選択を行うものであり、前記定められた条件として、前記走行指令手段から指令された目標指令値の時間変化率が閾値よりも小さい場合は、前記定出力制御手段の出力するトルク指令を選択する条件を含むことを特徴とするモータ搭載自動車の駆動力制御装置。 - 請求項1において、前記走行指令手段が運転者の操作によって指令を行うアクセル操作手段であるモータ搭載自動車の駆動力制御装置。
- 請求項1または請求項2において、前記回転数検出器が車速またはタイヤの回転数を検出する手段であるモータ搭載自動車の駆動力制御装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記定められた条件として、定められた速度領域である低速域では前記トルク制御手段の出力するトルク指令を選択し、中高速域では前記定出力制御手段の出力するトルク指令を選択する条件を含むモータ搭載自動車の駆動力制御装置。
- 走行駆動源をモータとし、トルク指令に従って前記モータの電流制御を行うモータ駆動制御手段を有する自動車の駆動力制御装置において、
走行指令手段から指令された目標指令値に対して、この目標指令値と回転数検出器から得た前記モータの回転数とから、前記モータの出力トルクを定出力曲線に従って決定しトルク指令として前記モータ駆動制御手段へ出力する定出力制御手段と、
前記走行指令手段から指令された目標指令値によって前記モータの出力トルクの上限値を決定しその決定した上限値をトルク指令として出力するトルク制御手段と、
前記定出力制御手段の出力するトルク指令と前記トルク制御手段の出力するトルク指令とを定められた条件に従って選択して前記モータ駆動制御手段へ入力する制御方法選択手段と、を有し、
前記定められた条件として、前記走行指令手段から指令された目標指令値の時間変化率が閾値よりも小さい場合は、前記定出力制御手段の出力するトルク指令を選択する条件を含むモータ搭載自動車の駆動力制御装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記走行指令手段から指令された目標指令値を、定められた条件に従って補正し前記定出力制御手段へ目標指令値として与える目標指令値補正・制限手段を備えたモータ搭載自動車の駆動力制御装置。
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