JP5995593B2 - 抗炎症剤 - Google Patents

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本発明は、抗炎症剤に関する。
炎症反応は、免疫担当細胞から分泌される炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインとのバランスが崩れることにより、惹き起こされる。また、このような炎症反応が持続することにより、自己免疫疾患などの疾患が引き起こされることが知られている。
前記炎症性サイトカインとしては、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−8(IL−8)などが知られており、前記炎症性サイトカインやそのmRNAの発現を抑制することで炎症を抑制できると考えられている。そこで、前記TNF−αの発現を抑制する成分として、例えば、シソ抽出液(非特許文献1参照)、ヒガンバナ科アルカロイドのリコリン及びリコリシジノール(非特許文献2参照)などが提案されている。また、前記IL−8の発現を抑制する成分として、例えば、ラマトロバン(特許文献1参照)などが提案されている。
前記抗炎症性サイトカインとしては、例えば、トランスフォーミング増殖因子−β1(TGF−β1)などが知られており、前記抗炎症性サイトカインやそのmRNAの発現を促進することで炎症を抑制できると考えられている。そこで、前記TGF−β1の発現を促進する成分として、例えば、ツバキの種子の脱脂粕の水性成分(特許文献2参照)などが提案されている。
一方、炎症性サイトカインや抗炎症性サイトカインは、上述したように、前記免疫担当細胞により分泌されるが、前記免疫担当細胞は、その半分以上が腸に集中している。そのため、腸内環境のバランスを整えることに有効な乳酸菌を用いて、腸管における炎症反応を抑制し、前記自己免疫疾患などの疾患を予防できる医薬品が求められている。
しかしながら、前記炎症反応に関与する、前記TNF−α発現抑制作用、前記IL−8mRNA発現抑制作用、及び前記TGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有し、腸管の炎症を抑制できる乳酸菌由来の抗炎症剤は未だ発見されておらず、そのような乳酸菌の発見が強く求められているのが現状である。
特開平11−322600号公報 特開2009−155317号公報
「炎症」1993年,Vol.13,No.4,p.337〜340 「薬学雑誌」2001年,Vol.121,No.2,p.167〜171
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有し、自己免疫疾患を抑制できる乳酸菌由来の抗炎症剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、乳酸菌であるラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)が、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有し、自己免疫疾患を抑制できる抗炎症剤となることを知見し、本発明を完成した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を含み、TNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用を有することを特徴とする抗炎症剤である。
<2> ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)が、受託番号FERM AP−21411である前記<1>に記載の抗炎症剤である。
本発明は、従来における問題を解決し、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有し、自己免疫疾患を抑制できる乳酸菌由来の抗炎症剤を提供することができる。
図1は、試験例1の試験結果を示す図である。 図2Aは、試験例2−1の試験結果を示す図である。 図2Bは、試験例2−2の試験結果を示す図である。 図3Aは、試験例3−1の試験結果を示す図である。 図3Bは、試験例3−2の試験結果を示す図である。 図3Cは、試験例3−2の試験結果を示す図である。 図3Dは、試験例3−2の試験結果を示す図である。
(抗炎症剤)
本発明の抗炎症剤は、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有するため、炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインとのバランスが良好に保たれ、腸管炎症等の自己免疫疾患などを治療乃至予防することができる。
(1)前記TNF−αは、炎症の初発から終息までの過程において重要な役割を担っており、その持続的かつ過剰な産生は、皮膚を含めた組織の障害を引き起こし、炎症性の疾患、例えば、接触性皮膚炎、乾癬、尋常性天疱瘡、肌荒れを伴う各種皮膚疾患の原因となり、炎症の悪化を惹き起こす。そのため、前記TNF−αの発現を抑制することにより、上述する炎症症状を緩和できると考えられている。
(2)前記IL−8は、炎症性サイトカインの刺激により、末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞等の種々の細胞から産生される白血球遊走因子である。前記IL−8の過剰な産生は、好中球の浸潤を伴う炎症疾患、関節リウマチ、痛風、喘息発作、クローン病などの疾患に関与することが知られている。そのため、前記IL−8のmRNA発現を抑制することにより、上述する疾患を緩和できると考えられている。
(3)前記TGF−β1は、炎症症状を抑制する働きをもつサイトカインであり、活性化マクロファージなどから産生される。また、前記TGF−β1mRNAの発現を促進することにより、細胞外基質蛋白が産生され、分解酵素を抑制して創傷治癒を促進することができると考えられている。
本発明の抗炎症剤は、ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<ラクトバシルス・プランタラム>
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22A−1株、22A−3株、22B−2株などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、TNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用に優れる点で、ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22A−3株が好ましい。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22A−1株、22A−3株、22B−2株は、本出願人らにより漬物から単離乃至同定された株であり、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22A−1株の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に2007年10月22日に国内寄託されており、受領番号は、FERM AP−21409、受託番号は、FERM P−21409である。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22A−3株の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に2007年10月22日に国内寄託されており、受領番号は、FERM AP−21411、受託番号は、FERM P−21411である。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の22B−2株の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に2007年10月22日に国内寄託されており、受領番号は、FERM AP−21410、受託番号は、FERM P−21410である。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)は、生菌体のみを使用してもよいし、死菌体のみを使用してもよいし、細胞壁画分のみを使用してもよいし、これらの混合物を使用してもよい。これらの中でも、TNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用に優れる点で、細胞壁画分のみが好ましい。
前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の前記抗炎症剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0001質量%〜100質量%が好ましい。
前記ラクトバシルス・プランタラムは、日常的に経口摂取することが可能であり、含有される前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の生菌体、死菌体、及び細胞壁画分のいずれも、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用を効果的に発揮させることができるので、この作用に基づいて、本発明の抗炎症剤の有効成分として利用可能である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理的食塩水(PBS)、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、アルコール類、色剤、水性成分、水、栄養剤、植物抽出物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸加水分解物、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸配糖体、コエンザイムQ10、プロポリス、ローヤルゼリー、ローヤルゼリー蛋白分解物、フコイダン、アロエ粉末、アロエ抽出物、ブルーベリー粉末、ブルーベリー抽出物、イソフラボン、ノニ粉末、ノニ抽出物、ニンニク粉末、ニンニク抽出物、ウコン粉末、ウコン抽出物、キトサン、グルコサミン、クロレラ粉末、クロレラ抽出物、カルニチン、マカ粉末、マカ抽出物、カシス粉末、カシス抽出物、ハナビラタケ粉末、ハナビラタケ抽出物、その他美容に有効であるとされる植物の粉末及び/又は抽出物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<用途>
本発明の抗炎症剤は、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用を有するため、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病等の自己免疫疾患を主体とした疾患に関する医薬品、並びにこれらの疾患に関する安全な予防薬として好適に用いることができる。
本発明の抗炎症剤は、消化管で消化されるようなものでないことが確認されているため、美容用飲食品、健康用飲食品等の飲食品として、幅広く用いることができる。
<使用形態>
本発明の抗炎症剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤;軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、及び浴用剤、頭髪化粧料等の外用剤などが挙げられる。
本発明の抗炎症剤の投与形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などが挙げられる。
本発明の抗炎症剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
<効果>
本発明の抗炎症剤は、優れたTNF−α発現抑制作用を有するため、TNF−α発現抑制剤としても好適に使用することができる。
本発明の抗炎症剤は、優れたIL−8mRNA発現抑制作用を有するため、IL−8mRNA発現抑制剤としても好適に使用することができる。
本発明の抗炎症剤は、優れたTGF−β1mRNA発現促進作用を有するため、TGF−β1mRNA発現促進剤としても好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
<ラクトバシルス・プランタラムの死菌体の調製>
ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum 22A−3株;受託番号:FERM AP−21411)を30℃嫌気的条件下で液体培地を用いて一晩培養した。培養後、遠心分離(条件:4℃、10,000×g、5分間)して、上清を捨て、PBSで3回洗浄することにより培地を取除いた。そして、寒天培地を用いて生菌体数を計測した。遠心分離で回収した菌体にUV殺菌灯を照射し菌を殺したものを、ラクトバシルス・プランタラムの死菌体とした。前記死菌体中における生菌体数を、寒天培地を用いて計測した。前記死菌体は使用するまで−80℃で冷凍保存した。なお、UV処理菌体の生菌数は、1×10CFU/mLであり、UV処理前と比較して1×10CFU/mL以上の菌数減少が確認された。
(調製例2)
<ラクトバシルス・プランタラムの生菌体の調製>
ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum 22A−3株;受託番号:FERM AP−21411)を30℃嫌気的条件下で液体培地を用いて一晩培養した。菌株の菌数と濁度との関係を示す検量線から、培養後の菌数を算出し、遠心分離(条件:4℃、10,000×g、5分間)して、上清を捨て、PBSで3回洗浄することにより培地を取除き、ラクトバシルス・プランタラムの生菌体とした。そして、寒天培地を用いて生菌体数を計測した。前記生菌体は使用するまで−80℃で冷凍保存した。
(調製例3)
<ラクトバシルス・プランタラムの細胞壁画分の調製>
ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum 22A−3株;受託番号:FERM AP−21411)を30℃嫌気的条件下で液体培地を用いて3日間培養した。培養後、遠心分離で菌体を回収し、PBSで2回洗浄した。45分間超音波粉砕を行い、自己分解酵素を失活させるため、15分間60℃で静置させた後、遠心分離(条件:4℃、1,000×g、10分間)した。そして、得られた上清を更に遠心分離(条件:4℃、16,000×g、30分間)して、得られた沈殿物を15分間UV照射して、ラクトバシルス・プランタラムの細胞壁画分(CW)とした。前記細胞壁画分は、使用するまで、−80℃で冷凍保存した。
(試験例1)
<TNF−α発現抑制作用試験(死菌体使用)>
実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築し、リポ多糖(LPS)を用いて炎症状態を誘導し、ラクトバシルス・プランタラムによって、炎症状態が抑制(TNF−α発現が抑制)されるかを試験した。以下、詳細に説明する。
まず、トランズウェル(12mm Transwell(登録商標)with 0.4μm Pore Polycarbonate Membrane Insert,Sterile(Product #3401)、コーニング社)のアピカル側にヒト由来の腸管上皮細胞(Caco−2)を配置し、バソラテラル側にマウス由来のマクロファージ細胞(RAW264.7)を配置して、実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築した。次に、トランズウェルのアピカル側にサンプル(調製例1の死菌体)を添加して、3時間培養した。培養後、リポ多糖(LPS)を用いて、マクロファージ細胞(RAW264.7)を刺激し、3時間培養して炎症状態を誘導した。そして、マクロファージ細胞(RAW264.7)からのTNF−α発現を、マウス由来の繊維芽細胞(L929細胞)を用いたバイオアッセイ(Tumor Necrosis Factor−α,Mouse,recombinant、和光純薬工業株式会社)により調べた。なお、ポジティブコントロールには、IBD治療薬のブデソニドを用いた。結果を図1に示す。
<結果>
図1より、ラクトバシルス・プランタラムの死菌体を用いると、TNF−αの発現量が有意に抑制されることがわかった。
(試験例2−1)
<IL−8mRNA発現抑制作用試験(死菌体使用)>
実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築し、リポ多糖(LPS)を用いて炎症状態を誘導し、ラクトバシルス・プランタラムによって、炎症状態が抑制(IL−8mRNA発現が抑制)されるかを試験した。以下、詳細に説明する。
まず、トランズウェル(12mm Transwell(登録商標)with 0.4μm Pore Polycarbonate Membrane Insert,Sterile (Product #3401)、コーニング社)のアピカル側にヒト由来の腸管上皮細胞(Caco−2)を配置し、バソラテラル側にマウス由来のマクロファージ細胞(RAW264.7)を配置して、実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築した。次に、トランズウェルのアピカル側にサンプル(調製例1の死菌体)を添加して、3時間培養した。培養後、リポ多糖(LPS)を用いて、マクロファージ細胞(RAW264.7)を刺激し、3時間培養して炎症状態を誘導した。そして、腸管上皮細胞(Caco−2)から、キット(セパゾールRNAI Super、ナカライテスク株式会社)を用いてtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法(PCR装置:Applied Biosystems 2720 Thermal Cycler、アプライドバイオシステムズ社;リアルタイムPCR装置:Applied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System、アプライドバイオシステムズ社;IL−8プライマー:TaqMan(登録商標)Gene Expression Assay,Hs00174103_m1、アプライドバイオシステムズ社)により、IL−8mRNAの発現量を測定した。なお、ポジティブコントロールには、IBD治療薬のブデソニドを用いた。結果を図2Aに示す。
<結果>
図2Aより、ラクトバシルス・プランタラムの死菌体を用いると、IL−8mRNAの発現量が有意に抑制されることがわかった。
(試験例2−2)
<IL−8mRNA発現抑制作用試験(細胞壁画分使用)>
試験例2−1において用いた〔調製例1の死菌体〕を〔調製例3の細胞壁画分〕に変更したこと以外は、試験例2−2と同様に試験した。結果を図2Bに示す。
<結果>
図2Bより、ラクトバシルス・プランタラムの細胞壁画分を用いると、IL−8mRNAの発現量が有意に抑制されることがわかった。
(試験例3−1)
<TGF−β1mRNA発現促進作用試験(細胞壁画分使用)>
実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築し、リポ多糖(LPS)を用いて炎症状態を誘導し、ラクトバシルス・プランタラムによって、炎症状態が抑制(TGF−β1mRNA発現が促進)されるかを試験した。以下、詳細に説明する。
まず、トランズウェル(12mm Transwell(登録商標)with 0.4μm Pore Polycarbonate Membrane Insert,Sterile(Product #3401)、コーニング社)のアピカル側にヒト由来の腸管上皮細胞(Caco−2)を配置し、バソラテラル側にマウス由来のマクロファージ細胞(RAW264.7)を配置して、実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築した。次に、トランズウェルのアピカル側にサンプル(調製例3の細胞壁画分)を添加して、3時間培養した。培養後、リポ多糖(LPS)を用いて、マクロファージ細胞(RAW264.7)を刺激し、3時間培養して炎症状態を誘導した。そして、腸管上皮細胞(Caco−2)から、キット(セパゾールRNAI Super、ナカライテスク株式会社)を用いてtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法(PCR装置:Applied Biosystems 2720 Thermal Cycler、アプライドバイオシステムズ社;リアルタイムPCR装置:Applied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System、アプライドバイオシステムズ社;TGF−β1プライマー:TaqMan(登録商標)Gene Expression Assay,Hs00998133_m1、アプライドバイオシステムズ社)により、TGF−β1mRNAの発現量を測定した。なお、コントロールは、調製例3の細胞壁画分を使用しなかったものを用いた。結果を図3Aに示す。
<結果>
図3Aより、ラクトバシルス・プランタラムの細胞壁画分を用いると、TGF−β1mRNAの発現量が有意に促進されることがわかった。
(試験例3−2)
<TGF−β1mRNA発現促進作用試験(細胞壁画分使用)>
実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築し、ラクトバシルス・プランタラムによるTGF−β1mRNAの発現量の経時的変化をリアルタイムPCR法により試験した。以下、詳細に説明する。
まず、トランズウェル(12mm Transwell(登録商標)with 0.4μm Pore Polycarbonate Membrane Insert,Sterile(Product #3401)、コーニング社)のアピカル側にヒト由来の腸管上皮細胞(Caco−2)を配置し、バソラテラル側にマウス由来のマクロファージ細胞(RAW264.7)を配置して、実際の腸管状態を模したin vitroモデルを構築した。そして、腸管上皮細胞(Caco−2)からtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いてTGF−β1mRNAの発現量を測定した。次に、トランズウェルのアピカル側で分化させた腸管上皮細胞(Caco−2)に、サンプル(調製例3の細胞壁画分)を添加して、6時間後、9時間後、20時間後に、腸管上皮細胞(Caco−2)から、キット(セパゾールRNAI Super、ナカライテスク株式会社)を用いてtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法(PCR装置:Applied Biosystems 2720 Thermal Cycler、アプライドバイオシステムズ社;リアルタイムPCR装置:Applied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System、アプライドバイオシステムズ社;TGF−β1プライマー:TaqMan(登録商標)Gene Expression Assay, Hs00998133_m1、アプライドバイオシステムズ社)により各時間経過後におけるTGF−β1mRNAの発現量の経時的変化を測定した。なお、コントロールは、調製例3の細胞壁画分を使用しなかったものを用いた。結果を図3B〜図3Dに示す。
<結果>
図3B〜図3Dより、ラクトバシルス・プランタラムの細胞壁画分を添加すると、TGF−β1mRNAの発現量が経時的に有意に促進されることがわかった。
以上より、ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)が、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有することがわかった。また、前記ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を有効成分とすることにより、自己免疫疾患を抑制できる抗炎症剤として利用できることが示唆された。
FERM −21409
FERM −21411
FERM −21410
本発明は、優れたTNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用のいずれの作用をも有し、自己免疫疾患を抑制できる乳酸菌由来の抗炎症剤であるため、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病等の自己免疫疾患を主体とした疾患に関する医薬品及びこれらの疾患に関する安全な予防薬として、幅広く用いることができる。

Claims (2)

  1. ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum受託番号FERM P−21411を含み、TNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用を有することを特徴とする抗炎症剤。
  2. ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)受託番号FERM P−21411の細胞壁画分を含み、TNF−α発現抑制作用、IL−8mRNA発現抑制作用、及びTGF−β1mRNA発現促進作用を有することを特徴とする抗炎症剤。
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