JP5995234B2 - ダイオード、電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタ - Google Patents

ダイオード、電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタ Download PDF

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Description

この発明はダイオード、電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタに関する。この発明は、より詳細には、例えば、整流用ダイオードに用いて好適なショットキーバリアダイオード、このショットキーバリアダイオードを整流用ダイオードに用いた電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタならびに発光ダイオードに関する。
マイクロ波整流回路では、マイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードの性能が高周波(RF)/直流(DC)変換効率を大きく左右する。ここで、整流用ダイオードの性能とは、順方向導通状態での抵抗(オン抵抗)が低いこと、逆方向遮断状態での容量(オフ容量)が低いこと、逆方向で高耐圧であること、である。
従来、マイクロ波整流回路の整流用ダイオードとしては、ショットキーバリアダイオードが多く用いられている。このショットキーバリアダイオードは、低周波大電力用の用途ほどには流す電流が大きくないので縦型では無く、集積回路のように同一面にアノード電極およびカソード電極が形成される横型である。また、特に、破壊電界の高いGaNを用いたショットキーバリアダイオードは、GaNの成長が可能な良好なn型基板ができないため異種基板上に作製されることから、横型にならざるを得ない。また、寄生容量が問題となるため、このショットキーバリアダイオードは絶縁基板上に作られることが多い。
図26に、整流用ダイオードとして用いられている従来のフィンガー型(ストライプ型)ショットキーバリアダイオードの一例を示す(例えば、非特許文献1参照。)。図26に示すように、このフィンガー型ショットキーバリアダイオードにおいては、絶縁基板101上にアクセス層102が積層され、その上にフィンガー形状の活性層103が積層されている。この活性層103上にフィンガー形状のアノード電極104がショットキー接触している。活性層103の両側の部分のアクセス層102上にフィンガー形状のカソード電極105がオーミック接触している。図27に、アノード電極104およびカソード電極105のパターンの一例を示す。
K. Takahashi, J-P Ao, Y. Ikawa, C-Y Hu, H. Kawai, N. Shinohara, N. Niwa, and Y. Ohno : GaN Schottky Diodes for Microwave Power Rectification, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, No.4, 04C095, 2009 大野泰夫「共振器結合による無線インタコネクション技術」、電子情報通信学会誌 Vol.94,No.12 pp.1046-1049,2011 Kenji Harauchi, Yuichi Iwasaki, Mami Abe, Jin-Ping Ao, Naoki Shinohara, Hiroshi Tonomura and Yasuo Ohno,"Power Transmission through Insulating Plate Using Open-Ring Resonator Coupling and GaN Schottky Diode," IMWS-IWPT 2011, May 12-13, 2011−Uji(Kyoto),Japan,IWPT2-2(2011)
図26に示す従来のフィンガー型ショットキーバリアダイオードにおいては、アノード電極104近傍の、整流特性に重要な役割を果たす活性層103とは別に、カソード電極105から活性層103までのアクセス領域、すなわちアクセス層102が存在し、その抵抗がオン抵抗を増加させるという問題がある。オン抵抗に寄与する抵抗のうち活性層103の部分の抵抗は、使用する周波数や耐圧との関係で自由に決めることはできないが、オン抵抗の低減を図るためにはアクセス層102の抵抗はできるだけ小さくすることが望ましい。また、耐圧を上げるためには、寄生容量を低く保つ必要から、フィールドプレートなどの、容量が増えるような高耐圧化構造は使えない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、アノード電極およびカソード電極が同一面に存在する横型構造でも、オン抵抗の低減を図ることができ、しかもフィールドプレート構造を用いなくとも高耐圧化を図ることができ、周波数特性が良好なショットキーバリアダイオードなどのダイオードを提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の優れたダイオードを整流用ダイオードとして用いた高性能の電力伝送システムを提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の優れたダイオードを整流用ダイオードとして用いた高性能の電源線用無線接続コネクタを提供することである。
上記課題および他の課題は、添付図面を参照した本明細書の記述によって明らかとなるであろう。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その検討結果について説明すると下記の通りである。
既に述べたように、マイクロ波の整流用ダイオードは、逆方向耐圧、オン抵抗、オフ容量が重要な性能指標である。逆方向耐圧が指定されれば、単純な1次元ポテンシャル分布理論でドナー濃度、半導体層の厚さが決まり、アノード電極単位面積あたりのオン抵抗、オフ容量は決定する。但し、以上はダイオード活性部の話であり、実際には活性層とカソード電極との間のアクセス層による抵抗(アクセス抵抗)が加わる。アクセス抵抗は出来るだけ小さいことが望ましい。
絶縁基板上にダイオードを構成する半導体層を形成し、アノード電極およびカソード電極を表面から取り出すタイプのダイオードでは、アノード電極を最上面に置き、カソード電極は、低抵抗のアクセス層を横側に引き出し、アノード電極から離れた位置でこのアクセス層にコンタクトさせる。この場合、アクセス層のうち横に引き出す部分の抵抗は寄生抵抗となる。
本発明者は、絶縁基板上のダイオードのアクセス部での寄生抵抗増大を抑制するためには、アノード電極を複数に分割することにより全体としてアノード電極の周囲長を増やすこと、および、同心円状の電極間で内側電極が小さい場合の広がり抵抗による抵抗の低減を利用することが有効であると考えた。
今、ダイオードの電気的仕様から決められたアノード電極の面積をSとする。このアノード電極の周囲に距離bを置いてカソード電極がこのアノード電極を囲むように置かれ、その間をシート抵抗rS のn+ 層で接続した場合のアクセス抵抗を計算する。
図1に示すように、アノード電極Aが円形であり、その周りを取り囲むようにカソード電極Bが形成された構造のアクセス抵抗を計算すると
Figure 0005995234
となる。ただし、aはアノード電極Aの半径、bはアノード電極Aとカソード電極Bとの間の距離(アノード−カソード間距離)である。
アクセス抵抗低減のためには、図26に示すように、フィンガー型(ストライプ型)のアノード電極がよく用いられる。フィンガー型では、アクセス抵抗を減らすためにフィンガー幅を製造技術上あるいはデバイス動作上の最小線幅を用いて周囲長を大きく取るようにする。フィンガー型のもともとの目的は、アノード電極端から離れた活性層へのアクセス抵抗の低減であるが、製造技術上の目合わせ(アライメント)工程の関係でアノード電極とカソード電極との間の距離がアノード電極内部のアクセス部の距離より数倍大きくなるので、以下ではアノード電極、カソード電極間のアクセス層の抵抗で議論する。
フィンガー数はマスク設計で任意に変えられるが、通常はアノード電極を正方形と仮定して、それをストライプ状に分割する。そこで、1フィンガー長Lは
Figure 0005995234
とする。線幅を2aとするとフィンガー数nは
Figure 0005995234
となる。伝導度GF
Figure 0005995234
となる。ここで、フィンガー端部では広がり抵抗も考慮している。
一方、同じ面積のアノード電極を多数の円形に分割する場合は、アノード電極の半径をaとして分割数nはn=S/πa2 であり、伝導度GD
Figure 0005995234
となる。いずれも、2aがアノード電極の最小パターン寸法(フィンガー型では太さ、ドット型では直径)であり、bはアノード−カソード間距離で、代表的にはa=1μm、b=4μm程度である。
図2は最小パターン寸法2aを元に分割数を計算し、フィンガー型およびドット型のアクセス抵抗を比較した図である。アノード電極の総面積は104 μm2 、アノード−カソード間距離bは4μm一定、シート抵抗rS は25Ωとしている。また、比較のために、図2にはb=0.04μmとした場合も載せている。ドット型はいずれの場合も円形であるが、フィンガー型では総面積を正方形とした場合の1辺の長さをフィンガー長とし、分割数を変えて幅を変えている。
図2から判るように、最小パターン寸法が小さくなれば、分割数が増え、アノード電極の周囲長が増大し、アクセス抵抗は周囲長に逆比例するのでその分低下する。アノード−カソード間距離bが最小パターン寸法より十分小さい場合は、広がり抵抗効果は無いので、分割数に逆比例して減少する。ドット型の場合は分割数は最小パターン寸法の2乗に逆比例して増えるので、周囲長はストライプ型の横のエッジに縦のエッジが加わり、それだけで周囲長が2倍程度になり、アクセス抵抗も半分程度になる。さらに、アノード−カソード間距離bが4μmの場合、最小パターン寸法がその大きさを切るとドット型の抵抗減少率は大きくなり、最小パターン寸法が2μmでは1/4となる。このように、ドット型を採用すると、とりわけ最小パターン寸法が小さいところで従来法のフィンガー型より大幅に低いアクセス抵抗を実現することができる。
さらに、コンタクト抵抗についても同様な効果がある。ショットキーバリアダイオードで問題となるコンタクト抵抗は、低抵抗オーミック抵抗であるカソード電極のコンタクト抵抗である。このコンタクト抵抗の値をrC [Ωmm]とする。このコンタクト抵抗rC はカソード電極の周囲長に逆比例するが、アノード−カソード間距離が最小パターン寸法より大きい場合は、カソード電極の幅はアノード電極の幅より大きくなるので、低抵抗化が起こる。
フィンガー型のコンタクト伝導度は
Figure 0005995234
となる。
一方、ドット型の場合は、アノード電極の半径をaとして分割数nはn=S/πa2 であり、伝導度は
Figure 0005995234
となる。コンタクト抵抗rC を0.2Ωmmとした場合の分割に応じた最小パターン寸法とコンタクト抵抗との関係を図3に示す。図3より、アクセス抵抗と同様に、アノード−カソード間距離に対し、最小パターン寸法が小さい場合には、ドット型は従来法のフィンガー型より急速にコンタクト抵抗が下がることが判る。
アクセス抵抗を下げるためにフィンガータイプのダイオードが報告されているが、通常はアノード−カソード間は目合わせマージンが必要なためフィンガー幅やドット径などのパターン寸法よりは大きくなり、このような場合はアノード電極を細かく分割し、広がり抵抗の効果を利用することでアクセス抵抗とコンタクト抵抗共に大幅に低減できる。
広がり抵抗を利用するためには、アノード電極を出来るだけ細かく分割することが重要で、そのためには、縦横とも最小パターン寸法の正方形や円形が望ましい。図4に示すように、アノード電極Aが、陸上トラックのように長方形部およびその両端の半円形部からなる形状を有すると仮定する。ここで、アノード電極Aの半円形部の半径をa、アノード−カソード間距離をb、長方形部の長さをdとする。今、アノード電極の最も離れた2点間の距離とその2点を結ぶ直線に垂直な方向で最も太い幅の比をアノード電極の縦横比と定義する。図4に示す形状を有するアノード電極Aの縦横比は(2a+d)/2aになる。アノード電極Aの半円形部の半径を1μmとし、アノード電極Aが縦横比無限大の完全なフィンガー型である場合のアクセス抵抗に対するアクセス抵抗の比、すなわち規格化抵抗を上記の半円形部に広がり抵抗を仮定し、アノード−カソード間距離bを変えて計算した結果を図5に示す。図5において、縦横比1はアノード電極Aが真円の形状を有する場合であり、この場合の規格化抵抗は、図2におけるフィンガー型に対する円形の場合の抵抗比に対応する。図5に示すように、アノード−カソード間距離b=0であっても分割による周囲長の増大で抵抗は低減するが、縦横比が1よりも大きければ分割数が減るので周囲長の増大の効果は減り、抵抗減少の効果も減少する。図5から判るように、b=0の場合には、縦横比1の真円では50%抵抗が低減するのに対し、縦横比5では減少量は15%となる。図5で仮定した半円形部の半径1μmはフィンガー太さで2μmであり、これが最小パターン寸法に対応するとすれば、bは通常2〜4μmである。その場合の規格化抵抗も図5に示した。b=4μmの場合、縦横比1の真円で80%の抵抗低減が縦横比5では40%の抵抗低減に減少する。このことから、アノード電極の形状が真円である場合に近い効果を得るためには、アノード電極の縦横比はほぼ5以下であることが必要であり、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましいことが判る。
この発明は、本発明者による上記の独自の検討の結果、案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、この発明は、
半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有することを特徴とするダイオードである。
典型的には、分割された各アノード電極を囲むカソード電極は一体に形成されている。分割された各アノード電極の平面形状は必要に応じて選ばれるが、典型的にはドット状の形状を有し、円形や正方形などである。典型的には、カソード電極は、分割された各アノード電極を少なくとも一部、好適にはほぼ全部あるいは全部を囲むように設けられる。分割された各アノード電極の配置は特に限定されないが、例えば、分割された各アノード電極をマトリクス状に縦横に配置してもよいし、一列に配置してもよい。ダイオードは、基本的にはどのようなものであってもよいが、典型的には、ショットキーバリアダイオード(SBD)である。ダイオードは、発光ダイオード(LED)であってもよい。
ダイオードを構成する半導体層は、例えば、第1の半導体層と、第1の半導体層上に積層された第2の半導体層とを有し、この場合、第1の半導体層のシート抵抗は第2の半導体層のシート抵抗より低く、第2の半導体層上にアノード電極が設けられる。
第1の半導体層および第2の半導体層を構成する半導体は特に限定されず、従来公知の半導体の中から必要に応じて選ばれる。また、第1の半導体層および第2の半導体層の平面形状や厚さなどは必要に応じて選ばれる。
アノード電極と第2の半導体層との界面付近では種々の理由により耐圧が低下しやすいことから、耐圧の向上を図るために、例えば第2の半導体層がn型半導体層からなる場合には、好適には、このn型半導体層上にアノード電極に対して自己整合的に負電荷層が設けられる。負電荷層は、例えば、p型不純物のドーピング層である。あるいは、第1の半導体層および第2の半導体層がGaN系半導体からなる場合には、次のようにすることにより、p型不純物のドーピングによらず、自発分極またはピエゾ効果により負電荷層を形成することができる。例えば、第2の半導体層をGa極性を有するc面n型六方晶GaN層により構成し、このc面n型六方晶GaN層上にアノード電極に対して自己整合的にInGaN層を設ける。あるいは、第2の半導体層を窒素(N)極性を有するc面n型六方晶GaN層により構成し、このc面n型六方晶GaN層上にアノード電極に対して自己整合的にAlGaN層を設ける。
ダイオードを構成する半導体層はまた、例えば、第3の半導体層と、第3の半導体層上に積層された第4の半導体層とを有することもあり、この場合、第3の半導体層と第4の半導体層とのヘテロ界面の近傍の第3の半導体層に2次元電子ガスが形成され、分割された各アノード電極は第3の半導体層および第4の半導体層に設けられた穴に埋め込まれる。第3の半導体層および第4の半導体層を構成する半導体は、第3の半導体層と第4の半導体層とによりヘテロ接合が形成され、第3の半導体層と第4の半導体層とのヘテロ界面の近傍の第3の半導体層に2次元電子ガスが形成される限り、特に限定されず、従来公知の半導体の中から必要に応じて選ばれる。例えば、典型的な一例を挙げると、第3の半導体層はi型GaN層またはn型GaN層、第4の半導体層はAlGaN層であるが、これに限定されるものではない。
また、この発明は、
マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
前記整流用ダイオードが、
半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有するショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電力伝送システムである。
この電力伝送システムの適用範囲は特に限定されず、例えば、電力が必要な機器、建造物(戸建て住宅、マンション、ビル、駅舎など)、移動体(自動車、自動二輪車、自転車、電車、列車、船舶、航空機など)に電力伝送を行うものを含む。
また、この発明は、
マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
前記整流用ダイオードが、
半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有するショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電源線用無線接続コネクタである。
この電源線用無線接続コネクタの適用範囲は特に限定されず、例えば、電力が必要な機器、建造物(戸建て住宅、マンション、ビル、駅舎など)、移動体(自動車、自動二輪車、自転車、電車、列車、船舶、航空機など)に電源を供給するものを含む。
上記の電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタの各発明においては、その性質に反しない限り、上記のダイオードの発明に関連して説明したことが成立する。
上記の各発明においては、ダイオードのアノード電極およびカソード電極は半導体層の片側に設けられているが、以下の発明のようにアノード電極およびカソード電極は半導体層の両面にそれぞれ設けてもよく、この場合も上記の各発明と同様な利点を得ることができる。以下の発明においては、その性質に反しない限り、上記の各発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
半導体層の両面にそれぞれ設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有することを特徴とするダイオードである。
また、この発明は、
マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
前記整流用ダイオードが、
半導体層の両面にそれぞれ設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有するショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電力伝送システムである。
また、この発明は、
マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
前記整流用ダイオードが、
半導体層の両面にそれぞれ設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
前記アノード電極は複数に分割され、
分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有するショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電源線用無線接続コネクタである。
この発明によれば、アノード電極が複数に分割され、分割された各アノード電極は金属配線で相互に接続され、分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有することにより、アノード電極およびカソード電極が同一面に存在する横型構造でも、オン抵抗の低減を図ることができ、しかもフィールドプレート構造を用いなくとも高耐圧化を図ることができ、周波数特性が良好なショットキーバリアダイオードなどのダイオードを実現することができる。そして、この優れたダイオード、とりわけショットキーバリアダイオードをマイクロ波整流回路の整流用ダイオードに用いることにより、高性能の電力伝送システムおよび電源線用無線接続コネクタを実現することができる。
本発明者が検討を行った円形のアノード電極およびその周りを囲むカソード電極を示す平面図である。 図1に示すアノード電極およびカソード電極を用いた場合の最小パターン寸法とアクセス抵抗との関係を示す略線図である。 図1に示すアノード電極およびカソード電極を用いた場合の最小パターン寸法とコンタクト抵抗との関係を示す略線図である。 本発明者がアノード電極の形状の検討に用いたモデルを示す平面図である。 図4に示すアノード電極を用いた場合のアノード電極の縦横比と規格化抵抗との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを示す平面図である。 図1のX−X’線に沿っての断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードの各ダイオード部における抵抗分布を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを示す平面図および断面図である。 この発明の第3の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを示す断面図である。 この発明の第4の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムの構成を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムにおいて用いられるオープンリング共振器を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムにおいて用いられるオープンリング共振器を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムにおいて用いられるオープンリング共振器の特性を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムの具体例を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムの具体例で用いられるマイクロ波整流回路の一例を示す略線図である。 この発明の第6の実施の形態による電源線用無線接続コネクタを示す略線図である。 この発明の第6の実施の形態による電源線用無線接続コネクタの受電回路のマイクロ波整流回路の一例を示す略線図である。 この発明の第6の実施の形態による電源線用無線接続コネクタの受電回路のマイクロ波整流回路の他の例を示す略線図である。 この発明の第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを示す平面図および断面図である。 この発明の第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードに関して本発明者がアノード電極の形状の検討に用いたモデルを示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおける最小パターン寸法とアクセス抵抗との関係を示す略線図である。 この発明の第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおけるアノード電極の縦横比と規格化抵抗との関係を示す略線図である。 この発明の第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいてボンディングパッドを設ける方法を説明するための断面図である。 従来のフィンガー型ショットキーバリアダイオードを示す略線図である。 図26に示す従来のフィンガー型ショットキーバリアダイオードのアノード電極およびカソード電極のパターンの一例を示す平面図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
〈第1の実施の形態〉
[マルチドット型ショットキーバリアダイオード]
第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを図6および図7に示す。ここで、図6は平面図、図7は図6のX−X’線に沿っての断面図である。
図6および図7に示すように、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、絶縁基板11上にアクセス層12および活性層13が順次積層されている。アクセス層12の上部および活性層13はメサ形状を有し、この構造がマトリクス状に縦横に複数設けられている。各活性層13の平面形状は特に限定されないが、例えば、円形、多角形(正方形など)、楕円あるいはそれらを変形した形状である。図6においては、各活性層13の平面形状が円形である場合が示されている。各活性層13上に所定の平面形状を有するドット状のアノード電極14が設けられ、各活性層13にショットキー接触している。ここで、各アノード電極14は、本来は一つのアノード電極が複数に分割されたものである。分割された各アノード電極14の平面形状は特に限定されないが、例えば、円形、多角形(正方形など)、楕円あるいはそれらを変形した形状である。図6においては、各アノード電極14の平面形状が円形である場合が示されている。各活性層13の外周部から側面および各活性層13の間の部分のアクセス層12上に延在してカソード電極15が設けられ、アクセス層12にオーミック接触している。カソード電極15は、各アノード電極14を含む大きさの開口15aを有し、平面的に見て各アノード電極14を囲むように設けられている。図示は省略するが、活性層13の境界は開口15aの内側でも外側でも構わない。各アノード電極14間は金属配線であるエアブリッジ配線16により接続されている。一列の各アノード電極14間を接続する各エアブリッジ配線16はその一端で互いに接続されていて全体としてくし形をなし、したがって全てのアノード電極14間はエアブリッジ配線16により互いに接続されている。エアブリッジ配線16は、例えば金メッキからなる。
既に述べたように、この場合、分割された各アノード電極14は縦横比が5以下の形状を有する。各アノード電極14の大きさ(最大寸法)は特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、例えば、1μm以上10μm以下である。
絶縁基板11は、特に限定されず、必要に応じて選ぶことができるが、例えば、サファイア基板、半絶縁性SiC基板、半絶縁性GaAs基板などである。
アクセス層12および活性層13を構成する半導体は、特に限定されないが、例えば、GaN系半導体(AlGaN、GaN、GaInNなど)、GaAs系半導体(AlGaAs、GaAsなど)、AlGaInP系半導体(AlGaInP、GaInPなど)、ZnSe系半導体(ZnMgSSe、ZnSSe、ZnCdSeなど)、ZnO系半導体、SiC系半導体などである。
アクセス層12は、アクセス抵抗の低減を図るため、好適には、ドナー濃度が十分に高い低抵抗のn+ 型半導体からなる。活性層13は、アノード電極14がショットキー接触することができるものであり、典型的にはn型半導体からなり、そのドナー濃度は所望のダイオード特性によって決まる。
アノード電極14は、活性層13とショットキー接触することができるショットキー金属からなる。ショットキー金属は、活性層13を構成する半導体に応じて、従来公知のものの中から適宜選ばれる。
カソード電極15は、アクセス層12とオーミック接触することができるオーミック金属からなる。オーミック金属は、アクセス層12を構成する半導体に応じて、従来公知のものの中から適宜選ばれる。
図8にこのマルチドット型ショットキーバリアダイオードの各ダイオード部における抵抗分布を示す。図8に示すように、抵抗は、活性層13の真性部の抵抗RINT 、アクセス層12のアクセス抵抗R1 およびアクセス層12とカソード電極15との間のコンタクト抵抗rC (単位Ωmm)からなる。アクセス層12は一般的には高ドナー濃度で低抵抗に形成されるが、余り厚くすることは成長技術的にも難しく、またこの上に形成されるアノード電極14やカソード電極15のボンディングパッド(図示せず)をエッチングなどで分断する必要があるので、厚さはせいぜい数μmである。そこで、その抵抗はシート抵抗rS (単位Ω)で与えられるとする。
[マルチドット型ショットキーバリアダイオードの製造方法]
このマルチドット型ショットキーバリアダイオードの製造方法について説明する。
まず、所定の成長基板上にアクセス層12および活性層13を順次エピタキシャル成長させる。成長基板はアクセス層12および活性層13を構成する半導体に応じて選ばれ、絶縁基板11そのものを用いてもよい。エピタキシャル成長方法としては、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などを用いることができる。成長温度は、アクセス層12および活性層13を構成する半導体に応じて適宜選ばれる。
次に、リソグラフィーにより、活性層13上に所定部分が開口したレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより活性層13およびアクセス層12の上部を所定の形状にパターニングする。この後、レジストパターンを除去する。
次に、リソグラフィーにより、所定部分が開口したレジストパターンを形成した後、真空蒸着法などにより全面にオーミック金属を堆積させる。次に、リフトオフ法により、レジストパターンをその上に堆積したオーミック金属膜とともに除去する。こうして、アクセス層12に接触してオーミック金属からなるカソード電極15が形成される。この後、必要に応じて、アニールを行うことによりカソード電極15のオーミック接触特性を改善する。
次に、リソグラフィーにより、活性層13の中央部に対応する部分が開口した所定の平面形状を有するレジストパターンを形成した後、真空蒸着法などにより全面にショットキー金属を堆積させる。次に、レジストパターンをその上に堆積したショットキー金属膜とともに除去する。こうして、活性層13上にショットキー金属からなるドット形状のアノード電極14が形成される。
次に、従来公知の方法により、一列の各ダイオード部のアノード電極14間を接続するように金属配線であるエアブリッジ配線16を形成する。
以上により、図6および図7に示すような目的とするマルチドット型ショットキーバリアダイオードが製造される。
マルチドット型ショットキーバリアダイオードの一例として、GaN系半導体を用いたマルチドット型ショットキーバリアダイオードの製造方法を具体的に説明する。
c面サファイア基板やSiC基板などの成長基板上に、MOCVD法により、アクセス層12としての例えば厚さ2〜4μmのn+ 型GaN層および活性層13としての例えば厚さ0.5〜1μmのn型GaN層をエピタキシャル成長させる。
次に、活性層13としてのn型GaN層およびアクセス層12としてのn+ 型GaN層の上部をリソグラフィーおよび塩素ガスなどを用いたプラズマエッチングによりエッチングし、所定の形状にパターニングする。
次に、リフトオフ法を用いてアクセス層12としてのn+ 型GaN層に接触するTi/Al/Ni/Au膜を形成した後、窒素雰囲気中において850℃で1分間のアニールを行う。これによって、n+ 型GaN層にオーミック接触したTi/Al/Ni/Au膜からなるカソード電極15を形成する。
次に、リフトオフ法を用いて活性層13としてのn型GaN層上にNi/Au膜を形成する。これによって、n型GaN層にショットキー接触したNi/Au膜からなるアノード電極14を形成する。
この後、アノード電極14間を接続するように金メッキからなるエアブリッジ配線16を形成する。
以上により、目的とするGaN系マルチドット型ショットキーバリアダイオードが製造される。
以上のように、この第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードによれば、分割された各アノード電極14はエアブリッジ配線16により相互に接続され、各アノード電極14はカソード電極15により囲まれ、各アノード電極14の縦横比が5以下であることにより、アクセス抵抗R1 の大幅な低減を図ることができる。このため、オン抵抗RONの低減を図ることができ、良好な周波数特性を得ることができる。また、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードは、フィールドプレート構造を用いなくとも高耐圧化を図ることができる。また、各アノード電極14の面積を小さくしても、時定数τ(=RONOFF )を小さくすることができ、かつ、優れた高周波特性を維持することができる。
〈第2の実施の形態〉
[マルチドット型ショットキーバリアダイオード]
第2の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを図9AおよびBに示す。ここで、図9Aは平面図、図9Bは図9AのX−X’線に沿っての断面図である。
図9AおよびBに示すように、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、絶縁基板11上にアクセス層12および活性層13が順次積層されている。アクセス層12の上部および活性層13はメサ形状を有し、この構造が一列に複数設けられており、各ドット型ショットキーバリアダイオードのアノード電極14間が金属配線であるエアブリッジ配線16により接続されている。エアブリッジ配線16は、例えば金メッキからなる。また、各ドット型ショットキーバリアダイオードのカソード電極15は一体に形成され、全体として細長い長方形の形状を有する。さらに、このカソード電極15の長辺に沿ってカソード金属配線17がこのカソード電極15に電気的に接続されている。このカソード金属配線17により、ドット型ショットキーバリアダイオードを並列接続することによる抵抗の増大を防止することができる。カソード金属配線17は、例えば金メッキからなる。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、カソード電極15にカソード金属配線17が接続されているため、カソード電極15のシート抵抗による抵抗の増大を防止することができるという利点を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
[マルチドット型ショットキーバリアダイオード]
マルチドット型ショットキーバリアダイオードの真性部分での耐圧、オン抵抗、オフ容量は、使用する周波数や最大電圧を決めれば半導体の持つ物性値、すなわち破壊電界強度とキャリア移動度とで決まってしまう。しかしながら、実際の破壊は、各アノード電極14の端部の電極金属と半導体表面とが接するところでの電界で決まることが多い。なぜなら、この部分は加工ダメージや汚染の影響を受け、その周囲が正に帯電すれば逆バイアス時に電子を引きつけて電子濃度を高め、空乏層の拡大を制約するために、電界が上昇するからである。一般に半導体表面は不純物汚染などにより状態が制御できず、正に帯電したり負に帯電した状態になる。さらに表面にできる表面準位はデバイスの動作によって正に帯電したり負に帯電したりする。そのため、耐圧はアノード電極14のエッジで決まり、単純な1次元ポテンシャル分布理論で求められるドナー濃度で決まる耐圧が得られるとは限らない。
図10Aに表面電荷が無い理想状態での空乏層18の形状を示す。もし、図10Bに示すように、表面に半導体中のドナー以外に正の電荷、例えば表面準位19が存在すれば、空乏層18の幅は狭まり、電界強度が強くなり破壊電圧が低下する。そこで、この第3の実施の形態においては、これを防止するために、アノード電極14の外側の部分の活性層13の表面に積極的に負電荷を置く。すなわち、図10Cに示すように、活性層13の表面付近に負電荷層20を形成する。これにより、初めから活性層13の表面では空乏層18が広がるため、汚染などにより発生する正電荷がこの負電荷を上回らない限り空乏層18は広く電界は低い。結果としてアノード電極14のエッジ表面での破壊電圧の低下を防ぐことができる。また、この負電荷層20はアノード電極14の直下には置かないので、オン抵抗の増大はほとんど無い。
負電荷層20を形成するためには、例えば、活性層13の表面にp型層を形成する。この方法は、マルチドット型ショットキーバリアダイオードを構成する半導体の種類によらず、用いることができる。例えば、GaN系半導体を用いたマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、活性層13の表面に例えば3×1018cm-3のMgドープGaN層(例えば、厚さ10nm)を成長させる。MgドープGaN層のMgの面密度は3×1012cm-2である。このMgドープGaN層を、アノード電極14の形成用のフォトレジストパターンをマスクに用いて、例えばSiCl4 を用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングによりエッチング除去し、さらにその開口部にアノード電極14を形成する。こうすることで、アノード電極14の周囲にアノード電極14に対してセルフアライン(自己整合)的にMgドープGaN層からなる負電荷層20を形成することができる。
GaN系半導体を用いたマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、次のような方法でも負電荷層20を形成することができる。すなわち、六方晶GaNではヘテロ接合を用いるだけで自発分極やピエゾ効果で固定電荷が発生する。例えば、活性層13としてGa極性を持つc面n型六方晶GaN層を用い、その表面にInGaN層を形成し、このInGaN層をアノード電極14の形成用のフォトレジストパターンをマスクに用いてエッチング除去し、さらにその開口部にアノード電極14を形成する。こうすることで、アノード電極14の周囲にアノード電極14に対してセルフアライン(自己整合)的にGaN/InGaNヘテロ接合を形成することができ、このGaN/InGaNヘテロ接合により負電荷層20を形成することができる。例えば、In組成が10%で厚さが10nmのInGaN層を用いることにより自発分極で負の電荷が発生し、負電荷層20を形成することができる。あるいは、活性層13として窒素(N)極性を持つc面n型六方晶GaN層を用い、その表面にAlGaN層を形成し、このAlGaN層をアノード電極14の形成用のフォトレジストパターンをマスクに用いてエッチング除去し、さらにその開口部にアノード電極14を形成する。こうすることで、アノード電極14の周囲にアノード電極14に対してセルフアライン(自己整合)的にGaN/AlGaNヘテロ接合を形成することができ、このGaN/AlGaNヘテロ接合により負電荷層20を形成することができる。例えば、Al組成が5%で厚さが10nmのAlGaN層を用いることにより自発分極で負の電荷が発生し、負電荷層20を形成することができる。
負電荷層20は正電荷のホールを誘起するため、p型のチャネルを形成する可能性がある。そのため、負電荷層20の他端を図9Bに示すようにカソード電極15とオーバーラップさせた場合は、負電荷層20がアノード電極14とカソード電極15との間のリークパスとなるが、通常はホールの移動度が極めて低いためその抵抗は高く、また負電荷層20のアクセプタ濃度などを適切に制御することにより、回路動作に支障の無い抵抗値にすることが可能である。また、負電荷層20に電流を流して表面の電位降下を起こさせることにより、より確実にアノード電極14端での電界集中を抑えることができるという効果もある。
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、アノード電極14のエッジ表面での破壊電圧の低下を防止することができるため、耐圧のより一層の向上を図ることができるという利点を得ることができる。
〈第4の実施の形態〉
[マルチドット型ショットキーバリアダイオード]
第4の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードの一つのダイオード部の構造を図11に示す。
図11に示すように、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、絶縁基板11上に、Ga極性面を有するGaN層21およびAlGaN層22が順次積層されている。ここで、GaN層21は好適にはi型または低ドナー濃度のn型、AlGaN層22は好適にはn型である。AlGaN層22にはGaN層21の上部に達する深さの開口部23が設けられ、この開口部23の内部にアノード電極14が埋め込まれている。アノード電極14の外側の部分のAlGaN層22上にカソード電極15がオーミック接触している。
Ga極性面を有するGaN層21上にAlGaN層22を形成するとその中に固定の正電荷が発生するので、このAlGaN層22とGaN層21とのヘテロ界面近傍のGaN層21中に2次元電子ガス(2DEG)24が形成される。この2次元電子ガス24は不純物散乱を受けないので、高キャリア移動度でオン抵抗の低抵抗化に利用できる。この場合、アノード電極14と2次元電子ガス24とがショットキー接触し、アノード電極14と2次元電子ガス24との界面にショットキー接合が線状に形成される。
このマルチドット型ショットキーバリアダイオードの上記以外のことについては、第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードと同様である。
この第4の実施の形態によれば、HEMT(高移動度トランジスタ)構造のマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいて、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第5の実施の形態〉
[マイクロ波電力伝送システム]
第5の実施の形態においては、マイクロ波電力伝送システムについて説明する。
図12はこのマイクロ波電力伝送システムを示す。図12に示すように、このマイクロ波電力伝送システムは、直流をマイクロ波に変換するDC/RF変換を行う送電回路31およびマイクロ波を直流に変換するRF/DC変換を行う受電回路32を有する。送電回路31は、直流をマイクロ波に変換するF級増幅器33を有する。F級増幅器33としては、例えば、AlGaN/GaN HFETが用いられる。受電回路32は、整流用ダイオード34を含むマイクロ波整流回路を有する。この場合、整流用ダイオード34としては、例えば、第1〜第4の実施の形態のいずれかによるマルチドット型ショットキーバリアダイオードが用いられる。
送電回路31のアンテナ34からDC/RF変換により得られたマイクロ波35が送信される。このマイクロ波35は受電回路32のアンテナ36で受信され、RF/DC変換により直流に変換される。こうして、送電回路31から受電回路32にマイクロ波電力伝送が行われる。
アンテナ34、36としては、例えば、オープンリング共振器を用いることができる(例えば、非特許文献2参照。)。図13Aに示すように、λ/2(λは波長)の長さの線路を有する半波長共振器41は、ダイポールアンテナとして用いることができる。図13Bに示すように、この半波長共振器41をリング状に構成して両端部を互いに接近させることにより、オープンリング共振器を得ることができる。このオープンリング共振器のリング部の直径はD=λ/2πである。このオープンリング共振器では、両端部が互いに接近しているため、放射を抑えることができる。
このオープンリング共振器に対するマイクロ波による共振器結合について説明する。
マイクロ波の伝送媒体の誘電率εr が1(空気を想定)および10の場合を考える。
オープンリング共振器が受信する周波数fに対する直径Dは次の通りである。
f(GHz) λ(mm) D(mm)
εr =1 εr =10
1 300 47.7 15.1
2.45 122 19.5 6.2
10 30 4.8 1.51
60 5 0.80 0.25
100 3 0.48 0.15
図14に示すように、二つのオープンリング共振器51、52を互いに接近させる。そして、これらのオープンリング共振器51、52間の共鳴によりエネルギー交換、言い換えると電力伝送を行う。
図15は、オープンリング共振器51、52の共振器間距離と共振周波数および結合係数との関係を示す。図15に示すように、共振器間距離が大きいときの共振周波数はf0 であるが、共振器間距離が小さくなると共振周波数はf1 、f2 の二つに分離する。この場合、結合係数はk=2×(f2 −f1 )/(f2 +f1 )である。オープンリング共振器51、52はバンドパスフィルターを形成する。
図16は、マイクロ波電力伝送システムの具体例を示す。このマイクロ波電力伝送システムは、携帯電子機器61とこの携帯電子機器61をセットして電力伝送を行う充電器62とからなる。携帯電子機器61は受電回路32を有し、充電器62は送電回路31を有する。携帯電子機器61を充電器62にセットすることによりその送電回路31から携帯電子機器61の受電回路32に例えば周波数2.45GHzのマイクロ波35が送信されて携帯電子機器61に内蔵された充電電池に充電が行われる。携帯電子機器61は、特に限定されないが、例えば、携帯電話(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータなどである。
このマイクロ波電力伝送システムの電力伝送時の回路の一例を図17に示す(例えば、非特許文献3参照。)。図17に示すように、充電器62の送電回路31は、高周波電源63およびこの高周波電源63に接続されたオープンリング共振器51を有する。携帯電子機器61は、マイクロ波整流回路64およびこのマイクロ波整流回路64に接続されたオープンリング共振器52を有する。マイクロ波整流回路64は、整流用ダイオード65を有する。整流用ダイオード65としては、例えば、第1〜第4の実施の形態のいずれかによるマルチドット型ショットキーバリアダイオード、具体的には、例えばGaN系マルチドット型ショットキーバリアダイオードが用いられる。整流用ダイオード65は、λ/4線路66を介して平滑用キャパシタ67に接続されている。λ/4線路66は、例えば、長さ16.1mmの50Ωマイクロストリップラインチップである。平滑用キャパシタ67の容量は例えば100pFである。平滑用キャパシタ67に並列に負荷抵抗68が接続されている。この負荷抵抗68を通る電流をiDC、負荷抵抗68の抵抗値をRLOADとすると、DC出力電圧VDCはiDC×RLOADとなる。
この第5の実施の形態によれば、受電回路32のマイクロ波整流回路の整流用ダイオードとして、第1〜第4の実施の形態のいずれかによる高周波特性が良好で高耐圧のマルチドット型ショットキーバリアダイオード、具体的には、例えばGaN系マルチドット型ショットキーバリアダイオードを用いていることにより、高性能のマイクロ波電力伝送システムを実現することができる。
〈第6の実施の形態〉
[電源線用無線接続コネクタ]
第6の実施の形態による電源線用無線接続コネクタを図18に示す。図18に示すように、この電源線用無線接続コネクタは、直流電源71に接続される送電回路72と、直流電源を必要とする機器73に接続される受電回路74とにより構成される。送電回路72においては、直流電源71から発振回路75に直流電源が供給され、発振回路75の出力が増幅回路76で増幅され、増幅回路76に接続されたオープンリング共振器77から電力がマイクロ波として伝送される。受電回路74においては、送電回路72のオープンリング共振器77から伝送されたマイクロ波がオープンリング共振器78で受信され、マイクロ波整流回路79で整流されて直流電源が出力され、機器73に供給される。
図19および図20はマイクロ波整流回路79の具体的な構成例を示す。図19はシングルシャント型レクテナ回路であり、例えば第1〜第4の実施の形態のいずれかによるマルチドット型ショットキーバリアダイオード80、λ/4線路81および平滑用キャパシタ82により構成される。図20はデュアルダイオード型レクテナ回路であり、例えば第1〜第4の実施の形態のいずれかによるマルチドット型ショットキーバリアダイオード80、83および平滑用キャパシタ82により構成される。
上述のシングルシャント型レクテナ回路をプリント基板上に実現する場合を考えると、例えば5.8GHzの周波数を用いれば、誘電率10のプリント基板(例えば、ポリテトラフルオロエチレン製)上でλ/4線路81は長さ5mm程度であり、オープンリング共振器78の直径Dは3.5mm程度である。このため、例えば1mm角程度のマルチドット型ショットキーバリアダイオード80および平滑用キャパシタ82と組み合わせて、1cm角程度の小型のプリント基板上にシングルシャント型レクテナ回路を実現することができる。また、上述のデュアルダイオード型レクテナ回路をプリント基板上に実現する場合には、マルチドット型ショットキーバリアダイオード83を用いることによりλ/4線路81が不要となるので、シングルシャント型レクテナ回路より小型化が可能である。
一方、送電回路72では、例えばAlGaN/GaN HFETからなるF級増幅器を用いることにより80%以上の高効率を実現することができ、この送電回路72もトランジスタチップとλ/4以下のスタブ数本で構成することができ、やはり1cm角程度に収まる。電力はプラスチック板を通して送電できるので、送電側、受電側共に、完全にプラスチック膜などで覆うことができ、防水、防塵のコネクタを実現することができる。
第6の実施の形態によれば、従来の一般的なコネクタのように機械的な結合が不要でしかも高効率に電源を供給することができる新規の電源線用無線接続コネクタを実現することができる。
〈第7の実施の形態〉
[発光ダイオード]
第7の実施の形態においては、発光ダイオードについて説明する。
この発光ダイオードは、第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードと同様な構成を有するが、活性層13の代わりに、例えば、n型クラッド層/発光層/p型クラッド層/p型コンタクト層の積層構造が用いられる。この場合、アノード電極14としてはp型オーミック電極が用いられる。発光層は、例えば、多重量子井戸(MQW)構造のものが用いられる。具体例を挙げると、GaN系発光ダイオードにおいては、アクセス層12がn型GaN層でその上にn型AlGaNクラッド層、InGaN/GaN多重量子井戸構造の発光層、p型AlGaNクラッド層およびp型GaNコンタクト層が積層される。
この発光ダイオードの上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードと同様である。
この第7の実施の形態によれば、発光ダイオードにおいて、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第8の実施の形態〉
[マルチドット型ショットキーバリアダイオード]
第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを図21AおよびBに示す。ここで、図21Aはアノード電極14の配列方向に平行な断面図、図21Bは図21AのX−X’線に沿っての断面図である。
図21AおよびBに示すように、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおいては、アクセス層12の一方の面に活性層13が積層されている。活性層13はドット状のメサ形状を有し、この活性層13が一列に複数設けられている。各活性層13の平面形状は特に限定されないが、例えば、円形、多角形(正方形など)、楕円あるいはそれらを変形した形状である。各活性層13上に所定の平面形状を有するドット状のアノード電極14が設けられ、各活性層13にショットキー接触している。ここで、各アノード電極14は、本来は一つのアノード電極が複数に分割されたものである。分割された各アノード電極14の平面形状は特に限定されないが、例えば、円形、多角形(正方形など)、楕円あるいはそれらを変形した形状である。各アノード電極14間は金属配線であるエアブリッジ配線16により接続されている。エアブリッジ配線16は、例えば金メッキからなる。アクセス層12の他方の面にカソード電極15が設けられ、アクセス層12にオーミック接触している。この場合、カソード電極15は全面電極である。必要に応じて、アクセス層12が導電性半導体基板(例えば、SiC基板、n型GaAs基板、n型InP基板など)上に積層され、この導電性半導体基板の裏面にカソード電極15が設けられてもよい。この場合、アクセス層12と導電性半導体基板との全体をアクセス層として考えることができる。
アクセス層12は、各活性層13の直下の個別アクセス層12aと各活性層13に共通の共通アクセス層12bとからなる。
第1の実施の形態と同様に、この場合、分割された各アノード電極14は縦横比が5以下の形状を有する。各アノード電極14の大きさ(最大寸法)は特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、例えば、1μm以上10μm以下である。
アクセス層12および活性層13を構成する半導体は、特に限定されないが、例えば、GaN系半導体(AlGaN、GaN、GaInNなど)、GaAs系半導体(AlGaAs、GaAsなど)、AlGaInP系半導体(AlGaInP、GaInPなど)、ZnSe系半導体(ZnMgSSe、ZnSSe、ZnCdSeなど)、ZnO系半導体、SiC系半導体などである。
アクセス層12は、アクセス抵抗の低減を図るため、好適には、ドナー濃度が十分に高い低抵抗のn+ 型半導体からなる。活性層13は、アノード電極14がショットキー接触することができるものであり、典型的にはn型半導体からなり、そのドナー濃度は所望のダイオード特性によって決まる。
アノード電極14は、活性層13とショットキー接触することができるショットキー金属からなる。ショットキー金属は、活性層13を構成する半導体に応じて、従来公知のものの中から適宜選ばれる。
カソード電極15は、アクセス層12とオーミック接触することができるオーミック金属からなる。オーミック金属は、アクセス層12を構成する半導体に応じて、従来公知のものの中から適宜選ばれる。
[マルチドット型ショットキーバリアダイオードの製造方法]
このマルチドット型ショットキーバリアダイオードの製造方法について説明する。
まず、所定の成長基板上にアクセス層12および活性層13を順次エピタキシャル成長させる。成長基板はアクセス層12および活性層13を構成する半導体に応じて適宜選ばれる。エピタキシャル成長方法としては、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などを用いることができる。成長温度は、アクセス層12および活性層13を構成する半導体に応じて適宜選ばれる。
次に、リソグラフィーにより、活性層13上に所定部分が開口したレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより活性層13を所定の形状にパターニングする。この後、レジストパターンを除去する。
次に、アクセス層12から成長基板を除去する。このためには、例えば、成長基板を裏面側から研磨したり、レーザ剥離法などによりアクセス層12から成長基板を剥離したりする。また、成長基板をアクセス層12と同種の高濃度n型半導体からなる基板とした場合には基板の除去工程は無くても構わない。
次に、成長基板の除去により露出したアクセス層12の裏面の全面に真空蒸着法などによりオーミック金属を堆積させてカソード電極15を形成する。この後、必要に応じて、アニールを行うことによりカソード電極15のオーミック接触特性を改善する。
次に、活性層13をリソグラフィーおよび塩素ガスなどを用いたプラズマエッチングによりエッチングし、所定の形状にパターニングする。
次に、リソグラフィーにより、活性層13の中央部に対応する部分が開口した所定の平面形状を有するレジストパターンを形成した後、真空蒸着法などにより全面にショットキー金属を堆積させる。次に、レジストパターンをその上に堆積したショットキー金属膜とともに除去する。こうして、活性層13上にショットキー金属からなるドット形状のアノード電極14が形成される。
次に、従来公知の方法により、一列の各ダイオード部のアノード電極14間を接続するように金属配線であるエアブリッジ配線16を形成する。
以上により、図21AおよびBに示すような目的とするマルチドット型ショットキーバリアダイオードが製造される。
次に、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにおけるアクセス抵抗の低減について3次元的な広がり抵抗を考慮して考察する。このマルチドット型ショットキーバリアダイオードの実際の断面構造は図22Aに示す通りであるが、アクセス抵抗の計算のために図22Bに示すモデルを考える。アクセス抵抗部が活性層13の下部の半球状の部分であると考えると、図1に示したアノード−カソード間距離bに相当する距離は互いに隣接する活性層13間の距離(あるいは互いに隣接するアノード電極14間の距離)の半分と考えることができる。図22Bに示すように、アクセス抵抗は、半径aの半球から半径a+bの半球までの部分の抵抗と近似して計算する。これに対して、アノード電極14の平面形状がフィンガー型である場合は、半径aの半円柱から半径a+bの半円柱までの部分の抵抗と近似して計算する。
アノード電極14の平面形状がフィンガー型である場合のフィンガー長をLとすると、円柱座標を用いてアクセス抵抗は次式のように求められる。
Figure 0005995234
一方、アノード電極14の平面形状がドット状である場合は、球座標を用いてアクセス抵抗を計算すると
Figure 0005995234
となる。
アノード電極14の総面積を同じとして、アノード電極を円形に分割する場合とフィンガー状に分割する場合とを比較する。
アノード電極14の総面積をSとし、アノード電極を半径aの円形に分割する場合、ドット型では
Figure 0005995234
となる。
フィンガー型では、アノード電極を長さ
Figure 0005995234
で幅2aのストライプ状に分割するとすると、分割数は
Figure 0005995234
となる。
上記の式を用いて行った計算結果を図23に示す。ここでは、アノード電極14の総面積Sを10000μm2 とし、アクセス部の比抵抗をGaNなどで実現可能な最小抵抗の10mΩcmとした。カソード電極15は、第1の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードと異なり、アクセス層12の下面(アクセス層12が導電性半導体基板上に設けられる場合には導電性半導体基板の裏面)に設けられているが、仮想的に表面の活性層13とアクセス層12との境界からa+bの深さにあり、それより遠い部分は有限の抵抗のn型層でつながっていると考えられる。
図23から判るように、フィンガー型に比べてドット型は常に抵抗が小さく、最小パターン寸法が2μmの場合、ドット間距離が8μm(b=4μm)の場合で57%、40μmで40%程度と小さくなる。
また、ドットの形状を長円形の縦横比で規定した場合の長いフィンガーに比べた単位アノード面積あたりの抵抗(規格化抵抗)で比較した図を図24に示す。図24から判るように、b、すなわちアノード電極14間距離の半分を大きくすると、真円での抵抗は大きく下がるが、その効果は縦横比5でほぼ半減する。このことから、この場合も、縦横比は5以下であることが望ましいことが判る。
次に、このマルチドット型ショットキーバリアダイオードにボンディングパッドを設ける方法としては、例えば次のような方法がある。一つの方法では、エアーブリッジ配線16の上にさらにパッシベーション層を設け、その上にボンディングパッドを設ける。もう一つの方法では、図25に示すように、マルチドット型ショットキーバリアダイオードのエアーブリッジ配線16側をパッケージ基板91に載せ、カソード電極15上にボンディングパッドを設ける。
この第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードによれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の第1〜第8の実施の形態において挙げた数値、材料、構造、形状などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状などを用いてもよい。また、例えば、必要に応じて、上述の第1〜第4の実施の形態のうちの二以上を組み合わせてもよい。さらに、第5の実施の形態によるマイクロ波電力伝送システムにおける整流用ダイオード34あるいは第6の実施の形態による電源線用無線接続コネクタにおけるマルチドット型ショットキーバリアダイオード80、83として第8の実施の形態によるマルチドット型ショットキーバリアダイオードを用いてもよい。
11…絶縁基板、12…アクセス層、13…活性層、14…アノード電極、15…カソード電極、16…エアブリッジ配線、17…カソード金属配線、18…空乏層、20…負電荷層、21…GaN層、22…AlGaN層、24…2次元電子ガス

Claims (14)

  1. マイクロ波を直流に変換する整流用のショットキーバリアダイオードであって、
    半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
    前記アノード電極は複数に分割され、
    分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
    分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
    分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有し、
    分割された各アノード電極を囲む前記カソード電極は一体に形成され、
    分割された各アノード電極は最大寸法が10μm以下のドット状の形状を有し、
    前記半導体層は、
    第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に積層されたメサ形状の第2の半導体層とを有し、
    前記第1の半導体層のシート抵抗は前記第2の半導体層のシート抵抗より低く、
    前記第2の半導体層上に分割された各アノード電極が設けられ、前記第1の半導体層上に前記カソード電極が設けられていることを特徴とするショットキーバリアダイオード。
  2. 分割された各アノード電極の平面形状が円形であることを特徴とする請求項1記載のショットキーバリアダイオード。
  3. 分割された各アノード電極と前記カソード電極との間の距離は4μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のショットキーバリアダイオード。
  4. 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層はGaN系半導体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  5. 前記第1の半導体層はn + 型GaN層、前記第2の半導体層はn型GaN層であることを特徴とする請求項4記載のショットキーバリアダイオード。
  6. 前記n + 型GaN層の厚さは4μm以下であることを特徴とする請求項5記載のショットキーバリアダイオード。
  7. 前記カソード電極は、前記第2の半導体層の外周部から側面および前記第1の半導体層上に延在して設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  8. 分割された各アノード電極はマトリクス状に縦横に複数設けられており、各アノード電極間は前記金属配線を構成するエアブリッジ配線により接続され、一列の各アノード電極間を接続する各エアブリッジ配線はその一端で互いに接続されていて全体としてくし形をなしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  9. 分割された各アノード電極は一列に複数設けられており、各アノード電極間は前記金属配線を構成するエアブリッジ配線により接続され、前記カソード電極は全体として細長い長方形の形状を有し、前記カソード電極の長辺に沿ってカソード金属配線が前記カソード電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  10. 分割された各アノード電極は最大寸法が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  11. 分割された各アノード電極は最大寸法が1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  12. 前記マイクロ波の周波数は1GHz以上100GHz以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載のショットキーバリアダイオード。
  13. マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
    前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
    前記整流用ダイオードが、
    半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
    前記アノード電極は複数に分割され、
    分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
    分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
    分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有し、
    分割された各アノード電極を囲む前記カソード電極は一体に形成され、
    分割された各アノード電極は最大寸法が10μm以下のドット状の形状を有し、
    前記半導体層は、
    第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に積層されたメサ形状の第2の半導体層とを有し、
    前記第1の半導体層のシート抵抗は前記第2の半導体層のシート抵抗より低く、
    前記第2の半導体層上に分割された各アノード電極が設けられ、前記第1の半導体層上に前記カソード電極が設けられているショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電力伝送システム。
  14. マイクロ波を送信する送電回路とマイクロ波を受信する受電回路とを有し、
    前記受電回路はマイクロ波を直流に変換する整流用ダイオードを有し、
    前記整流用ダイオードが、
    半導体層の片側に設けられたアノード電極およびカソード電極を有し、
    前記アノード電極は複数に分割され、
    分割された各アノード電極は金属配線により相互に接続され、
    分割された各アノード電極は前記カソード電極により囲まれ、
    分割された各アノード電極は縦横比が5以下の形状を有し、
    分割された各アノード電極を囲む前記カソード電極は一体に形成され、
    分割された各アノード電極は最大寸法が10μm以下のドット状の形状を有し、
    前記半導体層は、
    第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に積層されたメサ形状の第2の半導体層とを有し、
    前記第1の半導体層のシート抵抗は前記第2の半導体層のシート抵抗より低く、
    前記第2の半導体層上に分割された各アノード電極が設けられ、前記第1の半導体層上に前記カソード電極が設けられているショットキーバリアダイオードであることを特徴とする電源線用無線接続コネクタ。
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