JP5994375B2 - 旅行時間算出装置及び方法、コンピュータプログラム - Google Patents
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かかる旅行時間は、複数の所定位置の交通状況を道路に設置した車両感知器で地点観測し、観測した交通状況のデータ(車両台数や通過時刻など)に基づいて推定するのが一般的である。しかし、この推定方法では、広範囲の旅行時間をドライバーに提供するには多数の車両感知器を設置する必要があり、コストの負担が大きくなるという問題がある。
このプローブ情報を利用した旅行時間は、通常、所定周期(例えば1秒)で収集された車両位置を道路区間(例えばリンク)と対応づけ、プローブ車両が道路区間の始点を通過した時刻と終点を通過した時刻との差分によって算出される(特許文献1参照)。
しかし、現状では、プローブ車両の台数がそれほど多くないので、同じ時間帯の同じ道路区間について、それほど多数のプローブ情報を取得できる訳ではない。
特に閑散時においては、交差点における信号待ち停止による遅延がプローブ車両によって生じたり生じなかったりし、プローブ車両から得られる旅行時間のばらつきが無視できないほど大きくなり平均旅行時間の精度が低下する。
その理由は、道路区間の実勢速度は、交差点での信号待ちの要素を含まない、主として道路構造に依存する速度であるから、プローブ情報のデータ数が少なくても、所定期間に蓄積した複数のプローブ情報などから精度よく推定できるからである。
Tw=R2/2C
この場合、リンク走行時間は、実勢速度から算出された精度が高い時間であり、平均信号待ち時間は、交差点の赤時間とサイクル長さえ分かれば、上記の式により比較的正確に算出できるので、これらの時間から算出するリンク旅行時間も精度のよいものとなる。
その理由は、境界リンクでは系統制御が行われないため信号待ちが生じる可能性が高いので、リンク旅行時間と区間旅行時間の和を路線旅行時間とすべきだからである。
その理由は、実勢速度に依拠する上述の(2)〜(5)の旅行時間は、道路区間が閑散であることを前提とするので、道路区間の渋滞時の旅行時間は、(2)〜(5)の旅行時間に更に渋滞内滞在時間を加算したものと見なせるからである。
(8) 従って、この場合、前記データ処理部は、前記リンクが閑散でないか否かの判定を、前記プローブ車両の実測リンク旅行時間が閑散時の最大リンク旅行時間よりも大きいか否かによって行うことができる。
(10) 従って、この場合、前記データ処理部は、前記系統区間が閑散でないか否かの判定を、前記プローブ車両の実測区間旅行時間が閑散時の最大区間旅行時間よりも大きいか否かによって行うことができる。
(12) 本発明のコンピュータプログラムは、上述の(1)〜(10)に記載した本発明装置の処理をコンピュータに実行させるものである。従って、本発明のコンピュータプログラムは、上述の(1)〜(10)に記載の本発明装置と同様の作用効果を奏する。
〔用語の定義〕
本発明の実施形態を説明するに当たり、まず、本明細書で用いる用語の定義を行う。
「車両」:道路を通行する車両全般、具体的には、道路交通法上の車両のことをいう。同法上の車両には、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスが含まれる。本実施形態では、単に「車両」というときは、プローブ情報を送信可能な車載機を有するプローブ車両と、その車載機を有しない車両の双方を含む。
「感知信号」:道路の所定位置に設置された車両感知器が、1台の車両を検出した時に出力するパルス信号のことをいう。従って、複数台の車両が車両感知器を通過した場合には、各車両に対応する感知信号が時系列に出力される。
車両位置と時刻が分かれば車両速度を算出できるので、プローブ情報には車両位置と時刻が含まれておれば足りるが、後述の実勢速度をより正確に算出するには、所定時刻ごとに計測された車両速度がプローブ情報に含まれていることが好ましい。
「サイクル長」:交通信号機の青(又は赤)開始時刻から次の青(又は赤)開始時刻までの1サイクルの時間のことをいう。
「オフセット」:隣接する交差点間の青信号開始時刻のずれのことをいう。1サイクルの時間に対するパーセント又は秒で表される。
「交差点の渋滞」:交差点の手前にできた待ち行列が1回の青信号時間で捌けない状況のことをいう。従って、1回の青信号時間で信号待ち行列が捌ける場合は、当該交差点では「渋滞」が生じていない。
「発進波」:信号待ち行列の発生中に青信号に切り替わると、交差点に近い前方の車両から順に発進し始める。この信号待ち車両が発進する時の伝達波を発進波という。
「発進波速度」:発進波の伝搬速度のことをいう。すなわち、発進波遅れを車両停止位置の一次関数で定義した場合の、当該一次関数の傾きのことである。
「路線」:複数の系統区間を含む道路区間のことをいう。隣接する系統区間の間には、系統制御が行われない境界リンクが含まれる。
「系統区間」:後述する系統制御を行う道路区間のことをいう。系統区間には、概ね3〜5つ程度のリンクが含まれる。
「系統制御」:サブエリア内に設定した一連の系統区間に含まれる交差点間の交通信号機のオフセットを調節することにより、系統区間の特定方向を青信号で通過し易くしたり(優先オフセット)、逆に赤信号で停止し易くしたりする制御のことをいう。
「区間旅行時間」:系統区間の旅行時間のことをいう。
「路線旅行時間」:路線の旅行時間のことをいう。
「実測旅行時間」:1台のプローブ車両のプローブ情報に含まれる位置と時刻に基づいて算出された、任意の地点間の通過時刻差よりなる旅行時間のことをいう。本実施形態では、実測旅行時間として、リンクに関する「実測リンク旅行時間」と、系統区間に関する「実測路線旅行時間」を用いる場合がある。
従って、ある道路区間の実勢速度は、交差点における信号待ちの要素を含まない、主として道路幅員や傾斜度などの道路構造に依存する速度であり、概ねその道路区間の規制速度に対して+10km/h程度の速度であるとされている。後述の通り、本実施形態では、この実勢速度を、複数のプローブ車両から得られたプローブ情報から推定する。
図1は、本発明の実施形態に係る交通情報処理システム20の全体構成を示す概略図である。
本実施形態の交通情報処理システム20では、少なくとも車両位置とその位置の通過時刻のデータを含むプローブ情報を、プローブ車両1からセンタ装置5が収集し、収集したプローブ情報にデータ処理を施すことにより、道路区間の旅行時間、渋滞状況及び最適経路などの交通情報を提供するサービスが行われる。
車載機2と基地局4の間では、無線通信が可能であり、基地局4とセンタ装置5との間では、所定の通信回線6を介して有線通信が可能である。ただし、基地局4とセンタ装置5との間の通信も無線通信であってもよい。
車載機2には、携帯電話やスマートフォン等よりなる通信装置3が接続され、メモリに蓄積されたプローブ情報を、通信装置3を介して外部に送信することができる。プローブ車両1から送信されたプローブ情報は、基地局4を介してセンタ装置5に送られる。
図2は、センタ装置5の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図2に示すように、センタ装置5は、送受信部10、データ処理部11、記憶部12及びデータベース13,14を備えている。
送受信部10は、基地局4とデータ処理部11との間で、プローブ情報や渋滞状況などの各種のデータを送受信する。
データベース13には、プローブ車両1から受信したプローブ情報が格納される。データベース14には、地図データが格納されている。地図データには、センタ装置5の管轄エリアに属するリンク及びノードの位置やそれらの識別番号などのデータが含まれる。
センタ装置5のデータ処理部11は、送受信部10が受信した車両感知器の感知信号に基づいて、系統制御その他の交通感応制御を行い、この制御の結果生成した各交差点の信号制御パラメータを、データベース14に記録するとともに送受信部10を通じて交通信号制御機に送信する。
従って、センタ装置5の記憶部12は、上記プローブ情報、区間長及び信号制御パラメータを、データベース13,14から取得するための取得部として機能する。
図3は、データ処理部11が旅行時間を求める道路区間の一例を示す説明図である。
図3に示すように、データ処理部11が旅行時間を求める道路区間には、リンクLi(i=1,2,……)、系統区間Sj(j=1,2,……)及び路線RTが含まれる。
各系統区間Sjには、複数(図例では4つ)のリンクLiが含まれており、互いに隣接する系統区間S1〜S3の間は境界リンクL5,L9で接続されている。
図3の例では、任意のノードnに対して左側から流入する流入リンクLiに着目しているが、任意のノードnに対して右側から流入する流入リンクであってもよい。また、図3に示す系統区間Siの形状は一時的なものであり、時間帯に応じて行われるサブエリアの分割や結合により、系統区間Siの形状や内部のノード数が変更され得る。
TL:リンクLiの閑散時のリンク旅行時間
JL:リンクLiの渋滞時のリンク旅行時間
DL:リンクLiの道程距離(リンク長)
C:リンクLiのサイクル長
R:リンクLiの赤時間
JS:系統区間Sjの渋滞時の旅行時間
DS:系統区間Sjの道程距離(区間長)
VSm:系統区間Sjにおいて複数のプローブ情報から推定した実勢速度
TR:路線RTの閑散時の旅行時間
JR:路線RTの渋滞時の旅行時間
(実勢速度の推定)
センタ装置5のデータ処理部11は、道路区間Li,Sj,RTの閑散時の旅行時間を算出するための基礎データとして、系統区間Sjの実勢速度VSmを推定する。なお、以下においては、添え字i,jがいずれも「1」である系統区間S1及びリンクL1についての旅行時間の算出処理を説明するが、その他の系統区間S2,S3,……やリンクL2,L3,……の旅行時間の算出処理も同様に行われる。
なお、データ処理部11は、プローブ情報が得られた曜日や日時別の時間帯ごとに、系統区間S1の実勢速度VSmを推定する。
閑散時の車両走行において、旅行時間を遅らせる主な要因は交差点における信号待ちである。従って、閑散時の道路区間の場合には、その道路区間に含まれるリンクL1の旅行時間TLは、次式の右辺の2つの項に分離して考えるのが合理的である。
リンク旅行時間TL=「リンク走行時間」+「平均信号待ち時間」
そこで、本実施形態では、データ処理部11は、上記の式を用いてリンクL1について閑散時のリンク旅行時間TLを算出する。
また、右辺第2項の「平均信号待ち時間」(=「Tw」とする。)は、リンクL1が下流交差点のノードにおいて信号待ち停止する場合の平均時間であり、この待ち時間Twは、「R2/2C」で算出することができる。以下、図4を用いて、その理由を説明する。
図4において、横軸は時刻(秒)、縦軸は交差点の停止線からの距離(m)を表し、「G」、「R」及び「Y」は、それぞれ交差点の青時間、赤時間及び黄時間を表す。
図4中に縦ハッチングを施したほぼ三角の領域は、1サイクル中の赤信号で形成される待ち行列である。この領域の図示左側の傾斜辺SLは、待ち行列に進入した車両の停止位置であり、車両はまず赤開始時点近傍(黄信号を含んでもよい)の待ち行列の末尾に加わって停止する。
センタ装置5のデータ処理部11は、交差点ごとの停止波と発進波の速度についても、データベース13に記録している。
すなわち、平均待ち時間Twは次式によって算出することができる。
Tw=(1/2)×R×R×N/(C×N)
=R2/2C
TL=「リンク走行時間」+「平均信号待ち時間」
=DL/VSm+R2/2C
データ処理部11は、系統区間S1に含まれる単一のリンクL1や、それに含まれない単一のリンクL5,L10のリンク旅行時間TLが必要な場合に、上記の式を用いてリンク旅行時間TLを算出し、算出した旅行時間TLをデータベース14に記憶させる。
一方、系統区間S1の場合には、系統制御によって車群が形成されるため、閑散時における車両の交差点への到着が一様であるとの仮定が成り立たない。
すなわち、系統区間S1では、全区間でスルーバンドが通る優先オフセットが実行されたり、特定の交差点で停止し易いオフセットが実行されたりするので、系統区間S1を通行する車両が、各々の交差点において信号待ちで停止するとは限らない。
そこで、データ処理部11は、車両が系統区間S1を実勢速度VSmで走行すると仮定して、系統区間S1の始点を異なる時刻で出発した車両が系統区間S1の終点に到着するまでの所要時間をシミュレートし、その結果得られた複数の所要時間から、系統区間S1の閑散時の区間旅行時間TSを算出する。
図5において、横軸は系統区間S1の距離(m)を表し、縦軸は時刻(秒)を表している。また、A1〜A4は、系統区間S1に含まれる交差点を示し、P1,P2は、系統区間S1の始点及び終点を示している。
データ処理部11は、まず、データベース14から読み出した交差点A1〜A4の信号制御パラメータに基づいて、系統区間S1についてのオフセット図(図5)を生成する。
そして、データ処理部11は、始点P1を通過時刻tkに出発した仮想の車両が、系統区間S1を実勢速度VSmで走行した場合に、交差点A1〜A4の赤時間に遭遇するか否かを判定し、遭遇しない場合は交差点を下流側にスルーさせ、遭遇する場合は交差点を青開始時点に実勢速度VSmで再発進することとして、終点P2への到着時刻を求める。
そこで、データ処理部11は、時刻tkに出発しかつ時刻txに到着した仮想の車両の場合は、(tx−tk)を系統区間S1の通行に要する所要時間とし、時刻tkに出発しかつ時刻tyに到着した仮想の車両の場合は、(ty−tk)をその所要時間とする。
例えば、データ処理部11は、平均値を採用する場合は、n個の所要時間の合計値をnで割った平均値を区間旅行時間TSとし、中間値を採用する場合は、n個の所要時間のうちの最大値と最小値の半分の値を区間旅行時間TSとする。
そこで、系統区間S1の走行に必要な所要時間をシミュレートする場合に、上記の加速時間を考慮して到着時間tx,tyを求めることにすれば、所要時間を正確に算出することができる。
図3に示す路線RTにおいて、系統区間Sjの間の境界リンクL5,L10では系統制御が行われない。このため、路線RTを通行する車両は、系統区間S1〜S3を通行する場合よりも、境界リンクL5,L10において信号待ちで停止する可能性が高い。
そこで、データ処理部11は、路線RTに含まれる系統区間Sjの区間旅行時間TSと、それらを繋ぐ境界リンクL5,L10を通行する場合の遅れ(リンクL5,L10のリンク旅行時間TL)を合計した時間を、閑散時の路線旅行時間TRとする。
TR=ΣTS+ΣTLp
ただし、上記の式において、「TLp」は、路線RTに含まれる1又は複数の境界リンクLp(p=5,10,……)の閑散時のリンク旅行時間TLである。
上述の通り、実勢速度VSmに依拠する旅行時間TL,TSは、系統区間S1が閑散であることを前提とするが、この閑散時の旅行時間TL,TSを基礎値とし、これに「渋滞内滞在時間」を加算すれば、渋滞時における旅行時間TL,TSが得られる。
すなわち、渋滞時の旅行時間JL,JSと閑散時の旅行時間TL,TSの間には、次の式(1)及び(2)が成立する。
JS=TS+当該系統区間における「渋滞内滞在時間」……(2)
ここで、「滞内滞在時間」とは、信号機での停止時間や実勢速度で走行した巡航時間を除いた、渋滞に起因する遅れ時間のことをいう。かかる「渋滞内滞在時間」は個々の車両によるばらつきが小さく収束し易いことから、所定のクレンジングを行った後であれば、少なくとも1台のプローブ車両1のプローブ情報を取得できれば、渋滞内滞在時間を精度よく収集できると考えられる。
上記式(1)中のリンクL1の「渋滞内滞在時間」(=「JWL」とする。)を算出できれば、当該式(1)によってリンクL1の渋滞時のリンク旅行時間JLが求まるが、この渋滞内滞在時間JWLは、例えば次の式(3)によって算出することができる。
JWL=「実測リンク旅行時間」−「閑散時の最大リンク旅行時間」……(3)
上記の式(3)が成り立つ理由は、プローブ車両1の実測リンク旅行時間が得られた時点において、その実測リンク旅行時間が閑散時の最大リンク旅行時間よりも大きい場合は、当該リンクL1において渋滞が発生していると推定できるからである。
かかるクレンジング処理には、例えば、同じ位置に所定時間以上停止したと見なせるプローブ車両1のプローブ情報を不採用としたり、速度がゼロの速度データが継続するプローブ情報を不採用としたり、プローブ車両1の進行方向が所定位置で360度反転(Uターン)したデータとなっているプローブ情報を不採用としたりする処理が含まれる。
閑散時の最大リンク旅行時間=(DL/VSm)+R
従って、前記した式(3)は、次のようになる。
JWL=「実測リンク旅行時間」−{(DL/VSm)+R}
この判定は、例えば、車両感知器の感知信号から推定したリンクL1の渋滞度や、VICS(「VICS」は登録商標)情報に基づいて行うことができる。また、前記式(3)の右辺の値の正負に基づいて上記判定を行うことにしてもよい。この場合、式(3)の右辺が正数の場合は、リンクL1に渋滞が発生していると判定し、ゼロ以下の場合はリンクL1に渋滞が発生していないと判定すればよい。
前記式(2)中の系統区間S1の「渋滞内滞在時間」(=「JWS」とする。)を算出できれば、当該式(2)によって系統区間S1の渋滞時の区間旅行時間JSが求まるが、この渋滞内滞在時間JWSは、例えば次の式(4)によって算出することができる。
JWS=「実測区間旅行時間」−「閑散時の最大区間旅行時間」……(4)
上記の式(4)が成り立つ理由は、プローブ車両1の実測区間旅行時間が得られた時点において、その実測区間旅行時間が閑散時の最大区間旅行時間よりも大きい場合は、当該系統区間S1に含まれるどこかのリンクL1〜L4において渋滞が発生していると推定できるからである。
式(4)における「閑散時の最大区間旅行時間」は、前述のシミュレートにおいて得られた系統区間S1の複数の所要時間の中から、最も大きい所要時間を選択することによって求めることができる。
この判定も、車両感知器の感知信号から推定した系統区間S1の渋滞度や、VICS情報に基づいて行うこともできるし、前記式(4)の右辺の値の正負に基づいて行うことにこともできる。式(4)の右辺が正数の場合は、系統区間S1に渋滞が発生していると判定し、ゼロ以下の場合は系統区間S1に渋滞が発生していないと判定すればよい。
図3に示す路線RTにおいて、データ処理部11は、系統区間S1が閑散であり、系統区間S2が閑散でない場合は、系統区間S1については閑散時の区間旅行時間TSを採用し、系統区間S2については渋滞時の区間旅行時間JSを採用する。
また、データ処理部11は、境界リンクL5,L10についても、そのリンクが閑散でないか否かにより、閑散時又は渋滞時のうちのいずれかのリンク旅行時間TL,JLを採用することができる。
JR=Σ(TS or JS)+Σ(TLp or JLp)
ただし、上記の式において、「TLp」は、路線RTに含まれる1又は複数の境界リンクLp(p=5,10,……)の閑散時のリンク旅行時間TLであり、「JLp」は、路線RTに含まれる1又は複数の境界リンクLpの渋滞時のリンク旅行時間JLである。
以上の通り、本実施形態のセンタ装置(旅行時間算出装置)5によれば、データベース13から取得したプローブ情報に基づいて道路区間(本実施形態では系統区間Sj)の実勢速度VSmを推定し、推定した実勢速度実勢速度VSmと、データベース14から取得した区間長DL,DS及び信号制御パラメータとから、道路区間の旅行時間TL,TSを算出する。
上述の実施形態では、データ処理部11が、旅行時間を1つの値に特定し、特定した旅行時間を外部に提供する交通情報としているが、旅行時間の提供方法としては、1つの値に固定するのではなく、例えば、所定の道路区間における旅行時間の最大値と最小値を送信することにより、時間幅を有する提供方法を採用することにしてもよい。
TLmax :リンク走行時間(DL/Vsm)+赤時間(R)
TLmin :リンク走行時間(DL/Vsm)
TSmax :シミュレートの結果得られた複数の所要時間のうちの最大値
TSmin :シミュレートの結果得られた複数の所要時間のうちの最小値
更に、閑散時の路線旅行時間TRの最大値と最小値は次のようになる。
TRmax :ΣTSmax +ΣTLmax
TRmin :ΣTSmin +ΣTLmin
例えば、上述の実施形態では、センタ装置5が、複数の交通信号制御機を制御する交通管制機能を有していたが、交通管制機能をセンタ装置5とは別の路側装置(以下、「別装置」という。)に担わせるシステム構成であってもよい。
また、安全運転支援の目的で、別装置が無線通信によって車両に信号制御パラメータを提供するシステムの場合には、受信した信号制御パラメータを車両がセンタ装置5に転送することにより、センタ装置5が信号制御パラメータを取得するようにしてもよい。
2 車載機
3 通信装置
4 基地局
5 センタ装置(旅行時間算出装置)
10 送受信部
11 データ処理部
12 記憶部(取得部)
13 データベース
14 データベース
Claims (11)
- 道路区間を車両が通行する場合の旅行時間を算出する装置であって、
前記道路区間を通行する1又は複数のプローブ車両のプローブ情報と、前記道路区間の区間長と、前記道路区間の交差点の信号制御パラメータとを取得する取得部と、
取得したプローブ情報に基づいて前記道路区間の実勢速度を推定し、推定した実勢速度と取得した区間長及び信号制御パラメータとから、前記道路区間の旅行時間を算出するデータ処理部と、を備えており、
前記道路区間には、系統制御中であるサブエリア内の複数のリンクを有する複数の系統区間と、これらを繋ぐ境界リンクとを有する路線が含まれており、
前記データ処理部は、前記境界リンクのリンク旅行時間と、複数の前記系統区間の区間旅行時間との和により、前記路線の路線旅行時間を算出することを特徴とする旅行時間算出装置。 - 前記道路区間には、所定の交差点に流入するリンクが含まれており、
前記データ処理部は、推定した実勢速度と、取得したリンク長とから前記リンクの走行に要するリンク走行時間を算出し、
取得した信号制御パラメータに含まれる前記交差点の赤時間とサイクル長とから、当該交差点における平均信号待ち時間を算出し、
算出したリンク走行時間と平均信号待ち時間とから、前記リンクのリンク旅行時間を算出する請求項1に記載の旅行時間算出装置。 - 前記データ処理部は、前記交差点の平均信号待ち時間をTw、赤時間をR、サイクル長をCとした場合に、次式を用いて平均信号待ち時間Twを算出する請求項2に記載の旅行時間算出装置。
Tw=R2/2C - 前記道路区間には、系統制御中であるサブエリア内の複数のリンクを有する系統区間が含まれており、
前記データ処理部は、推定した実勢速度で前記車両が走行すると仮定して、前記系統区間の始点を異なる時刻で出発した前記車両が当該系統区間の終点に到着するまでの所要時間をシミュレートし、その結果得られた複数の所要時間に基づいて、前記系統区間の区間旅行時間を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の旅行時間算出装置。 - 前記データ処理部は、前記道路区間が閑散でない場合は、請求項2〜4において算出した旅行時間に更に渋滞内滞在時間を加えた時間を、当該道路区間の渋滞時の旅行時間とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の旅行時間算出装置。
- 前記データ処理部は、前記道路区間が前記リンクである場合は、取得したリンク長を推定した実勢速度で割った商に前記交差点の赤時間を加えることにより、閑散時の最大リンク旅行時間を算出し、
前記プローブ車両の実測リンク旅行時間から閑散時の最大リンク旅行時間を引くことにより、前記リンクの渋滞内滞在時間を算出する請求項5に記載の旅行時間算出装置。 - 前記データ処理部は、前記リンクが閑散でないか否かの判定を、前記プローブ車両の実測リンク旅行時間が閑散時の最大リンク旅行時間よりも大きいか否かによって行う請求項6に記載の旅行時間算出装置。
- 前記データ処理部は、前記道路区間が前記系統区間である場合は、シミュレートの結果得られた複数の前記所要時間のうちの最大時間を閑散時の最大区間旅行時間とし、
前記プローブ車両の実測区間旅行時間から閑散時の最大区間旅行時間を引くことにより、前記系統区間の渋滞内滞在時間を算出する請求項5に記載の旅行時間算出装置。 - 前記データ処理部は、前記系統区間が閑散でないか否かの判定を、前記プローブ車両の実測区間旅行時間が閑散時の最大区間旅行時間よりも大きいか否かによって行う請求項8に記載の旅行時間算出装置。
- 道路区間を車両が通行する場合の旅行時間を算出する方法であって、
前記道路区間を通行する1又は複数のプローブ車両のプローブ情報と、前記道路区間の区間長と、前記道路区間の交差点の信号制御パラメータとを取得する第1ステップと、
取得したプローブ情報に基づいて前記道路区間の実勢速度を推定する第2ステップと、
推定した実勢速度と取得した区間長及び信号制御パラメータとから、前記道路区間の旅行時間を算出する第3ステップとを含み、
前記道路区間に、系統制御中であるサブエリア内の複数のリンクを有する複数の系統区間と、これらを繋ぐ境界リンクとを有する路線が含まれる場合に、前記第3ステップにおいて、前記境界リンクのリンク旅行時間と、複数の前記系統区間の区間旅行時間との和により、前記路線の路線旅行時間を算出することを特徴とする旅行時間算出方法。 - 道路区間を車両が通行する場合の旅行時間を算出する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記道路区間を通行する1又は複数のプローブ車両のプローブ情報と、前記道路区間の区間長と、前記道路区間の交差点の信号制御パラメータとを取得する第1ステップと、
取得したプローブ情報に基づいて前記道路区間の実勢速度を推定する第2ステップと、
推定した実勢速度と取得した区間長及び信号制御パラメータとから、前記道路区間の旅行時間を算出する第3ステップと、を含み、
前記道路区間に、系統制御中であるサブエリア内の複数のリンクを有する複数の系統区間と、これらを繋ぐ境界リンクとを有する路線が含まれる場合に、前記第3ステップにおいて、前記境界リンクのリンク旅行時間と、複数の前記系統区間の区間旅行時間との和により、前記路線の路線旅行時間を算出することを特徴とするコンピュータプログラム。
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