JP5993787B2 - 熱伝導性フィラー及びその製造方法並びに樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、熱伝導性フィラー及びその製造方法並びに樹脂組成物に関し、特に、酸化マグネシウムを主成分とする熱伝導性フィラー及びその製造方法並びに樹脂組成物に関する。
酸化マグネシウムは、熱伝導性や耐熱性などに優れた無機化合物であり、樹脂組成物の熱伝導性を高めるための熱伝導性フィラーとして様々な樹脂に使用されている。
例えば、特許文献1には、塩基性硫酸マグネシウムを焼成して得られる、長さ/直径比が約5以上の繊維状酸化マグネシウムであって、樹脂の熱伝導率改良剤の用途として用いられることが記載されている。また、特許文献2には、マグネシウム及び結晶水を含有する針状粒子を焼成して得られる繊維状酸化マグネシウムであって、合成樹脂用充填剤として用いられることが記載されている。熱伝導性フィラーは隣り合うフィラー同士の接触により熱伝導パス(経路)が形成されて熱を効率よく伝達するが、従来の柱状(又は針状)の熱伝導性フィラーはアスペクト比が大きく熱伝導性フィラーの長手方向において熱伝導効率が高いため、アスペクト比が低いものに比べて樹脂組成物の熱伝導率が向上する。
特開昭60−11223号公報(請求項1,3、第5頁右下欄、第7頁右上欄など) 特表平4−503797号公報(請求項1、第1頁右下欄など)
柱状酸化マグネシウムからなる熱伝導性フィラーは、硫酸や水を含む柱状マグネシウム化合物を焼成することで製造される。しかしながら、上述した従来の熱伝導性フィラーは、焼成時に劣化しやすいため、必ずしも望ましい柱状にならないことがあった。
具体的には、ウィスカー状の塩基性硫酸マグネシウムは、焼成によって硫酸根や水が抜けて内部に空洞が多くなり、このため焼成後の柱状酸化マグネシウムは脆くて崩れやすくなる。したがって、アスペクト比の高い熱伝導性フィラーを得ることが困難であり、従来はアスペクト比の低いものしか得られにくかった。また、このようなアスペクト比の低い熱伝導性フィラーを配合した樹脂組成物は、アスペクト比の高い熱伝導性フィラーを使用した場合と比較して、同じ配合量あたりの熱伝導率が低くなりがちであった。さらに、熱伝導率を高くするために樹脂に対して熱伝導性フィラーの配合割合を多くすると、製造コストがかかったり、樹脂の特性に悪影響を与えたりするという不都合もあった。
また、アスペクト比の低い熱伝導性フィラーは、アスペクト比の高い熱伝導性フィラーよりも比表面積が高いため、表面からの水分吸収量が増加することから耐水和性に劣っていた。このため、このようなアスペクト比の低い熱伝導性フィラーを配合した樹脂組成物もまた耐水性に劣るものとなっていた。
本発明の目的は、アスペクト比が高く耐水和性に優れた柱状の熱伝導性フィラー及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、熱伝導率が高く耐水性にも優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、柱状の酸化マグネシウムとホウ素を含有することで、アスペクト比が高く耐水和性にも優れた熱伝導性フィラーを提供できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、柱状酸化マグネシウム及びホウ素を少なくとも含み、長径/短径で定義されるアスペクト比の平均値が2以上であることを特徴とする熱伝導性フィラーである。
この場合において、前記ホウ素の含有量が、B換算で0.1〜1.0重量%であることが好ましい。
また、平均長径が1.0〜10.0μmであることが好ましい。
さらに、前記ホウ素は、前記柱状酸化マグネシウムの表面を覆うように付着して前記柱状酸化マグネシウムに含有されていると好適である。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の熱伝導性フィラーの製造方法であって、ウィスカー状の塩基性硫酸マグネシウムとホウ素又はホウ素化合物とを混合する混合工程と、前記混合後の混合物を500〜1300℃で焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする熱伝導性フィラーの製造方法である。
この場合において、前記混合工程は、前記ホウ素又はホウ素化合物を溶媒に溶解し、前記塩基性硫酸マグネシウムを前記溶解後の前記溶媒に混合する湿式混合工程であることが好ましい。
さらに、本発明は、柱状酸化マグネシウム及びホウ素を少なくとも含み、長径/短径で定義されるアスペクト比の平均値が2以上である熱伝導性フィラーを酸化マグネシウム換算で1〜60体積%、樹脂を40〜99体積%含有することを特徴とする熱伝導性樹脂組成物である。
本発明によれば、アスペクト比が高く耐水和性に優れた柱状の熱伝導性フィラー及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、熱伝導率が高く耐水性にも優れた樹脂組成物を提供することができる。
実施例の熱伝導性フィラーのSEM写真である。 実施例の熱伝導性フィラーのSEM写真である。 実施例の熱伝導性フィラーのSEM写真である。 熱伝導性フィラーの添加量と熱伝導率との関係を示すグラフである。
<熱伝導性フィラー>
本発明の熱伝導性フィラー(以下、単に「熱伝導性フィラー」という)は、柱状酸化マグネシウム及びホウ素を少なくとも含み、長径/短径で定義されるアスペクト比の平均値が2以上である。
熱伝導性フィラーは、柱状酸化マグネシウムとホウ素を少なくとも含んでいる。柱状の酸化マグネシウムの表面には凹凸が、内部には空洞が多く含まれており、その表面にホウ素が付着している。
柱状酸化マグネシウムの含有量は、熱伝導性フィラーの全重量を100重量%としたときに、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、98重量%以上が特に好ましい。柱状酸化マグネシウムの含有量が90重量%を下回ると、熱伝導性フィラーの熱伝導率が低くなりやすい。
ホウ素の含有量は、B換算で0.1〜1.0重量%の範囲内が好ましく、0.2〜0.9重量%の範囲内がより好ましく、0.3〜0.8重量%の範囲内が特に好ましい。ホウ素の含有量が0.1重量%を下回ると熱伝導性フィラーが脆くなり上記のような高い平均アスペクト比になりにくく、1.0重量%を上回ると酸化マグネシウムに対するホウ酸の割合が高くなるため熱伝導性フィラーの熱伝導率が低くなりやすくなる。ここでいうホウ素の含有量とは、熱伝導性フィラーの全重量を100重量%としたときに、熱伝導性フィラーに含まれるホウ素の割合(重量基準)を意味する。
熱伝導性フィラーの平均長径は、好ましくは1.0〜10.0μmの範囲内であり、より好ましくは2.4〜4.0μmの範囲内であり、さらに好ましくは2.5〜3.8μm、特に好ましくは2.7〜3.6μmである。平均長径が1.0μm下回ると熱伝導率が低くなりやすくなり、平均長径が10.0μmを超えると熱伝導性フィラーが折れやすくなる。
熱伝導性フィラーの平均長径のばらつきとしては、特に制限はないが、平均長径の変動係数が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましいく、10%以下であることが特に好ましい。なお、平均長径の変動係数とは、平均長径に対する平均長径の標準偏差の比で表すことができる。
熱伝導性フィラーのアスペクト比の平均値(以下、「平均アスペクト比」ということがある)は、2以上であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10である。平均アスペクト比が2を下回ると熱伝導パスが短くなるため、熱伝導率が低くなりやすくなるほか、形状が球状に近くなることから比表面積が増加して表面からの水分の吸収量が多くなるため、耐水和性に劣りやすくなる。また、平均アスペクト比の上限は特に制限はないが、20を超えると熱伝導性フィラーが折れやすくなる。なお、ここでいうアスペクト比とは、長径/短径で定義したものであり、平均値とは複数の熱伝導性フィラーのアスペクト比を平均した値を意味する。
熱伝導性フィラーの平均短径は、上記の平均アスペクト比の範囲内に含まれるものであれば特には限定されない。平均短径の具体例としては、0.3〜0.8μmが好ましく、0.4〜0.7μmがより好ましい。
熱伝導性フィラーの平均短径のばらつきとしては、特に制限はないが、平均短径の変動係数が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましいく、10%以下であることが特に好ましい。
なお、上記の平均長径、平均短径、平均アスペクト比は、熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を目視又は自動的に画像処理する方法で得ることができる。熱伝導性フィラーの長径は、熱伝導性フィラーを立方体とみなしたときの長手方向の長さ(長辺の長さ)として測定することができる。また、熱伝導性フィラーの短径は、熱伝導性フィラーを立方体と見立てたときの短手方向の長さ(短辺の長さ)として測定することができる。さらに、「平均」とは、統計学上の信頼性のある個数(N数)の熱伝導性フィラーを測定して得られた平均値を意味し、その個数としては通常は10個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上である。
熱伝導性フィラーのBET比表面積は、特に限定されないが、通常、1.0〜5.0m/gであり、好ましくは1.5〜4.5m/gであり、より好ましくは2.0〜4.0m/gである。BET比表面積が1.0m/gを下回ると、融着、凝集をおこしやすくなり、5.0m/gを上回ると表面積が大きくなりすぎて耐水和性に劣りやすくなる。
熱伝導性フィラーとしては、その他の元素や化合物を含んでもよく、例えば酸化物換算で、CaO、SiO、Al、Fe、NaSOなどを含んでもよい。
<熱伝導性フィラーの製造方法>
上記の熱伝導性フィラーは、原料である塩基性硫酸マグネシウムとホウ素又はホウ素化合物とを混合する混合工程と、混合後の混合物を焼成する焼成工程と、を経ることで製造することができる。以下、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法について説明する。
(1)原料・助剤
原料である塩基性硫酸マグネシウムは、化学式がMgSO・5Mg(OH)・3HOで表される化合物であり、形状がウィスカー状(針状、繊維状ともいう)である。塩基性硫酸マグネシウムは、平均繊維長が5〜50μm、平均繊維径が0.1〜1.0μm、繊維長/繊維径で定義されるアスペクト比の平均値(平均アスペクト比)が2〜50のものが好ましい。塩基性硫酸マグネシウムの平均アスペクト比が2を下回ると、得られる熱伝導性フィラーの平均アスペクト比も低くなり、熱伝導率や耐水和性が劣るものとなりやすい。また、塩基性硫酸マグネシウムの平均アスペクト比が50を上回るものは、製造自体が困難である。
塩基性硫酸マグネシウムは、水酸化マグネシウムと硫酸とを原料として生成することができる。具体的には、硫酸マグネシウム水溶液に水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを分散させて水熱反応させる方法、可溶性硫酸塩含有水溶液に酸化マグネシウム粉末を分散させた分散液を加熱反応させて繭状物を生成させ、これを強い剪断力で解砕する方法、塩基性硫酸マグネシウムの種粒子と水酸化マグネシウム粒子とを分散させた分散液を硫酸マグネシウム水溶液に混合して加熱することで塩基性硫酸マグネシウムを種粒子の表面に析出させる方法などを挙げることができる。
ホウ素又はホウ素化合物は、助剤として配合される成分である。ホウ素又はホウ素化合物としては、ホウ素のほか、ホウ酸(HBO)、ホウ砂(Na(OH)・8HO)などを挙げることができる。ホウ素又はホウ素化合物は、塩基性硫酸マグネシウムに含まれる酸化マグネシウムに対して、HBO換算で0.5〜8.0重量%の割合で含まれるように混合することが好ましい。ホウ素又はホウ素化合物の配合量が0.5重量%を下回ると、熱伝導性フィラーに含まれるホウ酸の量が少なくなるため、焼成後に得られる熱伝導性フィラーが脆くなり上記のような高い平均アスペクト比になりにくい。また、ホウ素又はホウ素化合物の配合量が8.0重量%を上回ると、焼成後に得られる熱伝導性フィラーに含まれる酸化マグネシウムに対するホウ酸の割合が高くなり、ホウ酸が隣り合った熱伝導性フィラーどうしを接着するため、酸化マグネシウムの分散性が悪くなる。
(2)混合工程
原料の塩基性硫酸マグネシウムと助剤のホウ素又はホウ素化合物とを、公知の方法で混合する工程である。原料と助剤の混合方法としては、乾式混合、湿式混合のいずれでもよいが、ホウ酸を酸化マグネシウムの表面に均一に付着させやすいことから、湿式混合が好ましい。乾式混合では、塩基性硫酸マグネシウム粉末とホウ素又はホウ素化合物の粉末とを袋などに入れて手作業で混合する方法や、公知のミキサーを用いて機械的に混合する方法を挙げることができる。湿式混合では、ホウ素又はホウ素化合物を水などの溶媒に溶解し、これに塩基性硫酸マグネシウム粉末を混合して撹拌し、ろ過・脱水・乾燥する方法を挙げることができる。撹拌時間、撹拌温度などの条件は適宜設定することができるが、例えば撹拌時間は5〜60分間、撹拌温度は10〜40℃の範囲内とすることができる。
(3)焼成工程
混合工程で得られた混合物を高温で焼成する工程である。焼成は、電気炉、ガス炉などの公知の装置を用いて行うことができる。焼成温度は500〜1300℃の範囲内で適宜設定することができるが、好ましくは600〜1200℃の範囲内であり、より好ましくは700〜1100℃の範囲内である。焼成温度が500℃を下回ると、焼成が不十分で硫酸や水が残りやすくなる。また、焼成温度が1300℃を上回ると、平均アスペクト比の高い結晶が得られにくい。
焼成は、昇温速度150〜250℃/時間の範囲内で800℃前後まで昇温する第一昇温ステップと、昇温速度50〜150℃/時間の範囲内で1100℃前後まで昇温する第二昇温ステップと、第二昇温ステップの後に冷却又は自然放冷する降温ステップと、を有することが好ましい。このように昇温・降温することで、平均アスペクト比の高い柱状の熱伝導性フィラーを製造することができる。
上記の焼成により、塩基性硫酸マグネシウムからは酸化マグネシウムが、ホウ素又はホウ素化合物からはホウ酸が生成する。また、ウィスカー状の塩基性硫酸マグネシウムから硫酸根や水が抜けて表面に凹凸が、内部に空洞が形成される。ホウ酸は、酸化マグネシウムの表面の凹凸に付着して表面層を形成したり、内部の空洞壁に付着して空洞を充填したりすることで、柱状の酸化マグネシウムを補強する機能を有する。このため、焼成の際に柱状の酸化マグネシウムが脆く砕けにくくなり、平均アスペクト比の高い熱伝導性フィラーを得ることができる。さらに、柱状酸化マグネシウムの表面をホウ酸がコーティングすることで、耐水性を高めている。また、ホウ酸は、例えば酸化ケイ素(SiO)のような他の酸化物と比べて融剤(助剤)として作用し、柱状(針状)の酸化マグネシウムが形成されやすく好適である。
<熱伝導性樹脂組成物>
上記の熱伝導性フィラーは、樹脂に配合して樹脂組成物の熱伝導性を高めることができる。以下、本発明の熱伝導性樹脂組成物(以下、単に「熱伝導性樹脂組成物」という)について説明する。
熱伝導性樹脂組成物に配合される樹脂の種類としては、用途などに応じて適宜設定することができるが、例えば、オレフィン樹脂やアクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂でもよく、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂でもよい。各成分の配合量は、熱伝導性フィラーが酸化マグネシウム換算で1〜60体積%、樹脂が40〜99体積%である。熱伝導性フィラーの配合量が1体積%を下回ると、得られる樹脂組成物の熱伝導率が低くなりやすく、60体積%を上回ると熱伝導性フィラーの割合が高くなるため製造コストが上がるほか、樹脂特性に悪影響を及ぼしやすくなる。
熱伝導性樹脂組成物は、樹脂と熱伝導性フィラーを公知の方法で混合することで製造することができる。また、得られた熱伝導性樹脂組成物は、押出成形など公知の方法で成形し、所望の形状に加工することができる。
熱伝導性樹脂組成物は、各種物品に適用することができるが、特に高い熱伝導率が求められる物品に対して好適に使用することができる。このような物品としては、例えば自動車分野では排ガスバルブ、ランプソケット、各種電装部品を挙げることができる。また、電子機器分野では、ヒートシンク、ダイパッド、プリント配線基板、半導体パッケージ用部品、冷却ファン用部品、ピックアップ部品、コネクタ、スイッチ、軸受け、ケースハウジングなどを挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
1.湿式混合による熱伝導性フィラーの作製(実施例1、比較例1)
(1)使用原料及び助剤
(a)原料:塩基性針状硫酸マグネシウム(MgSO・5Mg(OH)・3HO)・・・宇部マテリアルズ(株)モスハイジ(平均繊維長15μm、平均繊維径1μm、平均アスペクト比15)
(b)助剤:ホウ酸(HBO)・・・シグマアルドリッチジャパン(株)試薬特級
(2)混合工程(湿式混合)
ビーカーに純水500mLを入れ、助剤のホウ酸を表1の添加量で添加して溶解した。なお、助剤の添加量は、酸化マグネシウム(MgO)換算で計算した。次に、溶解後の溶液に原料の塩基性硫酸マグネシウムを30g入れ、マグネットスターラ―を使用して室温で30分攪拌した。最後に、真空濾過機を用いて溶液をろ過・脱水して粉末とし、乾燥機を使用して120℃、12時間で粉末を乾燥して混合物を得た。
(3)焼成工程
混合工程で得られた混合物20gを箱型電気炉(中外プロックス製 N100/H)に入れ、焼成を行った。焼成パターンは、室温スタートの後、昇温速度200℃/時間で800℃まで昇温し、続いて昇温速度100℃/時間で1100℃まで昇温した。この温度で1時間保持し、自然放冷して室温まで降温して熱伝導性フィラー(実施例1−1〜1−5)を得た。また助剤のホウ酸を添加せずに上記工程と同様の工程を実施し比較例の酸化マグネシウムを生成した(比較例1)。
(4)物性の測定
得られた熱伝導性フィラー(実施例1−1〜1−5、比較例1)のそれぞれについて、成分組成、BET比表面積、平均短径、平均長径、平均アスペクト比を測定した。測定方法は以下のとおりである。得られた物性値を表1に示した。また、ホウ酸添加量0重量%(比較例1)、0.5重量%(実施例1−1)、2.0重量%(実施例1−3)、4.0重量%(実施例1−4)、8.0重量%(実施例1−5)で得られた熱伝導性フィラーのSEM写真を図1に示した。
(a)フィラー組成(成分組成):酸化マグネシウムはEDTA滴定法、その他組成はICP法を用いて分析した。
(b)BET比表面積:一点法で測定した。
(c)平均短径:画像解析ソフト(Mac-view:(株)マウントテック製)を使って短径を測定し、複数の粒子数の測定結果の平均値を求めた。
(d)平均長径:画像解析ソフト(Mac-view:(株)マウントテック製)を使って長径を測定し、複数の粒子数の測定結果の平均値を求めた。
(e)平均アスペクト比:画像解析ソフト(Mac-view:(株)マウントテック製)を使って柱状酸化マグネシウム各粒子の長径/短径の平均値を求めた。
Figure 0005993787
以上の結果から、ホウ酸添加量が0.5〜8.0重量%の実施例は、得られる熱伝導性フィラーのホウ素含有量が0.1〜1.0重量%の範囲内となり、平均長径が1.0μm以上、平均アスペクト比が3を超えることがわかった。また、ホウ酸添加量が0.5重量%(実施例1−1)ではBET比表面積が3.0m/gを超えており、平均アスペクト比も約3.1と比較的低い値であったが、ホウ酸添加量が1.0重量%以上(実施例1−2〜1−5)ではBET比表面積が2.4〜2.7m/gとおおむね一定に推移しており、平均アスペクト比は4.0以上となっている。さらに、SEM写真からも、ホウ酸添加量が1.0重量%以上では、アスクペクト比の高い熱伝導性フィラーが多く含まれていることがわかった。このことから、これらの実施例の中でも、ホウ酸添加量は1.0重量%以上(実施例1−2〜1−5)がより好ましく、2.0重量%以上(実施例1−3〜1−5)が特に好ましいことがわかった。
(5)耐吸湿性の評価
ホウ酸添加量2重量%(実施例1−3)と未添加(比較例1)について、耐吸湿性の評価を行った。評価方法は、まず、熱伝導性フィラーのサンプル3gを磁性皿に入れ、温度60℃、湿度90%の恒温恒湿槽にサンプル入りの磁性皿を入れて48時間保持した。恒温恒湿槽から磁性皿を取り出し、サンプルの重量増加率を測定した。重量増加率=(保持後の重量増加分(g)/最初のサンプル量(3g))×100(%)で計算した。
その結果、比較例1のサンプルでは重量増加率が2.41%だったのに対して、実施例1−3のサンプルでは重量増加率が0.52%と大幅に減少した。このことから、ホウ酸を含む熱伝導性フィラーは、耐吸湿性が高くなることがわかった。
2.乾式混合による熱伝導性フィラーの作製(実施例2)
上記の「1.湿式混合による熱伝導性フィラーの作製(実施例1)」の混合工程において、原料と助剤の混合を、袋に原料の粉末と助剤の粉末とを添加し、袋を振って混合を実施した以外は実施例1と同じ条件で熱伝導性フィラーを作製した。ホウ酸添加量0.5重量%(実施例2−1)、2.0重量%(実施例2−2)で得られた熱伝導性フィラーのSEM写真を図2に示した。なお、この図には、比較のため実施例1の湿式混合で得られたSEM写真も示している。
この結果から、乾式混合(実施例2)と湿式混合(実施例1)のいずれにおいても柱状の熱伝導性フィラーが得られることがわかった。また、乾式混合と湿式混合を比較すると、湿式混合のほうが乾式混合よりも柱状に長くなっている熱伝導性フィラーの数が多い傾向にある。したがって、平均アスペクト比の高い熱伝導性フィラーを得るという観点からは、湿式混合のほうが乾式混合よりも好ましいと考えられる。
3.ホウ砂を助剤とした熱伝導性フィラーの作製(実施例3)
上記の「1.湿式混合による熱伝導性フィラーの作製(実施例1)」の助剤としてホウ砂(Na(OH)・8HO)(片山化学工業(株)試薬特級)を用い、添加量を3.06重量%とした以外は実施例1と同じ条件で熱伝導性フィラーを作製した。得られた熱伝導性フィラーは、平均短径0.65μm、平均長径2.65μmで平均アスペクト比が4.2であった。熱伝導性フィラーのSEM写真を図3に示した。なお、この図には、比較のため、ホウ酸2.0重量%を添加して湿式混合で製造した実施例1−3のSEM写真も示している。
この結果から、ホウ酸に替えてホウ砂を用いても柱状の熱伝導性フィラーを作製することができることがわかった。
4.樹脂組成物の作製(実施例4)
(1)混練に使用した物質
(a−1)熱伝導性フィラー(実施例4):実施例1−3(ホウ酸:MgO換算で2.0重量%添加品)
(a−2)粒状フィラー(比較例2):宇部マテリアルズ(株)製酸化マグネシウム (平均粒径10μm、平均アスペクト比1.4)
(b)樹脂:エチレンエチルアクリレート(EEA)(日本ユニカー(株)DPDJ-6169BKC)
(2)樹脂とフィラーの混練
熱伝導性フィラー(実施例4)と粒状フィラー(比較例1)のそれぞれについて、EEA樹脂:フィラー=50体積%:50体積%とEEA樹脂:フィラー=75体積%:25体積%(実施例4−2)の2つの配合比で樹脂と混練した。混練は、混練装置(東洋精機 LABO PLASTMILL 10D100−01)を用い、160℃、10分間を行った。混練物を180℃でヒートプレスして120mm×120mm×3mmTの試験片を作製した。
(3)熱伝導率評価
評価装置として、非定常法細線加熱法(京都電子(株) QTM−500)を使用した。装置メーカーの標準サンプルの石英基板の上に試験片を乗せ、試験片の熱伝導率を測定した。その結果を図4に示す。
この結果から、柱状の熱伝導性フィラー(実施例4)は、粒状のフィラー(比較例2)と比べて、樹脂組成物の熱伝導率が向上していることがわかった。具体的には、熱伝導性フィラーの配合量が50体積%では約1.6W/m・Kの非常に高い熱伝導率とすることができ、20体積%であっても1.0W/m・K以上と比較的高い熱伝導率とすることができた。また、柱状の熱伝導性フィラーは、粒状のフィラーの約半分の添加量で同等の熱伝導率を示すことがわかった。このことから、平均アスペクト比の高い熱伝導性フィラーを使用することで、樹脂組成物の熱伝導率を向上させ、樹脂組成物の軽量化を図ることができることがわかった。

Claims (6)

  1. 柱状酸化マグネシウム及びホウ素を少なくとも含み、
    前記ホウ素の含有量がB 換算で0.1〜1.0重量%であり、
    長径/短径で定義されるアスペクト比の平均値が2以上であることを特徴とする熱伝導性フィラー。
  2. 平均長径が1.0〜10.0μmであることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性フィラー。
  3. 前記ホウ素は、前記柱状酸化マグネシウムの表面を覆うように付着して前記柱状酸化マグネシウムに含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性フィラー。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の熱伝導性フィラーの製造方法であって、
    ウィスカー状の塩基性硫酸マグネシウムとホウ素又はホウ素化合物とを混合する混合工程と、
    前記混合後の混合物を500〜1300℃で焼成する焼成工程と、
    を含むことを特徴とする熱伝導性フィラーの製造方法。
  5. 前記混合工程は、前記ホウ素又はホウ素化合物を溶媒に溶解し、前記塩基性硫酸マグネシウムを前記溶解後の前記溶媒に混合する湿式混合工程であることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
  6. 柱状酸化マグネシウム及びホウ素を少なくとも含み、前記ホウ素の含有量がB 換算で0.1〜1.0重量%であり、長径/短径で定義されるアスペクト比の平均値が2以上である熱伝導性フィラーを酸化マグネシウム換算で1〜60体積%、樹脂を40〜99体積%含有することを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
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