JP5991669B2 - 動力工具 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源が出力する回転を変速させる変速機構部と、変速機構部の変速比を切り替えるために操作される変速切替え操作部とを備えた動力工具に関する。
この種の動力工具の一例である電動工具は、駆動源となるモーターと、モーターが出力する回転を変速させる変速機構部と、変速機構部で変速された変速比で回転する駆動軸と、変速機構部における変速比を切り替えるために操作される変速切替え操作部とを備えている(例えば特許文献1〜4)。例えば特許文献1に記載の電動工具では、変速パドル(変速切替え操作部)をスラスト軸周り方向に回動操作して変速切換えリングを回動させることにより、変速切換えリングに形成された傾斜カムで押しピンをスラスト軸方向に押し、この押しピンに押されたコイルばねのスラスト軸方向の付勢力がリングギア(変速用の歯車)に与えられる。そして、リングギアがスラスト軸方向に移動して噛み合う歯車が変更されることで、変速機構部が切り換えられる。
実用新案登録第3175818号公報(例えば請求項1、明細書段落[0008]、[0015]、図1〜図4、図8〜図13等) 実開昭62−65175号公報 実開平5−80611号公報 特開2009−125909号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電動工具では、変速パドルをスラスト軸周り方向に回動操作したときに、リングギア(変速用の歯車)と、噛み合うべき歯車とが、互いの歯部の山部(凸部)と山部とが周方向に一致していると、山部同士が当たってリングギアがスラスト軸方向へ移動できなくなる。このとき、変速パドルを切り換え位置(操作位置)まで操作するためには、リングギアと歯車との各歯部の山部同士が当たった状態でばねを圧縮させつつ押しピンを傾斜カムの切り換わるまで押し込む操作が必要なので、変速パドルの操作性が良くなかった。
また、変速パドルが切換え位置まで操作されたときには変速切換えリングの傾斜カムが切り換えられ、押しピンをスラスト軸方向に移動させてばねを圧縮させているので、リングギアはスラスト軸方向へ比較的強く付勢された状態にある。このようにリングギアと歯車との各々の歯部の山部と山部とが比較的強く当たった状態では、モーターが駆動されて変速機構部が回転し始めても、リングギアと歯車とがスムーズに噛み合わない虞があった。つまり、電動工具のモーターが駆動されて変速機構部が回転し始めても、変速切り換えがスムーズに行うことができない場合が発生する。このため、変速切替え時の操作性の改善と変速用の歯車の噛み合いをスムーズに行うことができる電動工具が要望されている。もちろん、上記の課題は、電動工具に限らず、例えば空圧で駆動される空圧式工具、又は油圧で駆動される油圧式工具などを含む動力工具において共通の課題である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、変速切替え操作部を変速先の操作位置に操作する際の操作性が良く、しかも変速用の歯車を変速のため噛み合わせるべき歯車にスムーズに噛み合わせることが可能な動力工具を提供することにある。
上記目的を達成するために動力工具は、スラスト軸周りに出力軸を回転させる動力源と、前記出力軸の回転出力を、複数の変速比に可変させる歯車列を有し、当該歯車列の噛み合わせを切り替えて変速する変速機構部と、を有する動力工具において、前記スラスト軸周り方向に回動し、前記歯車列の噛み合わせを切り替えるために操作される変速切替え操作部と、前記変速切替え操作部を操作位置に保持する保持ばねと、前記変速切替え操作部の回動に合わせて、所定の変速比となるよう前記歯車列を構成する変速用の歯車を前記スラスト軸方向に動かす歯車作動機構部と、前記変速切替え操作部の回動に合わせて前記歯車作動機構部を、前記変速用の歯車を前記スラスト軸方向に動かして噛み合う歯車を切り換える方向に付勢させる付勢機構部と、を備え、前記付勢機構部は、前記変速切替え操作部に係合し、前記スラスト軸周り方向に付勢する回動付勢機構であって、当該スラスト軸周り方向の付勢力によって、前記歯車作動機構部をスラスト軸方向に動かし、前記変速用の歯車が噛み合う方向に付勢させている。
上記の動力工具において、前記付勢機構部は、前記変速切替え操作部に係合し、前記スラスト軸周り方向の回動をスラスト軸方向の動作に変更すると共に、当該スラスト軸方向に付勢するスラスト付勢機構であって、当該スラスト軸方向の付勢力によって、前記歯車作動機構部をスラスト軸方向に動かし、前記変速用の歯車を噛み合う方向に付勢させることが好ましい。
上記の動力工具において、前記変速用の歯車は内歯車であり、前記スラスト付勢機構は、前記変速切替え操作部と係合するとともに前記スラスト軸周り方向に弾性変形可能なばねと、前記変速切替え操作部と前記ばねを介して係合する状態で前記内歯車の外周側に配置された変速切換え部材と、前記変速切換え部材の回動を前記歯車作動機構の前記スラスト軸方向の移動に変換可能な変換機構と、を備えたことが好ましい。
上記の動力工具において、前記変速用の歯車は内歯車であり、前記スラスト付勢機構は、前記変速切替え操作部と係合する移動部材と、前記変速切替え操作部のスラスト軸周り方向の操作を前記移動部材の前記スラスト軸方向への移動に変換する変換部と、前記移動部材に固定された状態で前記内歯車の外周側に配置された線ばねと、前記線ばねの前記移動部材と反対側の部分が前記内歯車の外周部に係止されていることが好ましい。
本発明によれば、変速切替え操作部を操作して変速用の歯車の噛み合いを変更する変速時に、変速用の歯車の噛み合いをスムーズに変更できる。
第1実施形態における電動工具の部分側断面図。 電動工具における変速切替え操作部の周辺を示す部分平面図。 (a)〜(d)は変速操作部の操作位置と速度モードとの対応関係を示す模式図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す側断面図。 1速モードにおける変速機構部及び変速切替機構部を示す側断面図。 3速モードにおける変速機構部及び変速切替機構部を示す側断面図。 4速モードにおける変速機構部及び変速切替機構部を示す側断面図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す斜視図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す分解斜視図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す正断面図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す側面図。 図11と操作部の操作位置が異なる状態における同じく側面図。 第2実施形態における変速機構部及び変速切替機構部を示す斜視図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す側面図。 変速機構部の要部及び変速切替機構部を示す平面図。 変速機構部の要部及び変速切替機構部を示す分解斜視図。 変速機構部及び変速切替機構部を示す正断面図。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。なお、図1は、電動工具の本体ハウジングの一部を取り除いた状態を示している。
図1に示すように、本実施形態の動力工具の一例としての電動工具11は、片手で把持可能な手持ち式であり、例えばコンクリート用電動式ドライバーとして使用される。電動工具11の外装を形成する本体ハウジング12は、有底筒形状の胴部13(但し、図1では奥側半分のみ図示)と、胴部13からその軸線に対して交差する一方向(図1では下方)に延出するハンドル部14とを有している。
胴部13内の基端部側(図1では左端部側)の位置には、モーター15がその回転軸線を胴部13の軸線に一致させ、かつその出力軸16が胴部13の先端側となる向き(図1では右向き)に配置されている。このモーター15は、例えばブラシモーター又はブラシレスモーターである。モーター15の出力軸側(図1では右側)に隣合う位置には、モーター15の出力軸16の回転を入力して変速(減速)する変速機構部17(例えば減速機構部)が配置されている。
図1に示す変速機構部17は、モーター15から入力した回転を減速して、その減速した回転を胴部13の先端部(図1では右端部)側に収容されている動力伝達機構部18に出力する。動力伝達機構部18は、変速機構部17から減速された回転を入力し、駆動軸20に回転出力として伝達する。動力伝達機構部18は、駆動軸20に設定以上の負荷がかかると、駆動軸20への動力の伝達を遮断する動力遮断機構(トルクリミッター)及び電動工具11の停止状態の下で駆動軸20を回転不能にロックするロック機構等を備えている。動力伝達機構部18は、胴部13の先端部側に設けられた回転出力部19に回転を伝達する。
回転出力部19の先端部から突出している駆動軸20(回転軸)には、先端工具21が着脱可能に装着される。本例の駆動軸20は先端部が筒状で、その内周面と外周面とにねじ部20a(但し外周面側のみ図示)が形成され、先端工具21はそのうち一方のねじ部20aに螺着される。電動工具11が駆動されると、先端工具21は回転出力部19と同軸回転する。なお、駆動軸20における先端工具21の取着部は、ねじ部20aに替えチャック部でもよい。
図1に示すように、ハンドル部14には、電動工具11を駆動させるときにユーザにより操作されるトリガーレバー22(操作レバー)が設けられている。そして、ハンドル部14内においてトリガーレバー22と対応する位置には、トリガーレバー22の操作に応じてオン/オフが切り換えられるトリガースイッチ23が配設されている。また、電動工具11には、先端工具21の回転方向の正逆を切り替えるときにユーザにより操作される切替レバー24(正逆指示レバー)が設けられている。さらに電動工具11には、変速機構部17の変速を切り換えるための複数(一例として2つ)の変速切替え操作部25,26が設けられている。
また、図1に示すように、ハンドル部14の下端部には、略四角箱状の収容ケースからなる電池パック装着部27が着脱可能に装着されている。電池パック装着部27の内部には、二次電池である電池パック28(バッテリパック)が収容されている。本例の電動工具11は、電池パック28を駆動用電源とする充電式である。
この電動工具11は、電池パック28から供給される電力で回転するモーター15の出力を、2つの変速切替え操作部25,26の操作位置に応じて選択された減速比で変速機構部17により減速し、その減速された回転速度及びトルクで駆動軸20を駆動する。なお、本実施形態の変速機構部17は、円筒状のギアケース29内に4段式の変速歯車機構30(図4参照)を備え、2つの変速切替え操作部25,26の操作位置の組合せにより、4段のうちから所望する1つの変速比が選択される。
また、図1に示すように、ハンドル部14内の下端近傍位置には、制御基板Cが配設されている。制御基板Cは、モーター15の制御などを司り、トリガースイッチ23及び配線23aを介してモーター15と電気的に接続されている。また、切替レバー24の操作により切り換えられるスイッチも制御基板Cに接続されている。このため、ユーザーがトリガーレバー22を押し込み操作すれば、そのときの切替レバー24の操作位置に応じた回転方向にモーター15が回転駆動する。また、ユーザがトリガーレバー22を押し込み操作すれば、そのときの変速切替え操作部25,26の操作位置の組合せに応じた減速比でモーター15の回転が変速機構部17により減速され、その減速された速度で駆動軸20は回転する。なお、動力伝達機構部18は、駆動軸20にかかる負荷が設定負荷を超えると、ハンマーがばねの付勢力により駆動軸20の基端部を叩くことで、駆動軸20に高トルクを出力させるハンマー機能を備えたものでもよい。
また、図1に示すように、変速機構部17のギアケース29の外周側には、変速機構部17を所定の減速比に切り替える際に、2つの変速切替え操作部25,26(以下、単に「操作部25,26」ともいう。)の操作力を、変速機構部17内の変速歯車機構のうちの対応する変速用の歯車に伝達可能な2つの変速切替機構部31,31が設けられている。操作部25,26毎に設けられている変速切替機構部31,31は、図1に示す操作部25,26と変速機構部17との間に介在する変速切換え部材の一例としての半リング板状の変速切換え板32を有する。変速切換え板32は、操作部25,26の操作に連動してギアケース29の外周面に沿ってスラスト軸周り方向に所定角度範囲内で往復回動可能となっている。変速切替機構部31は、操作部25,26のスラスト軸周り方向の回動操作力を、スラスト軸方向の力に変換して変速機構部17内の変速用の歯車に伝達する機能を有する。
図2に示すように、2つの操作部25,26は、本体ハウジング12の上面(図2における手前側の面)に形成された2つの矩形状の開口部13aからそれぞれノブ部25a,26a(操作凸部)を露出させた状態で、胴部13の長手方向(スラスト軸方向)(図2における上下方向)に並んで配置されている。各ノブ部25a,26aは開口部13a内で周方向(図2では左右方向)に操作可能となっており、それぞれ図2の左右方向における2つの操作位置に切替え操作可能となっている。
図2における上側の操作部25のノブ部25aは、「ON」と「OFF」の2つの操作位置に切換え操作可能となっており、下側の操作部26のノブ部26aは「1段」と「2段」の2つの操作位置に切換え操作可能となっている。2つのノブ部25a,26aの操作位置の組合せにより、変速機構部17の4段(4速)の変速が可能となっている。
詳しくは図3(a)に示すように、上側のノブ部25aを「OFF」、下側のノブ部26aを「1段」にそれぞれ操作した状態では、1速モード(1段ギア)が選択される。また、図3(b)に示すように、上側のノブ部25aを「OFF」、下側のノブ部26aを「2段」にそれぞれ操作した状態では、2速モード(2段ギア)が選択される。さらに図3(c)に示すように、上側のノブ部25aを「ON」、下側のノブ部26aを「1段」にそれぞれ操作した状態では、3速モード(3段ギア)が選択される。また、図3(d)に示すように、上側のノブ部25aを「ON」、下側のノブ部26aを「2段」にそれぞれ操作した状態では、4速モード(4段ギア)が選択される。なお、1速モードと2速モードは高トルク低速回転であり、3速モードと4速モードは低トルク高速回転である。
次に図4を参照しつつ、変速機構部17及び変速切替機構部31について説明する。まず、図4を用いて変速機構部17の構成について説明する。
図4に示すように、変速機構部17内に収容された変速歯車機構30は、4段の遊星歯車機構33〜36を有している。初段(1段目)の遊星歯車機構33は、モーター15の出力軸16と一体回転可能に取り付けられた太陽ギア41、内歯車の一例としてのリングギア42(アウターギア)、複数(本例では3個)の遊星ギア43及び各遊星ギア43を保持するキャリア44で構成されている。2段目の遊星歯車機構34は、太陽ギア41と一体回転可能に設けられた太陽ギア45と、スラスト軸方向に移動可能なリングギア42、内歯車の一例としてのリングギア46(アウターギア)、複数(本例では3個)の遊星ギア47及びキャリア48で構成される。3段目の遊星歯車機構35は、キャリア48に一体に設けられた太陽ギア49、リングギア46、複数(本例では6個)の遊星ギア50及びキャリア51で構成される。さらに4段目の遊星歯車機構36は、キャリア51に一体に設けられた太陽ギア52、リングギア53、リングギア54、複数(本例では6個)の遊星ギア55及びキャリア56で構成されている。
なお、図4に示すように、キャリア56の出力は、このキャリア56から突設された連動ピン57と、駆動軸20の外周に配されたロック板58、そしてロック板58と連動ピン57との間に位置するロック部材(図示せず)を通じて駆動軸20に伝達される。これらの連動ピン57、ロック板58及びロック部材は、ロックリング59と共に、モーター15を停止させたとき、駆動軸20をギアケース29に対して固定する機能を有する。また4段目の遊星歯車機構36における2つのリングギア53,54は、常時は回転不能の状態にあり、締め付けトルクが設定トルクを超えると回転を始めて駆動軸20への動力伝達をカットし、締め付けトルクを制限するトルクリミッターの一部材ともなる。
1段目の遊星歯車機構33におけるリングギア42は、軸回りの回転が不能に且つ軸方向に移動可能な状態で設けられている。このリングギア42の軸方向後部側(図4では左側部分)の内周面には、1段目の遊星歯車機構33における遊星ギア43(図8参照)と噛合可能な歯部42aを有し、その軸方向前部側(図4では右側部分)の内周面には2段目の遊星歯車機構34における遊星ギア47と噛合可能な歯部42bを有している。
また、2段目のリングギア46は、軸回りの回転が自在に且つ軸方向に移動可能な状態で設けられている。このリングギア46の内周面に形成された歯部46aは、リングギア46が軸方向後側(図4では左側)に移動したときに、2段目の遊星歯車機構34におけるキャリア48の外周部の歯部と噛合可能であり、リングギア46が軸方向前側(図4では右側)に移動したときに、3段目の遊星歯車機構35における遊星ギア50と噛合可能となっている。
次に、図4〜図7を用いて変速機構部17の変速動作について説明する。変速機構部17では、4段の変速歯車機構30においてスラスト軸方向に2位置ずつ取りうるリングギア42,46の4つの位置の組合せにより、1速モード、2速モード、3速モード及び4速モードのうち選択された1つの速度モードに変速される。
図5に示すように、1速モードでは、リングギア42が軸方向前側(図5では右側)に位置して遊星ギア47と噛合し、且つリングギア46が軸方向前側(図5では右側)に位置して遊星ギア50と噛合する状態となる。この状態では、2段目、3段目の遊星歯車機構34,35における減速もなされることから、駆動軸20は1速モードで高トルク低速回転する。
図4に示すように、2速モードでは、リングギア46を1速モード時の位置(軸方向前側位置(図4における右側位置))に保持した状態において、リングギア42が後退(図4における左方向へ移動)して軸方向後側に位置して図8に示すように遊星ギア43と噛合する。この状態では、3段目のみ遊星歯車機構35における減速がなされることから、駆動軸20は2速モードで高トルク低速回転する。
図6に示すように、3速モードでは、リングギア42が軸方向前側(図6では右側)に位置して遊星ギア47と噛合し、且つリングギア46が軸方向後側(図6では左側)に位置してキャリア48と噛合する。この状態では、2段目のみ遊星歯車機構34における減速もなされることから、駆動軸20は3速モードで低トルク高速回転する。
図7に示すように、4速モードでは、リングギア46を3速モード時の位置(軸方向後側位置(図7における左側位置))に保持した状態において、リングギア42が後退(図7における左方向へ移動)し、図8に示すように遊星ギア43と噛合する。この状態では、1段目の遊星歯車機構33におけるキャリア44と3段目の遊星歯車機構35におけるキャリア51とを直結することになる。このため、駆動軸20は4速モードで低トルク高速回転する。なお、減速比を切り換えるための変速歯車機構30の構成は、この例に限るものではなく、他の公知の歯車機構に変更してもよい。
次に、図8〜図11を用いて、変速切替機構部31の構成について説明する。
図8に示すように、各変速切替機構部31は、操作部25,26の裏面部と係合するとともに、ギアケース29の外周面上に周方向(スラスト軸周り方向)にスライド可能な状態で取り付けられた半リング板状の変速切換え板32を備えている。変速切換え板32の長手方向(周方向)両端部にはスラスト軸方向及びスラスト軸周り方向に位置が連続的に変化する傾斜した経路で延びるガイド孔32a(但し、図8では一端部側のみ図示)がそれぞれ形成されている。各変速切換え板32のガイド孔32aには、ギアケース29内から外側へ延出する切換えばね63の両端部63a(但し、図8では一方のみ図示)が内側から外側へ向かって係入されている。また、操作部25,26とギアケース29との間には、操作部25,26を操作位置に保持するための板バネからなるクリックばね62(但し、図8では一方のみ図示)が介装されている。本実施形態では、クリックばね62により、操作部25,26を操作位置に保持するための保持ばねの一例が構成される。
図9は、図8に示す変速機構部17及び変速切替機構部31を一部分解した斜視図を示し、変速機構部17内の変速歯車機構30が見えるようにギアケース29を仮想線で示している。また、図10は、リングギア42の部分で破断した正断面図を示す。図9及び図10に示すように、リングギア42,46の外周面には、円環状の周溝42c,46bが周方向に沿って延びるように凹設されている。各周溝42c,46bには、半環状の線ばねからなる切換えばね63が収容されており、各切換えばね63の両端部63aはそれぞれリングギア42,46の径方向外側へ突出している。
図10及び図11に示すように、切換えばね63の両端部63aは、ギアケース29に形成された開口部29aを通って外側へ突出し、変速切換え板32のガイド孔32aに係入されている。なお、リングギア42の外周面から径方向外側へ向かって略放射状に突出する複数の凸部42dが、ギアケース29の内周面に軸方向と平行に延びるように形成された複数のガイド溝29bと係合し、リングギア42はスラスト軸周り方向の移動が不能で且つスラスト軸方向への移動が可能となっている。
また、図11に示すように、ギアケース29に形成された開口部29aは、切換えばね63の両端部63aに対応する位置で軸方向と平行な方向に、リングギア42,46の移動範囲の長さより若干長く延びている。切換えばね63の両端部63aが開口部29aに沿ってスラスト軸方向に案内されることで、リングギア42,46は切換えばね63と共にスラスト軸方向へ移動するようになっている。
図9に示すように、変速切換え板32の外周面上の周方向中央部に突設された四角枠状の収容部64には、弾性体の一例としてコイルばね65がその弾性変形方向(軸線方向)を周方向に対する接線方向とする向きに配置された状態で収容されている。収容部64にはコイルばね65の軸線方向両端部と対向する位置に、切欠からなる一対の開口64aが形成されている。一方、操作部25,26の裏面には、開口64aを挿通可能な板厚で操作方向(周方向)に沿って延びる一対の板部25b,26bが、周方向に所定の間隔を開けて対向する状態で形成されている。そして、操作部25,26が変速切換え板32に取り付けられた状態では、一対の板部25b,26bの互いに対向する端部が、開口部29aを介してコイルばね65の軸線方向両端部にそれぞれ対向する。
このため、図10に示すように、操作部25,26を一方側へ操作すると、一方の板部25b,26bが開口64aを通ってコイルばね65の一端部を押してコイルばね65を圧縮させる。このとき、操作部25,26の操作力はコイルばね65及び収容部64を介して変速切換え板32に伝達される。このとき、リングギア42,46の歯部42a,42b,46aが、切換え先の噛み合うべき歯車の歯部に対し山部と山部とが当たって移動できなくても、コイルばね65が弾性圧縮することで操作部25,26を所望の操作位置までスムーズに操作することは可能である。
図9に示すように、クリックばね62は、ギアケース29の外周面上部に、変速切換え板32に対し軸方向における隣の位置に固定されている。クリックばね62の長手方向中央部には係止凸部62aが形成されている。一方、操作部25,26の裏面には、その長手方向(周方向)における中央部付近に、2つの係止凹部25c,26cが周方向に所定の間隔を開けた状態で形成されている。そして、操作部25,26を操作して、一対ずつの係止凹部25c,26cのうちそれぞれ一方の係止凹部25c,26cが係止凸部62aと係止することで、操作部25,26は一方の操作位置に保持され、他方の係止凹部25c,26cが係止凸部62aと係止することで、操作部25,26は他方の操作位置に保持される。
図9〜図10に示すように、操作部25,26と変速切換え板32との間にコイルばね65を設け、リングギア42,46と、噛み合わせるべき歯車との噛み合いが歯車同士の接触により完全に行われない場合、コイルばね65により変速切換え板32のガイド孔32aの傾斜を利用してリングギア42,46をスラスト軸方向に付勢する。これにより、スラスト軸周りに出力軸16を回転させる動力発生時に、リングギア42,46をスムーズに歯車に噛み合せて確実に変速することが可能である。
また、コイルばね65を設けることにより変速切換え板32と切換えばね63を通じて歯車同士の噛み合いがスムーズに行われない場合においても、歯車同士の接触抵抗力がコイルばね65により吸収され、操作部25,26の操作性を損なうことなく容易に変速することが可能となる。
次に上記のように構成される変速機構部17の減速比を、操作部25,26の操作に合わせて切換える変速切替機構部31の構成について説明する。
図9に示すように、変速切替機構部31は、操作部25,26を係止により操作位置に保持するクリックばね62と、操作部25,26を操作位置に操作したときの回動量に応じて弾性変形するコイルばね65と、操作部25,26とコイルばね65を介して係合する半リング板状の変速切換え板32とを備えている。
さらに図9に示すように、変速切替機構部31は、リングギア42,46の外周面部の一部と係合してリングギア42,46にスラスト軸方向の力の伝達が可能な半環状の切換えばね63を有している。切換えばね63の両端部63aは、ギアケース29の左右両側部(図9では一方の側部のみ図示)の開口部29aから外側へ突出し、変速切換え板32の長手方向両端部に形成された一対のガイド孔32aに係入されている。ガイド孔32aは、図11に示すように、スラスト軸方向とスラスト軸周り方向との両方向に位置が連続的に変化するように傾斜した孔経路を有し、その両端部は所定長さだけスラスト軸周り方向に延びている。
ガイド孔32aはカムとして機能し、ガイド孔32aに係入された切換えばね63の両端部63aはカムフォロアとして機能する。操作部25,26を例えば図11に示す一方の操作位置から図12に示す他方の操作位置に回動操作すると、変速切換え板32がスラスト軸周り方向に回動し、切換えばね63の両端部63aがガイド孔32aに沿って案内されることで、変速切換え板32のスラスト軸周り方向の回動が、切換えばね63のスラスト軸方向の移動に変換される。そして、切換えばね63がスラスト軸方向へ移動することで、その移動するときの力がリングギア42、46に伝達され、リングギア42、46がスラスト軸方向に移動する。このように本実施形態では、ガイド孔32a及び切換えばね63の両端部63aにより、変換機構の一例が構成される。また、変速切換え板32及びコイルばね65により、付勢機構部の一例、回動付勢機構の一例及びスラスト付勢機構の一例が構成される。さらに切換えばね63、開口部29a及び周溝42c,46b等により、歯車作動機構部の一例が構成される。
次に、上記のように構成された電動工具11の作用を説明する。
トリガーレバー22を操作することで、電動工具11が駆動されて駆動軸20が回転し、これにより駆動軸20に装着された先端工具21が回転することで、先端工具21に応じた作業が行われる。例えば先端工具21がドライバービットであればドライバーによるコンクリート用ネジの締め付けが行われ、ドリルビットであればドリルによるコンクリートの穿孔などが行われる。
このトリガーレバー22の操作時には、モーター15の出力軸16の回転が変速機構部17を介して変速(減速)され、その変速された回転が動力伝達機構部18及び回転出力部19に出力され、駆動軸20に装着された先端工具21が回転する。このとき、切替レバー24の選択位置に対応して先端工具21は正転又は逆転する。
この電動工具11を変速させるときは、操作部25,26を操作する。本実施形態の電動工具11は2つの操作部25,26のノブ部25a,26aのうち少なくとも一方の操作位置を切換えることにより、4速モードのうちそれぞれの操作位置の組合せから決まる1つの速度モードが選択される。
例えば変速切換え操作は、電動工具11の駆動停止状態のときに行われる。モーター15の駆動停止状態では、駆動軸20は回転しないため、リングギア42又は46と、その噛み合わせ先の歯車の歯部との間で山部と山部とが一致する場合がある。この場合、山部と山部とが当たると、リングギア42又は46をスラスト軸方向へそれ以上移動できない。本実施形態では、操作部25又は26を操作したときに、図10に示すように、板部25b,26bのうち一方がコイルばね65の長手方向における一方の端部を押すことになるが、リングギア42,46がそれ以上移動できないことから、変速切換え板32がスラスト軸周り方向に移動できない状態の下で、操作部25又は26の回動操作に応じてコイルばね65が圧縮変形する。このため、変速切換え板32はその圧縮変形したコイルばね65によりスラスト軸周り方向に付勢される。つまり、ガイド孔32a及びこのガイド孔32aに端部63aが係入された切換えばね63により、リングギア42又は46はスラスト軸方向に付勢される。
また、操作部25又は26を操作位置へ操作したときには、クリックばね62の係止凸部62aが係止凹部25c又は26cに係止されることで、操作部25又は26は操作位置に保持される。このため、圧縮変形したコイルばね65により変速切換え板32がスラスト軸周り方向に付勢され、且つ切換えばね63及びリングギア42又は46がスラスト軸方向に付勢された状態に保持される。
その後、ユーザがトリガーレバー22を操作すると、モーター15が駆動されてその出力軸16が回転することで変速機構部17に回転が入力される。この回転発生時には、圧縮変形していたコイルばね65によりスラスト軸方向に付勢された状態のリングギア42又は46と、噛み合わせる歯車との山部と山部とが当たった状態から、山部と谷部(凹部)とが一致すると、リングギア42又は46がスラスト軸方向に移動して、リングギア42又は46と噛み合わせる歯車とが噛み合う。このとき、山部と山部とが当たった状態にあるが、圧縮変形したコイルばね65により弾圧されているだけなので、リングギア42又は46と噛み合うべき歯車とはスムーズに噛合する。
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)操作部25,26を操作したときにはクリックばね62によりその操作位置に保持され、その操作位置において圧縮されたコイルばね65により変速切換え板32がスラスト軸周り方向に付勢される。つまり、変速切換え板32が周方向に弾圧され、リングギア42,46が噛み合わせ先の歯車に対して各々の歯部の山部と山部とが当たった状態でスラスト軸方向に弾圧された状態で保持される。このため、その後、トリガースイッチ23を操作してモーター15の駆動が開始された際の変速機構部17の回転発生時には、リングギア42,46がスラスト軸方向に弾圧されているので、リングギア42,46の各歯部が、噛み合うべき歯車の歯部とスムーズに噛合でき、これにより変速機構部17をスムーズに変速させることができる。また、操作部25,26の変速時における操作性も改善できる。
(2)コイルばね65はその軸線がスラスト軸周り方向に対する接線方向と平行となる向きに操作部25,26と係合する状態に配置されているので、操作部25,26をコイルばね65を弾性圧縮を伴って所望の操作位置まで操作することができる。
(3)操作部25,26のスラスト軸周り方向の移動をリングギア42,46のスラスト軸方向の移動に変換する変換機構を採用した。そして、変換機構として、変速切換え板32にスラスト軸方向及びスラスト軸周り方向に位置を連続的に変化させる経路の傾斜状のガイド孔32aと、リングギア42,46の外周面の周溝42c、46bに収容された切換えばね63の端部63aをガイド孔32aに係入させた構成を採用した。このため、電動工具11の変速操作をスムーズに行うことができる。例えば特許文献1に記載の電動工具では、リングブロックが回動されると、押しピンと当たる傾斜カムが切り換えられてしまい、ばねよりスラスト軸方向の比較的強い付勢力が変速内歯車に働く。この場合、変速内歯車と噛み合わせ先の歯車の歯部との山部と山部との当接圧が過度に強くなり易く、これが原因でスムーズな噛み合わせが困難になる。これに対して本実施形態では、リングギア42,46の歯部42bと噛み合わせ先の歯車の歯部との山部と山部とが当たったときには、操作部25,26が操作位置まで操作されても切換えばね63の端部63aがガイド孔32aの傾斜経路内の移動開始位置あるいは移動途中位置にあり、切り換えが行われていない。このため、適度な弾性力でリングギア42,46の歯部42a,42b,46aを、噛み合わせ先の歯車に対し各々の歯部の山部と山部とが当たった状態でスラスト軸方向に付勢することができる。
(4)付勢機構部の一例を構成するコイルばね65は、変速切替え操作部25,26に係合し、変速切換え板32をスラスト軸周り方向に付勢する回動付勢機構の一例を構成する。そして、変速切換え板32のスラスト軸周り方向の付勢力によって、ガイド孔32aと切換えばね63との係合を介して、歯車作動機構部の一例を構成する切換えばね63をスラスト軸方向に動かし、リングギア42,46を噛み合わせ先の歯車と噛み合う方向に付勢させる。よって、変速時における操作部25,26の操作性の改善と、スムーズな変速動作を実現できる。
(5)本実施形態では、変速切替機構部31とコイルばね65が、スラスト付勢機構の一例を構成する。操作部25,26とコイルばね65を介して係合する変速切換え板32は、操作部25,26の操作による変速切換え板32のスラスト軸周り方向の回動を、カムを構成するガイド孔32aとカムフォロアを構成する切換えばね63の両端部63aとの係合を介して、切換えばね63のスラスト軸方向の付勢力に変換する。よって、変速機構部17の回転発生時には、切換えばね63のスラスト軸方向の付勢力によってリングギア42,46をスムーズに噛み合い先の歯車に噛み合わせることができる。
(6)スラスト付勢機構は、コイルばね65と、変速切替え操作部25,26とコイルばね65を介して係合するとともにリングギア42,46の外周側に配置された変速切換え板32と、変速切換え板32の回動を切換えばね63のスラスト軸方向の移動に変換可能な変換機構(ガイド孔32a及び両端部63a)とを備える。各変速切換え板32がリングギア42,46の外周側に配置される構成なので、複数のリングギア42,46が変速用の歯車として設けられた構成でも、その外周側に配置するだけなので、スラスト付勢機構のレイアウトにさほど困らない。また、ガイド孔32a及び切換えばね63の両端部63aにより構成される変換機構により、変速切換え板32のスラスト軸周り方向の回動を切換えばね63のスラスト軸方向の移動に変換できる。
(7)4速の速度モードを実現可能な4段の変速歯車機構30を採用し、2段ずつ変速できるように2つの操作部25,26を設け、操作部25,26毎に変速切替機構部31を設けた。このため、2つの操作部25,26をどの操作位置に操作しても、いつも変速動作をスムーズに行うことができる。
(第2の実施形態)
次に図13〜図17を用いて第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、変速切替機構部の構成が異なる例である。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明は省略し、特に異なる部分のみ説明する。なお、図13、図16及び図17では、変速歯車機構30は変速の際に移動させるリングギア42,46のみを示し、その他の歯車群は省略している。
図13及び図14に示すように、本実施形態における変速切替機構部71は、2つの操作部25,26と変速機構部17との間にそれぞれ介在し、2つの操作部25,26のスラスト軸周り方向の操作力を、変速機構部17内の変速歯車機構30(図4参照)にスラスト軸方向の力として伝達して変速機構部17を変速させる。
変速切替機構部71は、図13に示す操作部25,26と変速機構部17との間に介在する半環状の線ばねからなる切換えばね72を有する。切換えばね72は、ギアケース29の外周面に沿って周方向に延びるように配置されている。図13及び図14に示すように、各切換えばね72は、操作部25,26とその裏面部側で係合するとともに、その長手方向の両端部72aはギアケース29に形成された開口部29aにそれぞれ挿入されている。また、図14及び図17に示すように、切換えばね72の開口部29aに挿入された両端部72aは、リングギア42,46の外周面に凹設された周溝42c,46bに係入されている。
図16に示すように、切換えばね72の上部には周方向に長く延びた直方体形状のガイド部材73が固定されている。ガイド部材73において操作部25,26と対向する面(本例では上面)には、円柱状の凸部73aが突設されている。一方、操作部25,26の裏面における凸部73aと対応する位置には、スラスト軸方向とスラスト軸周り方向との両方向に位置が連続的に変化するように傾斜した溝経路を有するガイド溝25dが形成されている。操作部25,26がギアケース29の上部に取り付けられた状態では、ガイド部材73の凸部73aがガイド溝25d,26dに係入される。また、この取付け状態において操作部25,26の係止凹部25c,26cのいずれかがクリックばね62の係止凸部62aに係止されることで、操作部25,26はそのときの操作位置に保持される。
図14に示すように、ギアケース29の外周面には、ガイド部材73をスラスト軸方向(図14では左右方向)に案内可能なガイドレール部74が設けられている。ガイド部材73はガイドレール部74に沿ってスラスト軸方向に所定範囲を往復移動可能となっている。
図15に示すように、操作部25,26の裏面側に形成されているガイド溝25d,26dは、スラスト軸方向及びスラスト軸周り方向の両方に位置が変化するように周方向に対し斜めの方向に延びている。このため、操作部25,26を周方向に操作すると、ガイド部材73はその凸部73aがガイド溝25d,26dに案内されることによりスラスト軸方向に移動する。このように変速切替機構部71は、操作部25,26のスラスト軸周り方向の操作力を、ガイド部材73の凸部73aがガイド溝25d,26dに沿って移動することで、切換えばね72のスラスト軸方向の力に変換する機能を有する。切換えばね72がスラスト軸方向に移動すると、リングギア42,46も切換えばね72と共に同方向に移動する。
なお、本実施形態では、ガイド部材73の凸部73aがカムとして機能し、ガイド溝25d,26dがカムフォロアとして機能する。そして、ガイド部材73の凸部73aとガイド溝25d,26dとにより、変換部の一例が構成される。また、ガイド溝25d,26d、ガイド部材73及び切換えばね72により、付勢機能部の一例及びスラスト付勢機構の一例が構成される。また、本実施形態では、ガイド溝29b、ガイドレール部74、開口部29a及び周溝42c,46b等により、歯車作動機構部の一例が構成される。
次に電動工具11の作用を説明する。
操作部25又は26のノブ部25a又は26aをスラスト軸周り方向に移動させて所望の操作位置に操作すると、ガイド部材73の凸部73aがガイド溝25d,26dの傾斜経路に沿って案内されることで、ガイド部材73がスラスト軸方向に移動する。このとき、リングギア42,46の歯部42a,42b,46aが変速するために噛合すべき歯車の歯部に対して互いの歯部の山部と山部とが一致していると、歯部同士が当たってリングギア42,46はスラスト軸方向に移動できない。このため、例えば図14に示す状態でリングギア42又は46の周溝42c又は46bに係入された切換えばね72の端部の位置はほぼそのままで、ガイド部材73と固定された上端部がスラスト軸方向(図14では左右方向)へ移動する。これにより切換えばね72は図14の側面視において傾斜して延びるように変形し、この切換えばね72の変形により、リングギア42は、ガイド部材73が移動した方向へ付勢される。つまり、切換えばね72の上部がスラスト軸方向に移動することで、切換えばね72の弾性によりリングギア42又は46がスラスト軸方向に付勢される。
また、操作部25又は26を操作位置へ操作したときには、クリックばね62の係止凸部62aが係止凹部25c又は26cに係止されることで、操作部25又は26は操作位置に保持される。このため、圧縮変形したコイルばね65により変速切換え板32がスラスト軸周り方向に付勢され、かつリングギア42又は46がスラスト軸方向に付勢された状態に保持される。
操作部25,26を所望する速度モードの操作位置にそれぞれ配置すると、ユーザは次にトリガーレバー22を押し込んでモーター15の駆動を開始させる。その出力軸16が回転することで変速機構部17に回転が入力される。この回転発生時には、弾性変形していた切換えばね72によりスラスト軸方向に付勢された状態のリングギア42又は46と、噛み合わせる歯車との山部と山部とが当たった状態から、山部と谷部とが一致すると、リングギア42又は46がスラスト軸方向に移動して、リングギア42又は46と噛み合わせる歯車とが噛合する。このとき、山部と山部とが当たった状態にあるが、圧縮変形したコイルばね65により弾圧されているだけなので、リングギア42又は46と噛み合うべき歯車とはスムーズに噛合する。弾性変形していた切換えばね72によりスラスト軸方向に付勢された状態のリングギア42又は46と、噛み合わせる歯車との山部と山部とが当たった状態から、山部と谷部とが一致すると、リングギア42がスラスト軸方向に移動して、リングギア42又は46と噛み合わせる歯車とが噛合する。このとき、山部と山部とが当たった状態にあるが、圧縮変形したコイルばね65により弾圧されているだけなので、リングギア42又は46と噛み合うべき歯車とをスムーズに噛み合わせることができ、これにより変速機構部17を確実に変速できる。
また、切換えばね72と操作部25,26を通じて歯車同士の噛合わせがスムーズに行われない場合においても、歯車同士の接触抵抗力が切換えばね72の弾性力により吸収され、操作部25,26の操作性を損なうことなく容易に変速することが可能となる。
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるうえ、以下の効果も得られる。
(8)線ばねからなる切換えばね72の弾性力を利用してリングギア42,46をスラスト軸方向へ移動させる構成なので、第1実施形態のように変速切換え板32が要らず、部品点数を少なくして変速切替機構部31を比較的簡単な構成で済ませることができる。
(9)操作部25,26の裏面に、切換えばね72が固定されたガイド部材73をスラスト軸方向に案内するためにその凸部73aが係入されるガイド溝25d,26dを形成し、凸部73aとガイド溝25d,26dとにより変換部の一例を構成した。よって、操作部25,26をスラスト軸周り方向へ回動させると、切換えばね72における操作部25,26と係合したガイド部材73をスラスト軸方向へ移動させ、これにより切換えばね72はリングギア42,46にスラスト軸方向の付勢力を与えることができる。
なお、実施形態は、以下に示す態様でもよい。
・第1実施形態において、変速切替え板32のガイド孔32aに替えて、ガイド用の切欠、あるいは変速切替え板の長手方向両端面に形成したガイド用のカム面としてもよい。これらの切欠又はカム面であっても、操作部25,26の操作に応じて切換えばね63の両端部63aをスラスト軸方向にガイドできる。
・第1実施形態において、ばね性を有する切換えばね63に替え、比較的太く剛性の高いばね性を有しない金属製又は合成樹脂製の線材を用いてもよい。
・第1実施形態において、切換えばねに替え、リングギア42,46と一体成形又は螺着等の公知の固定方法で固定された円柱状の突起を、ガイド孔に係入させる構成でもよい。
・変速切換え部材は、変速切換え板のように半リング板形状に限定されず、例えば逆U字状のブロック部材を用いるなど、その形状は適宜変更してよい。
・変速機構部は、減速機構であることに限定されず、増速機構でもよいし、減速と増速との両方が可能な変速機構でもよい。
・前記実施形態では、4速モードであったが、2速モード(低トルク高速回転・高トルク低速回転)としたり、3速モードとしたり、さらに5速モード及び6速モードを採用することもできる。
・4速モードの電動工具に設けられた2つの変速切替え操作部25,26のうち一方のみをスラスト軸周り方向に回動操作する回動操作方式とし、他方はスラスト軸方向へスライド操作する従来のスライド操作方式としてもよい。その他の多段の変速モードを採用した場合も、複数の変速切替え操作部25,26のうち少なくとも1つに回動操作方式を採用すれば足りる。
・電動工具を充電式としたが、充電式でないタイプのAC電動工具に適用してもよい。
・さらに、電動工具はコンクリート用電動式ドライバーに限られず、モーターを駆動源にする他の電動工具にも同様に適用できる。例えば、電動式のインパクトドライバー、ハンマードリル、インパクトレンチ、丸鋸、ジグソー、スクリュードライバー、振動ドライバー、グラインダ、釘打機などに適用することができる。この場合、電動工具は、コンクリート用に限定されず、対象の材質は、木、プラスチック、金属、セラミックなどでもよい。
・動力工具は電動工具に限定されず、空気圧を動力として駆動される動力工具でもよい。その他、油圧を動力して駆動される動力工具であってもよい。すなわち、動力工具は電気、空気圧、油圧などの公知の方式で得られる動力で駆動されるものであればよい。
11…動力工具の一例としての電動工具、12…ハウジングの一例である本体ハウジング、15…動力源の一例であるモーター、16…出力軸、17…変速機構部、18…動力伝達機構部、19…変速機構部、21…先端工具、25,26…変速切替え操作部、25a,26a…ノブ部、25d,26d…変換部の一例を構成するガイド溝、30…歯車列の一例である変速歯車機構、31…変速切替機構部、32…変速切換え部材の一例としての変速切換え板、32a…ガイド孔、42…変速用の歯車の一例としてのリングギア(内歯車)、42c…周溝、46…変速用の歯車の一例としてのリングギア(内歯車)、46b…周溝、62…保持ばねの一例としてのクリックばね、63…変換機構の一例を構成する切換えばね、65…付勢機構部の一例及び回動付勢機構の一例としてのコイルばね(弾性体)、71…変速切替機構部、72…付勢機構部の一例を構成するとともに線ばねの一例である切換えばね、73…付勢機構部の一例を構成するとともに移動部材の一例としてのガイド部材、73a…変換部の一例を構成する凸部。

Claims (4)

  1. スラスト軸周りに出力軸を回転させる動力源と、
    前記出力軸の回転出力を、複数の変速比に可変させる歯車列を有し、当該歯車列の噛み合わせを切り替えて変速する変速機構部と、を有する動力工具において、
    前記スラスト軸周り方向に回動し、前記歯車列の噛み合わせを切り替えるために操作される変速切替え操作部と、
    前記変速切替え操作部を操作位置に保持する保持ばねと、
    前記変速切替え操作部の回動に合わせて、所定の変速比となるよう前記歯車列を構成する変速用の歯車を前記スラスト軸方向に動かす歯車作動機構部と、
    前記変速切替え操作部の回動に合わせて前記歯車作動機構部を、前記変速用の歯車を前記スラスト軸方向に動かして噛み合う歯車を切り換える方向に付勢させる付勢機構部と、を備え
    前記付勢機構部は、前記変速切替え操作部に係合し、前記スラスト軸周り方向に付勢する回動付勢機構であって、当該スラスト軸周り方向の付勢力によって、前記歯車作動機構部をスラスト軸方向に動かし、前記変速用の歯車が噛み合う方向に付勢させることを特徴とする動力工具。
  2. 前記付勢機構部は、前記変速切替え操作部に係合し、前記スラスト軸周り方向の回動をスラスト軸方向の動作に変更すると共に、当該スラスト軸方向に付勢するスラスト付勢機構であって、当該スラスト軸方向の付勢力によって、前記歯車作動機構部をスラスト軸方向に動かし、前記変速用の歯車を噛み合う方向に付勢させることを特徴とする請求項に記載の動力工具。
  3. 前記変速用の歯車は内歯車であり、
    前記スラスト付勢機構は、
    前記変速切替え操作部と係合するとともに前記スラスト軸周り方向に弾性変形可能なばねと、
    前記変速切替え操作部と前記ばねを介して係合する状態で前記内歯車の外周側に配置された変速切換え部材と、
    前記変速切換え部材の回動を前記歯車作動機構の前記スラスト軸方向の移動に変換可能な変換機構と、
    を備えたことを特徴とする請求項に記載の動力工具。
  4. 前記変速用の歯車は内歯車であり、
    前記スラスト付勢機構は、
    前記変速切替え操作部と係合する移動部材と、
    前記変速切替え操作部のスラスト軸周り方向の操作を前記移動部材の前記スラスト軸方向への移動に変換する変換部と、
    前記移動部材に固定された状態で前記内歯車の外周側に配置された線ばねと、
    前記線ばねの前記移動部材と反対側の部分が前記内歯車の外周部に係止されていることを特徴とする請求項に記載の動力工具。
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