JP5990784B2 - アーク溶接方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接方法およびアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、非消耗性電極や消耗性電極を用いて、所定の周期で2つの条件を切り替えて溶接を行うアーク溶接方法およびアーク溶接装置に関する。
非消耗性電極を用いて溶接を行うTIG(Tungsten Inert Gas)溶接や、消耗性電極を用いて溶接を行うMIG(Metal Inert Gas)溶接では、電極やアークの発生方法に関しての違いはある。しかしながら、これらのTIG溶接およびMIG溶接は、共に、不活性ガス雰囲気中において電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行う溶接法である。
従来から、TIG溶接やMIG溶接における溶接方法の1つとして、ローパルス溶接という溶接方法が用いられることが多い。ローパルス溶接とは、TIG溶接の場合は、溶接電流や溶接電圧などの溶接条件を数Hz程度の周期でピーク条件とピーク条件よりも低いベース条件とを周期的に変化させながら、その熱で溶接対象物の溶接を行なうようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
このようなローパルス溶接を用いる理由は、アルミニウムのような低融点を有する材料を溶接する場合や、板厚が異なる溶接対象物を溶接する場合に、次のような利点があるからである。すなわち、上述の材料や溶接対象物を溶接する場合に、溶接対象物が溶け落ちてしまうことを防ぐ利点や、ギャップのある材質に対応できるなどの利点や、比較的容易にウロコ状のきれいなビード外観が得られるといった利点があるからである。
また、非消耗性電極を用いたTIG溶接では、溶接中に溶接対象物とほぼ同材質の溶加材を溶接箇所に挿入し、この溶加材の送給量を調整することで溶着させる金属量を調整することが多い。しかし、TIG溶接におけるローパルス溶接では、溶接電流の変化に合わせて溶加材の送給速度も切り替える溶接方法が用いられることが多い。
図23は、従来のTIG溶接システムのローパルス溶接の一例を示す概略構成図である。図23に示す溶接システムは、非消耗性電極を備えた溶接トーチ901と、溶加材902と、溶接電源装置903と、溶加材送給装置904と、で構成される。
次に、従来のTIG溶接システムのローパルス溶接における溶接制御方法について、図24に示すタイムチャートを用いて説明する。
図24は、従来のTIG溶接システムにおける溶接トーチ901の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度の時間変化を示したタイムチャートである。図24からもわかるように、従来のTIG溶接システムのローパルス溶接では、溶接トーチ901を一定の速度で動作させ続けながら、電流と溶加材送給速度を一定の周期で切り替えていた。以下に詳細を説明する。
先ず、STEP11(以下、「ステップ11」とする。)として、余盛形成部910の制御について説明する。図24における期間T1では、切り替える溶接条件のうち、高い条件であるピーク電流値Ipと高いピーク溶加材送給速度Wfpにより溶接が行われる。そして、溶加材を溶接対象物に溶着させることで、余盛形成部910を形成する。
次に、STEP12(以下、「ステップ12」とする。)として、アーク継続部の制御について説明する。図24における期間T2では、周期的に切り替える溶接条件のうち、低い電流条件であるベース電流値Ibと低いベース溶加材送給速度Wfbにより溶接が行われる。通常、ここでは、ベース電流は、アークが維持継続される程度の低い電流値とし、溶加材送給速度は、図24に示すように低い値Wfbもしくは0とすることが多い。このように設定することで、溶接対象物Wに対して入熱を抑えることができ、溶接対象物Wの溶け落ちの防止や、溶接ひずみを低減することが可能である。
その後は、溶接が終了するまで、上述のステップ11とステップ12とを繰り返し行う。これにより、ウロコ状の溶接ビードを得ることができる。
しかし、このローパルス溶接方法では、溶接トーチ901を一定速度で動作させながら溶接条件を切り替える。そのため、余盛形成部910において、単位面積辺りの溶着量や形成する余盛ビードの高さを得るためには、溶加材送給速度を速くする必要があった。しかし、溶加材送給速度のみを速くしただけでは、溶加材の溶け不足が発生してしまうため、電流値も上げる必要があり、結果として必要以上の入熱を加えなければならなかった。また、この場合でも、溶接トーチ901を動作させながら送給を行うため、得られる溶接ビードもきれいなウロコ状にはすることができなかった。
この問題を解決するための方法の1つとして、消耗性電極を用いた溶接において、次の第1工程と、第2工程とを繰り返して溶接を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。ここで、第1工程は、溶接トーチを溶接進行方向に対して停止させ、停止させた状態でピーク条件により溶接を行う工程である。第2工程は、溶接トーチを溶接進行方向にピッチ移動させながらベース条件により溶接を行う工程である。
この溶接方法では、溶接トーチを溶接進行方向に停止した状態でピーク電流を供給するため、単位面積あたりの溶着量を、溶接電流を上げることなく高めることが可能となる。また、溶接トーチを停止した状態で溶着量を高めるので、さらには、よりはっきりとしたウロコ状のビード外観を得ることができる。
しかし、特許文献2に記載されている消耗性電極による溶接方法をTIG溶接システムに適用したとすると、溶接トーチを停止させたまま余盛形成910を形成するため、時間の経過とともに非消耗性電極と形成される余盛形成910との距離が短くなる。そして、場合によっては、非消耗性電極と溶接対象物とが短絡してしまう恐れがあった。
また、このような現象を回避するために、予め電極と溶接対象物との距離を離したとすると、アーク継続部においては、電極と溶接対象物との距離が大きくなってしまい、適正な溶接を得ることができないという課題を有している。
また、特許文献2に記載されている消耗性電極を用いた場合であっても、ピーク条件の時の溶接時間などによっては、溶接トーチからの突出長が余盛形成部910とアーク継続部とで異なってしまう。そのため、TIG溶接と同様に、適正な溶接結果を得ることができないという課題を有していた。
また、従来のTIG溶接システムのローパルス溶接では、電流と溶加材送給速度を同じタイミングで切り替えている。しかし、一般的に、溶接条件の切り替えに対して、溶加材送給速度の切り替えは、送給装置を構成するモータの反応の遅れなどから遅れてしまう。そのため、溶接電流をピーク電流からベース電流に切り替えるとき、同じタイミングで溶加材送給速度を切り替えた場合、溶加材送給速度の切り替えが遅れるため、溶加材の溶け込み不足が発生してしまうという課題を有していた。
また、溶加材の送給は、溶接対象物に溶融池を形成してから送給を開始するのが好ましい。しかし、ベース電流からピーク電流に切り替えたときに、同じタイミングで溶加材送給速度を切り替えてしまうと、材質などによっては十分な溶融池が形成されていない可能性があり、この場合も適正な溶接を行うことができないという課題を有していた。
また、従来のTIG溶接方法のローパルス溶接におけるアーク継続部(ベース条件時)の入力可能なベース送給速度の下限としては、送給停止を意味する送給速度0であった。しかし、ピーク条件で送給をしている状態からベース条件で送給を停止した場合、図25に示すように、ベース電流のアーク911の中、または、アーク911付近に溶加材902が存在してしまう可能性がある。このような条件を満たしてしまうと、ベース条件時に送給されていない溶加材902が溶融を開始してしまい、溶加材902の先端が玉状の形状となってしまう。そして、このような形状となると、次回のピーク条件にて溶加材902を送給した時に、うまく溶接対象物に溶着することができなくなってしまう。
以上のような多数の課題を有するので、美しいウロコ状のビード外観を始めとする適正な溶接結果が得られないという問題があった。
特開昭62−279087号公報 特開平11−267839号公報
本発明は上記課題を解決し、より美しいウロコ状のビード外観を得るアーク溶接方法およびアーク溶接装置を提供する。
本発明のアーク溶接方法は、溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法である。そして、本発明のアーク溶接方法は、上記アークを発生させたままの状態で、上記溶接対象物から離れる方向に上記溶接用電極を移動させる第1のステップと、上記アークを発生させたままの状態で、上記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に上記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備えている。そして、本発明のアーク溶接方法は、前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、 前記第1のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間にピーク電流を供給し、前記第2のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間に前記ピーク電流よりも低いベース電流を供給する方法からなる。
この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、本発明のアーク溶接装置は、非消耗性電極と溶接対象物との間に電力を供給する溶接電源装置と、非消耗性電極を保持する溶接トーチを備えたマニピュレータと、マニピュレータと溶接電源装置を制御する制御装置と、溶加材を送給するために溶接トーチに取り付けられた溶加材送給ガイドと、を備えたアーク溶接装置である。そして、本発明のアーク溶接装置は、溶加材送給装置と、ピーク電流設定部と、ベース電流設定部と、溶加材ピーク送給速度設定部と、溶加材ベース送給速度設定部と、退避条件設定部と、移動条件設定部と、を備えている。ここで、溶加材送給装置は、溶加材を送給する。ピーク電流設定部は、非消耗性電極と溶接対象物との間に供給するピーク電流の電流値と時間を設定する。ベース電流設定部は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値と時間とを設定する。溶加材ピーク送給速度設定部は、溶加材のピーク送給速度と適用する時間を設定する。溶加材ベース送給速度設定部は、溶加材のピーク送給速度よりも小さいベース送給速度とベース送給速度を適用する時間を設定する。退避条件設定部は、溶接対象物から離れる条件を設定する。移動条件設定部は、溶接進行方向に移動する移動条件を設定する。そして、本発明のアーク溶接装置は、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物から離れる方向に非消耗性電極を移動させる第1のステップと、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物に近づく方向かつ溶接進行方向に非消耗性電極を移動させる第2のステップと、を交互に繰り返して溶接を行う構成からなる。
この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗性電極と溶接対象物との間に電力を供給する溶接電源装置と、溶接トーチを備えたマニピュレータと、マニピュレータと溶接電源装置を制御する制御装置と、を備えたアーク溶接装置である。そして、本発明のアーク溶接装置は、溶接ワイヤ送給装置と、第1の設定部と、第2の設定部と、ピーク電圧設定部と、ベース電圧設定部と、退避条件設定部と、移動条件設定部と、を備えている。ここで、溶接ワイヤ送給装置は、消耗性電極を送給する。第1の設定部は、消耗性電極と溶接対象物との間に供給するピーク電流の電流値と時間、または、消耗性電極のピーク送給速度と適用する時間を設定する。第2の設定部は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値と時間、または、ピーク送給速度より遅いベース送給速度と適用する時間を設定する。ピーク電圧設定部は、消耗性電極と溶接対象物との間に印加するピーク電圧の電圧値を設定する。ベース電圧設定部は、ピーク電圧よりも小さいベース電圧の電圧値を設定する。退避条件設定部は、溶接対象物から離れる条件を設定する。移動条件設定部は、溶接進行方向に移動する移動条件を設定する。そして、本発明のアーク溶接装置は、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物から離れる方向に消耗性電極を移動させる第1のステップと、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物に近づく方向かつ溶接進行方向に消耗性電極を移動させる第2のステップと、を交互に繰り返して溶接を行い、前記消耗性電極の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度での送給は、前記ピーク電流の供給と同期するように制御され、前記ベース送給速度での送給は、前記ベース電流の供給と同期するように制御される構成からなる。
この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態1におけるTIG溶接システムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1における溶接トーチの概要を示す正面図である。 図3は、本発明の実施の形態1における動作パラメータの設定画面の例を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態1における溶接パラメータの設定画面の例を示す図である。 図5Aは、本発明の実施の形態1における溶接トーチの退避方向を説明するための正面図である。 図5Bは、本発明の実施の形態1における溶接トーチの退避方向を説明するための正面図である。 図5Cは、本発明の実施の形態1における溶接トーチの退避方向を説明するための正面図である。 図6は、本発明の実施の形態1におけるアーク溶接方法のフローチャートである。 図7は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図8は、本発明の実施の形態1における溶接終了時の処理のフローチャートである。 図9Aは、本発明の実施の形態1における溶接終了方法を説明するための図である。 図9Bは、本発明の実施の形態1における溶接終了方法を説明するための図である。 図9Cは、本発明の実施の形態1における溶接方法を溶接中間教示点にて終了する方法を説明するための図である。 図10は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図11は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図12は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図13は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図14Aは、本発明の実施の形態2におけるアーク溶接方法に関するフローチャートである。 図14Bは、本発明の実施の形態2におけるアーク溶接方法に関するフローチャートである。 図15は、本発明の実施の形態2におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図16は、本発明の実施の形態3におけるMIG溶接システムの概略構成を示す図である。 図17は、本発明の実施の形態3における溶接トーチの概要を示す正面図である。 図18は、本発明の実施の形態3における動作パラメータの設定画面の例を示す図である。 図19は、本発明の実施の形態3における溶接パラメータの設定画面の例を示す図である。 図20は、本発明の実施の形態3におけるアーク溶接方法のフローチャートである。 図21は、本発明の実施の形態3におけるアーク溶接方法のフローチャートである。 図22は、本発明の実施の形態3におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図23は、従来のTIG溶接システムの概略構成図である。 図24は、従来のTIG溶接システムにおける溶接トーチ移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。 図25は、従来のTIG溶接システムにおける課題を説明するための正面図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるTIG溶接システムの概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1における溶接トーチ112の概要を示す正面図である。図3は、本発明の実施の形態1における動作パラメータの設定画面の例を示す図である。図4は、本発明の実施の形態1における溶接パラメータの設定画面の例を示す図である。図5A、図5B、図5Cは、本発明の実施の形態1における溶接トーチの退避方向を説明するための正面図である。
図1は、非消耗性電極を用いたアーク溶接を、ロボットシステムを用いて自動で行う自動溶接システムであるアーク溶接装置の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、アーク溶接装置は、マニピュレータ111と、溶接電源装置121と、溶加材送給装置131と、マニピュレータ111、溶接電源装置121および溶加材送給装置131等の制御を行う制御装置141と、制御装置141に接続されたティーチペンダント151とを備えている。
マニピュレータ111には、溶接トーチ112が取り付けられている。溶接トーチ112には、図2に示すように、アルゴンなどのシールドガスを供給するためのガスノズル211、非消耗性電極212および溶加材送給ガイド213が取り付けられている。ガスノズル211からは、溶接電源装置121からの指令に応じて図示しないガスボンベから供給されたシールドガスを、溶接箇所に供給することができる。溶加材送給ガイド213からは、溶加材送給装置131によって溶加材113が送給される。そして、溶接電源装置121によって非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に電力を印加してアークを発生させる。このアークにより溶接対象物Wや溶加材113を溶融させ、溶接対象物Wに溶加材113を溶着させることを目的としている。
溶接電源装置121は、溶接電圧を印加して溶接電流を流すための出力部(図示せず)と、出力に対して実際の溶接電圧を検出するための電圧検出部(図示せず)とを備えた装置である。出力部は、溶接トーチ112と溶接対象物Wとに接続されており、制御装置141の指令によって溶接トーチ112を通じて非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に溶接電圧を印加し、溶接電流を流すことが可能である。
溶加材送給装置131は、送給速度制御部132と、ガイドローラ(図示せず)付きの送給モータ133と、図示しないエンコーダなどの角度センサで送給モータの角度を検出するための角度検出部(図示せず)とを備えた装置である。溶加材送給装置131は、制御装置141の指令によって作動し、ガイドローラにより溶加材113を送給することが可能である。
溶加材送給装置131によって送給される溶加材113は、溶加材送給ガイド213を通じて非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に送給される。送給された溶加材113は、溶接電源装置121の出力により発生するアークによって溶接対象物Wとともに溶融され、溶接対象物Wに溶加材113を溶着させることを目的としている。
溶加材送給装置131は、送給速度制御部132を備えており、溶加材113を送給する。
制御装置141は、通信部142と、演算部143と、教示データ記憶部144と、マニピュレータ制御部145と、溶接条件指令部146と、送給速度指令部147とを備えている。ここで、通信部142は、ティーチペンダント151と通信を行う。演算部143は、様々な内部演算を行うCPUやメモリなどで構成される。教示データ記憶部144は、自動運転時にプレイバック動作させるために教示されたデータを記憶する。マニピュレータ制御部145は、演算部143で演算された結果からマニピュレータ111を制御する。溶接条件指令部146は、溶接電源装置121に溶接電流などの溶接条件を指令する。送給速度指令部147は、溶加材送給装置131に対して溶加材113の送給速度を指令する。
なお、溶接電源装置121と送給速度制御部132は、制御装置141内に備えるようにしてもよい。この構成により、本実施の形態1のアーク溶接装置は、さらに小型化ができる。
また、ティーチペンダント151は、制御装置141と通信を行うための通信部152と、各種の情報を表示するためのデータ表示部153と、データ設定部154とを備えている。ティーチペンダント151は、マニピュレータ111の操作や、本実施の形態1で行うアーク溶接方法の演算パラメータの設定などを行うことができる。
ティーチペンダント151は、具体的には図3および図4に示すようにデータ表示部153およびデータ設定部154を含んで表示する。データ設定部154は、必要に応じて図3に示す動作パラメータ設定部301や図4に示す溶接条件パラメータ設定部401を表示する。動作パラメータ設定部301は、図3に示すようにピッチ移動距離Lp、退避距離Lh、退避方向D、退避時間Th、溶接速度Vおよび上端停止タイマThd等の動作パラメータを設定する。
すなわち、動作パラメータ設定部301は、退避条件設定部310と移動条件設定部320とを備えている。退避条件設定部310は、退避移動距離設定部311と、退避方向設定部312と、退避時間設定部313と、を有している。ここで、退避移動距離設定部311は、溶接対象物Wから離れる移動距離である退避移動距離Lhを設定する。退避方向設定部312は、溶接対象物Wから離れる方向である退避方向Dを設定する。退避時間設定部313は、退避方向設定部312で設定された方向に退避移動距離設定部311で設定された距離を移動する時間である退避時間Thを設定する。移動条件設定部320は、溶接速度設定部321と、ピッチ移動距離設定部322と、を有している。溶接速度設定部321は、溶接進行方向に移動する速度である溶接速度Vを設定する。ピッチ移動距離設定部322は、溶接進行方向に移動する距離であるピッチ移動距離Lpを設定する。
溶接条件パラメータ設定部401は、図4に示すようにピーク電流値Ip、ベース電流値Ib、ピーク溶加材送給速度Wfp、ベース溶加材送給速度Wfb、ピーク溶加材送給時間Twfpおよび送給タイミング調整時間Tadj等の溶接条件パラメータを設定する。
すなわち、溶接条件パラメータ設定部401は、ピーク電流設定部410、ベース電流設定部411、第1の設定部420、第2の設定部421、ピーク電圧設定部422およびベース電圧設定部423のうちの少なくともいずれかを備えている。ピーク電流設定部410は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に供給するピーク電流の電流値Ipと時間を設定する。ベース電流設定部411は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値Ibと時間とを設定する。第1の設定部420は、消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に供給するピーク電流の電流値Ipと時間、または、溶加材113のピーク送給速度と適用する時間を設定する。第2の設定部421は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値Ibと時間、または、ピーク送給速度より遅いベース送給速度と適用する時間を設定する。ピーク電圧設定部422は、消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に印加するピーク電圧の電圧値を設定する。ベース電圧設定部423は、ピーク電圧よりも小さいベース電圧の電圧値を設定する。
図4のピーク電流設定部410は、溶加材ピーク送給速度設定部136と溶加材ベース送給速度設定部137も有している。溶加材ピーク送給速度設定部136は、溶加材113のピーク送給速度と適用する時間を設定する。溶加材ベース送給速度設定部137は、溶加材113のピーク送給速度よりも小さいベース送給速度とベース送給速度を適用する時間を設定する。
そして、本実施の形態1のアーク溶接方法を開始する意味も備えている自動運転時のプレイバック用命令A(図示せず)と、本実施の形態1の溶接方法を終了する自動運転時のプレイバック用命令B(図示せず)を備えている。なお、命令Aや命令Bは、教示データ記憶部144に記憶される。
ここで、上述の演算パラメータは、0以上もしくは0より大きい値を設定することを基本とするが、ベース溶加材送給速度Wfbと、送給タイミング調整時間Tadjに関しては、負値を設定することも可能としている。
また、退避方向Dの設定では、予め用意されている「トーチ方向」および、「鉛直上向き方向」の2つの選択肢から設定される。
また、図3や図4に示すピッチ移動距離Lpやピーク電流値Ipなどの演算パラメータの設定時に、ティーチペンダント151のデータ表示部153には、演算パラメータと実際の動作の関係を示した略図(図3、図4参照)が表示され、教示者が演算パラメータ設定時の挙動の変化をイメージし易くしている。
以上、ティーチペンダント151のデータ設定部154の設定内容については、教示者が教示した自動運転時にプレイバック動作させる教示データ内の命令の1つとして、ティーチペンダント151の通信部152と制御装置141の通信部142を通じて、制御装置141の教示データ記憶部144に記憶される。
後述する本実施の形態1のアーク溶接方法を使用する場合、溶接作業を行う区間の中で、本実施の形態1のアーク溶接方法を開始したい教示位置、すなわち、ロボットの動作プログラム中の教示位置に命令Aを登録する。
また、本実施の形態1のアーク溶接方法を終了したい教示位置には、命令Bを登録しておく。但し、命令Bを登録しなくても、本実施の形態1のアーク溶接方法は、溶接区間の終了で自動的に終了される。詳細な動作については後述するが、命令Bを登録しているか否かによって本実施の形態1のアーク溶接方法終了時の動作が異なっており、教示内容によって教示者が命令の登録を選択することができる。
以下、演算パラメータを用いたマニピュレータ111の動作制御、溶接条件の制御および送給速度の制御の詳細について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の実施の形態1のアーク溶接方法を用いたときの処理のフローチャートを示している。図7は、本発明の実施の形態1のアーク溶接方法を用いたときのピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートを示している。
なお、本実施の形態1では、本実施の形態1のアーク溶接方法による効果が最も期待されると考えられる退避方向Dとしてツール方向が設定されており、ベース溶加材送給速度Wfbとして負値(逆送)が設定されており、送給タイミング調整時間Tadjとしては正値が設定されているものとする。
ここで退避方向Dの「トーチ方向」とは、図5Aから図5Cにおいて溶接進行方向に対して上向きの実線で示している方向であり、溶接進行方向とは関係なく、常に溶接トーチおよび電極方向を指す。そのため、図5Bや図5Cのように教示を、前進角や後退角を持って行った場合には、その角度方向に退避することになる。
一方、「鉛直上向き方向」とは、図5Aから図5Cにおいて、溶接トーチの角度とは関係なく、溶接進行方向とトーチ方向の成す平面において、常に溶接進行方向に対して垂直方向を指す点線で示している方向である。
用途としては、「トーチ方向」は、教示者が教示に応じて自由に退避方向を選択することが可能となるため、より拡張性の高い教示を行うことが可能となる。
一方、「鉛直上向き方向」は、トーチ角度とは関係なく、常に一定の方向に退避させることが可能であるため、溶接対象物Wの形状や溶接場所によってはトーチ角度を一定に保てないような場合も考えられる。しかし、その場合であっても、常に退避方向を一定に保つことができ、余盛ビードを一定に保つ効果が期待できる。
プレイバック動作において、制御装置141は、教示データ記憶部144から本実施の形態1のアーク溶接方法を開始する命令Aを読み出すと、先ずは、一般的な溶接開始処理を行う。一般的には、高周波火花を使用して非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間にアークを発生させる。
なお、本実施の形態1のアーク溶接方法について、アークの発生方法については、上述の高周波を用いる以外に、直流高電圧印加方式やリフトスタート方式など、いずれの方式を用いてもかまわない。そして、アークの発生後は、溶接開始時も用いられる条件によって入熱処理がなされる。これら一般的な溶接開始処理(STEP0:ステップ0)が終了すると、本実施の形態1のアーク溶接方法が開始される。
本実施の形態1のアーク溶接方法では、予め定められた退避方向Dに溶接トーチ112を退避動作させながらピーク電流値Ipを流す余盛溶接をする部分と、退避完了点から溶接線方向にピッチ移動動作させながらベース電流値Ibを流すアーク継続をする部分とがある。そして、電流の切り替えのタイミングに対して溶加材送給速度の切り替えタイミングをずらして送給速度の切り替えを行う。これらの制御を繰り返すことにより溶接を行う。
先ず、図6を用いて、STEP1(ステップ1)として、退避動作について説明する。図6に示すように、溶接トーチと上部に書かれた列の各ステップは、溶接トーチ112の動作に関するステップを表し、溶接条件指令と上部に書かれた列の各ステップは、溶接条件指令を示す。また、送給速度条件と上部に書かれた列の各ステップは、送給速度条件を示す。
溶接開始処理(ステップ0)終了の後、溶接トーチ112を溶接トーチ方向に退避距離Lhの距離を退避時間Thにて動作するように退避動作を開始する(STEP1−1:ステップ1−1)。そして、退避させると同時に溶接電源装置121にピーク電流値Ipを流すことを指令する(STEP1−2:ステップ1−2)。
また、溶接電源装置121にピーク電流値Ipを流すことを指令してから送給タイミング調整時間Tadj経過のタイミング(STEP1−4:ステップ1−4でYes判定)で、溶加材送給装置131に対してピーク溶加材送給速度Wfp値を指令する(STEP1−5:ステップ1−5)。
STEP1(ステップ1)の状態は図7の下部の「A」に記載の状態であり、溶接トーチ112を退避させながら溶加材113を送給することで余盛形成部(図示せず)を形成する。
STEP3(ステップ3)として、退避完了点において退避動作が完了(STEP1−3:ステップ1−3でYes判定)すると、退避を完了したその場で溶接トーチ112を上端停止タイマThdの時間だけ停止させ(STEP3−1:ステップ3−1)、余盛ビード形成を完成させる。
また、STEP1−5(ステップ1−5)においてピーク溶加材送給速度に切り替えた後、ピーク溶加材送給時間Twfpが経過するのを待ち、経過を確認したところで(STEP3−2:ステップ3−2でYes判定)、送給速度をベース溶加材送給速度Wfbに切り替える(STEP3−3:ステップ3−3)。
また、本実施の形態1では、ベース溶加材送給速度Wfbに負値を設定しているため、送給速度の切り替え時に、溶加材送給装置131の送給モータの回転方向を正回転から逆回転に切り替える内部処理を行う。本実施の形態1のアーク溶接方法の効果を発揮するためには、上端停止タイマThdの経過完了(STEP3−4:ステップ3−4でYes判定)となる直前となるようにピーク溶加材送給時間Twfpを設定しておく。STEP3(ステップ3)の状態を示した図が図7の下部の「B」で示す状態であり、溶接トーチ112を退避した位置で停止させながらある時間が経過したところで送給速度のみをベース条件に切り替えている。
次に、STEP2(ステップ2)として、ピッチ移動動作について説明する。
STEP3−4(ステップ3−4)において退避完了点での停止動作が完了すると、次に、溶接トーチ112をピッチ移動動作させる(STEP2−1:ステップ2−1)とともに、溶接電源装置121にベース電流値Ibを流すように指令する(STEP2−2:ステップ2−2)。通常、ベース電流値Ibは、ピーク電流値Ipより低い値を設定し、アークを維持継続できる程度の電流値を設定する。
ここで、ピッチ動作は、STEP1(ステップ1)で退避動作を開始した位置から溶接進行方向にピッチ移動距離Lpを移動させた点を目標点とし、STEP3(ステップ3)で退避完了した位置から目標の点に向かって(ピッチ移動距離Lp)/(溶接速度V)で求められる時間で動作するようにピッチ移動を開始する。これは、図7の下部に示す「C」の状態であることを示している。
次に、STEP4(ステップ4)として、溶接終了判定について説明する。
ピッチ動作(STEP2−3:ステップ2−3でYes判定)が完了すると、溶接終了判定が行われる。溶接終了判定では、ピッチ移動が完了した現在位置から溶接終了点までの距離を算出し(STEP4−1:ステップ4−1)、残り距離がピッチ移動距離Lpより短ければ溶接区間終了とみなして溶接終了処理を行う。なお、溶接終了処理の詳細については後述する。以降はSTEP4−2(ステップ4−2)の溶接終了判定においてYesの判定が行われるまで、STEP1(ステップ1)からSTEP4(ステップ4)の動作を繰り返し行う。
次に、本実施の形態1のアーク溶接方法を終了する処理について、図8のフローチャートと図9A、図9B、図9Cを用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態1における溶接終了時の処理のフローチャートである。図9A、図9B、図9Cは、本発明の実施の形態1における溶接終了方法を説明するための図である。図10から図13は、本発明の実施の形態1におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度のタイムチャートである。
図8に示す終了処理では、溶接終了点、すなわち、動作プログラム内の溶接区間の終了点に、本実施の形態1のアーク溶接方法を終了させる命令である命令Bが登録されているか否かの判定から行う(STEP5−1:ステップ5−1)。溶接終了点に命令Bが登録されている場合(STEP5−1:ステップ5−1でYes判定)は、ピッチ移動が完了した位置で本実施の形態1のアーク溶接方法の処理は完了となる。これ以降は、教示者が以降の処理として教示しているクレータ溶接などが実行される。
この溶接終了方法では、図9Aで示すように、溶接トーチ112は、最終ピッチ移動が完了した時点で溶接終了となる。本実施の形態1のアーク溶接方法では、ピッチ移動では余盛を形成しないため、このままでは最終ピッチ移動部で余盛は形成されない。この溶接終了方法では、最終ピッチ移動での余盛が不要な場合や、溶接終了後に教示者が以降の教示によって溶接トーチ112を動作させ、通常の溶接区間とは異なる余盛の形成やクレータ溶接を行う場合などを想定した終了方法である。
なお、本実施の形態1では、溶接終了点において命令Bが登録されていることを想定したが、命令Bは、溶接区間の途中の教示点に存在していてもよい。その場合は、図9Cに示すように、本実施の形態1の終了処理と同様に、ピッチ移動が完了した点で本実施の形態1のアーク溶接方法が終了となり、以降は、通常の溶接区間として溶接を行うことも可能である。
一方、溶接終了点に命令Bが登録されていない場合(STEP5−1:ステップ5−1でNo判定)は、最終ピッチ移動完了後の点から、通常の溶接区間のSTEP1(ステップ1)とSTEP3(ステップ3)と同様に退避動作とピーク電流の指令を行う。溶接終了点において溶接区間と同じ余盛を形成して溶接方法終了となる(STEP1−1:ステップ1−1からSTEP1−5:ステップ1−5まで、STEP3−1:ステップ3−1からSTEP3−4:ステップ3−4まで)。
その後は、退避が完了した点において教示者が必要に応じてクレータ溶接を実行することが可能である。この方法では、図9Bに示すように、通常の溶接区間と同様の余盛を形成して溶接が終了となるので、ビード間隔や余盛高さなどを乱すことない。
また、必要に応じて、溶接トーチ112が退避した点においてクレータ溶接を行うことが可能である。そのため、本終了方法は、通常区間と同様のビードを形成し、必要に応じてクレータ溶接でビード外観の微調整を行うことを想定した終了方法である。
次に、本実施の形態1のアーク溶接方法の作用および効果について説明する。
本実施の形態1のアーク溶接方法は、溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、第1のステップ(ステップ1)と、第2のステップ(ステップ2)と、を備え、第1のステップと第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行う方法としている。ここで、第1のステップは、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物から離れる方向に溶接用電極を移動させるステップである。第2のステップは、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に溶接用電極を移動させるステップである。この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
すなわち、図6に示すSTEP1(ステップ1)において、溶接トーチ112をトーチ方向に退避させながら、ピーク電流値Ipおよびピーク溶加材送給速度Wfpを用いて余盛溶接を行っている。これにより、溶接線方向への移動を意識せずウロコ状のきれいな余盛ビードを形成することができる。
また、溶接トーチ112を退避させず、溶接トーチ112を停止させた状態のみで余盛溶接を行った場合は、送給した溶加材113によって形成された余盛ビードと非消耗性電極212と間の距離が短くなってしまい、場合によっては、非消耗性電極212が溶接対象物Wに短絡してしまう。アーク溶接において、電極と溶接対象物Wの距離を適正に保たなければ、最適な溶接結果を得ることができない。そこで、本実施の形態1のアーク溶接方法では、溶接トーチ112を退避させながら余盛溶接を行うため、電極と溶接対象物Wの適正距離を保ったまま溶接を行うことが可能である。
STEP3(ステップ3)において、溶接トーチ112を一定時間一定に保ってピーク電流条件により溶接を行うことで、ウロコ状の余盛ビードの高さを一定に保つ効果が期待される。
また、STEP3(ステップ3)において、溶接電流の切り替えよりも早く溶加材113の送給速度をベース送給速度に切り替えている。また、ベース送給速度は負値である。
溶接の条件の切り替えに対して、溶加材113の送給速度の切り替えは、溶加材送給装置131を構成する送給モータの反応の遅れなどの問題から遅れる。しかしながら、送給速度の切り替えを電流の切り替えに対してタイミングをずらして行うことで、ベース電流条件でピーク溶加材送給速度となって溶加材113が送給されてしまうことを防ぐことが期待できる。
また、ベース送給速度を負値にして溶加材113を引き上げることで、ベース条件時のアークの中に溶加材113が存在し、溶融してしまうことを防ぐ効果がある。
また、本実施の形態1のアーク溶接方法は、第1のステップ(ステップ1)の終了時の位置でアークを発生させたままの状態で、溶接用電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップ(ステップ3)を、第1のステップ(ステップ1)と第2のステップ(ステップ2)との間に備えた方法としてもよい。この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
すなわち、STEP2(ステップ2)において、溶接電流をベース電流値に切り替えてピッチ移動を行っている。これにより、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間のアークを消滅させない程度のベース電流値として溶接トーチ112を移動することができる。そして、次回のピーク電流への切り替えをスムーズに移行できるため、タクトタイム短縮への効果ときれいなビード外観を得る効果がある。
なお、本実施の形態1では、退避方向Dを「トーチ方向」に設定した例を示したが、溶接対象物Wに対して「鉛直上向き方向」に設定した場合でも、退避方向が異なる以外は、本実施の形態1と処理は同じである。
なお、本実施の形態1では、説明を簡易化するため、直流電源を用いて直流溶接を実施した例について説明した。しかし、本実施の形態1は、直流溶接だけでなく、交流溶接を用いた溶接システムにも適用することが可能である。
なお、本実施の形態1では、図7の溶加材送給速度Wfのタイムチャートに示すように、溶加材送給速度Wfを正送と逆送とに繰り返す例を示した。しかし、図10に示すように、STEP2(ステップ2)の開始時から第1の所定時間T1の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第1の所定時間T1の経過後は、溶加材113の送給を停止するようにしてもよい。あるいは、図11に示すように、STEP2(ステップ2)の開始前のある時点からSTEP2(ステップ2)の開始後のある時点までの第2の所定時間T2の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第2の所定時間T2の経過後は、溶加材113の送給を停止するようにしてもよい。あるいは、図12に示すように、STEP2(ステップ2)の開始前のある時点からSTEP2(ステップ2)の開始時までの第3の所定時間T3の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第3の所定時間T3の経過後は、溶加材113の送給を停止するようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、図7の退避方向のタイムチャートに示すように、溶接トーチ112を退避方向に退避距離Lhだけ移動し、上端停止タイマThdの間、アークを発生したまま溶接トーチ112の位置を維持する例を示した。しかし、図13に示すように、上端停止タイマThdの値をゼロとし、STEP1(ステップ1)から直ぐにSTEP2(ステップ2)に移行するようにしてもよい。
また、第1のステップ(ステップ1)において、溶接用電極を、溶接用電極の溶接線上の位置は変化させずに溶接対象物から離れる方向に移動させる方法としてもよい。あるいは、第1のステップにおいて、溶接用電極を、溶接進行方向に対して戻る方向に移動させながら溶接対象物から離れる方向に移動させる方法としてもよい。あるいは、第1のステップにおいて、溶接用電極を、溶接進行方向に移動させながら溶接対象物から離れる方向に移動させる方法としてもよい。この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、第1のステップ(ステップ1)の間は、溶接用電極と溶接対象物との間にピーク電流を供給し、第2のステップ(ステップ2)の間は、溶接用電極と溶接対象物との間にピーク電流よりも低いベース電流を供給する方法としてもよい。この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、第3のステップ(ステップ3)の間は、溶接用電極と溶接対象物との間にピーク電流を供給する方法としてもよい。この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、本実施の形態1のアーク溶接装置は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に電力を供給する溶接電源装置121と、非消耗性電極212を保持する溶接トーチ112を備えたマニピュレータ111と、マニピュレータ111と溶接電源装置121を制御する制御装置141と、溶加材113を送給するために溶接トーチ112に取り付けられた溶加材送給ガイド213と、を備えたアーク溶接装置である。そして、本実施の形態1のアーク溶接装置は、溶加材送給装置131と、ピーク電流設定部410と、ベース電流設定部411と、溶加材ピーク送給速度設定部136と、溶加材ベース送給速度設定部137と、退避条件設定部310と、移動条件設定部320と、を備えている。ここで、溶加材送給装置131は、溶加材113を送給する。ピーク電流設定部410は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間に供給するピーク電流の電流値Ipと時間を設定する。ベース電流設定部411は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値Ibと時間とを設定する。溶加材ピーク送給速度設定部136は、溶加材113のピーク送給速度と適用する時間を設定する。溶加材ベース送給速度設定部137は、溶加材113のピーク送給速度よりも小さいベース送給速度とベース送給速度を適用する時間を設定する。退避条件設定部310は、溶接対象物Wから離れる条件を設定する。移動条件設定部320は、溶接進行方向に移動する移動条件を設定する。そして、本実施の形態1のアーク溶接装置は、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物Wから離れる方向に非消耗性電極212を移動させる第1のステップ(ステップ1)と、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物Wに近づく方向かつ溶接進行方向に非消耗性電極212を移動させる第2のステップ(ステップ2)と、を交互に繰り返して溶接を行う構成からなる。
この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、退避条件設定部310は、退避移動距離設定部311と、退避方向設定部312と、退避時間設定部313と、を有する構成としてもよい。ここで、退避移動距離設定部311は、溶接対象物Wから離れる移動距離である退避移動距離Lhを設定する。退避方向設定部312は、溶接対象物Wから離れる方向である退避方向Dを設定する。退避時間設定部313は、退避方向設定部312で設定された方向に退避移動距離設定部311で設定された距離を移動する時間である退避時間Thを設定する。また、移動条件設定部320は、溶接速度設定部321と、ピッチ移動距離設定部322と、を有する構成としてもよい。溶接速度設定部321は、溶接進行方向に移動する速度である溶接速度Vを設定する。ピッチ移動距離設定部322は、溶接進行方向に移動する距離であるピッチ移動距離Lpを設定する。そして、本実施の形態1のアーク溶接装置において、第1のステップ(ステップ1)では、退避方向設定部312で設定した方向に、退避移動距離設定部311で設定した距離Lhを、退避時間設定部313で設定した時間Thで、非消耗性電極212を溶接対象物Wから離れる方向に移動させる。第2のステップ(ステップ2)では、第1のステップの完了により非消耗性電極212が移動した位置から、第1のステップの開始時の非消耗性電極212の位置から溶接進行方向にピッチ移動距離設定部322で設定した距離Lpだけ進んだ位置を非消耗性電極212の移動目標位置として、ピッチ移動距離設定部322で設定した距離Lpを溶接速度設定部321で設定した溶接速度Vで除して求められる時間の間に移動させる。これらの移動を行うことにより、本実施の形態1のアーク溶接装置は、溶接対象物Wに近づく方向かつ溶接進行方向に非消耗性電極212を移動させる構成としてもよい。
この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、第1のステップ(ステップ1)の終了時の位置でアークを発生させたままの状態で、非消耗性電極212の位置を所定時間だけ維持する第3のステップ(ステップ3)を、第1のステップ(ステップ1)と第2のステップ(ステップ2)との間に行う構成としてもよい。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、第1のステップ(ステップ1)の間は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間にピーク電流を供給し、第2のステップ(ステップ2)の間は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間にピーク電流よりも低いベース電流を供給する構成としてもよい。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、第3のステップ(ステップ3)の間は、非消耗性電極212と溶接対象物Wとの間にピーク電流を供給する構成としてもよい。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、第1のステップと、第2のステップとを、交互に繰り返すことで、所望のビード形状を得ることができる。ここで、第1のステップは、溶接対象物Wから離れる方向に溶接用電極を移動させながらピーク電流などで構成されるピーク条件により余盛ビードを形成するステップである。第2のステップは、ピーク条件よりも小さいベース電流などで構成されるベース条件によりアークを発生したまま溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に溶接用電極を移動させるステップである。
また、電流の切り替えに対して、送給速度の切り替えのタイミングを調整することで、溶融池を形成してから溶加材を送給する場合や、モータの遅れを考慮して送給する場合など、電流と送給速度の切り替えタイミングを調整することが可能となる。その結果、より美しい溶接ビードを得ることができる。
また、ベース送給速度には、負値、つまり溶加材を逆送して引き上げることができ、アークの中に溶加材が存在してしまい、溶加材の先端が丸くなってしまうといった現象を防ぐことができる。
(実施の形態2)
図14A、図14Bは、本発明の実施の形態2におけるアーク溶接方法に関するフローチャートを示している。図15は、本発明の実施の形態2における各パラメータ(ピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値および溶加材送給速度など)の時間変化を示したタイムチャートを示している。
実施の形態1と異なる主な点は、送給タイミング調整時間Tadjに負値を設定している点である。送給タイミング調整時間Tadjに負値を設定するということは、ピーク溶加材送給速度Wfpへの切り替えを、ピーク電流への切り替えに対して早く行うことを意味している。
以下、本実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態1とさらに異なる主な点は、溶接開始の1回目の退避動作時の条件と、2回目以降の退避動作時とで、条件を変更している点である。そして、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様の溶接開始処理が行われる(STEP0:ステップ0)。
先ず、STEP1(ステップ1)として、溶接開始後初回の退避動作について説明する。
溶接開始処理終了後、実施の形態1のSTEP1(ステップ1)と同様に、溶接トーチ112の退避動作を開始する(STEP1−1:ステップ1−1)。そして、退避させると同時に溶接電源装置121にピーク電流値Ipを指令する(STEP1−2:ステップ1−2)。
なお、実施の形態1では、ピーク電流値Ipを指令してから送給タイミング調整時間Tadjの経過を待って溶加材送給装置131へピーク溶加材送給速度Wfp値を指令していた。しかし、本実施の形態2では、ピーク電流を指令するのと同じタイミングでピーク溶加材送給速度Wfp値を指令する。(STEP1−3:ステップ1−3)。
STEP1(ステップ1)では、実施の形態1と同様、溶接トーチ112を退避しながら溶加材113を送給することで、余盛形成部を形成する。
次に、STEP3(ステップ3)として、退避完了点での停止動作について説明する。
退避動作が完了(STEP1−4:ステップ1−4でYes判定)すると、退避を完了したその場で溶接トーチ112を上端停止タイマThdの時間停止させ(STEP3−1:ステップ3−1)、余盛ビードの形成を完成させる。
また、STEP1−3(ステップ1−3)において、ピーク溶加材送給速度Wfpに切り替えた後、ピーク溶加材送給時間Twfpと送給タイミング調整時間Tadjから算出される時間(Twfp−Tadj)が経過するのを待つ。そして、経過を確認したところで(STEP3−2:ステップ3−2でYes判定)、溶加材113の送給速度をベース溶加材送給速度Wfbに切り替える(STEP3−3:ステップ3−3)。ベース溶加材送給速度Wfbに負値を設定しているときの内部処理に関しては、実施の形態1と同じであるため省略する。
次に、STEP2(ステップ2)として、ピッチ移動動作について説明する。
STEP3−4(ステップ3−4)において、退避完了点での停止動作が完了すると、次に、溶接トーチ112を実施の形態1と同様にピッチ移動動作させる(STEP2−1:ステップ2−1)とともに、溶接電源装置121にベース電流値Ibを指令する(STEP2−2:ステップ2−2)。
また、ベース電流値Ibを溶接電源装置121に指令した後、ピッチ移動距離Lpと溶接速度Vと送給タイミング調整時間Tadjから算出される時間((Lp/V)−Tadj)の経過の完了(STEP2−3:ステップ2−3でYes判定)を待って、溶加材送給装置131にピーク溶加材送給速度Wfpを指令する(STEP2−4:ステップ2−4)。
ピッチ移動動作は、(ピッチ移動距離Lp/溶接速度V)の時間で行うため、ベース電流を指令してから((ピッチ移動距離Lp/溶接速度V)−送給タイミング調整時間Tadj)の経過の完了後に送給速度を切り替える。これにより、結果的に、ピーク電流値Ipを溶接電源装置121に指令する送給タイミング調整時間Tadj時間前に送給速度をピーク溶加材送給速度Wfpに切り替えることが可能となる。
送給速度をピーク溶加材送給速度Wfpに切り替えた後、ピーク溶加材送給時間Twfpの経過完了を待ってベース溶加材送給速度Wfbに切り替える(STEP3−3:ステップ3−3)。通常は、退避動作が完了して上端で溶接トーチ112を停止させているSTEP3(ステップ3)の終了直前に、ベース溶加材送給速度Wfbに切り替わるようにピーク溶加材送給時間Twfpを設定する。
次に、STEP4(ステップ4)として、溶接終了判定について説明する。
ピッチ移動が完了すると、溶接終了判定を行う。溶接終了判定の実施方法や終了判断がされたとき(STEP4−2:ステップ4−2でYes判定)の溶接終了方法については、実施の形態1と同じであるので省略する。
次に、STEP5(ステップ5)として、溶接開始後2回目以降の退避動作について説明する。
ピッチ移動が完了すると、再度退避動作を開始する(STEP5−1:ステップ5−1)。STEP1(ステップ1)での退避動作と異なる点は、STEP1(ステップ1)では退避動作の開始と同じタイミングでピーク電流値Ipの指令とピーク溶加材送給速度Wfpの指令を行っていた。しかしながら、STEP2(ステップ2)の処理で送給速度の切り替えを実施済みのため、ピーク電流値Ipの指令のみを行い(STEP5−2:ステップ5−2)、送給速度の切替指令は行わない点である。
以降は、STEP4−2(ステップ4−2)の溶接終了判定でYesの判定が行われるまで、STEP2(ステップ2)からSTEP5(ステップ5)の動作を繰り返し行う。
次に、本実施の形態2のアーク溶接方法の作用および効果について説明する。
通常、溶加材113を送給するタイミングとしては、溶接電流をピーク条件にし、溶加材113が溶融する条件で送給することが望ましい。ここで、本実施の形態2の溶接方法では、ベース溶加材送給速度Wfに負値を設定することが可能であるので、ピッチ移動時(ベース電流条件時)に溶加材113を引き上げることが可能である。しかし、ピッチ移動距離Lpが長い場合や、溶接速度Vが小さい場合などは、ピッチ移動区間で必要以上に溶加材113が引き上げられてしまう。そうすると、次のピーク電流条件への切り替えと同時に溶加材送給速度をピーク溶加材送給速度に切り替えたとしても、溶加材113が溶接対象物Wに対して溶着するまでに時間がかかってしまい、その間に溶接対象物Wが過溶融して溶け落ちてしまうことがある。
そこで、本実施の形態2のように、ピーク電流に切り替える前から送給速度をピーク溶加材送給速度Wfpに切り替えることで、ピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
すなわち、本実施の形態2のアーク溶接方法は、溶接用電極は非消耗性電極212であり、溶加材113を供給しながらアーク溶接を行う。溶加材113の送給は、ピーク送給速度とピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行う。ピーク送給速度での送給は、ピーク電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始され、ベース送給速度での送給は、ベース電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始される方法としてもよい。この方法により、ピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の時に溶加材113の送給が逆送となるように溶加材113の送給を制御する方法としてもよい。この方法により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始時から第1の所定時間の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第1の所定時間の経過後は、溶加材113の送給を停止する方法としてもよい。この方法により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始前のある時点から第2のステップの開始後のある時点までの第2の所定時間の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第2の所定時間の経過後は、溶加材113の送給を停止する方法としてもよい。この方法により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始前のある時点から第2のステップの開始時までの第3の所定時間の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第3の所定時間の経過後は、溶加材113の送給を停止する方法としてもよい。この方法により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、本実施の形態2のアーク溶接装置において、溶加材113の送給は、ピーク送給速度とピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行う。ピーク送給速度での送給は、ピーク電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始され、ベース送給速度での送給は、ベース電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始される構成としてもよい。この構成により、ピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の時に溶加材113の送給が逆送となるように溶加材113の送給を制御する構成としてもよい。この構成により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始時から第1の所定時間の間は、溶加材の送給が逆送となるように制御し、第1の所定時間の経過後は、溶加材113の送給を停止する構成としてもよい。この構成により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始前のある時点から第2のステップの開始後のある時点までの第2の所定時間の間は、溶加材の送給が逆送となるように制御し、第2の所定時間の経過後は、溶加材の送給を停止する構成としてもよい。この構成により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
また、第2のステップ(ステップ2)の開始前のある時点から第2のステップの開始時までの第3の所定時間の間は、溶加材113の送給が逆送となるように制御し、第3の所定時間の経過後は、溶加材の送給を停止する構成としてもよい。この構成により、さらにピーク電流の切り替え時に溶接対象物Wを過溶融させることがなく、溶加材113を送給することが可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態1と実施の形態2では、非消耗性電極を用いて溶接を行うアーク溶接装置について説明した。本発明の実施の形態3では、消耗性電極を用いて溶接を行うアーク溶接装置について説明する。
図16は、本発明の実施の形態3におけるMIG溶接システムの概略構成を示す図である。図17は、本発明の実施の形態3における溶接トーチ504の概要を示す正面図である。図18は、本発明の実施の形態3における動作パラメータの設定画面の例を示す図である。図19は、本発明の実施の形態3における溶接パラメータの設定画面の例を示す図である。
図16は、本実施の形態3における、消耗性電極を用いたアーク溶接を、ロボットシステムを用いて自動で行う自動溶接システムであるMIG溶接システムの一例であるアーク溶接装置の概略構成を示している。
図16で示すアーク溶接装置は、実施の形態1でも示したマニピュレータ111と、制御装置141と、ティーチペンダント151と、を有し、これに加えて溶接電源装置501と溶接ワイヤ送給装置502とを備えている。
マニピュレータ111には、消耗性電極用の溶接トーチ504が取り付けられている。溶接トーチ504には、図17に示すように、アルゴンなどのシールドガスを供給するためのガスノズル601が取り付けられている。ガスノズル601からは、溶接電源装置501からの指令に応じて図示しないガスボンベから供給されたシールドガスを、溶接対象物Wの溶接箇所に供給することができる。
また、溶接トーチ504の先端には、コンタクトチップ602が取り付けられており、溶接ワイヤ503は、溶接ワイヤ送給装置502によって送給され、コンタクトチップ602を通じて溶接対象物Wに送給および給電される。
溶接電源装置501は、溶接電圧を印加して溶接電流を流すための出力部(図示せず)と、出力に対して実際に印加する電圧を検出するための電圧検出部(図示せず)と、溶接ワイヤ制御部(図示せず)とを備えた装置である。出力部は、溶接トーチ504と溶接対象物Wとに接続されており、制御装置141の指令によって、溶接トーチ504を通じて消耗性電極である溶接ワイヤ503と溶接対象物Wとの間に溶接電圧が印加される。
溶接ワイヤ送給装置502は、通常、マニピュレータ111の上部に取り付けられており、ガイドローラ付きの送給モータ(図示せず)と図示しないエンコーダなどの角度センサで送給モータの角度を検出するための角度検出部を備えた装置である。そして、溶接ワイヤ送給装置502は、溶接電源装置501の指令によって作動し、消耗性電極である溶接ワイヤ503を送給するための装置である。
制御装置141の指令に応じて溶接が開始されると、溶接電源装置501では、溶接電圧の印加と指令電流に応じて定まる送給速度で溶接ワイヤ送給装置502の駆動制御が行わる。送給された溶接ワイヤ503と溶接対象物Wとの間でアークが発生し、溶接ワイヤ503が溶接対象物Wに溶滴移行を行う。
本実施の形態3のアーク溶接装置の制御装置141およびティーチペンダント151の構成は、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。実施の形態1では、溶接条件を指令する溶接条件指令部146と、送給速度を指令する送給速度指令部147とをそれぞれ独立して備えていた。しかし、本実施の形態3の消耗性電極を用いたアーク溶接装置では、実施の形態1と異なる点として、送給速度は、溶接条件に応じて溶接電源装置501が駆動制御を行うため、実施の形態1のアーク溶接装置の送給速度指令部147を備えていない。溶接条件指令部146の指令値を、溶接電源装置501に対して、溶接条件として指令する。
本実施の形態3のアーク溶接方法は、溶接用電極は消耗性電極であり、消耗性電極の送給は、ピーク送給速度とピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行う。そして、ピーク送給速度は、ピーク電流と同期するように制御され、ベース送給速度は、ベース電流に同期するように制御される方法としてもよい。
この方法により、所望の美しいビード形状を得ることができる溶接方法を実現できる。
本実施の形態3のティーチペンダント151のデータ設定部154では、図18に示す動作パラメータ設定部701と、図19に示す溶接条件パラメータ設定部801とを備えている。動作パラメータ設定部701は、退避条件設定部310と移動条件設定部320とを備えている。退避条件設定部310は、退避移動距離設定部311と、退避方向設定部312と、退避時間設定部313と、を有している。溶接条件パラメータ設定部801は、ピーク電流設定部410、ベース電流設定部411、第1の設定部420、第2の設定部421、ピーク電圧設定部422およびベース電圧設定部423のうちの少なくともいずれかを備えている。これらの構成要素の機能と役割については、図3および図4で具体的に説明した内容と同様なので、個々での説明は省略する。
図18に示すように、動作パラメータ設定部701は、ピッチ移動距離Lp、退避距離Lh、退避方向D、退避時間Th、溶接速度Vおよび上端停止タイマThd等の動作パラメータを設定し、これらの動作パラメータはデータ表示部153に表示される。図19に示す溶接条件パラメータ設定部801は、ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、ベース電流値Ibおよびベース電圧値Vb等の溶接条件パラメータを設定し、これらの動作パラメータはデータ表示部153に表示される。そして、溶接条件パラメータ設定部801は、本実施の形態3のアーク溶接方法を開始する意味も備えている自動運転時のプレイバック用命令C(図示せず)と、アーク溶接方法を終了する自動運転時のプレイバック用命令E(図示せず)とを備えている。なお、命令Cや命令Eは、教示データ記憶部144に記憶される。
動作パラメータ設定部701の退避方向設定部312では、実施の形態1と同様に、予め用意されている「トーチ方向」および「鉛直上向き方向」の2つの選択肢から設定される。
また、図18と図19に示すように、演算パラメータの設定時、ティーチペンダント151のデータ表示部153には、演算パラメータと実際の動作の関係を示した略図が表示されており(図18、図19参照)、教示者が演算パラメータ設定時の挙動の変化をイメージし易くしている。
以上、データ設定部154の設定内容については、教示者が教示した自動運転時にプレイバック動作させる教示データ内の命令の1つとして、ティーチペンダント151の通信部152と制御装置141の通信部142を通じて、制御装置141の教示データ記憶部144に記憶される。
本実施の形態3のアーク溶接方法を使用する場合、溶接作業を行う区間の中で、本実施の形態3のアーク溶接方法を開始したい教示位置に命令Cを登録する。
また、本実施の形態3のアーク溶接方法を終了したい教示位置には、命令Eを登録しておく。但し、命令Eを登録しなくても、本実施の形態3のアーク溶接方法は、溶接区間の終了で自動的に終了される。詳細な動作については後述するが、命令Eを登録しているか否かによって、本実施の形態3のアーク溶接方法の終了時の動作が異なっており、教示内容によって教示者が命令の登録を選択することができる。
次に、演算パラメータを用いたマニピュレータ111の動作制御と溶接条件の制御との詳細について図20から図22までの図面を参照して説明する。
図20および図21は、本発明の実施の形態3のアーク溶接方法のフローチャートを示している。図22は、本発明の実施の形態3におけるピッチ方向の移動距離、退避方向の移動距離、溶接電流の電流値およびワイヤ送給速度のタイムチャートである。
図22は、溶接トーチ504のピッチ方向への移動距離の時間変化および溶接トーチ504の溶接線方向とは異なる退避方向設定部で設定した方向への退避距離の時間変化を示したものである。また、図22は、溶接電源装置501に指令する指令電流値の時間変化および溶接電源装置501に指令する指令ワイヤ送給速度値の時間変化を示したものである。
プレイバック動作において、制御装置141は、教示データ記憶部144から本実施の形態3のアーク溶接方法を開始する命令Cを読み出すと、まず、一般的な溶接開始処理を行う。溶接開始処理において、制御装置141は、溶接トーチ504と溶接対象物Wとの間への溶接電圧の印加と、溶接ワイヤ503の送給を開始し、アークを発生させる。
アーク発生後は、溶接開始時用の条件にて入熱処理がなされる。これら一般的な溶接開始処理(STEP0:ステップ0)の終了後に、本実施の形態3のアーク溶接方法が開始される。
本実施の形態3のアーク溶接方法では、予め定められた退避方向Dに溶接トーチ504を退避動作させながらピーク電流値Ipを流す余盛形成部(図示せず)と、退避完了点から溶接線方向にピッチ移動動作させながらベース電流値Ibを流すアーク継続部(図示せず)とがある。そして、これらを繰り返すことにより溶接を行う。
先ず、STEP1(ステップ1)として、退避動作について説明する。
溶接開始処理終了後、溶接トーチ504を退避方向Dで設定された方向に退避距離Lhの距離を退避時間Thにて動作するように退避動作を開始する(STEP1−1:ステップ1−1)。そして、退避させると同時に、溶接電源装置501にピーク電流値Ipとピーク電圧Vpを指令する(STEP1−2:ステップ1−2)。溶接電源装置501では、溶接ワイヤ503の材質や直径、溶接トーチ504からの突き出し長さなどによって予め定められている電流とワイヤ送給速度の関係から、ピーク電流値Ipを流すために必要なワイヤ送給速度Wfp1を算出し、溶接ワイヤ送給装置502を駆動する(STEP1−3:ステップ1−3)。これにより、溶接ワイヤ503は、溶接対象物Wに対して溶滴移行を行う。STEP1(ステップ1)の状態を示した図は図22におけるAの状態である。
次に、STEP3(ステップ3)として、退避完了点での停止動作について説明する。退避動作が完了(STEP1−4:ステップ1−4でYes判定)すると、退避を完了したその場で溶接トーチ504を上端停止タイマThdの時間停止させ(STEP3−1:ステップ3−1)、余盛ビードの形成を完成させる。これは、図22におけるBの状態であることを示している。
次に、STEP2(ステップ2)として、ピッチ移動動作について説明する。
STEP3−2(ステップ3−2)において退避完了点での停止動作が完了すると、次に溶接トーチ504をピッチ移動動作させる(STEP2−1:ステップ2−1)とともに、溶接電源装置501にベース電流値Ibとベース電圧値Vbを指令する(STEP2−2:ステップ2−2)。通常、ベース電流値Ibは、ピーク電流より低い値を設定し、アークを維持継続できる程度の電流値を設定する。溶接電源装置501では、ピーク電流時と同様に、ベース電流値Ibを流すために必要なワイヤ送給速度Wfb1を算出し、溶接ワイヤ送給装置502を駆動する(STEP2−3:ステップ2−3)。アークを維持継続できる程度の電流値を設定することで、ほとんど溶滴移行を行わせることなくアークを維持することが可能である。
ここで、ピッチ動作は、STEP1:ステップ1において退避動作を開始した位置から、溶接進行方向にピッチ移動距離Lpを移動させた点を目標点とし、(STEP3:ステップ3)において退避が完了した点から目標の点に向かってピッチ移動距離Lp/溶接速度Vで求められる時間で動作するようにピッチ移動を開始する。これは、図22におけるCの状態であることを示している。
次に、STEP4(ステップ4)として、溶接終了判定について説明する。
ピッチ動作(STEP2−4:ステップ2−4でYes判定)が完了すると、溶接終了判定が行われる。溶接終了判定については実施の形態1と同じ処理を行うため、詳細な説明を省略する。以降はSTEP4−2:ステップ4−2の溶接終了判定にてYesの判定が行われるまでSTEP1(ステップ1)からSTEP4(ステップ4)の動作を繰り返し行う。
次に、本実施の形態3のアーク溶接方法を終了する処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
終了処理では、溶接終了点に、本実施の形態3のアーク溶接方法を終了させる命令である命令Eが登録されているか否かの判定から行う(STEP5−1:ステップ5−1)。溶接終了点に命令Eが登録されている場合(STEP5−1:ステップ5−1でYes判定)は、ピッチ移動が完了した点において本実施の形態3のアーク溶接方法の処理は完了となる。
なお、本実施の形態3では、溶接終了点において命令Eが登録されていることを想定したが、命令Eは溶接区間の途中の教示点に存在していてもよい。その場合は本終了処理の実施の形態と同様に、ピッチ移動が完了した点で本実施の形態3のアーク溶接方法が終了となり、以降は通常の溶接区間として溶接が行われる。
一方、溶接終了点に命令Eが登録されていない場合(STEP5−1:ステップ5−1でNo判定)は、ピッチ移動完了後の点から、通常の溶接区間のSTEP1(ステップ1)とSTEP2(ステップ2)と同様に、退避動作とピーク電流の指令を行い、溶接終了点において溶接区間と同じ余盛を形成して溶接方法終了となる(STEP1−1:ステップ1−1〜STEP1−4:ステップ1−4、STEP3−1:ステップ3−1〜STEP3−2:ステップ3−2)。
なお、使用用途などは実施の形態1と同じである。
次に、本実施の形態3を実施した場合の作用について説明する。
STEP1(ステップ1)において、溶接トーチ504をトーチ方向に退避させながらピーク電流値Ipを用いて余盛溶接を行っている。これにより、溶接線方向への移動を意識せずにウロコ状のきれいな余盛ビードを形成することができる。
また、溶接トーチ504を退避させず、溶接トーチ504を停止させた状態のみで余盛溶接を行った場合は、余盛ビードと溶接トーチ504からのアーク発生ポイントまでの突き出し長さが短くなってしまい、溶接が悪化し、きれいなビードを形成することができない。しかし、本実施の形態3のアーク溶接方法では、溶接トーチ504を退避させながら余盛溶接を行うため、溶接ワイヤ503と溶接対象物Wとの間の適正距離を保ったまま溶接を行うことが可能である。
STEP3(ステップ3)において、溶接トーチ504を一定時間の間だけ一定に保ってピーク電流条件にて溶接を行うことで、ウロコ状の余盛ビードの高さを一定に保つ効果が期待される。
STEP2(ステップ2)において、溶接電流をベース電流値に切り替えてピッチ移動を行っている。これにより、溶接ワイヤ503と溶接対象物Wとの間のアークを消滅させない程度のベース電流値で溶接トーチ504を移動することができ、次回のピーク電流への切り替えをスムーズに移行できる。これにより、タクトタイム短縮の効果ときれいなビード外観を得る効果がある。
すなわち、本実施の形態3のアーク溶接装置は、消耗性電極505と溶接対象物Wとの間に電力を供給する溶接電源装置501と、溶接トーチ504を備えたマニピュレータ111と、マニピュレータ111と溶接電源装置501を制御する制御装置141と、を備えたアーク溶接装置である。そして、本発明のアーク溶接装置は、溶接ワイヤ送給装置502と、第1の設定部420と、第2の設定部421と、ピーク電圧設定部422と、ベース電圧設定部423と、退避条件設定部310と、移動条件設定部320と、を備えている。ここで、溶接ワイヤ送給装置502は、消耗性電極を送給する。第1の設定部420は、消耗性電極と溶接対象物Wとの間に供給するピーク電流の電流値と時間、または、消耗性電極のピーク送給速度と適用する時間を設定する。第2の設定部421は、ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値と時間、または、ピーク送給速度より遅いベース送給速度と適用する時間を設定する。ピーク電圧設定部422は、消耗性電極と溶接対象物Wとの間に印加するピーク電圧の電圧値を設定する。ベース電圧設定部423は、ピーク電圧よりも小さいベース電圧の電圧値を設定する。退避条件設定部310は、溶接対象物Wから離れる条件を設定する。移動条件設定部320は、溶接進行方向に移動する移動条件を設定する。そして、本発明のアーク溶接装置は、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物Wから離れる方向に消耗性電極を移動させる第1のステップと、アークを発生させたままの状態で、溶接対象物Wに近づく方向かつ溶接進行方向に消耗性電極を移動させる第2のステップ(ステップ2)と、を交互に繰り返して溶接を行う構成からなる。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、本実施の形態3のアーク溶接装置の退避条件設定部310は、退避移動距離設定部311と、退避方向設定部312と、退避時間設定部313と、を有し、移動条件設定部320は、溶接速度設定部321と、ピッチ移動距離設定部322と、を有している。ここで、退避移動距離設定部311は、溶接対象物Wから離れる移動距離である退避移動距離Lhを設定する。退避方向設定部312は、溶接対象物Wから離れる方向である退避方向Dを設定する。退避時間設定部313は、退避方向設定部312で設定された方向に退避移動距離設定部311で設定された距離を移動する時間である退避時間Thを設定する。溶接速度設定部321は、溶接進行方向に移動する速度である溶接速度Vを設定する。ピッチ移動距離設定部322は、溶接進行方向に移動する距離であるピッチ移動距離Lpを設定する。
そして、第1のステップ(ステップ1)では、退避方向設定部312で設定した方向に、退避移動距離設定部311で設定した距離を、退避時間設定部313で設定した時間で、消耗性電極を溶接対象物Wから離れる方向に移動させる。第2のステップ(ステップ2)では、第1のステップの完了により消耗性電極が移動した位置から、移動目標位置に対して、ピッチ移動距離設定部322で設定した距離を溶接速度設定部321で設定した溶接速度Vで除して求められる時間の間に消耗性電極を移動させる。ここで、移動目標位置は、消耗性電極が第1のステップの開始時の消耗性電極の位置から溶接進行方向にピッチ移動距離設定部322で設定した距離だけ進んだ位置である。そして、第1のステップと第2のステップとを行うことにより、本実施の形態3のアーク溶接装置は、溶接対象物Wに近づく方向かつ溶接進行方向に消耗性電極を移動させる構成としてもよい。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
また、消耗性電極の送給は、ピーク送給速度とピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、ピーク送給速度での送給は、ピーク電流の供給と同期するように制御され、ベース送給速度での送給は、ベース電流の供給と同期するように制御される構成としてもよい。この構成により、所望の美しいビード形状を得ることができる。
なお、本実施の形態3では、上端停止タイマThdを設定し、上端において溶接トーチ504の停止を行う例を示したが、溶接対象物Wの形状や使用する電流条件や形成したい溶接ビードに応じて上端停止タイマThdを0とし、溶接トーチ504を停止させないことも可能である。
なお、本実施の形態3では、退避方向Dを「トーチ方向」に設定した例を示したが、「鉛直上向き方向」に設定した場合でも退避方向が異なる以外は、本実施の形態3と処理は同じである。
なお、本実施の形態3では、ピーク電流値Ipとベース電流値Ibとを指令し、電流に同期させて、ピーク溶加材送給速度Wfpとベース溶加材送給速度Wfbの制御を行う例を示した。しかし、ピーク溶加材送給速度Wfpとベース溶加材送給速度Wfbを指令し、送給速度に同期させて電流を制御してもよい。
本発明によれば、所望のビード形状を得ることができ、例えばうろこ状のビードの形成等に用いるアーク溶接方法およびアーク溶接装置として適用が可能で産業上有用である。
111 マニピュレータ
112,504 溶接トーチ
113 溶加材
121,501 溶接電源装置
131 溶加材送給装置
132 送給速度制御部
133 送給モータ
136 溶加材ピーク送給速度設定部
137 溶加材ベース送給速度設定
41 制御装置
142 通信部
143 演算部
144 教示データ記憶部
145 マニピュレータ制御部
146 溶接条件指令部
147 送給速度指令部
151 ティーチペンダント
152 通信部
153 データ表示部
154 データ設定部
211,601 ガスノズル
212 非消耗性電極
213 溶加材送給ガイド
301,701 動作パラメータ設定部
310 退避条件設定部
311 退避移動距離設定部
312 退避方向設定部
313 退避時間設定部
320 移動条件設定部
321 溶接速度設定部
322 ピッチ移動距離設定部
401,801 溶接条件パラメータ設定部
410 ピーク電流設定部
411 ベース電流設定部
420 第1の設定部
421 第2の設定部
422 ピーク電圧設定部
423 ベース電圧設定部
502 溶接ワイヤ送給装置
503 溶接ワイ
02 コンタクトチップ

Claims (33)

  1. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記第1のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間にピーク電流を供給し、前記第2のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間に前記ピーク電流よりも低いベース電流を供給するアーク溶接方法。
  2. 前記第1のステップの終了時の位置で前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接用電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップを、前記第1のステップと前記第2のステップとの間に備えた請求項1記載のアーク溶接方法。
  3. 前記第3のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間にピーク電流を供給する請求項2記載のアーク溶接方法。
  4. 前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記溶加材の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度での送給は、前記ピーク電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始され、前記ベース送給速度での送給は、前記ベース電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始される請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  5. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記第1のステップの終了時の位置で前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接用電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップを、前記第1のステップと前記第2のステップとの間に備え、
    前記第3のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間にピーク電流を供給するアーク溶接方法。
  6. 前記第1のステップにおいて、前記溶接用電極を、前記溶接用電極の前記溶接線上の位置は変化させずに溶接対象物から離れる方向に移動させる、前記溶接用電極を、溶接進行方向に対して戻る方向に移動させながら前記溶接対象物から離れる方向に移動させる、または、前記溶接用電極を、前記溶接進行方向に移動させながら前記溶接対象物から離れる方向に移動させる請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  7. 前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの時に前記溶加材の送給が逆送となるように前記溶加材の送給を制御する請求項1から6のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  8. 前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始時から第1の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第1の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項1から6のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  9. 前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始後のある時点までの第2の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第2の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項1から6のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  10. 前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始時までの第3の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第3の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項1から6のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  11. 前記溶接用電極は消耗性電極であり、前記消耗性電極の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度は、前記ピーク電流と同期するように制御され、前記ベース送給速度は、ベース電流に同期するように制御される請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  12. 非消耗性電極と溶接対象物との間に電力を供給する溶接電源装置と、
    前記非消耗性電極を保持する溶接トーチを備えたマニピュレータと、
    前記マニピュレータと前記溶接電源装置を制御する制御装置と、
    溶加材を送給するために前記溶接トーチに取り付けられた溶加材送給ガイドと、を備えたアーク溶接装置であって、
    前記溶加材を送給する溶加材送給装置と、
    前記非消耗性電極と前記溶接対象物との間に供給するピーク電流の電流値と時間を設定するためのピーク電流設定部と、
    前記ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値と時間とを設定するためのベース電流設定部と、
    前記溶加材のピーク送給速度と適用する時間を設定するための溶加材ピーク送給速度設定部と、
    前記溶加材の前記ピーク送給速度よりも小さいベース送給速度と前記ベース送給速度を適用する時間を設定するための溶加材ベース送給速度設定部と、
    前記溶接対象物から離れる条件を設定する退避条件設定部と、
    溶接進行方向に移動する移動条件を設定する移動条件設定部と、
    を備え、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記非消耗性電極を移動させる第1のステップと、前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ前記溶接進行方向に前記非消耗性電極を移動させる第2のステップと、を交互に繰り返して溶接を行うアーク溶接装置。
  13. 前記退避条件設定部は、
    前記溶接対象物から離れる移動距離である退避移動距離を設定するための退避移動距離設定部と、
    前記溶接対象物から離れる方向である退避方向を設定するための退避方向設定部と、
    前記退避方向設定部で設定された方向に前記退避移動距離設定部で設定された距離を移動する時間である退避時間を設定するための退避時間設定部と、を有し、
    前記移動条件設定部は、
    前記溶接進行方向に移動する速度である溶接速度を設定するための溶接速度設定部と、
    前記溶接進行方向に移動する距離であるピッチ移動距離を設定するためのピッチ移動距離設定部と、を有し、
    前記第1のステップでは、前記退避方向設定部で設定した方向に、前記退避移動距離設定部で設定した距離を、前記退避時間設定部で設定した時間で、前記非消耗性電極を前記溶接対象物から離れる方向に移動させ、前記第2のステップでは、前記第1のステップの完了により前記非消耗性電極が移動した位置から、前記第1のステップの開始時の前記非消耗性電極の位置から前記溶接進行方向に前記ピッチ移動距離設定部で設定した距離だけ進んだ位置を前記非消耗性電極の移動目標位置として、前記ピッチ移動距離設定部で設定した距離を前記溶接速度設定部で設定した溶接速度で除して求められる時間の間に移動させることにより、前記溶接対象物に近づく方向かつ前記溶接進行方向に前記非消耗性電極を移動させる請求項12記載のアーク溶接装置。
  14. 前記第1のステップの終了時の位置で前記アークを発生させたままの状態で、前記非消耗性電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップを、第1のステップと第2のステップとの間に行う請求項12または13のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  15. 前記第1のステップの間は、非消耗性電極と溶接対象物との間にピーク電流を供給し、前記第2のステップの間は、前記非消耗性電極と前記溶接対象物との間に前記ピーク電流よりも低いベース電流を供給する請求項12から14のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  16. 前記第3のステップの間は、前記非消耗性電極と溶接対象物との間にピーク電流を供給する請求項14記載のアーク溶接装置。
  17. 前記溶加材の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度での送給は、前記ピーク電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始され、前記ベース送給速度での送給は、前記ベース電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始される請求項12から16のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  18. 前記第2のステップの時に前記溶加材の送給が逆送となるように前記溶加材の送給を制御する請求項12から17のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  19. 前記第2のステップの開始時から第1の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第1の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項12から17のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  20. 前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始後のある時点までの第2の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第2の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項12から17のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  21. 前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始時までの第3の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第3の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止する請求項12から17のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  22. 消耗性電極と溶接対象物との間に電力を供給する溶接電源装置と、
    溶接トーチを備えたマニピュレータと、
    前記マニピュレータと前記溶接電源装置を制御する制御装置と、
    を備えたアーク溶接装置であって、
    前記消耗性電極を送給する溶接ワイヤ送給装置と、
    前記消耗性電極と前記溶接対象物との間に供給するピーク電流の電流値と時間、または、前記消耗性電極のピーク送給速度と適用する時間を設定するための第1の設定部と、
    前記ピーク電流よりも小さいベース電流の電流値と時間、または、前記ピーク送給速度より遅いベース送給速度と適用する時間を設定するための第2の設定部と、
    前記消耗性電極と前記溶接対象物との間に印加するピーク電圧の電圧値を設定するためのピーク電圧設定部と、
    前記ピーク電圧よりも小さいベース電圧の電圧値を設定するためのベース電圧設定部と、
    前記溶接対象物から離れる条件を設定する退避条件設定部と、
    溶接進行方向に移動する移動条件を設定する移動条件設定部と、
    を備え、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記消耗性電極を移動させる第1のステップと、前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ前記溶接進行方向に前記消耗性電極を移動させる第2のステップと、を交互に繰り返して溶接を行い、
    前記消耗性電極の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度での送給は、前記ピーク電流の供給と同期するように制御され、前記ベース送給速度での送給は、前記ベース電流の供給と同期するように制御されるアーク溶接装置。
  23. 前記退避条件設定部は、
    前記溶接対象物から離れる移動距離である退避移動距離を設定するための退避移動距離設定部と、
    前記溶接対象物から離れる方向である退避方向を設定するための退避方向設定部と、
    前記退避方向設定部で設定された方向に前記退避移動距離設定部で設定された距離を移動する時間である退避時間を設定するための退避時間設定部と、を有し、
    前記移動条件設定部は、
    前記溶接進行方向に移動する速度である溶接速度を設定するための溶接速度設定部と、
    前記溶接進行方向に移動する距離であるピッチ移動距離を設定するためのピッチ移動距離設定部と、を有し、
    前記第1のステップでは、前記退避方向設定部で設定した方向に、前記退避移動距離設定部で設定した距離を、前記退避時間設定部で設定した時間で、前記消耗性電極を前記溶接対象物から離れる方向に移動させ、前記第2のステップでは、前記第1のステップの完了により前記消耗性電極が移動した位置から、前記第1のステップの開始時の前記消耗性電極の位置から前記溶接進行方向に前記ピッチ移動距離設定部で設定した距離だけ進んだ位置を前記消耗性電極の移動目標位置として、前記ピッチ移動距離設定部で設定した距離を前記溶接速度設定部で設定した溶接速度で除して求められる時間の間に移動させることにより、前記溶接対象物に近づく方向かつ前記溶接進行方向に前記消耗性電極を移動させる請求項22記載のアーク溶接装置。
  24. 前記溶接電源装置を前記制御装置内に設けた請求項12から23のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  25. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記溶加材の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度での送給は、前記ピーク電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始され、前記ベース送給速度での送給は、前記ベース電流の開始タイミングとは異なるタイミングで開始されるアーク溶接方法。
  26. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの時に前記溶加材の送給が逆送となるように前記溶加材の送給を制御するアーク溶接方法。
  27. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始時から第1の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第1の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止するアーク溶接方法。
  28. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始後のある時点までの第2の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第2の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止するアーク溶接方法。
  29. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は非消耗性電極であり、溶加材を供給しながらアーク溶接を行い、前記第2のステップの開始前のある時点から前記第2のステップの開始時までの第3の所定時間の間は、前記溶加材の送給が逆送となるように制御し、前記第3の所定時間の経過後は、前記溶加材の送給を停止するアーク溶接方法。
  30. 溶接用電極と溶接対象物との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接方法であって、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物から離れる方向に前記溶接用電極を移動させる第1のステップと、
    前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接対象物に近づく方向かつ溶接線方向に前記溶接用電極を移動させる第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップと前記第2のステップとを交互に繰り返して溶接を行い、
    前記溶接用電極は消耗性電極であり、前記消耗性電極の送給は、ピーク送給速度と前記ピーク送給速度よりも遅いベース送給速度とを交互に繰り返して行い、前記ピーク送給速度は、前記ピーク電流と同期するように制御され、前記ベース送給速度は、ベース電流に同期するように制御されるアーク溶接方法。
  31. 前記第1のステップの終了時の位置で前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接用電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップを、前記第1のステップと前記第2のステップとの間に備えた請求項25〜30のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  32. 前記第1のステップにおいて、前記溶接用電極を、前記溶接用電極の前記溶接線上の位置は変化させずに溶接対象物から離れる方向に移動させる、前記溶接用電極を、溶接進行方向に対して戻る方向に移動させながら前記溶接対象物から離れる方向に移動させる、または、前記溶接用電極を、前記溶接進行方向に移動させながら前記溶接対象物から離れる方向に移動させる請求項25〜31のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  33. 前記第1のステップの終了時の位置で前記アークを発生させたままの状態で、前記溶接用電極の位置を所定時間だけ維持する第3のステップを、前記第1のステップと前記第2のステップとの間に備え、
    前記第3のステップの間は、前記溶接用電極と前記溶接対象物との間にピーク電流を供給する請求項30に記載のアーク溶接方法。
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