JP2007069256A - 溶接装置 - Google Patents

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昇 木治
Masayuki Iguchi
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Abstract

【課題】 厚板鋼材の突合せ溶接において、従来に比べて低入熱溶接を行うことで、より高品質且つ高効率な溶接を実現することを目的とする。
【解決手段】 略垂直姿勢で対向配置されると共にI形開先を形成する一対の材料を突合せ溶接する溶接装置であって、溶接トーチと、該溶接トーチに所定の送給速度で溶接ワイヤを送給するワイヤ送給手段と、I形開先に沿って溶接トーチを昇降させる昇降手段と、溶接トーチに所定の溶接電流を給電する溶接電源と、ワイヤ送給手段、昇降手段及び溶接電源を同期制御することによりI形開先を下から上に向けて順次積層溶接させる制御手段とを備え、制御手段は、溶接ワイヤをI形開先の側方からI形開先内に差し込んで溶接ワイヤの先端を前記I形開先の奥端と手前端との間で往復移動させる、という手段を採用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶接装置に関するものである。
例えば、特開平8−187579号公報あるいは特開2002−103041号公報には、厚板鋼材の立向き突合せ継手に対し、鋼材の材質の劣化を起こすことなく、高品質且つ高効率な溶接を行う技術が開示されている。特開平8−187579号公報の技術(エレクトロガス溶接方法及びその装置)は、厚板鋼材の立向き突合せ継手のV形開先に対し、板厚方向に2つの溶接トーチを並べて挿入し、両溶接トーチを板厚方向に往復駆動すると共に、当該両溶接トーチから送給される溶接ワイヤによるアーク放電の熱源範囲を、上記V形開先の裏面側より表面側の方を大きくして溶接を行うものである。一方、特開2002−103041号公報(極厚鋼材の2電極立向エレクトロガスアーク溶接方法)は、上記のように2本の溶接ワイヤを使用する2電極型の溶接方法において、V形開先の表面側に特定の成分のフラックス入りワイヤを使用すると共に、裏面側にソリッドワイヤを使用することで、より高品質且つ高効率な溶接を行うものである。
また、特開平11−147173号公報あるいは特開平11−179549号公報には、溶接角変形及び溶接欠陥の発生を低減する溶接技術について開示されている。特開平11−147173号公報の技術(厚板材の接合方法)は、厚板鋼材の突合せ面にI形開先を形成し、該I形開先内の板厚方向の中央部に、板幅方向に沿って銅板の仕切り板を配置して、当該仕切り板を挟んで2つの溶接トーチをI形開先内に挿入し、両溶接トーチによって立向き上進溶接及び下進溶接を行うものである。一方、特開平11−179549号公報の技術(狭開先用溶接装置)は、厚板鋼材の突合せ面に狭I形開先を形成し、薄型扁平状の溶接トーチを上記狭I形開先に挿入して、立向き上進溶接及び下進溶接を行うものである。
特開平8−187579号公報 特開2002−103041号公報 特開平11−147173号公報 特開平11−179549号公報
ところで、近年、造船や橋梁等に使用される鋼材は、構造物の大型化に伴い厚板化の傾向にある。このように鋼材が厚板化すると、例えばエレクトロガスアーク溶接法のような大入熱1パス溶接では、厚板鋼材の溶接部分に靭性劣化が生じてしまい、強度、すなわち品質を十分に確保できないという問題がある。このような問題の対策として、大入熱用の特殊鋼材を使用する方法も考えられるが、コストが増加するので好ましくない。
上記特開平8−187579号公報の技術では、このような入熱量による品質劣化の対策として、V形開先内における溶接ワイヤの位置に応じてアーク放電の熱源範囲を変化させているが、一般にV形開先の場合、開先断面積が大きくなるため溶接工程に時間がかかり、生産効率が悪い。また、品質劣化を防止するためには、開先幅を可能な限り狭くして入熱量を低減することが望ましいので、このような観点から上記従来技術は、品質劣化対策としては不十分である。また、特開2002−103041号公報の技術も同様に、溶接トーチを開先内に挿入するために開先幅を大きくする必要があり、入熱量が増加してしまう。
一方、特開平11−147173号公報及び特開平11−179549号公報の技術では、比較的開先幅の狭いI形開先を形成し、MAG溶接法やMIG溶接法等を用いて立向き溶接を行うので、入熱量をある程度低減することが可能であるが、上記I形開先内に溶接トーチを挿入する必要があるため、当該溶接トーチが挿入可能な程度の開先幅を確保しなければならない。よって、これらの従来技術においても、開先幅を可能な限り狭くするという観点から、品質劣化対策としては不十分である。また、開先幅は可能な限り狭くした方が溶接効率も高くなる。なお、特開平11−179549号公報の技術では、溶接トーチを薄型扁平状に構成することで狭開先に対応しているが、このように溶接トーチの大きさを小さくするにも限界がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたものであり、厚板鋼材の突合せ溶接において、従来に比べて低入熱溶接を行うことで、より高品質且つ高効率な溶接を実現することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、略垂直姿勢で対向配置されると共にI形開先を形成する一対の材料を突合せ溶接する溶接装置であって、溶接トーチと、該溶接トーチに所定の送給速度で溶接ワイヤを送給するワイヤ送給手段と、略垂直方向に延在する前記I形開先の側方において、当該I形開先に沿って前記溶接トーチを昇降させる昇降手段と、前記溶接トーチに所定の溶接電流を給電する溶接電源と、前記ワイヤ送給手段、昇降手段及び溶接電源を同期制御することによりI形開先を下から上に向けて順次積層溶接させる制御手段とを備え、前記制御手段は、前記溶接ワイヤを前記I形開先の側方から当該I形開先内に差し込んで前記溶接ワイヤの先端を前記I形開先の奥端と手前端との間で往復移動させる、という手段を採用する。
また、本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記昇降手段は、前記溶接トーチを所定の範囲で昇降させる副昇降手段と、当該副昇降手段を備えると共に、所定の上昇速度で上昇する主昇降手段とから構成され、前記制御手段は、前記主昇降手段、副昇降手段、ワイヤ送給手段及び溶接電源を同期制御することによりI形開先を下から上に向けて順次積層溶接させることを特徴とする。
また、本発明では、第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記制御手段は、溶接ワイヤの先端を前記I形開先の手前端から奥端へ移動させる場合は、前記溶接トーチを上昇させ、溶接ワイヤの先端を前記I形開先の奥端から手前端へ移動させる場合は、前記溶接トーチを下降させるように前記副昇降手段を制御することを特徴とする。
また、本発明では、第4の解決手段として、上記第2または3の解決手段において、前記制御手段は、溶接ワイヤの突き出し長さが最適な長さとなるように溶接電流の変化に基づいて前記主昇降手段の上昇速度を制御することを特徴とする。
また、本発明では、第5の解決手段として、上記第1〜4いずれかの解決手段において、前記溶接トーチをI形開先の幅方向に往復移動させる溶接トーチ往復手段を備え、前記制御手段は、前記I形開先の奥端と手前端との間の所定区間において、前記溶接ワイヤの先端がI形開先幅に対して中央に位置するように、溶接電流の変化に基づいて前記溶接トーチ往復手段を制御することを特徴とする。
また、本発明では、第6の解決手段として、上記第1〜5いずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記溶接電流が一定となるように、前記溶接ワイヤの送給速度を制御することを特徴とする。
本発明によれば、略垂直姿勢で対向配置されると共にI形開先を形成する一対の材料に対し、当該I形開先内に溶接ワイヤのみを挿入して溶接を行うので、従来のように溶接トーチを挿入する場合と比較して、I形開先幅を非常に狭くすることが可能となる。従って、従来に比べて入熱量を低減することができ、より高品質且つ高効率な溶接を実現することが可能である。
以下、図面を参照して、本発明に係る溶接装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る消耗電極式アーク溶接(MIGまたはMAG等)用溶接装置の構成概略図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図である。これらの図に示すように、本溶接装置は、ワイヤ送給装置1a、溶接トーチ1、溶接ワイヤ2、溶接電源3、副昇降ユニット4、主昇降ユニット5、レール6及び溶接制御部7から構成され、I形開先Gが形成された一対の厚板鋼材Sの突合せ溶接を行うものである。また、符号Mは溶接金属、Rは裏当て材である。
一対の厚板鋼材Sは、例えば造船や橋梁等の大型構造物に用いられる50mmを越えるような板厚の大きな鋼材であり、垂直姿勢で溶接面を突きあわせて配置(対向配置)され、所定の幅(開先ギャップg)を有するI形開先Gを形成している。また、図1において、垂直方向をZ軸方向、厚板鋼材Sの板厚方向をX軸方向、I形開先の幅方向をY軸方向とする。なお、I形開先Gの開先ギャップgは、5mm以上〜15mm以下の狭ギャップに設定されている。裏当て材Rは、溶接金属Mの流出防止用のセラミック等の耐熱性部材であり、I形開先Gの一方(溶接装置から見て奥側)の開口部を塞ぐように厚板鋼材SのZ軸方向に設置されている。また、図示していないが、I形開先GのZ軸方向の下端の開口部は、他の厚板鋼材または溶接金属Mで塞がれている。
本溶接装置において、ワイヤ送給装置1aは、溶接制御部7の制御の下、溶接ワイヤ2を所定の送給速度で溶接トーチ1に送給する。溶接トーチ1は、上記ワイヤ送給装置1aから送給される溶接ワイヤ2をI形開先G内に送給するものであり、溶接ワイヤ2の送給口がX軸方向に対して角度θを有するように副昇降ユニット4を介して主昇降ユニット5に設置されている。つまり、溶接ワイヤ2は、X軸方向に対して角度θを有する斜め上方からI形開先Gに送給される。また、図示していないが、溶接トーチ1は上記送給口から溶接ワイヤ2を送給すると共に、シールドガスを噴射するシールドガス噴射機構を備えており、当該シールドガスの噴射タイミングは、溶接制御部7によって制御される。溶接ワイヤ2は、周知のように母材である厚板鋼材Sとの間でアーク放電を発生させるための電極の役割を果たしている。なお、上記角度θは、10°〜45°程度に設定されている。
溶接電源3は、溶接制御部7の制御の下、上記溶接ワイヤ2に所定の(より具体的には溶接ワイヤ2の先端部の位置に応じた)溶接電流及び溶接電圧を供給する。つまり、厚板鋼材Sと溶接ワイヤ2の先端部との間では、上記溶接電流及び溶接電圧に応じたアーク放電が発生し、その溶接電圧は溶接電流により変化しない定電圧特性となる。溶接金属Mは、このようなアーク放電によって上記溶接ワイヤ2及び厚板鋼材Sが溶融し、冷え固まってI形開先G内に積層したものである。
副昇降ユニット4は、主昇降ユニット5上の所定箇所に備えられており、溶接制御部7の制御の下、図示しないステッピングモータ等から構成される駆動機構により、上記溶接トーチ1をZ軸方向に所定の範囲で昇降させると共に、Y軸方向に対して所定の範囲で往復動させる。つまり、溶接トーチ1は、Z軸とY軸との2軸の可動軸を持つ。主昇降ユニット5は、溶接制御部7の制御の下、図示しないステッピングモータ等から構成される駆動機構により、レール6上をZ軸方向に昇降する。レール6は、Z軸方向に延設された主昇降ユニット5の昇降用レールである。
溶接制御部7は、所定の溶接制御プログラムに基づいて、上記ワイヤ送給装置1a、溶接電源3、副昇降ユニット4及び主昇降ユニット5の同期制御を行うことでI形開先G内の下方から上方に向けて順次積層溶接を行う。なお、この溶接制御部7による溶接処理動作についての詳細は後述する。
次に、このように構成された本溶接装置(具体的には溶接制御部7)の溶接処理動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、溶接制御部7は、主昇降ユニット5の昇降を制御することにより、溶接トーチ1を予め設定されている溶接開始位置に移動させる(ステップS1)。ここでは、説明の簡略化のため、図3(a)に示すように、ある程度溶接金属Mが積層されている場合を想定し、溶接開始位置をZとする。つまり、溶接制御部7は、溶接トーチ1が溶接開始位置Zに移動するように、主昇降ユニット5の昇降を制御する。なお、図3において、I形開先Gの本溶接装置から見て手前側端部のX座標をXとし、奥側端部のX座標をXとする。
続いて、溶接制御部7は、溶接トーチ1のシールドガス噴射機構に対し、シールドガスの噴射開始を指示する(ステップS2)。これにより、溶接トーチ1の送給口からI形開先Gに向けてシールドガスが噴射される。そして、シールドガスのプリフロー終了後、溶接制御部7は、ワイヤ送給装置1aに対して、初期送給速度Fで溶接ワイヤ2を溶接トーチ1に送給するように指示すると共に、初期溶接電流I及び初期溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示する(ステップS3)。
ここで、溶接ワイヤ2の送給速度Fと突き出し長さLと溶接電流Iとの関係について説明する。図4は、溶接ワイヤ2の送給速度Fを一定にした場合の、溶接ワイヤ2の突き出し長さLと溶接電流Iとの関係を示したものである。図4において、横軸のAは溶接ワイヤ2の突き出し長さLが最も長い状態(つまり図3(d)の状態)を示し、Bは溶接ワイヤ2の突き出し長さLがAの半分程度の長さの状態(つまり図3(e)の状態)を示し、Cは溶接ワイヤ2の突き出し長さLが最も短い状態(つまり図3(f)の状態)を示している。この図に示すように、溶接ワイヤ2の送給速度Fが一定の場合、溶接電流Iは溶接ワイヤ2の突き出し長さLに応じて変動する。より具体的には、突き出し長さLが長いと抵抗が大きくなるため溶接電流Iは小さくなり、突き出し長さLが短いと抵抗が小さくなるため溶接電流Iは大きくなる。
このように溶接電流Iが変動するとI形開先G内での溶け込みが十分に得られなくなり、安定した溶接を行えなくなる。そこで、本実施形態では、図5に示すように、溶接電流Iが一定となるように溶接ワイヤ2の送給速度Fの制御を行う。つまり、上記ステップS3では、溶接ワイヤ2の送給速度Fを初期送給速度Fとすることで、溶接電流Iが初期溶接電流Iに一定となるように制御を行っている。これにより、手前側端部Xにおいて溶接トーチ1から送給された溶接ワイヤ2の先端部でアーク放電が開始され、初期溶接時間Tだけ初期溶接処理が行われる。これら初期送給速度F、初期溶接電流I、初期溶接電圧E及び初期溶接時間Tは、溶接制御部7に予め設定されているものである。
そして、初期溶接時間Tが経過して初期溶接処理が終了すると、溶接制御部7は、副昇降ユニット4に対し、溶接トーチ1を所定の上昇速度Vogで上昇させるように指示すると共に、主昇降ユニット5に対しても所定の上昇速度Vで上昇するように指示する(ステップS4)。同時に、溶接制御部7は、溶接ワイヤ2の先端部の位置Xに応じて最適なアーク放電が発生するような送給速度F、溶接電流I及び溶接電圧Eを設定し、溶接電流I及び溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示すると共に、溶接電流Iが一定となるような送給速度Fで溶接ワイヤ2を送給するようにワイヤ送給装置1aに指示し本溶接を開始する(ステップS5)。このように、溶接トーチ1を上昇させながら溶接を行うことで、図3(b)及び(c)に示すように、溶接ワイヤ2の突き出し長さLが変化しつつ、溶接ワイヤ2の先端部が手前側端部Xから奥側端部Xに向けて移動することになる。つまり、溶接トーチ1の上昇速度Vog及び主昇降ユニット5の上昇速度Vは、最適なアーク放電を維持しつつ溶接ワイヤ2の先端部がX軸方向を移動するように、溶接ワイヤ2の送給速度F、溶接速度、最適なアーク長、開先ギャップg等を考慮して設定されている。
続いて、図3(d)に示すように、溶接トーチ1が上昇して溶接ワイヤ2の先端部が奥側端部Xに到達すると、溶接制御部7は、奥側端部溶接処理用の溶接電流I及び溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示すると共に、溶接電流Iが一定となるような送給速度Fで溶接ワイヤ2を送給するようにワイヤ送給装置1aに指示する(ステップS6)。これにより、所定時間、奥側端部溶接処理が行われる。また、溶接制御部7は、奥側端部溶接処理中、副昇降ユニット4を停止させる。なお、以上のように手前側端部Xから奥側端部Xに向けて行われた溶接を第1のパスと以下記載する。
上記奥側端部溶接処理が終了すると、溶接制御部7は、図3(e)に示すように、副昇降ユニット4に対して所定の下降速度Vorで溶接トーチ1を下降させるように指示し(ステップS7)、溶接ワイヤ2の先端部の位置Xに応じた溶接電流I及び溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示すると共に、溶接電流Iが一定となるような送給速度Fで溶接ワイヤ2を送給するようにワイヤ送給装置1aに指示し本溶接を再開する(ステップS8)。このように、溶接トーチ1を下降させることにより、溶接ワイヤ2の先端部は、奥側端部Xから手前側端部Xに向けて移動することになる。なお、このように奥側端部Xから手前側端部Xに向けて行われた溶接を第2のパスと以下記載する。
ところで、上記のように奥側端部溶接処理終了後に、手前側端部Xに向けて溶接を続行する場合、最適な溶接ワイヤの突き出し長さLを維持するために、第1のパスによって積層された溶接金属Mの一層の高さ分だけ溶接ワイヤ2の先端部を上昇させる必要がある。これは、主昇降ユニット5の上昇によって行われている。すなわち、主昇降ユニット5の上昇速度Vは、このような前回のパスによって積層された溶接金属Mの一層の高さ分を考慮して設定されている。しかしながら、実際には、I形開先Gの形成精度には限界があるため、I形開先G内の全区間において開先ギャップgを一定にすることは不可能である。そのため、開先ギャップgに応じて、1パスの溶接金属Mの積層高さが変動する可能性がある。従って、主昇降ユニット5の上昇速度Vを一定に制御した場合に、溶接金属Mの積層高さが変動することにより、あるパスにおいては最適なアーク放電が得られない可能性がある。
そこで、本実施形態では、溶接金属Mの積層高さに応じて溶接ワイヤ2の突き出し長さLが変化することを利用し、突き出し長さLの変化によって生じる溶接電流の微小な変化を検出し、当該溶接電流の微小な変化に基づいて、そのパスの溶接金属Mの積層高さを求め、主昇降ユニット5の上昇速度Vの制御を行う。具体的には、溶接制御部7は、溶接電源3から実際に溶接ワイヤ2に流れている溶接電流(実電流値)を取得し、当該実電流値と、溶接電流Iの設定値(設定電流値)との比較を行い、設定電流値<実電流値の場合、主昇降ユニット5の上昇速度Vを大きくし、設定電流値=実電流値の場合、主昇降ユニット5の上昇速度Vは変化させず、また、設定電流値>実電流値の場合、主昇降ユニット5の上昇速度Vを小さくするように制御を行う。このように主昇降ユニット5の上昇速度Vを制御することで、1パスの溶接金属Mの積層高さが変動した場合でも、安定して溶接を続行することができる。
次に、溶接制御部7は、溶接ワイヤ2の先端部が倣い開始位置Xsbに到達したか否かを判断する(ステップS9)。溶接制御部7は、ステップS9において「NO」と判断した場合、ステップS7の処理に戻る。一方、ステップS9において「YES」、すなわち溶接ワイヤ2の先端部が倣い開始位置Xsbに到達したと判断された場合、溶接制御部7は、倣い処理を開始する(ステップS10)。
倣い処理とは、図6に示すように、倣い処理区間Xsb−Xにおいて、溶接ワイヤ2の先端部をI形開先Gの開先ギャップgに対して中央に位置決めする処理である。このように、溶接ワイヤ2の先端部の位置決めを行うことにより、開先ギャップgのバラつきに依らず、常にI形開先Gの中央に溶接ワイヤ2の先端部を送給することができ、安定した溶接を行うことができる。具体的には、倣い処理区間Xsb−Xにおいて、溶接制御部7は、溶接トーチ1をY軸方向に所定回数だけ往復動させるように副昇降ユニット4を制御し、この時の実電流値を溶接電源3から取得する。
溶接ワイヤ2の先端部が開先ギャップgに対して中央に位置していれば、溶接トーチ1をY軸方向に往復動させた場合、図7(a)に示すように、突き出し長さLは開先ギャップgの中央に対して対称的な変化を示すため、溶接電流Iの実電流値の変動も開先ギャップgの中央に対して対称的な変動を示す。また、例えば、溶接ワイヤ2の先端部が開先ギャップgの中央に対して片側にずれていれば、溶接トーチ1をY軸方向に往復動させた場合、図7(b)に示すように、突き出し長さLは開先ギャップgの中央に対して非対称的な変化を示すため、溶接電流Iの実電流値の変動も開先ギャップgの中央に対して非対称的な変動を示す。このように、溶接電流Iの実電流値の変動をモニタすれば、溶接ワイヤ2の先端部が開先ギャップgに対してどの部分に位置しているか判定できる。溶接制御部7は、溶接電流Iの実電流値が対称的な変動を示すような位置に溶接ワイヤ2の先端部が移動するように、副昇降ユニット4を制御する。
このように、倣い処理をしつつ溶接が行われ、溶接ワイヤ2の先端部が手前側端部Xまで到達すると、溶接制御部7は、手前側端部Xが溶接終了位置か否かを判断する(ステップS11)。このステップS11において、「NO」、つまり溶接を続行すると判断した場合、溶接制御部7は、手前側端部溶接処理用の溶接電流I及び溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示すると共に、溶接電流Iが一定となるような送給速度Fで溶接ワイヤ2を送給するようにワイヤ送給装置1aに指示する(ステップS12)。これにより、図3(f)に示すように、所定時間、手前側端部溶接処理が行われる。なお、溶接制御部7は、手前側端部溶接処理中、副昇降ユニット4を停止させる。
また、ステップS11において、「YES」、つまり手前側端部Xを溶接終了位置と判断した場合、溶接制御部7は、クレータ処理用のクレータ溶接電流I及びクレータ溶接電圧Eを溶接ワイヤ2に供給するように溶接電源3に指示すると共に、溶接電流Iが一定となるような送給速度Fで溶接ワイヤ2を送給するようにワイヤ送給装置1aに指示する(ステップS18)。これにより、所定時間、クレータ処理が行われる。なお、送給速度F、クレータ溶接電流I、クレータ溶接電圧E及びクレータ処理時間は、予め溶接制御部7に設定されている。そして、クレータ処理が終了すると、溶接制御部7は、溶接電源3に対して溶接電流及び溶接電圧の供給を停止するように指示し、シールドガスのアフターフロー完了後、シールドガスの噴射を停止させ、溶接処理を終了する(ステップS19)。
一方、ステップS12の終了後は、再び第1のパスが行われる。ここで、ステップS13及びS14の処理は、上述したステップS4及びS5の処理と同様なので説明を省略する。続いて、溶接制御部7は、倣い処理区間が終了したか否かを判断する(ステップS15)。溶接制御部7は、ステップS15において「NO」と判断した場合、ステップS13の処理に戻る。一方、ステップS15において「YES」、すなわち溶接ワイヤ2の先端部が倣い処理区間Xsb−Xから離脱したと判断された場合、溶接制御部7は、倣い処理を終了する(ステップS16)。つまり、ステップS10〜S16の処理の間は、溶接に支障を来たさない程度に倣い処理が行われている。
そして、溶接ワイヤ2の先端部が奥側端部Xまで到達すると、溶接制御部7は、奥側端部Xが溶接終了位置か否かを判断する(ステップS17)。このステップS17において、「NO」、つまり溶接を続行すると判断した場合、溶接制御部7は、ステップS6の処理に移行し、溶接を続行する。一方、ステップS17において、「YES」、つまり奥側端部Xを溶接終了位置と判断した場合、溶接制御部7は、ステップS18及びS19の処理を行い溶接処理を終了する。このように、手前側端部Xもしくは奥側端部Xが溶接終了位置と判断されるまで、第1のパス及び第2のパスを繰り返すことで溶接処理が行われる。
以上のように、本溶接装置によれば、溶接ワイヤ2のみをI形開先G内に送給するので、従来と比較して、I形開先Gの開先ギャップgを狭くすることができる。従って、従来に比べて入熱量を低減することができ、より高品質且つ高効率な溶接を実現することが可能である。また、本溶接装置を用いることによって、大入熱用の特殊鋼材を使用する必要もなく、コストの増大を防ぐこともできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、副昇降ユニット4及び主昇降ユニット5の2つの昇降ユニットを用いて溶接ワイヤ2の先端部のZ軸方向の位置を制御したが、これに限らず、1台の昇降ユニットを用いて溶接ワイヤ2の先端部のZ軸方向の位置を制御しても良い。
(2)上記実施形態では、I形開先Gの開先ギャップgを5mm以上〜15mm以下と設定したが、これに限らず、可能な限り狭くしても良い。また、溶接ワイヤ2の送給角度θを10°〜45°に設定したが、当該角度θも適宜変更可能である。
本発明の一実施形態に係る溶接装置の構成概略図である。 本発明の一実施形態に係る溶接装置の溶接処理手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における溶接処理の様子を示す説明図である。 本発明の一実施形態における溶接電流の制御方法の第1説明図である。 本発明の一実施形態における溶接電流の制御方法の第2説明図である。 本発明の一実施形態における倣い処理の第1説明図である。 本発明の一実施形態における倣い処理の第2説明図である。
符号の説明
1a…ワイヤ送給装置、1…溶接トーチ、2…溶接ワイヤ、3…溶接電源、4…副昇降ユニット、5…主昇降ユニット、6…レール、7…溶接制御部、G…I形開先、S…厚板鋼材、M…溶接金属、R…裏当て材

Claims (6)

  1. 略垂直姿勢で対向配置されると共にI形開先を形成する一対の材料を突合せ溶接する溶接装置であって、
    溶接トーチと、
    該溶接トーチに所定の送給速度で溶接ワイヤを送給するワイヤ送給手段と、
    略垂直方向に延在する前記I形開先の側方において、当該I形開先に沿って前記溶接トーチを昇降させる昇降手段と、
    前記溶接トーチに所定の溶接電流を給電する溶接電源と、
    前記ワイヤ送給手段、昇降手段及び溶接電源を同期制御することによりI形開先を下から上に向けて順次積層溶接させる制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記溶接ワイヤを前記I形開先の側方から当該I形開先内に差し込んで前記溶接ワイヤの先端を前記I形開先の奥端と手前端との間で往復移動させる
    ことを特徴とする溶接装置。
  2. 前記昇降手段は、前記溶接トーチを所定の範囲で昇降させる副昇降手段と、当該副昇降手段を備えると共に、所定の上昇速度で上昇する主昇降手段とから構成され、
    前記制御手段は、前記主昇降手段、副昇降手段、ワイヤ送給手段及び溶接電源を同期制御することによりI形開先を下から上に向けて順次積層溶接させることを特徴とする請求項1記載の溶接装置。
  3. 前記制御手段は、溶接ワイヤの先端を前記I形開先の手前端から奥端へ移動させる場合は、前記溶接トーチを上昇させ、溶接ワイヤの先端を前記I形開先の奥端から手前端へ移動させる場合は、前記溶接トーチを下降させるように前記副昇降手段を制御することを特徴とする請求項2記載の溶接装置。
  4. 前記制御手段は、溶接ワイヤの突き出し長さが最適な長さとなるように溶接電流の変化に基づいて前記主昇降手段の上昇速度を制御することを特徴とする請求項2または3記載の溶接装置。
  5. 前記溶接トーチをI形開先の幅方向に往復移動させる溶接トーチ往復手段を備え、
    前記制御手段は、前記I形開先の奥端と手前端との間の所定区間において、前記溶接ワイヤの先端がI形開先幅に対して中央に位置するように、溶接電流の変化に基づいて前記溶接トーチ往復手段を制御することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の溶接装置。
  6. 前記制御手段は、前記溶接電流が一定となるように、前記溶接ワイヤの送給速度を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶接装置。


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