JP5990719B2 - 防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材およびその製造方法 - Google Patents

防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防蟻性断熱材の改良、更に詳しくは、ビーズ法ポリスチレンフォーム成形品に、優れた防蟻性を付与するための防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材およびその製造方法に関するものである。
周知のとおり、ポリスチレンフォームは、発泡スチロール、発泡スチレンとも呼ばれ、軽量かつ断熱性に優れているため、住宅用、建築用、構築用その他の用途の断熱材、保温材等として用いられている。
ところで、このポリスチレンフォームは、その製造方法により、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)、ポリスチレンペーパー(PSP)、押出ポリスチレン(XPS)の3種類があり、化学的にはほぼ同じであるが、形状や気泡の特性が異なるため、用途も異なる。
これらのうち、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は、発泡性ポリスチレン樹脂からなる原料ビーズを予備発泡(一次発泡)した後、金型に入れて本発泡(二次発泡)することにより得られ、均一な気泡が得られると共に、任意の形状に成型することができるため、難燃剤を添加して、各種住宅用・建築用断熱材や、畳の芯材等として用いられている。
しかし、ポリスチレンフォームを用いた断熱材の問題として、シロアリによる食害がある。シロアリはポリスチレンフォームを餌にしているわけではないが、出会った物を噛むという加害習性により、木材を求めて柔らかい断熱材を食い進んで蟻道を作り、その結果、断熱機能を著しく低下させるとともに建物に損傷を与えることとなる。そこで、ポリスチレンフォームを用いた断熱材、特にビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を用いた断熱材に防蟻性を付与する方法が種々提案されている。
例えば、ポリスチレン樹脂の発泡剤の含浸工程や予備発泡前後に防蟻剤を付着させる方法(特許文献1)、ポリスチレン等の樹脂からなる予備発泡粒子を空中に浮遊流動させながら、その予備発泡粒子に防蟻剤と熱可塑性樹脂系の接着剤とを噴霧して防蟻性予備発泡粒子を形成した後、その防蟻性予備発泡粒子を発泡成形して防蟻性発泡成形体を得る方法(特許文献2)、一次発泡前、一次発泡中、一次発泡後の発泡粒子に防蟻剤を処理添加する方法(特許文献3)、発泡しつつある発泡性樹脂粒子に防蟻剤を含むプラスチック添加剤を添加する方法(特許文献4)、防蟻剤、補足剤、他の添加剤を混合して得られる樹脂組成物を一次発泡させる方法(特許文献5)、予備発泡の工程において膨張途中のポリスチレンビーズに防蟻剤を添加する方法(特許文献6)が提案されている。
しかしながら、<特許文献1、3および5>のように、予備発泡(一次発泡)させる前の原料ビーズに防蟻剤を付着又は含浸させる方法では、防蟻剤をどの段階でポリスチレン樹脂からなる原料ビーズに添加するかという点に関して、各ビーズに均一に添加させるのが難しいという問題があり、ビーズの表面に均一に付着又は含浸させたとしても、発泡後に得られる成形品においては、発泡により嵩比重が極めて大きくなるため、防蟻剤が不均一に付着するという問題点がある。
また、<特許文献1、2および3>のように、予備発泡(一次発泡)させた後のビーズに防蟻剤を付着させる方法では、既に大きく膨張したビーズに防蟻剤を添加するものであるため、防蟻剤をビーズに均一に添加できるという利点は有するが、その反面、ビーズの内部には防蟻剤が殆ど混入していないため、防蟻剤の効果が効率良く発揮されるとは言い難い問題が指摘されている(特許文献6、段落〔0009〕参照。)。
さらに、<特許文献2>のように、予備発泡粒子を空中に浮遊流動させながら、その予備発泡粒子に防蟻剤と接着剤とを噴霧する方法では、防蟻・防虫薬剤が空気撹拌によりビーズから剥がれ落ちるという問題点があり、接着剤の添加が必須条件となっている。
なお、<特許文献1および3>には、予備発泡(一次発泡)させた後のビーズに防蟻剤を付着させる方法についての具体的な実施例は開示されていない。
一方、<特許文献4および6>のように、発泡しつつある発泡性樹脂粒子に防蟻剤を添加する方法では、防蟻剤に熱履歴が生じ、防蟻剤の種類によっては、その一部が熱分解するおそれが危惧される。
特開昭63−152648号公報 特開平10−36549号公報 特開2000−1564号公報 特開2003−1627号公報 特開2003−238824号公報 特開2009−96843号公報
本発明は、従来の防蟻性断熱材に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、防蟻・防虫薬剤の一部が熱履歴で熱分解されることなく、また接着剤を添加することなく効率よくポリスチレンフォームに防蟻・防虫薬剤を保持させ、長時間防蟻・防虫効果が持続する防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材、およびそれを合理的に製造することができる製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、発泡剤を含有する発泡性ポリスチレン樹脂からなる原料ビーズを、成形品として必要とされる発泡倍率よりも予備発泡倍率が低くなるように、成形品の発泡倍率の85%から95%の発泡倍率で予備発泡させた後、
当該予備発泡粒子に、常温において油状液体、かつ、水に不溶または難溶性である脂溶性防蟻・防虫薬剤を付着させて乾燥して、
この脂溶性防蟻・防虫薬剤が付着した予備発泡粒子を金型に入れ本発泡して、板状またはブロック状に成型するという技術的手段を採用したことによって、防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材の製造方法を完成させた。
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、脂溶性防蟻・防虫薬剤として、ペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、アレスリン、シハロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、シクロプロトリンから選ばれたピレスロイド系;フェニトロチオン、プロペンタホス、シアノホス、フェンチオン、ジクロロフェンチオン、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、マラチオン、チオメトン、ジスルホトン、プロチオホス、スルプロホス、プロフェノホス、ピラクロホス、ジクロルボス、ナレド、クロルフェンビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチオンから選ばれた有機リン系;シラフルオフェンから選ばれた非エステルピレスロイド系;カルボスルファン、ベンフラカルブから選ばれたカーバメート系;ピリダリル、ピレトリン(除虫菊)から選ばれた1種または2種以上の防蟻・防虫剤を用いるという技術的手段を採用した。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、脂溶性防蟻・防虫剤として、ペルメトリン、シラフルオフェンまたはカルボスルファンから選ばれた1種または2種以上の防蟻・防虫剤を用いるという技術的手段を採用した。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、難燃剤を添加するという技術的手段を採用した。
本発明にあっては、発泡剤を含有する発泡性ポリスチレン樹脂からなる原料ビーズを、成形品として必要とされる発泡倍率の85%から95%の発泡倍率となるように予備発泡させた後、当該予備発泡粒子に、常温において油状液体、かつ、水に不溶または難溶性である脂溶性防蟻・防虫薬剤を付着させて乾燥して、この脂溶性防蟻・防虫薬剤が付着した予備発泡粒子を金型に入れ本発泡して、板状またはブロック状に成型することによって、防蟻・防虫薬剤の一部が熱履歴で熱分解されることなく、また接着剤を添加することなく効率よくポリスチレンフォームに防蟻・防虫薬剤を保持させ、長期間防蟻効果が持続するポリスチレンフォーム断熱材が得られる。
そして、この発明の防蟻性断熱材によれば、防蟻・防虫薬剤が予備発泡粒子の表面に高濃度で保持され、本発泡により当該表面同士が融着することにより、当該表面付近の微細な空間内に高濃度の防蟻・防虫薬剤が保持されること、その結果、比較的少量の防蟻・防虫薬剤の添加量にもかかわらず、長期間にわたり防蟻効果が発揮されるため、断熱効果が長期間持続する断熱材が得られるという効果を有することから、実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
本発明を実施するための形態を、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
本実施形態の防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材を構成するにあっては、まず、発泡剤を含有する発泡性ポリスチレン樹脂からなる原料ビーズを、成形品として必要とされる発泡倍率の85%から95%の発泡倍率となるように予備発泡させる。
次いで、当該予備発泡粒子に、常温において油状液体、かつ、水に不溶または難溶性である脂溶性防蟻・防虫薬剤を付着させて乾燥する。
然る後、この脂溶性防蟻・防虫薬剤が付着した予備発泡粒子を金型に入れ本発泡して、板状またはブロック状に成型する。
本実施形態における発泡剤としては、特に限定されず、従来公知のものが採用可能である。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの低級アルカン;水;二酸化炭素;代替フロンなどが挙げられる。
また、必要に応じて、発泡助剤(トルエン、エチルベンゼンなど)や、発泡セル調整剤、ビーズ表面コーティング剤、難燃剤などの公知の添加剤を、発泡剤と同時に添加させてもよい。この難燃剤の具体例としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジプロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素系難燃剤の使用が好ましい。また、この難燃剤は、発泡性ポリエチレン樹脂に対して、通常0.5〜2.0質量%の範囲で添加される。
本実施形態における脂溶性防蟻・防虫薬剤としては、常温において油状液体、かつ、水に難溶性(25℃における水に対する溶解度が30mg/100ml以下)の防蟻・防虫剤が挙げられる。
なお、脂溶性防蟻・防虫薬剤に換えて、常温において粉末状の防蟻・防虫薬剤を用いることができ、この場合には、移送により乾燥後の予備発泡粒子から当該粉末状の防蟻・防虫薬剤が剥がれ落ち防蟻・防虫薬剤が無駄になるとともに、長期間防蟻効果が発揮されない点で好ましくない。
また、25℃における水に対する溶解度が30mg/100mlを超える防蟻・防虫薬剤を用いた場合には、本発泡における加熱用蒸気、該蒸気の凝結水、および成形型内冷却用冷却水が発泡粒子および発泡成形体に触れ、表面の防蟻・防虫薬剤を溶解させ、表面の防蟻・防虫薬剤の大部分が流出してしまうため好ましくない。また、揮発性のある防蟻・防虫薬剤を用いることは作業環境が悪化するため好ましくない。
本実施形態における脂溶性防蟻・防虫薬剤の具体例としては、ペルメトリン(3-フェノキシベンジル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)、シフルトリン(3-フェノキシベンジル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)、シフェノトリン((α−シアノ−3−フェノキシベンジル(+)シス/トランス-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボキシラート、プラレトリン(2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペン-1-イル)-1-シクロプロパンカルボン酸2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロピニル)-2-シクロペンテン-1-イル)、アレスリン(2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパン-1-カルボン酸3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテン-1-イル)、シハロトリン(2,2-ジメチル-3-[(Z)-2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル]シクロプロパン-1-カルボン酸(3-フェノキシフェニル)シアノメチル)、フェンバレレート(2-(p-クロロフェニル)-3-メチル酪酸α-シアノ-3-フェノキシベンジル)、フルシトリネート(4-(ジフルオロメトキシ)-α-(1-メチルエチル)ベンゼン酢酸シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル)、フルバリネート(rac-(R*)-2-[[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-3-メチルブタン酸シアノ(3-フェノキシフェニル)メチル)、シクロプロトリン(2,2-ジクロロ-1-[4一エトキシフェニル]シクロプロパン-1-カルボン酸(α-シアノ-3-フェノキシベンジル))から選ばれたピレスロイド系防蟻剤、
シラフルオフェン(4−エトキシフェニル[3-(4-フルオロ-3-フェノキシフェニル)プロピル]ジメチルシラン)から選ばれた非エステルピレスロイド系防蟻・防虫剤、
フェニトロチオン(チオりん酸O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル))、プロペンタホス((E)-3-[[(エチルアミノ)(メトキシ)ホスフィノチオイル]オキシ]-2-ブテン酸イソプロピル)、シアノホス(チオりん酸O,O-ジメチルO-[p-シアノフェニル])、フェンチオン(チオりん酸O,O-ジメチルO-[3-メチル-4-(メチルチオ)フェニル])、ジクロロフェンチオン(チオりん酸O,O-ジエチルO-(2,4-ジクロロフェニル))、ビリミホスメチル(チオりん酸O,O-ジメチルO-[2-(ジエチルアミノ)-6-メチルピリミジン-4-イル])、ダイアジノン(チオりん酸O,O-ジエチルO-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル))、イソキサチオン(チオりん酸O,O-ジエチルO-(5-フェニル-3-イソオキサゾリル))、マラチオン(ジチオりん酸O,O-ジメチルS-[1,2−ジ(エトキシカルボニル)エチル])、チオメトン(ジチオりん酸O,O-ジメチルS-[2-(エチルチオ)エチル])、ジスルホトン(ジチオりん酸O,O-ジエチルS-[2-(エチルチオ)エチル])、プロチオホス(ジチオりん酸O-エチルO-(2,4-ジクロロフェニル)S-プロピル)、スルプロホス(ジチオりん酸O-エチルO-[4-(メチルチオ)フェニル]S-プロピル)、プロフェノホス(チオりん酸O-(2-クロロ-4-ブロモフェニル)O-エチルS−プロピル)、ピラクロホス(チオりん酸O-[1-(4−クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル]O-エチルS-プロピル)、ジクロルボス(水に溶け加水分解を起こす)、ナレド(りん酸ジメチル(1,2-ジブロモ-2,2-ジクロロエチル))、クロルフェンビンホス(りん酸2-クロロ-1-(2,4-ジクロロフェニル)ビニルジエチル)、プロパホス(りん酸4-(メチルチオ)フェニルジプロピル)、イソフェンホス(2-[[エトキシ(イソプロピルアミノ)ホスフィノチオイル]オキシ]安息香酸イソプロピル)、エチオン(ビス[(ジエトキシホスフィノチオイル)チオ]メタン)から選ばれた有機リン系防蟻・防虫剤、
カルボスルファン(N-(N,N-ジブチルアミノチオ)-N−メチルカルバミド酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチルベンゾフラン-7-イル)、ベンフラカルブ(3-[N-[N-[(2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)オキシカルボニル]-N-メチルアミノチオ]-N-イソプロピルアミノ]プロピオン酸エチル)から選ばれるカーバメート系防蟻・防虫剤、
ピリダリル(2,6-ジクロロ-4-(3,3-ジクロロアリルオキシ)フェニル-3-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジルオキシ]プロピルエーテル)、ピレトリン(除虫菊)、から選ばれた1種または2種以上の防蟻・防虫剤が挙げられる。
これらの防蟻・防虫薬剤のうち、ペルメトリン、シラフルオフェンまたはカルボスルファンを用いるのが、ポリスチレンフォーム断熱材に長期間防蟻効果を付与する点で好ましい。なお、本実施形態における防蟻・防虫薬剤は、発泡性ポリエチレン樹脂に対して、通常0.01〜0.1重量%、好ましくは0.02〜0.07重量%の範囲で添加される。
この際、これらの脂溶性防蟻・防虫薬剤は、界面活性剤を用いてO/W型エマルションとして、予備発泡粒子を撹拌しながら散布または噴霧することにより、予備発泡粒子に付着させるのがポリスチレンフォーム断熱材に長期間防蟻効果を付与する点で好ましい。
また、O/W型エマルション中の防蟻・防虫薬剤を1〜10重量%の範囲とするのが、防蟻・防虫薬剤を有効量予備発泡粒子に均一に付着させる点で好ましい。なお、有機溶媒を用いて脂溶性防蟻・防虫薬剤を製剤化するのは、予備発泡粒子を溶解するため好ましくない。
本実施形態における界面活性剤としては、特に限定されないが、高級アルコール系界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン系界面活性剤としてポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンスルホン酸塩界面活性剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等の界面活性剤が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルおよび/またはナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩を用いるのが製剤安定性のために特に好ましい。
一方、市販されている脂溶性防蟻・防虫薬剤の可乳化油状液体を水で希釈した乳化物(O/W型エマルション)として、予備発泡粒子を撹拌しながら散布または噴霧することにより、予備発泡粒子に付着させてもよい。
本実施形態では、予備発泡(一次発泡)は、成形品として必要とされる発泡倍率の85%から95%の発泡倍率となるようにするのが、成形品表面付近の微細な空間内に高濃度の防蟻・防虫薬剤が保持され、長期間にわたり防蟻効果が発揮される点で好ましい。
また、成形品の発泡倍率は、強度等を加味して30倍〜80倍の範囲で適宜設定すればよい。
本発明の防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材の具体的な製造例および防蟻性試験例を以下に詳細に説明する。なお、これらの製造例および試験例によりこの発明が限定されるものではない。
『製造例1』
発泡剤としてn−ブタン、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを添加したスチレンモノマーを重合して得られた発泡性ポリスチレン樹脂12キログラムを回転撹拌式予備発泡装置でおよそ90℃常温飽和水蒸気に近い状態で加熱し、成形品の90%の発泡倍率となるように5分間発泡させ、予備発泡粒子を得た。
次に、予備発泡粒子を室温で24時間放置乾燥した後、予備発泡粒子を撹拌しながら下記製剤例1の脂溶性防蟻・防虫薬剤のO/W型エマルションを120ミリリットル噴霧した。
そして、室温で24時間乾燥した後、寸法1830×930×460mmの板状方金型内に充填し、ゲージ圧0.8kgf/平方センチメートルの水蒸気を用いて、5分間加熱し冷却した後、型枠から取り出し、防蟻性ポリスチレンフォーム成形品1を得た。
『製造例2』
発泡倍率を成形品の87%になるように予備発泡させた以外、前記製造例1と同様にして防蟻性ポリスチレンフォーム成形品2を得た。
『製造例3』
発泡倍率を成形品の93%になるように予備発泡させた以外、前記製造例1と同様にして防蟻性ポリスチレンフォーム成形品3を得た。
『製造例4』
製剤例2の脂溶性防蟻・防虫薬剤のO/W型エマルションを120ミリリットル噴霧した以外、前記製造例1と同様にして防蟻性ポリスチレンフォーム成形品4を得た。
『製造例5』
製剤例3の脂溶性防蟻・防虫薬剤の乳剤を120ミリリットル噴霧した以外、前記製造例1と同様にして防蟻性ポリスチレンフォーム成形品5を得た。
『製造例6』
製剤例4の脂溶性防蟻・防虫薬剤の乳剤を120ミリリットル噴霧した以外、前記製造例1と同様にして防蟻性ポリスチレンフォーム成形品6を得た。
『比較製造例1』
発泡倍率を成形品の83%になるように予備発泡させた以外、前記製造例1と同様にして、比較例である防蟻性ポリスチレンフォーム成形品7を得た。
『比較製造例2』
発泡倍率を成形品の97%になるように予備発泡させた以外、前記製造例1と同様にして、比較例である防蟻性ポリスチレンフォーム成形品8を得た。
『比較製造例3』
予備発泡粒子に脂溶性防蟻・防虫薬剤を添加しない以外、前記製造例1と同様にしてポリスチレンフォーム成形品9を得た。
『製剤例1』
シラフルオフェン 5重量部
界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル) 2.5重量部
界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ソーダ) 2.5重量部
水 90重量部
『製剤例2』
カルボスルファン 50重量部
界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル) 2.5重量部
界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ソーダ) 2.5重量部
水 45重量部
『製剤例3』
アディオン(住友化学(株)社製、ペルメトリン20%含有) 25重量部
水 75重量部
『製剤例4』
ピレトリン 3重量部
界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル) 5重量部
界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ソーダ) 5重量部
水 87重量部
<防蟻性試験方法とその結果>
『試験例1』
(社)日本木材保存協会(JWPA)規格第11号(1)室内試験方法に定められる防蟻効力試験方法に記載される総合試験の方法を参考にして以下のように評価した。
すなわち、小孔をあけて通気性を確保した蓋付き容器の底に水分を含ませた脱脂綿を敷き詰め、その上に厚み約5mmの石膏板をのせて石膏板を通して水分が供給されるようにして、その石膏板の上に直径8cm、高さ6cmアクリル樹脂製円筒を置き、その円筒内に上記各種製造例で得られたポリスチレンフォーム成形品より切出した検体と試供虫を入れて、21日間飼育し食害と供試虫の生死を目視で観察した。また、21日後に検体の重量減少率を測定した。
・検体:30×30×30mm
・試供虫:イエシロアリ(Coptotermes formosanus SHIRAKI)職蟻50頭、兵蟻5頭(計55頭)
・試験条件:28℃×21日間
<防蟻性の評価>
上記試験方法に従い21日間試験後の検体について、以下の通り評価した。
・目視評価
○:食害なし
△:検体表面の一部に食痕あり
×:検体内部まで食害あり
・質量減少率
質量減少率は、0.0001g迄秤量できる電子天秤を使用して、以下の式により求めた。
質量減少率(%)=(W−W)/W0×100
(式中、Wは試験前試料質量、Wは試験後試料質量を表す。)
・死虫率
目視により死虫数を数えて、以下の式により求めた。
死虫率(%)=死虫数/55×100
<総合評価基準>
○:目視評価△以上、検体質量減少率2%未満、21日後死虫率100%
△:目視評価△以上、検体質量減少率3%未満、21日後死虫率100%未満
×:目視評価×、検体質量減少率3%以上、21日後死虫率100%未満
試験結果を以下の〔表1〕に示す。
〔表1〕
試験番号 成形品番号 目視評価 質量減少率 死虫率 総合評価
1 1 ○ 2%未満 100% ○
2 2 ○ 2%未満 100% ○
3 3 ○ 2%未満 100% ○
4 4 ○ 2%未満 100% ○
5 5 ○ 2%未満 100% ○
6 6 ○ 2%未満 100% ○
7 7 △ 3%未満 85% △
8 8 △ 3%未満 85% △
9 9 × 3%以上 0% ×
註)防蟻性の評価は検体数5の平均値である。
以上、説明したとおり、本発明の防蟻性断熱材は、防蟻・防虫薬剤が予備発泡粒子の表面に高濃度で保持され、本発泡により当該表面同士が融着することにより、当該表面付近の微細な空間内に高濃度の防蟻・防虫薬剤が保持されること、その結果、比較的少量の防蟻・防虫薬剤の添加量にもかかわらず、長期間にわたり防蟻効果が発揮されるため、断熱効果が長期間持続する断熱材が得られ、軽量かつ断熱性に優れているため、住宅用、建築用、構築用その他の用途における断熱材や保温材等として非常に有用である。

Claims (3)

  1. 発泡剤を含有する発泡性ポリスチレン樹脂からなる原料ビーズを、成形品として必要とされる発泡倍率よりも予備発泡倍率が低くなるように、成形品の発泡倍率の85%から95%の発泡倍率で予備発泡させた後、
    当該予備発泡粒子に、常温において油状液体、かつ、水に不溶または難溶性である脂溶性防蟻・防虫薬剤を付着させて乾燥して、
    この脂溶性防蟻・防虫薬剤が付着した予備発泡粒子を金型に入れ本発泡して、板状またはブロック状に成型することを特徴とする防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材の製造方法。
  2. 脂溶性防蟻・防虫薬剤として、ペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、アレスリン、シハロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、シクロプロトリンから選ばれたピレスロイド系;フェニトロチオン、プロペンタホス、シアノホス、フェンチオン、ジクロロフェンチオン、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、マラチオン、チオメトン、ジスルホトン、プロチオホス、スルプロホス、プロフェノホス、ピラクロホス、ジクロルボス、ナレド、クロルフェンビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチオンから選ばれた有機リン系;シラフルオフェンから選ばれた非エステルピレスロイド系;カルボスルファン、ベンフラカルブから選ばれたカーバメート系;ピリダリル、ピレトリン(除虫菊)から選ばれた1種または2種以上の防蟻・防虫剤を用いることを特徴とする請求項1記載の防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材の製造方法。
  3. 脂溶性防蟻・防虫剤として、ペルメトリン、シラフルオフェンまたはカルボスルファンから選ばれた1種または2種以上の防蟻・防虫剤を用いることを特徴とする請求項2記載の防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材の製造方法。
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