JP5988083B2 - アルミ線と銅線の接続方法及びこの接続方法により構成されたモータ - Google Patents
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Description
前記モータコイル14として用いられているアルミ線18は、リード線19に絡げて半田で接続され、接続部分は、収縮チューブ20で被覆される。
また、図3は、モータコイル14のアルミ線18をリード線19に絡げる代わりに接続基板21の上で半田で接続し、接続部分は、図示しない絶縁紙で包みこんだり、シール部材やワニスで被覆する。
(a)アルミ線18の樹脂被膜23は、アルミ芯線22に対し焼き付けにより密着しており、この樹脂被膜23を剥離してアルミ芯線22を露出させる。これに対し、リード線19の樹脂被覆25は、密着することなく覆われているだけであり、この樹脂被覆25を剥離して銅芯線24を露出させる。
(b)アルミ線18のアルミ芯線22をリード線19の銅芯線24に絡げる。
(c)この絡げた部分をアルミ用フラックス26の槽に浸漬し、アルミ用フラックス26を塗布する。フラックスには、次の役割がある。
(1)洗浄(金属表面の酸化物を遊離させる)
(2)酸化防止(空気との間に薄い膜を作って、半田と母材表面を保護)
(3)濡れ促進(界面張力を減らし、半田を広がり易くする)
リード線19の樹脂被覆25は、密着することなく覆われているだけであるため、アルミ用フラックス26は、樹脂被覆25と銅芯線24の隙間に侵入する。
(d)アルミ用フラックス26の塗布した部分をアルミ用半田槽に浸漬してアルミ用半田27を半田付けする。半田付けした部分以外のアルミ用フラックス26の残渣を洗浄するため、アルコールや水につけ、かつ、布などで拭き取る。
(e)半田付け部分に空気の遮断と絶縁のため収縮チューブ20を嵌め込み、ヒーターで加熱して収縮させ接続部分に密着させる。
アルミ用フラックス26(腐食性が強いので洗浄が欠かせない)とアルミ用半田27(例えば、Sn−Zn半田)は、銅用フラックス29(腐食性が弱いので洗浄不要)や銅用半田28(例えば、Sn−Cu−Ni半田、Sn−Ag−Cu半田)に比較するとかなり高価である。
等の問題があった。
前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、前記アルミ用半田を半田付けしたアルミ芯線と前記銅芯線とを絡げる工程と、絡げた部分に銅用フラックスを塗布する工程と、この絡げた部分に銅用半田を半田付けする工程とからなるので、アルミ用フラックスがリード線として用いた銅線の樹脂被覆の中に侵入することがなく、銅線の腐食が防止されて信頼性の高いモータを提供することができる。銅用フラックスは、酸化力が弱いので洗浄工程を省略することができる。しかも、銅用フラックスと銅用半田は、アルミ用フラックスとアルミ用半田に比較して安価である。
前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、接続基板に設けられたアルミ線挿入部に前記アルミ線を挿入し、前記接続基板に設けられたリード線挿入部に前記リード線を挿入し、前記アルミ用半田を半田付けしたアルミ芯線と前記リード線の銅芯線とを接続基板の半田付けランドに銅用のフラックスと銅用半田を用いて半田付けする工程と、前記接続基板に設けた脚部を前記固定子鉄心におけるモータコイルの取り付け孔に差し込む工程とからなるので、アルミ用半田部分とリード線の銅芯線の絡げる作業がなく、接続工程が容易になる。銅用フラックスは、酸化力が弱いので洗浄工程を省略することができる。しかも、銅用フラックスと銅用半田は、アルミ用フラックスとアルミ用半田に比較して安価である。
また、接続基板21を用いて半田付けする場合において、アルミ線18の引き出し端部にリード線19を接続した接続基板21を、前記モータコイル14の固定子鉄心11から軸方向に突出したコイルエンドに取り付ける工程と、この接続基板21をモータコイル14のコイルエンドとともにワニスで含浸する工程とを付加することができる。
A:アルミ線18とリード線19を絡げて半田付けする例(図1及び図2)
(a)アルミ線18の樹脂被膜23は、アルミ芯線22に焼き付けにより密着しており、このアルミ線18の樹脂被膜23を剥離してアルミ芯線22を露出させる。剥離するには、アルミ線18をアルミ半田槽に入れて溶融する方法、ローラを使用した剥離機等により剥離する方法等がある。リード線19の樹脂被覆25は、密着することなく単に覆われているだけであり、この樹脂被覆25を剥離して銅芯線24を露出させる。
(b)アルミ線18のアルミ芯線22をアルミ用フラックス槽に浸漬し、アルミ用フラックス26を塗布する。フラックスには、前述の通り、次の3つの役割がある。
(1)洗浄(金属表面の酸化物を遊離させる)
(2)酸化防止(空気との間に薄い膜を作って、半田と母材表面を保護)
(3)濡れ促進(界面張力を減らし、半田を広がり易くする)
しかるに、酸化力の強いアルミ用フラックス26は、樹脂被膜23が焼き付けで密着しているアルミ線18では、樹脂被膜23の中に侵入するおそれはない。また、銅線からなるリード線19は、アルミ用フラックス槽に浸漬しないので、樹脂被覆25と銅芯線24の隙間にアルミ用フラックス26が侵入するおそれはない。
(c)アルミ用フラックス26を塗布したアルミ線18だけをアルミ用半田槽に浸漬してアルミ用半田27を半田付けする。アルミ用半田27を半田付けした部分以外のアルミ用フラックス26の残渣を洗浄するため、水につけ、かつ、布などでその残渣を拭き取る。アルミ線18は、リード線19に絡げていないので、簡単に、かつ、十分にアルミ用フラックス26の残渣を除去することができる。フラックスの洗浄液は、水に限られず、フラックスの種類によりアルコールや他の溶剤などを用いることができる。
(d)アルミ線18をリード線19に絡げる。
(e)絡げた部分を銅用フラックス槽に浸漬し、銅用フラックス29を塗布する。この工程で被覆した銅用フラックス29は、酸化力が弱いので洗浄工程を省略することができる。しかも、前述したように、銅用フラックス29と銅用半田28は、アルミ用フラックス26とアルミ用半田27に比較して安価である。
(g)アルミ線18とリード線19の接続部分をシール部材30で被覆し、140℃程度に加熱してシール部材30を硬化することにより半田付け部分を密封して空気を遮断するとともに、絶縁する。シール部材30には、熱硬化性のエポキシ樹脂を用い、半硬化(Bステージ)状態で塗布した後、加熱することですぐに硬化するので作業性がよい。
(h)アルミ線18とリード線19の接続部分に収縮チューブ20を嵌め込み、ヒーターで加熱して収縮させ密着することにより半田付け部分を密封して接続部分を保護する。必要に応じてモータコイル14の根元からリード線19の途中までシリコンガラスチューブで被覆してから、全てのアルミ線18とリード線19を束ねて誘導モータ10のモータコイル14の軸方向に突出したコイルエンドにのせて絶縁紐などで縛った後、ワニスで固着する。なお、ワニスは、モータコイルを固めると共にモータコイルの放熱性を高め、さらに、モータコイルの線間を絶縁すると共に固定子鉄心を錆から防ぐことを目的として、特に誘導モータでよく用いられる。
図4において、前記接続基板21は、FRP(ガラス繊維補強の合成樹脂)などの絶縁板を横長のランド面部34と、固定子鉄心11におけるモータコイル14の取り付け孔に差し込まれる下向きの2本の脚部35とからなり、ランド面部34には、モータコイル14のアルミ線18の引き出し端部の本数だけ半田付けランド31が設けられ、この半田付けランド31の上部に位置してリード線挿入部32と、このリード線挿入部32の底部からアルミ線挿入部33が設けられている。このアルミ線挿入部33の底部から半田付けランド31の上端部まで隙間aだけ離して半田付けランド31が形成されている。この接続基板21を用いてアルミ線18と銅線19を半田付けで接続する方法は以下の通りである。
(i)図5に示すように、アルミ線18を接続基板21のアルミ線挿入部33に仮固定しつつ、アルミ芯線22に予め形成したアルミ用半田27の部分を、銅用半田28で半田付けランド31に半田付けする。このとき、アルミ用半田27の形成されていないアルミ芯線22の基部Aは、アルミ線挿入部33に位置させず、アルミ線挿入部33と半田付けランド31の隙間aに位置させる。このように、アルミ芯線22の露出している基部Aを半田付けランド31の隙間aに位置させると、後述の(k)工程にてこのアルミ芯線22の基部を、接続基板21上でシール部材30により確実に被覆することができるため、基部の酸化や腐食を防止できる。
(j)次に、接続基板21のリード線挿入部32にリード線19を仮固定し、リード線19の銅芯線24を銅用半田28で半田付けランド31に半田付けする。
なお、前記工程では、(i)工程で、アルミ線18を先に半田付けし、(j)工程で、リード線19を後で半田付けした。しかし、アルミ線18を接続基板21のアルミ線挿入部33に仮固定するとともに、リード線19を接続基板21のリード線挿入部32に仮固定し、アルミ線18とリード線19とを一緒に半田付けランド31の上に半田付けするようにしてもよい。この場合も、アルミ芯線22を、アルミ線挿入部33と半田付けランド31の隙間aに位置させて半田付けすることが望ましい。
(k)半田付け後、アルミ芯線22の露出している部分だけ又は全体をシール部材30で被覆する。接続基板21に全てのアルミ線18とリード線を半田付けで接続した後、接続基板21の脚部35を固定子鉄心11のモータコイル14の嵌合孔に差し込み、必要に応じて全てのアルミ線18とリード線19を束ねて誘導モータ10のモータコイル14の軸方向に突出したコイルエンドにのせて絶縁紐などで縛った後、図3の2点鎖線で示すように、固定鉄心11、モータコイル14、接続基板21など、回転子12や回転軸13を除いて、ワニス36で被覆する。このワニス36は、シール部材30で被覆した後、その上に被覆してもよいし、シール部材30を省略してワニス36だけで被覆してもよい。本実施例では接続基板21によりアルミ線とリード線とを接続するため、接続部分をコイルエンドに固定する必要がなくなる。また、接続基板21を固定子鉄心11等と共にワニス36により被覆するため、図2に示すような収縮チューブ20を使用しないで済む。
Claims (5)
- アルミ芯線が樹脂被膜で被膜されたアルミ線の端部の樹脂被膜を剥離してアルミ芯線を露出する工程と、前記アルミ芯線にフラックスを塗布してアルミ用半田を半田付けする工程と、前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、前記アルミ線のうちアルミ用半田を半田付けされた部分と密着することなく覆われているだけの樹脂被覆を剥離して銅芯線を露出させた銅線とを銅用半田で半田付けして接続する工程とからなることを特徴とするアルミ線と銅線の接続方法。
- 固定子鉄心と、この固定子鉄心と対向する回転子と、前記固定子鉄心に巻回されたモータコイルとを具備し、このモータコイルはアルミ芯線が樹脂被膜で被膜されたアルミ線からなり、このアルミ線の引き出し端部に、外部から電力を供給するリード線として銅芯線が樹脂被覆で被覆された銅線を接続するようにしたモータのアルミ線と銅線の接続方法であって、
前記アルミ線の引き出し端部の樹脂被膜を剥離してアルミ芯線を露出し、かつ、前記銅線の端部の樹脂被覆を剥離して銅芯線を露出する工程と、
前記アルミ芯線にフラックスを塗布する工程と、
このフラックスを塗布した部分にアルミ用半田を半田付けする工程と、
前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、
前記アルミ用半田を半田付けしたアルミ芯線と前記銅芯線とを絡げる工程と、
絡げた部分に銅用フラックスを塗布する工程と、
この絡げた部分に銅用半田を半田付けする工程と
からなることを特徴とするアルミ線と銅線の接続方法。 - 固定子鉄心と、この固定子鉄心と対向する回転子と、前記固定子鉄心に巻回されたモータコイルとを具備し、このモータコイルはアルミ芯線が樹脂被膜で被膜されたアルミ線からなり、このアルミ線の引き出し端部に、外部から電力を供給するリード線として銅芯線が樹脂被覆で被覆された銅線を接続するようにしたモータのアルミ線と銅線の接続方法であって、
前記アルミ線の引き出し端部の樹脂被膜を剥離してアルミ芯線を露出し、かつ、前記銅線の端部の樹脂被覆を剥離して銅芯線を露出する工程と、
前記アルミ芯線にフラックスを塗布する工程と、
このフラックスを塗布した部分にアルミ用半田を半田付けする工程と、
前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、
接続基板に設けられたアルミ線挿入部に前記アルミ線を挿入し、前記接続基板に設けられたリード線挿入部に前記リード線を挿入し、前記アルミ用半田を半田付けしたアルミ芯線と前記リード線の銅芯線とを接続基板の半田付けランドに銅用のフラックスと銅用半田を用いて半田付けする工程と、
前記接続基板に設けた脚部を前記固定子鉄心におけるモータコイルの取り付け孔に差し込む工程と
からなることを特徴とするアルミ線と銅線の接続方法。 - 固定子鉄心と、この固定子鉄心と対向する回転子と、前記固定子鉄心に巻回されたモータコイルとを具備し、このモータコイルはアルミ芯線が樹脂被膜で被膜されたアルミ線からなり、このアルミ線の引き出し端部に、外部から電力を供給するリード線として銅芯線が樹脂被覆で被覆された銅線を接続するようにしたモータのアルミ線と銅線の接続方法であって、
前記アルミ線の引き出し端部のアルミ線被膜を剥離してアルミ芯線を露出し、かつ、前記銅線の端部の樹脂被覆を剥離して銅芯線を露出する工程と、
前記アルミ芯線にフラックスを塗布する工程と、
このフラックスを塗布した部分にアルミ用半田を半田付けする工程と、前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、
接続基板に設けられたアルミ線挿入部に前記アルミ線を挿入し、前記接続基板に設けられたリード線挿入部に前記リード線を挿入し、前記アルミ用半田を半田付けしたアルミ芯線と前記リード線の銅芯線とを接続基板の半田付けランドに銅用のフラックスと銅用半田を用いて半田付けする工程と、
前記アルミ線の引き出し端部にリード線を接続した接続基板を、前記モータコイルの固定子鉄心から軸方向に突出したコイルエンドに取り付ける工程と、
この接続基板をモータコイルのコイルエンドとともにワニスで含浸する工程と
からなることを特徴とするアルミ線と銅線の接続方法。 - アルミ芯線が樹脂被膜で被膜されたアルミ線の端部の樹脂被膜を剥離してアルミ芯線を露出する工程と、
銅芯線が樹脂被覆で被覆された銅線の端部の樹脂被膜を剥離して銅芯線を露出する工程と、
前記アルミ芯線にフラックスを塗布してアルミ用半田を半田付けする工程と、
前記アルミ線からフラックスの残渣を洗浄する工程と、
前記アルミ線のうちアルミ用半田を半田付けされた部分を、前記樹脂被膜を剥離して露出した銅芯線に絡げる工程と、
絡げた部分に銅用フラックスを塗布する工程と、
この銅用フラックスの塗布部分を銅用半田で半田付けして接続する工程と
からなることを特徴とするアルミ線と銅線の接続方法。
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