JP5983164B2 - Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板、Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板の製造方法、ならびにガラス基板表面の平坦度評価方法 - Google Patents

Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板、Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板の製造方法、ならびにガラス基板表面の平坦度評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板、Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板の製造方法、ならびにガラス基板表面の平坦度評価方法に関する。
ガラス基板上に薄膜を積層して製造されるFPD(Flat Panel Display)としては、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDという)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、ELDという)、電子ペーパー等の種々の製品が研究、開発されている。
これらのFPDに用いられる薄膜トランジスタ(TFT)等の配線膜としては、ディスプレイの大型化に伴って動画を表示するための高速駆動が必要であり、低抵抗な配線膜としてAl及びAl合金のAl系膜が用いられている。近年は、さらなるディスプレイサイズの大型化、高精細化に伴い、より低抵抗な配線としてCu系の配線が注目されている。
このようなCu系配線等の金属膜は、ガラス基板上に直接配設すると、配線工程における熱処理により、Cu等の配線材料がガラス基板中に拡散し、配線間リークを増加させるおそれがある。また、金属膜とガラス基板との密着性が不足する課題がある。このため、これら配線材料のガラス基板中への拡散を防ぐとともに金属膜とガラス基板との密着性を向上させるため、TiやMo等を主成分とする膜を下地層として介設させて、Cu配線膜等の金属膜が設けられている。
このような配線膜では、ディスプレイ製造プロセスにおける熱処理の際、その表面にヒロックが生じることがある。ヒロックとは、配線膜表面又は配線膜側面に発生する微小突起物のことである。前記熱処理の昇温時、配線膜とガラス基板との熱膨張率差により配線膜に圧縮応力が加わり、配線膜が局所的に塑性変形することで突起が生じる。ヒロックは配線間リーク、絶縁膜の破壊といった信頼性劣化を引き起こす。
特に、結晶配向性の低い配線膜では、その結晶格子の乱れに起因して膜内の強度にばらつきが生じやすく、加熱処理の際に、低強度の部位に圧縮応力が集中することで、ヒロックが成長する。
例えば、FPD用に使用されるガラス基板は、フロート法と呼ばれる製法により溶融ガラスを板状に成形し、このガラス基板を、例えば自転及び公転する研磨具で研磨して、表面の微小な凹凸やうねりを除去することによって、FPD用ガラス基板に要求される平坦度を満足した所定の厚さ(例えば、0.3〜1.1mm)の薄板状に製造されている。
このようなガラス基板を研磨するために、酸化セリウムを主成分としランタンなどの希土類元素を含む研磨砥粒が使用されている。図1は、従来の実施形態に係る金属膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図である。上記のような研磨砥粒を用いてガラス基板102表面を研磨処理すると、図1に示すように、これら研磨砥粒の一部やガラスくず等の研磨かすRが、数nm〜数十nm程度の厚みをもってガラス基板102表面に残留する。このようなガラス基板102上に形成された下地層103では、図1で示すように、その結晶配向性が低下しやすく、この上に積層された配線膜104は、下地層103の結晶格子の乱れに起因して、その結晶配向性がさらに低下することから、配線膜104形成時又は配線膜104形成後の加熱に伴い、金属膜付きガラス基板101表面においてヒロックが成長しやすくなる。
このため、研磨後ガラス基板102表面に付着している研磨剤(砥粒)等を洗浄し除去することが行われているが、このような洗浄処理を行っても、ガラス基板102表面の微小な研磨かすRが残留しやすく、金属膜付きガラス基板101表面におけるヒロックの成長が進行する。
一方、例えばフュージョン法と呼ばれる製法により製造されるガラス基板の場合には、未研磨状態のいわゆる火造り面上に下地層が形成されるものの、火造り面上の微小な塵等の付着物及び/又は揮発性有機物による汚染の影響により、下地層の結晶配向性が低下する。このため、この上に堆積した配線膜においても、加熱処理に伴うヒロックの発生、成長が進行する。
例えば、特許文献1には、FPD用の配線膜として、添加元素としてBを0.1〜1.0原子%、Mn及び/又はNiを0.1〜2.0原子%含み、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu合金膜を適用することで、Alよりも低抵抗としつつ、ヒロックやボイドの発生を抑制可能なことが開示されている。
特許文献2には、(002)配向したTi膜14上に、Cu膜を堆積することで、Cu膜の(111)配向性を向上させて、エレクトロマイグレーション性を向上させるようにした半導体装置が開示されている。
しかし、これらの技術においても、配線膜におけるヒロックの成長を十分に抑制することは困難であった。
特開2009−97085号公報 特開2000−183064号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ガラス基板上に、下地層としてのTi膜を介して、配線膜としての金属膜を堆積したときに、金属膜形成時又は金属膜形成後の加熱に伴うヒロックの成長が生じ難く、短絡等の不具合の発生を抑制可能なTi膜付きガラス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記したTi膜付きガラス基板を用いた金属膜付きガラス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、このようなTi膜付きガラス基板に用いられるガラス基板表面の平坦度評価方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題について鋭意検討した結果、ガラス基板上に形成したTi膜の配向性を所定の手法を用いて評価することで、巨大なヒロックの発生を抑制可能な表面性状を有するガラス基板を得られることを見出し、本願発明に至ったものである。
なお、本発明において、「巨大なヒロック」とは、走査型電子顕微鏡で金属膜表面を観察したとき、直径が350nmを超えるサイズのヒロックをいう。
すなわち、本発明のTi膜付きガラス基板は、ガラス基板と、前記ガラス基板の表面に設けられ、Tiを主成分とする厚さ10〜100nmのスパッタリング膜からなるTi膜とを有し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により求められる前記Ti膜のTi(002)ピークの半値幅が8°以下であることを特徴とする。
また、本発明のTi膜付きガラス基板の製造方法は、ガラス基板上に、(i)到達真空度:5×10−6Torr以下(ii)成膜時の真空度:1〜5×10−3Torr(iii)スパッタガス:Arガス(iv)電力密度:3〜5W/cmの条件下で厚さ10〜100nmのTi膜を形成するTi膜形成工程(1)と、前記Ti膜にX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定する測定工程(2)と、前記測定工程(2)で前記半値幅が8°以下とされたTi膜を有するガラス基板を判別する判別工程(3)と、を有することを特徴とする。
また、本発明のガラス基板表面の平坦度評価方法は、ガラス基板表面の平坦度評価方法であって、ガラス基板上にTiを主成分とするTi膜を形成し、前記Ti膜にX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定される回折強度ピークの半値幅を指標として、前記ガラス基板表面の平坦度を評価することを特徴とする。
本発明のTi膜付きガラス基板によれば、Ti膜が形成されたガラス基板の表面平坦度が高く、Ti膜上に配線膜としての金属膜を堆積したときに、その結晶配向性が良好であり、加熱処理に伴う巨大なヒロックの発生数が抑制されたものとすることができる。
また、本発明のガラス基板表面の平坦度評価方法によれば、配線膜としての金属膜を形成して加熱したときに、ヒロックの成長が生じ難い表面性状を有するガラス基板を、精度よく判別することができる。
従来の実施形態に係る金属膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図。 本発明の実施形態に係るTi膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図。 本発明の実施形態に係る金属膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図。 本発明のTi膜付きガラス基板の製造方法における洗浄方法の一実施形態を示す図。 ロッキングカーブ法によるX線回折測定の際の各機器の配置の一例を示す模式的説明図。 ロッキングカーブ法によるX線回折測定における典型的なパターンを示す図。 実施例4で得られた金属膜付きガラス基板のCu膜表面を拡大して示す走査型電子顕微鏡像。 比較例3で得られた金属膜付きガラス基板のCu膜表面を拡大して示す走査型電子顕微鏡像。
以下、本発明の金属膜付きガラス基板の実施形態について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るTi膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図である。
Ti膜付きガラス基板1は、ガラス基板2上に、Tiを主成分とするTi膜3が形成されている。
なお、本明細書において、「Tiを主成分として含む」とは、Tiを90%以上の割合で含むことをいう。
ガラス基板2は、その表面にTiを主成分とする厚さ10〜100nmのTi膜を形成し、このTi膜にX線を照射したときの当該Ti膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅(以下、半値幅Hと示す)が8°以下である。
ここで、ロッキングカーブ法とは、X線回折において、試料がブラッグの回折条件を満たす角度の2倍の位置に検出部を固定して、X線のあおり角(Tilt Angle)を変化させて回折を得る方法である。
ガラス基板2を、その表面にTiを主成分とする厚さ10〜100nmのTi膜を形成し、このTi膜にX線を照射したときのロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅Hが8°以下であるものとすることで、ガラス基板2が、その表面において十分な平坦度を有するものとすることができ、この上にTi膜3を介して堆積される後述する金属膜4において、優れた結晶配向性が得られ、金属膜4形成時又は金属膜4形成後の加熱に伴うヒロックの成長を抑制可能なTi膜付きガラス基板1とすることができる。
ガラス基板2上のTi膜にX線を照射したときのロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅が8°を超えると、ガラス基板2表面の平坦度が不十分であり、この上に、Ti膜3を介して後述するCu膜等の金属膜4を堆積したときに、その結晶配向性が低下しやすく、金属膜4形成時又は金属膜4形成後の加熱に伴うヒロックの成長が生じやすくなり、例えば直径が350nmを超えるサイズのヒロックの発生数が増大する。
ガラス基板2は、表面にTi膜を形成してX線を照射したときの、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅Hが7.5°以下であることが好ましく、7°以下であることがより好ましい。
ガラス基板2は、半値幅Hの測定時にX線照射を行ったTi膜の形成条件と同一条件下で、後述する対照用ガラス基板の火造り面にTi膜(以下、対照用Ti膜と示す)を形成し、この対照用Ti膜にX線を照射したときの、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅をHとしたとき、H/Hが1.0〜1.2であることが好ましい。
なお、火造り面とは、ガラス基板を製造するにあたり、溶融ガラスの表面が、成形用の溶融スズなどの液体や、溶融ガラスの運搬に必要なローラなどの固体に触れることなく、気体と接した状態のまま徐冷、成板した後の、研磨していないそのままの表面をいい、ガラス基板製造時における、上記溶融スズや運搬用ローラとの非接触面である。
また、本明細書において、「対照用ガラス基板」とは、ガラス基板2の火造り面上にTi膜を形成した場合の当該Ti膜の配向性を評価するためのものであり、ガラス基板2と同一条件下で製造された同一組成を有する、研磨工程を経ていない状態のガラス基板をいう。
なお、ガラス基板2及び対照用ガラス基板のいずれも、保管時や運搬時に表面に汚れが付着する場合があり、Ti膜の形成直前に必要に応じて簡単な洗浄を行ってもよい。この洗浄は、具体的には、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、アセトンなどの有機溶媒のほか、それらの混合物にガラス基板2又は対照用ガラス基板を浸し、乾燥させることで汚れを除去するものである。
/Hが1.2を超えると、ガラス基板2表面の平坦度が不十分であり、この上に形成されるTi膜3において、結晶配向性の低下が生じやすい。このため、Ti膜3上に、後述する金属膜4を堆積したときに、十分な結晶配向性を得られず、ヒロックの成長が生じやすくなるおそれがある。
/Hは、より好ましくは1.0〜1.15であり、さらに好ましくは1.0〜1.1である。
ガラス基板2の製造方法は、特に限定されないが、例えば、フロート法で製造されたもの、フュージョン法で製造されたものが挙げられる。ガラス基板2として、フロート法で形成されたガラス基板を用いる場合には、通常、ガラス基板の表面を、後述する方法により研磨したものが用いられる。
ガラス基板2の組成は、特に限定されず、各種ガラス基板に適用することができる。例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスなどが挙げられる。
ガラス基板2の厚さは特に限定されないが、通常、0.3〜1.1mmである。
Ti膜3は、ガラス基板2の上に、後述する金属膜4を形成したときに、当該金属膜4の構成材料がガラス基板2中に拡散するのを防止する下地層としての機能を有するものであり、Tiを主成分として含む膜である。Ti膜3は、後述するスパッタリングにより形成される膜であり、その形成方法については、後に詳述する。
Tiを主成分として含む膜としては、Tiを主成分として含み、かつ下地層としての機能又は金属膜4とガラス基板2との密着性を向上させる機能を損なわない範囲で、Al、Si、Ga、In、O、N等の他の元素が含まれていてもよい。
Ti膜3は、このTi膜3にX線を照射したときのロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅Hが8°以下である。
Ti膜3にX線を照射したときのロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅Hが8°を超えると、Ti膜3の結晶配向性が十分でなく、この上に形成される、後述する金属膜4において結晶配向性が低下しやすく、加熱処理に伴うヒロックの発生、成長が顕著となる。Ti膜3にX線を照射したときの、当該Ti膜3のロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅Hは、より好ましくは7.5°以下であり、さらに好ましくは7°以下である。
Ti膜3の厚さは、10〜100nmである。Ti膜3の厚さを10nm以上とすることで、後述する金属膜4の構成材料の、ガラス基板2への拡散を抑制することができるとともに、金属膜4とガラス基板2との密着性を向上でき、下地層としての機能を十分に有するものとすることができる。また、Ti膜3の厚さを100nm以下とすることで、Ti膜付きガラス基板1全体の厚みが過度に増大するのを抑制することができる。Ti膜3の厚さは、より好ましくは50〜90nmであり、さらに好ましくは60〜80nmである。
本明細書における各膜の「厚さ」は、触針式表面粗さ測定機により測定して得られた厚さである。
ガラス基板2がフロート法で製造されたものである場合には、Ti膜3は、酸化セリウム等を主成分とする研磨剤による研磨処理を施された研磨面に形成されたものであることが好ましい。
図3は、本発明の実施形態に係る金属膜付きガラス基板の断面の一部を拡大して示す模式図である。本発明の金属膜付きガラス基板10は、図3で示すように、図2で示すTi膜付きガラス基板1のTi膜3上に、さらに、Cu、Ag、Al、Au、Mo、Pt、Pd、Cr、Fe、Nbから選択される少なくとも一の金属を主成分とする金属膜4を形成したものとすることができる。
なお、本明細書において、Cu、Ag、Al、Au、Mo、Pt、Pd、Cr、Fe、Nbから選択される少なくとも一の金属として例えば「Cuを主成分として含む」とは、Cuを90%以上の割合で含むことをいう。
金属膜4は、配線膜としての機能を有するものであり、上述した金属元素を主成分として含む層であれば、特に限定することなく用いることができる。金属膜4は、スパッタリングにより形成することができ、その形成方法については、後に詳述する。
金属膜4としては、配線膜として低抵抗性を得る観点から、上述した金属元素の中でも、Cuを主成分とするものであることが好ましい。
例えば、Cuを主成分として含む金属膜4としては、Cuを主成分として含み、かつ配線膜としての機能を損なわない範囲で、B、Mn、Ni、Si、Al、Ca、Mg等の他の元素が含まれていてもよい。
金属膜4の厚さは、好ましくは100nm以上1000nm以下であり、より好ましくは460nm以上530nm以下である。金属膜4の厚さを100nm以上とすることで、配線膜として十分な導電性を得ることができる。
本発明の金属膜付きガラス基板10によれば、ガラス基板2における平坦度が十分であり、この上に形成されるTi膜3、金属膜4において、優れた結晶配向性を得ることができ、金属膜4形成時又は金属膜4形成後の加熱に伴うヒロックの成長が抑制されたものとすることができる。
以上、本発明のTi膜付きガラス基板及び金属膜付きガラス基板について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更することができる。
次に、Ti膜付きガラス基板1の製造方法について説明する。
ガラス基板2の製法は、特に限定されないが、以下の説明では、フロート法により製造したガラス基板を用いる場合について説明する。
ガラス基板2は、通常のフロート法により製造した後、以下の2工程の処理を行うことが好ましい。
(a)酸化セリウム又は酸化ジルコニウムを主成分とする研磨砥粒を含有する研磨剤を用いてガラス基板を研磨する第1研磨工程。
(b)第1研磨工程後のガラス基板を洗浄する洗浄工程。
第1研磨工程(a)は、ガラス基板2の表面を、研磨パッドを使用し、例えば酸化セリウム又は酸化ジルコニウムを主成分とする研磨砥粒を含む研磨剤スラリーにより研磨する方法で行うことができる。研磨砥粒の平均粒径は特に限定されないが、0.8〜1.0μmであることが好ましい。
洗浄工程(b)は、研磨後のガラス基板に、例えば後述する洗浄剤を直接接触させ、枚葉方式で洗浄する方法で行なうことができる。
図4は、本発明のTi膜付きガラス基板の製造方法における洗浄方法の一実施形態を示す図である。洗浄工程においては、例えば、図4に示すように、搬送ローラ5等の機構により洗浄室6内を水平方向に連続的に搬送されるガラス基板2の上下両面に、洗浄ノズル7から噴射された洗浄剤8を吹き付けながら、両面側に配置された回転ブラシ9でスクラブする(擦る)方法が採られる。
ここで、洗浄剤8の温度は特に限定されることはなく、室温(15℃)〜95℃で使用される。95℃を超える場合には水が沸騰するおそれがあり、洗浄操作上不便であり好ましくない。
また、洗浄用の回転ブラシ9としては、PVA(ポリビニルアルコール)スポンジ製で外径70〜100mmの円柱形状のものを複数個使用する。そして、これらのブラシを、回転軸がガラス基板2の被洗浄面に対して垂直になるように、かつ先端部がガラス基板2の被洗浄面と接触するか、2mm未満の間隔となるように配置する。
回転ブラシ9の回転速度は、100〜500rpmとすることが好ましい。
洗浄剤8としては、後述の本発明の洗浄剤(原液)を所望の濃度になるように水で希釈したものを使用することができる。噴射量は、15〜40リットル/分とすることができる。
洗浄剤8としては、特に限定することなく用いることができるが、ガラス基板2表面に付着・残留した研磨剤を効率的に除去する観点から、酸性の洗浄剤を用いることが好ましい。
このような洗浄剤8としては、例えば下記のものを用いることが好ましい。
洗浄剤8としては、例えば(A)有機ホスホン酸と(B)ポリカルボン酸塩と(C)芳香族スルホン酸と(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物とを含む酸性の水系洗浄剤を用いることができる。
この洗浄剤によれば、研磨後のガラス基板の表面に残留・付着した酸化セリウム等からなる研磨砥粒を、良好に分散して除去することができ、ガラス基板の平坦性を損なうこともない。また、洗浄排液中の砥粒残渣が経時的に凝集することがなく、洗浄排液の処理も良好に行なうことができる。
上述した水系洗浄剤において、(A)成分である有機ホスホン酸は、酸化セリウムに対するキレート剤として作用し、ガラス基板2の表面に付着・残留する酸化セリウム等からなる砥粒の分散を促し、ガラス基板2表面から引き剥がし除去する働きをする。
本明細書において、有機ホスホン酸とは、式:−P(=O)(OH)で表わされる基(以下、ホスホン酸基という。)が炭素原子に結合した構造を有する有機化合物をいう。有機ホスホン酸1分子あたりのホスホン酸基の数は2以上が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
有機ホスホン酸としては、置換基を有していてもよい炭化水素類の炭素に結合した水素原子を、ホスホン酸基に置換した構造を有する化合物、及び、アンモニアやアミン類の窒素原子に結合した水素原子を、−CH−P(=O)(OH)で表わされるメチレンホスホン酸基に置換した構造を有する化合物、が好ましい。
上記前者の構造の有機ホスホン酸において、置換基を有していてもよい炭化水素類としては、脂肪族炭化水素及び水酸基含有脂肪族炭化水素が好ましい。これら脂肪族炭化水素等において、その炭素数は1〜6が好ましく、水酸基数は2以下が好ましい。この構造を有する有機ホスホン酸としては、具体的には、例えば、メチルジホスホン酸、及び1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。
下記メチレンホスホン酸基を有する構造の有機ホスホン酸も含めて、本発明における有機ホスホン酸としては、水酸基含有脂肪族炭化水素の炭素に結合した水素原子をホスホン酸基に置換した構造を有する化合物が特に好ましく、具体的には、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が最も好ましい。
前記後者の構造の有機ホスホン酸としては、アンモニアや脂肪族アミンの窒素原子に結合した水素原子の全てが、メチレンホスホン酸基に置換した構造を有する化合物が好ましい。ただし、アミン類窒素原子に結合した水素原子の一部は、アルキル基等の有機基に置換されていてもよい。脂肪族アミンとしては、アルキレンジアミンやその多量体であるポリアルキレンポリアミンが好ましい。アルキレンジアミンの炭素数は2〜4が好ましい。これらアミン類の窒素原子に結合した水素原子(メチレンホスホン酸基に置換される水素原子)の数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。
この構造を有する有機ホスホン酸としては、具体的には、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トリス(2−アミノエチル)アミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)等を挙げることができる。
(B)成分であるポリカルボン酸塩と(C)成分である芳香族スルホン酸とは、前記(A)有機ホスホン酸による研磨砥粒の分散・除去性を向上させるとともに、研磨砥粒の再付着を防止する働きをする。(B)成分であるポリカルボン酸塩としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩等を例示することができる。
ここで、(メタ)アクリル酸という表記は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。ポリカルボン酸の重量平均分子量(以下、Mwと略記。)は、研磨砥粒の再付着防止及び低泡性の観点から、2,000〜50,000の範囲であることが好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記。)によって、測定された値である。
ポリカルボン酸塩において、塩を形成する対イオンは特に限定されないが、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)塩、アンモニウム塩、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン)塩、2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン、ならびにジエタノールアミン)塩、3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ならびに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、又は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1Hイミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1Hイミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1Hイミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン)塩、及び第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム)塩が好ましい。パーティクルの再付着防止の観点から、これらの中で好ましいものは、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)塩、アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩及び第4級アンモニウム塩であり、特に好ましいものは、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)塩、アンモニウム塩である。
(C)成分である芳香族スルホン酸としては、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、石油スルホネート、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、及びクメンスルホン酸等が挙げられる。特に、メタキシレンスルホン酸(2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸)の使用が好ましい。
(D)成分であるアミン−アルキレンオキサイド付加物は、研磨砥粒とガラス基板との界面への前記(A)有機ホスホン酸の浸透を促進する働きをする。本実施形態においては、アミン−アルキレンオキサイド付加物としては、アルキレンオキサイド付加型のノニオン系界面活性剤として知られている化合物が好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下、EOともいう。)とプロピレンオキサイド(以下、POともいう。)が好ましく、それらの一方のみを付加した構造の化合物であってもよく、それらの両方を付加した構造の化合物であってもよい。EOとPOの両者を付加した化合物においては、EOの単位(すなわち、オキシエチレン基)とPOの単位(すなわち、オキシプロピレン基)はブロック状に存在していてもよく、ランダム状に存在していてもよい。前者はアミンにEOとPOを別々に順次付加して得られ、後者はアミンにEOとPOの混合物を付加して得られる。本発明においてPO−EO付加物とは、それら付加方法のいずれかで得られる付加物をいう。
アルキレンオキサイドが付加されるアミン類としては、窒素原子に結合した水素原子の数が2〜8であり、アミノ基の数が1〜4のアミン類が好ましい。また、アミン類の炭素数は16以下が好ましく、10以下がより好ましい。このようなアミン類としては、例えば、脂肪族のモノアミンやポリアミン、脂環族のモノアミンやポリアミン、芳香族のモノアミンやポリアミンを挙げることができる。より具体的は、アルキルモノアミン、アルキレンジアミンやその多量体であるポリアルキレンポリアミン、脂環に結合したアミノ基やアミノアルキル基を1個以上有する脂環族のモノアミンやポリアミン、芳香環に結合したアミノ基やアミノアルキル基を1個以上有する脂環族のモノアミンやポリアミンなどが好ましい。
(D)成分であるアミン−アルキレンオキサイド付加物としては、その少なくとも一部がアルキレンジアミンのPO−EO付加物であることが好ましい。アルキレンジアミンとしては、炭素数2〜4のアルキレンジアミンが好ましく、エチレンジアミンが特に好ましい。エチレンジアミンのPO−EO付加物としては、例えばエチレンジアミンの窒素原子に結合した4個の水素原子にPOとEOが付加した化合物を挙げることができる。また、(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物として、前記エチレンジアミンのPO−EO付加物とともに、芳香族アミンのPO付加物を併用することも好ましい。芳香族アミンのPO付加物としては、例えばメタキシリレンジアミンのPO付加物が挙げられる。(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物として、エチレンジアミンのPO−EO付加物と芳香族アミンのPO付加物を併用した場合には、洗浄剤の洗浄・除去能力の安定性がよりいっそう向上する。
上述した洗浄剤全体に対する(A)〜(D)の各成分の含有割合は、(A)〜(D)の合計量に対して、(A)有機ホスホン酸は0.01〜50質量%、(B)ポリカルボン酸塩は0.01〜10質量%、(C)芳香族スルホン酸は0.01〜50質量%、(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物は0.02〜10質量%であることが好ましい。
また、(B)ポリカルボン酸塩と(C)芳香族スルホン酸の合計の割合は0.03〜60質量%であることが好ましい。(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物として、アルキレンジアミンのPO−EO付加物と芳香族アミンのPO付加物を併用する場合は、アルキレンジアミンのPO−EO付加物0.01〜5質量%と芳香族アミンのPO付加物0.01〜5質量%であって、その合計の割合は上記0.02〜10質量%であることが好ましい。
上述した洗浄剤は、前記(A)〜(D)の各成分を水に溶解させてなる水系洗浄剤である。洗浄剤における水は、上記した(A)有機ホスホン酸、(B)ポリカルボン酸塩、及び(D)アミン−アルキレンオキサイド付加物を溶解するための溶媒である。この水としては、脱イオン水、超純水、電荷イオン水、水素水及びオゾン水などを使用することができる。なお、水は上述した洗浄剤の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、洗浄速度等の目標とする洗浄特性に合わせて適宜設定することができる。(A)〜(D)の各成分を前記範囲で含有する洗浄剤(原液)において、水の含有割合は、55〜98質量%とすることができる。
上述した洗浄剤においては、上記(A)〜(D)の各成分以外にその他の添加剤を水に配合することができる。その他の添加剤としては、分散剤、水溶性有機溶剤、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤等が挙げられる。
上述した洗浄工程(b)の後、さらに、コロイダルシリカを含有する研磨剤を用いてガラス基板を研磨する第2研磨工程(c)を行ってもよい。
第2研磨工程(c)は、研磨砥粒として、下記に詳述するコロイダルシリカを用いること以外は、第1研磨工程(a)と同様にして行うことができる。
コロイダルシリカは、水ガラスからの造粒や、アルコキシシラン等の有機シリケート化合物の加水分解等により製造でき、通常は、水に分散して使用されるが、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物などの有機溶媒や、これら有機溶媒の混合溶媒に分散したものであってもよい。
さらに、上記の有機溶媒やこれらの混合溶媒のうち、水溶性のものは、水と任意の割合で混合したものに、コロイダルシリカを分散させてもよい。
コロイダルシリカの平均粒径は、10〜150nmであることが好ましい。
なお、コロイダルシリカを含有する研磨剤としては、市販品を用いることができ、例えば、コンポール20、50、80、120(登録商標)(フジミインコーポレーテッド製)、ST−ZL(日産化学工業株式会社製)、Klebosol(登録商標)(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)等を用いることができる。
コロイダルシリカを用いた第2研磨工程(c)を行うことで、より平坦性に優れたガラス基板を得ることができる。
次いで、上述した第1研磨工程(a)、洗浄工程(b)、第2研磨工程(c)を経たガラス基板2上に、下記条件(i)〜(iv)の下、スパッタリングによりTiを主成分とするTi膜3を形成する。(Ti膜形成工程(1))
Tiを主成分とする層をスパッタリングにより形成する場合、ターゲットとしては、チタンを主成分とするものが用いられる。
チタンを主成分とする金属ターゲットとしては、チタンのみからなるもの、又はチタンを主成分として含み、かつチタン以外の公知のドーパントを本発明の特徴を損なわない範囲でドープしたものを用いることができる。
Ti膜形成工程(1)において、スパッタガスとしては、アルゴンガスをチャンバー内に導入して行われる。(条件(iii))なお、チャンバー内に導入するアルゴンガスの流量は、目標とする真空度等に合わせて適宜調整することができる。
スパッタガスの全圧は、特に限定されず、グロー放電が安定に行われる圧力であればよい。
スパッタリングを行う場合、電力密度は、3〜5W/cmであり、より好ましくは3.5〜4W/cmである。成膜時間は、成膜速度及び所望の膜厚に応じて決定すればよい。(条件(iv))
Ti膜形成工程(1)において、スパッタリング中の真空度は1〜5×10−3Torrとする。より好ましくは、スパッタリング中の真空度は2〜3×10−3Torrである。(条件(ii))また、成膜チャンバー内の到達真空度は、5×10−6Torr以下とする。(条件(i))
このようにして形成したTi膜3に対し、X線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅Hを測定する。(測定工程(2))
図5は、ロッキングカーブ法によるX線回折測定の際の各機器の配置の一例を示す模式的説明図である。図6は、ロッキングカーブ法によるX線回折測定における典型的なパターンを示す図であり、縦軸は回折強度I、横軸はあおり角ωである。
具体的には、例えば、図5で示すように、サンプルとしてのTi膜付きガラス基板1を、ガラス基板2のTi膜3形成面に対して垂直方向を回転軸として、連続的に回転させつつ、あおり角ωを図5の破線の矢印方向に所定角度の範囲内で変化させながら、X線源11からのX線を、Ti膜付きガラス基板1のTi膜3側に入射させる。次いで、Ti膜付きガラス基板1からの回折X線の回折強度を検出器12によって測定することで、例えば図6で示すような回折パターンを得ることができる。
X線回折の際のサンプル(Ti膜付きガラス基板)10に対するX線の照射は、平行光学系で行ってもよく、集中光学系で行ってもよいが、測定精度及び再現性の観点から、平行光学系で行うことがよい。
なお、X線回折による測定の際の試料回転数は、特に限定されないが、80〜120rpmであることが好ましい。
なお、ピーク半値幅は、得られた回折パターンを基に、以下のようにして求めることができる。まず、図6において、対象のピークの両端からベースラインを引き、このベースラインからピーク頂点までの強度をピーク強度Iとする。これは、通常得られるスペクトルのベースラインは、測定時の環境やサンプルの違い等により変化するためである。このピーク強度Iの1/2の強度の点からベースラインに平行に線を引き、ピーク両端との交点のω角ω、ωの差分Δω(ω−ω)を半値幅とすることができる。
Ti膜形成工程(1)で得られたTi膜3を有するガラス基板2のうち、測定工程(2)で測定された半値幅Hが8°以下であるTi膜3を有するガラス基板2を判別して、本発明のTi膜付きガラス基板1とする。(判別工程(3))
ガラス基板2上に形成されたTi膜3について、測定工程(2)で測定された半値幅Hが8°以下であるものを判別することで、得られるTi膜付きガラス基板1において、ガラス基板2が、その表面において十分な平坦度を有するものとすることができ、この上に、Ti膜3を介して形成される金属膜4の結晶配向性の低下を抑制でき、金属膜4形成時又は金属膜4形成後の加熱に伴うヒロックの成長を抑制可能なTi膜付きガラス基板1を得ることができる。
判別工程(3)においては、好ましくは、測定工程(2)で測定された半値幅Hが7.5°以下、より好ましくは7°以下であるTi膜3を有するガラス基板2を判別することがよい。
判別工程(3)においては、ガラス基板2上にTi膜3を形成したときと同一条件下で、ガラス基板2の対照用ガラス基板の火造り面に対照用Ti膜を形成し、この対照用Ti膜にX線を照射して、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、当該対照用Ti膜のTi(002)ピークの半値幅Hを測定する測定工程(4)を有することができる。
そして、判別工程(3)においては、測定工程(2)において測定された、ガラス基板2上のTi膜3の半値幅をHとし、測定工程(4)において測定された、対照用ガラス基板上の対照用Ti膜の半値幅をHとしたときに、半値幅Hが8°以下であるとともに、H/Hが1.0〜1.2であるTi膜3を有するガラス基板2を判別して、Ti膜付きガラス基板1とすることが好ましい。
/Hが1.2を超えると、ガラス基板2表面の平坦度が不十分であり、この上に形成されるTi膜3、金属膜4において、結晶配向性の低下が生じやすく、金属膜4形成時又は金属膜4形成後の加熱に伴う、ヒロックの発生、成長が顕著となるおそれがある。
/Hは、より好ましくは1.0〜1.15であり、さらに好ましくは1.0〜1.1である。
なお、上述した製造方法の説明では、ガラス基板2として、フロート法により製造したガラス基板を用いた例について説明したが、ガラス基板2としては、このようなものに限られず、例えばフュージョン法により製造したガラス基板を用いた場合でも、上記フロート法によるガラス基板2を用いた場合の例で説明したのと同様の条件下で、Ti膜形成工程(1)、測定工程(2)、判別工程(3)を行うことができる。
ガラス基板2として、フュージョン法により製造したガラス基板を用いる場合には、通常、第1研磨工程(a)、洗浄工程(b)、第2研磨工程(c)を行うことなく、ガラス基板2の火造り面上に、必要に応じて簡単な洗浄を経たうえでTi膜3を形成するTi膜形成工程(1)を行うことができる。
次いで、判別工程(3)で判別された、Ti膜3を有するガラス基板2上に、スパッタリングにより金属膜4を形成して、金属膜付きガラス基板10を得ることができる。
金属膜4は、Cu、Ag、Al、Au、Mo、Pt、Pd、Cr、Fe、Nbから選択される少なくとも一の金属を主成分とするものであり、配線膜として低抵抗性を得る観点から、上述した金属元素の中でも、Cuを主成分とするものであることが好ましい。
Cuを主成分とする層をスパッタリングにより形成する場合、ターゲットとしては、Cuを主成分とするものが用いられる。
Cuを主成分とする金属ターゲットとしては、Cuのみからなるもの、又はCuを主成分として含み、かつCu以外の公知のドーパントを本発明の特徴を損なわない範囲でドープしたものを用いることができる。
金属膜4形成時の条件は、特に限定されないが、例えば、以下の条件下で金属膜4の形成行うことができる。
スパッタガスとしては、不活性ガス、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスが挙げられる。これらの中でも、経済性及び放電のし易さの点から、アルゴンが好ましい。
金属膜4の形成工程において、スパッタガスとしては、不活性ガスをチャンバー内に導入して行うことが好ましい。なお、チャンバー内に導入するアルゴンガスの流量は、目標とする真空度等に合わせて適宜調整することができる。
スパッタガスの全圧、及びスパッタガスが混合ガスである場合、その各々の分圧は、特に限定されず、グロー放電が安定に行われる圧力であればよい。
金属膜4の形成を、スパッタリングにより行う場合、電力密度は、3〜7W/cmが好ましく、3〜4W/cmがより好ましい。成膜時間は、成膜速度及び所望の膜厚に応じて決定すればよい。
金属膜4の形成工程において、成膜チャンバー内の到達真空度は高いほうが好ましく、具体的には、5×10−6Torr以下が好ましい。また、金属膜4の形成工程において、スパッタリング中の真空度は1〜20×10−3Torrであることが好ましく、3〜10×10−3Torrであることがより好ましい。
以上、本発明のTi膜付きガラス基板及び金属膜付きガラス基板の製造方法について一例を挙げて説明したが、その順序等について、Ti膜付きガラス基板1及び金属膜付きガラス基板10の製造が可能な限度において、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、適宜変更することができる。
また、本発明のガラス基板表面の平坦度評価方法は、ガラス基板上にTiを主成分とするTi膜を形成し、このTi膜にX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定される回折強度ピークの半値幅を指標として、ガラス基板表面の平坦度を評価するものである。
このようなガラス基板の評価方法によれば、所定の条件下で形成したTi膜について、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定される回折強度ピークの半値幅を指標としてガラス基板表面の平坦度を評価することにより、表面に下地層、例えばTi膜を介して金属膜を形成したときに、金属膜形成時又は金属膜形成後の加熱に伴うヒロックの成長を抑制可能な表面性状を有するガラス基板を、精度よく判別することができる。
例えば、ガラス基板上に、(i)到達真空度:5×10−6Torr以下(ii)成膜時の真空度:1〜5×10−3Torr(iii)スパッタガス:Arガス(iv)電力密度:3〜5W/cmの条件下で、厚さ10〜100nmのTiを主成分とするTi膜をスパッタリングにより形成した場合には、このTi膜に平行光学系のX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅が8°以下であれば、このガラス基板は、この上に形成される金属膜の加熱に伴うヒロックの成長を抑制する観点から、十分な平坦度を有している。
この場合、上記ガラス基板上のTi膜についてロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されたTi(002)ピークの半値幅を半値幅Hとし、かつ、対照用ガラス基板の火造り面に、半値幅Hの測定時にX線照射を行ったTi膜の形成条件と同一条件下で対照用Ti膜を形成し、この対照用Ti膜にX線を照射したときの、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定されるTi(002)ピークの半値幅をHとしたとき、H/Hが1.0〜1.2であれば、このガラス基板は、より優れた平坦度を有している。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験A]
(実施例1)
まず、フロート法により製造した縦50mm×横50mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラスからなるガラス基板(商品名AN100;旭硝子株式会社製)の研磨工程を行った。
すなわち、このガラス基板の表面を、粒径0.8〜1.0μmの公知の酸化セリウム粒子を主成分とする研磨砥粒を含む研磨剤スラリー(商品名SHOROX A10;昭和電工株式会社製)を使用し、研磨パッドを用いて行なった。
次いで、図4に示す方法で研磨工程後のガラス基板の洗浄工程を行なった。
洗浄工程では、洗浄剤として、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が9.0質量%、メタキシリレンジアミン/PO付加物が0.5質量%、エチレンジアミン/PO−EO付加物が1.0質量%、メタキシレンスルホン酸が10.0質量%、ポリカルボン酸塩が1.0質量%、水が78.5質量%となるように、各成分を配合して、酸性洗浄剤である洗浄剤(1)を調製した。
そして、研磨後のガラス基板の表面に前記洗浄剤を1秒間に250〜700mLの割合で吹き付けながら、100〜500rpmの速度で回転するPVA製のブラシで6〜10秒間スクラブした。
こうして洗浄を行なったガラス基板を乾燥させてガラス基板Q1を得た。
このガラス基板Q1の表面に、下記の条件下でスパッタリング法によりTi膜を形成した。
すなわち、到達真空度を1×10−6Torrとし、チタンターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、成膜時の真空度を2×10−3Torrとし、電力密度を3.57W/cmとしてスパッタリングを行った。
このようにして、ガラス基板表面に、縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板の中央部分を縦15mm×横15mmのサイズで切り出して測定用試料とし、そのTi膜について、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、下記条件下で、Ti(002)ピークの半値幅を測定した。
すなわち、測定用試料のTi膜に対して、平行光学系のX線を照射し、測定用試料を回転数100rpmで回転させながら、固定角をTi(002)の回折角2θ=38.30°とし、ωスキャン測定範囲を0〜40°として、ロッキングカーブ法を用いたX線回折を行った。なお、回折角2θは、図5に示すように、入射X線と回折X線のなす角度である。また、半値幅の算出は、プロファイル関数「Pearson VII」又は「Psuedo−Voigt」を用いたピークフィッティングにより行った。その結果、Ti膜の半値幅Hは7.5°であった。
また、ガラス基板Q1とは別に用意した、ガラス基板Q1と同組成、同サイズの対照用のガラス基板の火造り面に対し、研磨・洗浄工程後のガラス基板上にTi膜を形成したのと同一条件下で縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
このようにして形成した対照用のガラス基板上のTi膜について、研磨・洗浄工程後のガラス基板上に形成したTi膜について行ったのと同一の条件下で、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、Ti(002)ピークの半値幅を測定した。
その結果、対照用のガラス基板上のTi膜の半値幅Hは6.6°であり、H/Hは1.1であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして研磨工程、洗浄工程を行ったガラス基板の表面を、コロイダルシリカを含有する研磨剤(フジミインコーポレーテッド製、コンポール80)を使用し、研磨パッドを用いて研磨した後、PVAスポンジを用いて純水スクラブ洗浄したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板Q2を得た。
このガラス基板Q2の表面に、スパッタリング法により、実施例1と同様にして、縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、実施例1と同様にして、Ti(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、Ti膜の半値幅Hは6.4°であった。
また、ガラス基板Q2とは別に用意した、ガラス基板Q2と同組成、同サイズの対照用のガラス基板の火造り面に対して、ガラス基板Q2上にTi膜を形成したのと同一条件下でTi膜を形成し、ガラス基板Q2上のTi膜について半値幅Hの測定行ったのと同一の条件下で、対照用のガラス基板上のTi膜について、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、Ti(002)ピークの半値幅Hを測定した。
その結果、対照用のガラス基板上のTi膜の半値幅Hは6.3°であり、H/Hは1.0であった。
(実施例3)
フュージョン法により製造した縦50mm×横50mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラスからなるガラス基板(商品名 イーグルXG;コーニング社製)を、未研磨、未洗浄状態のまま、プラスチック容器中に入れて密閉した状態で7カ月間放置し、表面に有機汚れを付着させた。そして、このガラス基板を、アセトン中で超音波洗浄してガラス基板Q3を得た。
このガラス基板Q3の表面に、スパッタリング法により、実施例1と同様にして、縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、実施例1と同様にしてTi(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、Ti膜の半値幅Hは6.4°であった。
(比較例1)
洗浄工程で用いる洗浄剤として、酸性洗浄剤である洗浄剤(1)に代えて、無機アルカリとして水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸塩、界面活性剤としてポリオキシエチレンドデシルエーテルをそれぞれ含有し、残部水からなるアルカリ系洗浄剤である洗浄剤(2)を用いたこと以外は、実施例1のガラス基板Q1と同様にして、ガラス基板Q4を得た。
このガラス基板Q4の表面に、実施例1と同様にして、スパッタリング法により、縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、実施例1と同様にして、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、ガラス基板Q4上のTi膜の半値幅Hは8.7°であった。
また、ガラス基板Q4とは別に用意した、ガラス基板Q4と同組成、同サイズの対照用のガラス基板の火造り面に対して、ガラス基板Q4上にTi膜を形成したのと同一条件下でTi膜を形成し、ガラス基板Q4上のTi膜について行ったのと同一の条件下で、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により、Ti(002)ピークの半値幅Hを測定した。
その結果、対照用のガラス基板上のTi膜の半値幅Hは6.6°であり、H/Hは1.3であった。
(比較例2)
実施例3において、フュージョン法により製造したガラス基板(商品名 イーグルXG;コーニング社製)を、プラスチック容器中に7カ月放置して有機汚れを付着させた後、アセトン中での超音波洗浄処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基板Q5を得た。
このガラス基板Q5の火造り面上に、実施例1と同様にして、スパッタリング法により、縦50mm×横50mm×厚さ70nmのTi膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、実施例1と同様にして、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、Ti膜の半値幅Hは8.4°であった。
実施例1〜3から明らかなように、研磨工程後、酸性洗浄剤を用いて洗浄工程を行ったガラス基板Q1、及び酸性洗浄剤を用いた洗浄工程の後、さらにコロイダルシリカを含有する研磨剤による研磨工程を行ったガラス基板Q2では、その上に形成されたTi膜において、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によるTi(002)ピークの半値幅がいずれも8°以下となっており、各ガラス基板が、平坦度の高い良好な表面性状を有することが認められた。
一方、比較例1から明らかなように、研磨工程後、アルカリ系洗浄剤を用いて洗浄工程を行ったガラス基板Q4では、その上に形成されたTi膜において、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によるTi(002)ピークの半値幅が8°を超えており、ガラス基板表面の平坦性に劣ることが認められた。
また、比較例2では、ガラス基板Q5の火造り面上にTi膜を形成したものの、このTi膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折によるTi(002)ピークの半値幅が8°を超えており、ガラス基板表面に付着した有機汚れにより、その表面平坦性が劣ることが認められた。
[実験B]
(実施例4)
研磨工程、洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例1のガラス基板Q1と同様にして製造したガラス基板Q6の火造り面上に、実施例1と同様にして、Ti膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、実施例1と同様にして、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、Ti膜の半値幅Hは6.3°であった。
このTi膜の表面に、下記の条件下で、スパッタリング法によりCu膜を形成した。
すなわち、到達真空度を1×10−7Torrとしてから、Cuターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、成膜時の真空度を5×10−3Torrとし、電力密度を3.57W/cmとしてスパッタリングを行った。
このようにして、ガラス基板Q6表面に、厚さ340nmのCu膜を形成した後、280℃で60分加熱を行った。
このようにしてガラス基板Q6上に形成されたCu膜の表面を、走査型電子顕微鏡により撮像した。この走査型電子顕微鏡像を図7に示す。図7の右下に記載の1目盛は0.5μmである。
得られた画像を画像解析ソフトウェアWinROOF(三谷商事社製)により画像開析したところ、直径350nm以上のヒロックの数は、1200μmあたり4.5個であった。
(比較例3)
洗浄工程で用いる洗浄剤として、酸性洗浄剤である洗浄剤(1)に代えて、純水を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板Q7を得た。このガラス基板Q7上に、実施例1と同様にして、Ti膜を形成した。
こうして形成したTi膜付きガラス基板について、実施例1と同様にして、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定した。その結果、Ti膜の半値幅Hは8.7°であった。
このTi膜の表面に、実施例4と同様にして、Cu膜を形成した。
このようにしてガラス基板Q7上に形成されたCu膜の表面を、走査型電子顕微鏡により撮像した。この走査型電子顕微鏡像を図8に示す。図8の右下に記載の1目盛は0.5μmである。
得られた画像をWinROOFにより画像解析したところ、直径350nm以上のヒロックの数は、1200μmあたり23.5個であった。
実験Bから明らかなように、ガラス基板Q6の火造り面上にTi膜を形成した、実施例4のTi膜付きガラス基板では、Ti膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折によるTi(002)ピークの半値幅が8°以下であり、このTi膜上に形成したCu膜の加熱処理に伴い生じる、直径350nm以上のヒロックの数が、4.5個とごく少ない個数に抑えられていた。
これに対し、研磨工程後、純水を用いた洗浄処理を行った比較例3のTi膜付きガラス基板では、Ti膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折によるTi(002)ピークの半値幅が8°を超えており、このTi膜上に形成したCu膜の加熱処理に伴い生じる、直径350nm以上のヒロックの数が、23.5個と明らかに多いことが認められた。
本発明のTi膜付きガラス基板によれば、Ti膜が形成されたガラス基板の表面平坦度が高く、Ti膜上にCu膜等の金属膜を堆積したときに、その結晶配向性が良好であり、加熱処理に伴うヒロックの巨大化が抑制されたものとすることができるので、FPD用に使用される金属膜付きガラス基板として、有効に適用することができる。
1…Ti膜付きガラス基板、2…ガラス基板、3…Ti膜、4…金属膜、5…搬送ローラ、6…洗浄室、7…洗浄ノズル、8…洗浄剤、9…回転ブラシ、10…金属膜付きガラス基板、11…X線源、12…検出器、101…金属膜付きガラス基板、102…ガラス基板、103…下地層、104…配線膜、R…研磨かす。

Claims (11)

  1. ガラス基板と、前記ガラス基板の表面に設けられ、Tiを主成分とする厚さ10〜100nmのスパッタリング膜からなるTi膜とを有し、
    ッキングカーブ法を用いたX線回折により求められる前記Ti膜のTi(002)ピークの半値幅が8°以下であ
    とを特徴とするTi膜付きガラス基板。
  2. 記半値幅をHとし、
    対照用ガラス基板の火造り面に設けられた対照用Ti膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折により求められるTi(002)ピークの半値幅をH としたとき、
    /Hが1.0〜1.2である請求項1記載のTi膜付きガラス基板。
  3. 前記ガラス基板は、研磨面を有するフロートガラスであり、前記ガラス基板の表面は、前記フロートガラスの研磨面である請求項1又は2記載のTi膜付きガラス基板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のTi膜付きガラス基板と、
    前記Ti膜付きガラス基板の前記Ti膜上に設けられ、Cu、Ag、Al、Au、Mo、Pt、Pd、Cr、Fe、Nbから選択される少なくとも一の金属を主成分とする金属膜と、
    を有する金属膜付きガラス基板。
  5. ガラス基板上に、
    (i)到達真空度:5×10−6Torr以下
    (ii)成膜時の真空度:1〜5×10−3Torr
    (iii)スパッタガス:Arガス
    (iv)電力密度:3〜5W/cm
    の条件下で厚さ10〜100nmのTi膜を形成するTi膜形成工程(1)と、
    前記Ti膜にX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定する測定工程(2)と、
    前記測定工程(2)で前記半値幅が8°以下とされたTi膜を有するガラス基板を判別する判別工程(3)と、
    を有することを特徴とするTi膜付きガラス基板の製造方法。
  6. 前記判別工程(3)は、前記ガラス基板と同一条件下で製造された同一組成を有する対照用ガラス基板の火造り面に、前記ガラス基板上のTi膜の形成条件と同一条件下でTi膜を形成し、前記対照用ガラス基板の火造り面上のTi膜にX線を照射し、当該Ti膜のロッキングカーブ法を用いたX線回折によりTi(002)ピークの半値幅を測定する測定工程(4)を有し、
    前記ガラス基板上に形成された前記Ti膜について前記測定工程(2)で測定された前記半値幅をHとし、
    前記対照用ガラス基板の火造り面に形成したTi膜について前記測定工程(4)で測定された前記半値幅をHとしたとき、
    前記判別工程(3)では、さらにH/Hが1.0〜1.2であるTi膜を有するガラス基板を判別する請求項5に記載のTi膜付きガラス基板の製造方法。
  7. 前記ガラス基板はフロート法で製造されたガラス基板であり、
    前記Ti膜形成工程(1)の前に、前記ガラス基板の表面を、酸化セリウム又は酸化ジルコニウムを含有する研磨剤で研磨する第1研磨工程を有し、
    前記Ti膜形成工程(1)では、前記第1研磨工程の研磨面上にTi膜を形成する請求項5又は6記載のTi膜付きガラス基板の製造方法。
  8. 前記Ti膜形成工程(1)の前に、前記第1研磨工程後のガラス基板を酸性洗浄剤で洗浄する洗浄工程を有する請求項7記載のTi膜付きガラス基板の製造方法。
  9. 前記Ti膜形成工程(1)の前に、前記第1研磨工程後のガラス基板表面を、コロイダルシリカを含有する研磨剤でさらに研磨する第2研磨工程を有する請求項7又は8に記載のTi膜付きガラス基板の製造方法。
  10. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載のTi膜付きガラス基板の製造方法における前記判別工程(3)で判別されたTi膜を有するガラス基板上に、スパッタリングによりCu、Ag、Al、Au、Mo、Pt、Pd、Cr、Fe、Nbから選択される少なくとも一の金属を主成分とする金属膜をさらに形成する金属膜付きガラス基板の製造方法。
  11. ガラス基板表面の平坦度評価方法であって、
    ガラス基板上にTiを主成分とするTi膜を形成し、
    前記Ti膜にX線を照射し、ロッキングカーブ法を用いたX線回折により測定される回折強度ピークの半値幅を指標として、前記ガラス基板表面の平坦度を評価することを特徴とするガラス基板表面の平坦度評価方法。
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