JP2001004804A - 反射防止光学部材 - Google Patents

反射防止光学部材

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JP2001004804A
JP2001004804A JP11178705A JP17870599A JP2001004804A JP 2001004804 A JP2001004804 A JP 2001004804A JP 11178705 A JP11178705 A JP 11178705A JP 17870599 A JP17870599 A JP 17870599A JP 2001004804 A JP2001004804 A JP 2001004804A
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Toru Okubo
透 大久保
Koichi Ohata
浩一 大畑
Noritoshi Tomikawa
典俊 富川
Jiro Watanabe
二郎 渡辺
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エージング処理を短く、または必要としない、
反射防止光学部材の新規層構成を提供することを目的と
する。 【解決手段】透明基材上の少なくとも片面に反射防止層
を有する反射防止光学部材において、パーフルオロポリ
エーテル基を含有する有機シラン化合物等の防汚層と反
射防止膜との間に、Mg,Ca,Ti,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Si,M
o,Sn等の金属層が設けられた反射防止光学部材を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイの表
示画面表面に適用される反射防止光学部材に関するもの
であり、さらに詳しくは、防汚層が形成された反射防止
光学部材の層構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多くのディスプレイは、室内外を問わず
外光などが入射するような環境下で使用される。この外
光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射
され、反射像が表示光と混合し表示品質を低下させ、表
示画像を見にくくしている。
【0003】表示品質を向上させる為の例として、透明
基材の表面に、金属酸化物などからなる高屈折率層と低
屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物な
どの低屈折率層を単層で形成した、可視光の広範囲にわ
たる反射防止効果を有する反射防止光学部材をディスプ
レイ表面に張り合わせる等して利用することが知られて
いる。
【0004】一方、上記反射防止光学部材には、人が使
用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚
れが付着する場合が多い。一般に、反射防止膜の表面エ
ネルギーは約60J/m2 と大きいために、そのような
汚れが付着しやすく、かつ、微細な凹凸があるため除去
することが容易ではない。また、そのような汚れが付着
した部分だけ高反射となり、汚れが目立つため問題があ
った。
【0005】そこで、これら汚れの問題を解決する手段
として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやす
い性能を持つ防汚層を反射防止光学部材の表面に設ける
工夫が考案されている。
【0006】例えば、特開昭64−86101号公報に
は、基材の表面に、主として二酸化ケイ素からなる反射
防止膜を設け、更にその表面に有機ケイ素置換基を含む
化合物で処理した耐汚染性、耐擦傷性の反射防止膜物品
が提案されている。特開平4−338901号公報に
は、同様に基材表面に末端シラノール有機ポリシロキサ
ンを皮膜した耐汚染性、耐擦傷性のCRTフィルターが
提案されている。
【0007】また、特公平6−29332号公報には、
プラスチック表面にポリフルオロアルキル基を含むモノ
及びジシラン化合物およびハロゲン、アルキルまたはア
ルコキシのシラン化合物とからなる反射防止膜を有する
低反射率および防汚性のプラスチックが提案されてい
る。
【0008】更に、特開平7−16940号公報には、
パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートとアルコキ
シシラン基を有する単量体との共重合体を二酸化ケイ素
を主とする光学薄膜上に形成した光学物品が提案されて
いる。
【0009】上記の防汚層は、防汚剤と反射防止膜表面
の活性基が化学的に結合することによって定着し、防汚
機能が発現すると考えられている。このため、防汚層形
成プロセスにおいては、この化学反応を促進するため
に、防汚層形成後にエージング処理が一般的に行われ
る。しかし、エージング処理は高温かつ高湿下、あるい
は長時間にわたって行われるため、結露の発生、基材の
変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの問題が
伴う。このためエージング処理を必要としない何らかの
手法の開発が強く望まれてきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の防汚層形成プロ
セスでは、防汚層形成後のエージング処理が不可欠であ
り、結露の発生、基材の変形、ブロッキング、プロセス
の長時間化などの上記の問題点を抱えてきた。
【0011】本発明は、以上のような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、エージング処理を短く、
または必要としない、反射防止光学部材の新規層構成を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
請求項1の発明は、透明基材上の少なくとも片面に反射
防止層を有する反射防止光学部材において、防汚層と反
射防止膜との間に、金属層が設けられた反射防止光学部
材である。
【0013】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の発明において、金属層がMg,Ca,Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,S
i,Mo,Snの一種類以上を含むことを特徴とする反
射防止光学部材である。
【0014】本発明の請求項3の発明は、請求項1,2
記載のの発明において、金属層が真空蒸着法、反応性蒸
着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法を用い形成されることを特
徴とする反射防止光学部材である。
【0015】本発明の請求項4の発明は、請求項1〜3
記載の発明において、防汚層がパーフルオロポリエーテ
ル基を含有する有機シラン化合物であることを特徴とす
る反射防止光学部材である。
【0016】本発明の請求項5,6の発明は、請求項1
〜4記載の発明において、最表面上に一般式[Rf−
(OC36n −O−(CF2m −(CH2l
O−(CH2s c Si[OR]a [O−(CH2
l −(CF2m −O−(OC 36n −Rf]
b [(CH2s −X]d (但し、Rfは炭素数1〜1
6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、nは
1〜50の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整
数、sは0〜6の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3
の整数、cは0〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、
6≧m+l>0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数
1〜10のアルキル基、Xはハロゲン元素を示す。)で
表される有機ケイ素化合物あるいは上記一般式において
a,b,c,dの値が異なる複数種の有機ケイ素化合物
の混合物から構成されることを特徴とする防汚剤からな
る防汚層が形成された反射防止光学部材である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】透明基材の少なくとも片面に反射防止膜お
よび防汚層が形成された反射防止光学部材において、防
汚層と反射防止膜との間に金属層を設けることを特徴と
する反射防止部材である。金属層はMg,Ca,Ti,
V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,A
l,Si,Mo,Snの1種類以上を含む。
【0019】なお、ここで言う金属層は、これらの純金
属の他、それらの酸化物、水酸化物、またはそれらの混
合物などが用いられ、純度も防汚剤と縮重合できる程度
であれば高い必要はない。また、一般的にこれらの炭化
物、窒化物は含まないが、上記縮重合に支障がない程度
含有する場合を排除するものではない。
【0020】金属層は真空蒸着法、反応性蒸着法、イオ
ンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法等の公知の方法で形成可能であるが、特
に膜厚制御が容易なスパッタリング法が望ましい。スパ
ッタリングによる膜厚制御は、スパッタ出力・時間・圧
力・雰囲気等の諸条件を変化させることにより可能であ
る。
【0021】金属層の膜厚は特に制限するものではない
が、エージングレス効果が発現する適正膜厚は10nm
以下であり、特に反射防止膜の光学特性および防汚性へ
の影響が無視できる1nm以下が好ましい。
【0022】また、最表面上に形成される防汚層はパー
フルオロポリエーテル基を含有する有機シラン化合物で
ある。特に、一般式[Rf−(OC36n −O−
(CF 2m −(CH2l −O−(CH2s c
i[OR]a [O−(CH2 l −(CF2m −O−
(OC36n −Rf]b [(CH2s −X]
d (但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状
パーフルオロアルキル基であり、特にCF3 −、C2
5 −、C37 −が好ましい。また、nは1〜50の整
数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0〜6
の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、cは0
〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、6≧m+l>
0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数1〜10のア
ルキル基、特にCH3 −、C25 −が好ましい。Xは
ハロゲン元素を示す。特に、Cl−,Br−,I−が好
ましい。)で表される有機ケイ素化合物、あるいは上記
一般式においてa,b,c,dの値が異なる複数種の有
機ケイ素化合物の混合物であることを特徴とする防汚剤
より構成される。
【0023】本発明において用いられる透明基材とは、
有機基材、あるいは無機基材の通常の光学部材用材料と
して用いられるものである。
【0024】無機基材としては、主にガラス板があげる
ことができる。
【0025】有機基材のうち、透明プラスチック基材と
しては、種々の有機高分子からなる基材をあげることが
できる。通常、光学部材として使用される基材は、透明
性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、
耐熱性、耐久性などの諸物性の点から、ポリオレフィン
系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル
系(ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリエチレンナフタ
レート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロン−
66等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミ
ド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ル、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロー
ス、ジアセチルセルロース、セロファン等)等、或いは
これらの有機高分子の共重合体などからなっているが、
本発明が透明基材とする透明プラスチック基材としても
これらの基材をあげることができる。
【0026】これらの有機基材を構成する有機高分子
に、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を含
有させたものも使用することができる。
【0027】また、透明基材とする無機基材あるいは有
機基材の形状は、特に限定されるものではないが、通
常、光学部材として使用される透明プラスチック基材は
フィルム状をなしており、本発明の反射防止光学部材も
これらフィルム状又はシート状のものを透明基材とする
ことができる。このフィルム状またはシート状の基材と
しては、単層、あるいは複数の有機高分子を積層したも
のでも良い。また、その厚みは、特に限定されるもので
はないが、0.01〜5mmが好ましい。
【0028】また、無機基材、あるいは有機基材上の反
射防止層となる無機化合物層を形成する無機化合物とし
ては、金属酸化物〔酸化ケイ素(二酸化ケイ素、一酸化
ケイ素等)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸
化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化トリウ
ム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、
酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO
(Indium TinOxide)等〕、金属ハロゲ
ン化物〔フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ
化ナトリウム、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ
化リチウム、フッ化トリウム等〕等をあげることができ
る。
【0029】これら無機化合物からなる無機化合物層
は、単層または多層の薄膜等が挙げられ、これらはウェ
ットコーティング法(ディップコーティング法、スピン
コーティング法、フローコーティング法、スプレーコー
ティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティ
ング法等)、PVD(Physical VaporD
eposition)法(真空蒸着法、反応性蒸着法、
イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法等)、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法等の公知の方法
により形成される。
【0030】また、透明プラスチック基材と反射防止層
となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けて
も良い。ハードコート層を設けることにより、基材表面
の硬度が向上するとともに、基材表面がより平滑性にな
り、透明プラスチック基材と無機化合物層との密着性が
向上する。このように、ハードコート層を設けることに
より、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止
し、また、基材の屈曲による無機化合物層のクラック発
生を抑制することができ、反射防止光学部材の機械的強
度が改善できる。
【0031】ハードコート層は透明性と適度な硬度と機
械的強度があれば、特に限定されるものではない。
【0032】電離放射線や紫外線の照射による硬化樹脂
や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に、紫外線照射硬化型
アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、熱硬化型ポリシロ
キサン樹脂が好ましい。これらの樹脂は透明プラスチッ
ク基材と屈折率が同等もしくは近似していることがより
好ましい。
【0033】膜厚は3μm以上あれば十分な強度となる
が、透明性、塗工精度、扱い易さの点から5〜7μmの
範囲が好ましい。
【0034】前記ハードコート層に平均粒子径0.01
〜3μmの無機或いは有機物微粒子を混合分散させる、
または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチグレ
アと呼ばれる光拡散性処理を施すことができる。これら
の微粒子は透明であれば特に限定されるものではない
が、低屈折率材料が好ましく、酸化ケイ素、フッ化マグ
ネシウムが安定性、耐熱性等で好ましい。これらのハー
ドコート層は均一に塗布されるものであれば、塗布方法
はいかなる方法でも構わない。
【0035】前記防汚剤を多孔性成型物中に含浸させ、
真空中において、それを加熱し、蒸発させ、反射防止層
上に成膜する。前記防汚剤を含浸させた多孔性成型物を
加熱して防汚剤を蒸発させるための加熱方法としては、
抵抗加熱法、電子線加熱法、光加熱法、イオンビーム加
熱法、高周波加熱法が有効である。
【0036】多孔性成型物の成分としては、SiO2
TiO2 ,ZrO2 ,MgO,Al 23 ,CaSO
4 ,Cu,Fe,Al,ステンレス,カーボンなど、又
はその混合物が挙げられる。
【0037】一方、防汚層形成方法は、作業環境や膜厚
制御の点から、希釈溶媒を必要としないドライコーティ
ング法によることが好ましく、特に、真空蒸着法による
ことが好ましい。ドライコーティング法によると、従来
困難であった防汚層の膜厚をオングストロームオーダー
で正確に制御することができ、所望の防汚層を有する光
学部材を提供できる。さらに、反射防止膜を有する光学
部材については、色設定が難しい反射防止層の干渉色を
変化させることなく、容易に防汚性を付与することが可
能である。
【0038】なお、防汚層をドライコーティング法によ
り形成する場合、その膜厚は防汚剤の蒸発量に依存して
変化する。従って、防汚層の膜厚を制御するためには、
防汚剤の蒸発量を正確に制御することが必要である。防
汚剤の蒸発量は、多孔性成型物中の防汚剤含浸量と、成
膜時の加熱条件によって決まる。
【0039】前記防汚剤を用いて作製した防汚層の膜厚
は、特に限定されるものではないが、防汚性、耐擦傷
性、及び、光学部材の光学性能の点から、1〜50nm
が好ましい。
【0040】本発明の反射防止光学部材と偏光板などの
機能性光学部材等を、ラミネートに代表される貼り合わ
せ技術で貼り合わせることにより、反射防止機能を有す
る光学機能性部材となる。また、これらの反射防止光学
部材や反射防止光学部材を貼り合わせた光学機能性部材
を、粘着剤、接着剤等を用いて各種ディスプレイの表示
装置の前面板のガラス板、プラスチック板、偏光板等と
貼り合わせることによって、反射防止性かつ防汚性を有
する画像認識性の優れた表示装置を得ることができる。
【0041】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層と
の間に金属層を導入することにより、エージング処理を
不要化しようとするものである。導入された金属層表面
は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の基材
表面への吸着とそれに続く基材と防汚剤の反応が迅速に
生じる結果、エージング処理が大幅に短縮化され、最終
的に従来技術の課題であるエージング処理に伴う結露の
発生や、基材の変形、ブロッキング等の諸問題が解決さ
れる。
【0042】その結果、本発明の反射防止光学部材は、
従来の反射防止光学部材とは異なり防汚層形成プロセに
おけるエージング処理を必要とせず、従来の反射防止性
能・防汚性を保ったままエージング処理に伴う結露の発
生や、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化
などの諸問題を回避することが可能である。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0044】〈実施例1〉 〔(1)反射防止膜付きTACフィルムの作製〕TAC
フィルム(厚さ:80μm)上に、単官能性アクリル樹
脂をマイクログラビア法を用いて塗布し、120Wのメ
タハライドランプを20cmの距離から10秒間照射す
ることにより、ハードコート層を形成させた。その後、
ハードコート層付きTACフィルム上にプラズマアシス
ト蒸着法により、TiO2 ,SiO2 ,TiO2 ,Si
2 の順序に成膜し、反射防止層を作製した。
【0045】各層の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜
厚ndは、TACフィルム(n=1.49)、ハートコ
ート層(n=1.51,d=約5mm)、TiO2 (n
=2.30,nd=60nm)、SiO2 (n=1.4
6,nd=40nm)、TiO2 (n=2.30,nd
=110nm)、SiO2 (n=1.46,nd=14
0nm)とした。光学膜厚は、光学式膜厚モニターによ
り監視し、目的光量値に達した時に成膜を止め、所定の
光学膜厚を得た。
【0046】〔(2)金属層の形成〕バッチ式スパッタ
装置に上記(1)で作成された反射防止膜付きTACフ
ィルムを導入し、5*10-6Torr以下に真空排気し
た後、Arガスフローを導入した。装置内圧力が5*1
-3Torrの定常状態を示した後、50Wの出力で1
0秒間スパッタリングを行い膜厚約1nmのTi層を形
成した。
【0047】〔(3)多孔性成型物の作製〕粒径1〜1
0μmのAl23 を水圧プレスを使って直径6mm、
高さ4mmのペレットに成形した。次にこのペレットを
1200℃で14時間にわたり焼結した。この焼結体は
約40%の空孔率を有する。
【0048】〔(4)防汚剤の作製〕一般式[C37
−(OC3624−O−(CF22 −C24 −O
−CH2c Si(OCH3a [O−C24 −(C
22 −O−(OC3624−C37b (CH2
−Cl)d で表される有機シラン化合物5gをパーフ
ルオロヘキサンで10wt%に希釈し、防汚剤を作製し
た。これに上記多孔性成型物を浸し、飽和状態になるよ
う含浸させた後、溶剤を蒸発させた。このペレットは約
2wt%の防汚剤を含有している。
【0049】〔(5)防汚層の作製〕前記ペレットをモ
リブデンボート上に乗せ、真空蒸着法(抵抗加熱法)に
より、前記反射防止膜付TACフィルム上に成膜し、防
汚層を作製した。真空蒸着機内を5×10-5Torr以
下に真空排気した後、ボートを400℃に加熱し、防汚
剤を蒸発させた。
【0050】〈比較例1〉実施例1から金属層の形成操
作を省いた以外は、全て実施例1と同様に反射防止膜付
きTACフィルム上に防汚層を作製した。
【0051】上記の実施例、比較例において、各種物性
評価方法と結果(表1)を以下に示す。 (a)接触角測定:接触角計〔CA−X型:協和界面科
学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20℃−65%R
H)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを基材
の表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、基材と
液体が接する点における液体表面に対する接線と固体表
面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。液体は
蒸留水を使用した。
【0052】(b)転落角測定:転落角計〔CA−X
型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20
℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作
り、これを水平な基材表面上に接触させて液滴を作っ
た。次にこの基材を徐々に傾けていくと、液滴は徐々に
変形し、傾斜角度がある角度に達したとき、液滴は下方
へ滑り出す。このときの傾斜角度を転落角とした。液体
は蒸留水を使用した。
【0053】(c)油性ペンの付着性:基材表面に油性
ペン(マジックインキ(登録商標):細書き用no.5
00)を用いて、長さ1cmの直線を書き、その付き易
さあるいは目立ち易さについて目視判定を行った。判定
基準を以下に示す。 ○:油性ペンを球状にはじいている。 ×:油性ペンをはじかず、書ける。
【0054】(d)油性ペンの拭き取り性:基材表面に
付着した油性ペンをセルロース製不織布〔ベンコットM
−3:旭化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さにつ
いて目視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:油性ペンを完全に拭き取ることができる。 △:油性ペンの拭き取り跡が残る。 ×:油性ペンを拭き取ることができない。
【0055】(e)指紋の付着性:基材表面に指を数秒
押しつけて、指紋を付着させ、その付き易さあるいは目
立ち易さについて目視判定を行った。 判定基準を以下に示す。 ○:指紋の付着が少なく、付いた指紋が目立たない。 ×:指紋の付着が認識できる。
【0056】(f)指紋の拭き取り性:基材表面に付着
した指紋をセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭
化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さについて目視
判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:指紋を完全に拭き取ることができる。 △:指紋の拭き取り跡が残る。 ×:指紋の拭き取り跡が拡がり、拭き取ることができな
い。
【0057】(g)耐摩耗性:基材表面をセルロース製
不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で荷重5
00gfで100回擦った後に前記各種物性評価を行っ
た。
【0058】上記(a)〜(g)の評価を防汚層形成直
後およびエージング後(40℃−90%RH−24h)
に行った。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の反射防止光学部材は、従来の反
射防止光学部材とは異なり防汚層形成プロセスにおける
エージング処理を必要とせず、エージング処理に伴う結
露の発生や、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長
時間化などの諸問題を回避することが可能である。
【0061】また、本発明の反射防止光学部材は、従来
の技術で作製したものと同等に、反射防止性能が損なわ
れることなく優れた防汚性を有する。
【0062】また、透明プラスチック基材と反射防止層
となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けて
も良い。ハードコート層を設けることにより、基材表面
の硬度が向上するとともに、基材表面の平滑性が向上
し、透明プラスチック基材と無機化合物層との密着性が
向上する。このように、ハードコート層を設けることに
より、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止
し、また、基材の屈曲による無機化合物層のクラック発
生を抑制することができ、反射防止光学部材の機械的強
度が改善できる。
【0063】上記の防汚層は、防汚剤と反射防止膜表面
の活性基が化学的に結合することによって定着し、防汚
機能が発現すると考えられている。このため、防汚層形
成プロセスにおいては、この化学反応を促進するため
に、防汚層形成後にエージング処理が一般的に行われ
る。しかし、エージング処理は高温かつ高湿下、あるい
は長時間にわたって行われるため、結露の発生、基材の
変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの問題が
伴う。このためエージング処理を必要としない何らかの
手法の開発が強く望まれてきている。
【0064】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層と
の間に金属層を導入することにより、エージング処理を
短縮あるいは不要化し、従来技術の課題であるエージン
グに伴う諸問題を解決しようとするものである。金属層
表面は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の
基材表面への吸着および基材と防汚剤の反応が迅速に生
じる結果、最終的にエージング処理が短縮化される。
【0065】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層と
の間に金属層を導入することにより、エージング処理を
不要化しようとするものである。導入された金属層表面
は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の基材
表面への吸着とそれに続く基材と防汚剤の反応が迅速に
生じる結果、エージング処理が大幅に短縮化され、最終
的に従来技術の課題であるエージング処理に伴う結露の
発生や、基材の変形、ブロッキング等の諸問題が解決さ
れる。
【0066】加水分解基とより早く反応するための反応
速度は、反射防止膜最表面層のSiOH基と防汚剤加水
分解基の反応速度より大きく、そのため金属層を導入す
ることにより従来技術の課題を解決しようとするもので
あり、その結果、防汚剤の配向が迅速に起こり、金属
(M)の表面水酸基と防汚剤の加水分解基が縮重合し、
M−O−Si結合が生じていると考えられ、最終的にエ
ージング処理を短縮もしくは必要としない様にするもの
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C03C 17/23 C03C 17/23 17/30 17/30 B C09K 3/00 112 C09K 3/00 112F 112E G02B 1/10 G02B 1/10 Z (72)発明者 渡辺 二郎 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA00 AA07 AA15 BB02 BB11 BB28 CC03 CC14 CC42 DD02 DD03 DD04 DD07 EE05 4F100 AB01D AB02D AB09D AB10D AB11D AB12D AB13D AB14D AB15D AB16D AB17D AB18D AB20D AB21D AG00 AK17C AK52C AK54C BA04 BA07 BA10A BA10C EH66D GB41 JL06C JN01A JN06B 4G059 AA08 AB11 AB13 AC04 AC22 DA04 DA05 DA06 DA07 DA08 DA09 DB02 EA01 EA02 EA04 EA05 EA09 EB01 EB05 FA05 FB01 GA02 GA04 GA17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基材の少なくとも片面に、反射防止膜
    および防汚層が形成された反射防止光学部材において、
    防汚層と反射防止膜との間に、金属層を設けることを特
    徴とする反射防止光学部材。
  2. 【請求項2】金属層がMg,Ca,Ti,V,Cr,M
    n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Si,M
    o,Snの一種類以上を含むことを特徴とする請求項1
    記載の反射防止光学部材。
  3. 【請求項3】金属層が真空蒸着法、反応性蒸着法、イオ
    ンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
    レーティング法を用い形成されることを特徴とする請求
    項1、2何れかに記載の反射防止光学部材。
  4. 【請求項4】防汚層がパーフルオロポリエーテル基を含
    有する有機シラン化合物からなる防汚剤であることを特
    徴とする請求項1〜3何れかに記載の反射防止光学部
    材。
  5. 【請求項5】請求項4記載のパーフルオロポリエーテル
    基を含有する有機シラン化合物が、一般式[Rf−(O
    36n −O−(CF2m −(CH2l −O−
    (CH2s c Si[OR]a [O−(CH2l
    (CF2m −O−(OC36n −Rf]b [(C
    2s −X]d (但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖
    状または分岐状パーフルオロアルキル基、nは1〜50
    の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0
    〜6の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、c
    は0〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、6≧m+l
    >0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数1〜10の
    アルキル基、Xはハロゲン元素を示す。)で示される有
    機シラン化合物からなることを特徴とする請求項1〜4
    何れかに記載の反射防止光学部材。
  6. 【請求項6】請求項5記載の一般式において、a,b,
    c,dの値が異なる2種類以上の有機シラン化合物から
    なる防汚剤であることを特徴とする防汚層が形成された
    請求項1〜5何れかに記載の反射防止光学部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002258006A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Toppan Printing Co Ltd 光学機能フィルムおよびその製造方法
JP2009073098A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Ryoko:Kk 半透過鏡およびその製造方法
JP2014034479A (ja) * 2012-08-07 2014-02-24 Asahi Glass Co Ltd Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板、Ti膜付きガラス基板及びこれを用いた金属膜付きガラス基板の製造方法、ならびにガラス基板表面の平坦度評価方法

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