JP5982843B2 - 車両の下部車体構造 - Google Patents
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この下部車体構造では、フロアパネル51の下面と協働して閉断面を構成する左右1対のフロアフレーム52と左右1対のトンネルロアフレーム53との間を内側補強部材55が閉鎖しているため、燃料パイプ、ブレーキパイプ、電力ケーブル等の配索部材はプロペラシャフトや排気管等と並設するようにトンネル部内に配置されている。
特許文献2の下部車体構造は、平面視にて前方に拡開したU字状パイプ部材と、このパイプ部材の左側途中部分と右側途中部分とを車幅方向にストレート状に連結する連結部材と、パイプ部材の左側後部と左側フロアフレームとを連結する左側取付部と、パイプ部材の右側後部と右側フロアフレームとを連結する右側取付部とを備えたサブフレームを設け、連結部材の中間部と左右両側の取付部とをパイプ部材よりも径の小さなV字状伝達パイプによって連結している。これにより、サスペンションの支持剛性向上とコスト低減とを図っている。
尚、図11は、サブフレームのサスペンション支持剛性に関する寄与分布図を示し、フロントロアアーム56から伝達された荷重(応力)が大きな領域程濃い色で表示している。
図11に示すように、片側のフロントロアアーム56に車幅方向内側に荷重が作用したとき、センタクロスメンバ59の前端部が入力された荷重を他の部材に分散するための伝達経路になっている。即ち、サスペンション支持剛性(荷重分散性)を高めるには、片側のフロントロアアーム56の前側連結部56aと他側のフロントロアアーム56の前側連結部56aとを最短経路にする、即ちセンタクロスメンバ59の前端部を前方へ移行してストレート状に構成する必要がある。また、比較的大きな荷重の伝達経路が、片側のフロントロアアーム56の後側連結部56bと片側のフロアフレーム連結部分52aとの間、片側のフロアフレーム連結部分52aと他側のフロントロアアーム56の前側連結部56aとの間、センタクロスメンバ59とリヤクロスメンバ60との間においてトンネルロアフレーム53の対応部分であるため、その他の部分、例えば、片側のトンネル連結部分から他側のトンネル連結部分との間等はサスペンション支持剛性にあまり寄与していないことが判明した。
しかし、この下部車体構造では、サスペンション支持剛性に対して寄与が少ない中央メンバ部が左側メンバ部及び右側メンバ部に一体形成されているため、車体重量が重くなる虞がある。また、左側メンバ部が車幅方向外側程車体前方へ延び、右側メンバ部が車幅方向外側程車体前方へ延びるように設置されているため、車体に対して側方から衝撃荷重が作用したとき、リヤクロスメンバに捩れ荷重が掛かり、車体剛性が低下する虞もある。
しかし、パイプ部材の左右両側の後部分と左右1対のフロアフレームとを連結する左右両取付部が左右1対のトンネルロアフレームに連結されていないため、サスペンション支持剛性と車体剛性との確保が十分ではない。また、サスペンション支持剛性にあまり寄与しない左側取付部と右側取付部との間が太いパイプ部材によって連結され、反対にサスペンション支持剛性に対して寄与が大きな連結部材(センタクロスメンバ)の前端中間部と左右両取付部との間が前記パイプ部材よりも径の小さなV字状伝達パイプによって連結されているため、サブフレームの重量に対してサスペンション支持剛性を高くできない虞がある。
これにより、サスペンション支持剛性及び車体剛性を向上しつつ、車重の軽量化と配索部材のレイアウトの自由度を拡大できる。
また、左側メンバ部及び右側メンバ部の断面係数を高くし、低コストで排気管等のレイアウトの自由度拡大とサスペンション支持剛性向上とを両立することができる。
そして、クロスメンバとサイドメンバとの連結剛性を高くすることができ、サスペンション支持剛性を一層高めることができる。
図1,図2に示すように、本実施例の車両Vは、左右1対のフロントサイドフレーム1の後端からフロアパネル2に沿って車体後方に延びる左右1対のフロアフレーム3と、これら左右1対のフロアフレーム3に沿って車体後方に延びる左右1対のトンネルロアフレーム4と、左右1対のサスペンションを支持するサブフレーム20等を備えている。
本実施例のサスペンションは、フロントアッパアーム(図示略)及びフロントロアアームと11と、フロントアッパアームとフロントロアアーム11に取付けられたナックル(図示略)等を備えたダブルウィッシュボーン型である。
左右1対のサイドシル7の内壁には、複数のピラー(図示略)の下端と、左右1対のフロアクロスメンバ8の車幅方向外側端部が夫々連結されている。左右1対のフロアクロスメンバ8は、フロアパネル2の上面と協働して車幅方向に延びる閉断面を構成し、車幅方向内側端部がトンネル部2aに夫々連結されている。
図1〜図4,図7,図8に示すように、左右1対のフロアフレーム3は、前端部が左右1対のフロントサイドフレーム1の後部下面に夫々連結され、トンネル部2aと左右1対のサイドシル7との間において前後方向に延びるように設けられている。左右1対のフロアフレーム3は、断面ハット状に形成され、フロアパネル2の下側においてフロアパネル2と協働して前後に延びる閉断面を構成している。
図1,図2,図4〜図6に示すように、サブフレーム20は、平面視にて台形状に形成され、車体側に設けられた4組の左右1対の装着部1a,1b,3a,4aに取付けられている。サブフレーム20は、前後方向に延びる左右1対のサイドメンバ21と、車幅方向に延びる3本のクロスメンバ、具体的には、フロントクロスメンバ22と、センタクロスメンバ23と、リヤクロスメンバ24と、センタクロスメンバ23とリヤクロスメンバ24との間に配置されたV字状のブレース部材25(パイプ部材)等によって構成されている。
図5,図6に示すように、センタクロスメンバ23は、上下2部材で閉断面を構成した略立方体形状に形成され、左右1対の縦メンバ27の間をストレート状に連結するように左右1対の後側サイドメンバ21bに対して溶接接合されている。センタクロスメンバ23の後部中央にはブレース部材25を固定するための鋼板製ブレースブラケット28が設けられている。
左側接続部30aは、左端部が前側を向き、左側メンバ部25aの上部と後部とを部分的に覆う状態で左側メンバ部25aに溶接されている。左側接続部30aには、左側メンバ部25aとの接合部よりも車幅方向内側位置に開口30cが形成されている。
左側ガセット31は、左端部が前側を向き、左側メンバ部25aの下部と後部とを部分的に覆う状態で左側メンバ部25aに溶接接合されている。左側ガセット31には、左側メンバ部25aとの接合部よりも車幅方向内側位置に開口31aが形成されている。
中央メンバ部材30は、左右対称の構造であるため、右側部分の説明は省略する。
左右1対のフロントロアアーム11の前側連結部11aを夫々軸支する1対の縦メンバ27がセンタクロスメンバ23によってストレート状に連結されているため、片方のフロントロアアーム11に車幅方向内側に向かう荷重が作用したとき、入力荷重を最短経路で分散することができる。片側のメンバ部25aによって片側のアーム支持ブラケット29と片側のフロアフレーム3の装着部3aとの間を連結し、片側のメンバ部25aと中央部25bとセンタメンバ23によって片側のフロアフレーム3の装着部3aと他側の縦メンバ27との間を連結し、片側の後側サイドメンバ21bによってトンネルロアフレーム4の装着部4aとセンタクロスメンバ23との間を連結しているため、大きな荷重の伝達経路を剛性の高い部材で構成でき、効率的にサスペンション支持剛性を増加している。
左側ブレース部材47は、サイドメンバ21と同様の金属製パイプ部材を液圧成形することにより、平面視にて略へ字状に形成されている。左側ブレース部材47は、車幅方向外側に配置される左側メンバ部47aと、車幅方向内側に配置される中央部47bとがパイプ部材によって一体成形されている。尚、右側ブレース部材47は、左側ブレース部材47と左右対称の構造であるため、以下、左側ブレース部材47について主に説明する。
リヤクロスメンバ24Aは、左側メンバ部47a及び右側メンバ部47aと、中央メンバ部材30と、左右1対のガセット31によって略直線状に構成されている。
1〕前記実施例においては、リヤクロスメンバをブレース部材の左側メンバ部及び右側メンバ部と、中央メンバ部材と、左右1対のガセットによって構成した例を説明したが、少なくとも、左右1対のメンバ部を中央メンバ部よりも高剛性に構成すればよく、1部品にて構成しても良い。この場合、パイプ部材を用いるときには、左右1対のメンバ部の径を中央メンバ部の径よりも大きく設定する、左右1対のメンバ部と中央メンバ部を同径にしつつ左右1対のメンバ部の肉厚を中央メンバ部の肉厚よりも厚くする、或いは、左右1対のメンバ部と中央メンバ部の組成を変更する等により、左右1対のメンバ部を中央メンバ部よりも高剛性に設定する。また、リヤクロスメンバはパイプ部材に限らず、例えば、断面矩形状の閉断面部材や開断面部材等種々の部材を適用することができる。
2 フロアパネル
2a トンネル部
3 フロアフレーム
3a 装着部(フロアフレーム連結部分)
4 トンネルロアフレーム
4a 装着部(トンネルロアフレーム連結部分)
7 サイドシル
9 トンネルクロスメンバ
10 トルクボックス
13 トンネル補強部材
20,20A サブフレーム
21 サイドメンバ
23,23A センタクロスメンバ
24,24A リヤクロスメンバ
25,25A ブレース部材
25a 左側(右側)メンバ部
29 左側(右側)アーム支持ブラケット
30 中央メンバ部材
30b 中央メンバ部
47 左側(右側)ブレース部材
47a 左側(右側)メンバ部
V 車両
Claims (3)
- 左右1対のフロントサイドフレームに下方から連結され且つ左右1対のサスペンションを支持するサブフレームと、前記1対のフロントサイドフレームの後端からフロアパネルに沿って車体後方に夫々延びる左右1対のフロアフレームと、これら1対のフロアフレームの車幅方向外側において前記1対のフロアフレームに沿って車体後方に夫々延びる左右1対のサイドシルと、これら1対のサイドシルの前部と前記1対のフロアフレームの前部とを夫々連結する左右1対の連結部材と、前記フロアパネルの車幅方向中央に設けられたトンネル部と前記1対のフロアフレームとの間に設けられ前記1対のフロアフレームに沿って車体後方に夫々延びる左右1対のトンネルロアフレームとを備えた車両の下部車体構造において、
前記1対のフロアフレームと1対のトンネルロアフレームは、少なくとも前部において前記フロアパネルと夫々連結されてフロアパネルの下側に閉断面を構成し、
前記サブフレームは、前記1対のフロアフレームの前部と車幅方向内側において隣り合う前記1対のトンネルロアフレームの前部とを夫々連結するパイプ状の左右1対のメンバ部と、前記1対のメンバ部を連結する中央メンバ部とから構成された略直線状のクロスメンバと、前記左右1対のフロアフレームよりも車幅方向内側において前記1対のメンバ部に夫々連結された左右1対のサイドメンバと、前記クロスメンバの前側において左側アーム支持用縦メンバが連結された前記左側サイドメンバの途中部と右側アーム支持用縦メンバが連結された前記右側サイドメンバの途中部との間を直線状に連結するセンタクロスメンバと、前記1対のメンバ部と前記1対のサイドメンバの後端側部分を夫々連結する左右1対のアーム支持ブラケットとを備え、
前記1対のメンバ部が中央メンバ部よりも高剛性に夫々構成され且つ車幅方向外側端部から車幅方向内側途中部まで車幅方向内側に延びると共に前記途中部から車幅方向内側程前方に移行して前記センタクロスメンバに夫々連結され、
側面視にて、前記1対のメンバ部の断面積が中央メンバ部の断面積よりも大きく構成されたことを特徴とする車両の下部車体構造。 - 前記サブフレームは平面視にて後方に拡開したV字状パイプ部材を備え、
前記パイプ部材の左端部分が少なくとも前記左側フロアフレームと連結された左側メンバ部を形成し、
前記パイプ部材の右端部分が少なくとも前記右側フロアフレームと連結された右側メンバ部を形成すると共に、
前記中央メンバ部が鋼板製の開断面部材によって構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の下部車体構造。 - 前記トンネル部の下面に沿った鞍型のトンネルクロスメンバと、
前記左側メンバ部に連結された左側トンネルロアフレームの左側トンネル連結部分及び前記右側メンバ部に連結された右側トンネルロアフレームの右側トンネル連結部分から前記トンネルクロスメンバの前端までトンネル部の下側を補強する湾曲状のトンネル補強部材と、
を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の下部車体構造。
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