JP5982780B2 - 投写光学系及びこれを備えるプロジェクター - Google Patents

投写光学系及びこれを備えるプロジェクター Download PDF

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Description

本発明は、投写像のアスペクト比を切り替えることができる投写光学系及びこれを備えるプロジェクターに関する。
プロジェクターの投写光学系に用いられるアスペクト比変換用のコンバーターとして、本来の投写光学系の前面位置すなわち像側正面に進退可能に配置されるフロント配置型のコンバーターが存在する。
しかしながら、プロジェクターにおいては、例えばアオリ投写といった画像素子の中心を投写光学系の光軸から外した状態で画像を投影が行われる場合があり、このような画像投影では、画像素子の中心と光軸とのずれに起因して、アスペクト比の変換に伴って被投写面であるスクリーン上での映像の中心位置が変わることになる場合がある。つまり、アスペクト比の変換をすることで、光軸とスクリーンの中心との位置関係が変化し、結果として投影画像全体としてもスクリーンにおいて中心から外れた位置に投影されるものとなってしまう、といった事態が生じ得る。
なお、プロジェクターの投写光学系ではなく、カメラ等の撮像光学系に使用されるアスペクト比変換用のコンバーターとして、結像光学系の像側に着脱可能に配置されるリア配置型のリレー系が存在する(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1等に開示された撮像光学系においては、通常、アオリ投写のような画像素子の中心と投写光学系の光軸とをずらすといった態様で使用されることが想定されておらず、特許文献1のようなリレー系がリア配置型である構成をプロジェクターの投写光学系に用いたとしても、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれの問題が同様に発生する。
特開2005−221597号公報
本発明は、アスペクト比の変換が可能であり、かつ、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれを調整可能な投写光学系及びこれを備えるプロジェクターを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る投写光学系は、(a)画像を被投写面上に拡大投写する際に、光変調素子の画像の横縦比と、被投写面に投写される画像の横縦比とを異なるものとする投写光学系であって、(b)光路上に配置される第1群と、光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つとともに光路上に進退可能なアナモフィック光学系を含む第2群と、(c)第2群の進退に伴う投写位置のズレを低減するように、第1群及び第2群を光軸方向に垂直な方向についてシフト動作させるシフト駆動機構及び第1群を光軸方向について駆動させるズーム駆動機構のうち少なくともいずれか一方を有する駆動部と、を備える。なお、第1群がズーム光学系でなく固定的な光学系である場合には、ズーム駆動機構が省略され、シフト駆動機構のみの構成となる。
上記投写光学系によれば、第2群が光路上に進退可能であり、第2群が光路上にあり横縦比を変換して投写する第1動作状態において、縦横方向に異なる焦点距離を持ち縦横方向の拡大倍率も異なるものとなり、光変調素子の画像の横縦比と被投写面上に投写される画像の横縦比とを異なるものにできる。つまり、本投写光学系により、幅と高さとの比である横縦比すなわちアスペクト比の変換が可能になる。また、第2群を光路上から退避させて横縦比を変換しないで投写する第2動作状態において、例えば光変調素子の画像の横縦比と被投写面上に投写される画像の横縦比とを等しいものにできる。つまり、本投写光学系により、幅と高さとの比を変換することなくそのまま保つことも可能である。以上のような投写状態の切替に際して、駆動部がシフト駆動機構及びズーム駆動機構のうち少なくともいずれか一方を有することで、シフト動作あるいはズーム動作の少なくとも一方の動作によって投写位置のズレを低減するように調整を行うことで、被投写面上における画像の位置ズレを低減することができる。つまり、上記投写光学系は、アスペクト比(横縦比)の変換が可能であり、かつ、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれを調整可能なものとなっている。
本発明の具体的な側面によれば、駆動部が、シフト駆動機構を少なくとも有し、第2群の進退に伴って、第1群及び第2群をシフトさせる。この場合、シフト駆動機構によって、第2群を光路上に挿入させた第2動作状態での投射位置を調整して、第2群を光路上から退避させた第1動作状態での投射位置とのズレを低減させることができる。
本発明の別の側面によれば、駆動部が、第2群を光路上から退避させた状態における投影画像の中心位置と、第2群を光路上に挿入させた状態における投影画像の中心位置とを、一致させるように調整する。この場合、第2群を光路上に挿入させた第1動作状態と第2群を光路上から退避させた第2動作状態とのいずれにおいても、被投写面上での投影画像の中心位置が変わらないものとすることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、駆動部が、シフト駆動機構とズーム駆動機構との双方を有し、ズーム駆動機構の動作により、被投写面上の画像の拡大率が調整され、シフト駆動機構の動作により、画像の被投写面上での位置が調整される。この場合、まず、ズーム駆動機構によって所定の投影画像のサイズとなるように所定の投射倍率で拡大又は縮小の処理がなされ、次に、サイズ調整された投影画像の被投写面上での位置を、シフト駆動機構によって所定の投射倍率を加味した補正量で調整することができる。
本発明のさらに別の側面によれば、第2群を光路上から退避させた状態において、光変調素子の中心位置が、第1群の光軸から所定のズレ量だけずれており、第1群の光軸に垂直な第1方向と、第1群の光軸に垂直でかつ第1方向に垂直な第2方向とについて、第1群の光軸に対する光変調素子の中心位置からのズレ量をそれぞれX、Yとし、第1方向及び第2方向に関する焦点距離をそれぞれfx、fyとし、第2群を光路上に挿入させた状態において、第1方向及び第2方向に関する焦点距離をそれぞれf’x、f’yとし、ズーム駆動機構による拡大縮小倍率をPとし、シフト駆動機構によるシフト量をそれぞれX’、Y’とすると、
Figure 0005982780
である。この場合、ズレ量X、Yに対して、シフト駆動機構によって第1方向と第2方向とについてシフト量X’、Y’だけそれぞれシフトさせることで、第1動作状態と第2動作状態とでの投影画像の中心位置とを一致させることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、第2群の進退動作に伴う画像の横縦比の変換の前後において、被投写面に投写される画像の第1方向及び第2方向のいずれか一方の寸法を一定に保つ寸法固定制御部をさらに有する。この場合、例えば横寸法又は縦寸法が固定された被投写面の使用に対応可能となる。
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、光変調素子の縦方向の断面において、被投写面側から順に、正のパワーをもつ第1の光学要素群と、負のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている。この場合、被投写面上に投写される投影画像を縦方向に圧縮又は短縮することができる。
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、光変調素子の横方向の断面において、被投写面側から順に、負のパワーをもつ第1の光学要素群と、正のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている。この場合、被投写面上に投写される投影画像を横方向に伸張又は拡大することができる。
本発明のさらに別の側面によれば、第1群が、回転対称なレンズ群から実質的になる。この場合、第2群を光路上から退避させた第2動作状態において、光変調素子のアスペクト比を保った投影画像を形成することができる。
本発明に係るプロジェクターは、上述の投写光学系と、光変調素子とを備える。本プロジェクターによれば、光変調素子の画像のアスペクト比と異なる横縦比の画像を被投写面上に投写することができる。この際、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれを調整可能なものにできる。
第1実施形態に係るプロジェクターの使用状態を説明する斜視図である。 図1のプロジェクターの概略構成を示す図である。 (A)は、図1のプロジェクターのうち投写光学系の構造を説明する図であり、(B)は、第1動作状態における被投写面の表示領域を示す図であり、(C)は、第2動作状態における被投写面の表示領域を示す図である。 (A)は、投写光学系の第1動作状態における縦断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の第2動作状態における縦断面の構成を示す。 (A)は、第2動作状態での投射の様子を示し、(B)は、第2動作状態での投影画像の様子を示し、(C)は、第1動作状態での投射の様子を示し、(D)は、第1動作状態での投影画像の様子を示す。 (A)は、アオリ投射におけるパネルの中心と投写光学系の光軸とのズレについて説明する図であり、(B)は、(A)に示すズレに伴うスクリーン側でのズレを示す図である。 (A)は、第2動作状態の投写光学系を示す図であり、(B)は、第2動作状態から第1動作状態への切替の動作を示す図であり、(C)は、ズームの動作を示す図であり、(D)は、シフトの動作を示す図である。 (A)は、第2動作状態のスクリーン上での投影領域を示す図であり、(B)は、第2動作状態から第1動作状態への切替に伴うスクリーン上での投影領域の変化を示す図であり、(C)は、ズームの動作に伴うスクリーン上での投影領域の変化を示す図であり、(D)は、シフトの動作に伴うスクリーン上での投影領域の変化を示す図である。 (A)は、第1実施形態に係るプロジェクターの投写光学系の一例の第1動作状態における横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の第1動作状態における縦断面の構成を示す。 (A)は、第2実施形態に係る投写光学系について第2動作状態から第1動作状態への切替について説明するための図であり、(B)は、変形例の投写光学系について第2動作状態から第1動作状態への切替について説明するための図である。 第2動作状態から第1動作状態への切替について複数のモード設定ができる変形例について説明するためのフローチャートである。 (A)は、第3実施形態に係るプロジェクターの投写光学系における第1動作状態を示し、(B)は、投写光学系の第2動作状態を示す。 (A)は、プロジェクターの投写光学系の一例の第1動作状態における横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の第1動作状態における縦断面の構成を示す。 (A)は、プロジェクターの投写光学系の他の一例の第1動作状態における横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の第1動作状態における縦断面の構成を示す。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るプロジェクター及び投写光学系を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター2は、画像信号に応じて画像光PLを形成し、当該画像光PLをスクリーンSC等の被投写面へ向けて投写する。プロジェクター2の投写光学系20は、プロジェクター2内に内蔵された光変調素子である液晶パネル18G(18R,18B)の画像をスクリーン(被投写面)SC上に拡大投写する際に、液晶パネル18G(18R,18B)の画像の横縦比(アスペクト比)AR0に対して、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)AR2を異なるものとすることができる。つまり、液晶パネル18Gの表示領域A0の横縦比AR0と、投影画像の領域であるスクリーンSCの表示領域A2の横縦比AR2とは、互いに異なるものとすることができるが、同一のものとすることもできる。具体的には、液晶パネル18Gの表示領域A0の横縦比AR0は、例えば1.78:1であり、スクリーンSCの表示領域A2の横縦比AR2は、例えば1.78:1、1.85:1、2.35:1、2.4:1等とされる。
図2に示すように、プロジェクター2は、画像光を投写する光学系部分50と、光学系部分50の動作を制御する回路装置80とを備える。
光学系部分50において、光源10は、例えば超高圧水銀ランプであって、R光、G光、及びB光を含む光を射出する。ここで、光源10は、超高圧水銀ランプ以外の放電光源であってもよいし、LEDやレーザーのような固体光源であってもよい。第1インテグレーターレンズ11及び第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子近傍にて集光させる。第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子は、重畳レンズ14と協働して、第1インテグレーターレンズ11のレンズ素子の像を液晶パネル18R、18G、18Bに形成する。このような構成により、光源10からの光が液晶パネル18R、18G、18Bの表示領域(図1の表示領域A0)全体を略均一な明るさで照明する。
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を、第2インテグレーターレンズ12を介して液晶パネル18R、18G、18Bの表示領域上で重畳させる。
第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射したR光を反射させ、G光及びB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射されたR光は、反射ミラー16及びフィールドレンズ17Rを経て、光変調素子である液晶パネル18Rへ入射する。液晶パネル18Rは、R光を画像信号に応じて変調することにより、R色の画像を形成する。
第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からのG光を反射させ、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射されたG光は、フィールドレンズ17Gを経て、光変調素子である液晶パネル18Gへ入射する。液晶パネル18Gは、G光を画像信号に応じて変調することにより、G色の画像を形成する。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、24、反射ミラー23、25、及びフィールドレンズ17Bを経て、光変調素子である液晶パネル18Bへ入射する。液晶パネル18Bは、B光を画像信号に応じて変調することにより、B色の画像を形成する。
クロスダイクロイックプリズム19は、光合成用のプリズムであり、各液晶パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成して画像光とし、投写光学系20へ進行させる。
投写光学系20は、各液晶パネル18G,18R,18Bによって変調されクロスダイクロイックプリズム19で合成された画像光PLを図1のスクリーンSC上に拡大投写する。この際、投写光学系20は、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比AR2を、液晶パネル18G,18R,18Bの画像の横縦比AR0と異なるものとしたり、この横縦比AR0と等しいものとすることができる。
回路装置80は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部81と、画像処理部81の出力に基づいて光学系部分50に設けた液晶パネル18G,18R,18Bを駆動する表示駆動部82と、投写光学系20に設けた駆動機構(不図示)を動作させて投写光学系20の状態を調整するレンズ駆動部83と、これらの回路部分81,82,83等の動作を統括的に制御する主制御部88とを備える。
画像処理部81は、入力された外部画像信号を各色の階調等を含む画像信号に変換する。画像処理部81は、投写光学系20が画像の縦横比又は横縦比(アスペクト比)を変換して投写する第1動作状態である場合、投写光学系20による横縦比の変換を逆にした画像のアスペクト比変換を予め行ってスクリーンSC上に表示される画像が縦横に伸縮しないようにする。具体的には、投写光学系20によって例えば1.78:1から例えば2.4:1となるように横方向に画像の伸張が行われる場合、予め、横方向に0.742=1.78/2.4倍の画像の圧縮が行われ、或いは、縦方向に1.35=2.4/1.78倍の画像の伸張が行われる。一方、投写光学系20が画像の横縦比又はアスペクト比を変換しないで投写する第2動作状態である場合、画像処理部81は、上記のような画像のアスペクト比変換を行わない。なお、画像処理部81は、外部画像信号に対して歪補正や色補正等の各種画像処理を行うこともできる。
表示駆動部82は、画像処理部81から出力された画像信号に基づいて液晶パネル18G,18R,18Bを動作させることができ、当該画像信号に対応した画像又はこれに画像処理を施したものに対応する画像を液晶パネル18G,18R,18Bに形成させることができる。
レンズ駆動部83は、主制御部88の制御下で動作し、例えば投写光学系20を構成する絞りを含む一部の光学要素を光軸OAに沿って適宜移動させることにより、投写光学系20による図1のスクリーンSC上への画像の投写倍率を変化させることができる。また、レンズ駆動部83は、投写光学系20を構成する別の一部の光学要素を光軸OA上すなわち光路上に進退させること等により、図1のスクリーンSC上に投写される画像の横縦比AR2を変化させることができる。レンズ駆動部83は、投写光学系20全体を光軸OAに垂直な上下方向に移動させるアオリの調整により、図1のスクリーンSC上に投写される画像の縦位置を変化させることができる。
以下、図3、図4(A)及び図4(B)等を参照して、実施形態の投写光学系20について説明する。投写光学系20は、レンズ等の複数の光学要素を組み合わせてなる本体部分20aと、本体部分20aの一部又は全体を移動させることでその結像状態を調整する駆動部65とを備える。駆動部65は、第1、第2、第3及び第4駆動機構61,62,63,64を備える。
本体部分20aは、スクリーンSC側から順に、第1群30と、第2群40と、第3群60とから実質的になる。ここで、「から実質的になる」とは、投写光学系20において、第1群30、第2群40及び第3群60のほかに実質的にパワーを持たないレンズを追加する場合を含むことを意味する。駆動部65を構成する第1、第2、第3及び第4駆動機構61,62,63,64のうち、第1駆動機構61は、第1群30を移動させ、第2及び第3駆動機構62,63は、第2群40を移動させ、第4駆動機構64は、投写光学系20全体を一体的に移動させる。なお、第2群40は、第2駆動機構62により光軸OAについての光路上に進退可能となっており、図3(A)では第2群40が光路上に挿入された状態を示している。また、図3(B)及び3(C)は、第2群40を挿入した第1動作状態と退避させた第2動作状態とでのスクリーンSC(図1参照)における投影画像の領域である表示領域A2をそれぞれ示している。
第1群30は、第1レンズ部31と、第2レンズ部32と、第3レンズ部33とを有する。第1群30は、たとえば、第1レンズ部31を構成する少なくとも1枚のレンズを光軸OAに沿って手動等により微動させることにより、本体部分20aのフォーカス状態を調整することができる。つまり、第1レンズ部31は、フォーカス動作を行うフォーカス光学系として機能する。また、第2レンズ部32は、固定されたレンズである。また、第3レンズ部33は、1枚以上のレンズで構成されており、本体部分20aによる投写倍率を一定の範囲内で調整することができる。つまり、第3レンズ部33は、駆動機構61に駆動されてズーム動作を行うズーム光学系として機能する。逆に、第1駆動機構61は、第1群30中のズーム光学系である第3レンズ部33のズーム動作を行うためのズーム駆動機構ということになる。
第2群40は、横方向(X方向)と縦方向(Y方向)で異なる焦点距離を持つ調整光学要素であり、結果的に第1群30及び第3群60も含めた投写光学系20の全系としても、縦方向と横方向とで異なる焦点距離を持つことになる。すなわち、第2群40が光路上に存在することにより、本体部分20aによる縦方向と横方向の拡大倍率も異なるものとなり、液晶パネル18G(18R,18B)に表示された画像の横縦比AR0とは異なる横縦比AR2の画像をスクリーンSC上に投写することができる。第2群40は、光軸OAに対して回転非対称な面を持つ1つ以上の調整用の光学要素を含み、具体的には、例えば図4(A)に示す縦方向(Y方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、正のパワーを持つ第1の光学要素群41と、負のパワーを持つ第2の光学要素群42とで構成されている。これにより、第2群40は、縦方向(Y方向)について圧縮する作用を及ばせるものとなっている。
なお、第2群40の横方向(X方向)に関しては、必要とするアスペクト比の変換比率と縦方向の圧縮率とに応じて種々の態様となっており、例えば図9(A)等で一例を後述するようにパワーを有しない構成となっていてもよく、縦方向とは逆に伸張する作用を及ばせるようになっていてもよい。
このように、アナモフィック光学系である第2群40を、屈折力の異なる光学要素群の組合せとすることにより、第2群をアフォーカル系のように機能させることができ、簡易に変倍すなわちズーミングを行なうことができる。
さらに、第2群40は、進退駆動機構である第1アナモフィック駆動機構である第2駆動機構62により一体として光軸OA上すなわち光路上に進退可能となっている。これにより、投写光学系20による画像の横縦比の切替が可能となる。画像の切替について詳しくは、後述する。
第3群60は、横方向及び縦方向にパワーを持つ回転対称な光学要素回転対称レンズを1枚以上含む。第3群60は、正のパワーを有するため光変調素子から射出した光の広がりを抑えることができる。そのため、第2群40へ入射する光の角度を抑えることができ、第2群40で発生する収差を抑えることができる。結果的に、第3群60は、投写光学系20全体の収差を抑える役割があり、第3群60は補正光学要素として複数のレンズを有し、それらのレンズ中に正のパワーを有するものとし、必要であれば、非球面のものを含めるものとする。
第1群30及び第3群60は、光路上に配置されたままであるが、第2群40は、上述のように、第1アナモフィック駆動機構62により一体として光路上に進退する。これにより、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)を所望のタイミングで切り替えることができる。
具体的には、図4(A)に示すように、第2群40を光路上に配置した第1動作状態とすることにより、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像を縦方向に圧縮した横縦比(例えば2.4:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。あるいは、図4(B)に示すように、第2群40を光路上から退避させた第2動作状態とすることにより、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像のままの横縦比(例えば1.78:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。この場合、図3(C)に示すように、第2群40が設置されていない第2動作状態の場合の表示領域A2を元の表示領域AAとすると、図3(B)に示すように、第2群40を挿入した第1動作状態では、元の表示領域AAが縦方向に圧縮し、横方向に拡大され表示領域AAより横長な形状の表示領域A2が形成される。
図4(B)に示すように投写光学系20の第2群40を光路外に退避させて第2動作状態とした場合、投写光学系20内の第2群40の位置には、何も配置されない。すなわち、第2群40を退避させているとき、投写光学系20は第1群30と第3群60とが協働して回転対称な光学要素のみで構成されることになるので、液晶パネル18G(18R,18B)の表示領域A0の横縦比(アスペクト比)とスクリーンSCの表示領域A2の横縦比(アスペクト比)とは一致することになる。さらに、第2群40を退避させた際には、第2群40が光路上にある場合に比較して透過率が向上し、画像を明るくできる。
ここで、プロジェクター2(図1参照)等のように画像投射を行う装置においては、投写光学系20の光軸OAに垂直な上下方向に移動させるアオリの調整が一般的に行われる。例えば、図3に示す投写光学系20では、駆動部65のうち全系駆動機構である第4駆動機構64によって本体部分20a全体を光軸OAに垂直な方向に移動させてシフト量(光軸のズレ量)を調整することにより、スクリーンSC上に投写される画像の光軸OAからのズレ量を増減させることができる。つまり、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに平行な状態を保ちつつ、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに対して適当なシフト量SFだけ移動させることで、光軸OAから例えば上方向(+Y方向)に外れた位置に画像を投写することができ、シフト量SFの調整によって画像の投写位置を縦方向に上下移動させることができる。また、シフト量SFは、例えばゼロでない値で固定的に定まっており、必要に応じて全系駆動機構である第4駆動機構64によって調整するものとしてもよい。以上のように、第4駆動機構64は、光軸OAに垂直な方向について投写光学系20のシフト動作をさせるためのシフト駆動機構である。投写光学系20において、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに平行な状態を保ちつつ適当なシフト量SFだけ移動させた状態とし、アオリを利用した投写が可能になることで、視聴者と画像光PLとが干渉するのを防ぐのが容易になり、設置性が向上する。
しかしながら、以上のようなアオリ投射がなされる場合、液晶パネル18Gの中心軸AXと投写光学系20の光軸OAとは、ずれた位置関係にあるため、第2群40の進退による第1動作状態と第2動作状態との切替えに伴って投影される画像の位置もずれることになる。例えば図5(A)〜5(D)に示すように、縦方向に圧縮するようなアスペクト比の変換により第1動作状態から第2動作状態に切替える場合、変換の基準すなわち変換の前後において不動の点となるのは、光軸OA上にある点OXである。従って、図5(A)及び図5(B)に示す第2動作状態を基準として画像投影を行う場合、第2動作状態での表示領域A2の中心位置CCとスクリーンSCの中心Oとが一致した状態で画像投影がなされるが、この状態から図5(C)及び図5(D)に示す第1動作状態に切り替えると、図5(B)から図5(D)において矢印に示すように、表示領域A2の中心位置CCが点OXのある下方側すなわち−Y側にずれることになる。本実施形態では、上記のような第1動作状態から第2動作状態への切替えに伴う中心位置CCの変化を補正するようにズーム動作やシフト動作を行うことにより、表示領域A2をスクリーンSC内の適正な範囲に確保することを可能にしている。
図6(A)は、アオリ投射における液晶パネル18Gの中心軸AXと投写光学系の光軸OAとのズレを示す図である。ここでは、シフトにより、光軸OAに垂直な第1方向であるx方向と光軸OAに垂直でかつ第1方向にも垂直な第2方向であるy方向との双方についてズレが生じているものとし、液晶パネル18Gの中心である中心軸AX上の点CCpについて、第1方向であるx方向についてのズレの量をズレ量Xとし、第2方向であるy方向についてのズレの量をズレ量Yとする。この場合、図6(B)に示すように、投写すによる拡大率(投写倍率)をMとすると、ズレ量X,Yに伴うスクリーンSC側でのズレの量の値は、それぞれMX,MYとなる。つまり、この値が、スクリーンSC上において光軸OAから中心位置CCが基準位置である点OXからオフセットした量となる。つまり、MX,MYの値が大きいほど図5(B)及び図5(D)に示すアスペクト比変換に伴う中心位置CCのズレが大きくなる。
以下、図7(A)〜7(D)により、上記のような中心位置CCのシフトを補正するための動作の概要について説明し、図8(A)〜8(D)により、中心位置CCの変化すなわち表示領域A2の変化について説明する。なお、図8(A)〜8(D)は、図7(A)〜7(D)に対応するものとなっている。
まず、図7(A)に示す第2群40を退避させた第2動作状態から第2群40を挿入した図7(B)に示す第1動作状態に切り替えることで、アスペクト比変換がなされる。次に、図7(C)に示すように第1群30の内部において、図3(A)等によって既に説明した第1駆動機構61によってズーム動作すなわちズーミングの処理が行われる。最後に、図7(D)に示すように第1群30の内部において、図3(A)等によって既に説明した第4駆動機構64によってシフト補正の処理が行われる。以上により、中心位置CCないしは表示領域A2の補正がなされる。なお、上記のうち、ズーミングの処理による拡大又は縮小については、例えば予め定められた投写倍率となるように自動的に行うものとしてもよく、手動により目的の投写倍率となるように調整するものとしてもよい。
以下、図8(A)〜8(D)により、中心位置CC及び表示領域A2の補正についてより具体的に説明する。なお、以下の補正の処理については、主制御部88(図2参照)の制御下においてなされるものである。まず、図8(A)に示すように、アスペクト比変換前である第2動作状態の表示領域A2及びその中心位置CCである表示領域A20及びその中心位置CC0に対して、図8(B)に示すように、第1動作状態に切り替わった変換後の新たな表示領域A21の形状は、元の表示領域A20よりも横長になる。また、新たな中心位置CC1は、元の中心位置CC0よりもやや右下方に位置することになる。次に、図8(C)に示すように、ズーミングの処理が行われることで、処理後の新たな表示領域A22は、元の表示領域A21と相似な形状を保ったまま所望の大きさに拡大又は縮小される。また、新たな中心位置CC2は、この拡大又は縮小の処理の影響によって元の中心位置CC1から少し移動する。最後に、図8(D)に示すように、シフト補正の処理が行われることで、処理後の新たな表示領域A23は、元の表示領域A22の形状を保つ一方、新たな中心位置CC3は、最初の中心位置CCに戻った状態となる。
以下、上記のような処理を行うための移動距離等の算出について説明する。このため、いくつかの数値を規定する。まず、第2群40を退避させた第2動作状態における投写光学系20の第1方向すなわちx方向についての焦点距離をfx、第2方向すなわちy方向についての焦点距離をfyとする。一方、第2群40を挿入した第1動作状態におけるx方向についての焦点距離をf’x、y方向についての焦点距離をf’yとする。さらに、これらについての比Tx,Tyをそれぞれ
Figure 0005982780
とする。また、アスペクト比の変換の前後において、x方向の焦点距離の比Aとx方向の焦点距離の比A’とをそれぞれ、
Figure 0005982780
とする。なお、この場合、比Aと比A’との比で表されるアスペクト変換係数Kは、
Figure 0005982780
となる。
以下、上記の焦点距離fx,fy等の値を用いて図8(A)〜8(D)における中心位置CCの変遷について説明する。まず、図6(B)において示したように、図8(A)におけるスクリーンSC上での映像の中心位置CCのx方向及びy方向についてのズレ量は、MX,MYであるから、中心位置CCの座標は、基準となる点OXを原点として、(MX,MY)となる。次に、図8(B)に示すように、第2動作状態から第1動作状態に切り替わるに際して、焦点距離の変化率は、比Tx,Tyであるから、返還後の中心位置CC1のシフト量は、その逆数を掛けた値となる。従って、中心位置CC1の座標は、(MX×1/Tx,MY×1/Ty)となる。次に、図8(C)に示すズーミングの処理後の中心位置CC2の座標は、中心位置CC1の座標にズーミングによる投写倍率Pを掛けたものとなる。従って、中心位置CC2の座標は、(MX×P/Tx,MY×P/Ty)となる。最後に、図8(D)に示すように、シフト補正後の中心位置CC3は、元の中心位置CCに一致するものとなればよい。つまり、中心位置CC3が(MX,MY)となる量だけ投写光学系20側でシフトがなされていればよいことになる。ここで、図8(C)での中心位置CC2の座標は、(MX×P/Tx,MY×P/Ty)である。つまり、元の座標である(MX,MY)からそれぞれP/Tx倍、P/Ty倍だけずれた位置にあることになる。従って、このずれを補正するための液晶パネル18G側におけるズレ量X,Yに対するシフト量X’,Y’は、これらの逆数を用いて、
Figure 0005982780
となる。これらのシフト量X’,Y’だけ投写光学系20側でシフトさせるように調整することで、スクリーンSC上での映像の中心位置をアスペクト比の変換の前後で一致させることができる。つまり、主制御部88(図2参照)の制御下において、必要に応じてあらかじめ用意されたこれらの数値についてのテーブルデータから数値を適宜読み出す、或いは演算によりこれらの数値を求めることで、上述のような画像の投影位置を調整するための各種処理がなされるものとなっている。また、上記図7(B)〜7(D)等では、第2群40の挿入後、ズーミングの処理を行い、ズーミングの処理後にシフト補正の処理を行うものとしているが、上記のズーミングでの投射倍率Pとそれに伴って算出されるシフト量X’,Y’が予め定まっていれば、第2群40の挿入とともにズーミング及びシフト補正の処理を一体的に行うことができる。
以上のように、本実施形態の投写光学系20によれば、第2群40が液晶パネル18G(18R,18B)の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つので、全系の投写光学系20としても、縦横方向に異なる焦点距離を持ち縦横方向の拡大倍率も異なるものとなり、液晶パネル18G(18R,18B)の画像の横縦比とスクリーンSC上に投写される画像の横縦比とを異なるものにできる。つまり、本投写光学系20により、幅と高さとの比であるアスペクト比の変換が可能になる。以上のようなアスペクト比の変換すなわち投写状態の切替に際して、駆動部65がシフト駆動機構である第4駆動機構64やズーム駆動機構である第1駆動機構61を有することで、シフト動作あるいはズーム動作によって被投写面であるスクリーンSC上における画像の位置を、第1動作状態と第2動作状態とでのズレが低減されるように調整することができる。つまり、投写光学系20は、アスペクト比の変換が可能であり、かつ、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれを調整可能なものとしている。
図9(A)及び9(B)は、本実施形態に適用可能な投写光学系の一例を示す図であり、図9(A)は、投写光学系20の横方向(X方向)の断面を示し、図9(B)は、投写光学系20の縦方向(Y方向)の断面を示している。図9(B)に示すように、投写光学系20において、第2群40は、縦方向(Y方向)の断面に関して、既述のように、スクリーンSC側から順に、正のパワーを持つ第1の光学要素群41と、負のパワーを持つ第2の光学要素群42とで構成されている。これに対して、第1の光学要素群41と第2の光学要素群42とは、図9(A)に示す横方向(X方向)の断面に関して、パワーを有していないものとなっている。従って、第2群40において、横方向(X方向)の焦点距離と、縦方向(Y方向)の焦点距離とは互いに異なるものとなり、結果的に第1群30も含めた投写光学系20の全系としても、縦方向と横方向とで異なる焦点距離fx,fyを持つことになる。第2群40の場合、縦方向(Y方向)については圧縮し、横方向(X方向)については圧縮も伸張もしないように作用する。つまり、第2群40を挿入した第1動作状態では、退避させた第2動作状態に比べて縦方向に圧縮した横長の投影画像を形成するようにアスペクト変換がなされるものとなる。
また、本実施形態に適用可能な投写光学系の別の例として、第2群40が、横方向(X方向)の断面に関して、縦方向(Y方向)とは異なるパワーを有するアナモフィック光学系であるものとすることもできる。つまり、第2群40のうち第1の光学要素群41が負のパワーを持ち、第2の光学要素群42が正のパワーを持つことで、横方向(X方向)について伸張する構成としてもよい。
また、以上では、位置ずれの調整をシフト駆動機構である第4駆動機構64とズーム駆動機構である第1駆動機構61との双方を用いて行うものとしているが、特定の場合には、いずれか一方のみによって位置ずれの調整を行う態様とすることも可能である。例えば、第2群40は、いわば特定倍率のズーム機能を有するレンズ群であると考えることもできる。このため、第2群40を挿入して第2動作状態とした場合にズーミングが不要であれば、シフト駆動機構である第4駆動機構64のみによって位置ずれの調整ができる。なお、これは、ズーミングによる投写倍率Pの値がP=1となっている場合に相当し、図8(C)において表示領域A22及び中心位置CC2が元の表示領域A21及び中心位置CC1と一致している場合に相当する。また、第2群40を挿入した後にズーム駆動機構である第1駆動機構61によってズーミングした後、シフト補正が不要となっていれば、第1駆動機構61のみによって位置ずれの調整ができることになる。これは、図8(D)において表示領域A23及び中心位置CC3が元の表示領域A22及び中心位置CC2と一致している場合に相当する。
なお、上記では、光路上において常に固定的に配置されるレンズ群を第1群30及び第3群60としているが、これら2つの群は、協働して第動作状態での投写を可能とするものであるところ、一括りのレンズ群として考えることもできる。つまり、光路上に固定的に配置される第1群30及び第3群60をまとめて1つの第1群とし、固定的ではなく光路上に進退可能に配置される第2群40を第2群として捉えることもできる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る投写光学系等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の投写光学系等の変形例であり、プロジェクター2や投写光学系20の構成については、図2や図3(A)等で示した第1実施形態の場合と同様であるので図示及び説明を省略する。
図10(A)は、本実施形態に係る投写光学系におけるアスペクト比の変換に伴うズーム動作及びシフト量補正の一例について説明するための図であり、図8(D)に対応するものである。つまり、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置の調整について示すものである。
特に、図10(A)の例では、横方向すなわちX方向についてのスクリーンSC上での寸法が固定された場合を示すものである。具体的に説明すると、まず、第2動作状態から第1動作状態に切り替えた後、ズーミングでの拡大又は縮小によって、表示領域A22のX方向についての幅である横幅PX2を、第2動作状態における表示領域A2の横幅PXに一致させる。その後、シフト補正の動作によって中心位置CC3を第2動作状態の中心位置CCに一致させる。図10(A)に示す調整の場合、例えば横寸法が固定されたスクリーンSCを使用する際に有効である。なお、この場合、主制御部88は、横方向についての寸法を一定に保つ寸法固定制御部として機能するものとなっている。
次に、図10(B)は、投写光学系におけるアスペクト比の変換に伴うズーム動作及びシフト量補正の別の一例について説明するための図であり、図8(D)に対応するものである。
特に、図10(B)の例では、縦方向すなわちY方向についてのスクリーンSC上での寸法が固定された場合を示すものである。つまり、図10(A)の場合と同様の調整であるが、ズーミングでの拡大又は縮小において、Y方向についての幅である縦幅PY2を、第2動作状態における表示領域A2の縦幅PYに一致させるように調整している点が、図10(A)の場合と異なっている。図10(B)に示す調整の場合、例えば縦寸法が固定されたスクリーンSCを使用する際に有効である。なお、この場合、主制御部88は、縦方向についての寸法を一定に保つ寸法固定制御部として機能するものとなっている。
図11は、さらに別の変形例として、本実施形態の一例や、図10(A)及び10(B)を用いて説明した変形例による調整を選択可能とする例について説明するためのフローチャートである。この変形例では、調整の方法を選択するための処理として、モード設定を設けている(ステップS11)。このモード設定についての制御は、主制御部88(図2参照)の制御下でなされる。具体的には、まず、主制御部88は、プロジェクター2のシステムを起動させて、さらに、ユーザーからの指示により、投写光学系20において第2群40が退避した第2動作状態から第2群40が挿入された第1動作状態に切り替わると(ステップS10)、モード設定処理においてユーザーからの選択を受け付ける(ステップS11)。このステップS11では、変換後の映像のサイズすなわち表示領域のサイズを特定することになる。つまり、ズーミングによる拡大又は縮小の比率を設定することになる。このため、ユーザーは、第1の選択肢である本実施形態の一例のようにズーミングによる拡大又は縮小の比率を投写光学系20において可能な範囲内で自ら設定するユーザー設定モードと、第2の選択肢である図10(A)に示す場合の横寸法固定モードと、第3の選択肢である図10(B)に示す場合の縦寸法固定モードとの3つのうちから一の選択肢を選ぶことになる。ステップS12において、主制御部88は、3つの選択肢のうち一の選択肢を受け付けると、選択肢が第1〜第3の選択肢のいずれであるかを判断する(ステップS12)。ステップS12において、選択肢が第2又は第3の選択肢である、すなわち横又は縦の映像寸法を固定する映像寸法固定モードであると判断されると(ステップS12:Yes)、投写光学系20においてズーミング可能な範囲内であるか否かをさらに判断する(ステップS13)。ステップS13において、ズーミング可能な範囲内であると判断されると(ステップS13:Yes)、その拡大又は縮小の比率でズーミングの処理を行う(ステップS15)。ステップS13において、ズーミング可能な範囲内でないすなわち選択された第2又は第3の選択肢での処理が不可能であると判断されると(ステップS13:No)、第1の選択肢であるユーザー設定モードで処理を行わせるべくユーザーにズーミング可能な範囲内で設定させるべく再度設定を受け付ける処理を行う(ステップS14)。ステップS14において、ズーミング可能な範囲内で拡大又は縮小の比率が設定されると、その拡大又は縮小の比率でズーミングの処理を行う(ステップS15)。一方、ステップS12において、選択肢が第1の選択肢である、すなわちズーミング可能な範囲内でユーザー自ら設定したユーザー設定モードであると判断されると(ステップS12:No)、その拡大又は縮小の比率でズーミングの処理を行う(ステップS15)。以上のようにして、ステップS15でのズーミングの処理がなされると、主制御部88は、投写光学系20にシフト補正の処理を行わせる(ステップS16)。以上により、アスペクト比変換に伴うスクリーンSC上での映像の中心位置及び表示領域の調整がなされる。
以上のように、本実施形態においても、投写光学系20は、アスペクト比の変換が可能であり、かつ、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ずれを調整可能なものとしている。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る投写光学系等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の投写光学系等の変形例であり、特に説明しない部分又は事項は、第1実施形態の場合と同様である。
図12(A)及び12(B)は、本実施形態に係るプロジェクターのうち投写光学系の構造を説明する図であり、第1実施形態の図4(A)及び4(B)に対応するものである。本実施形態の投写光学系120は、第1群30と第2群40とから実質的になり、第1実施形態の投写光学系20のような第3群60を有しない。ここで、「から実質的になる」とは、投写光学系120において、第1群30及び第2群40のほかに実質的にパワーを持たないレンズを追加する場合を含むことを意味する。
本実施形態においても、投写光学系120は、アスペクト比の変換が可能であり、かつ、アスペクト比の変換に伴う投影画像の位置ズレを調整可能なものにできる。
〔その他〕
図13(A)及び13(B)は、別の一例である投写光学系220を示す図であり、図13(A)は、投写光学系220の横方向(X方向)の断面を示し、図13(B)は、投写光学系220の縦方向(Y方向)の断面を示している。図13(A)に示すように、投写光学系220において、第2群240は、横方向(X方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、負のパワーを持つ第1の光学要素群241と、正のパワーを持つ第2の光学要素群242とで構成されている。これに対して、第1の光学要素群241と第2の光学要素群242とは、図13(B)に示す縦方向(Y方向)の断面に関して、パワーを有していないものとなっている。第2群240の場合、縦方向(Y方向)については圧縮も伸張もせず、横方向(X方向)については伸張するように作用する。つまり、第2群240を挿入した第1動作状態では、退避させた第2動作状態に比べて横方向に伸張した横長の投影画像を形成するようにアスペクト変換がなされるものとなる。
図14(A)及び14(B)は、さらに別の一例である投写光学系320を示す図であり、図14(A)は、投写光学系320の横方向(X方向)の断面を示し、図14(B)は、投写光学系320の縦方向(Y方向)の断面を示している。図14(B)に示すように、投写光学系320において、第2群340は、縦方向(Y方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、負のパワーを持つ第1の光学要素群341と、正のパワーを持つ第2の光学要素群342とで構成されている。これに対して、第1の光学要素群341と第2の光学要素群342とは、図14(A)に示す横方向(X方向)の断面に関して、パワーを有していないものとなっている。第2群340の場合、縦方向(Y方向)については伸張し、横方向(X方向)については圧縮も伸張もしないように作用する。つまり、第2群340を挿入した第1動作状態では、退避させた第2動作状態に比べて縦方向に伸張した縦長の投影画像を形成するようにアスペクト変換がなされるものとなる。
なお、図示等を省略するが、第2群340を構成する光学要素群のパワーを調整して、横方向に圧縮することで縦長の投影画像を形成するようにアスペクト変換することも可能である。
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
第2群40を回転非対称型の光学要素群41,42のみで構成する必要はなく、第2群40中に非対称型の光学要素群を追加することもできる。
液晶パネル18G,18R,18Bは、透過型に限らず、反射型とすることができる。ここで、「透過型」とは、液晶パネルが変調光を透過させるタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶パネルが変調光を反射するタイプであることを意味している。
以上のプロジェクター2では、複数の液晶パネル18G,18R,18Bで形成された各色の画像を合成しているが、単一の光変調素子であるカラー又はモノクロの液晶パネルで形成された画像を投写光学系20で拡大投写することもできる。この場合、クロスダイクロイックプリズム19が不要となるので、投写光学系20の光学設計上の自由度が高まる。
プロジェクターとしては、投写面を観察する方向から画像投写を行う前面投写型のプロジェクターと、投写面を観察する方向とは反対側から画像投写を行う背面投写型のプロジェクターとがあるが、図2等に示すプロジェクターの構成は、いずれにも適用可能である。
液晶パネル18G,18R,18Bに代えて、マイクロミラーを画素とするデジタル・マイクロミラー・デバイス等を、光変調素子として用いることもできる。
また、上記実施形態において、各群30,40,60等を構成するレンズの前後又は間に1つ以上の実質的にパワーを持たないレンズを追加することができる。
2…プロジェクター、 10…光源、 15,21…ダイクロイックミラー、 17B,17G,17R…フィールドレンズ、 18B,18G,18R…液晶パネル、 19…クロスダイクロイックプリズム、 20…投写光学系、 20a…本体部分、 30…第1群、 31…第1レンズ部、 32…第2レンズ部、 33…第3レンズ部(ズーム光学系)、 40…第2群、 41,42…光学要素群、 60…第3群、 50…光学系部分、 61…第1駆動機構(ズーム駆動機構)、 62…第2駆動機構、 63…第3駆動機構、 64…第3駆動機構(全系駆動機構、シフト駆動機構)、 65…駆動部、 70…絞り、 80…回路装置、 81…画像処理部、 83…レンズ駆動部、 88…主制御部(寸法固定制御部)、 A0…表示領域、 A2…表示領域、 AR0…横縦比、 AR2…横縦比、 AX…中心軸、 OA…光軸、 PL…画像光、 SC…スクリーン、CC…中心位置

Claims (8)

  1. 画像を被投写面上に拡大投写する際に、光変調素子の画像の横縦比と、前記被投写面に投写される画像の横縦比とを異なるものとする投写光学系であって、
    光路上に配置される第1群と、前記光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つとともに光路上に進退可能なアナモフィック光学系を含む第2群と、
    前記第2群の進退に伴う投写位置のズレを低減するように前記第1群及び前記第2群を光軸方向に垂直な方向についてシフト動作させるシフト駆動機構と前記第1群を光軸方向について駆動させるズーム駆動機構とを有する駆動部と、を備え、
    前記ズーム駆動機構の動作により、前記被投写面上の画像の拡大率が調整され、前記シフト駆動機構の動作により、画像の前記被投写面上での位置が調整され、
    前記第2群を光路上から退避させた状態において、前記光変調素子の中心位置は、前記第1群の光軸から所定のズレ量だけずれており、
    前記第1群の光軸に垂直な第1方向と、前記第1群の光軸に垂直でかつ前記第1方向に垂直な第2方向とについて、前記第1群の光軸に対する前記光変調素子の中心位置からのズレ量をそれぞれX、Yとし、前記第1方向及び前記第2方向に関する焦点距離をそれぞれfx、fyとし、
    前記第2群を光路上に挿入させた状態において、前記第1方向及び前記第2方向に関する焦点距離をそれぞれf’x、f’yとし、前記ズーム駆動機構による拡大縮小倍率をPとし、前記シフト駆動機構によるシフト量をそれぞれX’、Y’とすると、
    Figure 0005982780
    である投写光学系。
  2. 画像を被投写面上に拡大投写する際に、光変調素子の画像の横縦比と、前記被投写面に投写される画像の横縦比とを異なるものとする投写光学系であって、
    光路上に配置される第1群と、前記光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つとともに光路上に進退可能なアナモフィック光学系を含む第2群と、
    前記第2群の進退に伴う投写位置のズレを低減するように前記第1群及び前記第2群を光軸方向に垂直な方向についてシフト動作させるシフト駆動機構と前記第1群を光軸方向について駆動させるズーム駆動機構とを有する駆動部と、を備え、
    前記ズーム駆動機構の動作により、前記被投写面上の画像の拡大率が調整され、前記シフト駆動機構の動作により、画像の前記被投写面上での位置が調整され、
    前記第2群の進退動作に伴う画像の横縦比の変換の前後において、前記被投写面に投写される画像の前記第1群の光軸に垂直な第1方向及び前記第1群の光軸に垂直でかつ前記第1方向に垂直な第2方向のいずれか一方の寸法を一定に保つ寸法固定制御部をさらに有する投写光学系。
  3. 前記シフト駆動機構は、前記第2群の進退に伴って、前記第1群及び前記第2群をシフトさせる、請求項1または請求項2に記載の投写光学系。
  4. 前記駆動部は、前記第2群を光路上から退避させた状態における投影画像の中心位置と、前記第2群を光路上に挿入させた状態における投影画像の中心位置とを、一致させるように調整する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の投写光学系。
  5. 前記第2群は、前記光変調素子の縦方向の断面において、前記被投写面側から順に、正のパワーをもつ第1の光学要素群と、負のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の投写光学系。
  6. 前記第2群は、前記光変調素子の横方向の断面において、前記被投写面側から順に、負のパワーをもつ第1の光学要素群と、正のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の投写光学系。
  7. 前記第1群は、回転対称なレンズ群から実質的になる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の投写光学系。
  8. 請求項1から7までのいずれか一項に記載の投写光学系と、
    前記光変調素子とを備える、
    プロジェクター。
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