JP5982678B2 - プラズマcvd装置及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

プラズマcvd装置及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマCVD装置及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
図5は、プラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。このプラズマCVD装置は、被成膜基板101の両面に薄膜を成膜する装置であり、被成膜基板101に対して左右対称に構成されているが、図5では左側のみを示している。
プラズマCVD装置はチャンバーを有しており、このチャンバー102内には、例えばタンタルからなるフィラメント状のカソード電極103が形成されている。カソード電極103の両端はカソード電源105に電気的に接続されており、カソード電源105はアース106に電気的に接続されている。カソード電極103の周囲を囲むようにロート状の形状を有するアノード電極104が配置されている。アノード104電極はDC(直流)電源107のプラス電位側に電気的に接続されており、DC電源107のマイナス電位側がアースに電気的に接続されている。
チャンバー102内には被成膜基板101が配置されており、この被成膜基板101はカソード電極103及びアノード電極104に対向するように配置されている。被成膜基板101はイオン加速用電源としてのバイアス電源(DC電源)112のマイナス電位側に電気的に接続されており、DC電源112のプラス電位側がアース106に電気的に接続されている。
チャンバー102内には、カソード電極103及びアノード電極104それぞれと被成膜基板101との間の空間を覆うようにインナーシールド108が配置されている。
また、プラズマCVD装置はチャンバー102内を真空排気する真空排気機構(図示せず)を有している。また、プラズマCVD装置はチャンバー内に成膜原料ガスを供給するガス供給機構(図示せず)を有している(例えば特許文献1参照)。
上記のプラズマ処理装置によって被成膜基板101に成膜される膜の厚さを均一性よく制御するという要望がある。
特許3930181(図1)
本発明の一態様は、被成膜基板に成膜される膜の厚さを均一性よく制御できるプラズマCVD装置または磁気記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
(1)チャンバーと、
前記チャンバー内に配置されたアノードと、
前記チャンバー内に配置されたカソードと、
前記チャンバー内に配置され、前記カソード及び前記アノードに対向するように配置される被成膜基板を保持する保持部と、
前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記アノード及び前記カソードそれぞれとの間の空間を覆うように設けられたインナーシールドと、
前記チャンバー内に配置され、前記インナーシールドの外側に配置され、前記インナーシールドを囲むように配置されたマグネットと、
前記アノードに電気的に接続された第1の直流電源と、
前記カソードに電気的に接続された交流電源と、
前記保持部に保持された前記被成膜基板に電気的に接続された第2の直流電源と、
前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
前記チャンバー内を排気する排気機構と、
を具備し、
前記被成膜基板の表面と平行で且つ前記マグネットの前記被成膜基板側の端部を含む平面と、前記被成膜基板の表面との距離が15〜100mm(好ましくは20〜50mm)であることを特徴とするプラズマCVD装置。
(2)上記(1)において、
前記インナーシールドは2n個のマグネットによって囲まれており、
前記2n個のマグネットそれぞれは、前記インナーシールドの内側にN極またはS極の一方が向いており、且つ隣り合う前記マグネットは前記インナーシールドの内側に向く磁極が逆であることを特徴とするプラズマCVD装置。
ただし、nは2〜12の整数である。
(3)上記(2)において、
前記被成膜基板の外周の磁場が±0.1G〜±50G(好ましくは±1G〜±40G)であることを特徴とするプラズマCVD装置。
(4)上記(1)において、
前記インナーシールドは1個のマグネットによって囲まれており、
前記1個のマグネットは、前記カソード側にN極またはS極の一方が向き、前記被成膜基板側にN極またはS極の他方が向いていることを特徴とするプラズマCVD装置。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか一項において、
前記チャンバー内に配置され、前記インナーシールドの外側に配置されたアウターシールドを有し、
前記マグネットは、前記アウターシールドの外側に位置していることを特徴とするプラズマCVD装置。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法において、
非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を前記保持部に保持し、
前記チャンバー内で前記カソードと前記アノードとの間の放電により前記原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させて炭素が主成分である保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(7) 非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、
上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いて前記保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
本発明の一態様によれば、被成膜基板に成膜される膜の厚さを均一性よく制御できるプラズマCVD装置または磁気記録媒体の製造方法を提供することができる。
実施の形態1に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。 実施の形態2に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。 (A)は図2に示すプラズマ処理装置を用いて被成膜基板1にDLC膜10を成膜した写真、(B)は(A)に示す被成膜基板1上に成膜されたDLC膜10の膜厚を模式的に示す断面図である。 (A)は図2に示すプラズマCVD装置からマグネット119を除いた装置を用いて被成膜基板1にDLC膜11を成膜した写真、(B)は(A)に示す被成膜基板1上に成膜されたDLC膜11の膜厚を模式的に示す断面図である。 プラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
[実施の形態1]
<プラズマCVD装置>
図1は、本発明の一態様に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。このプラズマCVD装置は被成膜基板(例えばディスク基板)1に対して左右対称の構造を有しており、被成膜基板1の両面に同時に成膜可能な装置であるが、図1では左側のみを示している。
プラズマCVD装置はチャンバー102を有しており、このチャンバー102内には、例えばタンタルからなるフィラメント状のカソード電極(カソードフィラメント)103が形成されている。カソードフィラメント103の両端はチャンバー102の外部に位置するカソード電源(交流電源)105に電気的に接続されており、カソード電源105はチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。
カソード電源105は、図示せぬ制御部によって制御される。これにより、カソードフィラメント103に印加される電圧が制御される。なお、カソード電源105としては例えば0〜50V、10〜50A(アンペア)の電源を用いることができる。カソード電源105の一端はアース106に電気的に接続されている。
チャンバー102内には、カソードフィラメント103それぞれの周囲を囲むようにロート状の形状を有するアノード電極(アノードコーン)104が配置されており、アノードコーン104はスピーカーのような形状とされている。
アノードコーン104はアノード電源(DC(直流)電源)107に電気的に接続されており、DC電源107はチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。DC電源107のプラス電位側がアノードコーン104に電気的に接続されており、DC電源107のマイナス電位側がアース106に電気的に接続されている。
DC電源107は、前記制御部によって制御される。これにより、アノードコーン104に印加される電圧が制御される。なお、DC電源107としては例えば0〜500V、0〜7.5A(アンペア)の電源を用いることができる。
チャンバー102内には被成膜基板1が配置されており、この被成膜基板1はカソードフィラメント103及びアノードコーン104に対向するように配置されている。詳細には、カソードフィラメント103はアノードコーン104の内周面の中央部付近で包囲されており、アノードコーン104は、その最大内径側を被成膜基板1に向けて配置されている。
被成膜基板1は、図示しないホルダー(保持部)および図示しないトランスファー装置(ハンドリングロボットあるいはロータリインデックスデーブル)により、図示の位置に、順次供給されるようになっている。
被成膜基板1はイオン加速用電源としてのバイアス電源(DC電源,直流電源)112に電気的に接続されており、このDC電源112はチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。このDC電源112のマイナス電位側が被成膜基板1に電気的に接続されており、DC電源112のプラス電位側がアース106に電気的に接続されている。
DC電源112は、前記制御部によって制御される。これにより、被成膜基板1に印加される電圧が制御される。なお、DC電源112としては例えば0〜1500V、0〜100mA(ミリアンペア)の電源を用いることができる。
アノードコーン104の被成膜基板1側には導電体からなるインナーシールド108が設けられており、インナーシールド108は、カソードフィラメント103及びアノードコーン104それぞれと被成膜基板1との間の空間を覆うように形成されている。インナーシールド108は、フロート電位とされており、チャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。また、インナーシールド108は円筒形状又は多角形状を有している。
インナーシールド108の被成膜基板1側の端部には膜厚補正板118が設けられている。膜厚補正板118は、インナーシールド108に電気的に接続されており、フロート電位とされている。膜厚補正板118は、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さを制御するものである。
インナーシールド108の外側には、インナーシールド108を覆うように導電体または絶縁体からなるアウターシールド90が配置されており、このアウターシールド90は円筒形状又は多角形状を有している。また、アウターシールド90は、フロート電位またはアース電位に電気的に接続されている。アウターシールド90は、チャンバー102とインナーシールド108の間の放電を防止する役割を有する。
チャンバー102の内側で且つアウターシールド90の外側には1個のマグネット(例えばネオジウム磁石)109が配置されており、このマグネット109はインナーシールド108を囲むように配置されている。マグネット109はカソードフィラメント103より被成膜基板1に近い側に配置されている。詳細には、被成膜基板1の表面(マグネット109側の表面)と平行で且つマグネット109の被成膜基板1側の端部109bを含む平面109cと、被成膜基板1の表面との距離が15〜100mm(好ましくは20〜50mm)であるとよい。
マグネット109は例えば円筒形状又は多角形状を有しており、円筒形又は多角形の内径の中心は磁石中心となり、この磁石中心はカソードフィラメント103の略中心及び被成膜基板1の略中心それぞれと対向するように位置している。磁石中心はカソードフィラメント103の略中心より被成膜基板1の略中心に近い方に位置している。
マグネット109は、カソードフィラメント103側にN極が向き、被成膜基板1側にS極が向いている。
また、プラズマCVD装置はチャンバー102内を真空排気する真空排気機構(図示せず)を有している。また、プラズマCVD装置はガス導入部102aからチャンバー102内に成膜原料ガスを供給するガス供給機構(図示せず)を有している。
<成膜方法>
図1に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板1にDLC(Diamond Like Carbon)膜を成膜する方法について説明する。
まず、前記真空排気機構を起動させ、チャンバー102の内部を所定の真空状態とし、ガス導入部102aからチャンバー102の内部に前記ガス導入機構によって成膜原料ガスとして例えばトルエン(C)ガスを導入する。チャンバー102内が所定の圧力になった後、カソードフィラメント103にカソード電源105によって交流電流を供給することによりカソードフィラメント103が加熱される。
また、被成膜基板1にDC電源112によって直流電流を供給する。また、DC電源107からアノードコーン104に直流電流を供給する。また、マグネット109によって被成膜基板1の表面の近傍で且つ対向する位置に磁界を形成する。
カソードフィラメント103の加熱によって、カソードフィラメント103からアノードコーン104に向けて多量の電子が放出され、カソードフィラメント103とアノードコーン104との間でグロー放電が開始される。多量の電子によってチャンバー102の内部の成膜原料ガスとしてのトルエンガスがイオン化され、プラズマ状態109aとされる。そして、プラズマ状態の成膜原料分子は、被成膜基板1のマイナス電位によって直接に加速されて、被成膜基板1の方向に向かって飛走して、被成膜基板1の表面に付着される。この際、被成膜基板1の表面へ向かう成膜原料分子をマグネット109による磁界によってより均一性良く飛走させることができる。その結果、被成膜基板1に膜厚均一性の良いDLC膜を形成することができる。特に、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さの制御性を向上させることができる。なお、被成膜基板1の表面では下記式(1)の反応が起きている。
+e → C +xH↑ ・・・(1)
次に、図1に示すプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法について説明する。
まず、非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を用意し、この被成膜基板を保持部に保持させる。次いで、チャンバー102内で所定の真空条件下に加熱されたカソードフィラメント103とアノードコーン104との間の放電により原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させる。これにより、この被成膜基板の表面には炭素が主成分である保護層が形成される。
上記の磁気記録媒体の製造方法によれば、マグネット109によって形成される磁界により、被成膜基板1に膜厚均一性の良いDLC膜を形成することができる。特に、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さの制御性を向上させることができる。
[実施の形態2]
<プラズマCVD装置>
図2は、本発明の一態様に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、同一部分の説明を省略する。このプラズマCVD装置は被成膜基板(例えばディスク基板)1に対して左右対称の構造を有しており、被成膜基板1の両面に同時に成膜可能な装置であるが、図2では左側のみを示している。
チャンバー102の内側で且つアウターシールド90の外側には2n個のマグネット(例えばネオジウム磁石)119が配置されており、2n個のマグネット119はインナーシールド108を囲むように配置されている。ただし、nは2〜12の整数であるとよいが、nは4〜10の整数であってもよい。
2n個のマグネット119それぞれは、インナーシールド108の内側にN極またはS極の一方が向いており、インナーシールド108の外側にN極またはS極の他方が向いており、且つ隣り合うマグネット119はインナーシールド108の内側に向く磁極が逆である。例えば、4個のマグネット119を配置した場合は、それらのマグネット119によって被成膜基板1の表面に対向するように磁界119aが形成される。また、8個のマグネット129を配置した場合は、それらのマグネット129によって被成膜基板1の表面に対向するように磁界129aが形成される。
被成膜基板1の表面(マグネット119側の表面)と平行で且つマグネット119の被成膜基板1側の端部119bを含む平面119cと、被成膜基板1の表面との距離が15〜100mm(好ましくは20〜50mm)であるとよい。
2n個のマグネット119は例えば円筒形状又は多角形状となるように配置されており、円筒形又は多角形の内径の中心は磁石中心119dとなり、この磁石中心119dはカソードフィラメント103の略中心及び被成膜基板1の略中心それぞれと対向するように位置している。磁石中心119dはカソードフィラメント103の略中心より被成膜基板1の略中心に近い方に位置している。
マグネット119,129によって被成膜基板1の外周に形成される磁場は±0.1G(ガウス)〜±50G(好ましくは±1G〜±40G)であるとよい。これは、4個のマグネット119、8個のマグネット119、16個のマグネット119、24個のマグネット119それぞれをプラズマCVD装置に設置し、磁場を測定した結果から求めた範囲である。このような範囲とすることで、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さの制御性を向上させることができる。
なお、被成膜基板1の外周は、例えば被成膜基板が2.5インチ基板の場合は磁石中心119dから半径32.5mmの円周に相当し、被成膜基板が3.5インチ基板の場合は磁石中心119dから半径47.5mmの円周に相当する。
<成膜方法>
図2に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板1にDLC膜を成膜する方法について説明する。
まず、前記真空排気機構を起動させ、チャンバー102の内部を所定の真空状態とし、ガス導入部102aからチャンバー102の内部に前記ガス導入機構によって成膜原料ガスとして例えばトルエン(C)ガスを導入する。チャンバー102内が所定の圧力になった後、カソードフィラメント103にカソード電源105によって交流電流を供給することによりカソードフィラメント103が加熱される。
また、被成膜基板1にDC電源112によって直流電流を供給する。また、DC電源107からアノードコーン104に直流電流を供給する。また、マグネット119によって被成膜基板1の表面の近傍で且つ対向する位置に磁界を形成する。
カソードフィラメント103の加熱によって、カソードフィラメント103からアノードコーン104に向けて多量の電子が放出され、カソードフィラメント103とアノードコーン104との間でグロー放電が開始される。多量の電子によってチャンバー102の内部の成膜原料ガスとしてのトルエンガスがイオン化され、プラズマ状態とされる。そして、プラズマ状態の成膜原料分子は、被成膜基板1のマイナス電位によって直接に加速されて、被成膜基板1の方向に向かって飛走して、被成膜基板1の表面に付着される。この際、被成膜基板1の表面へ向かう成膜原料分子をマグネット119による磁界によってより均一性良く飛走させることができる。その結果、被成膜基板1に膜厚均一性の良いDLC膜を形成することができる。特に、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さの制御性を向上させることができる。
次に、図2に示すプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法について説明する。
まず、非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を用意し、この被成膜基板を保持部に保持させる。次いで、チャンバー102内で所定の真空条件下に加熱されたカソードフィラメント103とアノードコーン104との間の放電により原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させる。これにより、この被成膜基板の表面には炭素が主成分である保護層が形成される。
上記の磁気記録媒体の製造方法によれば、マグネット119によって形成される磁界により、被成膜基板1に膜厚均一性の良いDLC膜を形成することができる。特に、被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さの制御性を向上させることができる。
(実施例1)
図3(A)は、図2に示すプラズマ処理装置を用いて被成膜基板1にDLC膜10を成膜した写真であり、図3(B)は、図3(A)に示す被成膜基板1上に成膜されたDLC膜10の膜厚を模式的に示す断面図である。
図3(A),(B)に示すDLC膜10を成膜した際の条件は以下のとおりである。
成膜装置:図2に示すプラズマCVD装置にマグネットを16個配置したもの
被成膜基板1:メタル層付きガラスディスク
出発原料:高純度トルエン
ガス流量:3.0sccm
圧力 :0.3Pa
成膜時間:2sec×5回
カソードフィラメント103:タンタルフィラメント
交流電源105の出力:230W
DC電源107の電流:1650mA
DC電源112の電圧:250V
(比較例1)
図4(A)は、図2に示すプラズマCVD装置からマグネット119を除いた装置を用いて被成膜基板1にDLC膜11を成膜した写真であり、図4(B)は、図4(A)に示す被成膜基板1上に成膜されたDLC膜11の膜厚を模式的に示す断面図である。
図4(A),(B)に示すDLC膜11を成膜した際の条件は以下のとおりである。
成膜装置:図2に示すプラズマCVD装置からマグネット119を除いた装置
被成膜基板1:メタル層付きガラスディスク
出発原料:高純度トルエン
ガス流量:3.0sccm
圧力 :0.3Pa
成膜時間:2sec×5回
カソードフィラメント103:タンタルフィラメント
交流電源105の出力:230W
DC電源107の電流:1650mA
DC電源112の電圧:250V
上記の比較例では、図4(B)に示すように、被成膜基板1の外周付近のDLC膜11の膜厚が厚くなったのに対し、上記の実施例1では、図3(B)に示すように、被成膜基板1の外周付近のDLC膜10の膜厚が比較例に比べて薄くなった。従って、マグネットの磁場によって被成膜基板1に成膜される膜の厚さを比較例に比べて均一性よく制御できることが確認された。
1 被成膜基板
10,11 DLC膜
90 アウターシールド
102 チャンバー
103 カソード電極(カソードフィラメント)
104 アノード電極(アノードコーン)
105 カソード電源(交流電源)
106 アース電源
107 アノード電源(DC(直流)電源)
108 インナーシールド
109,119,129 マグネット
109a プラズマ
119a,129a 磁界
112 バイアス電源(DC電源,直流電源)
118 膜厚補正板
140 カソードマグネット
140a 磁界
1109,1119,1129,1139 外部マグネット
1109a,1119a,1129a,1139a 磁界

Claims (7)

  1. チャンバーと、
    前記チャンバー内に配置されたアノードコーンと、
    前記チャンバー内に配置されたカソードフィラメントと、
    前記チャンバー内に配置され、前記カソードフィラメント及び前記アノードコーンに対向するように配置される被成膜基板を保持する保持部と、
    前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記アノードコーン及び前記カソードフィラメントそれぞれとの間の空間を覆うように設けられたインナーシールドと、
    前記チャンバー内に配置され、前記インナーシールドの外側に配置され、前記インナーシールドを囲むように配置されたマグネットと、
    前記アノードコーンに電気的に接続された第1の直流電源と、
    前記カソードフィラメントに電気的に接続された交流電源と、
    前記保持部に保持された前記被成膜基板に電気的に接続された第2の直流電源と、
    前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
    前記チャンバー内を排気する排気機構と、
    を具備し、
    前記被成膜基板の表面と平行で且つ前記マグネットの前記被成膜基板側の端部を含む平面と、前記被成膜基板の表面との距離が15〜100mmであり、
    前記第1の直流電源によって前記アノードコーンに直流電圧が印加され、前記交流電源によって前記カソードフィラメントに交流電圧が印加され、前記第2の直流電源によって前記被成膜基板に直流電圧が印加されることで、前記カソードフィラメントと前記アノードコーンとの間で放電され、プラズマ状態とされた前記原料ガスが前記被成膜基板の電位によって加速されて成膜されることを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 請求項1において、
    前記インナーシールドは2n個のマグネットによって囲まれており、
    前記2n個のマグネットそれぞれは、前記インナーシールドの内側にN極またはS極の一方が向いており、且つ隣り合う前記マグネットは前記インナーシールドの内側に向く磁極が逆であることを特徴とするプラズマCVD装置。
    ただし、nは2〜12の整数である。
  3. 請求項2において、
    前記被成膜基板の外周の磁場が±0.1G〜±50Gであることを特徴とするプラズマCVD装置。
  4. 請求項1において、
    前記インナーシールドは1個のマグネットによって囲まれており、
    前記1個のマグネットは、前記カソードフィラメント側にN極またはS極の一方が向き、前記被成膜基板側にN極またはS極の他方が向いていることを特徴とするプラズマCVD装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記チャンバー内に配置され、前記インナーシールドの外側に配置されたアウターシールドを有し、
    前記マグネットは、前記アウターシールドの外側に位置していることを特徴とするプラズマCVD装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法において、
    非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を前記保持部に保持し、
    前記チャンバー内で前記カソードフィラメントと前記アノードコーンとの間の放電により前記原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させて炭素が主成分である保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いて前記保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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